本発明の5−メチレン−1,3−ジオキソラン−4−オン構造を含む化合物は、上記式(1)で表される5−メチレン−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体である。本発明の5−メチレン−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体は、橋かけ環式炭化水素構造を持つ置換基を2位に有する新規な化合物であり、特にこの単量体を(共)重合すると光透過性、熱安定性に優れた単独重合体あるいは共重合体が得られる点で有用である。また、本発明の5−メチレン−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体は安定性、適度な極性、各種溶媒への溶解性に優れ、かつ酸分解性を示し、その重合物も安定性、適度な極性、各種溶媒への溶解性に優れ、かつ酸分解性を示すことを期待できる。そのため、本発明の5−メチレン−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体は、例えば、塗料、接着剤、粘着剤、インキ用レジン、レジスト等の構成成分樹脂の原料モノマーとして幅広く活用できるものである。
このような本発明の5−メチレン−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体は、上記式(3)で表される5−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体とハロゲン化剤とを反応温度50〜65℃で反応させて得られる、上記式(2)で表される5−ハロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体に、あるいは、上記式(4)で表される5−ハロメチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体に上記式(5)で表されるアミド化合物を作用させて脱ハロゲン化水素反応を行うことにより、容易に高収率、高純度で製造することができる。
また、第1の本発明の重合体は、上記式(1)で示される単量体を含むモノマー組成物を(共)重合して得られるものであり、上記式(1)で示される単量体の不飽和結合が開鎖(電子の移動)した単量体単位、すなわち上記式(6)で表される構成単位を含むものである。上記式(1)で示される単量体は、1種であっても、2種以上の混合物であってもよい。
また、第2の本発明の重合体は、上記式(7)で表される構成単位1種以上と、上記式(8)、(9)または(10)で表される構成単位1種以上とを含むものである。構成単位(7)、(8)、(9)および(10)は、それぞれ、全て同じである必要はなく、2種以上が混在するものであってもよい。また、上記式(7)で表される構成単位が、上記式(6)で表される構成単位であることが好ましい。
また、第3の本発明の重合体は、上記式(11)で表される構成単位1種以上を含むものである。構成単位(11)は、全て同じである必要はなく、2種以上が混在するものであってもよい。
また、第4の本発明の重合体は、上記式(12)で表される構成単位1種以上を含むものである。構成単位(12)は、全て同じである必要はなく、2種以上が混在するものであってもよい。
また、第5の本発明の重合体は、上記式(13)で表される構成単位1種以上と、上記式(8)、(9)または(10)で表される構成単位1種以上とを含むものである。構成単位(13)、(8)、(9)および(10)は、それぞれ、全て同じである必要はなく、2種以上が混在するものであってもよい。また、上記式(13)で表される構成単位が、上記式(11)または(12)で表される構成単位であることが好ましい。
以上の第1〜第5の本発明の重合体いずれにおいても、各構成単位は任意のシーケンスを取り得る。したがって、この重合体は、ランダム共重合体であっても、交互共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
このような本発明の重合体は、感度、解像度およびドライエッチング耐性といったレジスト性能を保ちつつ、しかも、有機溶媒(レジスト溶剤)に対する溶解性、および、耐熱性にも優れている上、ラインエッジラフネスが少ない。本発明の重合体は、特に、遠紫外光エキシマーレーザーリソグラフィーや電子線リソグラフィー等に用いるレジスト樹脂として好適である。
以下、本発明を詳しく説明する。
1.本発明の5−メチレン−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体
まず、下記式(1)で表される5−メチレン−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体について説明する。
式(1)中、R1は炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基、または、置換基として炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を有する炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示し、R2は水素原子、または、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示すか、あるいは、R1とR2とは、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を示す。
ここで、前記アルキル基および橋かけ環式炭化水素基は、無置換のものでもよく、また、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
アルキル基および橋かけ環式炭化水素基の置換基である、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基の置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
ここで、橋かけ環式炭化水素基とは、アダマンタン、ノルボルナンに代表される、下記式(15)または下記式(16)で表される構造を有するものである。
(式(15)中、A1、B1は、それぞれ、直鎖または分岐アルキレン基を示す。A1、B1は同一であっても、異なっていてもよい。)
(式(16)中、A2、B2、Lは、それぞれ、直鎖または分岐アルキレン基を示す。A2、B2、Lは同一であっても、異なっていてもよい。)
上記式(1)中のR1としては、例えば、2−ノルボルニル基、1−アダマンチル基、1−アダマンタンメチル基、1−アダマンタンエチル基、2−アダマンチル基、2−アダマンタンメチル基、2−アダマンタンエチル基、2−アダマンタノニル基等の橋かけ環式炭化水素基等が挙げられる。さらに、R1としては、これらの基が、置換基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等)を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されている構造等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
これらの中でも、R1としては、レジスト組成物に使用したときのドライエッチング耐性に優れている点から、2−ノルボルニル基、1−アダマンチル基、1−アダマンタンメチル基、1−アダマンタンエチル基、2−アダマンチル基、2−アダマンタンメチル基、2−アダマンタンエチル基が好ましく、得られる(共)重合体の光透過性およびガラス転移温度(Tg)等の熱安定性の点から、1−アダマンチル基、2−ノルボニル基がより好ましい。
上記式(1)中のR2としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。さらに、R2としては、これらの基が、置換基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等)を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されている構造等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
これらの中でも、R2としては、レジスト組成物に使用したときの塗布性に優れている点から、メチル基、エチル基が好ましい。
また、上記式(1)中のR1とR2とは、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素構造を形成していてもよい。そのような上記式(1)で表される誘導体としては、例えば、スピロ[ノルボルナン−2,2’−(5’−メチレン−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]、スピロ[アダマンタン−2,2’−(5’−メチレン−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]等が挙げられる。さらに、これらの炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素構造が、置換基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等)を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されているもの等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
上記式(1)で表される5−メチレン−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体の好ましいものとしては、例えば、5−メチレン−2−(1−アダマンチル)−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン、5−メチレン−2−(2−アダマンチル)−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン、5−メチレン−2−メチル−2−(2−ノルボニル)−1,3−ジオキソラン−4−オン、5−メチレン−2−(1−アダマンタンメチル)−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン、5−メチレン−2−(2−アダマンタンメチル)−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン、5−メチレン−2−(1−アダマンタンエチル)−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン、5−メチレン−2−(2−アダマンタンエチル)−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン、5−メチレン−2−(1−アダマンチル)−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−オン、5−メチレン−2−(2−アダマンチル)−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−オン、5−メチレン−2−エチル−2−(2−ノルボニル)−1,3−ジオキソラン−4−オン、5−メチレン−2−(1−アダマンタンメチル)−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−オン、5−メチレン−2−(2−アダマンタンメチル)−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−オン、5−メチレン−2−(1−アダマンタンエチル)−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−オン、5−メチレン−2−(2−アダマンタンエチル)−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−オンなどが挙げられる。
また、前述の通り、上記の化合物は、アルキル基および/または橋かけ環式炭化水素基が、置換基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等)を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基等で置換されていてもよい。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
これらの中でも、置換基としては、レジスト組成物に使用したときの光透過性に優れている点から、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基が好ましい。さらに、置換基としては、レジスト組成物に使用したときのドライエッチング耐性に優れている点から、メチル基、エチル基がより好ましく、また、レジスト組成物に使用したときの重合体の基板に対する密着性に優れている点から、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基がより好ましい。
2.本発明の5−ハロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体
次に、上記式(1)で表される5−メチレン−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体を製造する際の中間体となる、下記式(2)で表される5−ハロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体について説明する。
式(2)中、Xは塩素原子または臭素原子を示し、R1は炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基、または、置換基として炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を有する炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示し、R2は水素原子、または、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示すか、あるいは、R1とR2とは、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を示す。
ここで、前記アルキル基および橋かけ環式炭化水素基は、無置換のものでもよく、また、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
式(2)中のR1、R2は、それぞれ、式(1)中のR1、R2に対応している。したがって、式(2)中のR1、R2は、式(1)中のR1、R2と同様のものであり、好ましいものも同様である。
また、上記式(2)中のXとしては、上記式(1)で表される5−メチレン−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体へ変換するときに反応がより円滑に進行する点から、臭素原子が好ましい。
3.本発明の5−ハロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体の製造方法
次に、上記式(2)で表される本発明の5−ハロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体の製造方法について説明する。
上記式(2)で表される5−ハロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体は、下記式(3)で表される5−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体を原料とし、これをハロゲン化剤と反応させて5位をハロゲン化することにより製造することができる。
式(3)中、R1は炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基、または、置換基として炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を有する炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示し、R2は水素原子、または、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示すか、あるいは、R1とR2とは、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を示す。
ここで、前記アルキル基および橋かけ環式炭化水素基は、無置換のものでもよく、また、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
式(3)中のR1、R2は、それぞれ、式(2)中のR1、R2に対応している。したがって、式(3)中のR1、R2は、式(2)中のR1、R2と同様のものであり、好ましいものも同様である。すなわち、式(3)中のR1、R2は、式(1)中のR1、R2と同様のものであり、好ましいものも同様である。
I.原料である上記式(3)で表される誘導体の製造方法
原料である上記式(3)で表される5−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体は、公知の方法により、下記式(17)で表されるケトンまたはアルデヒドから合成することができる。
(式(17)中、R1、R2は、それぞれ、式(3)中のR1、R2に対応している。
すなわち、式(17)中、R1は炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基、または、置換基として炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を有する炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示し、R2は水素原子、または、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示すか、あるいは、R1とR2とはそれらが結合している炭素原子とともに炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を示す。
ここで、前記アルキル基および橋かけ環式炭化水素基は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。)
上記式(3)で表される5−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体は、例えば、上記式(17)で表される化合物と乳酸またはそのエステルとの脱水あるいは脱アルコールを伴う反応により合成することができる。本付加反応は、反応温度20℃〜還流温度で、上記式(17)で表される化合物、あるいは、乳酸またはそのエステルのどちらかが過剰の条件で行うことが好ましい。本付加反応は、乳酸の酸性だけでも十分に進行可能であるが、ルイス酸などの酸触媒を用いてもよい。また、本付加反応は、無溶媒で行ってもよく、非極性有機溶媒を使用した有機溶媒と乳酸の二相系で行ってもよい。本付加反応は、均一系でも、不均一系でも行うことができる。
また、上記式(3)で表される5−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体は、上記式(17)で表される化合物をオルトギ酸メチルと反応させてジメトキシ体、エノールエーテル体とした後、これと乳酸との脱メタノールを伴う反応を行うことによっても合成することができる。ジメトキシ体と乳酸との反応は、反応温度20℃〜還流温度で、ジメトキシ体やエノールエーテル体、あるいは、乳酸のどちらかが過剰の条件で行うことが好ましい。本反応は、乳酸の酸性だけでも十分に進行可能であるが、ルイス酸などの酸触媒を用いることが好ましい。また、本反応は、無溶媒で行ってもよく、非極性有機溶媒を使用した有機溶媒と乳酸の二相系で行ってもよい。本反応は、均一系でも、不均一系でも行うことができる。
反応の形態としては、密閉容器を使用し、減圧、常圧、加圧のいずれかで反応を行う密閉系、沸点あるいはそれ以下の温度で反応を行い、揮発した原料、生成物または溶媒を冷却器で還流する還流系等が挙げられる。これらの反応は、ディーンスタークやデカンタなどを使用して、生成する水やアルコールを系外に除きながら行うことが好ましい。
また、これらの式(3)で表される誘導体の合成反応は、光学活性の乳酸を使用することもできる。この場合、得られる上記式(3)で表される誘導体は、原料に由来する光学活性を有する。
II.上記式(2)で表される誘導体の製造方法
上記式(2)で表される5−ハロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体は、前述の通り、上記式(3)で表される5−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体とハロゲン化剤とを反応温度50〜65℃で反応させることにより製造することができる。
この反応において用いるハロゲン化剤としては、例えば、N−クロロコハク酸イミド、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、ブロモトリクロロメタン、N−ブロモコハク酸イミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、臭素などが挙げられる。ハロゲン化剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、反応性およびハロゲン化位置の選択性の点から、N−ブロモコハク酸イミドを用いることが特に好ましい。
ハロゲン化剤の使用量は、収率の点から、式(3)で表される誘導体1モルに対して、0.1モル以上が好ましく、0.5モル以上がより好ましく、1モル以上が特に好ましい。また、ハロゲン化剤の使用量は、分解反応防止の点から、式(3)で表される誘導体1モルに対して、10モル以下が好ましく、2モル以下がより好ましく、1.5モル以下が特に好ましい。
従来のハロゲン化反応では、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル発生剤を使用する場合があるが、本発明のハロゲン化反応では、ラジカル発生剤を用いなくても反応は十分に進行する。本発明において、ラジカル発生剤を使用する場合、ラジカル発生剤の使用量は、通常、式(3)で表される誘導体1モルに対して0.1モル以下とするが、次の工程への夾雑物を減らす点から、式(3)で表される誘導体1モルに対して0.01モル以下にすることが好ましい。
本ハロゲン化反応では、有機溶媒を使用することが好ましい。有機溶媒は、ハロゲン化反応に用いられる有機溶媒いずれも使用することができる。用いる有機溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン等が挙げられる。有機溶媒は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、反応を円滑に進行させる点から、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、四塩化炭素等を用いることが好ましい。
