JP4509628B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、分子内にラクトン環構造を持つ熱可塑性の重合体を必須構成成分とする熱可塑性樹脂組成物に関する。
熱可塑性樹脂の1つとして、分子内にラクトン環構造を有する熱可塑性の重合体が知られている。この重合体は、例えば、(i)α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステルを重合して得られる重合体を170℃で10時間処理して脱アルコール反応させることにより、含有する水酸基とエステル基とを縮合させラクトン環構造を生じさせる方法(例えば、特許文献1参照。)や、(ii)2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アルキルエステル重合体またはα−ヒドロキシメチルスチレン/メタクリル酸メチル共重合体を、減圧下、押出機により加熱して脱アルコール反応させることにより、含有する水酸基とエステル基とを縮合させラクトン環を生じさせる方法等により得られる。
このような、分子内にラクトン環構造を有する熱可塑性の重合体は、耐熱性に優れているとともに、機械的強度、耐溶剤性および表面硬度の点でも優れていることが知られており、そのため該重合体を必須とする樹脂組成物は、各種フィルムやシートへの利用・応用が強く期待されている。
特開平9−241323号公報
しかしながら、上記ラクトン環構造を有する重合体は、上述したような各種の優れた物性を有する一方で、成形加工性については乏しく、該重合体を必須とする樹脂組成物をフィルム状やシート状に成形しようとした場合、成形途中で割れやひびが生じ易いという問題があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、分子内にラクトン環構造を有する熱可塑性の重合体を必須構成成分とし、フィルム状やシート状等に成形する際の成形加工性にも優れている、熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その過程において、上記ラクトン環構造を有する重合体の優れた物性を損なうことなく、さらに成形加工性を付与する手段としては、上記ラクトン環構造を有する重合体に、他の熱可塑性の重合体を成形加工性改善剤としてブレンドするのが最も効果的であると考え、上記他の熱可塑性の重合体としてどのようなものを選択すればよいかにつき、試行錯誤および実験を繰り返したところ、以下に述べる特定の(メタ)アクリルエステル系重合体であれば、前述した課題を解決し得ることを見出し、それを確認して、本発明を完成した。
したがって、本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ノルマルブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ターシャリーブチルの中から選ばれる特定の不飽和単量体を含む単量体成分からなる重合体をラクトン環化縮合することで得られた、分子内にラクトン環構造を持つ熱可塑性の重合体(A)と、下記一般式(b1):
CH=CR−CO−O−R (b1)
(ただし、Rは水素原子またはアルキル基であり、Rは炭素数2〜18の有機残基である。)
で表される不飽和単量体由来の構成単位からなる熱可塑性の重合体(B)(前記一般式(b1)で表される不飽和単量体以外の単量体由来の構成単位を含んでもよいが、前記熱可塑性重合体(A)の重合に用いられる前記特定の不飽和単量体と同一の単量体由来の構成単位を含むものを除く。)との混合物を含む、ことを特徴とする。
本発明によれば、分子内にラクトン環構造を有する熱可塑性の重合体を必須構成成分とし、これに上記特定の特定の(メタ)アクリルエステル系重合体が混ざり合っているため耐熱性、機械的強度、耐溶剤性および表面硬度の点で優れており、しかも、フィルム状やシート状等に成形する際の成形加工性にも優れている、熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物(以下、本発明の組成物と言うことがある。)は、前述したように、分子内にラクトン環構造を持つ熱可塑性の重合体(A)とともに、後述する一般式(b1)で表される不飽和単量体由来の構成単位からなる熱可塑性の重合体(B)をも必須構成成分として含んでなり、前記重合体(A)と前記重合体(B)とが混ざり合っていることが重要である。詳しくは、熱可塑性樹脂である重合体(A)に、熱可塑性樹脂である特定の重合体(B)がブレンドされていることで、重合体(A)に起因する成形加工性の低さが改善(改質)されたものである。
以下、本発明の組成物の各構成成分について具体例を挙げて詳しく説明し、引き続き、熱可塑性樹脂組成物について説明する。
〔重合体(A)〕
本発明の組成物の必須構成成分である重合体(A)は、分子内にラクトン環構造を持つ熱可塑性の重合体(分子鎖中にラクトン環構造が導入された熱可塑性の重合体)であれば、限定はされず、その製造方法についても限定されないが、好ましくは、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体(a)を重合によって得た(重合工程)後に、得られた重合体(a)を加熱処理することによりラクトン環構造を重合体に導入する(ラクトン環化縮合工程)ことによって得られる。
重合工程においては、下記一般式(a1)で表される不飽和単量体を含む単量体成分の重合反応を行うことにより、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を得る。
Figure 0004509628
(ただし、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)
上記一般式(a1)で表される不飽和単量体としては、例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ノルマルブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ターシャリーブチルなどが挙げられる。なかでも、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが好ましく、耐熱性向上効果が高い点で、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルが特に好ましい。これらの不飽和単量体は1種のみ用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
単量体成分中の、上記一般式(a1)で表される不飽和単量体の含有割合は、5〜90重量%が好ましく、より好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは10〜50重量%である。上記含有割合が5重量%よりも少ないと、得られるラクトン環含有重合体の耐熱性、耐溶剤性、表面硬度が低下するおそれがあり、90重量%よりも多いと、ラクトン環構造を形成する際に架橋反応が起こってゲル化し易くなり、流動性が低下して溶融成形しにくくなる場合があったり、未反応の水酸基が残りやすくなるために成形の際にさらに縮合反応が進行して揮発性物質が発生してシルバーストリークが入りやすくなったりするなどのおそれがある。
単量体成分は、上記一般式(a1)で表される不飽和単量体以外の、その他の単量体を含むことが好ましい。該その他の単量体としては、本発明の効果を損なわない範囲で選択すれば、限定はされないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸、下記一般式(a2)で表される不飽和単量体が好ましく挙げられる。上記その他の単量体は、1種のみ用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
Figure 0004509628
(ただし、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、−OAc基、−CN基、−CO−R基、または−C−O−R基を表し、Ac基はアセチル基を表し、RおよびRは水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、上記一般式(a1)で表される不飽和単量体以外の(メタ)アクリル酸エステルであれば、限定はされないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステル;が挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし2種以上を併用してもよい。なかでも特に、耐熱性、透明性の点から、メタクリル酸メチルが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステルを用いる場合、単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、10〜95重量%が好ましく、より好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは40〜90重量%、特に好ましくは50〜90重量%である。
