JP5693234B2 - マイクロファイバー - Google Patents

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Description

本発明は、0.6〜0.9dtexの単繊維線密度(single fiber titer)を有する高強度セルロース系再生繊維、ならびにこの種の再生繊維を含む糸および平面テキスタイル構造に関する。
現在、特にビスコースプロセスによる繊維はセルロース系再生繊維として知られており、これらは世界中で生産されている。テキスタイル分野および不織物分野における標準的用途には、0.9〜16dtexの単繊維線密度を持つ繊維が使用される。これより小さい単繊維線密度を持つ繊維は通常、マイクロファイバーと呼ばれ、ここで、「マイクロファイバー」という用語は、一般に、1.0dtexより小さい線密度、または材料密度によるが9〜10μmの直径を持つ繊維を示す(「Lexikon der Textilveredlung」H.K.Rouette、1995、第2巻、1250頁以降;Laufman Verlag、デュルメン)。さらに、マイクロファイバーの布地は、それより粗い繊維の布地よりも、基本的に柔らかいことが知られている。
今日、消費者および衣料産業の着心地およびテキスタイルのデザイン可能性の多様性に対する要求はさまざまである。この点において、薄く、柔らかい布地であっても高い強度を有し、回復力があり、寸法的に安定であり、そして長期間にわたる使用後も外観ができるだけ変化しないことはとりわけ重要である。そのため、現在では、繊維のテナシティ、とりわけ湿潤状態における繊維テナシティに注意を払うことなく、小さい線密度を持つ繊維を加工するだけでは、もはや十分ではない。
同時に、テキスタイルチェーンにおいて何の問題もなく、この種の繊維を加工することも可能でなければならない。とりわけ、繊維の線密度およびカット長が高度に規則的および均一でなければならない。
セルロース系マイクロファイバーを生産するためのさまざまな方法が文献により知られている。これらの手法の一部は、キサントゲン酸セルロース溶液に基づく標準的なビスコース繊維に関連するものである。
ロシア国特許SU759627は、ビスコースマイクロファイバーの生産において、水性希硫酸の代わりに、有機溶媒中の有機酸の紡糸浴を使用することにより、0.05dtexまでの繊維を生産することが可能になるはずであるとしている。この方法で生産される繊維のテナシティに関する詳細は記載されていない。
FR2764910では、延伸が機械的にではなく水圧的に行なわれるプロセスが特許請求されている。0.3dtexの線密度を持つビスコース繊維が得られる。繊維のテナシティに関する詳細は記載されていない。
US6197230、およびそこで言及されている参考文献では、空気、窒素または水ジェットを用いてセルロース紡糸液を噴霧し、繊維とマイクロファイバーの混合物を製造することが提案されている。得られた繊維は主に超極細であり、はるかに不規則な直径を有する。このプロセスの結果はテキスタイルへの応用を意図したものではなく、それに適しているとも思われない。これらの繊維のテナシティに関する詳細は記載されていない。
US3785918にも同様に、エジェクターの原理に従って紡糸器具を用いることにより、ビスコース繊維とマイクロファイバーの混合物を製造することが示されている。得られるマイクロファイバーは紙の生産に使用されるものである。これらは著しく不均一なので、テキスタイルへの応用には適さない。
US4468428は、20μmの噴霧孔直径を持つ紡糸口金を用いて8μmの直径を有するビスコース繊維を製造することを開示している。このような噴霧孔直径では、大規模な工業的操業では十分な生産安全性をもって操業することができない。というのも、噴霧孔の紡糸浴側に、繊維直径の規則性および紡糸安全性に悪影響を及ぼす沈着物が短時間に形成され、かつ/またはジェット通路全体がゴミの粒子で遮られて、繊維線密度がさらに大きく変動するからである。
CN1418990には、延伸力を特殊な方法で調節してジェット孔直径を調整した結果として、超極細ビスコース繊維を製造することが開示されている。この方法で得られる繊維は、0.56〜0.22dtexの線密度を示す。これらの繊維で達成されるテナシティは、この文献には見いだすことができない。
JP2005187959は、カリフォルニアシーダーのパルプを使ってビスコース短繊維を製造することを提案している。この方法では、0.2〜30denの広い線密度範囲にわたる繊維を得ることが可能なはずであり、これにはマイクロファイバーも含まれるだろう。しかし、1.5〜10denの範囲、すなわちマイクロファイバーの範囲外であることが好ましい。繊維テナシティに関する記載はない。
