JP5159124B2 - アクリル系樹脂成型品の製造方法及びアクリル系樹脂成型品 - Google Patents
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Description
本来、アクリル系樹脂のガラス転移温度は、110℃前後であるが、近年では、120℃以上のガラス転移温度を有する耐熱性アクリル系樹脂が用いられるようになっている。このような耐熱性樹脂としては、分子中にヒドロキシ基のエステル基とを有する重合体をラクトン環化縮合反応させることにより得られるラクトン環構造を有するアクリル系樹脂等が挙げられる。しかしながら、このようなアクリル系樹脂は、その製造にあたり、ポリマーゲル等の異物の生成や着色等が生じることを抑制して、更に高度な性能・品質のアクリル系樹脂を提供するための工夫の余地があった。
しかしながら、未だ樹脂の着色を防止しつつ、ポリマーゲルや、ポリマー炭化物の異物生成を防止する点については充分なものではなかった。
上記アクリル系樹脂は、ラクトン環構造を有することが好ましい。
上記アクリル系樹脂成型品は、ペレット、フィルム又はシートであることが好ましい。
本発明は更に、上記アクリル系樹脂成型品が、ペレット、フィルム又はシートであるアクリル系樹脂成型品でもある。
成型方法としては、例えば、溶融押出法、圧縮成型法等、従来公知の成型方法が挙げられ、特に溶融押出法が好適である。
以下に本発明を詳述する。
上記溶融押出し工程は、アクリル系樹脂を溶融する前に、70℃以上、かつ、酸素濃度を5体積%以下の状態で保持する操作を行うことが好ましい。これにより、成型時に熱を加えてもゲル化を起こしにくいため、ポリマーゲルや、ポリマー炭化物等の異物の生成を抑制することができ、かつ、着色を防止することができ、優れた光学特性を有するアクリル系樹脂成型品を製造することができる。より好ましくは、90℃以上、最も好ましくは、100℃以上であり、かつ、酸素濃度が1体積%以下である。なお、アクリル系樹脂を溶融する前の温度を70℃未満で保持する場合、異物の生成を充分に抑制することができないおそれがある。また、酸素濃度が5体積%を超えると、異物の生成を充分に抑制することができないおそれがある。
なお、本明細書において、ポリマーゲルとは、ポリマーが化学結合により、又は、ポリマー分子鎖間の相互作用によって、三次元的な網目構造を構成したものであり、有機溶剤に不溶であり、フィルム又はシート状に成型した場合、異物として確認できる平均粒子径50μm以上の異物である。また、本明細書において、異物は、成型品を溶融し、フィルタでろ過することで、フィルム上に残存する溶剤不溶物である。
ガラス転移温度が115℃以上のアクリル系樹脂としては、アクリレート単量体を共重合したガラス転移温度が115℃以上の樹脂をいい、具体的には、無水マレイン酸とアクリレートの共重合体、N−置換マレイミドとアクリレートの共重合体、アクリレート共重合体を分子内環化反応によりラクトン環構造を有するポリマー(ラクトン化ポリマー)、アクリレート共重合体を分子内環化反応によりグルタルイミド環構造を有するポリマー(グルタルイミドポリマー)等が挙げられる。
上記添加剤の含有割合は、ラクトン環構造を有するフィルムにおいて、好ましくは0〜5重量%、より好ましくは0〜2重量%、更に好ましくは0〜0.5重量%である。この場合、押出混練に用いる混合機は、特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機等の押出機や加圧ニーダー等、従来公知の混合機を用いることができる。
本願記載のアクリル系樹脂成型品の好ましい形状の一つであるペレットを製造するには、溶融されたアクリル系樹脂を、押出用金型に導入し棒状に成型した後、ガラス転移温度以下まで冷却する工程を経て切断する製造方法、又は、押出用金型の先端部でアクリル系樹脂をカットした後、ガラス転移温度以下まで冷却する工程を経る製造方法が好ましく利用できる。この場合、冷却方法としては特に限定されず、公知の手法を利用することができ、例えば冷却水を用いる方法が好ましく利用できる。
上記ペレットの形状としては、丸型や円柱型が好ましい。ペレットサイズとしては特に限定されないが、最も長い辺が1cm以内であることが好ましい。
上記アクリル系樹脂成型品がシートである場合、製造するには、チュープラー法やフラット金型法を利用することが好ましく、公知の単軸押出機の先端に金型を取り付け、シート状に押し出されたシートを任意の長さで切断することでシートを得ることができる。また、切断せずに巻き取ってロール状のシートを得ることもできる。
上記溶融押出法としては、例えば、Tダイ法、インフレーション法等が挙げられ、その際の成型温度は、フィルム原料のガラス転移温度に応じて適宜調節すればよく、特に限定されず、例えば、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。