上記水酸基含有単量体としては、上記一般式(a1)で表される不飽和単量体以外の水酸基含有単量体であれば、限定はされないが、例えば、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチルなどの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル;2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸などの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸;などが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
上記水酸基含有単量体を用いる場合、単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、0〜30重量%が好ましく、より好ましくは0〜20重量%、さらに好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0〜10重量%である。
上記不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−置換アクリル酸、α−置換メタクリル酸などが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし2種以上を併用してもよい。なかでも特に、本発明の効果を十分に発揮させる点で、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
上記不飽和カルボン酸を用いる場合、単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、0〜30重量%が好ましく、より好ましくは0〜20重量%、さらに好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0〜10重量%である。
上記一般式(a2)で表される不飽和単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルなどが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし2種以上を併用してもよい。なかでも特に、本発明の効果を十分に発揮させる点で、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
上記一般式(a2)で表される不飽和単量体を用いる場合、単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、0〜30重量%が好ましく、より好ましくは0〜20重量%、さらに好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0〜10重量%である。
単量体成分を重合して、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を得るための重合反応の形態としては、溶剤を用いた重合形態であることが必要であり、溶液重合が特に好適である。
重合温度、重合時間は、使用する単量体の種類、使用比率等によって異なるが、好ましくは、重合温度0〜150℃、重合時間0.5〜20時間であり、さらに好ましくは、重合温度80〜140℃、重合時間1〜10時間である。
単量体成分の初期仕込み濃度は、限定はされないが、例えば、高分子量のラクトン環含有重合体を得ることを目的とする場合には、好ましくは30〜95重量%であり、より好ましくは40〜90重量%、さらに好ましくは45〜80重量%、特に好ましくは55〜70重量%である。
重合溶剤としては、限定はされず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンケトンなどのケトン系溶剤;テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;などが挙げられ、これらの1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。重合に供する単量体成分の初期仕込み濃度が高濃度の場合には、重合反応液のゲル化を抑制するために、ケトン系溶剤および/またはエーテル系溶剤を用いることが好ましい。また、使用する溶剤の沸点が高すぎると、最終的に得られるラクトン環含有重合体の残存揮発分が多くなることから、沸点が50〜200℃のものが好ましい。
重合反応時には、必要に応じ、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、限定はされないが、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物;2,2´−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1´−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物;などが挙げられ、これらは1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。なお、重合開始剤の使用量は、用いる単量体の組み合わせや反応条件などに応じて適宜設定すればよく、限定はされない。
重合反応を行う際には、反応液のゲル化を抑止するために、重合反応混合物中の生成した重合体(a)の濃度が50重量%以下となるように制御することが好ましい。具体的には、重合反応混合物中の生成した重合体(a)の濃度が50重量%を超える場合には、重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加して50重量%以下となるように制御することが好ましい。重合反応混合物中の生成した重合体(a)の濃度は、より好ましくは45重量%以下である。なお、重合反応混合物中の重合体(a)の濃度があまりに低すぎると生産性が低下するため、重合反応混合物中の重合体(a)の濃度下限としては、10重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましい。重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加する形態としては、限定はされず、連続的に重合溶剤を添加してもよいし、間欠的に重合溶剤を添加してもよい。このように重合反応混合物中の生成した重合体(a)の濃度を制御することによって、反応液のゲル化をより十分に抑止することができ、特に、ラクトン環含有割合を増やして耐熱性を向上させるために分子鎖中の水酸基とエステル基の割合を高めた場合であってもゲル化を十分に抑制できる。添加する重合溶剤としては、重合反応の初期仕込み時に用いた溶剤と同じ種類の溶剤であってもよいし異なる種類の溶剤であってもよいが、好ましくは、重合反応の初期仕込み時に用いた溶剤と同じ種類の溶剤を用いる。また、添加する重合溶剤は、1種のみの溶剤であってもよいし2種以上の混合溶剤であってもよい。
以上の重合反応を終了した時点で得られる重合反応混合物中には、得られた重合体(a)以外に溶剤が含まれているが、溶剤を完全に除去して重合体(a)を固体状態で取り出す必要はなく、溶剤を含んだ状態で続くラクトン環化縮合工程に導入することが好ましい。また、必要な場合は、重合体(a)を固体状態で取り出した後、続くラクトン環化縮合工程に好適な溶剤を再添加して用いるようにしてもよい。
重合工程で得られた重合体(a)は、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体である。
重合体(a)の重量平均分子量は、限定はされないが、1,000〜2,000,000が好ましく、より好ましくは5,000〜1,000,000、さらに好ましくは10,000〜500,000、特に好ましくは50,000〜500,000である。得られた重合体(a)は、続くラクトン環化縮合工程において、加熱処理されることによりラクトン環構造が重合体に導入され、ラクトン環含有重合体となる。
重合体(a)にラクトン環構造を導入するための反応は、加熱により、重合体(a)の分子鎖中に存在する水酸基とエステル基が環化縮合してラクトン環構造を生じる反応であり、その環化縮合によってアルコールが副生する(脱アルコール反応)。ラクトン環構造が重合体(a)の分子鎖中(重合体(a)の主骨格中)に形成されることにより、高い耐熱性が付与される。ラクトン環構造を導く環化縮合反応の反応率が不十分であると、耐熱性が十分に向上しなかったり、成形時の加熱処理によって成形途中に縮合反応が起こり、生じたアルコールが成形品中に泡やシルバーストリークとなって存在してしまったりするので好ましくない。
