JP5429454B2 - 薄膜トランジスタの製造方法および薄膜トランジスタ - Google Patents

薄膜トランジスタの製造方法および薄膜トランジスタ Download PDF

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Description

本発明は薄膜トランジスタの製造方法および薄膜トランジスタに関し、特には有機半導体装置を用いたボトムゲート・トップコンタクト構造の薄膜トランジスタの製造方法、およびこの方法によって得られる薄膜トランジスタに関する。
近年、チャネル層として有機半導体を利用した薄膜トランジスタ、(thin film transistor:TFT)、いわゆる有機TFTが注目されている。有機TFTは、有機半導体からなるチャネル層を低温で塗布成膜することが可能であるため、低コスト化に有利であると共に、プラスチック等の耐熱性のないフレキシブルな基板上への形成も可能である。このような有機TFTにおいては、ボトムゲート・トップコンタクト構造とすることにより、ボトムコンタクト構造と比較して、熱などのストレスによる特性劣化が抑えられることが知られている。
このようなボトムゲート・トップコンタクト構造の有機TFTの製造においては、有機半導体パターン上に高精度にソース電極およびドレイン電極をパターン形成する方法が検討されている。例えば、下記特許文献1には、基板上の空間を2分する横断部を設け、2方向からの蒸着によって有機半導体パターンを形成した後、横断部で分断されるように金属材料を蒸着させるソース電極およびドレイン電極を形成する方法が開示されている。
特開2006−216718号公報
ところで、ボトムゲート・トップコンタクト構造の薄膜トランジスタにおいては、ソース・ドレインとゲート電極と層間に有機半導体層が挟持される。このため、ソース・ドレインとゲート電極とが重なる部分に寄生容量が発生し、動作電圧の上昇やばらつき、動作速度の低下が生じ易く、これレを補正するためお補正回路の付与等のデメリットの原因になる。
しかしながら、一般的なステンシルマスクを用いた蒸着成膜の最小加工サイズおよび重ね合わせ精度は20μm程度であり、特に大面積プロセスであれば合わせ精度が基板面内でばらつくため、上述した寄生容量の発生を効果的に抑えることは困難である。これは上述した引用文献1の方法であっても同様である。
そこで本発明は、ボトムゲート・トップコンタクト構造において、ソース・ドレイン−ゲート電極間の寄生容量を効果的に抑えることが可能な薄膜トランジスタの製造方法を提供し、またこの方法によって得られる薄膜トランジスタを提供することを目的とする。
以上のような目的を達成するために、本発明の第1の薄膜トランジスタの製造方法は、基板上にパターン形成されたゲート電極をゲート絶縁膜で覆う工程と、ゲート絶縁膜上に有機半導体層と電極膜とをこの積層順に形成する工程と、有機半導体層および電極膜が形成された基板上にネガ型感光性のレジスト膜を成膜し、ゲート電極を遮光マスクとした基板側からの裏面露光とその後の現像処理により、レジストパターンを形成する工程と、レジストパターンを形成した後、ゲート電極の両脇における電極膜上に配線をパターン形成し、当該配線とレジストパターンをマスクにしてゲート電極上における電極膜をエッチングし、当該電極膜からなるソース・ドレインを形成する工程とを含むものである。
また、本発明の第2の薄膜トランジスタの製造方法は、基板上にパターン形成されたゲート電極をゲート絶縁膜で覆う工程と、ゲート絶縁膜上に有機半導体層、電極膜およびマスク形成層をこの積層順に形成する工程と、有機半導体層、電極膜およびマスク形成層が形成された基板上にネガ型感光性のレジスト膜を成膜し、ゲート電極を遮光マスクとした基板側からの裏面露光とその後の現像処理により、レジストパターンを形成する工程と、レジストパターンをマスクにしてゲート電極上におけるマスク形成層をエッチングしてマスクパターンを形成する工程と、マスクパターンを形成した後、ゲート電極の両脇における電極膜上に配線をパターン形成し、当該配線とマスクパターンをマスクにしてゲート電極上における電極膜をエッチングし、当該電極膜からなるソース・ドレインを形成する工程とを含むものである。
このような製造方法により、次のような本発明構成の薄膜トランジスタが得られる。すなわち本発明では薄膜トランジスタは、基板上にパターン形成されたゲート電極とこれを覆うゲート絶縁膜とを有し、この上部に有機半導体層が設けられ、さらにゲート電極の幅方向の両端縁に対してそれぞれ端縁を一致させた状態でソース・ドレインが配置された構成となる。
このような構成によれば、ゲート電極を覆うゲート絶縁膜上に、ゲート電極に対して自己整合的に位置合わせされたソース・ドレインが設けられる。
以上説明したように本発明によれば、ゲート電極に対して自己整合的に位置合わせされたソース・ドレインが設けられることから、ボトムゲート・トップコンタクト構造の薄膜トランジスタにおいてソース・ドレイン−ゲート電極間の寄生容量を効果的に抑えることが可能になる。
第1実施形態の製造方法を説明する工程図(その1)である。 第1実施形態の製造方法を説明する工程図(その2)である。 第1実施形態の製造方法を説明する工程図(その3)である。 第1実施形態の製造方法を説明する工程図(その4)である。 第1実施形態の製造方法を説明する工程図(その5)である。 第2実施形態の製造方法を説明する工程図(その1)である。 第2実施形態の製造方法を説明する工程図(その2)である。 第2実施形態の製造方法を説明する工程図(その3)である。 第2実施形態の製造方法を説明する工程図(その4)である。 第3実施形態の製造方法を説明する工程図(その1)である。 第3実施形態の製造方法を説明する工程図(その2)である。 第3実施形態の製造方法を説明する工程図(その3)である。 第3実施形態の製造方法を説明する工程図(その4)である。 第4実施形態の製造方法を説明する工程図(その1)である。 第4実施形態の製造方法を説明する工程図(その2)である。 第4実施形態の製造方法を説明する工程図(その3)である。 第4実施形態の製造方法を説明する工程図(その4)である。 第5実施形態の製造方法を説明する工程図(その1)である。 第5実施形態の製造方法を説明する工程図(その2)である。 第5実施形態の製造方法を説明する工程図(その3)である。 第5実施形態の製造方法を説明する工程図(その4)である。
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて、次に示す順に実施の形態を説明する。
1.第1実施形態(ソース電極およびドレイン電極が単層構造の例)
2.第2実施形態(ソース電極およびドレイン電極が積層構造の例)
3.第3実施形態(ソース電極およびドレイン電極が配線の一部を兼ねる例)
4.第4実施形態(ソース電極およびドレイン電極が積層構造で配線の一部を兼ねる例)5.第5実施形態(ソース電極およびドレイン電極の一部に配線を重ねた例)
