JP5334996B2 - アブレーション層、感光性樹脂構成体、当該感光性樹脂構成体を用いた凸版印刷版の製造方法 - Google Patents

アブレーション層、感光性樹脂構成体、当該感光性樹脂構成体を用いた凸版印刷版の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、凸版印刷用の感光性樹脂構成体を構成するアブレーション層、当該アブレーション層を具備する感光性樹脂構成体、当該感光性樹脂構成体を用いた凸版印刷版の製造方法に関する。
従来から、フレキソ印刷用にはゴム版が用いられてきたが、近年においては、これに代わり、熱可塑性エラストマーをベースポリマーとした種々のフレキソ印刷用の感光性樹脂構成体が提案されている。
このようなフレキソ印刷用の感光性樹脂構成体を構成する材料としては、溶液現像型、溶剤現像型及び水又は水系現像液で現像する型の、感光性エラストマー組成物が知られており、種々の感光性エラストマー組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
このようなフレキソ印刷用の感光性樹脂構成体の製造技術については、フレキソ製版におけるCTP(Computer To Plate)技術が発達している。
このフレキソ用CTP技術は、例えば、感光性樹脂組成物層の上に、赤外線によりアブレーション可能な層を設けておき、レーザー光を照射することにより、所望の画像に相当するアブレーション層を除去し、ネガにあたる活性光線の透過部分を形成させるものである。
このようなアブレーション層としては、赤外線吸収性の材料を所定のバインダー中に含有させた材料層(例えば、特許文献2参照。)や、赤外線吸収性を有する金属による薄層(例えば、特許文献3参照。)が知られている。
赤外線アブレーション層を具備する感光性樹脂構成体の具体例としては、下記のようなものが提案されている。
例えば、赤外線アブレーション層、バリア層、感光性樹脂組成物層がこの順に積層されているフレキソ印刷版が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
また、水で現像するタイプのフレキソ印刷用の感光性樹脂構成体としては、赤外線アブレーション層に、水に不溶性のポリアミド等を用いたものが提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
さらには、ポリビニルアルコールを含有するアブレーション層についての提案もなされている(例えば、特許文献6参照。)。
特公昭59−29849号公報 特開平11−153865公報 特開2004−163925公報 特表平10−509254公報 特許第2916408号公報 特開2000−56447号公報
しかしながら、従来提案されている赤外線アブレーション層を具備する感光性樹脂構成体には、下記のような欠点がある。
特許文献4に開示されている感光性樹脂構成体は、バリア層を有しているため、印刷版の製造工程が増えて複雑になる。さらには、バリア層の材質によっては赤外線アブレーション層との界面に剥がれを生じる。また、バリア層はアブレーションされないため、酸素の透過性が悪く、形成画像が太ったりする等の問題がある。
この画像が太る問題は、フレキソ印刷用感光性樹脂構成体の硬化メカニズムがラジカル重合によることに起因している。
重合時に発生するラジカルは、酸素により失活するため、空気に触れている版表面付近では、硬化の進行が遅くなる傾向がある。ゆえに、ネガ等を密着させる必要が無く版の最表面が空気に触れているCTP版では、ネガを必要とするアナログ版に比べて細部の硬化が抑制されることになる。CTP版においては、このような酸素阻害による硬化抑制効果を利用して、アナログ版よりも細かい画像形成を可能としているのである。
一方において、バリア層を有していると樹脂と酸素との接触が抑制されるため、ラジカルの失活が妨げられ硬化が円滑に進行し、酸素による硬化抑制効果が得られないため、かえって画像の精細さは劣ることになり、いわゆる形成画像が太った状態となる。
特許文献5に記載されている技術によると、水系現像液中に未溶解物が蓄積していくことにより現像液が汚染され、必然的に現像液交換の頻度を高くしなければならないという実用上の問題がある。
また、アブレーション層のカスが水系現像液中に蓄積していくと、感光性樹脂組成物層に再付着したり、現像装置内でつまりが生じたりする等の問題がある。
さらに、感光性樹脂組成物層とアブレーション層との密着力が十分ではなく、作業中にアブレーション層の剥がれが生じる等の問題がある。
特許文献6に記載されている技術によると、アナログ版の保護膜同様、アブレーション層上に積層されているカバーフィルムを剥離した後、急激な吸湿が起きるため、アブレーション層にシワが発生し、表面に凹凸が生じてしまうため、レーザーの焦点を合わせにくくなり、描画画像の鮮明さが劣化し、版品質が低下するという問題がある。
そこで本発明においては、感光性樹脂組成物層とアブレーション層とが実用上十分な密着力を有しており、(1)高湿度環境下で、貼着されているカバーフィルムを剥離しても、吸湿によるシワが発生せず、(2)現像液で除去したものを現像液中に容易に溶解・分散させることができ、洗浄カスの残存を効果的に防止でき、しかも(3)赤外線で加工可能な感光性樹脂用のアブレーション層、当該アブレーション層を具備する感光性樹脂構成体、当該感光性樹脂構成体を用いた凸版印刷版の製造方法を提供することを目的とする。
上述した従来技術の課題を解決するべく鋭意研究を行った結果、赤外線により加工可能な層であり、アニオン性ポリマーを含有する凸版印刷版用感光性樹脂用のアブレーション層、当該アブレーション層を具備する感光性樹脂構成体が上記の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は下記の通りである。
〔1〕
赤外線により加工可能な層であり、アニオン性ポリマーを含有し、側鎖にエステル結合を有し、ケン化度が0%以上80%以下であるポリマーを、さらに含有する凸版印刷用感光性樹脂用のアブレーション層。
〔2〕
水系現像液により除去可能である前記〔1〕に記載のアブレーション層。
〔3〕
溶剤系現像液により除去可能である前記〔1〕に記載のアブレーション層。
〔4〕
赤外線吸収剤としてカーボンブラックが含有されている前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のアブレーション層。
〔5〕
支持体と、
当該支持体の上に配設される感光性樹脂層と、
当該感光性樹脂層の上に配設される、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のアブレーション層と、
を含む凸版印刷用の感光性樹脂構成体。
〔6〕
凸版印刷版の製造方法であって、
支持体と、前記支持体の上に配設される感光性樹脂層と、前記感光性樹脂層の上に配設
される前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のアブレーション層とを含む凸版印刷用の感光性樹脂構成体に対し、前記支持体側から紫外線照射する工程と、
前記アブレーション層に赤外線を照射してパターン描画する工程と、
前記感光性樹脂層に紫外線を照射してパターン露光する工程と、
現像液により前記アブレーション層及び未露光の感光性樹脂層を除去する工程と、
を、有する凸版印刷版の製造方法。
本発明によれば、高湿度環境下で、アブレーション層に貼着されているカバーフィルムを剥離しても、吸湿によるシワが発生せず、現像液で除去したものを容易に溶解・分散させることができ、洗浄カスの残存や再付着を効果的に防止でき、しかも赤外線で加工可能なアブレーション層、当該アブレーション層を具備する感光性樹脂構成体、当該感光性樹脂構成体を用いた凸版印刷版の製造方法を提供できる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について、詳細に説明する。
なお、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔アブレーション層〕
本実施形態のアブレーション層は、後述する凸版印刷版作製用の感光性樹脂構成体を構成するアブレーション層であり、赤外線により加工(描画)可能であり、アニオン性ポリマーを含有する。
アブレーション層は、後述する凸版印刷版作製用の感光性樹脂構成体において、感光性樹脂組成物層上に、必要に応じて所定の保護層を介して積層形成されるものである。
アブレーション層は、通常、感光性樹脂組成物層側とは反対側の面が、所定のカバーフィルムによって覆われることで、外気や傷から保護されている。
赤外線による加工(描画)は、前記カバーフィルムを剥離して行うが、この際に吸湿シワの発生を防止し、かつ後工程である現像工程において良好な洗浄性を実現するべく、本実施形態のアブレーション層は、アニオン性ポリマーを含有しているものとする。
アニオン性ポリマーを含有することにより、従来問題とされていた吸湿シワの発生及び洗浄性の問題の解決を図り、しかも現像工程においては版面へのアブレーション層カスの再付着をも回避することができる。
さらに、感光性樹脂組成物層や保護層との密着性を高めるべく、本実施形態のアブレーション層においては、ケン化度が90%以下である側鎖にエステル結合を含むポリマーが含有されていることが好ましい。
凸版印刷版を作製するために、感光性樹脂構成体を構成するアブレーション層を赤外線により描画した後、感光性樹脂組成物層に対するパターン形成が行われる。
感光性樹脂組成物層に対するパターン形成は、通常、露光工程、現像工程及び後露光工程を経て行われる。
一般的には、寸法安定性を有する支持体(ベースフィルム:例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)に、接着層、感光性樹脂組成物層、アブレーション層、カバーフィルム(例えばPETフィルム)が順次積層された構成の感光性樹脂構成体に対し、上記各工程が行われて凸版印刷版を作製する。
本実施形態におけるアブレーション層は、アニオン性ポリマーを含有しており、これにより、優れたシワ耐性を有し、現像処理工程において現像液への均一な溶解・分散が可能なものとなり、洗浄性が優れたものとなる。
アニオン性ポリマーとは、アニオン性極性官能基を有するポリマーをいう。
特に、中性の水に不溶又は吸水率が20%以下である樹脂が好ましい。
アニオン性ポリマーの数平均分子量については特に限定されないが、3000〜10万であることが好ましく、5000〜8万がより好ましく、5000〜3万がさらに好ましい。
アニオン性ポリマーの数平均分子量は、ゲルパーメーションクロマトグラフィ(GPC)法を用いて、ポリスチレン換算で測定を行い、算出できる。
アニオン性ポリマーとしては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂、メラミン系樹脂、グアナミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられ、さらにはこれらの樹脂の共重合体等も挙げられる。
上記ポリマーは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アニオン性ポリマーのアニオン性極性官能基としては、リン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられるが、取扱・入手性の観点から、カルボン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基が好ましい。また、吸湿シワの抑制および樹脂密着力の観点から、スルホン酸基が好ましい。
