JP2018035225A - メタクリル系樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、上記問題点を解決し、耐熱性が高く、高度に複屈折率が制御され、色調及び熱安定性に優れ、着色が少ないメタクリル系樹脂を提供することを目的とする。【解決課題】主鎖に環構造を有する構造単位(X)を含み、ガラス転移温度が120℃超160℃以下であり、メタノール不溶分を熱重量測定により空気雰囲気下で加熱したときの150〜300℃における重量減少率が15質量%以下であることを特徴とする、メタクリル系樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性が高く、高度に複屈折率が制御され、色調及び熱安定性に優れ、着色が少ないメタクリル系樹脂に関する。
近年、メタクリル系樹脂は、その透明性、表面硬度等が優れていることに加え、光学特性である複屈折が小さいことから、例えば、各種光学製品、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイや、小型赤外線センサー、微細光導波路、超小型レンズ、短波長の光を扱うDVD/Blu−ray(登録商標) Disk用ピックアップレンズなど、光学ディスク、光学フィルム、プラスチック基板などの光学材料向け光学樹脂として注目され、その市場が大きく拡大しつつある。
特に、主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂及び該メタクリル系樹脂を含む組成物は、耐熱性と光学特性との両方に優れた性能を有していることが知られており、年々、その需要が急速に拡大してきている。しかしながら、上記のように耐熱性と光学特性とを改良した主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を加熱溶融し、フィルムやその他成形品等に加工し、光学用途向け部材を得ようとした場合、その高いガラス転移温度のため、比較的高温での溶融加工を余儀なくされ、熱分解を生じやすく、着色したり、透過度が減少したりといった問題が生じている。そこで、耐熱性に優れ、着色が少なく透明度の高い、主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を得るために、特定の化合物を添加することにより熱分解性を改良する方法が開示されている。
例えば、特許文献1には、メチルメタクリレート/マレイミド類単量体重合系において、有機リン系化合物に加え、チオエーテル型有機硫黄化合物を添加することで、熱分解が抑制され、着色の少ない耐熱性メタクリル系樹脂を得る方法が提案されている。
また、特許文献2では、メルカプタン等の硫黄系連鎖移動剤を用いたメタクリル酸エステル系単量体/マレイミド類単量体重合系において、酸性物質を反応系中に存在させることで、残存マレイミド類単量体及び成形加工時等の加熱により発生するマレイミド類単量体を低減し、着色を抑制する方法が提案されている。
さらに、特許文献3では、(メタ)アクリル酸エステル重合系において、重合添加率が60重量%以上92重量%以下のときに、連鎖移動剤を加えることで、耐熱分解性に優れる重合体を生産性よく製造する方法が提案されている。
しかしながら、近年、その用途が光学フィルム用途から、レンズや成型板といった厚物の成型体用途にも拡大する中、より着色の少ない、かつ高い透明性を発現できる樹脂の提供が切望されてきた。成型工程は窒素のような不活性ガス雰囲気下で実施されることが好ましいが、空気の混入を完全に防ぐことは困難であり、成型加工時の酸素の影響を無視することができない。
非特許文献1には、メタクリル系重合体の熱酸化分解において、膜厚により分解挙動が異なり、厚物になると表面では熱酸化分解が生じ、内部では不活性ガス雰囲気下での熱分解に似た挙動を示すことが開示されている。
特開平9−165486号公報 特開2001−233919号公報 特開2012−211279号公報
T.Kashiwagi,T.Hirata,J.E.Brown,Macromolecules,18,131(1985)
厚物の成型工程において、酸素存在下では熱分解により表面と内部との組成に不均一性が生じるため、窒素のような不活性ガス雰囲気下での熱分解性の向上だけでは不十分であり、空気雰囲気下での熱分解性の向上も望まれている。しかしながら、特許文献1〜3では、熱分解性を改良し、着色を低減する方法が提案されているが、空気雰囲気下での熱分解性の改良に関しては全く言及されていない。また、酸化防止剤等の安定剤に頼ることなく樹脂自体の熱安定性を高めることも期待されている。
そこで、本発明は、上記問題点を解決し、耐熱性が高く、高度に複屈折率が制御され、色調及び熱安定性に優れ、着色が少ないメタクリル系樹脂を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述の課題を解決するため、メタクリル系樹脂の熱重量減少特性が、ポリマー構造中の繰り返し単位間の結合状態(例えば、Head−to−Head結合)と末端構造に影響を受け、特に空気雰囲気下での熱重量変化は、不飽和末端や溶媒末端の生成量によって強く影響を受けるのではないかと考え、鋭意検討を重ねた結果、重合反応中の重合開始剤と連鎖移動剤の添加量比を制御することにより、上記課題が解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
主鎖に環構造を有する構造単位(X)を含み、ガラス転移温度が120℃超160℃以下であり、メタノール不溶分を熱重量測定により空気雰囲気下で加熱したときの150〜300℃における重量減少率が15質量%以下であることを特徴とする、メタクリル系樹脂。
[2]
メタノール不溶分を熱重量測定により窒素雰囲気下で加熱したときの150〜300℃における重量減少率が10質量%以下である、[1]に記載のメタクリル系樹脂。
[3]
メタノール不溶分の量が、メタノール不溶分の量とメタノール可溶分の量との合計量100質量%に対して95質量%以上である、[1]又は[2]に記載のメタクリル系樹脂。
[4]
GPC測定法により測定されるポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)が、100,000〜170,000である、[1]〜[3]のいずれかに記載のメタクリル系樹脂。
[5]
前記(X)構造単位が、N−置換マレイミド単量体由来の構造単位、グルタルイミド系構造単位、及びラクトン環構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種である、[1]〜[4]のいずれかに記載のメタクリル系樹脂。
[6]
前記(X)構造単位が、グルタルイミド系構造単位を含み、前記グルタルイミド系構造単位の含有量が、前記メタクリル系樹脂を100質量%として、5〜70質量%である、[5]に記載のメタクリル系樹脂。
[7]
前記(X)構造単位が、N−置換マレイミド単量体由来の構造単位を含み、前記N−置換マレイミド単量体由来の構造単位の含有量が、前記メタクリル系樹脂を100質量%として、5〜40質量%である、[5]に記載のメタクリル系樹脂。
[8]
前記(X)構造単位が、ラクトン環構造単位を含み、前記ラクトン環構造単位の含有量が、前記メタクリル系樹脂を100質量%として、5〜40質量%である、[5]に記載のメタクリル系樹脂。
[9]
光弾性係数の絶対値が、3.0×10−12Pa−1以下である、[1]〜[8]のいずれかに記載のメタクリル系樹脂。
[10]
光弾性係数の絶対値が、1.0×10−12Pa−1以下である、[9]に記載のメタクリル系樹脂。
本発明によれば、耐熱性が高く、高度に複屈折率が制御され、色調及び熱安定性に優れ、着色が少ないメタクリル系樹脂を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について、詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
(メタクリル系樹脂)
本実施形態におけるメタクリル樹脂は、N−置換マレイミド単量体由来の構造単位、グルタルイミド系構造単位、及びラクトン環構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の環構造を主鎖に有する構造単位(X)を含み、メタクリル酸エステル単量体由来の構造単位も含んでよい。
以下、主鎖に環構造を有する構造単位(X)を含むメタクリル系樹脂における各構造単位について説明する。
−メタクリル酸エステル単量体由来の構造単位−
メタクリル酸エステル単量体由来の構造単位は、例えば、以下に示すメタクリル酸エステル類から選ばれる単量体から形成される。メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロオクチル、メタクリル酸トリシクロデシル、メタクリル酸ジシクロオクチル、メタクリル酸トリシクロドデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸1−フェニルエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸3−フェニルプロピル、メタクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル等が挙げられる。
これらの単量体は、単独で用いる場合も2種以上を併用する場合もある。
上記メタクリル酸エステルのうち、得られるメタクリル系樹脂の透明性や耐候性が優れる点で、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸ベンジルが好ましい。
メタクリル酸エステル単量体由来の構造単位は、一種のみ含有していても、二種以上含有していてもよい。
メタクリル酸エステル単量体由来の構造単位の含有量としては、後述する環構造を主鎖に有する構造単位(X)によりメタクリル系樹脂に対して耐熱性を十分に付与する観点から、メタクリル系樹脂を100質量%として、好ましくは50〜97質量%、より好ましくは55〜97質量%、さらにより好ましくは55〜95質量%、さらにより好ましくは60〜93質量%、特に好ましくは60〜90質量%である。
−N−置換マレイミド単量体由来の構造単位−
次に、N−置換マレイミド単量体由来の構造単位について説明する。
N−置換マレイミド単量体由来の構造単位は、下記式(1)で表される単量体及び/又は下記式(2)で表される単量体から選ばれた少なくとも一つとしてよく、好ましくは、下記式(1)及び下記式(2)で表される単量体の両方から形成される。
Figure 2018035225
式(1)中、Rは、炭素数7〜14のアリールアルキル基、炭素数6〜14のアリール基のいずれかを示し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基のいずれかを示す。
また、Rがアリール基の場合には、Rは置換基としてハロゲンを含んでいてもよい。
また、Rは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、ベンジル基等の置換基で置換されていてもよい。
Figure 2018035225
式(2)中、Rは、水素原子、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12のアルキル基のいずれかを示し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基のいずれかを示す。
以下、具体的な例を示す。
式(1)で表される単量体としては、例えば、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−ブロモフェニル)マレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−(2−ニトロフェニル)マレイミド、N−(2、4、6−トリメチルフェニル)マレイミド、N−(4−ベンジルフェニル)マレイミド、N−(2、4、6−トリブロモフェニル)マレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−アントラセニルマレイミド、3−メチル−1−フェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン、3,4−ジメチル−1−フェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン、1,3−ジフェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン、1,3,4−トリフェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン等が挙げられる。
これらの単量体のうち、得られるメタクリル系樹脂の耐熱性、及び複屈折等の光学的特性が優れる点から、N−フェニルマレイミド及びN−ベンジルマレイミドが好ましい。
これらの単量体は、単独で用いる場合も2種以上を併用して用いる場合もある。
式(2)で表される単量体としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−s−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−n−ヘプチルマレイミド、N−n−オクチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、1−シクロヘキシル−3−メチル−1H−ピロール−2,5−ジオン、1−シクロヘキシル−3,4−ジメチル−1H−ピロール−2,5−ジオン、1−シクロヘキシル−3−フェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン、1−シクロヘキシル−3,4−ジフェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン等が挙げられる。
これらの単量体のうち、メタクリル系樹脂の耐候性が優れる点から、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドが好ましく、近年光学材料に求められている低吸湿性に優れることから、N−シクロヘキシルマレイミドが特に好ましい。
これらの単量体は、単独で用いる場合も2種以上を併用して用いることもできる。
本実施形態のメタクリル系樹脂において、式(1)で表される単量体と式(2)で表される単量体とを併用して用いることが、高度に制御された複屈折特性を発現させ得る上で特に好ましい。
式(1)で表される単量体由来の構造単位の含有量(X1)の、式(2)で表される単量体由来の構造単位の含有量(X2)に対するモル割合、(X1/X2)は、好ましくは0超15以下、より好ましくは0超10以下である。モル割合(X1/X2)がこの範囲にあるとき、本実施形態のメタクリル系樹脂は透明性を維持し、黄変を伴わず、また耐環境性を損なうことなく、良好な耐熱性と良好な光弾性特性を発現する。
