JP6776508B2 - コーティング組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、含フッ素ポリマーを含み、各種の材料に対して防水性及び防湿性を付与できるコーティング組成物に関する。
含フッ素ポリマーを含み、電子部品等を含む各種の材料に対して防水性及び防湿性を付与できる、コーティング用途に用いられる組成物(以下「コーティング組成物」という)が用いられている。
このようなコーティング組成物は、含フッ素ポリマー及び溶剤を含む。このコーティング組成物を、被処理面に接触させた後、溶剤が蒸発して、含フッ素ポリマーが固化することにより、含フッ素ポリマーを含む被膜が形成される。
このようなコーティング組成物においては、従来、含フッ素ポリマーとの相溶性を考慮して、溶剤としては含フッ素溶剤が用いられてきた(特許文献1)。
国際公開第2013/168763号
本発明者らは、従来の含フッ素ポリマー含有コーティング組成物においては、蒸発速度が比較的早い含フッ素溶剤を使用しているため、被処理面に接触させる工程で既に含フッ素ポリマーの固化が開始してしまい、形成される被膜の表面に凸凹が生じやすいという問題があることを見出した。この傾向は、形成しようとする被膜の厚さが薄いほど顕著となる。このため、含フッ素ポリマー含有コーティング組成物を用いて表面が滑らかな被膜を形成するには、被膜の厚さを厚くすることが必要であった。
本発明は、特に、被膜の厚さにかかわらず、表面が滑らかな被膜を形成する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記した課題を解決すべく鋭意研究を重ねてきた結果、溶剤として、含フッ素溶剤及び非含フッ素溶剤を、特定の割合で含むものを使用することにより解決できることを見出し、さらに試行錯誤を重ねることにより本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の態様を含む。
項1.
(1)フッ素含有割合が4重量%〜70重量%である、フルオロアルキル基を有する含フッ素ポリマー;及び
(2)溶剤
を含有するコーティング組成物であって、
前記溶剤(2)が、
(2−1)含フッ素溶剤;及び
(2−2)非含フッ素溶剤
のみからなり、前記含フッ素溶剤(2−1)を前記溶剤(2)の全体に対して50重量%〜97重量%含むものである、コーティング組成物。
項2.
前記非含フッ素溶剤(2−2)のSP値が、7〜13である、項1に記載のコーティング組成物。
項3.
前記非含フッ素溶剤(2−2)の沸点が、100℃〜220℃である、項1又は2に記載のコーティング組成物。
項4.
前記含フッ素ポリマー(1)を、組成物全体に対して0.1重量%〜50重量%含有する、項1〜3のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
項5.
前記含フッ素ポリマー(1)が、カルボキシル基に対して直接又は2価の有機基を介してエステル結合したフルオロアルキル基を有し、α位に置換基を有することのあるアクリル酸エステルに基づく構成単位を有する含フッ素ポリマーである、項1〜4のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
項6.
α位に置換基を有することのあるアクリル酸エステルが、一般式(1):
Figure 0006776508
(式中、Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状若しくは分岐状のフルオロアルキル基、置換若しくは非置換のベンジル基、置換若しくは非置換のフェニル基、又は炭素数1〜20の直鎖状の若しくは分岐状のアルキル基であり、Yは、直接結合、酸素原子若しくは硫黄原子を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の環状脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香脂肪族基、−CH2CH2N(R)SO−基(但し、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)、−CHCH(OY)CH−基(但し、Yは水素原子又はアセチル基である。)又は−(CHSO−基(nは1〜10)であり、Rfは炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基である。)で表される化合物である、項1〜5のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
項7.
一般式(1)で表されるα位に置換基を有することのあるアクリル酸エステルにおいて、Rfが炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基である、項6に記載のコーティング組成物。
項8.
一般式(1)で表されるα位に置換基を有することのあるアクリル酸エステルにおいて、Xがメチル基、フッ素原子又は塩素原子である、項6又は7に記載のコーティング組成物。
項9.
封止剤である、項1〜8のいずれかに記載のコーティング組成物。
項10.
色素増感太陽電池用封止剤である、項1〜9のいずれかに記載のコーティング組成物。
項11.
被処理物の表面に被膜を形成する方法であって、
項1〜8のいずれかに記載の組成物を被処理物に接触させる工程を含む方法。
項12.
前記被処理物が色素増感太陽電池である、項11に記載の方法。
項13.
含フッ素ポリマーを含有する被膜であって、
表面粗さRaが、2μm以下である、
被膜。
項14.
膜厚が、1μm以上である、項13に記載の被膜。
項15.