なお、本実施形態においては、水酸基は、アニオン性極性官能基には含まれない。
アニオン性ポリマーにおけるアニオン性極性官能基の含有量は、良好な洗浄性を確保する観点から1質量%以上が好ましく、吸湿シワの抑制を図る観点から80質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは5質量%〜60質量%、さらに好ましくは7質量%〜40質量%の範囲である。
アブレーション層に含有されているアニオン性ポリマーとしては、変性ポリオレフィン系樹脂が好ましく、不飽和共役カルボン酸とエチレン性不飽和化合物との共重合体がより好ましく、エチレン−アクリル酸共重合体がさらに好ましく、エチレン−メタクリル酸共重合体がさらにより好ましく、エチレン−アクリル酸共重合体がよりさらに好ましい。この場合、アニオン性ポリマーの極性官能基は、カルボン酸基である。
アブレーション層には、上述したように、上記各種アニオン性ポリマーに加えて耐シワ性を維持可能な範囲で、ケン化度が90%以下の側鎖にエステル結合を含むポリマーを含有することが好ましい。
従来、アブレーション層やアナログ版の保護膜としてポリビニルアルコールを使用する技術が知られているが、この場合、急激な吸湿によるシワの発生を防ぐために、水溶性が低く結晶化度の高い、高ケン化度のポリビニルアルコールを使用することが当業者の間では通常とされていた。
この慣例にとらわれることなく鋭意検討した結果、アブレーション層が前記アニオン性ポリマーに加えてケン化度が0%以上90%以下の側鎖にエステル結合を含むポリマーを含有するものとしたことにより、シワの発生が防止でき、かつ、隣接する感光性樹脂組成物層や保護層との密着力の向上が図られ、剥がれや破れを効果的に防止できる。
上記ケン化度が0%以上90%以下の側鎖にエステル結合を含むポリマーにおけるケン化度は、好ましくは0%以上80%以下、より好ましくは0%以上75%以下、さらに好ましくは0%以上70%以下である。
ここで、「ケン化」とは、一般に、アルカリによりエステルを加水分解してアルコールとカルボン酸を生成する反応をいい、ケン化度は残存エステル基(mol%)を100から差し引いた値のことをいう。
上記側鎖にエステル結合を含むポリマーとしては、例えば、ポリ酢酸ビニルや、部分ケン化ポリ酢酸ビニル(ケン化物はポリビニルアルコール)や、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリビニルエステル系共重合体や、酢酸セルロースなどのセルロース脂肪酸エステル系化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ケン化度が90%以下の側鎖にエステル結合を含むポリマーの含有量は特に制限されないが、前記アニオン性ポリマー100質量部に対して0.1質量部以上500質量部以下が好ましく、0.5質量部以上300質量部以下がより好ましく、1質量部以上100質量部以下がさらに好ましい。
アブレーション層の膜厚は、後述する感光性樹脂構成体に対して露光処理を行う工程の際、紫外線に対する遮光性を確保する観点から、0.1μm以上であることが好ましい。
一方、アブレーション層の膜厚が20μmを超えると、アブレーション性が劣化するため、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmがより好ましく、1〜10μmがさらに好ましい。
アブレーション層には赤外線吸収剤を含有させることが好ましい。
赤外線吸収剤としては、通常750nm〜20000nmの範囲の波長に強い吸収特性を有する単体又は化合物が用いられる。
例えば、カーボンブラック、グラファイト、酸化鉄、酸化クロム、亜クロム酸銅等の無機顔料や、フタロシアニン及び置換フタロシアニン誘導体、シアニン染料、メロシアン染料及びポリメチン染料、金属チオレート染料等の色素類が挙げられる。
特に、カーボンブラックは、粒径が13nm〜200nmの広い範囲で使用可能であり、粒径が小さいほど赤外線に対する感度が高くなるため好ましい。
上述した赤外線吸収剤は、アブレーション層を加工(描画)する際の、使用レーザー光線による除去が可能な感度を確保する範囲内で添加することが好ましい。具体的には、アブレーション層の全質量に対し、10〜80質量%の添加量とすることが好ましい。
アブレーション層には、非赤外線の遮蔽物質を含有させることが好ましい。
非赤外線の遮蔽物質としては、紫外光線を反射又は吸収する物質が使用できる。例えば、紫外線吸収剤、カーボンブラック、グラファイト等が好適である。
非赤外線の遮蔽物質の添加量は、アブレーション層の光学濃度が2以上となる量であることが好ましく、光学濃度が3以上となる量であることがより好ましい。
光学濃度は、D200−II透過濃度計(GretagMacbeth社製)を用いて測定できる。また、光学濃度はいわゆる視感(ISO visual)であり、測定対象の光は400〜750nm程度の波長領域である。
また、カーボンブラックのように、赤外線吸収剤としての機能と非赤外線の遮蔽物質としての機能を兼ね備えたものが特に好ましい。
アブレーション層には、その他必要に応じて、性能を損なわない範囲で、従来公知の添加剤、例えば、可塑剤、帯電防止剤、離型剤、接着力調整剤等を添加してもよい。
本実施形態のアブレーション層は、水系現像液及び/又は溶剤系現像液を用いて除去できるものであることが好ましい。
水系現像液とは、水溶性の洗浄液である。
水系現像液には、通常界面活性剤やアルカリビルダー(pH調整剤)が含有されている。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤が挙げられる。アルカリビルダーとしては、有機材料、無機材料のいずれでもよいが、pH9以上に調製できるものが好ましい。
また、洗浄効果の向上を図るため、例えばアルキルグリコールエーテルのような、水と混合可能な有機溶剤を浸透剤として添加することも有用である。
溶剤系現像液としては、従来公知の材料を使用できる。例えば、ヘプチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル類、石油留分、トルエン、デカリン等の炭化水素類やテトラクロルエチレン等の塩素系有機溶剤にプロパノール、ブタノール、ペンタノール等のアルコール類を混合したものが挙げられる。
〔アブレーション層の形成方法〕
本実施形態におけるアブレーション層は、例えば、所定のフィルム(凸版印刷版用の感光性樹脂構成対を構成するカバーフィルム(通常50〜250μmの膜厚))の上に、上述したアニオン性ポリマーを含有するアブレーション層形成用の組成物の溶液を、乾燥後の厚さが、0.1μm〜20μmになるように塗布し、乾燥処理を施すことにより形成できる。
アブレーション層形成用の組成物の溶液用溶媒としては、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エトキシエタノール、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
アブレーション層形成用の組成物の溶液には、カバーフィルムとの塗工性を向上させるために、種々の界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、浸透剤等を配合してもよい。
また、後述する感光性樹脂構成体として使用する際の、カバーフィルムの良好な剥離性を確保するために、アブレーション層形成用の組成物の溶液を塗工する前段階として、予め被塗工面に対し、離型処理を施してもよい。
〔感光性樹脂構成体〕
本実施形態の感光性樹脂構成体は、支持体と、前記支持体の上に配設される感光性樹脂組成物層と、前記感光性樹脂組成物層の上に配設される、上述したアブレーション層とを含む構成を有している。
(感光性樹脂組成物層)
感光性樹脂組成物層は、感光性樹脂を含有しており、感光性樹脂としては、従来公知の材料を使用できる。
例えば、特許第3508788号公報、特公昭58−33884号公報、特許第2940006号公報、特許第2985655号公報等に提案されている感光性樹脂をいずれも使用できる。
感光性樹脂組成物は、紫外線の照射により硬化し、現像液によって未硬化部分を除去できるものであれば、特に限定されるものではないが、感光性樹脂組成物は、一般に、感光性樹脂成分、重合性モノマー成分、光重合開始剤及び安定剤から構成されている。
特に、感光性樹脂成分は、最終的に目的とする凸版印刷版の物性に大きく影響する。感光性樹脂としては、例えば、ポリウレタン系、ポリビニルアルコール系、ポリエステル樹脂系、ナイロン系樹脂系、極性基含有ポリマーと疎水性ポリマーとを混合・分散させた樹脂系(バインダーポリマー)等が、いずれも適用可能である。
特に、極性基含有ポリマーと疎水性ポリマーとを混合・分散させた樹脂系が、目的とする凸版印刷版に関して優れた耐久性が得られ、高精細な版面を形成するために好ましく、印刷工程においても汎用性が高く、有用な樹脂系である。
上記極性基含有ポリマーと疎水性ポリマーとを混合・分散させた樹脂系を構成する極性基含有ポリマー、疎水性ポリマーとしては、下記のようなものが挙げられる。
極性基含有ポリマーとしては、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、リン酸基、スルホン酸基等の親水性基又はそれらの塩を含有する水溶性や水分散性共重合体が挙げられる。
具体的には、特許第2128098号公報に記載されているカルボキシル基含有NBR、カルボキシル基含有SBR、特開平5−7705号、特開昭61−128243号、特開平6−194837号及び特開平7−134411号の各公報等に記載されているカルボキシル基を含有する脂肪族共役ジエンの重合体、特開平9−15860号公報に記載されているリン酸基又はカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の乳化重合体、特開平3−206456号公報記載されているスルホン酸基含有のポリウレタン、特開2002−162731号公報に記載されているカルボキシル基含有ブタジエンラテックス等が挙げられる。これらの極性基含有ポリマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
疎水性ポリマーとしては、共役ジエン系炭化水素を重合して得られる重合体、又は共役ジエン系炭化水素とモノオレフィン系不飽和化合物を重合して得られる共重合体が挙げられる。具体的には、ブタジエン重合体、イソプレン重合体、クロロプレン重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、メタクリル酸メチル−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン−スチレン共重合体等が挙げられる。これらの疎水性ポリマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記重合性モノマーについては、特に制限されるものではなく、例えば、エチレン性不飽和酸とアルコール類とのエステル化合物等が挙げられ、文献「光硬化技術データブック(テクノネット社発行)」等に記載された化合物が適用できる。
