JP2010069731A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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理浩 城島
Yoshihiro Fukuda
佳弘 福田
Masahito Takagi
雅人 高木
Susumu Hirama
進 平間
Tadayoshi Ukamura
忠慶 宇賀村
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Abstract

【課題】可撓性が低い未延伸フィルムであっても、延伸する際フィルムの割れや裂けが生じにくい方法を提供する。
【解決手段】フィルムの左右横端部から100mmまでの膜厚の両最大値(イ)が、共に、フィルムの両横端部からそれぞれ100mmの部分を除いたフィルム中央部(ロ)の平均膜厚の105%以上130%以下であり、フィルムの両横端部からそれぞれ100mmまでの両最小膜厚(ハ)が、前記平均膜厚の50%以上95%以下である光学用未延伸フィルムを延伸することを特徴とする、光学フィルムの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、可撓性を付与するために延伸する際、フィルムの割れや裂けが生じにくい光学用未延伸フィルムであっても安定的に延伸でき、不具合(巻き取り時のフィルムの破断)がない状態で長時間連続的に巻き取る事が出来る光学延伸フィルムの製法に関する。
液晶表示装置のように偏光を扱う表示装置に用いるプラスチックフィルムは、光学的に透明であり、かつ複屈折が小さい他に光学的な均質性が求められる。このため、高度に延伸したポリビニルアルコールからなる偏光子を保護するための偏光子保護フィルムや、ガラス基板を樹脂フィルムに代えたプラスチック液晶表示装置用のフィルム基板の場合、複屈折と厚みの積で表される位相差が小さいことが要求される。
現在、PMMAに代表されるアクリル系樹脂(アクリル系重合体)は光学的特性に優れていることが良く知られており、高い光透過率や低複屈折率、低位相差の光学材料として従来種々の用途に適用されている。しかしアクリル系樹脂は一般的に可撓性が低い。このため、縦横二軸延伸を施すことにより可撓性を向上させる方法が開示されている(特許文献1参照)。
しかし、可撓性が低いフィルムを延伸する際、エッジ部分の厚肉部(エッジビード)からひび割れによるフィルムの裂けが生じ、縦延伸を行うことができなかったり、テンター延伸機でクリップでの掴みシロ部分が割れたりしてしまうことがあった。
また、縦延伸時にエッジビード部のみを加熱するサイドヒーターを導入すると、エッジ部分がフィルム中央部分よりも延伸されやすくなり、フィルム両端が弛んだフィルムとなる。この場合、フィルムの搬送張力がフィルム幅方向に均一にかからず、可撓性が低いフィルムにおいてはフィルム破断の原因となる。さらに、ロール状に巻き取る際には巻ズレが生じ、テンター延伸機に導入する際にはクリップミスの原因となるため、生産性に劣るばかりか製品としての良品を得ることすら困難であった。
特開2005−162835号公報
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、可撓性が低い未延伸フィルムであっても安定的に延伸することができ、不具合(巻き取り時のフィルムの破断)がない状態で長時間連続的に巻き取る事が出来る光学延伸フィルムの製法を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用する。すなわち、本発明の未延伸フィルムは、
〔1〕熱可塑性樹脂を主成分とするフィルムの左右横端部から100mmまでの膜厚の両最大値が、共に、フィルムの両横端部からそれぞれ100mmの部分を除いたフィルム中央部の平均膜厚の105%以上130%以下であり、フィルムの両横端部からそれぞれ100mmまでの両最小膜厚が、前記平均膜厚の50%以上95%以下である光学用未延伸フィルムを延伸することを特徴とする、光学フィルムの製造方法。
〔2〕熱可塑性樹脂を、ダイスを用いてシート状に溶融押出しし、冷却ドラムにて該シート状物を冷却し、フィルムの左右横端部から100mmまでの膜厚の両最大値が、共に、フィルムの両横端部からそれぞれ100mmの部分を除いたフィルム中央部の平均膜厚の105%以上130%以下であり、フィルムの両横端部からそれぞれ100mmまでの両最小膜厚が、共に、前記平均膜厚の50%以上95%以下である光学用未延伸フィルムを得る工程(a)、及び得られた未延伸フィルムを延伸して延伸フィルムを得る工程(b)とを含むことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
〔3〕前記延伸フィルムを得る工程(b)が、未延伸フィルムを縦延伸して一軸延伸フィルムを得た後、更に横延伸して二軸延伸フィルムとする〔2〕記載の光学フィルムの製造方法。
〔4〕工程(b)にて得られた延伸フィルムの両横端部をスリットして除去する工程を更に含む、〔2〕又は〔3〕記載の光学フィルムの製造方法。
〔5〕前記熱可塑性樹脂が、アクリル樹脂である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
本発明によれば、可撓性の低い未延伸フィルムであっても安定的に延伸することができる。
以下に本発明を詳述する。本明細書において「主成分」とは、50重量%以上含有していることが意図される。なお、範囲を示す「a〜b」は、a以上b以下であることを示す。
