JP5283701B2 - アクリル系熱可塑性樹脂、及びその成形体 - Google Patents

アクリル系熱可塑性樹脂、及びその成形体 Download PDF

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Description

本発明は、高い耐熱性と低い光弾性係数を有し、且つ、延伸によりその位相差を制御できる熱安定性に優れるアクリル系熱可塑性樹脂とそれからなる成形体に関する。
近年、液晶表示装置やプラズマディスプレイ、有機EL表示装置などのフラットパネルディスプレイや、赤外線センサー、光導波路などの進歩に伴い、用いられる光学材料には、透明性に優れるだけでなく、高い耐熱性を有し、且つ、必要とされる複屈折性を発現することが求められるようになってきている。
例えば、液晶の偏光板に用いられる偏光板保護フィルムの場合は、全光線透過率が同じであっても複屈折がより小さい光学材料が必要であり、一方、偏光板により偏光された直線偏光を円偏光にかえる機能を持つ1/4波長板の場合には、意識的に必要な大きさの複屈折を発現できる光学材料が必要である。
さらに、フラットパネルディスプレイの大型化の結果、必要とされる光学材料からなる成形体も大型化しているが、外力の偏りによって複屈折分布が生じるためにコントラストが低下するという問題がある。複屈折分布を小さくするには、外力による複屈折の変化が小さい、即ち、光弾性係数の絶対値が小さい光学材料が必要である。
ここで、光学材料が高分子である場合、例えば、押し出し成形で成形すると、溶融成形過程での高分子鎖の配向の影響が残りやすく、有意の複屈折を有した成形体が得られる。一方、キャスト成形で成形した場合には、高分子鎖の配向は起こらず複屈折を持たない成形体が得られる。いずれによる成形体も、延伸することによって任意の複屈折を生じさせることができるが、(i)少しの延伸で複屈折が大きく変化する材料は位相差の制御が難しく、又、(ii)延伸倍率が大きくないと必要とする複屈折が得られない材料は、その加工が難しいという問題点がある。
メタクリル酸メチルの単独重合体(PMMA)に代表されるメタクリル系樹脂は、透明性に優れ、且つ、その複屈折も小さいことから、様々な光学用途に使用されてきたが、耐熱性が不十分であった。同様に、スチレンの単独重合体(PS)に代表されるスチレン系樹脂も透明性に優れるが、その複屈折値が非常に大きく、かつ、耐熱性も不十分であった。
従って、新規な光学材料、例えば、1/4波長板等の位相差フィルムを作成するのに適した、適度な位相差を持ち、且つ、外力による複屈折変化がより小さく、より高い耐熱性を有する光学材料、の開発が求められている(非特許文献1、2参照)。
本発明周辺の公知技術として、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂を構成しているメタクリル酸メチル、スチレン、及び無水マレイン酸を用いてなる3元共重合体が、例えば、特許文献1〜4などに開示されている。特許文献1には、メタクリル酸メチル:60〜90質量%、スチレン:5〜20質量%、無水マレイン酸:5〜20質量%の3元共重合体が開示され、該3元共重合体におけるビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位の含有量(a)と環状酸無水物繰り返し単位の含有量(b)の重量比(a/b)が、1以上3未満であることが耐熱変形性、耐候性などの点で好ましいとの記載がある。また、特許文献2には、残留モノマーの合計が共重合体に対して1.5重量%以下であることが望ましいこと、特に、残無水マレイン酸量が多いと黄色に着色することが開示されている。開示されている実施例は、全て塊状重合法で共重合体を得ており、且つ、残留モノマーの合計は最小で0.5重量%以上である。特に、比較例である含量比(a/b)が1未満の例では、残留モノマーの合計が3重量%を超え、特に、無水マレイン酸が残留する傾向にあることが開示されている。一方、特許文献3にはメタクリル酸メチル:45〜92質量%、芳香族ビニル化合物:5〜30質量%、無水マレイン酸:3〜25質量%の3元共重合体が開示されている。その含量比(a/b)、及びその範囲から期待される効果に関する記載がないが、実施例としてa/b=14/10で1より大きい3元共重合体の記載があるのみである。同様に、特許文献4にもメタクリル酸メチル:70〜90質量%、芳香族ビニル化合物:1〜25質量%、無水マレイン酸:5〜29質量%の3元共重合体が開示されている。そのビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位の含有量(a)と環状酸無水物繰り返し単位の含有量(b)の重量比(a/b)、及びその範囲から期待される効果に関する記載がないが、実施例としてa/b=15/12で1より大きい3元共重合体の記載があるのみである。
一方、本発明のより好ましいアクリル系熱可塑性樹脂としてメタクリル酸ベンジルを第4の単量体として有する4元共重合体に関する周辺技術が、例えば、特許文献5〜8などに開示されている。特許文献5には、メタクリル酸メチルとスチレン、メタクリル酸ベンジル、無水マレイン酸等の共重合可能な単量体のいずれか一つ以上との共重合体の記載があるが、熱可塑性帯電防止積層体を構成する組成物の1つとしての記載であり、光学的特性に関しては一切言及していない。さらに、本発明に相当する4元共重合体に関する実施例もない。
また、特許文献6にスチレン類と無水マレイン酸類とメタクリル酸エステル類を含む共重合物に関する記載がある。具体的には、該共重合体中で、メタクリル酸エステル類として、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジルを共重合しても良いとの記載がある。しかし、本発明のメタクリル酸メチルとスチレン、メタクリル酸ベンジル、無水マレイン酸からなる4元共重合体に関する実施例は記載されていない。さらに、メタクリル酸エステル類としては低級アルキル基からなるエステルが好ましいとの記載もあり、本発明での芳香族基を有するメタクリレート単量体由来の繰り返し単位についてなんら示唆を与えるものではない。さらに、構成単位である無水マレイン酸の一部又は全部が加水分解物を受けた共重合体が好ましい樹脂であるとの記載もある。
また、特許文献7にスチレン類と無水マレイン酸類とメタクリル酸エステル類から選ばれる単量体を主成分とする共重合物に関する記載がある。メタクリル酸エステル類の単量体として、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジルが挙げられているが、具体的には、スチレン類とメタクリル酸エステル類からなる共重合体と無水マレイン酸類とメタクリル酸エステル類からなる共重合体のブレンド物、スチレン類と無水マレイン酸類からなる共重合体と無水マレイン酸とメタクリル酸エステルからなる共重合体のブレンド物に関しての記載であり、3種以上の単量体を同時に共重合した場合に得られる効果については言及されていない。特に、本発明の4元共重合体に関する実施例は記載されていない。共重合体中のメタクリル酸エステル類としては低級アルキル基からなるエステルが好ましいとの記載もあり、本発明での芳香族基を有するメタクリレート単量体由来の繰り返し単位についてなんら示唆を与えるものではない。さらに、構成単位である無水マレイン酸の一部又は全部が加水分解物を受けた共重合体が好ましい樹脂であるとの記載もある。
さらに、特許文献8に無水マレイン酸とアクリレートの共重合体に関する記載がある。具体的には、該共重合体中にアクリレート単量体として(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ベンジルを併用しても良いこと、及び耐熱性を損なわない範囲でその他の単量体としてスチレン類を共重合しても良いことが記載されている。しかし、本発明の4元共重合体に関する実施例は記載されていない。
特許第1704667号公報 特開昭57−153008号公報 特許第2886893号公報 特開平5−288929号公報 特開平8−85729号公報 特許第3521374号公報 特許第3711666号公報 特開2007−261265号公報
化学総説、No.39、1988(学会出版センター刊行) 月刊ディスプレイ、4月号、2005年
本発明は、高い耐熱性と低い光弾性係数を有し、且つ、延伸によりその位相差を制御できる熱安定性に優れるアクリル系熱可塑性樹脂とそれからなる成形体を提供することを目的とする。
本発明は、特定のアクリル系熱可塑性樹脂、特に共重合体100重量部に対して残存単量体の合計量が0.5重量部以下であるアクリル系熱可塑性樹脂が成形加工時の熱安定性に優れ、それからなる成形体が、従来のアクリル系熱可塑性樹脂からなる成形体と比較して格段に高い耐熱性と低い光弾性係数を有し、且つ、延伸によりその位相差を制御できることを見出しなされたものである。
すなわち、本発明は、
[1] 下記式(1)で表されるメタクリレート単量体由来の繰り返し単位:10〜70重量%、下記式(2)で表されるビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位:5〜40重量%、及び下記式(3)又は下記式(4)で表される環状酸無水物繰り返し単位:20〜50重量%を含有する共重合体であって、ビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位の含有量(A)と環状酸無水物繰り返し単位の含有量(B)のモル比(B/A)が、1より大きく、10以下の範囲にあり、且つ、該共重合体100重量部に対して残存する単量体の合計が0.5重量部以下であることを特徴とするアクリル系熱可塑性樹脂。
Figure 0005283701
(式中:Rは、水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基を表す。)
Figure 0005283701
(式中:R、Rは、それぞれ同一でも、異なっていても良く、水素原子、ハロゲン基、水酸基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ニトロ基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基を表す。lは1〜3の整数を示す。)
