JP5695515B2 - 鞍乗り型車両の外装カバー - Google Patents
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Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、鞍乗り型車両の外装カバーにおいて、外装カバーの外観面のヒケの発生を防止し、外観性を向上することを目的とする。
この構成によれば、外装カバーは、複数の樹脂部材の内、少なくとも2つの樹脂部材が重なる重なり部を有してインサート成形または多色成形され、重なり部において外観面側を構成する第1樹脂部材と、重なり部において第1樹脂部材に重ねられて非外観面側を構成する第2樹脂部材とを有し、第2樹脂部材には、非外観面側で延びるリブが設けられ、非外観面側を構成する第2樹脂部材のリブのヒケは、外観面側を構成する第1樹脂部材に重なって隠されるため、外観面にヒケが発生することを防止でき、外観性を向上できる。また、リブのヒケが隠れることで、リブを大きくして外装カバーの剛性を向上でき、外装カバーの板厚を薄くできるため、軽量化を図ることができる。
この場合、第1樹脂部材の重なり部には、非外観面側に向かって突出する突起を備え、インサート成形または多色成形によって突起が第2樹脂部材に埋め込まれ、重なり部での第1樹脂部材と第2樹脂部材との接触面積が増加するため、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを強固に結合できる。
この場合、第1樹脂部材に重なってリブのヒケが隠されるため、ラジエーターの当接部として使用可能な大きさにリブを大きくできる。このため、ラジエーターシュラウドのリブをラジエーターに当接させてラジエーターシュラウドを係止することができる。
さらに、前記重なり部(83)は、側面視において前記ラジエーター(5)の外側面(5C)に重ねて設けられた構成としても良い。
この場合、重なり部が側面視において前記ラジエーターの外側面に重ねられるため、リブをラジエーターに当接させてラジエーターシュラウドを係止できる。
また、前記外装カバー(37)は、インサート成形または多色成形によって複数の前記樹脂部材(60,70)の色を異ならせて構成されても良い。
この場合、インサート成形または多色成形によって複数の樹脂部材の色を異ならせて構成するため、外観の設定の自由度を向上できる。
また、前記リブ(82)は前記ラジエーター(5)に車幅方向外側から当接することを特徴とする。
また、第1樹脂部材の重なり部に設けられた突起によって、重なり部での第1樹脂部材と第2樹脂部材との接触面積が増加するため、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを強固に結合できる。
さらに、重なり部が側面視において前記ラジエーターの外側面に重ねられるため、リブをラジエーターに当接させてラジエーターシュラウドを係止できる。
また、インサート成形または多色成形によって複数の樹脂部材の色を異ならせて構成せるため、外観の設定の自由度を向上できる。
図1は、本発明の実施の形態に係る自動二輪車の左側面図である。図2は、自動二輪車の前部を上方から見た平面図である。
自動二輪車1(鞍乗り型車両)は、車体フレーム10の前後の中央にエンジン11が配置され、前輪2を支持するフロントフォーク12が車体フレーム10の前端に操舵可能に支持され、後輪3を支持するスイングアーム13が車体フレーム10の後部の下部に設けられたオフロードタイプの鞍乗り型車両である。
ヘッドパイプ14には、ステアリングシャフト(不図示)が軸支され、フロントフォーク12は、上記ステアリングシャフトの上端及び下端に連結されるトップブリッジ21及びボトムブリッジ22に連結される。操行ハンドル23(図2では不図示)はトップブリッジ21に取り付けられる。
燃料タンク50は、メインフレーム15に沿うようにヘッドパイプ14の上方に固定され、運転者が着座するシート25は、燃料タンク50の後部に連続し、シートレール18に支持されて後方に延びている。
シリンダ27 の前部には、排気管29が接続され、排気管29は右側方に屈曲して後方に延びて2又に分岐し、リヤパイプ19の下方に設けられる左右一対のマフラー30に接続される。
シリンダ27の前方には、上下に延びる板状のラジエーター5が設けられている。ラジエーター5はダウンフレーム17の左右に分割されて一対で設けられ、ダウンフレーム17に固定される。