ラクトン環化縮合工程において得られる重合体(A)(ラクトン環含有重合体)は、好ましくは、下記一般式(a3):
Figure 0004509628
(ただし、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。)
で表されるラクトン環構造を有する。すなわち、重合体(A)は、上記一般式(a3)で表されるラクトン環構造を有する構成単位を含有する重合体である。
重合体(a)を加熱処理する方法については、限定はされず、公知の加熱方法が利用できる。例えば、重合工程によって得られた、溶剤を含む重合反応混合物を、そのまま加熱処理してもよい。また、溶剤の存在下で、必要に応じて閉環触媒を用いて加熱処理してもよい。また、揮発成分を除去するための真空装置あるいは脱揮装置を持つ加熱炉や反応装置、脱揮装置のある押出機等を用いて加熱処理を行うこともできる。
環化縮合反応を行う際に、重合体(a)に加えて、他の熱可塑性樹脂を共存させてもよい。また、環化縮合反応を行う際には、必要に応じて、環化縮合反応の触媒として一般に用いられるp−トルエンスルホン酸等のエステル化触媒またはエステル交換触媒を用いてもよいし、特開昭61−254608号公報や特開昭61−261303号公報に示されている様に、塩基性化合物、有機カルボン酸塩、炭酸塩などを用いてもよい。
環化縮合反応を行う際には、有機リン化合物を触媒として用いることが好ましい。触媒として有機リン化合物を用いることにより、環化縮合反応率を向上させることができるとともに、得られる、重合体(A)の着色を大幅に低減することができる。さらに、有機リン化合物を触媒として用いることにより、後述の脱揮工程を併用する場合において起こり得る分子量低下を抑制することができ、優れた機械的強度を付与することができる。
環化縮合反応の際に触媒として用いることができる有機リン化合物としては、例えば、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸等のアルキル(アリール)亜ホスホン酸(但し、これらは、互変異性体であるアルキル(アリール)ホスフィン酸になっていてもよい)およびこれらのジエステルあるいはモノエステル;ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、フェニルエチルホスフィン酸等のジアルキル(アリール)ホスフィン酸およびこれらのエステル;メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、トリフルオルメチルホスホン酸、フェニルホスホン酸等のアルキル(アリール)ホスホン酸およびこれらのジエステルあるいはモノエステル;メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸等のアルキル(アリール)亜ホスフィン酸およびこれらのエステル;亜リン酸メチル、亜リン酸エチル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸ジエステルあるいはモノエステルあるいはトリエステル;リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸イソデシル、リン酸ラウリル、リン酸ステアリル、リン酸イソステアリル、リン酸フェニル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジ−2−エチルヘキシル、リン酸ジイソデシル、リン酸ジラウリル、リン酸ジステアリル、リン酸ジイソステアリル、リン酸ジフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリイソデシル、リン酸トリラウリル、リン酸トリステアリル、リン酸トリイソステアリル、リン酸トリフェニル等のリン酸ジエステルあるいはモノエステルあるいはトリエステル;メチルホスフィン、エチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のモノあるいはジあるいはトリアルキル(アリール)ホスフィン;メチルジクロロホスフィン、エチルジクロロホスフィン、フェニルジクロロホスフィン、ジメチルクロロホスフィン、ジエチルクロロホスフィン、ジフェニルクロロホスフィン等のアルキル(アリール)ハロゲンホスフィン;酸化メチルホスフィン、酸化エチルホスフィン、酸化フェニルホスフィン、酸化ジメチルホスフィン、酸化ジエチルホスフィン、酸化ジフェニルホスフィン、酸化トリメチルホスフィン、酸化トリエチルホスフィン、酸化トリフェニルホスフィン等の酸化モノあるいはジあるいはトリアルキル(アリール)ホスフィン;塩化テトラメチルホスホニウム、塩化テトラエチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム等のハロゲン化テトラアルキル(アリール)ホスホニウム;などが挙げられる。これらの中でも、触媒活性が高くて低着色性のため、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸ジエステルあるいはモノエステル、リン酸ジエステルあるいはモノエステル、アルキル(アリール)ホスホン酸が好ましく、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸ジエステルあるいはモノエステル、リン酸ジエステルあるいはモノエステルがより好ましく、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、リン酸ジエステルあるいはモノエステルが特に好ましい。これら有機リン化合物は、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
環化縮合反応の際に用いる触媒の使用量は、限定はされないが、重合体(a)に対し0.001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜2.5重量%、さらに好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.05〜0.5重量%である。触媒の使用量が0.001重量%未満であると、環化縮合反応の反応率の向上が十分に図れないおそれがあり、5重量%を超えると、着色の原因となったり、重合体の架橋により溶融賦形しにくくなったりするおそれがある。
触媒の添加時期は、限定はされず、反応初期に添加しても、反応途中に添加しても、それらの両方で添加してもよい。
環化縮合反応を溶剤の存在下で行い、かつ、環化縮合反応の際に脱揮工程を併行することが好ましい。この場合、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併行する形態、および、脱揮工程を環化縮合反応の過程全体にわたっては併行せずに過程の一部においてのみ併行する形態が挙げられる。脱揮工程を併行する方法では、縮合環化反応で副生するアルコールを強制的に脱揮させて除去するので、反応の平衡が生成側に有利となる。
脱揮工程とは、溶剤、残存単量体等の揮発分と、ラクトン環構造を導く環化縮合反応により副生したアルコールを、必要により減圧加熱条件下で、除去処理する工程をいう。この除去処理が不十分であると、生成した樹脂中の残存揮発分が多くなり、成形時の変質等によって着色したり、泡やシルバーストリークなどの成形不良が起こったりする問題等が生じる。
環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併行する形態の場合、使用する装置については、限定はされないが、効率化を図る点で、熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置やベント付き押出機、また、前記脱揮装置と前記押出機を直列に配置したものを用いることが好ましく、熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置またはベント付き押出機を用いることがより好ましい。
前記熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置を用いる場合の反応処理温度は、150〜350℃が好ましく、200〜300℃がより好ましい。反応処理温度が150℃より低いと、環化縮合反応が不十分となって残存揮発分が多くなるおそれがあり、350℃より高いと、着色や分解が起こるおそれがある。