具体的には、ヘキシル(メタ)アクリレート、ノナン(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチル、2−ブチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ECH変性アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の直鎖、分岐、環状の単官能モノマー;又はヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル、2−ブチルプロパンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ECH変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンベンゾエート(メタ)アクリレート、EO(PO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の直鎖、分岐、環状の多官能モノマー等が挙げられる。
また、ジオクチルフマレート等のアルコールとフマル酸とのエステル、又はラウリルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のN置換マレイミド誘導体等が挙げられる。
上記光重合開始剤としては、文献「光硬化技術データブック(テクノネット社発行)」、「紫外線硬化システム(総合技術センター発行)」等に記載されたものが使用できる。
具体的には、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、α−メチロールベンゾイン、α−メチロールベンゾインメチルエーテル、ベンジルメチルケタール、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ビスアシルフォスフィンオキサイド、α−メトキシベンゾインメチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−1−[4−メチルチオ]フェニル、2−モルフォリノプロパン−1−オン、チオキサントン、ベンジル、アンスラキノン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記安定剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール、カテコール、t−ブチルカテコール、β−ナフトール等のフェノール類や、フェノチアジン、ピリジン、ニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、チアジン染料等が挙げられる。
また、感光性樹脂組成物層には、その他必要に応じて、可塑剤、重合禁止剤、染料、紫外線吸収剤、耐オゾン剤等の添加剤を配合してもよい。
可塑剤としては、液状1,2(又は1,4)−ポリブタジエン、1,2(又は1,4)−ポリイソプレン、又はこれらの末端変性品、ナフテン油、パラフィン油等の炭化水素油等が挙げられる。
染料としては、一般的に着色用として汎用されている材料を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系等紫外線吸収剤が挙げられる。
耐オゾン剤としては、ジベンジルエーテル、ジヒドロキノリン系、ジフェニルアミン系、フェニレンジアミン系、メルカプトベンゾイミダゾール系等の老化防止剤やワックス等が挙げられる。
(保護層)
本実施形態における感光性樹脂構成体においては、上述した感光性樹脂組成物層とアブレーション層との間に、第1の保護層を配設した構成としてもよい。これによりアブレーション層を加工(描画)後、上層が除去された感光性樹脂組成物層の表面を保護される効果が得られる。
また、アブレーション層の上層として、第2の保護層をさらに配設した構成としてもよい。
すなわち、カバーフィルムとアブレーション層との間に第2の保護層を配設した構成としてもよい。これにより、カバーフィルムを剥離した後、アブレーション層の急激な吸湿を回避できる効果や、アブレーション層への傷や破れを防止する効果が得られる。
第1及び第2の保護層は、同一の材料により形成してもよく、異なる材料により形成してもよい。
第1及び第2の保護層の形成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂、メラミン系樹脂、グアナミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられるが、洗浄カスの残存を防止する観点から、使用する現像液(水現像液、又は溶剤現像液)に溶解、分散するものが好ましい。
第1及び第2の保護層の膜厚は、実用上十分な保護機能を発揮するために、0.1μm以上が好ましく、また、画像再現性の観点から、20μm以下とすることが好ましい。
第1の保護層は感光性樹脂組成物層上に、第2の保護層はアブレーション層の上に、それぞれ上述した保護層形成用の組成物の溶液を用いて、乾燥後の厚さが0.1〜20μmになるように、所定のカバーフィルム(50〜250μmの膜厚)を用いて形成する。
具体的には、所定のカバーフィルム上に、必要に応じて第2の保護層形成用の組成物の溶液を用いて、乾燥後の厚さが0.1〜20μmとなるように形成し、その後、第2の保護層上に、アブレーション層形成用の組成物の溶液を用いて、乾燥後の厚さが0.1〜20μmとなるように形成する。
さらに必要に応じて、第1の保護層形成用の組成物の溶液を、アブレーション層の上に、厚さが0.1〜20μmとなるように形成する。
このようにして得られた所定のカバーフィルム上に得られた1〜3層からなる積層体を、感光性樹脂組成物の上に積層することで、感光性樹脂構成体が得られる、なお、製造方法はこの例に限定されない。
第1及び第2の保護層形成用の組成物の溶液用の溶媒としては、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エトキシエタノール、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
保護層形成用の組成物の溶液には、塗工性を向上させるために、種々の界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、浸透剤等を配合してもよい。
また、感光性樹脂版として使用する際の、良好な剥離性を確保するために、保護層形成用の組成物の溶液を塗工する前段階として、予め被塗工面に対し、離型処理を施してもよい。
なお、カバーフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンその他の材料が使用できるが、寸法安定性や耐熱性、機械的性能の観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)が好適である。
(支持体:ベースフィルム)
本実施形態の感光性樹脂構成体を構成する支持体(ベースフィルム)としては、例えば、寸法安定なポリエステルフィルムに接着剤層が積層されたポリエステルフィルムが適用できる。
なお、ポリエステルフィルムと接着剤層の間には、易接着性塗膜が積層されていてもよい。
接着剤としては、例えば特開2001−264959号公報に記載されているポリエステル構造を有する接着剤、ポリウレタン構造を有する接着剤、特許第3830959号明細書に記載されている活性光線硬化型、熱硬化型の接着剤等が使用できる。
本実施形態における感光性樹脂構成体の厚みは、特に制限されるものではないが、例えば、0.5mm〜10mmとすることができる。
〔感光性樹脂構成体の製造方法〕
本実施形態の感光性樹脂構成体は、例えば、カバーフィルム上にアブレーション層を形成し、このアブレーション層形成面側と、支持体上に積層形成した感光性樹脂組成物層側とを密着させ、積層させることにより製造できる。
具体的には、フレキソCTPと称されるデジタル版で固体状の感光性樹脂組成物の場合には、ポリエチレンテレフタレート支持体(必要に応じてアンチハレーション効果を付与されたもの)に積層形成した感光性樹脂組成物層に、レーザーアブレーション機能を有する層を具備するフィルムを密着積層させることにより、板状に成形した構成例が挙げられる。
〔凸版印刷版の製造方法〕
本実施形態における凸版印刷版の製造方法は、支持体と、前記支持体の上に配設される感光性樹脂組成物層と、前記感光性樹脂組成物層の上に配設されるアブレーション層とを含む凸版印刷用の感光性樹脂構成体に対し、前記支持体側、すなわち感光性樹脂組成物層を備えない面側から紫外線照射する工程と、前記アブレーション層に赤外線を照射してパターン描画する工程と、前記感光性樹脂組成物層に紫外線を照射してパターン露光する工程と、現像液により前記アブレーション層及び未露光の感光性樹脂組成物層を除去する工程とを有する。
すなわち、アブレーション層に赤外線照射によるパターン描画した後に、紫外線照射を行い、感光性樹脂組成物層にパターン露光を行う。続いて現像処理を行い、アブレーション層と未露光の感光性樹脂組成物層を洗浄除去し、パターンを形成する。
その後、必要に応じて後露光処理を行い、感光性樹脂組成物層の硬化物による版(凸版印刷版)が得られる。
なお、この版の表面をシリコン化合物及び/又はフッ素化合物を含有する液と接触させてもよい。
(支持体側から紫外線照射する工程)
支持体側から紫外線照射する工程においては、慣用の照射ユニットを使用して行うことができる。
紫外線としては、波長150〜500nmの紫外線を使用でき、特に300〜400nmの紫外線を好ましく使用できる。
光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ジルコニウムランプ、カーボンアーク灯、紫外線用蛍光灯等を使用できる。
なお、この紫外線照射する工程は、アブレーション層へのパターン描画の工程の前に行ってもよく、パターン描画の工程の後に行ってもよい。
(アブレーション層に赤外線照射してパターン描画する工程)
感光性樹脂構成体がカバーフィルムを有している場合には、まずカバーフィルムを剥離する。
その後、アブレーション層に赤外線をパターン照射して、感光性樹脂層上にマスクを形成する。
好適な赤外線レーザーの例としては、ND/YAGレーザー(例えば、1064nm)又はダイオードレーザー(例えば、830nm)が挙げられる。
CTP製版技術に適当なレーザーシステムは市販されており、例えば、ダイオードレーザーシステムCDI Spark(ESKO GRAPHICS社)を使用できる。
このレーザーシステムは、印刷原版を保持する回転円筒ドラム、IRレーザーの照射装置、及びレイアウトコンピュータを含み、画像情報は、レイアウトコンピュータからレーザー装置に直接送信される。
(感光性樹脂組成物層に紫外線を照射してパターン露光する工程)
上記のように、パターン描画した後、感光性樹脂組成物層にマスクを介して紫外線を全面照射する。
これは、版をレーザーシリンダに取り付けた状態で行うことができるが、一般的には版をレーザー装置から取り外し、慣用の照射ユニットを用いて照射する。
照射ユニットは、支持体側からの紫外線照射で用いたものと同様のユニットを使用できる。
(現像液によりアブレーション層及び未露光の感光性樹脂組成物層を除去する工程)
この現像工程においては、従来公知の方法を適用できる。
