JP5283701B2 - アクリル系熱可塑性樹脂、及びその成形体 - Google Patents
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Description
[1] 下記式(1)で表されるメタクリレート単量体由来の繰り返し単位:10〜70重量%、下記式(2)で表されるビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位:5〜40重量%、及び下記式(3)又は下記式(4)で表される環状酸無水物繰り返し単位:20〜50重量%を含有する共重合体であって、ビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位の含有量(A)と環状酸無水物繰り返し単位の含有量(B)のモル比(B/A)が、1より大きく、10以下の範囲にあり、且つ、該共重合体100重量部に対して残存する単量体の合計が0.5重量部以下であることを特徴とするアクリル系熱可塑性樹脂。
[2] さらに、下記式(5)で表される芳香族基を有するメタクリレート単量体由来の繰り返し単位:0.1〜5重量%を含有することを特徴とする[1]記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
[3] GPC測定法による重量平均分子量で10,000〜400,000、分子量分布で1.8〜3.0の範囲にあることを特徴とする[1]又は[2]に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
[4] メタクリレート単量体由来の繰り返し単位がメタクリル酸メチル、ビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位がスチレン、環状酸無水物繰り返し単位が無水マレイン酸、芳香族基を有するメタクリレート単量体由来の繰り返し単位がメタクリル酸ベンジルからそれぞれ誘導される共重合体よりなることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
[5] 下記(i)の光学的性質を満足する[1]〜[4]のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(i)光弾性係数(C)の絶対値が、2.5×10−12Pa−1未満である。
[6] さらに、下記(ii)の光学的性質を満足する[1]〜[5]のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(ii)面内方向の位相差(Re)の絶対値が、30nmを超え、300nm以下である。
[7] 下記の条件(iii)を満足することを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(iii)ガラス転移温度(Tg)が120℃以上である。
[8] さらに、下記の条件(iv)を満足することを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(iv)全光線透過率が85%以上である。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂からなる成形体。
[10] [9]記載の成形体からなるシート又はフィルム。
[11] 押し出し成形で成形されたシート又はフィルムであって、少なくとも1軸方向に延伸したものであり、かつ、その延伸倍率が0.1〜300%であることを特徴とする[10]に記載のシート又はフィルム。
[12] キャスト成形で成形されたシート又はフィルムであって、少なくとも1軸方向に延伸したものであり、かつ、その延伸倍率が0.1〜300%であることを特徴とする[10]に記載のシート又はフィルム。
[13] [10]〜[12]のいずれかに記載のシート又はフィルムからなる位相差板。
[14] [10]〜[12]のいずれかに記載のシート又はフィルムからなる位相差フィルム。
[15] 下記(v)の光学的性質を満足することを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(v)延伸した場合の複屈折(Δn(S))と延伸倍率(S)との最小二乗法近似直線関係式(a)において、傾きKの値が下記式(b)を満たす。
Δn(S)=K×S+C ・・・(a)
|K|<0.30×10−6 ・・・(b)
[16] さらに、下記(vi)の光学的性質を満足することを特徴とする[15]に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(vi)面内方向の位相差(Re)の絶対値が30nm以下である。
