JP2009040937A - 紫外線吸収性樹脂及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】異物の少ない、紫外線吸収能を有する紫外線吸収性樹脂及びその製造方法を実現する。
【解決手段】本発明の紫外線吸収性樹脂の製造方法は、濾過精度が20μm以下であるポリマーフィルタ4を備えた押出し機2を用い、剪断速度が100/secにおける樹脂溶融粘度が1000Pa・sec以下となる条件で、紫外線吸収性樹脂を濾過精製する工程を包含する。
【選択図】図1

Description

本発明は、紫外線吸収性樹脂及びその製造方法に関するものである。より詳しくは、異物量の極めて少ない、紫外線吸収性樹脂及びその製造方法に関する。
メタクリル系樹脂や環状ポリオレフィン樹脂等の主鎖に芳香族環を有しない熱可塑性樹脂は、透明性が高く、複屈折率が低い等優れた光学特性を示すことが知られている。特にメタクリル系樹脂は、表面光沢や耐光性に優れ、しかも機械的強度、成型加工性、表面硬度のバランスに優れているため、自動車や家電製品等における光学関連用途に幅広く用いられている。また、上記熱可塑性樹脂は、近年、光学関連用途において内部素子を紫外線から保護する等の目的で用いられるため、紫外線吸収機能に対する要望が高まっている。
上記光学関連用途に用いられる熱可塑性樹脂は、重合反応中に発生するゲルや、製造過程で混入する汚染物質等の様々な異物を含むため、これら異物を除去する必要がある。異物を除去する方法としては、例えば、200〜600メッシュのスクリーンメッシュで濾過を行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−263614号公報(1997年10月7日公開)
しかしながら、上記従来の構成では、異物の除去が不十分であるという問題を生じる。
具体的には、上記特許文献1に記載の方法では、粒子径が80μm以上の異物を1個/m以下にすることはできるが、光学用途で用いるためには粒子径が80μm未満の異物も極めて少ない量に低減する必要がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、異物の少ない、紫外線吸収能を有する紫外線吸収性樹脂及びその製造方法を実現することにある。
本発明に係る紫外線吸収性樹脂の製造方法は、上記課題を解決するために、濾過精度が20μm以下であるポリマーフィルタを備えた押出し機を用い、剪断速度が100/secにおける樹脂溶融粘度が1000Pa・sec以下となる条件で、紫外線吸収性樹脂を濾過精製する工程を包含することを特徴としている。
上記方法によれば、紫外線吸収性樹脂を、剪断速度が100/secにおける樹脂溶融粘度が1000Pa・sec以下となる条件で濾過するため、濾過精度が20μm以下のポリマーフィルタであっても、フィルタ内の圧力上昇を招くことなく濾過を行うことができる。
このため、上記方法によれば、紫外線吸収能を有し、且つ異物の少ない紫外線吸収性樹脂を製造することができるという効果を奏する。
また、上記紫外線吸収性樹脂は、紫外線吸収基を有する単量体、若しくは紫外線吸収基を有する単量体を含む単量体組成物を重合して得られる樹脂及びその誘導体であるため、紫外線吸収能を有し、異物が少ないのみならず、紫外線吸収剤のブリードアウトによる性能の低下がない。
本発明に係る紫外線吸収性樹脂の製造方法では、上記濾過精製する工程において、ポリマーフィルタ内部の温度が250℃以上310℃以下の範囲内であることが好ましい。
上記方法によれば、上記範囲内の温度で濾過を行うため、剪断速度が100/secにおける樹脂溶融粘度を1000Pa・sec以下とすることができる。
本発明に係る紫外線吸収性樹脂の製造方法では、上記ポリマーフィルタが、リーフディスクタイプのポリマーフィルタであることが好ましい。
上記方法によれば、リーフディスクタイプのポリマーフィルタは、濾過面積が広く、高粘度の樹脂を濾過した場合でも圧力損失が少ないため、濾過の処理速度をより速くすることが可能となり、より低い製造コストで製造することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係る紫外線吸収性樹脂の製造方法では、上記紫外線吸収性樹脂が、ベンゾトリアゾール構造を有することが好ましい。
上記方法によれば、紫外線吸収能を有し、異物が少ないのみならず、紫外線吸収性樹脂の色相を大幅に悪化させることなく、380nm以下の波長の紫外光を効率よくカットすることができる紫外線吸収性樹脂を製造することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係る紫外線吸収性樹脂の製造方法では、上記紫外線吸収性樹脂が、ラクトン環構造を有することが好ましい。
上記方法によれば、紫外線吸収性樹脂の紫外線吸収能を大幅に悪化させることなく、耐熱性を高めることができる。
本発明に係る紫外線吸収性樹脂の製造方法では、上記ラクトン環構造が、下記一般式
Figure 2009040937
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の有機残基を表し、有機残基は、炭素数1〜20の直鎖状、枝分かれ鎖状、若しくは環状のアルキル基であり、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい)
で表される構造であることが好ましい。
本発明に係る紫外線吸収性樹脂は、上記課題を解決するために、1グラムあたりに含まれる粒子径20μm以上の異物が100個以下であることを特徴としている。
上記構成によれば、透明性が高く、紫外線吸収能を有し、且つ異物の少ない紫外線吸収性樹脂を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る紫外線吸収性樹脂は光学用途で用いられることが好ましい。
本発明に係る紫外線吸収性樹脂の製造方法は、以上のように、濾過精度が20μm以下であるポリマーフィルタを備えた押出し機を用い、剪断速度が100/secにおける樹脂溶融粘度が1000Pa・sec以下となる条件で、紫外線吸収性樹脂を濾過精製する工程を包含することを特徴としている。
このため、紫外線吸収能を有し、且つ異物の少ない紫外線吸収性樹脂を製造することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る紫外線吸収性樹脂は、以上のように、1グラムあたりに含まれる粒子径20μm以上の異物が100個以下であることを特徴としている。
このため、透明性が高く、紫外線吸収能を有し、且つ異物の少ない紫外線吸収性樹脂を提供することができるという効果を奏する。
以下、本発明について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
光学用途で用いられる材料は、直径20μm以下の異物を低減させることが強く求められており、この要求を満たすためには、20μm以下の濾過精度を有するポリマーフィルタで濾過を行う必要がある。
従来より、主鎖に芳香族環を有するポリエステルやポリカーボネート等の熱可塑性樹脂では、異物を低減するために、ポリマーフィルタを用いたり、生産環境を整えたりする等の種々の工夫がなされてきた。例えば、特開平5−239334号公報には、溶融状態のポリカーボネートをポリマーフィルタで濾過する方法が開示されている。また、特開2000−351114号公報には、ダイから切断機までの空域を清浄度クラス7以下とし、ストランド水冷の水を5μmの濾過精度のフィルタで濾過することにより、異物量の少ない透明熱可塑性樹脂ペレットを製造する方法が開示され、透明熱可塑性樹脂を溶融状態で濾過することが好ましいと記載されている。また、特開平9−254251号公報には、溶融押出ししたポリカーボネートを、電気伝導度が低く、異物量が少ない冷却水を用いて冷却する方法が開示されている。
しかしながら、上記熱可塑性樹脂は、樹脂そのものに紫外線吸収能がなく、紫外線吸収能を必要とする用途に適用するには、別途紫外線吸収剤の添加が必要となり、そのような添加剤を加えることが異物の原因ともなっていた。また、紫外線吸収基を有する単量体を共重合させた紫外線吸収性樹脂は、嵩高い紫外線吸収基を側鎖に有するため、分子鎖に歪を生じやすく、一般に熱分解温度が低い。このため、紫外線吸収性樹脂の加熱溶融温度は制限され、これまでに、紫外線吸収性樹脂を、20μm以下の濾過精度を有するポリマーフィルタで濾過することは行われていなかった。
このため、異物数が少なく、光学特性に優れ、紫外線吸収能を有する熱可塑性樹脂(紫外線吸収性樹脂)が求められていた。
