JP5615496B2 - Ang2とVEGF阻害剤の組合せ - Google Patents

Ang2とVEGF阻害剤の組合せ Download PDF

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Description

本発明は、Ang2阻害剤とVEGF阻害剤の組合せ、および、とりわけ、医薬組成物を製剤する上でおよび疾患を治療する上でのこれらの使用に関する。
ある種の疾患、例えば網膜症(糖尿病性網膜症を含む)、加齢性黄斑変性などの眼血管新生、乾癬、血管芽細胞腫、血管腫、動脈硬化症、リウマチ様またはリウマチ性炎症性疾患、特に関節炎(関節リウマチを含む)などの炎症性疾患、もしくは慢性喘息、動脈または移植後アテローム性硬化症、子宮内膜症などの他の慢性炎症性疾患、および腫瘍性疾患、例えばいわゆる固形腫瘍および液状腫瘍(白血病など)は、血管新生の調節不全に関連することが知られている。
例えば血管新生は、腫瘍の進行において極めて重要な役割を果たす。発生期および小型の腫瘍は、単純な拡散によってこれらの増殖を維持するのに十分な酸素と栄養分を得ることができる。しかしながら、直径1から2mmを超えると、拡散はさらなる増殖のために必要な量でこれらの要素を供給することができない。この大きさを超えた成長のために、すべての腫瘍は、この原因、起源、型、年齢または位置に関わらず、血管系を必要とする。そこで、直径1から2mmを超える腫瘍成長は血管新生を必要とする。従って、血管新生は、腫瘍に対する有効な一般的治療を開発するための有望な標的と見られてきた。
3つの主要な機構が、腫瘍に対する血管新生阻害剤の作用において重要な役割を果たす。脈管、特に毛細血管の無血管休止腫瘍内への成長の阻害、その結果、細胞死と増殖の間で達成される均衡のために正味の腫瘍成長が存在しない;(ii)腫瘍へのおよび腫瘍からの血流が存在しないことによる腫瘍細胞の移動の防止;および(iii)内皮細胞増殖の阻害、このため、通常は脈管を裏打ちする内皮細胞によって周辺組織に及ぼされるパラ分泌型増殖刺激作用を回避する。R.Connell and J.Beebe,Exp.Opin.Ther.Patents,11:77−114(2001)参照。
治療上有効な血管新生の阻害剤を開発するための努力は、これら3つの主要機構すべてを標的としてきた。これらの努力の結果として、種々の有望な抗血管新生薬が特定された。これらの一部は著明な阻害作用を示すが、いずれも、大部分の血管新生依存性疾患に対する単剤治療様式を提供するために全く満足のいく方法ではないことが判明した。
より有効な治療プロフィールを得るための努力は、新しい阻害剤を特定すること、公知の阻害剤を改変すること、製剤および投与を改善すること、および他の治療様式と共に阻害剤を使用することに焦点を合わせてきた。今までのところ、ある程度の進歩があったが、すべきことはまだたくさん残されている。
より有効な治療法式を開発することへの1つのアプローチは、異なる標的、好ましくは十分に分離された経路に働く標的に対して作用する薬剤を組み合わせることであった。様々な組合せが示唆されてきた。
Tie2経路は血管新生にとって重要であることが示されたので、Tie2経路阻害剤をVEGF経路阻害剤と組み合わせようとするいくつかの提案があった。Siemeister G.,et al.,Cancer Research,59:3185−3191(1999);Jendreyko,N.,et al.,Journal of Biological Chemistry,278:47812−47819(2003);Jendreyko,N.,et al.,PNAS,102:8293−8298(2005)参照。2つの経路が互いに独立して作用することのいくつかの証拠がある。しかし、これは、1つの経路に働く薬剤をその他の経路に作用する薬剤と組み合わせることが付加的な作用を及ぼすことを意味しない。実際上、おそらく最適用量で薬剤のいずれか1つ(単独で使用した)は、組み合わせて使用したときと少なくとも同程度に有効であるはずである。
本発明者らは、Tie2経路に作用する薬剤とVEGF経路に作用する薬剤の様々な組合せの治療プロフィールを検討した。本発明者らは、VEGF経路阻害剤とAng2経路阻害剤のいくつかの組合せが患者の治療において特に高い有用性を有することを認めた。
(発明の概要)
以下の番号を付した項は、本発明の態様と特徴の一部を例示する、本発明のいくつかの説明的実施形態を述べている。これらは本発明の態様と実施形態を説明する上で網羅的ではなく、従っていかなる意味においても本発明を限定するものではない。本発明の多くの他の態様、特徴および実施形態をここで述べる。多くの他の態様および実施形態は、本出願を読み、当分野における先行技術と知識に照らして本明細書を十分に考慮すれば、当業者には容易に明白である。
以下の番号を付した項は自己言及的である。「前記または下記のいずれかに従って」という語句は、前記および下記の番号を付した項およびこれらの内容のすべてを指す。同様に、「前記のいずれかに従って」という語句は、すべての前記の番号を付した項およびこれらの内容を指す。「下記のいずれかに従って」という語句は、下記の番号を付した項のすべてを指す。「No.に従って」という形態のすべての語句は、番号を付した項の直接の参照であり、例えば「46に従って」は、番号を付した項のこの収集において項46に従うことを意味する。すべての相互参照は、範囲の冗長性および不一致を除き、連結的である。相互参照は、主題の互いの様々な組合せの包含を示す簡潔な説明を与えるために明白に使用される。
A.組成物
A1.1以上のAng2阻害剤またはこの塩および1以上のVEGF阻害剤またはこの塩を含む組成物。
A2.Ang2阻害剤の1以上が、
I.Ang2に特異的に結合するペプチボディ(peptibodies)を含むが、これらに限定されない、Ang2に特異的に結合する非天然に生じるポリペプチド;
II.1以上の異種CDRを含む、Ang2に結合する非天然に生じる抗体;または
III.(a)Ang2に特異的に結合する可溶性受容体フラグメント、および(b)抗体のFc領域またはこの部分を含む、非天然に生じるポリペプチド
から成る、A1に従った組成物。
A3.VEGF阻害剤の1以上が、
IV.その全体、特にVEGF阻害剤を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2003/0125339またはUS6995162に述べられている化合物;
V.各々その全体、特にVEGF阻害剤を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2003/0125339またはUS2003/0225106またはUS6995162またはUS6878714に述べられている置換アルキルアミン誘導体;
VI.VEGFに結合する、非天然に生じるヒト化モノクローナル抗体;
VII.その全体、特に先のVEGF阻害剤を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、WO00/42012、WO00/41698、US2005/0038080A1、US2003/0125359A1、US2002/0165394A1、US2001/003447A1、US2001/0016659A1およびUS2002/013774A1に述べられている置換ω−カルボキシアリールジフェニル尿素またはこの誘導体;
VIII.タンパク質キナーゼドメインへの結合およびVEGFR1およびVEGFR2の阻害を含む、多数の受容体チロシンキナーゼに結合してこの活性を阻害するアニリノフタラジンまたはこの誘導体;
IX.(5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロインドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸[2−ジエチルアミノエチル]アミド)またはVEGF阻害剤であるこの誘導体;または
X.その全体、特に先のVEGF阻害剤を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2006/0241115に述べられている、特にこの中の式IVのVEGF阻害剤を含む、VEGF阻害剤
から成る、A1に従った組成物。
A4.Ang2阻害剤の1以上が、
I.Ang2に特異的に結合するペプチボディを含むが、これらに限定されない、Ang2に特異的に結合する、非天然に生じるポリペプチド;
II.1以上の異種CDRを含む、Ang2に結合する非天然に生じる抗体;または
III.(a)Ang2に特異的に結合する可溶性受容体フラグメント、および(b)抗体のFc領域またはこの部分を含む、非天然に生じるポリペプチド
から成り、およびVEGF阻害剤の1以上が、
IV.その全体、特にVEGF阻害剤を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2003/0125339またはUS6995162に述べられている化合物;
V.各々その全体、特にVEGF阻害剤を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2003/0125339またはUS2003/0225106またはUS6995162またはUS6878714に述べられている置換アルキルアミン誘導体;
VI.VEGFに結合する、非天然に生じるヒト化モノクローナル抗体;
VII.その全体、特に先のVEGF阻害剤を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、WO00/42012、WO00/41698、US2005/0038080A1、US2003/0125359A1、US2002/0165394A1、US2001/003447A1、US2001/0016659A1およびUS2002/013774A1に述べられている置換ω−カルボキシアリールジフェニル尿素またはこの誘導体;
VIII.タンパク質キナーゼドメインへの結合およびVEGFR1およびVEGFR2の阻害を含む、多数の受容体チロシンキナーゼに結合してこの活性を阻害するアニリノフタラジンまたはこの誘導体;
IX.(5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロインドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸[2−ジエチルアミノエチル]アミド)またはVEGF阻害剤であるこの誘導体;または
X.特にこの中の式IVのVEGF阻害剤を含む、US2006/0241115に述べられているVEGF阻害剤
から成る、A1に従った組成物。
A5.Ang2阻害剤の1以上が、
I.特にこれらのAng2阻害剤に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO2004/092215A2またはWO03/05134A2に述べられている、Ang2に特異的に結合する非天然に生じるペプチドまたはペプチボディ;
II.Ang2に結合し、および特にこれらのAng2阻害剤に関して各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO03/030833A2および米国出願第10/982,440号に述べられている、1以上の異種CDRを含む、非天然に生じる抗体;または
III.特にこれらのAng2阻害剤に関して各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO00/75323A1に述べられている、FNIIIモチーフを含む領域の少なくとも一部を欠く可溶性Tie2/Tek受容体フラグメントを含む非天然に生じるポリペプチドまたはUS6,166,185に述べられている関連ポリペプチド
から成る、前記のいずれかに従った組成物。
A6.VEGF阻害剤の1以上が、
IV.その全体、特に4TBPPAPCおよび密接に関連するVEGF阻害剤を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2003/0125339またはUS6995162に述べられている4TBPPAPCまたは密接に関連する化合物;
V.各々その全体、特にAMG706およびこれらの密接に関連するVEGF阻害剤を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2003/0125339またはUS2003/0225106またはUS6995162またはUS6878714に述べられているAMG706または密接に関連する置換アルキルアミン誘導体;
VI.Avastin(商標)、またはVEGFに結合し、VEGF阻害剤であり、および配列がAvastin(商標)に少なくとも90%同一である、密接に関連する非天然に生じるヒト化モノクローナル抗体;
VII.その全体、特にこれらのVEGF阻害剤を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、WO00/42012、WO00/41698、US2005/0038080A1、US2003/0125359A1、US2002/0165394A1、US2001/003447A1、US2001/0016659A1およびUS2002/013774A1に述べられている、Nexavar(登録商標)または密接に関連する置換ω−カルボキシアリールジフェニル尿素またはこの誘導体;
VIII.PTK/ZK、またはタンパク質キナーゼドメインへの結合およびVEGFR1およびVEGFR2の阻害を含む、多数の受容体チロシンキナーゼに結合してこの活性を阻害する、密接に関連するアニリノフタラジンまたはこの誘導体;
IX.Sutent(登録商標)、またはVEGF阻害剤である(5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロインドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸[2−ジエチルアミノエチル]アミド)の密接に関連する誘導体;または
X.US2006/0241115に述べられている式IVのVEGF阻害剤
から成る、A1に従った組成物。
A7.Ang2阻害剤の1以上が、
I.特にこれらのAng2阻害剤に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO2004/092215A2またはWO03/05134A2に述べられている、Ang2に特異的に結合する非天然に生じるペプチドまたはペプチボディ;
II.Ang2に結合し、および特にこれらのAng2阻害剤に関して各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO03/030833A2および米国出願第10/982,440号に述べられている、1以上の異種CDRを含む、非天然に生じる抗体;または
III.特にこれらのAng2阻害剤に関して各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO00/75323A1に述べられている、FNIIIモチーフを含む領域の少なくとも一部を欠く可溶性Tie2/Tek受容体フラグメントを含む非天然に生じるポリペプチドまたはUS6,166,185に述べられている関連ポリペプチド
から成り、およびVEGF阻害剤の1以上が、
IV.その全体、特に4TBPPAPCおよび密接に関連するVEGF阻害剤を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2003/0125339またはUS6995162に述べられている4TBPPAPCまたは密接に関連する化合物;
V.各々その全体、特にAMG706およびこれらの密接に関連するVEGF阻害剤を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2003/0125339またはUS2003/0225106またはUS6995162またはUS6878714に述べられているAMG706または密接に関連する置換アルキルアミン誘導体;
VI.Avastin(商標)、またはVEGFに結合し、VEGF阻害剤であり、および配列がAvastin(商標)に少なくとも90%同一である、密接に関連する非天然に生じるヒト化モノクローナル抗体;
VII.その全体、特にこれらのVEGF阻害剤を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、WO00/42012、WO00/41698、US2005/0038080A1、US2003/0125359A1、US2002/0165394A1、US2001/003447A1、US2001/0016659A1およびUS2002/013774A1に述べられている、Nexavar(登録商標)または密接に関連する置換ω−カルボキシアリールジフェニル尿素またはこの誘導体;
VIII.PTK/ZK、またはタンパク質キナーゼドメインへの結合およびVEGFR1およびVEGFR2の阻害を含む、多数の受容体チロシンキナーゼに結合してこの活性を阻害する、密接に関連するアニリノフタラジンまたはこの誘導体;
IX.Sutent(登録商標)、またはVEGF阻害剤である(5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロインドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸[2−ジエチルアミノエチル]アミド)の密接に関連する誘導体;または
X.US2006/0241115に述べられている式IVのVEGF阻害剤
から成る、前記のいずれかに従った組成物。
A8.Ang2阻害剤の1以上が、
I.特に2×Con4(C)に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO2004/092215A2またはWO03/05134A2に述べられている2×Con4(C);
II.特にAb536に関して各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO03/030833A2および米国出願第10/982,440号に述べられているAb536;
III.特にTek472/Fcに関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO00/75323A1に述べられているTek472/Fc
から成る、前記のいずれかに従った組成物。
A9.VEGF阻害剤の1以上が、
IV.その全体、特に4TBPPAPCを開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2003/0125339またはUS6995162に述べられている4TBPPAPC;
V.その全体、特にAMG706を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2003/0125339またはUS6995162またはUS6878714に述べられているAMG706;
VI.Avastin(商標);
VII.その全体、特にNexavar(登録商標)を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、WO00/42012、WO00/41698、US2005/0038080A1、US2003/0125359A1、US2002/0165394A1、US2001/003447A1、US2001/0016659A1およびUS2002/013774A1に述べられているNexavar(登録商標);
