JP5483042B2 - ブレーキ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電動モータによって液圧式ブレーキ装置を作動させるブレーキ制御装置に関するものである。
例えば特許文献1に記載されているように、車両用のブレーキ装置において、ブレーキペダルの操作に応じて電動モータによってブレーキ液圧を発生させ、液圧センサが検出するブレーキ液圧に基づき電動モータの作動を制御して各車輪のホイールシリンダにブレーキ液圧を供給することにより、車両に制動力を発生させるブレーキ制御装置がある。そして、液圧式のブレーキシステムにおいては、ホイールシリンダが押圧するライニングの摩耗や熱膨張等で、ホイールシリンダのブレーキ液圧に対する剛性、いわゆる、液圧剛性が変化してしまう。上記のように、ブレーキ制御装置においては、液圧センサによって検出したブレーキ液圧に基づいて電動モータの作動をフィードバック制御することにより、制動時にブレーキ装置に供給すべきブレーキ液量が液圧剛性によって変化した場合でも、ブレーキペダルの踏込み量に応じた一定のブレーキ液圧を発生させて適切な制動力を得るようにしている。
特開2009−154814号公報
上記特許文献1に記載されたものでは、万一、液圧センサが故障した場合、次のような問題を生じる。
液圧センサが故障した場合には、ブレーキペダルの踏込み量に基づき、電動モータの回転位置を制御することにより、液圧センサからのブレーキ液圧のフィードバックがなくても制動機能を維持している。しかし、この場合、ブレーキ液圧のフィードバックが行えないため、ホイールシリンダの液圧剛性の変化により、制動時にホイールシリンダに供給すべきブレーキ液量が変化したとき、この変化に対応できない。このため、液圧センサの故障前後において、ブレーキペダルの踏込み量に対する制動力が変化の特性、すなわち、車両の減速度の特性が変化してしまい、ブレーキペダルを操作に違和感が生じてしまう。
本発明は、液圧センサの異常時でも、正常時と近いブレーキペダルの操作量に対する車両減速度の特性を得ることができるブレーキ制御装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、ブレーキペダルの操作量を検出する操作量検出手段と、
マスタシリンダのピストンを移動させる電動モータと、
前記マスタシリンダのブレーキ液圧を検出する液圧検出手段と、
前記操作量検出手段の検出に応じて前記マスタシリンダの目標液圧を設定し、前記液圧検出手段の検出値に基づき、前記マスタシリンダが目標液圧となるように前記電動モータの作動を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段には、
前記マスタシリンダの吐出液量に関する値を検出するための液量検出手段が接続され、
前記液圧検出手段の正常時に、前記液圧検出手段の検出値及び前記液量検出手段の検出結果に基づき、前記マスタシリンダの液圧と前記吐出液量に関する値との関係を表すブレーキ特性を更新し、
前記液圧検出手段の異常時には、前記ブレーキ特性を用いて前記マスタシリンダの目標液圧に対応する目標吐出液量に関する値を算出し、前記液量検出手段の検出値が前記目標吐出液量に関する値となるように前記電動モータの作動を制御することを特徴とする。
本発明に係るブレーキ制御装置によれば、液圧センサの異常時でも、正常時と近いブレーキペダルの操作量に対する車両減速度の特性を得ることができる。
第1実施形態に係るブレーキ制御装置の概略構成を示す図である。 図1のブレーキ制御装置の概略構成を示すブロック図である。 図1のブレーキ制御装置のコントローラによる電動モータの制御を示すブロック図である。 図1のブレーキ制御装置において、コントローラによるブレーキ特性の記憶及び更新方法を説明するためのグラフ図である。 図1のブレーキ制御装置において、コントローラによりブレーキ特性の記憶及び更新を行う際の補間方法を説明するためのグラフ図である。 図1のブレーキ制御装置のコントローラによる電動モータの制御を示すフローチャートである。 第1実施形態に係るブレーキ制御装置において、コントローラが記憶及び更新するブレーキ特性の選択方法を説明するタイムチャートである。 第2実施形態に係るブレーキ制御装置の概略構成を示す図である。 図8のブレーキ制御装置の概略構成を示すブロック図である。 図8のブレーキ制御装置のコントローラによる電動モータの制御を示すブロック図である。 図8に示すブレーキ制御装置において、コントローラによりブレーキペダルのストロークを電動モータの回転位置指令に変換する処理を示すブロック図である。 制動時のマスタシリンダのブレーキ液圧と吐出液量との関係を表すテーブルの作成及び更新処理を示すブロック図である。 図8のブレーキ制御装置のコントローラによる電動モータの制御を示すフローチャートである。
1,101…ブレーキ制御装置、2,102…マスタシリンダ、6,161…コントローラ(制御手段)、7…ピストン、10,172…液圧センサ(液圧検出手段)、14,140…電動モータ、36,180…ストロークセンサ(操作量検出手段)、37,160…レゾルバ(回転位置検出手段)、B6…学習処理部(液量算出手段)、110…プライマリピストン(ブースタピストン)、132…入力ピストン
以下、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
第1実施形態について、図1乃至図6を参照して説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態に係るブレーキ制御装置1は、自動車等の車両用のブレーキ制御装置であって、ブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダ2と、マスタシリンダ2を作動させる倍力装置3と、マスタシリンダ2に接続されてブレーキ液圧の供給によって各車輪に制動力を発生させる液圧式のホイールシリンダ4と、マスタシリンダ2と各ホイールシリンダ4との間に介装される液圧制御ユニット5と、倍力装置3及び液圧制御ユニット5の作動を制御するコントローラ6(制御手段)とを備えている。
マスタシリンダ2は、タンデム型であり、直列に配置されたプライマリ及びセカンダリからなる一対のピストン7(プライマリ側のみを図示する)が配置されている。これらのピストン7の前進時には、2つの液圧ポート8A、8Bから同じブレーキ液圧を供給し、ピストン7の後退時には、ブレーキパッドの摩耗等に応じてリザーバ9から適宜ブレーキ液を補充する。これにより、万一、2系統の液圧回路の一方が失陥した場合でも、他方に液圧が供給されるので、制動機能を維持することができる。
ホイールシリンダ4は、各車輪に装着されてブレーキ液圧の供給によって制動力を発生する制動装置であり、例えば公知のディスクブレーキ又はドラムブレーキとすることができる。
液圧制御ユニット5は、マスタシリンダ2の2つの液圧ポート8A、8Bに接続される2系統の液圧回路を有している。この液圧回路は、液圧源である電動ポンプ、アキュムレータ及び増圧弁、減圧弁等の電磁制御弁を備えている。また、2系統の液圧回路のうちの1系統にマスタシリンダ2で発生するブレーキ液圧を検出する液圧センサ10が接続されている。そして、図示せぬ液圧制御コントローラにより各車輪のホイールシリンダ4に供給する液圧を減圧する減圧モード、保持する保持モード及び増圧する増圧モードを適宜実行して以下の制御を行う。
