JPH0885729A - 帯電防止性熱可塑性樹脂積層成形体 - Google Patents

帯電防止性熱可塑性樹脂積層成形体

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JPH0885729A
JPH0885729A JP6221626A JP22162694A JPH0885729A JP H0885729 A JPH0885729 A JP H0885729A JP 6221626 A JP6221626 A JP 6221626A JP 22162694 A JP22162694 A JP 22162694A JP H0885729 A JPH0885729 A JP H0885729A
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weight
acid
resin
thermoplastic resin
antistatic
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JP6221626A
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Yu Tsukada
佑 塚田
Masahiro Miyauchi
雅弘 宮内
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基材に用いる熱可塑性樹脂が本来備えている
特性を損なうことなく、より優れた帯電防止性を備えた
積層成形体を提供しようとするものである。 【構成】 基材の熱可塑性樹脂の少なくとも片面に、ア
クリル系樹脂(A)、ポリエーテルエステルアミド
(B)、五員環及び/又は六員環からなるカルボン酸無
水物含有メタクリル系樹脂(C)並びに有機スルホン酸
塩及び有機リン酸塩の中から選ばれた少なくとも1種類
の化合物(D)を特定割合で配合してなる樹脂組成物を
5〜500μmの厚さで積層させてなる熱可塑性帯電防
止性積層成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、持続的帯電防止性能を
有し、かつ、基材が元来持つ性能を保持した帯電防止性
熱可塑性樹脂積層成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル樹脂などの高分子材料は、その
優れた特性によって広範囲な分野で利用されている。こ
れらの材料に持続的帯電防止性能を付与できれば、さら
に用途が拡大できる。例えば、店装デスプレー、照明器
具、プロジェクションテレビの前面板、ゲーム器内装、
OA機器銘板、自動車計器カバー等の用途に極めて有用
である。
【0003】高分子材料の帯電防止性能を付与させる方
法として、例えば特開平4−71844号公報、特開平
5−84875号公報にはアクリル樹脂にポリエーテル
エステルアミドを配合した層を基材のアクリル樹脂の片
面又は両面にもうけた帯電防止性積層シートが開示され
ているが、これらの成形体の帯電防止性能を更に向上さ
せるにはポリエーテルエステルアミドの濃度を増量する
必要がある。しかしながら、増量すると表面硬さ、表面
の平滑性や光学特性(曇り)が悪化するなど品質が低下
するという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、熱可
塑性樹脂に帯電防止性を付与し、基材に用いる熱可塑性
樹脂が本来備えている性質、例えば外観、強度、剛性、
光学特性、耐衝撃性などを低下させることなく優れた帯
電防止性をそなえた積層成形体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂の
少なくとも片面に特定の厚みを有する樹脂組成物の層を
設けた成形体において、表面硬さや光学特性(曇り)な
どを劣化させることなく優れた帯電防止性能を得る方法
として、上記樹脂組成物に五員環及び/又は六員環から
なるカルボン酸無水物含有メタクリル系樹脂をある特定
の濃度を加えると驚くべき効果が見い出し、本発明に到
達した。
【0006】即ち、本発明は、アクリル系樹脂(A)4
5〜96.9重量%、ポリエーテルエステルアミド
(B)3〜40重量%、並びに五員環及び/又は六員環
からなるカルボン酸無水物を1〜20重量%含有するメ
タクリル系樹脂(C)0.1〜15重量%からなる組成
物100重量部に対し、有機スルホン酸塩及び有機リン
酸塩の中から選ばれた少なくとも1種類の化合物(D)
を0.1〜5重量部含有する組成物を、基材の熱可塑性
樹脂の少なくとも片面に、5〜500μmの厚さで積層
させてなる熱可塑性帯電防止性積層成形体である。
【0007】本発明は、積層部にポリエーテルエステル
アミド(B)を含有し帯電防止性能を有する積層成形体
に関するものである。充分な帯電防止性を得るためには
ポリエーテルエステルアミドの濃度を上げる必要がある
が、ポリエーテルエステルアミドの濃度を上げることに
より成形体の表面は傷つきやすくなったり、平滑性、光
学特性がそこなわれてくる。
【0008】積層部のマトリックスであるアクリル系樹
脂(A)とポリエーテルエステルアミド(B)は相溶性
を欠き、通常のTダイ押出、環状ダイ押出の場合、以下
の問題がある。マトリックスに分散したポリエーテルエ
ステルアミドの分散形態は濃度を変えることにより変化
する。一般にポリエーテルエステルアミドの濃度が低け
ればポリエーテルエステルアミドはマトリックスに0.
