JP4028691B2 - 自動二輪車のカウリング構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車のカウリング構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車のカウリング構造として、例えば実公平2−10071号公報「カウリング付自動二輪車」が知られている。
上記技術は、同公報の第2図及び第3図によれば、アンダーカウリング47の底部側面49に走行風取入口71及び走行風導入ガイド部72を一体的に設け、この走行風取入口71から走行風を導入することで、排気管32及び膨張チャンバー33の冷却を積極的にしようしたカウリング付自動二輪車である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のカウリング付自動二輪車では、走行風取入口71を大きく形成すると、アンダーカウリング47で囲った部分が見えやすくなることもある。
また、十分に走行風取入口71を大きく形成できないと、排気管32及び膨張チャンバー33に所定の走行風を導くことができず、排気管32及び膨張チャンバー33の冷却を効率よくできないこともある。
【0004】
そこで、本発明の目的は、カウリングに十分な大きさの導風口を開け、走行風を十分に導くことのできる自動二輪車のカウリング構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の自動二輪車のカウリング構造は、前後輪間にエンジンを配置し、このエンジンの下方にサイレンサを配置し、このサイレンサの左右側面をもカウリングで囲った自動二輪車において、カウリングは、サイレンサの先方位置で分割可能にし、前側カウルの後端に車体中心に向って窪む窪みを形成し、後側カウルの前端に前面開口部を形成し、この前面開口部と窪みとを合せることで、サイレンサ冷却のための大きな導風口を形成したことを特徴とする。
【0006】
例えば、走行風を利用して自動二輪車のサイレンサ等を冷却するようにすることは、自然の走行風を利用するだけでよいので、環境保護の観点から好ましいことではある。
そこで、サイレンサの先方位置で前側カウルと後端カウルにカウリングを分割分割可能に形成し、前側カウルの後端に車体中心に向って窪む窪みを形成し、後側カウルの前端に前面開口部を形成する。そして、前側カウルの後端の窪みと後側カウルの前面開口部とを合せることで筒状に導風口を形成する。
【0007】
すなわち、前面開口部と窪みとを合せるようにすることで、例えば、後側カウルで前側カウルを覆うこともでき、内部を見えにくくすることもできる。この結果、サイレンサ冷却のために大きな導風口を形成することができ、サイレンサを十分に冷却することができる。
【0008】
請求項2は、エンジンのクランク軸の側部をカバー部材で覆い、このカバー部材の廻りにフランジ部を形成し、これらのカバー部材及びフランジ部を一括して前記カウリングから露出させるようにしたことを特徴とする。
エンジンのクランク軸の側部をカバー部材で覆い、このカバー部材の廻りにフランジ部を形成し、これらのカバー部材及びフランジ部を一括して前記カウリングから露出させるようにすることで、カウリングの面積を小さく形成する。この結果、カウリングを小さく見せることで軽快感のあるデザインを演出することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。
なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従う。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0010】
図1は本発明に係るカウリング構造を採用した自動二輪車の側面図であり、自動二輪車10の外観を示す。
自動二輪車10は、車体フレーム20の前部にフロントフォーク31を介して取付けた前輪32と、車体フレーム20の後部にスイングアーム33を介して取付けた後輪34と、車体フレーム20の長手中央下部に取付けたエンジン40と、車体フレーム20の長手中央上部に取付けたエアクリーナ53、燃料タンク55並びにシート56とを備える。
【0011】
本発明は、前・後輪32,34間に直列4気筒のエンジン40を配置するとともに、エンジン40の下方にサイレンサ70を配置したことを特徴とする。サイレンサ70は、車体フレーム20又はエンジン40に取付けることになる。
【0012】
また、自動二輪車10のカウリング100は、車体前部の上部を覆うフロントカウル101と、車体前部の中部を覆う左右のミドルカウル111(この図では右のみ示す。以下同じ。)と、車体下部並びにサイレンサ70の側面を覆う左右のロアカウル121と、車体後部を囲うリヤカウル131とからなる。
