JP2004170596A - 感光性印刷用原版 - Google Patents
感光性印刷用原版 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004170596A JP2004170596A JP2002334981A JP2002334981A JP2004170596A JP 2004170596 A JP2004170596 A JP 2004170596A JP 2002334981 A JP2002334981 A JP 2002334981A JP 2002334981 A JP2002334981 A JP 2002334981A JP 2004170596 A JP2004170596 A JP 2004170596A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- ablation layer
- photosensitive
- weight
- ablation
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
- Materials For Photolithography (AREA)
Abstract
【課題】感光性樹脂層が加工性や硬化物の透明性及び低温時の弾性などに優れ、IRアブレーション層が高感度であり、且つ両層が水又は水系液体の現像液で現像可能な感光性CTPフレキソ印刷用原版を提供すること。
【解決手段】少なくとも(A)支持体、(B)感光性樹脂性層、(C)IRアブレーション層を有する感光性印刷用原版であって、前記(B)感光性樹脂性層が少なくとも(イ)乳化重合で合成された親水性共重合体(ロ)熱可塑性エラストマー(ハ)光重合性不飽和単量体、及び(ニ)光重合開始剤含有し、且つ前記(C)IRアブレーション層が少なくとも1種のバインダー、少なくとも1種のIR吸収材料を含有し、該バインダーの空気中の熱分解開始温度が250℃以下であることを特徴とする感光性印刷用原版。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも(A)支持体、(B)感光性樹脂性層、(C)IRアブレーション層を有する感光性印刷用原版であって、前記(B)感光性樹脂性層が少なくとも(イ)乳化重合で合成された親水性共重合体(ロ)熱可塑性エラストマー(ハ)光重合性不飽和単量体、及び(ニ)光重合開始剤含有し、且つ前記(C)IRアブレーション層が少なくとも1種のバインダー、少なくとも1種のIR吸収材料を含有し、該バインダーの空気中の熱分解開始温度が250℃以下であることを特徴とする感光性印刷用原版。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータ製版技術によりフレキソ印刷版を製造するために使用される感光性印刷用原版であって、支持体、光重合性層及び化学線を実質的に通さないIRアブレーション層からなり、乳化重合で合成された親水性共重合体を含有し、且つIRアブレーション層のバインダーの空気中の熱分解開始温度が250℃以下である感光性印刷用原版に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、フレキソ印刷の分野において、デジタル画像形成技術としても知られているコンピュータ製版技術(CTP技術)は、極めて一般的なものとなってきている。CTP技術では、感光性印刷版の重合するべきでない領域を覆うために従来から使用されている写真マスク(フォトマスクやネガフィルムともいう)は、印刷版内で形成統合されるマスクに取って代わられている。このような統合マスクを得るためには幾つかの可能な方法はあるが、市場には2つの技術が存在する。即ち、感光性印刷版上にインクジェットプリンターでマスクを印刷するか、又は感光性樹脂性層上に、化学線に対して実質的に不透明(即ち化学線を実質的に通さない)層(IRアブレーション層又は赤外融除層ともいう)を設け(この版をCTP版という)、IRレーザでこのようなマスクに画像形成することである。このようなIRアブレーション層には、IR吸収材料として、通常カーボンブラックを含有する。このIRアブレーション層を有する光重合性印刷版は、例えば特許文献1又は特許文献2に開示されている。IRレーザで照射することより、黒色層は、その部分で喪失し、下層の感光性樹脂性層が露出する。レーザ装置はレイアウトコンピュータシステムに直接つながれている。この技術を用いて、画像は一般に版上に直接形成され、次の工程でIRアブレーション層側から全面に化学線が照射される。
この化学線の照射により、アブレーションされた(黒色層の喪失した)部分の下層の感光性樹脂性層のみが光重合し、その後の現像工程で残存するアブレーション層とその下層の感光性樹脂性層の未露光部分を除去してレリーフを作製する。
【0003】
この時使用する現像液は、パークレンなどの塩素系溶剤又は炭化水素系溶剤とアルコール系溶剤との混合溶剤が用いられており、当然の事ながらカーボンブラックを含有したIRアブレーション層はこの混合溶剤で現像可能なバインダーが用いられる。しかしながら、近年の環境問題から、水又は水系液体の現像液で現像可能なCTP版の開発が市場より強く望まれており、そのためには、感光性樹脂性層及びIRアブレーション層が水又は水系液体の現像液で現像可能であることが必要である。
【0004】
これまで、水又は水系液体の現像液で現像可能な感光性フレキソ印刷版は種々提案されている(例えば、特許文献3、4参照)。しかしながら、これらの組成物においては、現像処理に水/アルコール/アルカリ系の特殊な現像液を用いる上、加熱が必要であったり、現像速度が著しく遅いなどの問題があり、実用的でない。さらに、共役ジオレフィン系炭化水素とα、β―エチレン性不飽和カルボン酸と場合により用いられるモノオレフィン系不飽和化合物との共重合体と、光重合性不飽和単量体及び光増感剤とを含有して成る感光性樹脂組成物が提案されている(特許文献5参照)。しかしながら、この組成物は、従来のものに比べて種々の利点を有するものの、加工性や、硬化物の透明性及び低温時の弾性などについては必ずしも満足しうるものでなく、特に寒冷地においては、得られた印刷版は硬度が上昇し、フレキソ版として使用できないという問題が生じる。
【0005】
一方、IRアブレーション層を有する感光性フレキソ印刷版は例えば、前記特許文献1で開示されている。このIRアブレーション層はIR吸収材料を含む。さらに、それは所望により高分子バインダ及び様々な他の成分(例、顔料分散剤、界面活性剤、可塑剤、或いは塗布助剤)を含んでいる。ところで、このようなIRアブレーション層は、生産性およびIRレーザ寿命という経済的理由から、IRを照射する時間を可能な限り短くすべきである。すなわち、IR照射に対する感度は、できる限り高い必要がある。しかしながら、上述の公報には、IRアブレーション層の感度については示唆がない。
【0006】
前記特許文献2には、可撓性フィルム形成バインダ及びカーボンブラックを含むIRアブレーション層を有する光重合性印刷版が開示されている。バインダとして、ポリアミド(例、MacromeltR)が記載されている。ところが、このバインダは、IRアブレーション層の感度が低く、画像形成速度が遅いという欠点を有している。
【0007】
水又は水系液体の現像液で現像可能な粘着防止層にカーボンブラックを配合してIRアブレーション層とし、且つ水又は水系液体の現像液で現像可能な感光性フレキソ印刷版とを組み合わせたCTP版は唯一、特許文献6に記載されているに過ぎない。ところが、この方法では水又は水系液体の現像液で感光性樹脂性層及びIRアブレーション層の双方とも現像可能ではあるのだが、IRアブレーション感度が不充分であり、未だ実用性に乏しい。
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第654150号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第767407号明細書
【特許文献3】特開昭54−110287号公報
【特許文献4】特開昭61−22339号公報
【特許文献5】特公昭59−29849号公報
【特許文献6】特許第2916408号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、感光性樹脂性層が加工性や硬化物の透明性及び低温時の弾性などに優れ、IRアブレーション層が高感度であり、且つ両層が水又は水系液体の現像液で現像可能なCTP版は、未だに解決されていない。そこで本発明は、水又は水系液体の現像液で現像でき、実用上何ら問題のない感光性CTPフレキソ印刷用原版を提供することを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意、研究、検討した結果、まず第一に感光性樹脂性層に少なくとも
(イ)乳化重合で合成された親水性共重合体
(ロ)熱可塑性エラストマー
(ハ)光重合性不飽和単量体、及び
(ニ)光重合開始剤
を含有すること、第二にIRアブレーション層のバインダーの空気中の熱分解開始温度が250℃以下であるポリビニルアルコールを用いることにより、水又は水系液体の現像液で現像でき、実用上何ら問題のない感光性CTPフレキソ印刷用原版を完成するに到った。すなわち本発明は、▲1▼少なくとも(A)支持体、(B)感光性樹脂性層、(C)IRアブレーション層を有する感光性印刷用原版であって、前記(B)感光性樹脂性層が少なくとも(イ)乳化重合で合成された親水性共重合体(ロ)熱可塑性エラストマー(ハ)光重合性不飽和単量体、及び(ニ)光重合開始剤含有し、且つ前記(C)IRアブレーション層が少なくとも1種のバインダー、少なくとも1種のIR吸収材料を含有し、該バインダーの空気中の熱分解開始温度が250℃以下であることを特徴とする感光性印刷用原版。▲2▼感光性樹脂性層の親水性共重合体(イ)がその重量100重量部に対して、反応性乳化剤を1〜20重量部、非反応性乳化剤を1重量部未満用いて乳化重合されたものである前記▲1▼記載の感光性印刷用原版。▲3▼IRアブレーション層のバインダーの極限酸素指数LOIが24以下である前記▲1▼記載の感光性印刷用原版。▲4▼IRアブレーション層のバインダーが少なくとも1種類のポリビニルアルコールを含む前記▲1▼記載の感光性印刷用原版。▲5▼IR吸収材料がカーボンブラックである前記▲1▼〜▲4▼のいずれかに記載の感光性印刷用原版である。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の感光性印刷用原版に好適な(A)支持体は、可撓性で、しかし寸法安定性に優れた材料が好ましく用いられ、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、或いはポリカーボネートを挙げることができ、これらは寸法安定性に優れた支持体材料として使用可能な、充分に高い粘弾性を有している。ここで使用されるフィルムの厚みは50〜250μm、好ましくは100〜200μmが機械的特性、形状安定化あるいは印刷版製版時の取り扱い性等から望ましい。また、必要により、支持体と感光性樹脂層との接着を向上させるために、一般に用いられる接着剤を設けても良い。
【0012】
本発明の感光性印刷用原版に用いられる(B)感光性樹脂性層の親水性共重合体(イ)とは、少なくとも親水性の不飽和単量体を用いて乳化重合して得られる。親水性の不飽和単量体には、酸性官能基含有不飽和単量体が好ましい。酸性官能基含有不飽和単量体にはカルボキシル基やスルホン酸基やリン酸基、あるいはホウ酸基を有するエチレン性不飽和単量体などが例示される。より具体的には一塩基酸単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、桂皮酸、スチレンスルホン酸およびこれらの一塩基酸単量体のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が例示できる。二塩基酸単量体としては、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、ムコン酸、およびこれらの二塩基酸単量体のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が例示できる。これらの酸性官能基含有不飽和単量体は、その1種又は2種以上を用いることができる。
【0013】
酸性官能基含有不飽和単量体の使用量は不飽和単量体全量のうち1〜30重量%が好ましく、これ以下だと水系現像が困難となり、これ以上だと感光性樹脂の吸湿量が増加したり、インキの膨潤量が増加したり、感光性樹脂の混合時の加工性が悪化したりするため好ましくない。親水性共重合体(A)の共重合に用いられる酸性官能基含有不飽和単量体以外の不飽和単量体としては、共役ジエン、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基を有するエチレン系モノカルボン酸アルキルエステル単量体、不飽和二塩基酸アルキルエステル、無水マレイン酸、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ハロゲン化ビニル類、アミノ基を有する塩基性単量体、ビニルピリジン、オレフィン、ケイ素含有α,β−エチレン性不飽和単量体、アリル化合物等が挙げられる。
【0014】
より具体的には、共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等が例示できる。芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ブロモスチレン、ビニルベンジルクロリド、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等が例示できる。
【0015】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、メトキシポリエチリングリコール(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、イソボルニル(メタ)アクリレート等が例示できる。
【0016】