本発明の未延伸フィルムに含まれる熱可塑性樹脂は、溶融押出しにてフィルム化できる熱可塑性樹脂全般に効果がある。熱可塑性樹脂としては、シクロオレフィン(共)重合体、セルロース系樹脂、アクリル系重合体であればより好適である。熱可塑性樹脂のガラス転移温度が110℃以上200℃以下であるとともに、剪断速度が100(1/s)である場合における樹脂温度270℃での粘度が250Pa・s以上1000Pa・s以下であるものが好ましい。ガラス転移温度が200℃より高いと、溶融樹脂の流動性が悪くなるため、フィルムの成形が困難な場合がある。ガラス転移温度は、好ましくは115℃以上180℃以下であり、より好ましくは120℃以上160℃以下である。なお、剪断速度とは、流体の流れが壁に沿っている場合に、壁面に垂直な方向の位置の違いに基づく流速変化をいう。剪断速度は、通常、壁面で最大値をとり、壁面から離れるほど小さくなる。なお、100(1/s)の剪断速度は、押出機で通常作用する速度の中心値である。以下に本発明に用いる熱可塑性樹脂の具体例を示す。
(1.シクロオレフィン(共)重合体)
シクロオレフィン(共)重合体は、好ましくはノルボルネン構造をベースとするオレフィン、特にノルボルネン、テトラシクロドデセン、必要に応じて、ビニルノルボルネンまたはノルボルナジエンを含む。また、好ましくは、例えば2〜20個の炭素原子を有するα−オレフィン、特に好ましくはエチレンまたはプロピレンのような末端二重結合を有する非環式オレフィンから誘導される重合単位を含むシクロオレフィン(共)重合体である。特に好ましくは、ノルボルネン・エチレンコポリマーおよびテトラシクロドデセン・エチレンコポリマーである。
(2.セルロース系樹脂)
セルロース系樹脂は、セルロースの水酸基が各種置換基によって置換されているものであれば特に制限されないが、複屈折が生じにくいためにアシル基によって置換されたセルロースアシレートであることが好ましい。さらに、また、置換度が低いと正の複屈折を発現し易く、置換度が高いと負の複屈折を生じ発現し易くなることから、セルロース誘導体の置換度は2.3以上2.9以下であることが好ましい。
このようなセルロースアシレートの具体例としては、セルロースアセテート、セルロールプロピオネート、セルロースブチレートや、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートベンゾエートのような複数種のアシル基を有するものが挙げられる。
(3.アクリル樹脂)
アクリル樹脂は、主成分として、アクリル酸、メタクリル酸およびその誘導体を重合して得られる樹脂およびその誘導体である。例えば、一般式(1)
Figure 2010069731
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を示す。有機残基とは、具体的には、炭素数1〜20の直鎖状、枝分かれ鎖状、若しくは環状のアルキル基を示す。)で表される構造を有する化合物(単量体)、アクリル酸、メタクリル酸およびその誘導体の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシエキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられる。これらのうち1種のみが用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。中でも、熱安定性に優れる点で(メタ)アクリル酸メチルが最も好ましい。
また、メタクリル系熱可塑性樹脂は、耐熱性の観点より、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドおよびメチルマレイミドなどのN−置換マレイミドが共重合されていてもよいし、分子鎖中(重合体中の主骨格中または主鎖中ともいう)にラクトン環構造、グルタル酸無水物構造およびグルタルイミド構造などが導入されていてもよい。中でも、フィルムの着色(黄変)し難さの点で、窒素原子が含まれない構造が好ましい。また、正の複屈折率(正の位相差)を発現させやすい点で、主鎖にラクトン環構造を有するものが好ましい。主鎖中のラクトン環構造に関しては、4〜8員環でもよいが、構造の安定性から5〜6員環の方がより好ましく、特に6員環が好ましい。このように、主鎖中のラクトン環構造が6員環である場合としては、後述する一般式(2)や、特開2004−168882号公報において表される構造などが挙げられるが、主鎖にラクトン環構造を導入する前の重合体を合成するうえにおいて、重合収率が高い点や、ラクトン環構造の含有割合の高い重合体を高い重合収率で得易い点や、メタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステルとの共重合性が良い点で、一般式(2)で表される構造であることが好ましい。
また、これらのアクリル樹脂は、耐熱性を損なわない範囲で共重合可能なその他の単量体成分を共重合した単位を有していても良い。共重合可能なその他の単量体成分としては、具体的にはスチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル等のニトリル系単量体、酢酸ビニル等のビニルエステル類等があげられる。以上のアクリル樹脂の重量平均分子量は、50,000以上2,000,000以下の範囲内であれば、厚みムラを最小限にする発明の効果を発揮できるが、好ましくは70,000以上1,000,000以下の範囲内、より好ましくは90,000以上500,000以下の範囲内である。
