JP4994488B2 - フレキソ印刷用感光性樹脂組成物、及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水系現像可能な印刷版用感光性樹脂組成物に関する。
通常の水系現像可能なフレキソ印刷用固体版は、寸法精度を維持する為の支持体層の上に、乳化重合などで作成した親水性共重合体、熱可塑性エラストマーなどの疎水性樹脂、光重合性不飽和単量体、及び光重合開始剤などを混合した感光性樹脂組成物層を形成し、さらにその上に感光性樹脂組成物層の粘着性を防止して透明画像担体(ネガフィルム)との接触性を良くするとともに、その透明画像担体の再使用を可能にする為、薄い可とう性フィルム層が設けられた構成体からなっているのが一般的である。
その構成体から印刷版を製造する方法としては、支持体との反対側の面に透明画像担体(ネガフィルム)を密着させ、そのフィルムを通じて活性光線を照射し、特定部分を選択的に光硬化することで画像を形成させた後、未露光部分を水系現像液を用いて除去することでレリーフを形成している。しかしながら、一般的な乳化重合で作成された親水性共重合体を用いた水系現像可能なフレキソ印刷用固体版は、大気中の水分を吸湿し組成物が濁り、光硬化した時に印刷版の画像再現性(レリーフ形状)が悪化したり、印刷版の版面がインキに膨潤し可塑化して耐刷性が低下する問題を抱えていた。
本発明における技術的課題は、上記した問題点を解決するため、以下の2つの要求を同時に満たすことができる感光性樹脂組成物を提供することである。
1)露光前の樹脂版が吸湿しても印刷版の画像再現性(レリーフ形状)が優れる。
2)水性インキを用いる印刷での耐刷性が高い。
本発明は以下の通りのものである。
1.少なくとも、
乳化重合で合成された親水性共重合体(A)、
熱可塑性エラストマー(B)、
光重合性不飽和単量体(C)、及び
光重合開始剤(D)、
を含有するフレキソ印刷用感光性樹脂組成物において、親水性共重合体(A)がその重量100重量部に対して、下記式(1)〜(2),(4),(6)〜(8)で示される反応性乳化剤の一種以上を1〜20重量部用いて乳化重合されたものであることを特徴とするフレキソ印刷用感光性樹脂組成物。
Figure 0004994488
・・・(1)
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・・・(2)
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・・・(4)
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・・・(6)
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・・・(7)
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・・・(8)2.前記親水性共重合体(A)がその重量100重量部に対して、前記反応性乳化剤の一種以上を1〜20重量部、非反応性乳化剤を0〜1重量部未満用いて乳化重合されたもの
である上記1に記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物。
3.親水性の不飽和単量体を少なくとも含む単量体混合物を乳化重合し、親水性共重合体(A)とする工程、
前記親水性共重合体(A)に、熱可塑性エラストマー(B)、光重合性不飽和単量体(C)、および光重合開始剤(D)を加えて混練する工程、
を含み、
前記親水性共重合体(A)100重量部に対して、下記式(1)〜(2),(4),(6)〜(8)で示される反応性乳化剤の一種以上を1〜20重量部用いて乳化重合する、フレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
Figure 0004994488
・・・(1)
Figure 0004994488
・・・(2)
Figure 0004994488
・・・(4)
Figure 0004994488
・・・(6)
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・・・(7)
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・・・(8)4.前記親水性共重合体(A)が、親水性共重合体(A)100重量部に対して、前記反応性乳化剤の一種以上を1〜20重量部、非反応性乳化剤を0〜1重量部未満用いて乳化重合されたものである、上記3に記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
5.前記単量体混合物が、前記親水性の不飽和単量体と、さらに、共役ジエン、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基を有するエチレン系モノカルボン酸アルキルエステル単量体、不飽和二塩基酸アルキルエステル、無水マレイン酸、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ハロゲン化ビニル類、アミノ基を有する塩基性単量体、ビニルピリジン、オレフィン、ケイ素含有α,β−エチレン性不飽和単量体、アリル化合物からなる群より選択される少なくとも一種の不飽和単量体とからなる単量体混合物である上記3または4に記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
6.前記親水性の不飽和単量体が前記単量体混合物全量のうち1〜30重量%である、上記3〜5いずれか一つに記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