[17] さらに、下記(vii)の光学的性質を満足することを特徴とする[15]又は[16]に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(vii)厚み方向の位相差(Rth)の絶対値が30nm以下である。
[18] 下記の条件(viii)を満足することを特徴とする[15]〜[17]のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(viii)ガラス転移温度(Tg)が120℃以上である。
[19] さらに下記の条件(ix)を満足することを特徴とする[15]〜[18]のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(ix)全光線透過率が85%以上である。
[20] [15]〜[19]のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂からなる成形体。
[21][20]に記載の成形体からなるシート又はフィルム。
[22] 押し出し成形で成形されたシート又はフィルムであって、少なくとも1軸方向に延伸したものであり、かつ、その延伸倍率が0.1〜300%であることを特徴とする[21]に記載のシート又はフィルム。
[23] キャスト成形で成形されたシート又はフィルムであって、少なくとも1軸方向に延伸したものであり、かつ、その延伸倍率が0.1〜300%であることを特徴とする[21]に記載のシート又はフィルム。
[24] [21]〜[23]のいずれかに記載のシート又はフィルムからなる偏光板保護フィルム。
[25] [9]又は[20]に記載の成形体からなるレンズ。
[26] [10]又は[21]に記載のシート又はフィルムからなる透明プラスチック基板。
に関する。
本発明の好ましいアクリル系熱可塑性樹脂は、下記式(1)で表されるメタクリレート単量体由来の繰り返し単位:10〜70重量%、下記式(2)で表されるビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位:5〜40重量%、及び下記式(3)又は下記式(4)で表される環状酸無水物繰り返し単位:20〜50重量%からなる共重合体であって、
そのビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位の含有量(A)と環状酸無水物繰り返し単位の含有量(B)のモル比(B/A)が、1より大きく、10以下の範囲にあり、且つ、該共重合体100重量部に対して残存する単量体の合計が0.5重量部以下のものである。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂の重合方法として、例えば、キャスト重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、アニオン重合等の一般に行われている重合方法を用いることができるが、光学材料用途としては微小な異物の混入は出来るだけ避けるのが好ましく、この観点から懸濁剤や乳化剤を用いないキャスト重合や溶液重合を用いることが望ましい。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂において、式(4)で表される環状酸無水物繰り返し単位を含有するアクリル系熱可塑性樹脂は、式(1)、式(2)又は式(1)、式(2)、式(5)で表される繰り返し単位を含有するアクリル系熱可塑性樹脂を、加熱処理することにより誘導される。
(i)カルボキシル基+カルボキシル基 → 環状酸無水物+水、
脱揮工程とは、(i)重合溶剤、残存単量体などの揮発分、及び/又は(ii)縮合環化反応により副生した水又はアルコールを、必要に応じて減圧加熱条件下で、除去処理する工程を意味する。この除去処理が不充分であると、得られたアクリル系熱可塑性樹脂中の残存揮発分が多くなり、成形時の変質などにより着色することや、泡やシルバーストリークなどの成形不良が起こることがある。残存揮発分量は、アクリル系熱可塑性樹脂100重量部に対して1.0重量部以下、好ましくは0.7重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下であることが望ましい。本発明でいう残存揮発分量とは、先述した重合反応時に反応しなかった残存単量体、重合溶媒、副生水、及び副生アルコールの合計量をいう。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂を成形体、例えば、シート又はフィルムに成形加工する際には、押出成形、キャスト成形等の手法が用いられる。例えば、Tダイ、円形ダイ等が装着された押出機等を用いて、未延伸のシート又はフィルムを押し出し成形することができる。