水酸基を有するエチレン系モノカルボン酸アルキルエステル単量体としては例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸1−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸1−ヒドロキシプロピル、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。不飽和二塩基酸アルキルエステルとしてはクロトン酸アルキルエステル、イタコン酸アルキルエステル、フマル酸アルキルエステル、マレイン酸アルキルエステル、等を例示できる。
【0017】
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を例示できる。(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド等を例示できる。ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、ビニルブチレート、ビニルステアレート、ビニルラウレート、ビニルミリステート、ビニルプロピオネート、バーサティク酸ビニル等を例示できる。
【0018】
ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等を例示できる。ハロゲン化ビニル類としては、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等を例示できる。アミノ基を有する塩基性単量体としては、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、等を例示できる。
【0019】
オレフィンとしては、エチレン、プロピレン等を例示できる。ケイ素含有α,β−エチレン性不飽和単量体としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン等を例示できる。アリル化合物としては、アリルエステル、ジアリルフタレート、等を例示できる。その他、トリアリルイソシアヌレート等の3個以上の二重結合を有する単量体も使用できる。
【0020】
これらの単量体は単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。共役ジエンとその他の共重合可能な単量体の量比は通常5/95から95/5の間にあり、好ましくは50/50から90/10である。この範囲を超えるとフレキソ印刷用感光樹脂のゴム弾性を悪化させるため好ましくない。
【0021】
親水性共重合体(イ)は乳化重合で重合され、重合時に使用される乳化剤(界面活性剤)には、少なくとも反応性乳化剤を用いることが必須である。本発明において用いることのできる反応性乳化剤とは、分子構造中にラジカル重合性の二重結合、親水性官能基および疎水性基をそれぞれ有し、且つ一般の乳化剤と同様に、乳化、分散、および湿潤機能を持つもので、親水性共重合体を乳化重合するときに、反応性乳化剤を除いた不飽和単量体100重量部に対して、単独で0.1部以上用いることで粒径が5〜500nmの重合物が合成できる乳化(界面活性)剤である。分子構造中のラジカル重合性の二重結合の構造例としてはビニル基、アクリロイル基、あるいはメタアクリロイル基などが上げられる。分子構造中の親水性官能基の例としては硫酸基、硝酸基、燐酸基、ホウ酸基、カルボキシル基等のアニオン性基、またはアミノ基等のカチオン性基、またはポリオキシエチレン、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン等のポリオキシアルキレン鎖構造等や水酸基等が上げられる。分子構造中の疎水性基としてはアルキル基、フェニル基等が上げられる。この反応性乳化剤はその構造に含まれる親水性官能基の構造種類によりアニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤等を含みむ。また、分子構造中のラジカル重合性の二重結合、親水性官能基および疎水性基は複数の種類の構造、官能基を有することも可能である。
【0022】
このような反応性乳化剤として使用できるもののうち一般的に市販されているものを以下に示すと、アニオン界面活性剤としては、アデカリアソープSE(旭電化工業)、アクアロンHSやBCやKH(第一工業製薬)、ラテムルS(花王)、アントックスMS(日本乳化剤)、アデカリアソープSDXやPP(旭電化工業)、ハイテノールA(第一工業製薬)、エレミノールRS(三洋化成工業)、スピノマー(東洋曹達工業)など、非イオン界面活性剤としては、アクアロンRNやノイゲンN(第一工業製薬)、アデカリアソープNE(旭電化工業)などを例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。本発明において反応性乳化剤の量は、親水性共重合体(a)100重量部に対して、1〜20重量部の範囲である。反応性乳化剤の量が1重量部以上の場合に充分な画像再現性が得られ、20重量部以下の時に良好な耐印刷性が達成される。
【0023】
必要に応じて用いられる非反応性乳化剤とは、脂肪酸せっけん、ロジン酸せっけん、スルホン酸塩、サルフェート、リン酸エステル、ポリリン酸エステル、サリコジン酸アシル、等のアニオン界面活性剤、ニトリル化油脂誘導体、油脂誘導体、脂肪酸誘導体、α−オレフィン誘導体等のカチオン界面活性剤、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、プロポキシレート、脂肪族アルカノールアミド、アルキルポリグリコシド、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン界面活性剤が例示される。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
スルホン酸塩としては、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、スルホン化油脂、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン酸塩、等が挙げられる。 これらの界面活性剤の他の例としては、「界面活性剤ハンドブック(高橋、難波、小池、小林:工学図書、1972)」に記載されているものなどが挙げられる。非反応性乳化剤は、親水性共重合体(a)100重量部に対して、1重量部未満であることが必要である。1重量部未満の場合に印刷版が適切な水膨潤率を示し、インキ付着時の耐摩耗性の低下及び吸湿後の画像再現性の低下を防ぐことができる。
【0025】
親水性共重合体(イ)の乳化重合方法としては、重合可能な温度に調製された反応系にあらかじめ所定量の水、乳化剤、その他添加剤を仕込み、この系に重合開始剤および不飽和単量体、乳化剤、調整剤等を回分操作あるいは連続操作で反応系内に添加するのが一般できである。また必要に応じて反応系には所定量のシードラテックス、開始剤、不飽和単量体、その他の調整剤をあらかじめ仕込んで置くことも通常良く用いられる方法である。また不飽和単量体、乳化剤、その他の添加剤、調整剤を反応系へ添加する方法を工夫することによって、合成される親水性共重合体粒子の層構造を段階的に変える事も可能である。この場合、各層の構造を代表する物性としては、親水性、ガラス転移点、分子量、架橋密度などが上げられる。また、この層構造の段階数は特に制限されない。
【0026】
親水性共重合体(イ)の重合には、既知の連鎖移動剤を用いることができる。例をあげれば、硫黄元素を含む連鎖移動剤として、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、等のアルカンチオール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール等のチオアルキルアルコール、チオグリコール酸、チオプロピオン酸等のチオアルキルカルボン酸、チオグリコール酸オクチルエステル、チオプロピオン酸オクチルエステル等のチオカルボン酸アルキルエステル、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド等のスルフィドが挙げられる。その他に、連鎖移動剤の例としては、ターピノーレン、ジペンテン、t−テルピネンおよび四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素をあげることができる。これらの中で、アルカンチオールは連鎖移動速度が大であり、また得られる重合物の物性バランスが良いので好ましい。これらの連鎖移動剤は、単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。これらの連鎖移動剤は単量体に混合して反応系に供給するか、単独で所定の時期に所定量添加される。これらの連鎖移動剤の使用量は、親水性共重合体(イ)の重合に用いられる不飽和単量体全量のうち、好ましくは0.1〜10重量%であり、この範囲以下では感光性樹脂の混合を行うときの加工性が悪化し、この範囲の以上では分子量を著しく低下させるため好ましくない。
【0027】
親水性共重合体(イ)の重合には必要に応じて重合反応抑制剤を用いることができる。重合反応抑制剤とは、乳化重合系に添加することにより、ラジカル重合速度を低下させる化合物である。より具体的には、重合速度遅延剤、重合禁止剤、ラジカル再開始反応性が低い連鎖移動剤、およびラジカル再開始反応性が低い単量体である。重合反応抑制剤は、重合反応速度の調整およびラテックス物性の調整に用いられる。これらの重合反応抑制剤は回分操作あるいは連続操作で反応系に添加される。重合反応抑制剤を用いた場合、ラテックス被膜の強度が向上する傾向がある。反応メカニズムの詳細は不明であるが、重合反応抑制剤はポリマーの立体構造に密接に関与していると思われ、このことによりラテックス被膜の物性の調整に効果があるものと推定している。これらの重合反応抑制剤の例としては、o−,m−,あるいはp−ベンゾキノンなどのキノン類、ニトロベンゼン、o−,m−,あるいはp−ジニトロベンゼンなどのニトロ化合物、ジフェニルアミンのようなアミン類、第三ブチルカテコールのようなカテコール誘導体、1,1−ジフェニルエチレンあるいはα−メチルスチレン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンなどの1,1−ジ置換ビニル化合物、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン、シクロヘキセン等の1,2−ジ置換ビニル化合物などが挙げられる。この他にも、「POLYMER HANDBOOK 3rd Ed.(J.Brandup,E.H.Immergut:John Wiley & Sons,1989)」、「改訂高分子合成の化学(大津:化学同人、1979.)」に重合禁止剤あるいは重合抑制剤として記載されている化合物が挙げられる。これらの中でも、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(α−メチルスチレンダイマー)が反応性の点で特に好ましい。これらの重合反応抑制剤は、単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。これらの重合反応抑制剤の使用量は、親水性共重合体(イ)の重合に用いられる不飽和単量体全量のうち、10重量%以下が好ましい。これ以上では重合速度を著しく低下させるため好ましくない。
【0028】
前記ラジカル重合開始剤は、熱または還元性物質の存在下ラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤および有機系開始剤のいずれも使用できる。このようなものとしては、例えば水溶性又は油溶性のペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等、具体的にはペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイドなどがあり、また他に、POLYMER HANDBOOK (3rd edition)、J.BrandrupおよびE.H.Immergut著、John Willy&Sons刊(1989)に記載されている化合物が挙げられる。また、酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いる、いわゆるレドックス重合法を採用することもできる。これらの中で特にペルオキソ二硫酸塩が重合開始剤として好適である。この重合開始剤の使用量は、全不飽和単量体の重量に基づき、通常0.1〜5.0重量%の範囲から、好ましくは0.2〜3.0重量%の範囲から選ばれる。この範囲以下では親水性共重合体の合成時の安定性を得られ難く,この範囲以上では感光性樹脂の吸湿量が増加するため好ましくない。
【0029】
必要に応じ各種重合調整剤を添加することができる。例えば、pH調整剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどのpH調整剤を添加することができる。また、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどの各種キレート剤なども重合調整剤として添加することもできる。また、その他の添加剤としてはアルカリ感応ラテックス、ヘキサメタリン酸などの減粘剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子、増粘剤、各種老化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、ポリアクリル酸ナトリウムなどの分散剤、耐水化剤、亜鉛華等の金属酸化物、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物等の架橋剤、滑剤、保水剤等の各種添加剤を添加してもさしつかえない。これらの添加剤の添加方法は特に制限されず親水性共重合体の合成時、合成後に関わらず添加することができる。この乳化重合における重合温度は、通常60〜120℃の範囲で選ばれるが、前記レドックス重合法等により、より低い温度で重合を行っても良い。さらに酸化還元触媒として、金属触媒、例えば、2価の鉄イオン、3価の鉄イオン、銅イオンなどを共存させてもよい。
【0030】