有機溶媒の使用量は、反応を円滑に進め、副生成物を抑制する点から、式(3)で表される誘導体に対して0.1質量倍以上が好ましく、0.5質量倍以上がより好ましく、1質量倍以上が特に好ましい。また、有機溶媒の使用量は、反応速度や廃溶媒量の点から、式(3)で表される誘導体に対して100質量倍以下が好ましく、50質量倍以下がより好ましく、20質量倍以下が特に好ましい。
有機溶媒中には水が含まれていてもよいが、分解反応抑制および副反応抑制の点から、有機溶媒中に含まれる水の量は少ない方が好ましい。
反応温度は、通常、50〜65℃とする。反応温度は、反応速度の点から、55℃以上が好ましい。また、反応温度は、分解反応抑制の点から、60℃以下が好ましい。
従来、ハロゲン化剤を使用したハロゲン化反応は、ラジカル的に進行する場合、通常、ラジカルが発生するとされる80℃付近で反応を行っている。しかし、この温度では、原料およびハロゲン化物の分解反応が顕著に進行するようになり、上記式(2)で表される誘導体の収率が大きく減少する。この分解反応は、2位についている置換基が橋かけ環式炭化水素構造を有する場合、特に顕著に進行する。本発明者らは、反応温度を従来行われていない65℃以下としても、本発明のハロゲン化反応が進行すること、さらに、この温度では、原料およびハロゲン化物の分解反応がわずかにしか進行しないことを見出した。
本ハロゲン化反応の形態としては、密閉容器を使用し、減圧、常圧、加圧のいずれかで反応を行う密閉系、沸点あるいはそれ以下の温度で反応を行い、揮発した原料、生成物または溶媒を冷却器で還流する還流系等が挙げられる。
反応時間は、反応温度等を勘案して適宜決めればよいが、通常、1〜48時間程度が好ましい。
本発明においては、このようにしてハロゲン化反応を行い、上記式(2)で表される誘導体を製造する。本反応では、副反応を十分に抑制して収率よく目的物が得られるため、得られた上記式(2)で表される誘導体はそのまま次の脱ハロゲン化水素反応に使用することができる。また、反応液から未反応ハロゲン化物(例えば、N−ブロモコハク酸イミド)および副生物(例えば、コハク酸イミド)をろ別した後、脱ハロゲン化水素反応に使用してもよい。必要であれば、溶媒の除去、溶媒の置換などを行ってもよい。また、得られた上記式(2)で表される誘導体は、アルカリ水溶液による洗浄、有機溶媒/水系による抽出、溶媒分別法、カラムクロマトグラフィー、減圧蒸留などの公知の方法に準じて精製してもよい。
また、上記式(2)で表される誘導体のR1とR2が異なる場合、2−位の炭素原子は不斉炭素となり、光学異性体が存在する。これらの光学異性体は、優先晶析法、光学分割カラムの使用など、公知の光学分割法で単離することができる。これらの光学活性体は、(R)−体、(S)−体のいずれでも、また、(R)−体と(S)−体との混合物でも、次の脱ハロゲン化水素反応に使用することができる。
4.本発明の5−メチレン−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体の製造方法
次に、上記式(1)で表される本発明の5−メチレン−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体の製造方法について説明する。
上記式(1)で表される5−メチレン−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体は、上記式(2)で表される5−ハロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体、あるいは、下記式(4)で表される5−ハロメチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体に下記式(5)で表されるアミド化合物を作用させて脱ハロゲン化水素反応を行うことにより製造することができる。
(式(4)中、Xは塩素原子または臭素原子を示し、R1は炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基、または、置換基として炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を有する炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示し、R2は水素原子、または、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示すか、あるいは、R1とR2とはそれらが結合している炭素原子とともに炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を示す。
ここで、前記アルキル基および橋かけ環式炭化水素基は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。)
(式(5)中、R3、R4、R5は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐アルキル基を示す。)
I.上記式(4)で表される5−ハロメチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体
上記式(4)中、Xは塩素原子または臭素原子を示し、R1は炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基、または、置換基として炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を有する炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示し、R2は水素原子、または、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示すか、あるいは、R1とR2とは、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を示す。
ここで、前記アルキル基および橋かけ環式炭化水素基は、無置換のものでもよく、また、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
式(4)中のR1、R2は、それぞれ、式(1)中のR1、R2に対応している。したがって、式(4)中のR1、R2は、式(1)中のR1、R2と同様のものであり、好ましいものも同様である。
また、上記式(4)中のXとしては、上記式(1)で表される5−メチレン−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体へ変換するときに反応がより円滑に進行する点から、臭素原子が好ましい。
上記式(4)で表される5−ハロメチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体は、公知の方法により、下記式(17)で表されるケトンまたはアルデヒドから合成することができる。
(式(17)中、R1、R2は、それぞれ、式(4)中のR1、R2に対応している。
すなわち、式(17)中、R1は炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基、または、置換基として炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を有する炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示し、R2は水素原子、または、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示すか、あるいは、R1とR2とはそれらが結合している炭素原子とともに炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を示す。
ここで、前記アルキル基および橋かけ環式炭化水素基は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。)
上記式(4)で表される5−ハロメチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体は、例えば、上記式(17)で表される化合物とβ−ブロモ乳酸、β−クロロ乳酸等のβ−ハロ乳酸またはこれらのエステルとの反応により合成することができる。本反応は、反応温度20℃〜還流温度で、上記式(17)で表される化合物、あるいは、β−ハロ乳酸またはこれらのエステルのどちらかが過剰の条件で行うことが好ましい。本反応は、ルイス酸などの酸触媒を用いて行うことが好ましいが、β−ハロ乳酸を使用する場合、その酸性だけでも十分に反応が進行する。また、本反応は、無溶媒で行ってもよく、非極性有機溶媒を使用して行ってもよい。本反応は、均一系でも、不均一系でも行うことができる。
また、上記式(4)で表される5−ハロメチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体は、上記式(17)で表される化合物をオルトギ酸メチルと反応させてジメトキシ体、エノールエーテル体とした後、これとβ−ハロ乳酸とを反応させることによっても合成することができる。ジメトキシ体とβ−ハロ乳酸との反応は、反応温度20℃〜還流温度で、ジメトキシ体やエノールエーテル体、あるいは、β−ハロ乳酸のどちらかが過剰の条件で行うことが好ましい。本反応は、ルイス酸などの酸触媒を用いて行うことが好ましいが、β−ハロ乳酸を使用する場合、その酸性だけでも十分に反応が進行する。また、本反応は、無溶媒で行ってもよく、非極性有機溶媒を使用して行ってもよい。本反応は、均一系でも、不均一系でも行うことができる。
反応の形態としては、密閉容器を使用し、減圧、常圧、加圧のいずれかで反応を行う密閉系、沸点あるいはそれ以下の温度で反応を行い、揮発した原料、生成物または溶媒を冷却器で還流する還流系等が挙げられる。これらの反応は、ディーンスタークやデカンタなどを使用して、生成する水やアルコールを系外に除きながら行うことが好ましい。
また、これらの式(4)で表される誘導体の合成反応は、光学活性のβ−ハロ乳酸やケトン、アルデヒドを使用することもできる。この場合、得られる上記式(4)で表される誘導体は、原料に由来する光学活性を有する。また、ラセミ混合物を使用することもでき、この場合、得られる上記式(4)で表される誘導体はラセミ混合物となる。
また、上記式(4)で表される誘導体のR1とR2が異なる場合、2−位の炭素原子は不斉炭素となり、光学異性体が存在する。これらの光学異性体は、優先晶析法、光学分割カラムの使用など、公知の光学分割法で単離することができる。これらの光学活性体は、(R)−体、(S)−体のいずれでも、また、(R)−体と(S)−体との混合物でも、使用することができる。
II.本発明の5−メチレン−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体の製造方法
上記式(1)で表される5−メチレン−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体は、前述の通り、上記式(2)で表される5−ハロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体、あるいは、上記式(4)で表される5−ハロメチル−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体に上記式(5)で表されるアミド化合物を作用させて脱ハロゲン化水素反応を行うことにより製造することができる。
従来、脱ハロゲン化水素反応には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド、酢酸ナトリウム等のアルカリ金属のカルボン酸塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、ピリジン、コリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等のアミン類に代表される塩基が使用されている。しかし、これらの塩基を使用して、上記式(2)で表される誘導体または上記式(4)で表される誘導体の脱ハロゲン化水素反応を行った場合、分解反応が進行し、目的とする上記式(1)で表される誘導体はほとんど得られない。また、これらの塩基を使用した場合、反応液が褐色に着色したり、目的物である上記式(1)で表される誘導体の結晶化が著しく阻害されて反応後の精製が難しくなるなどの問題が生じることもある。
本発明では、塩基として上記式(5)で表されるアミド化合物を使用して、上記式(2)で表される誘導体または上記式(4)で表される誘導体の脱ハロゲン化水素反応を行うことにより、このような問題を解決している。上記式(5)で表されるアミド化合物は塩基性が非常に弱く、一般に脱ハロゲン化水素反応試剤としては使用されないが、本発明においては、非常に効率よく脱ハロゲン化水素反応を進行させることができる。
また、上記の従来使用されている塩基と上記式(5)で表されるアミド化合物とを併用した場合、上記の従来使用されている塩基による分解を抑制できる場合もあるが、やはり、反応液が褐色に着色したり、目的物である上記式(1)で表される誘導体の結晶化が著しく阻害されて反応後の精製が難しくなるなどの問題が生じる場合がある。
本発明の上記式(1)で表される5−メチレン−1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体の製造方法について説明する。本発明では、塩基として下記式(5)で表されるアミド化合物を使用する。
式(5)中、R3、R4、R5は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐アルキル基を示す。R3、R4、R5は同一であっても、異なっていてもよい。式(5)中のR5、R6、R7としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
上記式(5)で表されるアミド化合物としては、反応を円滑に進行させる点から、N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等が好ましく、精製収率の点から、N,N−ジメチルホルムアミドがより好ましい。式(5)で表されるアミド化合物は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
上記式(5)で表されるアミド化合物の使用量は、収率の点から、式(2)で表される誘導体または式(4)で表される誘導体1モルに対して、0.1モル以上が好ましく、0.5モル以上がより好ましく、1モル以上が特に好ましく、5モル以上がさらに好ましい。また、上記式(5)で表されるアミド化合物の使用量は、反応後の廃液処理の点から、式(2)で表される誘導体または式(4)で表される誘導体1モルに対して、100モル以下が好ましく、50モル以下がより好ましく、30モル以下が特に好ましい。
本発明の脱ハロゲン化水素反応では、有機溶媒を使用することもできる。用いる有機溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−ノニルアルコール、n−デシルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、トリフェニルカルビノール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、クレゾール、フェノール、キシレノール等のアルコール系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン等の含塩素系溶媒などが挙げられる。有機溶媒は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
中でも、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル等の極性が低く、上記式(5)で表されるアミド化合物との相互溶解度が低い溶媒を用いることが好ましい。上記式(1)で表される誘導体が上記式(5)で表されるアミド化合物にわずかしか溶けない場合、上記式(1)で表される誘導体の大部分が極性の低い溶媒中に存在するので、反応終了後に分液することによって目的物を効率よく回収することができる。
有機溶媒の使用量は、反応速度や廃溶媒量の点から、式(2)で表される誘導体または式(4)で表される誘導体に対して100質量倍以下が好ましく、50質量倍以下がより好ましく、20質量倍以下が特に好ましい。
また、溶媒を使用せずに脱ハロゲン化水素反応を行った後、極性の低い溶媒で、目的物である上記式(1)で表される誘導体を抽出してもよい。
これらの極性の低い溶媒中に含まれる少量の上記式(5)で表されるアミド化合物は、水洗によって容易に除去することができる。
また、溶媒を使用せずに反応を行った後、大量の水に投入することで、目的物である上記式(1)で表される誘導体を析出させることもできる。
反応温度は、通常、−30〜120℃の範囲が好ましい。反応温度は、反応速度の点から、0℃以上がより好ましく、10℃以上が特に好ましい。また、反応温度は、分解反応抑制の点から、60℃以下がより好ましく、40℃以下が特に好ましい。
従来、脱ハロゲン化水素反応では、発熱が起こるため、冷却しながら塩基を添加している。しかし、本発明の上記式(5)で表されるアミド化合物を塩基として使用する方法の場合、発熱が少ない上、高温でも分解反応はほとんど進行しないため、冷却する必要はない。
本脱ハロゲン化水素反応の形態としては、密閉容器を使用し、減圧、常圧、加圧のいずれかで反応を行う密閉系、沸点あるいはそれ以下の温度で反応を行い、揮発した原料、生成物または溶媒を冷却器で還流する還流系等が挙げられる。
反応時間は、反応温度等を勘案して適宜決めればよいが、通常、1〜48時間程度が好ましい。
本発明では、脱ハロゲン化水素反応を行う際、必要に応じて重合禁止剤を反応液に添加してもよい。
重合禁止剤としては特に限定されず、例えば、ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール等のキノン系重合禁止剤、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール系重合禁止剤、アルキル化ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン等のアミン系重合禁止剤、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等のジチオカルバミン酸銅系重合禁止剤などが挙げられる。重合禁止剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
重合禁止剤の添加量は、式(2)で表される誘導体または式(4)で表される誘導体に対して5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が特に好ましい。
本発明においては、このようにして脱ハロゲン化水素反応を行い、上記式(1)で表される誘導体を製造する。本反応では、副反応を十分に抑制して収率よく目的物が得られるため、簡単な操作で高純度の上記式(1)で表される誘導体を得ることができる。精製方法としては、再結晶、水や有機溶媒による洗浄、溶媒分別法、カラムクロマトグラフィー、蒸留、薄膜蒸留などの公知の方法が挙げられる。
また、上記式(1)で表される誘導体のR1とR2が異なる場合、2−位の炭素原子は不斉炭素となり、光学異性体が存在する。これらの光学異性体は、優先晶析法、光学分割カラムの使用など、公知の光学分割法で単離することができる。これらの光学活性体は、(R)−体、(S)−体のいずれでも、また、(R)−体と(S)−体との混合物でも、塗料、接着剤、粘着剤、インキ用レジン、レジスト等の構成成分樹脂の原料モノマーとして使用可能である。
5.本発明の第1、第2の重合体
次に、本発明の第1の重合体および第2の重合体について説明する。本発明の第1の重合体および第2の重合体は、例えば、レジスト組成物用、特に化学増幅型レジスト組成物用に好適である。
I.本発明の第1の重合体
本発明の第1の重合体は、上記式(1)で表される単量体を含むモノマー組成物を(共)重合して得られるものであり、下記式(6)で表される構成単位1種以上を含むものである。重合体中の下記式(6)で表される構成単位の比率は、5モル%以上が好ましい。
式(6)中、R1は炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基、または、置換基として炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を有する炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示し、R2は水素原子、または、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示すか、あるいは、R1とR2とは、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を示す。
ここで、前記アルキル基および橋かけ環式炭化水素基は、無置換のものでもよく、また、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
なお、式(6)中のR1、R2は、それぞれ、式(1)中のR1、R2に対応している。したがって、式(6)中のR1、R2は、式(1)中のR1、R2と同様のものであり、好ましいものも同様である。
本発明の第1の重合体は、上記一般式(1)で示される単量体の単独重合体、あるいは、2種以上の上記一般式(1)で示される単量体の共重合体であっても、上記一般式(1)で示される単量体1種以上と上記式(1)で表される単量体以外の単量体1種以上との共重合体であってもよい。また、共重合体の場合、各構成単位は任意のシーケンスを取り得る。したがって、この重合体は、ランダム共重合体であっても、交互共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
本発明においては、上記式(1)で表される単量体1種以上と、それ以外の公知の単量体1種以上とを共重合してもよい。共重合可能な単量体としては、これまでポジ型レジスト剤、ネガ型レジスト剤、反射防止膜材料、絶縁膜形成材料として公知のもの、例えば、耐ドライエッチング性向上基や酸解離性の溶解性基を有するアクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体や、アルカリ可溶性とするためのエチレン性二重結合を有するカルボン酸類(誘導体も含む)、アクリル樹脂の製造に用いられる公知の単量体などが挙げられる。
アクリル酸誘導体としては、例えば、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸テトラヒドロピラニル、アクリル酸テトラヒドロフラニル、アクリル酸1−メチルシクロヘキシル、アクリル酸1−メチルアダマンチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸エトキシプロピル、アクリル酸と2−ヒドロキシ−3−ピナノンとのエステルなどのカルボキシ基の水酸基を酸解離性置換基で保護したアクリル酸エステル、あるいは、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ナフチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸3−オキソシクロヘキシル、アクリル酸ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、アクリル酸トリシクロデカニル、アクリル酸とテルピネオールとのエステル、アクリル酸と3−ブロモアセトンとのエステルなどのカルボキシ基の水酸基を酸非解離性置換基で保護したアクリル酸エステルなどが挙げられる。