N−置換マレイミド単量体由来の構造単位の含有量としては、得られる組成物が本実施形態のガラス転移温度の範囲を満たすものであれば特に限定されないが、メタクリル系樹脂を100質量%として、好ましくは5〜40質量%の範囲、より好ましくは5〜35質量%の範囲である。
この範囲内にあるとき、メタクリル系樹脂はより十分な耐熱性改良効果が得られ、また、耐候性、低吸水性、光学特性についてより好ましい改良効果が得られる。なお、N−置換マレイミド単量体由来の構造単位の含有量が40質量%以下とすることが、重合反応時に単量体成分の反応性が低下し未反応で残存する単量体量が多くなることによるメタクリル系樹脂の物性低下を防ぐのに有効である。
本実施形態におけるN−置換マレイミド単量体由来の構造単位を有するメタクリル系樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲で、メタクリル酸エステル単量体及びN−置換マレイミド単量体と共重合可能な他の単量体由来の構造単位を含有していてもよい。
例えば、共重合可能な他の単量体としては、芳香族ビニル;不飽和ニトリル;シクロヘキシル基、ベンジル基、又は炭素数1〜18のアルキル基を有するアクリル酸エステル;グリシジル化合物;不飽和カルボン酸類を挙げることができる。上記芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。上記不飽和ニトリルとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、等が挙げられる。また、上記アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル等が挙げられる。また、グリシジル化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びこれらの半エステル化物又は無水物等が挙げられる。
上記共重合可能な他の単量体由来の構造単位は、一種のみ有していてもよく、二種以上を有していてもよい。
これら共重合可能な他の単量体由来の構造単位の含有量としては、メタクリル系樹脂を100質量%として、0〜10質量%であることが好ましく、0〜9質量%であることがより好ましく、0〜8質量%であることがさらに好ましい。
他の単量体由来の構造単位の含有量がこの範囲にあると、主鎖に環構造を導入する本来の効果を損なわずに、樹脂の成形加工性や機械的特性を改善できるため好ましい。
−グルタルイミド系構造単位−
本実施形態のメタクリル系樹脂を構成するグルタルイミド系構造単位は、樹脂重合後に形成されてよい。
具体的には、グルタルイミド系構造単位は、下記一般式(3)で表されるものとしてよい。
Figure 2018035225
上記一般式(3)において、好ましくは、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はメチル基であり、Rは、水素、メチル基、ブチル基、シクロヘキシル基のいずれかであり、より好ましくは、Rは、メチル基であり、Rは、水素であり、Rは、メチル基である。
グルタルイミド系構造単位は、単一の種類のみを含んでいてもよいし、複数の種類を含んでいてもよい。
グルタルイミド系構造単位を有するメタクリル系樹脂において、グルタルイミド系構造単位の含有量については、本実施形態の組成物として好ましいガラス転移温度の範囲を満たすものであれば特に制限はないが、メタクリル系樹脂を100質量%として、好ましくは5〜70質量%の範囲、より好ましくは5〜60質量%の範囲である。
グルタルイミド系構造単位の含有量が上記範囲にあると、成形加工性、耐熱性、及び光学特性の良好な樹脂が得られることから好ましい。
なお、メタクリル系樹脂におけるグルタルイミド系構造単位の含有率は、後述の特許文献記載の方法を用いて決定できる。
グルタルイミド系構造単位を有するメタクリル系樹脂は、必要に応じて、芳香族ビニル単量体単位をさらに含んでいてもよい。
芳香族ビニル単量体としては特に限定されないが、スチレン、α−メチルスチレンが挙げられ、スチレンが好ましい。
グルタルイミド系構造単位を有するメタクリル系樹脂における芳香族ビニル単位の含有量としては、特に限定されないが、グルタルイミド系構造単位を有するメタクリル系樹脂を100質量%として、0〜10質量%が好ましい。
芳香族ビニル単位の含有量が上記範囲にあると、耐熱性と優れた光弾性特性との両立が可能となり好ましい。
−ラクトン環構造単位−
本実施形態におけるラクトン環構造単位としては、環構造の安定性に優れることから6員環であることが好ましい。
6員環であるラクトン環構造単位としては、例えば、下記一般式(4)に示される構造が特に好ましい。
Figure 2018035225
上記一般式(4)において、R10、R11及びR12は、互いに独立して、水素原子、又は炭素数1〜20の有機残基である。
有機残基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜20の飽和脂肪族炭化水素基(アルキル基等);エテニル基、プロペニル基などの炭素数2〜20の不飽和脂肪族炭化水素基(アルケニル基等);フェニル基、ナフチル基などの炭素数6〜20の芳香族炭化水素基(アリール基等);、これら飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基における水素原子の一つ以上が、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エーテル基、エステル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基により置換された基;等が挙げられる。
ラクトン環構造は、例えば、ヒドロキシ基を有するアクリル酸系単量体と、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル単量体とを共重合して、分子鎖にヒドロキシ基とエステル基又はカルボキシル基とを導入した後、これらヒドロキシ基とエステル基又はカルボキシル基との間で、脱アルコール(エステル化)又は脱水縮合(以下、「環化縮合反応」ともいう)を生じさせることにより形成することができる。
重合に用いるヒドロキシ基を有するアクリル酸系単量体としては、例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アルキル(例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸n−ブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸t−ブチル)、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸アルキル等が挙げられ、好ましくは、ヒドロキシアリル部位を有する単量体である2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸や2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アルキルであり、特に好ましくは2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルである。
主鎖にラクトン環構造単位を有するメタクリル系樹脂におけるラクトン環構造単位の含有量は、本実施形態の組成物として好ましいガラス転移温度の範囲を満たすものであれば特に制限はないが、メタクリル系樹脂100質量%に対して、5〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜35質量%の範囲である。
ラクトン環構造単位の含有量がこの範囲にあると、成形加工性を維持しつつ、耐溶剤性向上や表面硬度向上等の環構造導入効果が発現できる。
なお、メタクリル系樹脂におけるラクトン環構造の含有率は、後述の特許文献記載の方法を用いて決定できる。
ラクトン環構造単位を有するメタクリル系樹脂は、上述したメタクリル酸エステル単量体及びヒドロキシ基を有するアクリル酸系単量体と共重合可能な他の単量体由来の構成単位を有していてもよい。
このような共重合可能な他の単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、α− ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタリルアルコール、アリルアルコール、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、酢酸ビニル、2−ヒドロキシメチル−1−ブテン、メチルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾールなどの重合性二重結合を有する単量体等が挙げられる。
これら他のモノマー(構成単位)は、1種のみを有していてもよいし2種以上有していてもよい。
これら共重合可能な他の単量体由来の構造単位の含有量としては、メタクリル系樹脂100質量%に対して、0〜10質量%の範囲であることが好ましく、0〜9質量%の範囲であることがより好ましく、0〜8質量%であることがさらに好ましい。
本実施形態におけるメタクリル系樹脂は、上記の共重合可能な他の単量体由来の構造単位を一種のみ有していてもよく、二種以上を有していてもよい。
以下、本実施形態のメタクリル系樹脂の特性について記載する。
本実施形態におけるメタクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、120℃超160℃以下である。
メタクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)が120℃より大きければ、近年のレンズ成形体、液晶ディスプレイ用フィルム成形体光学フィルムとして必要十分な耐熱性をより容易に得ることができる。ガラス転移温度(Tg)は、使用環境温度下での寸法安定性の観点から、より好ましくは125℃以上、さらに好ましくは130℃以上である。
一方、メタクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)が160℃以下である場合には、極端な高温での溶融加工を避け、樹脂等の熱分解を抑制し、良好な製品を得ることができる。ガラス転移温度(Tg)は、上述の理由から、好ましくは150℃以下である。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、JIS−K7121に準拠して測定することにより決定できる。具体的には、後述する実施例記載の方法にて測定することができる。
本実施形態におけるメタクリル系樹脂のメタノール不溶分の量の、メタノール不溶分の量とメタノール可溶分の量との合計量100質量%に対する割合は、好ましくは95質量%以上であり、より好ましくは95.5質量%以上であり、さらに好ましくは96質量%以上であり、よりさらに好ましくは96.5質量%以上であり、特に好ましくは97質量%以上であり、最も好ましくは97.5質量%以上である。
メタノール不溶分の量の割合を95質量%以上とすることで、フィルム成形時のキャストロール汚れや、射出成形時のシルバーストリークス発生等の成形時のトラブルを抑制することができる。
なお、メタノール不溶分及びメタノール可溶分は、メタクリル系樹脂をクロロホルム溶液とした後に溶液を大過剰量のメタノール中に滴下することによって再沈殿を行い、濾液及び濾物を分別し、その後に各々を乾燥させることによって得られたものをいい、具体的には、後述の実施例記載の方法にて得ることができる。
本実施形態におけるメタクリル系樹脂では、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)が、好ましくは100,000〜170,000の範囲であり、より好ましくは100,000〜150,000の範囲であり、さらに好ましくは120,000〜150,000の範囲である。重量平均分子量(Mw)が上記範囲にあると、機械的強度、及び流動性のバランスにも優れる。
なお、メタクリル系樹脂の重量平均分子量は、具体的には、後述の実施例記載の方法にて測定することができる。
本実施形態のメタクリル系樹脂のメタノール不溶分を熱重量測定(TGA)により空気雰囲気下で加熱したときの150〜300℃における重量減少率は、15質量%以下であり、好ましくは10質量%以下である。
また、本実施形態のメタクリル系樹脂のメタノール不溶分を熱重量測定(TGA)により窒素雰囲気下で加熱したときの150〜300℃における重量減少率は、10質量%以下であり、好ましくは9.5質量%以下、より好ましくは9.0質量%以下である。
メタクリル系樹脂は300℃以上では主鎖切断による重量減少が顕著に起こることが文献(T.Kashiwagi,A.Inaba,J.E.Brown,K.Hatada,T.Kitayama,E.Masuda,Macromolecules,19,2160(1986))に記載されている。成型加工温度が300℃以上になると主鎖切断に起因する着色が顕著となるため、成型加工温度は300℃以下であることが好ましく、メタクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)より高いとされる150℃から成型加工温度の上限と考えられる300℃までの重量減少率を低減することが切望されている。
上記メタノール不溶分の空気雰囲気下での150〜300℃における重量減少率が15質量%以下であることにより、熱酸化分解が抑制され、空気下での厚物の成型工程における着色を抑制することができる。
また、上記メタノール不溶分の窒素雰囲気下での150〜300℃における重量減少率が10質量%以下であることにより、空気下及び窒素下での熱劣化挙動の不均一性が抑制され、厚物の成型工程における表面と内部との間での組成の不均一性を抑制することができる。
なお、熱重量測定による空気又は窒素雰囲気下での重量減少率は、具体的には、後述の実施例記載の方法にて得ることができる。
本実施形態の主鎖に環構造を有する構造単位(X)を含むメタクリル系樹脂の光弾性係数Cの絶対値は、3.0×10−12Pa−1以下であることが好ましく、2.0×10−12Pa−1以下であることがより好ましく、1.0×10−12Pa−1以下であることがさらに好ましい。
光弾性係数に関しては種々の文献に記載があり(例えば、化学総説,No.39,1998(学会出版センター発行)参照)、下記式(i−a)及び(i−b)により定義されるものである。光弾性係数Cの値がゼロに近いほど、外力による複屈折変化が小さいことがわかる。
=|Δn|/σ・・・(i−a)
|Δn|=nx−ny・・・(i−b)