親水性共重合体(イ)の粒子径は500nm以下が好ましく、特に100nm以下が好ましい。粒径が大きすぎると水系現像性が低下するため好ましくない。また、親水性共重合体(イ)のトルエンゲル分率は、60〜99%が好ましい。ゲル分率がこの範囲を下回ると印刷版の強度が低下し、この範囲を超えると親水性共重合体と熱可塑性エラストマーとの混合性が著しく低下する。トルエンゲル分率とは、親水性共重合体(A)の乳化重合後の濃度が約30wt%の分散液を、テフロン(登録商標)シートの上に適当量垂らし、130℃で30分間乾燥させた(イ)を0.5g取り、25℃のトルエン30mlに浸漬させ、振とう器を用いて3時間振とうさせた後に320SUSメッシュで濾過し、不通過分を130℃1時間乾燥させた後の重量を0.5(g)で割った重量分率(%)から求められる。親水性共重合体(イ)の量は、フレキソ印刷用感光性樹脂組成物100重量部に対し、20〜60重量部が望ましい。少なすぎると、水系現像性が低下するし、多すぎると、水分の吸湿性が増加したり、インキの膨潤性が増加するため好ましくない。
【0031】
熱可塑性エラストマー(ロ)には、常温付近でゴム弾性を示し、塑性変形し難く、押出機等で組成物を混合するときに熱で可塑化するエラストマーで、熱可塑性ブロック共重合体、1,2―ポリブタジエン、ポリウレタン系エラストマー等を例示することができる。
【0032】
これらのうち、熱可塑性ブロック共重合体が好ましく、この中でも、モノビニル置換芳香族炭化水素モノマーと共役ジエンモノマーを重合して得られるものがより好ましい。モノビニル置換芳香族炭化水素モノマ−としては、スチレン,α−メチルスチレン,p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン等が、また共役ジエンモノマ−としてはブタジエン,イソプレン等が用いられ、代表的な例としてはスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体や、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体などが挙げられる。ここで熱可塑性エラスマー中におけるモノビニル置換芳香族炭化水素の含量については、低い場合は感光性エラストマー組成物のコールドフローを引き起こして良好な厚み精度が得られず、また高い場合はフレキソ版の硬度が高くなりすぎて良好な印刷品質が得られないため、8〜50重量%の範囲にあることが好ましい。
【0033】
熱可塑性エラストマーの共役ジエンセグメント中のビニル結合単位はレリーフの再現性向上に寄与するが、同時にフレキソ版表面の粘着性を高める原因にもなる。この両特性のバランスをとる観点でビニルセグメントの平均比率は5〜40%が好ましく、さらに好ましい範囲としては10〜35%である。モノビニル置換芳香族炭化水素及び共役ジエンの平均含有量や、熱可塑性エラストマー中のビニル結合単位の平均比率は、IRスペクトルやNMRで求められる。熱可塑性エラストマー(ロ)の量は、フレキソ印刷用感光性樹脂組成物100重量部に対して10〜40重量部が好ましい。少なすぎると、極性のあるインキの膨潤率が増加したり、物性(伸長率(伸び))が低下するし、多すぎると水系現像性が低下するため好ましくない。本発明で使用される(ハ)の光重合性不飽和単量体とは、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸などのエステル類、アクリルアミドやメタクリルアミドの誘導体、アリルエステル、スチレン及びその誘導体、N置換マレイミド化合物を挙げられる。
【0034】
その具体的な例としては、ヘキサンジオール、ノナンジオールなどのアルカンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、あるいはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコールのジアクリレート及びジメタクリレート、あるいはトリメチロールプロパントリアクリレート及びトリメタクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート及びテトラメタクリレート等や、N,N’−ヘキサメチレンビスアクリルアミド及びメタクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアクリルフタレート、トリアリルシアヌレート、フマル酸ジエチルエステル、フマル酸ジブチルエステル、フマル酸ジオクチルエステル、フマル酸ジステアリルエステル、フマル酸ブチルオクチルエステル、フマル酸ジフェニルエステル、フマル酸ジベンジルエステル、マレイン酸ジブチルエステル、マレイン酸ジオクチルエステル、フマル酸ビス(3−フェニルプロピル)エステル、フマル酸ジラウリルエステル、フマル酸ジベヘニルエステル、N−ラウリルマレイミド等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
成分(ハ)の光重合性不飽和単量体は配合量が少なすぎると、細かい点や文字の形成性を低下させてしまう。また、配合量が多すぎると、未硬化版の貯蔵・輸送時の変形が大きくなるし、得られた版の硬度が高くなって、表面凹凸のある紙質の悪い被印刷体への印刷におけるベタ部分のインキ乗りを損なう等の弊害を生じるため、フレキソ印刷用感光性樹脂組成物100重量部に対して1〜30重量部用いるのが望ましい。
【0036】
光重合開始剤(ニ)の例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、α−メチロールベンゾイン、α−メチロールベンゾインメチルエーテル、α−メトキシベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェイニルエーテル、α−t−ブチルベンゾイン、2,2−ジメトキシフェニルアセトフェノン、2,2−ジエチキシフェニルアセトフェノン、ベンジル、ピバロイン、アンスラキノン、ベンズアンスラキノン、2−エチルアンスラキノン、2−クロルアンスラキノン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
成分(ニ)の光重合開始剤は少なすぎると、細かい点や文字の形成性を低下させてしまう。また、配合量が多すぎると、感光性樹脂組成物の紫外線等の活性光透過率を低下させることから却って露光感度を低下する弊害が現れるため、フレキソ印刷用感光性樹脂組成物100重量部に対して0.1〜10重量部用いることが望ましい。その他、本発明の感光性樹脂組成物には前記した必須成分の他に、所望に応じ種々の補助添加成分、例えば可塑剤、熱重合防止剤、紫外線吸収剤、ハレーション防止剤、光安定剤などを添加することができる。可塑剤としては、ナフテン油、パラフィン油等の炭化水素油、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエンの末端変性物、液状アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、液状スチレン−ブタジエン共重合体、数平均分子量2,000以下のポリスチレン、セバチン酸エステル、フタル酸エステルなどが上げられる。
【0038】
(B)感光性樹脂層の成分を適当に選択することにより、当該技術者は、所望の溶解度特性に従い、水溶性現像液、半水溶性現像液又は有機溶剤性現像液に可溶或いは分散する光重合性層を製造することができる。
【0039】
本発明感光性樹脂印刷用原版の主要な構成成分は、(B)感光性樹脂層の上に設けられる新規な(C)IRアブレーション層であり、少なくとも1種のバインダー、少なくとも1種のIR吸収材料を含み、バインダーの空気中の熱分解開始温度が250℃以下であることを特徴とする。IRアブレーション層は実質的に化学線を通さない(即ち化学線に対して不透明である)。一般に、化学線に対する光学濃度は、2.0を超える値であり、好ましくは2.5を超える値である。光学濃度は、画像を形成したIRアブレーション層を介して、感光性樹脂層の全露光に使用された化学線の波長又は波長範囲で得られる。IRアブレーション層は、ここでは単一層であるが、二層以上の異なるIRアブレーション層を使用することもできる。
【0040】
本発明で採用される前記バインダーは、空気中の熱分解開始温度が250℃以下であり、極限酸素指数LOIが24以下であることが好ましい。前者の熱分解開始温度は、例えば示差熱天秤TG−DTA(理学電機)で測定できる。その時の測定条件としては、標準物質にアルミナを使用し、50ml/分の空気を送風しながら、5℃/分の昇温速度で室温から500℃まで昇温する。一般に、熱分解開始温度とは、分解に伴って著しく重量が減少していく際の温度である。また、バインダーが熱分解温度の異なる2種類以上の混合物の場合には、分解温度の最も高いバインダーを本発明における熱分解開始温度と定義する。後者の極限酸素指数LOIはFenimoreおよびMartinが提唱したポリマーの燃焼を定量的に評価する方法であり、3分間燃焼させるのに必要な酸素の最小濃度であり、次式によって算出される。
極限酸素指数LOI=酸素の容積/(酸素の容積+窒素の容積)×100
【0041】
このようなバインダーとして具体的には、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシドなどが挙げられ、なかでも重合度500〜4000、好ましくは1000〜3000、ケン化度70%以上、好ましくは80〜99%、さらに好ましくは80〜90%のポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが望ましい。
【0042】
(C)IRアブレーション層中のバインダーの配合量は、IRアブレーション層中の全成分の全量に対して20〜90重量%、好ましくは30〜80重量%である。20重量%以下の場合には、IRアブレーション層の機械的強度が不足し、レーザ装置の回転ドラムにCTPフレキソ版を貼り付ける際にIRアブレーション層に亀裂が入いり、目的とするレリーフ画像が得られない。90重量%を超える場合には、IRアブレーション層の化学線に対する光学濃度が2.0未満になって、レリーフ画像にカブリが発生してしまうので好ましくない。
【0043】
(C)IRアブレーション層は、少なくとも1種のIR吸収材料を含み、これは750〜20000nmの範囲で強い吸収を有するはずの層内に均一に分散されている。好適なIR吸収材料としては、IR吸収染料(例、フタロシアニン及び置換フタロシアニン誘導体、シアニン染料、メロシアニン染料及びポリメチン染料)或いは濃色の無機顔料(例、カーボンブラック、グラファイト、酸化鉄又は酸化クロム)を挙げることができる。本発明においてはカーボンブラックの使用が、特に好ましい。カーボンブラックは、IRアブレーション層が化学線に対して不透明になり、これにより他のUV−吸収染料の添加を絶対的に不要にすることを保証する。最大カラー強度のためには小粒径を使用することが望ましい。特に、200nm未満の平均粒径のカーボンブラックの銘柄を使用することが望ましい。好適な銘柄の例としては、Bonjet Black CW−1(オリエント化学)、Bonjet Black CW−2(同)、Spezialschwarz 250(Degussa)などを挙げることができる。
【0044】
一般に、IRアブレーション層中のIR吸収材料の配合量は、IRアブレーション層の全成分の合計量に対して1〜60重量%であり、さらに10〜50重量%が好ましく、特に25〜50重量%が好ましい。1重量%未満では、IRアブレーション層の化学線に対する光学濃度が2.0未満になって、レリーフ画像にカブリが発生してしまう。また60重量%を超えると、IRアブレーション層の機械的強度が不足したり、後工程の現像で現像液の汚染や劣化を早めてしまうので好ましくない。
【0045】
(C)IRアブレーション層は、必要により追加の成分及び添加剤を含むこともできる。このような成分の例としては、顔料分散剤、フィラー、界面活性剤又は塗布助剤を挙げることができる。このような添加剤は、層に対する所望の性質に従い当業者が選択することができるが、それらがIRアブレーション層の画像形成性に悪影響を与えないことが条件となる。
【0046】
(C)IRアブレーション層の成分は、IRアブレーション層が(B)感光性樹脂層の現像溶液に溶解又は少なくとも膨潤する様に選択されることが好ましい。但し、本発明のはこの態様に限定されるものではない。
【0047】
(C)IRアブレーション層上において剥離可能可撓性カバーシートで感光性印刷用原版を覆うことが有利である。好適な剥離可能な可撓性カバーシートとしては、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルムを挙げることができる。しかしながら、このような保護カバーシートは絶対に必要というものではない。
【0048】
次に、本発明感光性樹脂印刷用原版を得る方法としては、一般に、まず支持体上に、感光性樹脂層を形成し、次いでIRアブレーション層を塗布又はラミネーション技術により施すことにより製造される。なお、市販の感光性フレキソ印刷版を使用することもできる。その場合、保護フィルムを剥がし、前記と同様にIRアブレーション層を施す。
【0049】
その後、IRアブレーション層をIRレーザにより画像用に照射して、光重合性層上にマスクを形成する。適当なIRレーザの例としては、ND/YAGレーザ(1064nm)又はダイオードレーザ(例、830nm)を挙げることができる。コンピュータ製版技術に適当なレーザシステムとは、市販されており、例えばダイオードレーザシステムOmniSetterR(Fa. Misomex;レーザ波長:830nm;作業幅:1800mm)或いはND/YAGレーザシステムdigilasR(Fa. Schepers)を挙げることができ、これらはそれぞれ回転円筒ドラム、及びその上の取り付けられたIRアブレーション層を有する感光性フレキソ印刷版からなる。画像情報は、レイアウトコンピュータからレーザ装置に直接移される。
【0050】
