JP5423632B2 - 静電チャック装置 - Google Patents
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Description
このプラズマエッチング技術はドライエッチング技術の一種であり、加工対象となる固体材料の上にレジストでマスクパターンを形成し、この固体材料を真空中に支持した状態で、この真空中に反応性ガスを導入し、この反応性ガスに高周波の電界を印加することにより、加速された電子がガス分子と衝突してプラズマ状態となり、このプラズマから発生するラジカル(フリーラジカル)とイオンを固体材料と反応させて反応生成物として取り除くことにより、固体材料に微細パターンを形成する技術である。
プラズマエッチング装置、プラズマCVD装置等のプラズマを用いた半導体製造装置においては、従来から、試料台に簡単にウエハを取付け、固定するとともに、このウエハを所望の温度に維持する装置として静電チャック装置が使用されている。
また、プラズマエッチング装置の構造や方式の違い等により、ウエハの面内温度分布に差が生じる。
このヒータ機能付き静電チャック装置は、ウエハ内に局所的に温度分布を作ることができるので、ウエハの面内温度分布を膜堆積速度やプラズマエッチング速度に合わせて設定することにより、ウエハ上へのパターン形成などの局所的な膜形成や局所的なプラズマエッチングを効率よく行なうことができる。
そして、このヒータ内蔵あるいはヒータを取り付けた静電チャック部と温度調整用ベース部とを有機系接着剤を用いて接着一体化することで、ヒータ機能付き静電チャック装置が得られる。
また、接着層の厚みにより絶縁性を確保する場合、この有機系接着剤層の厚みを薄くすることが難しく、しかも、この有機系接着剤層の厚みにばらつきが生じるために、静電チャック部のウエハを載置する面の面内温度を十分に均一にすることができないという問題点があった。
この静電チャック装置では、シート状またはフィルム状の絶縁材を、シート状またはフィルム状の接着材を用いて温度調整用ベース部に接着したことにより、温度調整用ベース部の静電チャック部側の絶縁性が保たれるとともに、接着材の厚みが一定とされることとなり、静電チャック部の載置面における面内温度の均一性が高まる。
この静電チャック装置では、静電チャック部の厚みを0.7mm以上かつ3.0mm以下とすることにより、この静電チャック部に十分な強度を付与するとともに、静電チャック部自体の熱容量が小さくなり、載置される板状試料との熱交換効率、熱応答性も優れたものとなる。
この静電チャック装置では、加熱部材を厚みが0.2mm以下の非磁性金属からなる薄板状のヒータエレメントとしたことにより、このヒータエレメントのパターンが板状試料に反映され難くなり、板状試料の面内温度を所望の温度パターンに維持し易くなる。
この静電チャック装置では、接着材を、シリコーン系またはアクリル系の接着材としたことにより、静電チャック部およびヒータ部の熱応力が軽減され、耐久性がさらに向上する。
この静電チャック装置では、接着材の厚みのばらつきを10μm以下としたことにより、静電チャック部と加熱部材との間隔が10μm以下の精度で制御されることとなり、この加熱部材により加熱される板状試料の面内温度の均一性が向上する。
この静電チャック装置では、載置板を、酸化アルミニウム−炭化ケイ素複合焼結体または酸化イットリウム焼結体としたことにより、腐食性ガス及びそのプラズマに対する耐久性が向上し、機械的強度も保持される。
この静電チャック装置では、載置板の厚みを0.3mm以上かつ2.0mm以下としたことにより、板状試料を確実に吸着固定することができ、したがって、板状試料を十分に加熱することができ、静電吸着用内部電極に印加された電圧により放電する危険性もない。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
この載置板11の載置面には、直径が板状試料の厚みより小さい突起部16が複数個形成され、これらの突起部16が板状試料Wを支える構成になっている。
この静電吸着用内部電極13は、酸化アルミニウム−炭化タンタル(Al2O3−Ta4C5)導電性複合焼結体、酸化アルミニウム−タングステン(Al2O3−W)導電性複合焼結体、酸化アルミニウム−炭化ケイ素(Al2O3−SiC)導電性複合焼結体、窒化アルミニウム−タングステン(AlN−W)導電性複合焼結体、窒化アルミニウム−タンタル(AlN−Ta)導電性複合焼結体、酸化イットリウム−モリブデン(Y2O3−Mo)導電性複合焼結体等の導電性セラミックス、あるいは、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等の高融点金属により形成されている。