85℃のヨウ素0.1mol%の3−メトキシプロピオニトリル溶液中に500時間浸漬した後、浸漬前の98重量%以上が下地面に残存している、項13又は14に記載の被膜。
本発明によれば、特に、被膜の厚さにかかわらず、表面が滑らかな被膜を形成することができる。
以下、本発明のコーティング組成物について具体的に説明する。
1.含フッ素ポリマー
本発明で用いる含フッ素ポリマーは、フッ素含有割合が4重量%〜70重量%である、フルオロアルキル基を有する含フッ素ポリマーであり、含フッ素ポリマー含有コーティング組成物としての特性を満たす範囲内において幅広く選択することができる。含フッ素ポリマー含有コーティング組成物としての特性としては、防水性及び防湿性を被処理面に付与することが挙げられる。
なお、本発明においてフッ素含有量は元素分析により測定された値である。具体的には、燃焼法によりポリマーをイオン化し、イオンクロマトグラフィー又はフッ素イオンメーターを適宜選択して利用することにより定量された値である。
フッ素含有割合が4重量%〜70重量%である、フルオロアルキル基を有する含フッ素ポリマーであれば、良好な防水性及び良好な防湿性を被処理面に付与することができる。この点において、フッ素含有割合が、30重量%〜70重量%である含フッ素ポリマーがより好ましく、40重量%〜70重量%である含フッ素ポリマーがさらに好ましく、50重量%〜70重量%である含フッ素ポリマーがもっとも好ましく用いられる。
本発明で用いる含フッ素ポリマーとして、例えば、
(A)カルボキシル基に対して直接又は2価の有機基を介してエステル結合したフルオロアルキル基を有し、α位に置換基を有することのあるアクリル酸エステル(以下、「フルオロアルキル基含有アクリル酸エステル」ということがある)に基づく構成単位を有するポリマーが挙げられる。
特に限定されないが、本発明で用いる含フッ素ポリマーとして、上記構成単位(A)及び
(B)高軟化点モノマー、
に基づく構成単位を有するポリマーが好ましく用いられる。
1.1 フルオロアルキル基含有アクリル酸エステル
本発明で用いるフルオロアルキル基含有アクリル酸エステルは、α位に特定の置換基を有することのあるアクリル酸に対して、フルオロアルキル基が直接又は2価の有機基を介してエステル結合したものである。
フルオロアルキル基含有アクリル酸エステルの好ましい具体例としては、下記一般式(1):
Figure 0006776508
(式中、Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状若しくは分岐状のフルオロアルキル基、置換若しくは非置換のベンジル基、置換若しくは非置換のフェニル基、又は炭素数1〜20の直鎖状の若しくは分岐状のアルキル基であり、Yは、直接結合、酸素原子若しくは硫黄原子を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の環状脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香脂肪族基、−CH2CH2N(R)SO−基(但し、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)、−CHCH(OY)CH−基(但し、Yは水素原子又はアセチル基である。)又は−(CHSO−基(nは1〜10)であり、Rfは炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基である。)で表されるアクリル酸エステルを例示できる。
上記一般式(1)において、Rfで表されるフルオロアルキル基は、少なくとも一個の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基であり、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基も包含するものである。
特に限定されないが、上記一般式(1)で表されるアクリル酸エステルでは、後述するフッ素系有機溶媒、特に、ハイドロフルオロエーテルに対する溶解性が良好である点で、Rfが炭素数4〜6の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基であることが好ましく、特に、炭素数4〜6の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。また、近年、EPA(米国環境保護庁)により、炭素数が8以上のフルオロアルキル基を有する化合物は、環境、生体中で分解して蓄積するおそれがある環境負荷が高い化合物であることが指摘されているが、一般式(1)で表されるアクリル酸エステルにおいてRfが炭素数4〜6の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基である場合には、この様な環境問題を生じることがない上に、フッ素系有機溶媒に対する溶解性と、形成される被膜の防水性及び防湿性という両方の要求性能を同時に満足することができる。
なお、Rfが炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基である場合には、形成される被膜の耐水性をより向上させるために、上記一般式(1)において、Xで表されるα位の置換基が水素原子以外の基又は原子であるα位置換アクリル酸エステルであることが好ましい。この様なα位置換のアクリル酸エステルを重合して得られる含フッ素ポリマーは、コーティング被膜においてフルオロアルキル基が表面配向して表面エネルギーの低い被膜となり、防水性及び防湿性が良好となる。特に、α位の置換基Xが、メチル基、塩素原子又はフッ素原子である場合には、低価格の原料を用いて、防水性及び防湿性に優れる被膜を形成できる。特に、α位の置換基Xがメチル基である場合には、電子部品に対する腐食作用が小さい点で好ましい。