VIII.PTK/ZK;
IX.Sutent(登録商標);または
X.US2006/0241115に述べられている式IVのVEGF阻害剤
から成る、A1従った組成物。
A10.Ang2阻害剤の1以上が、
I.特に2×Con4(C)に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO2004/092215A2またはWO03/05134A2に述べられている2×Con4(C);
II.特にAb536に関して各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO03/030833A2および米国出願第10/982,440号に述べられているAb536;または
III.特にTek472/Fcに関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO00/75323A1に述べられているTek472/Fc
から成り、およびVEGF阻害剤の1以上が、
IV.その全体、特に4TBPPAPCを開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2003/0125339またはUS6995162に述べられている4TBPPAPC;
V.その全体、特にAMG706を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2003/0125339またはUS6995162またはUS6878714に述べられているAMG706;
VI.Avastin(商標);
VII.その全体、特にNexavar(登録商標)を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、WO00/42012、WO00/41698、US2005/0038080A1、US2003/0125359A1、US2002/0165394A1、US2001/003447A1、US2001/0016659A1およびUS2002/013774A1に述べられているNexavar(登録商標);
VIII.PTK/ZK;
IX.Sutent(登録商標);または
X.US2006/0241115に述べられている式IVのVEGF阻害剤
から成る、前記のいずれかに従った組成物。
A11.前記のいずれかに従った医薬的に許容される組成物。
A12.治療上の使用のために許容して製剤される、前記のいずれかに従った組成物。
A13.治療上の使用がヒト患者の治療においてである、前記のいずれかに従った組成物。
A14.医薬的に許容される担体をさらに含む、前記のいずれかに従った医薬組成物。
B.キット
B1.前記のいずれかに従った1以上のAng2阻害剤および1以上のVEGF阻害剤を別々にまたは混合して、1以上の容器内に含むキット。
B2.阻害剤が医薬的に許容される製剤中に含まれる、B1に従ったキット。
B3.2×Con4(C)およびAMG706を含む、B2に従ったキット。
B4.阻害剤が別々の容器内に配置されている、B2に従ったキット。
B5.内容物またはキットおよび阻害剤の使用に関する情報を、キットに一体化してもしくは1以上の別途の文書としてさらに含む、前記のいずれかに従ったキット。
B6.組成物が希釈剤への再溶解用に製剤される、前記のいずれかに従ったキット。
B7.滅菌希釈剤の容器をさらに含む、前記のいずれかに従ったキット。
B8.前記組成物が、隔壁によって密閉された部分的真空下でバイアル中に配置され、および非経口投与のために有効な製剤を形成するための再溶解に適する、前記のいずれかに従ったキット。
C.治療方法
C1.(a)Ang2阻害剤、および(b)VEGF阻害剤の有効量を有効な経路によって被験者に投与することを含む、被験者を治療するための方法。
C2.(a)Ang2阻害剤、および(b)VEGF阻害剤の有効量を有効な経路によって被験者に投与することを含む、哺乳動物において望ましくない血管新生を阻害する方法。
C3.(a)Ang2阻害剤、および(b)VEGF阻害剤の有効量を有効な経路によって被験者に投与することを含む、哺乳動物において癌を治療する方法。
C4.Ang2阻害剤が、A2 I、IIまたはIIIにおいて上記に示すAng2阻害剤の1以上である、前記のいずれかに従った方法。
C5.VEGF阻害剤が、A3 IV、V、VI、VII、VIII、IXまたはXにおいて上記に示すVEGF阻害剤の1以上である、前記のいずれかに従った方法。
C6.Ang2阻害剤が、A2 I、IIまたはIIIにおいて上記に示すAng2阻害剤の1以上であり、およびVEGF阻害剤が、A3 IV、V、VI、VII、VIII、IXまたはXにおいて上記に示すVEGF阻害剤の1以上である、前記のいずれかに従った方法。
C7.Ang2阻害剤が、A5 I、IIまたはIIIにおいて上記に示すAng2阻害剤の1以上である、前記のいずれかに従った方法。
C8.VEGF阻害剤が、A6 IV、V、VI、VII、VIII、IXまたはXにおいて上記に示すVEGF阻害剤の1以上である、前記のいずれかに従った方法。
C9.Ang2阻害剤が、A5 I、IIまたはIIIにおいて上記に示すAng2阻害剤の1以上であり、およびVEGF阻害剤が、A6 IV、V、VI、VII、VIII、IXまたはXにおいて上記に示すVEGF阻害剤の1以上である、前記のいずれかに従った方法。
C10.Ang2阻害剤が、A8 I、IIまたはIIIにおいて上記に示すAng2阻害剤の1以上である、前記のいずれかに従った方法。
C11.VEGF阻害剤が、A9 IV、V、VI、VII、VIII、IXまたはXにおいて上記に示すVEGF阻害剤の1以上である、前記のいずれかに従った方法。
C12.Ang2阻害剤が、A8 I、IIまたはIIIにおいて上記に示すAng2阻害剤の1以上であり、およびVEGF阻害剤が、A9 IV、V、VI、VII、VIII、IXまたはXにおいて上記に示すVEGF阻害剤の1以上である、前記のいずれかに従った方法。
C13.被験者がヒト患者である、前記のいずれかに従った方法。
C14.阻害剤を連続的に投与する、前記のいずれかに従った方法。
C15.阻害剤を一緒に投与する、前記のいずれかに従った方法。
C16.治療期間中少なくとも1回、1以上のAng2阻害剤を1以上のVEGF阻害剤と同時に投与し、および同じかまたは他のAng2およびVEGF阻害剤を別々に異なる時点で投与する、前記のいずれかに従った方法。
定義
ここで使用する一部の用語および語句の意味説明を以下に述べる。
「2×Con4(C)」は、各々その全体、特に2×Con4(C)、この構造と性質、これを作製し使用するための方法、および他の関連化合物に関する部分が参照により本明細書に組み込まれる、WO03/057134A2およびWO2004/092215A2に述べられている、Ang2選択的ペプチボディである。2×Con4(C)は、ヒトFcフラグメントとAng2特異的結合ペプチドの2コピーの融合物である。2×Con4(C)はまた、2×Con4(C)1Kとも称される。2×Con4(C)についての他の名称としては、前記WIPO公開に述べられているものがある。
「4TBPPAPC」は、Kit、PDGRおよびVEGFシグナル伝達経路に干渉するマルチキナーゼ阻害剤である。この名称は、その全体、特に4TBPPAPC、この構造と性質、これを作製し使用するための方法、および他の関連化合物に関する部分が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第2003/0125339号に述べられている、N−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−2−((4−ピリジニルメチル)アミノ−3−ピリジンカルボキサミドである。4TBPPAPCはまた、N−[4−(tert−ブチル)フェニル]{2−[(4−ピリジルメチル−1)アミノ](3−ピリジル)}カルボキサミドとも称される。
「a」または「an」は、ここでは1または1より多い、少なくとも1を意味する。複数形態をここで使用する場合、一般に単数を含む。「化合物」という用語は、1つの化合物ならびに多くの化合物を含む。「塩」という用語は、1つの塩、ならびに多くの塩を含む。
「Ab536」は、各々その全体、特にAb536、この構造と性質、これを作製し使用するための方法、および他の関連抗体に関する部分が参照により本明細書に組み込まれる、WO03/030833および米国出願第10/982,440号に述べられている、536HC重鎖および536κ軽鎖を含むヒトAng2特異的抗体である。Ab536および関連抗体等はまた、その全体、特にAb536および関連ペプチドおよびタンパク質、これらの構造と性質、これらを作製し使用するための方法に関する部分が参照により本明細書に組み込まれる、WO04/092215に述べられている。
「Ang」は、アンギオポエチンについての命名である。
「Ang2」は、アンギオポエチン2についての命名である。
ここで使用する「Ang2阻害剤」は、所与の状況でAng2の有効活性を低下させる何らかの物質である。Ang2阻害剤は、少しだけ例を挙げると、低分子、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質であり得、例えばより詳細には、抗Ang2抗体、細胞内抗体、マキシボディ、ミニボディ、ダイアボディ、ペプチボディなどのFc融合タンパク質、レセプティボディ、可溶性Tie−2受容体タンパク質およびフラグメント、および様々な他のものを含む、抗体を含む。多くのAng2阻害剤は、Ang2に結合することによって働く。その他は、Ang2に結合するまたはAng2によって結合される因子に結合することによって働く。他のAng2阻害剤はより間接的に、例えばAng2によって生じるシグナル伝達を制御するリン酸化などの調節性翻訳後修飾を変化させることによってまたはAng2と他の因子の相互作用を変化させることによって作用する。本発明に従ったAng2阻害剤はまた、Ang2活性を低下させるためにより間接的な方法で作用し得る。どのような機構であっても、ここで使用されるとき、Ang2阻害剤は、阻害剤の不在下での同じ状況におけるものに比べて、所与の状況においてAng2の有効活性を低下させる。
「Avastin(商標)」は、直接VEGFに結合する組換えヒト化モノクローナル抗体であり、Genentechによって市販されている。Avastin(商標)はまた、ベバシズマブ、R−435、rhuMAB−VEGFおよびCAS登録番号216974−75−3とも称される。
「BAY 43−9006」−Nexavar(登録商標)参照。
「癌」および「癌性」は、典型的には調節不能の細胞増殖によって特徴づけられる哺乳動物における生理的状態を指すまたは表わす。癌の例は、癌腫、リンパ腫、肉腫、芽細胞腫および白血病を含むが、これらに限定されない。このような癌のより詳細な例は、扁平上皮癌、肺癌、膵癌、子宮頸癌、膀胱癌、肝細胞癌、乳癌、結腸癌および頭頸部癌を含む。
「同時投与する」は、2以上の薬剤の同時または連続投与を含む、互いに併用して、一緒に、強調的に投与することを意味する。
「含む(comprising)」は、他の限定を伴わずに、指示対象を含むこと、必然的に、ほかに何か含まれ得るものへのいかなる留保または排除も伴わないことを意味する。例えば「xおよびyを含む組成物」は、いかなる他の成分が組成物中に存在し得るとしても、xとyを含むいかなる組成物も包含する。同様に、「xの工程を含む方法」は、どれほど多くの他の工程が存在し得るとしてもおよびxがこれらと比較してどれほど単純または複雑であるとしても、xがこの方法における唯一の工程であるかどうかまたは工程の1つにすぎないかどうかに関わらず、xが実施されるいかなる方法も包含する。「から成る(comprised of)」および語根の「含む」という語を使用する同様の語句は、ここでは「含む」の同義語として使用され、同じ意味を有する。
「から成る(comprised of)」は、含む、の同義語である(上記参照)。
「有害な(deleterious)」は、ここで使用するとき、有害であること(harmful)を意味する。例として、「有害な」過程は、例えば疾患過程の有害な作用および治療の有害な副作用を含む。
「機能不全]は、ここで使用するとき、障害、疾患、またはさもなければ正常な過程の有害な作用を意味する。
「有効量」は、一般に所望局所または全身作用を提供する量を意味する。例えば有効量は、有益なまたは所望臨床結果を生じさせるのに十分な量である。有効量は、単回投与で一度にまたは数回の投与で有効量を提供する分割量で全て提供され得る。有効量とみなされる量の正確な決定は、各々の患者の大きさ、年齢、損傷、および/または治療される疾患または損傷、損傷が起こってからまたは疾患が始まってからの時間量を含む、各患者に個別の因子に基づき得る。当業者は、当分野において常套的であるこれらの考慮事項に基づき所与の被験者についての有効量を決定することができる。ここで使用する「有効用量」は「有効量」と同じ意味を有する。
「有効経路」は、一般に所望区画、系または位置への薬剤の送達を提供する経路を意味する。例えば、有効経路は、薬剤が、これを通して、所望作用部位で有益なまたは所望臨床結果を生じさせるのに十分な薬剤の量を提供するために投与され得る経路である。
「FBS」は、ウシ胎仔血清を意味する。
「キット」は、所与の目的のために一緒に使用される品目の収集物、特に本開示に関しては、例えば2×Con4(C)と、AMG706および4TBPPAPCの1つまたは両方を含む、併用療法のために互いに一緒に使用されるひとまとめの(または1より多い包装の)品目のセットを意味する。
「様式」は、治療様式、すなわち治療の類型などの類型、アプローチ、手段、または方法を意味する。
「AMG706」は、その全体、特にAMG706、この構造と性質、これを作製し使用するための方法、および他の関連化合物に関する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2003/0125339に述べられている、Kit、PDGFおよびVEGFシグナル伝達経路に干渉するマルチキナーゼ阻害剤である。この化学名は、N−(2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−1H−インドール−6−イル)−2−[(4−ピリジニルメチル)アミノ]−3−ピリジンカルボキサミド(I)である。ここで使用するときAMG706という用語は、ここで特に定められている場合を除き、医薬的に許容される塩、特に二リン酸塩を含む。AMG706はまた、モテサニブ二リン酸としても知られる。
「Nexavar(登録商標)」(とりわけ、BAY 43−9006、ソラフェニブトシレート、CAS登録番号284461−73−0、rafキナーゼ阻害剤、ソラフェニブ類似体、およびIDDBCP150446としても知られる)は、各々その全体、特にNexavar(登録商標)、この構造と性質、これを作製し使用するための方法、および他の関連分子に関する部分が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第2003/0125359A1号、WO03/047523A2、およびWilhelm et al.,Current Pharmaceutical Design,vol.8,pp.2255−2257(2002)に述べられているように、RAF−1活性化を阻害し、およびこれによってMEK−1およびERK−1のRAF−1依存性リン酸化を低下させる置換ωカルボキシジフェニル尿素である。この化学名は、4−(4−{3−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレイド}フェノキシ)−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドである。様々な誘導体が生産されている。これらの中には、その全体が、特にこれらや他の医薬的に活性なジフェニル尿素化合物に関して、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第2005/0038080A1号およびWO2005/009961 A2に述べられているフッ素化誘導体がある。
「最適用量」は、特定状況下でおよびこの投与の目的のために最良の結果を与える特定用量または用量範囲を意味する。
「PBS」は、リン酸緩衝食塩水を意味する。
「ペプチボディ」は、少なくとも1個のペプチドに結合された抗体Fcドメインを含む分子を指す。ペプチボディの作製は、一般に、その全体が、特にペプチボディの構造、合成、性質および使用に関して、および特にAng2阻害剤とVEGF阻害剤に関する前記のものに関して、参照により本明細書に組み込まれる、2000年5月4日公開のPCT公開番号WO00/24782に述べられている。
「医薬的に許容される誘導体」は、本発明の化合物の塩、エステル、代謝産物または残基などの本発明の化合物の何らかの医薬的に許容される誘導体である。
バタラニブとしても知られる、「PTK/ZK」は、腫瘍血管新生およびリンパ管新生をブロックすると言われるマルチVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤である。この化学名は、N−(4−クロロフェニル)−4−(ピリジン−4−イルメチル)フタラジン−1−アミンである。CAS登録番号212141−54−3および212142−18−2、PTK787、PTK787/ZK、PTK−787/ZK−222584、PTK787/ZK222584、ZK−22584、VEGF−TKI、VEGF−RKI、PTK−787A、DE−00268、CGP−79787、CGP−79787D、バタラニブ、およびZK−222584としても知られる。その全体が、特にPTK/ZKおよび関連化合物の構造、合成、性質および使用に関して、参照により本明細書に組み込まれる、Thomas,A.,et al.,J.of Clin.Oncology,23(18):4162−4171(2005);米国特許出願第20050118600A1号参照。
「SEM」は、平均値の標準誤差を意味する。
「被験者」は、ヒトなどの哺乳動物のような脊椎動物を意味する。哺乳動物は、ヒト、家畜、競技動物(sport animal)および愛玩動物を含むが、これらに限定されない。本発明の方法および/または組成物による治療を必要とする被験者は、障害、機能不全または疾患に罹患している、もしくはこれらの副作用、もしくはこれらの治療の副作用を患う被験者を含む。
「Sutent(登録商標)」は、化学名(5−[5−フルオロ−2−オキソ−l,2−ジヒドロインドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸[2−ジエチルアミノエチル]アミド)を有する低分子受容体チロシンキナーゼ阻害剤である。Sutent(登録商標)はまた、スニチニブリンゴ酸塩、SU11248、SU−11248、SU−011248およびSU−11248Jとしても知られ、抗血管新生および抗腫瘍活性を有すると報告されている。その全体が、特にSutent(登録商標)および関連化合物の構造、合成、性質および使用に関して、参照により本明細書に組み込まれる、Mendel,D.,et al.,Clinical Cancer Research,9:327−337(2003);Schlessinger,J.,The Scientist,19(7):17(2005)参照。