具体的には、上記のように感光性樹脂構成体を露光し、その後、現像液(洗浄液)に浸漬し、ブラシ等により未露光部分を溶解又は掻き落とす方式、スプレー等により版面に洗浄液を降りかけた後、ブラシ等により未露光部分を溶解又は掻き落とす方式等が挙げられる。
現像液のうち、水系現像液としては、従来公知のものをいずれも使用できる。
現像液には、有効成分として界面活性剤が含有されているものとする。
界面活性剤とは、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化オレフィン、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、α−オレフィンスルフォン酸塩、リン酸エステル塩、ジチオリン酸エステル塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等のポリエチレングリコール型界面活性剤やグリセロール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビトール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエステル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等の多価アルコール型界面活性剤等が挙げられる。
現像液中には、上記各種界面活性剤に加え、洗浄性の向上及びシリコン系化合物の版内への浸透性を向上させるために、例えばアルキルグリコールエーテルのような水と混合可能な有機溶剤を浸透剤として添加することは有用な方法である。
浸透剤は、洗浄する感光性樹脂組成物層の組成により選択できる。例えば、ジブチルジグリコールエーテル等のモノ又はポリエチレングリコールエーテル型非イオン浸透剤等が挙げられる。
現像液には、その他の成分として、アルカリビルダーと称されるpH調整剤を含有させてもよい。
アルカリビルダーとしては、有機材料、無機材料のいずれでもよいが、pHを9以上に調整できるものが好ましい。例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、琥珀酸ナトリウム等が挙げられる。
現像液中に含有させる界面活性剤、浸透剤、アルカリビルダーの量については、特に制限されるものではない。
界面活性剤の量は、通常、現像液100質量部に対して1質量部〜50質量部であり、3質量部〜20質量部であることが好ましい。
浸透剤は、通常、現像液の100質量部に対して、0.2質量部以上20質量部以下の範囲で用いられ、0.2質量部以上10質量部以下の範囲であることが好ましい。
アルカリビルダーは、通常、現像液の100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲で用いられる。
これらの成分の量が、上記範囲よりも少ない場合には、現像に要する時間が長すぎる等の不都合が生じ、上記範囲よりも大きい場合にはコストの観点で好ましくない。
現像液のうち、溶剤系現像液についても、同様に公知のものを使用できる。
例えば、ヘプチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル類、石油留分、トルエン、デカリン等の炭化水素類やテトラクロルエチレン等の塩素系有機溶剤にプロパノール、ブタノ−ル、ペンタノ−ル等のアルコ−ル類を混合したものが挙げられる。
特に、テトラクロロエチレンとブタノールとの3:1混合物(重量比)、炭化水素類を洗浄液として用いることは好適である。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔(1)実施例、比較例において用いた測定方法及び評価方法〕
(a)アニオン性ポリマーの吸水率
測定対象のポリマーを、膜厚75μmのフィルム状に形成し、40℃・湿度0.1%以下で7日以上乾燥させた重量を測定し(x)、40℃・湿度80%で7日以上経時させ、吸湿させた時の重量を測定した(y)。
吸水率A(%)を下記式により算出した。
吸水率A(%)は A=100×(y−x)/x
(b)アニオン性ポリマーのアニオン性官能基含有量
アニオン性官能基含有量は、メーカー値の提示のないもののみ測定した。
測定方法としては、Bruker Biospin株式会社製の核磁気共鳴装置「Avance600」(商品名)を使用し、13C(150MHz、定量モード)を測定し、官能基由来の炭素数よりモル比を計算によって求め、質量%へと変換した。
(c)耐吸湿シワ発生試験
耐吸湿シワは、シワ耐久性として、下記の方法により評価した。
10cm×15cmの大きさに切り出した凸版印刷版作製用の感光性樹脂構成体を、50℃・湿度1%以下の環境で24時間以上放置した。その後、乾燥状態のまま室温になるまで冷却した。
その後、実施例1〜6、比較例1、2においては、25℃の環境下、湿度を80%に保ち、3分を限度にシワ発生の有無を目視にて確認した。シワが発生しなかったものを○、発生したものを×とした。
一方、比較例7〜19、比較例3、4においては、温度25℃、湿度90%の環境下で3分間静置したとき、シワが発生しなかったもの:◎、温度25℃、湿度80%の環境下で3分間静置したとき、シワが発生しなかったもの:○、温度25℃、湿度80%の環境下で3分間静置したとき、シワが発生したもの:×とした。
(d)アブレーション層の赤外線加工性の評価
紫外線露光機「JE−A2−SS」(日本電子精機社製、商品名)を用いて、感光性樹脂構成体の支持体側から60秒間露光を行った。
その後、アブレーション層の上層であるカバーフィルムを剥離し、CDI Spark4260(ESKO GRAPHIC社製、商品名)の回転ドラムに、支持体側を接触させて装着し、出力18.2W、200rpmの回転数で、ベタ画像(1cm×2cm)と、1%、2%、3%、5%(133線/インチ)(各1cm×1cm)の網点をアブレーション層へFiberレーザー(波長1070nm)を使用して描画した(解像度2540dpi)。
アブレーション層ラミネート前の支持体上の感光性樹脂組成物層でゼロ点調整をした時の、描画後のベタ部の網点率(描画された面積率)が90%以上を◎、80%以上90%未満を○、それより小さいものを×として評価した。
なお、網点率は、D200−II透過濃度計のモード4(GretagMacbeth社製)を用いて測定した。
(e)洗浄性の評価
感光性樹脂構成体を、紫外線露光機「JE−A2−SS」(日本電子精機社製、商品名)を用いて、支持体側から60秒間露光した。
その後、前記(d)に従いアブレーション層の赤外線加工をし、前記露光機(照度10mW)で12分間露光した。
次に、界面活性剤として、炭素数12〜14の第二級アルコールのエチレンオキシド5モル付加物である「レオコールSC−80」(ライオン株式会社、商品名、HLB12.7)5質量部、浸透剤としてジブチルジエチレングリコール1質量部及び炭酸ナトリウム0.4質量部を含有する水系現像剤を用いて、40℃で平型洗浄機(ロボ電子製)により洗浄をした。洗浄時間1分で、アブレーション層の除去状況を確認した後、さらに19分間洗浄を行い、合計20分とした。
その後、60℃、15分間の乾燥を行い、ケミカルランプ及び殺菌灯を用いて、後露光処理を行った。
上述した洗浄過程により、アブレーション層が洗浄時間1分で均一に除去できたものを◎、通常洗浄時間(20分)で除去できたものを○、ムラが残り均一に除去できなかったものを×、として評価した。
(f)アブレーション層のカスの版面への再付着の評価
上記(e)に記載した工程により現像処理を行った後の、感光性樹脂層のパターン形成面に、アブレーション層のカス(長径100μm以上)が、10cm×10cmあたり5個以上付着しているものを×、付着数が5個未満のものを○として評価した。
(g)樹脂密着力の評価
後述する参考例1、実施例〜19、比較例3、4に対して樹脂密着力の評価を行った。
まず、11cm×16cmにカットした粘着防止フィルム付きの感光性樹脂積層体の粘着防止フィルムを除去した後、アブレーション層付きカバーフィルムを、アブレーション
層が感光性樹脂組成物層と密着するようにしてラミネートした。
その後、100℃に加熱したホットプレートにカバーフィルムが加熱面に接するように
して載せ、2kgの加重で2分間加熱した。
その後、2分間冷却し(冷却用プレス機に冷却水を循環させ、カバーフィルムが冷却面
に接するようにして載せ、加重2kgで2分間冷却)、評価用の感光性樹脂構成体を作製
した。
次に、上記11cm×16cmの評価用の感光性樹脂構成体から、2.54cm×10
cmの大きさに切り出した感光性樹脂構成体のカバーフィルムを剥離した後、アブレーシ
ョン層に粘着テープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)CT−15、幅15m
m)を互いが約5mm重なるように2列に貼り付け、その後、粘着テープをアブレーショ
ン層と感光性樹脂組成物層とが剥離する方向に剥がし、下記の基準により評価した。
感光性樹脂組成物層の破壊が起きたもの:◎
樹脂破壊は起きないが引っ張り強度が100g/inch以上のもの:○
樹脂破壊が起きず、なおかつ引っ張り強度が100g/inch未満のもの:×
なお、引っ張り試験は、粘着テープ側を180°の方向へ剥離し、Autograph
AGS−100G(島津製作所製)を使用し、クロスヘッドスピード50mm/min
で測定した。
(h)側鎖にエステル結合を有するポリマーのケン化度の測定
側鎖にエステル結合を有するポリマーのケン化度は、以下の方法で測定した。
先ず、試料を約1g採取し、三角フラスコに1mgの桁まで正しく量り採った。
そこに水100mLと、フェノールフタレイン溶液(フェノールフタレイン1gをエタノール90mLに溶解し、水で100mLにした溶液)を3滴加え、加熱攪拌しながら、90℃以上で試料を完全に溶解させた。
室温まで放冷後、0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液25.00mLをビュレットにて加え、十分に混合した後、室温で2時間以上保持した。
なお、推定ケン化度が70%未満のものに関しては、ケン化反応を促進させるため、水酸化ナトリウム溶液を加えた後に60℃で1時間以上攪拌し、その後、室温まで放冷し、2時間以上保持した。
次に、前記三角フラスコに、0.5mol/L硫酸15.00mLをビュレットにて加え、十分に混合した。
これを、規定液として0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液で微紅色になるまで滴定した。
空試験として、試料を加えないで上記の操作を行った。
上述した方法で得られた値を用い、下記の式に従い、ケン化度を算出した。
実際に使用した試料の量、算出したケン化度等は、下記表1に示す。
X1=((M2/1000)×(a−b)×f×D/(S×P/100))×100:(1)
X2=M1×X1/(n×M2−B×X1):(2)
H=100−X2 :(3)
X1:残存酢酸基に相当する酢酸量(%)
X2:残存酢酸基(mol%)
H:ケン化度(mol%)
a:規定液の使用量(mL)
b:空試験での規定液の使用量(mL)
f:規定液のファクター
D:規定液の濃度 S:試料の採取量(g)
P:試料の純分(%)(LW−200は39.7%、A50−Z5Nは49.7%、その他は99.0%)
M1:完全ケン化物の繰り返し単位当たりの分子量