1μm前後の粒状の形で分散しているが、ポリエーテル
エステルアミドの表層部での密度は低く帯電防止性能は
悪くなる。ポリエーテルエステルアミドの濃度を徐々に
増やしていくと粒状に分散したなかに線状集合体が部分
的に増えてくる。成形体の表層部近くのポリエーテルエ
ステルアミドが線状化したところは帯電防止性能は良化
する。
【0009】広巾シートを生産する大型の共押出ダイで
は、ダイ巾方向の吐出される場所により、均一なポリエ
ーテルエステルアミドのモルホロジーを得るのは現状で
は難しく、帯電防止性能を良化するには大巾なポリエー
テルエステルアミドの増量が必要になる。そこでポリエ
ーテルエステルアミドの濃度を上げずにマトリックスの
分散性をより均一にし成形体表面近くでもポリエーテル
エステルアミド粒子が効率よく高い密度に分散し高帯電
防止性能化する方法を鋭意検討した結果、アクリル樹脂
(A)とポリエーテルエステルアミド(B)の相容化剤
として五員環及び/又は六員環からなるカルボン酸無水
物を含むメタクリル系樹脂が有効であることを見い出し
た。
【0010】本発明の積層部に用いる帯電防止性能を有
する組成物として、その一例が特開平2−283748
号公報に示されている。本発明の積層部に使用されるア
クリル系樹脂(A)としては、メチルメタクリレートを
主体とする樹脂が挙げられ、これにはメチルメタクリレ
ート単独重合体及びメチルメタクリレートとメチルアク
リレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレ
ート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート
等のアルキルアクリレート、アクリロニトリル、アクリ
ル酸、(メタ)アクリル酸、ビニルピリジン、ビニルモ
ルホリン、ビニルピリドン、テトラヒドロフルフリルア
クリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレー
ト、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシ
(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)ア
クリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、無
水マレイン酸、スチレン、αメチルスチレンもしくはフ
ェニルメタアクリレート、シクロヘキシルアクリレー
ト、4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、フェ
ニルアクリレート、4−t−ブチルフェニルアクリレー
ト、ベンジルアクリレート、ベンジルメタアクリレー
ト、2−フェニルエチルアクリレート、2−フェノキシ
エチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレ
ート等の共重合可能な単量体のいずれか一つ以上との共
重合体が含まれる。共重合比率は特にこだわらない。更
に耐衝撃性アクリル樹脂、低吸湿性アクリル樹脂等も含
まれるが、これらの樹脂は単独で用いても二種類以上を
ブレンドしてもかまわない。
【0011】耐衝撃性アクリル樹脂のゴム弾性体は、特
開昭53−58554号公報、特開昭55−94917
号公報、特開昭61−32346号公報等に開示されて
いるが、簡単に説明すると、アクリル系重合体芯材料の
周りに弾性体層及び非弾性体層を交互に生成させる多段
逐次重合法によって製造される多段重合体である。更に
詳しくは、メチルメタクリレートを主成分とする重合体
芯材料の周りに、アクリルアクリレートを主成分とする
重合体弾性層及びメチルメタクリレートを主成分とする
非弾性層を、球状に交互に有するアクリル系多段(多
層)重合体であり、平均粒子径は0.06〜0.5μm
であることが望ましい。また、弾性層と非弾性層との中
間に、メチルメタクリレートが徐々に増加するような中
間層を有するアクリル系多段(多層)重合体も有効であ
る。耐衝撃性アクリル樹脂中のこれら多段(多層)重合