マスクをIRアブレーション層に書き込んだ後、感光性フレキソ印刷版にマスクを介して化学線を全面照射する。これはレーザシリンダ上において直接行うことが有利である。或いは、版は、レーザ装置から除去し、慣用の平板な照射ユニットで照射する。照射工程の間、感光性層は前の融除工程で露出した領域において重合し、一方照射光を通さないIRアブレーション層によりなお被覆されているIRアブレーション層領域では重合は起こらない。EP−A767407号公報に記載されているように、化学線の照射は、慣用の真空フレームで酸素を除去して行うことも可能であるけれども、大気酸素の存在下に行うことが有利である。
【0051】
その後、照射された版は現像され、フレキソ印刷版を得ることができる。現像工程は、慣用の現像ユニットで実施することができ、版の性質に応じて、水又は有機溶剤、これらの溶剤混合物を使用することができる。現像の間に、感光性層の非重合領域及びIRアブレーション層の残留部は除去される。IRアブレーション層を1種の溶剤又は溶剤混合物でまず除去し、別の現像剤で感光性層を現像することも可能である。現像工程後、得られた印刷版は乾燥させる。PETベースフィルム付き版の典型的な乾燥条件は、45〜80℃で15分〜4時間である。また、幾つかの後処理操作をさらに行うことができる。例えば、印刷版を非粘着性にするために、例えば殺菌灯の照射又はBr2による処理を行うことができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
本発明感光性印刷用原版を得るための一実施態様としては、例えば125μm厚みからなるポリエステル系フィルムを準備し、前述に記載のアブレーション層用コート液を105℃3分でコート・乾燥処理しアブレーション層厚み約4μmの薄層を有するカバーフィルムを作成する。次に125μm厚みのポリエチレンテレフタレートフィルムにポリエステル系接着剤が塗布された支持体を準備し、特開平10−339951号公報に記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を中心に両層材料でカレンダー加工し1.7mm厚みの感光性樹脂積層体を得て、T2サイズ(610mm×762mm)の印刷用原版を得る。次にこの原版を用いて評価パターンのデジタルデータをアブレーション層に記録し、露光・硬化および現像し印刷版を得て、水性インキの印刷用インキでコート紙に印刷する。
これらの作業で本発明感光性印刷用原版は、従来のものに比べて、デジタルデータをアブレーション層に記録する際の速度が速く、また製版時のカバー剥離作業のミスもなく、出来上がった印刷版の印刷性はインキ乗りおよび画像再現性が良好である。
【0053】
【実施例】
下記の実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(親水性共重合体の重合)
撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に水125重量部、表1に示す反応性乳化剤仕込量の50%を初期仕込みし、内温を80℃に昇温し、スチレン10重量部、ブタジエン60重量部、ブチルアクリレート23重量部、メタアクリル酸5重量部、アクリル酸2重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタン2重量部の油性混合液と、水28重量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム1.2重量部、水酸化ナトリウム0.2重量部、表1に示す反応性乳化剤仕込量の50%からなる水溶液をそれぞれ5時間および6時間かけて一定の流速で添加した。ついで、80℃の温度をそのまま1時間保って、重合反応を完了した後、冷却した。更に、生成した共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムでpHを7に調整した後スチームストリッピング法により未反応の単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過し、最終的にはろ液の固形分濃度が40重量%になるように調整して親水性共重合体溶液を得た。乳化重合した溶液を60℃で乾燥し親水性共重合体を得た。
【0054】
(感光性樹脂組成物の作製)
前記で得られた親水性共重合体35重量部と、スチレンブタジエンブロック共重合体[クレイトンD−KX405:シェル化学製]25重量部を、加圧ニーダーを用いて140℃で10分混合後に、 液状ポリブタジエン[B−2000:日本石油化学製]30重量部と、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート5重量部と、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート5重量部と、2,2−ジメトキシフェニルアセトフェノン2重量部および、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1重量部を15分かけて少しずつ加えて、加え終えてさらに10分間混練し、感光性樹脂組成物を得た。
【0055】
(IRアブレーション層の作製)
カーボンブラック、ポリビニルアルコール(日本合成化学社製ゴーセノールGH−23、熱分解開始温度220℃、極限酸素指数22.5)及び可塑剤の分散物を、表1に示す成分を用いて作製した。分散液を、ナンバー26のバーコーターでPETフィルム(厚さ125μm)に塗布し、100℃、3分間乾燥して、水を蒸発させ、平滑で無粘着の塗布膜(4.1g/m2の塗布量及び4.8の化学線領域の光学濃度)を得、つまりIRアブレーション層が設けられたカバーフィルムを得た。
【0056】
(IRアブレーション層付き感光性フレキソ印刷版の作製)
上記感光性樹脂組成物をPETフイルム(厚さ125μm)にポリエステル系接着剤が塗布された支持体と、上記で作製したIRアブレーション層を重ね合わせ、ヒートプレス機を用いて約100℃、100kg重/cm2でラミネートし、PET支持体、光重合性層及びIRアブレーション層からなる版を得た。
【0057】
(IRアブレーションの装置と操作)
上記の光重合性版からPET保護フィルムを剥離した。黒色のIRアブレーション層が光重合性版上に完全に残った。この版を、Cyrel Digital Imager Spark(BARCO社製)の回転ドラムにIRアブレーション層が表側になるように巻き付け、真空引き後、ダイオードレーザで画像形成を行った。使用した本装置のレーザ解像度は2540dpi、レーザスポット径は直径15μmであった。回転ドラムは1500rpmで回転させた。
【0058】
(IRアブレーションの条件と感度の評価方法)
レーザ出力を150mWから550mWまで50mW間隔で設定し、同一デジタル画像を順次高出力側から低出力側へアブレーションした。IRアブレーションの感度とは、一般にIRアブレーションにより目的とするデジタル画像を光重合性版上に形成させる最小のレーザ出力値で表され、その出力値が小さい程高感度であることを意味している。本実施例では、ベタ部と微小ハイライト網点部(156lpi、1%)が共に問題なく形成する最小レーザ出力値を感度の尺度とした。ベタ部と網点部(156lpi、1%)の画像形成状態は10倍のルーペで観察した。評価結果を表2に示す。
【0059】
(フレキソ印刷版の作製)
IRアブレーションした、デジタル画像マスクで覆われた感光性フレキソ印刷版全面に、化学線(光源Philips10R、365nmにおける照度7.5mW/cmを25分間照射し、その後A&V(株)製現像機(Stuck System)で、40℃、6分間現像した。現像液には、食器洗剤Cascadeを1%添加した水道水を用いた。現像工程中、IRアブレーション層の残部及び光重合性層の非照射領域は除去され、化学線の照射領域が残った。現像後、フレキソ印刷版を、60℃で20分間乾燥し、化学線で10分間照射し、最後に表面粘着を除去するため殺菌灯を7分間照射した。
【0060】
(フレキソ印刷版の評価)
10倍の拡大ルーペで印刷版を検査した。2ポイント凸及び凹文字、30μm幅の細線、100μm直径の独立点及び156lpi/1%網点全ての試験パターンが正確に形成されていた。
【0061】
実施例2
実施例1のIRアブレーション層の作製で、ナンバー14のバーコーターを使用した以外は全て実施例1と同様に行った。この時のIRアブレーション層の塗布膜は2.2g/m2、化学線領域の光学濃度は2.5であった。IRアブレーションの感度の評価結果を表2に示す。引き続き、フレキソ版を作製し、評価したところ、全ての試験パターンが正確に形成されていた。
【0062】
実施例3
実施例1のIRアブレーション層の作製で用いたポリビニルアルコール(日本合成化学社製ゴーセノールGH−23、熱分解開始温度220℃、極限酸素指数22.5)を別のポリビニルアルコール(日本合成化学社製ゴーセノールAH−26、熱分解開始温度220℃、極限酸素指数22.5)に替えた以外は全て実施例1と同様に行った。この時のIRアブレーション層の塗布膜は4.2g/m2、化学線領域の光学濃度は4.9であった。IRアブレーションの感度の評価結果を表2に示す。引き続き、フレキソ版を作製し、評価したところ、全ての試験パターンが正確に形成されていた。
【0063】
実施例4
実施例1のIRアブレーション層の作製で、ポリビニルアルコール(日本合成化学社製ゴーセノールGH−23、熱分解開始温度220℃、極限酸素指数22.5)を別のポリビニルアルコール(クラレ社製ポバールPVA−420、熱分解開始温度220℃、極限酸素指数22.5)に替えた以外は全て実施例1と同様に行った。この時のIRアブレーション層の塗布膜は4.1g/m2、化学線領域の光学濃度は4.7であった。IRアブレーションの感度の評価結果を表2に示す。引き続き、フレキソ版を作製し、評価したところ、全ての試験パターンが正確に形成されていた。
【0064】
実施例5
実施例1のIRアブレーション層の作製で、ポリビニルアルコール(日本合成化学社製ゴーセノールGH−23、熱分解開始温度220℃、極限酸素指数22.5)を別のポリビニルアルコール(クラレ社製ポバールPVA−110、熱分解開始温度210℃、極限酸素指数22.5)に替えた以外は全て実施例1と同様に行った。この時のIRアブレーション層の塗布膜は4.3g/m2、化学線領域の光学濃度は5.0であった。IRアブレーションの感度の評価結果を表2に示す。引き続き、フレキソ版を作製し、評価したところ、全ての試験パターンが正確に形成されていた。
【0065】
比較例1
実施例1のIRアブレーション層の作製で、ポリビニルアルコールの替わりにヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達社製HPC−L、熱分解開始温度265℃、極限酸素指数25)を使用した以外は全て実施例1と同様に行った。この時のIRアブレーション層の塗布膜は4.2g/m2、化学線領域の光学濃度は4.8であった。IRアブレーションの感度の評価結果を表2に示す。表2より明らかなように実施例1〜5に比較して、低感度であることが判る。
【0066】
比較例2
実施例1のIRアブレーション層の作製で、カーボンブラック、ポリアミド(Henkel社製Macromelt1R 6900、熱分解開始温度310℃、極限酸素指数28)を用いて作製した。作製した成分組成を表3に示した。この分散液を、ナンバー26のバーコーターでPETフィルム(厚さ125μm)に塗布し、110℃、3分間乾燥して、溶剤を蒸発させ、平滑で無粘着の塗布膜(4.1g/m2の塗布量及び4.8の化学線領域の光学濃度)を得た。以下、実施例1と同様に行った。IRアブレーションの感度の評価結果を表2に示す。表2より明らかなように実施例1〜5に比較して、低感度であることが判る。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【発明の効果】
以上、かかる構成よりなる本発明感光性樹脂印刷用原版のIRアブレーション層は、従来のものに比べてIRレーザ照射に対して高感度であり、CTPフレキソ版作製の生産性の向上と同時に高価なIRレーザの寿命が増し、その交換頻度の低減が可能であるため、産業界に寄与すること大である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータ製版技術によりフレキソ印刷版を製造するために使用される感光性印刷用原版であって、支持体、光重合性層及び化学線を実質的に通さないIRアブレーション層からなり、乳化重合で合成された親水性共重合体を含有し、且つIRアブレーション層のバインダーの空気中の熱分解開始温度が250℃以下である感光性印刷用原版に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、フレキソ印刷の分野において、デジタル画像形成技術としても知られているコンピュータ製版技術(CTP技術)は、極めて一般的なものとなってきている。CTP技術では、感光性印刷版の重合するべきでない領域を覆うために従来から使用されている写真マスク(フォトマスクやネガフィルムともいう)は、印刷版内で形成統合されるマスクに取って代わられている。このような統合マスクを得るためには幾つかの可能な方法はあるが、市場には2つの技術が存在する。即ち、感光性印刷版上にインクジェットプリンターでマスクを印刷するか、又は感光性樹脂性層上に、化学線に対して実質的に不透明(即ち化学線を実質的に通さない)層(IRアブレーション層又は赤外融除層ともいう)を設け(この版をCTP版という)、IRレーザでこのようなマスクに画像形成することである。このようなIRアブレーション層には、IR吸収材料として、通常カーボンブラックを含有する。このIRアブレーション層を有する光重合性印刷版は、例えば特許文献1又は特許文献2に開示されている。IRレーザで照射することより、黒色層は、その部分で喪失し、下層の感光性樹脂性層が露出する。レーザ装置はレイアウトコンピュータシステムに直接つながれている。この技術を用いて、画像は一般に版上に直接形成され、次の工程でIRアブレーション層側から全面に化学線が照射される。
この化学線の照射により、アブレーションされた(黒色層の喪失した)部分の下層の感光性樹脂性層のみが光重合し、その後の現像工程で残存するアブレーション層とその下層の感光性樹脂性層の未露光部分を除去してレリーフを作製する。
【0003】