(1)各車輪の制動力を制御することにより、制動時に接地荷重等に応じて各車輪に適切に制動力を配分する制動力配分制御。
(2)制動時に各車輪の制動力を自動的に調整して車輪のロックを防止するアンチロックブレーキ制御。
(3)走行中の車輪の横滑りを検知して各車輪に適宜自動的に制動力を付与することにより、アンダーステア及びオーバステアを抑制して車両の挙動を安定させる車両安定性制御。
(4)坂道(特に上り坂)において制動状態を保持して発進を補助する坂道発進補助制御。
(5)発進時等において車輪の空転を防止するトラクション制御。
(6)先行車両に対して一定の車間を保持する車両追従制御、走行車線を保持する車線逸脱回避制御。
(7)障害物との衝突を回避する障害物回避制御。
倍力装置3は、ブレーキペダル11に連結される入力ロッド12と、マスタシリンダ2のピストン7を駆動するための電動モータ14と、電動モータ14によってベルト伝動機構15を介して駆動される回転−直動変換機構であるボールねじ機構16と、ボールねじ機構16によって推進されてピストン7を押圧する押圧部材17と、入力ロッド12に連結される反力発生機構であるストロークシミュレータ18とを備えている。
ボールねじ機構16、押圧部材17及びストロークシミュレータ18は、同軸上に配置されて略円筒状のハウジング19に収容されている。このハウジング19の一端部19Aには、マスタシリンダ2がスタッドボルト20及びナット21によって結合されている。また、ハウジング19の他端部19Bからは、入力ロッド12が突出している。電動モータ14は、ボールねじ機構16の側部に配置されてハウジング19に結合されている。
押圧部材17は、ピストン7の後方にピストン7と同軸上に配置され、ピストン7の円筒状の後端部側に挿入されてピストン7を押圧する棒状のロッド部17Aと、他端側の円筒部17Bと、これらの間に配置された大径のフランジ部17Cとが一体に形成されている。
ボールねじ機構16は、円筒状の直動部材22と、直動部材22が挿入される円筒状の回転部材23と、これらの間に形成された螺旋状のネジ溝に装填された複数の転動体であるボール24(鋼球)とを備えた中空構造となっている。直動部材22は、ハウジング19内で軸方向に沿って移動可能に支持され、径方向外側に突出した回り止め部25がハウジング19に形成された案内溝26に係合することにより、軸回りに回転しないように支持されている。回転部材23は、ハウジング19内でベアリング27によって軸回りに回転可能かつ軸方向に移動しないように支持されている。そして、回転部材23を回転させることにより、ネジ溝内をボール24が転動して直動部材22が軸方向に移動する。
直動部材22の内部には、押圧部材17の円筒部17B及びフランジ部17Cが挿入されている。具体的には、直動部材22の内部には、径方向内側に延出して環状となってガイド部としての案内部28が形成されている。この案内部28に押圧部材17の円筒部17Bが軸方向に沿って摺動可能に支持されている。案内部28におけるピストン7との対向面である軸方向端面部28Aには、押圧部材17のフランジ部17Cが当接している。これらが当接することにより、直動部材22がマスタシリンダ2側へ前進してフランジ部17Cを押圧することになり、押圧部材17が直動部材22と共に前進してロッド部17Aがマスタシリンダ2のピストン7を押圧する。また、押圧部材17は、フランジ部17Cが直動部材22から離間することにより、直動部材22の移動を伴わずに前進することができる。ハウジング19の一端部19Aと直動部材22との間には、テーパ状の圧縮コイルバネである戻しバネ29が介装されている。戻しバネ29は、直動部材22をハウジング19の他端部19B側、ブレーキペダル11側、若しくは、後方に常時付勢している。
回転部材23の前端部側には、プーリ30が一体に形成され、このプーリ30及び電動モータ14の出力軸に取付けられたプーリ(図示せず)にベルト31が巻装されている。これらによってベルト伝動機構15が構成され、電動モータ14によって回転部材23が回転駆動される。なお、ベルト伝動機構15に、歯車減速機構等の減速機構を組み合わせてもよい。ベルト伝動機構15の代りに、歯車伝動機構、チェーン伝動機構等の他の公知の伝動機構を用いることができる。また、伝達機構を介さずに電動モータ14によって回転部材23を直接駆動するようにしてもよい。
電動モータ14は、例えば公知のDCモータ、DCブラシレスモータ、ACモータ等とすることができるが、制御性、静粛性、耐久性等の観点から本実施形態ではDCブラシレスモータを採用している。
ストロークシミュレータ18は、直動部材22の後端部側、すなわちブレーキペダル側となる端部の内部に配置され、ハウジング19の後端部である他端部19Bに取付けられたキャップ19Cによってハウジング19内に固定されている。ストロークシミュレータ18は、有底円筒状の案内部材32と、案内部材32内に、軸方向に沿って摺動可能に配置された有底円筒状の可動部材33と、案内部材32の底部32Aと可動部材33の底部33Aとの間に介装された圧縮コイルバネである反力バネ34とを備えている。
案内部材32は、底部32A側が円筒状の直動部材22の後部からその内部に挿入され、開口端部に形成された外側フランジ部32Bをハウジング19の他端部19Bに当接させた状態でキャップ19Cによってハウジング19に固定されている。案内部材32には、その底部32Aの開口32Cから押圧部材17の円筒部17Bの後端部側が挿入されて案内部材32内部に円筒部17Bが延出されており、押圧部材17とストロークシミュレータ18とが軸方向にオーバーラップして配置されている。詳細には、押圧部材17の円筒部17Bの外周面の軸方向における一部とストロークシミュレータ18の案内部材32の内周面の軸方向における一部とが対向するように配置され、または、押圧部材17の円筒部17B及びストロークシミュレータ18の案内部材32の径方向に沿って円筒部17Bの肉厚と案内部材32の肉厚とが間隔を持って重なるように配置されている。さらに、押圧部材17の円筒部17Bと反力バネ34との配置の関係では、反力バネ34は、円筒部17B及び案内部材32の径方向における円筒部17Bと案内部材32との間に配置されるようになっている。このため、円筒部17Bの外周面の軸方向における一部と反力ばね34の内径側の軸方向における一部とが、対向するように配置され、または、円筒部17B及び反力ばね34の径方向に沿って円筒部17Bの肉厚と反力ばね34の線径とが間隔を持って重なるように配置されている。
可動部材33には、底部33Aの内周側から前方、すなわち案内部材32の底部32A方向へ突出するように形成されたロッド受部33Bが形成されている。また、可動部材33には、底部33Aの外周側から前方、すなわち案内部材32の底部32A方向へ突出するように形成されてその外周面が案内部材32の内周面に摺動する摺動筒部33Cが形成されている。ロッド受部33Bの内部には、ロッド受部材35が嵌合固定され、このロッド受部材35に入力ロッド12の先端部が連結されている。可動部材33のロッド受部33Bは、押圧部材17の円筒部17Bと同軸上に配置されて、円筒部17Bの後端面17Dとロッド受部33Aの先端面33Dとが円筒状の直動部材22の内部で互いに対向している。可動部材33は、底部32Aがキャップ19Cに当接することにより、その後退位置がキャップ19Cによって規制されている。そして、可動部材33が、非制動位置(キャップ19Cに当接する最も後退した位置)にあるときには、ロッド受部33Aの先端面33Dと押圧部材17の円筒部17Bの後端面17Dとの間に所定の隙間δが形成されている。