このような厚みの静電吸着用内部電極13は、スパッタ法や蒸着法等の成膜法、あるいはスクリーン印刷法等の塗工法により容易に形成することができる。
そして、この給電用端子15は支持板12に接合一体化され、さらに、載置板11と支持板12とは、静電吸着用内部電極13及び絶縁材層14により接合一体化されて静電チャック部2を構成している。
この温度調整用ベース部3としては、例えば、その内部に水を循環させる流路(図示略)が形成された水冷ベース等が好適である。
この温度調整用ベース部3を構成する材料としては、熱伝導性、導電性、加工性に優れた金属、またはこれらの金属を含む複合材であれば特に制限はなく、例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、銅(Cu)、銅合金、ステンレス鋼(SUS) 等が好適に用いられる。この温度調整用ベース部3の少なくともプラズマに曝される面は、アルマイト処理が施されているか、あるいはアルミナ等の絶縁膜が成膜されていることが好ましい。
ここで、接着材4の面内の厚みのバラツキが10μmを超えると、静電チャック部2とヒータエレメント5との面内間隔に10μmを超えるバラツキが生じ、その結果、ヒータエレメント5から静電チャック部2に伝達される熱の面内均一性が低下し、静電チャック部2の載置面における面内温度が不均一となるので、好ましくない。
このヒータエレメント5では、これら内ヒータ5a及び外ヒータ5bをそれぞれ独立に制御することにより、載置板11の載置面に静電吸着により固定されている板状試料Wの面内温度分布を精度良く制御するようになっている。
ここで、ヒータエレメント5の厚みを0.2mm以下とした理由は、厚みが0.2mmを超えると、ヒータエレメント5のパターン形状が板状試料Wの温度分布として反映され、板状試料Wの面内温度を所望の温度パターンに維持することが困難になるからである。
また、一定の厚みの非磁性金属薄板を用いてヒータエレメント5を形成すると、ヒータエレメント5の厚みが加熱面全域で一定となり、さらに発熱量も加熱面全域で一定となるので、静電チャック部2の載置面における温度分布を均一化することができる。
この接着材6の面内の厚みのバラツキは10μm以内が好ましい。
ここで、接着材6の面内の厚みのバラツキが10μmを超えると、温度調整用ベース部3と絶縁部材7との間隔に10μmを超えるバラツキが生じ、その結果、温度調整用ベース部3による静電チャック部2の温度制御の面内均一性が低下し、静電チャック部2の載置面における面内温度が不均一となるので、好ましくない。
ここで、絶縁部材7の面内の厚みのバラツキが10μmを超えると、厚みの大小により温度分布に高低の差が生じ、その結果、絶縁部材7の厚み調整による温度制御に悪影響を及ぼすので、好ましくない。
ここで、熱伝導率が0.1W/mk未満であると、静電チャック部2から温度調整用ベース部への絶縁部材7を介しての熱伝達が難くなり、冷却速度が低下するので好ましくなく、一方、熱伝導率が1W/mkを超えると、ヒータ部から温度調整用ベース部3への絶縁部材7を介しての熱伝達が増加し、昇温速度が低下するので好ましくない。
シリコーン系樹脂組成物は、耐熱性、弾性に優れた樹脂であり、シロキサン結合(Si−O−Si)を有するケイ素化合物である。このシリコーン系樹脂組成物は、例えば、下記の式(1)または式(2)の化学式で表すことができる。
ここで、熱硬化温度が70℃を下回ると、静電チャック部2の支持板12及びヒータエレメント5と、温度調整用ベース部3及び絶縁部材7とを対向させた状態で接合する際に、接合過程で硬化が始まってしまい、作業性に劣ることとなるので好ましくない。一方、熱硬化温度が140℃を超えると、静電チャック部2の支持板12及びヒータエレメント5と、温度調整用ベース部3及び絶縁部材7との熱膨張差が大きく、静電チャック部2の支持板12及びヒータエレメント5と、温度調整用ベース部3及び絶縁部材7との間の応力が増加し、これらの間で剥離が生じる虞があるので好ましくない。
この表面被覆窒化アルミニウム(AlN)粒子は、シリコーン樹脂の熱伝導性を改善するために混入されたもので、その混入率を調整することにより、有機系接着剤層8の熱伝達率を制御することができる。
また、窒化アルミニウム(AlN)粒子の表面に酸化ケイ素(SiO2)からなる被覆層が形成されているので、表面被覆が施されていない単なる窒化アルミニウム(AlN)粒子と比較して優れた耐水性を有している。したがって、シリコーン系樹脂組成物を主成分とする有機系接着剤層8の耐久性を確保することができ、その結果、静電チャック装置1の耐久性を飛躍的に向上させることができる。
なお、この表面被覆窒化アルミニウム(AlN)粒子は、半導体ウエハ等の板状試料Wへの汚染源となる虞もなく、この点からも好ましいフィラーということができる。