この時使用する現像液は、パークレンなどの塩素系溶剤又は炭化水素系溶剤とアルコール系溶剤との混合溶剤が用いられており、当然の事ながらカーボンブラックを含有したIRアブレーション層はこの混合溶剤で現像可能なバインダーが用いられる。しかしながら、近年の環境問題から、水又は水系液体の現像液で現像可能なCTP版の開発が市場より強く望まれており、そのためには、感光性樹脂性層及びIRアブレーション層が水又は水系液体の現像液で現像可能であることが必要である。
【0004】
これまで、水又は水系液体の現像液で現像可能な感光性フレキソ印刷版は種々提案されている(例えば、特許文献3、4参照)。しかしながら、これらの組成物においては、現像処理に水/アルコール/アルカリ系の特殊な現像液を用いる上、加熱が必要であったり、現像速度が著しく遅いなどの問題があり、実用的でない。さらに、共役ジオレフィン系炭化水素とα、β―エチレン性不飽和カルボン酸と場合により用いられるモノオレフィン系不飽和化合物との共重合体と、光重合性不飽和単量体及び光増感剤とを含有して成る感光性樹脂組成物が提案されている(特許文献5参照)。しかしながら、この組成物は、従来のものに比べて種々の利点を有するものの、加工性や、硬化物の透明性及び低温時の弾性などについては必ずしも満足しうるものでなく、特に寒冷地においては、得られた印刷版は硬度が上昇し、フレキソ版として使用できないという問題が生じる。
【0005】
一方、IRアブレーション層を有する感光性フレキソ印刷版は例えば、前記特許文献1で開示されている。このIRアブレーション層はIR吸収材料を含む。さらに、それは所望により高分子バインダ及び様々な他の成分(例、顔料分散剤、界面活性剤、可塑剤、或いは塗布助剤)を含んでいる。ところで、このようなIRアブレーション層は、生産性およびIRレーザ寿命という経済的理由から、IRを照射する時間を可能な限り短くすべきである。すなわち、IR照射に対する感度は、できる限り高い必要がある。しかしながら、上述の公報には、IRアブレーション層の感度については示唆がない。
【0006】
前記特許文献2には、可撓性フィルム形成バインダ及びカーボンブラックを含むIRアブレーション層を有する光重合性印刷版が開示されている。バインダとして、ポリアミド(例、MacromeltR)が記載されている。ところが、このバインダは、IRアブレーション層の感度が低く、画像形成速度が遅いという欠点を有している。
【0007】
水又は水系液体の現像液で現像可能な粘着防止層にカーボンブラックを配合してIRアブレーション層とし、且つ水又は水系液体の現像液で現像可能な感光性フレキソ印刷版とを組み合わせたCTP版は唯一、特許文献6に記載されているに過ぎない。ところが、この方法では水又は水系液体の現像液で感光性樹脂性層及びIRアブレーション層の双方とも現像可能ではあるのだが、IRアブレーション感度が不充分であり、未だ実用性に乏しい。
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第654150号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第767407号明細書
【特許文献3】特開昭54−110287号公報
【特許文献4】特開昭61−22339号公報
【特許文献5】特公昭59−29849号公報
【特許文献6】特許第2916408号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、感光性樹脂性層が加工性や硬化物の透明性及び低温時の弾性などに優れ、IRアブレーション層が高感度であり、且つ両層が水又は水系液体の現像液で現像可能なCTP版は、未だに解決されていない。そこで本発明は、水又は水系液体の現像液で現像でき、実用上何ら問題のない感光性CTPフレキソ印刷用原版を提供することを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意、研究、検討した結果、まず第一に感光性樹脂性層に少なくとも
(イ)乳化重合で合成された親水性共重合体
(ロ)熱可塑性エラストマー
(ハ)光重合性不飽和単量体、及び
(ニ)光重合開始剤
を含有すること、第二にIRアブレーション層のバインダーの空気中の熱分解開始温度が250℃以下であるポリビニルアルコールを用いることにより、水又は水系液体の現像液で現像でき、実用上何ら問題のない感光性CTPフレキソ印刷用原版を完成するに到った。すなわち本発明は、▲1▼少なくとも(A)支持体、(B)感光性樹脂性層、(C)IRアブレーション層を有する感光性印刷用原版であって、前記(B)感光性樹脂性層が少なくとも(イ)乳化重合で合成された親水性共重合体(ロ)熱可塑性エラストマー(ハ)光重合性不飽和単量体、及び(ニ)光重合開始剤含有し、且つ前記(C)IRアブレーション層が少なくとも1種のバインダー、少なくとも1種のIR吸収材料を含有し、該バインダーの空気中の熱分解開始温度が250℃以下であることを特徴とする感光性印刷用原版。▲2▼感光性樹脂性層の親水性共重合体(イ)がその重量100重量部に対して、反応性乳化剤を1〜20重量部、非反応性乳化剤を1重量部未満用いて乳化重合されたものである前記▲1▼記載の感光性印刷用原版。▲3▼IRアブレーション層のバインダーの極限酸素指数LOIが24以下である前記▲1▼記載の感光性印刷用原版。▲4▼IRアブレーション層のバインダーが少なくとも1種類のポリビニルアルコールを含む前記▲1▼記載の感光性印刷用原版。▲5▼IR吸収材料がカーボンブラックである前記▲1▼〜▲4▼のいずれかに記載の感光性印刷用原版である。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の感光性印刷用原版に好適な(A)支持体は、可撓性で、しかし寸法安定性に優れた材料が好ましく用いられ、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、或いはポリカーボネートを挙げることができ、これらは寸法安定性に優れた支持体材料として使用可能な、充分に高い粘弾性を有している。ここで使用されるフィルムの厚みは50〜250μm、好ましくは100〜200μmが機械的特性、形状安定化あるいは印刷版製版時の取り扱い性等から望ましい。また、必要により、支持体と感光性樹脂層との接着を向上させるために、一般に用いられる接着剤を設けても良い。
【0012】
本発明の感光性印刷用原版に用いられる(B)感光性樹脂性層の親水性共重合体(イ)とは、少なくとも親水性の不飽和単量体を用いて乳化重合して得られる。親水性の不飽和単量体には、酸性官能基含有不飽和単量体が好ましい。酸性官能基含有不飽和単量体にはカルボキシル基やスルホン酸基やリン酸基、あるいはホウ酸基を有するエチレン性不飽和単量体などが例示される。より具体的には一塩基酸単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、桂皮酸、スチレンスルホン酸およびこれらの一塩基酸単量体のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が例示できる。二塩基酸単量体としては、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、ムコン酸、およびこれらの二塩基酸単量体のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が例示できる。これらの酸性官能基含有不飽和単量体は、その1種又は2種以上を用いることができる。
【0013】
酸性官能基含有不飽和単量体の使用量は不飽和単量体全量のうち1〜30重量%が好ましく、これ以下だと水系現像が困難となり、これ以上だと感光性樹脂の吸湿量が増加したり、インキの膨潤量が増加したり、感光性樹脂の混合時の加工性が悪化したりするため好ましくない。親水性共重合体(A)の共重合に用いられる酸性官能基含有不飽和単量体以外の不飽和単量体としては、共役ジエン、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基を有するエチレン系モノカルボン酸アルキルエステル単量体、不飽和二塩基酸アルキルエステル、無水マレイン酸、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ハロゲン化ビニル類、アミノ基を有する塩基性単量体、ビニルピリジン、オレフィン、ケイ素含有α,β−エチレン性不飽和単量体、アリル化合物等が挙げられる。
【0014】
より具体的には、共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等が例示できる。芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ブロモスチレン、ビニルベンジルクロリド、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等が例示できる。
【0015】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、メトキシポリエチリングリコール(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、イソボルニル(メタ)アクリレート等が例示できる。
【0016】
水酸基を有するエチレン系モノカルボン酸アルキルエステル単量体としては例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸1−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸1−ヒドロキシプロピル、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。不飽和二塩基酸アルキルエステルとしてはクロトン酸アルキルエステル、イタコン酸アルキルエステル、フマル酸アルキルエステル、マレイン酸アルキルエステル、等を例示できる。
【0017】
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を例示できる。(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド等を例示できる。ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、ビニルブチレート、ビニルステアレート、ビニルラウレート、ビニルミリステート、ビニルプロピオネート、バーサティク酸ビニル等を例示できる。
【0018】
ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等を例示できる。ハロゲン化ビニル類としては、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等を例示できる。アミノ基を有する塩基性単量体としては、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、等を例示できる。
【0019】
オレフィンとしては、エチレン、プロピレン等を例示できる。ケイ素含有α,β−エチレン性不飽和単量体としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン等を例示できる。アリル化合物としては、アリルエステル、ジアリルフタレート、等を例示できる。その他、トリアリルイソシアヌレート等の3個以上の二重結合を有する単量体も使用できる。
【0020】
これらの単量体は単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。共役ジエンとその他の共重合可能な単量体の量比は通常5/95から95/5の間にあり、好ましくは50/50から90/10である。この範囲を超えるとフレキソ印刷用感光樹脂のゴム弾性を悪化させるため好ましくない。
【0021】
親水性共重合体(イ)は乳化重合で重合され、重合時に使用される乳化剤(界面活性剤)には、少なくとも反応性乳化剤を用いることが必須である。本発明において用いることのできる反応性乳化剤とは、分子構造中にラジカル重合性の二重結合、親水性官能基および疎水性基をそれぞれ有し、且つ一般の乳化剤と同様に、乳化、分散、および湿潤機能を持つもので、親水性共重合体を乳化重合するときに、反応性乳化剤を除いた不飽和単量体100重量部に対して、単独で0.1部以上用いることで粒径が5〜500nmの重合物が合成できる乳化(界面活性)剤である。分子構造中のラジカル重合性の二重結合の構造例としてはビニル基、アクリロイル基、あるいはメタアクリロイル基などが上げられる。分子構造中の親水性官能基の例としては硫酸基、硝酸基、燐酸基、ホウ酸基、カルボキシル基等のアニオン性基、またはアミノ基等のカチオン性基、またはポリオキシエチレン、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン等のポリオキシアルキレン鎖構造等や水酸基等が上げられる。分子構造中の疎水性基としてはアルキル基、フェニル基等が上げられる。この反応性乳化剤はその構造に含まれる親水性官能基の構造種類によりアニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤等を含みむ。また、分子構造中のラジカル重合性の二重結合、親水性官能基および疎水性基は複数の種類の構造、官能基を有することも可能である。
【0022】
このような反応性乳化剤として使用できるもののうち一般的に市販されているものを以下に示すと、アニオン界面活性剤としては、アデカリアソープSE(旭電化工業)、アクアロンHSやBCやKH(第一工業製薬)、ラテムルS(花王)、アントックスMS(日本乳化剤)、アデカリアソープSDXやPP(旭電化工業)、ハイテノールA(第一工業製薬)、エレミノールRS(三洋化成工業)、スピノマー(東洋曹達工業)など、非イオン界面活性剤としては、アクアロンRNやノイゲンN(第一工業製薬)、アデカリアソープNE(旭電化工業)などを例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。本発明において反応性乳化剤の量は、親水性共重合体(a)100重量部に対して、1〜20重量部の範囲である。反応性乳化剤の量が1重量部以上の場合に充分な画像再現性が得られ、20重量部以下の時に良好な耐印刷性が達成される。
【0023】