(式中、Cは、光弾性係数、σは、伸張応力、|Δn|は、複屈折の絶対値、nxは、伸張方向の屈折率、nyは、面内で伸張方向と垂直な方向の屈折率、をそれぞれ示す。)
本実施形態のメタクリル系樹脂の光弾性係数Cの絶対値が3.0×10−12Pa−1以下であれば、フィルム化して液晶表示装置に用いても、位相差ムラが発生したり、表示画面周辺部のコントラストが低下したり、光漏れが発生したりすることがないので好ましく用いることができる
なお、光弾性係数Cは、具体的には、後述の実施例記載の方法にて求めることができる。
(メタクリル系樹脂の製造方法)
以下、本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法について記載する。
[N−置換マレイミド単量体由来の構造単位を含むメタクリル系樹脂の製造方法]
主鎖にN−置換マレイミド単量体由来の構造単位を有するメタクリル系樹脂の製造方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法のいずれの重合方法が挙げられ、好ましくは懸濁重合、塊状重合、溶液重合法であり、さらに好ましくは溶液重合法である。
本実施形態における製造方法では、重合形式として、例えば、バッチ重合法、セミバッチ法、連続重合法のいずれも用いることができる。
本実施形態における製造方法では、ラジカル重合により単量体を重合することが好ましい。
以下、N−置換マレイミド単量体由来の構造単位を有するメタクリル系樹脂(以下、「マレイミド共重合体」と記す場合がある)の製造方法の一例として、溶液重合法を用いてバッチ式でラジカル重合で製造する場合について、具体的に説明する。
用いる重合溶媒としては、重合により得られるマレイミド共重合体の溶解度を高め、ゲル化防止等の目的から反応液の粘度を適切に保てるものであれば、特に制限はない。
具体的な重合溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素;メチルイソブチルケトン、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;ジメチルホルムアミド、2−メチルピロリドン等の極性溶媒を用いることができる。
また、重合時における重合生成物の溶解を阻害しない範囲で、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールを重合溶媒として併用してもよい。
重合時の溶媒量としては、重合が進行し、生産時に共重合体や使用モノマーの析出等が起こらず、容易に除去できる量であれば特に制限はないが、例えば、配合する単量体の総量を100質量部とした場合に、10〜200質量部とすることが好ましい。より好ましくは25〜200質量部、さらに好ましくは50〜200質量部、さらにより好ましくは50〜150質量部である。
重合温度としては、重合が進行する温度であれば特に制限はないが、50〜200℃であることが好ましく、より好ましくは80〜200℃である。さらに好ましくは90〜150℃、さらにより好ましくは100〜140℃、よりさらに好ましくは100〜130℃である。生産性の観点から70℃以上とすることが好ましく、重合時の副反応を抑制し、所望の分子量や品質の重合体を得るために180℃以下とすることが好ましい。
重合時間としては、目的の転化率が満たされれば、特に制限されないが、生産性等の観点から、0.5〜15時間であることが好ましく、より好ましくは2〜12時間、さらに好ましくは4〜10時間である。
重合反応時には、必要に応じて重合開始剤や連鎖移動剤を添加して重合してもよい。
重合開始剤としては、一般にラジカル重合において用いられる任意の開始剤を使用することができ、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、1,1−ジt−ブチルパーオキシシクロヘキサン等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物;等を挙げることができる。
これらは、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
これらの重合開始剤は、重合反応が進行中であれば、いずれの段階に添加してもよい。
重合開始剤の添加量としては、重合に用いる単量体の総量を100質量部とした場合に、0.01〜1質量部としてよく、好ましくは0.05〜0.5質量部である。
連鎖移動剤としては、一般的なラジカル重合において用いる連鎖移動剤が使用でき、例えば、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘキシル等のメルカプタン化合物;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム等のハロゲン化合物;α−メチルスチレンダイマー、α−テルピネン、ジペンテン、ターピノーレン等の不飽和炭化水素化合物;等が挙げられる。
これらは、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
これらの連鎖移動剤は重合反応が進行中であれば、いずれの段階に添加してもよく、特に限定されるものではない。
連鎖移動剤の添加量としては、重合に用いる単量体の総量を100質量部とした場合に、0.01〜1質量部としてよく、好ましくは0.05〜0.5質量部である。
以下、重合工程における、好適な重合開始剤及び連鎖移動剤の添加方法について記載する。
かかる方法によれば、重合時のラジカル発生量と連鎖移動発生量との割合や、連鎖移動定数、連鎖移動剤量、溶媒量の割合を制御することによって、メタクリル系樹脂の熱重量減少率を所望の範囲とすることができる。
本実施形態では、重合開始剤の添加を開始した時点を重合開始時点とし、重合転化率が96%に達した時点を重合終了時点とし、重合開始時点から重合終了時点までの時間を重合時間と定義したときに、重合開始時点から所定時間経った時点までに添加した重合開始剤及び連鎖移動剤についての重合開始剤の添加量に対する連鎖移動剤の添加量の割合(以下、「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」ともいう。)について、下記の関係を満たすことが好ましい。
ここで、重合転化率とは、重合系内に添加した単量体の総質量から重合終了時に残存している単量体の総質量を差し引いた値の、重合系内に添加した単量体の総質量に対する割合である。
すなわち、重合開始時点から重合時間の1/4経った時点までに添加した重合開始剤及び連鎖移動剤についての「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値を、重合開始時点から重合終了時点までに添加した重合開始剤及び連鎖移動剤についての「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値の2〜6倍の範囲とすることが好ましく、3〜6倍の範囲とすることがより好ましく、3〜5倍の範囲とすることがさらに好ましい(条件(i))。
例えば、重合開始剤の添加を開始してから8時間後の重合転化率が96%であり、重合開始剤の添加を開始してから8時間後までに添加した重合開始剤の量が0.05質量部であり連鎖移動剤の量が0.08質量部であった場合、重合開始時点から重合終了時点までに添加した重合開始剤及び連鎖移動剤についての「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は1.6となる。このとき、重合開始剤の添加を開始してから8時間の1/4に当たる2時間が経つまでに添加する重合開始剤及び連鎖移動剤についての「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値を3.2〜9.6とすることが好ましい。
一般に、ラジカル重合、特にバッチ式のラジカル重合においては、重合初期において生成する高分子量体が、重合体の組成や特性に与える影響が大きいため、重合初期に生成する重合体の末端構造を制御することが望まれる。重合開始時点から重合時間の1/4経った時点までのラジカル発生量と連鎖移動発生量との割合を制御することで、熱分解しやすい不飽和末端の生成や溶媒末端の生成を抑制することができるため、メタクリル系樹脂の熱安定性を向上させることができる。また、メタクリル系樹脂のメタノール不溶分中に僅かに存在し得るメタノール可溶分は重合後期に生成するため、メタノール不溶分の熱安定性の向上には重合初期の重合体の制御が切望される。
上記の値は、熱安定性に優れる重合体を得る観点から、2倍以上とすることが好ましい。上記の値が2倍未満であると、重合開始時点から重合時間の1/4経った時点までの連鎖移動剤量が比較的少なく、重合初期、すなわちモノマーの転化率が低い段階、における不飽和末端や溶媒末端の生成量が多くなるため、メタクリル系樹脂の熱安定性が低下するおそれがある。また、上記の値は、所望の分子量を得る観点から、6倍以下とすることが好ましい。
また、本実施形態では、上記条件(i)に加えて、メタクリル酸メチルを単独重合させた場合における成長ラジカルの重合溶媒への連鎖移動定数が3.0×10−4以上である場合は、連鎖移動剤の添加量を、重合に用いる単量体の総量を100質量部として、0.05〜0.5質量部とすることが好ましく、0.05〜0.3質量部とすることがより好ましく、0.1〜0.3質量部とすることがさらに好ましい(条件(ii))。
なお、連鎖移動定数とは、成長ラジカルの重合温度における連鎖移動反応の速度定数ktrを成長反応の速度定数kで割った値として定義される。連鎖移動定数に関しては、種々の文献(例えば、Polymer Handbook、Fourth Edition)の記載を参照することができる。
重合溶媒への連鎖移動定数が上記範囲である場合には、連鎖移動剤の添加量を0.05質量部未満とすると、溶媒末端の生成量が多くなるため、メタクリル系樹脂の熱安定性が低下するおそれがある。また、連鎖移動剤の添加量を0.5質量部以下とすると、所望の分子量を得られやすい。
そして、本実施形態では、上記条件(i)に加えて、重合時の溶媒量が、配合する単量体の総量を100質量部として、100〜200質量部である場合は、連鎖移動剤の添加量を、重合に用いる単量体の総量を100質量部として、0.075〜0.5質量部とすることが好ましく、0.1〜0.5質量部とすることがより好ましく、0.1〜0.3質量部とすることがさらに好ましい(条件(iii))。
重合時の溶媒量が上記範囲である場合は、連鎖移動剤の添加量を0.075質量部未満とすると、溶媒末端の生成量が多くなるため、メタクリル系樹脂の熱安定性が低下するおそれがある。また、連鎖移動剤の添加量を0.5質量部以下とすると、所望の分子量を得られやすい。
溶液重合においては、重合溶液中の溶存酸素濃度を出来る限り低減させておくことが重要であり、例えば、溶存酸素濃度は、10ppm以下の濃度であることが好ましい。
溶存酸素濃度は、例えば、溶存酸素計 DOメーターB−505(飯島電子工業株式会社製)を用いて測定することができる。溶存酸素濃度を低下する方法としては、重合溶液中に不活性ガスをバブリングする方法、重合前に重合溶液を含む容器中を不活性ガスで0.2MPa程度まで加圧した後に放圧する操作を繰り返す方法、重合溶液を含む容器中に不活性ガスを通ずる方法等の方法を適宜選択することができる。
溶液重合により得られる重合液から重合物を回収する方法としては、特に制限はないが、例えば、重合により得られた重合生成物が溶解しないような炭化水素系溶媒やアルコール系溶媒等の貧溶媒が過剰量存在する中に重合液を添加した後、ホモジナイザーによる処理(乳化分散)を行い、未反応単量体について、液−液抽出、固−液抽出する等の前処理を施すことで、重合液から分離する方法;あるいは、脱揮工程と呼ばれる工程を経由して重合溶媒や未反応の単量体を分離し、重合生成物を回収する方法;等が挙げられる。
ここで、脱揮工程とは、重合溶媒、残存単量体、反応副生成物等の揮発分を、加熱・減圧条件下で、除去する工程をいう。
脱揮工程に用いる装置としては、例えば、管状熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置;神鋼環境ソリューション社製ワイブレン及びエクセバ、日立製作所製コントラ及び傾斜翼コントラ等の薄膜蒸発機;脱揮性能を発揮するに十分な滞留時間と表面積とを有するベント付き押出機;等を挙げることができる。
これらの中からいずれか2つ以上の装置を組み合わせた脱揮装置を用いた脱揮工程等も利用することができる。
脱揮装置での処理温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは170〜300℃、さらに好ましくは200〜280℃である。下限温度以上とすることで、残存揮発分を抑制でき、上限温度以下とすることで、得られるメタクリル系樹脂の着色や分解を抑制できる。
脱揮装置内における真空度としては、好ましくは10〜500Torr、より好ましくは10〜300Torrである。真空度が500Torrを超えると、揮発分が残存しやすいことがある。逆に、真空度が10Torr未満であると、工業的な実施が困難になることがある。
処理時間としては、残存揮発分の量により適宜選択されるが、得られるメタクリル系樹脂の着色や分解を抑えるためには、短いほど好ましい。
脱揮工程を経て回収された重合物は、造粒工程と呼ばれる工程にて、ペレット状に加工される。
造粒工程では、溶融状態の樹脂を多孔ダイよりストランド状に押出し、コールドカット方式、空中ホットカット方式、水中ストランドカット方式、及びアンダーウオーターカット方式にて、ペレット状に加工する。
なお、脱揮装置としてベント付押出機を採用した場合には、脱揮工程と造粒工程とを兼ねてもよい。
[グルタルイミド系構造単位を含むメタクリル系樹脂の製造方法]
主鎖にグルタルイミド系構造単位を有するメタクリル系樹脂の製造方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法のいずれの重合方法が挙げられ、好ましくは懸濁重合、塊状重合、溶液重合法であり、さらに好ましくは溶液重合法である。
本実施形態における製造方法では、重合形式として、例えば、バッチ重合法、セミバッチ法、連続重合法のいずれも用いることができる。
本実施形態における製造方法では、ラジカル重合により単量体を重合することが好ましい。
主鎖にグルタルイミド系構造単位を有するメタクリル系樹脂は、例えば、特開2006−249202号公報、特開2007−009182号公報、特開2007−009191号公報、特開2011−186482号公報、国際公開第2012/114718号等に記載されている、グルタルイミド系構造単位を有するメタクリル系樹脂であり、当該公報に記載されている方法により形成することができる。
以下、グルタルイミド系構造単位を有するメタクリル系樹脂の製造方法の一例として、溶液重合法を用いてバッチ式でラジカル重合で製造する場合について、具体的に説明する。