また、メタクリル酸誘導体としては、上記のアクリル酸誘導体に対応するメタクリル酸誘導体などが挙げられる。
また、エチレン性二重結合を有するカルボン酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸や、ノルボルネンまたは置換基としてアルキル基、アルキルオキシ基、水酸基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシ基、アルキルオキシカルボニル基等を有するノルボルネン誘導体、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル等のビニルエーテル誘導体、スチレン、パラヒドロキシスチレン、パラメトキシスチレン、パラtert−ブトキシスチレン等のスチレン誘導体、無水マレイン酸などが挙げられる。
アクリル樹脂の製造に用いられる公知の単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、または、これらのカルボン酸の水素原子をメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−ヒドロキシエチル、ノルボルニル、トリシクロデカニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル等の基で置換したアクリル酸誘導体あるいはメタクリル酸誘導体などが挙げられる。
本発明の第1の重合体は、レジスト組成物材料、特に化学増幅型レジスト組成物材料に好適である。以下、本発明の第1の重合体が化学増幅型レジスト組成物用樹脂である場合について説明する。
化学増幅型レジスト組成物用樹脂には、高感度を実現するために酸によりアルカリ水溶液に可溶となる性質と、高いドライエッチング耐性を実現するために炭素密度の高い構造とが要求される。本発明の第1の重合体は、優れた有機溶媒に対する溶解性、耐熱性を有し、さらにはラインエッジラフネスが少ない。このような重合体に、酸の作用でアルカリ水溶液に可溶となる性質の構造や、高いドライエッチング耐性を有する構造を導入することで、優れた化学増幅型レジスト組成物用樹脂が得られる。
酸の作用で脱離しやすい官能基を有する構造としては、例えば、アセチル基等のアシル基、tert−ブチル基、テトラヒドロピラニル基、2−メチル−2−アダマンチル基等によりヒドロキシ基やカルボキシ基を保護した構造などが挙げられる。
炭素密度の高い構造としては、例えば、イソボルニル基、アダマンチル基、2−メチル−アダマンチル基、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンタジエニル基などが挙げられる。
酸の作用で脱離しやすい官能基を有する構造、あるいは、炭素密度の高い構造を導入するためには、本発明の単量体と、このような構造を有する単量体とを共重合すればよい。
このような構造を有する単量体としては、例えば、これまで化学増幅型レジスト組成物用樹脂の原料単量体として知られているものが使用可能である。本発明の重合体に用いる原料単量体は、リソグラフィーに使用される光源によって任意に選択される。
例えば、KrFエキシマーレーザーや電子線を光源とする場合は、その高いエッチング耐性を考慮して、本発明の単量体とp−ヒドロキシスチレンあるいはその誘導体とを共重合した重合体が好適に用いられる。この場合、重合体中の本発明の単量体に由来する構成単位の比率は、5%以上であることが好ましく、また、60%以下であることが好ましい。
ArFエキシマーレーザーを光源とする場合は、本発明の単量体と環式炭化水素基を有する単量体とを共重合した重合体が好適である。環式炭化水素基を有する単量体を共重合することにより、高いエッチング耐性が得られる。
中でも、本発明の単量体と、環式炭化水素基を有する単量体と、親水性官能基を有する単量体および/またはラクトン構造を有する単量体とを共重合して得られる重合体が好適である。
環式炭化水素基を有する単量体と親水性官能基を有する単量体とを共重合して得られるアクリル系共重合体、または、環式炭化水素基を有する単量体とラクトン構造を有する単量体とを共重合して得られるアクリル系共重合体は、ArFエキシマーレーザーリソグラフィー用樹脂として好適であることが知られている。このような重合体に本発明の単量体単位を導入することにより、高感度、高解像度、高ドライエッチング耐性といったレジスト性能を損なうことなく、有機溶媒への溶解性および耐熱性が向上し、ラインエッジラフネスの少ない、優れたレジストパターンが得られる。
環式炭化水素基を有する単量体単位は、これを含む重合体に高いドライエッチング耐性を付与するものである。特に、酸により脱離する保護基(環式炭化水素基が直接保護基になっていてもよい。)を含有するものは、波長193nmのArFエキシマーレーザーを用いたフォトリソグラフィーにおける高い感度も付与することができる。環式炭化水素基を有する単量体単位は、必要に応じて、1種としても、2種以上としてもよい。
環式炭化水素基を有する単量体単位としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンチル(メタ)アクリレート、および、これらの単量体の環式炭化水素基上にアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する誘導体が好ましい。
このような単量体単位として、具体的には、1−イソボルニル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチルアダマンタン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
親水性官能基を有する単量体単位は、これを含む重合体に基板に対する密着性を付与するものである。特に、酸により脱離する保護基を含有するものは、波長193nmのArFエキシマーレーザーを用いたフォトリソグラフィーにおける高い感度も付与することができる。親水性官能基としては、例えば、末端ヒドロキシ基、アルキル置換エーテル基、δ−バレロラクトニル基、γ−ブチロラクトニル基等を挙げることができる。なお、上記の親水性官能基には、通常、疎水性に含まれるものもあるが、本発明において必要な親水性が得られればよいので、上記のものが含まれる。親水性官能基を有する単量体単位は、必要に応じて、1種としても、2種以上としてもよい。
親水性官能基を有する単量体単位としては、末端ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート、アルキル置換エーテル基を有する(メタ)アクリレート、δ−バレロラクトニル基を有する(メタ)アクリレート、γ−ブチロラクトニル基を有する(メタ)アクリレート、および、これらの単量体の親水性官能基上にアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する誘導体が好ましい。
このような単量体単位として、具体的には、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−エトキシエチル、β−(メタ)アクリロイルオキシ−β−メチル−δ−バレロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−β−メチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、2−(1−(メタ)アクリロイルオキシ)エチル−4−ブタノリド、パントラクトン(メタ)アクリレート、8−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−オンと9−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−オンの混合物等が挙げられる。
ラクトン構造を有する単量体単位は、これを含む重合体に高いドライエッチング耐性、および、基板に対する密着性を付与するものである。ラクトン構造を有する単量体単位は、必要に応じて、1種としても、2種以上としてもよい。
ラクトン構造を有する単量体単位としては、4〜8員環のα−メチレンラクトン、および、そのラクトン環炭素上にアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する誘導体が好ましい。特に、α−メチレン−γ−ブチロラクトン、および、そのγ位炭素上にアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する誘導体が好ましい。
このような単量体単位として、具体的には、2−メチレン−4−ブタノライド、4−メチル−2−メチレン−4−ブタノライド、4−エチル−2−メチレン−4−ブタノライド、4,4−ジメチル−2−メチレン−4−ブタノライド等が挙げられる。
化学増幅型レジスト組成物用樹脂としては、中でも、式(6)で表される構成単位1種以上と、式(8)、(9)または(10)で表される構成単位1種以上とを含む重合体が好適である。式(6)で表される構成単位1種以上と、式(8)、(9)または(10)で表される構成単位1種以上とを含む重合体については、II.本発明の第2の重合体において説明する。
本発明の第1の重合体の質量平均分子量は特に限定されないが、レジスト組成物用樹脂として用いる場合、ドライエッチング耐性が向上してレジスト形状がよくなる点から1,000以上であることが好ましく、また、レジスト溶液に対する溶解性が向上して解像度が向上する点から100,000以下であることが好ましい。
II.本発明の第2の重合体
本発明の第2の重合体は、下記式(7)で表される構成単位1種以上と、下記式(8)、(9)または(10)で表される構成単位1種以上とを含むものである。
式(7)中、R6、R7は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数4〜16の環式炭化水素基、または、置換基として炭素数4〜16の環式炭化水素基を有する炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示すか、あるいは、R6とR7とは、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数4〜16の環式炭化水素基を示す。R6、R7は同一であっても、異なっていてもよい。
ここで、前記アルキル基および環式炭化水素基は、無置換のものでもよく、また、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
式(8)中、R8は水素原子またはメチル基を示し、R9は炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数4〜8の環式炭化水素基、または、炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を示す。
ここで、前記アルキル基、環式炭化水素基および橋かけ環式炭化水素基は、無置換のものでもよく、また、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
式(9)中、R10は水素原子またはメチル基を示し、R11は水素原子、親水性官能基、親水性官能基を有する炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、親水性官能基を有する炭素数4〜8の環式炭化水素基、または、親水性官能基を有する炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を示す。
ここで、前記アルキル基、環式炭化水素基、橋かけ環式炭化水素基および親水性官能基は、無置換のものでもよく、また、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
なお、式(9)中の親水性官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基などの極性の高い基、および、ケトン、酸無水物、エステル、エーテル、ラクトン、イミド、アミドなどの構造を有する直鎖もしくは分岐アルキル基、環状化合物などが挙げられる。親水性官能基を有する化合物には、骨格の一部がケトン、酸無水物、エステル、エーテル、ラクトン、イミド、アミドなどの構造に置換された炭素数4〜8の単環式飽和炭化水素基、炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基も含まれる。上記の親水性官能基には、通常、疎水性に含まれるものもあるが、本発明を使用したレジスト剤組成物において必要な親水性が得られればよいので、上記のものが含まれる。
式(10)中、R12、R13は、それぞれ、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、qは1〜4の整数を示す。R12、R13は同一であっても、異なっていてもよい。
ここで、CqH2qは、炭素数1〜4のメチレン鎖[−(CH2)q−(qは1〜4の整数を表す)]を示す。
本発明の第2の重合体において、構成単位(7)、(8)、(9)および(10)は、それぞれ、全て同じである必要はなく、上記のような一般式で示されるものであれば2種以上が混在するものであってもよい。また、この重合体において、各構成単位は任意のシーケンスを取り得る。したがって、この重合体は、ランダム共重合体であっても、交互共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
アルキル基、環式炭化水素基、橋かけ環式炭化水素基および親水性官能基の置換基である、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基の置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
上記式(7)中のR6、R7としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−ノルボルニル基、1−アダマンチル基、1−アダマンタンメチル基、1−アダマンタンエチル基、2−アダマンチル基、2−アダマンタンメチル基、2−アダマンタンエチル基、2−アダマンタノニル基等が挙げられる。さらに、R6、R7としては、これらの基が、置換基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等)を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されている構造等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
また、上記式(7)中のR6とR7とは、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数4〜16の環式炭化水素構造を形成していてもよい。そのような環式炭化水素構造としては、例えば、アダマンチリデン基、ノルボニリデン基、シクロヘキシリデン等が挙げられる。さらに、これらの炭素数4〜16の環式炭化水素構造が、置換基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等)を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されている構造等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
上記式(7)で表される構成単位としては、R6が水素原子、メチル基またはエチル基であり、R7がシクロペンチル基、シクロヘキシル基またはシクロヘプチル基であるもの、および、R6とR7とが、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数5〜8の環式炭化水素基を形成しているものが好ましい。中でも、上記式(6)で表される構成単位が特に好ましい。
上記式(8)で表される構成単位は、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチルアダマンタン、および、これらの単量体の環式炭化水素基上にアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する誘導体などを共重合することにより得られる。
上記式(8)で表される構成単位としては、中でも、レジスト組成物材料に使用したときの感度および解像度の点から、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチルアダマンタンに由来する構成単位が好ましい。
上記式(9)で表される構成単位は、親水性官能基を有する単量体、例えば、末端ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート、アルキル置換エーテル基を有する(メタ)アクリレート、δ−バレロラクトニル基を有する(メタ)アクリレート、γ−ブチロラクトニル基を有する(メタ)アクリレート、および、これらの単量体の親水性官能基上にアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する誘導体、あるいは、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチルアダマンタン等の環式炭化水素基上にヒドロキシ基、カルボキシ基等の親水性官能基を有する単量体などを共重合することにより得られる。このような単量体として、具体的には、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、1−メタクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−β−メチル−δ−バレロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−β−メチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、2−(1−(メタ)アクリロイルオキシ)エチル−4−ブタノリド、パントラクトン(メタ)アクリレート、8−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−オン、9−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−オン等が挙げられる。
上記式(9)で表される構成単位としては、中でも、レジスト組成物材料に使用したときの重合体の基板に対する密着性の点から、1−メタクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン、8−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−オン、9−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−オンに由来する構成単位が好ましい。
上記式(10)で表される構成単位は、4〜8員環のα−メチレンラクトン、および、そのラクトン環炭素上にアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する誘導体などを共重合することにより得られる。
上記式(10)で表される構成単位としては、中でも、レジスト組成物材料に使用したときの感度および解像度の点から、α−メチレン−γ−ブチロラクトン、および、そのγ位炭素上にメチル基、エチル基等の置換基を有する誘導体、例えばα−メチレン−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−エチル−γ−ブチロラクトン、4,4−ジメチル−2−メチレン−4−ブタノライドに由来する構成単位が好ましい。
重合体中の上記式(7)で示される構成単位の比率は、重合体の有機溶剤への溶解性および耐熱性をより向上させ、ラインエッジラフネスをより低減する点から、5モル%以上が好ましい。また、重合体中の上記式(7)で示される構成単位の比率は、感度および解像度を低下させない点から、50モル%以下が好ましい。
重合体中の上記式(8)で示される構成単位の比率は、感度および解像度をより高める点から、30モル%以上が好ましい。また、重合体中の上記式(8)で示される構成単位の比率は、有機溶剤への溶解性を低下させない点から、70モル%以下が好ましい。
重合体中の上記式(9)で示される構成単位の比率は、ドライエッチング耐性を低下させない点から、70モル%以下が好ましい。
重合体中の上記式(10)で示される構成単位の比率は、感度および解像度を低下させない点から、60モル%以下が好ましい。
本発明の第2の重合体は、レジスト組成物材料、特に化学増幅型レジスト組成物材料に好適である。本発明の第2の重合体は、特に、感度、解像度などの点に優れている。
また、本発明の第2の重合体は、上記式(7)〜(10)で表される構成単位以外に、公知の単量体に由来する構成単位1種以上を含んでいてもよい。共重合可能な単量体、あるいは、構成単位の具体例としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明の第2の重合体の質量平均分子量は特に限定されないが、レジスト組成物用樹脂として用いる場合、ドライエッチング耐性が向上してレジスト形状がよくなる点から1,000以上であることが好ましく、また、レジスト溶液に対する溶解性が向上して解像度が向上する点から100,000以下であることが好ましい。
5.本発明の第3、第4、第5の重合体
次に、本発明の第3の重合体、第4の重合体および第5の重合体について説明する。本発明の第3の重合体、第4の重合体および第5の重合体は、例えば、レジスト組成物用、特に化学増幅型レジスト組成物用に好適である。
I.本発明の第3の重合体
本発明の第3の重合体は、下記式(11)で表される構成単位1種以上を含むものである。重合体中の下記式(11)で表される構成単位の比率は、5モル%以上が好ましい。
式(11)中、W1は直接結合または炭素数1〜6のメチレン鎖[−(CH2)k−(kは0〜6の整数を表す)]を示し、W2は直接結合または炭素数1〜3のメチレン鎖[−(CH2)l−(lは0〜3の整数を表す)]を示し、W3は炭素数1〜3のメチレン鎖[−(CH2)m−(mは1〜3の整数を表す)]を示し、R14は水素原子またはメチル基を示し、R15は炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基、または、置換基として炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を有する炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示し、R16は水素原子、または、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示すか、あるいは、R15とR16とは、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を示す。