必要に応じて用いられる非反応性乳化剤とは、脂肪酸せっけん、ロジン酸せっけん、スルホン酸塩、サルフェート、リン酸エステル、ポリリン酸エステル、サリコジン酸アシル、等のアニオン界面活性剤、ニトリル化油脂誘導体、油脂誘導体、脂肪酸誘導体、α−オレフィン誘導体等のカチオン界面活性剤、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、プロポキシレート、脂肪族アルカノールアミド、アルキルポリグリコシド、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン界面活性剤が例示される。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
スルホン酸塩としては、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、スルホン化油脂、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン酸塩、等が挙げられる。 これらの界面活性剤の他の例としては、「界面活性剤ハンドブック(高橋、難波、小池、小林:工学図書、1972)」に記載されているものなどが挙げられる。非反応性乳化剤は、親水性共重合体(a)100重量部に対して、1重量部未満であることが必要である。1重量部未満の場合に印刷版が適切な水膨潤率を示し、インキ付着時の耐摩耗性の低下及び吸湿後の画像再現性の低下を防ぐことができる。
【0025】
親水性共重合体(イ)の乳化重合方法としては、重合可能な温度に調製された反応系にあらかじめ所定量の水、乳化剤、その他添加剤を仕込み、この系に重合開始剤および不飽和単量体、乳化剤、調整剤等を回分操作あるいは連続操作で反応系内に添加するのが一般できである。また必要に応じて反応系には所定量のシードラテックス、開始剤、不飽和単量体、その他の調整剤をあらかじめ仕込んで置くことも通常良く用いられる方法である。また不飽和単量体、乳化剤、その他の添加剤、調整剤を反応系へ添加する方法を工夫することによって、合成される親水性共重合体粒子の層構造を段階的に変える事も可能である。この場合、各層の構造を代表する物性としては、親水性、ガラス転移点、分子量、架橋密度などが上げられる。また、この層構造の段階数は特に制限されない。
【0026】
親水性共重合体(イ)の重合には、既知の連鎖移動剤を用いることができる。例をあげれば、硫黄元素を含む連鎖移動剤として、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、等のアルカンチオール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール等のチオアルキルアルコール、チオグリコール酸、チオプロピオン酸等のチオアルキルカルボン酸、チオグリコール酸オクチルエステル、チオプロピオン酸オクチルエステル等のチオカルボン酸アルキルエステル、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド等のスルフィドが挙げられる。その他に、連鎖移動剤の例としては、ターピノーレン、ジペンテン、t−テルピネンおよび四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素をあげることができる。これらの中で、アルカンチオールは連鎖移動速度が大であり、また得られる重合物の物性バランスが良いので好ましい。これらの連鎖移動剤は、単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。これらの連鎖移動剤は単量体に混合して反応系に供給するか、単独で所定の時期に所定量添加される。これらの連鎖移動剤の使用量は、親水性共重合体(イ)の重合に用いられる不飽和単量体全量のうち、好ましくは0.1〜10重量%であり、この範囲以下では感光性樹脂の混合を行うときの加工性が悪化し、この範囲の以上では分子量を著しく低下させるため好ましくない。
【0027】
親水性共重合体(イ)の重合には必要に応じて重合反応抑制剤を用いることができる。重合反応抑制剤とは、乳化重合系に添加することにより、ラジカル重合速度を低下させる化合物である。より具体的には、重合速度遅延剤、重合禁止剤、ラジカル再開始反応性が低い連鎖移動剤、およびラジカル再開始反応性が低い単量体である。重合反応抑制剤は、重合反応速度の調整およびラテックス物性の調整に用いられる。これらの重合反応抑制剤は回分操作あるいは連続操作で反応系に添加される。重合反応抑制剤を用いた場合、ラテックス被膜の強度が向上する傾向がある。反応メカニズムの詳細は不明であるが、重合反応抑制剤はポリマーの立体構造に密接に関与していると思われ、このことによりラテックス被膜の物性の調整に効果があるものと推定している。これらの重合反応抑制剤の例としては、o−,m−,あるいはp−ベンゾキノンなどのキノン類、ニトロベンゼン、o−,m−,あるいはp−ジニトロベンゼンなどのニトロ化合物、ジフェニルアミンのようなアミン類、第三ブチルカテコールのようなカテコール誘導体、1,1−ジフェニルエチレンあるいはα−メチルスチレン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンなどの1,1−ジ置換ビニル化合物、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン、シクロヘキセン等の1,2−ジ置換ビニル化合物などが挙げられる。この他にも、「POLYMER HANDBOOK 3rd Ed.(J.Brandup,E.H.Immergut:John Wiley & Sons,1989)」、「改訂高分子合成の化学(大津:化学同人、1979.)」に重合禁止剤あるいは重合抑制剤として記載されている化合物が挙げられる。これらの中でも、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(α−メチルスチレンダイマー)が反応性の点で特に好ましい。これらの重合反応抑制剤は、単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。これらの重合反応抑制剤の使用量は、親水性共重合体(イ)の重合に用いられる不飽和単量体全量のうち、10重量%以下が好ましい。これ以上では重合速度を著しく低下させるため好ましくない。
【0028】
前記ラジカル重合開始剤は、熱または還元性物質の存在下ラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤および有機系開始剤のいずれも使用できる。このようなものとしては、例えば水溶性又は油溶性のペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等、具体的にはペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイドなどがあり、また他に、POLYMER HANDBOOK (3rd edition)、J.BrandrupおよびE.H.Immergut著、John Willy&Sons刊(1989)に記載されている化合物が挙げられる。また、酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いる、いわゆるレドックス重合法を採用することもできる。これらの中で特にペルオキソ二硫酸塩が重合開始剤として好適である。この重合開始剤の使用量は、全不飽和単量体の重量に基づき、通常0.1〜5.0重量%の範囲から、好ましくは0.2〜3.0重量%の範囲から選ばれる。この範囲以下では親水性共重合体の合成時の安定性を得られ難く,この範囲以上では感光性樹脂の吸湿量が増加するため好ましくない。
【0029】
必要に応じ各種重合調整剤を添加することができる。例えば、pH調整剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどのpH調整剤を添加することができる。また、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどの各種キレート剤なども重合調整剤として添加することもできる。また、その他の添加剤としてはアルカリ感応ラテックス、ヘキサメタリン酸などの減粘剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子、増粘剤、各種老化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、ポリアクリル酸ナトリウムなどの分散剤、耐水化剤、亜鉛華等の金属酸化物、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物等の架橋剤、滑剤、保水剤等の各種添加剤を添加してもさしつかえない。これらの添加剤の添加方法は特に制限されず親水性共重合体の合成時、合成後に関わらず添加することができる。この乳化重合における重合温度は、通常60〜120℃の範囲で選ばれるが、前記レドックス重合法等により、より低い温度で重合を行っても良い。さらに酸化還元触媒として、金属触媒、例えば、2価の鉄イオン、3価の鉄イオン、銅イオンなどを共存させてもよい。
【0030】
親水性共重合体(イ)の粒子径は500nm以下が好ましく、特に100nm以下が好ましい。粒径が大きすぎると水系現像性が低下するため好ましくない。また、親水性共重合体(イ)のトルエンゲル分率は、60〜99%が好ましい。ゲル分率がこの範囲を下回ると印刷版の強度が低下し、この範囲を超えると親水性共重合体と熱可塑性エラストマーとの混合性が著しく低下する。トルエンゲル分率とは、親水性共重合体(A)の乳化重合後の濃度が約30wt%の分散液を、テフロン(登録商標)シートの上に適当量垂らし、130℃で30分間乾燥させた(イ)を0.5g取り、25℃のトルエン30mlに浸漬させ、振とう器を用いて3時間振とうさせた後に320SUSメッシュで濾過し、不通過分を130℃1時間乾燥させた後の重量を0.5(g)で割った重量分率(%)から求められる。親水性共重合体(イ)の量は、フレキソ印刷用感光性樹脂組成物100重量部に対し、20〜60重量部が望ましい。少なすぎると、水系現像性が低下するし、多すぎると、水分の吸湿性が増加したり、インキの膨潤性が増加するため好ましくない。
【0031】
熱可塑性エラストマー(ロ)には、常温付近でゴム弾性を示し、塑性変形し難く、押出機等で組成物を混合するときに熱で可塑化するエラストマーで、熱可塑性ブロック共重合体、1,2―ポリブタジエン、ポリウレタン系エラストマー等を例示することができる。
【0032】
これらのうち、熱可塑性ブロック共重合体が好ましく、この中でも、モノビニル置換芳香族炭化水素モノマーと共役ジエンモノマーを重合して得られるものがより好ましい。モノビニル置換芳香族炭化水素モノマ−としては、スチレン,α−メチルスチレン,p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン等が、また共役ジエンモノマ−としてはブタジエン,イソプレン等が用いられ、代表的な例としてはスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体や、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体などが挙げられる。ここで熱可塑性エラスマー中におけるモノビニル置換芳香族炭化水素の含量については、低い場合は感光性エラストマー組成物のコールドフローを引き起こして良好な厚み精度が得られず、また高い場合はフレキソ版の硬度が高くなりすぎて良好な印刷品質が得られないため、8〜50重量%の範囲にあることが好ましい。
【0033】
熱可塑性エラストマーの共役ジエンセグメント中のビニル結合単位はレリーフの再現性向上に寄与するが、同時にフレキソ版表面の粘着性を高める原因にもなる。この両特性のバランスをとる観点でビニルセグメントの平均比率は5〜40%が好ましく、さらに好ましい範囲としては10〜35%である。モノビニル置換芳香族炭化水素及び共役ジエンの平均含有量や、熱可塑性エラストマー中のビニル結合単位の平均比率は、IRスペクトルやNMRで求められる。熱可塑性エラストマー(ロ)の量は、フレキソ印刷用感光性樹脂組成物100重量部に対して10〜40重量部が好ましい。少なすぎると、極性のあるインキの膨潤率が増加したり、物性(伸長率(伸び))が低下するし、多すぎると水系現像性が低下するため好ましくない。本発明で使用される(ハ)の光重合性不飽和単量体とは、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸などのエステル類、アクリルアミドやメタクリルアミドの誘導体、アリルエステル、スチレン及びその誘導体、N置換マレイミド化合物を挙げられる。
【0034】
その具体的な例としては、ヘキサンジオール、ノナンジオールなどのアルカンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、あるいはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコールのジアクリレート及びジメタクリレート、あるいはトリメチロールプロパントリアクリレート及びトリメタクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート及びテトラメタクリレート等や、N,N’−ヘキサメチレンビスアクリルアミド及びメタクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアクリルフタレート、トリアリルシアヌレート、フマル酸ジエチルエステル、フマル酸ジブチルエステル、フマル酸ジオクチルエステル、フマル酸ジステアリルエステル、フマル酸ブチルオクチルエステル、フマル酸ジフェニルエステル、フマル酸ジベンジルエステル、マレイン酸ジブチルエステル、マレイン酸ジオクチルエステル、フマル酸ビス(3−フェニルプロピル)エステル、フマル酸ジラウリルエステル、フマル酸ジベヘニルエステル、N−ラウリルマレイミド等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