ボトムブリッジ22には、フロントフェンダー39が固定され、シート25の後方には、リヤフェンダ40が設けられている。
左右のメインフレーム15は、直線状に後下方に延び、燃料タンク50は、左右のメインフレーム15間に跨って配置されている。燃料タンク50は、左右のメインフレーム15の間に挟まれるように配置されるタンク下部51と、左右のメインフレーム15の上方に位置するタンク上部52とを有している。燃料タンク50は樹脂製である。
タンク上部52の前部の上面には、給油口55に着脱自在なキャップ55Aが取り付けられている。タンク上部52の側面52Aには、シュラウド37を燃料タンク50に固定するボルト41,42(図4参照)が締結される前固定部53、及び、後固定部54が設けられている。前固定部53は給油口55の下方に位置し、後固定部54はタンク上部52の後部に位置している。
燃料タンク50は、タンク上部52の前部に設けられたステー58、及び、不図示の複数の固定部を介して車体フレーム10に締結されている。
シュラウド37は、前方から流れ込む走行風をラジエーター5に導入するための板状のカバーであり、図2及び図4〜図6に示すように、燃料タンク50の側面から前側へ斜め外側に張り出すように突出し、ラジエーター5の外側面を通ってラジエーター5よりも前方に延びている。
前カバー部60は、タンク上部52の前固定部53から前下方に延びつつ車幅方向に広がるように前側に斜め外側へ延びる上部61と、上部61の下部から下方に延びてラジエーター5の側板部5Cを覆う下部62とを有している。上部61はメインフレーム15の上部及びラジエーター5の上部を覆ってラジエーター5の前方の頂点部60Aで下部62に合流する。この頂点部60Aはラジエーター5の前面よりも前方に張り出した部分である。下部62には、上下に延びるリブ82が形成されている。リブ82は、ラジエーター5の側板部5Cに当接し、シュラウド37をラジエーター5に係止する。
上部61の上端部には、ボルト41(図4)によってタンク上部52の前固定部53に締結される固定孔部63が形成されている。下部62の下端部には、ラジエーター5の下部の側面にボルト43(図4)によって締結される固定孔部64が形成されている。
後部延在部72の前部の上縁と前カバー部60の上部61の下縁との間には開口37Aが形成されており、この開口37Aから走行風が後方に抜けることで、ラジエーター5に効率良く導風できる。
図5及び図7〜図9に示すように、シュラウド37は、前カバー部60の後部と後カバー部70の前部とが重なる重なり部83を有し、この重なり部83がインサート成形の際に結合される。詳細には、重なり部83では、前カバー部60の下部62の後部に形成された第1樹脂部材側結合部85に、後カバー部70の中央部71の前部に形成された第2樹脂部材側結合部86が、車幅方向の内側側から、すなわち第1樹脂部材側結合部85の裏面側から重なって結合されている。
重なり部83では、車両の外側面に露出する第1樹脂部材側結合部85が外観面を構成し、第1樹脂部材側結合部85の裏面側に重なる第2樹脂部材側結合部86は、外側から視認されない非外観面を構成している。
また、前カバー部60の裏面には、剛性を向上させる複数のリブ部60Bが形成されている。
突起88は、互いに所定間隔をあけて配置される円柱状の突起であり、インサート成形の際に第2樹脂部材側結合部86内に埋め込まれ、突起88の先端と第2樹脂部材側結合部86の内側面とは面一に形成される。これにより、重なり部83での第1樹脂部材側結合部85と第2樹脂部材側結合部86との接触面積が、全ての突起88の外周面の面積の分だけ増加するとともに、突起88によって第2樹脂部材側結合部86が係止されるため、前カバー部60と後カバー部70とを強固に結合できる。
前壁部91の基端部91A(図9)は、前壁部91の全長の大部分において区画リブ87の側面に当接しており、前壁部91は、区画リブ87に係止されている。このため、前カバー部60と後カバー部70とを強固に結合できる。
図4、図5及び図8に示すように、リブ82は、その上端部を除く大部分が重なり部83に形成されており、ヒケ発生部82Aの大部分は第1樹脂部材側結合部85に隠れて視認されない。このため、シュラウド37の外観面にヒケが発生することを防止できる。