Figure 0005283701
Figure 0005283701
(式中:R〜Rは、それぞれ同一でも、異なっていても良く、水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
[2] さらに、下記式(5)で表される芳香族基を有するメタクリレート単量体由来の繰り返し単位:0.1〜5重量%を含有することを特徴とする[1]記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
Figure 0005283701
(式中:Rは、水素原子、ハロゲン基、水酸基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ニトロ基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基を表す。mは1〜3の整数、nは0〜2の整数を示す。)
[3] GPC測定法による重量平均分子量で10,000〜400,000、分子量分布で1.8〜3.0の範囲にあることを特徴とする[1]又は[2]に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
[4] メタクリレート単量体由来の繰り返し単位がメタクリル酸メチル、ビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位がスチレン、環状酸無水物繰り返し単位が無水マレイン酸、芳香族基を有するメタクリレート単量体由来の繰り返し単位がメタクリル酸ベンジルからそれぞれ誘導される共重合体よりなることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
[5] 下記(i)の光学的性質を満足する[1]〜[4]のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(i)光弾性係数(C)の絶対値が、2.5×10−12Pa−1未満である。
[6] さらに、下記(ii)の光学的性質を満足する[1]〜[5]のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(ii)面内方向の位相差(Re)の絶対値が、30nmを超え、300nm以下である。
[7] 下記の条件(iii)を満足することを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(iii)ガラス転移温度(Tg)が120℃以上である。
[8] さらに、下記の条件(iv)を満足することを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(iv)全光線透過率が85%以上である。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂からなる成形体。
[10] [9]記載の成形体からなるシート又はフィルム。
[11] 押し出し成形で成形されたシート又はフィルムであって、少なくとも1軸方向に延伸したものであり、かつ、その延伸倍率が0.1〜300%であることを特徴とする[10]に記載のシート又はフィルム。
[12] キャスト成形で成形されたシート又はフィルムであって、少なくとも1軸方向に延伸したものであり、かつ、その延伸倍率が0.1〜300%であることを特徴とする[10]に記載のシート又はフィルム。
[13] [10]〜[12]のいずれかに記載のシート又はフィルムからなる位相差板。
[14] [10]〜[12]のいずれかに記載のシート又はフィルムからなる位相差フィルム。
[15] 下記(v)の光学的性質を満足することを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(v)延伸した場合の複屈折(Δn(S))と延伸倍率(S)との最小二乗法近似直線関係式(a)において、傾きKの値が下記式(b)を満たす。
Δn(S)=K×S+C ・・・(a)
|K|<0.30×10−6 ・・・(b)
[16] さらに、下記(vi)の光学的性質を満足することを特徴とする[15]に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(vi)面内方向の位相差(Re)の絶対値が30nm以下である。
[17] さらに、下記(vii)の光学的性質を満足することを特徴とする[15]又は[16]に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(vii)厚み方向の位相差(Rth)の絶対値が30nm以下である。
[18] 下記の条件(viii)を満足することを特徴とする[15]〜[17]のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(viii)ガラス転移温度(Tg)が120℃以上である。
[19] さらに下記の条件(ix)を満足することを特徴とする[15]〜[18]のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(ix)全光線透過率が85%以上である。
[20] [15]〜[19]のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂からなる成形体。
[21][20]に記載の成形体からなるシート又はフィルム。
[22] 押し出し成形で成形されたシート又はフィルムであって、少なくとも1軸方向に延伸したものであり、かつ、その延伸倍率が0.1〜300%であることを特徴とする[21]に記載のシート又はフィルム。
[23] キャスト成形で成形されたシート又はフィルムであって、少なくとも1軸方向に延伸したものであり、かつ、その延伸倍率が0.1〜300%であることを特徴とする[21]に記載のシート又はフィルム。
[24] [21]〜[23]のいずれかに記載のシート又はフィルムからなる偏光板保護フィルム。
[25] [9]又は[20]に記載の成形体からなるレンズ。
[26] [10]又は[21]に記載のシート又はフィルムからなる透明プラスチック基板。
に関する。
本発明によって、成形加工時の熱安定性に優れる特定のアクリル系熱可塑性樹脂、及びそれからなる高い耐熱性と低い光弾性係数を有し、且つ、延伸によりその位相差を制御できる成形体を提供する。
[アクリル系熱可塑性樹脂]
本発明の好ましいアクリル系熱可塑性樹脂は、下記式(1)で表されるメタクリレート単量体由来の繰り返し単位:10〜70重量%、下記式(2)で表されるビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位:5〜40重量%、及び下記式(3)又は下記式(4)で表される環状酸無水物繰り返し単位:20〜50重量%からなる共重合体であって、
Figure 0005283701
(式中:Rは、水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基を表す。)
Figure 0005283701
(式中:R、Rは、それぞれ同一でも、異なっていても良く、水素原子、ハロゲン基、水酸基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ニトロ基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基を表す。lは1〜3の整数を示す。)
Figure 0005283701
Figure 0005283701
(式中:R〜Rは、それぞれ同一でも、異なっていても良く、水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
そのビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位の含有量(A)と環状酸無水物繰り返し単位の含有量(B)のモル比(B/A)が、1より大きく、10以下の範囲にあり、且つ、該共重合体100重量部に対して残存する単量体の合計が0.5重量部以下のものである。
本発明のより好ましいアクリル系熱可塑性樹脂は、さらに、下記式(5)で表される芳香族基を有するメタクリレート単量体由来の繰り返し単位:0.1〜5重量%を含有する共重合体からなる。
Figure 0005283701
(式中:Rは、水素原子、ハロゲン基、水酸基、炭素数1〜12のアルコキシ基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基を表す。mは1〜3の整数、nは0〜2の整数を示す。)
該アクリル系熱可塑性樹脂において、式(1)で表される繰り返し単位は、メタクリル酸、及びメタクリル酸エステル単量体から誘導される。使用されるメタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル;などが挙げられる。メタクリル酸、及びメタクリル酸エステルは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらメタクリル酸エステルのうち、アルキル基の炭素数が1〜7であるメタクリル酸アルキルエステルが好ましく、得られたアクリル系熱可塑性樹脂の耐熱性や透明性が優れることから、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
式(1)で表される繰り返し単位の含有割合は、透明性の観点から10〜70質量%、好ましくは25〜70質量%、より好ましくは40〜70質量%である。