M2:側鎖のエステル結合を加水分解することにより生じるカルボン酸の分子量
n:完全ケン化物の繰り返し単位当たりの官能基(水酸基)数
B:X1とX2との間に成立する下記の関係式から得られる数値
X1=(X2×M2×n/(M3×X2+M1×(100−X2)))×100:(4)
M3:完全エステル化物の繰り返し単位当たりの分子量
上記式(4)を変形すると次式となる。
X2=M1×X1/(n×M2−(M3−M1)/100×X1):(5)
式(2)、式(5)より、Bは以下の式で表される。
B=(M3−M1)/100
なお、実施例で用いた規定液である0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液のファクターfは、下記の方法により算出した。
定量分析用標準物質のアミド硫酸(関東化学社製 純度99.9質量%)を、約2.5g、コニカルビーカー200mLに0.1mgの桁まで正しく量り採り、水25mLを加えて溶解した後、指示薬としてブロモチモールブルー溶液3滴を加え、0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液で滴定した。終点は、液の色が黄色から青みの緑に変わる点とした。
f=m/(0.048545×V)×(A/100)
m:量り採った硫酸アミドの質量(2.5125g)
A:アミド硫酸の純度(99.9質量%)
V:滴定に要した0.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液の体積(52.65mL)
0.048545:0.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液1mLに相当するアミド硫酸の質量(g)
Figure 0005334996
上記表1中の、側鎖にエステル結合を有するポリマーを下記に示す。
GL−05:ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、商品名)
KM−11:ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、商品名)
KP−08R:ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、商品名)
LW−200:ポリビニルアルコール水溶液(日本合成化学工業株式会社製、商品名)
JMR−10L:ポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール株式会社製、商品名)
A50−Z5N:ポリ酢酸ビニルエタノール溶液(日本合成化学工業株式会社製、商品名)
L−20:酢酸セルロース(ダイセル化学工業株式会社製、商品名)
〔(2)支持体と感光性樹脂組成物層との積層体の製造方法〕
(2−1)支持体
(2−1−1)支持体A
ネオペンチルグリコール624g、エチレングリコール93g、セバシン酸485g、イソフタル酸382gを、空気雰囲気中、反応温度180℃、10mmHgの減圧下で、6時間縮合反応させた。
その後、87gのトリレンジイソシアネートを加えて、さらに80℃で5時間反応させ、ポリオールを得た。
このようにして得られたポリオールの数平均分子量をゲルパーメーションクロマトグラフィ法で測定したところ、ポリスチレン換算で約32000であった。
上記ポリオール:100質量部
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート:2質量部
トリメチロールプロパン(1モル)のトリレンジイソシアネート(3モル)付加物:17質量部
「バリファストイエロー」(オリエンタル化成製、商品名):5質量部
酢酸エチル:300質量部
これらを混合し、均一な溶液を得た。
次に、125μmの膜厚のPETフィルム「A4100」(東洋紡績株式会社製、商品名)上に、乾燥後の塗布量が10〜14g/mとなるように、ナイフコーターを用いて上記溶液を塗布した。
これを80℃で2分間乾燥させ、次に40℃雰囲気で3日間放置してウレタン系接着剤層を具備する支持体Aを得た。
(2−1−2)支持体B
「タフプレン912」(旭化成ケミカルズ製 商品名 スチレン含有量40質量%):100質量部
トリメチロールプロパン(1モル)トリレンジイソシアネート(3モル)付加物:4質量部
「バリファストイエロー」(オリエンタル化成製 商品名):5質量部
酢酸エチル:262.5質量部
テトラヒドロフラン:262.5質量部
酢酸セロソルブ:175質量部
これらを混合し、均一な溶液を得た。
次に、125μmの膜厚のPETフィルム「A4100」(東洋紡績株式会社製、商品名)上に、乾燥後の塗布量が10〜14g/mとなるように、ナイフコーターを用いて上記溶液を塗布した。
これを、80℃で2分間乾燥させ、熱可塑性エラストマーを含有する接着剤層を具備する支持体Bを得た。
(2−2)感光性樹脂組成物層
感光性樹脂組成物層形成用の材料として、後述する感光性樹脂組成物を作製した。
(2−2−1)感光性樹脂組成物B−1
攪拌装置と温度調整用ジャケットとを取り付けた耐圧反応容器に、水125質量部、及び乳化剤(α−スルフォ(1−ノニルフェノキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)のアンモニウム塩「アデカリアソープ」(旭電化工業製、商品名)3質量部を初期仕込みとした。
前記耐熱反応容器の内温を、重合温度80℃まで昇温後、アクリル酸2質量部、メタクリル酸5質量部、ブタジエン60質量部、スチレン10質量部、ブチルアクリレート23質量部、t−ドデシルメルカプタン2質量部からなる油性混合液と、水28質量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム1.2質量部、乳化剤アデカリアソープ1質量部からなる水溶液をそれぞれ一定流速で5時間、及び6時間かけて添加した。
その後、1時間保って重合を完了した後、冷却し、ラテックスを得た。
上述のようにして生成したラテックスを、水酸化ナトリウムでpH7に調製した後、スチームストリッピングで未反応物を除去し、最終的に固形分濃度40%で親水性重合体水溶液を得た。
これを60℃で乾燥し、ポリマー成分としての親水性共重合体を得た。
得られた親水性共重合体:30質量部
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体「KX−405」(KRATON製、商品名):25質量部
可塑剤として液状ポリブタジエン「LIR305」(株式会社クラレ製、商品名、ビニル含有量8mol%、30℃での粘度40Pa・s):30質量部
重合性モノマーとしてヘキサメチレンジメタクリレート:2質量部
2−ブチル−2−エチルプロパンジオールジアクリレート:8質量部
光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン:2質量部
重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール:0.3質量部
上記材料を、130℃のニーダーを用いて均一に混練して、感光性樹脂組成物B−1を得た。
(2−2−2)感光性樹脂組成物B−2
ブタジエン:60質量部
メチルアクリレート:9質量部
燐酸エチレンメタクリレート:20質量部
スチレン:10質量部
ジビニルベンゼン:1質量部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:4質量部
過硫酸カリウム:0.3質量部
t−ドデシルメルカプタン:0.4質量部
水:200質量部
上記材料を、内容量10リットルのオートクレーブ中で混合し、50℃で重合を行い、重合転化率が95%に達した時点で停止剤を転化して反応を停止し、水冷してエマルジョンを得た。
このエマルジョンを凍結凝固し、クラムを分離し、水洗を行った後、60℃で真空乾燥してポリマー成分としての親水性共重合体を得た。
上述のようにして得られた親水性共重合体:65質量部
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体「KT−65」(シェル化学社製、商標名「カリフレックスTR」):35質量部
可塑剤として液状ポリブタジエン「B−1000」(日本曹達社製、商標名「ニッソーPB」):50質量部
重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT):2質量部
上記材料をニーダーにより150℃で混練し、均一に混練された段階で、
重合性モノマーとして1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:10質量部
1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート:5質量部
光重合開始剤としてベンゾインメチルエーテル:1質量部
重合禁止剤としてメチルハイドロキノン:0.02質量部
を添加して、さらに混練を行い、感光性樹脂組成物B−2を得た。
(2−2−3)感光性樹脂組成物B−3
ヘキサメチレンジイソシアネート:21.8質量部
ジメチロールプロピオン酸:15.4質量部
ポリテトラメチレングリコール(PG−100日本ポリウレタン工業(株)製):7.6質量部
ジラウリン酸ジ−n−ブチルスズ:1.0質量部
を、テトラヒドロフラン300質量部に溶解した溶液を、撹拌機の付いた1Lフラスコに入れ、撹拌を続けながらフラスコを65℃に加熱し、3時間反応を行った。
上記1Lフラスコとは別の容器で、末端アミノ基含有アクリロニトリル・ブタジエンオリゴマー(Hycar ATBNX 1300×16 宇部興産(株)製):55.3質量部を、メチルエチルケトン100質量部に溶解して調製した溶液を、上記の1Lフラスコ内に室温下で撹拌しながら添加し、ポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液を減圧乾燥してテトラヒドロフラン、メチルエチルケトンを除去し、数平均分子量が21,000のポリマーを得た。
次に、前記ポリマー100質量部を、メチルエチルケトン100質量部に溶解した溶液に、水酸化リチウム4.8質量部をメチルアルコール100質量部に溶解した溶液を、室温下で撹拌しながら添加し、さらに30分間撹拌することによってポリマー成分としての親水性共重合体を得た。
上記親水性共重合体:10質量部
疎水性ポリマーとして塩素化ポリエチレン(「H−135」、大阪曹達(株)製):45質量部
スチレン・ブタジエンゴム(「SBR1507」、日本合成ゴム(株)製):15質量部
重合性モノマーとしてブタジエンオリゴアクリレート(「PB−A」、共栄社油脂(株)):28.5質量部
光重合開始剤としてベンジルジメチルケタノール(「イルガキュア651」、チバガイギー(株)製):1質量部
重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル:0.5質量部
を、トルエン40質量部、水10質量部に溶解、分散させ、加熱ニーダーを用いて105℃で混練し、感光性樹脂組成物B−3を得た。
(2−2−4)感光性樹脂組成物B−4
水:100質量部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:0.2質量部
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル:3質量部
過硫酸カリ:0.3質量部
