JP5566708B2 - 鞍乗型車両のカウリング構造 - Google Patents
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Description
本発明が解決しようとする課題は,エンジンの冷却やライダーへの防風性を向上させることができる鞍乗型車両のカウリング構造を提供することである。
車体フレームと,
この車体フレームに懸架されたエンジンと,
このエンジンの後方かつ上方に配置された,ライダー着座用のシートと,
前記エンジンの下方の少なくとも一部を覆うアンダーカウルとを備えた鞍乗型車両のカウリング構造であって,
前記アンダーカウルは少なくともエンジンの側面の一部を覆うように形成するとともに,該アンダーカウルの上部に,該アンダーカウルの側面から折り曲げるように形成され、車幅方向内方かつエンジン側面に指向して延出するガイド部を設け,このガイド部の前方において,走行風をアンダーカウル内に導入する開口を設けたことを特徴とする。
この鞍乗型車両のカウリング構造によれば,アンダーカウルでエンジン側面を覆っても,エンジン側面に走行風を開口及びガイド部で導くことができる。したがって,エンジンの冷却性が向上する。
望ましくは、前記開口は前記アンダーカウルの外側面に設けられており、該外側面には、前記開口より下方前方に向かって延び,車幅方向内側に凹む導風ガイド部が形成されている構成とする。
また望ましくは、前記アンダーカウルの前部には、下方前方に向かって延び、導風ガイドとしての役割を果たす前面が形成され、該前面は、車体の左右を覆うサイドカウルの外側面とは独立した面を構成する。
また望ましくは、前記アンダーカウルの上部には,エンジン側部のウォーターポンプを逃がすための逃げ部が設けられているとともに,前記前面は、前記逃げ部より下方前方に向かって延びている構成とする。
望ましくは,前記ガイド部は,車両前方から後方に向かうにしたがって,下方に傾斜する傾斜面を有している構成とする。
このように構成すると,ガイド部の傾斜面によって,走行風をアンダーカウル上方に向けてではなく,下方に向けて導くことができる。したがって,ライダーへの防風効果を高めることができる。
また望ましくは,前記アンダーカウルは,前面視にて,下端を頂点とするV字形状に形成されているとともに,平面視にて,後方に向かうにしたがって,幅が拡大する形状に形成されている構成とする。
このように構成すると,アンダーカウルの外面により導かれる走行風は,車幅方向外方に向かいやすくなる。したがって,ライダーへの防風性を高めることができる。
また望ましくは,前記アンダーカウルとエンジン前部との間に走行風導入部を設け,前記アンダーカウルとエンジン下部との間に走行風開放部を設けた構成とする。
このように構成すると,アンダーカウルとエンジン前部との間の走行風導入部から導入された走行風が,アンダーカウルとエンジン下部との間の走行風開放部から排出されやすくなる。したがって,エンジンの冷却性を高めると同時に,ライダー側へ温まった空気が流れることを抑制することができる。
また望ましくは,前記傾斜面の後方側にサイレンサを配置するとともに,該サイレンサに接続される排気管をアンダーカウルに沿わせて配置した構成とする。
このように構成すると,ガイド部の傾斜面で整流された走行風が排気管及びサイレンサに向かいやすくなる。したがって,排気管及びサイレンサをも冷却することが可能となる。
また望ましくは,前記アンダーカウルは,その後部を車体フレームに固定するとともに,前部を車両側面に垂下したカバー部材に固定した構成とする。
このように構成すると,アンダーカウルとの車体との固定が,アンダーカウル前部についはカバ一部材を介して行なわれているため,走行風が強く作用した場合には,アンダーカウル自体が変形し易い状態となる。この結果,アンダーカウルとエンジン,車体構造物とのクリアランスが拡大しやすくなるため,走行風の抜けを良好とすることができる。また,アンダーカウルの軽量化を図すことができるとともに,車体への締結部の削減による生産性の向上も図ることができる。
図1,図2に示すように,この自動二輪車1は,車体をなす車体フレーム10を有している。車体フレーム10は,車体フレーム10の前端を構成するヘッドパイプ11と,このヘッドパイプ11から後方に延びるメインフレーム12と,このメインフレーム12の後部に設けられたピボットプレート13と,このピボットプレート13および前記メインフレーム12から後方に延びるシートレール14と,前記ヘッドパイプ11から後下方に延びるダウンチューブ15とを有している。