「Tek472/Fc」は、その全体、特にTek472/Fc、この構造と性質、これを作製し使用するための方法、および他の関連融合ポリペプチドに関する部分が参照により本明細書に組み込まれる、WO00/75323A1に述べられている、ヒトIgG1のFc領域の232アミノ酸部分へのTekのN末端472アミノ酸の融合物である。N末端Tekフラグメントは、フィブロネクチンIII型モチーフを欠く可溶性Tekペプチドを構成する。これは、完全長細胞外ドメインを含む他のTekポリペプチドよりもはるかに高いTekリガンドへの親和性を有する。
「治療上有効な」は、一般に、薬剤の量を、疾患の重症度の改善を達成する量を包含するとみなすために使用される。例えば有効な新生物治療薬は、患者の生存性を延長し、新生物に関連する急速増殖性細胞成長を阻害する、または新生物の後退を生じさせる。ここで使用するこの用語の意味の範囲内の治療上有効な治療は、疾患の結果自体を改善しない場合でも、被験者の生活の質を改善する治療を含む。
「治療する」、「治療すること」または「治療」は、本発明に関して広く使用され、各々のこのような用語は、とりわけ、治療に干渉するおよび/または治療から生じるものを含む、欠損、機能不全、疾患または他の有害過程を予防する、改善する、抑制するまたは治癒することを包含する。
ここで使用する「VEGF阻害剤」は、VEGF−VEGFR経路によるシグナル伝達を低下させる何らかの物質である。VEGF阻害剤は、いくつか例を挙げると、低分子、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、例えばより詳細には、抗VEGF抗体、抗VEGFR抗体、細胞内抗体、マキシボディ、ミニボディ、ダイアボディ、ペプチボディなどのFc融合タンパク質、レセプティボディ、可溶性VEGF受容体タンパク質およびフラグメント、および様々な他のものを含む、抗体を含む。多くのVEGF阻害剤は、VEGFに結合するまたはVEGF受容体に結合することによって働く。その他は、VEGFまたはVEGF受容体またはVEGFシグナル伝達経路の他の成分に結合する因子に結合することによってより間接的に働く。さらに他のVEGF阻害剤は、VEGF経路のシグナル伝達を調節する調節性翻訳後修飾を変化させることによって作用する。本発明に従ったVEGF阻害剤はまた、より間接的な機構を通して作用し得る。どのような機構であっても、ここで使用されるとき、VEGF阻害剤は、阻害剤の不在下での同じ状況におけるものに比べて、所与の状況においてVEGFシグナル伝達経路の有効活性を低下させる。
(発明の詳細)
本発明者らは、VEGF阻害剤とAng2阻害剤の様々な組合せの治療プロフィールを検討した。本発明者らは、本発明の一定の好ましい態様および実施形態に従って、阻害剤を組み合わせることが一方または他方単独の使用に比べて利益を提供し得ることを認めた。本発明のこれらや他の態様への緒言として、VEGF経路およびAng2経路の簡単な総説を以下に述べる。
VEGF経路
胚発生および正常な成長両方の間、および極めて多くの病的異常および疾患において、血管系とこの成分の成長と分化を調節するネットワークにおける中心経路は、血管内皮増殖因子(「VEGF」)(最初は血管透過因子またはVPFと呼ばれた)およびVEGFの細胞受容体(「VEGFR」)によって媒介される。(G.Breier et al.,Trends in Cell Biology,6:454−456(1996)参照)。従ってこの経路は、試験の焦点および薬剤の開発のための標的となってきた。
VEGFは、血小板由来増殖因子(「PDGF」)に関連する二量体ジスルフィド結合46kDa糖タンパク質である。正常細胞系および腫瘍細胞系によって生産され、内皮細胞選択的マイトジェンであり、インビボ試験系(例えばウサギ角膜)において血管新生活性を示し、内皮細胞および単球に関して走化性であり、および毛細血管の形成の間細胞外マトリックスのタンパク質分解に関与する、内皮細胞内のプラスミノーゲン活性化因子を誘導する。VEGFの多くのアイソフォームが公知であり、これらは比較し得る生物活性を示すが、これらを分泌する細胞型およびこれらのヘパリン結合能力において異なる。加えて、胎盤成長因子(「PGF」)およびVEGF−CなどのVEGFファミリーの他の成員が存在する。
VEGFの細胞受容体(VEGFR)は、膜貫通受容体チロシンキナーゼである。これらは、7つの免疫グロブリン様ドメインを有する細胞外ドメインと1つの細胞内チロシンキナーゼドメインによって特徴づけられる。VEGFR−1(flt−1としても知られる)、VEGFR−2(KDRとしても知られる)およびVEGFR−3を含む、VEGF受容体の様々な型が特性決定されている。
多くのヒト腫瘍、特に神経膠腫および癌腫はVEGFおよびVEGFRの高レベルを発現する。これは、腫瘍細胞によって放出されるVEGFが、毛細血管の成長と腫瘍内皮の増殖をパラ分泌的に刺激し、および改善された血液供給を通して、腫瘍増殖を促進するという仮説を導いた。高いVEGF発現は、神経膠腫を有する患者における脳水腫の発生を説明し得る。
インビボでの腫瘍血管新生因子としてのVEGFの役割の直接の証拠が、VEGFの発現または活性を阻害する試験において認められた。これは、抗VEGF抗体、シグナル伝達を阻害するドミナントネガティブVEGFR−2突然変異体、およびアンチセンスVEGF RNAで達成された。すべてのアプローチが、腫瘍血管新生が阻害された結果としてインビボで神経膠腫細胞系または他の腫瘍細胞系の増殖の低下を導いた。
VEGFは、血管透過性亢進と水腫の形成に寄与する。実際に、多くの他の増殖因子の発現または投与に関連する血管透過性亢進および水腫は、VEGF産生によって媒介されると思われる。
炎症性サイトカインはVEGF産生を刺激する。低酸素症は、数多くの組織においてVEGFの著明な上方調節を生じさせる。従って、梗塞、閉鎖、虚血、貧血または循環障害を含む状況は、典型的にはVEGF/VPF媒介性応答を惹起する。血管透過性亢進、関連水腫、経内皮交換の変化(altered transendothelial exchange)、および、しばしば血管外遊出を伴う高分子漏出は、過度の基質沈着、間質増殖異常、線維症等を生じさせ得る。従って、VEGF媒介性透過性亢進は、これらの病因特徴を有する疾患に有意に寄与し得る。従って、血管新生のこれらの調節因子は重要な治療標的となってきた。Hicklin and Ellis,J.Clin Oncology,23:1011−1027(2005)参照。
Tie2/TEK経路
Tie2受容体チロシンキナーゼ(「Tie2」、「Tie2R」、「ORK」、「Tie2/Tek」および「マウスTek」とも称される)およびこのリガンド(アンギオポエチン)も、血管新生の調節経路における極めて重要なシグナル伝達成分であることが公知である(Gale,N.W.and Yancopoulos,G.D.,Genes Dev.13:1055−1066(1999))。4つの公知のアンギオポエチン、アンギオポエチン−1(「Ang1」)からアンギオポエチン−4(「Ang4」)までがあり、これらはまた「Tie2リガンド」とも称される(Davis,S.,et al.,Cell,87:1161−1169(1996);Grosios,K.,et al.,Cytogenet Cell Genet,84:118−120(1999);Holash,J.,et al.,Investigative Ophthalmology & Visual Science,42:1617−1625(1999);Koblizek,T.I.,et al.,Current Biology,8:529−532(1998);Lin,P.,et al.,Proc Natl Acad Sci USA,95:8829−8834(1998);Maisonpierre,P.C,et al.,Science,277:55 60(1997);Papapetropoulos,A.,et al.,Lab Invest,79:213−223(1999);Sato,T.N.,et al.,Nature,375:70−74(1998);Shyu,K.G.,et al.,Circulation,98:2081−2087(1998);Suri,C.,et al.,Cell,87:1171−1180(1996);Suri,C.,et al.,Science,282:468−471(1998);Valenzuela,D.M.,et al.,Proc Natl to Acad Sci USA,96:1904−1909(1999);Witzenbichler,B.,et al.,J Biol Chem,273:18514−18521(1998))。Ang1のTie2への結合は、培養内皮細胞において受容体リン酸化を刺激することが示された。Ang2は、Tie2受容体リン酸化のアゴニストおよびアンタゴニストの両方であることが示された(Davis,S.,et al.,(1996),上記;Maisonpierre,P.C.,et al.,(1997),上記;Kim,I.,J.H.Kim,et al.,Oncogene 19(39):4549−4552(2000))。
マウスTie2とAng1のノックアウトの表現型は類似しており、Ang1が刺激するTie2リン酸化は、内皮細胞−支持細胞接着の維持を通して子宮において発生中の脈管のリモデリングと安定化を媒介することを示唆する(Dumont,D.J.,et al.,Genes & Development,8:1897 1909(1994);Sato,T.N.,et al.,Nature,376:70−74(1995);Suri,C.,et al.,(1996),上記)。脈管安定化におけるAng1の役割は成体において保存されていると考えられ、成体では広くおよび構成的に発現される(Hanahan,D.,Science,277:48−50(1997);Zagzag,D.,et al.,Experimental Neurology,159:391−400(1999))。これに対し、Ang2発現は主として血管リモデリングの部位に限定され、そこではAng1の機能はブロックされ、これによって血管新生を導く血管形成性状態を誘導すると思われる(Hanahan,D.,(1997),上記;Holash,J.,et al.,Science,284:1994−1998(1999);Maisonpierre,P.C.,et al.,(1997),上記)。
様々な公表文献が、関連血管新生成分を有する疾患状態での脈管におけるAng2の選択的発現を報告している。Ang2は、これに関して、例えば乾癬、黄斑変性および癌において報告されている(Bunone,G.,et al.,American Journal of Pathology,155:1967−1976(1999);Etch,T.,et al.,Cancer Research,61:2145−2153(2001);Hangai,M.,et al.,Investigative Ophthalmology & Visual Science,42:1617−1625(2001);Holash,J.,et al.,(1999)上記;Kuroda,K.,et al.,Journal of Investigative Dermatology,116:713−720(2001);Otani,A.,et al.,Investigative Ophthalmology & Visual Science,40:1912−1920(1999);Stratmann,A.,et al.,American Journal of Pathology,153:1459−1466(1998);Tanaka,S.,et al.,J Clin Invest,103:34−345(1999);Yoshida,Y.,et al.,International Journal of Oncology,15:1221−1225 15(1999);Yuan,K.,et al.,Journal of Periodontal Research,35:165−171(2000);Zagzag,D.,et al.,(1999)上記)。これらの試験の大部分は新生物を対象としており、つまり、これらは多種多様な腫瘍型における血管Ang2発現を立証している。
病的血管新生におけるこの発現とは対照的に、正常組織でのAng2発現は極めて限られている(Maisonpierre,P.C.,et al.,(1997),上記;Mezquita,J.,et al.,Biochemical and Biophysical Research Communications,260:492−498(1999))。実際に、正常成体における血管新生の3つの主要部位は、卵巣、胎盤および子宮であり、これらは、Ang2 mRNAが非腫瘍性成体組織において優勢に検出された3つの部位である。
機能試験は、Ang2が腫瘍関連血管新生における因子であることのさらなる証拠を提供する。Ahmadら(Cancer Res.,61:1255−1259(2001))は、マウス異種移植片モデルにおけるAng2の過剰発現が腫瘍増殖を増大させると報告した。Etohら、上記およびTanakaら、上記は、同様にAng2の過剰発現が腫瘍の血管分布過多を生じさせることを報告した。これに対し、Yuら(Am.J.Path.,158:563−570(2001))は、ルイス肺癌およびTA3乳癌細胞におけるAng2の過剰発現が、対応するトランスフェクタントを注射したマウスの生存を延長させることを報告した。
結果として、Ang1、Ang2、および/またはTie2が抗癌療法のための可能な標的であることが示唆された。例えば、US6,166,185、US5,650,490および5,814,464は各々、抗Tie2リガンド抗体および受容体ボディの概念を開示する。Linら(Proc.Natl.Acad.Sci USA,95:8829−8834(1998))は、可溶性Tie2を発現するアデノウイルスをマウスに注射し、これが可溶性Tie2の産生を生じさせ、マウスにおける腫瘍の数と大きさを低減したことを報告した。関連する試験において、Linら(J.Clin.Invest.,100:2072−2078(1997))は、Tie2の可溶性形態をラットに注射し、この物質がラットにおいて腫瘍サイズを縮小させると結論した。Siemeisterら(Cancer Res.,59:3185−3189(1999))は、Tie2の細胞外ドメインを発現するヒト黒色腫細胞系をヌードマウスに注射し、腫瘍増殖および腫瘍血管新生の「有意の阻害」を生じさせる動物における可溶性Tie2の産生を報告した。
事実上、1つの経路を標的する単剤療法薬剤の開発においては著しい進歩があったが、対応する単剤療法よりも良好な結果を与える、両方の経路を標的するための薬剤はまだ開発されていない。さらに、ここで述べる実施例によって例示されるように、経路非依存性に基づく一般的見解に反して、合わせて両方の経路を標的する薬剤の多くの組合せは、個々の薬剤の各々による単剤療法よりも良好に機能しない。
ここで述べる本発明は、それにもかかわらず、単剤療法を用いて得られる結果に匹敵し、一部の場合にはこれを上回り得る効果で疾患を治療するために使用できる併用療法を提供する。本発明に従った組合せにおいて有用なAng2阻害剤とVEGF阻害剤を以下で論じる。
Ang2阻害剤、VEGF阻害剤およびこれらの組合せ
ここでこの様々な好ましい態様および実施形態で開示される本発明は、少なくとも1つのAng2阻害剤と少なくとも1つのVEGF阻害剤の組合せを使用する、様々な適応症および疾患のための治療を提供する。
Ang2阻害剤
本発明における好ましいAng2阻害剤として以下のものが挙げられる。(a)Ang2に特異的に結合するペプチボディを含むが、これらに限定されない、Ang2に特異的に結合する非天然に生じるポリペプチド;(b)1以上の異種CDRを含む、Ang2に結合する非天然に生じる抗体;および(c)Ang2に特異的に結合する可溶性受容体フラグメントおよび抗体のFc領域またはこの部分を含む、非天然に生じるポリペプチド。
特に好ましいAng2阻害剤として以下のものが挙げられる。(a)特にこれらのAng2阻害剤に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO2004/092215A2またはWO03/05134A2に述べられている、Ang2に特異的に結合する非天然に生じるペプチドまたはペプチボディ;(b)Ang2に結合し、および特にこれらのAng2阻害剤に関して各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO03/030833A2および米国出願第10/982,440号に述べられている、1以上の異種CDRを含む、非天然に生じる抗体;および(c)特にこれらのAng2阻害剤に関して各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO00/75323A1に述べられている、FNIIIモチーフを含む領域の少なくとも一部を欠く可溶性Tie2/Tek受容体フラグメントを含む非天然に生じるポリペプチドおよびUS6,166,185に述べられている関連ポリペプチド。
極めて特に好ましいAng2阻害剤として以下のものが挙げられる。(a)特に2×Con4(C)に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO2004/092215A2またはWO03/05134A2に述べられている2×Con4(C);(b)特にAb536に関して各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO03/030833A2および米国出願第10/982,440号に述べられているAb536;および(c)特にTek472/Fcに関して各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO00/75323A1に述べられているTek472/FcまたはUS6,166,185に述べられている関連ポリペプチド。
これに関して、非常に極めて特に好ましいAng2阻害剤を以下でさらに説明するが、これらの中でも特に2×Con4(C)が最も好ましいAng2阻害剤である。
(1)2×Con4(C)
2×Con4(C)は、各々その全体、特に2×Con4(C)、この構造と性質、これを作製し使用するための方法、および他の関連化合物に関する部分が参照により本明細書に組み込まれる、WO03/057134A2およびWO2004/092215A2に述べられている、Ang2選択的ペプチボディである。2×Con4(C)は、ヒトFcフラグメントとAng2特異的結合ペプチドの2コピーの融合物である。2×Con4(C)はまた、2×Con4(C)1Kとも称される。
(2)Ab536
Ab536は、各々その全体、特にAb536、この構造と性質、これを作製し使用するための方法、および他の関連抗体に関する部分が参照により本明細書に組み込まれる、WO03/030833および米国出願第10/982,440号に述べられている、536HC重鎖および536κ軽鎖を含むヒトAng2特異的抗体である。
(3)Tek472/Fc