JP58089924には、単繊維の直径が0.05〜2μmである超極細繊維の不織布が開示されている。これらの繊維は、ビスコースプロセス、銅アンモニアプロセスまたはアセテートプロセスを使って製造することができる。これらは可燃性であることが重要であると思われる。この種の細繊維は、特にテキスタイルへの応用には、もはや適していない。
US3539678には、改変されたビスコースプロセスが記載されており、この方法により、「高湿潤モジュラス(High wet modulus)」を有する繊維、いわゆるHWM繊維が得られる。これらは0.7〜5.0denの線密度範囲で生産される。試料は、最大2.93g/den(25.9cN/texに相当する)の乾燥テナシティを持つ線密度1.0den(1.1dtexに相当する)の繊維しか含んでいない。
ビスコースプロセスの他にも、セルロース系マイクロファイバーを生産する周知のプロセスが現在の技術において提案されている。
GB310944には、キュオキサム(Cuoxam)プロセスを使った最大1denの単繊維線密度を有するフィラメント糸の生産が示されている。例えば、2.64g/den(23.3cN/texに相当する)の乾燥テナシティを有する0.7denの繊維を得ることができる。キュオキサムプロセスは相当な環境問題を引き起こすので、1、2の例外を除き、現在では世界中で使用されていない。
WO98/58102では、セルロースマイクロファイバーを製造するためのライオセル(Lyocell)プロセスが提案されている。ここでは、ライオセルプロセスが、本願における意味でのセルロース再生繊維をもたらさないことを、特に強調しておかなければならない。というのも、ライオセルプロセスではセルロースを単に物理的に溶解してから沈殿させるに過ぎず、一方、セルロース再生繊維を生産する際には、セルロース誘導体、例えばキサントゲン酸セルロースや(銅アンモニウムプロセスの場合は)セルロース金属錯体をまず最初に生成させ、それがプロセスの過程で、純粋な、溶解していないセルロースに再生されるからである。WO98/58102によれば、特定のモル質量分布を有する特殊なパルプ(例えばパルプの電子線照射によって得られるもの)を使用することにより、0.3〜1.0dtex、好ましくは0.8〜1.0dtexの単繊維線密度を有する繊維を製造することができる。しかし、このプロセスで得ることができる繊維テナシティついては何ら開示されておらず、生産コストは特殊なパルプの結果として増大する。
WO2005/106085、US2005−056956、US2002−148050、WO01/86043およびそこで言及されている参考文献には、メルトブロー紡糸または遠心紡糸を用いるライオセルプロセスを改変するによってセルロースマイクロファイバーを製造するさまざまな手法が記載されている。しかし、この方法で得られる繊維は、不規則な線密度および繊維長分布を示すので、高品質なテキスタイルおよび工業的用途には適さない。通常のライオセルプロセスと比較して、これらのプロセスは少なくとも全く新しい紡糸装置を必要とする。
DE19622476およびDE19632540は、アミンオキシドセルロース溶液をビスコース脱溶媒媒質と混合した後、その混合物にさまざまなせん断場を作用させることを提案している。しかしそうすることで、不規則な線密度および繊維長分布が同様に得られるので、これらの繊維も高品質なテキスタイルおよび工業的用途には適さない。得られる繊維のテナシティについては、何も明らかにされていない。さらにまた、このプロセスは、脱溶媒媒質に要求される取扱いゆえに、極めて複雑であり、普通のライオセル生産ラインでは行なうことができない。
US6153136およびUS6511746には、セルロースと溶媒の相分離を生じさせる特殊な設計の紡糸口金ジオメトリを使った、改変ライオセルプロセスによるセルロースマイクロファイバーの生産が示されている。この方法で得られる繊維のテナシティについては何ら開示されていない。
以上をまとめると、現在の技術では、経済面および/または環境面で望ましくないプロセスを使って作製され、十分なテナシティを持たず、かつ/またはこれについての詳細がないか、その生産手段によってテキスタイル用途に使用できない、細〜超極細セルロース系繊維が示されているに過ぎない。実際のところ、一部の刊行物は、細いセルロース系繊維を生産することが(も)できるという著者の意図を開示しているに過ぎない。
