JPH1149920A - アクリル系フィルム用樹脂組成物およびそれよりなるフィルム - Google Patents

アクリル系フィルム用樹脂組成物およびそれよりなるフィルム

Info

Publication number
JPH1149920A
JPH1149920A JP20464497A JP20464497A JPH1149920A JP H1149920 A JPH1149920 A JP H1149920A JP 20464497 A JP20464497 A JP 20464497A JP 20464497 A JP20464497 A JP 20464497A JP H1149920 A JPH1149920 A JP H1149920A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molecular weight
resin composition
weight
film
polymerization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP20464497A
Other languages
English (en)
Inventor
Genichi Tsuruta
嚴一 鶴田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP20464497A priority Critical patent/JPH1149920A/ja
Publication of JPH1149920A publication Critical patent/JPH1149920A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形時にゲルや焼けが発生しにくく表面外観
の優れた製品を製造することができ、さらにリサイクル
使用しても外観や物性を損なうことが少ないフィルム用
樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 メチルメタクリレート単量体単位70〜
99.8重量%およびこれと共重合可能な他の単量体単
位0.2〜30重量%とからなり、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィーを用いて測定したポリメチルメタ
クリレート換算重量平均分子量が5〜50万であり、ポ
リメチルメタクリレート換算Z平均分子量/ポリメチル
メタクリレート換算重量平均分子量の比が1.8〜70
であるアクリル系フィルム用樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なアクリル系フ
ィルム用樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、耐候
性、耐熱性、機械強度、表面硬度に優れたアクリル系フ
ィルムを成形するのに好適な樹脂組成物に関する。本発
明の樹脂組成物はフィルム成形時にゲルや焼けが発生し
にくく表面外観の優れた製品を製造することができ、さ
らにリサイクル使用してもフィルムの外観や物性を損な
うことが少ないという利点を有する。本発明の樹脂組成
物を成形して得られるアクリル系フィルムは、単独で包
装用フィルムやブリスターパック等の容器素材として用
いうる。またフィルム表面に反射防止性、表面硬度、帯
電防性止、防汚性、抗菌性等を付与するために塗布、蒸
着などの表面修飾を施した上で各種熱可塑性樹脂や金属
にラミネートしてそれらの表面改質を行うための基材と
しても用いうる。
【0002】
【従来の技術】フィルムを成形するための樹脂として
は、従来からポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチ
レン、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチ
レン等のふっ素系樹脂、ポリカーボネート、セルロース
アセテート、飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホンなど幅広
い樹脂がそれぞれの特性を生かした用途、分野で用いら
れてきた。
【0003】これらの中で看板やコンテナ等のマーキン
グフィルム、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ガラ
ス、鋼などの建材、道路資材の被覆フィルムなど屋外で
使用されるため耐候性が必要とされたり、液晶ディスプ
レイ、プロジェクションテレビスクリーン、プラズマデ
ィスプレイなどの光学機器の構成要素として耐光性と透
明性が必要とされるフィルムの素材としては、アクリル
樹脂が最も適していると考えられる。
【0004】しかしながら、アクリル樹脂は代表的とも
言える非晶質脆性プラスチックであり、薄いフィルム状
に成形されたものは割れたり裂けたりしやすく、そのま
まではフィルムとしての実用性に著しく欠けたものしか
得られない。このようなアクリル樹脂の脆さを改良する
手段として、二軸延伸による方法とゴム補強する方法が
ある。
【0005】二軸延伸する方法としては、押し出された
フィルムをテンターで連続的に延伸する方法(特公昭4
9−13220号公報)やコンプレッションで延伸する
方法(特公昭63−24806号公報、特公平1−22
151号公報)がある。前者の方法では、通常のアクリ
ル樹脂はドローダウンが大きく、均一な延伸が困難であ
った。また後者の方法は生産性に劣るという問題があっ
た。
【0006】一方、アクリル樹脂をゴム補強する方法と
しては、耐候性に優れた多層構造アクリル系ゴムの粒子
を配合する方法が一般的であり、従来から多数の技術が
提案されている。(例えば、特公昭55−27576号
公報、特公昭58−1694号公報、特公昭60−17
406号公報、特公昭60−30698号公報、特公平
7−68318号公報。)また多層構造アクリル系ゴム
の粒子を配合したアクリル樹脂層とポリフッ化ビニリデ
ン重合体層からなる積層フィルムに関しても開示されて
いる(特開平3−288640号公報、特開平3−29
5644号公報など。)ここで、多層構造アクリル系ゴ
ムは一般的に乳化重合法で製造されたラテックスから塩
析等の方法で分離、洗浄、乾燥したパウダー状固体とし
て得られ、これと一般アクリル樹脂とを溶融混練などの
方法でコンパウンドすることによって、ゴム強化アクリ
ル樹脂を製造している。従って、多層構造アクリル系ゴ
ム粒子の分散不良によりブツ、フィッシュアイといった
不良が発生しフィルム外観を損なうことを防止するため
に、押出機の選定や押出温度などのコンパウンド条件適
性化が重要となるが、生産性やコストとの兼ね合いから
必ずしも最適条件を選定できるとは限らず、不良発生防
止は困難な場合が多い。さらに多層構造アクリル系ゴム
は一般に架橋させるための成分を含んでいるため、成形
加工において滞留すると後架橋を起こしてゲル化しやす
い性質がある。このようなゲルは押出機から排出されに
くいため、さらに押出機内で熱劣化が進行して焼け異物
となり、これがフィルムに混入するとやはり外観不良を
引き起こすことになる。このような特性は、樹脂をリサ
イクル使用するような熱履歴の大きい使用条件において
重大な問題となりやすい。
【0007】従って、多層構造アクリル系ゴムを用いず
に機械強度に優れたアクリル系フィルムを成形するのに
好適な樹脂組成物が要望されてきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は耐候性、耐熱
性、機械強度、表面硬度に優れたアクリル系フィルムを
成形するのに好適であり、かつフィルム成形時にゲルや
焼けが発生しにくく表面外観の優れた製品を製造するこ
とができ、さらにリサイクル使用してもフィルムの外観
や物性を損なうことが少ない樹脂組成物を提供しようと
するものである。
【0009】ゲルや焼けの発生要因となりやすい多層構
造アクリル系ゴムを用いずに機械強度の優れたフィルム
とするためには、二軸または一軸方向に延伸をかけるこ
とが効果的である。ところが一般のアクリル樹脂は、ポ
リスチレンやポリオレフィンと比較して流動性を示す温
度が高いうえに、いったん溶融すると粘性が比較的低く
ドローダウン性が大きいという特性を示す。従って、例
えばTダイから押し出したフィルムをロールとテンター
で二軸延伸しようとしても、均一な延伸がかけられず、
一部分だけが引き延ばされて厚みむらが生じやすいとい
う困難がある。即ち、延伸条件の幅が他樹脂に比べて狭
く、製造上の制約が大きいという問題があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記の課題を