上記した一般式(1)で表されるアクリル酸エステルの具体例は、次の通りである。
Figure 0006776508
Figure 0006776508
Rf-SO2(CH2)3-OCO-CH=CH2
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
CH2=C(H)−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
上記したフルオロアルキル基含有アクリル酸エステルは、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
1.2 高軟化点モノマー
本発明の好ましい態様において用いてもよい高軟化点モノマーは、該高軟化点モノマーからなるホモポリマーのガラス転移点又は融点が100℃以上、好ましくは120℃以上のモノマーである。この場合、ガラス転移点が存在するポリマーについてはガラス転移点が100℃以上であることが必要であり、ガラス転移点が存在しないポリマーについては、融点が100℃以上であることが必要である。
なお、ガラス転移点と融点は、それぞれJIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」で規定される補外ガラス転移終了温度(Teg)及び融解ピーク温度(Tpm)とする。
この様な条件を満足する高軟化点モノマーを上記したフルオロアルキル基含有アクリル酸エステルと共に単量体成分として用いることによって、得られる含フッ素ポリマーから形成される被膜は、防水性及び防湿性に優れたものとなる。さらに、含フッ素ポリマーから形成される被膜は、硬度が向上して、耐摩耗性等の耐久性が良好となる。
特に、該含フッ素ポリマーから形成される被膜は、被処理物表面に付着した水滴の除去性能を示す指標となる動的撥水性が非常に良好である。このため、プリント基板等の被処理物表面に水が付着した場合にも、水切れが良く、水による故障発生の可能性を大きく低減することができる。なお、動的撥水性については、後述する実施例に記載した水の転落角によって評価することができる。
上記した高軟化点モノマーの使用量は、フルオロアルキル基含有アクリル酸エステル100重量部に対して、1〜30重量部程度とすることが好ましく、5〜20重量部程度とすることがより好ましい。特に、高軟化点モノマーを上記した範囲で用いる場合には、撥水撥油性能が特に良好であって、保存安定性にも優れた含フッ素ポリマーを製造できる。
高軟化点モノマーとしては、特に、下記一般式(2)
CH=C(R)COOR (2)
(式中、Rは、H又はCHであり、Rは、炭素数4〜20で水素原子に対する炭素原子の比率(以下「炭素原子/水素原子」と表記する)が0.58以上の飽和アルキル基を有する基である。)で表される(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。一般式(2)において、炭素数4〜20で水素原子に対する炭素原子の比率が0.58以上の飽和アルキル基の具体例としては、イソボルニル、ボルニル、フェンシル(以上はいずれもC1017;炭素原子/水素原子=0.58)、アダマンチル(C1015;炭素原子/水素原子=0.66)、ノルボルニル(C12;炭素原子/水素原子=0.58)等の架橋炭化水素環を有する基が挙げられる。これらの架橋炭化水素環は、カルボキシル基に直接結合してもよく、あるいは、炭素数1〜5の直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基を介して、カルボキシル基に結合していてもよい。これらの架橋炭化水素環には、さらに、水酸基やアルキル基(炭素数が、例えば1〜5)が置換していても良い。
本発明で使用できる高軟化点モノマーの具体例としては、上記した一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルの他に、メチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等を挙げることができる。
一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルとしては、イソボルニル基を有する(メタ)アクリレート、ノルボルニル基を有する(メタ)アクリレート、アダマンチル基を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの内で、ノルボルニル基を有する(メタ)アクリレートとしては、3-メチル-ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、1,3,3-トリメチル-ノルボルニル(メタ)アクリレート、ミルタニルメチル(メタ)アクリレート、イソピノカンファニル(メタ)アクリレート、2-{[5-(1’,1’,1’-トリフルオロ-2’-トリフルオロメチル-2’-ヒドロキシ)プロピル]ノルボルニル }(メタ)アクリレート等を例示でき、アダマンチル基を有する(メタ)アクリレートとしては、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-1-アダマンチル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル-α-トリフルオロメチル(メタ)アクリレート等を例示できる。
