JP5704188B2 - 防水・防湿用コーティング組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、各種の材料に対して優れた防水及び防湿性を付与できるコーティング組成物に関する。特に、電子部品に対して、その機能を阻害することなく、優れた防水及び防湿性を付与できるコーティング組成物に関する。
電気・電子機器の高性能化、小型化等に伴い、それらの内部に半導体チップなどの電子部品を高密度に搭載したプリント基板が組み込まれている。これらの機器は、高湿度環境下で使用されることがあり、また、屋外で使用する機器については雨等の水分と直接接触することがある。このような水分が、プリント基板等の電子部品に付着や凝集すると、異常電流が流れることにより誤動作の原因となる。特に、電子部品を高密度に搭載したプリント基板については、水分の影響を受けて誤動作が生じ易いという問題点がある。
これらを防ぐために、従来は、プリント基板などの電子部品をアクリル、ウレタン、エポキシなどの樹脂で被覆することによる防水処理が行われていた。これらの樹脂を用いる従来の防水・防湿コーティング剤は、樹脂の有機溶液や液状樹脂を塗布又は硬化させる方法で形成されていたが、乾燥や硬化に長時間を要するため、作業効率の面で問題がある。しかも、これらの樹脂は、薄い膜厚の状態では防水・防湿性能が十分ではなく、防水性能を向上させるためには厚塗りが必要であるが、コーティング膜に発泡などによる欠陥が生じ易く、均一に塗れないという問題が存在し、さらに、厚塗りをしても十分な防水・防湿性能を得ることが難しい場合がある。
膜厚の薄いコーティングで防水性能を付与する方法として、ポリフルオロアルキル基含有重合体を不燃性の低沸点溶剤に溶解した溶液を電子部品表面に塗布し、溶剤を乾燥させることにより、ポリフルオロアルキル基含有重合体からなる被覆膜を形成する方法が知られている(下記特許文献1参照)。しかしながら、この方法で用いる処理液は、使用が禁止されている特定フロンを溶剤として用いているために、現在では用いることができない。
特開昭61−189693号公報
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、各種の材料に対して、良好な防水及び防湿性能を付与できるコーティング組成物を提供することであり、特に、高い耐化学的浸食性が要求される電子部品に対して、その性能を阻害することなく、良好な防水・防湿性皮膜を形成できるコーティング組成物を提供することである。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた結果、フルオロアルキル基を有し、α位に置換基を有することのあるアクリル酸エステルと、高軟化点ポリマーを単量体成分として用い、これらを共重合して得られる含フッ素ポリマーは、フッ素系溶剤、特に、化学的浸食性が低く、環境に対する悪影響が少ないハイドロフルオロエーテルに対する溶解性が良好であり、これを基材に塗布することによって、電子部品を含む各種の材料に対して悪影響を及ぼすことなく、優れた防水・防湿性能を有する皮膜を形成でき、しかも、皮膜の硬度が向上して耐久性にも優れたものとなることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の防水・防湿用コーティング組成物、及び防水・防湿皮膜の形成方法を提供するものである。
項1.(I)(1)カルボキシル基に対して直接又は2価の有機基を介してエステル結合したフルオロアルキル基を有し、α位に置換基を有することのあるアクリル酸エステル、及び
(2)高軟化点モノマー、
に基づく構成単位を有する含フッ素ポリマー、並びに
(II)フッ素系溶剤
を含有することを特徴とする防水・防湿用コーティング組成物。
項2. 高軟化点モノマーの量が、α位に置換基を有することのあるアクリル酸エステル100重量部に対して、1〜30重量部である、項1に記載の防水・防湿用コーティング組成物。
項3. α位に置換基を有することのあるアクリル酸エステルが、一般式(1):
Figure 0005704188
(式中、Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状若しくは分岐状のフルオロアルキル基、置換若しくは非置換のベンジル基、置換若しくは非置換のフェニル基、又は炭素数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル基であり、Yは、直接結合、酸素原子若しくは硫黄原子を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の環状脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香脂肪族基、−CH2CH2N(R1)SO2 基(但し、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)、−CH2CH(OY1)CH2 基(但し、Y1は水素原子またはアセチル基である。)、又は-(CH2)nSO2 -基(nは1〜10)であり、Rfは炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。)で表されるアクリル酸エステルであり、