成分(ハ)の光重合性不飽和単量体は配合量が少なすぎると、細かい点や文字の形成性を低下させてしまう。また、配合量が多すぎると、未硬化版の貯蔵・輸送時の変形が大きくなるし、得られた版の硬度が高くなって、表面凹凸のある紙質の悪い被印刷体への印刷におけるベタ部分のインキ乗りを損なう等の弊害を生じるため、フレキソ印刷用感光性樹脂組成物100重量部に対して1〜30重量部用いるのが望ましい。
【0036】
光重合開始剤(ニ)の例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、α−メチロールベンゾイン、α−メチロールベンゾインメチルエーテル、α−メトキシベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェイニルエーテル、α−t−ブチルベンゾイン、2,2−ジメトキシフェニルアセトフェノン、2,2−ジエチキシフェニルアセトフェノン、ベンジル、ピバロイン、アンスラキノン、ベンズアンスラキノン、2−エチルアンスラキノン、2−クロルアンスラキノン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
成分(ニ)の光重合開始剤は少なすぎると、細かい点や文字の形成性を低下させてしまう。また、配合量が多すぎると、感光性樹脂組成物の紫外線等の活性光透過率を低下させることから却って露光感度を低下する弊害が現れるため、フレキソ印刷用感光性樹脂組成物100重量部に対して0.1〜10重量部用いることが望ましい。その他、本発明の感光性樹脂組成物には前記した必須成分の他に、所望に応じ種々の補助添加成分、例えば可塑剤、熱重合防止剤、紫外線吸収剤、ハレーション防止剤、光安定剤などを添加することができる。可塑剤としては、ナフテン油、パラフィン油等の炭化水素油、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエンの末端変性物、液状アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、液状スチレン−ブタジエン共重合体、数平均分子量2,000以下のポリスチレン、セバチン酸エステル、フタル酸エステルなどが上げられる。
【0038】
(B)感光性樹脂層の成分を適当に選択することにより、当該技術者は、所望の溶解度特性に従い、水溶性現像液、半水溶性現像液又は有機溶剤性現像液に可溶或いは分散する光重合性層を製造することができる。
【0039】
本発明感光性樹脂印刷用原版の主要な構成成分は、(B)感光性樹脂層の上に設けられる新規な(C)IRアブレーション層であり、少なくとも1種のバインダー、少なくとも1種のIR吸収材料を含み、バインダーの空気中の熱分解開始温度が250℃以下であることを特徴とする。IRアブレーション層は実質的に化学線を通さない(即ち化学線に対して不透明である)。一般に、化学線に対する光学濃度は、2.0を超える値であり、好ましくは2.5を超える値である。光学濃度は、画像を形成したIRアブレーション層を介して、感光性樹脂層の全露光に使用された化学線の波長又は波長範囲で得られる。IRアブレーション層は、ここでは単一層であるが、二層以上の異なるIRアブレーション層を使用することもできる。
【0040】
本発明で採用される前記バインダーは、空気中の熱分解開始温度が250℃以下であり、極限酸素指数LOIが24以下であることが好ましい。前者の熱分解開始温度は、例えば示差熱天秤TG−DTA(理学電機)で測定できる。その時の測定条件としては、標準物質にアルミナを使用し、50ml/分の空気を送風しながら、5℃/分の昇温速度で室温から500℃まで昇温する。一般に、熱分解開始温度とは、分解に伴って著しく重量が減少していく際の温度である。また、バインダーが熱分解温度の異なる2種類以上の混合物の場合には、分解温度の最も高いバインダーを本発明における熱分解開始温度と定義する。後者の極限酸素指数LOIはFenimoreおよびMartinが提唱したポリマーの燃焼を定量的に評価する方法であり、3分間燃焼させるのに必要な酸素の最小濃度であり、次式によって算出される。
極限酸素指数LOI=酸素の容積/(酸素の容積+窒素の容積)×100
【0041】
このようなバインダーとして具体的には、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシドなどが挙げられ、なかでも重合度500〜4000、好ましくは1000〜3000、ケン化度70%以上、好ましくは80〜99%、さらに好ましくは80〜90%のポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが望ましい。
【0042】
(C)IRアブレーション層中のバインダーの配合量は、IRアブレーション層中の全成分の全量に対して20〜90重量%、好ましくは30〜80重量%である。20重量%以下の場合には、IRアブレーション層の機械的強度が不足し、レーザ装置の回転ドラムにCTPフレキソ版を貼り付ける際にIRアブレーション層に亀裂が入いり、目的とするレリーフ画像が得られない。90重量%を超える場合には、IRアブレーション層の化学線に対する光学濃度が2.0未満になって、レリーフ画像にカブリが発生してしまうので好ましくない。
【0043】
(C)IRアブレーション層は、少なくとも1種のIR吸収材料を含み、これは750〜20000nmの範囲で強い吸収を有するはずの層内に均一に分散されている。好適なIR吸収材料としては、IR吸収染料(例、フタロシアニン及び置換フタロシアニン誘導体、シアニン染料、メロシアニン染料及びポリメチン染料)或いは濃色の無機顔料(例、カーボンブラック、グラファイト、酸化鉄又は酸化クロム)を挙げることができる。本発明においてはカーボンブラックの使用が、特に好ましい。カーボンブラックは、IRアブレーション層が化学線に対して不透明になり、これにより他のUV−吸収染料の添加を絶対的に不要にすることを保証する。最大カラー強度のためには小粒径を使用することが望ましい。特に、200nm未満の平均粒径のカーボンブラックの銘柄を使用することが望ましい。好適な銘柄の例としては、Bonjet Black CW−1(オリエント化学)、Bonjet Black CW−2(同)、Spezialschwarz 250(Degussa)などを挙げることができる。
【0044】
一般に、IRアブレーション層中のIR吸収材料の配合量は、IRアブレーション層の全成分の合計量に対して1〜60重量%であり、さらに10〜50重量%が好ましく、特に25〜50重量%が好ましい。1重量%未満では、IRアブレーション層の化学線に対する光学濃度が2.0未満になって、レリーフ画像にカブリが発生してしまう。また60重量%を超えると、IRアブレーション層の機械的強度が不足したり、後工程の現像で現像液の汚染や劣化を早めてしまうので好ましくない。
【0045】
(C)IRアブレーション層は、必要により追加の成分及び添加剤を含むこともできる。このような成分の例としては、顔料分散剤、フィラー、界面活性剤又は塗布助剤を挙げることができる。このような添加剤は、層に対する所望の性質に従い当業者が選択することができるが、それらがIRアブレーション層の画像形成性に悪影響を与えないことが条件となる。
【0046】
(C)IRアブレーション層の成分は、IRアブレーション層が(B)感光性樹脂層の現像溶液に溶解又は少なくとも膨潤する様に選択されることが好ましい。但し、本発明のはこの態様に限定されるものではない。
【0047】
(C)IRアブレーション層上において剥離可能可撓性カバーシートで感光性印刷用原版を覆うことが有利である。好適な剥離可能な可撓性カバーシートとしては、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルムを挙げることができる。しかしながら、このような保護カバーシートは絶対に必要というものではない。
【0048】
次に、本発明感光性樹脂印刷用原版を得る方法としては、一般に、まず支持体上に、感光性樹脂層を形成し、次いでIRアブレーション層を塗布又はラミネーション技術により施すことにより製造される。なお、市販の感光性フレキソ印刷版を使用することもできる。その場合、保護フィルムを剥がし、前記と同様にIRアブレーション層を施す。
【0049】
その後、IRアブレーション層をIRレーザにより画像用に照射して、光重合性層上にマスクを形成する。適当なIRレーザの例としては、ND/YAGレーザ(1064nm)又はダイオードレーザ(例、830nm)を挙げることができる。コンピュータ製版技術に適当なレーザシステムとは、市販されており、例えばダイオードレーザシステムOmniSetterR(Fa. Misomex;レーザ波長:830nm;作業幅:1800mm)或いはND/YAGレーザシステムdigilasR(Fa. Schepers)を挙げることができ、これらはそれぞれ回転円筒ドラム、及びその上の取り付けられたIRアブレーション層を有する感光性フレキソ印刷版からなる。画像情報は、レイアウトコンピュータからレーザ装置に直接移される。
【0050】
マスクをIRアブレーション層に書き込んだ後、感光性フレキソ印刷版にマスクを介して化学線を全面照射する。これはレーザシリンダ上において直接行うことが有利である。或いは、版は、レーザ装置から除去し、慣用の平板な照射ユニットで照射する。照射工程の間、感光性層は前の融除工程で露出した領域において重合し、一方照射光を通さないIRアブレーション層によりなお被覆されているIRアブレーション層領域では重合は起こらない。EP−A767407号公報に記載されているように、化学線の照射は、慣用の真空フレームで酸素を除去して行うことも可能であるけれども、大気酸素の存在下に行うことが有利である。
【0051】
その後、照射された版は現像され、フレキソ印刷版を得ることができる。現像工程は、慣用の現像ユニットで実施することができ、版の性質に応じて、水又は有機溶剤、これらの溶剤混合物を使用することができる。現像の間に、感光性層の非重合領域及びIRアブレーション層の残留部は除去される。IRアブレーション層を1種の溶剤又は溶剤混合物でまず除去し、別の現像剤で感光性層を現像することも可能である。現像工程後、得られた印刷版は乾燥させる。PETベースフィルム付き版の典型的な乾燥条件は、45〜80℃で15分〜4時間である。また、幾つかの後処理操作をさらに行うことができる。例えば、印刷版を非粘着性にするために、例えば殺菌灯の照射又はBr2による処理を行うことができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
本発明感光性印刷用原版を得るための一実施態様としては、例えば125μm厚みからなるポリエステル系フィルムを準備し、前述に記載のアブレーション層用コート液を105℃3分でコート・乾燥処理しアブレーション層厚み約4μmの薄層を有するカバーフィルムを作成する。次に125μm厚みのポリエチレンテレフタレートフィルムにポリエステル系接着剤が塗布された支持体を準備し、特開平10−339951号公報に記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を中心に両層材料でカレンダー加工し1.7mm厚みの感光性樹脂積層体を得て、T2サイズ(610mm×762mm)の印刷用原版を得る。次にこの原版を用いて評価パターンのデジタルデータをアブレーション層に記録し、露光・硬化および現像し印刷版を得て、水性インキの印刷用インキでコート紙に印刷する。
これらの作業で本発明感光性印刷用原版は、従来のものに比べて、デジタルデータをアブレーション層に記録する際の速度が速く、また製版時のカバー剥離作業のミスもなく、出来上がった印刷版の印刷性はインキ乗りおよび画像再現性が良好である。
【0053】
【実施例】
下記の実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(親水性共重合体の重合)
撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に水125重量部、表1に示す反応性乳化剤仕込量の50%を初期仕込みし、内温を80℃に昇温し、スチレン10重量部、ブタジエン60重量部、ブチルアクリレート23重量部、メタアクリル酸5重量部、アクリル酸2重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタン2重量部の油性混合液と、水28重量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム1.2重量部、水酸化ナトリウム0.2重量部、表1に示す反応性乳化剤仕込量の50%からなる水溶液をそれぞれ5時間および6時間かけて一定の流速で添加した。ついで、80℃の温度をそのまま1時間保って、重合反応を完了した後、冷却した。更に、生成した共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムでpHを7に調整した後スチームストリッピング法により未反応の単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過し、最終的にはろ液の固形分濃度が40重量%になるように調整して親水性共重合体溶液を得た。乳化重合した溶液を60℃で乾燥し親水性共重合体を得た。
【0054】
(感光性樹脂組成物の作製)
前記で得られた親水性共重合体35重量部と、スチレンブタジエンブロック共重合体[クレイトンD−KX405:シェル化学製]25重量部を、加圧ニーダーを用いて140℃で10分混合後に、 液状ポリブタジエン[B−2000:日本石油化学製]30重量部と、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート5重量部と、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート5重量部と、2,2−ジメトキシフェニルアセトフェノン2重量部および、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1重量部を15分かけて少しずつ加えて、加え終えてさらに10分間混練し、感光性樹脂組成物を得た。
【0055】
(IRアブレーション層の作製)