1.3 その他の単量体
本発明では、含フッ素ポリマーを得るための単量体成分として、上記したフルオロアルキル基含有アクリル酸エステルと高軟化点モノマーを用いることが必須であるが、さらに、必要に応じて、その他の単量体も用いることができる。フルオロアルキル基含有アクリル酸エステルと高軟化点モノマーの合計量は、含フッ素ポリマーを得るために用いる単量体成分の総量を基準として、70重量%程度以上であればよく、90重量%以上であることが好ましい。
その他の単量体としては、フルオロアルキル基含有アクリル酸エステル及び高軟化点モノマーと共重合可能な単量体であればよく、得られる含フッ素ポリマーの性能に悪影響を及ぼさない限り、広範囲に選択可能である。例えば、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、アリルエステル化合物、不飽和基含有エーテル化合物、マレイミド化合物、(メタ)アクリル酸エステル、アクロレイン、メタクロレイン、環化重合可能な単量体、N−ビニル化合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
1.4 含フッ素ポリマーの製造方法
本発明では、例えば、上記したフルオロアルキル基含有アクリル酸エステル及び高軟化点モノマーを必須成分として含む単量体成分をラジカル重合させることによって、含フッ素ポリマーを得ることができる。
重合方法については特に限定はないが、含フッ素溶剤中で溶液重合を行うことが好ましい。この方法によれば、形成される含フッ素ポリマーが含フッ素溶剤に対して溶解性が良好であることから、沈殿物が形成されることなく、円滑にラジカル重合反応を進行させることができる。
含フッ素溶剤としては、分子中にフッ素原子を有し、形成される含フッ素ポリマーの溶解性が良好な溶媒であれば芳香族、脂肪族のいずれであってもよい。例えば、塩素化フッ素化炭化水素(特に、炭素数2〜5)、特にHCFC225(ジクロロペンタフルオロプロパン)、HCFC141b(ジクロロフルオロエタン)、CFC316(2,2,3,3−テトラクロロヘキサフルオロブタン,)、ヘキサフルオロキシレン、フッ素系エーテル等を用いることができる。
特に、最終的に目的とするコーティング組成物の溶媒としてハイドロフルオロエーテルを用いる場合には、重合反応時の溶媒としても同様のハイドロフルオロエーテルを用いることによって、含フッ素ポリマーの分離工程等を省略して効率よくコーティング組成物を得ることができる。
含フッ素溶剤は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
フルオロアルキル基含有アクリル酸エステル及び高軟化点モノマーを含む単量体成分を含フッ素溶剤中でラジカル重合させる方法としては、例えば、単量体成分を溶媒に溶解させ、得られた溶液を攪拌しながら重合開始剤を添加することによって、重合反応を進行させることができる。
重合開始剤としては、公知のラジカル重合反応用の重合開始剤であれば特に限定なく使用できる。例えば、アゾイソブチロニトリル、アゾイソ酪酸メチル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ系開始剤;過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ベンゾフェノン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ベンゾケトン誘導体、フェニルチオエーテル誘導体、アジド誘導体、ジアゾ誘導体、ジスルフィド誘導体等を用いることができる。これらの重合開始剤は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、通常、単量体成分100重量部に対して、0.01〜10重量部程度とすることが好ましく、0.1〜1重量部程度とすることがより好ましい。
含フッ素溶剤中における単量体成分の濃度については特に限定的ではないが、通常、10〜50重量%程度とすることが好ましく、20〜40重量%程度とすることがより好ましい。
重合温度、重合時間等の重合条件は、単量体成分の種類、その使用量、重合開始剤の種類、その使用量等に応じて適宜調整すればよいが、通常、50〜100℃程度の温度でモノマー転化率60〜100%程度の重合反応を行えばよい。なお、モノマー転化率はガスクロマトグラフィー法により測定される重合前後のモノマーピーク面積から算出することができる。
上記した方法で得られる含フッ素ポリマーの重量平均分子量は、5,000〜500,000程度、好ましくは10,000〜300,000含フッ素ポリマーの重量平均分子量は、溶出溶媒としてHCFC225/ヘキサフルオロイソプロパノール(=90重量/10重量)混合溶媒を用いたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により求めたものである(標準ポリメチルメタクリレート換算)。
上記した方法で得られる含フッ素ポリマーは、フルオロアルキル基を含むことによって、優れた撥水性を有するものとなり、防水性及び防湿性に優れる被膜を形成することができる。特に、形成される被膜は、水の除去性能を示す指標となる動的撥水性が良好となる。さらに、高軟化点モノマーを単量体成分として用いることによって、形成される被膜の硬度が高くなり、耐拭き取り性等の耐久性が向上する。