上記アクリル樹脂を製造する方法としては、公知の方法を用いて(メタ)アクリル酸エステルを含有する単量体組成物を重合すればよい。重合温度、重合時間は、使用する単量体(単量体組成物)の種類、使用比率等によって異なるが、好ましくは、重合温度が0℃以上150℃以下の範囲内、重合時間が0.5時間以上20時間以下の範囲内であり、より好ましくは、重合温度が80℃以上140℃以下の範囲内、重合時間が1時間以上10時間以下の範囲内である。溶剤を用いた重合形態の場合、重合溶剤は特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;などが挙げられ、これらの1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。後述するラクトン環含有重合体を製造する場合は、使用する溶剤の沸点が高すぎると、最終的に得られるラクトン環含有重合体の残存揮発分が多くなることから、沸点が50℃以上200℃以下の範囲内のものが好ましい。
重合反応時には、必要に応じて、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物;などが挙げられ、これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、用いる単量体の組み合わせや反応条件などに応じて適宜設定すればよい。
重合を行う際には、反応液のゲル化を抑止するために、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が50重量%以下となるように制御することが好ましい。具体的には、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が50重量%を超える場合には、重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加して50重量%以下となるように制御することが好ましい。重合反応混合物中の生成した重合体の濃度は、より好ましくは45重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下である。なお、重合反応混合物中の重合体の濃度があまりに低すぎると生産性が低下するため、重合反応混合物中の重合体の濃度は、10重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましい。
重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加する形態としては、特に限定されず、連続的に重合溶剤を添加してもよいし、間欠的に重合溶剤を添加してもよい。このように重合反応混合物中の生成した重合体の濃度を制御することによって、反応液のゲル化をより十分に抑止することができ、特に、ラクトン環含有割合を増やして耐熱性を向上させるために分子鎖中の水酸基およびエステル基の割合を高めた場合であってもゲル化を十分に抑制できる。
添加する重合溶剤としては、重合反応の初期仕込み時に用いた溶剤と同じ種類の溶剤であってもよいし、異なる種類の溶剤であってもよいが、重合反応の初期仕込み時に用いた溶剤と同じ種類の溶剤を用いることが好ましい。また、添加する重合溶剤は、1種のみの溶剤であってもよいし、2種以上の混合溶剤であってもよい。上記重合反応を終了した時点で得られる重合反応混合物中には、通常、得られた重合体以外に溶剤が含まれている。上記重合体を、以下に詳述するラクトン環含有重合体とする場合では、溶剤を完全に除去して重合体を固体状態で取り出す必要はなく、溶剤を含んだ状態で、その後に続くラクトン環化縮合工程を行うことが好ましい。また、必要な場合は、固体状態で取り出した後に、続くラクトン環化縮合工程に好適な溶剤を再添加してもよい。
重合反応によって得られたアクリル樹脂の色相は特に問わないが、透明であり黄変度が小さい方がアクリル樹脂の本来の特徴を損なわない為、好適である。上記アクリル樹脂は例えば3mm厚の成形体とした場合のヘイズ値が3以下、更に好ましくは2以下、最も好ましくは1以下である。また該成形体のYI(イエローインデックス)値が、10以下、好ましくは5以下である。
(ラクトン環含有重合体)
上記アクリル樹脂としては、透明性、耐熱性、光学等方性がいずれも高く、各種光学用途に応じた特性を十分に発揮できるため、(メタ)アクリル酸エステルの共重合体に、分子内環化反応によりラクトン環構造を導入した、いわゆるラクトン環含有重合体を含むことが好ましく、主成分とすることが特に好ましい。ラクトン環含有重合体としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、下記一般式(2)で表されるラクトン環構造を有する。
Figure 2010069731
(式中、R3、R4、R5は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいても良い。)
ラクトン環含有重合体構造中の、一般式(2)で表されるラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5重量%以上90重量%以下、より好ましくは10重量%以上70重量%以下、さらに好ましくは10重量%以上60重量%以下、特に好ましくは10重量%以上50重量%以下である。上記含有割合が5重量%よりも少ないと、耐熱性、耐溶剤性、表面硬度が不十分になることがあり、好ましくない。また、上記含有割合が90重量%よりも多いと、成形加工性に乏しくなることがあり、好ましくない。
ラクトン環含有重合体は、一般式(2)で表されるラクトン環構造以外の構造を有していてもよい。一般式(2)で表されるラクトン環構造以外の構造としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸、下記一般式(3)で表される単量体から選ばれる少なくとも1種を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)が好ましい。
