しかし、従来のアクセルペダル誤動作解消装置は、運動変換機構を構成するアクセルロッドのほぼ中央部に固止した連動杆の移動とブレーキアームに取り付ける連動リンクの作用でブレーキペダルを作動させていたため、連動杆の移動距離が短く、その制動効果は極僅かなものに過ぎなかった。
即ち、従来のアクセルペダル誤動作解消装置は、アクセルペダルの誤動作が発生した極めて初期の段階で、この誤動作を回避するように構成したものに過ぎず、アクセルペダルの誤動作に気付き、これを回避すると同時に初期のブレーキ操作を行い、続いて本来のブレーキ操作を行うことで自動車を制動するものであった。
従って、気が動転してブレーキペダルへの踏み替えができなかった場合には十分な減速及び制動行為が行えなかった。
この発明は、従来のアクセルペダル誤動作解消装置が有する上記の問題点を解消すべくなされたものであり、気が動転してブレーキペダルへの踏み替えができなかった場合にも、アクセルペダルの踏み込みのみで自動車を制動することが可能で、確実にブレーキ制御ができるアクセルペダル誤動作解消装置を提供することを目的としている。
又、アクセルペダルの踏み込み操作だけでも、自動車運転操作ができ、別段の切り替え操作も必要なく通常は従来の運転操作もでき、アクセルペダルの踏み込みで、始動、加速運転を行い、制動、停止する時は、更なるペダルの踏み込みで運転者の意思のもと、踏み力の加減により制動又は停止することができ、踏み力を解除すると、元のアクセル初期状態にできるアクセルペダル誤動作解消装置を提供することを目的としている。
又、運転者の自動車を停止させようとする意思に基づきアクセルペダルを間違えて踏み込んでも、ブレーキペダルに踏み変えるより早く確実に停止することができるアクセルペダル誤動作解消装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、この発明のアクセルペダル誤動作解消装置は、一端部にブレーキペダルを固着して他端部を枢軸に取り付け回動運動により制動操作を行うブレーキアームと、一端部にアクセルペダルを固着し中間部に揺動支点ピンを遊挿して他端部にアクセルワイヤーを掛止するアクセルペダル踏込力伝達部材と、このアクセルペダル踏込力伝達部材の一部を構成して前記踏込力をアクセルワイヤーに伝達するか、又はその伝達を解除するアクセル連係機構と、前記踏込力伝達の解除時よりアクセルペダルの更なる踏込力をブレーキペダルの踏込に変換するペダル連係機構を備えるアクセルペダル誤動作解消装置において、前記ブレーキアームは、アーム屈曲部近傍より前記アクセルペダル踏込力伝達部材側に跳ね出す取付金具と、この取付金具に固定され上部に吊下ピンを横架する支柱体と、この吊下ピンに吊下してこの吊下体下端のペダル側突設部に前記揺動支点ピンを横架する踏込力変換吊下体を備え、前記アクセルペダル踏込力伝達部材は、前記揺動支点ピンを介して回動可能に取り付けアクセルペダル解放時に初期位置に戻すための復帰スプリングを付設する第一立上り部材と、前記踏込力変換吊下体の下端部反ペダル側に基端を回動可能に取り付け上端に前記アクセルワイヤーを掛止する第二立上り部材を有し、前記アクセル連係機構は、この第二立上り部材の中間部に設けるアクセル連係部材と、前記第一立上り部材に付設し前記第一立上り部材の回動角度に対応して前記アクセル連係部材と係止又は係脱する可動部材を有し、前記ペダル連係機構は、前記踏込力変換吊下体を挿通して一端を壁体に当接するガイド部材と、前記吊下ピンと前記第一立上り部材上端とを接続して両者の連動を前記第一立上り部材の回動角度に対応して行う連係接続部材と、前記踏込力変換吊下体の中間部に設ける軸受に支持する変換金具と、前記連係接続部材の回動時にこの変換金具に当接して変換金具を回動し得る変換金具回動部材と、前記変換金具に回動可能に吊下して下部係止部を前記ガイド部材の欠込部と係止又は係脱するロック金具を備えることを特徴とするものである。
取付金具及び支柱体は、アクセルペダル踏込力伝達部材側の全部材を支持するものである。踏込力変換吊下体は、支柱体に並設する構成で、側面略逆T字形若しくは逆L字形をなし、その吊下体下端のペダル側突設部に揺動支点ピン、反ペダル側に第二立上り部材の基端より突設するアクセル支点ピンを遊挿する。
第一立上り部材は、アクセルペダルを端部に固着する側面への字形状の揺動部材の一部であって、揺動支点ピンで揺動部材の曲折部を回動可能に係止する。ガイド部材は、これに当接するロック金具が欠込部に係止する時、アクセルペダル踏込時の変換金具と踏込力変換吊下体及び支柱体、更にはブレーキアームの移動を抑制し、又ロック金具が欠込部より係脱する時、これらの移動を可能とする部材である。ロック金具は、踏込力変換吊下体の背面壁体側に位置する。
変換金具は、軸に固定されており、踏込力変換吊下体の軸受部周りに回動可能な構成である。アクセルペダルを踏み込むと第一立上り部材は揺動支点ピンを中心に揺動しようとするが、揺動支点ピンはその位置が固定されていないため、踏込力が揺動支点ピンを介して踏込力変換吊下体を壁体側に押し込むことになり、これに連結する支柱体及びブレーキアームも枢軸周りに回動しようとする。
一方、踏込力変換吊下体には変換金具とこれに連結するロック金具及びガイド部材が接続しており、ロック金具がガイド部材の欠込部に係止している状態でアクセルペダルを踏み込むと、踏込力変換吊下体が壁体側に押し込まれ、ロック金具に当接する。ロック金具は欠込部と踏込力変換吊下体に挟まれた状態となり、この時ガイド部材には壁体方向への荷重が作用するが、壁体に当接して移動できないためロック金具の移動も抑制される。
従って変換金具と踏込力変換吊下体と支柱体及びブレーキアームの移動が抑制され、結局揺動支点ピンの位置が固定状態となり、第一立上り部材の揺動支点ピン廻りの揺動が実現される。
これに伴い第二立上り部材は、アクセル連係機構であるアクセル連係部材及び可動部材を介してアクセルペダルの踏込途中まで同期して回動する。両者の係脱が生ずると、第二立上り部材はアクセルワイヤーの引張力で初期位置に戻されると共に燃料供給を停止する。なお、通常のアクセルペダル踏込範囲では両者の係脱は生ぜず最大踏込に近接した領域でのみ係脱を実現する。この時にはアクセルワイヤが戻るため、急発進・急加速は抑制される。
アクセルペダルの踏み込みを停止すると復帰スプリングの作用により第一立上り部材は初期位置に戻され、この時アクセル連係部材と可動部材の距離が接近して当接する。この当接力で可動部材が移動し両者は係止し初期状態に移行する。
一方、第一立上り部材と第二立上り部材の係脱が生じた後、更にアクセルペダルの踏み込みがなされると、第一立上り部材は更に揺動支点ピン廻りを揺動する。一方、第一立上り部材上端に設ける連係接続部材が回動すると、変換金具回動部材が変換金具に当接して変換金具を回動する。その始期はアクセル連係部材と可動部材の係脱が生じた時になるよう構成する。
変換金具が第一立上り部材と同期して揺動すると、変換金具は踏込力変換吊下体の軸受部周りに回動し始め、変換金具の下端に吊下するロック金具を引き上げる。この時ロック金具の下部係止部がガイド部材の欠込部と係脱する。この時点でガイド部材には壁体方向への荷重が作用しなくなる。
更にアクセルペダルを踏み込むと、連係接続部材の回動に同期して吊下ピンを移動し、第一立上り部材と支柱体及びブレーキアームは一体的な動作を行うようになる。即ち、更なるペダル踏込により、ブレーキペダルが踏み込まれることになり、アクセルペダルを踏込む力に応じてブレーキペダルが踏込まれ確実な制動が行われる。
ガイド部材は、これら第一立上り部材と変換金具と踏込力変換吊下体と支柱体の移動を阻止しない構成とする。例えば、第一立上り部材等の枢軸周りの軌跡に対応する形状、若しくは第一立上り部材等の動きにあわせ壁体面を一端が摺動あるいは転動する構成とする。
アクセルペダルの踏み込みを停止すると第一立上り部材が初期位置に戻されるため連係接続部材と吊下ピン及び変換金具回動部材との接続が解消し、変換金具と踏込力変換吊下体と支柱体とブレーキアーム及びブレーキペダルは初期位置に戻る。又、ロック金具も降下して下部係止部がガイド部材の欠込部に当接しロック状態となり、踏込力変換吊下体等の移動を抑制する。
請求項2記載のアクセルペダル誤動作解消装置の前記ガイド部材は、前記踏込力変換吊下体に対し移動可能に支持されると共に前記壁体側に付勢するスプリングを備え、前記壁体面と当接しながら移動し得る先端部を有することを特徴とするものである。
ガイド部材は踏込力変換吊下体と直交し、スプリングの弾性力で常に壁体に当接する。ロック金具が欠込部に当接しているとガイド部材の上方向の動きが抑制されるが、係脱すると踏込力変換吊下体が回動し始め、これに支持されるガイド部材も回動し、その先端部は壁体に沿っての移動が可能となる。
アクセルペダルの踏み込みを停止すると踏込力変換吊下体は初期位置に戻り、ガイド部材も初期位置に戻り、ロック状態になる。
請求項3記載のアクセルペダル誤動作解消装置の前記アクセル連係機構は、前記第一立上り部材側に張り出す連係爪を有するアクセル連係部材と、前記連係爪方向に付勢され連係爪に対して出没可能な係止ピンを有する可動部材と、この係止ピンを前記第一立上り部材の回動角度に対応して押圧移動し得る係止ピン押込み部を備えることを特徴とするものである。
可動部材である係止ピンの連係爪係止部は、連係爪に係止して回動する際にその当接部が移動して所定位置で係脱し得る形状とする。係止ピン押込み部は係止ピン若しくは係止ピンに固定する部材に当接して押圧する際に係止ピンを押し込み、離隔する際に係止ピンを初期位置に戻す。
係止ピンは第一立上り部材が初期位置に戻る時、連係爪との当接で没した後突出することで係止状態を呈示する。
請求項4記載のアクセルペダル誤動作解消装置の前記ペダル連係機構は、前記係止ピンに一端を固定し他端側に長孔を形成するリング材を有する連係接続部材と、前記吊下ピンを収容して軸受まわりの回動を抑制する回動ストッパとしての二股部を上部に設ける変換金具と、この変換金具の中間部に突設するブレーキピンを前記長孔に挿通する変換金具回動部材を有し、前記リング材には前記係止ピン押込み部を形成することを特徴とするものである。