2. 溶剤
本発明で使用する溶剤は、
(2−1)含フッ素溶剤;及び
(2−2)非含フッ素溶剤
のみからなり(consisting of)、前記含フッ素溶剤を溶剤の全体に対して50重量%〜97重量%含む。言い換えれば、本発明で使用する溶剤は、含フッ素溶剤の非含フッ素溶剤に対する重量比が、50/50〜97/3である。
2.1 含フッ素溶剤
含フッ素溶剤としては、分子中にフッ素原子を有する溶媒であればよく、芳香族又は脂肪族のいずれであってもよい。
含フッ素溶剤の例としては、特に限定されないが、パーフルオロ脂肪族炭化水素、ポリフルオロ芳香族炭化水素、ポリフルオロ脂肪族炭化水素、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ヒドロフルオロエーテル(HFE)、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)及びアルキルパーフルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
パーフルオロ脂肪族炭化水素は、特に限定されないが、好ましくは炭素数5〜12である。特に限定されないが、具体例として、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン及びパーフルオロジヒドロプロパノール(ペンタフルオロプロパノール)等が挙げられる。
ポリフルオロ芳香族炭化水素としては、特に限定されないが、例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン及びヘキサフルオロ−m−キシレン等が挙げられる。
ポリフルオロ脂肪族炭化水素としては、特に限定されないが、例えば、C13CHCH(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC−6000)、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオローラ(登録商標)H等が挙げられる。
ハイドロフルオロカーボン(HFC)としては、特に限定されないが、例えば、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)等が挙げられる。
ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)は、特に限定されないが、好ましくは炭素数2〜5である。具体例としては、特に限定されないが、HCFC−225(ジクロロペンタフルオロプロパン:アサヒクリン(登録商標)AK225)、HCFC141b(ジクロロフルオロエタン)、CFC316(2,2,3,3−テトラクロロヘキサフルオロブタン)及びC10(例えば、デュポン社製のバートレル(登録商標)XF)等が挙げられる。
ヒドロフルオロエーテル(HFE)としては、特に限定されないが、例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標名)7000)及びCFCHOCFCHF(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AE−3000)等が挙げられる。
ハイドロフルオロオレフィン(HFO)としては、特に限定されないが、例えば、1,2−ジクロロ−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(例えば、三井・デュポンフロロケミカル社製のバートレル(登録商標)サイオン)等が挙げられる。
アルキルパーフルオロアルキルエーテルにおいて、パーフルオロアルキル基及びアルキル基は直鎖又は分枝状のいずれであってよい。具体例としては、特に限定されないが、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標名)7100)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標名)7200)及びパーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標名)7300)等が挙げられる。
含フッ素溶剤としては、非含フッ素溶剤との相溶性に優れているため、芳香族のものが好ましい。
本発明で使用する溶剤は、含フッ素溶剤を溶剤全体に対して50重量%〜90重量%含むものであればより好ましい。後述するように、非含フッ素溶剤の含有割合を高めることによって、それによりもたらされる好ましい効果、例えば、溶剤全体としての沸点及び/又は蒸気圧を高めることにより、蒸発速度が抑制され、コーティング組成物を用いて被膜を形成する際の塗布性を改善することができる。これにより、表面がより平滑な被膜を形成できる。
含フッ素溶剤としては、一種又は複数種を組み合わせて使用することができる。
2.2 非含フッ素溶剤
非含フッ素溶剤としては、分子中にフッ素原子を有しない溶媒であればよく、芳香族又は脂肪族のいずれであってもよい。
特に限定されないが、本発明の効果の点で、非含フッ素溶剤として、SP値が、7〜13であるものが好ましく、8〜12.5のものがさらに好ましい。
本発明において、SP値はFedors法を用いて以下の式により計算する。
SP値(δ)=(ΔH/V)1/2
(式中、ΔHはモル蒸発熱(cal)を、Vはモル体積(cm3)を表す。)