カーボンブラック、ポリビニルアルコール(日本合成化学社製ゴーセノールGH−23、熱分解開始温度220℃、極限酸素指数22.5)及び可塑剤の分散物を、表1に示す成分を用いて作製した。分散液を、ナンバー26のバーコーターでPETフィルム(厚さ125μm)に塗布し、100℃、3分間乾燥して、水を蒸発させ、平滑で無粘着の塗布膜(4.1g/m2の塗布量及び4.8の化学線領域の光学濃度)を得、つまりIRアブレーション層が設けられたカバーフィルムを得た。
【0056】
(IRアブレーション層付き感光性フレキソ印刷版の作製)
上記感光性樹脂組成物をPETフイルム(厚さ125μm)にポリエステル系接着剤が塗布された支持体と、上記で作製したIRアブレーション層を重ね合わせ、ヒートプレス機を用いて約100℃、100kg重/cm2でラミネートし、PET支持体、光重合性層及びIRアブレーション層からなる版を得た。
【0057】
(IRアブレーションの装置と操作)
上記の光重合性版からPET保護フィルムを剥離した。黒色のIRアブレーション層が光重合性版上に完全に残った。この版を、Cyrel Digital Imager Spark(BARCO社製)の回転ドラムにIRアブレーション層が表側になるように巻き付け、真空引き後、ダイオードレーザで画像形成を行った。使用した本装置のレーザ解像度は2540dpi、レーザスポット径は直径15μmであった。回転ドラムは1500rpmで回転させた。
【0058】
(IRアブレーションの条件と感度の評価方法)
レーザ出力を150mWから550mWまで50mW間隔で設定し、同一デジタル画像を順次高出力側から低出力側へアブレーションした。IRアブレーションの感度とは、一般にIRアブレーションにより目的とするデジタル画像を光重合性版上に形成させる最小のレーザ出力値で表され、その出力値が小さい程高感度であることを意味している。本実施例では、ベタ部と微小ハイライト網点部(156lpi、1%)が共に問題なく形成する最小レーザ出力値を感度の尺度とした。ベタ部と網点部(156lpi、1%)の画像形成状態は10倍のルーペで観察した。評価結果を表2に示す。
【0059】
(フレキソ印刷版の作製)
IRアブレーションした、デジタル画像マスクで覆われた感光性フレキソ印刷版全面に、化学線(光源Philips10R、365nmにおける照度7.5mW/cmを25分間照射し、その後A&V(株)製現像機(Stuck System)で、40℃、6分間現像した。現像液には、食器洗剤Cascadeを1%添加した水道水を用いた。現像工程中、IRアブレーション層の残部及び光重合性層の非照射領域は除去され、化学線の照射領域が残った。現像後、フレキソ印刷版を、60℃で20分間乾燥し、化学線で10分間照射し、最後に表面粘着を除去するため殺菌灯を7分間照射した。
【0060】
(フレキソ印刷版の評価)
10倍の拡大ルーペで印刷版を検査した。2ポイント凸及び凹文字、30μm幅の細線、100μm直径の独立点及び156lpi/1%網点全ての試験パターンが正確に形成されていた。
【0061】
実施例2
実施例1のIRアブレーション層の作製で、ナンバー14のバーコーターを使用した以外は全て実施例1と同様に行った。この時のIRアブレーション層の塗布膜は2.2g/m2、化学線領域の光学濃度は2.5であった。IRアブレーションの感度の評価結果を表2に示す。引き続き、フレキソ版を作製し、評価したところ、全ての試験パターンが正確に形成されていた。
【0062】
実施例3
実施例1のIRアブレーション層の作製で用いたポリビニルアルコール(日本合成化学社製ゴーセノールGH−23、熱分解開始温度220℃、極限酸素指数22.5)を別のポリビニルアルコール(日本合成化学社製ゴーセノールAH−26、熱分解開始温度220℃、極限酸素指数22.5)に替えた以外は全て実施例1と同様に行った。この時のIRアブレーション層の塗布膜は4.2g/m2、化学線領域の光学濃度は4.9であった。IRアブレーションの感度の評価結果を表2に示す。引き続き、フレキソ版を作製し、評価したところ、全ての試験パターンが正確に形成されていた。
【0063】
実施例4
実施例1のIRアブレーション層の作製で、ポリビニルアルコール(日本合成化学社製ゴーセノールGH−23、熱分解開始温度220℃、極限酸素指数22.5)を別のポリビニルアルコール(クラレ社製ポバールPVA−420、熱分解開始温度220℃、極限酸素指数22.5)に替えた以外は全て実施例1と同様に行った。この時のIRアブレーション層の塗布膜は4.1g/m2、化学線領域の光学濃度は4.7であった。IRアブレーションの感度の評価結果を表2に示す。引き続き、フレキソ版を作製し、評価したところ、全ての試験パターンが正確に形成されていた。
【0064】
実施例5
実施例1のIRアブレーション層の作製で、ポリビニルアルコール(日本合成化学社製ゴーセノールGH−23、熱分解開始温度220℃、極限酸素指数22.5)を別のポリビニルアルコール(クラレ社製ポバールPVA−110、熱分解開始温度210℃、極限酸素指数22.5)に替えた以外は全て実施例1と同様に行った。この時のIRアブレーション層の塗布膜は4.3g/m2、化学線領域の光学濃度は5.0であった。IRアブレーションの感度の評価結果を表2に示す。引き続き、フレキソ版を作製し、評価したところ、全ての試験パターンが正確に形成されていた。
【0065】
比較例1
実施例1のIRアブレーション層の作製で、ポリビニルアルコールの替わりにヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達社製HPC−L、熱分解開始温度265℃、極限酸素指数25)を使用した以外は全て実施例1と同様に行った。この時のIRアブレーション層の塗布膜は4.2g/m2、化学線領域の光学濃度は4.8であった。IRアブレーションの感度の評価結果を表2に示す。表2より明らかなように実施例1〜5に比較して、低感度であることが判る。
【0066】
比較例2
実施例1のIRアブレーション層の作製で、カーボンブラック、ポリアミド(Henkel社製Macromelt1R 6900、熱分解開始温度310℃、極限酸素指数28)を用いて作製した。作製した成分組成を表3に示した。この分散液を、ナンバー26のバーコーターでPETフィルム(厚さ125μm)に塗布し、110℃、3分間乾燥して、溶剤を蒸発させ、平滑で無粘着の塗布膜(4.1g/m2の塗布量及び4.8の化学線領域の光学濃度)を得た。以下、実施例1と同様に行った。IRアブレーションの感度の評価結果を表2に示す。表2より明らかなように実施例1〜5に比較して、低感度であることが判る。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【発明の効果】
以上、かかる構成よりなる本発明感光性樹脂印刷用原版のIRアブレーション層は、従来のものに比べてIRレーザ照射に対して高感度であり、CTPフレキソ版作製の生産性の向上と同時に高価なIRレーザの寿命が増し、その交換頻度の低減が可能であるため、産業界に寄与すること大である。
Claims (5)
- 少なくとも(A)支持体、(B)感光性樹脂性層、(C)IRアブレーション層を有する感光性印刷用原版であって、前記(B)感光性樹脂性層が少なくとも
(イ)乳化重合で合成された親水性共重合体
(ロ)熱可塑性エラストマー
(ハ)光重合性不飽和単量体、及び
(ニ)光重合開始剤
を含有し、且つ前記(C)IRアブレーション層が少なくとも1種のバインダー、少なくとも1種のIR吸収材料を含有し、該バインダーの空気中の熱分解開始温度が250℃以下であることを特徴とする感光性印刷用原版。 - 感光性樹脂性層の親水性共重合体(イ)がその重量100重量部に対して、反応性乳化剤を1〜20重量部、非反応性乳化剤を1重量部未満用いて乳化重合されたものであることを特徴とする請求項1記載の感光性印刷用原版。
- IRアブレーション層のバインダーの極限酸素指数LOIが24以下である請求項1記載の感光性印刷用原版。
- IRアブレーション層のバインダーが少なくとも1種類のポリビニルアルコールを含む請求項1記載の感光性印刷用原版。
- IR吸収材料がカーボンブラックである請求項1〜4のいずれかに記載の感光性印刷用原版。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002334981A JP2004170596A (ja) | 2002-11-19 | 2002-11-19 | 感光性印刷用原版 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002334981A JP2004170596A (ja) | 2002-11-19 | 2002-11-19 | 感光性印刷用原版 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004170596A true JP2004170596A (ja) | 2004-06-17 |
Family
ID=32699225
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002334981A Withdrawn JP2004170596A (ja) | 2002-11-19 | 2002-11-19 | 感光性印刷用原版 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004170596A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006163284A (ja) * | 2004-12-10 | 2006-06-22 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 感光性樹脂構成体 |
JP2007279423A (ja) * | 2006-04-07 | 2007-10-25 | Asahi Kasei Chemicals Corp | フレキソ印刷用感光性樹脂組成物 |
JP2012189848A (ja) * | 2011-03-11 | 2012-10-04 | Asahi Kasei E-Materials Corp | 凸版印刷版用感光性樹脂構成体 |
-
2002
- 2002-11-19 JP JP2002334981A patent/JP2004170596A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006163284A (ja) * | 2004-12-10 | 2006-06-22 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 感光性樹脂構成体 |
JP4606147B2 (ja) * | 2004-12-10 | 2011-01-05 | 旭化成イーマテリアルズ株式会社 | 感光性樹脂構成体 |
JP2007279423A (ja) * | 2006-04-07 | 2007-10-25 | Asahi Kasei Chemicals Corp | フレキソ印刷用感光性樹脂組成物 |
JP2012189848A (ja) * | 2011-03-11 | 2012-10-04 | Asahi Kasei E-Materials Corp | 凸版印刷版用感光性樹脂構成体 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7028560B2 (ja) | フレキソ印刷版 | |
JP3836433B2 (ja) | 改良された水系現像可能なフレキソ印刷用感光性樹脂 | |
JP5525074B2 (ja) | アブレーション層、感光性樹脂構成体、当該感光性樹脂構成体を用いた凸版印刷版の製造方法 | |
JP7104805B2 (ja) | フレキソ印刷原版及びフレキソ印刷版の製造方法 | |
WO2018186208A1 (ja) | フレキソ印刷版用感光性樹脂組成物、フレキソ印刷原版、フレキソ印刷版、及び、共重合体 | |
JP6579707B2 (ja) | フレキソ印刷用感光性樹脂組成物及びフレキソ印刷原版 | |
JP4014381B2 (ja) | フレキソ印刷用感光性樹脂組成物 | |
JP4994488B2 (ja) | フレキソ印刷用感光性樹脂組成物、及びその製造方法 | |
JP7229332B2 (ja) | フレキソ印刷原版及びフレキソ印刷版の製造方法 | |
JP2004170596A (ja) | 感光性印刷用原版 | |
JP2022066245A (ja) | フレキソ印刷原版及びフレキソ印刷版 | |
JP4627871B2 (ja) | 水系現像可能なフレキソ印刷用感光性樹脂 | |
JP2004163533A (ja) | 感光性樹脂積層体 | |
EP0501312B1 (en) | Process for treating periphery of unexposed photosensitive resin plate | |
JP2004170597A (ja) | 感光性印刷用原版 | |
JP2004317660A (ja) | 感光性樹脂用水性現像液組成物 | |
JP2019066602A (ja) | フレキソ印刷版 | |
JP2003177514A (ja) | 感光性印刷用原版 | |
JP2022119359A (ja) | フレキソ印刷原版及びフレキソ印刷原版の製造方法 | |
WO2022173000A1 (ja) | フレキソ印刷原版、フレキソ印刷版及びフレキソ印刷版の製造方法 | |
JP3938295B2 (ja) | フレキソ印刷用感光性樹脂組成物 | |
WO2022210577A1 (ja) | フレキソ印刷原版及びフレキソ印刷版の製造方法 | |
WO2023223919A1 (ja) | 感光性樹脂組成物、フレキソ印刷原版、及びフレキソ印刷版の製造方法 | |
JP2018180048A (ja) | フレキソ印刷版用感光性樹脂組成物及びその製造方法、並びにフレキソ印刷原版 | |
JP2005031186A (ja) | 感光性樹脂組成物およびそれを用いた感光性樹脂印刷原版 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051111 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20060606 |