適宜、図2も参照して、倍力装置3には、ブレーキペダル11の操作量検出手段であるストロークセンサ36、電動モータ14の回転角(モータ回転位置)を検出するレゾルバ37(図2参照)(これにより、ボールねじ機構16の回転部材23の回転角又は直動部材22の変位を検出することができる)、電動モータ14に流れる電流(モータ電流)を計測する電流センサ38(図2参照)及びマスタシリンダ2のブレーキ液圧を検出する液圧検出手段である液圧センサ10を含む各種センサが接続される。コントローラ6は、ECU6A及びRAM6B(図2参照)を備えたマイクロプロセッサベースの電子制御ユニットであり、上述の各種センサの検出に基づき、電動モータ14の作動を制御する。
ここで、レゾルバ37の検出値である回転位置でマスタシリンダ2の吐出液量が決まるので、レゾルバ37は、本発明の吐出液量に関する値を検出する液量検出手段に該当し、回転角は吐出液量に関する値となる。
上記ストロークセンサ36は、ブレーキペダル11や入力ロッド12の直動、若しくは、ブレーキペダル11の回動を検出するセンサであればよく、ポテンショメータやエンコーダ等のストロークセンサまたは回転センサを用いることができる。更に、操作量検出手段として、ストロークセンサ36の代りにブレーキペダル11の踏力(操作力)を検出する荷重センサを用いて、ブレーキペダル11の踏力を操作量としてもよい。また、モータ回転位置を検出するセンサとしてレゾルバ37を例として記載したが、これに限ることなく、エンコーダ等の回転検出手段を使用することができる。また、上述したように液圧センサ10は、液圧制御ユニット5に設けられているため、液圧制御ユニット5との間の通信線を介してコントローラ6と接続されている。なお、液圧センサ10は、必ずしも液圧制御ユニット5に設けられている必要はなく、マスタシリンダ2の液圧ポート8A、8Bのいずれか一方または両方、若しくは、マスタシリンダ2内の圧力室に望む位置に設けるようにしても良い。この場合には、液圧センサ10が直接コントローラ6に接続するようにしてもよい。
通常の制動時には、運転者によってブレーキペダル11が操作されると、コントローラ6は、その操作量をストロークセンサ36を介して検出し、検出したブレーキペダル11の操作量に基づき、レゾルバ37、電流センサ38及び液圧センサ10の検出に応じて電動モータ14の作動を制御する。すなわち、コントローラ6は、電動モータ14によってベルト伝動機構15を介してボールねじ機構16を駆動する。ボールねじ機構16の直動部材22は、戻しバネ29のバネ力に抗してマスタシリンダ2に向かって前進して押圧部材17を推進する。押圧部材17は、ピストン7を押圧してマスタシリンダ2にブレーキ液圧を発生させる。発生したブレーキ液圧は、液圧制御ユニット5を通って各車輪のホイールシリンダ4に供給されることで、車輪W(図2参照)を制動する。
このように、コントローラ6が電動モータ14を駆動するときには、可動部材33のロッド受部33Aの先端面33Dと押圧部材17の円筒部17Bの後端面17Dとの間の隙間δが維持される。また、ブレーキペダル11には、その操作量に応じてストロークシミュレータ18の反力バネ34のバネ力による一定の反力が付与される。このため、運転者は、ブレーキペダル11に付与される反力を感じながらブレーキペダル11の操作量を調整することにより、所望の制動力を発生させることができる。
また、コントローラ6は、ブレーキペダル11の操作量に対する電動モータ14の制御量を変化させることが可能となっている。例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車において減速時に車輪の回転によって発電機を駆動して、運動エネルギーを電力として回収する、いわゆる回生制動時に、コントローラ6は、回生制動分だけマスタシリンダ2の液圧を減圧して所望の制動力を得る回生協調制御を実行することができる。この場合にも、ロッド受部33Aの先端面33Dと押圧部材17の円筒部17Bの後端面17Dとが当接することなく、一定量ではないが、隙間δが維持される。この場合、回生制動分だけマスタシリンダ2の液圧が変動しても車両の減速度はブレーキペダル11の操作量に応じたものとなるため、ストロークシミュレータ18の反力バネ34によって付与されるブレーキペダル11に反力が運転者に違和感を与えることがない。
電動モータ14、コントローラ6あるいはボールねじ機構16等の故障により、電動モータ14による制御が不可能になった場合、運転者がブレーキペダル11を操作しても、電動モータ14が作動せず、ボールねじ機構16の直動部材22が前進しなくなってしまう。このため、ブレーキペダル11を操作すると、可動部材33のロッド受部33Aの先端面33Dが押圧部材17の円筒部17Bの後端面17Dに当接する。この当接状態から、更にブレーキペダル11が踏み込まれると、可動部材33のロッド受部33Aが円筒部17Bを直接押圧し、フランジ部17Cが直動部材22の端部から離間して押圧部材17が前進し、ロッド部17Aがマスタシリンダ2のピストン7を押圧する。このようにして、ブレーキペダル11の操作のみによってピストン7を前進させることができ、マスタシリンダ2に液圧を発生させて制動機能を維持することができる。このとき、直動部材22に対して押圧部材17が前進することが可能となっているため、ブレーキペダル11に戻しばね29のばね力がかかることがなく、余計な踏力をかけずにブレーキペダル11を操作することができる。
次に、コントローラ6による倍力装置3の電動モータ14の制御について更に詳細に説明する。コントローラ6は、液圧センサ10の状態を監視し、液圧センサ10の正常時と異常時とで制御を切換えることにより、異常時においても電動モータ14の制御を維持する。ここで、液圧センサ10の異常とは、液圧センサ10自体が故障した場合の他、液圧センサ10が接続される液圧制御ユニット5の故障や液圧制御ユニット5とコントローラ6との間の通信線の故障等により、液圧センサ10の検出信号が得られない場合をいう。
(液圧センサ正常時)
液圧センサ10の正常時におけるコントローラ6の制御について図3を参照して説明する。ブレーキペダル11が操作され、ストロークセンサ36からブレーキペダル操作量(ブレーキペダルストローク)が入力されると、コントローラ6のECU6A内のペダルストローク−マスタシリンダ液圧変換処理部B1で入力されたブレーキペダルストロークを目標液圧となるマスタシリンダ液圧指令に変換する。このとき、マスタシリンダ液圧指令は、予めRAM6Bに記憶されたブレーキペダルストロークに対応するマスタシリンダ液圧の特性を記憶したテーブル情報から得る。そして、液圧偏差演算部B2でマスタシリンダ液圧指令から液圧センサ10で検出したマスタシリンダ液圧を減算して液圧偏差を算出する。液圧偏差は、マスタシリンダ液圧−モータ回転位置変換処理部B3で、RAM6Bに予め記憶された変換係数を用いて位置偏差に変換される。そして、モータ回転位置指令演算部B4で、レゾルバ37によって検出したモータ回転位置に位置偏差を加算してモータ回転位置指令を算出する。モータ指令算出処理部B5で、モータ回転位置指令、レゾルバ37が検出するモータ回転位置、モータ回転速度、電流センサ38が検出するモータ電流に基づき、電動モータ14を駆動するモータ駆動電流を算出し、電動モータ14に供給する。これにより、電動モータ14が作動してマスタシリンダ2のピストン7を前進させてブレーキ液圧を発生させ、目標液圧となるまでホイールシリンダ4に供給してブレーキペダル11の操作量に応じた制動を行う。