式(2)で表される繰り返し単位は、芳香族ビニル単量体から誘導される。使用される単量体としては、例えば、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2−メチル−4−クロロスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α―メチルスチレン、cis−β−メチルスチレン、trans−β−メチルスチレン、4−メチル−α−メチルスチレン、4−フルオロ−α−メチルスチレン、4−クロロ−α−メチルスチレン、4−ブロモ−α−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2−フルオロスチレン、3−フルオロスチレン、4−フルオロスチレン、2,4−ジフルオロスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2−ブロモスチレン、3−ブロモスチレン、4−ブロモスチレン、2,4−ジブロモスチレン、α−ブロモスチレン、β−ブロモスチレン、2−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシスチレンなどが挙げられる。これらの芳香族ビニル単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらの単量体のうち、共重合が容易なことから、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
式(2)で表される繰り返し単位の含有割合は、透明性、耐熱性の観点から5〜40質量%、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%である。
式(3)で表される環状酸無水物繰り返し単位は、無置換及び/又は置換無水マレイン酸から誘導される。使用される単量体としては、例えば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、ジメチル無水マレイン酸、ジクロロ無水マレイン酸、ブロモ無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸、フェニル無水マレイン酸、ジフェニル無水マレイン酸などが挙げられる。これらの単量体のうち、共重合が容易なことから、無水マレイン酸が好ましい。
また、式(4)で表される環状酸無水物繰り返し単位は、後述する繰り返し単位間での縮合環化反応により誘導され、例えば、無水グルタル酸などが挙げられる。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂において、式(3)又は式(4)であらわされる環状酸無水物繰り返し単位は、空気中の湿気など外的環境により一部加水分解を受け開環する可能性がある。本発明のアクリル系熱可塑性樹脂では、光学的特性や耐熱性の観点から、その加水分解率は10モル%未満であることが望ましい。さらに5モル%未満であることが好ましく、1モル%未満であることがより好ましい。
ここで、加水分解率(モル%)は、{1−(加水分解後の環状酸無水物量(モル))/加水分解前の環状酸無水物量(モル)}×100で求められる。
式(3)又は式(4)で示される環状酸無水物繰り返し単位の含有割合は、本発明の効果である高い耐熱性と光学特性(特に、後述する位相差の制御)をより高度に達成するために、20〜50質量%、好ましくは20〜45質量%である。但し、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂中、式(2)で表されるビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位の含有量(A)と式(3)又は式(4)で表される環状酸無水物繰り返し単位の含有量(B)のモル比(B/A)は、1より大きく、10以下であり、好ましくは1より大きく、5以下である。
式(5)で表される繰り返し単位は、芳香族基を有するメタクリレート単量体から誘導される。使用される単量体としては、例えば、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸1−フェニルエチルなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの単量体のうち、メタクリル酸ベンジルが特に好ましい。
式(5)で示される繰り返し単位の含有割合は、本発明の効果である光学的特性(特に、後述する光弾性係数を極小化する)を発現させる上で、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.1〜4質量%、さらに好ましくは0.1〜3質量%である。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂は、残存する(共重合体の繰り返し単位を構成する)単量体の合計が、共重合体100重量部に対して0.5重量部以下であり、好ましくは0.4重量部以下、より好ましくは0.3重量部以下である。残存単量体の合計が、0.5重量部を超えると、成形加工時に熱時着色したり、成形品の耐熱・耐候性が低下するなど実用に適さない成形体が得られ問題である。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂のGPC測定法によるPMMA換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000〜400,000、より好ましくは40,000〜300,000、さらに好ましくは70,000〜200,000であり、その分子量分布(Mw/Mn)は好ましくは1.8〜3.0、より好ましくは1.8〜2.7、さらに好ましくは1.8〜2.5の範囲である。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、樹脂組成で任意に制御できるが、産業上の応用性の観点から、好ましくは120℃以上に制御される。より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは135℃以上に制御される。
[重合反応]
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂の重合方法として、例えば、キャスト重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、アニオン重合等の一般に行われている重合方法を用いることができるが、光学材料用途としては微小な異物の混入は出来るだけ避けるのが好ましく、この観点から懸濁剤や乳化剤を用いないキャスト重合や溶液重合を用いることが望ましい。
また、重合形式として、例えば、バッチ重合法、連続重合法のいずれも用いることができるが、より均一組成の重合物が得られる点で、連続重合法を用いることが望ましい。
重合反応時の温度や重合時間は、使用する単量体の種類や割合などに応じて変化するが、例えば、重合温度が0〜150℃、重合時間が0.5〜24時間であり、好ましくは、重合温度が80〜140℃、重合時間が1〜12時間である。
重合反応時に溶剤を使用する場合、重合溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。使用する溶剤の沸点が高すぎると、最終的に得られる光学材料用熱可塑性樹脂の残存揮発分が多くなることから、沸点が50〜200℃である溶剤が好ましい。
重合反応時には、必要に応じて、重合開始剤を添加してもよい。
重合開始剤としては、一般にラジカル重合において用いられる任意の開始剤を使用することができ、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートなどのアゾ化合物;などを挙げることができる。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の使用量は、単量体の組合せや反応条件などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは0.005〜5wt%の範囲で用いられる。
重合反応に必要に応じて用いられる分子量調節剤は、一般的なラジカル重合において用いる任意のものが使用され、例えばブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘキシル等のメルカプタン化合物が特に好ましいものとして挙げられる。これらの分子量調節剤は、重合度が上記の範囲内に制御されるような濃度範囲で添加される。
重合反応を行う際には、重合反応液のゲル化を抑制するために、重合反応液中に生成したアクリル系熱可塑性樹脂の濃度が50質量%以下となるように制御することが好ましい。具体的には、重合反応液中に生成したアクリル系熱可塑性樹脂の濃度が50質量%を超える場合には、重合溶剤を重合反応液に適宜添加して50質量%以下となるように制御することが好ましい。重合反応液中に生成したアクリル系熱可塑性樹脂の濃度は、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
但し、生産性の確保という観点から、重合反応液中に生成したアクリル系熱可塑性樹脂の濃度は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。
重合溶剤を重合反応液に適宜添加する形態としては、特に限定されるものではなく、例えば、連続的に重合溶剤を添加してもよいし、間欠的に重合溶剤を添加してもよい。このように重合反応液中に生成したアクリル系熱可塑性樹脂の濃度を制御することによって、反応液のゲル化をより充分に抑制することができる。添加する重合溶剤としては、例えば、重合反応の初期仕込み時に使用した溶剤と同じ種類の溶剤であってもよいし、異なる種類の溶剤であってもよいが、重合反応の初期仕込み時に使用した溶剤と同じ種類の溶剤を用いることが好ましい。また、添加する重合溶剤は、1種のみの単一溶剤であっても2種以上の混合溶剤であってもよい。
[縮合環化反応]
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂において、式(4)で表される環状酸無水物繰り返し単位を含有するアクリル系熱可塑性樹脂は、式(1)、式(2)又は式(1)、式(2)、式(5)で表される繰り返し単位を含有するアクリル系熱可塑性樹脂を、加熱処理することにより誘導される。
即ち、加熱処理により、式(1)、及び式(5)で表される繰り返し単位間で、
(i)カルボキシル基+カルボキシル基 → 環状酸無水物+水、
Figure 0005283701
(ii)カルボキシル基+エステル基 → 環状酸無水物+アルコール
Figure 0005283701
で表現される縮合環化反応を起こして式(4)で表される環状酸無水物繰り返し単位が生じることにより誘導されるものである。