アクセルペダルを踏み込んで第一立上り部材の揺動支点ピン廻りの揺動が実現し、第一立上り部材上端に設ける連係接続部材のリング材が回動すると、変換金具回動部材であるブレーキピンに当接して変換金具を回動する。長孔の一内面は、第一立上り部材が回動してアクセル連係部材と可動部材の係脱が生じた時にブレーキピンと当接するよう構成する。この当接状態が続くとペダル連係機構が作用し、当接状態が解消すると制動力も低減し消滅する。
変換金具が第一立上り部材と同期して揺動すると、変換金具は踏込力変換吊下体の軸受部周りに回動し始め、ロック金具を引き上げ下部係止部がガイド部材の欠込部と係脱し、ガイド部材には壁体方向への荷重が作用しなくなる。
第一立上り部材と第二立上り部材の係脱が生じた後、更にアクセルペダルの踏み込みがなされると、第一立上り部材は更に揺動支点ピン廻りを揺動し、変換金具も軸受部周りに回動を続ける。この時、回動ストッパである上部の二股部の一方が吊下ピンに当接すると回動不能となり、変換金具の作用を踏込力変換吊下体に伝達する。即ち、第一立上り部材と変換金具と踏込力変換吊下体と支柱体及びブレーキアームは一体的な動作を行うようになり、更なるペダル踏込により、ブレーキペダルが踏み込まれることになり、アクセルペダルを踏込む力に応じてブレーキペダルが踏込まれ確実な制動が行われる。
アクセルペダルの踏み込みを停止すると第一立上り部材が初期位置に戻されるため連係接続部材と変換金具中間部との接続が解消し、変換金具と踏込力変換吊下体と支柱体とブレーキアーム及びブレーキペダルは初期位置に戻る。又、ロック金具も降下して下部係止部がガイド部材の欠込部に当接しロック状態となり、踏込力変換吊下体等の移動を抑制する。
請求項5記載のアクセルペダル誤動作解消装置の前記係止ピン押込み部は、前記リング材の自由端側に形成する折曲部と、これに当接可能な前記支柱体の上部内面からなることを特徴とするものである。
係止ピンに固定するリング材の折曲部は支柱体の上部内面側に折り曲げられており、アクセルペダルの踏込時に第一立上り部材が揺動すると、両者が当接して係止ピンを押し込み、踏込み停止により第一立上り部材が初期位置に戻されると両者は離隔し係止ピンを初期位置に戻す。
請求項6記載のアクセルペダル誤動作解消装置の前記支柱体は、水平部と傾斜立上り部を有する受板を下方に突設し、前記ロック金具は、前記変換金具の下端に吊下する下部係止部の下方にこの受板上を転動し得る脚部を備えることを特徴とするものである。
受板とロック金具の脚部はブレーキペダル踏込時にブレーキアーム及び支柱体の動きに併せてロック金具・変換金具・踏込力変換吊下体及び第一立上り部材を同時に回動させるものである。受板は各ペダル側に跳ね出しており、ブレーキペダルを踏み込むと支柱体が回動して受板の傾斜立上り部がロック金具の脚部を押し上げる方向に作用する。
ロック金具は変換金具を同方向に回動させるため、踏込力変換吊下体及び第一立上り部材と第二立上り部材も同方向に回動する。アクセルペダルも回動するが揺動支点ピン周りには回動していないのでアクセルワイヤは引かれない。即ちブレーキペダルの制動力のみが作用する。
この時ブレーキペダルとアクセルペダルは同期して回動することになるのでその相対的位置が初期状態と略同一になる。
請求項7記載のアクセルペダル誤動作解消装置の前記回動ストッパは、前記踏込力変換吊下体の前記壁体側に突設し変換金具の下端突設部壁体側と当接し得る突起体であることを特徴とするものである。
請求項8記載のアクセルペダル誤動作解消装置の前記ペダル連係機構は、前記係止ピンに一端を固定し他端側に長孔を形成して前記吊下ピンを挿通する第一リング材を有する連係接続部材と、先端に前記ロック金具を吊下する水平部の後端に羽根状立上り部を立設しそれらの交差部を軸に固定しこの軸を前記ガイド部材の欠込部方向に回転付勢する変換金具と、前記第一リング材の下部に突設して前記羽根状立上り部先端に当接可能な羽根押込み材を備える変換金具回動部材を有し、前記第一リング材には前記係止ピン押込み部を付設することを特徴とするものである。
アクセルペダルを踏み込んで第一立上り部材の揺動支点ピン廻りの揺動が実現し、第一立上り部材上端に設ける連係接続部材の第一リング材が回動すると、下部に突設する変換金具回動部材である羽根押込み材が変換金具の羽根状立上り部先端に当接して変換金具を回動する。
変換金具が第一立上り部材と同期して揺動すると、変換金具は踏込力変換吊下体の軸受部周りに回動し始め、ロック金具を引き上げ下部係止部がガイド部材の欠込部と係脱し、ガイド部材には壁体方向への荷重が作用しなくなる。
第一立上り部材と第二立上り部材の係脱が生じた後、更にアクセルペダルの踏み込みがなされると、第一立上り部材は更に揺動支点ピン廻りを揺動し、連係接続部材の第一リング材も回動を続ける。この時、長孔の一内面は、吊下ピンと当接するようになり、この当接状態が続くとペダル連係機構が作用し、第一立上り部材と支柱体及びブレーキアームは一体的な動作を行うようになり、更なるペダル踏込により、ブレーキペダルが踏み込まれることになり、アクセルペダルを踏込む力に応じてブレーキペダルが踏込まれ確実な制動が行われる。
アクセルペダルの踏み込みを停止すると第一立上り部材が初期位置に戻されるため連係接続部材と吊下ピンの接続が解消し、変換金具と踏込力変換吊下体と支柱体とブレーキアーム及びブレーキペダルは初期位置に戻り制動力も低減し消滅する。又、ロック金具も降下して下部係止部がガイド部材の欠込部に当接しロック状態となり、踏込力変換吊下体等の移動を抑制する。
請求項9記載のアクセルペダル誤動作解消装置の前記係止ピン押込み部は、前記第一リング材の自由端側に形成する跳出部とこれに当接可能な前記踏込力変換吊下体の上部内面からなる上部係止ピン押込み部を有し、前記ガイド部材に形成する側部突出板に対して下端を転動可能とし上端を前記第一リング材に摺接移動可能とする柱体の中間部に突出する軸体を前記踏込力変換吊下体に回動可能に支持し、この軸体には前記上端を外方に回転付勢する弾性体を巻着する内部係止ピン押込み部を有することを特徴とするものである。
係止ピンに固定するリング材の跳出部は踏込力変換吊下体の上部内面側に傾斜しながら跳ね出しており、アクセルペダルの踏込時に第一立上り部材が揺動すると、上部係止ピン押込み部と跳出部が当接して係止ピンを押し込み、踏込み停止により第一立上り部材が初期位置に戻されると両者の接触が解消し係止ピンを初期位置に戻す。
内部係止ピン押込み部は、軸体を中心として回動可能な略T字形状の部材であって、軸体に巻着する弾性体により柱体の上端を外方、下端を内方に回転付勢されており、下端の転動材はガイド部材に接触し、上端は第一リング材に接触する。この略T字形状の部材とガイド部材の相対位置が変化し、ガイド部材に形成する側部突出板に下端の転動材が当接すると、上端は内方に回動し第一リング材を押し込む。このため、係止ピンが押し込まれ第一立上り部材と第二立上り部材の係脱が生ずる。
上部係止ピン押込み部と内部係止ピン押込み部は、同時に作用して係止ピンを押し込む場合もあるが、各々別々に作用する場合もある。
請求項10記載のアクセルペダル誤動作解消装置の前記係止ピン押込み部は、前記変換金具の交差部に隣接して前記軸に上端を固定し下端にテーパー突出面を形成するL字体を並設し、前記軸の回動時にこのテーパー突出面を前記柱体下端に当接することを特徴とするものである。
この係止ピン押込み部は、上部係止ピン押込み部及び略T字形状の内部係止ピン押込み部に加え、変換金具の軸に上端を固定するL字体の内部係止ピン押込み部を有する。このL字体の内部係止ピン押込み部は変換金具が回転すると、それに伴ってテーパー突出面を略T字形状の内部係止ピン押込み部の柱体下端の転動材に当接する。
即ち、変換金具の回転でL字体が略T字形状の柱体を回動して第一リング材を押し込み、係止ピンを押し込むことで第一立上り部材と第二立上り部材の係脱を生ずる。
これら上部係止ピン押込み部と略T字形状の内部係止ピン押込み部及びL字体の内部係止ピン押込み部は、同時に移動して係止ピンを押し込む場合もあるが、各々別々に作用する場合もある。
請求項11記載のアクセルペダル誤動作解消装置の前記支柱体は、下方に棒状の連結材を付設し、前記変換金具は、前記交差部に隣接して前記軸に上端を固定する吊下材を並設し、この吊下材下端と水平方向に移動可能に接続する水平材と、この水平材と前記連結材とをピン結合することを特徴とするものである。
連結材と水平材及び吊下材はブレーキペダル踏込時にブレーキアーム及び支柱体の動きに併せて変換金具・ロック金具・踏込力変換吊下体及び第一立上り部材を同時に回動させるものである。ブレーキペダルを踏み込むと支柱体が回動して連結材及び水平材を引き出し、これにより吊下材を斜め前方に回動し、変換金具を回動させる。
変換金具が回動すると、ロック金具の脚部を引き上げ、下部係止部がガイド部材の欠込部と係脱し、ガイド部材には壁体方向への荷重が作用しなくなる。この状態でブレーキペダルを踏み込むと、支柱体の回動が吊下材を引く作用を加え、更に変換金具を固定する軸及びこれを軸支するガイド部材に対しても同方向への引く力が作用し、このためガイド部材はペダル側が押し下げられ壁体側が上昇する方向に回動する。
この時、踏込力変換吊下体及び第一立上り部材と第二立上り部材も同方向に回動し、アクセルペダルも回動するが揺動支点ピン周りには回動していないのでアクセルワイヤは引かれない。即ちブレーキペダルの制動力のみが作用する。
変換金具の軸にL字体を並設する場合には、変換金具の回動がガイド部材の移動可能状態を実現すると同時に、L字体が略T字形状の内部係止ピン押込み部の柱体を回動して第一リング材を押し込み、係止ピンを押し込むことで第一立上り部材と第二立上り部材の係脱を生ずる。