【0013】
フロントカウル101と左右のミドルカウル111と左右のロアカウル121とは、ビス止めによって分割可能に結合し合う。詳しく述べると、カウリング100は、フロントカウル101の下部に対し左右のミドルカウル(前側カウル)111の上部前部を分割可能にし、また、サイレンサ70の前方位置で、ミドルカウル111の下部後端部に対しロアカウル(後側カウル)121の前端部を分割可能にしたものである。
【0014】
フロントカウル101は、上部にウインドスクリーン102を備えるとともに、前部に左右一対のエア吸入口103を備える。
また、ミドルカウル(前側カウル)111の下部後端に車体中心に向って窪む窪み112を形成し、ロアカウル(後側カウル)121の前端に前面開口部122を形成し、この前面開口部122と窪み112とを合せることで、サイレンサ70を冷却するための大きな導風口123を形成することができる。
【0015】
さらにこの図は、リヤカウル131の下方に配置するリヤフェンダ140をスイングアーム33に取付けたことを示す。本発明は、リヤカウル131の下縁132を後上方へほぼ直線的に傾斜させ、リヤフェンダ140の上面141をリヤカウル131の下縁132に平行になるように後上方へほぼ直線的に傾斜させたことを特徴とする。
【0016】
図中、47はエンジンのクランク軸、48はカバー部材(クランク軸カバー)、91はハンドル、92はミラー、93はヘッドランプ、94はウインカ、95はフロントフェンダ、96はリヤクッションユニット、97はクッション用リンクである。上記サイレンサ70の後部は、クッション用リンク97の近傍まで延びる。
【0017】
図2は本発明に係る自動二輪車のカウリング構造に搭載した吸・排気系構造の要部斜視図である。
自動二輪車10の吸気系51は、上記図1に示すフロントカウル101に設けた左右一対のエア吸入口103と、これらのエア吸入口103から後方へ延ばした左右一対のエアダクト(吸気ダクト)52,52と、これらのエアダクト52,52の先に接続したエアクリーナ53とからなる。エアクリーナ53を、車体フレーム20の左右一対のメインパイプ21,21間に配置するようにした。22はヘッドパイプである。
【0018】
エンジン40は、上部前部に4つの排気口41〜44を左右1列に配列した4気筒エンジンであり、下部後部にオイルパン45を備える。
自動二輪車10の排気系58は、エンジン40の排気口41〜44から延ばしたエキゾーストパイプ60並びにこのエキゾーストパイプ60に接続したサイレンサ70を介して排気ガスを排出する装置である。
【0019】
サイレンサ70としては、ガス入口73の近傍にガス出口74を設けた形式のものを採用する。ガス入口73を後輪34側に臨ませた状態でサイレンサ70をエンジン40の下方に配置するとともに、エキゾーストパイプ60を後輪34の近傍まで延ばした状態でサイレンサ70のガス入口73に接続するようにした。
【0020】
ここで、4つの排気口については、車体左側(この図の右側)から右側へこの順に第1排気口41、第2排気口42、第3排気口43、第4排気口44と言う。
エキゾーストパイプ60は、4つのパイプ(第1パイプ61、第2パイプ62、第3パイプ63及び第4パイプ64)と、3つの集合筒(第1集合筒65、第2集合筒66及び第3集合筒67)とからなる。
【0021】
第1排気口41に一端を接続した第1パイプ61は、右下方へ延びた後に、更にオイルパン45の右側を通りつつ後方へ延びる。同様に、第2排気口42に一端を接続した第2パイプ62も、右下方へ延びた後に、更にオイルパン45の右側を通りつつ後方へ延びる。そして、第1パイプ61の他端と第2パイプ62の他端とを、第1集合筒65に接続することで1つに集合する。第1集合筒65は、オイルパン45の右側を通りつつ後方へ延びた後に、更に左へ延びる。
【0022】
一方、第3排気口43に一端を接続した第3パイプ63は、左下方へ延びた後に、更にオイルパン45の左側を通りつつ後方へ延びる。同様に、第4排気口44に一端を接続した第4パイプ64も、左下方へ延びた後に、更にオイルパン45の左側を通りつつ後方へ延びる。そして、第3パイプ63の他端と第4パイプ64の他端とを、第2集合筒66に接続することで1つに集合する。第2集合筒66は、オイルパン45の左側を通りつつ後方へ延びる。
【0023】
さらに、第1集合筒65の他端と第2集合筒66の他端とを、第3集合筒67に接続することで1つに集合する。このようにして、4つのパイプ61〜64を1つの第3集合筒67にまとめることができる。そして、第3集合筒67を後方へ延してガス入口73に接続する。