また、ΔH及びVは、「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(151〜153頁)」に記載の原子団のモル蒸発熱の合計(ΔH)とモル体積の合計(V)を用いることができる。
この数値が近いもの同士はお互いに混ざりやすく(すなわち、相溶性が高く)、この数値が離れているものは混ざりにくいとされる。
特に限定されないが、被膜を形成するプロセス中に乾燥固化することを抑制でき、生産性の面でも有利であるという点で、非含フッ素溶剤として、沸点が、120℃〜220℃であるものが好ましく、140℃〜220℃のものがより好ましい。溶剤全体としての沸点を高めることにより、蒸発速度が抑制され、コーティング組成物を用いて被膜を形成する際の塗布性を改善することができる。これにより、表面がより平滑な被膜を形成できる。含フッ素溶剤は全般的に沸点が低いので、それとの組合せにおいて、この点は特に有利となる。
上記の沸点と同じ理由で、本発明の効果の点で、非含フッ素溶剤として、蒸気圧(20℃)が、0.1kPa〜1.5kPaであるものが好ましく、0.1kPa〜3kPaのものがより好ましく、0.1kPa〜1.5kPaのものがさらに好ましい。
特に限定されないが、非含フッ素溶剤としては、例えば汎用溶媒を使用できる。
非含フッ素溶剤としては、一種又は複数種を組み合わせて使用することができる。
特に限定されないが、非含フッ素溶剤としては、例えば、芳香族系、脂肪族系、ケトン系、エステル系、石油系、アルコール系、エーテル系、プロピレングリコール系及びグライム系溶剤のうちの1種、又はこれらからなる群より選択される少なくとも2種を含む混合溶剤であってもよい。
具体的には、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、イソヘキサン、n-ヘプタン、2−ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2−ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン及びクロロトルエン等が挙げられる。各溶媒は使用前に脱水することがより好ましい。
3. コーティング組成物
本発明のコーティング組成物は、含フッ素ポリマーを、含フッ素溶剤と非含フッ素溶剤に溶解させたものである。
特に限定されないが、本発明のコーティング組成物は、含フッ素ポリマーを、組成物全体に対して10重量%〜50重量%含有する。従来の方法においては、含フッ素ポリマーを、100%が含フッ素溶剤ではない溶剤に溶解させることは困難と考えられていた。本発明によれば、組成物全体に対して10重量%もの含フッ素ポリマーを溶解させることができる。このため、例えば、沸点、蒸気圧又はSP値等に応じて、溶剤種を幅広く選択することができ、有利である。
本発明のコーティング組成物は、含フッ素ポリマーを組成物全体に対して、好ましくは0.1重量%〜50重量%、より好ましくは10重量%〜50重量%含有する。
本発明のコーティング組成物は、含フッ素ポリマー及び含フッ素溶剤に加えて、本発明の効果を阻害しない範囲内において、さらに他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、特に限定されないが、例えば、粘度調整剤、レベリング剤、防錆剤、紫外線吸収剤、微粒子、顔料、染料、有機フィラー及び無機フィラー、タルク並びに導電性フィラー等が挙げられる。
本発明のコーティング組成物は、上記した方法で含フッ素溶剤及び非含フッ素溶剤及び/又は非含フッ素溶剤中にてラジカル重合反応を行い、必要に応じて、ポリマーの濃度を調整した後、そのままコーティング用組成物として用いてもよく、あるいは、ラジカル重合反応を行った後、含フッ素ポリマーを分離した後、含フッ素溶剤及び非含フッ素溶剤に溶解してコーティング組成物としてもよい。本発明では、特に、ハイドロフルオロエーテルを溶媒として用いて重合反応を行った後、必要に応じて、ハイドロフルオロエーテルを用いてポリマー濃度を調整してコーティング組成物とすることによって、効率よく目的のコーティング組成物を得ることができる。
本発明のコーティング組成物の適用対象については特に限定はなく、プラスチック、金属、セラミックス等の各種の基材に対して、耐久性が良好で、かつ防水性及び防湿性に優れる被膜を形成できる。
本発明のコーティング組成物は、特に、水に濡れて故障する危険性がある電子機器の筐体、プリント基板等の部品に対して、防水コーティング処理及び/又は防湿コーティング処理を行うために有効に利用できる。例えば、筐体に対して処理を施すことによって筐体内部に水が侵入することを防止することができ、プリント基板等の部品に処理を施すことによって、筐体内部に水が侵入した場合にも水の付着を抑制でき、さらに、乾燥させることによって付着した水を容易に除去できるので、水による故障発生の可能性を大きく低減することができる。
この様な水に濡れる危険性がある電子機器の一例としては、スマートフォン、タブレットPC、携帯音楽プレーヤー、携帯ラジオ、ICレコーダー、ワイヤレスオーディオレシーバー等の携帯型電子機器;魚群探知機、測深器、放射能測定器、残留塩素計、塩分計、分光濃度計、糖度計等の水回り、海水回りで使用される測定機器等を挙げることができる。
特に、基板、半導体等を含む電子部品を処理対象とする場合には、本発明のコーティング組成物を用いることによって、化学的浸食性の低い溶剤を利用して、耐久性に優れた防水性かつ防湿性の被膜を形成することが可能となり、電子部品の性能を阻害することなく、良好な防水性及び良好な防湿性を付与することができる。