即ち、ブレーキペダルを踏み込むと、第二立上り部材はアクセルワイヤーの引張力で初期位置に戻される。従って、ブレーキペダル踏込み時に誤ってアクセルペダルを踏込んだとしても燃料は供給されない。
請求項12記載のアクセルペダル誤動作解消装置の踏込力変換吊下体は、前記壁体側に前記支柱体と当接するストッパを設けることを特徴とするものである。
ブレーキペダル踏込み時の回動力は当初連結材等に作用するが、移動により支柱体とストッパが当接すると、ブレーキアーム及び支柱体の回動力は踏込力変換吊下体に作用することになり変換金具への荷重集中が避けられる。
請求項13記載のアクセルペダル誤動作解消装置の支柱体は、上部側方に断面鋸歯状の跳出部を設け、前記第一立上り部材の前記係止ピンの下方には、ペダル連係ピン体を軸方向移動可能に横設し、このピン体には前記第一リング材の外方に並列する棒体を固定すると共に前記第二立上り部材側に付勢する弾性体を巻着し、この棒体を前記内部係止ピン押込み部の前記柱体に開設する長孔に挿通し、前記ピン体は、前記断面鋸歯状の跳出部と係合可能なテーパ付先端を形成すると共に鋸歯傾斜面に沿って移動可能とすることを特徴とするものである。
ペダル連係ピン体は第一立上り部材の内側に横移動可能かつピン体の先端が飛出し可能に収容されており、ピン体の軸外方に断面鋸歯状の跳出部を配設する。内部係止ピン押込み部の柱体の上端が外方へ、下端が内方に位置する時には、棒体には押圧力が作用しないためピン体に巻着する弾性体の作用によりピン体先端は第一立上り部材の内側に位置する。
内部係止ピン押込み部柱体の上端が内方へ回動すると、棒体及びピン体を断面鋸歯状の跳出部側に移動し、ピン体先端が第一立上り部材の外側に突出して跳出部に係合する。
この状態で支柱体がブレーキペダル踏込み方向に回動するとこれと同期して第一立上り部材も回動する。又この状態でアクセルペダルを踏込んだ場合にも第一立上り部材が支柱体から離隔する方向への回動が制止され、アクセルペダルと同期して支柱体が回動しブレーキペダルが踏込まれる。
アクセルペダルの踏込みを停止して第一立上り部材を支柱体に接近する方向へ回動させる時には、ピン体は鋸歯傾斜面に沿って押し込まれるので、順次係合位置が変化し、第一立上り部材の初期位置まで移動することができる。
請求項14記載のアクセルペダル誤動作解消装置のアクセル連係機構は、前記係止ピンを一端に挿通すると共に他端側に前記吊下ピンを交差位置変動可能に挿通する上下の跳出部を形成し、この下跳出部には前記吊下ピンが前記係止ピンから離隔移動する時には前記吊下ピンを支持しながら、又接近移動する時には回転によって夫々踏越え移動が可能な三角コマを配設し、前記上跳出部には前記係止ピン側をピン結合し前記吊下ピンが前記三角コマの支持により踏越え移動する際に押し上げられる調整板と、この調整板の外端を下跳出部側に付勢しながら保持する弾性体を備えるアクセルペダル踏込力調整リングを有することを特徴とするものである。
上跳出部は、対向する二枚の板材からなり、その内方に調整板を収容する。この調整板の外端には弾性体を巻着する調整ネジを挿通し、ネジ先端を下跳出部の後端に螺合する。この調整ネジのねじ込み高さを調整することで調整板の押上力を変化させる。
下跳出部は、中間部に孔部を開設し、その内部に三角コマを収納する。三角コマは一頂角を孔部より突出し下方の外端側頂角をピン支持する。内端側頂角の下面には上方に付勢する弾性体を当接する。
孔部より突出する一頂角の外方は孔部壁面に当接する。踏込力調整調整リングと吊下ピンの相対位置はアクセルペダルの踏込力により変化し、アクセルペダルを踏込んで吊下ピンが三角コマの一頂角に当接し更に外方に移動しようとすると、三角コマは外方への移動ができないため吊下ピンは三角コマに支持される。
この吊下ピンと三角コマの当接ポイントは、係止ピンが押し込まれ第一立上り部材と第二立上り部材の係脱が生ずる寸前に設定する。更にアクセルペダルの踏込がなされると、吊下ピンは三角コマに乗り上げると共に上面の調整板に当接しこれを押し上げる。この押上時の抵抗力がアクセルペダルの抵抗となるため、過剰なるアクセルペダルの踏込位置が検知できる。
この時点でアクセルペダルを緩めずに更なる踏み込みがなされると、吊下ピンが移動して係止ピンが押し込まれ第一立上り部材と第二立上り部材の係脱が生ずる。吊下ピンは三角コマを乗り越え孔部前方に移動し、調整板から離れ初期位置に戻る。
その後アクセルペダルを緩め、第一立上り部材を初期位置に回動させると、吊下ピンは調整リング内を逆送し、今度は三角コマの一頂角を外方から内方に押圧し回動する。これにより踏込力調整調整リングと吊下ピンの相対位置は初期位置に戻る。吊下ピンの通過した三角コマは内端側頂角に当接する弾性体によって回動し孔部より突出する一頂角の外方を孔部壁面に当接する。
請求項15記載のアクセルペダル誤動作解消装置のブレーキアームは、ブレーキペダル直上に取り付ける補助ブレーキアームと、この補助ブレーキアームの先端に固着して前記ブレーキペダルに並設する補助ブレーキペダルを備えることを特徴とするものである。
ブレーキペダルはアクセルペダルから踏み変えて踏込むのが通常であるが、両足を使用する場合には接近しすぎているので、踏み込みし易い離れた位置に補助ブレーキペダルを付設する。
請求項16記載のアクセルペダル誤動作解消装置は、係止ピン押込み部として前記変換金具の交差部に隣接して前記軸に上端を固定し下端にテーパー突出面を形成するL字体を並設し、前記軸の回動時にこのテーパー突出面を前記柱体下端に当接するのに加え、変換金具の軸に上部を固定し下端にソレノイドの可動鉄心を当接する弓状体と、前記アクセルペダルの側部に設ける踏込み操作部と、この踏込み操作部と前記ソレノイドを接続する操作回路を備えることを特徴とするものである。
踏み込み操作部は、アクセルペダルより跳ね出す足置き部と、足の移動で操作可能な杆材を備え、杆材の移動で操作回路のスイッチを入れ、ソレノイドの可動鉄心を押し出す。弓状体は変換金具を回転させ、L字体の内部係止ピン押込み部のテーパー突出面を内部係止ピン押込み部の柱体下端の転動材に当接して、第一リング材を押し込み、係止ピンを押し込むことで第一立上り部材と第二立上り部材の係脱を生ずる。
請求項17記載のアクセルペダル誤動作解消装置のブレーキアームは、ブレーキペダル直上に取り付ける補助ブレーキアームと、この補助ブレーキアームの先端に固着して前記ブレーキペダルに並設すると共に第二踏込み操作部を付設する補助ブレーキペダルを備え、この第二踏込み操作部を前記操作回路に接続することを特徴とするものである。
第二踏込操作部は補助ブレーキペダル押圧時に作動するもので、補助ブレーキペダル操作時には常にアクセルペダルが効かない状態にする。
この発明のアクセルペダル誤動作解消装置は、ペダル連係機構としてガイド部材と連係接続部材と変換金具と変換金具回動部材とロック金具を設け、アクセルペダル踏込力伝達部材の一部を構成する第一立上り部材の上端と吊下ピンとを接続し、両者の連動を第一立上り部材の回動角度に対応して行うこととするので、一定位置以上の踏込でアクセル機能が無くなり、ブレーキペダルに踏み替えなくともアクセルペダルを踏込む力に応じてブレーキペダルが踏込まれブレーキ制御ができ、確実な制動が行われる。
このため気が動転してブレーキペダルへの踏み替えができなかった場合にも、アクセルペダルの踏み込みのみで自動車を制動することが可能で、制動時間が短くなり、確実にブレーキ制御ができ、事故を未然に防ぐことができる。従って運転初心者、又は高齢運転者による事故防止に寄与できる。
ブレーキアームにアクセルペダル踏込力伝達部材側の全部材を支持し、支柱体と踏込力変換吊下体とを接面させるので、ガイド部材に対するロックを解除した後は、アクセルペダルの踏込力が直接ブレーキペダルの踏み込みとなり、ブレーキの効きがよくなり、誤動作時の制動が確実になる。
この発明のアクセルペダル誤動作解消装置は、運転免許取得直後の運転操作未熟者や熟年後期高齢者のペダル踏み間違いによる重大事故防止に寄与すると共に、若者に多いと思われる無謀運転、例えばアクセルのベタ踏み急発進、急加速、あおり運転、イライラ運転等を防止する効果も期待できる。
追突、接触、人身事故等の予期せぬ事故、当て逃げ、ひき逃げ行為による暴走パニック運転が引き起こす二次的重大事故防止が期待できる。
請求項2記載のアクセルペダル誤動作解消装置のガイド部材は、壁体面と当接しながら移動し得る先端部を有するので、ロック解除時の踏込力変換吊下体の回動をスムーズに行え、直線状のガイド部材で対応できるので構成が簡易になる。
請求項3記載のアクセルペダル誤動作解消装置のアクセル連係機構は、アクセル連係部材として連係爪と、可動部材として出没可能な係止ピンと、係止ピン押込み部を設けるので、アクセル連係部材の構成が小型簡略化される。
請求項4記載のアクセルペダル誤動作解消装置のペダル連係機構は、係止ピン押込み部を形成する連係接続部材としてのリング材と、二股部を上部に設ける変換金具と、変換金具回動部材としてのブレーキピンとを設けるので、アクセルペダルの解放を連係接続部材で行ない、ロック解除を変換金具のブレーキピンで作動させ、ブレーキ操作を変換金具の二股部で行なうことになる。このようにアクセルペダルの解放、ロック解除及びブレーキ操作を夫々別の部材で行なうことができ、それらの各作用点を微調整することでブレーキ操作の始期の調整等ができる。
請求項5記載のアクセルペダル誤動作解消装置の係止ピン押込み部は、リング材折曲部とするので、簡易な構成で係止ピンの押し込み及び復元を実現できる。
請求項6記載のアクセルペダル誤動作解消装置の支柱体は、受板を下方に突設し、これに当接し得る脚部を備えたロック金具を有するので、ブレーキペダル踏込時にアクセルペダルも同期して回動することができ、その相対的位置が初期状態と略同一になるので、ブレーキペダルからアクセルペダルへ踏み換えるときにスムーズになる。