【0024】
図3は本発明に係る自動二輪車のカウリング構造に採用したサイレンサの平面断面図である。
サイレンサ70は、前後に細長く閉塞された筒状の筒部71と、筒部71の後端部72に設けたガス入口73並びにガス出口74と、筒部71内を長手方向に3つの膨張室75〜77に仕切る第1仕切板78並びに第2仕切板79とからなる。
【0025】
このようにして筒部71内に、後端部72から前方(この図の右側)へ第1膨張室75、第2膨張室76、第3膨張室77をこの順に設けることができる。ガス入口73に第1膨張室75を連通させ、第1膨張室75に第3膨張室77を第1連通管81で連通させ、第3膨張室77に第2膨張室76を第2連通管82で連通させ、第2膨張室76にガス出口74を第3連通管83で連通させ、ガス出口74にテールパイプ84を接続する。
排気ガスが第1・第2・第3膨張室75〜77に入った際の膨張作用により、排気音を減衰させることができる。
【0026】
図4は本発明に係る自動二輪車のカウリング構造を示すカウリングの前からの斜視図であって、前述したように、111は前側カウルとしてのミドルカウル、112はミドルカウル111の窪み、121は後側カウルとしてのロアカウル、122は前面開口、123は窪み111と全面開口部122で形成した導風口、124・・・(・・・は複数個を示す。以下同じ)は車体フレーム20(図1参照)にロアカウル121を止める止めねじである。
【0027】
図5は本発明に係る自動二輪車のカウリング構造を示すカウリングの横からの斜視図である。
すなわち、本発明に係る自動二輪車のカウリング構造は、前後輪32,34(図1参照)間にエンジン40を配置し、このエンジン40の下方にサイレンサ70を配置し、このサイレンサ70の左右側面をもカウリング100で囲った自動二輪車10において、カウリング100は、サイレンサ70の先方位置で分割可能にし、ミドルカウル111(前側カウル)の後端に車体中心に向って窪む窪み112を形成し、ロアカウル121(後側カウル)の前端に前面開口部122を形成し、この前面開口部122と窪み112とを合せることで、サイレンサ70冷却のための大きな導風口123を形成したものであると言える。
【0028】
例えば、走行風を利用して自動二輪車10(図1参照)のサイレンサ70等を冷却するようにすることは、自然の走行風を利用するだけでよいので、環境保護の観点から好ましいことではある。
そこで、サイレンサ70の先方位置でミドルカウル111とロアカウル121にカウリング100を分割分割可能に形成し、ミドルカウル111の後端に車体中心に向って窪む窪み112を形成し、ロアカウル121の前端に前面開口部122を形成する。そして、ミドルカウル111の後端の窪み112とロアカウル121の前面開口部122とを合せることで導風口123を形成する。
【0029】
すなわち、前面開口部122と窪み112とを合せるようにすることで、例えば、ロアカウル121でミドルカウル111を覆うこともでき、内部を見えにくくすることもできる。この結果、サイレンサ70冷却のために大きな導風口123を形成することができ、サイレンサを十分に冷却することができる。
また、エンジン40のクランク軸47の側部をクランク軸カバー48(カバー部材)で覆い、このカバー部材48の廻りにフランジ部48aを形成し、これらのクランク軸カバー48及びフランジ部49を一括してカウリング100(図1参照)から露出させるようにすることで、カウリング100の面積を小さく形成する。この結果、カウリング100を小さく見せることで軽快感のあるデザインを演出することができる。
【0030】
図6は本発明に係る自動二輪車のカウリング構造を採用したリヤフェンダの側面図であり、例えば、リヤフェンダ140に泥よけ以外の機能をも付加することで自動二輪車10のデザインを向上させることのできるとすれば、自動二輪車のデザインを新規なものにすることができ好ましいことである。
そこで、リヤフェンダ140は、リヤカウル131の下縁132を後上方へほぼ直線的に傾斜させ、リヤフェンダ140の上面をリヤカウル131の下縁132に平行になるように後上方へほぼ直線的に傾斜させたことを示す。図中、35は後輪軸、36はピボット軸、142はリヤフェンダ140に形成した突出部を示す。
【0031】
すなわち、自動二輪車のリヤフェンダ構造は、車体後部をリヤカウル131で囲い、このリヤカウル131の下方に配置するリヤリヤフェンダ140をスイングアーム33に取付けた自動二輪車10において、リヤカウル131の下縁132を後上方へほぼ直線的に傾斜させ、リヤフェンダ140の上面をリヤカウル131の下縁132に平行になるように後上方へほぼ直線的に傾斜させたものであると言える。
【0032】