7.前記フレキソ印刷用感光性樹脂組成物100重量部に対して、親水性共重合体(A)が20〜60重量部であり、熱可塑性エラストマー(B)が10〜40重量部であり、光重合性不飽和単量体が1〜30重量部であり、光重合開始剤が0.1〜10重量部である、上記3〜6いずれか一つに記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
8.乳化重合し、親水性共重合体(A)とする工程において、さらに、前記単量体混合物全量に対して連鎖移動剤0.1〜10重量%添加する、上記3〜7いずれか一つに記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
本発明のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物を用いることより、吸湿後の画像再現性が優れ、且つ水性インキ膨潤後の耐刷性を向上できる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で使用される親水性共重合体(A)とは、少なくとも親水性の不飽和単量体を用いて乳化重合して得られる。親水性の不飽和単量体には、酸性官能基含有不飽和単量体が好ましい。酸性官能基含有不飽和単量体にはカルボキシル基やスルホン酸基やリン酸基、あるいはホウ酸基を有するエチレン性不飽和単量体などが例示される。より具体的には一塩基酸単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、桂皮酸、スチレンスルホン酸、およびこれらの一塩基酸単量体のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、等が例示できる。二塩基酸単量体としては、イタコン酸、フマル酸、マレ
イン酸、シトラコン酸、ムコン酸、およびこれらの二塩基酸単量体のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、等が例示できる。これらの酸性官能基含有不飽和単量体は、その1種又は2種以上を用いることができる。
酸性官能基含有不飽和単量体の使用量は不飽和単量体全量のうち1〜30重量%が好ましく、これ以下だと水系現像が困難となり、これ以上だと感光性樹脂の吸湿量の増加したり、インキの膨潤量の増加したり、感光性樹脂の混合時の加工性が悪化したりするため好ましくない。親水性共重合体(A)の共重合に用いられる酸性官能基含有不飽和単量体以外の不飽和単量体としては、共役ジエン、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基を有するエチレン系モノカルボン酸アルキルエステル単量体、不飽和二塩基酸アルキルエステル、無水マレイン酸、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ハロゲン化ビニル類、アミノ基を有する塩基性単量体、ビニルピリジン、オレフィン、ケイ素含有α,β−エチレン性不飽和単量体、アリル化合物等があげられる。
より具体的には、共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等が例示できる。芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ブロモスチレン、ビニルベンジルクロリド、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、等が例示できる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、メトキシポリエチリングリコール(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アク
リロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、イソボルニル(メタ)アクリレート等が例示できる。
水酸基を有するエチレン系モノカルボン酸アルキルエステル単量体としては例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸1−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸1−ヒドロキシプロピル、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。不飽和二塩基酸アルキルエステルとしてはクロトン酸アルキルエステル、イタコン酸アルキルエステル、フマル酸アルキルエステル、マレイン酸アルキルエステル、等を例示できる。
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を例示できる。(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド等を例示できる。ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、ビニルブチレート、ビニルステアレート、ビニルラウレート、ビニルミリステート、ビニルプロピオネート、バーサティク酸ビニル等を例示できる。
ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等を例示できる。ハロゲン化ビニル類としては、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等を例示できる。アミノ基を有する塩基性単量体としては、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、等を例示できる。