ここで、この表面被覆窒化アルミニウム(AlN)粒子の平均粒径が1μmを下回ると、粒子同士の接触が不十分となり、結果的に熱伝達率が低下する虞があり、また、粒径が細か過ぎると、取扱等の作業性の低下を招くこととなり、好ましくない。一方、平均粒径が10μmを越えると、接着層の厚みにばらつきが生じ易くなるので好ましくない。
まず、酸化アルミニウム−炭化ケイ素(Al2O3−SiC)複合焼結体または酸化イットリウム(Y2O3)焼結体により板状の載置板11及び支持板12を作製する。この場合、炭化ケイ素粉末及び酸化アルミニウム粉末を含む混合粉末または酸化イットリウム粉末を所望の形状に成形し、その後、例えば1400℃〜2000℃の温度、非酸化性雰囲気、好ましくは不活性雰囲気下にて所定時間、焼成することにより、載置板11及び支持板12を得ることができる。
次いで、給電用端子15を、支持板12の固定孔に密着固定し得る大きさ、形状となるように作製する。この給電用端子15の作製方法としては、例えば、給電用端子15を導電性複合焼結体とした場合、導電性セラミックス粉末を、所望の形状に成形して加圧焼成する方法等が挙げられる。
また、給電用端子15を金属とした場合、高融点金属を用い、研削法、粉末治金等の金属加工法等により形成する方法等が挙げられる。
この塗布法としては、均一な厚さに塗布する必要があることから、スクリーン印刷法等を用いることが望ましい。また、他の方法としては、蒸着法あるいはスパッタリング法により上記の高融点金属の薄膜を成膜する方法、上記の導電性セラミックスあるいは高融点金属からなる薄板を配設して静電吸着用内部電極形成層とする方法等がある。
また、給電用端子15は、高温、高圧下でのホットプレスで再焼成され、支持板12の固定孔に密着固定される。
そして、これら接合体の上下面、外周およびガス穴等を機械加工し、静電チャック部2とする。
この接着材4は、支持板12の表面(下面)に、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の耐熱性及び絶縁性を有する接着性樹脂シートまたは接着性樹脂フィルムを貼着し、このシートまたはフィルムにヒータエレメント5と同一のパターンを形成することによっても作製することができる。
これにより、支持板12の表面(下面)に所望のヒーターパターンを有するヒータエレメント5が接着材4を介して形成されたヒータエレメント付き静電チャック部が得られる。
また、給電用端子22を金属とした場合、高融点金属を用い、研削法、粉末治金等の金属加工法等により形成する方法等が挙げられる。
この温度調整用ベース部3の少なくともプラズマに曝される面には、アルマイト処理を施すか、あるいはアルミナ等の絶縁膜を成膜することが好ましい。
次いで、この接着材6上に、この接着材6と同一の平面形状のポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の絶縁性及び耐電圧性を有するフィルム状またはシート状の樹脂を貼着し、絶縁部材7とする。
この接着剤の塗布方法としては、ヘラ等を用いて手動で塗布する他、バーコート法、スクリーン印刷法等が挙げられるが、温度調整用ベース部3上の所定領域に精度良く形成する必要があることから、スクリーン印刷法等を用いることが好ましい。
次いで、静電チャック部2と温度調整用ベース部3との間隔がスペーサの厚みになるまで落し込み、押し出された余分な接着剤を除去する。
さらに、ヒータエレメント5が接着された静電チャック部2と温度調整用ベース部3との間に有機系接着剤層8を介在させたので、この有機系接着剤層8が静電チャック部2に対して急激な膨張・収縮を緩和する緩衝層として機能することで、静電チャック部2におけるクラックや欠け等を防止することができ、したがって、静電チャック部2の耐久性を向上させることができる。
(静電チャック装置の作製)
公知の方法により、内部に厚み20μmの静電吸着用内部電極13が埋設された静電チャック部2を作製した。
この静電チャック部2の載置板11は、炭化ケイ素を8.5質量%含有する酸化アルミニウム−炭化ケイ素複合焼結体であり、直径は298mm、厚みは0.5mmの円板状であった。また、この載置板11の静電吸着面を、高さが40μmの多数の突起部16を形成することで凹凸面とし、これらの突起部16の頂面を板状試料Wの保持面とし、凹部と静電吸着された板状試料Wとの間に形成される溝に冷却ガスを流すことができるようにした。
これら載置板11及び支持板12を接合一体化することにより、静電チャック部2の全体の厚みは2.5mmとなっていた。
また、幅2000μm、長さ2000μm、高さ200μmの角形状のスペーサを、酸化アルミニウム焼結体にて作製した。