解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の共重合組
成と分子量分布を持ったアクリル系樹脂組成物は、押出
成形などでフィルム化するために十分な加工性を有する
上に、さらに通常のアクリル樹脂に比較して広い温度条
件で二軸または一軸延伸することが可能であり、機械強
度に優れた延伸フィルムが得られることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0011】即ち、本発明はメチルメタクリレート単量
体単位70〜99.8重量%およびこれと共重合可能な
他の単量体単位0.2〜30重量%とからなり、ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定したポ
リメチルメタクリレート換算重量平均分子量が5〜50
万であり、ポリメチルメタクリレート換算Z平均分子量
/ポリメチルメタクリレート換算重量平均分子量の比が
1.8〜70であるアクリル系フィルム用樹脂組成物、
に関するものである。
【0012】以下、本発明をさらに詳しく説明する。本
発明の樹脂組成物は、その組成としてはメチルメタクリ
レート単量体単位70〜99.8重量%およびこれと共
重合可能な他の単量体単位0.2〜30重量%とからな
る。メチルメタクリレート単量体と共重合可能な他の単
量体としては、アルキル基の炭素数が2〜18のアルキ
ルメタクリレート、アルキル基の炭素数が1〜18のア
ルキルアクリレートのほか、アクリル酸やメタクリル酸
等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコ
ン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸およびそれらのア
ルキルエステル、スチレン、α−メチルスチレン、核置
換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、無
水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド等が挙
げられ、これらは単独でメチルメタクリレート単量体と
共重合してもよく、また2種類以上を併用してメチルメ
タクリレート単量体と共重合してもよい。またメチルメ
タクリレートとメタクリル酸あるいはアクリル酸との共
重合体には、それを熱処理して脱アルコール反応あるい
は脱水反応を行い、六員環酸無水物単位を生成した重合
体、およびアンモニアやアミンとイミド化反応させ、六
員環イミド単位を生成した重合体も含めることができ
る。これらのなかでも、樹脂組成物の耐光性、耐熱分解
性や流動性の観点から、メチルアクリレート、エチルア
クリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルア
クリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキ
シルアクリレート等が好ましく用いられ、メチルアクリ
レート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート
が特に好ましい。またメチルメタクリレート単量体単位
が70重量%未満の場合は、得られるフィルムの耐熱性
や耐候性が低下し、一方、99.8重量%を越える場合
は解重合による耐熱分解性の低下が著しいため、フィル
ム成形時に分解ガス発生による外観不良が出やすく、い
ずれも好ましくない。メチルメタクリレート単量体単位
は80〜99重量%であることが好ましい。
【0013】本発明の樹脂組成物において、その分子量
と分子量分布が重要である。その指標として、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィーを用いて測定したポリ
メチルメタクリレート換算重量平均分子量とポリメチル
メタクリレート換算Z平均分子量を用いると、均一な二
軸または一軸延伸を実現して平滑性と機械強度が良好な
アクリル系フィルムを得るために溶融時の粘性および弾
性を制御しうることを見出した。以下、ポリメチルメタ
クリレート換算重量平均分子量とポリメチルメタクリレ
ート換算Z平均分子量をそれぞれMRWおよびMRZと略記
する。
【0014】MRWおよびMRZは、以下の様な測定を実施
して求められる。即ち、テトラヒドロフランを溶媒とし
て分子量分布の狭いいわゆる単分散ポリメチルメタクリ
レートを分子量の標準物質として用いて、ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略記す
る)を測定、分子量と溶出時間との検量線を作成する。
料ポリマーの濃度1mg/mlの溶液を用いてGPC測
定を実施し、下記の(1)および(2)式に基づいてM
RWおよびMRZを算出する。
【0015】 MRW=(ΣMRii )/ΣWi (1) MRZ={(Σ(MRi2 i )}/(ΣMRii) (2) (ここで、MRiとWi はそれぞれi番目の分画のポリメ
チルメタクリレート換算分子量とポリマー重量濃度を表
し、Σは全分画にわたる総和を表す。) このようにGPCを用いて分子量を測定すると、ポリマ
ーが分岐構造を含む場合には一般には真の分子量を与え
ず、これを過小評価した値となるとされている。しかし
本発明において、均一な二軸または一軸延伸を実現して
平滑性と機械強度が良好なアクリル系フィルムを得るた
めに溶融時の粘性および弾性を制御するという観点では
有効な指標である。
【0016】本発明の樹脂組成物はMRWが5〜50万で
あることを特徴とし、好ましくは7〜40万、さらに好
ましくは9〜35万である。MRWが5万未満の場合は、
溶融時の樹脂の粘性が不足するため成形時にフィルムが
ドローダウンしやすく、十分な二軸または一軸延伸によ
りフィルムに機械強度を付与することが困難であり、好
ましくない。一方、MRWが50万を越える場合は、溶融
時の樹脂の粘性が過大となり成形性が低下するため、押
出成形またはコンプレッション成形で厚みの均一なフィ
ルムを得ることが困難となり、また成形温度を上げて成
形性を補おうとすると樹脂の熱分解を引き起こして外観
の優れたフィルムを得ることが難しいので、やはり好ま
しくない。
【0017】本発明の樹脂組成物はMRZ/MRWの比が
1.8から70であることを特徴とし、好ましくは2〜
60、さらに好ましくは6〜50である。このMRZ/M
RWの比は分子量分布を表しており、特に溶融時の樹脂の
挙動と関係付けることのできる指標である。MRZ/MRW
の比が1.8未満の場合は、溶融時の樹脂の弾性が不足
するため二軸または一軸延伸法で均一な延伸をかけるこ
とが難しく、機械強度に優れた平滑なフィルムが得られ
ず好ましくない。一方、MRZ/MRWの比が70を越える
場合は、溶融時の樹脂の弾性が過大となり、安定な押出
成形またはコンプレッション成形で厚みの制御されたフ
ィルム成形を実施することが困難であり、やはり好まし
くない。この様にMRZ/MRWの比とフィルム成形時の樹
脂の溶融挙動との関係を見出したことが、本発明を完成
するに当たって重要なことである。
【0018】フィルム成形やブロー成形などの成形加工
工程における高分子溶融体の流れに関して、伸張流動解
析の重要性が認識されてきた。特に伸張粘度の急激な増
加の程度を表すパラメーターとして、低歪み速度での微
小変形(t=tl )での粘度をλl とし、高歪み速度で
の時間tl (大変形)での粘度をλexp とすると、これ
らの比λexp /λl で定義される非線形パラメーターが
着目されている(小山、日本レオロジー学会誌、19
巻、174ページ、1991年)。
【0019】本発明の樹脂組成物は、170℃での伸長
粘度測定において、歪み速度0.003sec-1で20
0秒後の粘度λl と歪み速度0.01sec-1で200
秒後の粘度λexp との比λexp /λl で定義される非線
形パラメーターλn が1.1〜10であることが好まし
く、さらに好ましくは1.5〜9、特に好ましくは2〜
8である。非線形パラメーターλn が1.1未満の場合
は、溶融樹脂を伸張する際に弾性が不足するため、いわ
ゆるネッキングを起こしやすく、二軸または一軸延伸法
で均一な延伸をかけることが難しく、機械強度に優れた
平滑なフィルムが得ることが困難となり好ましくない。
一方、非線形パラメーターλn が10を越える場合は、
溶融樹脂を伸張する際の弾性が過大となり、樹脂が溶断
しやすく均一な延伸が困難となるのでやはり好ましくな
い。
【0020】本発明の樹脂組成物は、メルトフローレー
ト測定器に内径2.1mmのオリフィスを取り付け、2
30℃、3.8kg荷重の条件で測定したメルトフロー
レートが0.2g/10分間以上であることが好まし
い。また溶融樹脂のストランドのダイスウェル比が1.