前記熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置を用いる場合の、反応処理時の圧力は、931〜1.33hPa(700〜1mmHg)が好ましく、798〜66.5hPa(600〜50mmHg)がより好ましい。上記圧力が931hPaより高いと、アルコールを含めた揮発分が残存し易いという問題があり、1.33hPaより低いと、工業的な実施が困難になっていくという問題がある。
前記ベント付き押出機を用いる場合、ベントは1個でも複数個でもいずれでもよいが、複数個のベントを有する方が好ましい。
前記ベント付き押出機を用いる場合の反応処理温度は、150〜350℃が好ましく、200〜300℃がより好ましい。上記温度が150℃より低いと、環化縮合反応が不十分となって残存揮発分が多くなるおそれがあり、350℃より高いと、着色や分解が起こるおそれがある。
前記ベント付き押出機を用いる場合の、反応処理時の圧力は、931〜1.33hPa(700〜1mmHg)が好ましく、798〜13.3hPa(600〜10mmHg)がより好ましい。上記圧力が931hPaより高いと、アルコールを含めた揮発分が残存し易いという問題があり、1.33hPaより低いと、工業的な実施が困難になっていくという問題がある。
なお、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併行する形態の場合、後述するように、厳しい熱処理条件であると、得られる、重合体(A)の物性が悪化するおそれがあるので、好ましくは、上述した脱アルコール反応の触媒を使用し、できるだけ温和な条件で、ベント付き押出機等を用いて行うことが好ましい。
また、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併行する形態の場合、好ましくは、重合工程で得られた重合体(a)を溶剤とともに環化縮合反応装置系に導入するが、この場合、必要に応じて、もう一度ベント付き押出機等の上記反応装置系に通してもよい。
脱揮工程を環化縮合反応の過程全体にわたっては併行せずに、過程の一部においてのみ併行する形態を行ってもよい。例えば、重合体(a)を製造した装置を、さらに加熱し、必要に応じて脱揮工程を一部併行して、環化縮合反応を予めある程度進行させておき、その後に引き続いて脱揮工程を併行した環化縮合反応を行い、反応を完結させる形態である。
先に述べた環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併行した形態では、例えば、重合体(a)を、二軸押出機を用いて、250℃近い、あるいはそれ以上の高温で熱処理する時に、熱履歴の違いにより環化縮合反応が起こる前に一部分解等が生じ、得られる重合体(A)の物性が悪くなるおそれがある。そこで、脱揮工程を併行した環化縮合反応を行う前に、予め縮合環化反応をある程度進行させておくと、後半の反応条件を緩和でき、得られる重合体(A)の物性の悪化を抑制できるので好ましい。特に好ましい形態としては、脱揮工程を環化縮合反応の開始から時間をおいて開始する形態、すなわち、重合工程で得られた重合体(a)の分子鎖中に存在する水酸基とエステル基をあらかじめ環化縮合反応させて環化縮合反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を併行した環化縮合反応を行う形態が挙げられる。具体的には、例えば、予め釜型の反応器を用いて溶剤の存在下で環化縮合反応をある程度の反応率まで進行させておき、その後、脱揮装置のついた反応器、例えば、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置や、ベント付き押出機等で、環化縮合反応を完結させる形態が好ましく挙げられる。特にこの形態の場合、環化縮合反応用の触媒が存在していることがより好ましい。
上述のように、重合工程で得られた重合体(a)の分子鎖中に存在する水酸基とエステル基を予め環化縮合反応させて環化縮合反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を併行した環化縮合反応を行う方法は、重合体(A)を得る方法として好ましい。この方法により、ガラス転移温度がより高く、環化縮合反応率もより高まり、耐熱性に優れた重合体(A)が得られる。この場合、環化縮合反応率の目安としては、実施例に示すダイナッミクTG測定における、150〜300℃間での重量減少率が2%以下であることが好ましく、より好ましくは1.5%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。
脱揮工程を併行した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際に、採用できる反応器としては、限定はされないが、好ましくは、オートクレーブ、釜型反応器、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置等が挙げられ、さらに、脱揮工程を併行した環化縮合反応に好適なベント付き押出機も使用できる。より好ましくは、オートクレーブ、釜型反応器である。しかしながら、ベント付き押出機等の反応器を使用するときでも、ベント条件を温和にしたり、ベントをさせなかったり、温度条件やバレル条件、スクリュウ形状、スクリュウ運転条件等を調整することで、オートクレーブや釜型反応器での反応状態と同じ様な状態で環化縮合反応を行うことが可能である。
脱揮工程を併行した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際には、好ましくは、重合工程で得られた重合体(a)と溶剤とを含む混合物を、(i)触媒を添加して、加熱反応させる方法や、(ii)無触媒で加熱反応させる方法のほか、前記(i)または(ii)を加圧下で行う方法が採用できる。
なお、ラクトン環化縮合工程において環化縮合反応に導入する「重合体(a)と溶剤とを含む混合物」とは、重合工程で得られた重合反応混合物をそのまま使用してもよいし、該重合反応混合物から一旦溶剤を除去したのち環化縮合反応に適した溶剤を再添加したものを使用してもよい、ことを意味する。
脱揮工程を併行した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際に、再添加できる溶剤としては、限定はされず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;クロロホルム、DMSO、テトラヒドロフランなどでもよいが、好ましくは、重合工程で用いることができる溶剤と同じ種類の溶剤である。
上記方法(i)で添加する触媒としては、一般に用いられるp−トルエンスルホン酸等のエステル化触媒またはエステル交換触媒、塩基性化合物、有機カルボン酸塩、炭酸塩などが挙げられるが、前述の有機リン化合物を用いることが好ましい。触媒の添加時期は、限定はされず、反応初期に添加しても、反応途中に添加しても、それらの両方で添加してもよい。触媒の添加量は、限定はされないが、重合体(a)の重量に対し0.001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜2.5重量%、さらに好ましくは0.01〜0.1重量%、特に好ましくは0.05〜0.5重量%である。上記方法(i)の加熱温度と加熱時間は、限定はされないが、加熱温度としては、好ましくは室温以上、より好ましくは50℃以上であり、加熱時間としては、好ましくは1〜20時間、より好ましくは2〜10時間である。加熱温度が低いか、または、加熱時間が短いと、環化縮合反応率が低下するおそれがある。また、加熱時間が長すぎると、樹脂の着色や分解が起こるおそれがある。
上記方法(ii)としては、例えば、耐圧性の釜などを用いて、重合工程で得られた重合反応混合物をそのまま加熱する方法等が挙げられる。加熱温度としては、好ましくは100℃以上、さらに好ましくは150℃以上である。加熱時間としては、好ましくは1〜20時間、より好ましくは2〜10時間である。加熱温度が低いか、または、加熱時間が短いと、環化縮合反応率が低下するおそれがある。また、加熱時間が長すぎると、樹脂の着色や分解が起こるおそれがある。
上記方法(i)、(ii)ともに、条件によっては加圧下となる場合があるが、何ら問題はない。
脱揮工程を併行した縮合環化反応の前に予め行う環化縮合反応の際には、溶剤の一部が反応中に自然に揮発しても何ら問題ではない。
脱揮工程を併行した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の終了時、すなわち、脱揮工程開始直前における、ダイナミックTG測定における150〜300℃の間での重量減少率は、2%以下が好ましく、より好ましくは1.5%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。重量減少率が2%より高いと、引き続き、脱揮工程を併行した環化縮合反応を行っても、環化縮合反応率が十分高いレベルまで上がらず、得られる重合体(A)の物性が低下するおそれがある。なお、上記の環化縮合反応を行う際に、重合体(a)に加えて、他の熱可塑性樹脂を共存させてもよい。