短繊維(ステープルファイバ)は、さまざまな紡績プロセスを用いて糸に加工することができる。これらの紡績プロセスはさまざまな利点と欠点を示す。「古典的」なリング紡績プロセスは、異なる繊度および繊維長の繊維を加工することができるという融通性で知られている。それぞれの原材料に応じて、リング紡績機または改変リング紡績プロセス、例えばコンパクト(COMPACT)プロセスおよびサイロ(SIRO)プロセスなどによって、最も細い繊度の糸を生産することができる。実際、リング糸は、糸横断面中に少なくとも50本の繊維を有する必要があると考えられる。しかし、リング紡績プロセスの重大な欠点の一つは低い生産性であり、この欠点はリング紡績プロセスの技術に起因すると考えることができる。リング紡績プロセスの根本的な技術原理−この紡績プロセスの生産性は糸撚りの程度およびスピンドル速度によって決まる−ゆえに、糸生産のコストは糸の繊度が細くなるにつれて、著しく増加する。したがって、リング紡績プロセスを使った細い糸または極めて細い糸の生産は、極めてコスト集約的である。糸の繊度は糸番手として表現される。糸番手が大きいほど細くなる。メートル測定系では、糸番手がNm(メートル番手)として示され、国際的にはNe(「英式番手」)としても示される。
1970年あたりからよく知られるようになったローター紡績プロセスは、リング紡績プロセスと比較してはるかに高い生産性を特徴とする。Ne30(Nm50)の繊度を有する糸の場合、現代のローター紡績機の生産性は、リング紡績機の生産性を6倍程度上回ると考えられる。リング紡績プロセスと比較して、ローター紡績プロセスは、その糸生産の根本的な技術原理ゆえに、次の欠点を示す:
a)ローター紡績プロセスは、糸横断面中に、リング紡績プロセスよりもかなり高い繊維数を必要とする。実際、ローター糸は、糸横断面中に少なくとも100本の繊維を有さなければならないと考えられる。
b)ローター糸は、同じ糸繊度のリング糸よりもかなり低い糸強度を示す。
c)リング紡績と同様に、糸生産の生産性はローターの速度および糸撚りのレベルによって決まる。
しかし、上に挙げた根本的な技術原理ゆえに、ローター紡績機は、リング紡績機と同じ繊度および強度を有する細い糸を生産することができない。
村田機械によって開発されたムラタボルテックス紡績プロセス(MVSプロセス)は、空気ジェット紡績プロセスのカテゴリーに属し、この紡績プロセスの生産性は、リング紡績プロセスおよびローター紡績プロセスの生産性をかなり上回る。Ne30(Nm50)の繊度を有する糸の場合、この紡績プロセスの生産性は、ローター紡績より2.5倍高い。リング紡績プロセスと比較して、このプロセスの生産性は、実際に15倍高い。ムラタボルテックスの原理に基づく紡績プロセスは、糸横断面中に約75〜80本の繊維を必要とする。これは、この紡績システムがローター紡績プロセスよりはるかに細い糸を紡績できることを意味する。MVSプロセスを使って製造された糸の強度は、ローター糸と比較してかなり高いレベルにある。
ローター紡績プロセスと同様に、MVS紡績プロセスは、編物または織物にさらに加工される際に高い生産性を保証する糸強度を有する糸の生産が可能であるだけのテナシティを有する繊維を必要とする。
前述のセルロース系マイクロファイバーは、比較的太い絶対繊度を持つため、高性能紡績プロセスにおける加工には適さない。そのため、市場での需要が高まっているセルロース系繊維の軽量テキスタイルを生産するのに要求される極細糸を、現代の高性能紡績プロセスを使ってこれらの繊維から生産することは、今まで不可能だった。
このような現在の技術と比較して、経済面および環境面で信頼できる生産プロセスならびにそこから製造される衣料品の着心地の向上および外観の改善に関する現在の要求を満たすセルロース系繊維を利用可能にすることが課題だった。さらにまた、この種の繊維から好適なコストで生産することができる極めて細い糸も必要とされていた。
この課題に対する解決策は、単繊維線密度T(dtex)が0.6〜0.9、好ましくは0.6〜0.8であり、コンディショニングされた状態でのテナシティ(B)がB(cN)≧1.3√T+2Tであり、湿潤状態における5%の伸びでの湿潤モジュラス(B)がB(cN)≧0.5×√Tであるような、高テナシティセルロース系再生繊維である。好ましくは、本発明の繊維は、繊度に関連する強度が少なくとも34.5cN/texである。この繊維の繊度に関連する湿潤モジュラスは、好ましくは、少なくとも5.6cN/texである。
50.00cN/texのテナシティおよび好ましくは10.0cN/texの湿潤モジュラスが、本発明による性質の上限である。