体の割合は3〜70重量%で、好ましくは5〜50重量
%である。
【0012】低吸湿アクリル樹脂は、例えば特開昭58
−113214号公報、特開昭59−227909号公
報、特開平1−178511号公報等に記載されている
メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレー
ト、炭素数8〜20の脂環式メタクリレート、炭素数3
〜8のアルキルメタクリレート、モノアルケニル芳香族
単量体、アルキルアクリレートなどの共重合体であり、
アクリル樹脂の吸湿性を改良したものである。
【0013】本発明に用いられるアクリル系樹脂の含有
量は(A)、(B)及び(C)成分の合計重量に基づき
45〜96.9重量%、好ましくは65〜94.8重量
%の範囲にあることが必要である。この量が45重量%
未満では表面硬さが劣り、傷つき易くなったり、また、
帯電防止性能の改良効果が充分でない。さらに96.9
重量%を超える値では帯電防止性能が劣る。本発明の積
層部に使用されるポリエーテルエステルアミド(B)と
しては次のものが用いられる。(a)炭素数6以上のア
ミノカルボン酸、ラクタム、又は炭素数4以上のジアミ
ンとジカルボン酸との塩、(b)数平均分子量400〜
4000のポリ(アルキレンオキシド)グリコール及び
α,ωージヒドロキシ炭化水素の中から選ばれる少なく
とも1種のジオール類、(c)炭素数4〜16のジカル
ボン酸からなるものである。
【0014】即ち、本発明で用いられるポリエーテルエ
ステルアミド(B)の構成成分である(a)炭素数6以
上のアミノカルボン酸、ラクタム、又は炭素数4以上の
ジアミンとカルボン酸の塩としては、ω−アミノカプロ
ン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、
ω−アミノベルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−
アミノウンデカン酸及び12−アミノドデカン酸などの
アミノカルボン酸、カプロラクタム、エナントラクタ
ム、カプリルラクタム及びラウロラクタムなどのラクタ
ム、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩、ヘキサメ
チレンジアミン−セバシン酸塩及びヘキサメチレンジア
ミン−イソフタル酸塩などのジアミン−ジカルボン酸の
塩が用いられ、特にカプロラクタム、12−アミノドデ
カン酸、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩が好ま
しく用いられる。
【0015】また、(a)炭素数6以上のアミノカルボ
ン酸、ラクタム、又は炭素数4以上のジアミンとジカル
ボン酸の塩は、ポリエーテルエステルアミドの構成単位
として10〜70重量%の範囲で用いられるのが好まし
い。10重量%未満ではポリエーテルエステルアミドの
機械的性質が劣り、70重量%を超える場合は得られる
樹脂の帯電防止性が劣り好ましくない。
【0016】ポリエーテルエステルアミドの他の構成成
分である(b)ポリ(アルキレンオキシド)及びα,ω
ージヒドロキシ炭化水素の中から選ばれる少なくとも一
種のジオール類として具体例を挙げれば、ポリ(アルキ
レンオキシド)としては、例えばポリエチレングリコー
ル、ポリ(1,2プロピレンオキシド)グリコール、ポ
リ(1,3プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テ
トラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチ
レンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピ
レンオキシドのブロック、又はランダム共重合体など
が、また、α,ω−ジヒドロキシ炭化水素としては例え
ばオレフィンやブタジエンを重合して末端を水酸基化
し、かつその二重結合を水添して得られるポリオレフィ
ングリコールや水添ポリブタジエングリコール、1,3