尚、第1実施形態〜第5実施形態においては、薄膜トランジスタの製造方法を説明し、次いで得られた薄膜トランジスタの構成を説明する。
<1.第1実施形態>
図1-1〜図1-5は本発明の第1実施形態を説明する工程図であり、以下これらの図に基づいて第1実施形態の薄膜トランジスタの製造方法を説明する。
先ず、図1-1(1)に示すように、露光光に対する光透過性を有する基板1上に遮光性のゲート電極3をパターン形成し、これを覆う状態で光透過性を有するゲート絶縁膜5を成膜する。
基板1は、光透過性材料からなることが重要である。このような基板1としては、例えば、ガラス、プラスチック等の透明基板、またはそれらの多層構造からなる透明基板上に、必要に応じて水蒸気・酸素のバリア層及びバッファー層を形成したものであることとする。
ゲート電極3は、遮光性を有していることが重要である。このようなゲート電極3は、Al,AlNd,Cu,Au,Ni,W,Mo,Cr,Ti,Ta,Ag等或いはこれらの多層膜からなることとする。このようなゲート電極3の形成方法が限定されることはない。
ゲート電極3の形成方法の一例としては、上記の金属材料膜を成膜した後、レジストをマスクにエッチングすることによって形成することが可能である。金属材料膜の成膜は、蒸着法、スパッタリング法、またはメッキ法などで形成する。また、Auナノ粒子やAgナノ粒子等の金属微粒子からなる導電性インクを、塗布法により成膜しても良い。レジストパターンの形成方法は、フォトリソグラフィー法や印刷法を適用することができる。
ゲート電極3の形成方法の他の例としては、Auナノ粒子やAgナノ粒子等の金属微粒子からなる導電性インクを、印刷法によって直接パターン形成しても良い。
尚、上述した塗布法としては、スピンコート法、エアドクタコーター法,ブレードコーター法,ロッドコーター法,ナイフコーター法,スクイズコーター法,リバースロールコーター法,トランスファーロールコーター法,グラビアコーター法,キスコーター法,キャストコーター法,スプレーコーター法,スリットオリフィスコーター法,カレンダーコーター法,浸漬法等が例示され、以下の実施形態において同様である。
また上述した印刷法としては、スクリーン印刷,インクジェット印刷,凸版印刷,平板印刷,凹版印刷,やそれらを組み合わせた印刷方法が例示され、以下の実施形態において同様である。
ゲート絶縁膜5は、光透過性を有していることが重要である。このようなゲート絶縁膜5は無機材料または有機材料からなる。二酸化珪素、チッ化珪素、TaOx、HfOx、AlOx等の無機材料からなるゲート絶縁膜5であれば、スパッタリング法、CDV法、PECVD等で成膜することが可能である。一方、ポリビニルフェノール、PMMA、ポリイミド、フッ素樹脂等の有機材料からなるゲート絶縁膜であれば、塗布法によって成膜可能である。また有機高分子材料からなるゲート絶縁膜5であれば、印刷法によって成膜可能である。
次に、図1-1(2)に示すように、ゲート絶縁膜5上に、露光光に対して光透過性を有する有機半導体層7を成膜する。
また、以上のような有機半導体層7を構成する材料としては、以下の材料が例示される。
ポリピロールおよびポリピロール置換体、
ポリチオフェンおよびポリチオフェン誘導体、
ポリイソチアナフテンなどのイソチアナフテン類、
ポリチェニレンビニレンなどのチェニレンビニレン類、
ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)類、
ポリアニリンおよびポリアニリン誘導体、
ポリアセチレン類、
ポリジアセチレン類、
ポリアズレン類、
ポリピレン類、
ポリカルバゾール類、
ポリセレノフェン類、
ポリフラン類、
ポリ(p−フェニレン)類、
ポリインドール類、
ポリピリダジン類、
ナフタセン,ペンタセン,ヘキサセン,ヘプタセン,ジベンゾペンタセン,テトラベンゾペンタセン,ピレン,ジベンゾピレン,クリセン,ペリレン,コロネン,テリレン,オバレン,クオテリレン,サーカムアントラセンなどのアセン類、
アセン類の炭素の一部をN,S,Oなどの原子,カルボニル基などの官能基に置換した誘導体(例えばトリフェノジオキサジン,トリフェノジチアジン,ヘキサセン−6,15−キノン,TIPSペンタセン,TES-アントラジチオフェンなど,ポリビニルカルバゾール,ポリフエニレンスルフィド,ポリビニレンスルフィドなどのポリマーおよび多環縮合体など)、
以上ポリマーと同じ繰返し単位を有するオリゴマー類、
金属フタロシアニン類、
テトラチアフルバレンおよびテトラチアフルバレン誘導体、
テトラチアペンタレンおよびテトラチアペンタレン誘導体、
ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド,N,N'−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N'−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル),N,N'−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)、およびN,N'−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、
ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミドなどのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、
アントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミドなどのアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類などの縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、
C60,C70,C76,C78,C84等フラーレン類、
SWNTなどのカーボンナノチューブ、
メロシアニン色素類およびヘミシアニン色素類などの色素
以上のような材料からなる有機半導体層7の成膜は、昇華点を持つ材料は蒸着により成膜することが可能であり、溶媒に溶解させ溶液を形成すれば塗布法や印刷方法法で成膜することも可能である。
次に、この有機半導体層7をパターニングする際の保護膜9を、有機半導体層7上に成膜する。保護膜9は、金属材料や酸化物などからなり、光透過性を備えている必要はない。保護膜9を構成する材料の具体例としては、保護膜9を成膜する。この保護膜9は、例えば金属材料を用いて構成される。保護膜9を構成する金属材料としては、金(Au),白金(Pt),パラジウム(Pd),銀(Ag), タングステン(W),タンタル(Ta),モリブデン(Mo),アルミニウム(Al),クロム(Cr),チタン(Ti),銅(Cu),ニッケル(Ni),インジウム(In),錫(Sn),マンガン(Mn),ルテニウム(Rh),ルビジウム(Rb)、およびそれらの化合物が例示される。尚、保護膜9は、上述した材料の積層であっても良い。