メインフレーム12,ピボットプレート13,およびダウンチューブ15に対してエンジン16が懸架(固定)されている。
ピボットプレート13にスイングアーム17がピボット軸13pで上下スイング自在に取り付けられており,このスイングアーム17の後端部に駆動輪である後輪1Rが回転可能に取り付けられている。後輪1Rはエンジン16で駆動される。
シートレール14の上部にはライダーが着座するシート18が設けられている。シート18は,エンジン16の後方かつ上方に配置されている。
これらのカウルは,適宜の構造により車体フレーム10に対して直接または間接的に取り付けることができる。
例えば,フロントカウル20は,ヘッドパイプ11から前方へ向けて突出させて設けたステー22に取り付けることができる。アッパカウル40はフロントカウル20同様ステー22に直接取り付けることもできるし,フロントカウル20を介してステー22に取り付けることもできる。ミドルカウル50は,内側にインナーパネル60を配置するとともに,後方にサイドパネル70を配置し,これらインナーパネル60,サイドパネル70を介して車体フレーム10に取り付けることができる。インナーパネル60,サイドパネル70も,それぞれ車体フレーム10に対して直接または間接的に取り付けることができる。
アンダーカウル80も車体フレーム10に対して直接または間接的に取り付けることができる。その具体例については後述する。
すなわち,アンダーカウル80は図2に示すように少なくともエンジン16の側面の一部を覆うように形成されているとともに,図2,図4〜図6に示すようにアンダーカウル80の上部には,車幅方向内方かつエンジン側面に指向して延出するガイド部81が設けられ,このガイド部81の前方において,走行風をアンダーカウル80内に導入する開口82が設けられている。
このカウリング構造によれば,アンダーカウル80でエンジン16の側面を覆っても,エンジン側面に走行風を開口82及びガイド部81で導くことができる。すなわち開口82からアンダーカウル80内へ入った走行風はガイド部81によってエンジン16に向けて案内される。したがって,エンジン16の冷却性が向上する。
両カウル80R,80Lのうち,例えば図1に示すように一方のカウル(この場合右カウル80R)のみを上記の構成としても良いし,例えば図3に示すように,両カウル80R,80Lとも上記の構成としても良いため,以下特に必要がない限り,右カウル80Rを代表させて説明する。
このように構成すると,アンダーカウル80内に入った走行風が図2,図5に矢印A1で示すように,ガイド部81の傾斜面81bによって,アンダーカウル上方に向かってではなく,下方に向かって導かれる。したがって,ライダーへの防風効果を高めることができる。
起立壁部86bの上部には,アンダーカウル80を車体フレーム10に直接または間接的に取り付けるための取付部86が設けられている。図5,図6において86rは起立壁部86bの補強リブである。
このように構成すると,アンダーカウル80の外面により導かれる走行風は,図3および図5(b)に矢印A2で示すように車幅方向外方に向かいやすくなる。したがって,ライダーへの防風性を高めることができる。
このように構成すると,走行風導入部80iからカウル内に導入された走行風が,走行風開放部80oから排出されやすくなる。したがって,エンジン16の冷却性を高めると同時に,ライダー側へ温まった空気が流れることを抑制することができる。
このように構成すると,ガイド部81の傾斜面81bで整流された走行風が矢印A1で示すように排気管16e及びサイレンサ16sに向かいやすくなる。したがって,排気管16e及びサイレンサ16sをも冷却することが可能となる。
この実施の形態では,アンダーカウル80は,その後部に設けた固定部84をネジ85で車体フレーム10をなすピボットプレート13に固定するとともに,前部に設けた取付部86を車両側面に垂下したカバー部材であるサイドパネル70の下部71に固定してある。
結合手段87は,図5(a),(c)および,同(d)〜(h)に順次示されるように,一方のカウル80Rに設けた差し込み用穴80R1とこの穴80R1に差し込まれる他方のカウルに設けた差し込み部80L1,一方のカウル80Rに設けた係合爪80R2とこの係合爪80R2に係合する他方のカウル80Lに設けた係合用穴80L2,一方のカウル80Rに設けた位置決め用凹部80R3とこの凹部80R3に嵌り合う他方のカウル80Lに設けた位置決め用突片80L3,両カウルにそれぞれ設けた結合用穴80R4,80L4,および一方のカウル80Rに設けた位置決め用突片80R5とこの突片80R5に嵌り合う他方のカウル80Lに設けた位置決め用凹部80L5を有している。