Figure 2010069731
(式中、R6は水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、−OAc基、−CN基、−CO−R7基、または−C−O−R8基を表し、Ac基はアセチル基を表し、R7およびR8は水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。) 特に、ラクトン環含有重合体に本発明を用いると、破断、ひび割れ、表面ムラ、スジなどの不具合が発生せず、均一物性である耐熱アクリル樹脂製の光学フィルムが得られる。
ラクトン環含有重合体において、一般式(2)で表されるラクトン環構造以外の構造の含有割合は、(メタ)アクリル酸エステルを重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは10重量%以上95重量%以下の範囲内、より好ましくは10重量%以上90重量%以下の範囲内、さらに好ましくは40重量%以上90重量%以下の範囲内、特に好ましくは50重量%以上90重量%以下の範囲内である。
また、水酸基含有単量体を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、一般式(2)で表されるラクトン環構造以外の構造の含有割合は、好ましくは0重量%以上30重量%以下の範囲内、より好ましくは0重量%以上20重量%以下の範囲内、さらに好ましくは0重量%以上15重量%以下の範囲内、特に好ましくは0重量%以上10重量%以下の範囲内である。また、不飽和カルボン酸を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、一般式(2)で表されるラクトン環構造以外の構造の含有割合は、好ましくは0重量%以上30重量%以下の範囲内、より好ましくは0重量%以上20重量%以下の範囲内、さらに好ましくは0重量%以上15重量%以下の範囲内、特に好ましくは0重量%以上10重量%以下の範囲内である。
また、一般式(3)で表される単量体を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、一般式(2)で表されるラクトン環構造以外の構造の含有割合は、好ましくは0重量%以上30重量%以下の範囲内、より好ましくは0重量%以上20重量%以下の範囲内、さらに好ましくは0重量%以上15重量%以下の範囲内、特に好ましくは0重量%以上10重量%以下の範囲内である。
ラクトン環含有重合体の製造方法は特に限定されるものではないが、好ましくは、重合工程によって分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を得た後に、当該重合体を加熱処理することによりラクトン環構造を重合体に導入するラクトン環縮合反応を行うことによって得ることができる。
ラクトン環構造が重合体の分子鎖中(重合体の主骨格中)に形成されることにより、重合体に高い耐熱性が付与される。ラクトン環構造を導く環化縮合反応の反応率が不十分であると、耐熱性が十分に向上しなかったり、成形時の加熱処理によって成形途中に縮合反応が起こり、生じたアルコールが成形品中に泡やシルバーストリークとなって存在する恐れがあるため好ましくない。
上記重合体をラクトン環縮合反応を行うために加熱処理する方法については、例えば、重合工程によって得られた、溶剤を含む重合反応混合物を、そのまま加熱処理してもよい。また、溶剤の存在下で、必要に応じて閉環触媒を用いて加熱処理してもよい。また、揮発成分を除去するための真空装置あるいは脱揮装置を持つ加熱炉や反応装置、脱揮装置のある押出機等を用いて加熱処理を行うこともできる。
環化縮合反応を行う際に、上記重合体に加えて、他のアクリル樹脂を共存させてもよい。また、環化縮合反応を行う際には、必要に応じて、環化縮合反応の触媒として一般に用いられるp−トルエンスルホン酸等のエステル化触媒またはエステル交換触媒を用いてもよいし、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸等の有機カルボン酸類を触媒として用いてもよい。特開昭61−254608号公報や特開昭61−261303号公報に示されている様に、塩基性化合物、有機カルボン酸塩、炭酸塩などを用いてもよい。
環化縮合反応を行う際には、有機リン化合物を触媒として用いることが好ましい。触媒として有機リン化合物を用いることにより、環化縮合反応率を向上させることができるとともに、得られるラクトン環含有重合体の着色を大幅に低減することができる。さらに、有機リン化合物を触媒として用いることにより、後述の脱揮工程を併用する場合において起こり得る分子量低下を抑制することができ、優れた機械的強度を付与することができる。