本発明の繊維は、AT287905に記載されているプロセスと類似する方法で生産することができる。ただし、ジェット孔あたりの紡糸マス吐出量および引取速度などといった紡糸パラメータは、所望する単繊維線密度に応じて適合させなければならない。驚くべきことに、本発明による繊維のテナシティおよびモジュラスは、AT287905の記載から予想されるものよりもかなり高いことが明らかになった。
本発明の繊維は、好ましくは短繊維の形態をとる。すなわち、生産プロセスの過程で規格化された長さに切断される。テキスタイル分野での短繊維の一般的な切断長は約25〜90mmである。繊維の全てがこのように規格化された長さを持つ場合にのみ、現在のテキスタイルチェーンで一般的に使用されている機械を使っても問題なく、高い生産性で加工することができる。
本発明の繊維からなる糸も、本発明の主題のひとつである。この種の糸は、より粗い線密度を持つ繊維の糸と比較して、高い柔らかさを特徴とする。現在の技術で知られているセルロース系マイクロファイバーの糸と比較して、本発明の糸は高い強度を示す。各用途に適した性質を有するように、本発明のこのような糸は、本発明の繊維に加えて、由来の異なる繊維、例えばポリエステル、ポリアミドまたはポリアクリルの合成マイクロファイバー、他のセルロース系繊維(例えば綿、特にコーマ綿、ライオセル、キュプロ、リネン、ラミー、カポックなど)、動物由来の細繊維、例えばアルパカ、アンゴラ、カシミヤ、モヘアおよび各種の絹などを含んでいてよい。このような異なるタイプの繊維のブレンドは、一般に、均質ブレンド(intimate blend)として知られている。
特に驚くべきことに、本発明の糸は、空気ジェット紡績プロセスによって極めて細い繊度を有するように製造できる。本発明の繊維を用いることにより、高性能紡績プロセスのこれまで知られていた紡績技術の限界を超えることが、初めて可能になる。これは、ローター紡績プロセスにも、空気ジェット紡績プロセスおよびムラタボルテックス紡績プロセスにも、等しく当てはまる。MVS紡績プロセスでは、糸番手がNe80(Nm135)より細く、さらにテキスタイルへと問題なく加工することができる糸を生産することが、初めて可能になる。ローター紡績プロセスでは、本願の繊維を使用することにより、Ne65より細い糸を紡績することが、初めて可能になる。また、細い繊度を持つこれらの糸は、粗い線密度を持つ繊維の糸よりも、常に細い部分の数が少なく高い糸規則性を示す。
本発明の好ましい実施形態は、50Nm超、好ましくは85Nm超、最も好ましくは100Nm超の繊度を有する、空気紡績プロセスを使って生産される糸である。
本発明の糸は、セルロース系再生繊維を100%含むか、上に挙げたタイプの他のいくつかの細繊維タイプの少なくとも一つまたはブレンドをさらに含むことができる。
本発明の繊維は、特に心地よい被服特性を有する高品質できめが細かい柔らかなテキスタイルの生産にはとりわけよく適していることが示されたので、例えばポリエステル、ポリアミドまたはポリアクリルの合成マイクロファイバー、他のセルロース系繊維(例えば綿、特にコーマ綿、ライオセル、キュプロ、リネン、ラミー、カポックなど)、動物由来の細繊維、例えばアルパカ、アンゴラ、カシミヤ、モヘア、各種の絹などといった他のタイプの繊維とブレンドして用いることは好ましい。
MVSプロセスでは、別のタイプの繊維でできた「芯」を内部に有するいわゆるコアヤーンの外部の「鞘」の形で製造することができる。例えば、ポリアミド、ポリエステルまたはエラステインのエンドレスフィラメントの芯と、本発明の繊維の鞘と、を有する糸を製造すること、またそのようにして2種の繊維の機械特性および快適特性を組み合わせることが可能である。
本発明の繊維を含む平面テキスタイル構造もまた、本発明の主題のひとつである。本発明の平面テキスタイル構造および糸は、本発明の繊維に加えて、他の繊維を含んでもよい。平面テキスタイル構造は好ましくは織物または編物であるが、基本的に不織物であってもよい。高品質不織物の場合も同様に、規則的な長さおよび直径を有する繊維の使用は、決定的に重要であり得る。
本発明の繊維は、特に心地よい被服特性を持つ高品質できめが細かい柔らかなテキスタイル構造の生産に特によく適していることがわかっているので、単位面積あたりの質量が150g/m未満、特に115g/m未満である平面テキスタイル構造は、本発明の好ましい一実施形態を表す。これらは、セルロース系再生繊維を100%含んでもよく、1種以上の他の細繊維タイプを含んでもよい。例えば、本発明の繊維では、ローター紡績プロセスまたは空気ジェット紡績プロセスなどの高性能プロセスから得られる糸からなる単位面積あたりの質量が100g/m未満である織物シャツおよびブラウス布地を得ることが可能である。