次に、図1-1(3)に示すように、保護膜9上においてゲート電極3に重なる位置に、レジストパターン11を形成する。レジストパターン11の形成は、フォトリソグラフィー法または印刷法を適用して行なわれる。印刷法としては、インクジェット印刷,スクリーン印刷,オフセット印刷,グラビア印刷,フレキソ印刷,マイクロコンタクト印刷等を用いることができる。尚、レジストパターン11の形成においては、保護膜9によって有機半導体層7が保護される。
次いで、レジストパターン11をマスクに用いて保護膜9をエッチングする。これにより、有機半導体層7上に保護膜パターン9aを形成する。
次に、図1-1(4)に示すように、保護膜パターン9aをマスクにして有機半導体層7をエッチングし、ゲート電極3上の一部をゲート電極3の幅方向にわたって覆う状態で、有機半導体をパターンニングする。ここではドライエッチングまたは,半導体を溶かす溶媒でウエットエッチングを行うこととする。これにより、ここで形成する薄膜トランジスタの素子分離を行う。
その後は保護膜パターン9aを剥離除去する。保護膜パターン9aの剥離除去は、ウェットエッチングによって行なう。この際エッチング溶液には,例えば硝酸、硫酸、塩酸、酢酸、シュウ酸、フッ酸、過酸化水素等の酸もしくはフッ化アンモニウム、ヨウ化カリウム、過マンガン酸塩、重クロム酸塩等の塩およびこれらの混合液からなる溶液が用いられる。有機半導体層7へのダメージを抑制するためにエッチング液中のこれらの酸の濃度が20%以下であることが好ましい。また安定したエッチングレートを確保するために、有機窒素化合物等の添加物を添加しても良い。尚、ゲート絶縁膜5への有機半導体層7のパターン形成は、印刷法を適用したパターン形成であっても良く、この場合には、上記のエッチングプロセスによるパターニングは必要ない。
以上により、図1-2(1)断面図(A−A’)および平面図に示すように、基板1上のゲート電極3を覆う状態でゲート絶縁膜5が成膜され、このゲート絶縁膜5上に有機半導体層7を島状にパターン形成した構成を得る。
次に、図1-2(2)に示すように、以上のようにしてパターニングされた有機半導体層7を覆う状態で、ゲート絶縁膜5上の全面に光透過性を有する電極膜13を成膜し、さらにこの上部にネガ型感光性のレジスト膜15を成膜する。
電極膜13は、ここで作製する薄膜トランジスタがp型チャンネル型である場合には、少なくとも有機半導体層7と接する側の層にAu,Pt,Pd,Cu,CuOx,ITO,ZnO,Agナノ粒子等の仕事関数の大きい導電材料が好適に用いられる。そして、これらの材料層の上部に別の金属材料を形成しても良い。一方、ここで作製する薄膜トランジスタがnチェンネル型である場合には、少なくとも有機半導体層7と接する側の層にMg,Ag,Caやそれらの化合物が好適に用いられる。ただし、これら材料は大気中で酸化されやすいので、その上部にさらに別の金属を成膜して覆う必要がある。
以上のような材料で構成される電極膜13は、露光光に対する光透過性を有していることが重要である。このため、ここでは特に電極膜13の膜厚を、露光光として用いるUV光が透過可能な値に抑えることとし、典型的には1nm〜50nmとする。
レジスト膜15は、ネガ型の感光性を有していれば良い。
尚、以上までで得られた構成において重要なところは、レジスト膜15の下層において、ゲート電極3を除く基板1から導電膜13までの各層が、全て露光光に対して光透過性を有しており、これらの層を合計した全層を露光光が透過可能なところである。尚、露光光とは、次に行うフォトリソグラフィーにおいて用いる光であり、例えば紫外光(UV)であることとする。
次に、図1-3の断面図(A−A’)および平面図に示すように、基板1側からの露光光hとしてUV光をレジスト膜15に照射する裏面露光を行う。この際、基板1側に露光マスク17を配置し、この露光マスク17を介して露光光hの照射を行う。
露光マスク17は、ゲート電極3と交差する開口部17aを備えていることとする。この開口部17aは、ゲート電極3の両脇に露光光hが照射される構成であれば良い。図示したように、ゲート電極3の延設方向における有機半導体層7の範囲内に開口部17aが配置される場合には、この開口部17aの開口幅がゲート幅Wとなり、ゲート幅Wの寸法制御性が良好であるため好ましい。一方、ゲート電極3の延設方向における有機半導体層7の範囲を越えて開口部17aが配置される場合には、有機半導体層7の寸法Lがゲート幅となる。
以上のような露光マスク17を介しての裏面露光により、露光マスク17の開口部17a内において、ゲート電極13で遮光されていない部分のレジスト膜15に露光光hが照射されて露光部15aとなり、レジスト材料が硬化する。
その後、図1-4(1)に示すように、レジスト膜15の現像処理を行うことにより、露光部15aのみが電極膜13上にレジストパターン15bとして残される。このレジストパターン15bは、ゲート電極3に対して自己整合的に現像される。
この際のゲート電極3の端縁とレジストパターン15bの端縁との面内一致精度は、レジスト膜15へのUV照射量、ゲート電極3の形状、およびゲート絶縁膜5の膜厚に依存した露光光(h)の回折量等に依存する。例えば、ゲート電極3の膜厚を300nm、ゲート絶縁膜5の膜厚を500nmとした場合、典型的には面内一致精度3μm以下にすることが可能である。これは、蒸着マスクを用いたパターン成膜では実現不可能な精度であるばかりでなく、プラスチックからなる基板1を用いた場合では、基板1の工程中の収縮のために通常の表面側からのフォトリソグラフィーであっても実現が極めて困難な精度である。
次に、図1-4(2)の断面図(A−A’)および平面図に示すように、レジストパターン15bをマスクにして電極膜13をパターンエッチングする。これにより、ゲート電極3上における電極膜13をエッチング除去し、電極膜13からなるソース13s-1およびドレイン13d-1を、ゲート電極3に対して自己整合的に形成する。
このような電極膜13のパターンエッチングは、例えば有機半導体層7がペンタセンからなり、電極膜13がAuで構成されている場合であれば、ヨウ素とヨウ化カリウムとをベースとしたエッチング液を用いたウェットエッチングが可能である。
以上の後、図1-5の断面図(A−A’)および平面図に示すように、ソース13s-1およびドレイン13d-1が形成された基板1上に層間絶縁膜19を成膜する。この際、レジストパターン15bを除去する必要はなく、そのまま残して層間絶縁膜19で覆って良い。そして、この層間絶縁膜19およびレジストパターン15bに対して、ソース13s-1およびドレイン13d-1に達する各接続孔19aを形成する。次いで、接続孔19aを介してソース13s-1およびドレイン13d-1に接続された各配線21を層間絶縁膜19上に形成し、薄膜トランジスタ23-1を完成させる。
接続孔19aの形成は、層間絶縁膜19が感光性の樹脂材料(例えば感光性PVA)からなる層であれば、露光及び現像によって層間絶縁膜19に接続孔を形成し、さらにレジストパターン15bをエッチングして接続孔19aを形成する。また、層間絶縁膜19が非感光性の樹脂材料(フッ素樹脂やポリパラキシリレン)からなる層であれば、フォトリソグラフィーと酸素プラズマRIEにより接続孔19aの形成を行う。