高軟化点モノマーが、該高軟化点モノマーからなるホモポリマーのガラス転移点又は融点が100℃以上となるモノマーである、項1又は2に記載の防水・防湿用コーティング組成物。
項4. 高軟化点モノマーが、一般式(2)
CH=C(R)COOR (2)
(式中、Rは、H又はCHであり、Rは、炭素数4〜20で水素原子に対する炭素原子の比率が0.58以上の飽和アルキル基を有する基である。)で表される(メタ)アクリル酸エステルである、項1〜3のいずれかに記載の防水・防湿用コーティング組成物。
項5. 一般式(1)で表されるα位に置換基を有することのあるアクリル酸エステルにおいて、Rfが炭素数4〜6の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である、項2〜4のいずれかに記載の防水・防湿用コーティング組成物。
項6. 一般式(1)で表されるα位に置換基を有することのあるアクリル酸エステルにおいて、Xがメチル基、フッ素原子又は塩素原子である、項2〜5のいずれかに記載の防水・防湿用コーティング組成物。
項7. フッ素系溶剤がハイドロフルオロエーテルである、項1〜6のいずれかに記載の防水・防湿用コーティング組成物。
項8. 電子機器の防水・防湿処理用として用いられる、項1〜7のいずれかに記載のコーティング組成物。
項9. 項1〜8のいずれかに記載のコーティング組成物を被処理物に接触させる工程を含む、防水・防湿皮膜の形成方法。
項10. 被処理物が電子機器である、項9の記載の防水・防湿皮膜の形成方法。
以下、本発明のコーティング組成物について具体的に説明する。
フッ素系ポリマー
本発明のコーティング組成物に配合する含フッ素ポリマーは、
(1)カルボキシル基に対して直接又は2価の有機基を介してエステル結合したフルオロアルキル基を有し、α位に置換基を有することのあるアクリル酸エステル(以下、「フルオロアルキル基含有アクリル酸エステル」ということがある)、及び
(2)高軟化点モノマー、
に基づく構成単位を有するポリマーである。
(i)単量体成分
(1)フルオロアルキル基含有アクリル酸エステル
本発明組成物で用いるフッ素系ポリマーの製造に用いる単量体成分の内で、フルオロアルキル基含有アクリル酸エステルは、α位に特定の置換基を有することのあるアクリル酸に対して、フルオロアルキル基が直接又は2価の有機基を介してエステル結合したものである。
上記したフルオロアルキル基含有アクリル酸エステルの好ましい具体例としては、下記一般式(1):
Figure 0005704188
(式中、Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状若しくは分岐状のフルオロアルキル基、置換若しくは非置換のベンジル基、置換若しくは非置換のフェニル基、又は炭素数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル基であり、Yは、直接結合、酸素原子若しくは硫黄原子を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の環状脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香脂肪族基、−CH2CH2N(R1)SO2 基(但し、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)、−CH2CH(OY1)CH2 基(但し、Y1は水素原子またはアセチル基である。)、又は-(CH2)nSO2 -基(nは1〜10)であり、Rfは炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。)で表されるアクリル酸エステルを例示できる。
上記一般式(1)において、Rfで表されるフルオロアルキル基は、少なくとも一個の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基であり、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基も包含するものである。