この環状酸無水物繰り返し単位が形成されることにより、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂に高い耐熱性と所望の光学特性(例えば、低い光弾性係数)が付与される。この縮合環化反応の反応率が不充分であると、光学的性質が低下したり、耐熱性が充分に向上しない。また、成形時の加熱処理によって成形途中に縮合反応が起こり、ゲル化や水又はアルコールが生じ成形品中に泡やシルバーストリークとなって現れることがある。
縮合環化反応を促進するために加熱処理する方法としては、従来公知の方法、例えば、重合工程によって得られた、溶剤を含む重合反応液を、そのまま加熱処理する方法;溶剤の存在下、必要に応じて閉環触媒の共存下に加熱処理する方法;揮発成分を除去するための真空装置あるいは脱揮装置を備えた加熱炉や反応装置、脱揮装置を備えた押出機などを用いて加熱処理する方法などが挙げられる。
縮合環化反応を行う際には、必要に応じて、閉環触媒として、例えば、p−トルエンスルホン酸などのエステル化触媒又はエステル交換触媒;酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸などの有機カルボン酸類;特開昭61−254608号公報や特開昭61−261303号公報に開示されている塩基性化合物、有機カルボン酸塩、炭酸塩など;有機リン化合物を用いてもよい。
有機リン化合物としては、例えば、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸などのアルキル(アリール)亜ホスホン酸(ただし、これらは、互変異性体であるアルキル(アリール)ホスフィン酸になっていてもよい)及びこれらのモノエステルまたはジエステル;ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、フェニルエチルホスフィン酸などのジアルキル(アリール)ホスフィン酸及びこれらのエステル;メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、トリフルオルメチルホスホン酸、フェニルホスホン酸などのアルキル(アリール)ホスホン酸及びこれらのモノエステルまたはジエステル;メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸などのアルキル(アリール)亜ホスフィン酸及びこれらのエステル;亜リン酸メチル、亜リン酸エチル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニルなどの亜リン酸モノエステル、ジエステル又はトリエステル;リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸イソデシル、リン酸ラウリル、リン酸ステアリル、リン酸イソステアリル、リン酸フェニル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジ−2−エチルヘキシル、リン酸オクチル、リン酸ジイソデシル、リン酸ジラウリル、リン酸ジステアリル、リン酸ジイソステアリル、リン酸ジフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリイソデシル、リン酸トリラウリル、リン酸トリステアリル、リン酸トリイソステアリル、リン酸トリフェニルなどのリン酸モノエステル、ジエステル又はトリエステル;メチルホスフィン、エチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどのモノ−、ジ−又はトリ−アルキル(アリール)ホスフィン;メチルジクロロホスフィン、エチルジクロロホスフィン、フェニルジクロロホスフィン、ジメチルクロロホスフィン、ジエチルクロロホスフィン、ジフェニルクロロホスフィンなどのアルキル(アリール)ハロゲンホスフィン;酸化メチルホスフィン、酸化エチルホスフィン、酸化フェニルホスフィン、酸化ジメチルホスフィン、酸化ジエチルホスフィン、酸化ジフェニルホスフィン、酸化トリメチルホスフィン、酸化トリエチルホスフィン、酸化トリフェニルホスフィンなどの酸化モノ−、ジ−又はトリ−アルキル(アリール)ホスフィン;塩化テトラメチルホスホニウム、塩化テトラエチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウムなどのハロゲン化テトラアルキル(アリール)ホスホニウム;などが挙げられる。
これらの化合物はそれぞれ単独で用いても良いが、2種以上を併用することにより効果が大きい場合がある。
縮合環化反応の際に用いる触媒の使用量は、例えば、アクリル系熱可塑性樹脂に対して、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜2.5質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%、特に好ましくは0.05〜0.5質量%である。触媒の使用量が0.001質量%未満であると、環化縮合反応の反応率が充分に向上しないことがある。逆に、触媒の使用量が5質量%を超えると、得られたアクリル系熱可塑性樹脂が着色することや、アクリル系熱可塑性樹脂が架橋して、溶融成形が困難になることがある。
触媒の添加時期は、特に限定されるものではなく、例えば、反応初期に添加してもよいし、反応途中に添加してもよいし、それらの両方で添加してもよい。
また、縮合環化反応は、溶剤の存在下で行い、かつ、縮合環化反応の際に、脱揮工程を併用することが好ましい。この場合、縮合環化反応で副生する水又はアルコールを強制的に脱揮させて除去するので、反応の平衡が縮合環化物の生成側に有利となる。
[脱揮工程]
脱揮工程とは、(i)重合溶剤、残存単量体などの揮発分、及び/又は(ii)縮合環化反応により副生した水又はアルコールを、必要に応じて減圧加熱条件下で、除去処理する工程を意味する。この除去処理が不充分であると、得られたアクリル系熱可塑性樹脂中の残存揮発分が多くなり、成形時の変質などにより着色することや、泡やシルバーストリークなどの成形不良が起こることがある。残存揮発分量は、アクリル系熱可塑性樹脂100重量部に対して1.0重量部以下、好ましくは0.7重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下であることが望ましい。本発明でいう残存揮発分量とは、先述した重合反応時に反応しなかった残存単量体、重合溶媒、副生水、及び副生アルコールの合計量をいう。
脱揮工程に用いる装置としては、例えば、熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置;ベント付き押出機;脱揮装置と押出機を直列に配置したものなどが挙げられる。ベント付き押出機を用いる場合、ベントは1個でも複数個でもいずれでもよいが、複数個のベントを有する方が好ましい。
反応処理温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。反応処理温度が150℃未満であると、環化縮合反応が不充分となって残存揮発分が多くなることがある。逆に、反応処理温度が350℃を超えると、得られたアクリル系熱可塑性樹脂の着色や分解が起こることがある。
反応処理圧力は、好ましくは931〜1.33hPa(700〜1mmHg)、より好ましくは798〜66.5hPa(600〜50mmHg)である。反応処理圧力が931hPa(700mmHg)を超えると、水又はアルコールを含めた揮発分が残存しやすいことがある。逆に、反応処理圧力が1.33hPa(1mmHg)未満であると、工業的な実施が困難になることがある。
反応処理時間は、縮合環化率や残存揮発分の量により適宜選択されるが、得られたアクリル系熱可塑性樹脂の着色や分解を抑えるためには短いほど好ましい。
しかし、重合反応時に単量体の反応転化率が低い場合には、未反応単量体が多量に残存している。その場合、残存揮発分量を減らすには高い処理温度で、長時間処理することになるが、得られるアクリル系熱可塑性樹脂の着色や分解がひどくなるという問題がある。重合反応液が多量に未反応単量体を含む場合には、問題となる単量体を、例えば、芳香族炭化水素系溶剤、炭化水素系溶剤、またはアルコール系溶剤などを添加した後、ホモジナイザー(乳化分散)処理を行い、未反応単量体を液-液抽出、固-液抽出する前処理を施し、重合反応液から分離できる。次いで、単量体分離後の重合反応液を脱揮処理すると、得られるアクリル系熱可塑性樹脂100重量部中に残存する単量体の合計を0.5重量部以下に抑えられる。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂に含まれる異物数は、光学用に用いる場合少ないほど好ましい。異物数を減少させる方法としては、重合反応工程、縮合環化反応工程、脱揮工程、及び成形工程において、該アクリル系熱可塑性樹脂の溶液または溶融液を、例えば、濾過精度1.5〜15μmのリーフディスク型ポリマーフィルターなどで濾過する方法が挙げられる。
[成形体および組成物]
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂を成形体、例えば、シート又はフィルムに成形加工する際には、押出成形、キャスト成形等の手法が用いられる。例えば、Tダイ、円形ダイ等が装着された押出機等を用いて、未延伸のシート又はフィルムを押し出し成形することができる。押し出し成形時に、各種添加剤、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂以外の樹脂の溶融混錬を経て成形することもできる。
また、例えばクロロホルム、二塩化メチレン等の溶媒を用いて、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂を溶解後、キャスト乾燥固化することにより未延伸のシート又はフィルムをキャスト成形することができる。本発明において、シートは300μmを超える厚さのものをいい。一方、フィルムは300μm以下の厚さのもので、好ましくは1μm以上、さらに好ましくは5μm以上の厚さがあることが望ましい。
本発明において、延伸は押し出し成形、キャスト成形に連続して行うことができる。例えば、フィルムの場合、未延伸フィルムを機械的流れ方向に縦一軸延伸、機械的流れ方向に直行する方向に横一軸延伸することができ、またロール延伸とテンター延伸の逐次2軸延伸法、テンター延伸による同時2軸延伸法、チューブラー延伸による2軸延伸法等によって延伸することにより2軸延伸フィルムを製造することができる。延伸を行うことにより、フィルムの強度を向上させることができる。