本実施の形態に係る紫外線吸収性樹脂の製造方法では、特定の紫外線吸収性樹脂を用いて、特定の濾過条件で濾過を行うことにより、20μm以下の濾過精度を有するポリマーフィルタで紫外線吸収性樹脂を濾過することを可能とした。
本実施の形態に係る紫外線吸収性樹脂の製造方法では、紫外線吸収性樹脂を、濾過精度が20μm以下であるポリマーフィルタを備えた押出し機を用い、剪断速度が100/secにおける樹脂溶融粘度が1000Pa・sec以下となる条件で濾過精製する工程を包含する。
図1は、本実施の形態に係る紫外線吸収性樹脂の製造方法で用いる装置の概略構成の一例を示す平面図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る紫外線吸収性樹脂の製造方法で用いる装置では、ポリマーフィルタ4を備えた押出し機2と、冷却水5と、ペレタイザ6と、タンク7と、充填容器8とを含み、この順でそれぞれの装置が接続されている。本実施の形態に係る紫外線吸収性樹脂の製造方法では、紫外線吸収性樹脂等の原料1を押出し機2に投入し、原料1を溶融させ、ポリマーフィルタ4を通して異物を除去する。そして、冷却水により、溶融物を冷却し、ペレタイザ6でペレット化を行うことにより、紫外線吸収性樹脂のペレットを製造する。その後、得られた紫外線吸収性樹脂のペレットは、タンク7を経て充填容器8の中に充填される。以下、本実施の形態に係る紫外線吸収性樹脂の製造方法について詳細に説明する。
尚、明細書における「異物」とは、原料からポリマー化を経て、ペレット等の成形品を得るまでの間の全ての工程において混入する汚染物質、重合反応中に発生するゲル等の副生物、押出し、脱揮工程で発生する炭化物等の樹脂の劣化に起因する副生物等を含み、熱可塑性樹脂になじまない性質を有する物質全般を意味する。
また、「重量」は「質量」と同義語として扱い、「重量%」は「質量%」と同義語として扱い、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを示し、「主成分」とは50質量%以上含有しているという意味として扱い、「ppm」は特に断らない限り質量換算での値を意味する。
(I)紫外線吸収性樹脂
本実施の形態に係る紫外線吸収性樹脂は、紫外線吸収基を有する単量体、若しくは紫外線吸収基を有する単量体を含む単量体組成物を重合して得られる樹脂及びその誘導体である。
紫外線吸収基を有する単量体としてはベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、トリアジン誘導体に重合性基を導入したものが好ましい。
上記紫外線吸収性単量体の具体例としては、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシ〕エチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシ〕フェニル−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メタクリロイルオキシ〕フェニル−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収単量体;2,4−ジフェニル−6−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)〕−s−トリアジン、2,4−ビス(2−メチルフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)〕−s−トリアジン、2,4−ビス(2−メトキシフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)〕−s−トリアジン、2,4−ビス(2−エチルフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)〕−s−トリアジン、2,4−ビス(2−エトキシフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)〕−s−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)〕−s−トリアジン、2,4−ビス(2−メチルフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)〕−s−トリアジン、2,4−ビス(2−メトキシフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)〕−s−トリアジン、2,4−ビス(2−エチルフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)〕−s−トリアジン、2,4−ビス(2−エトキシフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)〕−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメトキシフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)〕−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジエトキシフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)〕−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジエチルフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)〕−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(11−アクリロイルオキシ−ウンデシルオキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(11−メタクリロイルオキシ−ウンデシルオキシ)フェニル〕4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(11−アクリロイルオキシ−ウンデシルオキシ)フェニル〕4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(11−メタクロイルオキシウンデシルオキシ)フェニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクロイルオキシエトキシ)フェニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。これらの紫外線吸収性単量体(紫外線吸収基を有する単量体)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でもベンゾトリアゾール構造を有する紫外線吸収性単量体が特に好ましく、3−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェネチルメタクリラート(大塚化学(株)製、商品名:RUVA−93)が特に好ましい。
上記紫外線吸収性樹脂はベンゾトリアゾール構造を有する重合体であることが好ましい。尚、上記「ベンゾトリアゾール構造」とは、ベンゾトリアゾールにおける炭素及び窒素からなる分子骨格、つまりベンゾトリアゾールにおける水素以外の分子骨格を意味する。
上記紫外線吸収性樹脂は、紫外線遮断能を損なわない範囲で共重合可能なその他の単量体成分と共重合した構造単位を有していてもよい。共重合可能なその他の単量体成分としては、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル等のニトリル系単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシへキシル、及び(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、一般式(2)
Figure 2009040937
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の有機残基を示し、有機残基とは、具体的には、炭素数1〜20の直鎖状、枝分かれ鎖状、若しくは環状のアルキル基を示す)
で表される構造を有する化合物(単量体)等の水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸、下記一般式(3)
Figure 2009040937
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、−OAc基、−CN基、−CO−R基、又は−C−O−R基を表し、Ac基はアセチル基を表し、RおよびRは水素原子又は炭素数1〜20の有機残基を表し、有機残基とは、具体的には、炭素数1〜20の直鎖状、枝分かれ鎖状、若しくは環状のアルキル基を示す)