5以上であることが好ましく、1.8以上であることが
さらに好ましい。メルトフローレートが0.2g/10
分間未満の場合は、樹脂組成物の溶融粘度が過大で、押
出成形またはコンプレッション成形で薄いフィルム状に
成形することが困難となるので、好ましくない。また、
ダイスウェル比は樹脂組成物の溶融時の弾性に関連する
指標であり、これが1.5未満の場合は、溶融時の樹脂
の弾性が不足するためいわゆるネッキングを起こしやす
く、二軸または一軸延伸法で均一な延伸をかけることが
難しいため、機械強度に優れた平滑なフィルムが得るこ
とが困難となり好ましくない。
【0021】本発明の樹脂組成物の製造方法としては特
に制限は無く、分子量および分子量分布が制御された樹
脂組成物が得られる方法であれば、いずれを用いて製造
しても良い。例えば、下記の様な製造方法が用いうる。 1.複数の反応器を用いて重合反応を並列して行う段階
と、各々の反応器で生成した重合体を溶液状態または溶
融状態で均一に混合して分子量および分子量分布が制御
された樹脂組成物とする段階とからなる製造方法。 2.複数の直列した反応器を用いて重合反応を連続的に
行い、各々の反応器で生成する重合体の分子量と分子量
分布を制御していくことによって、最終的な樹脂組成物
の分子量および分子量分布を制御して製造する方法。 3.上記の並列および直列反応器を組み合わせる製造方
法。 4.単量体混合物に高分子量の重合体をあらかじめ溶解
しておき、その後重合反応を行うことによって樹脂組成
物の分子量および分子量分布を制御して製造する方法。 5.単量体混合物を重合する途中で連鎖移動剤および/
または単量体を後添加することによって最終的に生成す
る樹脂組成物の分子量および分子量分布を制御して製造
する方法。 6.個別に製造した分子量および分子量分布の異なる複
数の重合体を溶液状態または溶融状態で均一に混合して
分子量および分子量分布が制御された樹脂組成物とする
製造方法。
【0022】また重合方法の形式としては、懸濁重合、
乳化重合、塊状重合あるいは溶液重合等の公知の方法の
いずれを用いても良く、これらは単独でもあるいは複数
の形式を組み合わせて実施することもいずれも可能であ
る。重合形式の組み合わせの例としては、例えば下記の
様な方法が挙げられる。 イ.単量体混合物を極く少量の連鎖移動剤の存在下(ま
たは不在下)で部分的に塊状重合し、高分子量成分を生
成させた後に該部分重合物を懸濁助剤を用いて水中に懸
濁させ、重合を完結させることによって分子量および分
子量分布が制御されたパール状の樹脂組成物を得る方
法。 ロ.単量体混合物を連鎖移動剤の不在下で乳化重合し、
この高分子量成分に単量体混合物を加えて混合物とし、
さらに懸濁助剤を用いて水中に懸濁させ、重合を完結さ
せることによって分子量および分子量分布が制御された
パール状の樹脂組成物を得る方法。
【0023】重合反応時に溶媒を用いる場合は、製造す
る樹脂組成物の透明性、色調、耐候性を損なわない様
に、化学的に安定なものを選ぶことが重要である。この
ような溶媒としては、例えばシクロヘキサン、シクロヘ
キサノン、酢酸ブチル、イソ酪酸メチル、トルエン、キ
シレン、エチルベンゼン等が挙げられ、これらは単独
で、あるいは2種類以上を併用して使用することができ
る。
【0024】さらに本発明の樹脂組成物は、その全部ま
たは一部を分岐を有する重合体とすることも可能であ
る。この場合もその製造方法には特に制限は無く、例え
ば下記の様な方法を用いることができ、これらは単独で
実施することも、あるいは組み合わせて実施することも
可能である。 a.片末端に重合反応可能な官能基を有するポリマーま
たはオリゴマー(いわゆるマクロマー、マクロモノマ
ー)をこれと共重合可能な単量体と共重合することによ
ってグラフトポリマーを生成する製造方法。 b.幹となるポリマーに水素引き抜き反応などで重合開
始点を生成させ、ここから単量体の重合を開始すること
によってグラフトポリマーを生成する製造方法。 c.1分子中に3個以上の重合反応開始可能な官能基を
有する多官能性開始剤を使用して分岐ポリマーを生成す
る製造方法。 d.1分子中に3個以上の連鎖移動可能な官能基を有す
る多官能性連鎖移動剤を使用して分岐ポリマーを含むポ
リマーを生成する製造方法。 e.片末端に官能基を有するポリマーまたはオリゴマー
と反応しうる官能基を1分子中に3個以上有する化合物
とカップリング反応させて分岐ポリマーを生成する製造
方法。
【0025】これらの分岐を有する重合体の場合にも、
例えば重合性オリゴマーまたはポリマーの分子量を制御
して製造し、これと単量体とを共重合する際の分子量も
連鎖移動剤の使用などの方法で制御することによって、
所望の分子量および分子量分布を有する樹脂組成物を製
造することが可能である。また分子量および分子量分布
を制御する実用的な方法として、1分子中に2個以上の
重合可能な官能基を有する多官能性単量体を通常の単官
能性単量体と共重合する際に、多官能性単量体の共重合
率と生成共重合体の分子量を調節することによって、分
子量分布を制御するという方法も可能である。この方法
は反応器1基のみでも分子量および分子量分布を幅広く
制御でき、かつ分散状態は均一な重合体を製造しうると
ころが有利な点である。
【0026】多官能性単量体としては、例えばエチレン
グリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタ
クリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、
1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘ
キサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオ
ールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアク
リレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、
ポリエチレングリコールジアクリレート(分子中のエチ
レンオキシド単位は2〜20個)、ポリエチレングリコ
ールジメタクリレート(分子中のエチレンオキシド単位