押し出し成形時に、各種添加剤、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂以外の樹脂の溶融混錬を経て成形することもできる。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる成形体、例えば、シート又はフィルムには、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、種々の添加剤を含有していてもよい。添加剤の種類は、樹脂やゴム状重合体の配合に一般的に用いられるものであれば特に制限はない。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂は、ディスプレイ基板、レンズ、太陽電池に用いられる透明基板等の成形体として好適に用いることができる。その他にも、光通信システム、光交換システム、光計測システムの分野において、導波路、レンズ、光ファイバー、光ファイバーの被覆材料、LEDのレンズ、レンズカバー等の成形体に用いることができる。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなるフィルムは、光学フィルムとして用いることができる。光学フィルムには、産業的応用上、その光学特性として複屈折が必要な用途と必要でない用途が存在する。複屈折を必要とする用途は、例えば位相差板、位相差フィルム(光学フィルムA)であり、複屈折を必要としない用途は、例えば偏光板保護フィルム(光学フィルムB)である。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる光学フィルムAは、下記(i)の光学的性質を満足する。
(i)光弾性係数(C)の絶対値が2.5×10−12Pa−1未満である。
好ましくは、下記(ii)の光学的性質を満足する。
(ii)面内方向の位相差(Re)の絶対値が、30nmを超え、300nm以下である。
さらに、下記(iii)の条件を満足する。
(iii)ガラス転移温度(Tg)が120℃以上である。
さらに好ましくは、下記の条件(iv)を満足する。
(iv)全光線透過率が85%以上である。
CR=|Δn|/σR
|Δn|=nx−ny
(式中、CR:光弾性係数、σR:伸張応力、|Δn|:複屈折の絶対値、nx:伸張方向の屈折率、ny:伸張方向と垂直な屈折率)
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂を成形してなる光学フィルムで、下記光学的性質(i)を満足する光学フィルムB。
(i)光弾性係数(C)の絶対値が2.5×10−12Pa−1未満である。
(ii)延伸した場合の複屈折(Δn(S))と延伸倍率(S)との最小二乗法近似直線関係式(a)において、傾きKの値が下記式(b)を満たす。
Δn(S)=K×S+C ・・・(a)
|K|<0.30×10−6 ・・・(b)
(iii)面内方向の位相差(Re)の絶対値が30nm以下である。
(iv)厚み方向の位相差(Rth)の絶対値が30nm以下である。
(v)面内方向の位相差(Re)と厚み方向の位相差(Rth)との比(Rth/Re)が次の関係式(c)を満たす。
0.1<Rth/Re<1 ・・・(c)
(vi)ガラス転移温度(Tg)が120℃以上である。
(vii)全光線透過率が85%以上である。
CR=|Δn|/σR
|Δn|=nx−ny
(式中、CR:光弾性係数、σR:伸張応力、|Δn|:複屈折の絶対値、nx:伸張方向の屈折率、ny:伸張方向と垂直な屈折率)
Δn(S)=K×S+C ・・・(a)
|K|<0.30×10−6 ・・・(b)
(a)熱可塑性樹脂の解析
(1)繰り返し単位
1H−NMR測定より、(i)メタクリレート単量体由来の繰り返し単位、(ii)ビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位、(iii)芳香族基を有するメタクリレート単量体由来の繰り返し単位、及び(iv)酸無水物繰り返し単位を同定し、その存在量を算出した。
測定機器:ブルーカー株式会社製 DPX−400
測定溶媒:CDCl3、又はd6−DMSO
測定温度:40℃
ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(パーキンエルマージャパン(株)製 Diamond DSC)を用いて、窒素ガス雰囲気下、α−アルミナをリファレンスとし、JIS−K−7121に準拠して、試料約10mgを常温から200℃まで昇温速度10℃/minで昇温して得られたDSC曲線から中点法で算出した。
重量平均分子量、及び数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(東ソー(株)製 HLC−8220)を用いて、溶媒はテトラヒドロフラン、設定温度40℃で、市販標準PMMA換算により求めた。