オレフィン、としては、エチレン等を例示できる。ケイ素含有α,β−エチレン性不飽和単量体としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン等を例示できる。アリル化合物としては、アリルエステル、ジアリルフタレート、等を例示できる。その他、トリアリルイソシアヌレート等の3個以上の二重結合を有する単量体も使用できる。
これらの単量体は単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。共役ジエンとその他の共重合可能な単量体の量比は通常5/95から95/5の間にあり、好ましくは50/50から90/10である。この範囲を超えるとフレキソ印刷用感光樹脂のゴム弾性を悪化させるため好ましくない。
親水性共重合体(A)は乳化重合で重合され、重合時に使用される乳化剤(界面活性剤)には、少なくとも反応性乳化剤を用いることが必須である。本発明において用いることのできる反応性乳化剤とは、分子構造中にラジカル重合性の二重結合、親水性官能基および疎水性基をそれぞれ有し、且つ一般の乳化剤と同様に、乳化、分散、および湿潤機能を持つもので、親水性共重合体を乳化重合するときに、反応性乳化剤を除いた不飽和単量体100重量部に対して、単独で0.1部以上用いることで粒径が5〜500nmの重合物が合成できる乳化(界面活性)剤である。分子構造中のラジカル重合性の二重結合の構造例としてはビニル基、アクリロイル基、あるいはメタアクリロイル基などが上げられる。分子構造中の親水性官能基の例としては硫酸基、硝酸基、燐酸基、ホウ酸基、カルボキシル基等のアニオン性基、またはアミノ基等のカチオン性基、またはポリオキシエチレン、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン等のポリオキシアルキレン鎖構造等や水酸基等が上げられる。分子構造中の疎水性基としてはアルキル基、フェニル基等が上げられる。この反応性乳化剤はその構造に含まれる親水性官能基の構造種類によりアニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤等を含みむ。また、分子構造中の
ラジカル重合性の二重結合、親水性官能基および疎水性基は複数の種類の構造、官能基を有することも可能である。
このような反応性(乳化)界面活性剤の例を下記 [化13]〜[化18]に示す。
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本発明において反応性乳化剤として使用できるもののうち一般的に市販されているものを以下に示すと、アニオン界面活性剤としては、アデカリアソープSE(旭電化工業)、アクアロンHSやBCやKH(第一工業製薬)、ラテムルS(花王)、アントックスMS(日本乳化剤)、アデカリアソープSDXやPP(旭電化工業)、ハイテノールA(第一工業製薬)、エレミノールRS(三洋化成工業)、スピノマー(東洋曹達工業)など、非イオン界面活性剤としては、アクアロンRNやノイゲンN(第一工業製薬)、アデカリアソープNE(旭電化工業)などを例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。本発明において反応性乳化剤の量は、親水性共重合体(a)100重量部に対して、1〜20重量部の範囲である。反応性乳化剤の量が1重量部以上の場合に充分な画像再現性が得られ、20重量部以下の時に良好な耐印刷性が達成される。
本発明おいて必要に応じて用いられる非反応性乳化剤とは、脂肪酸せっけん、ロジン酸せっけん、スルホン酸塩、サルフェート、リン酸エステル、ポリリン酸エステル、サリコジン酸アシル、等のアニオン界面活性剤、ニトリル化油脂誘導体、油脂誘導体、脂肪酸誘導体、α−オレフィン誘導体等のカチオン界面活性剤、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、プロポキシレート、脂肪族アルカノールアミド、アルキルポリグリコシド、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン界面活性剤が例示される。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
スルホン酸塩としては、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、スルホン化油脂、アルキルジフェニルエー
テルジスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン酸塩、等が挙げられる。 これらの界面活性剤の他の
例としては、「界面活性剤ハンドブック(高橋、難波、小池、小林:工学図書、1972)」に記載されているものなどがあげられる。非反応性乳化剤は、親水性共重合体(a)100重量部に対して、1重量部未満であることが必要である。1重量部未満の場合に印刷版が適切な水膨潤率を示し、インキ付着時の耐摩耗性の低下及び吸湿後の画像再現性の低下を防ぐことができる。
親水性共重合体(A)の乳化重合方法としては、重合可能な温度に調製された反応系にあらかじめ所定量の水、乳化剤、その他添加剤を仕込み、この系に重合開始剤および不飽和単量体、乳化剤、調整剤等を回分操作あるいは連続操作で反応系内に添加するのが一般できである。また必要に応じて反応系には所定量のシードラテックス、開始剤、不飽和単量体、その他の調整剤をあらかじめ仕込んで置くことも通常良く用いられる方法である。また不飽和単量体、乳化剤、その他の添加剤、調整剤を反応系へ添加する方法を工夫することによって、合成される親水性共重合体粒子の層構造を段階的に変える事も可能である。この場合、各層の構造を代表する物性としては、親水性、ガラス転移点、分子量、架橋密度などが上げられる。また、この層構造の段階数は特に制限されない。