このとき、電動モータ14のモータ回転位置は、マスタシリンダ2のブレーキ液圧に対応して変化する。言い換えれば、モータ回転位置が同じであっても、ブレーキパッドの摩耗、ブレーキ装置の熱膨張等によるホイールシリンダ4側の液圧剛性の変化によって、マスタシリンダ2のブレーキ液圧が変化してしまう。したがって、後述する液圧センサ10の故障に備えて液圧センサ10が正常である間に、レゾルバ37によって検出したモータ回転位置と、液圧センサ10によって検出したマスタシリンダ液圧との関係を表すブレーキ特性を学習処理部B6(液量算出手段)によってRAM6Bに記憶し、更新しておく。ブレーキ特性の記憶方法は、予め設定したポイント(モータ回転位置又はマスタシリンダ液圧)における検出結果をプロットし、あるいは、検出結果をそのまま記憶してもよい。そして、記憶したモータ回転位置とマスタシリンダ液圧との関係を適宜更新する。
ここで、本実施形態においては、ピストン7の受圧面積Mは一定となっており、吐出液量はこの受圧面積Mとピストン7の変位量、すなわちモータ回転位置との積算値となっている。このため、モータ回転位置は、ピストン7の位置(ストローク)を表し、更に、ピストン7のストロークにピストン7の受圧面積Mを乗じて得られるマスタシリンダ2からホイールホイールシリンダ4へ供給されるブレーキ液量、すなわち、マスタシリンダ2の吐出液量を表すことになる。したがって、モータ回転位置とマスタシリンダ液圧との関係を表すブレーキ特性は、マスタシリンダ液圧とマスタシリンダ2の吐出液量との関係を表している。このため、本実施形態においては、演算を簡略化するため、マスタシリンダの吐出液量に関する値であるモータ回転位置と、マスタシリンダ液圧とからブレーキ特性を算出している。
ブレーキ特性の更新は、例えば次のいずれかの方法によって行うことができる。図4(A)に示すように、現在のブレーキ特性Cを検出されたブレーキ特性C´にそのまま変更することによって更新する。図4(B)に示すように、現在のブレーキ特性Cに対して、検出されたブレーキ特性のプロットPに基づき、予め設定された更新度合いを表す学習係数によって一定の割合だけ変更することによってブレーキ特性C´として更新する。また、図4(C)に示すように、センサの検出精度を考慮して更新度合いを表す学習係数を決定して算出したブレーキ特性C´として更新する。あるいは、その他の公知技術を用いて更新してもよい。
また、上述の制動時に検出したモータ回転位置及びマスタシリンダ液圧の範囲外の領域については、適宜、補間処理を行うことにより、例えば、次のように更新する。図5(A)に示すように、現在のブレーキ特性Cを検出結果のプロットP1、P2、P3、P4に基づき移動させることにより補間して更新用のブレーキ特性C´を生成する。また、図5(B)に示すように、現在のブレーキ特性Cに対して、検出結果のプロットP1、P2、P3、P4に基づき、予め設定された複数のブレーキ特性C1、C2、C3…の中から一の特性を更新用のブレーキ特性C´として選択するようにしてもよい。
(液圧センサ異常時)
つぎに、万一、液圧センサ10の故障等により、マスタシリンダ液圧が検出できなくなった場合、すなわち、液圧センサ10の異常時におけるコントローラ6の制御について図3を参照して説明する。ブレーキペダル操作量に応じてペダルストローク−マスタシリンダ液圧変換処理部B1で変換されたマスタシリンダ液圧指令を学習処理部B6に入力する。学習処理部B6では、液圧センサ10が正常である間にRAM6Bに記憶されて更新された、マスタシリンダ液圧とモータ回転位置との関係を表すブレーキ特性を用いて、入力されたマスタシリンダ液圧指令をモータ回転位置指令(目標吐出液量に関する値)に変換してモータ指令演算部B5に入力する。以下、液圧センサ正常時と同様の処理を実行して電動モータ14を制御することによりモータ回転位(吐出液量に関する値)をモータ回転位置指令(目標吐出液量に関する値)になるようにして、ホイールシリンダ4によって制動を行う。これにより、液圧センサ10の故障等により、マスタシリンダ液圧情報が得られない状態においても、液圧センサ10の故障等が生じる前のホイールシリンダ4の液圧剛性に応じた制動力制御を行うことができる。なお、液圧センサ異常時には、液圧制御ユニット5による液圧制御は行わないようにし、マスタシリンダ液圧をホイールシリンダ4にそのまま供給する。
この場合、液圧センサ10の正常時に、学習処理部B6によりブレーキ特性を随時更新するので、液圧センサ10の異常により制御方法が切換ったとき、摩擦熱による温度変化、ブレーキパッドの摩耗状態による液圧剛性の変化等により、ホイールシリンダ4の特性が変化している場合でも、ブレーキ操作に対する車両減速度の変動を抑制して、液圧センサ10の故障前後における運転者の違和感を軽減することができる。そして、液圧センサ10の異常時には、警告燈、警告音等によって液圧センサ10の異常を運転者に警告し、車両の点検、修理を促す。
液圧センサ10の正常、異常の判定は、液圧センサ10の電源電圧が所定の適正範囲内にあるか否か、液圧センサ10の出力信号が所定の適正範囲内にあるか否か(例えば、最大値又は最小値で固定されていないか、RAM6Bに記憶されたブレーキ特性に基づくストロークセンサ36の検出したペダルストロークに対応するマスタシリンダ液圧に対して極端にずれていないか)によって行うことができ、あるいは、その他の公知技術を用いて判定してもよい。
次に、コントローラ6により、上述のブレーキ制御を実行するための制御フローの一例について図6を参照して説明する。図6を参照して、ステップS1でブレーキシステムがオンであるか否かを判断し、オンである場合には、ステップS2に進み、液圧センサ10の故障チェックを行う。上述の方法で液圧センサ10の正常、異常を判定し、その結果を記憶して、ステップS3に進む。ステップS3では、ブレーキペダル11が踏込まれたか否かを判定し、踏込まれている場合には、ステップS4に進み、踏込まれていない場合には、ステップS1に戻る。
ステップS4では、ステップS2の故障チェックの結果に基づき、液圧センサ10が正常か否かを判定する。正常である場合には、ステップS5に進み、正常でない場合には、ステップS9に進む。ステップS5では、液圧センサ10及びレゾルバ37(モータ回転位置センサ)を含む各種センサの検出に基づき、図3の正常時の処理を実行することにより、電動モータ14への駆動電流を算出してステップS6に進む。ステップS6では、駆動電流により電動モータ14を作動させ、これにより、マスタシリンダ2でブレーキ液圧を発生させ、液圧制御ユニット5を介してホイールシリンダ4に供給して制動力を発生させてステップS7に進む。ステップS7では、レゾルバ37によりモータ回転位置を検出し、液圧センサ10によりマスタシリンダ液圧を検出してステップS8に進む。ステップS8では、ステップS7で検出したモータ回転位置及びマスタシリンダ液圧に基づき、学習処理部B6でブレーキ特性を記憶、更新する。