環化縮合反応の際に触媒として用いることができる有機リン化合物としては、例えば、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸等のアルキル(アリール)亜ホスホン酸(但し、これらは、互変異性体であるアルキル(アリール)ホスフィン酸になっていてもよい)およびこれらのジエステルあるいはモノエステル;ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、フェニルエチルホスフィン酸等のジアルキル(アリール)ホスフィン酸およびこれらのエステル;メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、トリフルオルメチルホスホン酸、フェニルホスホン酸等のアルキル(アリール)ホスホン酸およびこれらのジエステルあるいはモノエステル;メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸等のアルキル(アリール)亜ホスフィン酸およびこれらのエステル;亜リン酸メチル、亜リン酸エチル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸ジエステルあるいはモノエステルあるいはトリエステル;リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸イソデシル、リン酸ラウリル、リン酸ステアリル、リン酸イソステアリル、リン酸フェニル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジ−2−エチルヘキシル、リン酸ジイソデシル、リン酸ジラウリル、リン酸ジステアリル、リン酸ジイソステアリル、リン酸ジフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリイソデシル、リン酸トリラウリル、リン酸トリステアリル、リン酸トリイソステアリル、リン酸トリフェニル等のリン酸ジエステルあるいはモノエステルあるいはトリエステル;メチルホスフィン、エチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のモノ、ジ若しくはトリアルキル(アリール)ホスフィン;メチルジクロロホスフィン、エチルジクロロホスフィン、フェニルジクロロホスフィン、ジメチルクロロホスフィン、ジエチルクロロホスフィン、ジフェニルクロロホスフィン等のアルキル(アリール)ハロゲンホスフィン;酸化メチルホスフィン、酸化エチルホスフィン、酸化フェニルホスフィン、酸化ジメチルホスフィン、酸化ジエチルホスフィン、酸化ジフェニルホスフィン、酸化トリメチルホスフィン、酸化トリエチルホスフィン、酸化トリフェニルホスフィン等の酸化モノ、ジ若しくはトリアルキル(アリール)ホスフィン;塩化テトラメチルホスホニウム、塩化テトラエチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム等のハロゲン化テトラアルキル(アリール)ホスホニウム;などが挙げられる。これらの中でも、触媒活性が高くて低着色性のため、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸ジエステルあるいはモノエステル、リン酸ジエステルあるいはモノエステル、アルキル(アリール)ホスホン酸が好ましく、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸ジエステルあるいはモノエステル、リン酸ジエステルあるいはモノエステルがより好ましく、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、リン酸ジエステルあるいはモノエステルが特に好ましい。これら有機リン化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
環化縮合反応の際に用いる触媒の使用量は、特に限定されないが、上記重合体に対して、好ましくは0.001〜5重量%の範囲内、より好ましくは0.01〜2.5重量%の範囲内、さらに好ましくは0.01〜1重量%の範囲内、特に好ましくは0.05〜0.5重量%の範囲内である。触媒の使用量が0.001重量%未満であると、環化縮合反応の反応率の向上が十分に図れないおそれがあり、一方、5重量%を超えると、着色の原因となったり、重合体の架橋により溶融賦形しにくくなることがあるため、好ましくない。触媒の添加時期は特に限定されず、反応初期に添加しても、反応途中に添加しても、それらの両方で添加してもよい。
環化縮合反応を溶剤の存在下で行い、且つ、環化縮合反応の際に、脱揮工程を併用することが好ましい。この場合、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態、および、脱揮工程を環化縮合反応の過程全体にわたっては併用せずに過程の一部においてのみ併用する形態が挙げられる。脱揮工程を併用する方法では、縮合環化反応で副生するアルコールを強制的に脱揮させて除去するので、反応の平衡が生成側に有利となる。
次に、本発明の未延伸フィルムの具体的製法を示す。
フィルムを成形する方法としては、溶融押出法と呼ばれる従来公知の方法が可能である。溶融押出法はT型ダイスやコートハンガーダイ等を装着した押出機、或いはインフレーション法によって、熱可塑性樹脂、或いは、必要によりその他の重合体やその他の添加剤などを予め混練した熱可塑性樹脂を加熱溶融にて押し出し、得られるフィルムを引き取ることにより任意の厚みを持つフィルムとする方法である。
本発明の未延伸フィルムの膜厚は、フィルムの中央部分と両端部で異なることを特徴としている。フィルムの両横端部からそれぞれ100mmの部分を除いた中央部分(ロ)の平均膜厚は、20〜600μmが好ましく、より好ましくは50〜500μmである。膜厚が20μmより薄いと強度に乏しく、安定に延伸することが困難となり、膜厚が400μmより厚いと液晶表示装置の薄型化に不利となる。
また、フィルムの左右横端部から100mmまでの膜厚の両最大値(イ)については、フィルムの両横端部からそれぞれ100mmの部分を除いた中央部分の105%以上130%以下であることが好ましく、より好ましくは110%以上120%以下である。105%より小さい場合には、縦延伸後のフィルム端部が弛んだり、テンター延伸機でのクリップ不良の原因となり、120%より大きいと、縦延伸で延伸されにくくひび割れが生じ、その部分がフィルム破断の原因となる。