本発明に用いられる親水性共重合体(A)の重合には、既知の連鎖移動剤を用いることができる。例をあげれば、硫黄元素を含む連鎖移動剤として、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、等のアルカンチオール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール等のチオアルキルアルコール、チオグリコール酸、チオプロピオン酸等のチオアルキルカルボン酸、チオグリコール酸オクチルエステル、チオプロピオン酸オクチルエステル等のチオカルボン酸アルキルエステル、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド等のスルフィドがあげられる。その他に、連鎖移動剤の例としては、ターピノーレン、ジペンテン、t−テルピネンおよび四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素をあげることができる。これらの中で、アルカンチオールは連鎖移動速度が大であり、また得られる重合物の物性バランスが良いので好ましい。これらの連鎖移動剤は、単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。これらの連鎖移動剤は単量体に混合して反応系に供給するか、単独で所定の時期に所定量添加される。これらの連鎖移動剤の使用量は、親水性共重合体(A)の重合に用いられる不飽和単量体全量のうち、好ましくは0.1〜10重量%であり、この範囲以下では感光性樹脂の混合を行うときの加工性が悪化し、この範囲の以上では分子量を著しく低下させるため好ましくない。
本発明に用いられる親水性共重合体(A)の重合には必要に応じて重合反応抑制剤が用いることができる。重合反応抑制剤とは、乳化重合系に添加することにより、ラジカル重合速度を低下させる化合物である。より具体的には、重合速度遅延剤、重合禁止剤、ラジカル再開始反応性が低い連鎖移動剤、およびラジカル再開始反応性が低い単量体である。重合反応抑制剤は、重合反応速度の調整およびラテックス物性の調整に用いられる。これらの重合反応抑制剤は回分操作あるいは連続操作で反応系に添加される。重合反応抑制剤を用いた場合、ラテックス被膜の強度が向上する傾向がある。反応メカニズムの詳細は不明であるが、重合反応抑制剤はポリマーの立体構造に密接に関与していると思われ、このことによりラテックス被膜の物性の調整に効果があるものと推定している。これらの重合反応抑制剤の例としては、o−,m−,あるいはp−ベンゾキノンなどのキノン類、ニトロベンゼン、o−,m−,あるいはp−ジニトロベンゼンなどのニトロ化合物、ジフェニルアミンのようなアミン類、第三ブチルカテコールのようなカテコール誘導体、1,1−ジフェニルエチレンあるいはα−メチルスチレン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンなどの1,1−ジ置換ビニル化合物、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン、シクロヘキセン等の1,2−ジ置換ビニル化合物などがあげられる。この他にも、「POLYMER HANDBOOK 3rd Ed.(J.Brandup,E.H
.Immergut:John Wiley & Sons,1989)」、「改訂高分子
合成の化学(大津:化学同人、1979.)」に重合禁止剤あるいは重合抑制剤として記載されている化合物があげられる。これらの中でも、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(α−メチルスチレンダイマー)が反応性の点で特に好ましい。これらの重合反応抑制剤は、単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。これらの重合反応抑制剤の使用量は、親水性共重合体(A)の重合に用いられる不飽和単量体全量のうち、10重量%以下が好ましい。これ以上では重合速度を著しく低下させるため好ましくない。
前記ラジカル重合開始剤は、熱または還元性物質の存在下ラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤および有機系開始剤のいずれも使用できる。このようなものとしては、例えば水溶性又は油溶性のペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等、具体的にはペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイドなどがあり、また他に、POLYMER HANDBOOK (3rd edition)、J.B
randrupおよびE.H.Immergut著、John Willy&Sons刊
(1989)に記載されている化合物が挙げられる。また、酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いる、いわゆるレドックス重合法を採用することもできる。これらの中で特にペルオキソ二硫酸塩が重合開始剤として好適である。この重合開始剤の使用量は、全不飽和単量体の重量に基づき、通常0.1〜5.0重量%の範囲から、好ましくは0.2〜3.0重量%の範囲から選ばれる。この範囲以下では親水性共重合体の合成時の安定性を得られ難く,この範囲以上では感光性樹脂の吸湿量が増加するため好ましくない。