で表される構造を有する単量体等が挙げられる。これらは1種のみが用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。これらの中でも、熱安定性に優れる点で(メタ)アクリル酸メチルが最も好ましい。
また、耐熱性の観点より、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド及びメチルマレイミド等のN−置換マレイミドが共重合されていてもよいし、分子鎖中(重合体中の主骨格中又は主鎖中ともいう)グルタル酸無水物構造及びグルタルイミド構造等が導入されていてもよい。
本実施の形態に係る紫外線吸収性樹脂に含まれる紫外線吸収性単量体構造単位の含有率は、下限は3質量%、上限は90質量%であることが好ましい。3質量%未満であると、紫外線遮断能をより充分に発揮することができない恐れがあり、90質量%を超えると、紫外線吸収性樹脂に黄変をきたす恐れがある。より好ましい下限は5質量%、上限は80質量%である。
上記紫外線吸収性樹脂としては、透明性、耐熱性、光学等方性が何れも高く、各種光学用途に応じた特性を十分に発揮できるため、(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体に、分子内環化反応によりラクトン環構造を導入した、ラクトン環構造を有する紫外線吸収性樹脂(以下、ラクトン環含有紫外線吸収性樹脂)であることが特に好ましい。
ラクトン環含有紫外線吸収性樹脂としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、下記一般式(1)で表されるラクトン環構造を有する樹脂であることが好ましい。
Figure 2009040937
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の有機残基を表し、有機残基は、炭素数1〜20の直鎖状、枝分かれ鎖状、若しくは環状のアルキル基であり、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい)
ラクトン環含有紫外線吸収性樹脂構造中の、一般式(1)で表されるラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5質量%以上90質量%以下、より好ましくは10質量%以上70質量%以下、更に好ましくは10質量%以上60質量%以下、特に好ましくは10質量%以上50質量%以下である。
上記含有割合が5質量%よりも少ないと、耐熱性、耐溶剤性、表面硬度が不十分になることがある。また、上記含有割合が90質量%よりも多いと、成形加工性に乏しくなることがある。
上述した本実施の形態に係る紫外線吸収性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1,000以上2,000,000以下の範囲内、より好ましくは5,000以上1,000,000以下の範囲内、更に好ましくは10,000以上500,000以下の範囲内、特に好ましくは50,000以上500,000以下の範囲内である。
〔紫外線吸収性樹脂の製造方法〕
上記紫外線吸収性樹脂を製造する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いて上記単量体組成物を重合すればよい。
重合温度、重合時間は、使用する単量体(単量体組成物)の種類、使用比率等によって異なるが、好ましくは、重合温度が0℃以上150℃以下の範囲内、重合時間が0.5時間以上20時間以下の範囲内であり、より好ましくは、重合温度が80℃以上140℃以下の範囲内、重合時間が1時間以上10時間以下の範囲内である。
溶剤を用いた重合形態の場合、重合溶剤は特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;等が挙げられ、これらの1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合反応時には、必要に応じて、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては特に限定されないが、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;等が挙げられ、これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、用いる単量体の組み合わせや反応条件等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
重合を行う際には、反応液のゲル化を抑止するために、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が50質量%以下となるように制御することが好ましい。具体的には、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が50質量%を超える場合には、重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加して50質量%以下となるように制御することが好ましい。重合反応混合物中の生成した重合体の濃度は、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。尚、重合反応混合物中の重合体の濃度があまりに低すぎると生産性が低下するため、重合反応混合物中の重合体の濃度は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。
重合反応によって得られた紫外線吸収性樹脂の色相は特に問わないが、透明であり黄変度が小さい方が紫外線吸収性樹脂の本来の特徴を損なわない為、好適である。上記紫外線吸収性樹脂は例えば3mm厚の成形体とした場合のヘイズ値が3以下、更に好ましくは2以下、最も好ましくは1以下である。また該成形体のYI(イエローインデックス)値が、10以下、好ましくは5以下である。
また、ラクトン環含有紫外線吸収性樹脂の製造方法は特に限定されるものではないが、好ましくは、上述した重合工程によって分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を得た後に、当該重合体を加熱処理することによりラクトン環構造を重合体に導入するラクトン環縮合反応を行うことによって得ることができる。
分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する上記重合体は、例えば、紫外線吸収基を有する単量体を、上述した(メタ)アクリル酸エステル及び水酸基含有単量体と共重合させることにより得ることができる。
ラクトン環構造が重合体の分子鎖中(重合体の主骨格中)に形成されることにより、重合体に高い耐熱性が付与される。ラクトン環構造を導く環化縮合反応の反応率が不十分であると、耐熱性が十分に向上しなかったり、成形時の加熱処理によって成形途中に縮合反応が起こり、生じたアルコールが成形品中に泡やシルバーストリークとなって存在する恐れがあるため好ましくない。
上記重合体をラクトン環縮合反応を行うために加熱処理する方法については、特に限定されず、公知の方法が利用できる。例えば、重合工程によって得られた、溶剤を含む重合反応混合物を、そのまま加熱処理してもよい。また、溶剤の存在下で、必要に応じて閉環触媒を用いて加熱処理してもよい。また、揮発成分を除去するための真空装置あるいは脱揮装置を持つ加熱炉や反応装置、脱揮装置のある押出機等を用いて加熱処理を行うこともできる。
環化縮合反応を行う際に、上記重合体に加えて、アクリル系樹脂を共存させてもよい。また、環化縮合反応を行う際には、必要に応じて、環化縮合反応の触媒として一般に用いられるp−トルエンスルホン酸等のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いてもよいし、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸等の有機カルボン酸類を触媒として用いてもよい。特開昭61−254608号公報や特開昭61−261303号公報に示されている様に、塩基性化合物、有機カルボン酸塩、炭酸塩等を用いてもよい。
環化縮合反応を行う際には、有機リン化合物を触媒として用いることが好ましい。触媒として有機リン化合物を用いることにより、環化縮合反応率を向上させることができるとともに、得られるラクトン環含有重合体の着色を大幅に低減することができる。更に、有機リン化合物を触媒として用いることにより、後述の脱揮工程を併用する場合において起こり得る分子量低下を抑制することができ、優れた機械的強度を付与することができる。