さらに、フィルムの左右横端部から100mmまでの両最小膜厚(ハ)については、フィルムの両横端部からそれぞれ100mmの部分を除いた中央部分の50%以上95%以下であることが好ましく、より好ましくは60%以上90%以下である。50%より小さい場合には強度に乏しく、95%より大きい場合には縦延伸後にテンター延伸機に通す際、クリップクリップ不良の原因となる。
次に、本発明における延伸方法の具体的方法を示す。
(1.オーブン縦延伸)
オーブン縦延伸機はオーブン入口側と出口側にある搬送ロールとオーブンとから構成される。
オーブン入口側と出口側にある搬送ロールに周速差をつけることによってフィルム流れ方向に延伸を行う。また、オーブンはフィルムを延伸可能な温度まで加熱すると共に、延伸後のフィルムに熱処理効果を与える。
(2.ロール縦延伸)
ロール縦延伸機は、加熱可能な多数のロール或いはニップロール(予熱ロール)、と冷却可能な多数のロール或いはニップロール(冷却ロール)とから構成される。フィルムは多数の加熱ロールに連続接触しながら延伸する温度まで余熱され、冷却ロールとの短区間のニップロール間で延伸された後、冷却ロールによって冷却される。
(3.テンター延伸)
テンター横延伸機は横延伸用のクリップ走行装置とオーブンとから構成される。クリップ走行装置はフィルムの横端部をクリップで掴んで搬送すると同時にクリップ走行装置のガイドレールを開いて左右2列のクリップ間の距離を広げることによって延伸する。なお、フィルムの流れ方向にもクリップの拡縮機能を持たせた同時二軸延伸機であっても良い。また、オーブンはフィルムを延伸可能な温度まで加熱すると共に、延伸後は必要に応じて熱処理を行い、その後冷却する。
いずれの場合においても、フィルムの加熱は、熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温度をTgとしたとき、Tg−10℃〜Tg+50℃が好ましく、より好ましくはTg−5℃〜Tg+30℃である。
なお、未延伸フィルムを得る工程から延伸を行う工程は連続的に行っても良いし、未延伸フィルムを得る工程後に中間スプールとして巻き取ってから、非連続に延伸を行う工程にかけてもよい。
<測定方法>
本発明における物性の測定は以下の方法で行う。実施例及び比較例においても、同様の方法で行った。
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度には各種の測定方法があるが、本明細書においては示差走査熱量計(DSC)によってASTM−D−3418に従って中点法で求めた温度と定義する。
(フィルムの厚さ)
フィルムの両横端部からそれぞれ100mmの部分を除いた中央部分(ロ)の平均膜厚については、デジマチックマイクロメーター((株)ミツトヨ製)を用いてフィルムの両横端部からそれぞれ100mmの部分を除いた中央部分をランダムに5点測定した平均値を用いた。
フィルムの左右横端部から100mmまでの膜厚の両最大値(イ)については、デジマチックマイクロメーター((株)ミツトヨ製)を用いて1回測定した値を用いた。
フィルムの左右横端部から100mmまでの両最小膜厚(ハ)については、Off−line Sheet Thickness Measuring System TOF−4R((株)山文電気)を用いて測定間隔1mmピッチ、スムージング5mmで測定し、最も薄い膜厚の値を用いた。
以下に、本発明を実施例によってさらに詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
[製造例1]
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した1m2の反応釜に、204kgのメタクリル酸メチル(MMA)、51kgの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、249kgのトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温し、還流したところで、重合開始剤として281gのターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート(アトフィナ吉富製、商品名:ルペロックス570)を添加すると同時に、561gの重合開始剤と5.4kgのトルエンからなる溶液を2時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜110℃)で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、255gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(堺化学製、商品名:Phoslex A−18)を加え、還流下(約90〜110℃)で5時間、環化縮合反応を行った。
次いで、上記環化縮合反応で得られた重合体溶液を、バレル温度250℃、回転数150rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出し機(Φ=42mm、L/D=42)に、樹脂量換算で15kg/時間の処理速度で導入し、該押出し機内で環化縮合反応と脱揮を行い、押出すことにより、透明なペレットを得た。