は2〜20個)、、2,2’−ビス(4−メタクリロイ
ルオキシフェニル)プロパン、アリルメタクリレート、
ジビニルベンゼンなどの二官能性単量体、トリメチロー
ルプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパン
トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリ
レート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、グ
リセリントリスアクリレート、グリセリントリスメタク
リレートなどの3官能性単量体、ペンタエリスリトール
テトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタ
クリレートなどの4官能性単量体、ジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキ
サメタクリレートなどの6官能性単量体などが挙げら
れ、これらは単独で使用しても、あるいは2種類以上を
併用しても良い。多官能性単量体の共重合率は、得られ
る重合体がGPC測定時に溶媒に可溶とするために3次
元架橋体の生成を防ぐ必要から、一般的にはかなり少量
の共重合で実施しうる。
【0027】本発明の樹脂組成物は、2種類以上の分岐
重合体を含んでも良く、また分岐重合体と通常の非分岐
重合体(リニア重合体)との混合物であっても良い。こ
の様な混合物であっても、MRWが5〜50万でMRZ/M
RWの比が1.8〜70であることが重要であり、GPC
を用いた測定に基づいて、分子量分布を設定しうる。本
発明の樹脂組成物を製造するための重合反応の種類とし
ては、フリーラジカル重合、リビングラジカル重合、リ
ビングアニオン重合、配位アニオン重合、カチオン重
合、基転移重合(グループトランスファー重合)など公
知の方法のいずれを用いても良く、これらは単独でもあ
るいは複数の種類を組み合わせて実施することもいずれ
も可能である。
【0028】本発明の樹脂組成物を製造するための重合
開始剤としては、フリーラジカル重合を用いる場合は、
ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキ
サイド、t−ブチルパーオキシ 2−エチルヘキサノエ
ート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,
5−トリメチルシクロヘキサンなどのパーオキサイド系
やアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニ
トリル、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボ
ニトリル)などのアゾ系の一般的なラジカル重合開始剤
を用いることができ、これらは単独でも、あるいは2種
類以上を併用しても良い。これらのラジカル重合開始剤
は単量体混合物に対して0.001〜1重量%の範囲で
用いるのが一般的である。また、これらのラジカル重合
開始剤と適当な還元剤とを組み合わせてレドックス系開
始剤として実施しても良い。そのほかにアルキルリチウ
ムなどを用いたアニオン重合法、有機金属錯体を用いた
配位重合法、基転移重合法などを用いて樹脂組成物を製
造しても良い。
【0029】本発明の樹脂組成物を製造するための重合
温度は、重合反応の種類に応じて適当な範囲を選ぶこと
ができる。ラジカル重合法による懸濁重合または乳化重
合では30〜120℃、塊状または溶液重合では50〜
180℃で実施するのが一般的である。ラジカル重合法
による連続塊状または連続溶液重合では、反応器から重
合体、単量体、溶媒からなる混合物を安定に払い出すた
めに、一般的には重合温度は100℃以上で実施され
る。
【0030】本発明の樹脂組成物の分子量を調節するた
めに、ラジカル重合法で製造する場合には一般的に用い
られている連鎖移動剤を使用できる。連鎖移動剤として
は、例えばn−ブチルメルカプタン、n−オクチルメル
カプタン、n−ドデシルメルカプタン、2−エチルヘキ
シルチオグリコレート、エチレングリコールジチオグリ
コレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコ
レート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリ
コレート)などのメルカプタン類が樹脂組成物の耐熱分
解性や耐候性の観点から好ましい。このような連鎖移動
剤は本発明の樹脂組成物のMRWを5〜50万の範囲に制
御するために必要な濃度で単量体混合物あるいは単量体
と重合体の混合物に添加して使用しうる。一般的に単量
体混合物に対して0.001〜1重量%の範囲で使用さ
れる。
【0031】本発明の樹脂組成物を製造するために、個
別に製造した分子量および分子量分布の異なる複数の重
合体を溶液状態または溶融状態で均一に混合して分子量
および分子量分布が制御された樹脂組成物する場合に混
合方法には特に制限は無い。ドラムブレンダーやヘンシ
ェルミキサーで混合する方法や、これらの方法で混合し
たあと押出機を用いて200〜280℃の温度で造粒す
る方法等がある。押出混合する場合は、樹脂組成物の変
着色や熱分解を抑制するために、押出温度、該重合体の
水分、押出機内の窒素パージ等に留意して実施すること
が好ましい。
【0032】本発明の樹脂組成物を製造する際に、本発
明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて染料、顔
料、メチルメタクリレート/スチレン共重合体ビーズな
どの有機系光拡散剤、硫酸バリウム、酸化チタン、炭酸
カルシウム、タルクなどの無機系光拡散剤、ヒンダード
フェノール系、リン酸塩系などの熱安定剤、酸化防止
剤、ベンゾトリアゾール系、2ーヒドロキシベンゾフェ
ノン系、サリチル酸フェニルエステル系などの紫外線吸
収剤、フタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメ
リット酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル
