JP4994488B2 - フレキソ印刷用感光性樹脂組成物、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
1)露光前の樹脂版が吸湿しても印刷版の画像再現性(レリーフ形状)が優れる。
2)水性インキを用いる印刷での耐刷性が高い。
1.少なくとも、
乳化重合で合成された親水性共重合体(A)、
熱可塑性エラストマー(B)、
光重合性不飽和単量体(C)、及び
光重合開始剤(D)、
を含有するフレキソ印刷用感光性樹脂組成物において、親水性共重合体(A)がその重量100重量部に対して、下記式(1)〜(2),(4),(6)〜(8)で示される反応性乳化剤の一種以上を1〜20重量部用いて乳化重合されたものであることを特徴とするフレキソ印刷用感光性樹脂組成物。
である上記1に記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物。
3.親水性の不飽和単量体を少なくとも含む単量体混合物を乳化重合し、親水性共重合体(A)とする工程、
前記親水性共重合体(A)に、熱可塑性エラストマー(B)、光重合性不飽和単量体(C)、および光重合開始剤(D)を加えて混練する工程、
を含み、
前記親水性共重合体(A)100重量部に対して、下記式(1)〜(2),(4),(6)〜(8)で示される反応性乳化剤の一種以上を1〜20重量部用いて乳化重合する、フレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
5.前記単量体混合物が、前記親水性の不飽和単量体と、さらに、共役ジエン、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基を有するエチレン系モノカルボン酸アルキルエステル単量体、不飽和二塩基酸アルキルエステル、無水マレイン酸、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ハロゲン化ビニル類、アミノ基を有する塩基性単量体、ビニルピリジン、オレフィン、ケイ素含有α,β−エチレン性不飽和単量体、アリル化合物からなる群より選択される少なくとも一種の不飽和単量体とからなる単量体混合物である上記3または4に記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
6.前記親水性の不飽和単量体が前記単量体混合物全量のうち1〜30重量%である、上記3〜5いずれか一つに記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
7.前記フレキソ印刷用感光性樹脂組成物100重量部に対して、親水性共重合体(A)が20〜60重量部であり、熱可塑性エラストマー(B)が10〜40重量部であり、光重合性不飽和単量体が1〜30重量部であり、光重合開始剤が0.1〜10重量部である、上記3〜6いずれか一つに記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
8.乳化重合し、親水性共重合体(A)とする工程において、さらに、前記単量体混合物全量に対して連鎖移動剤0.1〜10重量%添加する、上記3〜7いずれか一つに記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
本発明で使用される親水性共重合体(A)とは、少なくとも親水性の不飽和単量体を用いて乳化重合して得られる。親水性の不飽和単量体には、酸性官能基含有不飽和単量体が好ましい。酸性官能基含有不飽和単量体にはカルボキシル基やスルホン酸基やリン酸基、あるいはホウ酸基を有するエチレン性不飽和単量体などが例示される。より具体的には一塩基酸単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、桂皮酸、スチレンスルホン酸、およびこれらの一塩基酸単量体のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、等が例示できる。二塩基酸単量体としては、イタコン酸、フマル酸、マレ
イン酸、シトラコン酸、ムコン酸、およびこれらの二塩基酸単量体のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、等が例示できる。これらの酸性官能基含有不飽和単量体は、その1種又は2種以上を用いることができる。
リロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、イソボルニル(メタ)アクリレート等が例示できる。
ラジカル重合性の二重結合、親水性官能基および疎水性基は複数の種類の構造、官能基を有することも可能である。
テルジスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン酸塩、等が挙げられる。 これらの界面活性剤の他の
例としては、「界面活性剤ハンドブック(高橋、難波、小池、小林:工学図書、1972)」に記載されているものなどがあげられる。非反応性乳化剤は、親水性共重合体(a)100重量部に対して、1重量部未満であることが必要である。1重量部未満の場合に印刷版が適切な水膨潤率を示し、インキ付着時の耐摩耗性の低下及び吸湿後の画像再現性の低下を防ぐことができる。
.Immergut:John Wiley & Sons,1989)」、「改訂高分子