次いでΦ50mm、多条フライト構造のミキシング部を有するフルフライト型スクリューからなるL/D=36の単軸押出し機を用い、耐熱アクリル樹脂ペレット90部、AS樹脂(旭化成ケミカルズ社製スタイラックAS783)10部および酢酸亜鉛0.04部をシリンダ設定温度270℃にて50kg/時間の処理速度で溶融押出しをおこない、樹脂ペレット(1A)を作成した。得られた樹脂ペレット(1A)の質量平均分子量は132000、ラクトン環含有割合は28.5%であり、剪断速度100(1/s)、樹脂温度270℃における粘度は450Pa・s、ガラス転移温度は125℃であった。
[製造例2]
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素ガス導入管を備えた容量1m2の反応容器に、メタクリル酸メチル(MMA)150kg、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)75kg、メタクリル酸n−ブチル(BMA)25kg、トルエン250kgを仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105℃まで昇温し、還流したところで、重合開始剤として、t−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富(株)製、ルペロックス570)0.15kgを添加すると同時に、t−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富(株)製、ルペロックス570)0.30kgとトルエン3.5kgからなる開始剤溶液を6時間かけて滴下しながら、還流下(約105℃〜111℃)で溶液重合を行い、開始剤溶液の滴下後さらに2時間かけて熟成を行った。
得られた重合体(2A)の重量平均分子量は195000であり、重合反応率は96.2%であった。また、重合体(2A)中のMHMAの構造単位の含有率は、30.2質量%で、MMA構造単位の含有率は、59.9質量%、BMA構造単位の含有率は9.9質量%であった。
得られた重合体溶液に、環化触媒としてリン酸オクチル/リン酸ジオクチル混合物(堺化学社製、Phoslex A−8)0.250kgを加え、還流下、約85〜105℃で2時間、環化縮合反応(重合体を分子内脱アルコール反応させ、重合体分子内にラクトン環構造を形成させる反応)を行った。
次いで、得られた重合体溶液を、熱交換器に通して220℃まで昇温し、バレル温度250℃、回転数170rpm、減圧度13.3hPa〜400hPa(10mmHg〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出機(φ=42mm、L/D=42)に、樹脂量換算で、15kg/時間の処理速度で導入し、押出機内で環化縮合反応と脱揮処理を行った。その際、第一フォアベントと第二フォアベントとの中間で、オクチル酸亜鉛(日本化学産業社製、ニッカオクチックス亜鉛18%)9.8質量部、チバ・スペシャリティケミカルズ社製Irganox1010、0.8質量部、旭電化工業社製アデカスタブAO−412S0.8質量部、トルエン88.6質量部からなる溶液を0.46kg/時間の速度で液注した。前記脱揮操作により、透明な樹脂ペレット(2B)を得た。得られた樹脂ペレット(2B)の重量平均分子量は128000であり、剪断速度100(1/s)、樹脂温度270℃における粘度は430Pa・s、ガラス転移温度は133℃であった。
[実施例1]
製造例1で得られた樹脂ペレット(1A)を、Tダイを有するベント付単軸押出機により溶融押出して未延伸フィルムを成膜した。
その際、Tダイのリップ間隔は、中央部が最も広く、両端部に近づくほど徐々に狭くなるようにした。具体的には、中央部の開度を100%とした場合、両端部は70%に設定した。
またTダイの温度設定は、中央部を265℃、両端部275℃、両端部側面を250℃に設定した。
これにより得られた未延伸フィルムは、両端エッジ部の膜厚の最高点は、両側とも端部で、その膜厚は、左側が中央部の平均膜厚の110%、右側が110%であった。また最低点は、左側が端部より65mmの位置、右側が端部より60mmの位置で、その膜厚は、左側が中央部の平均膜厚の72%、右側が70%であった。
この延伸フィルムを温度130℃まで加熱して縦方向に1.9倍に延伸して一軸延伸フィルムを得え、次いで一軸延伸フィルムを温度140℃まで加熱して横延伸機で2.2倍に延伸を行った。
特に延伸に問題はなかった。
[実施例2]
製造例2で得られた樹脂ペレット(2A)を、Tダイを有するベント付単軸押出機により溶融押出して未延伸フィルムを成膜した。
その際、Tダイのリップ間隔は、中央部が最も広く、両端部に近づくほど徐々に狭くなるようにした。具体的には、中央部の開度を100%とすると、両端部は55%に設定した。
またTダイの温度設定は、中央部、両端部、両端部側面ともを280℃に設定した。
これにより得られた未延伸フィルムは、両端エッジ部の膜厚の最高点は、両側とも端部で、その膜厚は、左側が中央部の平均膜厚の115%、右側が118%であった。また最低点は、左側が端部より58mmの位置、右側が端部より60mmの位置で、その膜厚は、左側が中央部の平均膜厚の75%、右側が77%であった。
この延伸フィルムを温度130℃まで加熱して縦方向に1.9倍に延伸して一軸延伸フィルムを得え、次いで一軸延伸フィルムを温度140℃まで加熱して横延伸機で2.2倍に延伸を行った。
特に延伸に問題はなかった。
[比較例1]
Tダイのリップ間隔を、中央部から両端部まで全て同じ開度に設定する以外は[実施例1]と同様に行った。
これにより得られた未延伸フィルムは、両端エッジ部の膜厚の最高点は、両側とも端部で、その膜厚は、左側が中央部の平均膜厚の140%、右側が143%であった。また最低点は、左側が端部より80mmの位置、右側が端部より84mmの位置で、その膜厚は、左側が中央部の平均膜厚の85%、右側が87%であった。