まず、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステルを重合することにより、(メタ)アクリル酸エステル重合体を製造する。グルタルイミド系構造単位を有するメタクリル系樹脂に芳香族ビニル単位を含める場合には、(メタ)アクリル酸エステルと芳香族ビニル(例えば、スチレン)とを共重合させ、(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体を製造する。
重合に用いる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
重合時の溶媒量としては、重合が進行し、生産時に共重合体や使用モノマーの析出等が起こらず、容易に除去できる量であれば特に制限はないが、例えば、配合する単量体の総量を100質量部とした場合に、10〜200質量部とすることが好ましい。より好ましくは25〜200質量部、さらに好ましくは50〜200質量部、さらにより好ましくは50〜150質量部である。
重合温度としては、重合が進行する温度であれば特に制限はないが、50〜200℃であることが好ましく、より好ましくは80〜200℃である。さらに好ましくは90〜150℃、さらにより好ましくは100〜140℃、よりさらに好ましくは100〜130℃である。生産性の観点から70℃以上とすることが好ましく、重合時の副反応を抑制し、所望の分子量や品質の重合体を得るために180℃以下とすることが好ましい。
重合時間としては、目的の転化率が満たされれば、特に制限されないが、生産性等の観点から、0.5〜15時間であることが好ましく、より好ましくは2〜12時間、さらに好ましくは4〜10時間である。
重合反応時には、必要に応じて重合開始剤や連鎖移動剤を添加して重合してもよい。
重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、前記N−置換マレイミド単量体由来の構造単位を有するメタクリル樹脂の調製方法に開示した重合開始剤等が利用できる。
これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらの重合開始剤は、重合反応が進行中であれば、いずれの段階に添加してもよい。
重合開始剤の添加量は、単量体の組合せや反応条件等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、重合に用いる単量体の総量を100質量部とした場合に、0.01〜1質量部としてよく、好ましくは0.05〜0.5質量部である。
連鎖移動剤としては、一般的なラジカル重合において用いる連鎖移動剤が使用でき、例えば、前記N−置換マレイミド単量体由来の構造単位を有するメタクリル樹脂の調製方法に開示した連鎖移動剤等が利用できる。
これらは、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
これらの連鎖移動剤は重合反応が進行中であれば、いずれの段階に添加してもよく、特に限定されるものではない。
連鎖移動剤の添加量については、使用する重合条件において所望の重合度が得られる範囲であれば、特に限定されるものではないが、好ましくは重合に用いる単量体の総量を100質量部とした場合に、0.01〜1質量部としてよく、好ましくは0.05〜0.5質量部である。
重合工程における、好適な重合開始剤及び連鎖移動剤の添加方法は、例えば、前記N−置換マレイミド単量体由来の構造単位を有するメタクリル樹脂の調製方法に記載した方法としてよい。
重合溶液中の溶存酸素濃度は、例えば、前記N−置換マレイミド単量体由来の構造単位を有するメタクリル樹脂の調製方法に開示した値であってよい。
次に、上記(メタ)アクリル酸エステル重合体又は上記メタクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体にイミド化剤を反応させることで、イミド化反応を行う(イミド化工程)。これにより、グルタルイミド系構造単位を有するメタクリル系樹脂を製造することができる。
上記イミド化剤としては、特に限定されず、上記一般式(3)で表されるグルタルイミド系構造単位を生成できるものであればよい。
イミド化剤としては、具体的には、アンモニア又は一級アミンを用いることができる。上記一級アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン等の脂肪族炭化水素基含有一級アミン;シクロヘキシルアミン等の脂環式炭化水素基含有一級アミン;等が挙げられる。
上記イミド化剤のうち、コスト、物性の面から、アンモニア、メチルアミン、シクロヘキシルアミンを用いることが好ましく、メチルアミンを用いることが特に好ましい。
このイミド化工程では、上記イミド化剤の添加割合を調整することにより、得られるグルタルイミド系構造単位を有するメタクリル系樹脂におけるグルタルイミド系構造単位の含有量を調整することができる。
上記イミド化反応を実施するための方法は、特に限定されないが、従来公知の方法を用いることができ、例えば、押出機又はバッチ式反応槽を用いることでイミド化反応を進行させることができる。
上記押出機としては、特に限定されないが、例えば、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機等を用いることができる。
中でも、二軸押出機を用いることが好ましい。二軸押出機によれば、原料ポリマーとイミド化剤との混合を促進することができる。
二軸押出機としては、例えば、非噛合い型同方向回転式、噛合い型同方向回転式、非噛合い型異方向回転式、噛合い型異方向回転式等が挙げられる。
上記例示した押出機は、単独で用いてもよいし、複数を直列に連結して用いてもよい。
また、使用する押出機には、大気圧以下に減圧可能なベン卜口を装着することが、反応のイミド化剤、メタノール等の副生物、又は、モノマー類を除去することができるため、特に好ましい。
グルタルイミド系構造単位を有するメタクリル系樹脂を製造するにあたっては、上記イミド化の工程に加えて、ジメチルカーボネート等のエステル化剤で樹脂のカルボキシル基を処理するエステル化工程を含むことができる。その際、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の触媒を併用し処理することもできる。
エステル化工程は、上記イミド化工程と同様に、例えば、押出機又はバッチ式反応槽を用いることで進行させることができる。
また、過剰なエステル化剤、メタノール等の副生物、又はモノマー類を除去する目的で、使用する装置には、大気圧以下に減圧可能なベン卜口を装着することが好ましい。
イミド化工程、及び必要に応じてエステル化工程を経たメタクリル系樹脂は、多孔ダイを附帯した押出機から、ストランド状に溶融し押出し、コールドカット方式、空中ホットカット方式、水中ストランドカット方式、アンダーウオーターカット方式等にて、ペレット状に加工される。
また、樹脂の異物数を低減するために、メタクリル系樹脂を、トルエン、メチルエチルケトン、塩化メチレン等の有機溶媒に溶解し、得られたメタクリル系樹脂溶液を濾過し、その後、有機溶媒を脱揮する方法を用いることも好ましい。
[ラクトン環構造単位を含むメタクリル系樹脂の製造方法]
主鎖にラクトン環構造単位を有するメタクリル系樹脂の製造方法としては、重合後に環化反応によりラクトン環構造を形成させる方法が用いられるが、環化反応を促進させる上で、溶媒を使用する溶液重合法にてラジカル重合により単量体を重合するが好ましい。
本実施形態における製造方法では、重合形式として、例えば、バッチ重合法、セミバッチ法、連続重合法のいずれも用いることができる。
主鎖にラクトン環構造単位を有するメタクリル系樹脂は、例えば、特開2001−151814号公報、特開2004−168882号公報、特開2005−146084号公報、特開2006−96960号公報、特開2006−171464号公報、特開2007−63541号公報、特開2007−297620号公報、特開2010−180305号公報等に記載されている方法により形成することができる。
以下、ラクトン環構造単位を有するメタクリル系樹脂の製造方法の一例として、溶液重合法を用いてバッチ式でラジカル重合で製造する場合について、具体的に説明する。
ラクトン環構造単位を有するメタクリル系樹脂の製造方法としては、重合後に環化反応によりラクトン環構造を形成させる方法が用いられるが、環化反応を促進させる上で、溶媒を使用する溶液重合が好ましい。
重合に用いる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
重合時の溶媒量としては、重合が進行し、ゲル化を抑制できる条件であれば特に制限はないが、例えば、配合する単量体の総量を100質量部とした場合に、50〜200質量部とすることが好ましく、より好ましくは100〜200質量部である。
重合液のゲル化を充分に抑制し、重合後の環化反応を促進するためには、重合後に得られる反応混合物中における生成した重合体の濃度が50質量%以下になるように重合を行うことが好ましい。また、重合溶媒を反応混合物に適宜添加して、上記濃度が50質量%以下となるように制御することが好ましい。
重合溶媒を反応混合物に適宜添加する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、連続的に重合溶媒を添加してもよいし、間欠的に重合溶媒を添加してもよい。
添加する重合溶媒は、1種のみの単一溶媒であっても2種以上の混合溶媒であってもよい。
重合温度としては、重合が進行する温度であれば特に制限はないが、生産性の観点から50〜200℃であることが好ましく、より好ましくは80〜180℃である。
重合時間としては、目的の転化率が満たされれば、特に制限されないが、生産性等の観点から、0.5〜10時間であることが好ましく、より好ましくは1〜8時間である。
重合反応時には、必要に応じて、重合開始剤や連鎖移動剤を添加して重合してもよい。
重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、前記N−置換マレイミド単量体由来の構造単位を有するメタクリル樹脂の調製方法に開示した重合開始剤等が利用できる。
これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらの重合開始剤は、重合反応が進行中であれば、いずれの段階に添加してもよい。
重合開始剤の添加量は、単量体の組合せや反応条件等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、重合に用いる単量体の総量を100質量部とした場合に、0.05〜1質量部としてよい。
連鎖移動剤としては、一般的なラジカル重合において用いる連鎖移動剤が使用でき、例えば、前記N−置換マレイミド単量体由来の構造単位を有するメタクリル樹脂の調製方法に開示した連鎖移動剤等が利用できる。
これらは、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
これらの連鎖移動剤は重合反応が進行中であれば、いずれの段階に添加してもよく、特に限定されるものではない。
連鎖移動剤の添加量については、使用する重合条件において所望の重合度が得られる範囲であれば、特に限定されるものではないが、好ましくは重合に用いる単量体の総量を100質量部とした場合に、0.05〜1質量部としてよい。
重合工程における、好適な重合開始剤及び連鎖移動剤の添加方法は、例えば、前記N−置換マレイミド単量体由来の構造単位を有するメタクリル樹脂の調製方法に記載した方法でよい。
重合溶液中の溶存酸素濃度は、例えば、前記N−置換マレイミド単量体由来の構造単位を有するメタクリル樹脂の調製方法に開示した値であってよい。
本実施形態におけるラクトン環構造単位を有するメタクリル系樹脂は、上記重合反応終了後、環化反応を行うことにより得ることができる。そのため、重合反応液から重合溶媒を除去することなく、溶媒を含んだ状態で、ラクトン環化反応に供することが好ましい。
重合により得られた共重合体は、加熱処理されることにより、共重合体の分子鎖中に存在するヒドロキシル基(水酸基)とエステル基との間での環化縮合反応を起こし、ラクトン環構造を形成する。
ラクトン環構造形成の加熱処理の際、環化縮合によって副生し得るアルコールを除去するための真空装置あるいは脱揮装置を備えた反応装置、脱揮装置を備えた押出機等を用いることもできる。
ラクトン環構造形成の際、必要に応じて、環化縮合反応を促進するために、環化縮合触媒を用いて加熱処理してもよい。
環化縮合触媒の具体的な例としては、例えば、亜リン酸メチル、亜リン酸エチル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル等の亜リン酸モノアルキルエステル、ジアルキルエステル又はトリエステル;リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸オクチル、リン酸イソデシル、リン酸ラウリル、リン酸ステアリル、リン酸イソステアリル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジ−2−エチルヘキシル、リン酸ジイソデシル、リン酸ジラウリル、リン酸ジステアリル、リン酸ジイソステアリル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリイソデシル、リン酸トリラウリル、リン酸トリステアリル、リン酸トリイソステアリル等のリン酸モノアルキルエステル、ジアルキルエステル又はトリアルキルエステル;酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、オクチル亜鉛等の有機亜鉛化合物;等が挙げられる。
これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
環化縮合触媒の使用量としては、特に限定されるものではないが、例えば、メタクリル系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜3質量部であり、より好ましくは0.05〜1質量部である。
触媒の使用量が0.01質量部以上であると、環化縮合反応の反応率の向上に有効であり、触媒の使用量が3質量部以下であると、得られた重合体が着色することや、重合体が架橋して溶融成形が困難になることを防ぐのに有効である。
環化縮合触媒の添加時期としては、特に限定されるものではなく、例えば、環化縮合反応初期に添加してもよいし、反応途中に添加してもよいし、その両方で添加してもよい。
溶媒の存在下に環化縮合反応を行う際に、同時に脱揮を行うことも好ましく用いられる。
環化縮合反応と脱揮工程とを同時に行う場合に用いる装置については、特に限定されるものではないが、熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置やベント付き押出機、また、脱揮装置と押出機を直列に配置したものが好ましく、ベント付き二軸押出機がより好ましい。