最終的な延伸倍率は得られた成形体の熱収縮率より判断することができる。延伸倍率は少なくともどちらか一方向に0.1%以上300%以下であることが好ましく、0.2%以上290%以下であることがさらに好ましく、0.3%以上280%以下であることがとりわけ好ましい。この範囲に設計することにより、複屈折、耐熱性、強度の観点で好ましい延伸成形体が得られる。
本発明において、成形体がフィルムの場合、その光学的等方性や機械的特性を安定化させるために、延伸処理後に熱処理(アニーリング)などを行うことができる。
熱処理の条件は、従来公知の延伸フィルムに対して行われる熱処理の条件と同様に適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる成形体、例えば、シート又はフィルムには、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、種々の添加剤を含有していてもよい。添加剤の種類は、樹脂やゴム状重合体の配合に一般的に用いられるものであれば特に制限はない。
例えば、無機充填剤、酸化鉄等の顔料、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤、離型剤、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の軟化剤・可塑剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、りん系熱安定剤等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤、着色剤、その他添加剤或いはこれらの混合物等が挙げられる。
添加剤の含有割合は、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜2質量%、さらに好ましくは0〜1質量%である。
また、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる成形体、例えば、シート又はフィルムには、本発明の目的を損なわない範囲で、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/メタアクリル酸共重合体等のスチレン系樹脂;ポリメタアクリル酸エステル系樹脂;ポリアミド;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリスルホン;ポリフェニレンオキサイド;ポリイミド;ポリエーテルイミド;ポリアセタール;環状オレフィン系樹脂;ノルボルネン系樹脂;トリアセチルセルロースなどのセルロース樹脂等の熱可塑性樹脂、およびフェノール樹脂;メラミン樹脂;シリコーン樹脂;エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂などの少なくとも1種以上を混合することができる。
本発明の成形体、例えば、シート又はフィルムは、反射防止処理、透明導電処理、電磁波遮蔽処理、ガスバリア処理等の表面機能化処理をすることもできる。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂は、ディスプレイ基板、レンズ、太陽電池に用いられる透明基板等の成形体として好適に用いることができる。その他にも、光通信システム、光交換システム、光計測システムの分野において、導波路、レンズ、光ファイバー、光ファイバーの被覆材料、LEDのレンズ、レンズカバー等の成形体に用いることができる。
[光学フィルム]
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなるフィルムは、光学フィルムとして用いることができる。光学フィルムには、産業的応用上、その光学特性として複屈折が必要な用途と必要でない用途が存在する。複屈折を必要とする用途は、例えば位相差板、位相差フィルム(光学フィルムA)であり、複屈折を必要としない用途は、例えば偏光板保護フィルム(光学フィルムB)である。
(a)光学フィルムA
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる光学フィルムAは、下記(i)の光学的性質を満足する。
(i)光弾性係数(C)の絶対値が2.5×10−12Pa−1未満である。
好ましくは、下記(ii)の光学的性質を満足する。
(ii)面内方向の位相差(Re)の絶対値が、30nmを超え、300nm以下である。
さらに、下記(iii)の条件を満足する。
(iii)ガラス転移温度(Tg)が120℃以上である。
さらに好ましくは、下記の条件(iv)を満足する。
(iv)全光線透過率が85%以上である。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる光学フィルムAの光弾性係数(C)の絶対値は2.5×10−12Pa−1未満であることが好ましい。より好ましくは2.0×10−12Pa−1以下、さらに好ましくは1.0×10−12Pa−1以下である。
光弾性係数に関しては種々の文献に記載があり(例えば化学総説,No.39,1998(学会出版センター発行)参照)、下式により定義されるものである。
=|Δn|/σ
|Δn|=nx−ny
(式中、C:光弾性係数、σ:伸張応力、|Δn|:複屈折の絶対値、nx:伸張方向の屈折率、ny:伸張方向と垂直な屈折率)
光弾性係数の値がゼロに近いほど外力による複屈折の変化が小さいことを示しており、各用途において設計された複屈折の変化が小さいことを意味する。
光学フィルムAで必要とされる複屈折は、位相差フィルムを想定した場合、適用する液晶モードの要求により、面内方向の位相差(Re)として、その絶対値は30nmを超え、300nm以下の範囲に設計される。例えば、1/4波長板を想定した場合には、必要とされる位相差(Re)の絶対値は、100nm以上180nm以下、好ましくは120nm以上160nm以下、より好ましくは130nm以上150nm以下である。また、1/2波長板を想定した場合は、必要な位相差(Re)の絶対値は、240nm以上320nm以下、好ましくは260nm以上300nm以下、より好ましくは270nm以上290nm以下である。
光学フィルムAの複屈折は、(i)本発明のアクリル系熱可塑性樹脂の組成制御、又は、(ii)成形後の延伸加工による高分子鎖の配向制御、さらに、(i)と(ii)の組み合わせのいずれかの方法によって制御される。
一般的に、延伸加工は、複屈折制御に限らず、フィルムの機械強度を高めることを目的に実施される場合がある。複屈折の付与、機械強度の付与のいずれを目的にするとしても、少しの延伸により複屈折が大きく変化する材料は、結果として必要とする位相差への制御が難しいという問題点がある。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる光学フィルムAのガラス転移温度(Tg)は、120℃以上であることが好ましい。より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは135℃以上である。ガラス転移温度が120℃に満たない場合、使用環境温度下の寸法安定性に劣るなど高い耐熱性を要求される用途に使用できないことがある。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる光学フィルムAの全光線透過率は85%以上であることが好ましい。より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。全光線透過率が85%未満であると、透明性が低下し、高い透明性を要求される用途に使用できないことがある。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる光学フィルムAは、従来存在していたアクリル系熱可塑性樹脂からなるフィルムに比べ格段に高い耐熱性と低い光弾性係数を有し、且つ、延伸によりその位相差を容易に制御できることで特徴付けられる。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる光学フィルムAは、主として複屈折を必要とする用途、例えば、位相差フィルム(具体的には、TN、VA、IPS、OCB等の各種液晶モードに用いられる視野角制御フィルム等の液晶光学補償フィルム)、1/4波長板、1/2波長板等の位相差板、などに適している。
(b)光学フィルムB
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂を成形してなる光学フィルムで、下記光学的性質(i)を満足する光学フィルムB。
(i)光弾性係数(C)の絶対値が2.5×10−12Pa−1未満である。
さらに、好ましくは光学的性質(ii)を満足する。
(ii)延伸した場合の複屈折(Δn(S))と延伸倍率(S)との最小二乗法近似直線関係式(a)において、傾きKの値が下記式(b)を満たす。
Δn(S)=K×S+C ・・・(a)
|K|<0.30×10−6 ・・・(b)
さらに、好ましくは光学的性質(iii)を満足する:
(iii)面内方向の位相差(Re)の絶対値が30nm以下である。
さらに、好ましくは光学的性質(iv)を満足する:
(iv)厚み方向の位相差(Rth)の絶対値が30nm以下である。
さらに、好ましくは光学的性質(v)を満足する:
(v)面内方向の位相差(Re)と厚み方向の位相差(Rth)との比(Rth/Re)が次の関係式(c)を満たす。
0.1<Rth/Re<1 ・・・(c)
さらに、好ましくは下記条件(vi)を満足する:
(vi)ガラス転移温度(Tg)が120℃以上である。
さらに、好ましくは下記条件(vii)を満足する:
(vii)全光線透過率が85%以上である。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる光学フィルムBの光弾性係数(C)の絶対値は2.5×10−12Pa−1以下であることが好ましい。より好ましくは2.0×10−12Pa−1以下、さらに好ましくは1.0×10−12Pa−1以下である。