上記一般式(1)で表されるアクリル酸エステルでは、後述するフッ素系有機溶媒、特に、ハイドロフルオロエーテルに対する溶解性が良好である点で、Rfが炭素数4〜6の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基であることが好ましく、特に、炭素数4〜6の直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。また、近年、EPA(米国環境保護庁)により、炭素数が8以上のフルオロアルキル基を有する化合物は、環境、生体中で分解して蓄積するおそれがある環境負荷が高い化合物であることが指摘されているが、一般式(1)で表されるアクリル酸エステルにおいてRfが炭素数4〜6の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である場合には、この様な環境問題を生じることがない上に、フッ素系有機溶媒に対する溶解性と、形成される皮膜の防水性という両方の要求性能を同時に満足することができる。
尚、Rfが炭素数4〜6の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である場合には、形成される皮膜の耐水性をより向上させるために、上記一般式(1)において、Xで表されるα位の置換基が水素原子以外の基又は原子であるα位置換アクリル酸エステルであることが好ましい。この様なα位置換のアクリル酸エステルを重合して得られる含フッ素ポリマーは、コーティング皮膜においてフルオロアルキル基が表面配向して表面エネルギーの低い皮膜となり、良好な防水性能を発揮できる。特に、α位の置換基Xが、メチル基、塩素原子又はフッ素原子である場合には、低価格の原料を用いて、良好な防水性を有する皮膜を形成できる。特に、α位の置換基Xがメチル基である場合には、電子部品に対する腐食作用が小さい点で好ましい。
上記した一般式(1)で表されるアクリル酸エステルの具体例は、次の通りである。
Figure 0005704188
Figure 0005704188
Rf-SO2(CH2)3-OCO-CH=CH2
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
CH2=C(H)−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
上記したフルオロアルキル基含有アクリル酸エステルは、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
(2)高軟化点モノマー
本発明で用いる高軟化点モノマーは、該高軟化点モノマーからなるホモポリマーのガラス転移点又は融点が100℃以上、好ましくは120℃以上のモノマーである。この場合、ガラス転移点が存在するポリマーについてはガラス転移点が100℃以上であることが必要であり、ガラス転移点が存在しないポリマーについては、融点が100℃以上であることが必要である。
尚、ガラス転移点と融点は、それぞれJIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」で規定される補外ガラス転移終了温度(Teg)、及び融解ピーク温度(Tpm)とする。
この様な条件を満足する高軟化点モノマーを上記したフルオロアルキル基含有アクリル酸エステルと共に単量体成分として用いることによって、得られる含フッ素ポリマーから形成される皮膜は、優れた防水・防湿性能を有するものとなる。さらに、含フッ素ポリマーから形成される皮膜は、硬度が向上して、耐摩耗性などの耐久性が良好となる。
特に、該含フッ素ポリマーから形成される皮膜は、被処理物表面に付着した水滴の除去性能を示す指標となる動的撥水性が非常に良好である。このため、プリント基板などの被処理物表面に水が付着した場合にも、水切れが良く、水による故障発生の可能性を大きく低減することができる。尚、動的撥水性については、後述する実施例に記載した水の転落角によって評価することができる。
上記した高軟化点モノマーの使用量は、フルオロアルキル基含有アクリル酸エステル100重量部に対して、1〜30重量部程度とすることが好ましく、5〜20重量部程度とすることがより好ましい。特に、高軟化点モノマーを上記した範囲で用いる場合には、撥水撥油性能が特に良好であって、保存安定性にも優れた含フッ素ポリマーを製造できる。
高軟化点モノマーとしては、特に、下記一般式(2)
CH=C(R)COOR (2)
(式中、Rは、H又はCHであり、Rは、炭素数4〜20で水素原子に対する炭素原子の比率が0.58以上の飽和アルキル基を有する基である。)で表される(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。一般式(2)において、炭素数4〜20で水素原子に対する炭素原子の比率が0.58以上の飽和アルキル基の具体例としては、イソボルニル、ボルニル、フェンシル(以上はいずれもC1017, 炭素原子/水素原子=0.58)、アダマンチル(C1015, 炭素原子/水素原子=0.66)、ノルボルニル(C12, 炭素原子/水素原子=0.58)などの架橋炭化水素環を有する基が挙げられる。これらの架橋炭化水素環は、カルボキシル基に直接結合してもよく、或いは、炭素数1〜5の直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基を介して、カルボキシル基に結合していてもよい。これらの架橋炭化水素環には、さらに、水酸基やアルキル基(炭素数、例えば1〜5)が置換していても良い。