環化縮合反応の際に触媒として用いることができる有機リン化合物としては、例えば、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸等のアルキル(アリール)亜ホスホン酸(但し、これらは、互変異性体であるアルキル(アリール)ホスフィン酸になっていてもよい)及びこれらのジエステルあるいはモノエステル;ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、フェニルエチルホスフィン酸等のジアルキル(アリール)ホスフィン酸及びこれらのエステル;メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、トリフルオルメチルホスホン酸、フェニルホスホン酸等のアルキル(アリール)ホスホン酸及びこれらのジエステルあるいはモノエステル;メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸等のアルキル(アリール)亜ホスフィン酸及びこれらのエステル;亜リン酸メチル、亜リン酸エチル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸ジエステルあるいはモノエステルあるいはトリエステル;リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸イソデシル、リン酸ラウリル、リン酸ステアリル、リン酸イソステアリル、リン酸フェニル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジ−2−エチルヘキシル、リン酸ジイソデシル、リン酸ジラウリル、リン酸ジステアリル、リン酸ジイソステアリル、リン酸ジフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリイソデシル、リン酸トリラウリル、リン酸トリステアリル、リン酸トリイソステアリル、リン酸トリフェニル等のリン酸ジエステルあるいはモノエステルあるいはトリエステル;メチルホスフィン、エチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のモノ、ジ若しくはトリアルキル(アリール)ホスフィン;メチルジクロロホスフィン、エチルジクロロホスフィン、フェニルジクロロホスフィン、ジメチルクロロホスフィン、ジエチルクロロホスフィン、ジフェニルクロロホスフィン等のアルキル(アリール)ハロゲンホスフィン;酸化メチルホスフィン、酸化エチルホスフィン、酸化フェニルホスフィン、酸化ジメチルホスフィン、酸化ジエチルホスフィン、酸化ジフェニルホスフィン、酸化トリメチルホスフィン、酸化トリエチルホスフィン、酸化トリフェニルホスフィン等の酸化モノ、ジ若しくはトリアルキル(アリール)ホスフィン;塩化テトラメチルホスホニウム、塩化テトラエチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム等のハロゲン化テトラアルキル(アリール)ホスホニウム;等が挙げられる。これらの中でも、触媒活性が高くて低着色性のため、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸ジエステルあるいはモノエステル、リン酸ジエステルあるいはモノエステル、アルキル(アリール)ホスホン酸が好ましく、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸ジエステルあるいはモノエステル、リン酸ジエステルあるいはモノエステルがより好ましく、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、リン酸ジエステルあるいはモノエステルが特に好ましい。これら有機リン化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
環化縮合反応の際に用いる触媒の使用量は、特に限定されないが、上記重合体に対して、好ましくは0.001〜5質量%の範囲内、より好ましくは0.01〜2.5質量%の範囲内、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲内、特に好ましくは0.05〜0.5質量%の範囲内である。触媒の使用量が0.001質量%未満であると、環化縮合反応の反応率の向上が十分に図れない恐れがあり、一方、5質量%を超えると、着色の原因となったり、重合体の架橋により溶融賦形しにくくなることがあるため、好ましくない。
触媒の添加時期は特に限定されず、反応初期に添加しても、反応途中に添加しても、それらの両方で添加してもよい。
環化縮合反応を溶剤の存在下で行い、且つ、環化縮合反応の際に、脱揮工程を併用することが好ましい。この場合、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態、及び、脱揮工程を環化縮合反応の過程全体にわたっては併用せずに過程の一部においてのみ併用する形態が挙げられる。脱揮工程を併用する方法では、縮合環化反応で副生するアルコールを強制的に脱揮させて除去するので、反応の平衡が生成側に有利となる。
脱揮工程とは、溶剤、残存単量体等の揮発分と、ラクトン環構造を導く環化縮合反応により副生したアルコールを、必要により減圧加熱条件下で、除去処理する工程をいう。この除去処理が不十分であると、生成した樹脂中の残存揮発分が多くなり、成形時の変質等によって着色したり、泡やシルバーストリーク等の成形不良が起こったりする問題等が生じる。
環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、使用する装置については特に限定されないが、本発明をより効果的に行うために、熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置やベント付き押出機、また、前記脱揮装置と前記押出機を直列に配置したものを用いることが好ましく、熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置又はベント付き押出機を用いることがより好ましい。
前記熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置を用いる場合の反応処理温度は、150〜350℃の範囲内が好ましく、200〜300℃の範囲内がより好ましい。反応処理温度が150℃より低いと、環化縮合反応が不十分となって残存揮発分が多くなる恐れがあり、350℃より高いと、着色や分解が起こる恐れがある。
前記熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置を用いる場合の、反応処理時の圧力は、931〜1.33hPa(700〜1mmHg)の範囲内が好ましく、798〜66.5hPa(600〜50mmHg)の範囲内がより好ましい。上記圧力が931hPaより高いと、アルコールを含めた揮発分が残存し易いという問題があり、1.33hPaより低いと、工業的な実施が困難になっていくという問題がある。
前記ベント付き押出機を用いる場合、ベントは1個でも複数個でもいずれでもよいが、複数個のベントを有する方が好ましい。
前記ベント付き押出機を用いる場合の反応処理温度は、150〜350℃の範囲内が好ましく、200〜300℃の範囲内がより好ましい。上記温度が150℃より低いと、環化縮合反応が不十分となって残存揮発分が多くなる恐れがあり、350℃より高いと、着色や分解が起こる恐れがある。
前記ベント付き押出機を用いる場合の、反応処理時の圧力は、931〜1.33hPa(700〜1mmHg)の範囲内が好ましく、798〜13.3hPa(600〜10mmHg)の範囲内がより好ましい。上記圧力が931hPaより高いと、アルコールを含めた揮発分が残存し易いという問題があり、1.33hPaより低いと、工業的な実施が困難になっていくという問題がある。
尚、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、後述するように、厳しい熱処理条件では得られるラクトン環含有重合体の物性が悪化する恐れがあるので、好ましくは、上述した脱アルコール反応の触媒を使用し、できるだけ温和な条件で、ベント付き押出機等を用いて行うことが好ましい。
また、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、好ましくは、重合工程で得られた重合体を溶剤とともに環化縮合反応装置系に導入するが、この場合、必要に応じて、もう一度ベント付き押出機等の上記反応装置系に通してもよい。