請求項7記載のアクセルペダル誤動作解消装置の回動ストッパは、変換金具と当接し得る突起体とするので、確実に回動阻止ができる。
請求項8記載のアクセルペダル誤動作解消装置のペダル連係機構は、ロック金具を吊下すると共に羽根状立上り部を立設する変換金具と、変換金具回動部材としての羽根押込み材を備え係止ピン押込み部を付設する連係接続部材の第一リング材を有するので、変換金具と連係接続部材とを分離でき、確実なブレーキ制動ができる。
請求項9記載のアクセルペダル誤動作解消装置の係止ピン押込み部は、上部係止ピン押込み部と内部係止ピン押込み部を設けるので、アクセルペダル過剰踏込時以外にも係止ピンを押し込むことができる。
請求項10記載のアクセルペダル誤動作解消装置の係止ピン押込み部は、変換金具にL字体を並設するので、変換金具の回転で係止ピンを押し込むことができ、ブレーキペダル操作時にも係止ピンを押し込むことができる。
請求項11記載のアクセルペダル誤動作解消装置の支柱体は、変換金具と接続するので、ブレーキペダル踏込時に変換金具・ロック金具・踏込力変換吊下体及び第一立上り部材を同時に回動させることができ、アクセルワイヤを引かずにブレーキペダルの制動力のみを作用させることができる。
変換金具の軸にL字体を並設する場合には、ブレーキペダルを踏み込むと係止ピンを押し込むので誤ってアクセルペダルを踏込んだとしても燃料は供給されない。
請求項12記載のアクセルペダル誤動作解消装置の踏込力変換吊下体は、支柱体と当接するストッパを設けるので、ブレーキアーム及び支柱体の回動力が変換金具へ集中することを避けられる。
請求項13記載のアクセルペダル誤動作解消装置の支柱体は断面鋸歯状の跳出部を設け、第一立上り部材にはペダル連係ピン体を設けるので、ブレーキペダルとアクセルペダルの回動を同時にできる。
請求項14記載のアクセルペダル誤動作解消装置のアクセル連係機構はアクセルペダル踏込力調整リングを設けるので過剰なるアクセルペダルの踏込位置が確実に検知できる。
請求項15記載のアクセルペダル誤動作解消装置のブレーキアームは、補助ブレーキペダルを備えるので、両足を使用するブレーキ操作が容易になる。又アクセルペダルを踏み、加速中でも左足でブレーキペダルを少し踏むことでアクセル機能を消滅させることができる。右足で加速中のアクセルペダルはブレーキペダル機能に自動的に切り替わるため、ブレーキペダルに踏み変えることなくアクセルペダルと同時に踏み込むことで早く停止することができ、事故を最小または未然に防止できる。
請求項16記載のアクセルペダル誤動作解消装置は、アクセルペダルに連動するソレノイドと、これに当接する弓状体を変換金具に設けるので、アクセルペダルの足の移動で第一立上り部材と第二立上り部材の係脱を実現する。
請求項17記載のアクセルペダル誤動作解消装置は、補助ブレーキペダルに第二踏込み操作部を付設するので、補助ブレーキペダル操作時には常にアクセルペダルが効かない状態にできる。
次にこの発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図1はアクセルペダル誤動作解消装置の要部を示す斜視図、図2はアクセルペダル誤動作解消装置の分解斜視図である。アクセルペダル誤動作解消装置1は、一端部にブレーキペダル2を固着して他端部を枢軸3に取り付け回動運動により制動操作を行うブレーキアーム4と、一端部にアクセルペダル5を固着し中間部に揺動支点ピン6を遊挿して他端部にアクセルワイヤー7を掛止するアクセルペダル踏込力伝達部材8を有する。
このアクセルペダル踏込力伝達部材8は、アクセルペダル5を端部に固着する側面への字形状の揺動部材9を有し、この揺動部材9の曲折部は揺動支点ピン6を介して回動可能に係止されている。曲折部より上方の部分は第一立上り部材10を構成し、その下部には復帰スプリング11を付設する。この復帰スプリング11はアクセルペダル5の踏込後の解放時に第一立上り部材10を初期位置に戻す作用を備える。
ブレーキアーム4は、アーム屈曲部近傍よりアクセルペダル踏込力伝達部材8側に跳ね出す取付金具12を有する。図2に示すように取付金具12に固定され上部に吊下ピン13を横架する支柱体14と、この吊下ピン13に回動可能に吊下する正面略H形の吊下体であってこの吊下体下端の突設部ペダル側に揺動支点ピン6を横架する踏込力変換吊下体15を接続する。
取付金具12はブレーキアーム4に固定板12a及び固定ボルト12bを用いて繋止するもので、上部跳出板12cに支柱体14の下部面板14aをボルト14bで緊結する。支柱体14は、吊下ピン13等によりアクセルペダル踏込力伝達部材8側の全部材を支持する構成である。
踏込力変換吊下体15は、支柱体14に並設する構成で、両側面が略逆T字形をなし、その下端突設部15aの一方(ペダル側)に揺動支点ピン6を遊挿し第一立上り部材10を揺動可能に支持する。上端にアクセルワイヤ7を掛止し下端にアクセル支点ピン16を突設する第二立上り部材17は、踏込力変換吊下体15の下端突設部15aの他方(反ペダル側)に回動可能に取り付ける。この第二立上り部材17もアクセルペダル踏込力伝達部材8の一部を構成する。
踏込力変換吊下体15は、下部中央にガイドケース15bを直交して取り付け、その内部にガイド部材18を収容する。ガイド部材18はガイドケース15b内のガイドローラ15c,15c上に支持される略L字形状の棒材で、中間部に欠込部18aを形成し、ガイドケース15bから露出する曲がり先端部にスプリング18bを取り付ける。
このガイド部材18は踏込力変換吊下体15を挿通して一端をシャーシ19に当接するもので踏込力変換吊下体15に対し移動可能に支持されると共にシャーシ19側に付勢するスプリング18bの作用により一端が常にシャーシ19面と当接する。スプリング18bの他端は踏込力変換吊下体15に固定している。
踏込力変換吊下体15の中間部には軸受15dを設け、これにピン15eを挿通してピン15eに固定する変換金具20を回動可能に支持する。変換金具20は略Y字形状の板体で上部に吊下ピン13を収容する二股部20a、中間部に突設するブレーキピン20b、下端に設ける両突設部20cを有し、この突設部20cの一方をピン15eで軸受15dに支持し、他方にはロック金具21を回動可能に吊り下げるロック金具ピン21aを遊挿する。
二股部20aは回動ストッパの役割を果たし、変換金具20を固定するピン15eが軸受15d周りを回動して二股部20aが吊下ピン13に当接するとこの回動は阻止される。この回動停止位置を調整するため二股部20aには調整ネジ20dを螺着する。又二股部20aには調整ネジ20d側にスプリング20eを取り付け、調整ネジ20dに対向する側の二股部20aを吊下ピン13方向に付勢する。
ロック金具21は、略逆Y字形状の板体で分岐部21bがガイド部材18の欠込部18aと係止又は係脱するよう変換金具20の下端に回動可能に吊下している。この分岐部21bの下方にローラを備えた脚部21cを有する。この脚部21cは支柱体14の下部面板14aに取り付けられる受板14c上を転動し得る構成である。受板14cは、水平部と傾斜立上り部を有する。
ガイド部材18は、これに当接するロック金具21の分岐部21bが欠込部18aに係止する時、アクセルペダル5の踏込時の変換金具20と踏込力変換吊下体15及び支柱体14、更にはブレーキアーム4の移動を抑制し、又ロック金具21の分岐部21bが欠込部18aより係脱する時、これらの移動を可能とする部材である。
第一立上り部材10の上端側方にはアクセル連係機構の一部を構成する可動部材としての係止ピン22を突設しスプリング22aを巻着する。係止ピン22に一端を固定するリング材23はスプリング22aに当接しており、係止ピン22及びリング材23は第二立上り部材17側に付勢されている。
変換金具20に突設するブレーキピン20bを挿通する長孔23aをリング材23に形成すると共に、リング材23の先端に折曲部23bを設ける。このリング材23は第一立上り部材10の上端と変換金具20の中間部を適宜接続して両者の連動を第一立上り部材10の回動角度に対応して行う連係接続部材を構成する。
第二立上り部材17の中間部にはアクセル連係機構の一部を構成するアクセル連係部材としてL字状の連係爪17aを第一立上り部材10側に突設する。第一立上り部材10の係止ピン22のピン先22bがアクセルペダル5の踏込時に連係爪17aと係止、又は係脱するよう構成されている。ピン先22bは係止ピン22を構成する円柱体断面の先端部を第二立上り部材17側にテーパー加工したものである。
アクセル連係機構は、揺動支点ピン6の位置が不動の状態の時、アクセルペダル5の踏込力をアクセルワイヤ7に伝達するか、又はその伝達を解除するものである。アクセル連係機構の存在によりアクセルペダル5の踏込途中までは第一立上り部材10と第二立上り部材17は同期して回動する。
ピン先22bと連係爪17aの係脱が生じた時、第二立上り部材17はアクセルワイヤ7の引張力で初期位置に戻されると共に燃料供給を停止する。なお、通常のアクセルペダル5の踏込範囲では両者の係脱は生ぜず最大踏込に近接した領域でのみ、この係脱を実現する。
この第一立上り部材10と第二立上り部材17が相互に係止、係脱を生ずるためには揺動支点ピン6の位置が不動の状態でなければならず、揺動支点ピン6の位置が固定されていない時、即ち移動可能な状態の時には、アクセルペダル5を踏み込むと踏込力が移動する揺動支点ピン6を介して踏込力変換吊下体15をシャーシ19側に押し込むことになり、これに連結する支柱体14及びブレーキアーム4も枢軸3周りに回動してしまう。
このため、このアクセルペダル誤動作解消装置1では、踏込力変換吊下体15、変換金具20、ロック金具21及びガイド部材18を設け、揺動支点ピン6の位置の不動若しくは移動可能状態を選択的に実現している。
この詳細を図3乃至図5に基づき説明する。図3はアクセルペダル誤動作解消装置の概略側面図、図4は同装置のアクセルペダル踏込力伝達部材側の一部を省略した平断面図、図5は図4のV−V断面を示す断面図である。