上に挙げた理由から、ポリエステル、ポリアミドまたはポリアクリルの合成マイクロファイバー、他のセルロース系繊維(例えば綿、特にコーマ綿、ライオセル、キュプロ、リネン、ラミー、カポックなど)、動物由来の細繊維、例えばアルパカ、アンゴラ、カシミヤ、モヘアおよび各種の絹は、極めて細い糸および軽量のテキスタイルを生産するための好ましいブレンド相手である。
(実施例1)
AT287905に従って商用ラインで製造された、0.8dtexの線密度を有するセルロース系短繊維について、BISFAの規定に従って測定したところ、コンディショニングした状態で36.3cN/Texの強度および5.9cN/tex(5%伸び)のモジュラスを示した。
この繊維を100%含む、Nm100(Ne60)、Nm135(Ne80)およびNm180(Ne100)の糸を、MVS紡績機で空気ジェット技術により製造した。これらの糸は、通常のレンチング・モダール(登録商標)繊維から生産された糸よりもはるかに高度な軟らかさを示した。
さらに比較対象として、実施例1で得た本発明の繊維を公知のリング紡績プロセスおよびサイロプロセスによって、Nm180(Ne100)の細い糸に紡績した(表1)。空気ジェットプロセスによる糸は、リングプロセスによる糸および/またはサイロプロセスによる糸(これらは確かに高品質ではあるが、生産性がはるかに低いことで知られている)と類似するテナシティ(破断テナシティ)および伸び(破断伸び)を示すことが、明確に確認された。
Figure 0005693234
Nm100および/またはNm135のMVS糸から、単位面積あたり重量が100〜125g/mの範囲内である編地を製造した。これらの編地は問題なく生産することができ、優れた実用的性質を示した。
(実施例2)
さらに、AT287905に従いパイロットプラントで生産した0.65dtexの線密度を持つセルロース系短繊維について、BISFAの規定に従って測定したところ、コンディショニングされた状態で36.4cN/texのテナシティおよび6.3cN/texのモジュラス(5%伸び)を示した。この繊維で作られた糸も、従来のレンチング・モダール(登録商標)繊維で作られた糸よりはるかに高度な柔らかさを示した。

Claims (14)

  1. 0.6〜0.9dtexの単繊維線密度Tを有する高テナシティセルロース系再生繊維であって、コンディショニングされた状態でのテナシティ(B)がB(cN)≧1.3√T+2Tであり、湿潤状態における5%の伸びでの湿潤モジュラス(B)がB(cN)≧0.5×√Tであることを特徴とする高テナシティセルロース系再生繊維。
  2. 前記再生繊維が短繊維である、請求項1に記載の再生繊維。
  3. 請求項1に記載のセルロース系再生繊維を含んでいる糸。
  4. 空気紡績プロセスにより製造され、50Nm超の繊度を有する、請求項3に記載の糸。
  5. 前記セルロース系再生繊維を100%含む、請求項3又は請求項4に記載の糸。
  6. 少なくとも一種の他のタイプの細繊維をさらに含む、請求項3に記載の糸。
  7. 前記他のタイプの細繊維が、それぞれ合成マイクロファイバー、他のセルロース系繊維および動物由来の細繊維からなる群から選択される、請求項6に記載の糸。
  8. 前記合成マイクロファイバーが、ポリエステル、ポリアミドおよびポリアクリルからなる群から選択され、前記他のセルロース系繊維が、綿、コーマ綿、ライオセル、キュプロ、リネン、ラミーおよびカポックからなる群から選択され、前記動物由来の細繊維が、アルパカ、アンゴラ、カシミヤ、モヘアおよび他の絹からなる群から選択される、請求項7に記載の糸。
  9. 請求項1に記載のセルロース系再生繊維を含む平面テキスタイル構造。
  10. 表面積あたりの重量が150g/m未満である、請求項9に記載の平面テキスタイル構造。
  11. 表面積あたりの重量が115g/m未満である、請求項9に記載の平面テキスタイル構造。
  12. 前記セルロース系再生繊維を100%含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の平面テキスタイル構造。
  13. 少なくとも一種の他のタイプの細繊維を含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の平面テキスタイル構造。
  14. 前記他のタイプの細繊維が、それぞれ合成マイクロファイバー、他のセルロース系繊維および動物由来の細繊維からなる群から選択される、請求項13に記載の平面テキスタイル構造。
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