次いで、この接着材4上に、厚みが100μmのチタン(Ti)薄板を載置した。次いで、真空中、150℃にて加圧保持し、静電チャック部2とチタン(Ti)薄板とを接着固定した。
これにより、ヒータエレメント付き静電チャック部が得られた。
なお、窒化アルミニウム粉末は、湿式篩により選別した粒径が平均10〜20μmのものを用いた。
次いで、静電チャック部のヒータエレメントと温度調整用ベース部との間隔が角形状のスペーサの高さ、すなわち200μmになるまで落し込んだのち、110℃にて12時間保持し、シリコーン系樹脂組成物を硬化させて静電チャック部と温度調整用ベース部とを接合させ、実施例1の静電チャック装置を作製した。
この静電チャック装置の(1)耐電圧性、(2)シリコンウエハの面内温度制御及び昇降温特性、(3)疑似プラズマ入熱下におけるシリコンウエハの面内温度制御、それぞれについて評価した。
温度調整用ベース部3とヒータエレメント5との間に、1kVから1kVずつ段階的に上昇させ、最大値10kVの電圧を印加し、各電圧における漏れ電流を測定した。ここでは、温度調整用ベース部3とヒータエレメント5との間の有機系接着剤層8の厚みが100μm、200μm、300μmの3種類の静電チャック装置を作製し、それぞれの耐電圧性を評価した。
その結果、3種類の静電チャック装置共、10kVの電圧を印加した場合の漏れ電流は0.1μA以下であり、極めて良好な耐電圧性を示していた。
a.静電チャック部2の載置面に直径300mmのシリコンウエハを静電吸着させ、温度調整用ベース部3の流路(図示略)に20℃の冷却水を循環させながら、シリコンウエハの中心温度が40℃となるようにヒータエレメント5の外ヒータ5b及び内ヒータ5aに通電し、このときのシリコンウエハの面内温度分布をサーモグラフィTVS−200EX(日本アビオニクス社製)を用いて測定した。その結果を図3に示す。図中、Aはシリコンウエハの一直径方向の面内温度分布を、Bはシリコンウエハの上記の一直径方向と直行する直径方向の面内温度分布を、それぞれ示している。
b.ヒータエレメント5の外ヒータ5bの通電量を上げて、シリコンウエハ外周部の温度が60℃となるように昇温速度3.6℃/秒にて昇温させ、このときのシリコンウエハの面内温度分布をサーモグラフィTVS−200EX(日本アビオニクス社製)を用いて測定した。その結果を図4に示す。図中、Aはシリコンウエハの一直径方向の面内温度分布を、Bはシリコンウエハの上記の一直径方向と直行する直径方向の面内温度分布を、それぞれ示している。
c.ヒータエレメント5の外ヒータ5bの通電を停止し、シリコンウエハ外周部の温度が30℃となるように降温速度4.0℃/秒にて降温させ、このときのシリコンウエハの面内温度分布をサーモグラフィTVS−200EX(日本アビオニクス社製)を用いて測定した。その結果を図5に示す。図中、Aはシリコンウエハの一直径方向の面内温度分布を、Bはシリコンウエハの上記の一直径方向と直行する直径方向の面内温度分布を、それぞれ示している。
静電チャック装置1を真空チャンバ内に固定し、擬似プラズマ入熱下におけるシリコンウエハの面内温度を測定した。ここでは、擬似プラズマ入熱として、静電チャック装置1の載置面から40mm上部に配設され、直径が300mmの面状でありかつ外周部が内部よりも発熱量が多い外部ヒータによる加熱を用いた。なお、シリコンウエハと静電チャック部2の静電吸着面との間に形成された溝に、30torrの圧力のHeガスを流した。
d.上記の通電状態を維持しつつ、さらに外ヒータ5bにも通電した。このときのシリコンウエハの面内温度を熱電対で測定したところ、シリコンウエハ中心部の温度は60℃、シリコンウエハ外周部の温度は70℃であった。
次いで、
e.ヒータエレメント5の内ヒータ5a及び外ヒータ5bの通電を維持したまま、ヒータエレメント5の外ヒータ5bの通電量を下げた。このときのシリコンウエハの面内温度を熱電対で測定したところ、シリコンウエハ全域において、温度は60℃と一定であった。
(静電チャック装置の作製)
静電チャック部2の載置板11および支持板12を酸化イットリウム焼結体とし、静電吸着用内部電極13を酸化イットリウム−モリブデン導電性複合焼結体とした他は、実施例1に準じて、実施例2の静電チャック装置を作製した。
実施例2の静電チャック装置を、実施例1に準じて評価した。
その結果、(1)耐電圧性については、10kVまたは4kVの電圧を印加した場合の漏れ電流が0.1μA以下であり、極めて良好な耐電圧性を示していた。(2)シリコンウエハの面内温度制御及び昇降温特性では、シリコンウエハの面内温度が±20℃の範囲内で良好に制御されていることが分かった。また、(3)疑似プラズマ入熱下におけるシリコンウエハの面内温度制御においても、シリコンウエハの面内温度が10℃の範囲内で良好に制御されていることが分かった。