Tek472/Fcは、その全体、特にTek472/Fc、この構造と性質、これを作製し使用するための方法、および他の関連融合ポリペプチドに関する部分が参照により本明細書に組み込まれる、WO00/75323A1に述べられている、ヒトIgG1のFc領域の232アミノ酸部分へのTekのN末端472アミノ酸の融合物である。N末端Tekフラグメントは、フィブロネクチンIII型モチーフを欠く可溶性Tekペプチドを構成する。これは、完全長細胞外ドメインを含む他のTekポリペプチドよりもはるかに高いTekリガンドへの親和性を有する。
VEGF阻害剤
本発明の様々な実施形態において使用し得る極めて多くのVEGF阻害剤が文献において記述されている。以下でさらに詳述するものに加えて、これに関して使用し得るVEGF阻害剤は、全部が、これらの全体、特にここで述べる本発明において有用なVEGF阻害剤に関する部分が参照により本明細書に組み込まれる、以下の特許資料に述べられている。US2003/0105091、US2006/0241115、US5,521,184、US5,770,599、US5,990,141、US6,235,764、US6,258,812、US6,515,004、US6,630,500、US6,713,485、WO2005/070891、WO01/32651、WO02/68406、WO02/66470、WO02/55501、WO04/05279、WO04/07481、WO04/07458、WO04/09784、WO02/59110、WO99/450029、WO00/59509、WO99/61422、WO00/12089、WO00/02871およびWO01/37820。
これに関して本発明において使用し得る特定VEGF阻害剤として以下のものが挙げられる。
経口投与用の製剤および密接に関連するVEGF阻害剤を含むABT−869(Abbott);
経口投与用の製剤および密接に関連するVEGF阻害剤を含むAEE−788(Novartis)(とりわけ、AE−788およびNVP−AEE−788とも呼ばれる);
経口投与用の製剤および密接に関連するVEGF阻害剤を含むAG−13736(Pfizer)(AG−013736とも呼ばれる);
AG−028262(Pfizer)および密接に関連するVEGF阻害剤;
とりわけ、その全体、特にアンギオスタチンおよび密接に関連するVEGF阻害剤、これらの構造と性質、およびこれらを作製し使用するための方法に関する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US5,792,825およびUS6,025,688に述べられている、アンギオスタチン(EntreMed)(とりわけ、CAS登録番号86090−08−6、K1−4およびrhuアンギオスタチンとも呼ばれる);
Avastin(商標)(Genentech)(とりわけ、ベバシズマブ、R−435、rhuMAB−VEGFおよびCAS登録番号216974−75−3とも呼ばれる)および密接に関連するVEGF阻害剤;
AVE−8062(Ajinomoto Co.およびSanofi−aventis)(とりわけ、AC−7700およびコンブレタスタチンA4類似体とも呼ばれる)および密接に関連するVEGF阻害剤;
AZD−2171(AstraZeneca)および密接に関連するVEGF阻害剤;
Nexavar(登録商標)(Bayer AGおよびOnyx)(とりわけ、CAS登録番号284461−73−0、BAY−43−9006、rafキナーゼ阻害剤、ソラフェニブ、ソラフェニブ類似体およびIDDBCP150446とも呼ばれる)および密接に関連するVEGF阻害剤;
BMS−387032(SunesisおよびBristol−Myers Squibb)(とりわけ、SNS−032およびCAS登録番号345627−80−7とも呼ばれる)および密接に関連するVEGF阻害剤;
CEP−7055(CephalonおよびSanofi−aventis)(とりわけ、CEP−11981およびSSR−106462とも呼ばれる)および密接に関連するVEGF阻害剤;
CHIR−258(Chiron)(とりわけ、CAS登録番号405169−16−6、GFKIおよびGFKI−258とも呼ばれる)および密接に関連するVEGF阻害剤;
CP−547632(OSI PharmaceuticalsおよびPfizer)(とりわけ、CAS登録番号252003−65−9とも呼ばれる)および、例えばCP−564959などの密接に関連するVEGF阻害剤;
E−7080(Eisai Co.)(とりわけ、CAS登録番号417716−92−8およびER−203492−00とも呼ばれる)および密接に関連するVEGF阻害剤;
786034(GlaxoSmithKline)および密接に関連するVEGF阻害剤;
GW−654652(GlaxoSmithKline)および密接に関連するインダゾリルピリミジンKdr阻害剤;
IMC−1C11(ImClone)(とりわけ、DC−101およびc−p1C11とも呼ばれる)および密接に関連するVEGF阻害剤;
KRN−951(Kirin Brewery Co.)および他の密接に関連するキノリン−尿素VEGF阻害剤;
PKC−412(Novartis)(とりわけ、CAS登録番号120685−11−2、ベンゾイルスタウロスポリン、CGP−41251、ミドスタウリンおよびSTI−412とも呼ばれる)および密接に関連するVEGF阻害剤;
PTK−787(NovartisおよびSchering)(とりわけ、CAS登録番号212141−54−3および212142−18−2、PTK/ZK、PTK−787/ZK−222584、ZK−22584、VEGF−TKI、VEGF−RKI、PTK−787A、DE−00268、CGP−79787、CGP−79787D、バタラニブ、ZK−222584とも呼ばれる)および密接に関連するアニリノフタラジン誘導体VEGF阻害剤;
SU11248(SugenおよびPfizer)(とりわけ、SU−11248、SU−011248、SU−11248J、Sutent(登録商標)およびスニチニブリンゴ酸塩とも呼ばれる)および密接に関連するVEGF阻害剤;
SU−5416(SugenおよびPfizer/Pharmacia)(とりわけ、CAS登録番号194413−58−6、セマキサニブ、204005−46−9とも呼ばれる)および密接に関連するVEGF阻害剤;
SU−6668(SugenおよびTaiho)(とりわけ、CAS登録番号252916−29−3、SU−006668およびTSU−68とも呼ばれる)および、とりわけ、その全体、特にSU−6668および密接に関連するVEGF阻害剤、これらの構造と性質、およびこれらを作製し使用するための方法に関する部分が参照により本明細書に組み込まれる、WO−09948868、WO−09961422およびWO−00038519に述べられている密接に関連するVEGF阻害剤;
VEGFトラップ(RegeneronおよびSanofi−aventis)(とりわけ、AVE−0005およびSystemic VEGFトラップとも呼ばれる)および、とりわけ、その全体、特にVEGFトラップおよび密接に関連するVEGF阻害剤、これらの構造と性質、およびこれらを作製し使用するための方法に関する部分が参照により本明細書に組み込まれる、WO−2004110490に述べられている密接に関連するVEGF阻害剤;
サリドマイド(Celgene)(とりわけ、CAS登録番号50−35−1、Synovir、Thalidomide PharmionおよびThalomidとも呼ばれる)および密接に関連するVEGF阻害剤;
XL−647(Exelixis)(とりわけ、EXEL−7647とも呼ばれる)および密接に関連するVEGF阻害剤;
XL−999(Exelixis)(とりわけ、EXEL−0999とも呼ばれる)および密接に関連するVEGF阻害剤;
XL−880(Exelixis)(とりわけ、EXEL−2880とも呼ばれる)および密接に関連するVEGF阻害剤;
ZD−6474(AstraZeneca)(とりわけ、CAS登録番号443913−73−3、ZactimaおよびAZD−6474とも呼ばれる)および密接に関連するアニリノキナゾリンVEGF阻害剤;および
ZK−304709(Schering)(とりわけ、CDK阻害剤(インジルビン誘導体)、ZK−CDK、MTGIおよび多重標的腫瘍増殖阻害剤とも呼ばれる)および、その全体、特にこれらおよび密接に関連するVEGF阻害剤、これらの構造と性質、およびこれらを作製し使用するための方法に関する部分が参照により本明細書に組み込まれる、WO−00234717、WO−02074742、WO−02100401、WO−00244148、WO−02096888、WO−03029223、WO−02092079およびWO−02094814に述べられているインジルビン誘導体VEGF阻害剤を含む他の密接に関連する化合物。
これに関してVEGF阻害剤としては以下のものも挙げられる。パゾパニブ、CDP791、エンザスタウリン、BIBF1120、BAY573952、BAY734506、XL184、IMC−1121B、CEP701、SU014813、SU10944、SU12662、OSI−930およびBMS 582664および密接に関連するVEGF阻害剤。
VEGFまたはVEGFRに直接作用する前記阻害剤に加えて、以下の阻害剤は抗血管新生特性を有し、直接作用する阻害剤とほぼ同じように本発明において使用できる。
ZD−6126(AstraZenecaおよびAngiogene)(とりわけ、CAS登録番号219923−05−4、N−アセチルコルチノールホスフェート、ANG−453、AZD−6126、ZD−6126誘導体およびZM−445526とも呼ばれる)およびANG−400シリーズの中の他の阻害剤などの密接に関連するVEGF阻害剤;
イマチニブ(Novartis)(とりわけ、CAS登録番号152459−95−5および220127−57−1、Glivec、Gleevec、STI−571およびCGP−57148とも呼ばれる)および密接に関連するVEGF阻害剤;
RAD−001(Novartis)(とりわけ、CAS登録番号159351−69−6、RAD−001、SDZ−RAD、Certicanおよびエベロリムスとも呼ばれる)および密接に関連するVEGF阻害剤;および
BMS−354825(Bristol−Myers Squibb)(とりわけ、CAS登録番号302962−49−8、Src/Ablキナーゼ阻害剤およびダサチニブとも呼ばれる)および密接に関連するVEGF阻害剤。
Volociximab、CCI−779、17−AAG、DMXAA、CI−1040およびCI−1033も、これに関して本発明において有用である。
本発明において好ましいVEGF阻害剤として、以下のものが挙げられる。(a)その全体、特にVEGF阻害剤を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2003/0125339またはUS6995162に述べられている化合物;(b)各々その全体、特にVEGF阻害剤を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2003/0125339またはUS2003/0225106またはUS6995162またはUS6878714に述べられている置換アルキルアミン誘導体;(c)VEGFに結合する、非天然に生じるヒト化モノクローナル抗体;(d)その全体、特に先のVEGF阻害剤を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、WO00/42012、WO00/41698、US2005/0038080A1、US2003/0125359A1、US2002/0165394A1、US2001/003447A1、US2001/0016659A1およびUS2002/013774A1に述べられている置換ω−カルボキシアリールジフェニル尿素またはこの誘導体;(e)タンパク質キナーゼドメインへの結合およびVEGFR1およびVEGFR2の阻害を含む、多数の受容体チロシンキナーゼに結合してこの活性を阻害するアニリノフタラジンまたはこの誘導体;(f)(5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロインドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸[2−ジエチルアミノエチル]アミド)またはVEGF阻害剤であるこの誘導体;および(g)この中の式IVのVEGF阻害剤を含む、US2006/0241115に述べられているVEGF阻害剤。
特に好ましいVEGF阻害剤として、以下のものが挙げられる。(a)その全体、特に4TBPPAPCおよび密接に関連するVEGF阻害剤を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2003/0125339またはUS6995162に述べられている4TBPPAPCまたは密接に関連する化合物;(b)各々その全体、特にAMG706およびこれらの密接に関連するVEGF阻害剤を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2003/0125339またはUS2003/0225106またはUS6995162またはUS6878714に述べられているAMG706または密接に関連する置換アルキルアミン誘導体;(c)Avastin(商標)、またはVEGFに結合し、VEGF阻害剤であり、および配列がAvastin(商標)に少なくとも90%同一である、密接に関連する非天然に生じるヒト化モノクローナル抗体;(d)その全体、特にこれらのVEGF阻害剤を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、WO00/42012、WO00/41698、US2005/0038080A1、US2003/0125359A1、US2002/0165394A1、US2001/003447A1、US2001/0016659A1およびUS2002/013774A1に述べられている、Nexavar(登録商標)、または密接に関連する置換ω−カルボキシアリールジフェニル尿素またはこの誘導体;(e)PTK/ZK、またはタンパク質キナーゼドメインへの結合およびVEGFR1およびVEGFR2の阻害を含む、多数の受容体チロシンキナーゼに結合してこの活性を阻害する、密接に関連するアニリノフタラジンまたはこの誘導体;(f)Sutent(登録商標)、またはVEGF阻害剤である(5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロインドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸[2−ジエチルアミノエチル]アミド)の密接に関連する誘導体;および(g)この中の式IVのVEGF阻害剤を含む、US2006/0241115に述べられているVEGF阻害剤。
極めて特に好ましいVEGF阻害剤として、以下のものが挙げられる。(a)その全体、特に4TBPPAPCを開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2003/0125339またはUS6995162に述べられている4TBPPAPC;(b)その全体、特にAMG706を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2003/0125339またはUS6995162またはUS6878714に述べられているAMG706;(c)Avastin(商標);(d)その全体、特にNexavar(登録商標)を開示する部分が参照により本明細書に組み込まれる、WO00/42012、WO00/41698、US2005/0038080A1、US2003/0125359A1、US2002/0165394A1、US2001/003447A1、US2001/0016659A1およびUS2002/013774A1に述べられているNexavar(登録商標);(e)PTK/ZK;(f)Sutent(登録商標);および(g)US2006/0241115に述べられている式IVのVEGF阻害剤。
これに関して、非常に極めて特に好ましいVEGF阻害剤の一部を以下でさらに説明するが、これらの中でAMG706が最も好ましいVEGF阻害剤である。
(1)AMG706
AMG706は、その全体、特にAMG706、この構造と性質、これを作製し使用するための方法、および他の関連化合物に関する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US2003/0125339またはUS6995162またはUS6878714に述べられている、Kit、PDGFおよびVEGFシグナル伝達経路に干渉するマルチキナーゼ阻害剤である。AMG706は、N−(2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−1H−インドール−6−イル)−2−[(4−ピリジニルメチル)アミノ]−3−ピリジンカルボキサミド(I)という名称を有する。ここで使用するときAMG706という用語は、ここで特に定められている場合を除き、医薬的に許容される塩、特に二リン酸塩を含む。AMG706はまた、モテサニブ二リン酸としても知られる。
(2)4TBPPAPC
4TBPPAPCは、Kit、PDGRおよびVEGFシグナル伝達経路に干渉するマルチキナーゼ阻害剤である。この名称は、その全体、特に4TBPPAPC、この構造と性質、これを作製し使用するための方法、および他の関連化合物に関する部分が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第2003/0125339号に述べられている、N−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−2−((4−ピリジニルメチル)アミノ−3−ピリジンカルボキサミドである。4TBPPAPCはまた、前記特許出願の段落[0649]に示されている、N−[4−(tert−ブチル)フェニル]{2−[(4−ピリジルメチル−1)アミノ](3−ピリジル)}カルボキサミドとも称される。
(3)Avastin(商標)
Avastin(商標)は、直接VEGFに結合する組換えヒト化モノクローナル抗体であり、Genentechによって市販されている。Avastin(商標)はまた、ベバシズマブとしても知られる。
(4)Nexavar(登録商標)
Nexavar(登録商標)(BAY 43−9006およびソラフェニブとしても知られる)は、各々その全体、特にNexavar(登録商標)、この構造と性質、これを作製し使用するための方法、および他の関連分子に関する部分が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第2003/0125359A1号、WO03/047523A2、およびWilhelm et al.,Current Pharmaceutical Design,vol.8,pp.2255−2257(2002)に述べられているように、RAF−1活性化を阻害し、これによってMEK−1およびERK−1のRAF−1依存性リン酸化を低下させる置換ωカルボキシジフェニル尿素である。この化学名は、4−(4−{3−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレイド}フェノキシ)−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドである。この化合物の様々な誘導体が生産されている。これらの中には、その全体が、特にこれらや他の医薬的に活性なジフェニル尿素化合物に関して、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第2005/0038080A1号およびWO2005/009961 A2に述べられているフッ素化誘導体がある。