上記添加剤の含有割合は、ラクトン環構造を有するフィルムにおいて、好ましくは0〜5重量%、より好ましくは0〜2重量%、更に好ましくは0〜0.5重量%である。
上記ラクトン化ポリマーは、下記一般式(1)で表されるラクトン環構造を有する。
本明細書において、有機残基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素数が1〜20のアルキル基;エテニル基、プロペニル基等の、炭素数が1〜20の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素数が1〜20の芳香族炭化水素基;上記アルキル基、上記不飽和炭化水素基、上記芳香族炭化水素基の水素原子のひとつ以上が、水酸基で置換された基;上記アルキル基、上記不飽和炭化水素基、上記芳香族炭化水素基の水素のひとつ以上が、カルボキシル基で置換された基;上記アルキル基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基の水素のひとつ以上が、エーテル基で置換された基;上記アルキル基、上記不飽和炭化水素基、上記芳香族炭化水素基の水素のひとつ以上が、エステル基で置換された基であることが好ましい。すなわち、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が1〜20の不飽和脂肪族炭化水素基、炭素数が1〜20の芳香族炭化水素基、又は、これらの基の少なくともひとつ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基、若しくは、エステル基で置換された基であることが好ましい。
ラクトン化ポリマー構造中の一般式(1)で表されるラクトン環構造の含有割合の上限は90重量%、下限は5重量%であり、より好ましい上限は70重量%、下限は10重量%であり、更に好ましい上限は60重量%である。ラクトン化ポリマー構造中の一般式(1)で表されるラクトン環構造の含有割合が5重量%より少ないと、耐熱性、耐溶剤性、表面硬度が不充分になるおそれがある。90重量%より多いと、成型加工性に乏しくなるおそれがある。
すなわち、ラクトン環構造を有した重合体のダイナミックTG測定において、150℃から300℃までの間の重量減少率(wt%)の測定を行い、得られた実測重量減少率を(X)(wt%)とする。他方、当該重合体の組成から、その重合体組成に含まれる全ての水酸基がラクトン環の形成に関与するためアルコールになり脱アルコールすると仮定したときの理論重量減少率(すなわち、その組成上において100%脱アルコール反応が起きたと仮定して算出した重量減少率)を理論重量減少率(Y)(wt%)とする。なお、理論重量減少率(Y)は、より具体的には、重合体中の脱アルコール反応に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体のモル比、すなわち当該重合体組成における前記原料単量体の含有率から算出することができる。これらの値(X、Y)を脱アルコール計算式:
1−(実測重量減少率(X)/理論重量減少率(Y))
に代入してその値を求め、%で表記すると、脱アルコール反応率が得られる。
そして、この脱アルコール反応率の分だけ所定のラクトン環化が行われたものとして、ラクトン環化に関与する構造(ヒドロキシ基)を有する原料単量体の当該共重合体組成における含有率(重量比)に、脱アルコール反応率を乗じ、ラクトン環単位の構造の含有率(重量比)に換算することで、当該共重合体におけるラクトン環構造の含有割合を算出することが出来る。
で示される単量体とからなる群から選択される少なくとも1種の単量体を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)が好ましい。
上記触媒の添加時期は、特に限定されず、例えば、反応初期に添加してもよいし、反応途中に添加してもよいし、それらの両方で添加してもよい。
上記ベント付き押出機を用いる場合の反応処理温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。反応処理温度が150℃未満であると、環化縮合反応が不充分となって残存揮発分が多くなることがある。逆に、反応処理温度が350℃を超えると、得られた重合体の着色や分解が起こることがある。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際には、溶剤の一部が反応中に自然に揮発しても何ら問題ではない。
脱揮工程は、環化縮合反応と同時に終了することには限らず、環化縮合反応の終了から時間をおいて終了しても構わない。
実施例及び比較例における、測定方法及び評価方法を以下に示す。