脱揮工程を環化縮合反応の過程全体にわたっては併用せずに、過程の一部においてのみ併用する形態を行ってもよい。例えば、重合体を製造した装置を、更に加熱し、必要に応じて脱揮工程を一部併用して、環化縮合反応を予めある程度進行させておき、その後に引き続いて脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行い、反応を完結させる形態である。
先に述べた環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態では、例えば、重合体を、2軸押出機を用いて、250℃近い、あるいはそれ以上の高温で熱処理する時に、熱履歴の違いにより環化縮合反応が起こる前に一部分解等が生じ、得られるラクトン環含有紫外線吸収性樹脂の物性が悪くなる恐れがある。そこで、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う前に、予め環化縮合反応をある程度進行させておくと、後半の反応条件を緩和でき、得られるラクトン環含有紫外線吸収性樹脂の物性の悪化を抑制できるので好ましい。
特に好ましい形態としては、脱揮工程を環化縮合反応の開始から時間をおいて開始する形態、即ち、重合工程で得られた重合体の分子鎖中に存在する水酸基とエステル基とをあらかじめ環化縮合反応させて環化縮合反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う形態が挙げられる。具体的には、例えば、予め釜型の反応器を用いて溶剤の存在下で環化縮合反応をある程度の反応率まで進行させておき、その後、脱揮装置の付いた反応器、例えば、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置や、ベント付き押出機等で、環化縮合反応を完結させる形態が好ましく挙げられる。特にこの形態の場合、環化縮合反応用の触媒が存在していることがより好ましい。
上述のように、重合工程で得られた重合体の分子鎖中に存在する水酸基とエステル基とを予め環化縮合反応させて環化縮合反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う方法は、ラクトン環含有紫外線吸収性樹脂を得る上で好ましい形態である。この形態により、環化縮合反応率もより高まり、ガラス転移温度がより高く、耐熱性に優れたラクトン環含有紫外線吸収性樹脂が得られる。この場合、環化縮合反応率の目安としては、実施例に示すダイナミックTG測定における、150〜300℃間での質量減少率が2%以下であることが好ましく、より好ましくは1.5%以下であり、更に好ましくは1%以下である。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際に採用できる反応器は特に限定されないが、好ましくは、オートクレーブ、釜型反応器、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置等が挙げられ、更に、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応に好適なベント付き押出機も使用できる。より好ましくは、オートクレーブ、釜型反応器である。しかしながら、ベント付き押出機等の反応器を使用するときでも、ベント条件を温和にしたり、ベントをさせなかったり、温度条件やバレル条件、スクリュウ形状、スクリュウ運転条件等を調整することで、オートクレーブや釜型反応器での反応状態と同じ様な状態で環化縮合反応を行うことが可能である。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際には、好ましくは、重合工程で得られた重合体と溶剤とを含む混合物を、(i)触媒を添加して、加熱反応させる方法、(ii)無触媒で加熱反応させる方法、及び、前記(i)又は(ii)を加圧下で行う方法が挙げられる。
尚、ラクトン環化縮合工程において環化縮合反応に導入する「重合体と溶剤とを含む混合物」とは、重合工程で得られた重合反応混合物をそのまま使用してもよいし、一旦溶剤を除去したのちに環化縮合反応に適した溶剤を再添加してもよいことを意味する。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際に再添加できる溶剤としては、特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;クロロホルム、DMSO、テトラヒドロフラン等でもよいが、好ましくは、重合工程で用いることができる溶剤と同じ種類の溶剤である。
上記方法(i)で添加する触媒としては、一般に用いられるp−トルエンスルホン酸等のエステル化触媒又はエステル交換触媒、塩基性化合物、有機カルボン酸塩、炭酸塩等が挙げられるが、本実施の形態においては、前述の有機リン化合物を用いることが好ましい。
触媒の添加時期は特に限定されず、反応初期に添加しても、反応途中に添加しても、それらの両方で添加してもよい。添加する触媒の量は特に限定されないが、重合体の質量に対し、好ましくは0.001〜5質量%の範囲内、より好ましくは0.01〜2.5質量%の範囲内、更に好ましくは0.01〜0.1質量%の範囲内、特に好ましくは0.05〜0.5質量%の範囲内である。方法(i)の加熱温度と加熱時間とは特に限定されないが、加熱温度としては、好ましくは室温以上、より好ましくは50℃以上であり、加熱時間としては、好ましくは1〜20時間の範囲内、より好ましくは2〜10時間の範囲内である。加熱温度が低いと、あるいは、加熱時間が短いと、環化縮合反応率が低下するので好ましくない。また、加熱時間が長すぎると、樹脂の着色や分解が起こる場合があるので好ましくない。
上記方法(ii)としては、例えば、耐圧性の釜等を用いて、重合工程で得られた重合反応混合物をそのまま加熱する方法等が挙げられる。加熱温度としては、好ましくは100℃以上、更に好ましくは150℃以上である。加熱時間としては、好ましくは1〜20時間の範囲内、より好ましくは2〜10時間の範囲内である。加熱温度が低いと、あるいは、加熱時間が短いと、環化縮合反応率が低下するので好ましくない。また、加熱時間が長すぎると、樹脂の着色や分解が起こる場合があるので好ましくない。
上記方法(i)、(ii)ともに、条件によっては加圧下となっても何ら問題はない。また、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際には、溶剤の一部が反応中に自然に揮発しても何ら問題ではない。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の終了時、即ち、脱揮工程開始直前における、ダイナミックTG測定における150〜300℃の間での質量減少率は、2%以下が好ましく、より好ましくは1.5%以下であり、更に好ましくは1%以下である。質量減少率が2%より高いと、続けて脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行っても、環化縮合反応率が十分高いレベルまで上がらず、得られるラクトン環含有紫外線吸収性樹脂の物性が低下する恐れがある。
本実施の形態に係る紫外線吸収性樹脂は、種々の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;フェニルサリチレート、(2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;難燃剤;等が挙げられる。
本実施の形態に係る紫外線吸収性樹脂は、酸化防止剤を含むことが好ましい。酸化防止剤としては特に限定されるものではないが、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の公知の酸化防止剤を単独で用いても2種類以上併用してもよい。その中でも、特に、同一分子内にアクリレート基とフェノール性水酸基とを有する構造のものが好ましく、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート(住友化学工業(株)製、商品名:スミライザーGS)が高温成型時の劣化を防ぐために好ましい。
紫外線吸収性樹脂における上記添加剤の含有割合は、好ましくは0〜5質量%の範囲内、より好ましくは0〜2質量%の範囲内、更に好ましくは0〜0.5質量%の範囲内である。上記添加剤は、後述する押出し機に紫外線吸収性樹脂を投入する前に、添加していてもよいし、該押出し機に紫外線吸収性樹脂を投入する際に同時に添加してもよいし、該押出し機に紫外線吸収性樹脂を投入した後に添加してもよい。