t−ドデシルメルカプタン:0.2質量部
メチルメタクリレート:29質量部
メタクリル酸:1質量部
ブタジエン:70質量部
を、混合し、50℃で20時間反応させ、数平均粒子径140nm、ガラス転移温度−52℃、固形分濃度50.5%の水分散ラテックスゴム(a)を得た。
水:65質量部
不均化ロジン酸カリウム:1.3質量部
オレイン酸カリウム:1.7質量部
アルキルスルホン酸ナトリウム:1.5質量部
t−ドデシルメルカプタン:0.05質量部
パラメンタンヒドロペルオキシド:0.1質量部
硫酸鉄:0.003質量部
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩:0.006質量部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート:0.005質量部
硫酸カリウム:1.2質量部
ブタジエン:100質量部
を使用し、重合温度5℃の低温重合により反応させ、数平均粒子径350nm、固形分濃度55%の水分散ラテックスゴム(b)を得た。
重合転換率は約60%であった。
まず、水分散ラテックスゴム(a):33.6質量部(固形分として17質量部)、
水分散ラテックスゴム(b):14.5質量部(固形分として8質量部)、
フェノキシポリエチレングリコールアクリレート:16質量部、
グリセリンポリエーテルポリオールと無水コハク酸と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの重縮合物:14質量部
を、予め混合して、120℃に加熱した乾燥機で2時間水分を蒸発させて、成分(c)を得た。
一方、可塑剤としてポリブタジエンゴム:20質量部(日本ゼオン社製“Nipol”1220L)、
疎水性ポリマーとしてニトリルゴム:20質量部(日本ゼオン社製“Nipol”1042)、
を、140℃に加熱した200mLの容量を持つラボニーダーミル((株)トーシン社製)で10分間混練した。
その後、上述のようにして作製した成分(c)を、前記ラボニーダーミル中に投入し、10分間混練した。
さらに、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール:1質量部
可塑剤としてジオクチルフタレート:2質量部
重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル:0.1質量部を投入して、5分間混練し、感光性樹脂組成物B−4を得た。
(2−3)支持体と感光性樹脂組成物層との積層体
(2−3−1)積層体1
板状感光性樹脂版EF(旭化成ケミカルズ製 商標名AWP)の感光性樹脂組成物を、120℃の熱プレス機を使用して、上記支持体Aと粘着防止フィルム(シリコン系剥離材が塗布されたPETフィルム)との間に投入し、加熱プレスして、1.14mmの厚さに成形し、支持体と感光性樹脂組成物層と粘着フィルムとの積層体1を得た。
(2−3−2)積層体2
板状感光性樹脂版SH(旭化成ケミカルズ製 商標名AFP)の感光性樹脂組成物を、120℃の熱プレス機を使用して、上記支持体Bと粘着防止フィルム(シリコン系剥離剤が塗布されたPETフィルム)との間に投入し、加熱プレスして、1.14mmの厚さに成形し、支持体と感光性樹脂組成物層と粘着防止フィルムとの積層体2を得た。
(2−3−3)積層体3
上述のようにして作製した感光性樹脂組成物(B−1)を、120℃の熱プレス機を使用して、上記支持体Aと、粘着防止フィルム(シリコン系剥離剤が塗布されたPETフィルム)との間に投入し、加熱プレスして1.14mmの厚さに成形し、支持体と感光性樹脂組成物層と粘着防止フィルムとの積層体3を得た。
(2−3−4)積層体4
上述のようにして作製した感光性樹脂組成物(B−2)を、120℃の熱プレス機を使用して、上記支持体Aと、粘着防止フィルム(シリコン系剥離剤が塗布されたPETフィルム)との間に投入し、加熱プレスして1.14mmの厚さに成形し、支持体と感光性樹脂組成物層と、粘着防止フィルムとの積層体4を得た。
(2−3−5)積層体5
上述のようにして作製した感光性樹脂組成物(B−3)を、120℃の熱プレス機を使用して、上記支持体Aと、粘着防止フィルム(シリコン系剥離剤が塗布されたPETフィルム)との間に投入し、加熱プレスして1.14mmの厚さに成形し、支持体と感光性樹脂組成物層と粘着防止フィルムとの積層体5を得た。
(2−3−6)積層体6
上述のようにして作製した感光性樹脂組成物(B−4)を、120℃の熱プレス機を使用して、上記支持体Aと、粘着防止フィルム(シリコン系剥離剤が塗布されたPETフィルム)との間に投入し、加熱プレスして1.14mmの厚さに成形し、支持体と感光性樹脂組成物層と粘着防止フィルムとの積層体6を得た。
〔実施例1〕
アニオン性極性官能基としてカルボン酸基を有するアニオン性ポリマーであるエチレン−アクリル酸共重合体「SG−2000」(株式会社鉛市製、商品名、20質量%水溶液、吸水率1.2%、カルボン酸含有量14質量%)10質量部、カーボンブラック「BONJET CW−2」(オリエント化学工業株式会社製、商品名、20質量%水溶液)5質量部、離型剤「KF−351」(信越化学工業株式会社製、商品名)0.05質量部、水30質量部、エタノール15質量部を混合し、アブレーション層形成用の塗工溶液を得た。
このアブレーション層形成用の塗工溶液を、カバーフィルムとなる約100μmの厚さのPETフィルム上に、乾燥後の膜厚が3μmとなるようにコーティングし、90℃で2分間の乾燥処理を施して、アブレーション層とカバーフィルムとの積層体を得た。
続いて、上記(2−3−1)で作製した積層体1の粘着防止フィルムを剥離した。
その後、上記で得られたアブレーション層とカバーフィルムとの積層体に、アブレーション層が感光性樹脂層に接するようにしてラミネートし、評価用の感光性樹脂構成体を作製した。
なお、上記(c)耐吸湿シワ評価用、上記(d)赤外線加工性評価用には室温で、また上記(e)洗浄性の評価用、上記(f)アブレーション層のカスの版面への再付着の評価用には150℃にてラミネートして、それぞれ、評価用の感光性樹脂構成体を作製した。
このようにして得られた感光性樹脂構成体に対する上記(c)〜(f)の各評価結果を下記表2に示した。
表2から明らかなように、実施例1においては、アブレーション層に、アニオン性ポリマーを含有させているため、アブレーション層は吸湿によるシワの発生が無く、赤外線による加工性が良好であり、また、水系処理液で現像可能であり、アブレーション層のカスの再付着はほとんど皆無であり、実用上きわめて良好な評価が得られた。
〔実施例2〕
アニオン性ポリマーであるエチレン−アクリル酸共重合体「SG−2000」(株式会社鉛市製、商品名、20質量%水溶液、吸水率1.2%、カルボン酸含有量14質量%)10質量部、カーボンブラック「BONJET CW−2」(オリエント化学工業株式会社製、商品名、20質量%水溶液)5質量部、スミカフレックス「900HL」(エチレン−酢酸ビニル共重合体、住化テムテックス株式会社製、商品名)0.5質量部、離型剤「KF−351」(信越化学工業株式会社製、商品名)0.1質量部、水30質量部、エタノール15質量部を混合し、アブレーション層形成用の塗工溶液を得た。
このアブレーション層形成用の塗工溶液を、カバーフィルムとなる約100μmの厚さのPETフィルム上に、乾燥後の膜厚が3μmとなるようにコーティングし、乾燥処理を施して、アブレーション層とカバーフィルムとの積層体を得た。
このようにして作製したアブレーション層とカバーフィルムとの積層体を、上記実施例1と同様の方法により、上記(2−3−1)で作製した積層体1にラミネートし、評価用の感光性樹脂構成体を作製した。
このようにして得られた感光性樹脂構成体に対する上記(c)〜(f)の各評価結果を下記表2に示した。
下記表2から明らかなように、実施例2においては、アブレーション層に、アニオン性ポリマーが含有されているため、アブレーション層は吸湿によるシワの発生が無く、赤外線による加工性が良好であり、また、水系処理液で現像可能であり、アブレーション層のカスの再付着はほとんど皆無であり、実用上きわめて良好な評価が得られた。
〔実施例3〕
アニオン性極性官能基としてカルボン酸基を有するアニオン性ポリマーであるエチレン−アクリル酸共重合体「ニュクレルN5130H」(三井・デュポンポリケミカル株式会社製、商品名、25質量%水溶液、吸水率1.5%、カルボン酸含有量20質量%(メーカー測定値))8質量部、カーボンブラック「BONJET CW−2」(オリエント化学工業株式会社製、商品名、20質量%水溶液)5質量部、離型剤「KF−351」(信越化学工業株式会社製、商品名)0.05質量部、水30質量部、エタノール15質量部を混合し、アブレーション層形成用の塗工溶液を得た。
このアブレーション層形成用の塗工溶液を、カバーフィルム用の約100μmの厚さのPETフィルム上に、乾燥後の膜厚が3μmとなるようにコーティングし、乾燥処理を施して、アブレーション層とカバーフィルムとの積層体を得た。
このようにして作製したアブレーション層とカバーフィルムとの積層体を、上記実施例1と同様の方法により、上記(2−3−1)で作製した積層体1にラミネートし、評価用の感光性樹脂構成体を作製した。
このようにして得られた感光性樹脂構成体に対する上記(c)〜(f)の各評価結果を下記表2に示した。
下記表2から明らかなように、実施例3においては、アブレーション層に、アニオン性ポリマーが含有されているため、アブレーション層は吸湿によるシワの発生が無く、赤外線による加工性が良好であり、また、水系処理液で現像可能であり、アブレーション層のカスの再付着はほとんど皆無であり、実用上きわめて良好な評価が得られた。
〔実施例4〕
アニオン性ポリマーであるエチレン−アクリル酸共重合体「SG−2000」(株式会社鉛市製、商品名、20質量%水溶液、吸水率1.2%、カルボン酸含有量14質量%)8質量部、ポリビニルアルコール「GL−05」(日本合成化学工業株式会社製、商品名、ケン化度87.4%、粘度4.8〜5.8mPa・s、10質量%水溶液)4質量部、カーボンブラック「BONJET CW−2」(オリエント化学工業株式会社製、商品名、20質量%水溶液)5質量部、離型剤「KF−351」(信越化学工業株式会社製、商品名)0.05質量部、水30質量部、エタノール15質量部を混合し、アブレーション層形成用の塗工溶液を得た。
このアブレーション層形成用の塗工溶液を、カバーフィルム用の約100μmの厚さのPETフィルム上に、乾燥後の膜厚が3μmとなるようにコーティングし、乾燥処理を施して、アブレーション層とカバーフィルムとの積層体を得た。
このようにして作製したアブレーション層とカバーフィルムとの積層体を、上記実施例1と同様の方法により上記(2−3−1)で作製した積層体1にラミネートし、評価用の感光性樹脂構成体を作製した。
このようにして得られた感光性樹脂構成体に対する上記(c)〜(f)の各評価結果を下記表2に示した。
表2から明らかなように、実施例4においては、アブレーション層に、アニオン性ポリマーが含有されているため、アブレーション層は吸湿によるシワの発生が無く、赤外線による加工性が良好であり、また、水系処理液で現像可能であり、アブレーション層のカスの再付着はほとんど皆無であり、実用上きわめて良好な評価が得られた。
〔実施例5〕