重合体(又は重合体溶液又はペレット)を、一旦テトラヒドロフランに溶解又は希釈し、過剰のヘキサン又はメタノールへ投入して再沈殿を行い、取り出した沈殿物を真空乾燥(1mmHg(1.33hPa)、80℃、3時間以上)することによって揮発成分等を除去し、得られた白色固形状の重合体を、以下の方法・条件に基づくダイナミックTG法で分析した。
測定装置:Thermo Plus2 TG−8120 Dynamic TG((株)リガク製)
測定試料重量:5〜10mg
昇温速度:10℃/分
測定雰囲気:窒素フロー 200mL/分
方法:階段状等温制御法(60〜500℃の間で重量減少速度値0.005wt%/秒以下で制御)
重合体及び樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を、以下の方法・条件により測定した。
測定装置:DSC8230((株)リガク製)
測定試料重量:10mg
昇温速度:10℃/分
測定雰囲気:窒素フロー 50mL/分
方法:ASTM−D−8230に準拠し、中点法で求めた。
まず、重合で得られた重合体組成からすべての水酸基がメタノールとして脱アルコールした際に起こる重量減少量を基準にし、ダイナミックTG測定において重量減少が始まる前の150℃から重合体の分解が始まる前の300℃までの脱アルコール反応による重量減少から、脱アルコール反応率を求めた。
すなわち、ラクトン環構造を有した重合体のダイナミックTG測定において、150℃から300℃までの間の重量減少率(wt%)の測定を行い、得られた実測重量減少率を(X)(wt%)とする。他方、当該重合体の組成から、その重合体組成に含まれる全ての水酸基がラクトン環の形成に関与するためアルコールになり脱アルコールすると仮定したときの理論重量減少率(すなわち、その組成上において100%脱アルコール反応が起きたと仮定して算出した重量減少率)を理論重量減少率(Y)(wt%)とする。なお、理論重量減少率(Y)は、より具体的には、重合体中の脱アルコール反応に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体のモル比、すなわち当該重合体組成における前記原料単量体の含有率から算出することができる。これらの値(X、Y)を脱アルコール計算式:
1−(実測重量減少率(X)/理論重量減少率(Y))
に代入してその値を求め、%で表記すると、脱アルコール反応率が得られる。
そして、この脱アルコール反応率の分だけ所定のラクトン環化が行われたものとして、ラクトン環化に関与する構造(ヒドロキシ基)を有する原料単量体の当該共重合体組成における含有率(重量比)に、脱アルコール反応率を乗じ、ラクトン環単位の構造の含有率(重量比)に換算することで、当該共重合体におけるラクトン環構造の含有割合を算出することが出来る。実施例1の場合、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの当該共重合体における含有率が20.0重量%、算出した脱アルコール反応率が96.9重量%、分子量が116の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルがメタクリル酸メチルと縮合した場合に生成するラクトン環化構造単位の式量が170であることから、当該共重合体中におけるラクトン環の含有割合は28.4(20.0×0.969×170/116)重量%となる。
重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC(東ソー社製、GPCシステム)のポリスチレン換算により求めた。
<着色度YI>
成型品を15wt%となるようにクロロホルムに溶解させた溶液を、石英セルに入れ、JIS K−7103に準拠し、色差計(日本電色工業社製、製品名:SZ−Σ90)を用いて、透過光で測定した。
酸素濃度は、酸素濃度指示警報計(ガステック社製、OXYTEC)により測定した。
<異物数>
成型品を20wt%になるようにクロロホルムに溶解し、直径47mm、濾過精度1μのテフロン(登録商標)フィルタで吸引ろ過を行い、テフロン(登録商標)フィルタ上に残存する異物を顕微鏡下目視で計測した。50μm以上の異物とは、異物の最も大きな径が50μm以上である異物を意味するものである。
製造例
攪拌装置、温度センサー、冷却管及び0.1μフィルタを設けた窒素導入管を備えた30Lの反応釜に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル2000g及びメタクリル酸メチル8000gからなる単量体成分と、トルエン10000gとを仕込み、窒素を通じつつ105℃まで昇温した。還流が始まったことを確認してから、重合開始剤として10.0gのt−アミルパーオキシイソノナエート(ルパゾール570、アトフィナ吉富(株)社製)を添加すると同時に、20.0gのt−アミルパーオキシイソノナエートと100gのトルエンからなる溶液を2時間かけて滴下しながら、更に5時間かけて重合を行った。