用いるベント付き二軸押出機としては、複数のベント口を有するベント付き押出機が好ましい。
ベント付き押出機を用いる場合の反応処理温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。反応処理温度が150℃未満であると、環化縮合反応が不充分となって残存揮発分が多くなることがある。逆に、反応処理温度が350℃を超えると、得られた重合体の着色や分解が起こることがある。
ベント付き押出機を用いる場合の真空度としては、好ましくは10〜500Torr、より好ましくは10〜300Torrである。真空度が500Torrを超えると、揮発分が残存しやすいことがある。逆に、真空度が10Torr未満であると、工業的な実施が困難になることがある。
上記の環化縮合反応を行う際に、残存する環化縮合触媒を失活させる目的で、造粒時に有機酸のアルカリ土類金属及び/又は両性金属塩を添加することも好ましい。
有機酸のアルカリ土類金属及び/又は両性金属塩としては、例えば、カルシウムアセチルアセテート、ステアリン酸カルシウム、酢酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、2−エチルヘキシル酸亜鉛等を用いることができる。
環化縮合反応工程を経た後、メタクリル系樹脂は、多孔ダイを附帯した押出機からストランド状に溶融し押出し、コールドカット方式、空中ホットカット方式、水中ストランドカット方式、及びアンダーウオーターカット方式にてペレット状に加工する。
なお、前述のラクトン環構造単位を形成するためのラクトン化は、樹脂の製造後樹脂組成物の製造(後述)前に行ってもよく、樹脂組成物の製造中に、樹脂と樹脂以外の成分との溶融混練と併せて、行ってもよい。
本実施形態におけるメタクリル系樹脂は、N−置換マレイミド単量体由来の構造単位、グルタルイミド系構造単位、ラクトン環構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の環構造単位を有することが好ましく、その中でも、特に、他の熱可塑性樹脂をブレンドすること無く、光弾性係数等の光学特性を高度に制御しやすい点から、N−置換マレイミド単量体由来の構造単位を有することが特に好ましい。
−他の熱可塑性樹脂−
本実施形態のメタクリル系樹脂には、本発明の目的を損なわず、複屈折率の調整や可撓性を向上させる目的で、他の熱可塑性樹脂を配合することもできる。
他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリブチルアクリレート等のポリアクリレート類;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレンーブチルアクリレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系ポリマー等の芳香族ビニル系樹脂;更には、例えば、特開昭59−202213号公報、特開昭63−27516号公報、特開昭51−129449号公報、特開昭52−56150号公報等に記載の、3〜4層構造のアクリル系ゴム粒子;特公昭60−17406号公報、特開平8−245854公報に開示されているゴム質重合体;国際公開第2014−002491号に記載の、多段重合で得られるメタクリル系ゴム含有グラフ卜共重合体粒子;等が挙げられる。
この中でも、良好な光学特性と機械的特性とを得る観点からは、スチレン−アクリロニトリル共重合体や、主鎖に環構造を有する構造単位(X)を含むメタクリル系樹脂と相溶し得る組成からなるグラフト部をその表面層に有するゴム含有グラフト共重合体粒子が好ましい。
前述のアクリル系ゴム粒子、メタクリル系ゴム含有グラフ卜共重合体粒子、及びゴム質重合体の平均粒子径としては、本実施形態の組成物より得られるフィルムの衝撃強度及び光学特性等を高める観点から、0.03〜1μmであることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.5μmである。
他の熱可塑性樹脂の配合量としては、メタクリル系樹脂を100質量部とした場合に、好ましくは0〜50質量部、より好ましくは0〜25質量である。
−添加剤−
本実施形態に係るメタクリル系樹脂には、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、種々の添加剤を配合していてもよい。
添加剤としては、特に制限はないが、例えば、無機充填剤;酸化鉄等の顔料;ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤・離型剤;パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の軟化剤・可塑剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系光安定剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;難燃剤;帯電防止剤;有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤;着色剤;亜リン酸エステル類、ホスホナイト類、リン酸エステル類等の有機リン化合物;その他添加剤;あるいはこれらの混合物等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容を具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(1.重合転化率の測定)
後述の実施例及び比較例における重合液の一部を採取し、この重合液試料中に残存する単量体量を、試料をクロロホルムに溶解させて、5質量%溶液を調整し、内部標準物質としてn−デカンを添加し、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製 GC−2010)を用いて、試料中に残存する単量体濃度を測定し、重合溶液中に残存する単量体の総質量(a)を求めた。そして、この総質量(a)と、試料を採取した時点までに添加した単量体が重合溶液中に全量残存したと仮定した場合の総質量(b)と、重合工程終了までに添加する単量体の総質量(c)から、計算式:(b−a)/c×100により、重合転化率(%)を算出した。
(2.構造単位の解析)
後述の各実施例及び比較例において得られたメタクリル系樹脂の各構造単位を、特に断りのない限り、1H−NMR測定及び13C−NMR測定により同定し、その存在量を算出した。H−NMR測定及び13C−NMR測定の測定条件は、以下の通りである。
・測定機器:ブルーカー社製 DPX−400
・測定溶媒:CDCl又はDMSO−d
・測定温度:40℃
なお、メタクリル系樹脂の環構造がラクトン環構造である場合には、特開2001−151814号公報、特開2007−297620号公報に記載の方法にて確認し、メタクリル系樹脂の環構造がグルタルイミド環構造である場合には、国際公開第2012/114718号に記載の方法にて確認した。
(3.重量平均分子量(Mw))
後述の実施例及び比較例にて得られたメタクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、下記の装置、及び条件で測定した。
・測定装置:東ソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(HLC−8320GPC)
・測定条件
カラム:TSKguardcolumn SuperH−H 1本、TSKgel SuperHM−M 2本、TSKgel SuperH2500 1本、を順に直列接続して使用した。
カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン、流速:0.6mL/分、内部標準として、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)を、0.1g/L添加した。
検出器:RI(示差屈折)検出器
検出感度:3.0mV/分
サンプル:0.02gのメタクリル系樹脂又はメタクリル系樹脂組成物のテトラヒドロフラン20mL溶液
注入量:10μL
検量線用標準サンプル:単分散の重量ピーク分子量が既知で分子量が異なる、以下の10種のポリメタクリル酸メチル(PolymerLaboratories製;PMMA Calibration Kit M−M−10)を用いた。
重量ピーク分子量(Mp)
標準試料1 1,916,000
標準試料2 625,500
標準試料3 298,900
標準試料4 138,600
標準試料5 60,150
標準試料6 27,600
標準試料7 10,290
標準試料8 5,000
標準試料9 2,810
標準試料10 850
上記の条件で、メタクリル系樹脂又はメタクリル系樹脂組成物の溶出時間に対する、RI検出強度を測定した。
上記、検量線用標準サンプルの測定により得られた各検量線を基に、メタクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)を求めた。
(4.ガラス転移温度)
後述の実施例及び比較例にて得られたメタクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)(℃)を、JIS−K7121に準拠して、測定した。
まず、標準状態(23℃、65%RH)で状態調節(23℃で1週間放置)した試料から、試験片として4点(4箇所)、それぞれ約10mgを切り出した。
次に、示差走査熱量計(パーキンエルマージャパン(株)製 Diamond DSC)を窒素ガス流量25mL/分の条件下で用いて、ここで、10℃/分で室温(23℃)から200℃まで昇温(1次昇温)し、200℃で5分間保持して、試料を完全に融解させた後、10℃/分で200℃から40℃まで降温し、40℃で5分間保持し、さらに、上記昇温条件で再び昇温(2次昇温)する間に描かれるDSC曲線のうち、2次昇温時の階段状変化部分曲線と各ベースライン延長線から縦軸方向に等距離にある直線との交点(中間点ガラス転移温度)をガラス転移温度(Tg)(℃)として測定した。1試料当たり4点の測定を行い、4点の算術平均(小数点以下四捨五入)を測定値とした。
(5.メタノール不溶分率)
後述の実施例及び比較例にて得られたメタクリル系樹脂5gをクロロホルム100mLに溶解させた後、溶液を滴下漏斗に入れ、撹拌子を用いて撹拌している1Lのメタノール中に約1時間かけて滴下して、再沈殿を行った。全量滴下後、1時間静置した後に、メンブランフィルター(アドバンテック東洋株式会社製 T05A090C)をフィルターとして用いて、吸引濾過を行った。
濾物は60℃で16時間真空乾燥してメタノール不溶分とした。また、濾液はロータリーエバポレーターを、バス温度を40℃として、真空度を初期設定の390Torrから徐々に下げて最終的に30Torrとして、用いて溶媒を除去した後、ナス形フラスコに残存している可溶分を回収し、メタノール可溶分とした。
メタノール不溶分の質量及びメタノール可溶分の質量の各々を秤量し、メタノール可溶分の量とメタノール不溶分の量との合計量(100質量%)に対するメタノール不溶分の量の割合(質量%)(メタノール不溶分率)を算出した。
(6.熱重量減少度)
後述の実施例及び比較例にて得られたメタクリル系樹脂のメタノール不溶分を用いて、下記装置及び条件で測定を行い、150〜300℃における重量減少率(質量%)を算出した。
測定装置:差動型示差熱天秤 Thermo plus EVO II TG8120、株式会社リガク製
サンプル量:約10mg
測定雰囲気:窒素(100mL/分)又は空気(100mL/分)
測定条件:室温(25℃)から40℃/分で100℃まで昇温し、100℃で5分間保持して、10℃/分で150℃まで昇温し、更に2℃/分で400℃まで昇温する。150〜300℃での重量減少率(質量%)を算出した。
(7.光弾性係数C
後述の実施例及び比較例にて得られたメタクリル系樹脂を、真空圧縮成形機を用いてプレスフィルムとすることで、測定用試料とした。
具体的な試料調製条件としては、真空圧縮成形機(神藤金属工業所製、SFV−30型)を用い、260℃、減圧下(約10kPa)、10分間予熱した後、樹脂を、260℃、約10MPaで5分間圧縮し、減圧及びプレス圧を解除した後、冷却用圧縮成形機に移して冷却固化させた。得られたプレスフィルムを、23℃、湿度60%に調整した恒温恒湿室内で24時間以上養生を行った上で、測定用試験片(厚み約150μm、幅6mm)を切り出した。
Polymer Engineering and Science 1999,39,2349−2357に詳細な記載のある複屈折測定装置を用いて、光弾性係数C(Pa−1)を測定した。
フィルム状の試験片を、同様に恒温恒湿室に設置したフィルムの引張り装置(井元製作所製)にチャック間50mmになるように配置した。次いで、複屈折測定装置(大塚電子製、RETS−100)のレーザー光経路がフィルムの中心部に位置するように装置を配置し、歪速度50%/分(チャック間:50mm、チャック移動速度:5mm/分)で伸張応力をかけながら、試験片の複屈折を測定した。
測定より得られた複屈折の絶対値(|Δn|)と伸張応力(σ)の関係から、最小二乗近似によりその直線の傾きを求め、光弾性係数(C)(Pa−1)を計算した。計算には、伸張応力が2.5MPa≦σ≦10MPaの間のデータを用いた。
=|Δn|/σ
ここで、複屈折の絶対値(|Δn|)は、以下に示す値である。
|Δn|=|nx−ny|
(nx:伸張方向の屈折率、ny:面内で伸張方向と垂直な方向の屈折率)
(8.イエローネスインデックス(YI))
後述の実施例及び比較例にて得られたメタクリル系樹脂を5w/v%クロロホルム溶液(すなわち、0.5gの試料をクロロホルムに溶解し10mLの溶液とするような割合で作製した溶液)とした後、シリンジフィルター(Membrane−Solutions LLC社製、PTFE013045)を用いて濾過することで測定試料とした。紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−2500PC)を用い、測定波長380〜780nm、スリット幅2nm、1cm光路長セルで視野角10°、補助イルミナントCを使用、基準物体:クロロホルムとして、透過率測定を行った。
JIS K 7373に従い、XYZ表色系を用いて、下記式
YI=100(1.2769X−1.0592Z)/Y
により、YI(イエローネスインデックス)を算出した。
(9.耐熱性)
メタクリル系樹脂の耐熱性の評価として、フィルム製膜後のイエローネスインデックス(YI)の評価を行った。
後述の実施例及び比較例にて得られたメタクリル系樹脂を、90℃、24時間、除湿空気による乾燥を行い、水分量を300質量ppm以下に低減させた上で、以下に示す方法によりフィルム製膜を行った。