重合工程で得られた重合体(a)の分子鎖中に存在する水酸基とエステル基を予め環化縮合反応させて環化縮合反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を併行した環化縮合反応を行う形態の場合、予め行う環化縮合反応で得られた重合体(分子鎖中に存在する水酸基とエステル基の少なくとも一部が環化縮合反応した重合体)と溶剤とを、そのまま脱揮工程を併行した環化縮合反応に用いてもよいが、必要に応じ、前記重合体(分子鎖中に存在する水酸基とエステル基の少なくとも一部が環化縮合反応した重合体)を単離してから溶剤を再添加する等のその他の処理を経てから、脱揮工程を併行した環化縮合反応に用いることもできる。
脱揮工程は環化縮合反応と同時に終了することには限らず、環化縮合反応の終了から時間をおいて終了しても構わない。
以上の方法で得られた重合体(A)は、透明性と耐熱性とを共に有し、さらに、機械的強度や成形加工性などの各種特性をも備えたラクトン環含有重合体である。
重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、限定はされないが、1,000〜2,000,000が好ましく、より好ましくは5,000〜1,000,000、さらに好ましくは10,000〜500,000、特に好ましくは50,000〜500,000である。
重合体(A)の屈折率は、後述する重合体(B)の屈折率との差(絶対値)が0.03以下であることが好ましく、より好ましくは0.025以下、さらに好ましくは0.020以下である。上記屈折率の差が0.030を超えると、得られる樹脂組成物の透明性が損なわれるおそれがある。
重合体(A)単独での屈折率は、限定はされないが、1.470〜1.550であることが好ましく、より好ましくは1.480〜1.540である。上記屈折率が上記範囲外であると、後述する重合体(B)との屈折率差を上述した範囲内にすることが困難となり、得られる樹脂組成物の透明性が損なわれるおそれがある。
重合体(A)は、後述する重合体(B)と熱力学的に相溶し得るものであることが、透明性に優れ、成型加工性により一層優れた樹脂組成物が得られる点で好ましい。
重合体(A)は、ダイナミックTG測定における150〜300℃の間での重量減少率が、1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.3%以下である。
重合体(A)は、環化縮合反応率が高いので、成形後の成形品中に泡やシルバーストリークが入るという欠点が回避できる。さらに、高い環化縮合反応率によってラクトン環構造が重合体に十分に導入されるため、得られた重合体(A)が十分に高い耐熱性を有している。
重合体(A)は、15重量%のクロロホルム溶液中での着色度(YI)が、6以下であるものが好ましく、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下、最も好ましくは1以下である。着色度(YI)が6を越えると、樹脂組成物の透明性が損なわれ、本来目的とする用途に使用できない場合がある。
重合体(A)中のラクトン環構造の含有割合は、5〜80重量%であることが好ましく、より好ましくは10〜60重量%、さらにより好ましくは10〜50重量%である。
重合体(A)は、熱重量分析(TG)における5%重量減少温度が、330℃以上であることが好ましく、より好ましくは350℃以上、さらに好ましくは360℃以上である。熱重量分析(TG)における5%重量減少温度は、熱安定性の指標であり、これが330℃未満であると、十分な熱安定性を発揮できないおそれがある。
重合体(A)は、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110℃以上、より好ましくは115℃以上、さらに好ましくは120℃以上である。
重合体(A)は、それに含まれる残存揮発分の総量が、5,000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは3,000ppm以下である。残存揮発分の総量が5,000ppmよりも多いと、成形時の変質等によって着色したり、発泡したり、シルバーストリークなどの成形不良の原因となる。
重合体(A)は、射出成形により得られる成形品の、JIS K−7105に準じた方法で測定された全光線透過率が、85%以上であることが好ましく、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。全光線透過率は、透明性の目安であり、これが85%未満であると、樹脂組成物の透明性が低下し、本来目的とする用途に使用できないおそれがある。
重合体(A)は、射出成形により得られる成形品の、JIS K−7105に準じた方法で測定された曇価が、5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下である。曇価は、透明性の目安であり、これが5%を越えると、樹脂組成物の透明性が低下し、本来目的とする用途に使用できないこととなる。
〔重合体(B)〕
本発明の組成物の必須構成成分である重合体(B)は、下記一般式(b1):
CH=CR−CO−O−R (b1)
(ただし、Rは水素原子またはアルキル基であり、Rは炭素数2〜18の有機残基である。)
で表される不飽和単量体由来の構成単位からなる熱可塑性の重合体である。なお、重合体(B)を構成する構成単位は、上記一般式(b1)で表される不飽和単量体由来の構成単位であれば、すべて同じであってもよいし(ホモポリマー)、少なくとも一部が異なっていてもよく(コポリマー)、限定はされない。
上記一般式(b1)におけるRは水素原子またはアルキル基であるが、好ましくはアルキル基である。
上記一般式(b1)におけるRは炭素数2〜18の有機残基であるが、好ましくは炭素数3〜15の有機残基、さらに好ましくは4〜10の有機残基である。上記炭素数が2未満であると、重合体(A)との相溶性が悪くなり、得られる樹脂の透明性が低下するおそれがあり、18を超えると、得られる樹脂の耐熱性や耐溶剤性が低下するおそれがある。なお、有機残基Rは、酸素原子を含んでいてもよく、限定はされない。
上記一般式(b1)で表される不飽和単量体としては、具体的には、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートおよびヒドロキシプロピルメタクリレート等が好ましく挙げられる。なかでも、重合体(A)との相溶性が高い点で、シクロヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートおよびベンジルメタクリレートがより好ましい。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよく、限定はされない。
重合体(B)が、シクロヘキシルメタクリレート由来の構成単位を含んでなる場合、該構成単位の含有割合は、重合体(B)全体に対し、5〜100重量%が好ましく、より好ましくは20〜95重量%、さらに好ましくは30〜90重量%である。
重合体(B)が、ヒドロキシエチルメタクリレート由来の構成単位を含んでなる場合、該構成単位の含有割合は、重合体(B)全体に対し、1〜50重量%が好ましく、より好ましくは2〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%である。
重合体(B)が、ベンジルメタクリレート由来の構成単位を含んでなる場合、重合体(B)全体に対し、5〜100重量%が好ましく、より好ましくは20〜95重量%、さらに好ましくは30〜90重量%である。
重合体(B)は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記一般式(b1)で表される不飽和単量体以外の単量体由来の構成単位を含んでいてもよく、限定はされない。
重合体(B)の製造方法は、上記一般式(b1)で表される不飽和単量体からなる単量体成分の重合反応により重合体(B)を得ることができる方法であればよく、限定はされないが、エステル基を有する重合体を得るための重合方法としては、溶剤を用いた重合方法であることが必要であり、溶液重合が特に好適である。なお、上記単量体成分中には、上記一般式(b1)で表される不飽和単量体以外の単量体を、本発明の効果を損なわない範囲で含むことができる。
重合温度、重合時間は、使用する単量体の種類、使用比率等によって異なるが、好ましくは、重合温度0〜150℃、重合時間0.5〜20時間であり、さらに好ましくは、重合温度80〜140℃、重合時間1〜10時間である。
重合に供する単量体成分の初期仕込み濃度は、限定はされないが、例えば、高分子量の重合体(B)を得ることを目的とする場合には、好ましくは30〜95重量%であり、より好ましくは35〜90重量%、さらに好ましくは40〜80重量%である。