(5)PTK/ZK
バタラニブとしても知られる、PTK787は、腫瘍血管新生およびリンパ管新生をブロックすると言われるマルチVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤である。この化学構造は、N−(4−クロロフェニル)−4−(ピリジン−4−イルメチル)フタラジン−1−アミンである。PTK787/ZK、PTK−787/ZK−222584およびPTK/ZKとしても知られる。Thomas,A.,et al.,J.of Clin.Oncology,23(18):4162−4171(2005);米国特許出願第20050118600A1号参照。
(6)Sutent(登録商標)
Sutent(登録商標)は、以下の化学構造(5−[5−フルオロ−2−オキソ−l,2−ジヒドロインドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸[2−ジエチルアミノエチル]アミド)を有する低分子受容体チロシンキナーゼ阻害剤である。Sutent(登録商標)はまた、スニチニブリンゴ酸塩およびSU11248としても知られ、抗血管新生および抗腫瘍活性を有すると報告されている。Mendel,D.,et al.,Clinical Cancer Research,9:327−337(2003);Schlessinger,J.,The Scientist,19(7):17(2005)参照。
Ang2阻害剤とVEGF阻害剤の組合せ
ここで述べる本発明は、特に1以上のVEGF阻害剤と合わせた1以上のAng2阻害剤の使用に関する。特にこれに関して、本発明は、これに関する前記の章および本明細書の別の場所で述べるVEGF阻害剤の1以上と組み合わせた、これに関する前記の章および本明細書の別の場所で述べるAng2阻害剤の1以上の併用に関する。ここで述べるAng2阻害剤のいずれもが、ここで述べるVEGF阻害剤のいずれとも使用し得ることが認識されるべきである。本発明に従って、好ましい組合せは、少なくとも1つの好ましいAng2阻害剤または少なくとも1つの好ましいVEGF阻害剤を利用する。さらに、より一層好ましい組合せは、より一層好ましいAng2阻害剤またはVEGF阻害剤またはこの両方を含む。
これに関して本発明の極めて特に好ましい組合せとして、以下のAng2阻害剤:2×Con4(C)、Ab 536またはTek472/Fcの1以上、および以下のVEGF阻害剤:AMG 706、4TBPPAPC、Avastin(商標)、Sutent(登録商標)、PTK/ZKまたはNexavar(登録商標)の1以上を含むものが挙げられる。
これに関して、非常に極めて特に好ましい組合せの一部では、Ang2阻害剤は2×Con4(C)であり、およびVEGF阻害剤はAMG706である。
適応症および疾患
様々な障害および疾患等が本発明の様々な態様および実施形態に従って治療できる。特に、この好ましい態様および実施形態の一部に従って、本発明の組成物、方法および他の特徴は、脈管形成および/または血管新生を必要とするものを含む、脈管形成および/または血管新生の有害作用またはこれらに関する有害作用を含む疾患を治療するために使用される。
以下でより詳細に論じるように、このような疾患は、本発明の様々な態様および好ましい実施形態において、網膜症(糖尿病性網膜症を含む)、加齢性黄斑変性などの眼血管新生、乾癬、血管芽細胞腫、血管腫、動脈硬化症、リウマチ様またはリウマチ性炎症性疾患、特に関節炎(関節リウマチを含む)などの炎症性疾患、および慢性喘息、動脈または移植後アテローム性硬化症、子宮内膜症などの他の慢性炎症性疾患、および腫瘍性疾患、例えばいわゆる固形腫瘍および、造血性白血病を含む白血病などの液状腫瘍、および骨髄増殖性新生物および疾患を含む疾患を含むが、これらに限定されない。
本発明はさらに、様々な好ましい態様および実施形態において、数ある中でも特に、たとえば癌、および上記の過形成、乾癬、接触皮膚炎、免疫不全および不妊症などの他の過増殖性状態を治療するために有用な組成物、方法、キット等を提供する。
本発明はさらに、ヒト患者を含む被験者において細胞増殖、浸潤および転移の過程を阻害することを含む、癌細胞増殖を阻害するためのここで述べる組成物、方法、キット等を提供することにより、これらやその他に関して有用である。
本発明の方法によって治療され得る癌は、ヒトおよび他の霊長動物、ならびにイヌおよびネコなどの愛玩動物またはコンパニオン動物、ラット、マウスおよびウサギなどの実験動物、およびウマ、ブタ、ヒツジおよびウシなどの家畜において起こるものを含む、哺乳動物において起こるものを含む。本発明の特に好ましい態様およびこれらの好ましい実施形態の一部では、ヒトは極めて好ましく、特にここで特定して述べるような様々な状態に罹患しているヒト患者は極めて好ましい。
腫瘍または新生物は、細胞の増殖が調節されず、進行性である組織細胞の増殖を含む。このような増殖の一部は良性であるが、また別の一部は悪性と称され、死亡へと導くことがある。悪性新生物または癌は、攻撃的な細胞増殖を示すことに加えて、周辺組織に浸潤し、転移し得るという点で良性増殖と区別される。さらに、悪性新生物は、分化のより大きな喪失(より大きな脱分化)、およびお互いに対するおよびこれらの周辺組織に対する構造性(organization)のより大きな喪失を示すことを特徴とする。この性質は「退形成」とも呼ばれる。
この浸潤性または転移がAng2発現または活性およびVEGF発現または活性に関連する新生物および癌は、特に本発明が好都合に適用され得る疾患の一部に含まれる。
本発明によって治療され得る新生物は、固形腫瘍、すなわち癌腫および肉腫を含む。癌腫は、周辺組織に浸潤(侵入)して転移を生じさせる上皮細胞に由来する悪性新生物を含む。腺癌は、腺組織に由来するまたは認識し得る腺構造を形成する癌腫である。本発明が好都合に適用され得る癌のもう1つの広いカテゴリーは、細胞が胚結合組織のような線維または均一物質に包埋される腫瘍である、肉腫を含む。本発明はまた、白血病、リンパ腫および典型的には腫瘍塊を呈さないが、血管系またはリンパ細網系に分布する他の癌を含む、骨髄系またはリンパ系の癌の治療のためにも使用され得る。
本発明に従った治療に適する癌および腫瘍細胞の種類は、限定を伴わずに、以下の細胞を含む。ACTH産生腫瘍、急性リンパ性白血病、急性非リンパ性白血病、副腎皮質の癌、膀胱癌、脳の癌、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、子宮内膜癌、食道癌、ユーイング肉腫、胆嚢癌、毛様細胞性白血病、頭頸部癌、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、腎癌、肝癌、肺癌(小細胞および非小細胞)、悪性腹腔滲出、悪性胸水、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、非ホジキンリンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、卵巣(生殖細胞)癌、膵癌、陰茎癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、栄養膜新生物、子宮癌、膣癌、外陰部の癌、およびウィルムス腫瘍。
従って、本発明は、固形腫瘍および白血病を含む極めて多様な癌の治療のために有用な組成物および方法を提供する。治療され得る癌の種類は、以下を含むが、これらに限定されない。乳房、前立腺および結腸の腺癌;肺の気管支原生癌のすべての形態;骨髄性癌;黒色腫;肝細胞癌;神経芽細胞腫;乳頭腫;APUD系腫瘍;分離腫;鰓腫;悪性カルチノイド症候群;カルチノイド心臓病;癌腫(たとえばウォーカー癌、基底細胞癌、基底有棘細胞癌、ブラウン−ピアース癌、腺管癌、エールリッヒ癌、クレブス2癌、メルケル細胞癌、粘液性癌腫、非小細胞肺癌、燕麦細胞癌、乳頭状癌、硬性癌、細気管支癌、気管支原性癌、扁平上皮癌および移行上皮癌);組織球疾患;白血病;悪性組織球増殖症;ホジキン病;免疫増殖性小肺細胞癌;非ホジキンリンパ腫;形質細胞腫;細網内皮症;黒色腫;軟骨芽細胞腫;軟骨腫;軟骨肉腫;線維腫;線維肉腫;巨細胞腫;組織球腫;脂肪腫;脂肪肉腫;中皮腫;粘液腫;粘液肉腫;骨腫;骨肉腫;脊索腫;頭蓋咽頭腫;未分化胚細胞腫;過誤腫;間葉腫;中腎腫;筋肉腫;エナメル上皮腫;セメント質腫;歯牙腫;奇形腫;胸腺腫;栄養膜腫瘍。
さらに、癌の以下の種類も治療され得る。腺腫;胆管腫;コレステリン腫;円柱腫;嚢胞腺癌;嚢胞腺腫;顆粒細胞腫瘍;半陰陽性卵巣腫瘍;肝細胞癌;汗腺腫;膵島細胞腫瘍;ライディヒ細胞腫;乳頭腫;セルトリ細胞腫;卵胞膜細胞腫;平滑筋腫;平滑筋肉腫;筋原細胞腫;筋腫;筋肉腫;横紋筋腫;横紋筋肉腫;脳室上衣細胞腫;神経節細胞腫;神経膠腫;髄芽細胞腫;髄膜腫;神経鞘腫;神経芽細胞腫;神経上皮腫;神経線維腫;神経腫;傍神経節腫;非クロム親和性傍神経節腫;被角血管腫;好酸球増加随伴性血管類リンパ組織増殖症;硬化性血管腫;血管腫症;グロムス血管腫;血管内皮腫;血管腫;血管周囲細胞腫;血管肉腫;リンパ管腫;リンパ管筋腫;リンパ管肉腫;松果体腫;癌肉腫;軟骨肉腫;葉状嚢肉腫;線維肉腫;血管肉腫;平滑筋肉腫;白血肉腫;脂肪肉腫;リンパ管肉腫;筋肉腫;粘液肉腫;卵巣癌;横紋筋肉腫;肉腫;新生物;神経線維腫症;および子宮頸部形成異常。
本発明のもう1つの態様は、乾癬および接触皮膚炎を含む皮膚の何らかの過剰増殖状態もしくは他の過剰増殖性疾患を予防および/または治療するために本発明の材料および方法を使用することである。
本発明の他の態様は、血管新生が関与する様々な網膜症(糖尿病性網膜症および加齢性黄斑変性を含む)、ならびに子宮内膜症、子宮筋腫および雌性生殖周期の間の機能不全性血管増殖(子宮内膜微小血管増殖を含む)に関連する他のこのような状態などの雌性生殖路の障害/疾患を治療することを含む。
本発明のさらにもう1つの態様は、脳動静脈奇形(AVM)、胃腸粘膜損傷および修復、発作から生じる虚血を含む、消化性潰瘍疾患の病歴がある患者における胃十二指腸粘膜の潰瘍化、肝臓病における肺血管障害の広いスペクトルおよび非肝門脈圧亢進を有する患者における門脈圧亢進を含む、異常血管増殖を治療することに関する。
本発明はまた、赤血球の減少に関連する不応性貧血、および白血球の減少に関連する慢性骨髄単球性白血病を含む、骨髄異形成症候群を治療するために有用である。本発明はまた、顆粒球の増加に関連する慢性骨髄性白血病、赤血球の増加に関連する真性赤血球増加症、血小板の増加に関連する本態性血小板増加症、および骨髄自体が繊維性細胞で満たされる状態である骨髄線維症を含む、骨髄増殖性疾患を治療するために有用である。
本発明のもう1つの態様は、本発明によって提供される組成物および方法を利用した癌の予防である。
本発明はまた、実験的に定義される癌、ならびに自然に起こる癌を治療するために有用である。これに関して、特に技術水準のインビトロおよびインビボモデルを使用して、本発明の様々な態様は、インビボで実際の疾患を治療するとき、モデル系において達成されるのと同程度に有効な結果が得られると妥当に予想され得る物質を同定するために有用である。
投与経路
本発明に従った阻害剤は、様々な実施形態において、被験者に治療薬を投与する当業者に周知の、種々の適切な経路によって投与され得る。これに関する本発明の実施形態では、本明細書の別の場所で述べる1以上の阻害剤は、消化管を通して投与される。他の実施形態では、本明細書の別の場所で述べる1以上の阻害剤は、非経口的に投与される。様々な実施形態において1以上の阻害剤は、非経口的に投与される1以上の他の阻害剤と共に消化管を通して投与され得る。
様々な実施形態におけるこのような経路は、経口的、眼経路、粘膜経路、局所的、直腸経路、吸入スプレーなどによる肺経路、および経皮的な組成物の投与を含むが、これらに限定されない。以下の非経口投与経路も本発明の様々な実施形態において有用である。静脈内、動脈内、心臓内、髄腔内、クモ膜下腔内、骨内、関節内、関節滑液嚢内、皮内(intracutaneous、intradermal)、皮下、腹腔内、および/または筋肉内注射による投与。一部の実施形態では、静脈内、動脈内、皮内(intracutaneous、intradermal)、皮下および/または筋肉内注射が使用される。一部の実施形態では、静脈内、動脈内、皮内、皮下および/または筋肉内注射が使用される。
本発明のある実施形態では、組成物は局所的に、例えば眼血管新生、網膜症または加齢性黄斑変性を治療するために眼内注射によって投与される。
用量
本発明の化合物および/または組成物で疾患状態を治療するために投与される化合物の量および投与計画は、被験者の年齢、体重、性別および医学的状態、疾患の種類、疾患の重症度、投与の経路と頻度、および使用される特定化合物を含む、様々な因子に依存する。従って、投与計画は広く異なり得る。
本発明に従って組み合わせて使用されるVEGF阻害剤とAng2阻害剤の適切な用量は、治療的使用のために単剤および/または他の薬剤の組合せの用量を決定するために製薬および関連分野においてより一般的に用いられる周知の手法を使用することによって決定され得る。
これに関してある実施形態では、本発明に従った組合せとしての使用のための一方または両方の阻害剤の用量は、部分的にまたは全面的に、単独で使用される阻害剤の一方または両方についての確立された最適用量に基づき得る。各々の薬剤についての最適用量は、単独でまたは他の組合せ製剤としての薬剤の使用に関して、米国食品医薬品局によって(特に米国内での使用のための製剤に関して)および/または米国外でのこのような事柄に対して権限を有する他の当局によって推奨されるまたは定められる用量であり得る。
一部の場合、最適用量は最大治療効果を達成する用量であるが、また別の場合にはより高いかまたはより低くてもよいことは理解されるべきである。たとえば最大治療効果を達成する用量での任意の薬剤の投与は、同時に、毒性などの許容されない副作用を生じさせることがあるので、最適用量は最大治療効果を及ぼす用量よりも低い。
従って、本発明に従った一部の組合せでは、一方または両方の薬剤が、単独で使用したときおよび/または組み合わせて使用したとき最大治療効果を達成する用量で存在する。本発明に従った他の組合せでは、一方または他方または両方の薬剤が、単独で使用したとき最適治療効果を達成する量で存在する。さらに他の実施形態では、一方または両方の薬剤が、組み合わせて使用したとき最適治療効果を達成し、治療効果と毒性などの望ましくない副作用との間の釣り合いを示す用量で存在する。
本発明に従った併用療法の数ある利点の中でも特に、一部の実施形態において併用が単剤単独(同じ用量での)よりも良好に働くだけでなく、併用は、いずれかの薬剤を単独で使用したときと同じ効果を達成するために必要な用量よりも低い一方または両方の薬剤の用量を使用して、いずれかの薬剤単独と少なくとも同じかまたはより良好な治療効果を提供することがさらに認識されるべきである。実施形態では、このような低用量は、より少ない副作用および/または低い毒性を生じさせる。
3、4、5以上の薬剤を組み合わせて使用するときのような、1より多い薬剤を互いに組み合わせて使用するときにも同じ配慮が適用される。
前記に従って、実施形態において組み合わせて使用される薬剤の用量は、米国食品医薬品局によってまたは米国外の同様の当局の機関によって推奨される、定められるまたは処方される用量である。実施形態では、さらに、本発明に従った併用療法において使用される薬剤の用量はまた、特に、併用療法における薬剤の治療プロフィールが前記の推奨される、定められるまたは処方される用量よりも低いまたは高い用量で最適であるときのように、前記の推奨される、定められるまたは処方される用量より低くてもよくまたは高くてもよい。これに関する実施形態では、併用療法における薬剤の1以上の用量は、薬剤単独での使用に関して、特に同じ適応症のための薬剤単独での使用に関してこのような機関によって推奨される、定められるまたは処方される用量の10%、25%、50%、75%、85%、95%、105%、110%、125%以上である。
静脈内注射などの、非経口的に投与される薬剤の場合、本発明の実施形態では、併用療法のための薬剤の用量は0.05mg/kgから100mg/kgである。実施形態では、0.01から50mg/kgである。実施形態では、0.02から40mg/kgである。実施形態では、0.3から30mg/kgである。実施形態では、0.5から25mg/kgである。実施形態では、1.0から15mg/kgである。さらにこれに関して、実施形態では、用量は0.05、0.1、0.2、0.3、0.5、1.0、2.0、3.0、5.0、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、100mg/kg以上のいずれか1つ以上である。これに関して用量は、1日1回より多く、1日1回、2日おき、3日おき、4日おき、5日おき、6日以上おきに1回、週に1回、1週おき、2週おき、3週おきまたは4週おきに1回、またはより長い間隔を含むが、これらに限定されない、何らかの間隔で投与され得る。
例えばこれに関する実施形態では、本発明に従った併用療法における2×Con4(C)の用量は、上記に加えて、週に1回、0.1から50mg/kg IVである。実施形態では、用量は、週に1回、0.3mg/kgから30mg/kg IVである。実施形態では、用量は、週に1回、3mg/kg IVである。実施形態では、用量は、週に1回、5mg/kg IVである。実施形態では、用量は、週に1回、10mg/ml IVである。実施形態では、用量は、週に1回、15mg/kg IVである。
すぐ上で述べたのとほとんど同じ配慮が、本発明に従った併用療法における経口投与のための薬剤の用量にもあてはまる。本明細書の別の場所で述べたように、経口投与に関しては、医薬組成物は、例えば錠剤、カプセル、懸濁液または液体の形態であり得る。医薬組成物は、好ましくは有効成分の特定量を含む投与単位の形態で作製される。このような投与単位の例は、錠剤またはカプセルである。経口投与用の薬剤を製剤するための一般原則および方法は当業者に周知である。
この実施形態における本発明に従った併用療法での経口投与のための薬剤の製剤は、1未満から約2,000mg以上の量の有効成分を含む。実施形態では、量は、とりわけ、1から1,000、10から1,000、50から500、75から750mgである。例えば、限定を伴わずに、実施形態では、量は、投与形態につき1、10、25、50、75、100、200、250、300、400、500、600、700、800、1,000または2,000mgである。
実施形態では、薬剤は、本発明に従った併用療法において0.01以下から2,000mg/kg以上の用量で投与される。実施形態では、用量は1から1,000mg/kgである。実施形態では、用量は15から750mg/kgである。実施形態では、用量は25から700mg/kgである。実施形態では、用量は50から500mg/kgである。例えば実施形態では、用量は、1、10、25、50、75、100、200、250、300、400、500、600、700、800、1,000または2,000mg/kgである。