自動二輪車のリヤフェンダ構造は、リヤフェンダ140の上面をリヤカウル131の下縁132に平行になるように後上方へほぼ直線的に傾斜させたので、リヤカウル131の下縁132とリヤフェンダ140後上方との間の走行風の流れの改善をすることができる。この結果、リヤフェンダ140にダウンフォースを発生させ、後輪34を下方に抑え付けるリヤスポイラの効果を付加することができる。また、自動二輪車10のデザインにリヤスポイラの効果を付加することで、自動二輪車10のデザインの向上を図ることができる。
【0033】
また、リヤフェンダ140に後輪軸35よりも後方に突出させた突出部142を備えることで、外観意匠の向上を図ることができる。
【0034】
そして、スイングアーム33に、車体略中心に且つ車体フレーム20(図1参照)との間にリヤクッションユニット96を備え、リヤクッションユニット96の上端をスイングアーム33の上部に結合させ、リヤクッションユニット96の上端を車体フレーム20下部に結合させることで、例えば、後輪34とリヤカウル131の上下間を開けることができる。この結果、リヤフェンダ140周りに走行風を呼込むことができ、リヤフェンダ140にリヤスポイラの効果を発揮させることができる。
【0035】
さらに、リヤフェンダ140の側方を開放させることで、リヤフェンダ140の側方にも走行風を呼込むことができ、リヤフェンダ140にリヤスポイラの効果を発揮させることができる。
【0036】
尚、実施の形態では図5に示すように、前面開口部122と窪み112とを合せるようにすることで導風口123を形成したが、窪み112を車体後方まで延出し、導風口をダクト形状にしたものであってもよい。導風口をダクト形状にすることで、サイレンサの冷却効率を向上させることができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1では、カウリングは、サイレンサの先方位置で分割可能にし、前側カウルの後端に車体中心に向って窪む窪みを形成し、後側カウルの前端に前面開口部を形成し、この前面開口部と窪みとを合せるようにしたので、前面開口部と窪みとを合せるようにすることで、例えば、後側カウルで前側カウルを覆うこともでき、内部を見えにくくすることもできる。この結果、サイレンサ冷却のために大きな導風口を形成することができ、サイレンサを十分に冷却することができる。
【0038】
請求項2では、エンジンのクランク軸の側部をカバー部材で覆い、このカバー部材の廻りにフランジ部を形成し、これらのカバー部材及びフランジ部を一括して前記カウリングから露出させるようにしたので、カウリングの面積を小さく形成する。この結果、カウリングを小さく見せることで軽快感のあるデザインを演出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカウリング構造を採用した自動二輪車の側面図
【図2】本発明に係る自動二輪車のカウリング構造に搭載した吸・排気系構造の要部斜視図
【図3】本発明に係る自動二輪車のカウリング構造に採用したサイレンサの平面断面図
【図4】本発明に係る自動二輪車のカウリング構造を示すカウリングの前からの斜視図
【図5】本発明に係る自動二輪車のカウリング構造を示すカウリングの横からの斜視図
【図6】本発明に係る自動二輪車のカウリング構造を採用したリヤフェンダの側面図
【符号の説明】
10…自動二輪車、32…前輪、34…後輪、40…エンジン、47…クランク軸、48…カバー部材(クランク軸カバー)、48a…フランジ部、70…サイレンサ、100…カウリング、111…前側カウル(ミドルカウル)、112…窪み、121…後側カウル(ロアカウル)、121…前面開口部、123…導風口。

Claims (2)

  1. 前後輪間にエンジンを配置し、このエンジンの下方にサイレンサを配置し、このサイレンサの左右側面をもカウリングで囲った自動二輪車において、
    前記カウリングは、サイレンサの先方位置で分割可能にし、前側カウルの後端に車体中心に向って窪む窪みを形成し、後側カウルの前端に前面開口部を形成し、この前面開口部と前記窪みとを合せることで、サイレンサ冷却のための大きな導風口を形成したことを特徴とする自動二輪車のカウリング構造。
  2. 前記エンジンのクランク軸の側部をカバー部材で覆い、このカバー部材の廻りにフランジ部を形成し、これらのカバー部材及びフランジ部を一括して前記カウリングから露出させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動二輪車のカウリング構造。
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