合成の化学(大津:化学同人、1979.)」に重合禁止剤あるいは重合抑制剤として記載されている化合物があげられる。これらの中でも、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(α−メチルスチレンダイマー)が反応性の点で特に好ましい。これらの重合反応抑制剤は、単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。これらの重合反応抑制剤の使用量は、親水性共重合体(A)の重合に用いられる不飽和単量体全量のうち、10重量%以下が好ましい。これ以上では重合速度を著しく低下させるため好ましくない。
randrupおよびE.H.Immergut著、John Willy&Sons刊
(1989)に記載されている化合物が挙げられる。また、酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いる、いわゆるレドックス重合法を採用することもできる。これらの中で特にペルオキソ二硫酸塩が重合開始剤として好適である。この重合開始剤の使用量は、全不飽和単量体の重量に基づき、通常0.1〜5.0重量%の範囲から、好ましくは0.2〜3.0重量%の範囲から選ばれる。この範囲以下では親水性共重合体の合成時の安定性を得られ難く,この範囲以上では感光性樹脂の吸湿量が増加するため好ましくない。
対し、20〜60重量部が望ましい。少なすぎると、水系現像性が低下するし、多すぎると、水分の吸湿性が増加したり、インキの膨潤性が増加するため好ましくない。
ミド化合物をあげられる。
におけるベタ部分のインキ乗りを損なう等の弊害を生じるため、フレキソ印刷用感光性樹脂組成物100重量部に対して1〜30重量部用いるのが望ましい。
キサイドを附加したアルキルエーテル硫酸塩、平均炭素数10〜22の飽和または不飽和脂肪酸塩等である。
撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に水125重量部、表1に示す反応性乳化剤仕込量の50%を初期仕込みし、内温を80℃に昇温し、スチレン10重量部、ブタジエン60重量部、ブチルアクリレート23重量部、メタアクリル酸5重量部、アクリル酸2重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタン2重量部の油性混合液と、水28重量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム1.2重量部、水酸化ナトリウム0.2重量部、表1に示す反応性乳化剤仕込量の50%からなる水溶液をそれぞれ5時間および6時間かけて一定の流速で添加した。ついで、80℃の温度をそのまま1時間保って、重合反応を完了した後、冷却した。更に、生成した共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムでpHを7に調整した後スチームストリッピング法により未反応の単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過し、最終的にはろ液の固形分濃度が40重量%になるように調整して実施例1に用いる親水性共重合体溶液を得た。乳化重合した溶液を60℃で乾燥し親水性共重合体を得た。
表1に示した反応性乳化剤組成の75%を初期仕込みし、反応性乳化剤組成の残り25%を水溶液として添加すること以外は、参考例1に準じて実施例2〜3に用いる親水性共重合体溶液を得た。
表1に示した反応性乳化剤組成の90%を初期仕込し、反応性乳化剤組成の残り10%を水溶液として添加すること以外は、参考例1に準じて実施例4に用いる親水性共重合体溶液を得た。
反応性乳化剤の代わりに表1に示した非反応性乳化剤を用いること以外は、参考例1に準じて比較例1、2に用いる親水性共重合体溶液を得た。
表2に示した反応性乳化剤組成の75%と非反応性乳化剤100%を初期仕込みし、反応性乳化剤組成の残り25%を水溶液として添加すること以外は、参考例1に準じて実施例5に用いる親水性共重合体を得た。
参考例1〜5で得た親水性共重合体35重量部と、スチレンブタジエンブロック共重合体[クレイトンD−KX405:シェル化学製]25重量部を、加圧ニーダーを用いて140℃で10分混合後に、 液状ポリブタジエン[B−2000:日本石油化学製]30
重量部と、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート5重量部と、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート5重量部と、2,2−ジメトキシフェニルアセトフェノン2重量部および、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1重量部を15分かけて少しずつ加えて、加え終えてさらに10分間混練し、感光性樹脂組成物を得た。この組成物を取り出し、熱可塑性エラストマー含有の接着剤がコートされた厚さ100μのポリエステルフィルム(以下PETと略す)と、厚さ5μのポリビニルアルコール(PVA)層がコートされた厚さ100μのPETの間でサンドイッチしてプレス機を用いて130℃で厚み3mmの板状に成形した。