本発明においては、必要に応じ各種重合調整剤を添加することができる。例えば、pH調整剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどのpH調整剤を添加することができる。また、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどの各種キレート剤なども重合調整剤として添加することもできる。また、その他の添加剤としてはアルカリ感応ラテックス、ヘキサメタリン酸などの減粘剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子、増粘剤、各種老化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、ポリアクリル酸ナトリウムなどの分散剤、耐水化剤、亜鉛華等の金属酸化物、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物等の架橋剤、滑剤、保水剤等の各種添加剤を添加してもさしつかえない。これらの添加剤の添加方法は特に制限されず親水性共重合体の合成時、合成後に関わらず添加することができる。この乳化重合における重合温度は、通常60〜120℃の範囲で選ばれるが、前記レドックス重合法等により、より低い温度で重合を行っても良い。さらに酸化還元触媒として、金属触媒、例えば、2価の鉄イオン、3価の鉄イオン、銅イオンなどを共存させてもよい。
親水性共重合体(A)の粒子径は500nm以下が好ましく、特に100nm以下が好ましい。粒径が大きすぎると水系現像性が低下するため好ましくない。また、親水性共重合体(A)のトルエンゲル分率は、60〜99%が好ましい。ゲル分率がこの範囲を下回ると印刷版の強度が低下し、この範囲を超えると親水性共重合体と熱可塑性エラストマーとの混合性が著しく低下する。トルエンゲル分率とは、親水性共重合体(A)の乳化重合後の濃度が約30wt%の分散液を、テフロン(登録商標)シートの上に適当量垂らし、130℃で30分間乾燥させた(A)を0.5g取り、25℃のトルエン30mlに浸漬させ、振とう器を用いて3時間振とうさせた後に320SUSメッシュで濾過し、不通過分を130℃1時間乾燥させた後の重量を0.5(g)で割った重量分率(%)から求められる。親水性共重合体(A)の量は、フレキソ印刷用感光性樹脂組成物100重量部に
対し、20〜60重量部が望ましい。少なすぎると、水系現像性が低下するし、多すぎると、水分の吸湿性が増加したり、インキの膨潤性が増加するため好ましくない。
本発明で使用される(B)の熱可塑性エラストマーには、常温付近でゴム弾性を示し、塑性変形し難く、押出機等で組成物を混合するときに熱で可塑化するエラストマーで、熱可塑性ブロック共重合体、1,2―ポリブタジエン、ポリウレタン系エラストマー等を例示することができる。
これらのうち、熱可塑性ブロック共重合体が好ましく、この中でも、モノビニル置換芳香族炭化水素モノマーと共役ジエンモノマーを重合して得られるものがより好ましい。モノビニル置換芳香族炭化水素モノマ−としては、スチレン,α−メチルスチレン,p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン等が、また共役ジエンモノマ−としてはブタジエン,イソプレン等が用いられ、代表的な例としてはスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体や、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体などが挙げられる。ここで熱可塑性エラスマー中におけるモノビニル置換芳香族炭化水素の含量については、低い場合は感光性エラストマー組成物のコールドフローを引き起こして良好な厚み精度が得られず、また高い場合はフレキソ版の硬度が高くなりすぎて良好な印刷品質が得られないため、8〜50重量%の範囲にあることが好ましい。
熱可塑性エラストマーの共役ジエンセグメント中のビニル結合単位はレリーフの再現性向上に寄与するが、同時にフレキソ版表面の粘着性を高める原因にもなる。この両特性のバランスをとる観点でビニルセグメントの平均比率は5〜40%が好ましく、さらに好ましい範囲としては10〜35%である。モノビニル置換芳香族炭化水素及び共役ジエンの平均含有量や、熱可塑性エラストマー中のビニル結合単位の平均比率は、IRスペクトルやNMRで求められる。熱可塑性エラストマー(B)の量は、フレキソ印刷用感光性樹脂組成物100重量部に対して10〜40重量部が好ましい。少なすぎると、極性のあるインキの膨潤率が増加したり、物性(伸長率(伸び))が低下するし、多すぎると水系現像性が低下するため好ましくない。本発明で使用される(C)の光重合性不飽和単量体とは、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸などのエステル類、アクリルアミドやメタクリルアミドの誘導体、アリルエステル、スチレン及びその誘導体、N置換マレイ
ミド化合物をあげられる。
その具体的な例としては、ヘキサンジオール、ノナンジオールなどのアルカンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、あるいはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコールのジアクリレート及びジメタクリレート、あるいはトリメチロールプロパントリアクリレート及びトリメタクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート及びテトラメタクリレート等や、N,N’−ヘキサメチレンビスアクリルアミド及びメタクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアクリルフタレート、トリアリルシアヌレート、フマル酸ジエチルエステル、フマル酸ジブチルエステル、フマル酸ジオクチルエステル、フマル酸ジステアリルエステル、フマル酸ブチルオクチルエステル、フマル酸ジフェニルエステル、フマル酸ジベンジルエステル、マレイン酸ジブチルエステル、マレイン酸ジオクチルエステル、フマル酸ビス(3−フェニルプロピル)エステル、フマル酸ジラウリルエステル、フマル酸ジベヘニルエステル、N−ラウリルマレイミド等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(C)の光重合性不飽和単量体は配合量が少なすぎると、細かい点や文字の形成性を低下させてしまう。また、配合量が多すぎると、未硬化版の貯蔵・輸送時の変形が大きくなるし、得られた版の硬度が高くなって、表面凹凸のある紙質の悪い被印刷体への印刷