光弾性係数に関しては種々の文献に記載があり(例えば化学総説,No.39,1998(学会出版センター発行)参照)、下式により定義されるものである。
=|Δn|/σ
|Δn|=nx−ny
(式中、C:光弾性係数、σ:伸張応力、|Δn|:複屈折の絶対値、nx:伸張方向の屈折率、ny:伸張方向と垂直な屈折率)
光弾性係数の値がゼロに近いほど外力による複屈折の変化が小さいことを示しており、各用途において設計された複屈折の変化が小さいことを意味する。
産業的に利用する際、フィルムの機械的強度を高めることを目的に延伸加工することが好まれるが、延伸によって生じる配向で複屈折が増大してしまうおそれがある。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる光学フィルムBは、延伸した場合の複屈折(Δn(S))と延伸倍率(S)との最小二乗法近似直線関係式(a)において、傾きKの値が下記式(b)を満たす。
Δn(S)=K×S+C ・・・(a)
|K|<0.30×10−6 ・・・(b)
この傾きKの値は、延伸倍率(S)に対する複屈折(Δn(S))の増加の大きさを表し、Kが大きい程延伸に対する複屈折の増加量が大きく、Kが小さい程延伸に対する複屈折の増加量が小さいことを意味する。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる光学フィルムBの好ましいKの値の範囲は、|K|<0.30×10−6である。好ましくは|K|<0.15×10−6であり、より好ましくは、|K|<0.10×10−6である。
ここでKの値は、熱可塑性樹脂のDSC測定によるガラス転移温度(Tg)を測定し(Tg+20)℃の延伸温度で、かつ500mm/minの延伸速度で延伸を行ったときの値である。一般に、延伸速度を遅くすると複屈折の増加量は小さくなることが知られている。なお、Kの値は、例えば延伸倍率(S)を100倍、200倍、300倍とした場合における複屈折(Δn(S))の値を測定し、これらの値を最小二乗法近似することにより算出することができる。また、延伸倍率(S)とは、延伸前のチャック間距離をL、延伸後のチャック間距離をLとすると、以下の式で表される値である。
Figure 0005283701
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる光学フィルムBの面内方向の厚さ100μmあたりの位相差(Re)の絶対値は30nm以下である。好ましくは20nm以下、より好ましくは15nm以下、特に好ましくは11nm以下である。位相差の絶対値は、複屈折の大小を表す指標である。従って、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる光学フィルムBの複屈折は小さい。一方、面内方向の厚さ100μmあたりの位相差が30nmを超える場合は、屈折率の異方性が高いことを意味し、低複屈折性を要求される用途に使用できないことがある。
一般に、熱可塑性樹脂からなる光学フィルムは、延伸によりその位相差が増大することが知られている。例えば、光学フィルムの機械的強度を向上させるために延伸加工をする場合があるが、得られた延伸光学フィルムの面内方向の厚さ100μmあたりの位相差が30nmを超える場合は、低複屈折性フィルムが得られたことにならない。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる光学フィルムBの厚み方向の厚さ100μmあたりの位相差(Rth)の絶対値は30nm以下である。好ましくは20nm以下、より好ましくは15nm以下、特に好ましくは11nm以下である。この厚み方向の位相差は、例えば、光学フィルムを組み込んだ表示装置の視野角特性と相関する指標である。具体的には、厚み方向の位相差の絶対値が小さいほど視野角特性は良好であり、見る角度による表示色の色調変化、コントラストの低下が小さい。光学フィルムの有する厚み方向に位相差(Rth)の絶対値は小さい。
光学フィルムBのガラス転移温度(Tg)は、120℃以上であることが好ましい。より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは135℃以上である。ガラス転移温度が120℃に満たない場合、使用環境温度下の寸法安定性に劣るなど高い耐熱性を要求される用途に使用できないことがある。
光学フィルムBの全光線透過率は85%以上であることが好ましい。より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。全光線透過率が85%未満であると、透明性が低下し、高い透明性を要求される用途に使用できないことがある。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる光学フィルムBの光学的性質は、フィルム面内方向、フィルム厚み方向ともに複屈折が極めて小さく(近似的にはゼロ)、低光弾性係数も極めて小さい(近似的にはゼロ)ことで特徴付けられ、従来公知の樹脂では達成できない光学的に完全な等方性を実現している。さらに、高い耐熱性も実現している。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる光学フィルムBは、主として複屈折を必要としない用途、例えば偏光板保護フィルム等に適している。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
本願発明に用いられる各測定値の測定方法は次のとおりである。
(a)熱可塑性樹脂の解析
(1)繰り返し単位
H−NMR測定より、(i)メタクリレート単量体由来の繰り返し単位、(ii)ビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位、(iii)芳香族基を有するメタクリレート単量体由来の繰り返し単位、及び(iv)酸無水物繰り返し単位を同定し、その存在量を算出した。
測定機器:ブルーカー株式会社製 DPX−400
測定溶媒:CDCl、又はd−DMSO
測定温度:40℃
(2)ガラス転移温度
ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(パーキンエルマージャパン(株)製 Diamond DSC)を用いて、窒素ガス雰囲気下、α−アルミナをリファレンスとし、JIS−K−7121に準拠して、試料約10mgを常温から200℃まで昇温速度10℃/minで昇温して得られたDSC曲線から中点法で算出した。
(3)分子量
重量平均分子量、及び数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(東ソー(株)製 HLC−8220)を用いて、溶媒はテトラヒドロフラン、設定温度40℃で、市販標準PMMA換算により求めた。
(b)光学特性評価
(1)光学フィルムサンプルの作製
(a)プレスフィルムの成型
真空圧縮成型機((株)神藤金属工業所製 SFV?30型)を用いて、大気圧下、260℃、で25分間予熱後、真空下(約10kPa)、260℃、約10MPaで5分間圧縮してプレスフィルムを成型した。
(b)延伸フィルムの成型
インストロン社製5t引張り試験機を用いて、延伸温度(Tg+20)℃、延伸速度(500mm/分)で一軸フリー延伸して延伸フィルムを成形した。延伸倍率は、100%、200%、及び300%で延伸した。
(2)複屈折の測定
大塚電子製RETS−100を用いて、回転検光子法により測定を行った。複屈折の値は、波長550nm光の値である。複屈折(Δn)は、以下の式により計算した。
Δn=nx−ny
(Δn:複屈折、nx:伸張方向の屈折率、ny:伸張方向と垂直な屈折率)
複屈折(Δn)の絶対値(|Δn|)は、以下のように求めた。
|Δn|=|nx−ny|
(3)位相差の測定
<面内の位相差>
大塚電子(株)製RETS−100を用いて、回転検光子法により波長400〜800nmの範囲について測定を行った。
複屈折の絶対値(|Δn|)と位相差(Re)は以下の関係にある。
Re=|Δn|×d
(|Δn|:複屈折の絶対値、Re:位相差、d:サンプルの厚み)
また、複屈折の絶対値(|Δn|)は以下に示す値である。
|Δn|=|nx−ny|
(nx:延伸方向の屈折率、ny:面内で延伸方向と垂直な屈折率)
<厚み方向の位相差>
王子計測機器(株)製位相差測定装置(KOBRA−21ADH)を用いて、波長589nmにおける位相差を測定し、得られた値をフィルムの厚さ100μmに換算して測定値とした。
複屈折の絶対値(|Δn|)と位相差(Rth)は以下の関係にある。
Rth=|Δn|×d
(|Δn|:複屈折の絶対値、Rth:位相差、d:サンプルの厚み)
また、複屈折の絶対値(|Δn|)は以下に示す値である。
|Δn|=|(nx+ny)/2-nz|
(nx:延伸方向の屈折率、ny:面内で延伸方向と垂直な屈折率、nz:面外で延伸方向と垂直な厚み方向の屈折率)
(理想となる、3次元方向について完全等方的等方性であるフィルムでは、面内位相差(Re)、厚み方向位相差(Rth)ともに0となる。)
(4)光弾性係数の測定
Polymer Engineering and Science 1999, 39, 2349-2357に詳細について記載のある複屈折測定装置を用いた。レーザー光の経路にフィルムの引張り装置を配置し、23℃で伸張応力をかけながら複屈折を測定した。伸張時の歪速度は50%/分(チャック間:50mm、チャック移動速度:5mm/分)、試験片幅は6mmで測定を行った。複屈折の絶対値(|Δn|)と伸張応力(σ)の関係から、最小二乗近似によりその直線の傾きを求め光弾性係数(C)を計算した。計算には伸張応力が2.5MPa≦σ≦10MPaの間のデータを用いた。
=|Δn|/σ
|Δn|=|nx−ny|
(C:光弾性係数、σ:伸張応力、|Δn|:複屈折の絶対値、nx:伸張方向の屈折率、ny:伸張方向と垂直な屈折率)
[アクリル系熱可塑性樹脂]
メタクリル酸メチル/スチレン/無水マレイン酸
[実施例1]
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素ガス導入ノズル、原料溶液導入ノズル、開始剤溶液導入ノズル、及び重合溶液排出ノズルを備えたジャケット付ガラス反応器(容量1L)を用いた。重合反応器の圧力は、微加圧、反応温度は100℃に制御した。