ここで、前記炭素数1〜6のメチレン鎖は、置換基として、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基を有していてもよく、中に一つ以上のエーテル結合を有していてもよい。前記炭素数1〜3のメチレン鎖は、中にカルボニル基を有していてもよい。また、前記アルキル基および橋かけ環式炭化水素基は、無置換のものでもよく、また、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
アルキル基および橋かけ環式炭化水素基の置換基である、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基の置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
なお、ここで、橋かけ環式炭化水素基とは、アダマンタン、ノルボルナンに代表される、下記式(15)または下記式(16)で表される構造を有するものである。
(式(15)中、A1、B1は、それぞれ、直鎖または分岐アルキレン基を示す。A1、B1は同一であっても、異なっていてもよい。)
(式(16)中、A2、B2、Lは、それぞれ、直鎖または分岐アルキレン基を示す。A2、B2、Lは同一であっても、異なっていてもよい。)
上記式(11)中のW1としては、例えば、直接結合(W1に隣接した酸素原子および炭素原子が直接結合していることを表す)、CH2、CH2CH2、CH2CH2CH2、CH(CH3)CH2、CH2O、CH2CH2O、CH2CH(CH3)O、CH(CH3)CH2O、CH2CH2OCH2CH2O、CH2CH(CH3)OCH2CH(CH3)O、CH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2O等が挙げられる。
これらの中でも、W1としては、重合体の保存安定性の点から、直接結合、CH2、CH2CH2O、CH2CH(CH3)Oが好ましい。
上記式(11)中のW2としては、例えば、直接結合(W2に隣接した酸素原子および炭素原子が直接結合していることを表す)、CH2、C(O)、CH2CH2、CH2C(O)、CH2CH2CH2、CH2C(O)CH2等が挙げられる。
これらの中でも、W2としては、重合体の保存安定性の点から、直接結合、CH2、C(O)、CH2C(O)が好ましい。
上記式(11)中のW3としては、例えば、CH2、C(O)、CH2CH2、CH2C(O)、CH2CH2CH2、CH2C(O)CH2等が挙げられる。
これらの中でも、W3としては、重合体の保存安定性の点から、CH2、C(O)、CH2C(O)が好ましい。
上記式(11)中のR15としては、例えば、2−ノルボルニル基、1−アダマンチル基、1−アダマンタンメチル基、1−アダマンタンエチル基、2−アダマンチル基、2−アダマンタンメチル基、2−アダマンタンエチル基、2−アダマンタノニル基等の橋かけ環式炭化水素基等が挙げられる。さらに、R15としては、これらの基が、置換基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等)を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されている構造等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
これらの中でも、R15としては、レジスト組成物に使用したときのドライエッチング耐性に優れている点から、2−ノルボルニル基、1−アダマンチル基、1−アダマンタンメチル基、1−アダマンタンエチル基、2−アダマンチル基、2−アダマンタンメチル基、2−アダマンタンエチル基が好ましく、得られる(共)重合体の光透過性およびTg等の熱安定性の点から、1−アダマンチル基、2−ノルボニル基がより好ましい。
上記式(11)中のR16としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。さらに、R16としては、これらの基が、置換基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等)を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されている構造等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
これらの中でも、R16としては、レジスト組成物に使用したときの塗布性に優れている点から、メチル基、エチル基が好ましい。
また、上記式(11)中のR15とR16とは、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素構造を形成していてもよい。そのような橋かけ環式炭化水素構造としては、例えば、アダマンチリデン基、ノルボニリデン基等が挙げられる。さらに、これらの炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素構造が、置換基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等)を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されているもの等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
また、前述の通り、上記の化合物は、アルキル基および/または橋かけ環式炭化水素基が、置換基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等)を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基等で置換されていてもよい。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
これらの中でも、置換基としては、レジスト組成物に使用したときの光透過性に優れている点から、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基が好ましい。さらに、置換基としては、レジスト組成物に使用したときのドライエッチング耐性に優れている点から、メチル基、エチル基がより好ましく、また、レジスト組成物に使用したときの重合体の基板に対する密着性に優れている点から、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基がより好ましい。
上記式(11)で表される構成単位1種以上を含む本発明の第3の重合体は、下記式(I)で表される単量体を含むモノマー組成物を(共)重合して得られるものである。
式(I)中のW1、W2、W3、R14、R15、R16は、それぞれ、式(11)中のW1、W2、W3、R14、R15、R16に対応している。
上記式(I)で表される単量体としては、例えば、下記式(I−1)〜(I−45)で表される単量体などが挙げられる。式(I−1)〜(I−45)中、R14は上記式(11)と同じであり、水素原子またはメチル基を示す。
上記式(I)で表される単量体としては、中でも、重合体の保存安定性の点から、上記式(I−37)〜(I−45)で表される単量体が好ましい。
上記式(I)で表される単量体は、例えば、下記の工程(Scheme 1)にて製造することができる。
2−アダマンタノン、1−アダマンチルメチルケトン、ノルカンファーおよびその誘導体などの原料ケトンは、市販のものや、公知の製造方法で合成したものが使用できる。
酸性条件下でケトンとジオール、あるいは、ヒドロキシカルボン酸とから環状アセタールを合成する方法は広く知られている。反応溶媒としては、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン等の低極性溶媒が好ましい。また、収率を上げるために系内の水分を予め除去しておくことが好ましい。
アルコールのエステル化反応は、通常のエステル化条件で行うことができる。反応剤としては、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸などが挙げられる。また、酸、塩基、ルイス酸、酵素等のエステル化に用いられる触媒を用いることができる。
この反応の生成物は、いくつかの構造異性体、幾何異性体、光学異性体を含む場合がある。本発明においては、異性体の混合物であっても、また、中間体を含んでいても使用することができる。必要ならば、得られた反応生成物は、蒸留、薄膜蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの公知の方法によって精製してもよい。
本発明の第3の重合体は、上記一般式(I)で示される単量体の単独重合体、あるいは、2種以上の上記一般式(I)で示される単量体の共重合体であっても、上記一般式(I)で示される単量体1種以上と上記式(I)で表される単量体以外の単量体1種以上との共重合体であってもよい。また、共重合体の場合、各構成単位は任意のシーケンスを取り得る。したがって、この重合体は、ランダム共重合体であっても、交互共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
本発明においては、上記式(I)で表される単量体1種以上と、それ以外の公知の単量体1種以上とを共重合してもよい。共重合可能な単量体としては、これまでポジ型レジスト剤、ネガ型レジスト剤、反射防止膜材料、絶縁膜形成材料として公知のもの、例えば、耐ドライエッチング性向上基や酸解離性の溶解性基を有するアクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体や、アルカリ可溶性とするためのエチレン性二重結合を有するカルボン酸類(誘導体も含む)、アクリル樹脂の製造に用いられる公知の単量体などが挙げられる。共重合可能な単量体の具体例としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明の第3の重合体は、レジスト組成物材料、特に化学増幅型レジスト組成物材料に好適である。以下、本発明の第3の重合体が化学増幅型レジスト組成物用樹脂である場合について説明する。
本発明の第1の重合体において記載したように、化学増幅型レジスト組成物用樹脂には、高感度を実現するために酸によりアルカリ水溶液に可溶となる性質と、高いドライエッチング耐性を実現するために炭素密度の高い構造とが要求される。本発明の第3の重合体は、優れた有機溶媒に対する溶解性、耐熱性を有し、さらにはラインエッジラフネスが少ない。このような重合体に、酸の作用でアルカリ水溶液に可溶となる性質の構造や、高いドライエッチング耐性を有する構造を導入することで、優れた化学増幅型レジスト組成物用樹脂が得られる。
酸の作用で脱離しやすい官能基を有する構造、炭素密度の高い構造としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられる。
酸の作用で脱離しやすい官能基を有する構造、あるいは、炭素密度の高い構造を導入するためには、本発明の単量体と、このような構造を有する単量体とを共重合すればよい。
このような構造を有する単量体としては、例えば、これまで化学増幅型レジスト組成物用樹脂の原料単量体として知られているものが使用可能である。本発明の重合体に用いる原料単量体は、リソグラフィーに使用される光源によって任意に選択される。
例えば、KrFエキシマーレーザーや電子線を光源とする場合は、その高いエッチング耐性を考慮して、本発明の単量体とp−ヒドロキシスチレンあるいはその誘導体とを共重合した重合体が好適に用いられる。この場合、重合体中の本発明の単量体に由来する構成単位の比率は、5%以上であることが好ましく、また、60%以下であることが好ましい。
ArFエキシマーレーザーを光源とする場合は、本発明の単量体と環式炭化水素基を有する単量体とを共重合した重合体が好適である。環式炭化水素基を有する単量体を共重合することにより、高いエッチング耐性が得られる。
中でも、本発明の単量体と、環式炭化水素基を有する単量体と、親水性官能基を有する単量体および/またはラクトン構造を有する単量体とを共重合して得られる重合体が好適である。
本発明の第1の重合体において記載したように、環式炭化水素基を有する単量体と親水性官能基を有する単量体とを共重合して得られるアクリル系共重合体、または、環式炭化水素基を有する単量体とラクトン構造を有する単量体とを共重合して得られるアクリル系共重合体は、ArFエキシマーレーザーリソグラフィー用樹脂として好適であることが知られている。このような重合体に本発明の単量体単位を導入することにより、高感度、高解像度、高ドライエッチング耐性といったレジスト性能を損なうことなく、有機溶媒への溶解性および耐熱性が向上し、ラインエッジラフネスの少ない、優れたレジストパターンが得られる。
環式炭化水素基を有する単量体単位は、これを含む重合体に高いドライエッチング耐性を付与するものである。特に、酸により脱離する保護基(環式炭化水素基が直接保護基になっていてもよい。)を含有するものは、波長193nmのArFエキシマーレーザーを用いたフォトリソグラフィーにおける高い感度も付与することができる。環式炭化水素基を有する単量体単位は、必要に応じて、1種としても、2種以上としてもよい。
環式炭化水素基を有する単量体単位としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
親水性官能基を有する単量体単位は、これを含む重合体に基板に対する密着性を付与するものである。特に、酸により脱離する保護基を含有するものは、波長193nmのArFエキシマーレーザーを用いたフォトリソグラフィーにおける高い感度も付与することができる。親水性官能基としては、例えば、末端ヒドロキシ基、アルキル置換エーテル基、δ−バレロラクトニル基、γ−ブチロラクトニル基等を挙げることができる。なお、上記の親水性官能基には、通常、疎水性に含まれるものもあるが、本発明において必要な親水性が得られればよいので、上記のものが含まれる。親水性官能基を有する単量体単位は、必要に応じて、1種としても、2種以上としてもよい。
親水性官能基を有する単量体単位としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
ラクトン構造を有する単量体単位は、これを含む重合体に高いドライエッチング耐性、および、基板に対する密着性を付与するものである。ラクトン構造を有する単量体単位は、必要に応じて、1種としても、2種以上としてもよい。
ラクトン構造を有する単量体単位としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
化学増幅型レジスト組成物用樹脂としては、中でも、式(11)で表される構成単位1種以上と、式(8)、(9)または(10)で表される構成単位1種以上とを含む重合体が好適である。式(11)で表される構成単位1種以上と、式(8)、(9)または(10)で表される構成単位1種以上とを含む重合体については、III.本発明の第5の重合体において説明する。
本発明の第3の重合体の質量平均分子量は特に限定されないが、レジスト組成物用樹脂として用いる場合、ドライエッチング耐性が向上してレジスト形状がよくなる点から1,000以上であることが好ましく、また、レジスト溶液に対する溶解性が向上して解像度が向上する点から100,000以下であることが好ましい。
II.本発明の第4の重合体
本発明の第4の重合体は、下記式(12)で表される構成単位1種以上を含むものである。重合体中の下記式(12)で表される構成単位の比率は、5モル%以上が好ましい。
式(12)中、W4は直接結合または炭素数1〜6のメチレン鎖[−(CH2)n−(nは0〜6の整数を表す)]を示し、R17は水素原子またはメチル基を示し、R18、R19は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数4〜16の環式炭化水素基、または、置換基として炭素数4〜16の環式炭化水素基を有する炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示すか、あるいは、R18とR19とは、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数4〜16の環式炭化水素基を示す。R18、R19は同一であっても、異なっていてもよい。
ここで、前記炭素数1〜6のメチレン鎖は、置換基として、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基を有していてもよく、中に一つ以上のエーテル結合を有していてもよい。また、前記アルキル基および環式炭化水素基は、無置換のものでもよく、また、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
アルキル基および環式炭化水素基の置換基である、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基の置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
上記式(12)中のW4としては、例えば、直接結合(W4に隣接した酸素原子および炭素原子が直接結合していることを表す)、CH2、CH2CH2、CH2CH2CH2、CH(CH3)CH2、CH2O、CH2CH2O、CH2CH(CH3)O、CH(CH3)CH2O、CH2CH2OCH2CH2O、CH2CH(CH3)OCH2CH(CH3)O、CH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2O等が挙げられる。
これらの中でも、W4としては、重合体の保存安定性の点から、直接結合、CH2、CH2CH2O、CH2CH(CH3)Oが好ましい。
上記式(12)中のR18、R19としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−ノルボルニル基、1−アダマンチル基、1−アダマンタンメチル基、1−アダマンタンエチル基、2−アダマンチル基、2−アダマンタンメチル基、2−アダマンタンエチル基、2−アダマンタノニル基等が挙げられる。さらに、R18、R19としては、これらの基が、置換基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等)を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されている構造等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
また、上記式(12)中のR18とR19とは、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数4〜16の環式炭化水素構造を形成していてもよい。そのような環式炭化水素構造としては、例えば、アダマンチリデン基、ノルボニリデン基等が挙げられる。さらに、これらの炭素数4〜16の環式炭化水素構造が、置換基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等)を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されているもの等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
上記式(12)で表される構成単位としては、レジスト組成物に使用したときのドライエッチング耐性に優れている点から、R18が2−ノルボルニル基、1−アダマンチル基、1−アダマンタンメチル基、1−アダマンタンエチル基、2−アダマンチル基、2−アダマンタンメチル基、2−アダマンタンエチル基、2−アダマンタノニル基などの炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基、または、炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を置換基として有する炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基であり、R19が水素原子、または、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基であるものが好ましい。特に、R18が2−ノルボルニル基または1−アダマンチル基であり、R19がメチル基またはエチル基であるものがより好ましい。また、R18とR19とが、それらが結合している炭素原子とともに、アダマンチリデン基またはノルボニリデン基を形成しているものも好ましい。
また、前述の通り、上記の化合物は、アルキル基および/または環式炭化水素基が、置換基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等)を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基等で置換されていてもよい。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
これらの中でも、置換基としては、レジスト組成物に使用したときの光透過性に優れている点から、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基が好ましい。さらに、置換基としては、レジスト組成物に使用したときのドライエッチング耐性に優れている点から、メチル基、エチル基がより好ましく、また、レジスト組成物に使用したときの重合体の基板に対する密着性に優れている点から、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基がより好ましい。
上記式(12)で表される構成単位1種以上を含む本発明の第4の重合体は、下記式(II)で表される単量体を含むモノマー組成物を(共)重合して得られるものである。
式(II)中のW4、R17、R18、R19は、それぞれ、式(12)中のW4、R17、R18、R19に対応している。
上記式(II)で表される単量体としては、例えば、下記式(II−1)〜(II−18)で表される単量体などが挙げられる。式(II−1)〜(II−18)中、R17は上記式(II)と同じであり、水素原子またはメチル基を示す。
上記式(II)で表される単量体としては、中でも、レジスト組成物に使用したときのドライエッチング耐性に優れている点から、上記式(II−1)〜(II−9)で表される単量体が好ましい。
上記式(II)で表される単量体は、例えば、下記の工程(Scheme 2)にて製造することができる。
2−アダマンタノン、1−アダマンチルメチルケトン、ノルカンファーおよびその誘導体などの原料ケトンは、市販のものや、公知の製造方法で合成したものが使用できる。
酸性条件下でケトンとジオール、あるいは、ヒドロキシカルボン酸とから環状アセタールを合成する方法は広く知られている。反応溶媒としては、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン等の低極性溶媒が好ましい。また、収率を上げるために系内の水分を予め除去しておくことが好ましい。
アルコールのエステル化反応は、通常のエステル化条件で行うことができる。反応剤としては、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸などが挙げられる。また、酸、塩基、ルイス酸、酵素等のエステル化に用いられる触媒を用いることができる。