本実施の形態に係る紫外線吸収性樹脂は、好ましくはガラス転移温度が110〜170℃の範囲内であることが好ましく、120〜160℃の範囲内であることがより好ましく、130〜150℃の範囲内であることが更に好ましい。
本実施の形態に係る紫外線吸収性樹脂は、含まれる残存揮発分の総量が、好ましくは2000ppm以下、より好ましくは1500ppm以下、更に好ましくは1000ppm以下である、残存揮発分の総量が2000ppmよりも多いと、成形時の変質等によって着色したり、発泡したり、シルバーストリーク等の成形不良の原因になることがある。
ここで残存揮発分とは、紫外線吸収性樹脂に含まれる低分子量の有機成分のことであり、具体的には紫外線吸収性樹脂の製造工程並びに紫外線吸収性樹脂の製造工程中に使用した有機溶媒、生成した副生成物、紫外線吸収性樹脂の解重合等により生成したモノマー、残存モノマーのことをいう。
本実施の形態に係る紫外線吸収性樹脂は、後述するポリマーフィルタによる濾過を行うことにより、1グラムあたりに含まれる粒子径20μm以上の異物が100個以下とすることができる。
(II)押出し機
上記押出し機2は、濾過精度が20μm以下であるポリマーフィルタ4を備えている。上記押出し機2としては、従来公知の押出し機を用いることができ、例えば、単軸押出し機や二軸押出し機を用いることができる。上記押出し機2は、図1に示すようにベント3を備えていることがより好ましい。
上記押出し機2内の紫外線吸収性樹脂は、押出し機内での加熱せん断に加えて、高濾過精度を有するフィルター部での加熱せん断も加わるため、紫外線吸収性樹脂中に残存する揮発性物質や、分解により生じる揮発性物質の影響で工程中での成形材料の発泡や着色等の不具合が生じ易く、また、成形品中に残存揮発物が多く含まれ易くなる。このため、上記押出し機2にベント3を設けることにより、より安定した生産が可能となり、かつ得られる成形材料中における含有揮発物量が抑制される。紫外線吸収性樹脂が(メタ)アクリル酸等のアクリル系モノマー由来の構造を有する場合には、アクリル系モノマー由来の構造は解重合を起こし易いため、上記押出し機2にベント3を設けることがより好ましい。また、ベントは複数設けてもよい(図示せず)。
上記ベント3内の圧力は、150torr以下であることが好ましく、50torr以下であることがより好ましい。また、二軸押出し機を用いる場合には、ポリマーフィルタ4と押出し機2との間にギアポンプ(図示せず)を設置することがより好ましい。
上記押出し機2のシリンダー温度は、処理量や回転数等によって適宜設定され、例えば、220〜300℃の範囲内の温度に設定することができる。上記押出し機2内における紫外線吸収性樹脂の温度は、好ましくは250℃以上であり、270℃以上であることがより好ましい。また、310℃以下であることが好ましく、300℃以下であることがより好ましく、290℃以下であることが特に好ましい。
メタクリル樹脂等のような、主鎖が脂肪族化合物からなる熱可塑性樹脂を押出し成型する場合、一般的には、310〜440°F(154〜227℃)の範囲内の温度で行われ、耐熱グレードであっても325〜450°F(163〜232℃)の範囲内の温度で行われ、乾燥が十分である場合には、溶融温度が高すぎると発泡等の不具合が生じる(「プラスチックの押出し成形とその応用」(澤田慶司著、(株)誠文堂新光社、昭和46年7月1日発行)、224〜226頁参照)。
また、「透明プラスチック成型材料グレード便覧」(合成樹脂工業新聞社、1988年版)の234〜237頁には、各社のアクリル樹脂グレードの記載があるが、射出成型での標準成型温度は180〜270℃の範囲内であり、最も高い温度で270℃である。1サイクルの時間が短く、熱履歴を受ける時間が短い射出成型であっても、通常270℃までしか温度を上げない。つまり、本実施の形態に係る紫外線吸収性樹脂の製造方法では、従来の条件と比較して非常に高い温度で押出し成型を行う。これにより、後述するポリマーフィルタで濾過を行うことが可能となり、異物を低減することができる。言い換えれば、従来では、押出し成型及び濾過時の温度を低く設定していたため、濾過をする樹脂の粘度が高くなり、濾過精度が20μm以下であるポリマーフィルタでは濾過を行うことができなかった。
上記押出し機2内における紫外線吸収性樹脂の粘度は、剪断速度が100/secにおける樹脂溶融粘度が1000Pa・sec以下であることが好ましく、700Pa・sec以下であることがより好ましく、600Pa・sec以下であることが特に好ましい。
(III)ポリマーフィルタ
上記ポリマーフィルタ4としては、濾過精度が1μm以上20μm以下の範囲内であることが好ましく、1μm以上10μm以下の範囲内であることがより好ましく、1μm以上3μm以下の範囲内であることが更に好ましい。濾過精度が1μm未満であると、濾過滞留時間が長くなり、生産効率が低下するため好ましくない。また、濾過滞留時間が長くなると、紫外線吸収性樹脂等が熱劣化し易くなるため、異物の増加を招く恐れがある。また、濾過精度が20μmを超えると、異物が混入し易くなるため好ましくない。
上記ポリマーフィルタ4は、上記範囲内の濾過精度を有するポリマーフィルタであれば特には限定されず、従来公知のポリマーフィルタを使用することができる。上記ポリマーフィルタ4としては、例えば、リーフディスクタイプのポリマーフィルタ、パックディスクフィルタ、円筒型フィルタ、キャンドル状フィルタ等が挙げられる。これらの中では、濾過面積が広く、高粘度の樹脂を濾過した場合でも圧力損失が少ないため、リーフディスクタイプのポリマーフィルタがより好ましい。
上記ポリマーフィルタ4がリーフディスクタイプのポリマーフィルタである場合、フィルタとしては、金属繊維不織布を焼結した材料からなるもの、金属粉末を焼結した材料からなるもの、金網を数枚積層したもの等が挙げられる。これらの中では、金属繊維不織布を焼結した材料からなるものがより好ましい。
上記ポリマーフィルタ4における時間当たりの樹脂処理量に対する濾過面積は、処理量に応じて適宜選択されるため、特には限定されず、例えば、0.001〜0.15m/(kg/h)とすることができる。
上記ポリマーフィルタ4での濾過において、ポリマーフィルタ4内部の温度(紫外線吸収性樹脂の温度)は、250℃以上であることが好ましく、270℃以上であることがより好ましい。また、310℃以下であることが好ましく、300℃以下であることがより好ましく、290℃以下であることが更に好ましい。
上記ポリマーフィルタ4での濾過時における、紫外線吸収性樹脂の粘度(剪断速度100/sで測定した場合)は、上述した押出し機2内における紫外線吸収性樹脂の粘度と同じ範囲内であることが好ましい。
上記ポリマーフィルタ4による濾過時における紫外線吸収性樹脂の滞留時間は、20分以下が好ましく、10分以下がより好ましく、5分以下が更に好ましい。また、上記ポリマーフィルタ4での濾過時におけるフィルタの入口圧は、例えば3〜15MPaの範囲内、フィルタの出口圧は、例えば0.3〜10MPaの範囲内とすることができる。また、フィルタにおける圧力損失は、1〜15MPaの範囲内であることが好ましい。圧力損失が1MPa未満では、溶融した紫外線吸収性樹脂がポリマーフィルタ4を通過する流路に偏りが生じ易く、濾過後の紫外線吸収性樹脂の品質の低下が起こる傾向がある。逆に、圧力損失が15MPaを超えると、フィルタの破損が起こり易くなる。
尚、ポリマーフィルタ4で濾過を行う前に、紫外線吸収性樹脂等の原料1は、予め別のフィルターで処理を行うことがより好ましい。これにより、ポリマーフィルタで4の濾過で除去すべき異物の量が減るため、より短時間でポリマーフィルタ4による濾過を行うことができる。また、ポリマーフィルタ4による濾過時間が短縮できるだけではなく、異物をより効率よく取り除くことができるため、得られた紫外線吸収性樹脂の異物の量はより低減される。
(IV)冷却水
上記冷却水5は、上記ポリマーフィルタ4を通過後の紫外線吸収性樹脂を冷却するために設けられている。冷却水5の水温は30〜80℃の範囲内であることが好ましく、40〜70℃の範囲内であることがより好ましく、50〜60℃の範囲内であることが特に好ましい。水温が30℃未満では、ペレット化した際に気泡を含有しやすく、また、後述するペレタイザ6によるカッティングの際に微粉が生じ易い。逆に、水温が80℃を超えると、成型したペレットが十分に冷却されないため、ブロッキング等の不具合が生じ易くなる。
(V)ペレタイザ
上記ペレタイザ6としては、従来公知のペレタイザを用いることができ、例えば、ストランドをカットする一般的なストランドペレタイザ、ダイスの出口で半溶融状態でカットするホットカットタイプのペレタイザ等を用いることができる。
ペレット化した紫外線吸収性樹脂は、その後、タンク7を経て充填容器8の中に充填される。
尚、ペレタイズ後に、ペレットは除鉄機による金属異物の除去、篩による微粉、ミスペレット品等の除去を行うことが望ましい。