系などの可塑剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高
級脂肪酸のモノ、ジ、またはトリグリセリドなどの離型
剤、高級脂肪酸エステル、ポリオレフィン系などの滑
剤、ポリエーテル系、ポリエーテルエステル系、ポリエ
ーテルエステルアミド系、アルキルスルフォン酸塩、ア
ルキルベンゼンスルフォン酸塩などの帯電防止剤、リン
系、リン/塩素系、リン/臭素系などの難燃剤、ガラス
繊維、炭素繊維などの補強剤等を混合して使用しても良
い。これらの添加剤を配合する方法も特に限定されるこ
とは無く、公知の方法で実施しうる。例えば、単量体混
合物にあらかじめ添加剤を溶解しておき重合する方法
や、溶融状態、ビーズ状あるいはペレット状の樹脂に添
加剤をミキサー等でドライブレンドし、押出機を用いて
混練、造粒する方法などを挙げることができる。
【0033】本発明の樹脂組成物を用いてフィルムを製
造する方法には特に制限が無く、公知の方法で実施でき
る。例えば、樹脂組成物をコンプレッション成形機を用
いて厚さ約1mmのシートに成形しておき、テンターク
リップに固定して予熱後に一軸または2軸延伸してフィ
ルムを製造する方法、樹脂組成物を押出機先端に取り付
けたTダイから押し出し、さらに引き取りロールとテン
ターでに2軸延伸してフィルムを製造する方法などが挙
げられる。本発明の樹脂組成物を用いてコンプレッショ
ン成形や押出成形によりフィルムを製造する場合は、樹
脂の焼けや劣化を防ぐため、樹脂温度180〜270℃
の範囲で実施することが好ましい。 また本発明の樹脂
組成物を用いたフィルムは、厚みが10〜250μmで
あって、フィルムの100℃での熱収縮率の最大値が5
%以下であることが好ましい。フィルムをアクリル樹脂
押出板などにラミネートして用いる場合、熱収縮率が5
%を越えて大きいと、表面温度が高い押出板にラミネー
トする際に(ホットラミ法)、フィルムの収縮により皺
になりやすく積層板の表面外観を損なうので好ましくな
い。
【0034】
【発明の実施の形態】以下に実施例と比較例を用いて本
発明の実施の形態をさらに具体的に説明するが、本発明
はこれによって何ら制限されるものではない。なお、用
いた評価および試験方法を以下に示す。 1.アクリル系共重合体の組成分析 ポリマーのジクロロメタン溶液をパイロホルムに流延・
乾燥し、窒素気流中、島津製作所製キューリーポイント
パイロライザーJHP−3型を用いて445℃にて分解
し、解重合により生成する単量体成分をただちにガスク
ロマトグラフィー用カラムに導入し分析した。このデー
タから塊状重合で得られた組成既知のポリマーの分析結
果を標準として定量計算を実施した。 2.ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C) 試料20mgをテトラヒドロフラン20mlに溶解し、
TOSOH製TSK−gel−SuperH型カラムを
取り付けたTOSOH製HLC−8020型GPC測定
装置を用い、テトラヒドロフランを溶媒としてカラム温
度38℃にて測定を実施した。あらかじめ分子量分布の
狭い標準ポリメチルメタクリレート(Waters社
製)を用いて同様の測定を行い、溶出時間と分子量との
検量線を作成しておいた。各試料のクロマトグラムから
平均分子量を下記の(1)、(2)式に基づいて算出し
た。
【0035】 MRW=(ΣMRii )/ΣWi (1) MRZ={(Σ(MRi2 i )}/(ΣMRii) (2) (ここで、MRiとWi はそれぞれi番目の分画のポリメ
チルメタクリレート換算分子量とポリマー重量濃度を表
し、Σは全分画にわたる総和を表す。) 3.メルトフローレート(MFR) ASTM D1238のI条件で測定した。 4.ダイスウェル比 上記のMFR測定を実施したときのストランドの径をノ
ギスで計測し、MFR用オリフィスの内径2.1mmで
除した比で示した。 5.非線形パラメーター MFR測定器から溶融流下させて作製した直径2〜5m
mのストランドをサンプルとして、東洋精機製メルテン
レオメータNo.670を用いて170℃での伸長粘度
測定を実施した。歪み速度0.003sec-1で200
秒後の粘度λlと歪み速度0.01sec-1で200秒
後の粘度λexp を計測し、その比λexp/λl を非線形
パラメーターと定義した。 6.耐光性の評価 400W高圧水銀灯で75℃の雰囲気下、約50cmの
距離から30日間照射した後に、試料の変色の有無を観
察した。 7.熱収縮率の評価 フィルムを80×80mmの正方形に切り取り、その中
心に直径50mmの円をマーキングした。100℃に温
度調節したオーブン中に30分間置いた後にマーキング
の短径L[mm]を計測し、収縮率[%]=(L/5
0)×100を算出した。 8.リサイクル性の評価 樹脂組成物をナカタニ機械製AS30型二軸押出機を用
いて260℃で3回ペレタイズした後、コンプレッショ
ン成形して厚さ約1mmのシートとした。外観を観察
し、着色、ブツ、焼け樹脂等の有無を評価した。
【0036】また、略号は下記の化合物を示す。 MA ;メチルメタクリレート MA ;メチルアクリレート BA ;ブチルアクリレート ST ;スチレン EGDMA ;エチレングリコールジメタクリレート LPO ;ラウロイルパーオキサイド AIVN ;アゾビスイソバレロニトリル BPTMCH;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン n−OM ;n−オクチルメルカプタン なお部数は、特に断らない限り重量部を示す。
【0037】
【実施例1】内容積60リットルの攪拌機付きステンレ
ス製耐圧反応器にイオン交換水30リットル、第3リン
酸カルシウム150gおよびラウリル硫酸ナトリウム
1.2gを仕込み、攪拌しながら窒素雰囲気下に75℃
に昇温して酸素の影響が事実上無い状態にした。MMA
16000g、MA4000g、EGDMA24g、L
PO40g、n−OM52gおよびチヌビンP(日本チ
バガイギー製)2gとからなる単量体混合物を反応器へ
添加し、75℃で3時間反応させ、その後90℃以上に
昇温してさらに1時間保持し、重合を完結させた。生成
