JP6481426B2 - 高透明で高耐熱な樹脂組成物およびフィルム - Google Patents
高透明で高耐熱な樹脂組成物およびフィルム Download PDFInfo
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Description
これを改善するために、特許文献1には、アクリル系マクロモノマーと他のアクリル系モノマーを共重合させたアクリル系共重合体とポリメタクリル酸メチルを含む、耐衝撃性に優れたアクリル系樹脂が記載されている。また、一般に耐熱性が高くなるほど樹脂は硬脆くなり強度は下がる傾向にあるため、特許文献2には、アクリル系マクロモノマーと他のアクリル系モノマーを共重合させたアクリル系共重合体と耐熱性に優れた樹脂を含む、強靭化された樹脂組成物が記載されている。
本発明の目的は、この問題点を解決し、高透明で高耐熱な樹脂組成物およびそのフィルムを提供することである。
(式(1)において、R及びR1〜Rnは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基である。X1〜Xnは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。Zは、末端基であり、水素原子またはラジカル重合開始剤に由来する基である。nは、2〜1000の自然数である。)
<アクリル系共重合体(A)>
本発明のアクリル系共重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、115℃以上であることが必要で、135℃未満であることが好ましい。前記ガラス転移温度(Tg)が115℃以上の場合、耐熱性に優れる。また、Tgが135℃の場合、強度がに優れる。
さらに、前記ガラス転移温度(Tg)は、耐熱性の点で120℃以上、130℃未満であることがより好ましい。
なおガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)で測定したものである。
アクリル系共重合体(A)と後述するアクリル系共重合体(B)との屈折率差は、0.006未満である。当該屈折率差により、透明性に優れるフィルムを提供できる。
前記アクリル系共重合体(A)は、公知の単量体の混合物を公知の方法で重合して得られる。
これらの中でも、入手のし易さ、得られる共重合体の透明性と耐熱性のバランスの面から、(メタ)アクリル酸エステル類、α,β−不飽和カルボン酸類が好ましい。さらに、これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸がより好ましい。
これらラジカル重合性単量体は1種類のみを用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前期単量体の重合は、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の方法で、公知の重合条件で行うことができる。
重合開始剤は、公知の有機過酸化物あるいはアゾ化合物を使用することができる。
有機過酸化物の具体例としては、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等が挙げられる。
これらの中でも、ベンゾイルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)が好ましい。
これら重合開始剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらの重合開始剤の量は、前記アクリル系共重合体(A)100質量部に対して0.0001〜10質量部の範囲内で用いることが好ましい。
さらに、重合の際には、重合体の分子量を調節するために、メルカプタン類、αメチルスチレンダイマー、テルペノイド類等の公知の連鎖移動剤を添加してもよい。
本発明のアクリル系共重合体(B)は、式(1)で表されるマクロモノマーを含む単量体混合物(M)を懸濁重合して得られるガラス転移温度が115℃未満の共重合体である。
前記アルキル基としては、例えば、炭素数1〜20の分岐又は直鎖アルキル基が挙げられる。前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びi−プロピル基が挙げられる。
前記シクロアルキル基としては、例えば、炭素数3〜20のシクロアルキル基が挙げられる。前記シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基及びアダマンチル基が挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、炭素数6〜18のアリール基が挙げられる。前記アリール基の具体例としては、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。
R又はR1〜Rnの複素環基としては、例えば、炭素数5〜18の複素環基が挙げられる。前記複素環基の具体例としては、γ―ラクトン基及びε―カプロラクトン基が挙げられる。
さらに、前記アルキル基、前記シクロアルキル基、前記アリール基又は前記複素環基は、置換基を有することができる。
前記置換基としては、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(−COOR’)、カルバモイル基(−CONR’R’’)、シアノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基(−NR’R’’)、ハロゲン、アリル基、エポキシ基、アルコキシ基(−OR’)又は親水性若しくはイオン性を示す基からなる群から選択される基又は原子が挙げられる。