一方、ステップS4で液圧センサ10が正常でない(異常)と判定されてステップS9に進んだ場合、ステップS9で、液圧制御ユニット5の作動を停止し、ステップS10に進む。ステップS10では、図7の異常時の処理を実行し、学習処理部B6により、更新されたブレーキ特性を用いてマスタシリンダ液圧指令からモータ回転位置指令を求め、モータ指令算出処理部B5によりモータ駆動電流を算出し、ステップS11に進む。ステップS11では、駆動電流により電動モータ14を作動させ、マスタシリンダ2で液圧を発生させ、液圧制御ユニット5を介してホイールシリンダ4に供給して制動力を発生させる。これにより、液圧センサ10の異常には、正常時に学習、更新したブレーキ特性に基づき、電動モータ14を制御するので、ブレーキ操作に対する車両減速度の変動特性の変化を抑制して、液圧センサ10の故障前後における運転者の違和感を軽減することができる。
以上に記載した本第1実施形態のブレーキ制御装置においては、コントローラ6は、正常時には、液圧センサ10及びレゾルバ37の検出結果に基づき、マスタシリンダ2の液圧と電動モータ14の回転位置との関係を表すブレーキ特性を記憶及び更新し、液圧センサ10の異常時には、更新された上記ブレーキ特性を用いて、レゾルバ37の検出結果に基づき、電動モータ14の回転位置が前記マスタシリンダの目標液圧に対応する値となるように前記電動モータの作動を制御している。このようなブレーキ制御装置によれば、液圧センサの故障等が発生しても他の液圧センサを不要としてブレーキ制御が可能になり、システムとしての信頼性を確保しつつ、システムの柔軟性を向上させることができる。なお、本実施形態においては、マスタシリンダの液圧と吐出液量に関する値との関係を表すブレーキ特性を、マスタシリンダ2の液圧と電動モータ14の回転位置との関係を表すブレーキ特性として作成、更新するようにしているが、電動モータ14の回転位置とピストン7の受圧面積Mとの積算値であるマスタシリンダの吐出液量とマスタシリンダ2の液圧との関係を表すブレーキ特性として作成、更新するようにしてもよい。
次に、上記第1実施形態において、液圧センサ10の異常時に用いるブレーキ特性の決定方法の一例について図9を参照して説明する。
ホイールシリンダ4は、制動時には、摩擦熱によって温度が上昇するため、ブレーキ液圧指令の大きさ、制動時間等の使用状態によってブレーキ特性が変化する。そこで、制動時の摩擦熱によって生じる熱量Qiからホイールシリンダ4の放熱量Qoを減じることによって得られるホイールシリンダ4に蓄積される熱量Qを時間tの関数Q(t)とし、この熱量Q(t)に基づいてブレーキ特性を決定する。
Q(t)=∫Qi・dt−∫Qo・dt
図7を参照して、異なる熱量Q(t)に対応して複数のブレーキ特性a、b、c、…を予め設定しておき、使用状態、すなわち、指令液圧及び制動時間に応じて使用するブレーキ特性を選択する。図示の例では、時刻t1〜t2で液圧P1、時刻t3〜t4で液圧P2、時刻t5〜t6で液圧P1を指令した場合が示されている。この場合、熱量Q(t)が0≦Q(t)<Q1の領域ではブレーキ特性aを使用し、Q1≦Q(t)<Q2の領域ではブレーキ特性bを使用し、Q2≦Q(t)<Q3ではブレーキ特性cを使用する。なお、図示の例では、熱量Q(t)の特性は、指令液圧に応じて傾きが変化する線形となっているが、他の特性でもよく、ブレーキパッドの摩耗量等の他のファクタを加味してもよい。
これらのブレーキ特性a、b、c、…は、ブレーキパッドの摩耗等により変化するため、上述のように、制動時の液圧センサ10が検出するマスタシリンダ液圧と、レゾレバ37が検出するモータ回転位置、又は、電流センサ38が検出するモータ電流に基づいて学習、更新される。
そして、液圧センサ10の異常が検出されたとき、ブレーキ特性a、b、c、…から熱量Q(t)に応じて決定されたブレーキ特性を用いて液圧センサ異常時の制御を実行することにより、ブレーキ制御を維持すると共に、制御方法の切換による違和感を軽減することができる。また、ブレーキ液圧指令の大きさ、制動時間等の使用状態によってブレーキ特性を変化させるので、液圧センサ10の異常が検出されてから時間が経って、ホイールシリンダ4側の液圧剛性が変化した場合でも、対応してブレーキ制御を維持すると共に、制御方法の切換による違和感を軽減することができる。
次に、本発明の第2実施形態について図8乃至図13を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記第1実施形態に対して、同様の部分には同じ参照符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
図8及び図9に示すように、本実施形態に係るブレーキ装置制御101は、タンデム型のマスタシリンダ102と、マスタシリンダ102を作動させる電動倍力装置104とを備えている。マスタシリンダ102には、リザーバ105が接続されている。マスタシリンダ102は、略有底円筒状のシリンダ本体102Aを含み、その開口部側が電動倍力装置のケース104Aの前部にスタッドボルト106A及びナット106Bによって結合されている。ケース104Aの上部には、制御手段であるコントローラ161が取付けられている。ケース104Aの後部には、平坦な取付座面107が形成され、取付座面107からマスタシリンダ102と同心の円筒状の案内部108が突出している。そして、ブレーキ制御装置101は、車両のエンジンルーム内に配置され、案内部108をエンジンルームと車室との隔壁W1に貫通させて車室内に延ばし、取付座面107を隔壁W1に当接させて取付座面107に設けられたスタッドボルト109を用いて固定される。
マスタシリンダ102のシリンダ本体102A内には、開口側に、ブースタピストンとしての先端部がカップ状に形成された円筒状のプライマリピストン110が嵌装され、底部側にカップ状のセカンダリピストン111が嵌装されている。プライマリピストン110の後端部は、マスタシリンダ102の開口部からケース104A内に突出して、案内部108付近まで延びている。プライマリピストン110及びセカンダリピストン111は、シリンダ本体102Aのシリンダボア112内に嵌合されたスリーブ113の両端側に配置された環状のガイド部材114、115によって摺動可能に案内されている。シリンダ本体102A内は、プライマリピストン110及びセカンダリピストン111によってプライマリ室116及びセカンダリ室117の2つの圧力室が形成されている。これらプライマリ室116及びセカンダリ室117には、液圧ポート118、119がそれぞれ設けられている。液圧ポート118、119は、2系統の液圧回路からなる液圧制御ユニット5を介して各車輪のホイールシリンダ4に接続されている。
シリンダ本体2Aの側壁の上部側には、プライマリ室116及びセカンダリ室117をリザーバ105に接続するためのリザーバポート120、121が設けられている。シリンダ本体102Aのシリンダボア112と、プライマリピストン110及びセカンダリピストン111との間は、それぞれ2つのシール部材122A、122B及び123A、123Bによってシールされている。シール部材122A、122Bは、軸方向に沿ってリザーバポート120を挟むように配置されている。これらのうちシール部材122Aにより、プライマリピストン110が図8に示す非制動位置にあるときに、プライマリ室116がプライマリピストン110の側壁に設けられたポート124を介してリザーバポート120に連通する。プライマリピストン110が非制動位置から前進したとき、シール部材122Aによってプライマリ室116がリザーバポート120から遮断される。同様に、シール部材123A、123Bは、軸方向に沿ってリザーバポート121を挟むように配置されている。これらのうちシール部材123Aにより、セカンダリピストン111が図8に示す非制動位置にあるとき、セカンダリ室117がセカンダリピストン111の側壁に設けられたポート125を介してリザーバポート121に連通する。セカンダリピストン111が非制動位置から前進したとき、シール部材123Aによってセカンダリ室117がリザーバポート121から遮断される。