この反応の生成物は、いくつかの構造異性体、幾何異性体、光学異性体を含む場合がある。本発明においては、異性体の混合物であっても、また、中間体を含んでいても使用することができる。必要ならば、得られた反応生成物は、蒸留、薄膜蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの公知の方法によって精製してもよい。
本発明の第4の重合体は、上記一般式(II)で示される単量体の単独重合体、あるいは、2種以上の上記一般式(II)で示される単量体の共重合体であっても、上記一般式(II)で示される単量体1種以上と上記式(II)で表される単量体以外の単量体1種以上との共重合体であってもよい。また、共重合体の場合、各構成単位は任意のシーケンスを取り得る。したがって、この重合体は、ランダム共重合体であっても、交互共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
本発明においては、上記式(II)で表される単量体1種以上と、それ以外の公知の単量体1種以上とを共重合してもよい。共重合可能な単量体としては、これまでポジ型レジスト剤、ネガ型レジスト剤、反射防止膜材料、絶縁膜形成材料として公知のもの、例えば、耐ドライエッチング性向上基や酸解離性の溶解性基を有するアクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体や、アルカリ可溶性とするためのエチレン性二重結合を有するカルボン酸類(誘導体も含む)、アクリル樹脂の製造に用いられる公知の単量体などが挙げられる。共重合可能な単量体の具体例としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明の第4の重合体は、レジスト組成物材料、特に化学増幅型レジスト組成物材料に好適である。以下、本発明の第4の重合体が化学増幅型レジスト組成物用樹脂である場合について説明する。
本発明の第1の重合体において記載したように、化学増幅型レジスト組成物用樹脂には、高感度を実現するために酸によりアルカリ水溶液に可溶となる性質と、高いドライエッチング耐性を実現するために炭素密度の高い構造とが要求される。本発明の第4の重合体は、優れた有機溶媒に対する溶解性、耐熱性を有し、さらにはラインエッジラフネスが少ない。このような重合体に、酸の作用でアルカリ水溶液に可溶となる性質の構造や、高いドライエッチング耐性を有する構造を導入することで、優れた化学増幅型レジスト組成物用樹脂が得られる。
酸の作用で脱離しやすい官能基を有する構造、炭素密度の高い構造としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられる。
酸の作用で脱離しやすい官能基を有する構造、あるいは、炭素密度の高い構造を導入するためには、本発明の単量体と、このような構造を有する単量体とを共重合すればよい。
このような構造を有する単量体としては、例えば、これまで化学増幅型レジスト組成物用樹脂の原料単量体として知られているものが使用可能である。本発明の重合体に用いる原料単量体は、リソグラフィーに使用される光源によって任意に選択される。
例えば、KrFエキシマーレーザーや電子線を光源とする場合は、その高いエッチング耐性を考慮して、本発明の単量体とp−ヒドロキシスチレンあるいはその誘導体とを共重合した重合体が好適に用いられる。この場合、重合体中の本発明の単量体に由来する構成単位の比率は、5%以上であることが好ましく、また、60%以下であることが好ましい。
ArFエキシマーレーザーを光源とする場合は、本発明の単量体と環式炭化水素基を有する単量体とを共重合した重合体が好適である。環式炭化水素基を有する単量体を共重合することにより、高いエッチング耐性が得られる。
中でも、本発明の単量体と、環式炭化水素基を有する単量体と、親水性官能基を有する単量体および/またはラクトン構造を有する単量体とを共重合して得られる重合体が好適である。
本発明の第1の重合体において記載したように、環式炭化水素基を有する単量体と親水性官能基を有する単量体とを共重合して得られるアクリル系共重合体、または、環式炭化水素基を有する単量体とラクトン構造を有する単量体とを共重合して得られるアクリル系共重合体は、ArFエキシマーレーザーリソグラフィー用樹脂として好適であることが知られている。このような重合体に本発明の単量体単位を導入することにより、高感度、高解像度、高ドライエッチング耐性といったレジスト性能を損なうことなく、有機溶媒への溶解性および耐熱性が向上し、ラインエッジラフネスの少ない、優れたレジストパターンが得られる。
環式炭化水素基を有する単量体単位は、これを含む重合体に高いドライエッチング耐性を付与するものである。特に、酸により脱離する保護基(環式炭化水素基が直接保護基になっていてもよい。)を含有するものは、波長193nmのArFエキシマーレーザーを用いたフォトリソグラフィーにおける高い感度も付与することができる。環式炭化水素基を有する単量体単位は、必要に応じて、1種としても、2種以上としてもよい。
環式炭化水素基を有する単量体単位としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
親水性官能基を有する単量体単位は、これを含む重合体に基板に対する密着性を付与するものである。特に、酸により脱離する保護基を含有するものは、波長193nmのArFエキシマーレーザーを用いたフォトリソグラフィーにおける高い感度も付与することができる。親水性官能基としては、例えば、末端ヒドロキシ基、アルキル置換エーテル基、δ−バレロラクトニル基、γ−ブチロラクトニル基等を挙げることができる。なお、上記の親水性官能基には、通常、疎水性に含まれるものもあるが、本発明において必要な親水性が得られればよいので、上記のものが含まれる。親水性官能基を有する単量体単位は、必要に応じて、1種としても、2種以上としてもよい。
親水性官能基を有する単量体単位としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
ラクトン構造を有する単量体単位は、これを含む重合体に高いドライエッチング耐性、および、基板に対する密着性を付与するものである。ラクトン構造を有する単量体単位は、必要に応じて、1種としても、2種以上としてもよい。
ラクトン構造を有する単量体単位としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
化学増幅型レジスト組成物用樹脂としては、中でも、式(12)で表される構成単位1種以上と、式(8)、(9)または(10)で表される構成単位1種以上とを含む重合体が好適である。式(12)で表される構成単位1種以上と、式(8)、(9)または(10)で表される構成単位1種以上とを含む重合体については、III.本発明の第5の重合体において説明する。
本発明の第4の重合体の質量平均分子量は特に限定されないが、レジスト組成物用樹脂として用いる場合、ドライエッチング耐性が向上してレジスト形状がよくなる点から1,000以上であることが好ましく、また、レジスト溶液に対する溶解性が向上して解像度が向上する点から100,000以下であることが好ましい。
III.本発明の第5の重合体
本発明の第5の重合体は、下記式(13)で表される構成単位1種以上と、下記式(8)、(9)または(10)で表される構成単位1種以上とを含むものである。
式(13)中、W5は直接結合または炭素数1〜6のメチレン鎖[−(CH2)x−(xは0〜6の整数を表す)]を示し、W6は直接結合または炭素数1〜3のメチレン鎖[−(CH2)y−(yは0〜3の整数を表す)]を示し、W7は炭素数1〜3のメチレン鎖[−(CH2)z−(zは1〜3の整数を表す)]を示し、R20は水素原子またはメチル基を示し、R21、R22は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数4〜16の環式炭化水素基、または、置換基として炭素数4〜16の環式炭化水素基を有する炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示すか、あるいは、R21とR22とは、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数4〜16の環式炭化水素基を示す。R21、R22は同一であっても、異なっていてもよい。
ここで、前記炭素数1〜6のメチレン鎖は、置換基として、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基を有していてもよく、中に一つ以上のエーテル結合を有していてもよい。前記炭素数1〜3のメチレン鎖は、中にカルボニル基を有していてもよい。また、前記アルキル基および環式炭化水素基は、無置換のものでもよく、また、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
式(8)中、R8は水素原子またはメチル基を示し、R9は炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数4〜8の環式炭化水素基、または、炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を示す。
ここで、前記アルキル基、環式炭化水素基および橋かけ環式炭化水素基は、無置換のものでもよく、また、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
式(9)中、R10は水素原子またはメチル基を示し、R11は水素原子、親水性官能基、親水性官能基を有する炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、親水性官能基を有する炭素数4〜8の環式炭化水素基、または、親水性官能基を有する炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基を示す。
ここで、前記アルキル基、環式炭化水素基、橋かけ環式炭化水素基および親水性官能基は、無置換のものでもよく、また、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
なお、式(9)中の親水性官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基などの極性の高い基、および、ケトン、酸無水物、エステル、エーテル、ラクトン、イミド、アミドなどの構造を有する直鎖もしくは分岐アルキル基、環状化合物などが挙げられる。親水性官能基を有する化合物には、骨格の一部がケトン、酸無水物、エステル、エーテル、ラクトン、イミド、アミドなどの構造に置換された炭素数4〜8の単環式飽和炭化水素基、炭素数4〜16の橋かけ環式炭化水素基も含まれる。上記の親水性官能基には、通常、疎水性に含まれるものもあるが、本発明を使用したレジスト剤組成物において必要な親水性が得られればよいので、上記のものが含まれる。
式(10)中、R12、R13は、それぞれ、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、qは1〜4の整数を示す。R12、R13は同一であっても、異なっていてもよい。
ここで、CqH2qは、炭素数1〜4のメチレン鎖[−(CH2)q−(qは1〜4の整数を表す)]を示す。
本発明の第5の重合体において、構成単位(13)、(8)、(9)および(10)は、それぞれ、全て同じである必要はなく、上記のような一般式で示されるものであれば2種以上が混在するものであってもよい。また、この重合体において、各構成単位は任意のシーケンスを取り得る。したがって、この重合体は、ランダム共重合体であっても、交互共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
アルキル基、環式炭化水素基、橋かけ環式炭化水素基および親水性官能基の置換基である、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基の置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
上記式(13)中のW5としては、例えば、直接結合(W5に隣接した酸素原子および炭素原子が直接結合していることを表す)、CH2、CH2CH2、CH2CH2CH2、CH(CH3)CH2、CH2O、CH2CH2O、CH2CH(CH3)O、CH(CH3)CH2O、CH2CH2OCH2CH2O、CH2CH(CH3)OCH2CH(CH3)O、CH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2O等が挙げられる。
これらの中でも、W5としては、重合体の保存安定性の点から、直接結合、CH2、CH2CH2O、CH2CH(CH3)Oが好ましい。
上記式(13)中のW6としては、例えば、直接結合(W6に隣接した酸素原子および炭素原子が直接結合していることを表す)、CH2、C(O)、CH2CH2、CH2C(O)、CH2CH2CH2、CH2C(O)CH2等が挙げられる。
これらの中でも、W6としては、重合体の保存安定性の点から、直接結合、CH2、C(O)、CH2C(O)が好ましい。
上記式(13)中のW7としては、例えば、CH2、C(O)、CH2CH2、CH2C(O)、CH2CH2CH2、CH2C(O)CH2等が挙げられる。
これらの中でも、W7としては、重合体の保存安定性の点から、CH2、C(O)、CH2C(O)が好ましい。
上記式(13)中のR21、R22としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−ノルボルニル基、1−アダマンチル基、1−アダマンタンメチル基、1−アダマンタンエチル基、2−アダマンチル基、2−アダマンタンメチル基、2−アダマンタンエチル基、2−アダマンタノニル基等が挙げられる。さらに、R21、R22としては、これらの基が、置換基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等)を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されている構造等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
また、上記式(13)中のR21とR22とは、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数4〜16の環式炭化水素構造を形成していてもよい。そのような環式炭化水素構造としては、例えば、アダマンチリデン基、ノルボニリデン基、シクロヘキシリデン等が挙げられる。さらに、これらの炭素数4〜16の環式炭化水素構造が、置換基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等)を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されているもの等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
上記式(13)で表される構成単位としては、R21が水素原子、メチル基またはエチル基であり、R22がシクロペンチル基、シクロヘキシル基またはシクロヘプチル基であるもの、および、R21とR22とが、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数5〜12の環式炭化水素基を形成しているものが好ましい。中でも、上記式(11)または式(12)で表される構成単位が特に好ましい。
上記式(8)で表される構成単位は、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチルアダマンタン、および、これらの単量体の環式炭化水素基上にアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する誘導体などを共重合することにより得られる。
上記式(8)で表される構成単位としては、中でも、レジスト組成物材料に使用したときの感度および解像度の点から、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチルアダマンタンに由来する構成単位が好ましい。
上記式(9)で表される構成単位は、親水性官能基を有する単量体、例えば、末端ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート、アルキル置換エーテル基を有する(メタ)アクリレート、δ−バレロラクトニル基を有する(メタ)アクリレート、γ−ブチロラクトニル基を有する(メタ)アクリレート、および、これらの単量体の親水性官能基上にアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する誘導体、あるいは、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチルアダマンタン等の環式炭化水素基上にヒドロキシ基、カルボキシ基等の親水性官能基を有する単量体などを共重合することにより得られる。このような単量体として、具体的には、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、1−メタクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−β−メチル−δ−バレロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−β−メチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、2−(1−(メタ)アクリロイルオキシ)エチル−4−ブタノリド、パントラクトン(メタ)アクリレート、8−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−オン、9−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−オン等が挙げられる。
上記式(9)で表される構成単位としては、中でも、レジスト組成物材料に使用したときの重合体の基板に対する密着性の点から、1−メタクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン、8−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−オン、9−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−オンに由来する構成単位が好ましい。
上記式(10)で表される構成単位は、4〜8員環のα−メチレンラクトン、および、そのラクトン環炭素上にアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する誘導体などを共重合することにより得られる。
上記式(10)で表される構成単位としては、中でも、レジスト組成物材料に使用したときの感度および解像度の点から、α−メチレン−γ−ブチロラクトン、および、そのγ位炭素上にメチル基、エチル基等の置換基を有する誘導体、例えばα−メチレン−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−エチル−γ−ブチロラクトン、4,4−ジメチル−2−メチレン−4−ブタノライドに由来する構成単位が好ましい。
重合体中の上記式(13)で示される構成単位の比率は、重合体の有機溶剤への溶解性および耐熱性をより向上させ、ラインエッジラフネスをより低減する点から、5モル%以上が好ましい。また、重合体中の上記式(13)で示される構成単位の比率は、感度および解像度を低下させない点から、50モル%以下が好ましい。
重合体中の上記式(8)で示される構成単位の比率は、感度および解像度をより高める点から、30モル%以上が好ましい。また、重合体中の上記式(8)で示される構成単位の比率は、有機溶剤への溶解性を低下させない点から、70モル%以下が好ましい。
重合体中の上記式(9)で示される構成単位の比率は、ドライエッチング耐性を低下させない点から、70モル%以下が好ましい。
重合体中の上記式(10)で示される構成単位の比率は、感度および解像度を低下させない点から、60モル%以下が好ましい。
本発明の第5の重合体は、レジスト組成物材料、特に化学増幅型レジスト組成物材料に好適である。本発明の第5の重合体は、特に、感度、解像度などの点に優れている。
また、本発明の第5の重合体は、上記式(13)、(8)〜(10)で表される構成単位以外に、公知の単量体に由来する構成単位1種以上を含んでいてもよい。共重合可能な単量体、あるいは、構成単位の具体例としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明の第5の重合体の質量平均分子量は特に限定されないが、レジスト組成物用樹脂として用いる場合、ドライエッチング耐性が向上してレジスト形状がよくなる点から1,000以上であることが好ましく、また、レジスト溶液に対する溶解性が向上して解像度が向上する点から100,000以下であることが好ましい。
6.本発明のレジスト組成物に用いるその他のレジスト用重合体
本発明のレジスト組成物に用いるレジスト用重合体として、本発明の第2の重合体以外の上記式(7)で表される構成単位1種以上を含む重合体(第6の重合体)、または、本発明の第5の重合体以外の上記式(13)で表される構成単位1種以上を含む重合体(第7の重合体)を用いてもよい。上記式(7)で表される構成単位1種以上を含む重合体1種以上を含有する本発明のレジスト組成物、および、上記式(13)で表される構成単位1種以上を含む重合体1種以上を含有する本発明のレジスト組成物も、十分な感度、解像度、ドライエッチング耐性を備えた上に、ラインエッジラフネスが少ないものである。
I.本発明の第6の重合体
本発明の第6の重合体は、下記式(7)で表される構成単位1種以上を含むものである。本発明の第6の重合体は、下記式(7)で表される構成単位1種からなる単独重合体、あるいは、下記式(7)で表される構成単位2種以上からなる共重合体であっても、下記式(7)で表される構成単位1種以上と下記式(7)で表される構成単位以外の構成単位1種以上とからなる共重合体であってもよい。また、共重合体の場合、各構成単位は任意のシーケンスを取り得る。したがって、この重合体は、ランダム共重合体であっても、交互共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。重合体中の下記式(7)で表される構成単位の比率は、5モル%以上が好ましい。
式(7)中、R6、R7は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数4〜16の環式炭化水素基、または、置換基として炭素数4〜16の環式炭化水素基を有する炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示すか、あるいは、R6とR7とは、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数4〜16の環式炭化水素基を示す。R6、R7は同一であっても、異なっていてもよい。
ここで、前記アルキル基および環式炭化水素基は、無置換のものでもよく、また、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
アルキル基および環式炭化水素基の置換基である、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基の置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