(1)光学フィルムサンプルの作製
(a)プレスフィルムの成型
真空圧縮成型機((株)神藤金属工業所製 SFV?30型)を用いて、大気圧下、260℃、で25分間予熱後、真空下(約10kPa)、260℃、約10MPaで5分間圧縮してプレスフィルムを成型した。
インストロン社製5t引張り試験機を用いて、延伸温度(Tg+20)℃、延伸速度(500mm/分)で一軸フリー延伸して延伸フィルムを成形した。延伸倍率は、100%、200%、及び300%で延伸した。
大塚電子製RETS−100を用いて、回転検光子法により測定を行った。複屈折の値は、波長550nm光の値である。複屈折(Δn)は、以下の式により計算した。
Δn=nx−ny
(Δn:複屈折、nx:伸張方向の屈折率、ny:伸張方向と垂直な屈折率)
複屈折(Δn)の絶対値(|Δn|)は、以下のように求めた。
|Δn|=|nx−ny|
<面内の位相差>
大塚電子(株)製RETS−100を用いて、回転検光子法により波長400〜800nmの範囲について測定を行った。
複屈折の絶対値(|Δn|)と位相差(Re)は以下の関係にある。
Re=|Δn|×d
(|Δn|:複屈折の絶対値、Re:位相差、d:サンプルの厚み)
また、複屈折の絶対値(|Δn|)は以下に示す値である。
|Δn|=|nx−ny|
(nx:延伸方向の屈折率、ny:面内で延伸方向と垂直な屈折率)
王子計測機器(株)製位相差測定装置(KOBRA−21ADH)を用いて、波長589nmにおける位相差を測定し、得られた値をフィルムの厚さ100μmに換算して測定値とした。
Rth=|Δn|×d
(|Δn|:複屈折の絶対値、Rth:位相差、d:サンプルの厚み)
また、複屈折の絶対値(|Δn|)は以下に示す値である。
|Δn|=|(nx+ny)/2-nz|
(nx:延伸方向の屈折率、ny:面内で延伸方向と垂直な屈折率、nz:面外で延伸方向と垂直な厚み方向の屈折率)
(理想となる、3次元方向について完全等方的等方性であるフィルムでは、面内位相差(Re)、厚み方向位相差(Rth)ともに0となる。)
Polymer Engineering and Science 1999, 39, 2349-2357に詳細について記載のある複屈折測定装置を用いた。レーザー光の経路にフィルムの引張り装置を配置し、23℃で伸張応力をかけながら複屈折を測定した。伸張時の歪速度は50%/分(チャック間:50mm、チャック移動速度:5mm/分)、試験片幅は6mmで測定を行った。複屈折の絶対値(|Δn|)と伸張応力(σR)の関係から、最小二乗近似によりその直線の傾きを求め光弾性係数(CR)を計算した。計算には伸張応力が2.5MPa≦σR≦10MPaの間のデータを用いた。
CR=|Δn|/σR
|Δn|=|nx−ny|
(CR:光弾性係数、σR:伸張応力、|Δn|:複屈折の絶対値、nx:伸張方向の屈折率、ny:伸張方向と垂直な屈折率)
メタクリル酸メチル/スチレン/無水マレイン酸
[実施例1]
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素ガス導入ノズル、原料溶液導入ノズル、開始剤溶液導入ノズル、及び重合溶液排出ノズルを備えたジャケット付ガラス反応器(容量1L)を用いた。重合反応器の圧力は、微加圧、反応温度は100℃に制御した。
メタクリル酸メチル(MMA)518g、スチレン(St)48g、無水マレイン酸(MAH)384g、エチルベンゼン240g、n−オクチルメルカプタン1.2gを混合した後、窒素ガスで置換して原料溶液を調製した。2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を0.364gをエチルベンゼン12.96gに溶解した後、窒素ガスで置換して開始剤溶液を調整した。
原料溶液はポンプを用いて6.98ml/minで原料溶液導入ノズルから導入した。また、開始剤溶液はポンプを用いて0.08ml/minで開始剤溶液導入ノズルから導入した。30分後、重合溶液排出ノズルから抜き出しポンプを用いて425ml/hrの一定流量でポリマー溶液を排出した。
ポリマー溶液は、排出から1.5時間分は初流タンクに分別回収した。排出開始から、1.5時間後から2.5時間のポリマー溶液を本回収した。得られたポリマー溶液と、抽出溶媒であるメタノールを同時にホモジナイザーに供給し、乳化分散抽出した。分離沈降したポリマーを回収し、真空下、130℃で2時間乾燥して目的とするアクリル系熱可塑性樹脂を得た。
組成:MMA/St/MAH=54/23/22wt%(モル比:B/A>1)
分子量:Mw=15.1×104;Mw/Mn=1.94
Tg:145℃
実施例1において、メタクリル酸メチル576g、スチレン96g、無水マレイン酸288gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行ってアクリル系熱可塑性樹脂を得た。