得られた重合体液を下記に、10gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(phoslex A−18、堺化学工業(株)社製)を加え、還流下、約100−110℃で5時間環化縮合反応を行った。次いで、得られた重合液を80℃に冷却し、窒素ガスにより加圧下5μのテフロン(登録商標)フィルタで濾過して、ラクトン環含有重合体溶液を得た。尚、該ラクトン環含有重合体溶液中の酸素濃度は、実質的に0%である。次いで得られた重合体溶液を、バレル温度260℃、回転数100rpm、減圧度13.3−400hPa(10−300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個を備えたベントタイプスクリュー二軸押出機(Φ=29.8mm、L/D=30)に、重合体換算で2.0kg/hrの処理速度を導入し揮発成分を除去することで、ラクトン環含有重合体の透明なペレットを得た。
得られたラクトン環含有重合体ペレット(A)について、ダイナミックTGの測定を行ったところ、0.17重量%の質量減少を示した。また、このラクトン環含有重合体は、質量平均分子量が148000、ガラス転移温度が130℃、メルトフローレートが11.0g/10分、ラクトン環化率が96.9%、着色度YIが0.3、50μ以上の異物含有量は25個/100g(透明なポリマーゲル5個/100g、ポリマー炭化物20個/100g)であった。
ラクトン環含有重合体ペレット(A)を、小型カプセルフィルター(ポール社製 エンフロン 定格ろ過精度0.1μm)を設けた窒素導入管を備えた調温可能な樹脂供給部に導入し、110℃、酸素濃度0.3体積%の状態で3時間乾燥した。乾燥後、窒素導入を停止し酸素濃度を21%とした。次いで樹脂供給部を2時間かけて室温まで冷却した後、バレル温度280℃、回転数100rpmの2軸押出機(Φ=29.8mm、L/D=30)に、2kg/hrの速度で導入し、ラクトン環含有重合体ペレット(A−1)を得た。このラクトン環含有重合体は、質量平均分子量が140000、ガラス転移温度が130℃、メルトフローレートが11.5g/10分、ラクトン環化率が97%、着色度YIが3.5、50μ以上の異物含有量は80個/100g(透明なポリマーゲル8個/100g、ポリマー炭化物72個/100g)であった。
ラクトン環含有重合体ペレット(A)を、小型カプセルフィルター(ポール社製 エンフロン 定格ろ過精度0.1μm)を設けた窒素導入管を備えた調温可能な樹脂供給部に導入し、室温下、酸素濃度0.5体積%の状態で1時間保持した。次いで、実施例1と同様の混練条件で混練を行い、ラクトン環含有重合体ペレット(A−2)を得た。このラクトン環含有重合体は、質量平均分子量が142000、ガラス転移温度が130℃、メルトフローレートが11.0g/10分、ラクトン環化率が97%、着色度YIが2.8、50μ以上の異物含有量は40個/100g(透明なポリマーゲル5個/100g、ポリマー炭化物35個/100g)であった。
ラクトン環含有重合体ペレット(A)を、小型カプセルフィルター(ポール社製 エンフロン 定格ろ過精度0.1μm)を設けた窒素導入管を備えた調温可能な樹脂供給部に導入し、110℃、酸素濃度0.1体積%の状態で2時間乾燥した。次いで樹脂供給部を2時間かけて室温まで冷却した後、酸素濃度を0.1%に保ったまま、バレル温度270℃、回転数100rpmの2軸押出機(Φ=29.8mm、L/D=30)に、2kg/hrの速度で導入し、ラクトン環含有重合体ペレット(A−3)を得た。このラクトン環含有重合体は、質量平均分子量が145000、ガラス転移温度が130℃、メルトフローレートが12.5g/10分、ラクトン環化率が97%、着色度YIが2.3、50μ以上の異物含有量は35個/100g(透明なポリマーゲル5個/100g、ポリマー炭化物30個/100g)であった。
ラクトン環含有重合体ペレット(A)を、小型カプセルフィルター(ポール社製 エンフロン 定格ろ過精度0.1μm)を設けた窒素導入管を備えた調温可能な樹脂供給部に導入し、110℃、酸素濃度0.1体積%の状態で2時間乾燥した。次いで樹脂供給部を2時間かけて室温まで冷却した後、酸素濃度を0.1%に保ったまま、シリンダー径が20mmの押出機に導入し、下記条件で押出し成型し100μmの厚みのラクトン環含有重合体フィルム(A−4)を得た。
ダイ 温度260℃、幅1000mm
つや付き3本ロール温度 第一ロール125℃、第二ロール142℃、第三ロール118℃
引き取り速度 1.5m/分
得られたラクトン環含有重合体フィルム(A−4)は、質量平均分子量が143000、ガラス転移温度が130℃、メルトフローレートが12.0g/10分、ラクトン環化率が97%、着色度YIが3.5、50μ以上の異物含有量は60個/100g(透明なポリマーゲル5個/100g、ポリマー炭化物55個/100g)であった。