他の投与形態に関しては、経口投与のための用量は、1日1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回以上の回数で、もしくは2日おき、3日おき、4日おき、5日おき、6日おき、または7日おき、またはこれより長い間隔などの、1日1回以上の間隔で投与され得る。
上記のような本発明に従った併用療法における薬剤の経口投与は、ほんの数例を挙げると、正確な薬剤、適応症および患者の差し迫った状態を含む、多くの因子によって異なる。単なる例として、この変動性を念頭において、これに関する実施形態では、薬剤は、各々1、10、25、50、75、100、200、250、300、400、500、600、700、800、1,000または2,000mgを含む投与形態で経口的に投与される。これに関する実施形態では、薬剤は、1日1回、2回、3回、4回以上、またはより短い間隔で、前記量の1以上で経口的に投与される。これに関する実施形態では、1、2、3または4投与単位が同時に投与される。
投与が非経口的、経口的または他の手段による実施形態を含む実施形態では、投与間隔は、2回、3回以上の投与頻度の間のように、もしくは定められた間隔での投与をとばすまたは追加することによって、もしくは患者の応答に従って変化させる。実施形態では、用量は、2、3、4以上の投与計画の間での定期的変化のような応答の間で、もしくは患者の応答に従って変化させる。
前記配慮は、とりわけ、本発明に従った併用療法において使用されるAng2阻害剤とVEGF阻害剤の両方に適用される。
投与計画を以下でさらに詳細に論じる。
投与計画
組成物は、特定患者の年齢、性別、体重および状態、および投与される製剤(例えば固体対液体)のような因子を考慮に入れて、医学および獣医学分野の当業者に周知の用量および手法で投与され得る。ヒトまたは他の哺乳動物のための用量は、この開示、ここで引用する資料、および当分野の知識から、過度の実験を必要とせずに当業者によって決定され得る。
様々な実施形態に従って、適切な用量および投与計画は数多くの因子に依存し、種々の状況において異なり得る。投与されるべき最適投与計画を決定するパラメータは、典型的には以下の一部または全部を含む。治療される疾患とこの病期;被験者の種、被験者の健康、性別、年齢、体重および代謝速度;投与されている他の治療;および被験者の病歴または遺伝子型から予想される潜在的合併症。
所与の状況での最適投与計画はまた、組成物が製剤される方法、これらが投与される方法、投与後のこれらの分布経路、およびこれらが作用部位から及び被験者の体内両方から清掃される速度を考慮に入れる。最後に、最適投与の決定は必ず、最大有益作用の閾値を下回らず、また有効成分の用量に関連する有害作用が用量増加の利点より重大である閾値を上回らない有効用量を提供する。
「用量」は、一度に、分割して、または一定期間にわたって連続的に送達され得る。全体用量はまた、単一の位置にまたはいくつかの位置に分割して広がって送達され得る。さらに、用量は、治療期間を通して同じままであり得るか、もしくは変化し得る。
様々な実施形態において、本発明の組成物は、初期用量で投与され、その後さらなる投与によって維持される。本発明の組成物は、一部の実施形態では、最初にある1つの方法によって投与され、その後同じ方法によってまたは1以上の異なる方法によって投与される。進行中の投与の用量は、被験者における活性物質のレベルをある一定値に維持するように調整され得る。一部の実施形態では、組成物は、最初におよび/または被験者におけるこれらのレベルを維持するために、静脈内注射によって投与される。様々な実施形態では、患者の状態および、本明細書の別の場所で論じる他の因子に依存して、他の投与形態が使用される。
初期投与およびこれに続く投与のためのさらなる用量についての適切な計画は、すべて同じであり得るかまたは可変的であり得る。適切な計画は、この開示、ここで引用する資料、および当分野の知識から、当業者によって確認され得る。治療の用量、頻度および期間は、疾患の性質、被験者、および投与され得る他の治療を含む、多くの因子に依存する。
従って、多種多様な計画が組成物を投与するために使用され得る。一部の実施形態では、これらは単回投与で被験者に投与される。また別の実施形態では、これらは連続する2回以上の投与のシリーズで被験者に投与される。組成物が単回投与で、2回投与で、および/または3回以上の投与で投与される一部の他の実施形態では、用量は同じかまたは異なってもよく、これらは等しい間隔でまたは同じではない間隔で投与され得る。
本発明の組成物は、治療有効用量を送達する何らかの適切な頻度および時間範囲を含む、広い時間範囲にわたる多くの頻度で投与され得る。用量は連続的に送達され得、数時間毎に、1日1回以上、毎日、1日おきにまたは週に数回、またはより少ない頻度で投与され得る。一部の実施形態では、これらは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日間以上の期間にわたって投与される。一部の実施形態では、これらは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月以上の期間にわたって投与される。様々な実施形態において、これらは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10年間以上の期間にわたって投与される。一般に治療の長さは、疾患過程の長さ、適用される治療の有効性、および治療される被験者の状態および応答に比例する。
本発明の様々な実施形態において、阻害剤は、1日1から4回、等しい量で、等しい間隔で投与される。
製剤
本発明の様々な実施形態に従った医薬組成物は、1以上の非毒性で医薬的に許容される担体および/または希釈剤および/または佐剤(集合的にここでは「担体」材料と称する)および、所望する場合は、他の有効成分を含み得る。本発明の医薬的に活性な化合物は、ヒト患者および他の被験者への投与のための薬剤を生産するための薬学の従来の方法に従って加工され得る。
抗体を含む、タンパク質などの生物製剤の投与のための製剤は当分野において周知である。例えば、各々その全体が、特にタンパク質に基づく薬剤の製剤、安定化および送達に関する部分が参照により本明細書に組み込まれる、US6,171,586;WO2005/044854;US6,288,030;US6,267,958;WO2004/055164;US4,597,966;US2003/0138417;US6,252,055;US5,608,038;US6,875,432;US2004/0197324;WO02/096457;US5,945,098;US5,237,054;US6,485,932;US6,821,515;US5,792,838;US5,654,403;US5,908,826;EP0 804 163;およびWO2005/063291参照。前記およびその他に述べられているように、当分野で公知のタンパク質のための好ましい緩衝剤として、酢酸塩、コハク酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グルタミン酸、ヒスチジン、クエン酸塩、アスパラギン酸、および他の有機酸緩衝剤が挙げられる。
経口投与に関しては、医薬組成物は、例えば錠剤、カプセル、懸濁液または液体の形態であり得る。医薬組成物は、好ましくは有効成分の特定量を含む投与単位の形態で作製される。このような投与単位の例は、錠剤またはカプセルである。
治療のために、本発明の活性化合物は、通常、指示される投与経路に適切な1以上の佐剤と組み合わされる。経口で投与される場合、化合物は、ラクトース、スクロース、デンプン粉末、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、滑石、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウム塩およびカルシウム塩、ゼラチン、アカシアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルアルコールと混合され、その後好都合な投与のために錠剤化またはカプセル化され得る。このようなカプセルまたは錠剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース中の活性化合物の分散として提供され得るような制御放出製剤を含み得る。
非経口投与のための製剤は、水性または非水性等張無菌注射溶液または懸濁液の形態であり得る。これらの溶液および懸濁液は、経口投与用の製剤における使用に関して上述した担体または希釈剤の1以上を使用して、もしくは他の適切な分散剤または湿潤剤と懸濁化剤を使用することによって、無菌粉末または顆粒から製剤され得る。化合物は、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、トラガカントゴムおよび/または様々な緩衝液に溶解され得る。他の佐剤および投与様式は医薬技術分野において周知である。有効成分はまた、食塩水、デキストロースまたは水を含む適切な担体を伴う、もしくはシクロデキストリン(すなわちCaptisol)、共溶媒可溶化(すなわちプロピレングリコール)またはミセル可溶化(すなわちTween 80)を伴う組成物として注射によって投与され得る。
無菌注射用製剤はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌注射用溶液または懸濁液、たとえば1,3−ブタンジオール中の溶液であり得る。使用し得る許容される賦形剤および溶媒として、水、リンガー液および等張塩化ナトリウム溶液が挙げられる。加えて、無菌固定油は溶媒または懸濁媒質として慣例に使用される。このために、合成モノまたはジグリセリドを含む、いかなる無刺激性固定油も使用され得る。加えて、オレイン酸などの脂肪酸も注射用の製剤において使用され得る。
肺投与に関しては、医薬組成物は、エーロゾルの形態でまたは乾燥粉末エーロゾルを含む吸入器によって投与され得る。
医薬組成物は、滅菌などの従来の製薬操作に供され得るおよび/または防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤等のような従来の佐剤を含み得る。錠剤および丸剤は、付加的に腸溶剤皮と共に調整され得る。このような組成物はまた、湿潤剤、甘味料、香味料および香料などの佐剤を含み得る。
本発明の前記および他の態様に従った医薬組成物は、例えば組成物のpH、浸透圧モル濃度、粘度、透明度、色、等張性、におい、無菌性、安定性、溶解または放出の速度、吸着または浸透を調節する、維持するまたは保存するための製剤材料を含み得る。
適切な製剤材料は、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリシンなど);抗菌剤;抗酸化剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウムなど);緩衝剤(ホウ酸塩、重炭酸塩、トリス−HCl、クエン酸塩、リン酸塩、他の有機酸など);増量剤(マンニトールまたはグリシンなど)、キレート化剤[エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など];錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、β−シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンなど);充填剤;単糖;二糖および他の炭水化物(グルコース、マンノースまたはデキストリンなど);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなど);着色剤;香味料および賦形剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(ナトリウムなど);防腐剤(塩化ベンズアルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸または過酸化水素など);溶媒(グリセリン、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなど);糖アルコール(マンニトールまたはソルビトールなど);懸濁化剤;界面活性剤または湿潤剤(プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20、ポリソルベート80などのポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロールまたはチロキサポールなど);安定性向上剤(スクロースまたはソルビトール);張度増強剤(アルカリ金属ハロゲン化物(好ましくは塩化ナトリウムまたは塩化カリウム)、マンニトール、ソルビトールなど);送達ビヒクル;希釈剤;賦形剤および/または製薬佐剤を含むが、これらに限定されない。(Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,A.R.Gennaro,ed.,Mack Publishing Company,1990)。
最適医薬組成物は、例えば意図される投与経路、送達形式、および所望投与量に依存して、当業者によって決定される。例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences,上記参照。このような組成物は、特定結合剤の物理的状態、安定性、インビボでの放出速度およびインビボでの清掃速度に影響を及ぼし得る。
医薬組成物における主要ビヒクルまたは担体は、本来水性または非水性であり得る。例えば適切なビヒクルまたは担体は、注射用蒸留水、生理食塩水または人工脳脊髄液であり得、場合により非経口投与用組成物に一般的な他の材料を補足し得る。中性緩衝食塩水または血清アルブミンと混合した食塩水は、さらなる例示的ビヒクルである。他の例示的な医薬組成物は、約pH7.0から8.5のトリス緩衝液または約pH4.0から5.5の酢酸塩緩衝液を含み、これらはさらに、ソルビトールまたはこれらの適切な代用品を含み得る。本発明の1つの実施形態では、結合剤組成物は、凍結乾燥ケークまたは水溶液の形態で、所望純度を有する選択組成物を任意の製剤物質(Remington’s Pharmaceutical Sciences,上記)と混合することによって保存のために調製され得る。さらに、結合剤生成物は、スクロースなどの適切な賦形剤を用いて凍結乾燥物として製剤され得る。
医薬組成物は非経口送達のために選択され得る。あるいは、組成物は、吸入のためもしくは経口的、耳経路、眼経路、直腸経路、膣経路などの腸内送達のために選択され得る。このような医薬的に許容される組成物の調製は当分野の技術範囲内である。
製剤成分は、投与部位に適切な濃度で存在する。例えば緩衝液は、組成物を生理的pHにまたはわずかに低いpHに、典型的には約5から約8のpH範囲内に維持するために使用される。
非経口投与が考慮されるとき、本発明における使用のための治療組成物は、医薬的に許容されるビヒクル中に所望特定結合剤を含む発熱物質不含の非経口的に許容される水溶液の形態であり得る。非経口注射に特に適するビヒクルは、適切に保存された、結合剤が無菌等張溶液としてこの中に製剤される無菌蒸留水である。
さらにもう1つの調製は、その後蓄積注射によって送達され得る生成物の制御放出または持続放出を提供する、注射可能なミクロスフィア、生体腐食性粒子、ポリマー化合物(ポリ乳酸、ポリグリコール酸)、ビーズまたはリポソームなどの物質と所望分子との製剤を含み得る。ヒアルロン酸も使用でき、これは、循環中に維持される期間を促進する作用を有し得る。所望分子の導入のための他の適切な手段は、移植可能な薬物送達装置を含む。
もう1つの態様では、非経口投与に適する医薬製剤は、水溶液中で、好ましくはハンクス液、リンガー液または生理緩衝食塩水などの生理的に適合性の緩衝液中で製剤され得る。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランなどの、懸濁液の粘度を上昇させる物質を含み得る。加えて、活性化合物の懸濁液は、適切な油性注射懸濁液として調製され得る。適切な親油性溶媒またはビヒクルは、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルなどの合成脂肪酸エステル、トリグリセリド、またはリポソームを含む。非脂質ポリカチオン性アミノポリマーも送達のために使用され得る。場合により、懸濁液はまた、化合物の溶解度を高め、高度濃縮溶液の調製を可能にする適切な安定剤または物質を含み得る。
本発明のある実施形態に従った医薬組成物は、吸入のために適切であり得る。例えば結合剤は、吸入のための乾燥粉末として製剤され得る。ポリペプチドまたは核酸分子の吸入溶液はまた、エーロゾル送達のための推進剤と共に製剤され得る。さらにもう1つの実施形態では、溶液が噴霧され得る。肺投与は、化学修飾されたタンパク質の肺送達を述べる、PCT国際出願番号PCT/US94/001875においてさらに説明される。
また、ある製剤が経口的に投与され得ることが考慮される。本発明の1つの実施形態では、このようにして投与される結合剤分子は、錠剤またはカプセルなどの固体投与形態の配合において慣例的に使用される担体と共にまたは担体なしで製剤され得る。例えばカプセルは、バイオアベイラビリティーが最大化され、全身性となる前の分解が最小であるときに胃腸管内のこの地点で製剤の活性部分を放出するように設計され得る。付加的な物質が、結合剤分子の吸収を促進するために含まれ得る。希釈剤、香味料、低融点ろう、植物油、潤滑剤、懸濁化剤、錠剤崩壊剤および結合剤も使用され得る。
経口投与のための医薬組成物はまた、経口投与に適切な量で当分野で周知の医薬的に許容される担体を使用して製剤され得る。このような担体は、患者が摂取する医薬組成物が錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液として製剤されることを可能とする。
経口使用のための医薬組成物はまた、活性化合物を固体賦形剤と組み合わせること、および錠剤または糖衣錠コアを得るために生じた顆粒の混合物を加工すること(場合により、摩砕後)を通して得られ得る。適切な助剤が、所望する場合、添加され得る。適切な賦形剤は、ラクトース、スクロース、マンニトールおよびソルビトールを含む、糖などの炭水化物またはタンパク質充填剤;トウモロコシ、コムギ、イネ、ジャガイモまたは他の植物からのデンプン;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース;アラビアゴムおよびトラガカントゴムを含むゴム;およびゼラチンおよびコラーゲンなどのタンパク質を含む。所望する場合、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、およびアルギン酸またはアルギン酸ナトリウムなどの塩のような、崩壊剤または可溶化剤が添加され得る。
糖衣錠コアは、濃縮糖溶液などの適切な剤皮と共に使用され得、前記の適切な剤皮はまた、アラビアゴム、滑石、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含み得る。染料または色素は、生成物の特定のためまたは活性化合物の量、すなわち用量を特徴づけるために錠剤または糖衣錠剤皮に添加され得る。