なお、R’又はR’’は、それぞれ独立して、複素環基を除いてRと同様の基が挙げられる。
前記置換基のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基が挙げられる。前記置換基のカルバモイル基としては、例えば、N−メチルカルバモイル基及びN,N−ジメチルカルバモイル基が挙げられる。前記置換基のアミド基としては、例えば、ジメチルアミド基が挙げられる。前記置換基のハロゲンとしては、例えば、ふっ素、塩素、臭素及び、よう素が挙げられる。前記置換基のアルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜12のアルコキシ基が挙げられ、具体例としては、メトキシ基が挙げられる。前記置換基の親水性またはイオン性を示す基としては、例えば、カルボキシル基のアルカリ塩又はスルホキシル基のアルカリ塩、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド基等のポリ(アルキレンオキシド)基及び四級アンモニウム塩基等のカチオン性置換基が挙げられる。
R及びR1〜Rnは、アルキル基及びシクロアルキル基から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アルキル基がより好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はi−プロピル基が好ましく、入手のしやすさの観点から、メチル基がより好ましい。
X1〜Xnは、水素原子及びメチル基から選ばれる少なくとも1種であり、メチル基が好ましい。X1〜Xnは、合成し易さの観点から、X1〜Xnの半数以上がメチル基であることが好ましい。
Zは、マクロモノマーの末端基である。マクロモノマーの末端基としては、公知のラジカル重合で得られるポリマーの末端基と同様に、水素原子またはラジカル重合開始剤に由来する基が挙げられる。nは、2〜10,000の自然数である。
これらの中で、単量体の入手し易さと、アクリル系共重合体(A)との屈折率差を考慮した透明性の観点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸が好ましい。なかでも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルがより好ましい。
これらラジカル重合性単量体は1種類のみを用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記数平均分子量(Mn)が1000未満では前記アクリル系共重合体(B)とアクリル系共重合体(A)との相溶性が低下しやすく、100000を超えると単量体混合物(M)中のマクロモノマー以外の単量体との反応性が低下しやすい。
なお、前記マクロモノマーは、2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記アクリル系共重合体(B)の重合に用いる、前記単量体混合物(M)に含まれる前記マクロモノマー以外の単量体としては、得られるアクリル系共重合体(B)の透明性の面から、(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。さらに、これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニルエチル、(メタ)アクリル酸フェニルプロピル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸o−ビフェニル、(メタ)アクリル酸p−ビフェニル、(メタ)アクリル酸エチレンオキサイド変性ノニルフェノール、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル化β−ナフトール、(メタ)アクリル酸エトキシ化o−フェニルフェノール、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンがより好ましい。また、機械物性の面から、アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸2−エトキシエチルが更に好ましい。
これらラジカル重合性単量体は1種類のみを用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記式(1)のマクロモノマーの含有量は、前記単量体混合物(M)中に1〜90質量%であることが好ましく、5〜80質量%であることがより好ましい。
前記マクロモノマーの含有量が1質量%以上であれば、耐熱性が得られ、90質量%以下であれば単量体混合物(M)の重合が容易となる。
前記単量体混合物(M)の重合は、前記アクリル系重合体(A)と同様に公知の方法、条件でおこなうことができる。
耐熱性および前記アクリル系共重合体(A)との相溶性の観点から、前記単量体混合物(M)を重合して得られたアクリル系共重合体(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)は、10000〜1000000であることが好ましく、30000〜500000であることがより好ましい。
前記重量平均分子量(Mw)が10000未満では耐熱性が低下しやすく、1000000を超えると前記アクリル系共重合体(A)との相溶性が低下しやすい。
アクリル系共重合体(B)のガラス転移温度(Tg)は、0℃以上であることが好ましく、115℃未満であることが必要である。前記ガラス転移温度(Tg)が0℃未満の場合、耐熱性が不十分となり、115℃以上の場合、強度が不十分となる。