本発明で使用できる高軟化点モノマーの具体例としては、上記した一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルの他に、メチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等を挙げることができる。
一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルとしては、イソボルニル基を有する(メタ)アクリレート、ノルボルニル基を有する(メタ)アクリレート、アダマンチル基を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの内で、ノルボルニル基を有する(メタ)アクリレートとしては、3-メチル-ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、1,3,3-トリメチル-ノルボルニル(メタ)アクリレート、ミルタニルメチル(メタ)アクリレート、イソピノカンファニル(メタ)アクリレート、2-{[5-(1’,1’,1’-トリフルオロ-2’-トリフルオロメチル-2’-ヒドロキシ)プロピル]ノルボルニル }(メタ)アクリレート等を例示でき、アダマンチル基を有する(メタ)アクリレートとしては、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-1-アダマンチル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル-α-トリフルオロメチル(メタ)アクリレート等を例示できる。
(3)その他の単量体
本発明では、含フッ素ポリマーを得るための単量体成分として、上記したフルオロアルキル基含有アクリル酸エステルと高軟化点モノマーを用いることが必須であるが、さらに、必要に応じて、その他の単量体も用いることができる。フルオロアルキル基含有アクリル酸エステルと高軟化点モノマーの合計量は、含フッ素ポリマーを得るために用いる単量体成分の総量を基準として、70重量%程度以上であればよく、90重量%以上であることが好ましい。
その他の単量体としては、フルオロアルキル基含有アクリル酸エステル及び高軟化点モノマーと共重合可能な単量体であればよく、得られる含フッ素ポリマーの性能に悪影響を及ぼさない限り、広範囲に選択可能である。例えば、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、アリルエステル化合物、不飽和基含有エーテル化合物、マレイミド化合物、(メタ)アクリル酸エステル、アクロレイン、メタクロレイン、環化重合可能な単量体、N−ビニル化合物などを挙げることができるが、これらに限定されない。
(iii)含フッ素ポリマーの製造方法
本発明では、例えば、上記したフルオロアルキル基含有アクリル酸エステル及び高軟化点モノマーを必須成分として含む単量体成分をラジカル重合させることによって、含フッ素ポリマーを得ることができる。
重合方法については特に限定はないが、フッ素系溶剤中で溶液重合を行うことが好ましい。この方法によれば、形成される含フッ素ポリマーがフッ素系溶剤に対して溶解性が良好であることから、沈殿物が形成されることなく、円滑にラジカル重合反応を進行させることができる。
フッ素系溶剤としては、分子中にフッ素原子を有し、形成される含フッ素ポリマーの溶解性が良好な溶媒であれば芳香族、脂肪族のいずれであってもよい。例えば、塩素化フッ素化炭化水素(特に、炭素数2〜5)、特にHCFC225(ジクロロペンタフルオロプロパン)、HCFC141b(ジクロロフルオロエタン)、CFC316(2,2,3,3-テトラクロロヘキサフルオロブタン,)、ヘキサフルオロキシレン、フッ素系エーテル等を用いることができる。
特に、最終的に目的とするコーティング組成物の溶媒としてハイドロフルオロエーテルを用いる場合には、重合反応時の溶媒としても同様のハイドロフルオロエーテルを用いることによって、含フッ素ポリマーの分離工程などを省略して効率よくコーティング組成物を得ることができる。
フッ素系溶剤は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
フルオロアルキル基含有アクリル酸エステル及び高軟化点モノマーを含む単量体成分をフッ素系溶剤中でラジカル重合させる方法としては、例えば、単量体成分を溶媒に溶解させ、得られた溶液を攪拌しながら重合開始剤を添加することによって、重合反応を進行させることができる。