押出機先端部に300mm幅のTダイを設置した15mmφ二軸押出機(テクノベル社製)を用い、フィルムを調製した。その際の製膜条件としては、押出機先端部設定温度260℃、Tダイ温度設定255℃、吐出量1kg/時、冷却ロール設定温度:ガラス転移温度−10℃とし、膜厚80μmのフィルムを得た。この条件にて6時間連続運転した後、評価用フィルムを1m長さで採取した。
フィルム成形工程における樹脂に対する熱履歴により、表面と内部との間で組成に不均一が生じたか否かを評価するため、以下の方法を用いて、フィルムのイエローネスインデックス(YI)を評価した。
得られた評価用フィルムを細かく裁断した上で試料として用いた。試料をSUS製のチューブに入れて窒素雰囲気下で密閉し、300℃に加熱したオーブンに入れて90分間加熱した。熱処理した試料を回収後、上記の「8.イエローネスインデックス(YI)」に記載の方法でイエローネスインデックス(YI)を算出し、評価した。熱処理後のYIと熱処理前のYIとの差が2以下であったものを「○」、差が2超3以下であったものを「△」、差が3超であったものを「×」と評価した。
[原料]
後述する実施例及び比較例において使用した原料について以下に示す。
[単量体]
・メチルメタクリレート(MMA):旭化成ケミカルズ株式会社製
・N−フェニルマレイミド(phMI):株式会社日本触媒製
・N−シクロヘキシルマレイミド(chMI):株式会社日本触媒製
・2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA):Combi Block社製
・スチレン:旭化成ケミカルズ株式会社製
・モノメチルアミン:三菱瓦斯化学社製
[重合開始剤]
・1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン:日油株式会社製「パーヘキサC」
・1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン:日油株式会社製「パーヘキサHC」
・1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン:アルケマ吉富株式会社製「ルぺロックス531」
・t−アミルパーオキシイソノナノエート:アルケマ吉富株式会社製「ルぺロックス570」
・t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート:日油株式会社製「パーブチルO」
・t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート:日油株式会社製「パーブチルI」
[連鎖移動剤]
・n−オクチルメルカプタン:花王株式会社製
・n−ドデシルメルカプタン:花王株式会社製
[環化縮合触媒]
・リン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物:堺化学工業株式会社製
[実施例1]
メチルメタクリレート(以下、「MMA」と記す)490.2kg、N−フェニルマレイミド(以下、「phMI」と記す)45.0kg、N−シクロヘキシルマレイミド(以下、「chMI」と記す)64.8kg、連鎖移動剤であるn−オクチルメルカプタンを0.480kg(重合系に投入した全単量体の合計質量に対して800質量ppmに相当)、メタキシレン(メタクリル酸メチルを単独重合させた場合における成長ラジカルのメタキシレンへの連鎖移動定数(120℃):1.10×10−4)400.0kgを計量し、ジャケットによる温度調節装置と撹拌翼を具備した1.25m反応器に加え撹拌し、混合単量体溶液を得た。
次いで、反応器内の溶液に30L/分の速度で窒素によるバブリングを1時間実施し、溶存酸素を除去した。
その後、ジャケット内にスチームを吹き込んで反応器内の溶液温度を120℃に上昇させ、50rpmで撹拌しながら、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.300kgをメタキシレン4.700kgに溶解させた重合開始剤溶液を、1.0kg/時間の速度で5時間添加することで重合を開始した。このように重合開始剤は、初期に添加せず、一定の添加速度で一定時間添加した。
なお、重合中は反応器内の溶液温度をジャケットによる温度調節で120±2℃で制御した。
重合開始剤の添加を開始した時点(重合開始時点)から6時間経過した後、主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む重合溶液を得た。
重合開始時点から6時間経った時点で重合溶液のサンプリングを行い、残存している単量体濃度から重合転化率の解析を行ったところ、96%であったことから、この時点を重合終了時点とした(重合時間=6時間)。
重合開始時点から重合時間の1/4(1.5時間)経った時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は5.3であり、また、重合開始時点から重合終了時点まで「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は1.6であったことから、前者は後者の3.3倍となった。
その後、この重合溶液を、予め170℃に加熱された管状熱交換器と気化槽からなる濃縮装置に供給し、溶液中に含まれる重合体の濃度を70質量%まで高めた。
得られた重合溶液は、伝熱面積が0.2mである薄膜蒸発機に供給し、脱揮を行った。
この際の装置内温度は280℃、供給量30L/hr、回転数400rpm、真空度30Torrで実施し、脱揮後の重合物はギアポンプで昇圧し、ストランドダイから押し出され、水冷後、ペレット化してメタクリル系樹脂を得た。
得られたペレット状の重合物の組成を確認したところ、MMA、phMI、chMI各単量体由来の構造単位は、それぞれ、81.0質量%、11.2質量%、7.8質量%であった。また、重量平均分子量(Mw)は136,000であった。その他の物性は表1に示す。
[実施例2]
MMA490.2kg、phMI45.0kg、chMI64.8kg、n−オクチルメルカプタン0.360kg(重合系に投入した全単量体の合計質量に対して600質量ppmに相当)、メタキシレン(メタクリル酸メチルを単独重合させた場合における成長ラジカルのメタキシレンへの連鎖移動定数(120℃):1.10×10−4)400.0kgを計量し、ジャケットによる温度調節装置と撹拌翼を具備した1.25m反応器に加え撹拌し、混合単量体溶液を得た。
次いで、反応器内の溶液に30L/分の速度で窒素によるバブリングを1時間実施し、溶存酸素を除去した。
その後、ジャケット内にスチームを吹き込んで反応器内の溶液温度を120℃に上昇させ、50rpmで撹拌しながら、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン0.300kgをメタキシレン4.700kgに溶解させた重合開始剤溶液を、1.0kg/時間の速度で添加することで重合を開始した。重合開始剤溶液の添加速度を、重合開始剤の添加開始から30分後に、0.5kg/時間に低下させ、次いで、重合開始剤の添加開始から1時間30分後に、1.0kg/時間に調整し、重合開始剤の添加開始から5時間後に、0.5kg/時間に調整して、重合開始剤の添加開始から6時間後に添加を停止した。
なお、重合中は反応器内の溶液温度をジャケットによる温度調節で120±2℃で制御した。
重合開始剤の添加を開始した時点(重合開始時点)から8時間経過した後、主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む重合溶液を得た。
重合開始時点から6時間経った時点、8時間経った時点で重合溶液のサンプリングを行い、残存している単量体濃度から重合転化率の解析を行ったところ、6時間後の時点で95%、8時間後の時点で96%であったことから、重合開始時点から8時間経った時点を重合終了時点とした(重合時間=8時間)。
重合開始時点から重合時間の1/4(2時間)経った時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は4.0であり、また、重合開始時点から重合終了時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は1.2であったことから、前者は後者の3.3倍となった。
その後、この重合溶液を、予め170℃に加熱された管状熱交換器と気化槽からなる濃縮装置に供給し、溶液中に含まれる重合体の濃度を70質量%まで高めた。
得られた重合溶液は、伝熱面積が0.2mである薄膜蒸発機に供給し、脱揮を行った。
この際の装置内温度は280℃、供給量30L/hr、回転数400rpm、真空度30Torrで実施し、脱揮後の重合物はギアポンプで昇圧し、ストランドダイから押し出され、水冷後、ペレット化してメタクリル系樹脂を得た。
得られたペレット状の重合物の組成を確認したところ、MMA、phMI、chMI各単量体由来の構造単位は、それぞれ、80.9質量%、11.4質量%、7.7質量%であった。また、重量平均分子量(Mw)は145,000であった。その他の物性は表1に示す。
[実施例3]
MMA450.0kg、phMI50.0kg、n−オクチルメルカプタン0.500kg(重合系に投入した全単量体の合計質量に対して1000質量ppmに相当)、トルエン(メタクリル酸メチルを単独重合させた場合における成長ラジカルのトルエンへの連鎖移動定数(115℃):1.19×10−4)500.0kgを計量し、ジャケットによる温度調節装置と撹拌翼を具備した1.25m反応器に加え撹拌し、混合単量体溶液を得た。
次いで、反応器内の溶液に30L/分の速度で窒素によるバブリングを1時間実施し、溶存酸素を除去した。
その後ジャケット内にスチームを吹き込んで反応器内の溶液温度を115℃に上昇させ、50rpmで撹拌しながら、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン0.208kgをトルエン3.942kgに溶解させた重合開始剤溶液を、1.0kg/時間の速度で添加することで重合を開始した。重合開始剤溶液の添加速度を、重合開始剤の添加開始から30分後に、0.5kg/時間に低下させ、次いで、重合開始剤の添加開始から1時間30分後に、0.7kg/時間に調整して、重合開始剤の添加開始から6時間後に添加を停止した。
なお、重合中は反応器内の溶液温度をジャケットによる温度調節で115±2℃で制御した。
重合開始剤の添加を開始した時点(重合開始時点)から8時間経過した後、主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む重合溶液を得た。
重合開始時点から6時間経った時点、8時間経った時点で重合溶液のサンプリングを行い、残存している単量体濃度から重合転化率の解析を行ったところ、6時間後の時点で95%、8時間後の時点で96%であったことから、重合開始時点から8時間経った時点を重合終了時点とした(重合時間=8時間)。
重合開始時点から重合時間の1/4(2時間)経った時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は7.4であり、また、重合開始時点から重合終了時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は2.4であったことから、前者は後者の3.1倍となった。
その後、この重合溶液を、予め170℃に加熱された管状熱交換器と気化槽からなる濃縮装置に供給し、溶液中に含まれる重合体の濃度を70質量%まで高めた。
得られた重合溶液は、伝熱面積が0.2mである薄膜蒸発機に供給し、脱揮を行った。
この際の装置内温度は280℃、供給量30L/hr、回転数400rpm、真空度30Torrで実施し、脱揮後の重合物はギアポンプで昇圧し、ストランドダイから押し出され、水冷後、ペレット化してメタクリル系樹脂を得た。
得られたペレット状の重合物の組成を確認したところ、MMA、phMI各単量体由来の構造単位は、それぞれ、90.1質量%、9.9質量%であった。また、重量平均分子量は142,000であった。その他の物性は表1に示す。
[実施例4]
MMA477.1kg、phMI31.4kg、chMI51.5kg、n−オクチルメルカプタン0.224kg(重合系に投入した全単量体の合計質量に対して400質量ppmに相当)、トルエン(メタクリル酸メチルを単独重合させた場合における成長ラジカルのトルエンへの連鎖移動定数(120℃):1.27×10−4)440.0kgを計量し、ジャケットによる温度調節装置と撹拌翼を具備した1.25m反応器に加え撹拌し、混合単量体溶液を得た。
次いで、反応器内の溶液に30L/分の速度で窒素によるバブリングを1時間実施し、溶存酸素を除去した。
その後、ジャケット内にスチームを吹き込んで反応器内の溶液温度を120℃に上昇させ、50rpmで撹拌しながら、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.280kgをメタキシレン4.720kgに溶解させた重合開始剤溶液を、1.0kg/時間の速度で添加することで重合を開始した。重合開始剤の添加開始から30分後に、重合開始剤溶液の添加速度を0.5kg/時間に低下させるとともに、重合系内にn−オクチルメルカプタン0.112kg(重合系に投入した全単量体の合計質量に対して200質量ppmに相当、初期添加量と合わせて合計で600質量ppmに相当)を添加し、次いで、重合開始剤の添加開始から1時間30分後に、1.0kg/時間に調整し、重合開始剤の添加開始から5時間後に0.5kg/時間に調整して、重合開始剤の添加開始から6時間後に添加を停止した。
なお、重合中は反応器内の溶液温度をジャケットによる温度調節で120±2℃で制御した。
重合開始剤の添加を開始した時点(重合開始時点)から8時間経過した後、主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む重合溶液を得た。
重合開始時点から6時間経った時点、8時間経った時点で重合溶液のサンプリングを行い、残存している単量体濃度から重合転化率の解析を行ったところ、6時間後の時点で95%、8時間後の時点で96%であったことから、重合開始時点から8時間経った時点を重合終了時点とした(重合時間=8時間)。
重合開始時点から重合時間の1/4(2時間)経った時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は4.0であり、また、重合開始時点から重合終了時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は1.2であったことから、前者は後者の3.3倍となった。
その後、この重合溶液を、予め170℃に加熱された管状熱交換器と気化槽からなる濃縮装置に供給し、溶液中に含まれる重合体の濃度を70質量%まで高めた。
得られた重合溶液は、伝熱面積が0.2mである薄膜蒸発機に供給し、脱揮を行った。