プライマリ室116内のプライマリピストン110とセカンダリピストン111との間には、バネアセンブリ126が介装されている。また、セカンダリ室117内のマスタシリンダ102の底部とセカンダリピストン111との間には、圧縮コイルバネである戻しバネ127が介装されている。バネアセンブリ126は、圧縮コイルバネを伸縮可能な円筒状のリテーナ129によって所定の圧縮状態で保持し、そのバネ力に抗して圧縮可能としたものである。
プライマリピストン110は、カップ状の先端部と円筒状の後部と、内部を軸方向に仕切る中間壁130とを備え、中間壁30には、案内ボア131が軸方向に沿って貫通されている。案内ボア131には、入力部材である段部132Aを有する段付形状の入力ピストン132の小径の先端部が摺動可能かつ液密的に挿入されており、入力ピストン132の先端部は、プライマリ室116内のバネアセンブリ126の円筒状のリテーナ129に挿入、すなわち、圧力室であるプライマリ室116に望んで配置されている。本実施形態においては、マスタシリンダのピストンがブースタピストンとしてのプライマリピストン110と入力ピストン132とから構成されている。
入力ピストン132の後端部には、ケース4の円筒部108及びプライマリピストン110の後部に挿入された入力ロッド134の先端部が連結されている。入力ロッド134の後端側は、円筒部108から外部に延出され、その端部には、ブレーキ指示を出すために操作されるブレーキペダル11が連結される。プライマリピストン110の後端部には、フランジ状のバネ受135が取付けられている。プライマリピストン110は、ケース104Aの前壁側とバネ受135との間に介装された圧縮コイルバネである戻しバネ136によって後退方向に付勢されている。入力ピストン132は、プライマリピストン110の中間壁130との間及びバネ受135との間にそれぞれ介装されたバネ部材であるバネ137、138によって、図8に示す中立位置に弾性的に保持されている。入力ロッド134の後退位置は、ケース104Aの円筒部108の後端部に設けられたストッパ139によって規定されている。
ケース104A内には、電動モータ140及び電動モータ140の回転を直線運動に変換してプライマリピストン110に推力を付与するボールねじ機構141を含むアクチュエータ103が設けられている。電動モータ140は、ケース104Aに固定されたステータ142と、ステータ142に対向させてベアリング143、144によってケース104Aに回転可能に支持された中空のロータ145とを備えている。ボールねじ機構141は、ロータ145の内周部に固定された回転部材であるナット部材146と、ナット部材146及びケース104Aの円筒部108内に挿入されて軸方向に沿って移動可能で、かつ、軸回りに回転しないように支持された直動部材である中空のネジ軸147と、これらの対向面に形成されたネジ溝間に装填された複数のボール148とを備えている。ボールねじ機構141は、ナット部材146の回転により、ネジ溝に沿ってボール148が転動することにより、ネジ軸147が軸方向に移動するようになっている。なお、ボールねじ機構141は、ナット部材146とネジ軸147との間で、回転及び直線運動を相互に変換可能となっている。
なお、電動モータ140とボールねじ機構141との間に、遊星歯車機構、差動減速機構等の公知の減速機構を介装して、電動モータ140の回転を減速してボールねじ機構141に伝達するようにしてもよい。
ボールねじ機構141のネジ軸147は、ケース104Aの前壁側との間に介装された圧縮テーパコイルバネである戻しバネ149によって後退方向に付勢され、ケース4の円筒部8に設けられたストッパ139によって後退位置が規制されている。ネジ軸147内には、プライマリピストン10の後端部が挿入され、ネジ軸47の内周部に形成された段部150にバネ受135が当接してプライマリピストン110の後退位置が規制されている。これにより、プライマリピストン10は、ネジ軸47と共に前進し、また、段部50から離間して単独で前進することができる。そして、図8に示すように、ストッパ139に当接したネジ軸147の段部150によってプライマリピストン110の後退位置が規定され、後退位置にあるプライマリピストン110及びバネアセンブリ126の最大長によって、セカンダリピストン111の後退位置が規定されている。ネジ軸147の段部150は、ナット部材146の軸方向の長さの範囲に配置されている。
ブレーキ制御装置101には、ブレーキペダル11、したがって、入力ピストン132(入力部材)及び入力ロッド134の変位を検出するためのストロークセンサ180、電動モータ140のロータ145の回転位置(すなわち、ロータ145に連結されたプライマリピストン110の位置)を検出する回転位置検出手段としてのレゾルバ160、プライマリ、セカンダリ室116、117の液圧を検出する液圧検出手段である液圧センサ172、電動モータ40の通電電流を検出する電流センサ162(図9参照)及びこれらを含む各種センサが設けられている。コントローラ161は、ECU161A、RAM161A(図9参照)等を含むマイクロプロセッサベースの電子制御装置であり、これらの各種センサから検出信号に基づき、電動モータ140の回転を制御する。
次にブレーキ制御装置101の作動について説明する。ブレーキペダル11を操作して入力ロッド134を介して入力ピストン132を前進させると、入力ピストン132の変位をストロークセンサ180によって検出する。コントローラ161は、ストロークセンサ180の検出ストロークに応じてマスタシリンダ102の目標液圧を決定して、この目標液圧となるように電動モータ140の作動を制御する。電動モータ140は、その作動により、ボールねじ機構141を介してプライマリピストン110を前進させる。これにより、プライマリ室116に液圧が発生するとともに、この液圧がセカンダリピストン111を介してセカンダリ室117に伝達される。そして、液圧センサ172によって検出したマスタシリンダ102の液圧が目標液圧となるように、電動モータ140をフィードバック制御することにより、ブレーキペダル11の操作量に応じたブレーキ液圧をマスタシリンダ102で発生させる。マスタシリンダ102で発生したブレーキ液圧は、液圧ポート118、119から液圧制御ユニット5を通って各車輪のホイールシリンダ4に供給されて車両に制動力を発生させる。
ブレーキペダル11の操作を解除すると、入力ピストン132、プライマリピストン110及びセカンダリピストン111が後退して、プライマリ及びセカンダリ室116、117が減圧し、制動が解除される。なお、セカンダリピストン111は、プライマリピストン110の液圧に応じて作動するので、以下、セカンダリピストン111についての説明を省略する。