重合開始剤としては、公知のラジカル重合反応用の重合開始剤であれば特に限定なく使用できる。例えば、アゾイソブチロニトリル、アゾイソ酪酸メチル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ系開始剤;過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ベンゾフェノン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ベンゾケトン誘導体、フェニルチオエーテル誘導体、アジド誘導体、ジアゾ誘導体、ジスルフィド誘導体などを用いることができる。これらの重合開始剤は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、通常、単量体成分100重量部に対して、0.01〜10重量部程度とすることが好ましく、0.1〜1重量部程度とすることがより好ましい。
フッ素系溶剤中における単量体成分の濃度については特に限定的ではないが、通常、10〜50重量%程度とすることが好ましく、20〜40重量%程度とすることがより好ましい。
重合温度、重合時間などの重合条件は、単量体成分の種類、その使用量、重合開始剤の種類、その使用量などに応じて適宜調整すればよいが、通常、50〜100℃程度の温度でモノマー転化率60〜100%程度の重合反応を行えばよい。尚、モノマー転化率はガスクロマトグラフィー法により測定される重合前後のモノマーピーク面積から算出することができる。
上記した方法で得られる含フッ素ポリマーの重量平均分子量は、5,000〜500,000程度、好ましくは10,000〜300,000含フッ素ポリマーの重量平均分子量は、溶出溶媒としてHCFC225/ヘキサフルオロイソプロパノール(=90重量/10重量)混合溶媒を用いたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により求めたものである(標準ポリメチルメタクリレート換算)。
防水・防湿用コーティング組成物
本発明のコーティング組成物は、上記した方法で得られる含フッ素ポリマーをフッ素系溶剤に溶解したものである。
上記した方法で得られる含フッ素ポリマーは、フルオロアルキル基を含むことによって、優れた撥水性を有するものとなり、さらに、高軟化点モノマーをフルオロアルキル基含有アクリル酸エステルと共に単量体成分として用いることによって、優れた防水・防湿性能を有する皮膜を形成することができる。特に、形成される皮膜は、水の除去性能を示す指標となる動的撥水性が良好となる。さらに、高軟化点モノマーを単量体成分として用いることによって、形成される皮膜の硬度が高くなり、耐拭き取り性などの耐久性が向上する。
本発明の防水・防湿用コーティング組成物は、フッ素系溶剤を用いることによって、上記した含フッ素ポリマーを安定に溶解することができ、沈殿などの生じ難い安定性の良好なコーティング組成物である。
フッ素系溶剤としては、分子中にフッ素原子を有する溶媒であって、該フッ素ポリマーの溶解性が良好な溶媒であれば芳香族、脂肪族のいずれであってもよい。例えば、塩素化フッ素化炭化水素(特に、炭素数2〜5)、特にHCFC225(ジクロロペンタフルオロプロパン)、HCFC141b(ジクロロフルオロエタン)、CFC316(2,2,3,3-テトラクロロヘキサフルオロブタン)、ヘキサフルオロキシレン、フッ素系エーテル等を用いることができる。
本発明では、特に、フッ素系溶剤として、ハイドロフルオロエーテルを用いることが好ましい。ハイドロフルオロエーテルは各種の材料に対する化学的浸食性が低い溶剤であり、溶剤による悪影響を排除することが強く要求される電子部品に対するコーティング組成物の溶媒として、特に適した溶媒である。さらに、ハイドロフルオロエーテルは、速乾性、低環境汚染性、不燃性、低毒性などの優れた性能を有する理想的な溶剤である。
本発明では、ハイドロフルオロエーテルとしては、
式: C2n+1-O-C2x+1
[式中、nは1〜6の数、xは1〜6の数である。]
で示される化合物が好ましい。この様なハイドロフルオロエーテルとしては、例えば、米国3M社のノベックHFE7100(化学式C4F9OCH3),7200(化学式C4F9OC2H5),7300(化学式C6F13OCH3)などを用いることができる。
本発明では、特に、一般式(1)において、Rfが炭素数4〜6の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基であるフルオロアルキル基含有α位置換アクリル酸エステルと高軟化点モノマーに基づく構成単位を有するポリマーを必須の単量体成分として得られる含フッ素ポリマーをハイドロフルオロエーテルに溶解したコーティング組成物が好ましい。この様な含フッ素ポリマーは、ハイドロフルオロエーテルに対する溶解性が良好であって、形成される皮膜は、優れた防水性と防湿性を有する皮膜となり、さらに、環境適合性の観点からも好適な物質である。