重合溶剤としては、限定はされず、例えば、重合体(A)の製造に用い得る重合溶媒と同様のものが挙げられ、これらの1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。重合に供する単量体成分の初期仕込み濃度が高濃度の場合には、重合反応液のゲル化を抑制するために、ケトン系溶剤および/またはエーテル系溶剤を用いることが好ましい。また、使用する溶剤の沸点が高すぎると、最終的に得られる重合体(B)の残存揮発分が多くなることから、沸点が50〜200℃のものが好ましい。
重合反応時には、必要に応じて、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、限定されないが、例えば、重合体(A)の製造に用い得る重合開始剤と同様のものが挙げられ、これらは1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。なお、重合開始剤の使用量は、用いる単量体の組み合わせや反応条件などに応じて適宜設定すればよく、限定されない。
重合体(B)の重量平均分子量(Mw)は、限定はされないが、10,000〜500,000が好ましく、より好ましくは50,000〜300,000、さらに好ましくは70,000〜250,000である。上記Mwが10,000未満であると、熱可塑性樹脂組成物の機械的強度や耐溶剤性や耐熱性等が低下するおそれがあり、500,000を超えると、成形加工性を向上させることができず、本発明の効果が得られないおそれがある。
重合体(B)の屈折率は、前記重合体(A)の屈折率との差(絶対値)が0.030以下であることが好ましく、より好ましくは0.025以下、さらに好ましくは0.020以下である。上記屈折率の差が0.030を超えると、得られる樹脂組成物の透明性が損なわれるおそれがある。
重合体(B)単独での屈折率は、限定はされないが、1.470〜1.550であることが好ましく、より好ましくは1.480〜1.540である。上記屈折率が上記範囲外であると、重合体(A)との屈折率差を上述した範囲内にすることが困難となり、得られる樹脂組成物の透明性が損なわれるおそれがあるおそれがある。
重合体(B)は、重合体(A)と熱力学的に相溶し得るものであることが、透明性に優れ、成型加工性により一層優れた樹脂組成物が得られる点で好ましい。このような相溶性に優れた重合体(B)としては、例えば、シクロヘキシルメタクリレートやヒドロキシエチルメタクリレートやベンジルメタクリレートに由来する構成単位を前述した割合で含有してなる重合体(B)が好ましく挙げられる。
重合体(B)は、15重量%のクロロホルム溶液中での着色度(YI)が6以下となるものが好ましく、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下である。着色度(YI)が6を越えると、着色により、得られる樹脂組成物の透明性が損なわれ、本来目的とする用途に使用できない場合がある。
重合体(B)は、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは90℃以上、さらに好ましくは100℃以上である。
重合体(B)は、それに含まれる残存揮発分の総量が、好ましくは5,000ppm以下、より好ましくは3,000ppm以下である。残存揮発分の総量が5,000ppmよりも多いと、成形時の変質等によって着色したり、発泡したり、シルバーストリークなどの成形不良の原因となる。
重合体(B)は、射出成形により得られる成形品の、JIS K−7105に準じた方法で測定された全光線透過率が、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。全光線透過率は、透明性の目安であり、これが85%未満であると、得られる樹脂組成物の透明性が低下し、本来目的とする用途に使用できないおそれがある。
重合体(B)は、射出成形により得られる成形品の、JIS K−7105に準じた方法で測定された曇価が、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。曇価は、透明性の目安であり、これが5.0%を越えると、得られる樹脂組成物の透明性が低下し、本来目的とする用途に使用できないこととなる。
本発明の組成物においては、重合体(B)は、他の重合体と結合してなるブロック重合体の形態で含まれていてもよい。この場合、上記他の重合体については、本発明の効果を損なわないのであれば、その種類や各種物性は、限定はされない。
〔他の構成成分〕
本発明の組成物は、熱可塑性樹脂としての前記重合体(A)および前記重合体(B)以外に、用途等を考慮し、他の構成成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含むことができる。
上記他の構成成分としては、重合体(A)および重合体(B)以外の各種重合体や、各種添加剤や、等が挙げられる。
上記他の構成成分としての重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂等の含ハロゲン系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂等のゴム質重合体;などが挙げられる。
上記他の構成成分としての添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系の酸化防止剤や安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;フェニルサリチレート、(2,2´−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;フィラーや他の樹脂改質剤;各種ゴム弾性体などが挙げられる。なかでも、上記各種ゴム弾性体を含めた場合は、本発明の組成物をフィルム状やシート状に成形した場合に、該成形品の耐折り曲げ性を効果的に向上させることができる。一般に、各種ゴム弾性体を、単独で、熱可塑性樹脂組成物に含めた場合は、樹脂成分との馴染みが悪く、成型加工性を低下させることとなり好ましくないが、本発明においては、前述した重合体(B)が上記各種ゴム弾性体の樹脂成分への馴染みを促進する効果を発揮し、成型加工性の問題を生ずることなく、成形品の耐折り曲げ性の向上効果を得ることができる。
また上記各種ゴム弾性体は、その表面に前述した重合体(B)がグラフトされた形態で本発明の組成物に含めることもできる。この場合、各種ゴム弾性体の樹脂成分との馴染みは、グラフト部の重合体(B)の効果により、上述のように単独で含有させた場合に比べより一層促進され、好ましい。さらに、グラフト部の重合体(B)は、前述したように、他の重合体と結合してなるブロック重合体の形態であってもよく、限定はされない。
〔熱可塑性樹脂組成物〕
本発明の組成物は、熱可塑性樹脂成分として、前記重合体(A)と前記重合体(B)とを必須に含むものである。
本発明の組成物における、重合体(A)と重合体(B)との配合比「重合体(A)/重合体(B)」(重量比)は、50/50〜97/3が好ましく、より好ましくは60/40〜95/5、さらに好ましくは65/35〜93/7、特に好ましくは70/30〜90/10である。上記配合比が、97/3を超えると、重合体(B)を重合体(A)にブレンドすることにより成型加工性向上の効果が十分に得られないおそれがあり、50/50未満であると、重合体(A)が本来有する優れた物性(具体的には、耐熱性、機械的強度、耐溶剤性および表面硬度)が十分に発揮されないおそれがある。
本発明の組成物においては、重合体(A)と重合体(B)とが混ざり合っていること、すなわち、熱可塑性樹脂である重合体(A)に熱可塑性樹脂である特定の重合体(B)がブレンドされていることが重要である。
重合体(A)と重合体(B)との混合状態については、本発明の組成物を成形する際に、重合体(A)と重合体(B)とが互いにその少なくとも一部が混合されていればよく、限定はされないが、両重合体がより均一に混合されていることが、成形加工性がより一層改善(改質)させることができ、好ましい。なお、混合時にかかるシェアで重合体(A)や重合体(B)が劣化しない程度に均一に混合されている状態が好ましい。
本発明の組成物は、重合体(A)および重合体(B)と、必要に応じ各種添加剤とを混合することによって、容易に得ることができる。上記混合方法としては、限定はされず、例えば、オムニミキサー等の混合機でプレブレンドして得られた混合物を押出混練する方法等が採用できる。この場合、押出混練に用いる混練機としては、例えば、単軸押出機や二軸押出機等の押出機や加圧ニーダー等、従来公知の混練機が採用できる。
上記混合に際しては、本発明の組成物の温度が、150〜350℃の範囲に納まるよう制御することが好ましく、より好ましくは170〜300℃、さらに好ましくは180〜290℃である。上記温度が150℃未満であると、重合体(A)と重合体(B)とを均一に混合できなかったり、混合機のトルクが上がすぎて混合困難となるおそれがあり、350℃を超えると、重合体(A)や重合体(B)の分子量が低下してしまったり、得られる樹脂組成物が着色するおそれがある。