−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフ
ェノール類のアルキレンオキシド付加物等がある。これ
らの中でも、制電性が優れる点で、特にポリエチレング
リコールが好ましく用いれれる。
【0017】ポリ(アルキレンオキシド)グリコール及
びα,ωージヒドロキシ炭化水素の数平均分子量は、好
ましくは400〜4000、特に好ましくは600〜2
000の範囲で用いられるれる。数平均分子量が400
未満では得られるポリエーテルエステルアミドの機械的
性質が劣り、数平均分子量が4000を超える場合は、
帯電防止性が不足するため好ましくない。
【0018】ポリエーテルエステルアミド(B)の他の
構成成分である(c)炭素原子数4〜16のジカルボン
酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,
7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,6′−ジカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸及び3−スルホイ
ソフタル酸ナトリウムのごとき芳香族ジカルボン酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロ
ヘキサンジカルボン酸及びジシクロヘキシル−4,4′
−ジカルボン酸のごとき脂環族ジカルボン酸、コハク
酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸及びドデカン酸
(デカンジカルボン酸)のごとき脂肪族ジカルボン酸な
どが挙げられ、特にテレフタル酸、イソフタル酸、1,
4−シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、アジピ
ン酸及びドデカンジカルボン酸が、重合性、色調及び物
性の点から好ましく用いられている。(b)ポリ(アル
キレンオキシド)グリコール又はα,ωージヒドロキシ
炭化水素と(c)ジカルボン酸は、反応上は1:1のモ
ル比で反応するが、使用するカルボン酸の種類に応じて
通常仕込み比を変えて供給される。このポリエーテルエ
ステルアミドの含有量は(A)、(B)及び(C)成分
の合計重量に基づき3〜40重量%、好ましくは5〜2
5重量%である。3重量%未満では帯電防止性能が劣
り、40重量%を超える場合は表面硬さが劣り、傷つき
易くなる。
【0019】ポリエーテルエステルアミドの重合方法に
関しては特に限定されず、例えば、(イ)(a)アミノ
カルボン酸、ラクタム、又は炭素数4以上のジアミンと
ジカルボン酸の塩と(c)ジカルボン酸を反応させて、
両末端がカルボン酸基のポリアミドプレポリマーをつく
り、これに(b)ポリ(アルキレンオキシド)グリコー
ル、又はα,ω−ジヒドロキシ炭化水素を真空下で反応
させる方法、(ロ)前記(a)、(b)、(c)の各化
合物を反応槽に仕込み、水の存在下又は非存在下に高温
で加圧反応させることにより、カルボン酸末端のポリア
ミドプレポリマーを生成させ、その後、常圧又は減圧下
で重合を進める方法、及び(ハ)前記(a)、(b)、
(c)の各化合物を同時に反応槽に仕込み、溶融混合し
た後、高真空下で一挙に重合を進める方法などの公知の
方法を利用することができる。
【0020】本発明の積層部に使用される五員環及び/
又は六員環からなるカルボン酸無水物含有メタクリル系
樹脂(C)としては、その一例が特公昭61−4932
5号公報、特公昭63−1964号公報等に記載されて
いるが、炭素元素数1〜4のアルキルメタクリレート及
び、場合によってはアルキルメタクリレートとスチレン
等の芳香族ビニル化合物からなるエチレン系不飽和単量
体から誘導された単位に、無水マレイン酸のような不飽
和ジカルボン酸無水物又は六員環酸無水物(グルタル酸
無水物)単位を有するものを言う。
【0021】五員環及び/又は六員環からなるカルボン
酸無水物含有メタクリル系樹脂(C)に含まれる五員環
及び六員環カルボン酸無水物の濃度は1〜20重量%で
あることが必要であり、好ましくは3〜15重量%であ