踏込力変換吊下体15には変換金具20とこれに連結するロック金具21及びガイド部材18が接続しており、ロック金具21の係止部21bがガイド部材18の欠込部18aに係止している状態でアクセルペダル5を踏み込むと、揺動支点ピン6を介して踏込力変換吊下体15がシャーシ19側に押し込まれ、ロック金具21の垂下部背面に当接する。ロック金具21はガイド部材18の欠込部18aと踏込力変換吊下体15に挟まれた状態となり、この時ガイド部材18にはシャーシ19方向への荷重が作用するが、先端がシャーシ19に当接して移動できないためロック金具21の移動も抑制される。
従って変換金具20と踏込力変換吊下体15と支柱体14及びブレーキアーム4の移動が抑制され、結局揺動支点ピン6の位置が不動状態となり、これにより第一立上り部材10の揺動支点ピン6廻りの揺動が実現される。
これに伴い第二立上り部材17は、アクセル連係機構であるアクセル連係部材及び可動部材を介してアクセルペダル5の踏込途中まで同期して回動する。この詳細を図6乃至図8に基づき説明する。図6はアクセルペダルを通常範囲内で踏み込んだ際のアクセルペダル誤動作解消装置の概略側面図、図7は同際同装置のアクセルペダル踏込力伝達部材側の一部を省略した平断面図、図8は図7のVIII−VIII断面を示す断面図である。
第一立上り部材10の係止ピン22のピン先22bが連係爪17aと係止している時、図6に示すようにアクセルペダル5の踏込に伴い第一立上り部材10と第二立上り部材17は同期して回動する。
アクセルペダル5を通常範囲で踏込んだ際には、ピン先22bと連係爪17aが係止しながら回動するため、第二立上り部材17はアクセルワイヤ7を引張ることができ、通常の車輌の始動、発進、加速及び定速運転ができる。
この時、係止ピン22に固定するリング材23は、図7に示すように第一立上り部材10の回動に伴って移動し、リング材23先端の折曲部23bを支柱体14の上部内面に摺接しながらリング材23及び係止ピン22を押し込むようになる。
スプリング22aの弾性力に抗しながらリング材23の折曲部23bの摺接が図7に示す位置まで進むと、係止ピン22のピン先22bは第一立上り部材10内に没し、連係爪17aの係脱が生ずる。
この両者の係脱が生じた時の詳細を図9及び図10に基づき説明する。図9はアクセルペダルを通常範囲を超えて踏み込んだ際のアクセルペダル誤動作解消装置の概略側面図、図10は同際同装置のアクセルペダル踏込力伝達部材側の要部側方を示す断面図である。
係止ピン22のピン先22bと連係爪17aの係脱が生ずると、第二立上り部材17はアクセルワイヤー7の引張力で初期位置に戻されると共に燃料供給を停止する。なお、通常のアクセルペダル踏込範囲では両者の係脱は生ぜず最大踏込に近接した領域でのみ係脱を実現する。この時にはアクセルワイヤ7が戻るため、急発進・急加速は抑制される。
自動車運転時において緊急突発的事態が発生した時、ブレーキペダル2を踏まずにアクセルペダル5を踏込んでしまうことがある。このような場合、最大踏込に近接した領域まで達すると図9に示すようにピン先22bと連係爪17aの係脱が生じ、第二立上り部材17はアクセルワイヤ7の引張力で初期位置に戻され燃料供給を停止する。従ってエンジンは低速回転となり急発進、急加速が無くなる。
アクセルペダル5を急激に踏み込むと、係止ピン22と連係爪17aとの係脱が生じやすくなるため、車の急発進、急加速が抑制されることになり、人と自然に優しいエコな運転操作で燃費も軽減され、経済的となる。
アクセルペダル5の踏み込みを停止すると復帰スプリング11の作用により第一立上り部材10は初期位置に戻され、リング材折曲部23bと支柱体14の摺接が無くなると、係止ピン22はスプリング22aに付勢され再度突出し、ピン先22bと連係爪17aの距離が接近してテーパー加工部が当接する。この当接力で再度スプリング22aが縮み係止ピン22が移動して第一立上り部材10内に没した後、スプリング22aに付勢されて突出し、両者は係止し初期状態に移行する。
一方、第一立上り部材10と第二立上り部材17の係脱が生じた後、更にアクセルペダル5の踏み込みがなされると、第一立上り部材10は更に揺動支点ピン6廻りを揺動する。この時の詳細を図11及び図12に基づき説明する。図11はアクセルペダルを通常範囲を超えて踏み込みガイド部材のロックが解除された直後のアクセルペダル誤動作解消装置のアクセルペダル踏込力伝達部材側の要部側方を示す断面図、図12はガイド部材のロックが解除された後ブレーキペダルが移動する際の同装置のアクセルペダル踏込力伝達部材側の要部側方を示す断面図である。
変換金具20に突設するブレーキピン20bがリング材23の長孔23aの端部に当接すると、第一立上り部材10と同期して変換金具20が移動するようになる。この長孔23aの一内面は、第一立上り部材10が回動してアクセル連係部材と可動部材の係脱が生じた時にブレーキピン20bと当接するように構成する。
この状態で更なるアクセルペダル5の踏み込みがなされると、変換金具20は踏込力変換吊下体15の軸受15d周りに回動し始め、変換金具20の下端突設部20cのシャーシ19側に吊下するロック金具21を引き上げる。この時ロック金具21の分岐部21bがガイド部材18の欠込部18aと係脱する。
この時点でガイド部材18にはシャーシ19方向への荷重が作用しなくなる。ロック金具21が欠込部18aに当接しているとガイド部材18の上方向の動きが抑制されるが、係脱すると踏込力変換吊下体15が回動し始め、これに支持されるガイド部材18も回動し、その先端部はシャーシ19に沿っての移動が可能となる。
図12に示すように、更にアクセルペダル5を踏み込むと、変換金具20はスプリング20eの引張力に抗して軸受15d周りの回動を続ける。上部の二股部20aが吊下ピン13に対して移動し、吊下ピン13が調整ネジ20dに当接するとこの回動は阻止される。
回動が阻止されると、接続状態にある第一立上り部材10と変換金具20と踏込力変換吊下体15と支柱体14及びブレーキアーム4は一体的な動作(回動)を行うようになる。即ち、更なるアクセルペダル5の踏込により、ブレーキペダル2が踏み込まれることと同等になり、アクセルペダル5を踏込む力に応じてブレーキペダ2ルが踏込まれ確実な制動が行われる。
この時ガイド部材18は、第一立上り部材10及び踏込力変換吊下体15等の動きにあわせシャーシ19面を一端が摺動する。この端部にはローラを付設して転動する構成としてもよい。
アクセルペダル5の踏み込みを停止して足を離すと、第一立上り部材10が初期位置に戻されるためブレーキピン20bとリング材23の接続が解消し、次いで変換金具20と踏込力変換吊下体15と支柱体14とブレーキアーム4及びブレーキペダル2は初期位置に戻る。
又、ロック金具21も降下して分岐部21bがガイド部材18の欠込部18aに当接しロック状態となり、踏込力変換吊下体15等の移動を抑制する。これにより通常の運転操作が可能となる。
次にブレーキペダル踏込時の作用の詳細を図13及び図14に基づき説明する。図13はブレーキペダル踏込直後のアクセルペダル誤動作解消装置のアクセルペダル踏込力伝達部材側の要部側方を示す断面図、図14はブレーキペダル踏込時のアクセルペダル踏込力伝達部材側の要部側方を示す断面図である。
ブレーキペダル2を踏み込むとブレーキアーム4及び支柱体14が枢軸3周りに回動する。支柱体14の下部面板14aには受板14cが突設しており、その上面にロック金具21の脚部21cが当接する。支柱体14と共に受板14cが回動すると図13に示すように、受板14cの傾斜立上り部が脚部21cを押し上げる方向に作用する。
又、この時ロック金具21が上昇して分岐部21bがガイド部材18の欠込部18aと係脱しロックが解除される。このためガイド部材18の移動が自由になる。
更にブレーキペダル2を踏み込むと図14に示すように、支柱体14及び受板14cが回動し、ロック金具21の脚部21cが変換金具20、踏込力変換吊下体15及び第一立上り部材10を同時に回動させる。
この時アクセルペダル5も同時に回動するが、揺動支点ピン6周りの回動ではないのでアクセルワイヤ7は引かれない。即ちブレーキペダル2の制動力のみが作用することになる。又ブレーキペダル2とアクセルペダル5は同期して回動することになるのでその相対的位置が初期状態と略同一になる。
次に、変換金具から分離した回動ストッパを備える実施形態を図15に基づき説明する。図15は変換金具から分離した回動ストッパを備えるアクセルペダル誤動作解消装置の要部側面図である。回動ストッパ24は、変換金具25の下端突設部25aの支柱体14側と当接し得る突起体で、踏込力変換吊下体15の支柱体14側に突設する。
回動ストッパ24はロック金具21の分岐部21bがガイド部材18の欠込部18aと係脱した後、変換金具25の更なる引き揚げ(回動)を阻止するものであれば、何れの部材に取り付けてもよい。
ブレーキペダル踏込時にアクセルペダル踏込力伝達部材側と連動しない構成としてもよい。この構成の場合、支柱体には受板を設けない。この実施形態におけるブレーキペダル踏込時の作用の詳細を図16に基づき説明する。図16は別の実施形態のブレーキペダル踏込直後のアクセルペダル誤動作解消装置のアクセルペダル踏込力伝達部材側の要部側方を示す断面図である。
なお、図16において図1と同様な構成及び作用を示す部材は同一の符号を付して詳細な説明は省略する。ブレーキペダル2を踏み込むと枢軸3周りにブレーキアーム4及び支柱体14が回動する。
この時、支柱体14の吊下ピン13はアクセルペダル踏込力伝達部材8側の全部材を支持しているが、鉛直方向に吊下支持するのみで回動する作用はない。又ロック金具21の分岐部21bがガイド部材18の欠込部18aに係止しておりロック状態となるため、アクセルペダル踏込力伝達部材8側の移動は殆どなくアクセルワイヤ7に作用することがない。
このため、ブレーキペダル2の踏込は略単独操作となりアクセルペダル5の移動はなくなる。