上記式(7)中のR6、R7としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−ノルボルニル基、1−アダマンチル基、1−アダマンタンメチル基、1−アダマンタンエチル基、2−アダマンチル基、2−アダマンタンメチル基、2−アダマンタンエチル基、2−アダマンタノニル基等が挙げられる。さらに、R6、R7としては、これらの基が、置換基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等)を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されている構造等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
また、上記式(7)中のR6とR7とは、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数4〜16の環式炭化水素構造を形成していてもよい。そのような環式炭化水素構造としては、例えば、アダマンチリデン基、ノルボニリデン基、シクロヘキシリデン等が挙げられる。さらに、これらの炭素数4〜16の環式炭化水素構造が、置換基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等)を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されている構造等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
上記式(7)で表される構成単位としては、R6が水素原子、メチル基またはエチル基であり、R7がシクロペンチル基、シクロヘキシル基またはシクロヘプチル基であるもの、および、R6とR7とが、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数5〜8の環式炭化水素基を形成しているものが好ましい。
本発明の第6の重合体は、上記式(7)で表される構成単位以外の構成単位1種以上を含んでいてもよい。本発明の第6の重合体において共重合可能な単量体としては、これまでポジ型レジスト剤、ネガ型レジスト剤、反射防止膜材料、絶縁膜形成材料として公知のもの、例えば、耐ドライエッチング性向上基や酸解離性の溶解性基を有するアクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体や、アルカリ可溶性とするためのエチレン性二重結合を有するカルボン酸類(誘導体も含む)、アクリル樹脂の製造に用いられる公知の単量体などが挙げられる。共重合可能な単量体の具体例としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明の第1の重合体において記載したように、化学増幅型レジスト組成物用樹脂には、高感度を実現するために酸によりアルカリ水溶液に可溶となる性質と、高いドライエッチング耐性を実現するために炭素密度の高い構造とが要求される。本発明の第6の重合体は、優れた有機溶媒に対する溶解性、耐熱性を有し、さらにはラインエッジラフネスが少ない。このような重合体に、酸の作用でアルカリ水溶液に可溶となる性質の構造や、高いドライエッチング耐性を有する構造を導入することで、優れた化学増幅型レジスト組成物用樹脂が得られる。
酸の作用で脱離しやすい官能基を有する構造、炭素密度の高い構造としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられる。
酸の作用で脱離しやすい官能基を有する構造、あるいは、炭素密度の高い構造を導入するためには、本発明の単量体と、このような構造を有する単量体とを共重合すればよい。
このような構造を有する単量体としては、例えば、これまで化学増幅型レジスト組成物用樹脂の原料単量体として知られているものが使用可能である。本発明の重合体に用いる原料単量体は、リソグラフィーに使用される光源によって任意に選択される。
例えば、KrFエキシマーレーザーや電子線を光源とする場合は、その高いエッチング耐性を考慮して、本発明の単量体とp−ヒドロキシスチレンあるいはその誘導体とを共重合した重合体が好適に用いられる。この場合、重合体中の本発明の単量体に由来する構成単位の比率は、5%以上であることが好ましく、また、60%以下であることが好ましい。
ArFエキシマーレーザーを光源とする場合は、本発明の単量体と環式炭化水素基を有する単量体とを共重合した重合体が好適である。環式炭化水素基を有する単量体を共重合することにより、高いエッチング耐性が得られる。
中でも、本発明の単量体と、環式炭化水素基を有する単量体と、親水性官能基を有する単量体および/またはラクトン構造を有する単量体とを共重合して得られる重合体が好適である。
本発明の第1の重合体において記載したように、環式炭化水素基を有する単量体と親水性官能基を有する単量体とを共重合して得られるアクリル系共重合体、または、環式炭化水素基を有する単量体とラクトン構造を有する単量体とを共重合して得られるアクリル系共重合体は、ArFエキシマーレーザーリソグラフィー用樹脂として好適であることが知られている。このような重合体に本発明の単量体単位を導入することにより、高感度、高解像度、高ドライエッチング耐性といったレジスト性能を損なうことなく、有機溶媒への溶解性および耐熱性が向上し、ラインエッジラフネスの少ない、優れたレジストパターンが得られる。
環式炭化水素基を有する単量体単位は、これを含む重合体に高いドライエッチング耐性を付与するものである。特に、酸により脱離する保護基(環式炭化水素基が直接保護基になっていてもよい。)を含有するものは、波長193nmのArFエキシマーレーザーを用いたフォトリソグラフィーにおける高い感度も付与することができる。環式炭化水素基を有する単量体単位は、必要に応じて、1種としても、2種以上としてもよい。
環式炭化水素基を有する単量体単位としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
親水性官能基を有する単量体単位は、これを含む重合体に基板に対する密着性を付与するものである。特に、酸により脱離する保護基を含有するものは、波長193nmのArFエキシマーレーザーを用いたフォトリソグラフィーにおける高い感度も付与することができる。親水性官能基としては、例えば、末端ヒドロキシ基、アルキル置換エーテル基、δ−バレロラクトニル基、γ−ブチロラクトニル基等を挙げることができる。なお、上記の親水性官能基には、通常、疎水性に含まれるものもあるが、本発明において必要な親水性が得られればよいので、上記のものが含まれる。親水性官能基を有する単量体単位は、必要に応じて、1種としても、2種以上としてもよい。
親水性官能基を有する単量体単位としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
ラクトン構造を有する単量体単位は、これを含む重合体に高いドライエッチング耐性、および、基板に対する密着性を付与するものである。ラクトン構造を有する単量体単位は、必要に応じて、1種としても、2種以上としてもよい。
ラクトン構造を有する単量体単位としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
本発明の第6の重合体の質量平均分子量は特に限定されないが、ドライエッチング耐性が向上してレジスト形状がよくなる点から1,000以上であることが好ましく、また、レジスト溶液に対する溶解性が向上して解像度が向上する点から100,000以下であることが好ましい。
II.本発明の第7の重合体
本発明の第7の重合体は、下記式(13)で表される構成単位1種以上を含むものである。本発明の第7の重合体は、下記式(13)で表される構成単位1種からなる単独重合体、あるいは、下記式(13)で表される構成単位2種以上からなる共重合体であっても、下記式(13)で表される構成単位1種以上と下記式(13)で表される構成単位以外の構成単位1種以上とからなる共重合体であってもよい。また、共重合体の場合、各構成単位は任意のシーケンスを取り得る。したがって、この重合体は、ランダム共重合体であっても、交互共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。重合体中の下記式(13)で表される構成単位の比率は、5モル%以上が好ましい。
式(13)中、W5は直接結合または炭素数1〜6のメチレン鎖[−(CH2)x−(xは0〜6の整数を表す)]を示し、W6は直接結合または炭素数1〜3のメチレン鎖[−(CH2)y−(yは0〜3の整数を表す)]を示し、W7は炭素数1〜3のメチレン鎖[−(CH2)z−(zは1〜3の整数を表す)]を示し、R20は水素原子またはメチル基を示し、R21、R22は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数4〜16の環式炭化水素基、または、置換基として炭素数4〜16の環式炭化水素基を有する炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を示すか、あるいは、R21とR22とは、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数4〜16の環式炭化水素基を示す。R21、R22は同一であっても、異なっていてもよい。
ここで、前記炭素数1〜6のメチレン鎖は、置換基として、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基を有していてもよく、中に一つ以上のエーテル結合を有していてもよい。前記炭素数1〜3のメチレン鎖は、中にカルボニル基を有していてもよい。また、前記アルキル基および環式炭化水素基は、無置換のものでもよく、また、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基を有していてもよい。二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
アルキル基および環式炭化水素基の置換基である、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基の置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
上記式(13)中のW5としては、例えば、直接結合(W5に隣接した酸素原子および炭素原子が直接結合していることを表す)、CH2、CH2CH2、CH2CH2CH2、CH(CH3)CH2、CH2O、CH2CH2O、CH2CH(CH3)O、CH(CH3)CH2O、CH2CH2OCH2CH2O、CH2CH(CH3)OCH2CH(CH3)O、CH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2O等が挙げられる。
これらの中でも、W5としては、重合体の保存安定性の点から、直接結合、CH2、CH2CH2O、CH2CH(CH3)Oが好ましい。
上記式(13)中のW6としては、例えば、直接結合(W6に隣接した酸素原子および炭素原子が直接結合していることを表す)、CH2、C(O)、CH2CH2、CH2C(O)、CH2CH2CH2、CH2C(O)CH2等が挙げられる。
これらの中でも、W6としては、重合体の保存安定性の点から、直接結合、CH2、C(O)、CH2C(O)が好ましい。
上記式(13)中のW7としては、例えば、CH2、C(O)、CH2CH2、CH2C(O)、CH2CH2CH2、CH2C(O)CH2等が挙げられる。
これらの中でも、W7としては、重合体の保存安定性の点から、CH2、C(O)、CH2C(O)が好ましい。
上記式(13)中のR21、R22としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−ノルボルニル基、1−アダマンチル基、1−アダマンタンメチル基、1−アダマンタンエチル基、2−アダマンチル基、2−アダマンタンメチル基、2−アダマンタンエチル基、2−アダマンタノニル基等が挙げられる。さらに、R21、R22としては、これらの基が、置換基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等)を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されている構造等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
また、上記式(13)中のR21とR22とは、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数4〜16の環式炭化水素構造を形成していてもよい。そのような環式炭化水素構造としては、例えば、アダマンチリデン基、ノルボニリデン基、シクロヘキシリデン等が挙げられる。さらに、これらの炭素数4〜16の環式炭化水素構造が、置換基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、アミノ基等)を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されているもの等が挙げられる。置換基は一つであっても二つ以上であってもよく、二つ以上の置換基を有する場合、置換基は一種であっても、二種以上であってもよい。
上記式(13)で表される構成単位としては、R21が水素原子、メチル基またはエチル基であり、R22がシクロペンチル基、シクロヘキシル基またはシクロヘプチル基であるもの、および、R21とR22とが、それらが結合している炭素原子とともに、炭素数5〜12の環式炭化水素基を形成しているものが好ましい。
本発明の第7の重合体は、上記式(13)で表される構成単位以外の構成単位1種以上を含んでいてもよい。本発明の第7の重合体において共重合可能な単量体としては、これまでポジ型レジスト剤、ネガ型レジスト剤、反射防止膜材料、絶縁膜形成材料として公知のもの、例えば、耐ドライエッチング性向上基や酸解離性の溶解性基を有するアクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体や、アルカリ可溶性とするためのエチレン性二重結合を有するカルボン酸類(誘導体も含む)、アクリル樹脂の製造に用いられる公知の単量体などが挙げられる。共重合可能な単量体の具体例としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明の第1の重合体において記載したように、化学増幅型レジスト組成物用樹脂には、高感度を実現するために酸によりアルカリ水溶液に可溶となる性質と、高いドライエッチング耐性を実現するために炭素密度の高い構造とが要求される。本発明の第7の重合体は、優れた有機溶媒に対する溶解性、耐熱性を有し、さらにはラインエッジラフネスが少ない。このような重合体に、酸の作用でアルカリ水溶液に可溶となる性質の構造や、高いドライエッチング耐性を有する構造を導入することで、優れた化学増幅型レジスト組成物用樹脂が得られる。
酸の作用で脱離しやすい官能基を有する構造、炭素密度の高い構造としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられる。
酸の作用で脱離しやすい官能基を有する構造、あるいは、炭素密度の高い構造を導入するためには、本発明の単量体と、このような構造を有する単量体とを其重合すればよい。
このような構造を有する単量体としては、例えば、これまで化学増幅型レジスト組成物用樹脂の原料単量体として知られているものが使用可能である。本発明の重合体に用いる原料単量体は、リソグラフィーに使用される光源によって任意に選択される。
例えば、KrFエキシマーレーザーや電子線を光源とする場合は、その高いエッチング耐性を考慮して、本発明の単量体とp−ヒドロキシスチレンあるいはその誘導体とを共重合した重合体が好適に用いられる。この場合、重合体中の本発明の単量体に由来する構成単位の比率は、5%以上であることが好ましく、また、60%以下であることが好ましい。
ArFエキシマーレーザーを光源とする場合は、本発明の単量体と環式炭化水素基を有する単量体とを共重合した重合体が好適である。環式炭化水素基を有する単量体を共重合することにより、高いエッチング耐性が得られる。
中でも、本発明の単量体と、環式炭化水素基を有する単量体と、親水性官能基を有する単量体および/またはラクトン構造を有する単量体とを共重合して得られる重合体が好適である。
本発明の第1の重合体において記載したように、環式炭化水素基を有する単量体と親水性官能基を有する単量体とを共重合して得られるアクリル系共重合体、または、環式炭化水素基を有する単量体とラクトン構造を有する単量体とを共重合して得られるアクリル系共重合体は、ArFエキシマーレーザーリソグラフィー用樹脂として好適であることが知られている。このような重合体に本発明の単量体単位を導入することにより、高感度、高解像度、高ドライエッチング耐性といったレジスト性能を損なうことなく、有機溶媒への溶解性および耐熱性が向上し、ラインエッジラフネスの少ない、優れたレジストパターンが得られる。
環式炭化水素基を有する単量体単位は、これを含む重合体に高いドライエッチング耐性を付与するものである。特に、酸により脱離する保護基(環式炭化水素基が直接保護基になっていてもよい。)を含有するものは、波長193nmのArFエキシマーレーザーを用いたフォトリソグラフィーにおける高い感度も付与することができる。環式炭化水素基を有する単量体単位は、必要に応じて、1種としても、2種以上としてもよい。
環式炭化水素基を有する単量体単位としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
親水性官能基を有する単量体単位は、これを含む重合体に基板に対する密着性を付与するものである。特に、酸により脱離する保護基を含有するものは、波長193nmのArFエキシマーレーザーを用いたフォトリソグラフィーにおける高い感度も付与することができる。親水性官能基としては、例えば、末端ヒドロキシ基、アルキル置換エーテル基、δ−バレロラクトニル基、γ−ブチロラクトニル基等を挙げることができる。なお、上記の親水性官能基には、通常、疎水性に含まれるものもあるが、本発明において必要な親水性が得られればよいので、上記のものが含まれる。親水性官能基を有する単量体単位は、必要に応じて、1種としても、2種以上としてもよい。
親水性官能基を有する単量体単位としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
ラクトン構造を有する単量体単位は、これを含む重合体に高いドライエッチング耐性、および、基板に対する密着性を付与するものである。ラクトン構造を有する単量体単位は、必要に応じて、1種としても、2種以上としてもよい。
ラクトン構造を有する単量体単位としては、本発明の第1の重合体において例示したものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
本発明の第7の重合体の質量平均分子量は特に限定されないが、ドライエッチング耐性が向上してレジスト形状がよくなる点から1,000以上であることが好ましく、また、レジスト溶液に対する溶解性が向上して解像度が向上する点から100,000以下であることが好ましい。
7.本発明の重合体の製造方法
本発明の重合体(レジスト組成物用樹脂)は公知の重合法により製造することができるが、簡便に製造できるという点で、あらかじめ単量体および重合開始剤を有機溶媒に溶解させた単量体溶液を一定温度に保持した有機溶媒中に滴下する、いわゆる滴下重合法により製造することが好ましい。
滴下重合法に用いられる有機溶媒としては特に限定されないが、単量体および得られる共重合体のいずれも溶解できる溶媒が好ましく、例えば、1,4−ジオキサン、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、乳酸エチル等が挙げられる。なお、有機溶媒の使用量は特に限定されず、適宜決めればよい。
滴下重合法に用いられる重合開始剤としては特に限定されないが、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物等が挙げられる。また、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類を連鎖移動剤として用いてもよい。なお、重合開始剤および連鎖移動剤の使用量は特に限定されず、適宜決めればよい。
滴下重合法における重合温度は特に限定はされないが、通常、50〜150℃の範囲であることが好ましい。
滴下重合法によって製造された重合体溶液は、必要に応じてテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の良溶媒(2種以上の混合溶媒でもよい)で適当な溶液粘度に希釈した後、ヘプタン、メタノール、水等の多量の貧溶媒(2種以上の混合溶媒でもよい)中に滴下して重合体を析出させる。その後、その析出物を濾別し、十分に乾燥して本発明の重合体を得る。
重合溶液を多量の貧溶媒中に滴下して重合体を析出させる工程は再沈殿と呼ばれ、重合溶液中に残存する未反応の単量体や重合開始剤等を取り除くために非常に有効である。これらの未反応物等は、そのまま残存しているとレジスト性能に悪影響を及ぼす可能性があるため、できれば取り除くことが好ましい。この再沈殿工程は、場合により不要となることもある。
8.本発明の重合体混合物
上記のような本発明の重合体は、必要に応じて他の重合体と混合することができる。混合方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。なお、本発明の重合体は1種を用いても、2種以上を併用してもよく、また、混合させる重合体も1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の重合体は、レジスト組成物材料、特に化学増幅型レジスト組成物材料として好適である。本発明の重合体と、他の重合体との重合体混合物を使用することにより、有機溶剤への溶解性、ラインエッジラフネス改善、ドライエッチング耐性向上といったレジスト組成物として優れた性能が得られる上に、物性を最適の範囲に制御することが可能になる。
混合させる重合体としては、特に限定されないが、レジスト組成物用重合体が好ましい。例えば、これまでポジ型レジスト剤、ネガ型レジスト剤、反射防止膜材料、絶縁膜形成材料として公知のもの、例えば、耐ドライエッチング性向上基や酸解離性の溶解性基を有するアクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体や、アルカリ可溶性とするためのエチレン性二重結合を有するカルボン酸類(誘導体も含む)、アクリル樹脂の製造に用いられる公知の単量体などを(共)重合して得られる重合体を用いることができる。
アクリル酸誘導体としては、例えば、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸テトラヒドロピラニル、アクリル酸テトラヒドロフラニル、アクリル酸1−メチルシクロヘキシル、アクリル酸1−メチルアダマンチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸エトキシプロピル、アクリル酸と2−ヒドロキシ−3−ピナノンとのエステルなどのカルボキシ基の水酸基を酸解離性置換基で保護したアクリル酸エステル、あるいは、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ナフチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸3−オキソシクロヘキシル、アクリル酸ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、アクリル酸トリシクロデカニル、アクリル酸とテルピネオールとのエステル、アクリル酸と3−ブロモアセトンとのエステルなどのカルボキシ基の水酸基を酸非解離性置換基で保護したアクリル酸エステルなどが挙げられる。