る。1重量%未満では効果が少なく、20重量%を超え
ると五員環、六員環カルボン酸無水物の分散性が悪くな
り帯電防止性能にバラツキが発生する。ポリマーのなか
のカルボン酸無水物の濃度は表層樹脂に添加した時の分
散に関係するもので例えば成形温度が低い、あるいは樹
脂の流動性が悪い場合は添加物の分散が悪くなり効果が
発揮されない場合がある。そこでカルボン酸無水物の低
濃度物を目標濃度添加する方法をとる。分散の良い条件
の場合はカルボン酸無水物の高濃度品を少量添加するな
ど分散性、コストを考え使い分けると良い。
【0022】五員環及び、六員環からなるカルボン酸無
水物含有メタクリル系樹脂(C)の添加濃度はポリエー
テルエステルアミド(B)の添加量と関係するものでポ
リエーテルエステルアミドの量が少なければカルボン酸
無水物含有メタクリル系樹脂の量は少なくて良く、ま
た、ポリエーテルエステルアミドの量が多ければカルボ
ン酸無水物含有メタクリル系樹脂は多くすることにより
最も効果を発揮する添加範囲がある。このカルボン酸無
水物含有メタクリル系樹脂(C)の含有量は(A)、
(B)及び(C)成分の合計重量に基づき0.1〜15
重量%、好ましくは0.2〜10重量%である。0.1
重量%未満では使用効果が充分に発揮されない、また、
15重量%を越えて添加しても効果は認められない。
【0023】本発明においては帯電防止効果を更に発揮
させるために、有機スルホン酸及び有機リン酸の金属塩
(D)の添加が必要である。その具体例としては、p−
トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ド
デシルジフェニルエーテルジスルホン酸、ナフタリンス
ルホン酸、ナフタリンスルホン酸とホルマリンの縮合物
などの芳香族スルホン酸、ステアリン酸、ラウリル酸、
ポリアクリル酸などの有機カルボン酸、亜リン酸ジフェ
ニル、リン酸ジフェニルなどのアルカリ金属塩又はアル
カリ土類金属塩を挙げることができる。これらの中でナ
トリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム
塩、カルシウム塩が特に有効である。
【0024】該成分の配合量は前記(A)、(B)、
(C)成分の合計量100重量部に対して0.1〜5重
量部、好ましくは0.3〜3重量部である。0.1重量
部未満ではその使用効果が充分に発揮されず5重量部を
超えると成形表面に肌荒れが生じたり、着色したりして
好ましくない。本発明の基材に用いる熱可塑性樹脂はア
クリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
アクリル系樹脂は基材部に用いられるアクリル系樹脂と
積層部に用いられるアクリル系樹脂は同一のものでも異
なったものでもよく、積層部に用いられるアクリル系樹
脂(A)の項で説明したものであればよい。
【0025】ポリカーボネート樹脂はビスフェノールA
で代表される二価のフェノール系化合物から誘導される
重合体が用いられる。基材のポリカーボネート樹脂はポ
リカーボネート単量体でもABS樹脂(スチレンーブタ
ジエンーアクルロニトリル共重合体)とのブレンド体で
もよい。ポリカーボネート樹脂を使用した積層体の場合
でリサイクルしても透明性を維持したい場合の積層部ア
クリル系樹脂としては特開平4−361037号公報等
に開示されている単量体として前記したアクリル系樹脂
(A)のなかのフェニルメタクリレート、ベンジルアク
リレート等の炭素環式基をもったものを共重合した重合
体を積層部に用いるとよい。特にリサイクル後の透明性
を考慮する必要がなければ上記にこだわらない。
【0026】本発明では基材部に積層される積層部の厚
みが5〜500μmであれば優れた持続的帯電防止機能
を有する積層成形体を得ることができる。好ましくは1
0〜300μmの積層部を有する積層成形体である。5
μm未満では帯電防止性能を付与させるのが難しく、ま
た、500μmを超えた場合は帯電防止性能のさらなる
向上は期待できない。更に積層成形体の全体厚みに対す
る積層部の厚みが30%以内であれば機械的物性の低下