次に他の実施の形態を図17乃至図20に基づき説明する。図17は他の実施の形態のアクセルペダル誤動作解消装置の要部を示す斜視図、図18は第一取付金具に取り付けられるアクセルペダル踏込力伝達部材の要部を示す分解斜視図、図19はアクセル連係機構の要部を示す分解斜視図、図20はガイドケースに接続する部材の関連を示す分解斜視図である。
図17に示すように、アクセルペダル誤動作解消装置101は、一端部にブレーキペダル102を固着して他端部を枢軸103に取り付け回動運動により制動操作を行うブレーキアーム104と、一端部にアクセルペダル105を固着し中間部に揺動支点ピン106を遊挿して他端部にアクセルワイヤー107を掛止するアクセルペダル踏込力伝達部材108を有する。
このアクセルペダル踏込力伝達部材108は、アクセルペダル105を端部に固着する側面への字形状の揺動部材109を有し、この揺動部材109の曲折部は揺動支点ピン106を介して回動可能に係止されている。曲折部より上方の部分は第一立上り部材110を構成する。
ブレーキアーム104は、アーム屈曲部近傍よりアクセルペダル踏込力伝達部材108側に跳ね出す第一取付金具111を有すると共に、ブレーキペダル102の直上に補助ブレーキ112を取り付けるための第二取付金具112aを脱着可能に固定し、補助ブレーキアーム112bの先端に固着する補助ブレーキペダル112cをブレーキペダル102に並設する。
第一取付金具に取り付けられる部材を図18に基づき説明する。第一取付金具111は上部に吊下ピン113を横架する支柱体114をボルト111aで跳出部111bの前面に固定する。吊下ピン113には正面略U形の踏込力変換吊下体115を支柱体114の内側に回動可能に吊下する。支柱体114は、吊下ピン113等により図17に示すアクセルペダル踏込力伝達部材108側の全部材を支持する構成である。
踏込力変換吊下体115の両側板下端には孔部を設け、ペダル側突設部の孔部115aに揺動支点ピン106を挿通する。踏込力変換吊下体115は、支柱体114の前面に並設する構成で、両側面が略逆L字形をなし、下端に遊挿する揺動支点ピン106で第一立上り部材110を揺動可能に支持する。
揺動支点ピン106には一端を第一立上り部材110に係止する復帰スプリング106aを巻着する。この復帰スプリング106aはアクセルペダル105の踏込後の解放時に第一立上り部材110を初期位置に戻す作用を備える。第一立上り部材110の上面には蓋体110aをビス止めし、揺動支点ピン106の上方にはアクセル連係機構の一部を構成する可動部材としての係止ピン120とペダル連係ピン体150を横架する。又支柱体114の上部側方には断面鋸歯状のラック160を設ける。踏込力変換吊下体115の下辺中央には底板115cを設け、図17に示すガイドケース115dを直交して取り付ける。
図17に示すように、上端にアクセルワイヤ107を掛止し下端にアクセル支点ピン116を突設する第二立上り部材117は、図18に示す踏込力変換吊下体115の反ペダル側の孔部115bにこのアクセル支点ピン116を遊挿し回動可能に取り付ける。この第二立上り部材117もアクセルペダル踏込力伝達部材108の一部を構成する。
踏込力変換吊下体115のガイドケース115dの内部にはガイド部材118を収容する。ガイド部材118から露出する先端部にスプリング118aを取り付け、その他端をガイドケース115dの上部に固定する。ガイド部材118の先端はシャーシ119当接しており、スプリング118aがシャーシ119方向に付勢している。
第一立上り部材110の上端側方にはアクセル連係機構の一部を構成する可動部材としての係止ピン120の先端を突設する。又、第二立上り部材117の中間部にはアクセル連係機構の一部を構成するアクセル連係部材としてL字状の連係爪117aを第一立上り部材110側に突設する。第一立上り部材110の係止ピン120がアクセルペダル105の踏込時に連係爪117aと係止、又は係脱するよう構成されている。
このアクセル連係機構を図19に基づき説明する。係止ピン120は第一立上り部材110の上端を挿通するものでスプリング120aを中間部に巻着し、円柱体断面の先端を第二立上り部材117側にテーパー加工するピン先120bを有する。
係止ピン120には一端を固定する第一リング材121とアクセルペダル踏込力調整リング122を並設する。第一リング材121は長孔121aを形成して踏込力変換吊下体115を吊下する吊下ピン113を挿通するもので、スプリング120aに当接して係止ピン120及び第一リング材121は第二立上り部材117側に付勢されている。
第一リング材121の頂部には平面的に段差を設けた板材121bをビス止めにより取り付ける。この板材121bの跳出部は、係止ピン押込み部の一部を構成し、この跳出部を踏込力変換吊下体115の頂部に設ける押込みローラ115eに摺接すると第一リング材121及び係止ピン120を内方に押し込むようになる。
第一リング材121の下部には後述する変動金具123を回動するための羽根押込み材121cを備える。第一リング材121は第一立上り部材110の上端と吊下ピン113を適宜接続して両者の連動を第一立上り部材110の回動角度に対応して行う連係接続部材を構成する。
アクセルペダル踏込力調整リング122は、係止ピン120を一端に挿通すると共に上跳出板122aと下跳出板122bの間に吊下ピン113を交差位置変動可能に挿通する。下跳出板122bには三角コマ122cを配設し、上跳出板122aには調整板122dと、調整板押え材122eを設ける。
三角コマ122cは吊下ピン113が係止ピン120側から離隔移動する時には吊下ピン113を支持しながら、又逆方向から接近移動する時には回転によって夫々踏越え移動が可能な部材である。
第一リング材121とアクセルペダル踏込力調整リング122を取り付ける係止ピン120の下方にはペダル連係ピン体150を横架する。ペダル連係ピン体150はピン体150a及びテーパー付先端150bを備え、ピン体150aには第一リング材121の外方に並列する棒体150cを固定すると共に第二立上り部材117側に付勢するスプリング150dを巻着する。
ペダル連係ピン体150のテーパー付先端150bは、断面鋸歯状のラック160と係合可能なテーパ付先端を形成し、鋸歯傾斜面に沿って移動可能な構成となっている。
ガイドケース115dは踏込力変換吊下体115の下辺中央に設ける底板115cにビス止めされるもので、ケース側面には切込開口部115f、アクセル支点ピン孔115g、揺動支点ピン孔115hを開設し、頂板には後述する変動金具123を支持するための変動金具支持部材115iを設ける。
ガイドケースの詳細を図20に基づき説明する。ガイドケース115dの内部にはローラ115jを配設しガイド部材118を転動支持する。ガイド部材118は側面に側部突出板118bを突設し、ガイドケース115dの切込開口部115fから外部に露出する。ガイドケース115dの後端には支柱体114と当接し得るストッパ170を設ける。
ガイド部材118は中間部に欠込部118cを形成し、ガイド部材118の先端部に取り付けるスプリング118aは他端を変動金具支持部材115iの内部に固定する。
変動金具支持部材115iは、変動金具123及びこれに関連する複数の部材を支持するもので板材を折曲加工したものである。
変換金具123は、水平部123aと羽根状立上り部123bを側面L字状に形成し、その交差部を軸123cに固定する。軸123cは変動金具支持部材115iのペダル側に設ける軸受115kに支持する。水平部123aの先端にはロック金具124を回動可能に吊下する。
ロック金具124は下部係止部をガイドケース115dの上側面に開設する開口115lから垂下し、ガイド部材118の欠込部118cと係止又は係脱するものである。
変換金具123を固定する軸123cにはコイルスプリング123dが巻着し、変換金具123をガイド部材118の欠込部118c方向に回転付勢している。又羽根状立上り部123bの先端には上述した第一リング材121の羽根押込み材121cが当接し得る。
変換金具123を固定する軸123cの変動金具支持部材115i外部には第二立上り部材117側にL字体125の上端を固定し、ブレーキペダル102側には吊下体126の上端を固定して並設する。
L字体125の下端にはテーパー突出面125aを形成する。一方吊下材126の下端には水平材127を接続し、この水平材127の先端には棒状の連結材128をピン結合する。この連結材128は支柱体114の下方を挿通し突出する頭部にナット128aを螺着する。
水平材127には長孔127aを形成し、これに係合する吊下材126の下端を水平方向に移動可能とする。
変動金具支持部材115iの外側面第二立上り部材117側には跳出支持板115mを突設し、これに穿設する孔部115nに内部係止ピン押込み部129を付設する。又、変動金具支持部材115iの頂部には図19に示す踏込力変換吊下体115の背面跳出板115oに係止する取付板115pを突設する。
このようにガイドケース115d及びこれに固着する変動金具支持部材115iは踏込力変換吊下体115の底板115c及び背面跳出板115oに夫々係止するので踏込力変換吊下体115と一体化する。
内部係止ピン押込み部129は、孔部115nに遊挿する軸体129aと、この頭部と直交する柱体129bと、軸体129aに巻着して柱体129bの上端を外方に回転付勢するコイルバネ129cを有する。内部係止ピン押込み部129は、軸体129aを中心として回動可能な略T字形状の部材である。
柱体129bの下端にはガイド部材118の側部突出板118b若しくはL字体125のテーパー突出面125aに当接して柱体129bの上端を内方に回動する転動部材129dを取り付け、柱体129bの上方には図19に示すペダル連係ピン体150のピン体150aに固定する棒体150cを挿通する長孔129eと、第一リング材121に摺接可能な先端摺接部129fを形成する。