この未延伸フィルムを温度130℃まで加熱して縦方向に1.9倍に延伸したところ、エッジ部分が延伸されにくくひび割れが発生し、フィルムが割れてしまうため延伸はできなかった。
[比較例2]
Tダイのリップ間隔を、両端部を40%に設定する以外は[実施例1]と同様に行った。
これにより得られた未延伸フィルムは、両端エッジ部の膜厚の最高点は、両側とも端部で、その膜厚は、左側が中央部の平均膜厚の108%、右側が109%であった。また最低点は、左側が端部より48mmの位置、右側が端部より45mmの位置で、その膜厚は、左側が中央部の平均膜厚の40%、右側が41%であった。
この延伸フィルムを温度130℃まで加熱して縦方向に1.9倍に延伸して一軸延伸フィルムを行ったところ、エッジ部分の薄い部分が中央部よりも延伸され易くフィルムの端部が弛んだ一軸延伸フィルムが得られた。
この一軸延伸フィルムを温度140℃まで加熱して横延伸機で2.2倍に延伸を行おうとしたところ、端部の弛んだ部分を安定してクリップで掴むことができず延伸はできなかった。
[比較例3]
Tダイの温度は、両端部285℃に設定する以外は[実施例2]と同様に行った。
これにより得られた未延伸フィルムは、両端エッジ部の膜厚の最高点は、両側とも端部で、その膜厚は、左側が中央部の平均膜厚の135%、右側が133%であった。また最低点は、左側が端部より77mmの位置、右側が端部より79mmの位置で、その膜厚は、左側が中央部の平均膜厚の94%、右側が90%であった。
この未延伸フィルムを温度130℃まで加熱して縦方向に1.9倍に延伸したところ、エッジ部分が延伸されにくくひび割れが発生し、フィルムが割れてしまうため延伸はできなかった。
[比較例4]
Tダイの温度は、Tダイのリップ間隔を、中央部から両端部まで全て同じ開度に設定し、両端部側面275℃に設定する以外は[実施例1]と同様に行った。
これにより得られた未延伸フィルムは、両端エッジ部の膜厚の最高点は、両側とも端部で、その膜厚は、左側が中央部の平均膜厚の108%、右側が107%であった。また最低点は、左側が端部より43mmの位置、右側が端部より40mmの位置で、その膜厚は、左側が中央部の平均膜厚の45%、右側が41%であった。
この延伸フィルムを温度130℃まで加熱して縦方向に1.9倍に延伸して一軸延伸フィルムを行ったところ、エッジ部分の薄い部分が中央部よりも延伸され易くフィルムの端部が弛んだ一軸延伸フィルムが得られた。
この一軸延伸フィルムを温度140℃まで加熱して横延伸機で2.2倍に延伸を行おうとしたところ、端部の弛んだ部分を安定してクリップで掴むことができず延伸はできなかった。
実施例、比較例のデータを表1に纏めた。
Figure 2010069731
本発明は、可撓性の低い未延伸フィルムであっても安定的に延伸でき、不具合(巻き取り時のフィルムの破断)がない状態で長時間連続的に巻き取る事が出来るため、光学的特性に優れているが可撓性が低いフィルムの製造に好適に用いることができる。得られる光学フィルムは、液晶表示装置などのフラットパネル表示装置に用いられる、保護フィルム、反射防止フィルム、位相差フィルム、偏光フィルム等の各種光学用フィルム用途に好適に用いることができる。特に、偏光子保護フィルムに好適である。
本発明の光学用未延伸フィルムの幅方向の膜厚を表す図である。
符号の説明
イ : フィルムの左右横端部から100mmまでの膜厚の両最大値
ロ : フィルムの両横端部からそれぞれ100mmの部分を除いたフィルム中央部
ハ : フィルムの両横端部からそれぞれ100mmまでの両最小膜厚

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂を主成分とするフィルムの左右横端部から100mmまでの膜厚の両最大値が、共に、フィルムの両横端部からそれぞれ100mmの部分を除いたフィルム中央部の平均膜厚の105%以上130%以下であり、フィルムの両横端部からそれぞれ100mmまでの両最小膜厚が、前記平均膜厚の50%以上95%以下である光学用未延伸フィルムを延伸することを特徴とする、光学フィルムの製造方法。
  2. 熱可塑性樹脂を、ダイスを用いてシート状に溶融押出しし、冷却ドラムにて該シート状物を冷却し、フィルムの左右横端部から100mmまでの膜厚の両最大値が、共に、フィルムの両横端部からそれぞれ100mmの部分を除いたフィルム中央部の平均膜厚の105%以上130%以下であり、フィルムの両横端部からそれぞれ100mmまでの両最小膜厚が、共に、前記平均膜厚の50%以上95%以下である光学用未延伸フィルムを得る工程(a)、及び得られた未延伸フィルムを延伸して延伸フィルムを得る工程(b)とを含むことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  3. 前記延伸フィルムを得る工程(b)が、未延伸フィルムを縦延伸して一軸延伸フィルムを得た後、更に横延伸して二軸延伸フィルムとする請求項2記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 工程(b)にて得られた延伸フィルムの両横端部をスリットして除去する工程を更に含む、請求項2又は3記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記熱可塑性樹脂が、アクリル樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
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