も少ない積層成形体が得られる。成形体両面に積層する
場合は両面の積層部の厚みの合計が積層成形体の全体厚
みの30%以内であればよい。
【0027】本発明品を得るための成形品の形状、成形
法は特にこだわらない。成形品の形状はシート状、波板
状、フィルム状のもの、異形状、中空状のもの更に真空
成形、圧空成形、スタンパブル成形をして得られる形状
のものなどがある。成形法についてはTダイ押出による
シート成形、フィルム成形(キャスト)、環状ダイ押出
によるフィルム成形(インフレーション)、ブロー成
形、また異形ダイ押出による異形押出成形がある。ここ
に示す積層成形体はTダイ押出、環状ダイ押出、異形ダ
イ押出での共押出法、や基材部又は積層部どちらかを単
層押出をしながら予め成形された他方をラミネートする
方法や、予め成形された基材部と積層部を連続的にかさ
ね合わせる方法がある。更に成形された基材部と積層部
をプレスで熱圧着する方法や、真空成形、圧空成形時に
積層する方法がある。この積層工程は中間成形体を得る
段階でも、最終成形体を得る段階でもよい。
【0028】共押出法は基材部と積層部を同時に溶融押
出するため両層の密着性がよく成形歪みが類似になるな
どの点で優れている。共押出は押出機を2台以上使用し
成形する。一般に積層部を押し出す押出機は基材部の押
出機よりも小さい押出機を使用する。溶融樹脂を均一に
吐出するためにはギヤーポンプを使用するのが一般的で
ある。積層部に用いる帯電防止性能を有する樹脂組成物
はその構成物質を予めドラムブレンダー、ヘンシェルミ
キサー等で均一に混合して、その後、単軸、二軸押出機
で造粒したものを使用するとよい。
【0029】本発明の積層部及び又は基材部には、他の
成分、例えば無機系光拡散剤、有機系光拡散剤、顔料、
染料、補強剤、難燃剤、充填剤、離型剤、熱安定剤、酸
化防止剤、核剤、光安定剤、紫外線防止剤、可塑剤、他
の重合体等を、混練工程や成形工程などの任意の工程に
おいて含有させることができる。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。実施例、比較例で用いた評価及び試験方法は以下
の通りである。 (1)表面抵抗の測定 JISーK6911に準じて、東亜電波工業社製SM−
10型極超絶縁計を使用し、成形後23℃、50RHの
条件に24時間常態調節した後測定した。 (2)積層シートの厚み 積層シートの全体の厚みはノギスで測定した、又積層部
の厚みはシート断面を金属顕微鏡(オリンパス光学工業
(株)製 PME3型)で測定した。 (3)カルボン酸無水物の濃度 カルボン酸無水物の濃度は、カルボン酸無水物を開環
し、開環したカルボン酸を指示薬フェノールフタレイン
を用いた滴定法にて測定したものである。なお、カルボ
ン酸無水物含有組成物にもともとカルボン酸が含まれて
いると推定される場合はカルボン酸無水物を開環しない
状態でカルボン酸の濃度を測定し、開環後の測定値との
差をもってカルボン酸無水物の濃度とした。
【0031】
【合成例1】 ポリエーテルエステルアミド(B)の調製 カプロラクタム26重量部、数平均分子量が1000の
ポリエチレングリコール73重量部、及びアジピン酸9
重量部を酸化防止剤(商品名 イルガノックス1010
日本チバガイギー社製)0.15重量部及び三酸化ア
ンチモン触媒0.15重量部と共にヘリカルリボン撹拌
翼を備えた反応容器に仕込み、窒素置換して240℃で
60分間加熱撹拌して透明な均質溶液とした後、260
℃、0.5mmHg以下の条件で4時間重合し、粘凋で
透明なポリマーを得た。ポリマーを冷却ベルト上にガッ
ト状に吐出し、ペレタイズするこことによって、ペレッ
ト状のポリエーテルエステルアミドを調製した。
【0032】
【合成例2】 カルボン酸無水物含有メタクリル系樹脂(C)の調製 重合開始剤としてラウリルパーオキサイド、連鎖移動剤
としてn−オクチルメルカプタンを使用し、更に五員環
無水物として無水マレイン酸を用いて表1記載のC−
1、2、3、5、6モノマー配合液をセル内に投入し、
重合温度60℃にて塊状重合を行い、その後105〜1