以上説明した各部材を組み立てたアクセルペダル誤動作解消装置の組立図を図21乃至図26に示す。図21はアクセルペダル誤動作解消装置の要部を示す平面図、図22は図21の下方部の断面を示す断面図である。図23は図22のXXIII−XXIII断面を示す断面図、図24は図22のXXIV−XXIV断面を示す断面図、図25は図22のXXV−XXV断面を示す断面図、図26は図22のXXVI−XXVI断面を示す断面図である。
図21に示すように、ペダル連係ピン体150のピン体150aにはテーパー付先端150bが形成されている。ピン体150aは第一立上り部材110の内側に横移動可能に横架しており、内部係止ピン押込み部129の柱体129bの長孔129eが外方に位置する時には、棒体150cには押圧力が作用しないためピン体150aに巻着するスプリング150dの作用によりテーパー付先端150b先端は第一立上り部材110の内側に位置する。
この時内部係止ピン押込み部129の転動部材129dは、図22に示すように、ガイド部材118の側部突出板118bには乗り上げておらず、又L字体125のテーパー突出面125aも図23に示すように転動部材129dを押し上げていない。従って内部係止ピン押込み部129の柱体129b上端は図26に示すように外方に回転している。
一方、内部係止ピン押込み部129の転動部材129dがガイド部材118の側部突出板118bに乗り上げたり、あるいはL字体125のテーパー突出面125aが転動部材129dを押し上げたりして、内部係止ピン押込み部129の柱体129bの長孔129e及び先端摺接部129fが内方へ回動すると、棒体150c及び第一リング材121を押し込むことになる。
棒体150cを押し込むと図21に示すピン体150aが断面鋸歯状のラック160側に移動し、テーパー付先端150bの先端が第一立上り部材110の外側に突出してテーパ付先端をラック160に係合する。
断面鋸歯状のラック160に対しペダル連係ピン体150がペダル側に移動しようとすると係合によりその動きが規制されるが、反ペダル側に移動しようとする際にはテーパー付先端150bが鋸歯傾斜面に沿って移動可能な構成となっている。
図24に示すように変換金具123の水平部123a先端に吊下するロック金具124は下部係止部をガイド部材118の欠込部118cに係止又は係脱するもので、この欠込部118cとガイドケース115dの上面に立設する壁体115qとの間で下部係止部が拘束されるとガイド部材118は移動できなくなる。
このロック金具124とガイド部材118の欠込部118cの係脱は、変換金具123の回動により実現されるが、ブレーキペダル踏込時にも実現する。ブレーキアーム104の第一取付金具111の跳出部111bに固定する支柱体114の下方には図25に示すように連結材128が取り付けられているので、ブレーキアーム104の動きに併せて支柱体114が回動して連結材128及び水平材127を引き出し、これにより吊下材126を斜め前方に回動し、変換金具123を回動させる。
図26に内部係止ピン押込み部129の柱体129bの長孔129eが棒体150cに当接し、柱体129bの先端摺接部129fが第一リング材121に当接する状態を示す。
次にアクセルペダル誤動作解消装置101のアクセルペダル踏込時の作用を図27乃至図34に基づき説明する。図27はアクセルペダルを踏込む前のアクセルペダル誤動作解消装置の概略側面図、図28は同時同装置の一部を省略した平面図、図29はアクセルペダルを通常範囲踏込時の同装置の概略側面図、図30はアクセルペダルを通常範囲踏込時の同装置の一部を省略した平面図、図31はアクセルペダルを通常範囲を越えて踏込時の同装置の概略側面図、図32はアクセルペダルを通常範囲を越えて踏込時の同装置の一部を省略した平面図、図33はアクセルペダルを過剰範囲まで踏込時の同装置の概略側面図、図34はアクセルペダルを過剰範囲まで踏込んだ後、ブレーキペダルと一体化した時のアクセルペダル誤動作解消装置の概略側面図である。
踏込力変換吊下体115には変換金具123とこれに連結するロック金具124及びガイド部材118が接続しており、アクセルペダルを踏込む前には図27に示すように、ロック金具124の下部係止部がガイド部材118の欠込部118cに係止している。
この時図28に示すように、第一立上り部材110の上端を挿通する係止ピン120は、スプリング120aの押込み力でピン先120bを第二立上り部材117側に突出しており、このピン先120bは第二立上り部材117の連係爪117aと係止している。
又、スプリング120aが押圧する第一リング材121の板材121bには踏込力変換吊下体115の頂部に設ける押込みローラ115eと接触しているが、板材121bの跳出部には当接していない。
この状態でアクセルペダル105を踏み込むと、揺動支点ピン106を介して踏込力変換吊下体115がシャーシ119側に押し込まれ、踏込力変換吊下体115に固定するガイドケース115dの壁体115qがロック金具124の垂下部背面に当接する。ロック金具124はガイド部材118の欠込部118cと踏込力変換吊下体115qの壁体に挟まれた状態となり、この時ガイド部材118にはシャーシ119方向への荷重が作用するが、先端がシャーシ119に当接して移動できないためロック金具124の移動も抑制される。
従って変換金具123と踏込力変換吊下体115と支柱体114及びブレーキアーム104の移動が抑制され、結局揺動支点ピン106の位置が不動状態となり、これにより図29に示すように第一立上り部材110の揺動支点ピン106廻りの揺動が実現される。
これに伴い第二立上り部材117は、第一立上り部材110の係止ピン120のピン先120bと連係爪117aが係止しているため、アクセルペダル105の踏込に伴い、第一立上り部材110と第二立上り部材117は同期して回動する。
アクセルペダル105を通常範囲の限界まで踏込んだ場合には、図30に示すように、ピン先120bは連係爪117aに未だ係止しているため、第二立上り部材117はアクセルワイヤ107を引張ることができ、通常の車輌の始動、発進、加速及び定速運転ができる。
この時、第一立上り部材110と踏込力変換吊下体115の頂部間隙が増大するため、押込みローラ115eは板材121bの跳出部方向に移動し、徐々にスプリング120aの弾性力に抗して第一リング材121及び係止ピン120を押圧移動する。
押込みローラ115eの摺接が板材121bの跳出部先端近傍まで進むと、係止ピン120のピン先120bは第一立上り部材110内に没し、連係爪117aの係脱が生ずる。
この両者の係脱が生じた時の詳細を図31及び図32に基づき説明する。係止ピン120のピン先120bと連係爪117aの係脱が生ずると、第二立上り部材117はアクセルワイヤー107の引張力で初期位置に戻されると共に燃料供給を停止する。なお、通常のアクセルペダル踏込範囲では両者の係脱は生ぜず最大踏込に近接した領域でのみ係脱を実現する。
その後アクセルペダル105の踏み込みを停止すると、揺動支点ピン106に巻着する復帰スプリング106aの作用により第一立上り部材110は初期位置方向に回動する。第一立上り部材110と踏込力変換吊下体115の頂部間隙が縮小すると、踏込力変換吊下体115の押込みローラ115eは第一リング材121の板材121bの跳出部から離れ、係止ピン120はスプリング120aに付勢され再度第一立上り部材110の外部に突出する。
ピン先120bと連係爪117aの距離が接近してテーパー加工部が当接すると再度スプリング120aが縮み係止ピン120が移動して第一立上り部材110内に没した後、スプリング120aに付勢されて突出し、両者は係止し初期状態に移行する。
ところで、自動車運転時において緊急突発的事態が発生した時にはブレーキペダル102を踏まずにアクセルペダル105を更に踏込んでしまうことがある。第一立上り部材110と第二立上り部材117の係脱が生じた後、更にアクセルペダル105の踏み込みがなされると、第一立上り部材110は更に揺動支点ピン106廻りを揺動する。この時の詳細を図33及び図34に基づき説明する。
アクセルペダル105を踏み込んで第一立上り部材110の揺動支点ピン106廻りの揺動が大きくなると、第一リング材121の下部に突設する変換金具回動部材である羽根押込み材121cが変換金具123の羽根状立上り部123bの先端に当接して変換金具123を回動する。
変換金具123が第一立上り部材110と同期して揺動すると、変換金具123は踏込力変換吊下体115の軸受115k周りに回動し始め、図33に示すように、ロック金具124を引き上げて下部係止部がガイド部材118の欠込部118cと係脱し、ガイド部材118にはシャーシ119方向への荷重が作用しなくなる。
この時、第一リング材121の長孔121aの一内面が吊下ピン113と当接するようになる。この長孔121aの一内面には第一リング材121の後端に設ける調整ネジ121dの先端を突出し、第一立上り部材110が回動してアクセル連係部材と可動部材の係脱が生じた時にこの先端が吊下ピン113と当接するよう調整ネジ121dのねじ込み量を調整する。
この当接状態が続くとペダル連係機構が作用し、図34に示すように第一立上り部材110と支柱体114及びブレーキアーム104は一体的な動作を行うようになる。即ち更なるアクセルペダル105の踏込により、ブレーキペダル102が踏み込まれることになり、アクセルペダル105を踏込む力に応じてブレーキペダル102が踏込まれ確実な制動が行われる。
この時ガイド部材118は、第一立上り部材110及び踏込力変換吊下体115等の動きにあわせシャーシ119面を一端が摺動する。この端部にはローラを付設して転動する構成としてもよい。