参考例6で得た接着剤がコートされたPETの側から、硬化層の厚さが1.8mm程度となるように、紫外線露光機(日本電子精機製JE−A2−SS)を用いて露光した。次に、PVAがコートされた方のPETをPVAが樹脂面に残るようにして剥ぎ、印刷画像のネガを密着させ前記露光機で10分間露光した。露光後に、ネガフィルムを剥がして、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル5wt%、ホウ酸ソーダ2wt%および、炭素数10のパラフィン0.7wt%の水溶液(水系現像液)を調製し、日本電子精機製洗浄機(JOW−A3−P)を用いて、40℃で洗浄し、未露光部を除去した。乾燥後、紫外殺菌線ランプ、紫外線ケミカルランプで後露光して印刷版を作成した。
参考例7で得られた印刷版を以下に示す方法にて、その物性評価試験を行った。
(a)吸湿量露光前の樹脂版5×5cmを40℃80%10日間、吸湿経時した後に、中央部を1×1cmの大きさに切り抜き、カールフィッシャー(京都電子工業株、モデルADP−351)を用いて、気化温度200℃、窒素流量200ml/分、および測定時間30分で測定した。
(b)吸湿にごり露光前の樹脂版5×5cmを40℃80%10日経時した後の濁度(ヘーズ)を可視光ヘーズメータ(日本電色工業株、モデル1001DP)を用いて測定した。濁りが大きい程、濁度値(%)が大きい。樹脂版が濁ると、光(紫外線)散乱のため、凹細線の溝が浅くなるので好ましくない。
露光前の乾燥した樹脂版30×30cmを40℃80%14日間経時吸湿させる前と後で、それぞれ露光し印刷版を作成し、得られたレリーフ画像の500μmの凹細線と凸細線の形状を実体顕微鏡を用いて肉眼で評価した。レリーフ画像の凹細線の溝が深く、且つ凸細線がシャープで太りがないものを○とし、凹細線の溝が浅かったり、凸細線がシャープでなく太りが認められたものを×とした。
(d)水膨潤率印刷版を、水に20℃24h浸漬させた後の重量増加(膨潤)率(%)を測定した。膨潤率は少ない方が良く、膨潤率が大きすぎると、可塑化し耐刷性が低下したり、被印刷体へのインキの付着量が多くなりすぎたりするので好ましくない。1.3%以下を合格とした。
(e)水性インキ付着膨潤後の耐刷性印刷版の版面の強さ(耐刷性)を、擬似的に、摩耗輪(テスター産業株製テーバー摩耗試験器、硬質摩耗輪)を用いて評価した。全面ベタ部の印刷版を作成し、印刷版を水性インキの代替として10%イソプロピルアルコール水溶液に16h浸漬した後に、摩耗輪を用いて1000回転後の版面の摩耗量を測定した。摩耗量は、減量分を摩耗輪がベタ部と接する面積で割って求めた。摩耗量が、10mg/c
m2以上を×とした。
実施例には反応性乳化剤のみを用いて、比較例には非反応性乳化剤のみを用いて、それぞれ乳化重合した親水性共重合体で作成した感光性樹脂版の評価結果を表1に示した。
反応性乳化剤と非反応性乳化剤の割合を変更して、それぞれ乳化重合した親水性共重合体で作成した感光性樹脂版の評価結果を表2に示した。
Claims (8)
- 前記親水性共重合体(A)がその重量100重量部に対して、前記反応性乳化剤の一種
以上を1〜20重量部、非反応性乳化剤を0〜1重量部未満用いて乳化重合されたものである請求項1に記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物。 - 前記親水性共重合体(A)が、親水性共重合体(A)100重量部に対して、前記反応性乳化剤の一種以上を1〜20重量部、非反応性乳化剤を0〜1重量部未満用いて乳化重合されたものである、請求項3に記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
- 前記単量体混合物が、前記親水性の不飽和単量体と、さらに、共役ジエン、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基を有するエチレン系モノカルボン酸アルキルエステル単量体、不飽和二塩基酸アルキルエステル、無水マレイン酸、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ハロゲン化ビニル類、アミノ基を有する塩基性単量体、ビニルピリジン、オレフィン、ケイ素含有α,β−エチレン性不飽和単量体、アリル化合物からなる群より選択される少なくとも一種の不飽和単量体とからなる単量体混合物である請求項3または4に記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
- 前記親水性の不飽和単量体が前記単量体混合物全量のうち1〜30重量%である、請求項3〜5いずれか一項に記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
- 前記フレキソ印刷用感光性樹脂組成物100重量部に対して、親水性共重合体(A)が20〜60重量部であり、熱可塑性エラストマー(B)が10〜40重量部であり、光重合性不飽和単量体が1〜30重量部であり、光重合開始剤が0.1〜10重量部である、請求項3〜6いずれか一項に記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
- 乳化重合し、親水性共重合体(A)とする工程において、さらに、前記単量体混合物全量に対して連鎖移動剤0.1〜10重量%添加する、請求項3〜7いずれか一項に記載のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物の製造方法。
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