ポリマーをろ別、水洗、乾燥してビーズ状のアクリル系
樹脂(A)を得た。
【0038】このアクリル系樹脂(A)の組成分析結果
は、MMA単位/MA単位=80/20(重量比)であ
った(なお、EGDMAは微量のため検出できなかっ
た。)。またGPC分析を実施した結果は、MRW=31
×104 およびMRZ/MRW=3.3であった。さらにM
FRは1.3g/10分間であり、この測定時のストラ
ンドから計測したダイスウェルは1.9であった。さら
に170℃での非線形性パラメーターは1.2であっ
た。
【0039】このアクリル系樹脂(A)を2枚の表面が
平滑なクロムメッキ鋼鈑の間にはさみ、230℃に温度
調節したコンプレッション成形機にセットして3分間予
熱した後、200kg/cm2 で2分間加圧した。その
後樹脂をクロムメッキ鋼鈑にはさんだまま放冷し、平滑
で厚さ約1mmのシートを得た。このコンプレッション
成形シートを40×40mmに切断し、東洋精機製二軸
延伸装置のテンタークリップ20個ではさんで固定し、
100mm/分の速度で同時二軸延伸を実施した。恒温
槽温度を110〜150℃の範囲で変え、最も高延伸が
可能な温度とそのときの延伸倍率を求めると、120〜
140℃において最大600%の延伸が可能であり、フ
ィルムは概ね平滑であった。得られたフィルムの耐候性
評価を実施したところ、変色は無く良好であった。また
フィルムの100℃での熱収縮率は4%であった。
【0040】
【比較例1】単量体混合物をMMA18800g、MA
1200g、LPO40g、n−OM27gおよびチヌ
ビンP2gとからなるものとした以外は実施例1と同様
にしてアクリル系樹脂(B)を得た。このアクリル系樹
脂(B)の組成分析結果は、MMA単位/MA単位=9
4/6(重量比)であり、GPC分析を実施した結果
は、MRW=14×104 およびMRZ/MRW=1.6であ
った。MFRは0.5g/10分間であり、この測定時
のストランドから計測したダイスウェルは1.1であっ
た。また170℃での非線形性パラメーターは1.0
(即ち、非線形性を示さない)であった。
【0041】以下は実施例1と同様に評価した。延伸が
可能な温度とそのときの延伸倍率を求めると、135〜
145℃において最大270%までの延伸しかできず、
しかも延伸フィルムの厚みムラが大きかった。得られた
フィルムの耐候性評価を実施したところ、変色は無く良
好であった。またフィルムの100℃での熱収縮率は4
%であった。
【0042】
【実施例2】実施例1で製造したアクリル系樹脂(A)
60重量部と比較例1で製造したアクリル系樹脂(B)
40重量部とをドラムブレンダーで混合し、その後ナカ
タニ機械製AS30型二軸押出機を用いて260℃で溶
融混練しペレタイズした。得られた樹脂組成物の組成分
析結果は、MMA単位/MA単位=85.5/14.5
(重量比)であった(なお、EGDMAは微量のため検
出できなかった。)。GPC分析を実施した結果は、M
RW=25×104 およびMRZ/MRW=2.8であった。
さらにMFRは1.0g/10分間であり、この測定時
のストランドから計測したダイスウェルは1.5であっ
た。170℃での非線形性パラメーターは1.1であっ
た。
【0043】以下は実施例1と同様に評価した。延伸が
可能な温度とそのときの延伸倍率を求めると、135〜
145℃において最大400%の延伸が可能であり、延
伸フィルムの厚みムラは小さかった。得られたフィルム
の耐候性評価を実施したところ、変色は無く良好であっ
た。またフィルムの100℃での熱収縮率は3%であっ
た。
【0044】
【実施例3】単量体混合物をMMA16000g、MA
4000g、EGDMA10g、LPO40g、n−O
M26gおよびチヌビンP(日本チバガイギー製)2g
とからなるものとした以外は実施例1と同様にしてアク
リル系樹脂(C)を得た。このアクリル系樹脂(C)の
組成分析結果は、MMA単位/MA単位=80/20
(重量比)であり(EGDMAは微量なため未検出)、
GPC分析を実施した結果は、MRW=34×104 およ
びMRZ/MRW=2.7であった。MFRは0.3g/1
0分間であり、この測定時のストランドから計測したダ
イスウェルは1.6であった。また170℃での非線形
性パラメーターは1.1であった。
【0045】以下は実施例1と同様に評価した。製造結
果と評価結果を表1、表2にまとめて示した。
【0046】
【実施例4】内容積10リットルの完全混合型ステンレ
ス製耐圧反応器にMMA90重量部、MA10重量部、
およびAIVN0.02重量部からなる単量体混合物を
連続的に仕込み、40℃、平均滞留時間2時間の条件で
予備重合を行い、MRWが約150万のポリマーを約10
重量%含むシラップを調整した。このシラップ95重量
部に対してエチルベンゼン5重量部、BPTMCH0.
01重量部およびn−OM0.20重量部を混合しなが
ら、第2の内容積10リットルの完全混合型ステンレス
製耐圧反応器へ連続的にフィードし、150℃、平均滞
留時間2時間の条件で重合を行い、単量体の転化率59
重量%、固体成分含有量56重量%のポリマー、未反応
単量体、溶剤、開始剤と連鎖移動剤の残留分および分解
残さを含む混合物を得た。次にこの混合物をギアポンプ
で定常的に払い出し、脱揮用タンク中に流延落下させ、
真空度30トール以下、温度220℃で揮発分を除去し
た後、ポリマー100重量部当たりチヌビンP0.01
重量部をミキサーで混合しながら押出し、造粒してアク
リル系樹脂(D)をペレットとして得た。
【0047】このアクリル系樹脂(D)の組成分析結果
は、MMA単位/MA単位=90/10(重量比)であ
り、GPC分析を実施した結果は、MRW=15×104
およびMRZ/MRW=6.5であった。MFRは1.0g
/10分間であり、この測定時のストランドから計測し
たダイスウェルは1.9であった。また170℃での非
線形性パラメーターは1.6であった。
【0048】以下は実施例1と同様に評価した。製造結
果と評価結果を表1、表2にまとめて示した。
【0049】
【実施例5】内容積1リットルの完全混合型ステンレス
製耐圧反応器(1)にMMA85.5重量部、MA9.
5重量部、エチルベンゼン5重量部、BPTMCH0.