本発明の組成物は、射出成形、ブロー成形、押出成形、キャスト成形等の公知の各種成形方法により、例えば、フィルム状、シート状、板状および棒状等の種々の形状に容易に成形することができる。成形時の成形温度は、耐熱性などの樹脂の性質に応じて適宜設定すればよく、限定されないが、例えば、150〜350℃が好ましく、より好ましくは200〜300℃である。
本発明の組成物は、その用途は限定されないが、例えば、各種表示装置(液晶表示装置、プラズマディスプレイおよび有機EL表示装置等)におけるフラットディスプレイ用の保護膜;透明光学レンズ;光学素子(例えば、各種計器類の照明あるいは各種ディスプレイや看板照明等に利用可能な導光体、プラスチック光ファイバー、光拡散性面状成形体等);赤外線センサー;OA機器や自動車等の透明部品(例えば、レーザービームプリンター用レンズ、車両用のヘッドランプやフォグランプや信号灯等に用いられるランプレンズ等);建材・車両用グレージング材;脱塗装を目的とした熱成形用シート;コーティング材料;光学フィルム材料;光学積層体材料;等として好適に使用することができる。
以下に、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。また、「重量%」を「wt%」と記すことがある。
実施例および比較例における、測定方法および評価方法を以下に示す。
<重合反応率、重合体組成分析>
得られた重合反応混合物中の未反応単量体の量をガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、製品名:GC17A)で測定し、その測定値をもとに、重合反応時の反応率、および、重合体中の特定の単量体由来の構成単位の含有割合を算出した。
<ダイナミックTG>
重合体(もしくは重合体溶液あるいはペレット)を、一旦テトラヒドロフランに溶解もしくは希釈し、過剰のヘキサンもしくはメタノールへ投入して再沈殿を行い、取り出した沈殿物を真空乾燥(1mmHg(1.33hPa)、80℃、3時間以上)することによって揮発成分などを除去し、得られた白色固形状の重合体を、以下の方法・条件に基づくダイナミックTG法で分析した。
測定装置:Thermo Plus2 TG−8120 Dynamic TG((株)リガク製)
測定試料重量:5〜10mg
昇温速度:10℃/分
測定雰囲気:窒素フロー 200mL/分
方法:階段状等温制御法(60〜500℃の間で重量減少速度値0.005wt%/秒以下で制御)
<ガラス転移温度(Tg)>
重合体および樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を、以下の方法・条件により測定した。
測定装置:DSC8230((株)リガク製)
測定試料重量:10mg
昇温速度:10℃/分
測定雰囲気:窒素フロー 50mL/分
方法:ASTM−D−8230に準拠し、中点法で求めた。
<脱アルコール反応率、ラクトン環構造の含有割合>
脱アルコール反応率(%)は、得られた重合体が有する水酸基が全てメタノールとして脱アルコールした際に起こる重量減少量を基準にし、ダイナミックTG測定において、重量減少が始まる前の150℃から、重合体の分解が始まる前の300℃までの脱アルコール反応による重量減少から求めた。
すなわち、まず、ラクトン環構造を有する重合体のダイナミックTG測定において、150℃から300℃までの間の重量減少率(wt%)の測定を行い、その値を実測重量減少率(X)(wt%)と定義する。
次に、当該重合体の組成から、その重合体組成に含まれる全ての水酸基がラクトン環の形成に関与するためアルコールになり脱アルコールすると仮定したときの重量減少率(すなわち、その組成上において100%脱アルコール反応が起きたと仮定して算出した重量減少率)を計算し、その値を理論重量減少率(Y)(wt%)と定義する。具体的には、理論重量減少率(Y)は、当該重合体中の、脱アルコール反応に関与する構造(水酸基)を有する単量体由来の構成単位の含有割合(モル%)、すなわち、使用した単量体成分全体中の、水酸基を有する単量体の配合割合(モル%)から算出することができる。
これら実測重量減少率(X)および理論重量減少率(Y)の値を下記計算式:
脱アルコール反応率(%)
=〔1−(実測重量減少率(X)/理論重量減少率(Y))〕×100
に代入することにより脱アルコール反応率(%)を求めることができる。そして、この脱アルコール反応率に相当する分だけ所定のラクトン環化が行われたものとして、ラクトン環化に関与する構造(水酸基)を有する単量体由来の構成単位の、当該重合体における含有割合(wt%)に、脱アルコール反応率(%)を乗じることで、当該重合体中のラクトン環構造の含有割合(wt%)を算出することができる。
以下に、例として、後述する製造例1−1で得られる重合体(A)についてラクトン環構造の含有割合を計算する。まず、この重合体の理論重量減少率(Y)を求めてみると、メタノールの分子量は32であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの分子量は116であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル由来の構成単位の重合体中の含有割合は組成上10.0wt%であることから、理論重量減少率(Y)は、(32/116)×10.0≒2.76(wt%)となる。また、ダイナミックTG測定のよる実測重量減少率(X)は、0.10wt%であった。これら実測重量減少率(X)および理論重量減少率(Y)の値を上記計算式に代入すると、〔1−(0.10/2.70)〕×100≒96.4となるので、脱アルコール反応率は96.4%となる。そして、当該重合体ではこの脱アルコール反応率に相当する分だけ所定のラクトン環化が行われたものとして、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル由来の構成単位の当該重合体中における含有割合(10.0wt%)に、脱アルコール反応率(96.4%)を乗じると、当該重合体中のラクトン環構造の含有割合は9.6wt%となる。
<重量平均分子量(Mw)>
重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC(東ソー社製、GPCシステム)のポリスチレン換算により求めた。
<屈折率>
重合体の屈折率は、アッベ屈折率計((株)アタゴ製、製品名:アッベ屈折率計4T)を用い、ナトリウムD線についての25℃での屈折率(%)を測定した。
<着色度YI>
重合体を15wt%となるようにクロロホルムに溶解させた溶液を、石英セルに入れ、JIS K−7103に準拠し、色差計(日本電色工業社製、製品名:SZ−Σ90)を用いて、透過光で測定した。
<成型加工性>
得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを用い、下記条件(フィルム化条件)で、厚み約400μmのフィルムを成形し、長さ20m分巻き取りを行った。得られたフィルム表面を目視により観察し、フィルム成形加工性およびフィッシュアイの有無について、以下の基準により評価した。なお、以下の評価方法・測定方法においても、ここで得られたフィルムを用いるようにした。
(フィルム化条件)
スクリュー径:φ50mm
バレル温度:240℃
ダイ:温度230℃、幅1000mm
つや付き3本ロールの温度:第1ロール125℃、第2ロール142℃、第3ロール118℃
引き取り速度:1.5m/分
(フィルム成型加工性)
○:成形したフィルムに割れやひびは全く認められなかった。
△:成形したフィルムに割れやひびが少し認められた。
×:成形したフィルムに割れやひびが多く認められた。
(フィッシュアイの有無)
○:全く認められなかった。
△:少し認められた。
×:多く認められた。
<ヘイズ>
JIS K−7105に準拠し、濁度計(日本電色工業社製、製品名:NDH−1001DP)を用いて、フィルムのヘイズを測定した。
<耐候性>
促進耐候性試験機(Eye Super UV Tester、岩崎電気社製、製品名:Suv−F1)を用い、フィルム表面に、強度100mW/cmのUVを100時間照射したときの、該フィルムの着色度YIを測定し、初期値(UV照射前の着色度YI)との差(ΔYI)で評価した。
<耐溶剤性>
フィルム表面に、イソプロピルアルコール(IPA)またはキシレンを接触させ、3日間放置後、その外観を観察し、以下の基準により評価した。
○:変化が認められなかった。
△:微クラックの発生が認められた。
×:フィルム表面は膨潤し、少なくとも一部が溶解していた。
<表面硬度(鉛筆硬度)>
フィルムの表面硬度(鉛筆硬度)を、JIS K−5400に準拠し、鉛筆引掻き試験機(JIS K−5401)を用いて、鉛筆引掻き試験値として測定した。