本発明のコーティング組成物では、該組成物中における含フッ素ポリマーの濃度は、固形分濃度として0.01〜25重量%程度であることが好ましく、0.1〜10重量%程度であることがより好ましい。
本発明のコーティング組成物は、上記した方法でフッ素化溶媒中にてラジカル重合反応を行い、必要に応じて、ポリマーの濃度を調整した後、そのままコーティング用組成物として用いてもよく、或いは、ラジカル重合反応を行った後、含フッ素ポリマーを分離した後、フッ素系溶剤に溶解してコーティング組成物としてもよい。本発明では、特に、ハイドロフルオロエーテルを溶媒として用いて重合反応を行った後、必要に応じて、ハイドロフルオロエーテルを用いてポリマー濃度を調整してコーティング組成物とすることによって、効率よく目的のコーティング組成物を得ることができる。
本発明のコーティング組成物の適用対象については特に限定はなく、プラスチック、金属、セラミックス等の各種の基材に対して、耐久性が良好で優れた防水及び防湿性能を有する皮膜を形成できる。
本発明のコーティング組成物は、特に、水に濡れて故障する危険性がある電子機器の筐体、プリント基板などの部品に対して、防水・防湿コーティング処理を行うために有効に利用できる。例えば、筐体に対して処理を施すことによって筐体内部に水が侵入することを防止することができ、プリント基板などの部品に処理を施すことによって、筐体内部に水が侵入した場合にも水の付着を抑制でき、さらに、乾燥させることによって付着した水を容易に除去できるので、水による故障発生の可能性を大きく低減することができる。
この様な水に濡れる危険性がある電子機器の一例としては、スマートフォン、タブレットPC、携帯音楽プレーヤー、携帯ラジオ、ICレコーダー、ワイヤレスオーディオレシーバーなどの携帯型電子機器;魚群探知機、測深器、放射能測定器、残留塩素計、塩分計、分光濃度計、糖度計等の水回り、海水回りで使用される測定機器などを挙げることができる。
特に、基板、半導体などを含む電子部品を処理対象とする場合には、本発明のコーティング組成物を用いることによって、化学的浸食性の低い溶剤を利用して、耐久性に優れた防水、防湿性皮膜を形成することが可能となり、電子部品の性能を阻害することなく、良好な防水、防湿性能を付与することができる。
本発明のコーティング組成物は上記に示した電子部品のみならず、燃料電池、特に膜電極接合体(MEA);有機EL・LED照明などの素子;バイオチップ、特に医療用マイクロ流路の基材等にも適用が可能である。
本発明のコーティング組成物による処理方法については、特に限定はなく、本発明の組成物と、被処理物が十分に接触できる方法であればよく、例えば、浸漬、スプレー塗布、刷毛塗り、スピンコートなどの各種の方法を適用できる。
例えば、浸漬では、通常は、本発明のコーティング組成物中に被処理物を浸漬した後、大気中で乾燥すればよい。浸漬時の温度については特に限定はなく、通常は、室温で処理を行えばよい。処理時間についても特に限定はないが、通常は、1秒〜24時間程度の浸漬時間とすればよい。
尚、より高い耐久性を有する皮膜を形成するためには、本発明のコーティング組成物による処理に先だって、基材表面の油分を取り除くために、基材をアセトン、ハイドロフルオロエーテルなどで洗浄した後、乾燥することが好ましい。さらに、上記の洗浄に加えて、UVオゾン、酸素プラズマなどで、前処理するとより、皮膜の耐久性を未処理時と比較してより向上させることができる。
本発明の防水・防湿用コーティング組成物によれば、各種の基材に対して、優れた防水及び防湿性能を付与することができ、さらに、該コーティング組成物から形成される皮膜は、耐摩耗性などの耐久性も良好である。特に、溶剤として、ハイドロフルオロエーテルを用いる場合には、基材に対して化学的浸食を生じることなく、良好な防水及び防湿性皮膜を形成できる。このため、電子部品を処理対象とする場合に、その性能を阻害することなく、良好な防水・防湿性能を付与することが可能となる。これにより、水に濡れる危険性がある電子機器について、故障発生の危険性を大きく低減することができる。
特に、一般式(1)において、Rfが炭素数4〜6の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基であるフルオロアルキル基含有アクリル酸エステルと高軟化点モノマーを必須の単量体成分として得られる含フッ素ポリマーをハイドロフルオロエーテルに溶解したコーティング組成物を用いる場合には、環境などに悪影響を及ぼすことなく、上記した優れた防水・防湿性能を付与できる。