ラクトン環含有重合体ペレット(A)を、小型カプセルフィルター(ポール社製 エンフロン 定格ろ過精度0.1μm)を設けた窒素−酸素導入管を備えた調温可能な樹脂供給部に導入し、室温下、酸素濃度21体積%の状態で1時間保持した。次いで、実施例1と同様の混練条件で混練を行い、ラクトン環含有重合体ペレット(B−1)を得た。このラクトン環含有重合体は、質量平均分子量が135000、ガラス転移温度が130℃、メルトフローレートが14.0g/10分、ラクトン環化率が97%、着色度YIが6.2、50μ以上の異物含有量180個/100g(透明なポリマーゲル50個/100g、ポリマー炭化物130個/100g)であった。
ラクトン環含有重合体ペレット(A)を、小型カプセルフィルター(ポール社製 エンフロン 定格ろ過精度0.1μm)を設けた窒素−酸素導入管を備えた調温可能な樹脂供給部に導入し、110℃、酸素濃度15体積%の状態で2時間乾燥した。次いで樹脂供給部を2時間かけて室温まで冷却した後、酸素濃度を15%に保ったまま、シリンダー径が20mmの押出機に導入し、下記条件で押出し成型し100μmの厚みのラクトン環含有重合体フィルム(B−2)を得た。
ダイ 温度260℃、幅1000mm
つや付き3本ロール温度 第一ロール125℃、第二ロール142℃、第三ロール118℃
引き取り速度 1.5m/分
得られたラクトン環含有重合体フィルム(B−2)は、質量平均分子量が130000、ガラス転移温度が130℃、メルトフローレートが14.5g/10分、ラクトン環化率が97%、着色度YIが6.7、50μ以上の異物含有量は150個/100g(透明なポリマーゲル25個/100g、ポリマー炭化物125個/100g)であった。
Claims (7)
- 115℃以上のガラス転移温度を有するアクリル系樹脂を溶融押出し法で成型機を用いて成型加工する工程を含むアクリル系樹脂成型品の製造方法であって、
該溶融押出し工程は、アクリル系樹脂を溶融する前に、70℃以上、かつ、酸素濃度5体積%以下の状態で保持する操作を行い、
該アクリル系樹脂は、無水マレイン酸とアクリレートの共重合体、N−置換マレイミドとアクリレートの共重合体、ラクトン化ポリマー、及び、グルタルイミドポリマーからなる群より選択される少なくとも1種であり、複数個のベントを有する押出機を用いて減圧下で脱揮する工程を経て得られたものである
ことを特徴とするアクリル系樹脂成型品の製造方法。 - 115℃以上のガラス転移温度を有するアクリル系樹脂を溶融押出し法で成型機を用いて成型加工する工程を含むアクリル系樹脂成型品の製造方法であって、
該溶融押出し工程は、アクリル系樹脂を溶融する前に、70℃以上、かつ、酸素濃度5体積%以下の状態で保持し、更に該溶融押出し工程は、成型機の樹脂供給部の酸素濃度を5体積%以下の状態で保持する操作を行い、
該アクリル系樹脂は、無水マレイン酸とアクリレートの共重合体、N−置換マレイミドとアクリレートの共重合体、ラクトン化ポリマー、及び、グルタルイミドポリマーからなる群より選択される少なくとも1種であり、複数個のベントを有する押出機を用いて減圧下で脱揮する工程を経て得られたものである
ことを特徴とするアクリル系樹脂成型品の製造方法。 - 前記アクリル系樹脂は、ラクトン環構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のアクリル系樹脂成型品の製造方法。
- 前記アクリル系樹脂成型品が、ペレット、フィルム又はシートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアクリル系樹脂成型品の製造方法。
- 前記溶融押出し工程は、アクリル系樹脂を溶融する前に、100℃以上、かつ、酸素濃度1体積%以下の状態で保持し、更に該溶融押出し工程は、成型機の樹脂供給部の酸素濃度を1体積%以下の状態で保持する操作を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル系樹脂成型品の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のアクリル系樹脂成型品の製造方法により得られる、115℃以上のガラス転移温度を有するアクリル系樹脂から成型された成型品であって、
該アクリル系樹脂成型品は、着色度(YI)が6以下であり、平均粒子径50μm以上の異物含有量が100個/100g以下であり、ラクトン環構造を有することを特徴とするアクリル系樹脂成型品。 - 前記アクリル系樹脂成型品が、ペレット、フィルム又はシートであることを特徴とする請求項6記載のアクリル系樹脂成型品。
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