さらに前記ガラス転移温度(Tg)は、耐熱性の点で5℃以上、強度の点で110℃未満であることがより好ましい。
なおガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)で測定したものである。
アクリル系共重合体(B)と前記アクリル系共重合体(A)の屈折率差は、0.006未満である。当該屈折率差により、透明性に優れるフィルムを提供できる。
本発明の樹脂組成物は、前記アクリル系共重合体(A)と前記アクリル系共重合体(B)を含むことにより、高透明性、高耐熱性、強度が得られる。
前記アクリル系共重合体(A)と前記アクリル系共重合体(B)との合計量中に、前記アクリル系共重合体(B)を1〜90質量%含むことが好ましい。前記アクリル系共重合体(B)が1質量%以上であれば十分な強度が得られ、90質量%以下であれば十分な耐熱性、透明性が得られる。
強度の点から5質量%がより好ましく、耐熱性、透明性の点から70質量%がより好ましい。
添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系,リン系、イオウ系等の酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定性剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;フェニルサリチレート、(2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;可塑剤;滑剤等が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂や前記添加剤は、樹脂組成物に対して0.1質量%以上、10質量%以下が好ましい。
本願発明の樹脂組成物を含むアクリル系フィルムは、本発明の樹脂組成物を用いて、公知の方法で製造できる。フィルムの製造方法としては、押出成形法、インフレーション成形法、溶液流延法等が挙げられる。
押出成形法によってフィルムを製造する場合、ガス発泡による外観不良を防止するために予め樹脂組成物を80〜130℃の範囲の温度で加熱および乾燥させることが好ましい。押出成形は、ガラス転移温度(Tg)より50℃以上高い温度で行われることが好ましい。
また、溶液流延法によってフィルムを製造する場合、溶剤としては、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。フィルム中の残留溶剤の濃度は0.1wt%以下であることが好ましい。
前記フィルムは、無延伸状態で用いられることが好ましいが、延伸して用いることもできる。延伸する場合は、一軸延伸でもよいし、二軸延伸でもよい。延伸温度はTg−20℃〜Tg+30℃の範囲で行うことが好ましい。
なお、評価は以下の方法でおこなった。
(分子量測定)
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー株式会社製 商品名HLC−8120)を用いて測定した。カラムは、TSKgel G5000HXL*GMHXL−L(東ソー株式会社製)を使用した。検量線は、F288/F80/F40/F10/F4/F1/A5000/A1000/A500(東ソー株式会社製 標準ポリスチレン)、及びスチレンモノマーを使用して作成した。
試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させて0.4質量%に調製したTHF溶液100μlを使用し40℃で測定を行った。標準ポリスチレン換算にて質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、質量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)を算出した。
示差走査熱量計(DSC8230、(株)リガク製)を用いて測定した。粉末状の試料をアルミパンに0.05mg計量したのちアルミ製のふたをした。次にリファレンスとして酸化アルミ粉末を同じくアルミパンに0.05mg計量したのちアルミ製のふたをし、試料とともに装置にセットした。
室温から昇温速度5℃/分で加熱し180℃に到達させた後、50℃/分の速度で20℃まで急冷した。再度、昇温速度5℃/分で180℃まで加熱したときにリファレンスとの熱量変化の差を測定し、得られたチャートの低温側のベースラインと、ガラス転移温度近傍にある吸熱カーブの接線との交点の温度を求め、これをガラス転移温度(Tg)とした。
デジマイクロ(MF−501、(株)ニコン製)を用いて測定した。
(透明性)
押出直後で高温状態の樹脂組成物からなるストランドと、室温に冷却した後のストランドの両方において目視によりヘイズが確認されたものは実使用温度範囲において透明性が不十分と判断した。
アクリル系重合体(A)、アクリル系重合体(B)に含まれる各単量体成分の質量部と、POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION(WILEY−INTERSCIENCE)に記載されている各単量体成分からなる単独重合体の屈折率を掛け合わせた合計を重合体の計算屈折率とした。
フィルムの動的粘弾性を測定してtanδカーブの最大値である、tanδピーク温度で評価した。tanδピーク温度が135℃未満であれば耐熱性が不十分と判断した。動的粘弾性は、動的粘弾性測定装置(Rheogel−E4000、(株)UBM製)を用いて、4mm×20mmのフィルムに周波数1.75Hz、引張変形ひずみ0.01%の刺激を加えながら30℃から200℃までを3℃/分の速度で昇温させて測定した。