配線21の形成は、配線材料の成膜とパターンエッチングか、または印刷法を適用して行う。例えば,ここで作製した薄膜トランジスタが、アクティブマトリックス回路のスイッチトランジスタとして用いられる場合であれば、2本の配線21のうちの何れか一方がデータ線まで延長され、残りの一方はストレージキャパシタの電極まで延長される。尚この場合、ゲート電極3は走査線まで延長されていることとする。
以上のようにして得られた薄膜トランジスタ23-1は、ゲート電極3を覆うゲート絶縁膜5上に有機半導体層7が設けられ、この有機半導体層7上に一部を積層させたソース13s-1およびドレイン13d-1が設けられたボトムゲート・トップコンタクト構造となる。またこの薄膜トランジスタ23-1においては、ソース13s-1およびドレイン13d-1は、パターニングされた有機半導体層7上からゲート絶縁膜5上に引き出されて形成される。
特に、ソース13s-1およびドレイン13d-1は、基板1側からの裏面露光においてゲート電極3をマスクにしたパターン形状を有している。これにより、ソース13s-1およびドレイン13d-1は、ゲート電極3の幅方向の両端縁に対して、それぞれ端縁を一致させた状態でゲート電極3に対して自己整合的に位置合わせされたものとなる。
またこのような薄膜トランジスタ23-1の特徴は、上述した裏面露光を行うために、ゲート電極3を除く、基板1からソース13s-1およびドレイン13d-1を構成する電極膜13までの間の各層が、光透過性を有している構成となる。
また、ソース13s-1およびドレイン13d-1上に残されるレジストパターン15bは、ソース13s-1およびドレイン13d-1と同一パターン形状のネガレジストであることも特徴的である。
以上の第1実施形態によれば、ゲート電極3の幅方向の両端縁に対して、それぞれ端縁を一致させた状態でゲート電極3に対して自己整合的に位置合わせされたソース13s-1およびドレイン13d-1が設けられる。このため、トムゲート・トップコンタクト構造の薄膜トランジスタにおいてソース13s-1およびドレイン13d-1−ゲート電極3間の寄生容量を効果的に抑えることが可能になる。
<2.第2実施形態>
図2-1〜図2-4は本発明の第2実施形態を説明する工程図であり、以下これらの図に基づいて第2実施形態の薄膜トランジスタの製造方法を説明する。尚、第1実施形態と同様の構成についての詳細な説明は省略する。
先ず、図2-1(1)の断面図(A−A’)および平面図に示すように、露光光に対する光透過性を有する基板1上に遮光性のゲート電極3をパターン形成し、これを覆う状態で光透過性を有するゲート絶縁膜5および有機半導体層7を成膜する。ここまでは、第1実施形態と同様に行い、それぞれの層に用いる材料も上述したと同様である。
次に、この有機半導体層7の上部に露光光に対して光透過性を有する第1電極膜13-1を成膜する。この第1電極膜13-1は、有機半導体層7に対して保護膜となる層であり、またそのまま薄膜トランジスタの構成要素として残される層である。
このような第1電極膜13-1は、ここで作製する薄膜トランジスタがp型チャンネル型である場合には、Au,Pt,Pd,Cu,CuOx,ITO,ZnO,Agナノ粒子等の仕事関数の大きい導電材料や、TCNQ、塩化銀等のアクセプタ材料が好適に用いられる。一方、ここで作製する薄膜トランジスタがnチェンネル型である場合には、Mg,Ag,Caやそれらの化合物が好適に用いられる。ただし、これら材料は大気中で酸化されやすいので、その上部にさらに別の金属を成膜して覆う必要がある。
その後、第1電極膜13-1上にレジストパターン25を形成し、これをマスクに用いて第1電極膜13-1をパターンエッチングし、次いでレジストパターン25を剥離し、第1電極膜13-1をマスクに用いて有機半導体層7を島状にパターニングする。
次に、図2-1(2)に示すように、島状の有機半導体層7および第1電極膜13-1を覆う状態で、ゲート絶縁膜5上の全面に光透過性を有する第2電極膜13-2を成膜し、さらにこの上部にネガ型感光性のレジスト膜15を成膜する。
ここで成膜する第2電極膜13-2は、有機半導体層7に対して電荷注入可能な材料である必要はなく、より安価あるいは導電性の高い導電性材料を用いることができる。この際,第1電極膜13-1と第2電極膜13-2とを合わせて、光透過性を有する必要があり、典型的には合計膜厚が1nm〜50nmとする。
レジスト膜15は、ネガ型の感光性を有していれば良いことは、第1実施形態と同様である。
そして、以上までで得られた構成においては、レジスト膜15の下層において、ゲート電極3を除く基板1から第2導電膜13-2までの各層が、全て露光光に対して光透過性を有しており、これらの層を合計した全層を露光光が透過可能なところが特徴的である。
以上の後には、第1実施形態と同様の手順を行って良く、次のように行う。
先ず、図2-2の断面図(A−A’)および平面図に示すように、基板1側からの露光光hとしてUV光をレジスト膜15に照射する裏面露光を行う。この際、基板1側に露光マスク17を配置し、この露光マスク17を介して露光光hの照射を行う。露光マスク17は、ゲート電極3と交差する開口部17aを備えていることは、第1実施形態と同様である。
以上のような露光マスク17を介しての裏面露光により、露光マスク17の開口部17a内において、ゲート電極13で遮光されていない部分のレジスト膜15に露光光hが照射されて露光部15aとなり、露光部15aのレジスト材料が硬化する。
その後、図2-3(1)に示すように、レジスト膜15の現像処理を行うことにより、露光部15aのみが第2電極膜13-2上にレジストパターン15bとして残される。このレジストパターン15bは、ゲート電極3に対して自己整合的に現像されることは、第1実施形態と同様である。
次に、図2-3(2)の断面図(A−A’)および平面図に示すように、レジストパターン15bをマスクにして第2電極膜13-2および第1電極膜13-1をパターンエッチングする。これにより、ゲート電極3上における第2電極膜13-2および第1電極膜13-1をエッチング除去し、第2電極膜13-2および第1電極膜13-1からなるソース13s-2およびドレイン13d-2を、ゲート電極3に対して自己整合的に形成する。
以上の後、図2-4の断面図(A−A’)および平面図に示すように、ソース13s-2およびドレイン13d-2が形成された基板1上に層間絶縁膜19を成膜し、ソース13s-2およびドレイン13d-2に達する各接続孔19aを形成する。次いで、接続孔19aを介してソース13s-2およびドレイン13d-2に接続された各配線21を層間絶縁膜19上に形成し、薄膜トランジスタ23-2を完成させる。
以上のようにして得られた薄膜トランジスタ23-2が、第1実施形態の薄膜トランジスタと異なるところは、ソース13s-2およびドレイン13d-2が、有機半導体層7上において第1電極膜13-1と第2電極膜13-2との積層構造となっているところにある。他の構成は同様である。