また、メタクリル酸誘導体としては、上記のアクリル酸誘導体に対応するメタクリル酸誘導体などが挙げられる。
また、エチレン性二重結合を有するカルボン酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸や、ノルボルネンまたは置換基としてアルキル基、アルキルオキシ基、水酸基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシ基、アルキルオキシカルボニル基等を有するノルボルネン誘導体、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル等のビニルエーテル誘導体、スチレン、パラヒドロキシスチレン、パラメトキシスチレン、パラtert−ブトキシスチレン等のスチレン誘導体、無水マレイン酸などが挙げられる。
アクリル樹脂の製造に用いられる公知の単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、または、これらのカルボン酸の水素原子をメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−ヒドロキシエチル、ノルボルニル、トリシクロデカニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル等の基で置換したアクリル酸誘導体あるいはメタクリル酸誘導体などが挙げられる。
これらのアクリル樹脂等の他に、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂などを混合させることができる。
本発明の重合体と混合させる重合体としては、中でも、上記式(8)、(9)または(10)で表される構成単位1種以上を含む重合体が好ましい。上記式(8)、(9)または(10)で表される構成単位1種以上を含む重合体は1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
重合体混合物中の本発明の重合体の含有量(合計含有量)は、特に限定されないが、1質量%以上が好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましい。また、重合体混合物中の本発明の重合体の含有量(合計含有量)は、99質量%以下が好ましく、90質量%以下がさらに好ましく、80質量%以下が特に好ましい。
9.本発明のレジスト組成物
本発明のレジスト組成物は、上記のような本発明の重合体および光酸発生剤を溶剤に溶解したものである。本発明の重合体は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。また、上記のような本発明の重合体と他の重合体との重合体混合物を使用した場合、有機溶剤への溶解性、ラインエッジラフネス改善、ドライエッチング耐性向上といったレジスト組成物として優れた性能が得られる上に、物性を最適の範囲に制御することが可能になる。
十分高い本発明の効果が得られる点から、レジスト組成物(溶剤を含む)中の本発明の重合体、あるいは、本発明の重合体混合物の含有量は、合計で、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。また、取り扱いやすさの点から、レジスト組成物(溶剤を含む)中の本発明の重合体、あるいは、本発明の重合体混合物の含有量は80質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
本発明のレジスト組成物に用いる光酸発生剤は、レジスト組成物の酸発生剤として使用可能なものの中から任意に選択することができる。光酸発生剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、キノンジアジド化合物、ジアゾメタン化合物等が挙げられる。中でも、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等のオニウム塩化合物を用いることが好ましい。
光酸発生剤として、具体的には、トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、(ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムトルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
光酸発生剤の使用量は、用いる光酸発生剤の種類等により適宜決められるが、通常、レジスト用重合体(本発明の重合体あるいは本発明の重合体混合物)100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましい。光酸発生剤の使用量をレジスト用重合体100質量部に対して0.1質量部以上にすることにより、露光により発生した酸の触媒作用による化学反応を十分に生起させることができる。また、光酸発生剤の使用量をレジスト用重合体100質量部に対して20質量部以下にすることにより、レジスト組成物の安定性が向上し、組成物を塗布する際の塗布むらや現像時のスカム等の発生が十分に少なくなる。
本発明のレジスト組成物に用いる溶剤は目的に応じて任意に選択されるが、溶剤の選択は樹脂の溶解性以外の理由、例えば、塗膜の均一性、外観あるいは安全性等からも制約を受けることがある。
本発明において通常使用される溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン等の直鎖状ケトン類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の環状ケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルアセテート類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のジエチレングリコールアルキルエーテル類、酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、1−オクタノール等のアルコール類、1,4−ジオキサン、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
溶剤の使用量は、通常、レジスト用重合体(本発明の重合体あるいは本発明の重合体混合物)100質量部に対して200質量部以上であり、300質量部以上であることがより好ましい。また、溶剤の使用量は、通常、レジスト用重合体(本発明の重合体あるいは本発明の重合体混合物)100質量部に対して5000質量部以下であり、2000質量部以下であることがより好ましい。
さらに、本発明のレジスト組成物には、必要に応じて、界面活性剤、クエンチャー、増感剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤等の各種添加剤を配合することもできる。これらの添加剤は、当該分野で公知のものいずれも使用することができる。また、これらの添加剤の配合量は特に限定されず、適宜決めればよい。
10.本発明のパターン形成方法
次に、本発明のパターン形成方法の一例について説明する。
最初に、パターンを形成するシリコンウエハー等の被加工基板の表面に、本発明のレジスト組成物をスピンコート等により塗布する。そして、このレジスト組成物が塗布された被加工基板は、ベーキング処理(プリベーク)等で乾燥し、基板上にレジスト膜を形成する。
次いで、このようにして得られたレジスト膜に、フォトマスクを介して、250nm以下の波長の光または電子線を照射する(露光)。露光に用いる光は、KrFエキシマーレーザーまたはArFエキシマーレーザーであることが好ましく、特にArFエキシマーレーザーであることが好ましい。
光照射(露光)後、適宜ベーキング処理(PEB)し、基板をアルカリ現像液に浸漬して、露光部分を現像液に溶解除去する(現像)。アルカリ現像液は公知のものいずれを用いてもよい。そして、現像後、基板を純水等で適宜リンス処理する。このようにして被加工基板上にレジストパターンが形成される。
通常、レジストパターンが形成された被加工基板は、適宜ベーキング処理(ポストベーク)してレジストを強化し、レジストのない部分を選択的にエッチングする。エッチングを行った後、レジストは、通常、剥離剤を用いて除去される。
11.本発明の重合体の他の用途
I.反射防止膜
本発明の重合体は、反射防止膜(カバー膜)材料としても使用することができる。前記のパターン形成方法において、露光の際に短波長かつ単一波長の光源を用いると、入射光、レジスト/基板界面からの反射光、この基板界面からの反射光のレジスト/空気界面での再反射光がレジスト膜内で互いに干渉することにより、結果として膜内における実質的な露光量が変化し、形成されるレジストパターンの形状などに影響がでるという問題(定在波、多重反射の現象)が発生する。その結果、レジストパターンの線幅が不均一になったり、ノッチング(局所的なゆがみ)が生じたりする場合がある。このような問題を解決するために、レジスト膜上に反射防止膜を形成するプロセスが使用されている。本発明の重合体は、この反射防止膜(カバー膜)材料としても好適である。
反射防止膜を形成するために用いられる反射防止膜組成物は、上記のような本発明の重合体と有機溶剤または水とを含有し、必要により架橋剤、酸発生剤などが添加される。本発明の重合体は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の重合体においては、高分子化合物の溶剤への溶解性を上げたり、密着性を上げたりするため、アクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−メチルマレイミド、イタコン酸無水物、ビニールピロリドン、酢酸ビニール等を共重合させ、これらに由来する構成単位を導入してもよい。
重合体中のこれらの構成単位の比率は、これらの構成単位を導入する効果が十分に得られる点から、5モル%以上が好ましく、10モル%以上が特に好ましい。また、重合体中のこれらの構成単位の比率は、良好な成膜性が得られる点から、50モル%以下が好ましく、40モル%以下が特に好ましい。
また、本発明の重合体に吸光性をもつ構成単位を導入し、吸光性をもたせてもよい。吸光性をもつ構成単位を導入するために共重合させる単量体としては、例えば、サリシレート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、アゾ系化合物、ポリエン系化合物、アントラキノン系化合物、ビスフェニルスルホン系化合物、ビスフェニルスルホキシド系化合物、アントラセン系化合物、ジフェニルスルホン系化合物、メラミン系化合物、尿素系化合物、グアナミン系化合物、アセトグアナミン系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物、スクシニルアミド系化合物、エチレン尿素系化合物等が挙げられる。
重合体中のこれらの吸光性をもつ構成単位の比率は、これらの構成単位を導入する効果が十分に得られる点から、5モル%以上が好ましく、10モル%以上が特に好ましい。また、重合体中のこれらの吸光性をもつ構成単位の比率は、良好な成膜性が得られる点から、50モル%以下が好ましく、40モル%以下が特に好ましい。
また、本発明の重合体の他に、吸光性をもつ樹脂を配合し、吸光性をもたせてもよい。吸光性をもつ樹脂としては、例えば、キノリニル基、フェナントレニル基、アクリジニル基またはアルキレンアントリル基を含む樹脂バインダー、エポキシ樹脂にアントラセン環、ナフタレン環等をもつ置換基を有する染料を重合させて得られる樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、グリコールウリル系樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂の配合量は、これらの樹脂を配合する効果が十分に得られる点から、全樹脂分100質量部に対して5質量部以上が好ましく、10質量部以上が特に好ましい。また、これらの樹脂の配合量は、良好な成膜性が得られる点から、全樹脂分100質量部に対して50質量部以下が好ましく、40質量部以下が特に好ましい。
また、本発明の重合体の他に、成膜性を向上させるために、各種の水溶性ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、アミロース、デキストラン、セルロース、プルラン、パーフルオロアルキルカルボン酸ポリマーなどの官能性フルオロカーボン化合物等を配合することもできる。
これらの樹脂の配合量は、これらの樹脂を配合する効果が十分に得られる点から、全樹脂分100質量部に対して5質量部以上が好ましく、10質量部以上が特に好ましい。また、これらの樹脂の配合量は、良好な基板への密着性が得られる点から、全樹脂分100質量部に対して50質量部以下が好ましく、40質量部以下が特に好ましい。
反射防止膜に要求される性能の一つとして、レジスト層への低分子成分の拡散がないことが挙げられる。そのため、一般的に、反射防止膜組成物のスピンコート後のベークで熱架橋する方法が採られている。この場合、用いる重合体に架橋性の置換基を導入し、反射防止膜組成物には架橋剤が添加される。
架橋剤としては、例えば、メチロール基、アルコキシメチル基およびアシロキシメチル基からからなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基を有するメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物またはウレア化合物、エポキシ化合物、チオエポキシ化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルエーテル基などの2重結合を含む化合物等が挙げられる。また、これらは添加剤として用いてもよいが、ポリマー側鎖にペンダント基として導入することもできる。
架橋剤の配合量は、レジストとのミキシングを十分に防止できる点から、本発明の重合体を含む全樹脂分100質量部に対して5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。また、架橋剤の配合量は、反射防止効果の低下や架橋後の膜のひび割れ発生を十分に防止できる点から、本発明の重合体を含む全樹脂分100質量部に対して50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましい。
また、熱による架橋反応をさらに促進させるために、反射防止膜組成物には酸発生剤を添加することができる。酸発生剤は、熱分解によって酸を発生するものや、光照射によって酸を発生するものがあるが、いずれのものも用いることができる。
反射防止膜組成物において用いる有機溶剤としては、重合体、架橋剤、酸発生剤や、その他の添加剤等が溶解するものであれば特に限定されない。有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチル−2−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
他に、水に可溶な有機溶媒を水とともに用いることもできる。水に可溶な有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ブチルカルビトール、カルビトールアセテート等の極性溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
溶剤の配合量は、本発明の重合体を含む全樹脂分100質量部に対して500質量部以上が好ましく、5,000質量部以上がより好ましい。また、溶剤の配合量は、本発明の重合体を含む全樹脂分100質量部に対して10,000質量部以下が好ましく、5,000質量部以下がより好ましい。
次に、反射防止膜の形成方法とパターン形成方法の一例について説明する。
まず、基板上に、上記のような反射防止膜組成物をスピンナー等により回転塗布する。そして、この反射防止膜組成物が塗布された基板を100〜300℃の温度で加熱処理し、膜厚0.03〜0.5μmの反射防止膜を形成する。この加熱処理で反射防止膜組成物中の樹脂分は架橋反応を起こし、アルカリ溶液に対して不溶となる。
このようにして反射防止膜を形成した後、その上にレジスト組成物をスピンナー等により回転塗布し、乾燥してレジスト層を形成する。次いで、このようにして得られたレジスト層に、所望のマスクパターンを介して、例えば縮小投影露光装置などにより、KrFエキシマーレーザー光またはArFエキシマーレーザー光などの放射線を照射する。光照射後、必要に応じて加熱処理を行い、これを現像液、例えば1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ性水溶液を用いて現像処理すると、ポジ型であれば露光部分が、ネガ型であれば未露光部分が選択的に溶解除去されて、マスクパターンに忠実なフォトレジストパターンが形成される。
上記のような本発明の重合体を含有する反射防止膜組成物が適用されるレジストは特に限定されないが、化学増幅型レジストが好ましい。また、反射防止膜は、レジスト膜上に形成しても、レジスト膜下に形成してもよい。
II.感放射線性組成物
本発明の重合体は、液晶表示素子、半導体集積回路素子、磁気ヘッド素子、固体撮像素子、有機EL素子などの絶縁膜形成、リソグラフィー用マスク等のネガ型レジスト用途に用いられる感放射線性組成物としても使用することができる。ここで、放射線とは、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、分子線、γ線、シンクロトロン放射線、プロトンビームなどを意味する。
感放射線性組成物は、上記のような本発明の重合体、感放射線性酸発生剤、酸の作用により架橋する架橋剤、有機溶剤または水を含有し、必要によりアルカリ可溶性樹脂などが添加される。本発明の重合体は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
この場合、本発明の重合体の質量平均分子量は、耐熱性が高い点から、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましく、3000以上が特に好ましい。また、本発明の重合体の質量平均分子量は、現像速度が速い点から、100000以下が好ましく、40000以下がより好ましく、30000以下が特に好ましい。
感放射線性酸発生剤としては、発生する酸によって本発明の重合体のアルカリ水溶液への溶解速度が増加するものであれば特に限定されない。感放射線性酸発生剤としては、例えば、前記本発明のレジスト組成物に用いる光酸発生剤を始め、公知のオニウム塩、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物等が挙げられる。これらの感放射線性酸発生剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
感放射線性酸発生剤の添加量は、良好なパターンが形成できる点から、重合体100質量部に対して0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましい。また、感放射線性酸発生剤の添加量は、十分な現像液との親和性が保たれ、現像不良などの発生を防止できる点から、重合体100質量部に対して50質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
酸の作用により架橋する架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA系エポキシ化合物、ビスフェノールF系エポキシ化合物、ビスフェノールS系エポキシ化合物、ノボラック樹脂系エポキシ化合物、レゾール樹脂系エポキシ化合物、ポリ(ヒドロキシスチレン)系エポキシ化合物、メチロール基含有メラミン化合物、メチロール基含有ベンゾグアナミン化合物、メチロール基含有尿素化合物、メチロール基含有フェノール化合物、アルコキシアルキル基含有メラミン化合物、アルコキシアルキル基含有ベンゾグアナミン化合物、アルコキシアルキル基含有尿素化合物、アルコキシアルキル基含有フェノール化合物、カルボキシメチル基含有メラミン樹脂、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン樹脂、カルボキシメチル基含有尿素樹脂、カルボキシメチル基含有フェノール樹脂、カルボキシメチル基含有メラミン化合物、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン化合物、カルボキシメチル基含有尿素化合物、カルボキシメチル基含有フェノール化合物等が挙げられる。架橋剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
残膜率の低下、パターンのくずれや膨潤等を防止する点から、架橋性官能基の導入率は、感放射線性酸発生剤により生じる本発明の重合体の全酸性官能基に対して、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上が特に好ましい。また、良好な露光部の現像性が得られる点から、架橋性官能基の導入率は、感放射線性酸発生剤により生じる本発明の重合体の全酸性官能基に対して、60モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましく、40モル%以下が特に好ましい。
感放射線性組成物において用いる有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、安息香酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、β−イソブチル酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のセロソルブエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールエステル類、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、アニソールなどのエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
感放射線性組成物には、さらに、アルカリ可溶性樹脂を添加してもよい。アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ノボラック樹脂、水素化ノボラック樹脂、アセトン−ピロガロール樹脂、ポリ−o−ヒドロキシスチレン、ポリ−m−ヒドロキシスチレン、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、水素化ポリヒドロキシスチレン、ハロゲンもしくはアルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、o/p−及びm/p−ヒドロキシスチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、カルボキシル基含有メタクリル系樹脂、および、その誘導体等が挙げられる。なお、これらのアルカリ可溶性樹脂は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