撹拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水900部、メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム60部、メタクリル酸カリウム10部、メチルメタクリレート12部を加えて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、重合温度50℃に昇温し、重合開始剤として2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.08部を添加し、更に重合温度60℃に昇温した。
該重合開始剤の添加と同時に、滴下ポンプを使用して、メチルメタクリレートを0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下し、重合温度60℃で6時間保持した後、室温に冷却して分散剤(1)を得た。この分散剤(1)の固形分は10%あった。
重合体(A−1)
冷却管付フラスコに、イオン交換水145質量部を投入し、次いで硫酸ナトリウム0.30質量部および分散剤(1)0.40質量部を投入した後、混合して水分散媒を得た。そこにメタクリル酸メチル(MMA)74質量部、アクリル酸メチル(MA)1質量部、メタクリル酸イソボルニル(IBXMA)25質量部、ノルマルオクチルメルカプタン(nOM)0.20質量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.10質量部を加えて撹拌し分散させ、窒素バブリングにより雰囲気を窒素置換した。
得られた混合物を、撹拌下、反応系の温度を70℃まで昇温し、重合を開始した。70℃で3時間重合後、20分かけて反応系の温度を95℃まで昇温し、更にその温度で1時間保持して重合を完結させた。反応系の温度を40℃まで冷却後、濾別、洗浄、脱水し、50℃で24時間乾燥して重合体(A−1)を得た。この重合体の重量平均分子量(Mw)は96,700、分子量分布(Mw/Mn)は3.7、ガラス転移温度(Tg)は121℃、計算屈折率は1.494であった。
撹拌装置を備えた反応容器に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物(和光純薬(株)製、和光特級)2.00g(8.03mmol)及びジフェニルグリオキシム(東京化成(株)製、EPグレード)3.86g(16.1mmol)及び予め窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル100mlを入れ、室温で2時間攪拌した。
次いで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(東京化成(株)製、EPグレード)20mlを加え、更に6時間攪拌した。反応物をろ過し、固体をジエチルエーテルで洗浄し、100Mpa以下で、20℃において12時間乾燥し、連鎖移動剤(1)5.02g(7.93mmol、収率99質量%)を得た。
マクロモノマー(1)
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水145質量部、硫酸ナトリウム(Na2SO4)0.13質量部及び分散剤(1)0.03質量部を入れて撹拌して、均一な水溶液とした。次に、MMA73質量部、MA2質量部、IBXMA25質量部、連鎖移動剤(1)0.0018質量部及び1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日油(株)製、商品名:パーオクタO)0.1質量部を加え、分散液とした。この後、重合装置内を十分に窒素置換し、分散液を80℃に昇温してから4時間保持し、更に92℃に昇温して2時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、ポリマーを含む懸濁液を得た。この懸濁液を濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、40℃で16時間乾燥して、マクロモノマー(1)を得た。マクロモノマー(1)のMwは28,900及びMw/Mnは5.0であった。
MMA73質量部、MA2質量部、IBXMA25質量部、連鎖移動剤(1)0.0018質量部の代わりに、MMA95質量部、MA5質量部、連鎖移動剤(1)0.0017質量部を用いた以外はマクロモノマー(1)と同様にしてマクロモノマー(2)を得た。マクロモノマー(2)のMwは23,600及びMw/Mnは6.3であった。
共重合体(B−1)
脱イオン水145質量部、硫酸ナトリウム0.13質量部及び分散剤(1)0.03質
量部を混合して分散媒を得た。
冷却管付セパラブルフラスコに、マクロモノマー(1)50質量部、MMA19.5質
量部及びアクリル酸イソブチル(iBA)23質量部、スチレン(ST)7.5質量部を
仕込み、50℃に加温した状態で攪拌することによりシラップを得た。このシラップを4
0℃以下に冷却した後、AIBN 0.5質量部を加えて溶解させた。
次いで、前記分散媒をシラップに加えた後、窒素バブリングによりセパラブルフラスコ
内の雰囲気を窒素置換しながら、攪拌し懸濁液を得た。
前記懸濁液を75℃に昇温し、重合発熱ピークが出るまで75℃に保持した。重合発熱
ピークが出た後、懸濁液が75℃になったところで、懸濁液を95℃に昇温し、1時間保
持して重合を完結させた。
その後、反応液を40℃以下に冷却して懸濁液を得た。この懸濁液を濾過布で濾過し、
濾過物を脱イオン水で洗浄し、40℃で16時間乾燥して、共重合体(B−1)を得た。
共重合体(B−1)のMwは100,000、Mw/Mnは16.4、計算屈折率は1.