以下、製造例及び実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
製造例1 (Rf(C6)メタクリレート/イソボルニルメタクリレート = 100/2.70重量比)共重合体)
四つ口フラスコに、メタクリル酸パーフルオロヘキシルエチル(CH2=C(CH3)COOCH2CH2C6F13:以下、「Rf(C6)メタクリレート」と略記することがある)34.08g、メタクリル酸イソボルニル(以下、「iBMA」と略記することがある)0.92g、及びパーフルオロブチルエチルエーテル(C4F9OC2H5:「HFE7200」と略記することがある)66gを仕込み、10分間窒素バージし、70℃に加熱した。これにアゾビスイソブチロニトリル(以下、「AIBN」と略記することがある)0.136gを投入し、6時間反応した。
室温に冷却した後、メタノールで含フッ素ポリマーを析出させ、減圧乾燥した。これをHFE7200で希釈して、後述する実施例で用いる所定の濃度の溶液を調製した。
上記方法で得られた含フッ素ポリマーについて、溶出液としてフッ素系溶剤[HCFC225/ヘキサフルオロイソプロパノール=90/10(重量)]を使用したGPCで分子量を測定した結果、重量平均分子量は84,800であった。
製造例2 (Rf(C6)メタクリレート/iBMA = 100/5.26(重量比)共重合体)
Rf(C6)メタクリレートの使用量を33.25g、iBMAの使用量を1.75g、AIBNの使用量を0.139gにそれぞれ変更する以外は、製造例1と同じ方法で、含フッ素ポリマーを合成し、後述する実施例で用いる所定濃度のHFE7200溶液を調製した。得られたポリマーの重量平均分子量は299,400であった。
製造例3 (Rf(C6)メタクリレート/iBMA = 100/8.11(重量比)共重合体)
Rf(C6)メタクリレートの使用量を32.375g、iBMAの使用量を2.625g、AIBNの使用量を0.142gにそれぞれ変更する以外は、製造例1と同じ方法で、含フッ素ポリマーを合成し、後述する実施例で用いる所定濃度のHFE7200溶液を調製した。得られたポリマーの重量平均分子量は210,200であった。
製造例4 (Rf(C6)メタクリレート/iBMA = 100/11.1(重量比)共重合体)
Rf(C6)メタクリレートの使用量を31.5g、iBMAの使用量を3.5g、AIBNの使用量を0.145gにそれぞれ変更する以外は、製造例1と同じ方法で、含フッ素ポリマーを合成し、後述する実施例で用いる所定濃度のHFE7200溶液を調製した。得られたポリマーの重量平均分子量は156,100であった。
製造例5 (Rf(C6)メタクリレート/iBMA = 100/14.3(重量比)共重合体)
Rf(C6)メタクリレートの使用量を30.625g、iBMAの使用量を4.375g、AIBNの使用量を0.149gにそれぞれ変更する以外は、製造例1と同じ方法で、含フッ素ポリマーを合成し、後述する実施例で用いる所定濃度のHFE7200溶液を調製した。得られたポリマーの重量平均分子量は115,500であった。
製造例6 (Rf(C6)メタクリレート/iBMA = 100/17.6(重量比)共重合体)
Rf(C6)メタクリレートの使用量を29.75g、iBMAの使用量を5.25g、AIBNの使用量を0.152gにそれぞれ変更する以外は、製造例1と同じ方法で、含フッ素ポリマーを合成し、後述する実施例で用いる所定濃度のHFE7200溶液を調製した。得られたポリマーの重量平均分子量は182,900であった。
製造例7 (Rf(C6)メタクリレート/iBMA = 100/21.2(重量比)共重合体)
Rf(C6)メタクリレートの使用量を28.875g、iBMAの使用量を6.125g、AIBNの使用量を0.155gにそれぞれ変更する以外は、製造例1と同じ方法で、含フッ素ポリマーを合成し、後述する実施例で用いる所定濃度のHFE7200溶液を調製した。得られたポリマーの重量平均分子量は188,100であった。
製造例8 (Rf(C6)メタクリレート/iBMA = 100/25(重量比)共重合体)
Rf(C6)メタクリレートの使用量を28.0g、iBMAの使用量を7.0g、AIBNの使用量を0.158gにそれぞれ変更する以外は、製造例1と同じ方法で、含フッ素ポリマーを合成し、後述する実施例で用いる所定濃度のHFE7200溶液を調製した。得られたポリマーの重量平均分子量は105,500であった。
製造例9 (Rf(C6)メタクリレート/iBMA = 100/42.9(重量比)共重合体)
Rf(C6)メタクリレートの使用量を24.5g、iBMAの使用量を10.5g、AIBNの使用量を0.171gにそれぞれ変更する以外は、製造例1と同じ方法で、含フッ素ポリマーを合成し、後述する実施例で用いる所定濃度のHFE7200溶液を調製した。得られたポリマーの重量平均分子量は94,800であった。