本発明のコーティング組成物は上記に示した電子部品のみならず、燃料電池、特に膜電極接合体(MEA);有機EL・LED照明等の素子;バイオチップ、特に医療用マイクロ流路の基材等にも適用が可能である。
本発明のコーティング組成物は、アセトニトリル等のニトリル系溶剤に対して優れた耐久性を示す。このため、ニトリル系溶剤と接触する面に被膜を形成する用途に特に適している。そのような面として、特に限定されないが、例えば、色素増感太陽電池等が挙げられる。このため、本発明のコーティング組成物は、色素増感太陽電池の封止剤として好ましく用いられる。
本発明のコーティング組成物による処理方法については、特に限定はなく、本発明の組成物と、被処理物が十分に接触できる方法であればよく、例えば、浸漬、スプレー塗布、刷毛塗り、スピンコート、バーコート塗布、インクジェット印刷、ディスペンサー塗布、オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビアコート、ブレードコート及びフローコート等の各種の方法を適用できる。
例えば、浸漬では、通常は、本発明のコーティング組成物中に被処理物を浸漬した後、大気中で乾燥すればよい。浸漬時の温度については特に限定はなく、通常は、室温で処理を行えばよい。処理時間についても特に限定はないが、通常は、1秒〜24時間程度の浸漬時間とすればよい。
なお、より高い耐久性を有する被膜を形成するためには、本発明のコーティング組成物による処理に先だって、基材表面の油分を取り除くために、基材をアセトン、ハイドロフルオロエーテル等で洗浄した後、乾燥することが好ましい。さらに、上記の洗浄に加えて、UVオゾン、酸素プラズマ等で、前処理するとより、被膜の耐久性を未処理時と比較してより向上させることができる。
4. 被膜
本発明の被膜は、
含フッ素ポリマーを含有する被膜であって、
表面粗さRaが、2μm以下である。
本発明の被膜は、好ましくは、表面粗さRaが1.5μm以下である。表面粗さRaの下限は、特に限定されないが、通常、0.005μmである。
本発明の被膜は、さらに好ましくは、最大粗さRyが30μm以下であり、より好ましくは10μm以下である。最大粗さRyの下限は、特に限定されないが、通常、0.005μmである。
本発明において、表面粗さRa(算術平均粗さ)及び表面粗さRy(最大高さ)は、いずれも、表面粗さ形状測定機(株式会社東京精密社製 サーフコム470A)又はその同等品を使用し、JIS B 0601−1994に準拠して、測定点数5点の測定値を平均して算出する。
本発明の被膜は、なおかつ、膜厚が、1μm以上であってもよく、3μm以上であってもよい。膜厚の上限は、特に限定されないが、通常、500μmである。
本発明の被膜は、本発明のコーティング組成物を用いて形成することができる。
本発明において、表面粗さRa及び最大粗さRyは、表面粗さ形状測定機を用いてそれぞれ表面粗度Ra(算術平均粗さ)及び表面粗度Ry(最大高さ)を測定することによって得られる値を意味する。
また、本発明の被膜は、表面が平滑であることに起因して、さらなる特性として、ニトリル系溶剤に対する耐久性に優れている。特に限定されないが、具体的には、85℃のヨウ素0.1mol%の3−メトキシプロピオニトリル溶液中に500時間浸漬した後、浸漬前の98重量%以上が下地面に残存しているという特性を有する。左記において、残存量の測定は、浸漬前の重量(X)と浸漬後の重量(Y)から、式:{(X−Y)/X}×100(%)により算出する。
以下、製造例及び実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
ポリマーの重合例
重合例1
四つ口フラスコに、モノマーとしてメタクリル酸パーフルオロヘキシル(CH=C(CH)COOCHCH13:以下、「Rf(C6)メタクリレート」と略記することがある)80g、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(重合度9)1g、ステアリルメタクリレート15g、シクロヘキシルメタクリレート5g、及び溶媒としてパーフルオロブチルエチルエーテル(COC:「HFE7200」と略記することがある)66gを仕込み、窒素パージし、70℃に加熱した。これに重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(以下、「AIBN」と略記することがある)0.136gを投入し、6時間反応した。室温に冷却した後、減圧乾燥で溶媒成分を除去し、固体の含フッ素重合体を得た。
重合例2:
四つ口フラスコに、モノマーとしてメタクリル酸パーフルオロメチル(CH=C(CH)COOCHCHCF:以下、「Rf(C1)メタクリレート」と略記することがある)34.08g、メタクリル酸イソボルニル(以下、「iBMA」と略記することがある)2.2g、及び溶媒としてHFE7200を66g仕込み、窒素パージし、70℃に加熱した。これに重合開始剤としてAIBN0.136gを投入し、6時間反応した。室温に冷却した後、減圧乾燥で溶媒成分を除去し、固体の含フッ素重合体を得た。
重合例3:
四つ口フラスコに、モノマーとしてメタクリル酸パーフルオロオクチル(CH=C(CH)COOCHCH17:以下、「Rf(C8)メタクリレート」と略記することがある)80g、及び溶媒としてHFE7200を66g仕込み、窒素パージし、70℃に加熱した。これに重合開始剤としてAIBN0.136gを投入し、6時間反応した。室温に冷却した後、減圧乾燥で溶媒成分を除去し、固体の含フッ素重合体を得た。