494であった。
MMA19.5質量部及びiBA23質量部、ST7.5質量部の代わりに、MMA22.3質量部及びアクリル酸ノルマルブチル(nBA)19質量部、アクリル酸ベンジル(BZA)8.7質量部を用いた以外は共重合体(B−1)と同様にして共重合体(B−2)を得た。共重合体(B−2)のMwは122,300、Mw/Mnは19.7、計算屈折率は1.494であった。
マクロモノマー(1)の代わりに、マクロモノマー(2)を用いた以外は、共重合体(B−1)と同様にして共重合体(B−3)を得た。共重合体(B−3)のMwは122,800、Mw/Mnは23.0、計算屈折率は1.492であった。
MMA19.5質量部及びiBA23質量部、ST7.5質量部の代わりに、MMA20質量部及びiBA26質量部、ST4質量部を用いた以外は、共重合体(B−1)と同様にして共重合体(B−4)を得た。共重合体(B−4)のMwは125,300、Mw/Mnは6.5、計算屈折率は1.490であった。
iBA26質量部及びST4質量部の代わりに、iBA28質量部及びST2質量部を用いた以外は共重合体(B−4)と同様にして共重合体(B−5)を得た。共重合体(B−5)のMwは148,900、Mw/Mnは17.0、計算屈折率は1.487であった。
マクロモノマー(1)50質量部及びiBA26質量部、ST4質量部の代わりに、マクロモノマー(2)50質量部及びnBA30質量部を用いた以外は共重合体(B−4)と同様にして共重合体(B−6)を得た。共重合体(B−6)のMwは230,600、Mw/Mnは23.2、計算屈折率は1.482であった。
冷却管付フラスコに、イオン交換水145質量部を投入し、次いで硫酸ナトリウム0.29質量部および分散剤(1)0.40質量部を投入した後、混合して水分散媒を得た。そこにMMA58.8質量部、nBA19質量部、BZA8.7質量部、MA1質量部及びIBXMA12.5質量部、nOM0.10質量部、AIBN0.15質量部を加えて撹拌し分散させ、窒素バブリングにより雰囲気を窒素置換した。
得られた混合物を、撹拌下、反応系の温度を75℃まで昇温し、重合を開始した。75℃で2時間重合後、20分かけて反応系の温度を95℃まで昇温し、更にその温度で1時間保持して重合を完結させた。反応系の温度を40℃まで冷却後、濾別、洗浄、脱水し、50℃で24時間乾燥して重合体(B−7)を得た。重合体(B−7)のMwは171,200、Mw/Mnは23.1、計算屈折率は1.494であった。
アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)を表4に示す比率で、二軸押出機(ラボプラストミルマイクロ、(株)東洋精機製作所製)を用いて溶融混練したストランドを所定の長さでカットし、樹脂組成物のペレットを得た。
なお、前記アクリル系共重合体(A)と前記アクリル系共重合体(B)の合計100質量部に対し、酸化防止剤としてアデカスタブAO60((株)ADEKA製)0.5質量部、アデカスタブ2112((株)ADEKA製)0.3質量部を添加した。溶融混練は、二軸押出機のバレル温度240℃、ダイ温度240℃で行った。
次に、上記の樹脂組成物のペレットを、Tダイ付二軸押出機(ラボプラストミルマイクロ、(株)東洋精機製作所製)を用いてフィルムとした。二軸押出機のバレル温度は240℃、ダイ温度は240℃で行った。評価結果を表4に示す。
比較例1、2は、アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)の屈折率差が大きいため押出ストランドの透明性が不十分であった。
比較例3は、アクリル系共重合体(B)がマクロモノマーを使用していないため、低Tg成分がアクリル系共重合体(A)と相溶化して耐熱性が不十分であった。
Claims (5)
- ガラス転移温度が115℃以上のアクリル系共重合体(A)と、ガラス転移温度が11
5℃未満のアクリル系共重合体(B)を含む樹脂組成物であって、
前記アクリル系共重合体(A)が、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(
メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アク
リル酸ジシクロペンテニルからなる群から選ばれる脂環式構造を有する(メタ)アクリル
酸エステル類を少なくとも1種を含む、(メタ)アクリル酸エステル類を含み、
前記アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との屈折率差が0.006
以下であり、
前記アクリル系共重合体(B)が下記式(1)で表されるマクロモノマーを含む単量体
混合物(M)を重合して得られた共重合体である、樹脂組成物。
クロアルキル基、アリール基又は複素環基である。X1〜Xnは、それぞれ独立に、水素
原子又はメチル基である。Zは、末端基であり、水素原子またはラジカル重合開始剤に由
来する基である。nは、2〜1000の自然数である。) - 前記マクロモノマーの数平均分子量(Mn)が1000〜100000である、請求項
1記載の樹脂組成物。 - 前記単量体混合物(M)が、前記マクロモノマーを1〜90質量%含む、請求項1記載
の樹脂組成物。 - 前記アクリル系共重合体(B)を、前記アクリル系共重合体(A)と前記アクリル系共
重合体(B)との合計量中に、1〜90質量%含む、請求項1記載の樹脂組成物。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項の樹脂組成物を含むアクリル系フィルム。
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