メタクリル酸メチル(MMA)518g、スチレン(St)48g、無水マレイン酸(MAH)384g、エチルベンゼン240g、n−オクチルメルカプタン1.2gを混合した後、窒素ガスで置換して原料溶液を調製した。2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を0.364gをエチルベンゼン12.96gに溶解した後、窒素ガスで置換して開始剤溶液を調整した。
原料溶液はポンプを用いて6.98ml/minで原料溶液導入ノズルから導入した。また、開始剤溶液はポンプを用いて0.08ml/minで開始剤溶液導入ノズルから導入した。30分後、重合溶液排出ノズルから抜き出しポンプを用いて425ml/hrの一定流量でポリマー溶液を排出した。
ポリマー溶液は、排出から1.5時間分は初流タンクに分別回収した。排出開始から、1.5時間後から2.5時間のポリマー溶液を本回収した。得られたポリマー溶液と、抽出溶媒であるメタノールを同時にホモジナイザーに供給し、乳化分散抽出した。分離沈降したポリマーを回収し、真空下、130℃で2時間乾燥して目的とするアクリル系熱可塑性樹脂を得た。
組成:MMA/St/MAH=54/23/22wt%(モル比:B/A>1)
分子量:Mw=15.1×10;Mw/Mn=1.94
Tg:145℃
[実施例2]
実施例1において、メタクリル酸メチル576g、スチレン96g、無水マレイン酸288gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行ってアクリル系熱可塑性樹脂を得た。
組成:MMA/St/MAH=58/19/23wt%(モル比:B/A>1)
分子量:Mw=19.7×10;Mw/Mn=2.16
Tg:144℃
[実施例3]
実施例1において、メタクリル酸メチル518g、スチレン48g、無水マレイン酸384gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行ってアクリル系熱可塑性樹脂を得た。
組成:MMA/St/MAH=61/11/27wt%(モル比:B/A>1)
分子量:Mw=19.5×10;Mw/Mn=2.23
Tg:141℃
メタクリル酸メチル/スチレン/無水マレイン酸/メタクリル酸ベンジル
[実施例4]
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素ガス導入ノズル、原料溶液導入ノズル、開始剤溶液導入ノズル、及び重合溶液排出ノズルを備えたジャケット付ガラス反応器(容量1L)を用いた。重合反応器の圧力は、微加圧、反応温度は100℃に制御した。
メタクリル酸メチル(MMA)518g、スチレン(St)115g、メタクリル酸ベンジル(BzMA)19.2g、無水マレイン酸(MAH)307g、メチルイソブチルケトン240g、n−オクチルメルカプタン1.2gを混合した後、窒素ガスで置換して原料溶液を調製した。2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を0.364gをメチルイソブチルケトン12.96gに溶解した後、窒素ガスで置換して開始剤溶液を調整した。
原料溶液はポンプを用いて6.98ml/minで原料溶液導入ノズルから導入した。また、開始剤溶液はポンプを用いて0.08ml/minで開始剤溶液導入ノズルから導入した。30分後、重合溶液排出ノズルから抜き出しポンプを用いて425ml/hrの一定流量でポリマー溶液を排出した。
ポリマー溶液は、排出から1.5時間分は初流タンクに分別回収した。排出開始から、1.5時間後から2.5時間のポリマー溶液を本回収した。得られたポリマー溶液と、抽出溶媒であるメタノールを同時にホモジナイザーに供給し、乳化分散抽出した。分離沈降したポリマーを回収し、真空下、130℃で2時間乾燥して目的とするアクリル系熱可塑性樹脂を得た。
組成:MMA/St/MAH/BzMA=55/20/24/1wt%
(モル比:B/A>1)
分子量:Mw=16.2×10;Mw/Mn=1.99
Tg:143℃
[実施例5]
実施例4において、メタクリル酸メチル557g、スチレン96g、メタクリル酸ベンジル19.2g、無水マレイン酸288gを用いた以外は、実施例3と同様の操作を行ってアクリル系熱可塑性樹脂を得た。
組成:MMA/St/MAH/BzMA=50/20/29/1wt%
(モル比:B/A>1)
分子量:Mw=19.0×10;Mw/Mn=2.23
Tg:143℃
メタクリル酸メチル/スチレン/メタクリル酸/無水グルタル酸
[実施例6]
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素ガス導入ノズル、原料溶液導入ノズル、開始剤溶液導入ノズル、及び重合溶液排出ノズルとを備えたジャケット付ガラス反応器(容量1L)を用いた。重合反応器の圧力は、微加圧、反応温度は100℃に制御した。
メタクリル酸メチル288g、スチレン96g、メタクリル酸(MAA)576g、m−キシレン240g、n−オクチルメルカプタン1.2gを混合した後、窒素ガスで置換して原料溶液を調製した。1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン75wt%エチルベンゼン溶液0.08gをエチルベンゼン12.96gで希釈した後、窒素ガスで置換して開始剤溶液を調整した。
原料溶液はポンプを用いて6.98ml/minで原料溶液導入ノズルから導入した。また、開始剤溶液はポンプを用いて0.08ml/minで開始剤溶液導入ノズルから導入した。30分後、重合溶液排出ノズルから抜き出しポンプを用いて425ml/hrの一定流量でポリマー溶液を排出した。
ポリマー溶液は、排出から1.5時間分は初流タンクに分別回収した。排出開始から、1.5時間後から2.5時間のポリマー溶液を本回収した。得られたポリマー溶液と、抽出溶媒であるメタノールを同時にホモジナイザーに供給し、乳化分散抽出した。分離沈降したポリマーを回収し、真空下、130℃で2時間乾燥して前駆体を得た。該前駆体を脱揮装置を附帯したラボプラストミルで加熱処理(処理温度:250℃、真空度:133hPa(100mmHg))して目的とするアクリル系熱可塑性樹脂を得た。
組成:MMA/St/MAA/無水グルタル酸=37/12/10/41wt%
(モル比:B/A>1)
分子量:Mw=26.7×10;Mw/Mn=2.65
Tg:157℃
メタクリル酸メチル/スチレン/メタクリル酸/無水グルタル酸/メタクリル酸ベンジル
[実施例7]
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素ガス導入ノズル、原料溶液導入ノズル、開始剤溶液導入ノズル、及び重合溶液排出ノズルを備えたジャケット付ガラス反応器(容量1L)を用いた。重合反応器の圧力は、微加圧、反応温度は100℃に制御した。
メタクリル酸メチル605g、スチレン67g、メタクリル酸ベンジル48g、メタクリル酸(MAA)240g、メチルイソブチルケトン240g、n−オクチルメルカプタン1.2gを混合した後、窒素ガスで置換して原料溶液を調製した。2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を0.364gをメチルイソブチルケトン12.96gに溶解した後、窒素ガスで置換して開始剤溶液を調整した。
原料溶液はポンプを用いて6.98ml/minで原料溶液導入ノズルから導入した。また、開始剤溶液はポンプを用いて0.08ml/minで開始剤溶液導入ノズルから導入した。30分後、重合溶液排出ノズルから抜き出しポンプを用いて425ml/hrの一定流量でポリマー溶液を排出した。
ポリマー溶液は、排出から1.5時間分は初流タンクに分別回収した。排出開始から、1.5時間後から2.5時間のポリマー溶液を本回収した。得られたポリマー溶液と、抽出溶媒であるメタノールを同時にホモジナイザーに供給し、乳化分散抽出した。分離沈降したポリマーを回収し、真空下、130℃で2時間乾燥して前駆体を得た。該前駆体を脱揮装置を附帯したラボプラストミルで加熱処理(処理温度:250℃、真空度:133hPa(100mmHg))して目的とするアクリル系熱可塑性樹脂を得た。
組成:MMA/St/MAA/無水グルタル酸/BzMA
=59/9/4/4/24wt%(モル比:B/A>1)
分子量:Mw=11×10;Mw/Mn=2.35
Tg:131℃
[比較例1]
実施例1において、メタクリル酸メチル960gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行ってアクリル系熱可塑性樹脂を得た。
組成:MMA=100wt%
分子量:Mw=10×10;Mw/Mn=1.89
Tg:121℃
[比較例2]
実施例1において、メタクリル酸メチル768g、スチレン144g、無水マレイン酸48gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行ってアクリル系熱可塑性樹脂を得た。
組成:MMA/St/MAH=76/17/7wt%(モル比:B/A<1)
分子量:Mw=13.4×10;Mw/Mn=2.01
Tg:128℃
これらの重合結果を表1に示す。
[実施例8〜14、比較例3、4]
実施例1〜7、比較例1、2で得られたアクリル系熱可塑性樹脂を前述の方法に従いプレスフィルムを成型した。該プレスフィルムを前述の方法に従い100%延伸フィルムを成形し、その光学特性を評価した。測定結果を表2に示す。
Figure 0005283701
Figure 0005283701
光学的特性について下記区別した。
A:複屈折あり、|C|<2.5×10−12Pa−1、|Re|>30nm
B:複屈折なし、|C|<2.5×10−12Pa−1、|Re|≦30nm
×:|C|≧2.5×10−12Pa−1
[実施例15、16]
実施例2を参考に、残存単量体量が異なるアクリル系熱可塑性樹脂を準備し、250℃で2分間、圧縮プレス処理し、その際の色調変化を観察した。測定結果を表3に示す。
Figure 0005283701
残存単量体量が0.5重量%以下であれば熱時着色が観察されないことが判る。
光学フィルムA(複屈折あり)としての評価
[実施例17〜18、比較例5]