組成:MMA/St/MAH=58/19/23wt%(モル比:B/A>1)
分子量:Mw=19.7×104;Mw/Mn=2.16
Tg:144℃
実施例1において、メタクリル酸メチル518g、スチレン48g、無水マレイン酸384gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行ってアクリル系熱可塑性樹脂を得た。
組成:MMA/St/MAH=61/11/27wt%(モル比:B/A>1)
分子量:Mw=19.5×104;Mw/Mn=2.23
Tg:141℃
[実施例4]
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素ガス導入ノズル、原料溶液導入ノズル、開始剤溶液導入ノズル、及び重合溶液排出ノズルを備えたジャケット付ガラス反応器(容量1L)を用いた。重合反応器の圧力は、微加圧、反応温度は100℃に制御した。
メタクリル酸メチル(MMA)518g、スチレン(St)115g、メタクリル酸ベンジル(BzMA)19.2g、無水マレイン酸(MAH)307g、メチルイソブチルケトン240g、n−オクチルメルカプタン1.2gを混合した後、窒素ガスで置換して原料溶液を調製した。2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を0.364gをメチルイソブチルケトン12.96gに溶解した後、窒素ガスで置換して開始剤溶液を調整した。
原料溶液はポンプを用いて6.98ml/minで原料溶液導入ノズルから導入した。また、開始剤溶液はポンプを用いて0.08ml/minで開始剤溶液導入ノズルから導入した。30分後、重合溶液排出ノズルから抜き出しポンプを用いて425ml/hrの一定流量でポリマー溶液を排出した。
ポリマー溶液は、排出から1.5時間分は初流タンクに分別回収した。排出開始から、1.5時間後から2.5時間のポリマー溶液を本回収した。得られたポリマー溶液と、抽出溶媒であるメタノールを同時にホモジナイザーに供給し、乳化分散抽出した。分離沈降したポリマーを回収し、真空下、130℃で2時間乾燥して目的とするアクリル系熱可塑性樹脂を得た。
組成:MMA/St/MAH/BzMA=55/20/24/1wt%
(モル比:B/A>1)
分子量:Mw=16.2×104;Mw/Mn=1.99
Tg:143℃
実施例4において、メタクリル酸メチル557g、スチレン96g、メタクリル酸ベンジル19.2g、無水マレイン酸288gを用いた以外は、実施例3と同様の操作を行ってアクリル系熱可塑性樹脂を得た。
組成:MMA/St/MAH/BzMA=50/20/29/1wt%
(モル比:B/A>1)
分子量:Mw=19.0×104;Mw/Mn=2.23
Tg:143℃
[実施例6]
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素ガス導入ノズル、原料溶液導入ノズル、開始剤溶液導入ノズル、及び重合溶液排出ノズルとを備えたジャケット付ガラス反応器(容量1L)を用いた。重合反応器の圧力は、微加圧、反応温度は100℃に制御した。
メタクリル酸メチル288g、スチレン96g、メタクリル酸(MAA)576g、m−キシレン240g、n−オクチルメルカプタン1.2gを混合した後、窒素ガスで置換して原料溶液を調製した。1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン75wt%エチルベンゼン溶液0.08gをエチルベンゼン12.96gで希釈した後、窒素ガスで置換して開始剤溶液を調整した。
原料溶液はポンプを用いて6.98ml/minで原料溶液導入ノズルから導入した。また、開始剤溶液はポンプを用いて0.08ml/minで開始剤溶液導入ノズルから導入した。30分後、重合溶液排出ノズルから抜き出しポンプを用いて425ml/hrの一定流量でポリマー溶液を排出した。
ポリマー溶液は、排出から1.5時間分は初流タンクに分別回収した。排出開始から、1.5時間後から2.5時間のポリマー溶液を本回収した。得られたポリマー溶液と、抽出溶媒であるメタノールを同時にホモジナイザーに供給し、乳化分散抽出した。分離沈降したポリマーを回収し、真空下、130℃で2時間乾燥して前駆体を得た。該前駆体を脱揮装置を附帯したラボプラストミルで加熱処理(処理温度:250℃、真空度:133hPa(100mmHg))して目的とするアクリル系熱可塑性樹脂を得た。
組成:MMA/St/MAA/無水グルタル酸=37/12/10/41wt%
(モル比:B/A>1)
分子量:Mw=26.7×104;Mw/Mn=2.65
Tg:157℃
[実施例7]