この際の装置内温度は280℃、供給量30L/hr、回転数400rpm、真空度30Torrで実施し、脱揮後の重合物はギアポンプで昇圧し、ストランドダイから押し出され、水冷後、ペレット化してメタクリル系樹脂を得た。
得られたペレット状の重合物の組成を確認したところ、MMA、phMI、chMI各単量体由来の構造単位は、それぞれ、84.3質量%、6.2質量%、9.5質量%であった。また、重量平均分子量は153,000であった。その他の物性は表1に示す。
[実施例5]
予め内部を窒素にて置換した、攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えたオートクレーブに、MMA45質量部、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(以下、「MHMA」と記す)5質量部、連鎖移動剤であるn−ドデシルメルカプタンを0.050質量部(重合系に投入した全単量体の合計質量に対して1000質量ppmに相当)、重合溶媒としてトルエン(メタクリル酸メチルを単独重合させた場合における成長ラジカルのトルエンへ連鎖移動定数(110℃):1.10×10−4)50質量部を仕込み、原料溶液を調製した。これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。
昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート0.025質量部を含むトルエン溶液の滴下を開始し、この溶液を5時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を行い、さらに重合を1時間継続した。このように重合開始剤は、初期に添加せず、一定の添加速度で一定時間添加した。
得られた重合溶液に、環化触媒として有機リン化合物であるリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物0.05質量部を添加し、還流下、約90〜102℃で5時間、環化縮合反応を行った。
重合開始剤の添加を開始した時点(重合開始時点)から6時間経った時点で重合溶液のサンプリングを行い、残存している単量体濃度から重合転化率の解析を行ったところ、96%であったことから、この時点を重合終了時点とした(重合時間=6時間)。
重合開始時点から重合時間の1/4(1.5時間)経った時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は6.7であり、また、重合開始時点から重合終了時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は2.0であったことから、前者は後者の3.3倍となった。
次に得られた重合体溶液を、多管式熱交換機からなる加熱機にて240℃に加熱した後、脱揮用に複数のベント口と下流に複数のサイドフィード口とを装備した二軸押出機に導入することにより、脱揮を行いつつ環化反応を進行させた。
二軸押出機では、樹脂換算で15kg/時となるように、得られた共重合体溶液を供給し、バレル温度250℃、回転数100rpm、真空度10〜300Torrの条件とした。
二軸押出機で溶融混練を行った樹脂を、ストランドダイから押出し、水冷後ペレット化し、樹脂を得た。
得られた樹脂の組成を確認したところ、ラクトン環構造単位の含有量は18.2質量%であった。ラクトン環構造単位の含有量については、特開2007−297620号公報に記載の方法に従い求めた。また、得られた樹脂組成物の重量平均分子量は127,000であった。その他の物性は表1に示す。
[実施例6]
MMA411.8kg、phMI14.0kg、chMI24.2kg、n−ドデシルメルカプタン0.675kg(重合系に投入した全単量体の合計質量に対して1500質量ppmに相当)、メチルイソブチルケトン(メタクリル酸メチルを単独重合させた場合における成長ラジカルのメチルイソブチルケトンへの連鎖移動定数(120℃):2.40×10−4)550.0kgを計量し、ジャケットによる温度調節装置と撹拌翼を具備した1.25m反応器に加え撹拌し、混合単量体溶液を得た。
次いで、反応器内の溶液に30L/分の速度で窒素によるバブリングを1時間実施し、溶存酸素を除去した。
その後、ジャケット内にスチームを吹き込んで反応器内の溶液温度を120℃に上昇させ、50rpmで撹拌しながら、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン0.225kgをメタキシレン4.775kgに溶解させた重合開始剤溶液を、1.0kg/時間の速度で5時間添加することで重合を開始した。このように重合開始剤は、初期に添加せず、一定の添加速度で一定時間添加した。
なお、重合中は反応器内の溶液温度をジャケットによる温度調節で120±2℃で制御した。
重合開始剤の添加を開始した時点(重合開始時点)から6時間経過した後、主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む重合溶液を得た。
重合開始時点から6時間経った時点で重合溶液のサンプリングを行い、残存している単量体濃度から重合転化率の解析を行ったところ、96%であったことから、この時点を重合終了時点とした(重合時間=6時間)。
重合開始時点から重合時間の1/4(1.5時間)経った時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は10.0であり、また、重合開始時点から重合終了時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は3.0であったことから、前者は後者の3.3倍となった。
その後、この重合溶液を、予め170℃に加熱された管状熱交換器と気化槽からなる濃縮装置に供給し、溶液中に含まれる重合体の濃度を70質量%まで高めた。
得られた重合溶液は、伝熱面積が0.2mである薄膜蒸発機に供給し、脱揮を行った。
この際の装置内温度は280℃、供給量30L/hr、回転数400rpm、真空度30Torrで実施し、脱揮後の重合物はギアポンプで昇圧し、ストランドダイから押し出され、水冷後、ペレット化してメタクリル系樹脂を得た。
得られたペレット状の重合物の組成を確認したところ、MMA、phMI、chMI各単量体由来の構造単位は、それぞれ、90.8質量%、3.6質量%、5.6質量%であった。また、重量平均分子量は136,000であった。その他の物性は表1に示す。
[実施例7]
MMA450.7kg、phMI39.8kg、chMI59.5kg、n−オクチルメルカプタン0.550kg(重合系に投入した全単量体の合計質量に対して1000質量ppmに相当)、エチルベンゼン(メタクリル酸メチルを単独重合させた場合における成長ラジカルのエチルベンゼンへの連鎖移動定数(120℃):4.27×10−4)450.0kgを計量し、ジャケットによる温度調節装置と撹拌翼を具備した1.25m反応器に加え撹拌し、混合単量体溶液を得た。
次いで、反応器内の溶液に30L/分の速度で窒素によるバブリングを1時間実施し、溶存酸素を除去した。
その後、ジャケット内にスチームを吹き込んで反応器内の溶液温度を120℃に上昇させ、50rpmで撹拌しながら、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.275kgをメタキシレン4.725kgに溶解させた重合開始剤溶液を、1.0kg/時間の速度で5時間添加することで重合を開始した。このように重合開始剤は、初期に添加せず、一定の添加速度で一定時間添加した。
なお、重合中は反応器内の溶液温度をジャケットによる温度調節で120±2℃で制御した。
重合開始剤の添加を開始した時点(重合開始時点)から6時間経過した後、主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む重合溶液を得た。
重合開始時点から6時間経った時点で重合溶液のサンプリングを行い、残存している単量体濃度から重合転化率の解析を行ったところ、96%であったことから、この時点を重合終了時点とした(重合時間=6時間)。
重合開始時点から重合時間の1/4(1.5時間)経った時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は6.7であり、また、重合開始時点から重合終了時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は2.0であったことから、前者は後者の3.3倍となった。
その後、この重合溶液を、予め170℃に加熱された管状熱交換器と気化槽からなる濃縮装置に供給し、溶液中に含まれる重合体の濃度を70質量%まで高めた。
得られた重合溶液は、伝熱面積が0.2mである薄膜蒸発機に供給し、脱揮を行った。
この際の装置内温度は280℃、供給量30L/hr、回転数400rpm、真空度30Torrで実施し、脱揮後の重合物はギアポンプで昇圧し、ストランドダイから押し出され、水冷後、ペレット化してメタクリル系樹脂を得た。
得られたペレット状の重合物の組成を確認したところ、MMA、phMI、chMI各単量体由来の構造単位は、それぞれ、81.3質量%、7.9質量%、10.8質量%であった。また、重量平均分子量は118,000であった。その他の物性は表1に示す。
[実施例8]
MMA400.0kg、スチレン100.0kg、n−ドデシルメルカプタン0.400kg(重合系に投入した全単量体の合計質量に対して800質量ppmに相当)、トルエン(メタクリル酸メチルを単独重合させた場合における成長ラジカルのトルエンへの連鎖移動定数(120℃):1.27×10−4)500.0kgを計量し、ジャケットによる温度調節装置と撹拌翼を具備した1.25m反応器に加え撹拌し、混合単量体溶液を得た。
次いで、反応器内の溶液に30L/分の速度で窒素によるバブリングを1時間実施し、溶存酸素を除去した。
その後、ジャケット内にスチームを吹き込んで反応器内の溶液温度を120℃に上昇させ、50rpmで撹拌しながら、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン0.250kgをメタキシレン4.750kgに溶解させた重合開始剤溶液を、1.0kg/時間の速度で5時間添加することで重合を開始した。このように重合開始剤は、初期に添加せず、一定の添加速度で一定時間添加した。
なお、重合中は反応器内の溶液温度をジャケットによる温度調節で120±2℃で制御した。
重合開始剤の添加を開始した時点(重合開始時点)から6時間経過した後、メタクリル系樹脂を含む重合溶液を得た。
重合開始時点から6時間経った時点で重合溶液のサンプリングを行い、残存している単量体濃度から重合転化率の解析を行ったところ、96%であったことから、この時点を重合終了時点とした(重合時間=6時間)。
重合開始時点から重合時間の1/4(1.5時間)経った時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は5.3であり、また、重合開始時点から重合終了時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は1.6であったことから、前者は後者の3.3倍となった。
その後、この重合溶液を、予め170℃に加熱された管状熱交換器と気化槽からなる濃縮装置に供給し、溶液中に含まれる重合体の濃度を70質量%まで高めた。
得られた重合溶液は、伝熱面積が0.2mである薄膜蒸発機に供給し、脱揮を行った。
この際の装置内温度は280℃、供給量30L/hr、回転数400rpm、真空度30Torrで実施し、脱揮後の重合物はギアポンプで昇圧し、ストランドダイから押し出され、水冷後、ペレット化してメタクリル系樹脂を得た。
得られたメタクリル系樹脂(以下、本実施例では「MS樹脂」と記す。)を用い、イミド化剤としてモノメチルアミンを用い、口径15mm、L/D=90の噛合い型同方向回転式二軸押出機を利用して、グルタルイミド系構造単位を有するメタクリル系樹脂を製造した。
その際、ポッパーより窒素ガスをフローすることで、押出機内の酸素濃度を1%以下にした。押出機の各温調ゾーンの設定温度を250℃、スクリュー回転数300rpm、MS樹脂を1kg/時で供給し、モノメチルアミンの供給量をMS樹脂100質量部に対して20質量部とした。
ホッパーからMS樹脂を投入し、ニーディングブロックによって樹脂を溶融、充満させた後、ノズルからモノメチルアミンを注入した。反応ゾーンの末端にはシールリングを入れて樹脂を充満させた。反応後の副生成物及び過剰のメチルアミンをベント口の真空度を60Torrに減圧して除去した。押出機出口に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂は、水槽で冷却した後、ペレタイザでペレット化した。
次いで、口径15mm、L/D=90の噛合い型同方向回転式二軸押出機にて、押出機の各温調ゾーンの設定温度を230℃、スクリュー回転数150rpmの条件にて、ホッパーより、上記にて得られたペレットを1kg/hrの供給量にて投入し、ニーディングブロックによって樹脂を溶融、充満させた後、ノズルから、上記ペレット状樹脂100質量部に対して0.8質量部の炭酸ジメチルを注入し、樹脂中のカルボキシル基の低減を行った。反応ゾーンの末端にはリバースフライトを入れて樹脂を充満させた。反応後の副生成物及び過剰の炭酸ジメチルを、ベント口の真空度を100Torrに減圧して除去した。
押出機出口に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂は、水槽で冷却した後、ペレタイザで再度ペレット化し、グルタルイミド系構造単位を有するメタクリル系樹脂を得た。
得られた樹脂のグルタルイミド系構造単位の含有量を国際公開第2012/114718号に従い測定したところ、グルタルイミド系構造単位の含有量は53.7質量%であった。得られた樹脂の重量平均分子量は112,000であった。その他の物性は表1に示す。
[比較例1]
MMA445.5kg、phMI44.0kg、chMI60.5kg、n−オクチルメルカプタン0.275kg(重合系に投入した全単量体の合計質量に対して500質量ppmに相当)、メタキシレン(メタクリル酸メチルを単独重合させた場合における成長ラジカルのメタキシレンへの連鎖移動定数(130℃):1.21×10−4)450.0kgを計量し、ジャケットによる温度調節装置と撹拌翼を具備した1.25m反応器に加え撹拌し、混合単量体溶液を得た。
次いで、反応器内の溶液に30L/分の速度で窒素によるバブリングを1時間実施し、溶存酸素を除去した。