アクセルペダル105の踏み込みを停止すると第一立上り部材110が初期位置に戻されるため連係接続部材である第一リング材121と吊下ピン113の接続が解消し、変換金具123と踏込力変換吊下体115と支柱体114とブレーキアーム104及びブレーキペダル102は初期位置に戻り制動力も低減し消滅する。又、ロック金具124も降下して下部係止部がガイド部材118の欠込部118cに当接しロック状態となり、踏込力変換吊下体115等の移動を抑制する。
次にブレーキペダル踏込時の作用の詳細を図35乃至図39に基づき説明する。図35はブレーキペダル踏込直後のアクセルペダル誤動作解消装置のアクセルペダル踏込力伝達部材側の要部側方を示す断面図、図36は内部係止ピン押込み部の配置を示す側面図、図37はペダル連係ピン体及び支柱体跳出部の関連を示す平面図、図38は内部係止ピン押込み部、ペダル連係ピン体及び支柱体跳出部の関連を示す正面図、図39はブレーキペダル踏込後のアクセルペダル誤動作解消装置のアクセルペダル踏込力伝達部材側の要部側方を示す断面図である。
ブレーキペダル102を踏み込むと図35に示すように、ブレーキアーム104、取付金具111及びその跳出部111bに固着する支柱体114が枢軸103周りに回動する。支柱体114の下方には連結材128が取り付けられているので、ブレーキアーム104の動きに併せて支柱体114が回動して連結材128及び水平材127を引き出し、これにより吊下材126を斜め前方に回動し、変換金具123を回動させる。
変換金具123が回動すると、ロック金具124を引き上げて下部係止部がガイド部材118の欠込部118cと係脱し、ガイド部材118にはシャーシ119方向への荷重が作用しなくなる。このためガイド部材118の移動が自由になる。
更にブレーキペダル102を踏み込むと支柱体114の下部背面がガイドケース115dの後端に設けるストッパ170に当接するようになり、支柱体114と変換金具123、ガイドケース115dを取り付ける踏込力変換吊下体115、更には第一立上り部材110をブレーキペダル102の踏み込みと同時に回動させることになる。
ブレーキペダル102の踏込み時の回動力は当初連結材128等に作用するが、移動により支柱体114とストッパ170が当接すると、ブレーキアーム104及び支柱体114の回動力は踏込力変換吊下体115に作用することになり変換金具123への荷重集中が避けられる。
変換金具123を固定する軸123cが回動すると、図36に示すようにL字体125のテーパー突出面125aが内部係止ピン押込み部129の転動部材129dを押し上げる。このため、柱体129bの先端が内方へ回動することになる。
この時図37に示すように、柱体129bの長孔129eが棒体150cを押し込むとピン体150aが断面鋸歯状のラック160側に移動し、テーパー付先端150bの先端が第一立上り部材110の外側に突出してテーパ付先端をラック160に係合する。
この係合により支柱体114と第一立上り部材110の回動が同期し、ブレーキペダル102とアクセルペダル105の回動を同時に行なうことができる。又、柱体129bの先端が内方へ回動すると先端摺接部129fがスプリング120aの弾性力に抗して第一リング材121及び係止ピン120を押圧移動する。係止ピン120のピン先120bが第一立上り部材110内に没し、連係爪117aの係脱が生ずる。ピン先120bと連係爪117aの係脱が生ずると、第二立上り部材117はアクセルワイヤー107の引張力で初期位置に戻されると共に燃料供給を停止する。
この状態を図39に示す。ブレーキペダル102とアクセルペダル105は同期して回動するが、揺動支点ピン106周りの回動ではなく、しかも第二立上り部材117は初期位置に戻されているのでアクセルワイヤ107は引かれず、ブレーキの制動力のみが作用することになる。
次にアクセルペダル踏込力調整リングの作用を図40乃至図44に基づき説明する。図40はアクセルペダル踏込前のアクセルペダル踏込力調整リングの要部側方を示す断面図、図41はアクセルペダルを通常範囲内で踏み込んだ際の同断面図、図42はアクセルペダルを通常範囲を超えて踏み込んだ際の断面図、図43はアクセルペダルを通常範囲を超えて踏込み続けた状態の断面図、図44はアクセルペダル踏込を停止した後の同断面図である。
アクセルペダル踏込力調整リング122の上跳出板122aは、対向する二枚の板材を有し、その内方に調整板122dを収容する。この調整板122dの外端にはコイルスプリング122fを巻着する調整ネジ122gからなる調整板押え材122eを挿通し、調整ネジ122gの先端を下跳出板122bの後端に螺合する。この調整ネジ122gのねじ込み高さを調整することで調整板122dの押上力を変化させる。
下跳出板122bは、中間部に孔部122hを開設し、その内部に三角コマ122cを収納する。三角コマ122cは一頂角を孔部122hより突出し下方の外端側頂角をピン支持する。内端側頂角の下面には上方に付勢する板バネ材122iを当接する。
孔部122hより突出する一頂角の外方は孔部壁面に当接する。踏込力調整調整リング122と吊下ピン113の相対位置は、揺動部材109の揺動角度により変化し、アクセルペダルを踏込むと図41の位置まで移動し、吊下ピン113が三角コマ122cに当接するようになる。この当接ポイントは、係止ピン120が押し込まれ第一立上り部材110と第二立上り部材117の係脱が生ずる寸前に設定する。
更なる踏み込みを行なうと、三角コマ122cの外方への移動はできないため吊下ピン113が三角コマ122cの斜面上を上昇することになる。この時上面の調整板122dに当接しコイルスプリング122fの弾性力に抗してこれを押し上げる。この押上時の抵抗力がアクセルペダルの抵抗となるため、過剰なるアクセルペダルの踏込位置が検知できる。
この時点でアクセルペダルを緩めずに更なる踏み込みがなされると、図42に示すように吊下ピン113が移動すると共に係止ピン120が押し込まれ、これにより連係爪117aとの係合が外れ、第一立上り部材110と第二立上り部材117の係脱が生ずる。図43に示すように吊下ピン113が三角コマ122cを乗り越え孔部122hの前方に移動すると、調整板122dの押し上げは無くなり初期位置に戻る。
その後アクセルペダルを緩め、第一立上り部材110を初期位置方向に回動させると図44に示すように、吊下ピン113はアクセルペダル踏込力調整リング122内を逆送し、今度は三角コマ122cの一頂角を外方から内方に押圧し板バネ材122iを押し下げながら回動する。これにより踏込力調整調整リング122と吊下ピン113の相対位置は初期位置に戻る。
吊下ピン113の通過した三角コマ122cは内端側頂角に当接する板バネ材122iによって回動し、孔部122hより突出する一頂角の外方を孔部壁面に当接して初期位置に戻る。
次に補助ブレーキアームの構成を図45に基づき説明する。図45はブレーキペダル部の斜視図である。ブレーキペダル102の直上に脱着可能に固定する第二取付金具112aは、補助ブレーキアーム112bの高さを調整できるように構成する。補助ブレーキアーム112bの先端に固着する補助ブレーキペダル112cをブレーキペダル102に並設することにより、アクセルペダルからの踏み変え無しに、両足を使用してのブレーキ操作を容易にする。
オプション機能として、オートマチック車には無いクラッチペダル位置に、緊急非常用補助ブレーキペダルをワンタッチで脱着可能に取り付け、突発的パニックによる全身硬直ツッパリ状態のブレーキとアクセルペダル同時踏み込みでより早く停止することができるため、事故を最小または未然に防止できる。これは同時踏込力発生時に、アクセルペダルの踏込力がアクセルワイヤーにその作用が及ばないようにするアクセル機能消滅機構を備えるものである。
次に電気的操作を用いるアクセルペダル誤動作解消装置の実施形態を図46及び図47に示す。図46はアクセルペダル及び補助ブレーキペダルに電機操作回路を接続するアクセルペダル誤動作解消装置の要部を示す構成図、図47は図47の矢印方向からの矢視図である。
この実施形態のアクセルペダル誤動作解消装置201は、変換金具123の交差部に隣接して軸123cに上端を固定し下端にテーパー突出面125aを形成するL字体125に加え吊下体126側に弓状体130を並設する。
弓状体130も上部を軸123cに固定するもので、下端にソレノイド131の可動鉄心131aを当接している。このソレノイド131は、アクセルペダル105の側部に設ける踏込み操作部132と操作回路133を経て接続している。又補助ブレーキペダル112cにも第二踏込み操作部134を設け、操作回路133に接続する。第二踏込操作部134は補助ブレーキペダル112c押圧時に作動するもので、補助ブレーキペダル112c操作時には常にアクセルペダル105が効かない状態にする。
踏み込み操作部132は、アクセルペダル105より跳ね出す足置き部132aと、足の移動で操作可能な杆材132bを備え、杆材132bの移動で操作回路133のスイッチ133aを入れ、ソレノイド131の可動鉄心131aを押し出す。
可動鉄心131aが押し出されると弓状体130は変換金具123を回転させ、L字体125のテーパー突出面125aを内部係止ピン押込み部129の柱体129b下端の転動材129dに当接して、第一リング材121を押し込み、係止ピン120を押し込むことで第一立上り部材110と第二立上り部材117の係脱を生ずる。
以上説明したアクセルペダル誤動作解消装置は、運転者の自動車を停止させようとする意思に基づき、アクセルペダルを間違えて踏み込んでもブレーキペダルに踏み変えるより早く確実に停止することができるため、踏み間違え事故そのものがなくなる。
アクセルペダルを踏み加速中でも左足でブレーキペダルを少し踏むことでアクセル機能が消滅し、右足で加速中のアクセルペダルはブレーキペダル機能に自動的に切り替わるためブレーキペダルに踏み変えることなく、アクセルペダルと同時に踏み込むことで早く停止でき、事故を最小又は未然に防止できる。
又既存の一般車輌に適用する場合は、既存のアクセルペダルを交換するだけで作業が終了するため、取付時間は4〜5分程度でも完了可能である。