01重量部およびn−OM0.01重量部からなる単量
体混合物を連続的に仕込み、150℃、平均滞留時間2
時間の条件で重合を行い、単量体の転化率55重量%、
固体成分含有量52重量%のポリマー、未反応単量体、
溶剤、開始剤と連鎖移動剤の残留分および分解残さを含
む混合物を得た。別の内容積10リットルの完全混合型
ステンレス製耐圧反応器(2)にMMA85.5重量
部、MA9.5重量部、エチルベンゼン5重量部、BP
TMCH0.01重量部およびn−OM0.23重量部
からなる単量体混合物を連続的に仕込み、150℃、平
均滞留時間2時間の条件で重合を行い、単量体の転化率
55重量%、固体成分含有量52重量%のポリマー、未
反応単量体、溶剤、開始剤と連鎖移動剤の残留分および
分解残さを含む混合物を得た。これら2つの混合物をそ
れぞれギアポンプで定常的に払い出し、スタティックミ
キサーを用い5/95重量比で混合してから脱揮用タン
ク中に流延落下させ、真空度30トール以下、温度22
0℃で揮発分を除去した後、ポリマー100重量部当た
りチヌビンP0.01重量部をミキサーで混合しながら
押出し、造粒してアクリル系樹脂(E)をペレットとし
て得た。
【0050】このアクリル系樹脂(E)の組成分析結果
は、MMA単位/MA単位=90/10(重量比)であ
り、GPC分析を実施した結果は、MRW=14×104
およびMRZ/MRW=6.2であった。MFRは1.1g
/10分間であり、この測定時のストランドから計測し
たダイスウェルは1.8であった。また170℃での非
線形性パラメーターは1.5であった。
【0051】以下は実施例1と同様に評価した。製造結
果と評価結果を表1、表2にまとめて示した。
【0052】
【比較例2】内容積10リットルの完全混合型ステンレ
ス製耐圧反応器にMMA93重量部、MA2重量部、エ
チルベンゼン5重量部、BPTMCH0.01重量部お
よびn−OM0.28重量部からなる単量体混合物を連
続的に仕込み、150℃、平均滞留時間2時間の条件で
重合を行い、単量体の転化率59重量%、固体成分含有
量56重量%のポリマー、未反応単量体、溶剤、開始剤
と連鎖移動剤の残留分および分解残さを含む混合物を得
た。この混合物をギアポンプで定常的に払い出し、ポリ
マー100重量部当たりチヌビンP0.03重量部をミ
キサーで混合しながら押出し、造粒してアクリル系樹脂
(F)をペレットとして得た。
【0053】このアクリル系樹脂(F)の組成分析結果
は、MMA単位/MA単位=98/2(重量比)であ
り、GPC分析を実施した結果は、MRW=7×104
よびM RZ/MRW=1.5であった。MFRは6.2g/
10分間であり、この測定時のストランドから計測した
ダイスウェルは1.1であった。また170℃での非線
形性パラメーターは1.0(即ち、非線形性を示さな
い)であった。
【0054】以下は実施例1と同様に評価した。製造結
果と評価結果を表3、表4にまとめて示した。
【0055】
【比較例3】単量体混合物をMMA18950g、MA
1050g、LPO60g、およびn−OM100gと
からなるものとした以外は実施例1と同様にしてアクリ
ル系樹脂(G)を得た。このアクリル系樹脂(G)の組
成分析結果は、MMA単位/MA単位=95/5(重量
比)であり、GPC分析を実施した結果は、MRW=5×
104 およびMRZ/MRW=1.5であった。MFRは2
3g/10分間であり、この測定時のストランドから計
測したダイスウェルは1.1であった。また170℃で
の非線形性パラメーターは1.0(即ち、非線形性を示
さない)であった。
【0056】以下は実施例1と同様に評価した。製造結
果と評価結果を表3、表4にまとめて示した。
【0057】
【実施例6】内容積60リットルの攪拌機付きステンレ
ス製耐圧反応器にイオン交換水30リットル、ジオクチ
ルスルホコハク酸ナトリウム200g、ナトリウムホル
ムアルデヒドスルホキシレート100gを仕込み、攪拌
しながら窒素雰囲気下に75℃に昇温して酸素の影響が
事実上無い状態にした。MMA18000g、BA20
00g、ジクミルパーオキサイド20g、n−OM4g
およびチヌビンP2gとからなる単量体混合物を反応器
へ30分間かけて連続的に添加し、75℃で2時間反応
させ、その後90℃以上に昇温してさらに1時間保持し
て重合を完結させた。生成したラテックスを電子顕微鏡
観察すると、平均粒子径約0.1μmのほぼ均一な粒径
分布を示した。このラテックスを硫酸ナトリウム水溶液
を用いて塩析し、ろ別、水洗、乾燥してパウダー状でM
RWが約240万のアクリル系樹脂(H)を得た。
【0058】比較例2で製造したアクリル系樹脂(F)
97重量部と今回製造したアクリル系樹脂(H)3重量
部とをドラムブレンダーで混合し、その後ナカタニ機械
製AS30型二軸押出機を用いて250℃で溶融混練し
ペレタイズした。得られた樹脂組成物の組成分析結果
は、MMA単位/MA単位/BA単位=94.0/5.
7/0.3(重量比)であった。またGPC分析を実施
した結果は、MRW=12×104 およびMRZ/MRW=1
0.1であった。さらにメルトフローレートは4.9g
/10分間であり、この測定時のストランドから計測し
たダイスウェルは1.9であった。170℃での非線形
性パラメーターは1.8であった。
【0059】以下は実施例1と同様に評価した。製造結
果と評価結果を表1、表2にまとめて示した。
【0060】
【実施例7〜10】用いるアクリル系樹脂の種類と量を
表1の様に変えた以外は実施例6と同様にして実施し
た。製造結果と評価結果を表1、表2にまとめて示し
た。
【0061】
【比較例4〜6】用いるアクリル系樹脂の種類と量を表
3の様に変えた以外は実施例6と同様にして実施した。
製造結果と評価結果を表3、表4にまとめて示した。
【0062】
【比較例7】内容積60リットルの攪拌機付きステンレ
ス製耐圧反応器にイオン交換水30リットル、ジオクチ
ルスルホコハク酸ナトリウム200g、ナトリウムホル
ムアルデヒドスルホキシレート100gを仕込み、攪拌
しながら窒素雰囲気下に75℃に昇温して酸素の影響が
事実上無い状態にした。MMA1880g、BA120
g、ジクミルパーオキサイド2g、アリルメタクリレー
ト2gおよびチヌビンP0.2gとからなる単量体混合
物を反応器へ30分間かけて連続的に添加し、75℃で
さらに30分間反応させて最内硬質層の重合を完結させ
た。次にBA8000g、ST2000g、アリルメタ
クリレート200gおよびチヌビンP1gとからなる単
量体混合物を反応器へ2時間かけて連続的に添加し、7
5℃でさらに2時間反応させて架橋軟質層の重合を完結
させた。その後MMA7500g、BA500g、n−
OM18gおよびチヌビンP0.8gとからなる単量体
混合物を反応器へ30分間かけて連続的に添加し、75
℃でさらに60分間反応させて最外硬質層の重合を完結
させた。生成したラテックスを電子顕微鏡観察すると、
平均粒子径約0.1μmのほぼ均一な粒径分布を示し
た。このラテックスを硫酸ナトリウム水溶液を用いて塩
析し、ろ別、水洗、乾燥してパウダー状の3層構造アク
リルゴムであるアクリル系樹脂(I)を得た。
【0063】比較例2で製造したアクリル系樹脂(F)
60重量部と今回製造したアクリル系樹脂(I)40重
量部とをドラムブレンダーで混合し、その後ナカタニ機
械製AS30型二軸押出機を用いて250℃で溶融混練
しペレタイズした。以下は実施例1と同様に評価した。
製造結果と評価結果を表3、表4にまとめて示した。
【0064】
【比較例8】用いる樹脂を旭化成製ポリスチレン「68
0」とした以外は実施例1と同様にして実施した。製造
結果と評価結果を表3、表4にまとめて示した。
【0065】
【比較例9】用いる樹脂を旭化成製ポリスチレン「G9
401」とした以外は実施例1と同様にして実施した。
製造結果と評価結果を表3、表4にまとめて示した。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、フィルム成形時
にゲルや焼けが発生しにくく表面外観の優れた製品を製
造することができ、さらにリサイクル使用してもフィル
ムの外観や物性を損なうことが少ないという利点を有す