その後、ジャケット内にスチームを吹き込んで反応器内の溶液温度を130℃に上昇させ、50rpmで撹拌しながら、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1.100kgをメタキシレン4.900kgに溶解させた重合開始剤溶液を、1.0kg/時間の速度で6時間添加することで重合を開始した。このように重合開始剤は、初期に添加せず、一定の添加速度で一定時間添加した。また、重合開始剤の添加開始から4時間後に、重合系内にn−オクチルメルカプタン0.275kg(重合系に投入した全単量体の合計質量に対して500質量ppmに相当、初期添加量と合わせて合計で1000質量ppmに相当)を添加した。
なお、重合中は反応器内の溶液温度をジャケットによる温度調節で130±2℃で制御した。
重合開始剤の添加を開始した時点(重合開始時点)から8時間経過した後、主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む重合溶液を得た。
重合開始時点から6時間経った時点、8時間経った時点で重合溶液のサンプリングを行い、残存している単量体濃度から重合転化率の解析を行ったところ、6時間後の時点で95%、8時間後の時点で96%であったことから、重合開始時点から8時間経った時点を重合終了時点とした(重合時間=8時間)。
重合開始時点から重合時間の1/4(2時間)経った時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は0.75であり、また、重合開始時点から重合終了時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は0.50であったことから、前者は後者の1.5倍となった。
その後、この重合溶液を、予め170℃に加熱された管状熱交換器と気化槽からなる濃縮装置に供給し、溶液中に含まれる重合体の濃度を70質量%まで高めた。
得られた重合溶液は、伝熱面積が0.2mである薄膜蒸発機に供給し、脱揮を行った。
この際の装置内温度は280℃、供給量30L/hr、回転数400rpm、真空度30Torrで実施し、脱揮後の重合物はギアポンプで昇圧し、ストランドダイから押し出され、水冷後、ペレット化してメタクリル系樹脂を得た。
得られたペレット状の重合物の組成を確認したところ、MMA、phMI、chMI各単量体由来の構造単位は、それぞれ、80.2質量%、8.5質量%、11.3質量%であった。また、重量平均分子量は167,000であった。その他の物性は表1に示す。
[比較例2]
予め内部を窒素にて置換した、攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えたオートクレーブに、MMA40質量部、MHMA10質量部、連鎖移動剤であるn−ドデシルメルカプタンを0.025質量部(重合系に投入した全単量体の合計質量に対して500質量ppmに相当)、重合溶媒としてトルエン(メタクリル酸メチルを単独重合させた場合における成長ラジカルのトルエンへ連鎖移動定数(110℃):1.10×10−4)50質量部を仕込み、原料溶液を調製した。これに窒素を通じつつ、100℃まで昇温させた。
昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート0.05質量部を添加すると同時に、0.10質量部のt−アミルパーオキシイソノナノエートを含むトルエン溶液を2時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を行い、さらに重合を4時間継続した。上記記載のように重合開始剤は初期に一定量添加するとともに、その後、一定の添加速度で一定時間添加した。
得られた重合溶液に、環化触媒として有機リン化合物であるリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物0.05質量部を添加し、還流下、約90〜110℃で5時間、環化縮合反応を行った。
重合開始剤の添加を開始した時点(重合開始時点)から6時間後経った時点で重合溶液のサンプリングを行い、残存している単量体濃度から重合転化率の解析を行ったところ、96%であったことから、この時点を重合終了時点とした(重合時間=6時間)。
重合開始時点から重合時間の1/4(1.5時間)経った時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は0.20であり、また、重合開始時点から重合終了時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は0.17であったことから、前者は後者の1.2倍となった。
次に得られた重合体溶液を、多管式熱交換機からなる加熱機にて240℃に加熱した後、脱揮用に複数のベント口と下流に複数のサイドフィード口とを装備した二軸押出機に導入することにより、脱揮を行いつつ環化反応を進行させた。
二軸押出機では、樹脂換算で15kg/時となるように、得られた共重合体溶液を供給し、バレル温度250℃、回転数100rpm、真空度10〜300Torrの条件とした。
二軸押出機で溶融混練を行った樹脂を、ストランドダイから押出し、水冷後ペレット化し、樹脂を得た。
得られた樹脂の組成を確認したところ、ラクトン環構造単位の含有量は32.3質量%であった。ラクトン環構造単位の含有量については、特開2007−297620号公報に記載の方法に従い求めた。また、得られた樹脂組成物の重量平均分子量は141,000であった。その他の物性は表1に示す。
[比較例3]
予め内部を窒素にて置換した、攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えたオートクレーブに、MMA40質量部、MHMA10質量部、連鎖移動剤であるn−ドデシルメルカプタンを0.025質量部(重合系に投入した全単量体の合計質量に対して500質量ppmに相当)、重合溶媒としてメチルイソブチルケトン(メタクリル酸メチルを単独重合させた場合における成長ラジカルのメチルイソブチルケトンへの連鎖移動定数(105℃):1.86×10−4)50質量部を仕込み、原料溶液を調製した。これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。
昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.025質量部を添加すると同時に、0.050質量部のt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを含むメチルイソブチルケトン溶液を2時間かけて滴下しながら、約105〜120℃の還流下で溶液重合を行い、さらに重合を4時間継続した。上記記載のように重合開始剤は初期に一定量添加するとともに、その後、一定の添加速度で一定時間添加した。
得られた重合溶液に、環化触媒として有機リン化合物であるリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物0.05質量部を添加し、還流下、約90〜120℃で5時間、環化縮合反応を行った。
重合開始剤の添加を開始した時点(重合開始時点)から6時間経った時点で重合溶液のサンプリングを行い、残存している単量体濃度から重合転化率の解析を行ったところ、96%であったことから、この時点を重合終了時点とした(重合時間=6時間)。
重合開始時点から重合時間の1/4(1.5時間)経った時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は0.40であり、また、重合開始時点から重合終了時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は0.33であったことから、前者は後者の1.2倍となった。
次に得られた重合体溶液を、多管式熱交換機からなる加熱機にて240℃に加熱した後、脱揮用に複数のベント口と下流に複数のサイドフィード口とを装備した二軸押出機に導入することにより、脱揮を行いつつ環化反応を進行させた。
二軸押出機では、樹脂換算で15kg/時となるように、得られた共重合体溶液を供給し、バレル温度250℃、回転数100rpm、真空度10〜300Torrの条件とした。
二軸押出機で溶融混練を行った樹脂を、ストランドダイから押出し、水冷後ペレット化し、樹脂を得た。
得られた樹脂の組成を確認したところ、ラクトン環構造単位の含有量は31.2質量%であった。ラクトン環構造単位の含有量については、特開2007−297620号公報に記載の方法に従い求めた。また、得られた樹脂組成物の重量平均分子量は133,000であった。その他の物性は表1に示す。
[比較例4]
予め内部を窒素にて置換した、攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えたオートクレーブに、MMA40質量部、MHMA10質量部、重合溶媒としてトルエン(メタクリル酸メチルを単独重合させた場合における成長ラジカルのトルエンへの連鎖移動定数(110℃):1.10×10−4)50質量部を仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。
昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート0.10質量部を添加すると同時に、0.10質量部のt−アミルパーオキシイソノナノエートを含むトルエン溶液を2時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を行い、また、重合開始剤の添加開始から2時間後に、重合系内に、連鎖移動剤であるn−ドデシルメルカプタンを0.050質量部(重合系に投入した全単量体の合計質量に対して1000質量ppmに相当)添加し、さらに重合を4時間継続した。上記記載のように重合開始剤は初期に一定量添加するとともに、その後、一定の添加速度で一定時間添加した。
得られた重合溶液に、環化触媒として有機リン化合物であるリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物0.05質量部を添加し、還流下、約90〜110℃で5時間、環化縮合反応を行った。
重合開始剤の添加を開始した時点(重合開始時点)から6時間経った時点で重合溶液のサンプリングを行い、残存している単量体濃度から重合転化率の解析を行ったところ、96%であったことから、この時点を重合終了時点とした(重合時間=6時間)。
重合開始時点から重合時間の1/4(1.5時間)経った時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は0であり、また、重合開始時点から重合終了時点までの「連鎖移動剤添加量/重合開始剤添加量」の値は0.25であったことから、前者は後者の0倍となった。
次に得られた重合体溶液を、多管式熱交換機からなる加熱機にて240℃に加熱した後、脱揮用に複数のベント口と下流に複数のサイドフィード口とを装備した二軸押出機に導入することにより、脱揮を行いつつ環化反応を進行させた。
二軸押出機では、樹脂換算で15kg/時となるように、得られた共重合体溶液を供給し、バレル温度250℃、回転数100rpm、真空度10〜300Torrの条件とした。
二軸押出機で溶融混練を行った樹脂を、ストランドダイから押出し、水冷後ペレット化し、樹脂を得た。
得られた樹脂の組成を確認したところ、ラクトン環構造単位の含有量は28.7質量%であった。ラクトン環構造単位の含有量については、特開2007−297620号公報に記載の方法に従い求めた。また、得られた樹脂組成物の重量平均分子量は137,000であった。その他の物性は表1に示す。
Figure 2018035225
Figure 2018035225
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、透明性に優れ、且つ、耐熱性、耐候性が良好であり、さらにその複屈折性が高度に制御されていることから、光学材料として、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイに用いられる偏光板保護フィルム、1/4波長板、1/2波長板等の位相差板、視野角制御フィルム等の液晶光学補償フィルム、ディスプレイ前面板、ディスプレイ基板、レンズ等、また、太陽電池に用いられる透明基板、タッチパネル等の透明導電性基板、更には光通信システム、光交換システム、光計測システムの分野において、導波路、レンズ、レンズアレイ、光ファイバー、光ファイバーの被覆材料、LEDのレンズ、レンズカバーなどにも好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. 主鎖に環構造を有する構造単位(X)を含み、ガラス転移温度が120℃超160℃以下であり、メタノール不溶分を熱重量測定により空気雰囲気下で加熱したときの150〜300℃における重量減少率が15質量%以下であることを特徴とする、メタクリル系樹脂。
  2. メタノール不溶分を熱重量測定により窒素雰囲気下で加熱したときの150〜300℃における重量減少率が10質量%以下である、請求項1に記載のメタクリル系樹脂。
  3. メタノール不溶分の量が、メタノール不溶分の量とメタノール可溶分の量との合計量100質量%に対して95質量%以上である、請求項1又は2に記載のメタクリル系樹脂。
  4. GPC測定法により測定されるポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)が、100,000〜170,000である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のメタクリル系樹脂。
  5. 前記(X)構造単位が、N−置換マレイミド単量体由来の構造単位、グルタルイミド系構造単位、及びラクトン環構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のメタクリル系樹脂。
  6. 前記(X)構造単位が、グルタルイミド系構造単位を含み、前記グルタルイミド系構造単位の含有量が、前記メタクリル系樹脂を100質量%として、5〜70質量%である、請求項5に記載のメタクリル系樹脂。
  7. 前記(X)構造単位が、N−置換マレイミド単量体由来の構造単位を含み、前記N−置換マレイミド単量体由来の構造単位の含有量が、前記メタクリル系樹脂を100質量%として、5〜40質量%である、請求項5に記載のメタクリル系樹脂。
  8. 前記(X)構造単位が、ラクトン環構造単位を含み、前記ラクトン環構造単位の含有量が、前記メタクリル系樹脂を100質量%として、5〜40質量%である、請求項5に記載のメタクリル系樹脂。
  9. 光弾性係数の絶対値が、3.0×10−12Pa−1以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のメタクリル系樹脂。
  10. 光弾性係数の絶対値が、1.0×10−12Pa−1以下である、請求項9に記載のメタクリル系樹脂。
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