経口的に使用され得る医薬製剤はまた、ゼラチンで作られるプッシュフィットカプセル、ならびにゼラチンとグリセロールまたはソルビトールなどの剤皮で作られる密閉軟カプセルを含む。プッシュフィットカプセルは、ラクトースまたはデンプンなどの充填剤または結合剤、滑石またはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および場合により安定剤と混合された活性成分を含み得る。軟カプセルでは、活性化合物は、安定剤を含むまたは含まない、脂肪油、液体、または液状ポリエチレングリコールなどの適切な液体中に溶解または懸濁され得る。
もう1つの医薬組成物は、錠剤の製造に適する非毒性賦形剤との混合物中に結合剤の有効量を含み得る。錠剤を滅菌水または他の適切なビヒクルに溶解することにより、溶液が、単位用量形態で調製され得る。適切な賦形剤は、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムまたは重炭酸ナトリウム、ラクトースまたはリン酸カルシウムなどの不活性希釈剤;もしくはデンプン、ゼラチンまたはアカシアなどの結合剤;もしくはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸または滑石などの潤滑剤を含むが、これらに限定されない。
さらなる医薬組成物は当業者に明白であり、持続または制御送達製剤中に結合剤分子を含有する製剤が含まれる。リポソーム担体、生体腐食性微粒子あるいは多孔性ビーズおよび蓄積注射などの、様々な他の持続または制御送達手段を製剤するための手法も当業者に公知である。例えば医薬組成物の送達のための多孔性ポリマー微粒子の制御放出を述べる、PCT/US93/00829参照。持続放出性製剤のさらなる例は、成形品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態の半透過性ポリマーマトリックスを含む。持続放性出マトリックスは、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(US3,773,919、EP58,481)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタメートのコポリマー[Sidman et al.,Biopolymers,22:547−556(1983)]、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)[Langer et al.,J.Biomed.Mater.Res.,15:167−277,(1981)]および[Langer et al.,Chem.Tech.,12:98−105(1982)]、エチレンビニルアセテート(Langer et al.,上記)またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133,988)を含み得る。持続放出性組成物はまた、当分野で公知のいくつかの方法のいずれかによって調製され得る、リポソームを含む。例えばEppstein et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA),82:3688−3692(1985);EP36,676;EP88,046;EP143,949参照。
インビボでの投与のために使用される医薬組成物は、典型的には無菌でなければならない。これは、滅菌ろ過膜を通してのろ過によって達成され得る。組成物が凍結乾燥される場合、この方法を用いた滅菌は、凍結乾燥および再溶解の前または後のいずれかに実施され得る。非経口投与のための組成物は、凍結乾燥形態でまたは溶液として保存され得る。加えて、非経口組成物は一般に、無菌アクセス口を有する容器、たとえば皮下注射針によって貫通できる栓を供えた静脈内溶液バッグまたはバイアルに納められる。
「医薬的に許容される塩」という用語は、アルカリ金属塩を形成するためおよび遊離酸または遊離塩基の付加塩を形成するために一般的に使用される塩を包含する。塩の性質は、これが医薬的に許容されることを条件として、決定的に重要ではない。化合物の適切な医薬的に許容される酸付加塩は、無機酸からまたは有機酸から調製され得る。このような無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸およびリン酸である。適切な有機酸は、有機酸の脂肪族、環状脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、複素環式、カルボン酸およびスルホン酸クラスから選択され得、これらの例は、ギ酸、酢酸、アジピン酸、酪酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモン酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ショウノウ酸、カンファースルホン酸、ジグルコン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ドデシルスルホン酸、グルコヘプタン酸、グリセロホスホン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ニコチン酸、2−ナフタレンスルホン酸、シュウ酸、パルモン酸、ペクチン酸、過硫酸、2−フェニルプロピオン酸、ピクリン酸、ピバル酸、プロピオン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、メシル酸、ウンデカン酸、ステアリン酸、アルギン酸、β−ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ガラクタル酸およびガラクツロン酸である。化合物の適切な医薬的に許容される塩基付加塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛から作られる塩などの金属塩、または第一級、第二級および第三級アミン、カフェイン、アルギニン、ジエチルアミン、N−エチルピペリジン、aistidine、グルカミン、イソプロピルアミン、リシン、モルホリン、N−エチルモルホリン、ピペラジン、ピペリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミンなどの、環状アミンを含む置換アミンから作られる塩を含む。これらの塩のすべてが、例えば適切な酸または塩基を化合物と反応させることにより、本発明の対応する化合物から従来の手段によって調製され得る。
ひとたび医薬組成物が製剤されれば、溶液、懸濁液、ゲル、乳剤、固体、もしくは脱水または凍結乾燥粉末として無菌バイアル中に保存され得る。このような製剤は、即時使用形態または投与前に再溶解を必要とする形態(例えば凍結乾燥)のいずれかで保存され得る。
キット
本発明はまた、前記に従った1以上のAng2阻害剤および1以上のVEGF阻害剤を含むキットを提供する。阻害剤は、1以上の容器内のキットに配置され得る。各々のこのような容器は、前記に従った1以上のAng2阻害剤と1以上のVEGF阻害剤を別々にまたは混合して含み得る。典型的には、このようなキットは医学的使用のために設計され、阻害剤は医薬的に許容される製剤中に含まれる。これに関する極めて好ましいキットとして、2×Con4(C)とAMG706を含むものが挙げられる。またこれに関する非常に好ましい実施形態として、阻害剤が別々の容器に配置されているキットが挙げられる。
さらなる好ましいキットは、これに一体化してまたは1以上の別途の書類として、内容物またはキットおよび阻害剤の使用に関する情報を含むものである。またさらなる好ましいキットとして、組成物が希釈剤への再溶解のために製剤されているものが挙げられる。これに関して、滅菌希釈剤の1以上の容器をさらに含むキットが特に好ましい。これに関するさらなる好ましい実施形態は、阻害剤の少なくとも1つが、隔壁によって密閉された部分的真空下でバイアル中に配置されており、非経口投与のために有効な製剤を形成するための再溶解に適するキットを含む。
本発明の好ましい実施形態はまた、1以上の阻害剤の単回投与包装を提供するキットを含む。好ましいキットはまた、阻害剤の1以上を投与するための単一または多チャンバー充填済み注射器(たとえば液体注射器およびリオシリンジ)を提供するものを含む。これに関して特に好ましいのは、注射器があらかじめ組み込まれているキットである。
本発明を、以下の例示的な非限定的実施例によってさらに説明する。当業者に明白な変法および変更は、付属の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲および性質に包含されることが意図されている。
Tek472/FcおよびAvastin(商標)
雌性CD1 Nu/Nuマウスに注射したColo205細胞の異種移植片を、以下で詳細に述べるように、(1)Avastin(商標)(第1群);(2)Avastin(商標)とTek472/Fcの両方(第2群);(3)HuIgG1とFc対照(第3群);および(4)Tek472/Fc(第4群)で処置した。
Colo205細胞を、6から8週齢、体重20から22グラムのCD1 Nu/Nuマウス雌性マウスに注射することによって腫瘍を誘導した。マウスはすべてCharles River Laboratories(Raleigh,NC,APR No.245658)より入手した。注射のためのColo205細胞を、10%FBS(Hyclone,Logan,Utah)を添加したMcCoy5A培地(Gibco/BRL,Grand Island,NY)において37℃で懸濁培養した。注射のために、細胞を培養から採集し、1×10細胞/mlの濃度までMatrigel(商標)(BD Bioscience,Bedford,MA,Cat No.354234)と混合した。2×10Colo205細胞を含む細胞−Matrigel(商標)混合物0.2mlを各マウスの右側腹部に皮下注射した。次にマウスを対照群と処置群(表1Aに要約する)に無作為に割り当て、印をつけて、計量した。
毎週2回、試験期間を通じて、各々の腫瘍の長さ、高さ、および幅を測定し、マウスを計量した。寸法測定から腫瘍容積を算定し(長さ×幅×高さ)、均一にmmで表わした。
使用前に、Tek472/Fc、Fc、HuIgG1、およびAvastin(商標)製剤を1mg/ml(0.1%)の濃度でPBSに希釈した。100μl用量を腹腔内または皮下投与した。処置量および投与経路を群全部について表1Aに示す。
Figure 0005615496
すべての処置は、細胞をマウスに注射した21日後に開始し、このときの腫瘍容積は約450mmであった。
試験全体を通して二重盲検手順を使用し、これにより腫瘍容積の測定者および薬剤の投与者は処置を知らされなかった。
すべての結果は、平均±平均の標準誤差(「SEM」)として表わしている。データを、StatViewソフトウエア、バージョン5.0.1(SAS Institute,Cary,NC)を使用して、反復測定についての要因分散分析で統計的に分析した。反復測定についてのp値を決定するためにScheffeのポストホック検定を使用した。0.05以下のp値を有する比較群を有意に異なるとみなした。
結果を図1にグラフで表わしており、これは、試験期間にわたって4つの群の各々についての腫瘍容積(平均±SEM)を示す。Avastin(商標)単独(第1群)またはTek472/Fc単独(第4群)での処置は、対照だけ(第3群)での処置と比較したとき腫瘍容積を有意に抑制した:Avastin(商標)に関してp<0.0001およびTek472/Fcに関してp=0.0175。Tek472/FcとAvastin(商標)の両方(第2群)による処置は、対照(第3群)での処置よりも有意に有効であった:p<0.0001。Tek472/FcとAvastin(商標)の両方(第2群)による処置はまた、Tek472/Fc単独(第1群)での処置よりも有意に有効であり、p<0.0001であった。しかし、Avastin(商標)だけでの処置は、Tek472/FcとAvastin(商標)の両方での処置と同程度に有効であった。
各々の群についての動物の平均体重は、試験期間にわたって統計的に有意に異ならなかった。
要約すると、腫瘍容積によって測定したとき、各々の薬剤単独および併用は、対照と比較して腫瘍増殖を有意に抑制した。併用群は、Tek472/Fc単独での処置を統計的に上回ったが(p<0.0001)、Avastin(商標)単独を上回らなかった。
抗Ang2(Ab536)および抗VEGF
雌性CD1 Nu/Nuマウスに注射したA431細胞の異種移植片を、表2Aおよび2Bおよび下記の考察においてより詳細に示すように、(1)対照ヒトIgG1(κ);(2)抗Ang2抗体(Ab536);(3)抗VEGF抗体;および(4)抗VEGF抗体と抗Ang2抗体(Ab536)の両方で処置した。
Figure 0005615496
Figure 0005615496
A431細胞をT−225フラスコで培養した。40継代後、試験のための細胞を80から85%の集密度まで増殖させ、その後トリプシン/EDTAを用いて採集した。採集した細胞を5×10細胞/mlの濃度でRPMI1740培地に懸濁した。試験のために使用した製剤中の細胞の95%より多くが、トリパンブルー排除法によって測定したとき生存可能であった。
無血清培地0.2mlに懸濁した1×10A431細胞を、6から8週齢、体重20から22グラムの40匹のCD1 Nu/Nu雌性マウスの右側腹部に注射することによって腫瘍を誘導した。
使用前に、抗Ang2、HuIgG1および抗VEGF抗体をPBSに希釈した。すべての処置を、細胞を注射した3日後、腫瘍が触知可能になる前に開始した。
処置を開始するため、各々の群のマウスに、試験中のその後の用量より3倍高い初回用量を注射した。群、初回用量、および継続用量は、表2Aおよび2Bに詳細に示されている。
実施例1で述べたように試験期間全体を通じて腫瘍を測定し、マウスを計量した。
結果を実施例1で述べたように表わし、データを分析した。
試験からのデータを図2に示す。
図2のグラフは、試験期間中の、第1群(対照)、第2群(抗Ang2抗体、Ab536)、第3群(抗VEGF抗体)、および第4群(両方の抗体)の各々についての平均腫瘍容積を示す。垂直のバーは±SEMを表わす。示されるp値は、Scheffeのポストホック検定と反復測定ANOVAを使用した時間の関数としての腫瘍容積に基づく対照(IgG1)(第1群)との比較を指す。
動物の体重を試験期間にわたって測定した。群全部が体重を維持し、この測定により、処置のいずれかが動物の全体的状態に有意に有害であることの証拠は存在しなかった。
図2に示すように、抗Ang2(Ab536)抗体単独(第2群)および抗VEGF抗体単独(第3群)による処置は、対照処置(第1群)よりも有意に異種移植片の増殖を抑制した:それぞれp=0.0012およびp=0.0004.両方の抗体による処置も、対照に比べて腫瘍増殖の統計的に有意の抑制を生じさせた、p<0.0001。しかし、両方の抗体による処置は、いずれか1つだけでの処置よりも有意に有効ではなかった。
2×Con4(C)およびAMG706−HT29異種移植片
雌性無胸腺ヌードマウスに注射したHT29細胞の異種移植片を、以下で述べるように2×Con4(C)単独、AMG706単独、または2つの組合せで処置した。
6から8週齢、体重21から23グラムの90匹の雌性無胸腺ヌードマウスにHT29細胞を皮下注射することによって腫瘍を誘導した。マウスはすべてHarlan Sprague Dawleyより入手した。注射のためのHT29細胞を、10%FBS(Hyclone,Logan,Utah)を添加したMcCoy5A1培地(Gibco/BRL,Grand Island,NY)において37℃で懸濁培養した。26継代後、試験のための細胞を半集密(約40%)まで増殖させ、その後トリプシン/EDTAを用いて採集した。細胞を1×10細胞/mlの濃度まで2:1の比率でMatrigel(商標)(BD Bioscience,Bedford,MA,Cat No.354234)と混合した。2×10HT29細胞を含む細胞−Matrigel(商標)混合物0.2mlを各マウスの右側腹部に皮下注射した。
注射の21日後に、90匹のマウスのうち40匹を、コンピュータのランダム化および分類プログラムを使用してコンピュータによって試験のために選択し、処置を開始した。
毎週2回、試験期間を通じて、各々の腫瘍の長さ、高さ、および幅を測定し、マウスを計量した。寸法測定から腫瘍容積を算定し(長さ×幅×高さ)、均一にmmで表わした。
使用前に、2×Con4(C)およびFc対照を各々PBS中で作業濃度(用量/0.1ml)に希釈した。AMG706は、メタンスルホン酸でpH2.0に調整したOra−Plus(登録商標)中で作業濃度(用量/0.2ml)に希釈した。化合物はすべて4℃で保存した。
マウスの各々の群についての処置計画を表3Aに示す。処置は、腫瘍移植の21日後に開始した。群を、(1)ビヒクルとFc対照(第1群)、(2)AMG706とFc(第3群)、(3)2×Con4(C)プラスビヒクル(第2群)、および(4)AMG706と2×Con4(C)(第4群)で処置した。2×Con4(C)は、週に2回、14μg/用量を皮下投与した(第2群)。AMG706は、毎日75mg/kgの用量で経口投与した(第3群)。同じ用量と投与スケジュールを2×Con4(C)とAMG706の併用処置のために使用した(第4群)。ビヒクルはAMG706についての対照として使用した。Fcは2×Con4(C)についての対照として使用した。第1群は2つの対照だけで処置した。
Figure 0005615496
結果を実施例1で述べたように表わし、データを分析した。
データを図3に示す。
図3のグラフは、試験期間中の、第1群(対照)、第2群(2×Con4(C))、第3群(AMG706)、および第4群(2×Con4(C)とAMG706)の各々についての平均腫瘍容積を示す。垂直のバーは±SEMを表わす。太い垂直の矢印で示すように、処置は移植後21日目に開始し、41日目に終了した。
動物の体重を試験期間にわたって測定した。体重はすべての群について比較的安定なままであった。この測定により、処置のいずれもが実質的に有害または毒性ではなかった。
腫瘍容積によって測定され、図3に示されるように、3つの処置群すべてが、対照と比較して、腫瘍増殖に対して統計的に有意の阻害作用を及ぼした:p<0.0001(第3および4群)、およびp=0.0078(第2群)。加えて、併用処置(第4群)は、2×Con4(C)だけ(第2群)、p=0.0385、またはAMG706だけ(第3群)、p<0.0001のいずれかによる処置よりも有意に有効であった。
2×Con4(C)および4TBPPAPC
以下で述べるように、雌性CD1 Nu/Nuマウスに注射したColo205細胞の異種移植片を、(1)対照ビヒクル、(2)4TBPPAPC(低用量)、(3)2×Con4(C)(低用量)、(4)4TBPPAPC(高用量)、(5)2×Con4(C)(高用量)、(6)4TBPPAPCと2×Con4(C)(どちらも低用量)、(7)4TBPPAPC(低用量)と2×Con4(C)(高用量)、(8)4TBPPAPC(高用量)と2×Con4(C)(低用量)、および(9)4TBPPAPCと2×Con4(C)(どちらも高用量)で処置した。