本実施の形態では、インサート成形で前カバー部60と後カバー部70とを結合させるため、前カバー部60及び後カバー部70をそれぞれ異なる色の樹脂で構成することで、シュラウド37に複数の色を容易に付すことができ、外観の設定の自由度を向上できる。ここでは、前カバー部60は赤色の樹脂であり、後カバー部70は白色の樹脂である。
また、前カバー部60に重なってリブ82のヒケ発生部82Aが隠されるため、ラジエーター5の当接部として使用可能な大きさにリブ82を大きくできる。このため、シュラウド37のリブをリブ82に当接させてシュラウド37を係止することができる。
また、インサート成形によってシュラウド37の前カバー部60及び後カバー部70の色を異ならせるため、外観の設定の自由度を向上できる。
上記の実施の形態では、外装カバーとして、ラジエーター5を覆うシュラウド37を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、外装カバーは、鞍乗り型車両の他の部分を覆うカバーであっても良い。例えば、外装カバーは、ラジエーター5が設けられていない鞍乗り型車両においてメインフレームやダウンフレームを側方から覆うとともに燃料タンクに取り付けられるカバーであっても良く、このカバーの重なり部の非外観面にリブを形成し、このリブを燃料タンクの側面に当接させても良い。
また、上記の実施の形態では、シュラウド37は、2つの樹脂部材である前カバー部60及び後カバー部70が重なる重なり部83を有するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。重なり部は、少なくとも2つの樹脂部材が重なる部分であれば良く、例えば、シュラウドが3つの樹脂部材を一体化して形成される場合、重なり部で3つの樹脂部材が重なる構成としても良い。この場合、3つの樹脂部材の内、重なり部で非外観面を構成する樹脂部材に、リブを設ければ良い。
さらに、上記の実施の形態では、リブ82は、その上端部を除く大部分が重なり部83に形成されているものとして説明したが、これに限らず、上記上端部まで重なり部83を延長し、リブ82をその全長に亘って重なり部83に設けても良い。
5 ラジエーター
5C 側板部(外側面)
37 シュラウド(外装カバー、ラジエーターシュラウド)
60 前カバー部(第1樹脂部材、樹脂部材)
70 後カバー部(第2樹脂部材、樹脂部材)
82 リブ
83 重なり部
88 突起
Claims (6)
- 複数の樹脂部材(60,70)を一体化して形成される鞍乗り型車両の外装カバーにおいて、
前記外装カバー(37)は、複数の樹脂部材の内、少なくとも2つの樹脂部材(60,70)が重なる重なり部(83)を有してインサート成形または多色成形され、
前記外装カバー(37)は、前記重なり部(83)において外観面側を構成する板状の第1樹脂部材(60)と、前記重なり部(83)において前記第1樹脂部材(60)の裏面に対して板厚方向に重ねられて非外観面側を構成する板状の第2樹脂部材(70)とを有し、
前記第1樹脂部材(60)と第2樹脂部材(70)とは、インサート成形または多色成形の際に前記重なり部(83)で結合され、
前記第2樹脂部材(70)には、前記重なり部(83)の前記非外観面から延びて受け座として使用されるリブ(82)が設けられたことを特徴とする鞍乗り型車両の外装カバー。 - 前記第1樹脂部材(60)の前記重なり部(83)には、非外観面側に向かって突出する突起(88)を備えたことを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両の外装カバー。
- 前記外装カバー(37)はラジエーター(5)を覆うラジエーターシュラウドであって、前記リブ(82)は前記ラジエーター(5)と当接する当接部であることを特徴とする請求項1または2記載の鞍乗り型車両の外装カバー。
- 前記重なり部(83)は、側面視において前記ラジエーター(5)の外側面(5C)に重ねて設けられたことを特徴とする請求項3記載の鞍乗り型車両の外装カバー。
- 前記外装カバー(37)は、インサート成形または多色成形によって複数の前記樹脂部材(60,70)の色を異ならせて構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両の外装カバー。
- 前記リブ(82)は前記ラジエーター(5)に車幅方向外側から当接することを特徴とする請求項3または4記載の鞍乗り型車両の外装カバー。
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