10℃の熱風循環オーブンに3時間放置しシート状樹脂
を得た。得られた板を粉砕しベントつき押出機にて25
0℃で押出揮発分を除去し、五員環酸無水物(無水マレ
イン酸)が含有していることを確認して表1記載のC−
1、2、3、5、6の重合体ペレットを得た。
【0033】次に開始剤として1,1−ジ−tert−ブチ
ルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン、連鎖移動剤としてtert−ドデシルメルカプタンを用
い重合温度125℃にて連続塊状重合法にて固形分を含
んだ重合反応液を得て更に高温真空室へ供給して未反応
物の除去及び六員環酸無水物(グルタル酸無水物)の精
製を行い、六員環無水物が含有していることを確認し表
1記載のC−4の重合体を得た。
【0034】
【合成例3】 積層部用樹脂組成物の調製 アクリル系樹脂(A)としてメチルメタクリレートとメ
チルアクリレートの共重合体(旭化成工業(株)製 デ
ルペット(商標名))と、合成例1で調製したポリエー
テルエステルアミド(B)と、合成例2で調製した五員
環及び/又は六員環からなるカルボン酸無水物含有メタ
クリル系樹脂(C)と、有機スルホン酸塩及び有機リン
酸塩(D)から選択したドデシルベンゼンスルホン酸ソ
ーダ(DBS)とを表2、3に示す割合で、更に酸化防
止剤(商品名 イルガノックス245 日本チバガイギ
ー社製)を0.1重量部(以下、重量部はアクリル系樹
脂とポリエーテルエステルアミド樹脂の合計100重量
部に対する添加部数を示す。)、酸化防止剤(商品名
イルガホス168 日本チバガイギー社製)を0.02
重量部、紫外線防止剤(商品名 チヌビン234 日本
チバガイギー社製)を0.3重量部、紫外線安定剤(商
品名 チヌビン770 日本チバガイギー社製)を0.
3重量部、これらをタンブラーを用いてブレンドした
後、ベント付き30mmφ2軸押出機で設定温度240
℃で溶融混練し、ペレット化した。
【0035】
【実施例1〜11及び比較例1〜9】合成例3で調製し
たペレットを積層部用として直径25mmφ単軸押出機
を用い、一方基材部は表2、3に示したメチルメタクリ
レートとメチルアクリレートの共重合体(旭化成工業
(株)製 デルペット)を50mmφ単軸押出機を用い
て共押出を行った。ダイは樹脂出口巾300mm、リッ
プクリアランス2.0mmで2種2層に調製したプラス
チック工学研究所のスタックプレートダイを用いた。押
出温度は表2、3に記載した。積層シートの厚みはポリ
ッシングロール(温度70℃)で表2、3の記載の厚み
に調製した。積層部の厚みは積層用押出機の吐出量で調
製した。上記方法で比較した結果を表2、3に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂積層成形体は、基
材部の特性を失うことなく優れた持続的帯電防止効果を
有効に発揮させ、かつコスト的にも安価に製造すること
ができるものであり、店装デスプレー、照明カバーなど
の材料として極めて有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 33/04 LHY LHZ 33/18 LHX 39/04 LJY 77/12 LQS

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル系樹脂(A)45〜96.9重
    量%、ポリエーテルエステルアミド(B)3〜40重量
    %、並びに五員環及び/又は六員環からなるカルボン酸
    無水物を1〜20重量%含有するメタクリル系樹脂
    (C)0.1〜15重量%からなる組成物100重量部
    に対し、有機スルホン酸塩及び有機リン酸塩の中から選
    ばれた少なくとも1種類の化合物(D)を0.1〜5重
    量部含有する組成物を、基材の熱可塑性樹脂の少なくと
    も片面に、5〜500μmの厚さで積層させてなる熱可
    塑性帯電防止性積層成形体。
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