制動時に、プライマリ室116の液圧の一部を入力ピストン132がプライマリピストン110の受圧面積Nよりも小さい受圧面積Oによって受圧し、その反力は、入力ロッド134を介してブレーキペダル11に付与される。このことにより、ブレーキペダル11の踏込みストロークに対してマスタシリンダ102のブレーキ液圧(制動力)に応じた反力が作用するので、良好なブレーキ操作フィーリングを得ることができる。このとき、入力ピストン132に対してプライマリピストン110の相対位置を変化させて制御することにより、バネ137、138のバネ力を入力ピストン132に作用させて、入力ロッド134に対する反力を加減することができ、倍力制御、ブレーキアシスト制御、回生協調制御等のブレーキ制御時に適したブレーキペダル反力を付与することができる。
また、万一、故障により電動モータ140が作動不能になった場合には、ブレーキペダル11の操作により、入力ピストン132を前進させ、入力ピストン132の段部132Aを中間壁130に当接させてプライマリピストン110を直接、推進することにより、マスタシリンダ102でブレーキ液圧を発生させることができ、制動機能を維持することができる。
次に、コントローラ161による電動モータ140の制御について、主に図10乃至図12を参照して、更に詳細に説明する。コントローラ161は、液圧センサ172の状態を監視し、液圧センサ172の正常時と異常時とで制御を切換えることにより、異常時においても電動モータ140の制御を維持する。ここで、液圧センサ172の異常とは、上記第1実施形態の場合と同様、液圧センサ172の検出信号が得られない場合をいう。コントローラ161による電動モータの制御のブロック図を図10に示し、ブレーキペダル11のストローク(操作量)を電動モータ140の回転位置指令に変換する処理を図11に示し、マスタシリンダから供給するブレーキ液量(マスタシリンダの吐出液量)に対するブレーキ液圧の学習値の更新処理を図12に示す。
(液圧センサ正常時)
液圧センサ10の正常時におけるコントローラ161の制御について図10を参照して説明する。ブレーキペダル11が操作され、ストロークセンサ180からブレーキペダル操作量(ブレーキペダルストローク)が入力されると、コントローラ161のECU161A内のペダルストローク−マスタシリンダ液圧変換処理部B11により入力されたブレーキペダルストロークをマスタシリンダ液圧指令(目標液圧)に変換する。このとき、マスタシリンダ液圧指令は、予めRAM161Bに記憶されたブレーキペダルストロークに対応するマスタシリンダ液圧の特性を記憶したテーブル情報から得る。そして、マスタシリンダ液圧指令から、モータ回転位置指令作成処理部B12により、モータ回転位置指令を作成する。
モータ回転位置指令作成処理部B12は、図11に示すように、マスタシリンダ液圧指令から、液圧センサ172が検出したマスタシリンダ液圧値を減算して液圧偏差を算出し、液圧−相対位置指令算出処理部B12−1により、この液圧偏差をRAM161Bに記憶された電動倍力装置104の機械的特性を表す係数に基づいて処理して、入力ロッド134とプライマリピストン110と相対位置に関する相対位置指令(位置偏差)に変換する。また、ペダルストロークは、ストローク−入力ロッド位置変換処理部B12−2に入力される。このストローク−入力ロッド位置変換処理部B12−2では、ペダルストロークをRAM161Bに記憶されている所定の変換式若しくはテーブル情報に基づいて入力ロッド位置に変換する。このようにして算出した相対位置指令と、入力ロッド位置指令を加算処理してモータ回転位置指令を算出する。
コントローラ161は、算出されたモータ回転位置指令に応じて、図10に示すモータ指令算出処理部B13で、回転位置センサ160が検出するモータ回転位置、モータ回転速度、電流センサ162が検出するモータ電流に基づき、電動モータ140を駆動するモータ駆動電流を算出し、電動モータ140に供給する。これにより、電動モータ140が作動してマスタシリンダ102のプライマリピストン110を前進させ、ブレーキ液圧を発生させ、液圧制御ユニット5を通ってホイールシリンダ4に供給して車両の制動を行う。
このように、液圧センサ172の正常時には、液圧センサ172が検出するマスタシリンダ102のブレーキ液圧に基づいて電動モータ140の作動を制御することにより、ブレーキペダル11の操作量に応じた所望のブレーキ液圧をマスタシリンダ102から液圧制御ユニット5を介してホイールシリンダ4に供給して所望の制動力を得る。
また、液圧センサ172の正常時に、M/C液量−液圧変換処理部B15(液量算出手段)により、マスタシリンダの吐出液量(吐出液量に関する値)である、マスタシリンダ102のホイールシリンダ4への供給液量とマスタシリンダ102のブレーキ液圧との関係を学習し、これらの関係を表すM/C液量−液圧テーブルを作成し、更新する。M/C液量−液圧テーブルの作成及び更新処理について、図12を参照して説明する。
図12を参照して、入力ロッド134(入力ピストン132)の位置(ストローク;IR位置)と、RAM161Bに保存されている入力ピストン132の受圧面積Oとを乗算して、入力ロッド134のストロークによって生じるマスタシリンダ102からホイールシリンダ4への供給ブレーキ液量(IR分発生液量;A1)を算出する(処理ブロックB15−1)。また、モータ回転位置と、RAM161Bに保存されたプライマリピストン110の受圧面積Nとを乗算して、プライマリピストン110のストロークによって生じるマスタシリンダ102からホイールシリンダ4への供給ブレーキ液量(モータ回転位置分発生液量;A2)を算出する(処理ブロックB15−2)。そして、IR分発生液量とモータ回転位置分発生液量とを加算して、マスタシリンダ102からホイールシリンダ4への全供給液量であるマスタシリンダの吐出液量としてのM/C液量を算出する。このようにして算出したM/C液量(A)と、液圧センサ172が検出したマスタシリンダ102の液圧(M/C液圧)との関係をプロットして、M/C液量−液圧特性を表すM/C液量−液圧テーブルを作成してRAM161Bに記憶し、適宜更新する(処理ブロックB15−3)。
(液圧センサ異常時)
つぎに、万一、液圧センサ172の故障等により、マスタシリンダ液圧が検出できなくなった場合、すなわち、液圧センサ172の異常時におけるコントローラ161の制御について図10を参照して説明する。ブレーキペダル操作量に応じてモータ回転位置指令作成処理部B12により、液圧センサ172の検出信号の代りに、図12に示すM/C液量−液圧テーブルの作成及び更新処理において作成、更新した最新のM/C液量−液圧テーブルを用いて、回転位置センサ160が検出した電動モータ140の回転位置(プライマリピストン110の位置)及びストロークセンサ180が検出した入力ロッド134の位置(入力ピストン132の位置)に基づき演算したマスタシリンダ液圧を目標液圧として使用する。なお、液圧センサ172の異常時には、液圧制御ユニット5による液圧制御は行わないようにし、マスタシリンダ液圧をホイールシリンダ4にそのまま供給する。これにより、液圧センサ172の異常時においても、正常時に学習、更新した最新のM/C液量−液圧テーブルによるマスタシリンダ液圧に基づき、液圧センサ172の故障等が生じる前のホイールシリンダ4の液圧剛性に応じた制動力制御を行うことができる。したがって、ブレーキ操作に対する車両減速度の変動を抑制して運転者の違和感を軽減することができる。