におけるベタ部分のインキ乗りを損なう等の弊害を生じるため、フレキソ印刷用感光性樹脂組成物100重量部に対して1〜30重量部用いるのが望ましい。
本発明で使用される(D)の光重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、α−メチロールベンゾイン、α−メチロールベンゾインメチルエーテル、α−メトキシベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェイニルエーテル、α−t−ブチルベンゾイン、2,2−ジメトキシフェニルアセトフェノン、2,2−ジエチキシフェニルアセトフェノン、ベンジル、ピバロイン、アンスラキノン、ベンズアンスラキノン、2−エチルアンスラキノン、2−クロルアンスラキノン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(D)の光重合開始剤は少なすぎると、細かい点や文字の形成性を低下させてしまう。また、配合量が多すぎると、感光性樹脂組成物の紫外線等の活性光透過率を低下させることから却って露光感度を低下する弊害が現れるため、フレキソ印刷用感光性樹脂組成物100重量部に対して0.1〜10重量部用いることが望ましい。その他、本発明の感光性樹脂組成物には前記した必須成分の他に、所望に応じ種々の補助添加成分、例えば可塑剤、熱重合防止剤、紫外線吸収剤、ハレーション防止剤、光安定剤などを添加することができる。可塑剤としては、ナフテン油、パラフィン油等の炭化水素油、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエンの末端変性物、液状アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、液状スチレン−ブタジエン共重合体、数平均分子量2,000以下のポリスチレン、セバチン酸エステル、フタル酸エステルなどが上げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、印刷版としての精度を維持するために、ポリエステルなどの支持体をレリーフの反対側に設けても良い。本発明の感光性樹脂組成物は、その組成によっては粘着性を生じるので、その上に重ねられる透明画担体(ネガフィルム)との接触性を良くするためと、その画像担体の再利用を可能にするために、その表面に水系で現像可能な可とう性フィルム層を設けても良い。本発明の感光性樹脂組成物は各成分を混合することにより製造することができる。その手段としては、押出機やニーダ等を用いて樹脂組成物を混合した後に、熱プレス成型やカレンダー処理または押出成型により所望の厚さの層を形成することが可能である。支持体や可とう性フィルム層は、シート成型後ロールラミネートにより感光層に密着させることができる。ラミネート後に加熱プレスして精度の良い感光層を得ることもできる。本発明の感光性樹脂組成物を光硬化するのに用いられる活性光線源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ジルコニウムランプ、太陽光などがある。本発明の感光性樹脂組成物に透明画像担体を通じて光照射して画像を形成させた後、未照射部分を水系現像液を用いて除去(現像)することでレリーフが得られる。
本発明でいう水系現像液は、水にノニオン性、アニオン性などの界面活性剤、必要に応じてPH調整剤、洗浄促進剤などを配合してなる。ノニオン性界面活性剤の具体的な例としては、ポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルアミド、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック附加物等がある。アニオン性界面活性剤の具体的な例としては、平均炭素数8〜16のアルキルを有する直鎖アルキルベンゼンスルフォン酸塩、平均炭素数10〜20のα−オレフィンスルフォン酸塩、アルキル基またはアルケニル基の炭素数が4〜10のジアルキルスルホコハク酸塩、脂肪酸低級アルキルエステルのスルフォン酸塩、平均炭素数10〜20のアルキル硫酸塩、平均炭素数10〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均0.5〜8モルのエチレンオ
キサイドを附加したアルキルエーテル硫酸塩、平均炭素数10〜22の飽和または不飽和脂肪酸塩等である。
また、PH調整剤としては、ホウ酸ソーダ、炭酸ソーダ、ケイ酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、コハク酸ソーダ、酢酸ソーダ等がある。水に溶かしやすいことからケイ酸ソーダが好ましい。さらに、洗浄助剤があるが、上記界面活性剤、PH調整剤と併用してもちいることにより、洗浄能力が高まるものである。具体的例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等のアンモニウム塩類、パラフィン系炭化水素等がある。これらは、適量の混合比で水に0.1〜50重量%、好ましくは、1〜10重量%の範囲で添加混合されて使用される。現像後は版を、オーブン中で約60℃で15〜120分間乾燥するのが一般的である。
本発明の感光性樹脂組成物は、その組成によっては乾燥が終わった後も版表面にベトツキが残っている場合がある。その場合、公知の表面処理方法により、ベトツキを除去することができる。表面処理方法としては波長300nm以下の活性光線による露光処理が望ましい。以下、参考例、実施例、及び比較例により本発明について具体的に説明する。