ペレット粒子径は特には限定されないが、長さ及び断面直径共に4mm以下が好ましい。
また、充填タンク(タンク7)、配管、搬送容器等を含む、紫外線吸収性樹脂が接触する全てのものに、高いレベルの清浄度が要求され、作業環境中の空気、圧送等の輸送等に用いられる空気はヘパフィルタ等で清浄化されたエアー(空気)が用いられる。
充填容器8としては、特には限定されず、アルミ袋、コンテナー、タンクローリー等が挙げられる。
本実施の形態に係る紫外線吸収性樹脂、特に、ラクトン環含有紫外線吸収性樹脂は、透明性や耐熱性に優れるのみならず、低着色性、機械的強度、成型加工性等の所望の特性を備えるため、例えば、光学レンズ、光学フィルム、光学ディスク等の光学用途に有用である。これらの中でも特に、光学レンズ、光学フィルムが好ましい。
本実施の形態に係る紫外線吸収性樹脂は、用途に応じて様々な形状に成形することができる。形成可能な形状としては、例えば、フィルム、シート、プレート、ディスク、ブロック、ボール、レンズ、ロッド、ストランド、コード、ファイバー等が挙げられる。成形方法としては、従来公知の形成方法の中から形状に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
尚、上述の説明では、押出機2に固体の原料1を投入して溶融混練する場合について説明したが、これに限るものではない。重合液を押出機2で脱揮し、押出機出口に設けたポリマーフィルタ4により濾過してもよい。
また、上述の説明では、ペレタイザ6によりペレットに成形する場合について説明したが、これに限るものではない。ペレット成形を行わずに、例えば、押出機出口に直接T−ダイを設置する等により成形してもよい。
また、上述の説明では、冷却水5を用いてペレット成形を行う場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、センターホットカッター等の装置をポリマーフィルタ4の直後に設置すれば、水浴(冷却水5)を用いなくてもペレット成形を行うことができる。
つまり、濾過精度が20μm以下であるポリマーフィルタ4を備えた押出し機2を用い、剪断速度が100/secにおける樹脂溶融粘度が1000Pa・sec以下となる条件で、紫外線吸収性樹脂を濾過精製する工程を包含していれば、本実施形態とほぼ同様の効果が得られる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔実施例〕
以下に、実施例及び比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<ガラス転移温度>
紫外線吸収性樹脂の熱分析は、試料約10mg、昇温速度10℃/min、窒素フロー50cc/minの条件で、DSC((株)リガク社製、装置名:DSC−8230)を用いて行った。尚、ガラス転移温度(Tg)は、ASTM−D−3418に従い、始点法により求めた。
<溶融粘度の測定>
紫外線吸収性樹脂の溶融粘度は、ボーリンインストルメンツ社製キャピラリーレオメーターRH10を用い、直径1mm、長さ16mmのダイスにて測定した。
<異物数の測定>
得られたペレット5gを100mLのクロロホルムに溶解し、パーティクルカウンタ(パマス社製、型式:SVSS−C、センサー仕様:HCB−LD−50/50)を用いて測定した。尚、長径が20μm以上のものを異物としてカウントした。
<ダイナミックTG>
紫外線吸収性樹脂(若しくは重合体溶液あるいはペレット)を一旦テトラヒドロフランに溶解若しくは希釈し、過剰のヘキサン若しくはメタノールへ投入して再沈殿を行い、取り出した沈殿物を真空乾燥(1mmHg(1.33hPa)、80℃、3時間以上)することによって揮発成分等を除去し、得られた白色固形状の樹脂を以下の方法(ダイナミックTG法)で分析した。
測定装置:Thermo Plus2 TG−8120 Dynamic TG((株)リガク社製)
測定条件:試料量 5〜10mg
昇温速度:10℃/min
雰囲気:窒素フロー 200ml/min
方法:階段状等温制御法(60℃〜500℃の間で質量減少速度値0.005%/sec以下で制御)
<ラクトン環構造単位の含有割合>
ラクトン環構造単位の含有割合は、以下のようにして求めた。
最初に、重合で得られた重合体組成から全ての水酸基がメタノールとして脱アルコールした際に起こる質量減少を基準とし、ダイナミックTG測定において質量減少が始まる前の150℃から、重合体の分解が始まる前の300℃までの間の脱アルコール反応による質量減少から脱アルコール反応率を求めた。
ここで、ラクトン環構造を有する重合体のダイナミックTG測定において150℃から300℃までの間の質量減少率の測定を行い、得られた実測質量減少率を(X)とする。一方、当該重合体の組成から、全ての水酸基が脱アルコールすると仮定した場合の理論質量減少量(即ち、重合体の組成において、起こりうる脱アルコール反応が100%起きたと仮定して算出した質量減少量)を(Y)とする。
尚、理論質量減少量(Y)は、より具体的には、重合体中の脱アルコール反応に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体のモル比、即ち当該重合体組成における上記原料単量体の含有率から算出することができる。
そして、下記式
脱アルコール反応率=(1−(実測質量減少率(X)/理論質量減少量(Y))
から脱アルコール反応率を求めることができる。
一例として、後述する実施例1で得られる紫外線吸収性樹脂(A−2)におけるラクトン環構造の占める割合を計算する。紫外線吸収性樹脂(A−2)の理論質量減少量(Y)は、メタノールの分子量は32であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの分子量は116であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの重合体中の含有率(質量比)は組成上15.0質量%であるから、(32/116)×15.0≒4.14質量%となる。
一方、ダイナミックTG測定による紫外線吸収性樹脂(A−2)の実測質量減少率(X)は0.16質量%であった。これらの値を上記脱アルコール反応率の式に当てはめると、
(1−(0.16/4.14))≒0.961
であり、脱アルコール反応率は96.1%となる。
そして、上記脱アルコール反応率の分だけラクトン環化反応が行われたと仮定して、下記式
ラクトン環の含有割合(質量%)=B×A×M/M
(式中、Bは、ラクトン環化に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体の当該共重合に用いられた単量体組成における質量含有割合であり、Mは生成するラクトン環構造単位の式量であり、Mはラクトン環化に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体の分子量であり、Aは脱アルコール反応率である)
により、ラクトン環含有割合を算出することができる。
例えば、実施例1の場合、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの紫外線吸収性樹脂(A−2)における含有率が15.0質量%、算出した脱アルコール反応率が96.1%、分子量が116の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルがメタクリル酸メチルと縮合した場合に生成するラクトン環構造単位の式量が170であることから、紫外線吸収性樹脂(A−2)におけるラクトン環の含有割合は16.4(=15.0×0.961×170/116)質量%となる。
<樹脂中の揮発分測定>
樹脂中に含まれる残存揮発分量は、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、装置名:GC−14A)を用いて測定を行った。
<380nmの光線透過率>
分光光度計(島津製作所社製、装置名:UV−3100)により、15質量%クロロホルム溶液として、石英セル(光路長1cm)を用いた際の、380nmの透過率を測定した。
〔実施例1〕