8から10週齢、体重202から25グラムの120匹の雌性CD1 Nu/NuマウスにColo205細胞を皮下注射することによって腫瘍を誘導した。マウスはすべてCharles River Laboratories(Raleigh,NC)より入手した。注射のためのColo205細胞(継代No.Xp9)を、T−225培養フラスコにおいて70%の集密度まで培養した。トリプシン/EDTAを使用して注射のために細胞を採集した。細胞は、トリプシンブルー排除法により>95%生存可能であった。細胞をMatrigel(商標)を1/3容積含む無血清培地に1×10細胞/mlになるまで再懸濁した。細胞を、2×10Colo205細胞を含む細胞−Matrigel(商標)混合物0.2mlを各マウスの右側腹部に皮下注射した。
腫瘍容積が約500mmであった、注射の21日後に、120匹のマウスのうち90匹を、コンピュータによるランダム化および分類によって試験のために選択し、これらのマウスに関して同じ日に処置を開始した。各群につき10匹のマウスであった。試験期間を通じて毎週2回、各々の腫瘍の長さ、高さ、および幅を測定し、移植後12日目からマウスを計量した。寸法測定から長さ×幅×高さとして腫瘍容積を算定し、均一にmmで表わした。
使用前に、2×Con4(C)をPBS中で作業濃度(用量/0.1ml)に希釈した。4TBPPAPCは、メタンスルホン酸でpH2.0に調整したOra−Plus(登録商標)中で作業濃度(用量/0.2ml)に希釈した。
処置は、腫瘍移植の21日後に開始した。処置計画は表4Aおよび4Bに詳細に示されている。
Figure 0005615496
Figure 0005615496
結果を実施例1で述べたように表わし、データを分析した。
データを図4Aから4Dに示す。すべての図において、データの点は群の平均値であり、垂直のバーは±SEMを表わす。
図4Aのグラフは、対照ビヒクル(第1群)、4TBPPAPC(低用量)(第2群)、2×Con4(C)(低用量)(第3群)、および4TBPPAPC(低用量)と2×Con4(C)(低用量)の両方(第6群)で処置したマウスについての平均腫瘍容積を示す。
図4Bのグラフは、対照ビヒクル(第1群)、4TBPPAPC(低用量)(第2群)、2×Con4(C)(高用量)(第5群)、および4TBPPAPC(低用量)と2×Con4(C)(高用量)の両方(第7群)で処置したマウスについての平均腫瘍容積を示す。
図4Cのグラフは、対照ビヒクル(第1群)、2×Con4(C)(低用量)(第3群)、4TBPPAPC(高用量)(第4群)、および4TBPPAPC(高用量)と2×Con4(C)(低用量)の両方(第8群)で処置したマウスについての平均腫瘍容積を示す。
図4Dのグラフは、対照ビヒクル(第1群)、4TBPPAPC(高用量)(第4群)、2×Con4(C)(高用量)(第5群)、および4TBPPAPC(高用量)と2×Con4(C)(高用量)の両方(第9群)で処置したマウスについての平均腫瘍容積を示す。
単剤または薬剤の組合せで処置されたすべての群が、ビヒクル対照と比較して腫瘍増殖の有意の低減を経験した(ビヒクル対照群と比較してすべての処置群についてp<0.0001)。
最適以下用量の両薬剤の組合せは、いずれかの薬剤単独の最適以下用量よりも有意に有効であった:4TBPPAPCと比較して組合せに関してはp=0.01、および2×Con4(C)と比較して組合せに関してはp=0.0026。
4TBPPAPCの最適以下用量と組み合わせた2×Con4(C)の最適用量で処置された群は、4TBPPAPC単独で処置された群よりも有意に大きな腫瘍容積の低減を経験した(p<0.0001)。しかし、この組合せ処置は、2×Con4(C)単独の最適用量での処置よりも有意に有効ではなかった。
4TBPPAPCの最適用量と組み合わせた2×Con4(C)の最適以下用量での処置は、2×Con4(C)の最適以下用量での処置よりも有意に有効であった(p<0.0001)。しかし、この組合せは、4TBPPAPCの最適用量での処置と有意に異ならなかった。
4TBPPAPCの最適用量と組み合わせた2×Con4(C)の最適用量での処置は、2×Con4(C)の最適用量での処置よりも有意に有効であった(p=0.0216)。しかし、組合せ処置は、4TBPPAPCの最適用量での処置よりも有意に有効ではなかった(p=0.0527)。このp値は0.05の有意性閾値のすぐ上である。
2×Con4(C)およびAMG706−Colo205異種移植片
雌性無胸腺ヌードマウスに注射したColo205細胞の異種移植片を、以下で述べるように2×Con4(C)単独、AMG706単独、または2つの組合せで処置した。8から10週齢の雌性無胸腺ヌードマウス(CD1 Nu/Nu)にColo205細胞を皮下注射することによって腫瘍を誘導した。マウスはすべてCharles River Laboratories(Raleigh,NC)より入手した。注射のためのColo205細胞をT−225培養フラスコで培養した。トリプシン/EDTAを使用して半集密培養から細胞を採集した。細胞は、トリプシンブルー排除法により95%以上生存可能であった。細胞を、10×10細胞/mlでRPMI(FBSおよびPSG不含)中の33%Matrigel(商標)に懸濁した。0.2ml中の2×10細胞を各マウスの右側腹部に皮下注射した。
注射後17日目に、腫瘍は平均200mmであり、マウスを各々10匹ずつの4群に無作為に分けた。第1群は、24.4mg/kgの用量のAMG706および2.8μgの用量のFcフラグメント対照を摂取した。第2群は、2.8μgの用量の2×Con4(C)およびpH2の水ビヒクルを摂取した。第3群は、24.4mg/kgの用量のAMG706および2.8μgの2×Con4(C)を摂取した。第4群は、pH2の水ビヒクルおよび2.8μgのFcフラグメント対照を摂取し、陰性対照として使用された。2×Con4(C)およびFcフラグメント対照の群には、週に2回皮下投与した。AMG706およびpH2の水ビヒクルの群には、25日目と26日目を除き、1日2回経口投与した。
実験は、Cancer Pharmacology Blinded Study Guidelinesに従って「盲検」で実施した。毎週2回腫瘍を測定し、体重を計量した。腫瘍は電子デジタルカリパスで測定した。腫瘍容積は、長さ×幅×高さの測定値として算定し、mmで表わした。
データは、STATVIEWバージョン5.0.1を使用して腫瘍容積対時間に関する反復測定ANOVAによって分析した。4群すべてに関して17日目から37日目まで、および第1、2、および3群については17日目から48日目までの反復測定に関するp値を決定するためにScheffeのポストホック検定を使用した。
AMG706と組み合わせた2×Con4(C)による処置(第3群)は、AMG706(第1群)または2×Con4(C)(第2群)と比較して腫瘍増殖を有意に抑制した(37日目にp<0.05)。加えて、AMG706と組み合わせた2×Con4(C)および2×Con4(C)の単剤群は、37日目に対照群と比較して腫瘍増殖を有意に抑制した(p<0.05)。AMG706と2×Con4(C)の併用投与(第3群)は、どちらの薬剤単独と比較しても腫瘍抑制を有意に増強した(48日目にp<0.0005)。4群すべてについての腫瘍サイズの時間経過を図5に示す。
いずれの群についても体重への影響は認めなかった。
2×Con4(C)(2.8μg)およびAvastin(商標)(30μg)
雌性無胸腺ヌードマウスに注射したColo205細胞の異種移植片を、以下で述べるように2×Con4(C)単独、Avastin(商標)、または2つの組合せで処置した。
8から10週齢の雌性無胸腺ヌードマウス(CD1 Nu/Nu)にColo205細胞を皮下注射することによって腫瘍を誘導した。マウスはすべてCharles River Laboratories(Raleigh,NC)より入手した。注射のためのColo205細胞をT−225培養フラスコで培養した。トリプシン/EDTAを使用して半集密培養から細胞を採集した。細胞は、トリプシンブルー排除法により95%以上生存可能であった。細胞を、10×10細胞/mlでRPMI(FBSおよびPSG不含)中の33%Matrigel(商標)に懸濁した。0.2ml中の2×10細胞を各マウスの右側腹部に皮下注射した。
注射後16日目に、腫瘍は平均300mmであり、マウスを各々10匹ずつの4群に無作為に分けた。第1群は、30μgの用量のIgG1および2.8μgの用量のFcフラグメント対照を摂取し、陰性対照として使用された。第2群は、30μgの用量のAvastin(商標)および2.8μgのFcフラグメント対照を摂取した。第3群は、2.8μgの用量の2×Con4(C)および30μgの用量のヒトIgG1を摂取した。第4群は、2.8μgの用量の2×Con4(C)および30μgのAvastin(商標)を摂取した。2×Con4(C)およびFcフラグメント対照を摂取したすべてのマウスには、週に2回皮下投与した。Avastin(商標)およびヒトIgG1を摂取したすべてのマウスには、週に2回腹腔内投与した。
実験は、Cancer Pharmacology Blinded Study Guidelinesに従って「盲検」で実施した。毎週2回腫瘍を測定し、体重を計量した。腫瘍は電子デジタルカリパスで測定した。腫瘍容積は、長さ×幅×高さの測定値として算定し、mmで表わした。
データは、STATVIEWバージョン5.0.1を使用して腫瘍容積対時間に関する反復測定ANOVAによって分析した。すべての群に関して16日目から51日目までの反復測定についてのp値を決定するためにScheffeのポストホック検定を使用した。
Avastin(商標)単独での処置(第2群)は、対照(第1群)と比較して有意の腫瘍抑制を示した(p<0.001)。2×Con4(C)単独での処置は腫瘍増殖の24%抑制を生じさせ、これは対照と比較して統計的に有意ではなかった。2×Con4(C)とAvastin(商標)の両方での処置は、対照と比較して(p<0.0001)および2×Con4(C)単独での処置と比較して(p<0.0001)有意の腫瘍抑制を生じさせた。2×Con4(C)とAvastin(商標)の両方での処置は、Avastin(商標)単独をわずかに上回る腫瘍増殖の抑制を示したが、この差は統計的に有意ではなかった。すべての群についての腫瘍サイズの時間経過を図6に示す。
いずれの群についても体重への影響は認めなかった。
2×Con4(C)(2.8μg)およびAvastin(商標)(10μg)
雌性無胸腺ヌードマウスに注射したColo205細胞の異種移植片を、以下で述べるように2×Con4(C)単独、Avastin(商標)、または2つの組合せで処置した。
8から10週齢の雌性無胸腺ヌードマウス(CD1 Nu/Nu)にColo205細胞を皮下注射することによって腫瘍を誘導した。マウスはすべてCharles River Laboratories(Raleigh,NC)より入手した。トリプシン/EDTAを使用して半集密培養から細胞を採集した。細胞は、トリプシンブルー排除法により95%以上生存可能であった。0.2ml中の2×10細胞を各マウスの右側腹部に皮下注射した。
注射後14日目に、腫瘍は平均250mmであり、マウスを各々10匹ずつの4群に無作為に分けた。第1群は、10μgの用量のIgG1および2.8μgの用量のFcフラグメント対照を摂取し、陰性対照として使用された。第2群は、10μgの用量のAvastin(商標)および2.8μgのFcフラグメント対照を摂取した。第3群は、2.8μgの用量の2×Con4(C)および10μgの用量のヒトIgG1を摂取した。第4群は、2.8μgの用量の2×Con4(C)および10μgのAvastin(商標)を摂取した。2×Con4(C)およびFcフラグメント対照を摂取したすべてのマウスには、週に2回皮下投与した。Avastin(商標)およびヒトIgG1を摂取したすべてのマウスには、週に2回腹腔内投与した。
実験は、Cancer Pharmacology Blinded Study Guidelinesに従って「盲検」で実施した。毎週2回腫瘍を測定し、体重を計量した。腫瘍は電子デジタルカリパスで測定した。腫瘍容積は、長さ×幅×高さの測定値として算定し、mmで表わした。
データは、STATVIEWバージョン5.0.1を使用して腫瘍容積対時間に関する反復測定ANOVAによって分析した。すべての群に関して14日目から42日目までの反復測定についてのp値を決定するためにScheffeのポストホック検定を使用した。
Avastin(商標)単独での処置は、対照と比較して腫瘍増殖の18%低下を示した。2×Con4(C)単独での処置は腫瘍増殖の22%抑制を生じさせた。2×Con4(C)とAvastin(商標)の両方での処置は、対照と比較して(p<0.0001)および2×Con4(C)単独またはAvastin(商標)での処置と比較して(どちらもp<0.0001)有意の腫瘍抑制を生じさせた。すべての群についての腫瘍サイズの時間経過を図7に示す。
いずれの群についても体重への影響は認めなかった。
前記説明から、当業者は本発明の基本的特徴を容易に確認することができ、この精神および範囲から逸脱することなく、本発明を様々な用途および条件に適合させるために様々な変更および修正を行うことができる。
言及したすべての参考文献、特許、出願および公開は、ここで記載されているかのごとくに、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
実施例1で述べる試験の期間中の腫瘍容積(平均±SEM)をグラフで示しており、実施例1の試験では、雌性CD1 Nu/NuマウスにおけるColo205結腸直腸癌細胞異種移植片腫瘍をTek472/FcプラスIgG(第4群)、Avastin(登録商標)プラスFc(第1群)、Tek472/FcおよびAvastin(登録商標)(第2群)、またはIgGプラスFc(陰性対照)(第3群)で処置した。 実施例2で述べる試験の期間中の腫瘍容積をグラフで示しており、実施例2の試験では、雌性CD1 Nu/NuマウスにおけるA431類表皮癌細胞異種移植片腫瘍を、(1)IgG1(対照)(第1群);(2)抗Ang2抗体(Ab536)および対照(第2群);(3)抗VEGF抗体および対照(第3群);および(4)抗VEGF抗体と抗Ang2抗体(Ab536)の両方(第4群)で処置した。各々データ点は群の平均値である。各々のバーは±SEMである。 実施例3で述べる試験の期間中の腫瘍容積をグラフで示しており、実施例3の試験では、雌性無胸腺ヌードマウスにおけるHT29ヒト結腸癌細胞異種移植片腫瘍を以下の組合せ:(1)ビヒクルとFc(第1群);(2)ビヒクルと2×Con4(C)(第2群);(3)AMG706とFc(第3群);および(4)AMG706と2×Con4(C)(第4群)で処置した。各々のバーはSEMの範囲を現す。 図4Aから4Dは、実施例4で述べる試験の結果をグラフで示しており、実施例4の試験では、雌性CD1 Nu/NuマウスにおけるColo205結腸直腸癌細胞異種移植片腫瘍を、表4Aおよび表4Bに示す、対照ビヒクル、2×Con4(C)および/または4TBPPAPCの9つの組合せで処置した。データは平均±SEMで示している(n=各々10匹のマウス)。 図4Aは、対照ビヒクル(第1群)、4TBPPAPCの最適以下用量(第2群)、2×Con4(C)の最適以下用量(第3群)、および4TBPPAPCの最適以下用量と2×Con4(C)の最適以下用量(第6群)で処置した、第1、2、3、および6群についての治療期間中の平均腫瘍容積をグラフで示す。 図4Aから4Dは、実施例4で述べる試験の結果をグラフで示しており、実施例4の試験では、雌性CD1 Nu/NuマウスにおけるColo205結腸直腸癌細胞異種移植片腫瘍を、表4Aおよび表4Bに示す、対照ビヒクル、2×Con4(C)および/または4TBPPAPCの9つの組合せで処置した。データは平均±SEMで示している(n=各々10匹のマウス)。 図4Bは、対照ビヒクル(第1群)、4TBPPAPCの最適以下用量(第2群)、2×Con4(C)の最適用量(第5群)、および4TBPPAPCの最適以下用量と2×Con4(C)の最適用量(第7群)で処置した、第1、2、5、および7群についての治療期間中の平均腫瘍容積をグラフで示す。 図4Aから4Dは、実施例4で述べる試験の結果をグラフで示しており、実施例4の試験では、雌性CD1 Nu/NuマウスにおけるColo205結腸直腸癌細胞異種移植片腫瘍を、表4Aおよび表4Bに示す、対照ビヒクル、2×Con4(C)および/または4TBPPAPCの9つの組合せで処置した。データは平均±SEMで示している(n=各々10匹のマウス)。 図4Cは、対照ビヒクル(第1群)、2×Con4(C)の最適以下用量(第3群)、4TBPPAPCの最適用量(第4群)、および4TBPPAPCの最適用量と2×Con4(C)の最適以下用量(第8群)で処置した、第1、3、4および8群についての治療期間中の平均腫瘍容積をグラフで示す。 図4Aから4Dは、実施例4で述べる試験の結果をグラフで示しており、実施例4の試験では、雌性CD1 Nu/NuマウスにおけるColo205結腸直腸癌細胞異種移植片腫瘍を、表4Aおよび表4Bに示す、対照ビヒクル、2×Con4(C)および/または4TBPPAPCの9つの組合せで処置した。データは平均±SEMで示している(n=各々10匹のマウス)。 図4Dは、対照ビヒクル(第1群)、4TBPPAPCの最適用量(第4群)、2×Con4(C)の最適用量(第5群)、および4TBPPAPCの最適用量と2×Con4(C)の最適用量(第9群)で処置した、第1、4、5、および9群についての治療期間中の平均腫瘍容積をグラフで示す。 実施例5で述べるように、AMG706(第1群)、2×Con4(C)(第2群)、AMG706と2×Con4(C)の両方(第3群)、およびFC/ビヒクル(第4群)で処置したCD1 Nu/NuマウスにおけるColo205結腸直腸癌細胞異種移植片の治療期間中の平均腫瘍容積をグラフで示す。 実施例6で述べるように、2×Con4(C)(第3群)、Avastin(商標)(第2群)、2×Con4(C)とAvastin(商標)の両方(第4群)、および対照(第1群)で処置したCD1 Nu/NuマウスにおけるColo205結腸直腸癌細胞異種移植片の治療期間中の平均腫瘍容積をグラフで示す。 実施例7で述べるように、2×Con4(C)(第3群)、Avastin(商標)(第2群)、2×Con4(C)とAvastin(商標)の両方(第4群)、および対照(第1群)で処置したCD1 Nu/NuマウスにおけるColo205結腸直腸癌細胞異種移植片の治療期間中の平均腫瘍容積をグラフで示す。

Claims (7)

  1. (a)2×Con4(C)および(b)モテサニブ二リン酸を含む、固形腫瘍を治療するための組成物。
  2. 組成物が、結腸癌を治療するためのヒト患者への投与に適する、請求項1に記載の組成物。
  3. 固形腫瘍を治療するための、2×Con4(C)とモテサニブ二リン酸との組み合わせ医薬
  4. 2×Con4(C)とモテサニブ二リン酸を異なる時点で連続的に投与する、請求項3に記載の組み合わせ医薬
  5. 2×Con4(C)とモテサニブ二リン酸を同時に投与する、請求項3に記載の組み合わせ医薬
  6. 固形腫瘍が結腸癌である、請求項3に記載の組み合わせ医薬
  7. モテサニブ二リン酸を約25mgから約125mgの用量で1日1回投与する、請求項3に記載の組み合わせ医薬
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