〔製造例1−1〕
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた30Lの反応釜に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル5部およびメタクリル酸メチル45部からなる単量体成分と、トルエン50部とを仕込み、窒素を通じつつ100℃まで昇温した。
その後、還流下(100〜110℃)で、開始剤としてターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.15部を加えて溶液重合を行い、さらに5時間かけて熟成を行って、重合体(a1)の溶液を得た。重合の反応率は95.0wt%であった。
得られた重合体(a1)中の、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル由来の構成単位の含有割合は10.0wt%であり、重合体(a1)の重量平均分子量は150,000であった。
得られた重合体(a1)の溶液に、重合体(a1)100部に対しメチルイソブチルケトン50部を加えるとともに、該溶液100部に対しリン酸メチル/リン酸ジメチル混合物(東京化成工業社製)0.1部を加え、窒素を通じつつ、還流下(95〜100℃)で5時間、環化縮合反応を行った。得られた反応溶液の一部を取り出し、ダイナミックTGの測定を行ったところ、0.62%の重量減少率を検知した。
環化縮合反応後に得られた重合体溶液を、ベントタイプスクリュー二軸押出機(直径=29.75mm、L/D=30、バレル温度250℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa、リアベント数1個、フォアベント数4個)に、重合体量換算で2.0kg/hの処理速度で導入し、上記押出機内で、さらなる環化縮合反応と、脱揮とを行い、押出すことにより、透明な重合体(A1)のペレットを得た。
得られた重合体(A1)のペレットについて、ダイナミックTGの測定を行ったところ、0.1wt%の重量減少率を検知した。また、重合体(A1)の重量平均分(Mw)子量は165,000であり、ガラス転移温度(Tg)は123℃、屈折率は1.499、着色度YIは0.3であった。
〔製造例1−2〕
製造例1−1と同様の反応釜に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル10部およびメタクリル酸メチル40部からなる単量体成分と、メチルイソブチルケトン(MIBK)50部を仕込み、窒素を通じつつ100℃まで昇温した。
その後、製造例1−1と同様に、溶液重合および熟成を行って、重合体(a2)の溶液を得た。重合の反応率は96.0wt%であった。
得られた重合体(a2)中の、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル由来の構成単位の含有割合は20.0wt%であり、重合体(a2)の重量平均分子量は170,000であった。
環化縮合反応、および、押出し機内でのさらなる環化縮合反応と脱揮は、製造例1−1と同様に行い、透明な重合体(A2)のペレットを得た。
得られた重合体(A2)のペレットについて、ダイナミックTGの測定を行ったところ、0.16wt%の重量減少率を検知した。また、重合体(A2)の重量平均分子量(Mw)は150,000であり、ガラス転移温度(Tg)は129℃、屈折率は1.509、着色度YIは0.6であった。
〔製造例2−1〕
製造例1−1と同様の反応釜に、シクロヘキシルメタクリレート40部およびメタクリル酸メチル60部からなる単量体成分と、トルエン50部とを仕込み、窒素を通じつつ100℃まで昇温した。
その後、還流下(100〜110℃)で、開始剤としてターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.15部を加えて溶液重合を行い、さらに5時間かけて熟成を行って、重合体(b1)の溶液を得た。重合の反応率は95.0wt%であった。
得られた重合体(b1)中の、シクロヘキシルメタクリレート由来の構成単位の含有割合は40wt%であり、重合体(b1)の重量平均分子量(Mw)は110,000、ガラス転移温度(Tg)は115℃、屈折率は1.498であった。
〔製造例2−2〜2−5〕
製造例2−1において、単量体成分の組成を表1に示すようにした以外は、同様にして、重合体(b2)〜(b5)それぞれの溶液を得た。
各重合の反応率、および、各重合体の諸物性について表1に示した。
なお、重合体(b2)中の、シクロヘキシルメタクリレート由来の構成単位の含有割合は80wt%であり、重合体(b3)中の、ヒドロキシエチルメタクリレート由来の構成単位の含有割合は10wt%であり、重合体(b4)中の、ベンジルメタクリレート由来の構成単位の含有割合は40wt%であった。
Figure 0004509628
〔実施例1〕
重合体(A1)のペレット80部および重合体(B1)のペレット20部を、オムニミキサーに投入して混合した後、シリンダー温度240℃にコントロールした30mmφの二軸押出機を用いて溶融混練して、熱可塑性樹脂組成物(1)を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物(1)および該組成物から得られたフィルムの諸物性について、前述した方法により測定・評価し、その結果を表2に示した。
〔実施例2〜7〕
実施例1において、重合体ペレットの種類および配合量を表2に示すようにした以外は、同様にして、熱可塑性樹脂組成物(2)〜(7)を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物(2)〜(7)およびこれら組成物から得られたフィルムの諸物性について、前述した方法により測定・評価し、その結果を表2に示した。
〔比較例1〜4〕
実施例1において、重合体ペレットの種類および配合量を表3に示すようにした以外は、同様にして、熱可塑性樹脂組成物(c1)〜(c4)を得た。
なお、比較例4において用いたアクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)の組成はアクリロニトリル/スチレン(重量比)=25/75であり、該AS樹脂の重量平均分子量は100,000、ガラス転移温度は105℃、屈折率は1.575であった。
得られた熱可塑性樹脂組成物(c1)〜(c4)およびこれら組成物から得られたフィルムの諸物性について、前述した方法により測定・評価し、その結果を表3に示した。
Figure 0004509628
Figure 0004509628
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、例えば、各種表示装置(液晶表示装置、プラズマディスプレイおよび有機EL表示装置等)におけるフラットディスプレイ用の保護膜;透明光学レンズ;光学素子(例えば、各種計器類の照明あるいは各種ディスプレイや看板照明等に利用可能な導光体、プラスチック光ファイバー、光拡散性面状成形体等);赤外線センサー;OA機器や自動車等の透明部品(例えば、レーザービームプリンター用レンズ、車両用のヘッドランプやフォグランプや信号灯等に用いられるランプレンズ等);建材・車両用グレージング材;脱塗装を目的とした熱成形用シート;コーティング材料;光学フィルム材料;光学積層体材料;等として好適に使用することができる。

Claims (2)

  1. 2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ノルマルブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ターシャリーブチルの中から選ばれる特定の不飽和単量体を含む単量体成分からなる重合体をラクトン環化縮合することで得られた、分子内にラクトン環構造を持つ熱可塑性の重合体(A)と、下記一般式(b1):
    CH=CR−CO−O−R (b1)
    (ただし、Rは水素原子またはアルキル基であり、Rは炭素数2〜18の有機残基である。)
    で表される不飽和単量体由来の構成単位からなる熱可塑性の重合体(B)(前記一般式(b1)で表される不飽和単量体以外の単量体由来の構成単位を含んでもよいが、前記熱可塑性重合体(A)の重合に用いられる前記特定の不飽和単量体と同一の単量体由来の構成単位を含むものを除く。)との混合物を含む、熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記重合体(A)と前記重合体(B)との屈折率の差が0.030以下である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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