したがって、以上の第2実施形態であっても、ゲート電極3の幅方向の両端縁に対して、それぞれ端縁を一致させた状態でゲート電極3に対して自己整合的に位置合わせされたソース13s-2およびドレイン13d-2が設けられる。このため、第1実施形態と同様に、トムゲート・トップコンタクト構造の薄膜トランジスタにおいてソース13s-2およびドレイン13d-2−ゲート電極3間の寄生容量を効果的に抑えることが可能になる。
またさらに、ソース13s-2およびドレイン13d-2が、有機半導体層7上において第1電極膜13-1と第2電極膜13-2との積層構造となっている。このため、第1電極膜13-1として有機半導体層7に電荷注入可能な材料を用いれば、第2電極膜13-2には安価な材料を使用することができ、低コスト化を図ることが可能である。さらに図2-1(1)に示したように、有機半導体層7をパターニングする際に、第1電極膜13-1が保護膜となるため、有機半導体層7の膜質が維持されてトランジスタ特性を確保することが可能である。
<3.第3実施形態>
図3-1〜図3-4は本発明の第3実施形態を説明する工程図であり、以下これらの図に基づいて第3実施形態の薄膜トランジスタの製造方法を説明する。尚、第1実施形態と同様の構成についての詳細な説明は省略する。
先ず、図3-1(1)に示すように、基板1上のゲート電極3を覆う状態でゲート絶縁膜5が成膜され、このゲート絶縁膜5上に有機半導体層7を島状にパターン形成した構成を得る。
次に、図3-1(2)に示すように、有機半導体層7を覆う状態で、ゲート絶縁膜5上の全面に光透過性を有する電極膜13を成膜し、さらにこの上部に光透過性のマスク形成層31を成膜する。
ここで成膜する電極膜13は、第1実施形態と同様であり、作製する薄膜トランジスタがp型チャンネル型であるかnチャンネル型であるかによって電荷注入に適する材料を選択し、必要に応じて積層構造とすれば良い。
またマスク形成層31は、露光光に対する光透過性を有することが重要であり、電極膜13に対して選択的なエッチングが可能な材料であることとする。このようなマスク形成層31は、有機材料であっても無機材料であっても良く、また導電性材料であっても絶縁性材料であっても良い。
一例として、電極膜13をAuで構成した場合であれば、マスク形成層31はTiやAl等の金属、SiO2やSiNx等の無機絶縁膜材料,PVPやPMMA等の有機絶縁膜材料が用いられる。これらの各材料は、無機材料であればスパッタ法またはCVD法等によって成膜可能であり、有機絶縁膜材料は塗布プロセスで成膜することが可能である。
以上までにおいて重要なところは、ゲート電極3を除く基板1からマスク形成層31までの各層が、全て露光光に対して光透過性を有しており、これらの層を合計した全層においても露光光に対して光透過性を有するところである。
次に、図3-1(3)に示すように、マスク形成層31上にネガ型感光性のレジスト膜15を成膜する。このレジスト膜15は、ネガ型の感光性を有していれば良いことは、第1実施形態と同様である。
以上の後には、図3-2の断面図(A−A’)および平面図に示すように、基板1側からの露光光hとしてUV光をレジスト膜15に照射する裏面露光を行う。この際、基板1側に露光マスク17を配置し、この露光マスク17を介して露光光hの照射を行う。露光マスク17は、ゲート電極3と交差する開口部17aを備えていることは、第1実施形態と同様である。
以上のような露光マスク17を介しての裏面露光により、露光マスク17の開口部17a内において、ゲート電極13で遮光されていない部分のレジスト膜15に露光光hが照射されて露光部15aとなり、露光部15aのレジスト材料が硬化する。
その後、図3-3(1)に示すように、レジスト膜15の現像処理を行うことにより、露光部15aのみがマスク形成層31上にレジストパターン15bとして残される。このレジストパターン15bは、ゲート電極3に対して自己整合的に現像されることは、第1実施形態と同様である。
次に、図3-3(2)に示すように、レジストパターン15bをマスクにしてマスク形成層31を選択的にパターンエッチングする。この際、電極膜13がAuであれば、マスク形成層31の材料毎に次のようなエッチングが行われる。すなわちマスク形成層31がTiやAlやSiO2であれば、フッ化アンモニウムの水溶液を用いたウェットエッチングが可能である。また、マスク形成層31がSiNxであれば、加熱燐酸を用いたウェットエッチングが可能である。マスク形成層31がPVPやPMMA等の有機絶縁膜材料であれば、酸素プラズマを用いたエッチングが可能である。
以上により、ゲート電極3上におけるマスク形成層31をエッチング除去してなるマスクパターン31aを、ゲート電極3に対して自己整合的に形成する。このパターンエッチングの後には、レジストパターン15bを除去する。尚、このマスクパターン31aは、レジストパターン15bをそのまま用いても良いが、レジストパターン15bとは別のマスクパターン31aを設けることにより、以降に行う配線13の選択エッチングにおいて、下地となる有機半導体層7へのダメージを防止する効果が高い方法を広範囲に選択可能である。
次に図3-3(3)に示すように、ゲート電極3の両脇における電極膜13上に各配線33を形成する。これらの配線33は、電極膜13によって構成されるソースおよびドレインに接続されるものであり、またソースおよびドレインをパターン形成する際のマスクにもなる。したがって、各配線33は、マスクパターン31上に積層する状態で形成されていることが重要である。
このような配線33を構成する材料膜は、導電性の良好な材料であれば有機半導体層7に対して電荷注入可能な材料である必要はなく、より安価な材料を用いて構成することができる。このような材料としては、配線33を構成する材料としては、AlNd,Cu,Au,Ni,W,Mo,Cr,Ti,Ta,Ag等、またはこれらの積層膜を用いることが可能である。このような配線33の形成方法が特に限定されることはなく、第1実施形態で説明したゲート電極3の形成と同様に行うことができる。
次に、図3-4の断面図(A−A’)および平面図に示すように、マスクパターン31aおよび配線33をマスクにしたエッチングにより、電極膜13をパターンエッチングする。ここでは、電極膜13がAuであり、マスクパターン31aがTiやAlやSiO2やSiNx,またはPVPやPMMA等の有機絶縁膜材料であれば、ヨウ素とヨウ化カリウムを含むエッチング液を用いたウェットエッチングを行う。これにより、Auからなる電極膜13の選択的なエッチングによるパターングが可能である。
尚、このような電極膜13のエッチングは、配線33に対して電極膜13の膜厚が十分に薄ければ、配線33の形成のためのエッチングと同時に行っても良く、これにより工程が簡略化される。
以上により、ゲート電極3上における電極膜13をエッチング除去し、電極膜13からなるソース13s-3およびドレイン13d-3を、ゲート電極3に対して自己整合的に形成し、薄膜トランジスタ23-3を完成させる。