重合例4:
四つ口フラスコに、モノマーとしてRf(C6)メタクリレート34.08g、iBMAを0.92g、及び溶媒としてHFE7200を66g仕込み、窒素パージし、70℃に加熱した。これに重合開始剤としてAIBN0.136gを投入し、6時間反応した。室温に冷却した後、減圧乾燥で溶媒成分を除去し、固体の含フッ素重合体を得た。
コーティング組成物の調製例
調製例1〜9及び重合例1〜4で得られた含フッ素重合体を表1に示す溶剤組成(重量%)の溶液に濃度が20重量%になるように調整し室温で1時間攪拌させた(表1)。
塗布方法
ガラス板上にドクターブレード10mill(理論ウェット膜厚507μm)を用いて塗布し、その後90℃で30分予備乾燥させた後、150℃で30分完全に乾燥させた。
塗布性評価方法
ドクターブレードにて塗布中にコーティング溶液が均一に塗布できたものを○、コーティング途中で一部ゲル化あるいは固化し不均一な膜となったものを×とした。
塗膜平滑性評価方法
表面粗さRaの測定
表面粗度Ra(算術平均粗さ)は、表面粗さ形状測定機(株式会社東京精密社製 サーフコム470A)を使用し、JIS B 0601−1994に準拠して、測定点数5点の測定値を平均して算出した。
表面粗さRyの測定
表面粗度Ry(最大高さ)は、表面粗さ形状測定機(株式会社東京精密社製 サーフコム470A)を使用し、JIS B 0601−1994に準拠して、測定点数5点の測定値を平均して算出した。
ヨウ素含有ニトリル溶剤浸漬試験
ガラス板ごとヨウ素0.1mol%の3−メトキシプロピオニトリル溶液に完全に浸漬させ、85℃で500時間、静置した後の外観を観察し、塗膜の溶解、膨潤及びはがれ、並びに着色のいずれも見られないものを○、塗膜の溶解、膨潤及びはがれ、並びに着色のいずれかが見られるものを×とした。また、浸漬試験前後の重量変化を測定した。重量変化は試験前の重量(X)と試験後の重量(Y)を式: {(X−Y)/X}×100%により求めた。
Figure 0006776508

Claims (7)

  1. (1)フルオロアルキル基を有する、フッ素含有割合が4重量%〜70重量%である含フッ素ポリマー;及び
    (2)溶剤
    を含有する、色素増感太陽電池用封止剤であって、
    前記含フッ素ポリマー(1)が、カルボキシル基に対して直接又は2価の有機基を介してエステル結合したフルオロアルキル基を有し、α位に置換基を有することのあるアクリル酸エステルに基づく構成単位を有する含フッ素ポリマーであり、
    前記含フッ素ポリマー(1)を色素増感太陽電池用封止剤全体に対して10重量%〜50重量%含み、かつ
    前記溶剤(2)が、
    (2−1)含フッ素溶剤;及び
    (2−2)非含フッ素溶剤
    のみからなり、
    前記含フッ素溶剤(2−1)を前記溶剤(2)の全体に対して50重量%〜90重量%含む、色素増感太陽電池用封止剤
  2. 前記非含フッ素溶剤(2−2)のSP値が、7〜13である、請求項1に記載の色素増感太陽電池用封止剤
  3. 前記非含フッ素溶剤(2−2)の沸点が、100℃〜220℃である、請求項1又は2に記載の色素増感太陽電池用封止剤
  4. α位に置換基を有することのあるアクリル酸エステルが、一般式(1):
    Figure 0006776508
    (式中、Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状若しくは分岐状のフルオロアルキル基、置換若しくは非置換のベンジル基、置換若しくは非置換のフェニル基、又は炭素数1〜20の直鎖状の若しくは分岐状のアルキル基であり、Yは、直接結合、酸素原子若しくは硫黄原子を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の環状脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香脂肪族基、−CH2CH2N(R)SO−基(但し、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)、−CHCH(OY)CH−基(但し、Yは水素原子又はアセチル基である。)又は−(CHSO−基(nは1〜10)であり、Rfは炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基である。)で表される化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池用封止剤
  5. 一般式(1)で表されるα位に置換基を有することのあるアクリル酸エステルにおいて、Rfが炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基である、請求項4に記載の色素増感太陽電池用封止剤
  6. 一般式(1)で表されるα位に置換基を有することのあるアクリル酸エステルにおいて、Xがメチル基、フッ素原子又は塩素原子である、請求項4又は5に記載の色素増感太陽電池用封止剤
  7. 色素増感太陽電池の表面に被膜を形成する方法であって、
    請求項1〜6のいずれかに記載の色素増感太陽電池用封止剤を被処理物に接触させる工程を含む方法。
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