実施例1、5及び比較例1で得られたアクリル系熱可塑性樹脂を用いて、前述の方法に従いプレスフィルムを成型した。該プレスフィルムから前述の方法に従い100%、200%及び300%延伸フィルムを成型し、その光学特性を評価した。測定結果を表4に示す。
Figure 0005283701
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる光学フィルムAが、高い耐熱性と低光弾性係数を有すること、さらに、有意の負の位相差を有し、延伸倍率によってその値を所望の値に制御し得ることが確認される。
これらの特性は、位相差フィルム用途などに好適である。
光学フィルムB(複屈折なし)としての評価
[実施例19、比較例5]
実施例3、及び比較例1で得られたアクリル系熱可塑性樹脂を用いて、前述の方法に従いプレスフィルムを成型した。該プレスフィルムから前述の方法に従い100%、200%及び300%延伸フィルムを成型し、その光学特性を評価した。測定結果を表5に示す。
Figure 0005283701
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる光学フィルムBが、耐熱性に優れ、その光学特性(極めて小さい複屈折値、極めて小さい光弾性係数)も従来材料にない高い光学的等方性を有していることが確認される。また、フィルム成形時やその後に任意の延伸をした際の複屈折の変化率が極めて小さいことが確認される。この特徴は、押し出し成形によるフィルム成形やそれに引き続いて延伸加工を行っても、溶融成形時の流れによる高分子鎖に関する配向の影響を受けず、複屈折を生じないという点で極めて有利である。
これらの特性は、偏光板保護フィルム用途などに好適である。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる成形体、例えば、シート又はフィルムは、高い耐熱性と低い光弾性係数を有する。また、工業的に有利な溶融成形性を示すことから、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイに用いられる偏光板保護フィルム、1/4波長板、1/2波長板等の位相差板、視野角制御フィルム等の液晶光学補償フィルム、ディスプレイ前面板、ディスプレイ基板、レンズ等、また、太陽電池に用いられる透明基板、透明導電性基板等に好適に用いることができる。
その他にも、光通信システム、光交換システム、光計測システムの分野において、導波路、レンズ、光ファイバー、光ファイバーの被覆材料、LEDのレンズ、レンズカバーなどにも用いることができる。

Claims (26)

  1. 下記式(1)で表されるメタクリレート単量体由来の繰り返し単位:10〜70重量%、下記式(2)で表されるビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位:5〜40重量%、及び下記式(3)又は下記式(4)で表される環状酸無水物繰り返し単位:20〜50重量%を含有する共重合体であって、ビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位の含有量(A)と環状酸無水物繰り返し単位の含有量(B)のモル比(B/A)が、1より大きく、10以下の範囲にあり、且つ、該共重合体100重量部に対して残存する単量体の合計が0.5重量部以下であることを特徴とするアクリル系熱可塑性樹脂。
    Figure 0005283701
    (式中:Rは、水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基を表す。)
    Figure 0005283701
    (式中:R、Rは、それぞれ同一でも、異なっていても良く、水素原子、ハロゲン基、水酸基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ニトロ基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基を表す。lは1〜3の整数を示す。)
    Figure 0005283701
    Figure 0005283701
    (式中:R〜Rは、それぞれ同一でも、異なっていても良く、水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
  2. さらに、下記式(5)で表される芳香族基を有するメタクリレート単量体由来の繰り返し単位:0.1〜5重量%を含有することを特徴とする請求項1記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
    Figure 0005283701
    (式中:Rは、水素原子、ハロゲン基、水酸基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ニトロ基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基を表す。mは1〜3の整数、nは0〜2の整数を示す。)
  3. GPC測定法による重量平均分子量で10,000〜400,000、分子量分布で1.8〜3.0の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
  4. メタクリレート単量体由来の繰り返し単位がメタクリル酸メチル、ビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位がスチレン、環状酸無水物繰り返し単位が無水マレイン酸、芳香族基を有するメタクリレート単量体由来の繰り返し単位がメタクリル酸ベンジルからそれぞれ誘導される共重合体よりなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
  5. 下記(i)の光学的性質を満足する請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
    (i)光弾性係数(C)の絶対値が、2.5×10−12Pa−1未満である。
  6. さらに、下記(ii)の光学的性質を満足する請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
    (ii)面内方向の位相差(Re)の絶対値が、30nmを超え、300nm以下である。
  7. 下記の条件(iii)を満足することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
    (iii)ガラス転移温度(Tg)が120℃以上である。
  8. さらに下記の条件(iv)を満足することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
    (iv)全光線透過率が85%以上である。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のアクリル系熱可塑性樹脂からなる成形体。
  10. 請求項9記載の成形体からなるシート又はフィルム。
  11. 押し出し成形で成形されたシート又はフィルムであって、少なくとも1軸方向に延伸したものであり、かつ、その延伸倍率が0.1〜300%であることを特徴とする請求項10に記載のシート又はフィルム。
  12. キャスト成形で成形されたシート又はフィルムであって、少なくとも1軸方向に延伸したものであり、かつ、その延伸倍率が0.1〜300%であることを特徴とする請求項10に記載のシート又はフィルム。
  13. 請求項10〜12のいずれか1項に記載のシート又はフィルムからなる位相差板。
  14. 請求項10〜12のいずれか1項に記載のシート又はフィルムからなる位相差フィルム。
  15. 下記(v)の光学的性質を満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
    (v)延伸した場合の複屈折(Δn(S))と延伸倍率(S)との最小二乗法近似直線関係式(a)において、傾きKの値が下記式(b)を満たす。
    Δn(S)=K×S+C ・・・(a)
    |K|<0.30×10−6 ・・・(b)
  16. さらに、下記(vi)の光学的性質を満足することを特徴とする請求項15に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
    (vi)面内方向の位相差(Re)の絶対値が30nm以下である。
  17. さらに、下記(vii)の光学的性質を満足することを特徴とする請求項15又は16に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
    (vii)厚み方向の位相差(Rth)の絶対値が30nm以下である。
  18. 下記の条件(viii)を満足することを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
    (viii)ガラス転移温度(Tg)が120℃以上である。
  19. さらに下記の条件(ix)を満足することを特徴とする請求項15〜18のいずれか1項に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
    (ix)全光線透過率が85%以上である。
  20. 請求項15〜19のいずれか1項に記載のアクリル系熱可塑性樹脂からなる成形体。
  21. 請求項20記載の成形体からなる成形体がシート又はフィルム。
  22. 押し出し成形で成形されたシート又はフィルムであって、少なくとも1軸方向に延伸したものであり、かつ、その延伸倍率が0.1〜300%であることを特徴とする請求項21に記載のシート又はフィルム。
  23. キャスト成形で成形されたシート又はフィルムであって、少なくとも1軸方向に延伸したものであり、かつ、その延伸倍率が0.1〜300%であることを特徴とする請求項21に記載のシート又はフィルム。
  24. 請求項21〜23のいずれか1項に記載のシート又はフィルムからなる偏光板保護フィルム。
  25. 請求項9又は請求項20に記載の成形体からなるレンズ。
  26. 請求項10又は請求項21に記載のシート又はフィルムからなる透明プラスチック基板。
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