アニオン性極性官能基としてカルボン酸基を有するアニオン性ポリマーであるエチレン−メタクリル酸共重合体「ニュクレルN2060」(三井・デュポンポリケミカル株式会社製、商品名、27質量%水溶液、吸水率1.5%、カルボン酸含有量20質量%(メーカー測定値))7質量部、ポリビニルアルコール「GL−05」(日本合成化学工業株式会社製、商品名、ケン化度87.4%、粘度4.8〜5.8mPa・s、10質量%水溶液)1質量部、カーボンブラック「BONJET CW−2」(オリエント化学工業株式会社製、商品名、20質量%水溶液)5質量部、離型剤「KF−351」(信越化学工業株式会社製、商品名)0.05質量部、水30質量部、エタノール15質量部を混合し、アブレーション層形成用の塗工溶液を得た。
このアブレーション層形成用の塗工溶液を、カバーフィルム用の約100μmの厚さのPETフィルム上に、乾燥後の膜厚が3μmとなるようにコーティングし、乾燥処理を施して、アブレーション層とカバーフィルムとの積層体を得た。
このようにして作製したアブレーション層とカバーフィルムとの積層体を、上記実施例1と同様の方法により上記(2−3−1)で作製した積層体1にラミネートし、評価用の感光性樹脂構成体を作製した。
このようにして得られた感光性樹脂構成体に対する上記(c)〜(f)の各評価結果を下記表2に示した。
表2から明らかなように、実施例5においては、アブレーション層に、アニオン性ポリマーが含有されているため、アブレーション層は吸湿によるシワの発生が無く、赤外線による加工性が良好であり、また、水系処理液で現像可能であり、アブレーション層のカスの再付着はほとんど皆無であり、実用上きわめて良好な評価が得られた。
〔実施例6〕
上記(2−3−2)で作製した積層体2の粘着防止フィルムを剥離した。
その後、実施例2に記載された方法と同様の方法で得られたアブレーション層とカバーフィルムとの積層体に、アブレーション層が感光性樹脂層に接触させてラミネートし、評価用の感光性樹脂構成体を作製した。
なお、耐吸湿シワ評価用、活性光線加工性評価用には室温で、また洗浄性評価用には150℃にてラミネートして、それぞれ、評価用の感光性樹脂構成体を作製した。
このようにして得られた感光性樹脂構成体に対する上記(c)〜(f)の各評価結果を下記表2に示した。
表2から明らかなように、実施例6においては、アブレーション層に、アニオン性ポリマーが含有されているため、アブレーション層は吸湿によるシワの発生が無く、赤外線による加工性が良好であり、また、溶剤系処理液で現像可能であり、アブレーション層のカスの再付着はほとんど皆無であり、実用上きわめて良好な評価が得られた。
〔比較例1〕
ポリビニルアルコール「GL−05」(日本合成化学工業株式会社製、商品名、ケン化度87.4%、粘度4.8〜5.8mPa・s(測定方法JIS K6726)、10質量%水溶液)20質量部、カーボンブラック「BONJET CW−2」(オリエント化学工業株式会社製、商品名、20質量%水溶液)5質量部、離型剤「KF−351」(信越化学工業株式会社製、商品名)0.05質量部、水20質量部、エタノール15質量部を混合し、アブレーション層形成用の塗工溶液を得た。
このアブレーション層形成用の塗工溶液を、カバーフィルム用の約100μmの厚さのPETフィルム上に、乾燥後の膜厚が3μmとなるようにコーティングし、乾燥処理を施して、アブレーション層とカバーフィルムとの積層体を得た。
このようにして作製したアブレーション層とカバーフィルムとの積層体を、上記実施例1と同様の方法により上記(2−3−1)で作製した積層体1にラミネートし、評価用の感光性樹脂構成体を作製した。
このようにして得られた感光性樹脂構成体に対する上記(c)〜(f)の各評価結果を下記表2に示した。
表2から明らかなように、比較例1においては、赤外線に対する加工性は確保されているが、アブレーション層にアニオン性ポリマーに替えてポリビニルアルコールを用いたため、吸湿によるシワの発生があった。一方において、水系処理液での現像が可能であり、アブレーション層のカスの再付着はほとんど皆無であり、かかる点においては良好な評価が得られた。
〔比較例2〕
スチレン−ブタジエン−スチレン共重合ポリマー「タフプレンA」(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名、スチレン含有量40質量%)5質量部、カーボンブラック「#30」(三井化学製、粒子径30nm)5質量部をニーダーで混練し、トルエン/酢酸エチル=1/9の混合溶液に溶解、分散させて、5質量%の均一な液を調合し、アブレーション層形成用の塗工溶液を得た。
このアブレーション層形成用の塗工溶液を、カバーフィルム用の約100μmの厚さのPETフィルム上に、乾燥後の膜厚が3μmとなるようにコーティングし、乾燥処理を施して、アブレーション層とカバーフィルムとの積層体を得た。
このようにして作製したアブレーション層とカバーフィルムとの積層体を、上記実施例1と同様の方法により上記(2−3−1)で作製した積層体1にラミネートし、評価用の感光性樹脂構成体を作製した。
このようにして得られた感光性樹脂構成体に対する上記(c)〜(f)の各評価結果を下記表2に示した。
表2から明らかなように、比較例2においては、アブレーション層は吸湿によるシワの発生が無く、赤外線に対する加工性は確保されていた。また、水系処理液による現像は可能であったが、アブレーション層にアニオン性ポリマーに替えてスチレン−ブタジエン−スチレン共重合ポリマーを用いたため、アブレーション層のカスの版面に対する再付着が防止できなかった。
Figure 0005334996
参考例1
アニオン性ポリマーであるエチレン−アクリル酸共重合体「SG−2000」(株式会
社鉛市製、商品名、20質量%水溶液、吸水率1.2%、カルボン酸含有量14質量%)
:8質量部
側鎖にエステル結合を有するポリマーとして、ポリビニルアルコール「GL−05」(
日本合成化学工業株式会社製、商品名、ケン化度87.4%、粘度4.8〜5.8mPa
・sの5質量%水溶液:8質量部
カーボンブラック「BONJET CW−2」(オリエント化学工業株式会社製、商品
名、20質量%水溶液):7.5質量部
接着力調整剤としてスミカフレックス「900HL」(エチレン−酢酸ビニル共重合体
、住化テムテックス株式会社製、商品名):0.3質量部
離型剤「KF−351」(信越化学工業株式会社製、商品名):0.05質量部
水:20質量部
エタノール:15質量部
を混合し、アブレーション層形成用の塗工溶液を得た。
このようにして得られたアブレーション層形成用の塗工溶液を、カバーフィルムとなる
約100μmの厚さのPETフィルム上に、乾燥後の膜厚が3μmとなるようにコーティ
ングし、乾燥処理を施して、アブレーション層が形成されたカバーフィルム(カバーフィ
ルムとアブレーション層との積層体)を作製した。
上記(2−1−1)で作製した支持体Aと、上記(2−3−3)で作製した積層体3とから、粘着防止フィルムを除去した後、上記で得られたカバーフィルムとアブレーション層との積層体とを、アブレーション層が感光性樹脂組成物層に接するようにラミネートし、評価用の感光性樹脂構成体を作製した。
なお、上記(c)耐吸湿シワ評価用、(d)赤外線加工性評価用には室温で、また(e)洗浄性評価用、(f)アブレーション層のカスの版面への再付着の評価用には、150℃にてラミネートして、それぞれ、評価用の感光性樹脂構成体を作製した。
また、上記(g)の樹脂密着力の評価については、下記のようにして評価用の感光性樹脂構成体を作製した。
11cm×16cmにカットした粘着防止フィルム付きの感光性樹脂積層体の粘着防止フィルムを除去した後、アブレーション層付きカバーフィルムを、アブレーション層が感光性樹脂と密着するようにしてラミネートした。その後、100℃に加熱したホットプレートにカバーフィルムが加熱面に接するようにして載せ、2kgの加重で2分間加熱した。その後、2分間冷却し(冷却用プレス機に冷却水を循環させ、カバーフィルムが冷却面に接するようにして載せ、加重2kgで2分間冷却)、評価用の感光性樹脂構成体を作製した。
このようにして得られた参考例1の感光性樹脂構成体に対する上記(c)〜(g)の各評価結果を下記表3に示した。
〔実施例8〕
アブレーション層形成用の塗工溶液の作製において、ポリビニルアルコール「GL−0
5」の5質量%水溶液:8質量部に替えて、側鎖にエステル結合を有するポリマーとして
ポリビニルアルコール「KM−11」(日本合成化学工業株式会社製、商品名、ケン化度
79.2%、粘度11.7〜14.3mPa・s)の5質量%水溶液:8質量部を使用し
た。
その他の条件は、上記〔参考例1〕と同様にして感光性樹脂構成体を作製し、評価を行った。
〔実施例9〕
アブレーション層形成用の塗工溶液の作製において、ポリビニルアルコール「GL−0
5」の5質量%水溶液:8質量部に替えて、側鎖にエステル結合を有するポリマーとして
ポリビニルアルコール「KP−08R」(日本合成化学工業株式会社製、商品名、ケン化
度73.3%、粘度6〜8mPa・s)の5質量%水溶液:8質量部を使用した。
その他の条件は、上記〔参考例1〕と同様にして感光性樹脂構成体を作製し、評価を行った。
〔実施例10〕
アブレーション層形成用の塗工溶液の作製において、ポリビニルアルコール「GL−0
5」の5質量%水溶液に替えて、側鎖にエステル結合を有するポリマーとしてポリビニル
アルコール水溶液「LW−200」(日本合成化学工業株式会社製、商品名、ケン化度4
8.5%、粘度500〜2000mPa・s、ポリマー濃度39.7質量%の水溶液)を
1質量部使用した。
その他の条件は、上記〔参考例1〕と同様にして感光性樹脂構成体を作製し、評価を行った。
〔実施例11〕
アブレーション層形成用の塗工溶液の作製において、ポリビニルアルコール「GL−0
5」の5質量%水溶液:8質量部に替えて、側鎖にエステル結合を有するポリマーとして
ポリビニルアルコール「JMR−10L」(日本酢ビ・ポバール株式会社製、商品名、ケ
ン化度36.3%)の5質量%水溶液:8質量部を使用した。
その他の条件は、上記〔参考例1〕と同様にして感光性樹脂構成体を作製し、評価を行った。
〔実施例12〕
アブレーション層形成用の塗工溶液の作製において、接着力調整剤であるスミカフレックス「900HL」(エチレン−酢酸ビニル共重合体、住化テムテックス株式会社製、商品名)を添加しなかった。
その他の条件は、上記〔実施例8〕と同様にして感光性樹脂構成体を作製し、評価を行った。
〔実施例13〕
アブレーション層形成用の塗工溶液の作製において、アニオン性ポリマーであるエチレン−アクリル酸共重合体「SG−2000」:8質量部に替えて、アニオン性ポリマーであるエチレン−アクリル酸共重合体を「プリマコール5990I」(ダウケミカル日本株式会社製 商品名、20質量%水溶液、吸水率1.6%、カルボン酸含有量20質量%):8.5質量部を使用し、また、接着力調整剤であるスミカフレックス「900HL」を添加しなかった。
その他の条件は、上記〔実施例9〕と同様にして感光性樹脂構成体を作製し、評価を行った。
〔実施例14〕
支持体と感光性樹脂組成物層と粘着防止フィルムとの積層体として積層体4を使用した。
その他の条件は、上記〔実施例8〕と同様にして感光性樹脂構成体を作製し、評価を行った。
〔実施例15〕
支持体と感光性樹脂組成物層と粘着防止フィルムとの積層体として積層体5を使用した。
その他の条件は、上記〔実施例8〕と同様にして感光性樹脂構成体を作製し、評価を行った。
〔実施例16〕
支持体と感光性樹脂組成物層と粘着防止フィルムとの積層体として積層体6を使用した。