[参考例1;実施例1に供する親水性共重合体]
撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に水125重量部、表1に示す反応性乳化剤仕込量の50%を初期仕込みし、内温を80℃に昇温し、スチレン10重量部、ブタジエン60重量部、ブチルアクリレート23重量部、メタアクリル酸5重量部、アクリル酸2重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタン2重量部の油性混合液と、水28重量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム1.2重量部、水酸化ナトリウム0.2重量部、表1に示す反応性乳化剤仕込量の50%からなる水溶液をそれぞれ5時間および6時間かけて一定の流速で添加した。ついで、80℃の温度をそのまま1時間保って、重合反応を完了した後、冷却した。更に、生成した共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムでpHを7に調整した後スチームストリッピング法により未反応の単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過し、最終的にはろ液の固形分濃度が40重量%になるように調整して実施例1に用いる親水性共重合体溶液を得た。乳化重合した溶液を60℃で乾燥し親水性共重合体を得た。
[参考例2;実施例2〜に供する親水性共重合体]
表1に示した反応性乳化剤組成の75%を初期仕込みし、反応性乳化剤組成の残り25%を水溶液として添加すること以外は、参考例1に準じて実施例2〜に用いる親水性共重合体溶液を得た。
[参考例3;実施例に供する親水性共重合体]
表1に示した反応性乳化剤組成の90%を初期仕込し、反応性乳化剤組成の残り10%を水溶液として添加すること以外は、参考例1に準じて実施例に用いる親水性共重合体溶液を得た。
[参考例4;比較例1、2に供する親水性共重合体]
反応性乳化剤の代わりに表1に示した非反応性乳化剤を用いること以外は、参考例1に準じて比較例1、2に用いる親水性共重合体溶液を得た。
[参考例5;実施例と比較例3に供する親水性共重合体]
表2に示した反応性乳化剤組成の75%と非反応性乳化剤100%を初期仕込みし、反応性乳化剤組成の残り25%を水溶液として添加すること以外は、参考例1に準じて実施例に用いる親水性共重合体を得た。
[参考例6;感光性樹脂組成物および感光性樹脂版の作成]
参考例1〜5で得た親水性共重合体35重量部と、スチレンブタジエンブロック共重合体[クレイトンD−KX405:シェル化学製]25重量部を、加圧ニーダーを用いて140℃で10分混合後に、 液状ポリブタジエン[B−2000:日本石油化学製]30
重量部と、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート5重量部と、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート5重量部と、2,2−ジメトキシフェニルアセトフェノン2重量部および、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1重量部を15分かけて少しずつ加えて、加え終えてさらに10分間混練し、感光性樹脂組成物を得た。この組成物を取り出し、熱可塑性エラストマー含有の接着剤がコートされた厚さ100μのポリエステルフィルム(以下PETと略す)と、厚さ5μのポリビニルアルコール(PVA)層がコートされた厚さ100μのPETの間でサンドイッチしてプレス機を用いて130℃で厚み3mmの板状に成形した。
[参考例7;印刷版の作成]
参考例6で得た接着剤がコートされたPETの側から、硬化層の厚さが1.8mm程度となるように、紫外線露光機(日本電子精機製JE−A2−SS)を用いて露光した。次に、PVAがコートされた方のPETをPVAが樹脂面に残るようにして剥ぎ、印刷画像のネガを密着させ前記露光機で10分間露光した。露光後に、ネガフィルムを剥がして、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル5wt%、ホウ酸ソーダ2wt%および、炭素数10のパラフィン0.7wt%の水溶液(水系現像液)を調製し、日本電子精機製洗浄機(JOW−A3−P)を用いて、40℃で洗浄し、未露光部を除去した。乾燥後、紫外殺菌線ランプ、紫外線ケミカルランプで後露光して印刷版を作成した。
[参考例8;物性評価方法]
参考例7で得られた印刷版を以下に示す方法にて、その物性評価試験を行った。
(a)吸湿量露光前の樹脂版5×5cmを40℃80%10日間、吸湿経時した後に、中央部を1×1cmの大きさに切り抜き、カールフィッシャー(京都電子工業株、モデルADP−351)を用いて、気化温度200℃、窒素流量200ml/分、および測定時間30分で測定した。
(b)吸湿にごり露光前の樹脂版5×5cmを40℃80%10日経時した後の濁度(ヘーズ)を可視光ヘーズメータ(日本電色工業株、モデル1001DP)を用いて測定した。濁りが大きい程、濁度値(%)が大きい。樹脂版が濁ると、光(紫外線)散乱のため、凹細線の溝が浅くなるので好ましくない。
(c)吸湿前後の画像再現性(凹細線、凸細線)
露光前の乾燥した樹脂版30×30cmを40℃80%14日間経時吸湿させる前と後で、それぞれ露光し印刷版を作成し、得られたレリーフ画像の500μmの凹細線と凸細線の形状を実体顕微鏡を用いて肉眼で評価した。レリーフ画像の凹細線の溝が深く、且つ凸細線がシャープで太りがないものを○とし、凹細線の溝が浅かったり、凸細線がシャープでなく太りが認められたものを×とした。