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素ガス導入ノズル、原料溶液導入ノズル、開始剤溶液導入ノズル、及び重合溶液排出ノズルを備えたジャケット付ガラス反応器(容量1L)を用いた。重合反応器の圧力は、微加圧、反応温度は100℃に制御した。
メタクリル酸メチル605g、スチレン67g、メタクリル酸ベンジル48g、メタクリル酸(MAA)240g、メチルイソブチルケトン240g、n−オクチルメルカプタン1.2gを混合した後、窒素ガスで置換して原料溶液を調製した。2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を0.364gをメチルイソブチルケトン12.96gに溶解した後、窒素ガスで置換して開始剤溶液を調整した。
原料溶液はポンプを用いて6.98ml/minで原料溶液導入ノズルから導入した。また、開始剤溶液はポンプを用いて0.08ml/minで開始剤溶液導入ノズルから導入した。30分後、重合溶液排出ノズルから抜き出しポンプを用いて425ml/hrの一定流量でポリマー溶液を排出した。
ポリマー溶液は、排出から1.5時間分は初流タンクに分別回収した。排出開始から、1.5時間後から2.5時間のポリマー溶液を本回収した。得られたポリマー溶液と、抽出溶媒であるメタノールを同時にホモジナイザーに供給し、乳化分散抽出した。分離沈降したポリマーを回収し、真空下、130℃で2時間乾燥して前駆体を得た。該前駆体を脱揮装置を附帯したラボプラストミルで加熱処理(処理温度:250℃、真空度:133hPa(100mmHg))して目的とするアクリル系熱可塑性樹脂を得た。
組成:MMA/St/MAA/無水グルタル酸/BzMA
=59/9/4/4/24wt%(モル比:B/A>1)
分子量:Mw=11×104;Mw/Mn=2.35
Tg:131℃
実施例1において、メタクリル酸メチル960gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行ってアクリル系熱可塑性樹脂を得た。
組成:MMA=100wt%
分子量:Mw=10×104;Mw/Mn=1.89
Tg:121℃
実施例1において、メタクリル酸メチル768g、スチレン144g、無水マレイン酸48gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行ってアクリル系熱可塑性樹脂を得た。
組成:MMA/St/MAH=76/17/7wt%(モル比:B/A<1)
分子量:Mw=13.4×104;Mw/Mn=2.01
Tg:128℃
これらの重合結果を表1に示す。
実施例1〜7、比較例1、2で得られたアクリル系熱可塑性樹脂を前述の方法に従いプレスフィルムを成型した。該プレスフィルムを前述の方法に従い100%延伸フィルムを成形し、その光学特性を評価した。測定結果を表2に示す。
A:複屈折あり、|C|<2.5×10−12Pa−1、|Re|>30nm
B:複屈折なし、|C|<2.5×10−12Pa−1、|Re|≦30nm
×:|C|≧2.5×10−12Pa−1
[実施例17〜18、比較例5]
実施例1、5及び比較例1で得られたアクリル系熱可塑性樹脂を用いて、前述の方法に従いプレスフィルムを成型した。該プレスフィルムから前述の方法に従い100%、200%及び300%延伸フィルムを成型し、その光学特性を評価した。測定結果を表4に示す。
これらの特性は、位相差フィルム用途などに好適である。
[実施例19、比較例5]
実施例3、及び比較例1で得られたアクリル系熱可塑性樹脂を用いて、前述の方法に従いプレスフィルムを成型した。該プレスフィルムから前述の方法に従い100%、200%及び300%延伸フィルムを成型し、その光学特性を評価した。測定結果を表5に示す。
その他にも、光通信システム、光交換システム、光計測システムの分野において、導波路、レンズ、光ファイバー、光ファイバーの被覆材料、LEDのレンズ、レンズカバーなどにも用いることができる。
Claims (26)
- 下記式(1)で表されるメタクリレート単量体由来の繰り返し単位:10〜70重量%、下記式(2)で表されるビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位:5〜40重量%、及び下記式(3)又は下記式(4)で表される環状酸無水物繰り返し単位:20〜50重量%を含有する共重合体であって、ビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位の含有量(A)と環状酸無水物繰り返し単位の含有量(B)のモル比(B/A)が、1より大きく、10以下の範囲にあり、且つ、該共重合体100重量部に対して残存する単量体の合計が0.5重量部以下であることを特徴とするアクリル系熱可塑性樹脂。