その他の条件は、上記〔実施例8〕と同様にして感光性樹脂構成体を作製し、評価を行った。
〔実施例17〕
アニオン性極性官能基としてフェノール性水酸基を有するアニオン性ポリマーとして、
フェノール−ホルムアルデヒドの付加縮合体(レゾール)「PR−50607B」(住友
ベークライト株式会社、商標名「スミライトレジン」、70質量%水溶液、吸水率0%、
フェノール性水酸基含有量14質量%):2.6質量部
側鎖にエステル結合を含有するポリマーとして、ポリ酢酸ビニル「A50−Z5N」(
日本合成化学工業株式会社製、商標名「ゴーセニール」、ケン化度0.2%、49.7質
量%エタノール溶液):0.8質量部
カーボンブラック「TB−8100 BLACK」(東洋インキ製造株式会社製、商品名
、12.5質量%溶液):12質量部
離型剤「KF−351」(信越化学工業株式会社製、商品名):0.05質量部
テトラヒドロフラン:15質量部
酢酸エチル:7質量部
酢酸セロソルブ:3質量部
を、混合し、アブレーション層形成用の塗工溶液を得た。
このようにして得られたアブレーション層形成用の塗工液を、カバーフィルムとなる約
100μmの厚さの離型PETフィルム「MRV100」(三菱樹脂株式会社製、商標名
「ダイアホイル」(DIAFOIL))の離型処理面に、乾燥後の厚さが3μmとなるよ
うにコーティングし、100℃で3分間加熱処理を施して、アブレーション層とカバーフ
ィルムの積層体を得た。
その他の条件は、上記〔参考例1〕と同様にして感光性樹脂構成体を作製し、評価を行った。
なお、ポリ酢酸ビニル「A50−Z5N」のケン化度の測定には、完全に均一な溶液とす
るために、試料を約1g採取し、三角フラスコに1mgの桁まで正しく量り採った後、そ
こに水100mLと、フェノールフタレイン溶液(フェノールフタレイン1gをエタノー
ル90mLに溶解し、水で100mLにした溶液)を3滴加え、加熱攪拌しながら、90
℃以上で試料を完全に溶解させる操作に替えて、試料約2gを採取し三角フラスコに1m
gの桁まで正しく量り採った後、エタノール25mL、水25mL、テトラヒドロフラン
10mL、フェノールフタレイン溶液を加えて、攪拌しながら、試料を完全に溶解させる
操作を行った。それ以降は、上述の方法(h)と同様にして測定を行った。
〔実施例18〕
ポリ酢酸ビニル「A50−Z5N」に代えて、側鎖にエステル結合を有するポリマーとして酢酸セルロース「L−20」(ダイセル化学工業株式会社製、ケン化度21.8%)0.4質量部を使用した。
その他の条件は、上記〔実施例17〕と同様にして感光性樹脂構成体を作製し、評価を行った。
酢酸セルロース「L−20」のケン化度の測定は、完全に均一な溶液とするために、試料を約1g採取し、三角フラスコに1mgの桁まで正しく量り採った後、そこに水100mLと、フェノールフタレイン溶液(フェノールフタレイン1gをエタノール90mLに溶解し、水で100mLにした溶液)を3滴加え、加熱攪拌しながら、90℃以上で試料を完全に溶解させ、室温まで放冷後、0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液25.00mLをビュレットにて加え、十分に混合した後、室温で2時間以上保持する操作に替えて、試料を約1g採取し、三角フラスコに1mgの桁まで正しく量り採った後、THF50mLとフェノールフタレイン溶液3滴を加えて、室温で攪拌しながら、完全に溶解させ、0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液25.00mLをビュレットにて加え、さらに水を40mL加えて十分に攪拌した後、室温で2時間以上保持する操作を行った。それ以降は、上述の方法(h)と同様にして測定を行った。
〔実施例19〕
アニオン性極性官能基としてスルホン酸基を有するアニオン性ポリマーである、イソプ
レン−イソプレンスルホン酸共重合体「CS1201」(JSR株式会社製、商標名「D
YNAFLOW」、15質量%水溶液、吸水率15%、スルホン酸含有量23質量%):
12質量部
カーボンブラック「BONJET CW−2」(オリエント化学工業株式会社製、商品
名、20質量%水溶液):7.5質量部
離型剤「KF−351」(信越化学工業株式会社製、商品名):0.05質量部
水:20質量部
エタノール:12質量部
を混合し、アブレーション層形成用の塗工溶液を得た。
その他の条件は、上記〔参考例1〕と同様にして感光性樹脂積層体を作製し、評価を行った。
〔比較例3〕
スチレン−ブタジエン−スチレン共重合ポリマー「タフプレンA」(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名、スチレン含有量40質量%):5質量部
カーボンブラック「#30」(三井化学製、粒子径30nm):5質量部
これらを、ニーダーで混練し、トルエン/酢酸エチル=1/9の混合溶液に溶解、分散させて、5質量%の均一な液を調合し、アブレーション層形成用の塗工溶液を得た。
上記のようにして得られたアブレーション層形成用の塗工溶液を、カバーフィルム用の約100μmの厚さのPETフィルム上に、乾燥後の膜厚が3μmとなるようにコーティングし、乾燥処理を施して、アブレーション層が形成されたカバーフィルム、すなわちカバーフィルムとアブレーション層の積層体を作製した。
このカバーフィルムとアブレーション層の積層体を、上記(2−3−1)で作製した積層体1の粘着防止フィルムを除去し、感光性樹脂層とアブレーション層とが接するようにラミネートし、評価用の感光性樹脂構成体を作製した。
〔比較例4〕
側鎖にエステル結合を有するポリマーとして、ポリビニルアルコール「GL−05」(日本合成化学工業株式会社製、商品名、ケン化度87.4%、粘度4.8〜5.8mPa・sの10質量%水溶液:20質量部
カーボンブラック「BONJET CW−2」(オリエント化学工業株式会社製、商品名、20質量%水溶液):5質量部
離型剤「KF−351」(信越化学工業株式会社製、商品名):0.05質量部
水:20質量部
エタノール:15質量部
を、混合し、アブレーション層形成用の塗工溶液を得た。
このようにして得られたアブレーション層形成用の塗工溶液を、カバーフィルムとなる約100μmの厚さのPETフィルム状に、乾燥後の膜厚が、3μmとなるようにコーティングし、乾燥処理を施して、アブレーション層が形成されたカバーフィルム(カバーフィルムとアブレーション層との積層体)を作製した。
このカバーフィルムとアブレーション層との積層体を、上記(2−3−1)で作製した積層体1の粘着防止フィルムを除去し、感光性樹脂層とアブレーション層とが接するようにラミネートし、評価用の感光性樹脂構成体を作製した。
このようにして作製した参考例1、実施例〜19及び比較例3、4で得られた感光性樹脂構成体に対し、上記(c)〜(g)の各評価を行い、評価結果を下記表3に示した。
Figure 0005334996
表3中に示す記号は、下記の材料を示す。
SG−2000:エチレン−アクリル酸共重合体
プリマコール5990I:エチレン−アクリル酸共重合体
PR−50607B:フェノール−ホルムアルデヒドの付加縮合体
CS1201:イソプレン−イソプレンスルホン酸共重合体
タフプレンA:スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体
GL−05:ポリビニルアルコール
(日本合成化学工業株式会社製、ケン化度87.4%)
KM−11:ポリビニルアルコール
(日本合成化学工業株式会社製、ケン化度79.2%)
KP−08R:ポリビニルアルコール
(日本合成化学工業株式会社製、ケン化度73.3%)
LW−200:ポリビニルアルコール水溶液
(日本合成化学工業株式会社製、ケン化度48.5%、ポリマー濃度39.6%の水溶液)
JMR−10L:ポリビニルアルコール
(日本酢ビ・ポバール株式会社製、ケン化度36.3%)
A50−Z5N:ポリ酢酸ビニル
(日本合成化学工業株式会社製、ケン化度0.2%、49.7質量%エタノール溶液)
L−20:酢酸セルロース
(ダイセル化学工業株式会社製、ケン化度21.8%)
上記表3から明らかなように、実施例〜19においては、アブレーション層に、アニオン性ポリマーと、側鎖にエステル結合を有し、ケン化度が0%以上80%以下であるポリマーとを含有させているため、アブレーション層は吸湿によるシワの発生が無く、実用上十分に感光性樹脂組成物層とアブレーション層との密着性が高く、赤外線による加工性が良好であり、また、水系処理液で現像可能であり、アブレーション層のカスの再付着はほとんど皆無であり、実用上きわめて良好な評価が得られた。
一方、比較例3においては、アブレーション層は吸湿によるシワの発生が無く、赤外線
に対する加工性は確保されていた。また、水系処理液による現像は可能であったが、アブ
レーション層にアニオン性ポリマーに替えてスチレン−ブタジエン−スチレン共重合ポリ
マーを用いたため、アブレーション層のカスの版面に対する再付着が防止できなかった。
比較例4においては、アブレーション層にアニオン性ポリマーを含有させなかったため
、吸湿シワが発生し、また十分な樹脂密着力が得られなかった。
本出願は、2008年12月18日に日本国特許庁へ出願された、日本特許出願(特願2008−321945)、2009年11月18日に日本国特許庁に出願された、日本特許出願(特願2009−263241)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明のアブレーション層は、凸版印刷用感光性樹脂の用途に適し、フィルム・ラベル・カートン等の一般商業印刷分野において、産業上の利用可能性がある。

Claims (6)

  1. 赤外線により加工可能な層であり、アニオン性ポリマーを含有し、側鎖にエステル結合を有し、ケン化度が0%以上80%以下であるポリマーを、さらに含有する凸版印刷用感光性樹脂用のアブレーション層。
  2. 水系現像液により除去可能である請求項1に記載のアブレーション層。
  3. 溶剤系現像液により除去可能である請求項1に記載のアブレーション層。
  4. 赤外線吸収剤としてカーボンブラックが含有されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアブレーション層。
  5. 支持体と、
    当該支持体の上に配設される感光性樹脂層と、
    当該感光性樹脂層の上に配設される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアブレーション層と、
    を、含む凸版印刷用の感光性樹脂構成体。
  6. 凸版印刷版の製造方法であって、
    支持体と、前記支持体の上に配設される感光性樹脂層と、前記感光性樹脂層の上に配設
    される請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアブレーション層とを含む凸版印刷用の感光性樹脂構成体に対し、前記支持体側から紫外線照射する工程と、
    前記アブレーション層に赤外線を照射してパターン描画する工程と、
    前記感光性樹脂層に紫外線を照射してパターン露光する工程と、
    現像液により前記アブレーション層及び未露光の感光性樹脂層を除去する工程と、
    を、有する凸版印刷版の製造方法。
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