以上のようにして得られた薄膜トランジスタ23-3が、第1実施形態の薄膜トランジスタと異なるところは、ソース13s-3およびドレイン13d-3の形状にある。すかわちソース13s-3およびドレイン13d-3は、ゲート電極3上において対向する位置から有機半導体層7の外部に引き出され、さらに配線33の下層にも配線層33と同一のパターン形状で設けられているのである。
またこれらのソース13s-3およびドレイン13d-3は、第1実施形態と同様にゲート電極3に対して自己整合的に形成されたレジストパターン15bをマスクにしたエッチングで得られたマスクパターン31a上からのエッチングによって得られたものである。したがって、以上の第3実施形態であっても、ゲート電極3の幅方向の両端縁に対して、それぞれ端縁を一致させた状態でゲート電極3に対して自己整合的に位置合わせされたソース13s-3およびドレイン13d-3が設けられる。このため、第1実施形態と同様に、トムゲート・トップコンタクト構造の薄膜トランジスタにおいてソース13s-3およびドレイン13d-3−ゲート電極3間の寄生容量を効果的に抑えることが可能になる。
<4.第4実施形態>
図4-1〜図4-4は本発明の第4実施形態を説明する工程図であり、以下これらの図に基づいて第4実施形態の薄膜トランジスタの製造方法を説明する。本第4実施形態は、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせたものであり、上述した第1実施形態〜第3実施形態と同様の構成についての詳細な説明は省略する。
先ず図4-1(1)に示すように、基板1上にゲート電極3をパターン形成し、これを覆う状態でゲート絶縁膜5を成し、このゲート絶縁膜5上に有機半導体層7と第1電極膜13-1とを積層させたパターンを形成する。ここまでは、ゲート電極3を除いた全ての層が光透過性を有していることとする。また第1電極膜13-1は、有機半導体層7に対して保護膜となる層であり、またそのまま薄膜トランジスタの構成要素として残される層として形成する。
次に、図4-1(2)に示すように、第1有機半導体層7および第1電極膜13-1を覆う状態で、ゲート絶縁膜5上の全面に光透過性を有する第2電極膜13-2を成膜する。ここで成膜する第2電極膜13-2は、有機半導体層7に対して電荷注入可能な材料である必要はなく、より安価あるいは導電性の高い導電性材料を用いることができる。この際,第1電極膜13-1と第2電極膜13-2とを合わせて、光透過性を有する必要があり、典型的には合計膜厚が1nm〜50nmとする。
そして、以上までは第2実施形態と同様の手順で行って良く、ゲート電極3を除く基板1から第2導電膜13-2までの各層が、全て露光光に対して光透過性を有しており、これらの層を合計した全層を露光光が透過可能な構成であるところが重要である。
次に図4-1(3)に示すように、さらにこの上部にネガ型感光性のレジスト膜15を成膜する。レジスト膜15は、ネガ型の感光性を有していれば良いことは、上述した各実施形態と同様である。
以上の後には、第3実施形態と同様の手順を行って良く、次のように行う。
先ず、図4-2の断面図(A−A’)および平面図に示すように、基板1側からの露光光hとしてUV光をレジスト膜15に照射する裏面露光を行う。この際、基板1側に露光マスク17を配置し、この露光マスク17を介して露光光hの照射を行う。露光マスク17は、ゲート電極3と交差する開口部17aを備えていることは、上述した各実施形態と同様である。
以上のような露光マスク17を介しての裏面露光により、露光マスク17の開口部17a内において、ゲート電極13で遮光されていない部分のレジスト膜15に露光光hが照射されて露光部15aとなり、露光部15aのレジスト材料が硬化する。
その後、図4-3(1)に示すように、レジスト膜15の現像処理を行うことにより、露光部15aのみがマスク形成層31上にレジストパターン15bとして残される。このレジストパターン15bは、ゲート電極3に対して自己整合的に現像されることは、上述した各実施形態と同様である。
次に、図4-3(2)に示すように、レジストパターン15bをマスクにしてマスク形成層31を選択的にパターンエッチングする。この際、電極膜13-1,13-2およびマスク形成層31を構成する材料の組み合わせによってエッチング方法を適切に選択することにより、マスク形成層31の選択的なパターンエッチングを行うことは第3実施形態と同様である。
以上により、ゲート電極3上におけるマスク形成層31をエッチング除去してなるマスクパターン31aを、ゲート電極3に対して自己整合的に形成する。このパターンエッチングの後には、レジストパターン15bを除去する。尚、このマスクパターン31aは、レジストパターン15bをそのまま用いても良いことも第3実施形態と同様である。
次に、図4-3(3)に示すように、ゲート電極3の両脇における第2電極膜13-2上に各配線33を形成する。これらの配線33は、第1電極膜13-1および第2電極膜13-2によって構成されるソースおよびドレインに接続されるものであり、またソースおよびドレインをパターン形成する際のマスクにもなる。したがって、各配線33は、マスクパターン31a上に積層する状態で形成されていることが重要である。
このような配線33を構成する材料膜は、導電性の良好な材料であれば有機半導体層7に対して電荷注入可能な材料である必要はなく、より安価な材料を用いて構成することができることは、第3実施形態と同様である。
次に、図4-4の断面図(A−A’)および平面図に示すように、マスクパターン31aおよび配線33をマスクにしたエッチングにより、第2電極膜13-2および第1電極膜13-1をパターンエッチングする。このエッチングは、第2電極膜13-2および第1電極膜13-1の材質によって1段階で行っても良く、それぞれに適するエッチング方法を適用した2段階で行っても良い。
以上により、第2電極膜13-2および第1電極膜13-1からなるソース13s-4およびドレイン13d-4を、ゲート電極3に対して自己整合的に形成し、薄膜トランジスタ23-4を完成させる。
以上のようにして得られた薄膜トランジスタ23-4が、第1実施形態の薄膜トランジスタと異なるところは、ソース13s-4およびドレイン13d-4の形状にある。すなわち、ソース13s-4およびドレイン13d-4は、第2実施形態と第3実施形態と特徴を合わせ持った構成であり、有機半導体層7上において第1電極膜13-1と第2電極膜13-2との積層構造となっている。また、さらに第2電極膜13-2が、配線33の下層にも配線層33と同一のパターン形状で設けられている構成である。
またこれらのソース13s-4およびドレイン13d-4は、第1実施形態と同様にゲート電極3に対して自己整合的に形成されたレジストパターン15bをマスクにしたエッチングで得られたマスクパターン31a上からのエッチングによって得られたものである。したがって、以上の第4実施形態であっても、ゲート電極3の幅方向の両端縁に対して、それぞれ端縁を一致させた状態でゲート電極3に対して自己整合的に位置合わせされたソース13s-4およびドレイン13d-4が設けられる。このため、第1実施形態と同様に、トムゲート・トップコンタクト構造の薄膜トランジスタにおいてソース13s-4およびドレイン13d-4−ゲート電極3間の寄生容量を効果的に抑えることが可能になる。