- GPC測定法による重量平均分子量で10,000〜400,000、分子量分布で1.8〜3.0の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
- メタクリレート単量体由来の繰り返し単位がメタクリル酸メチル、ビニル芳香族単量体由来の繰り返し単位がスチレン、環状酸無水物繰り返し単位が無水マレイン酸、芳香族基を有するメタクリレート単量体由来の繰り返し単位がメタクリル酸ベンジルからそれぞれ誘導される共重合体よりなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
- 下記(i)の光学的性質を満足する請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(i)光弾性係数(C)の絶対値が、2.5×10−12Pa−1未満である。 - さらに、下記(ii)の光学的性質を満足する請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(ii)面内方向の位相差(Re)の絶対値が、30nmを超え、300nm以下である。 - 下記の条件(iii)を満足することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(iii)ガラス転移温度(Tg)が120℃以上である。 - さらに下記の条件(iv)を満足することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(iv)全光線透過率が85%以上である。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載のアクリル系熱可塑性樹脂からなる成形体。
- 請求項9記載の成形体からなるシート又はフィルム。
- 押し出し成形で成形されたシート又はフィルムであって、少なくとも1軸方向に延伸したものであり、かつ、その延伸倍率が0.1〜300%であることを特徴とする請求項10に記載のシート又はフィルム。
- キャスト成形で成形されたシート又はフィルムであって、少なくとも1軸方向に延伸したものであり、かつ、その延伸倍率が0.1〜300%であることを特徴とする請求項10に記載のシート又はフィルム。
- 請求項10〜12のいずれか1項に記載のシート又はフィルムからなる位相差板。
- 請求項10〜12のいずれか1項に記載のシート又はフィルムからなる位相差フィルム。
- 下記(v)の光学的性質を満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(v)延伸した場合の複屈折(Δn(S))と延伸倍率(S)との最小二乗法近似直線関係式(a)において、傾きKの値が下記式(b)を満たす。
Δn(S)=K×S+C ・・・(a)
|K|<0.30×10−6 ・・・(b) - さらに、下記(vi)の光学的性質を満足することを特徴とする請求項15に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(vi)面内方向の位相差(Re)の絶対値が30nm以下である。 - さらに、下記(vii)の光学的性質を満足することを特徴とする請求項15又は16に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(vii)厚み方向の位相差(Rth)の絶対値が30nm以下である。 - 下記の条件(viii)を満足することを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(viii)ガラス転移温度(Tg)が120℃以上である。 - さらに下記の条件(ix)を満足することを特徴とする請求項15〜18のいずれか1項に記載のアクリル系熱可塑性樹脂。
(ix)全光線透過率が85%以上である。 - 請求項15〜19のいずれか1項に記載のアクリル系熱可塑性樹脂からなる成形体。
- 請求項20記載の成形体からなる成形体がシート又はフィルム。
- 押し出し成形で成形されたシート又はフィルムであって、少なくとも1軸方向に延伸したものであり、かつ、その延伸倍率が0.1〜300%であることを特徴とする請求項21に記載のシート又はフィルム。
- キャスト成形で成形されたシート又はフィルムであって、少なくとも1軸方向に延伸したものであり、かつ、その延伸倍率が0.1〜300%であることを特徴とする請求項21に記載のシート又はフィルム。
- 請求項21〜23のいずれか1項に記載のシート又はフィルムからなる偏光板保護フィルム。
- 請求項9又は請求項20に記載の成形体からなるレンズ。
- 請求項10又は請求項21に記載のシート又はフィルムからなる透明プラスチック基板。
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