(静電チャック装置の作製)
静電チャック部2の支持板12の表面(下面)の所定の領域に、粘性のある液状のエポキシ樹脂からなる接着剤を塗布し、接着剤層を形成し、この接着剤層上に、厚みが100μmのチタン(Ti)薄板を接着固定した他は、実施例1に準じて、比較例1の静電チャック装置を作製した。
比較例1の静電チャック装置を、実施例1に準じて評価した。
その結果、(1)耐電圧性については、10kVまたは4kVの電圧を印加した場合の漏れ電流が0.5μA以下であり、極めて良好な耐電圧性を示していたが、(2)シリコンウエハの面内温度制御及び昇降温特性では、シリコンウエハの面内温度が±5.0℃の範囲となっており、面内温度均一性が低下していることが分かった。また、(3)疑似プラズマ入熱下におけるシリコンウエハの面内温度制御においても、シリコンウエハの面内温度が±5.0℃の範囲となっており、面内温度均一性が低下していることが分かった。
(静電チャック装置の作製)
温度調整用ベース部3の静電チャック部2との接合面上に、シート接着剤及びポリイミドフィルムを順次貼着しなかった他は、実施例1に準じて、比較例2の静電チャック装置を作製した。
比較例2の静電チャック装置を、実施例1に準じて評価した。
その結果、(1)耐電圧性については、温度調整用ベース部3とヒータエレメント5との間の有機系接着剤層8の厚みが100μmでは、2.6kV〜7kVで放電が生じ、厚みが200μmでは、10kVで放電が生じ、厚みが300μmでは、10kVで放電が生じなかった。その結果、有機系接着剤層8の厚みが300μmでは極めて良好な耐電圧性を示しているが、厚みが200μm以下では10kVまたはそれ以下の電圧で放電してしまい、耐電圧性が低下していた。
2 静電チャック部
3 温度調整用ベース部
4 接着材
5 ヒータエレメント
5a 内ヒータ
5b 外ヒータ
6 接着材
7 絶縁部材
8 有機系接着剤層
11 載置板
12 支持板
13 静電吸着用内部電極
14 絶縁材層
15 給電用端子
16 突起部
17 碍子
21 給電用端子との接続位置
22 給電用端子
23 碍子
W 板状試料
Claims (8)
- 一主面を板状試料を載置する載置面とするとともに静電吸着用内部電極を内蔵した静電チャック部と、この静電チャック部を所望の温度に調整する温度調整用ベース部とを備え、
前記静電チャック部の前記載置面と反対側の主面には、接着材を介して加熱部材が接着され、
前記温度調整用ベース部の前記静電チャック部側の面の全体または一部分は、シート状またはフィルム状の絶縁材により被覆され、
これら加熱部材が接着された静電チャック部と、シート状またはフィルム状の絶縁材により被覆された温度調整用ベース部とは、液状接着剤を硬化してなる絶縁性の有機系接着剤層を介して接着一体化されていることを特徴とする静電チャック装置。 - 前記シート状またはフィルム状の絶縁材は、シート状またはフィルム状の接着材により前記温度調整用ベース部に接着されていることを特徴とする請求項1記載の静電チャック装置。
- 前記静電チャック部の厚みは、0.7mm以上かつ3.0mm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の静電チャック装置。
- 前記加熱部材は、厚みが0.2mm以下の非磁性金属からなる薄板状のヒータエレメントであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の静電チャック装置。
- 前記接着材は、シリコーン系またはアクリル系の接着材であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の静電チャック装置。
- 前記接着材の厚みのばらつきは、10μm以下であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の静電チャック装置。
- 前記静電チャック部は、一主面を前記載置面とした載置板と、該載置板と一体化され該載置板を支持する支持板と、これら載置板と支持板との間に設けられた前記静電吸着用内部電極とを備え、
前記載置板は、酸化アルミニウム−炭化ケイ素複合焼結体または酸化イットリウム焼結体からなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項記載の静電チャック装置。 - 前記載置板の厚みは、0.3mm以上かつ2.0mm以下であることを特徴とする請求項7記載の静電チャック装置。
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