比較製造例1 (Rf(C6)メタクリレート単独重合体)
Rf(C6)メタクリレートの使用量を35.00gに変更し、iBMAを使用しないこと以外は製造例1と同じ方法で含フッ素ポリマーを合成した。得られた含フッ素ポリマーについて、GPCで分子量を測定した結果、重量平均分子量は269,600であった。
実施例1〜9及び比較例1
シリコンウエハを被処理物として用い、アセトン中で30分間超音波洗浄を行い、次いで、HFE7200に浸漬した後、乾燥することによって、前処理を行った。
上記した方法で前処理を行ったシリコンウエハを、製造例1〜9及び比較製造例1で得られた各含フッ素ポリマーのHFE7200溶液(樹脂固形分濃度0.2重量%)に浸漬した後、室温にて30分乾燥させ、試験片を作製した。
これらの各試験片について、協和界面科学製DropMater701にて、液滴容量2μLの水に対する静的接触角と液滴容量20μLの水に対する転落角、液滴容量2μLのヘキサデカン(HDと以下略記する場合がある)に対する静的接触角の結果を下記表1に示す。
Figure 0005704188
以上表1の結果から明らかなように、製造例1〜9で得られた含フッ素ポリマーで処理した場合には、比較製造例1で得られた含フッ素ポリマーで処理した場合と比較して、水に対して低い転落角を示し、良好な動的撥水性を有すことから,水の除去性能が優れていることが確認された。特に、製造例1〜8で得られた含フッ素ポリマーで処理した試験片は、水及びHDに対して高い静的撥水性を示し、非常に優れた撥水撥油性能を発揮することが確認された。
また、鉛筆硬度(JIS K5600-5-4)を測定した結果、製造例1で得られた含フッ素ポリマーによれば、比較製造例1で得られた含フッ素ポリマーよりも硬い塗膜を形成できることが確認できた。
実施例10及び比較例2
製造例1で得られた含フッ素ポリマーと比較例1で得られた含フッ素ポリマーを用いて、実施例1〜9及び比較例1と同じ方法で試験片を作製した。これらの各試験片について、対水静的接触角を測定して初期接触角を求めた後、ラビングテスター(井元製作所製ラビングテスター「耐摩耗試験機151E 3連仕様」)のホルダに紙製ウェス(商標名:キムワイプ、日本製紙クレシア製)を装着し、荷重100gにて所定回数、表面の拭き取りを行い、その後対水静的接触角を測定し、拭き取りに対する耐久性を評価した。下記表2に、拭き取り回数と、対水静的接触角を示す。
Figure 0005704188
以上の結果から明らかなように、製造例1で得られた含フッ素ポリマーで処理した試験片は、比較製造例1で得られた含フッ素ポリマーで処理した試験片と比較して、拭き取り試験を繰り返した場合にも対水静的接触角の低下が少なく、高い拭き取り耐久性を示した。
実施例11
製造例1〜9で得られた各含フッ素ポリマーのHFE7200溶液(樹脂固形分10重量%)を50mLスクリュー管に入れ、5℃で3ヶ月保存した後、外観を観察した。製造例1〜9で得られた含フッ素ポリマーの内で、特に、製造例1〜8で得られた含フッ素ポリマーについては、保存後にも透明で初期の流動性を保ち、保存安定性に優れていることが確認できた。

Claims (5)

  1. (I)下記(1)のアクリル酸エステル及び下記(2)の(メタ)アクリル酸エステルに基づく構成単位を有する含フッ素ポリマーであって、(メタ)アクリル酸エステル(2)の量が、アクリル酸エステル(1)100重量部に対して、5〜20重量部である含フッ素ポリマー
    (1)一般式(1):
    Figure 0005704188

    (式中、Xは、メチル基、フッ素原子又は塩素原子であり、Yは、−CH 2 CH 2 −基であり、Rfは炭素数4〜6の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。)で表されるアクリル酸エステル、及び
    (2)一般式(2):
    CH =C(R )COOR (2)
    (式中、R は、H又はCH であり、R は、イソボルニル基である。)で表される(メタ)アクリル酸エステル、並びに
    (II)フッ素系溶剤
    を含有することを特徴とする防水・防湿用コーティング組成物。
  2. フッ素系溶剤がハイドロフルオロエーテルである、請求項1に記載の防水・防湿用コーティング組成物。
  3. 電子機器の防水・防湿処理用として用いられる、請求項1又は2に記載のコーティング組成物。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のコーティング組成物を被処理物に接触させる工程を含む、防水・防湿皮膜の形成方法。
  5. 被処理物が電子機器である、請求項の記載の防水・防湿皮膜の形成方法。
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