(d)水膨潤率印刷版を、水に20℃24h浸漬させた後の重量増加(膨潤)率(%)を測定した。膨潤率は少ない方が良く、膨潤率が大きすぎると、可塑化し耐刷性が低下したり、被印刷体へのインキの付着量が多くなりすぎたりするので好ましくない。1.3%以下を合格とした。
(e)水性インキ付着膨潤後の耐刷性印刷版の版面の強さ(耐刷性)を、擬似的に、摩耗輪(テスター産業株製テーバー摩耗試験器、硬質摩耗輪)を用いて評価した。全面ベタ部の印刷版を作成し、印刷版を水性インキの代替として10%イソプロピルアルコール水溶液に16h浸漬した後に、摩耗輪を用いて1000回転後の版面の摩耗量を測定した。摩耗量は、減量分を摩耗輪がベタ部と接する面積で割って求めた。摩耗量が、10mg/c
2以上を×とした。
[実施例1〜、比較例1と2]
実施例には反応性乳化剤のみを用いて、比較例には非反応性乳化剤のみを用いて、それぞれ乳化重合した親水性共重合体で作成した感光性樹脂版の評価結果を表1に示した。
Figure 0004994488
[実施例2と、比較例3]
反応性乳化剤と非反応性乳化剤の割合を変更して、それぞれ乳化重合した親水性共重合体で作成した感光性樹脂版の評価結果を表2に示した。
Figure 0004994488

Claims (8)

  1. 少なくとも、
    乳化重合で合成された親水性共重合体(A)、
    熱可塑性エラストマー(B)、
    光重合性不飽和単量体(C)、及び
    光重合開始剤(D)、
    を含有するフレキソ印刷用感光性樹脂組成物において、親水性共重合体(A)がその重量100重量部に対して、下記式(1)〜(2),(4),(6)〜(8)で示される反応性乳化剤の一種以上を1〜20重量部用いて乳化重合されたものであることを特徴とするフレキソ印刷用感光性樹脂組成物。
    Figure 0004994488
    ・・・(1)
    Figure 0004994488
    ・・・(2)
    Figure 0004994488
    ・・・(4)
    Figure 0004994488
    ・・・(6)
    Figure 0004994488
    ・・・(7)
    Figure 0004994488
    ・・・(8)
  2. 前記親水性共重合体(A)がその重量100重量部に対して、前記反応性乳化剤の一種
    以上を1〜20重量部、非反応性乳化剤を0〜1重量部未満用いて乳化重合されたものである請求項1に記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物。
  3. 親水性の不飽和単量体を少なくとも含む単量体混合物を乳化重合し、親水性共重合体(A)とする工程、
    前記親水性共重合体(A)に、熱可塑性エラストマー(B)、光重合性不飽和単量体(C)、および光重合開始剤(D)を加えて混練する工程、
    を含み、
    前記親水性共重合体(A)100重量部に対して、下記式(1)〜(2),(4),(6)〜(8)で示される反応性乳化剤の一種以上を1〜20重量部用いて乳化重合する、フレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
    Figure 0004994488
    ・・・(1)
    Figure 0004994488
    ・・・(2)
    Figure 0004994488
    ・・・(4)
    Figure 0004994488
    ・・・(6)
    Figure 0004994488
    ・・・(7)
    Figure 0004994488
    ・・・(8)
  4. 前記親水性共重合体(A)が、親水性共重合体(A)100重量部に対して、前記反応性乳化剤の一種以上を1〜20重量部、非反応性乳化剤を0〜1重量部未満用いて乳化重合されたものである、請求項3に記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記単量体混合物が、前記親水性の不飽和単量体と、さらに、共役ジエン、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基を有するエチレン系モノカルボン酸アルキルエステル単量体、不飽和二塩基酸アルキルエステル、無水マレイン酸、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ハロゲン化ビニル類、アミノ基を有する塩基性単量体、ビニルピリジン、オレフィン、ケイ素含有α,β−エチレン性不飽和単量体、アリル化合物からなる群より選択される少なくとも一種の不飽和単量体とからなる単量体混合物である請求項3または4に記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記親水性の不飽和単量体が前記単量体混合物全量のうち1〜30重量%である、請求項3〜5いずれか一項に記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記フレキソ印刷用感光性樹脂組成物100重量部に対して、親水性共重合体(A)が20〜60重量部であり、熱可塑性エラストマー(B)が10〜40重量部であり、光重合性不飽和単量体が1〜30重量部であり、光重合開始剤が0.1〜10重量部である、請求項3〜6いずれか一項に記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
  8. 乳化重合し、親水性共重合体(A)とする工程において、さらに、前記単量体混合物全量に対して連鎖移動剤0.1〜10重量%添加する、請求項3〜7いずれか一項に記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
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