またさらに、ソース13s-4およびドレイン13d-4が、有機半導体層7上において第1電極膜13-1と第2電極膜13-2との積層構造となっている。このため、第1電極膜13-1として有機半導体層7に電荷注入可能な材料を用いれば、第2電極膜13-2には安価な材料を使用することができ、低コスト化を図ることが可能である。さらに、有機半導体層7をパターニングする際に、第1電極膜13-1が保護膜となるため、有機半導体層7の膜質が維持されてトランジスタ特性を確保することが可能である。
<5.第5実施形態>
図5-1〜図5-4は本発明の第5実施形態を説明する工程図であり、以下これらの図に基づいて第5実施形態の薄膜トランジスタの製造方法を説明する。尚、述した第1実施形態〜第4実施形態と同様の構成についての詳細な説明は省略する。
先ず、図5-1(1)に示すように、露光光に対する光透過性を有する基板1上に遮光性のゲート電極3をパターン形成し、これを覆う状態で光透過性を有するゲート絶縁膜5および有機半導体層7を成膜する。ここまでは、第1実施形態と同様に行い、それぞれの層に用いる材料も上述したと同様である。
次に、この有機半導体層7の上部に露光光に対して光透過性を有する電極膜13を成膜し、さらにこの上部にマスク形成層31を成膜する。これらの各層は、上述した実施形態で説明したと同様の層であり、露光光に対する透過性を有していることが重要である。
その後、マスク形成層31上にレジストパターン25を形成し、これをマスクに用いてマスク形成層31、電極膜13をパターンエッチングする。次いでレジストパターン25を剥離し、電極膜13をマスクに用いたエッチングにより、ゲート電極3上の一部をゲート電極3の幅方向にわたって覆う島状に有機半導体をパターンニングする。
る。
次に、図5-1(2)に示すように、有機半導体層7、電極膜13、およびマスク形成層31を覆う状態で、ゲート絶縁膜5上の全面にネガ型感光性のレジスト膜15を成膜する。レジスト膜15は、ネガ型の感光性を有していれば良いことは、第1実施形態と同様である。
次に、図5-2の断面図(A−A’)および平面図に示すように、基板1側からの露光光hとしてUV光をレジスト膜15に照射する裏面露光を行う。この際、基板1側に露光マスク17を配置し、この露光マスク17を介して露光光hの照射を行う。露光マスク17は、ゲート電極3と交差する開口部17a’を備えていることは、第1実施形態と同様である。ただし、マスク形成層31が絶縁性材料からなる場合のみにおいては、この開口部17a’は、ゲート電極3の延設方向と直交する方向の両端において、マスク形成層31よりも狭い寸法であることが必須である。
以上のような露光マスク17を介しての裏面露光により、露光マスク17の開口部17a’内において、ゲート電極13で遮光されていない部分のレジスト膜15に露光光hが照射されて露光部15a’となり、露光部15a’のレジスト材料が硬化する。
その後、図5-3(1)に示すように、レジスト膜15の現像処理を行うことにより、露光部15a’のみがマスク形成層31上にレジストパターン15b’として残される。このレジストパターン15bは、ゲート電極3に対して自己整合的に現像されることは、第1実施形態と同様である。
次に、図5-3(2)に示すように、レジストパターン15b’をマスクにしてマスク形成層31を選択的にパターンエッチングする。この際、下地となる電極膜13の構成材料によって適切なエッチングを行うことは、第3実施形態および第4実施形態と同様である。
以上により、ゲート電極3上におけるマスク形成層31をエッチング除去してなるマスクパターン31a’を、ゲート電極3に対して自己整合的に形成する。このパターンエッチングの後には、レジストパターン15b’を除去する。尚、このマスクパターン31a’は、レジストパターン15bをそのまま用いても良いことは第3実施形態および第4実施形態と同様である。
次に図5-4(1)に示すように、ゲート電極3の両脇における電極膜13上に各配線33を形成する。これらの配線33は、ゲート電極3の両脇において、ゲート電極3上には積層されず、マスクパターン31a’上に積層されていることが重要である。
尚、このような配線33を構成する材料膜は、導電性の良好な材料であれば有機半導体層7に対して電荷注入可能な材料である必要はなく、より安価な材料を用いて構成することができることは、第3実施形態および第4実施形態と同様である。
次に、図5-4(2)の断面図(A−A’)および平面図に示すように、マスクパターン31a’および配線33をマスクにしたエッチングにより、電極膜13をパターンエッチングする。ここでは、電極膜13およびマスクパターン31a’の構成材料によって適切なエッチング方法を行うことにより、電極膜13の選択的なエッチングによるパターングが可能である。
尚、このような電極膜13のエッチングは、配線33に対して電極膜13の膜厚が十分に薄ければ、配線33の形成のためのエッチングと同時に行っても良く、これにより工程が簡略化される。
以上により、ゲート電極3上における電極膜13をエッチング除去し、電極膜13からなるソース13s-5およびドレイン13d-5を、ゲート電極3に対して自己整合的に形成し、薄膜トランジスタ23-5を完成させる。この際、マスクパターン31a’が導電性材料からなる場合であれば、このマスクパターン31a’もソース13s-5およびドレイン13d-5を構成するものとなる。
以上のようにして得られた薄膜トランジスタ23-5が、上述した他の実施形態と異なるところは、ソース13s-5およびドレイン13d-5の形状にある。すかわちソース13s-5およびドレイン13d-5は、ゲート電極3上においてパターニングされた有機半導体層7上のみに島状に配置されている構成である。
またこれらのソース13s-5およびドレイン13d-5は、第1実施形態と同様にゲート電極3に対して自己整合的に形成されたレジストパターン15bをマスクにしたエッチングで得られたマスクパターン31a’上からのエッチングによって得られたものである。したがって、以上の第5実施形態であっても、ゲート電極3の幅方向の両端縁に対して、それぞれ端縁を一致させた状態でゲート電極3に対して自己整合的に位置合わせされたソース13s-5およびドレイン13d-5が設けられる。このため、第1実施形態と同様に、トムゲート・トップコンタクト構造の薄膜トランジスタにおいてソース13s-5およびドレイン13d-5−ゲート電極3間の寄生容量を効果的に抑えることが可能になる。
尚、本発明は、以上説明した実施形態に限定されることはなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば有機半導体層は,高移動度層と電極形成のためのダメージ吸収層の二層あるいは、それ以上の積層構造にしてもよい。このような高移動度層としてペンタセン,ダメージ吸収等としてCuPcを用いることができる。また、エッチングによる半導体パターニング時にゲート絶縁膜もエッチングしてしまっても良い。