る。また本発明の樹脂組成物を成形して得られるアクリ
ル系フィルムは、単独で包装用フィルムやブリスターパ
ック等の容器素材として用いうる他、フィルム表面に反
射防止性、表面硬度、帯電防性止、防汚性、抗菌性等を
付与するために塗布、蒸着などの表面修飾を施した上で
各種熱可塑性樹脂や金属にラミネートしてそれらの表面
改質を行うための基材としても用いうる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メチルメタクリレート単量体単位70〜
    99.8重量%およびこれと共重合可能な他の単量体単
    位0.2〜30重量%とからなり、ゲルパーミエーショ
    ンクロマトグラフィーを用いて測定したポリメチルメタ
    クリレート換算重量平均分子量が5〜50万であり、ポ
    リメチルメタクリレート換算Z平均分子量/ポリメチル
    メタクリレート換算重量平均分子量の比が1.8〜70
    であるアクリル系フィルム用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 170℃での伸長粘度測定において、歪
    み速度0.003sec-1で200秒後の粘度λl と歪
    み速度0.01sec-1で200秒後の粘度λexp との
    比λexp /λl で定義される非線形パラメーターλn が
    1.1〜10であることを特徴とする特許請求範囲第1
    項記載のアクリル系フィルム用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリメチルメタクリレート換算Z平均分
    子量/ポリメチルメタクリレート換算重量平均分子量の
    比が6〜50である特許請求範囲第1、2項記載のアク
    リル系フィルム用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 特許請求範囲第1〜3項記載のアクリル
    系フィルム用樹脂組成物を成形してなる、厚みが10〜
    250μmであって、100℃での熱収縮率の最大値が
    5%以下であることを特徴とするフィルム。
JP20464497A 1997-07-30 1997-07-30 アクリル系フィルム用樹脂組成物およびそれよりなるフィルム Pending JPH1149920A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20464497A JPH1149920A (ja) 1997-07-30 1997-07-30 アクリル系フィルム用樹脂組成物およびそれよりなるフィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20464497A JPH1149920A (ja) 1997-07-30 1997-07-30 アクリル系フィルム用樹脂組成物およびそれよりなるフィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1149920A true JPH1149920A (ja) 1999-02-23

Family

ID=16493903

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20464497A Pending JPH1149920A (ja) 1997-07-30 1997-07-30 アクリル系フィルム用樹脂組成物およびそれよりなるフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1149920A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000212355A (ja) * 1999-01-26 2000-08-02 Asahi Chem Ind Co Ltd スチレン系樹脂組成物
JP2006124608A (ja) * 2004-11-01 2006-05-18 Asahi Kasei Chemicals Corp 押出しシート用メタクリル樹脂組成物及びその押出しシート製造法
US20110151146A1 (en) * 2008-08-29 2011-06-23 Konica Minolta Opto, Inc. Optical film, anti-reflection film, polarizing plate and liquid crystal display device

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000212355A (ja) * 1999-01-26 2000-08-02 Asahi Chem Ind Co Ltd スチレン系樹脂組成物
JP2006124608A (ja) * 2004-11-01 2006-05-18 Asahi Kasei Chemicals Corp 押出しシート用メタクリル樹脂組成物及びその押出しシート製造法
US20110151146A1 (en) * 2008-08-29 2011-06-23 Konica Minolta Opto, Inc. Optical film, anti-reflection film, polarizing plate and liquid crystal display device
US9493620B2 (en) * 2008-08-29 2016-11-15 Konica Minolta Opto, Inc. Optical film, anti-reflection film, polarizing plate and liquid crystal display device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5408885B2 (ja) 樹脂組成物、フィルムおよび偏光板
US10392463B2 (en) Acrylic resin composition, and molded product and film made from same
JP6986510B2 (ja) 樹脂組成物、その成形体及びフィルム
JP5902880B2 (ja) (メタ)アクリル樹脂組成物、イミド化(メタ)アクリル樹脂組成物、およびそれらを成形してなるフィルム
CN108627979A (zh) 头戴式显示器用构件
JP7228521B2 (ja) メタクリル酸メチルの酸官能化コポリマー及びこれをベースとするアクリル樹脂組成物
WO2021193922A1 (ja) アクリル系組成物及び成形体
JPWO2018168960A1 (ja) 延伸フィルムおよび延伸フィルムの製造方法
JPH03205411A (ja) 熱可塑性共重合体の製造方法
WO2015075941A1 (ja) 樹脂材料、およびそのフィルム
JPH10237261A (ja) 艶消しアクリルフィルムおよびアクリルフィルムを積層した艶消し成形品
JP6331680B2 (ja) 樹脂組成物およびフィルム
JPWO2017115787A1 (ja) 樹脂組成物およびフィルム
JP6481426B2 (ja) 高透明で高耐熱な樹脂組成物およびフィルム
JP5324023B2 (ja) 表示窓保護用シート
JPH1149920A (ja) アクリル系フィルム用樹脂組成物およびそれよりなるフィルム
JP5308891B2 (ja) アクリル系重合体とその製造方法ならびにアクリル樹脂組成物、位相差フィルムおよび画像表示装置
JP2015081260A (ja) 樹脂組成物およびフィルム
JP2007176965A (ja) イミド化メタクリル系樹脂組成物およびこれを用いる成形体、フィルム
JPH08311301A (ja) カレンダ成形用abs系樹脂組成物
JP6796981B2 (ja) アクリル系フィルムの製造方法
JPH1148314A (ja) ブロー成形用樹脂組成物
JPH1143552A (ja) 発泡成形用樹脂組成物
JPH1149921A (ja) 成形加工性に優れたメタクリル系樹脂組成物
JP2017137417A (ja) アクリル系樹脂フィルム