次に、コントローラ161により、上述のブレーキ制御を実行するための制御フローの一例について図13を参照して説明する。なお、本制御フローは、図6に示す第1実施形態のものに対して、ステップS5〜S11の各ステップが異なる以外は同様であるから、これらの各ステップに「´」を付して、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
ステップS5´では、ストロークセンサ180、液圧センサ172及び電流センサ162を含む各種センサの検出に基づき、図10の正常時の処理を実行することにより、電動モータ140への駆動電流を算出してステップS6´に進む。ステップS6´では、駆動電流により電動モータ140を作動させ、マスタシリンダ102でブレーキ液圧を発生させ、液圧制御ユニット5を介してホイールシリンダ4に供給し、制動力を発生させてステップS7´に進む。ステップS7´では、ストロークセンサ180により入力ピストン121の位置を検出し、回転位置センサ160によりプライマリピストン110の位置を検出し、液圧センサ172によりマスタシリンダ液圧を検出してステップS8´に進む。ステップS8´では、ステップS7´で検出した入力ピストン位置、プライマリピストン位置及びマスタシリンダ液圧に基づき、図12に示すようにM/C液量−液圧テーブルを作成、更新する。
一方、ステップS4で液圧センサ10が正常でない(異常)と判定された場合、ステップS9で、液圧制御ユニット5の作動を停止し、ステップS10´に進む。ステップS10´では、図10における異常時の処理を実行し、最新のM/C液量−液圧テーブルを用いて、入力ピストン位置及びプライマリピストン位置(M/C液量)に基づき演算したマスタシリンダ液圧を使用してモータ回転位置指令作成処理B12を実行してモータ回転位置指令(目標吐出液量に関する値)を作成し、モータ指令算出処理B5´によりモータ駆動電流を算出し、ステップS11´に進む。ステップS11´では、駆動電流により電動モータ140を作動させ、マスタシリンダ102で液圧を発生させ、液圧制御ユニット5を介してホイールシリンダ4に供給して制動力を発生させる。このようにして、液圧センサ172の異常には、正常時に作成、更新したM/C液量−液圧テーブルにより演算したマスタシリンダ液圧に基づき、電動モータ14を制御することにより、ブレーキ操作感の変動を最小限に抑えて違和感を軽減することができる。
上記第2実施形態において、M/C液量−液圧テーブルの更新は、上記第1実施形態において図4、図5及び図7を参照して説明したマスタシリンダ液圧とモータ回転位置(すなわち、M/C液量)との関係を表すブレーキ特性の更新方法と同様の処理を実行することにより行なってもよい。これにより、液圧センサ127の正常時から異常時への制御の切換に伴うブレーキペダル11の操作の違和感を軽減することができる。
なお、本発明における吐出液量に関する値とは、吐出液量それ自体であっよく、また、上記実施形態のように、吐出液量と決める値、すなわち、マスタシリンダのピストン位置やピストンを移動させるモータの回転位置等であってもよい。
なお、本発明は、上記実施の形態に限られることなく、特許請求の範囲に記載の範囲内での変更は可能である。

Claims (7)

  1. ブレーキペダルの操作量を検出する操作量検出手段と、
    マスタシリンダのピストンを移動させる電動モータと、
    前記マスタシリンダのブレーキ液圧を検出する液圧検出手段と、
    前記操作量検出手段の検出に応じて前記マスタシリンダの目標液圧を設定し、前記液圧検出手段の検出値に基づき、前記マスタシリンダが目標液圧となるように前記電動モータの作動を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段には、
    前記マスタシリンダの吐出液量に関する値を検出するための液量検出手段が接続され、
    前記液圧検出手段の正常時に、前記液圧検出手段の検出値及び前記液量検出手段の検出結果に基づき、前記マスタシリンダの液圧と前記吐出液量に関する値との関係を表すブレーキ特性を更新し、
    前記液圧検出手段の異常時には、前記ブレーキ特性を用いて前記マスタシリンダの目標液圧に対応する目標吐出液量に関する値を算出し、前記液量検出手段の検出値が前記目標吐出液量に関する値となるように前記電動モータの作動を制御することを特徴とするブレーキ制御装置。
  2. 請求項1のブレーキ制御装置において、
    前記液量検出手段は、前記吐出液量の値として前記マスタシリンダのピストンの変位を検出し、
    前記制御手段は、当該ピストンの変位から前記ブレーキ特性を更新することを特徴とするブレーキ制御装置。
  3. 請求項2のブレーキ制御装置において、
    前記液量検出手段は、前記マスタシリンダのピストンの変位を前記電動モータの回転位置によって検出することを特徴とするブレーキ制御装置。
  4. 請求項2のブレーキ制御装置において、
    前記液量検出手段は、前記マスタシリンダのピストンの変位を前記操作量検出手段によって検出することを特徴とするブレーキ制御装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項のブレーキ制御装置において、
    前記マスタシリンダのピストンは、前記電動モータによって移動するブースタピストンと、該ブースタピストンと相対変位可能に設けられ先端側が前記マスタシリンダの圧力室に臨んで前記ブレーキペダルの操作により移動する入力ピストンと、から構成され、前記液量検出手段は、前記ブースタピストンの変位を前記電動モータの回転位置によって検出する回転位置検出手段と、前記入力ピストンの変位を前記ブレーキペダルの操作ストロークによって検出する前記操作量検出手段と、から構成され、
    前記制御手段は、前記マスタシリンダで発生するブレーキ液圧の前記ブースタピストンに対する受圧面積と前記回転検出手段によって検出される前記ブースタピストンの変位とから前記ブースタピストンによる吐出液量を算出するとともに、前記マスタシリンダで発生するブレーキ液圧の前記入力ピストンに対する受圧面積と前記操作量検出手段によって検出される前記入力ピストンの変位とから前記入力ピストンによる吐出液量を算出し、算出した両吐出液量の合計値と前記マスタシリンダの液圧とから前記ブレーキ特性を更新することを特徴とするブレーキ制御装置。
  6. 請求項1乃至4のいずれか一項のブレーキ制御装置において、
    前記ブレーキペダルの操作により前記電動モータが駆動するときに前記ブレーキペダルの操作量に対して反力を付与し、前記ブレーキペダルの操作により前記電動モータが駆動しないときに前記マスタシリンダのピストンを移動させるストロークシミュレータを備えていることを特徴とするブレーキ制御装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項のブレーキ制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記液圧検出手段の正常時に、前記ブレーキ特性を制動時の摩擦熱によって生じる熱量毎に更新し、
    前記液圧検出手段の正常時に、前記マスタシリンダが液圧を供給するホイールシリンダの使用状態に応じて前記熱量を算出し、該算出した熱量に応じた前記ブレーキ特性を用いて前記電動モータの作動を制御することを特徴とするブレーキ制御装置。
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