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた容量30Lの釜型反応器に、7,800gのメタクリル酸メチル(MMA)、1,500gの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、700gのRUVA−93(大塚化学(株)製)10,000gのトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温し、還流したところで、重合開始剤として10.0gのt−アミルパーオキシイソノナノエート(ルパゾール570、アトフィナ吉富(株)製)を添加すると同時に、20.0gのt−アミルパーオキシイソノナノエートと100gのトルエンとからなる溶液を2時間かけて滴下しながら、還流下、約105〜110℃で溶液重合を行い、更に4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、10gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(Phoslex A−18、堺化学工業(株)製)を加え、還流下、約90〜110℃で5時間、環化縮合反応を行い、重合体溶液(A−1)を製造した。
次に、濾過精度が5μmのリーフディスク型ポリマーフィルタ(5inch、5枚、長瀬産業製)を備え、リアベント数1個、フォアベント数4個を備えたベントタイプスクリュー二軸押出し機に、樹脂量換算で2.0kg/hの処理速度で上記重合体(紫外線吸収性樹脂)溶液(A−1)を導入し、脱揮処理行うと同時にポリマーフィルタ処理を行った。
尚、上記処理の際に、第三フォアベントと第四フォアベントとの中間で、発泡抑制剤(失活剤)としてオクチル酸亜鉛(ニッカオクチックス亜鉛18%、日本化学産業(株)製)のトルエン溶液と、酸化防止剤としてスミライザーGS(住友化学工業(株)製)のトルエン溶液とを、得られる紫外線吸収性樹脂に対してオクチル酸亜鉛が質量比で850ppm、スミライザーGSが5,000ppmとなるように注入した。
この時のポリマーフィルタ内の温度は260℃であり、当該温度での、せん断速度100/secにおける樹脂溶融粘度は760Pa・secであった。
二軸押出し機の先端部に備えたダイスを通過後、孔径1μmのフィルタ(オルガノ社製、製品名:ミクロポアフィルタ1EU)で濾過され、60±5℃の範囲内の温度に保持した冷却水を満たした水槽により、ストランドを冷却し、切断機(ペレタイザ)に導入することで紫外線吸収性樹脂(A−2)のペレットを得た。尚、ペレットの生産中、ダイスから切断機までの環境清浄度は、5000以下(米国連邦規格 FED−STD−209E)となるようにクリーンスペースを設けた。
得られた紫外線吸収性樹脂(A−2)のガラス転移温度は123℃であり、異物の数は25個/gであった。また、380nmにおける光線透過率は23%であった。
また、紫外線吸収性樹脂(A−2)中に含まれるメタクリル酸メチル(残存揮発分)量は、950ppm(質量換算)であり、ダイナミックTG測定での質量減少は0.16質量%であった。
〔実施例2〕
リアベント数1個、フォアベント数4個を備えたベントタイプスクリュー二軸押出し機に、実施例1で得られた重合体溶液(A−1)を、樹脂換算で2.0kg/hの処理速度で導入し、脱揮処理を行い、押出されたストランドをペレタイズすることによりペレット(B−2)を得た。
得られたペレット(B−2)のガラス転移温度は124℃であり、ダイナミックTG測定での質量減少は0.18質量%であった。
発泡抑制剤(失活剤)として酢酸亜鉛400ppm、酸化防止剤としてスミライザーGS(住友化学工業(株)製)3,000ppmと共に、得られたペレット(B−2)とアクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂(スタイラックAS783、旭化成ケミカルズ(株)製)とを質量比で90:10の割合で、濾過精度が5μmのリーフディスク型ポリマーフィルタ(5inch、5枚、長瀬産業製)を備えたベントタイプスクリュー単軸押出し機に導入して、混錬脱揮すると同時にポリマーフィルタ処理を行った。
この時のポリマーフィルタ内の温度は260℃であり、当該温度での、せん断速度100/secにおける樹脂溶融粘度が720Pa・secであった。
二軸押出し機の先端部に備えたダイスを通過後、孔径1μmのフィルタ(オルガノ社製、製品名:ミクロポアフィルタ1EU)で濾過され、60±5℃の範囲内の温度に保持した冷却水を満たした水槽により、ストランドを冷却し、切断機(ペレタイザ)に導入することで紫外線吸収性樹脂(B−3)のペレットを得た。尚、ペレットの生産中、ダイスから切断機までの環境清浄度は、5000以下となるようにクリーンスペースを設けた。
得られた紫外線吸収性樹脂(B−3)のガラス転移温度は121℃であり、異物の数は16個/gであった。また、紫外線吸収性樹脂(B−3)中に含まれるメタクリル酸メチル(残存揮発分)量は、1,100ppm(質量換算)であった。380nmの光線透過率は25%であった。
〔実施例3〕
ベントタイプスクリュー単軸押出し機の替わりに、ベントを備えない単軸押出し機を用いたこと以外は実施例2と同様に操作を行い、紫外線吸収性樹脂(D−3)のペレットを得た。
得られた紫外線吸収性樹脂(D−3)のガラス転移温度は120℃であり、異物の数は26個/gであった。また、紫外線吸収性樹脂(D−3)中に含まれるメタクリル酸メチル(残存揮発分)量は、2,150ppm(質量換算)であった。
〔比較例1〕
リーフディスク型ポリマーフィルタとして、濾過精度が25μmのリーフディスク型ポリマーフィルタを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、紫外線吸収性樹脂(C−2)を製造した。
得られた紫外線吸収性樹脂(C−2)のガラス転移温度は124℃であり、異物の数は2,000個/gであった。また、紫外線吸収性樹脂(C−2)中に含まれるメタクリル酸メチル(残存揮発分)量は、350ppm(質量換算)であった。
〔比較例2〕
実施例1の重合体溶液(A−1)を、濾過精度が5μmのリーフディスク型ポリマーフィルタ(5inch、5枚、長瀬産業製)を備え、リアベント数1個、フォアベント数4個を備えたベントタイプスクリュー二軸押出し機を用い、樹脂量換算で2.0kg/hの処理速度で上記重合体溶液(A−1)を導入した。この時のポリマーフィルタ内の温度は240℃であり、当該温度での、せん断速度100/secにおける樹脂溶融粘度が1,800Pa・secであった。その結果、上記重合体溶液(A−1)を導入した直後に、フィルタ部で昇圧が起こり、樹脂ペレットを得ることができなかった。
本発明に係る紫外線吸収性樹脂、特に、ラクトン環含有紫外線吸収性樹脂は、透明性や耐熱性に優れているのみならず、低着色性、機械的強度、成型加工性等の所望の特性を備えると共に、異物数が少ない。このため、光学用途等に幅広く使用することができ、特に光学材料に関連する分野で好適に用いることができる。
本実施形態に係る紫外線吸収性樹脂の製造方法で用いる装置の概略構成を示す平面図である。
符号の説明
1 原料
2 押出し機
4 ポリマーフィルタ

Claims (8)

  1. 濾過精度が20μm以下であるポリマーフィルタを備えた押出し機を用い、剪断速度が100/secにおける樹脂溶融粘度が1000Pa・sec以下となる条件で、紫外線吸収性樹脂を濾過精製する工程を包含することを特徴とする紫外線吸収性樹脂の製造方法。
  2. 上記濾過精製する工程において、ポリマーフィルタ内部の温度が250℃以上310℃以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の紫外線吸収性樹脂の製造方法。
  3. 上記ポリマーフィルタが、リーフディスクタイプのポリマーフィルタであることを特徴とする請求項1又は2に記載の紫外線吸収性樹脂の製造方法。
  4. 上記紫外線吸収性樹脂が、ベンゾトリアゾール構造を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の紫外線吸収性樹脂の製造方法。
  5. 上記紫外線吸収性樹脂が、ラクトン環構造を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の紫外線吸収性樹脂の製造方法。
  6. 上記ラクトン環構造が、下記一般式
    Figure 2009040937
    (式中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の有機残基を表し、有機残基は、炭素数1〜20の直鎖状、枝分かれ鎖状、若しくは環状のアルキル基であり、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい)
    で表される構造であることを特徴とする請求項5に記載の紫外線吸収性樹脂の製造方法。
  7. 1グラムあたりに含まれる粒子径20μm以上の異物が100個以下であることを特徴とする紫外線吸収性樹脂。
  8. 光学用途で用いられることを特徴とする請求項7に記載の紫外線吸収性樹脂。
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