左右のアンダーカウル80L,80Rは,結合手段87における上記各部をそれぞれ上記の通り係合等させることによって結合される。両カウルの結合用穴80R4,80L4同士は図示しないボルトナット等で結合される。
なお,上記の説明では,一方のカウルを80R,他方のカウルを80Lとして説明したが左右逆にしてもかまわない。また,左右のアンダーカウル80R,80Lは同一構成とすることもできる。
例えば,図7に示すように,アンダーカウル80の取付部86は,車体フレーム10をなすダウンチューブ15に一体に設けたステー15sに固定することもできる。
16 エンジン
16e 排気管
16s サイレンサ
18 シート
70 カバー部材
80i 走行風導入部
80o 走行風開放部
80 アンダーカウル
81 ガイド部
82 開口
81b 傾斜面
Claims (9)
- 車体フレーム(10)と,
この車体フレーム(10)に懸架されたエンジン(16)と,
このエンジン(16)の後方かつ上方に配置された,ライダー着座用のシート(18)と,
前記エンジン(16)の下方の少なくとも一部を覆うアンダーカウル(80)とを備えた鞍乗型車両のカウリング構造であって,
前記アンダーカウル(80)は少なくともエンジン(16)の側面の一部を覆うように形成するとともに,該アンダーカウル(80)の上部に,該アンダーカウル(80)の側面から折り曲げるように形成され、車幅方向内方かつエンジン側面に指向して延出するガイド部(81)を設け,このガイド部(81)の前方において,走行風をアンダーカウル(80)内に導入する開口(82)を設けたことを特徴とする鞍乗型車両のカウリング構造。 - 前記開口(82)は前記アンダーカウル(80)の外側面に設けられており、該外側面には、前記開口(82)より下方前方に向かって延び,車幅方向内側に凹む導風ガイド部(82g)が形成されていることを特徴とする請求項1記載の鞍乗型車両のカウリング構造。
- 前記アンダーカウル(80)の前部には、下方前方に向かって延び、導風ガイドとしての役割を果たす前面(80f)が形成され、該前面(80f)は、車体の左右を覆うサイドカウル(30)の外側面とは独立した面を構成していることを特徴とする請求項1または2記載の鞍乗型車両のカウリング構造。
- 前記アンダーカウル(80)の上部には,エンジン(16)側部のウォーターポンプ(16w)を逃がすための逃げ部(80b)が設けられているとともに,前記前面(80f)は、前記逃げ部(80b)より下方前方に向かって延びていることを特徴とする請求項3記載の鞍乗型車両のカウリング構造。
- 前記ガイド部(81)は,車両前方から後方に向かうにしたがって,下方に傾斜する傾斜面(81b)を有していることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の鞍乗型車両のカウリング構造。
- 前記アンダーカウル(80)は,前面視にて,下端を頂点とするV字形状に形成するとともに,平面視にて,後方に向かうにしたがって,幅が拡大する形状に形成したことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の鞍乗型車両のカウリング構造。
- 前記アンダーカウル(80)とエンジン前部との間に走行風導入部(80i)を設け,前記アンダーカウル(80)とエンジン下部との間に走行風開放部(80O)を設けたことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の鞍乗型車両のカウリング構造。
- 前記傾斜面(81b)の後方側にサイレンサ(16s)を配置するとともに,該サイレンサ(16s)に接続される排気管(16e)を前記アンダーカウル(80)に沿わせて配置したことを特徴とする請求項5〜7のうちいずれか一項に記載の鞍乗型車両のカウリング構造。
- 前記アンダーカウル(80)は,その後部(83)を車体フレーム(10)に固定するとともに,前部(86)を車両側面に垂下したカバー部材(70)に固定したことを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の鞍乗型車両のカウリング構造。
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