また、薄膜トランジスタがpチャネル型であれば、ソースおよびドレインと有機半導体層との間にアクセプタ型の電界移動錯体を設けても良い。一方、薄膜トランジスタがnチャネル型であれば、ソースおよびドレインと有機半導体層との間にドナー型の電荷移動錯体を形成してもよい。さらにそれらの分子の導電性が無視できない場合は、ソースおよびドレインのパターン形成後に、弱いエネルギーの酸素プラズマや,錯体分子の溶媒でエッチングして除去しても良い。
さらに有機半導体層の形成後各工程においては、有機半導体導体層へのプロセスダメージを回復させるために、低酸素・水蒸気雰囲気下、或いは真空中で加熱する工程を挿入しても良い。
また以上説明した構成の薄膜トランジスタは、例えば表示装置における画素回路や周辺回路を構成する素子として良好に用いることが可能である。表示装置としては、例えば有機電界発光素子を用いたものや、液晶表示装置、さらには電気泳動型の表示装置に適用化能である。さらにこのような薄膜トランジスタは、様々な電子機器に搭載することが可能であり、以上のような表示装置を搭載した電子機器にも広く適用化能である。例えば、電子ペーパー、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラなどの電子機器に適用することができる。つまり、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の表示装置を搭載した電子機器に適用することが可能である。
さらにまた、本発明の電子機器は、表示装置に限定されることはなく、上述した薄膜トランジスタを搭載し、これに導電性パターン(例えば画素電極であっても良い)を接続させた電子機器に広く適用可能である。例えば、IDタグ、センサー等の電子機器への適用が可能である。このような電子機器では、微細でかつ特性の良好な薄膜トランジスタを用いることにより、微細化された機器を安定駆動することが可能になる。
1…基板、3…ゲート電極、5…ゲート絶縁膜、7…有機半導体層、13…電極膜、13-1…第1電極膜、13-2…第2電極膜、13s-1,13s-2,13s-3,13s-4,13s-5…ソース、13d-1,13d-2,13d-3,13d-4,13d-5…ドレイン、15…レジスト膜(ネガ型)、15a,15a’…レジストパターン、17…露光マスク、17a,17a’…開口部、19…層間絶縁膜、21,33…配線、23-1,23-2,23-3,23-4,23-5…薄膜トランジスタ、31…マスク形成層、31a,31a’…マスクパターン

Claims (11)

  1. 基板上にパターン形成されたゲート電極をゲート絶縁膜で覆う工程と、
    前記ゲート絶縁膜上に有機半導体層と電極膜とをこの積層順に形成する工程と、
    前記有機半導体層および前記電極膜が形成された基板上にネガ型感光性のレジスト膜を成膜し、前記ゲート電極を遮光マスクとした前記基板側からの裏面露光とその後の現像処理により、レジストパターンを形成する工程と
    前記レジストパターンを形成した後、前記ゲート電極の両脇における前記電極膜上に配線をパターン形成する工程と、
    当該配線と前記レジストパターンとをマスクにして前記ゲート電極上における前記電極膜をエッチングし、当該電極膜からなるソース・ドレインを形成する工程とを含む
    薄膜トランジスタの製造方法。
  2. 基板上にパターン形成されたゲート電極をゲート絶縁膜で覆う工程と、
    前記ゲート絶縁膜上に有機半導体層、電極膜およびマスク形成層をこの積層順に形成する工程と、
    前記有機半導体層、前記電極膜および前記マスク形成層が形成された基板上にネガ型感光性のレジスト膜を成膜し、前記ゲート電極を遮光マスクとした前記基板側からの裏面露光とその後の現像処理により、レジストパターンを形成する工程と、
    前記レジストパターンをマスクにして前記ゲート電極上における前記マスク形成層をエッチングしてマスクパターンを形成する工程と、
    前記マスクパターンを形成した後、前記ゲート電極の両脇における前記電極膜上に配線をパターン形成する工程と、
    当該配線と前記マスクパターンとをマスクにして前記ゲート電極上における前記電極膜をエッチングし、当該電極膜からなるソース・ドレインを形成する工程とを含む
    薄膜トランジスタの製造方法。
  3. 前記マスクパターンを形成した後、前記ソース・ドレインを形成する前に前記レジストパターンを除去する
    請求項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  4. 前記電極膜は、前記有機半導体層を覆う状態で成膜する
    請求項1〜3の何れかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  5. 記電極膜として、前記有機半導体層と同一パターンにエッチングされた第1電極膜と、当該有機半導体層および当該第1電極膜を覆う第2電極膜とを形成する
    請求項1〜3の何れかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  6. 前記有機半導体層、前記電極膜および前記マスク形成層を形成した後、これらを同一パターンにエッチングする
    請求項2または3に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  7. 前記レジストパターンを形成する工程では、前記ゲート電極と交差する開口部を備えた露光マスクを前記基板側に配置した状態で前記裏面露光を行う
    請求項1〜6の何れかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  8. 基板上にパターン形成されたゲート電極およびこれを覆うゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に設けられた有機半導体層と、
    前記ゲート電極の幅方向の両端縁に対してそれぞれ端縁を一致させた状態で前記有機半導体層上に設けられたソース・ドレインと
    前記ソース・ドレイン上の、当該ソース・ドレインと同一パターン形状のネガレジストとを備えた
    薄膜トランジスタ。
  9. 前記ソース・ドレインは、前記基板側からの裏面露光において前記ゲート電極をマスクにしたパターン形状を有している
    請求項記載の薄膜トランジスタ。
  10. 前記ゲート電極は遮光性を有し、
    前記ゲート電極を除く前記基板から前記電極膜までの間の各層は、光透過性を有している
    請求項8または9に記載の薄膜トランジスタ。
  11. 前記ソース・ドレインは、前記有機半導体層上に設けられた第1電極膜と、当該第1電極膜上から前記ゲート絶縁膜上に引き出された第2電極膜との積層構造で構成されている
    請求項8〜10に記載の薄膜トランジスタ。
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