アルカリ可溶性樹脂の添加量は、現像時にパターンがシャープになる等の効果が十分に得られる点から、5モル%以上が好ましく、10モル%以上が特に好ましい。また、アルカリ可溶性樹脂の添加量は、混合物の安定性の点から、50モル%以下が好ましく、40モル%以下が特に好ましい。
放射線性組成物には、必要に応じて、界面活性剤、増感剤、安定剤、消泡剤、酸拡散抑制剤などの添加剤を配合することもできる。
感放射線性組成物は、全固形分の濃度が5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。また、感放射線性組成物は、全固形分の濃度が50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
感放射線性組成物は、全固形分の濃度が上記範囲になるように本発明の重合体などを溶剤に均一に溶解した後、この溶液を例えば孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することにより、調製される。
次に、本発明の重合体を含有する感放射線性樹脂組成物を用いて絶縁膜を形成する方法の一例について説明する。
まず、下地基板表面に、上記のような感放射線性樹脂組成物を塗布する。塗布方法としては、例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、バー塗布法等が挙げられる。そして、プレベークにより溶媒を除去し、基板上に塗膜を形成する。プレベークの条件は、各成分の種類、含有量などによっても異なるが、通常、70〜90℃で1〜15分間程度とすることが好ましい。
次いで、このようにして得られた塗膜に、所定パターンマスクを介して、紫外線などの放射線を照射する。放射線照射後、現像液により現像し、不要な部分を除去して所定パターンを形成する。現像方法は液盛り法、ディッピング法、シャワー法などのいずれでもよい。現像時間は通常30〜180秒間である。
現像液としては、アルカリ水溶液、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニアなどの無機アルカリ類;エチルアミン、n−プロピルアミンなどの1級アミン類;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンなどの2級アミン類;トリメチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミンなどの3級アミン類;ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの3級アミン類;ピロール、ピペリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネンなどの3級アミン類;ピリジン、コリジン、ルチジン、キノリンなどの芳香族3級アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム塩の水溶液を使用することができる。また、上記アルカリ水溶液に、メタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒や、界面活性剤を適量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
現像後、流水洗浄を30〜90秒間行って不要な部分を除去し、さらに圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、パターンが形成される。このようにして形成されたパターンに紫外線などの放射線を照射し、その後、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置により、所定温度、例えば180〜250℃で、所定時間、例えばホットプレート上では5〜60分間、オーブン中では30〜90分間加熱処理をすることにより、目的とする絶縁膜を得ることができる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
ここで「部」とは、特に断りがない限り「質量部」を意味する。
製造した共重合体の物性測定は以下の方法で行った。
<質量平均分子量>
ゲル・パーミッション・クロマトグラフィー(以下、GPCという。)により、ポリスチレン換算で求めた。溶剤には、クロロホルムあるいはテトラヒドロフランを使用した。
<共重合体の平均共重合組成(モル%)>
1H−NMRの測定により求めた。溶剤には、重クロロホルム、重ジメチルスルホキシドあるいは重アセトンを使用した。
<単量体の製造>
<実施例1>
還流冷却管を備え付けた500mlナス型フラスコに2,5−ジメチル−2−(1−アダマンチル)−1,3−ジオキソラン−4−オン25.0g(0.1モル)、N−ブロモコハク酸イミド19.6g(0.11モル)、ヘプタン240gを入れ、スラリー状態のまま攪拌しながら反応温度60℃に昇温した。
60℃で約2時間攪拌したところで反応液の色が褐色になり、さらに2時間攪拌を続けると反応液の色が透明になった。反応液を氷浴で冷却した後、ろ過してコハク酸イミドを取り除き、溶媒を溜去した。得られた透明液状物をカラムで精製することにより、5−ブロモ−2,5−ジメチル−2−(1−アダマンチル)−1,3−ジオキソラン−4−オンを28.6g得た(式(18):収率 87%)。
元素分析:C 54.56%、H 6.64%、N 0%、O 14.73%
(理論値:C 54.72%、H 6.43%、N 0%、O 14.58%)
臭素含有量(フラスコ燃焼イオンクロマト法):24.2%(理論値24.27%)
1H−NMR(270MHz、内部標準:CDCl3、δppm):1.40〜1.72(m,アダマンチル基)、1.73(s,3H)、2.20(s,3H)
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤、cm−1):2908、2851、1809、1452、1385、1282、1223、1195、1167、1063、943、928
得られた5−ブロモ−2,5−ジメチル−2−(1−アダマンチル)−1,3−ジオキソラン−4−オン16.5g(0.05モル)を100mlナス型フラスコに入れ、N,N−ジメチルホルムアミド73.1g(1.0モル)を加えた後、40℃で2時間激しく攪拌した。攪拌後、500mlの分液ロートに移し、イソプロピルエーテル200gを加えてよく振り混ぜた後、静置し、二層分離させ、下層のN,N−ジメチルホルムアミド相を除いた。上層のイソプロピルエーテル層を水洗し、溶解しているN,N−ジメチルホルムアミドを除いた後、イソプロピルエーテルを溜去することにより得られた白色の結晶をヘキサンで再結晶することにより、純度99.8%の5−メチレン−2−(1−アダマンチル)−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オンを10.9g得た(式(19):収率 88%)。
元素分析:C 70.40%、H 8.14%、N 0%、O 19.38%
(理論値:C 72.55%、H 8.12%、N 0%、O 19.33%)
式(19)の化合物の1H−NMR(270MHz、内部標準:CDCl3)を図1に、13C−NMRスペクトル(270MHz、内部標準:CDCl3)を図2に示す。
<実施例2>
還流冷却管を備え付けた500mlナス型フラスコにスピロ[アダマンタン−2,2’−(5’−メチル−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]22.2g(0.1モル)、N−ブロモコハク酸イミド21.4g(0.12モル)、シクロヘキサン200gを入れ、スラリー状態のまま攪拌しながら反応温度60℃に昇温した。
60℃で約2時間攪拌したところで反応液の色が褐色になり、さらに2時間攪拌を続けると反応液の色が透明になった。反応液を氷浴で冷却した後、ろ過してコハク酸イミドを取り除き、溶媒を溜去した。析出した結晶をヘキサンで再結晶することにより、スピロ[アダマンタン−2,2’−(5’−ブロモ−5’−メチル−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]を25.6g得た(式(20):収率 85%)。
元素分析:C 51.70%、H 5.82%、N 0%、O 16.19%
(理論値 :C 51.84%、H 5.69%、N 0%、O 15.94%)
臭素含有量(フラスコ燃焼イオンクロマト法):26.4%(理論値26.53%)
1H−NMR(270MHz、内部標準:CDCl3、δppm):1.66〜2.07(m,アダマンチル基)、2.20(s,3H)
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤、cm−1):2917、2860、1804、1455、1388、1290、1179、1111、1091、1065、1022、988、929
得られたスピロ[アダマンタン−2,2’−(5’−ブロモ−5’−メチル−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]15.1g(0.05モル)を500mlナス型フラスコに入れ、シクロヘキサン200gを加えて溶解させた後、N,N−ジメチルホルムアミド36.5g(0.5モル)を加え、室温で2時間激しく攪拌した。攪拌後、500mlの分液ロートに移し、静置し、二層分離させ、下層のN,N−ジメチルホルムアミド相を除いた。さらに上層のシクロヘキサン相を水洗し、溶解しているN,N−ジメチルホルムアミドを除いた後、シクロヘキサンを溜去することにより得られた白色の結晶をヘキサンで再結晶することにより、純度99.6%のスピロ[アダマンタン−2,2’−(5’−メチレン−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]を9.3g得た(式(21):収率 85%)。
元素分析:C 70.69%、H 7.35%、N 0%、O 21.84%
(理論値 :C 70.89%、H 7.32%、N 0%、O 21.79%)
式(21)の化合物の1H−NMR(270MHz、内部標準:CDCl3)を図3に、13C−NMRスペクトル(270MHz、内部標準:CDCl3)を図4に示す。
<実施例3>
還流冷却管を備え付けた500mlナス型フラスコにスピロ[ノルボルナン−2,2’−(5’−メチル−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]18.2g(0.1モル)、N−ブロモコハク酸イミド19.6g(0.11モル)、シクロヘキサン280gを入れ、スラリー状態のまま攪拌しながら反応温度60℃に昇温した。
60℃で約2時間攪拌したところで反応液の色が褐色になり、さらに2時間攪拌を続けると反応液の色が透明になった。反応液を氷浴で冷却した後に分析した結果、スピロ[ノルボルナン−2,2’−(5’−ブロモ−5’−メチル−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]が25.1g含有されていた(式(22):収率 96%)。
この液を500mlナス型フラスコに移した後、N,N−ジメチルホルムアミド73.0g(1.0モル)を加え、室温で2時間激しく攪拌した。攪拌時に前の工程で副生したコハク酸イミドはN,N−ジメチルホルムアミドに溶解した。攪拌後、ろ過して不溶物を取り除いた液を500mlの分液ロートに移し、静置し、二層分離させ、下層のN,N−ジメチルホルムアミド相を除いた。上層のシクロヘキサン層を水洗し、溶解しているN,N−ジメチルホルムアミドを除いた後、シクロヘキサンを溜去することにより得られた白色の結晶をヘキサンで再結晶することにより、純度99.5%のスピロ[ノルボルナン−2,2’−(5’−メチレン−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]を15.5g得た(式(23):収率 86%)。
元素分析:C 66.39%、H 6.84%、N 0%、O 27.03%
(理論値 :C 66.65%、H 6.71%、N 0%、O 26.64%)
式(23)の化合物の1H−NMR(270MHz、内部標準:CDCl3)を図5に、13C−NMRスペクトル(270MHz、内部標準:CDCl3)を図6に示す。
<実施例4>
攪拌機、温度計、コンデンサー、滴下漏斗を備えたフラスコに、5−ブロモメチル−2−(1−アダマンチル)−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン16.4g(0.05モル)がイソプロピルエーテル58gに溶解したものを入れ、N,N−ジメチルホルムアミド36.5g(0.5mol)を滴下し、室温で4時間激しく攪拌した。攪拌後、ろ過して不溶物を取り除いた液を500mlの分液ロートに移し、静置し、二層分離させ、下層のN,N−ジメチルホルムアミド相を除いた。上層のイソプロピルエーテル相を水洗し、溶解しているN,N−ジメチルホルムアミドを除いた後、イソプロピルエーテルを溜去することにより得られた白色の結晶をヘキサンで再結晶することにより、5−メチレン−2−(1−アダマンチル)−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン(以下AdMDOという)を6.6g(収率53%)得た。
<比較例1>
還流冷却管を備え付けた500mlナス型フラスコに2,5−ジメチル−2−(1−アダマンチル)−1,3−ジオキソラン−4−オン25.0g(0.1モル)、N−ブロモコハク酸イミド19.6g(0.11モル)、ヘプタン240gを入れ、スラリー状態のまま攪拌しながら反応温度80℃に昇温した。
80℃で約1時間攪拌したところで反応液の色が褐色になった。色が褐色になる直前の反応液を分析した結果、反応液中には原料の3%にあたる5−ブロモ−2,5−ジメチル−2−(1−アダマンチル)−1,3−ジオキソラン−4−オンと、原料の4%にあたるアダマンチルメチルケトンが含有されていた。さらに2時間攪拌を続けると反応液の色が透明になった。反応液を氷浴で冷却した後、ろ過してコハク酸イミドを取り除いた。反応液を分析した結果、5−ブロモ−2,5−ジメチル−2−(1−アダマンチル)−1,3−ジオキソラン−4−オンが3.6g(収率 11%)しか含まれておらず、原料に対して82%がアダマンチルメチルケトンに分解していた。
<比較例2>
還流冷却管を備え付けた500mlナス型フラスコにスピロ[アダマンタン−2,2’−(5’−メチル−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]22.2g(0.1モル)、N−ブロモコハク酸イミド21.4g(0.12モル)、シクロヘキサン200gを入れ、スラリー状態のまま攪拌しながら反応温度80℃に昇温した。
80℃で約1時間攪拌したところで反応液の色が褐色になった。色が褐色になる直前の反応液を分析した結果、反応液中には原料の2%にあたるスピロ[アダマンタン−2,2’−(5’−ブロモ−5’−メチル−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]と、原料の6%にあたる2−アダマンタノンが含有されていた。さらに2時間攪拌を続けると反応液の色が透明になった。反応液を氷浴で冷却した後、ろ過してコハク酸イミドを取り除いた。反応液を分析した結果、スピロ[アダマンタン−2,2’−(5’−ブロモ−5’−メチル−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]が2.4g(収率 8%)しか含まれておらず、原料に対して85%が2−アダマンタノンに分解していた。
<比較例3>
還流冷却管を備え付けた500mlナス型フラスコにスピロ[ノルボルナン−2,2’−(5’−メチル−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]18.2g(0.1モル)、N−ブロモコハク酸イミド19.6g(0.11モル)、シクロヘキサン280gを入れ、スラリー状態のまま攪拌しながら反応温度80℃に昇温した。
80℃で約1時間攪拌したところで反応液の色が褐色になった。色が褐色になる直前の反応液を分析した結果、反応液中には原料の5%にあたるスピロ[ノルボルナン−2,2’−(5’−ブロモ−5’−メチル−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]と、原料の6%にあたる2−ノルボルナノンが含有されていた。さらに2時間攪拌を続けると反応液の色が透明になった。反応液を氷浴で冷却した後、ろ過してコハク酸イミドを取り除いた。反応液を分析した結果、スピロ[ノルボルナン−2,2’−(5’−ブロモ−5’−メチル−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]が3.4g(収率13%)しか含まれておらず、原料に対して82%が2−ノルボルナノンに分解していた。
<比較例4>
還流冷却管を備え付けた500mlナス型フラスコにスピロ[ノルボルナン−2,2’−(5’−メチル−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]18.2g(0.1モル)、N−ブロモコハク酸イミド19.6g(0.11モル)、シクロヘキサン280gを入れ、スラリー状態のまま攪拌しながら反応温度45℃に昇温した。
45℃で約6時間攪拌したが反応液の変色は見られなかった。反応液を氷浴で冷却した後、ろ過してN−ブロモコハク酸イミドを取り除いた。反応液を分析した結果、スピロ[ノルボルナン−2,2’−(5’−ブロモ−5’−メチル−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]は含まれておらず、原料であるスピロ[ノルボルナン−2,2’−(5’−メチル−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]はほとんど未反応のままであった。
<比較例5>
5−ブロモ−2,5−ジメチル−2−(1−アダマンチル)−1,3−ジオキソラン−4−オン16.5g(0.05モル)を500mlナス型フラスコに入れ、イソプロピルエーテル200gを加えて溶解させた。−10℃の冷媒で冷却しながらこの液に、イソプロピルエーテル20gで希釈した9.1g(0.06モル)の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンを1時間かけて滴下した後、室温で2時間攪拌した。攪拌後、反応液を分析した結果、5−メチレン−2−(1−アダマンチル)−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オンが1.7g(収率 14%)しか含まれておらず、原料に対して80%がアダマンチルメチルケトンに分解していた。
<比較例6>
スピロ[アダマンタン−2,2’−(5’−ブロモ−5’−メチル−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]15.0g(0.05モル)を500mlナス型フラスコに入れ、シクロヘキサン200gを加えて溶解させた。氷浴で冷却しながらこの液に、シクロヘキサン20gで希釈した6.1g(0.06モル)のトリエチルアミンを1時間かけて滴下した後、室温で2時間攪拌した。攪拌後、反応液を分析した結果、スピロ[アダマンタン−2,2’−(5’−メチレン−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]1.2g(収率 11%)しか含まれておらず、原料に対して83%が2−アダマンタノンに分解していた。
<比較例7>
スピロ[ノルボルナン−2,2’−(5’−ブロモ−5’−メチル−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]13.1g(0.05モル)を500mlナス型フラスコに入れ、イソプロピルエーテル200gを加えて溶解させた。−10℃の冷媒で冷却しながらこの液に、イソプロピルエーテル20gで希釈した6.1g(0.06モル)のトリエチルアミンを1時間かけて滴下した後、室温で2時間攪拌した。攪拌後、反応液を分析した結果、スピロ[ノルボルナン−2,2’−(5’−メチレン−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)]1.3g(収率 14%)しか含まれておらず、原料に対して81%がアダマンタノンに分解していた。
<比較例8>
攪拌機、温度計、コンデンサー、滴下漏斗を備えたフラスコに、5−ブロモメチル−2−(1−アダマンチル)−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン16.4gがイソプロピルエーテル80mlに溶解したものを入れ、氷浴で冷却しながら、イソプロピルエーテル20mlで希釈した9.1g(0.06モル)の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンを1時間かけて滴下した後、室温で2時間攪拌した。攪拌後、反応液を分析した結果、5−メチレン−2−(1−アダマンチル)−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オンが1.8g(収率 15%)しか含まれておらず、原料に対して81%がアダマンチルメチルケトンに分解していた。
<重合体の製造>
<実施例5> 下記の式(24)で示される重合体の製造
窒素導入口、撹拌機、コンデンサーおよび温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下で乳酸エチル30.0部を入れ、撹拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。AdMDO1.98部、2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン(以下、MAdMAという)13.22部、β−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン(以下、HGBMAという)8.50部、乳酸エチル30.0部およびアゾビスイソブチロニトリル0.21部を混合した単量体溶液を一定速度で6時間かけてフラスコ中に滴下し、その後、80℃で2時間保持した。次いで、得られた反応溶液をメタノール800部に攪拌しながら滴下し、白色の析出物の沈殿を得た。この沈殿を濾別し、減圧下60℃で約10時間乾燥した。そして、沈殿をテトラヒドロフラン45部に溶解させ、メタノール800部に攪拌しながら滴下し、得られた沈殿を濾別し、減圧下60℃で約40時間乾燥した。
各物性を測定したところ、GPC分析による質量平均分子量(以下Mwという。)は7200、分散度(以下、Mw/Mnという。)は1.45で、共重合比は1H−NMRの積分比からAdMDO:MAdMA:HGBMA=10:45:45であった。
<実施例6> 下記の式(25)で示される重合体の製造
AdMDO1.98部を0.99部に、MAdMA13.22部を2−メタクリロイルオキシ−2−エチルアダマンタン(以下、EAdMAという。)14.01部に、HGBMA8.50部を7−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−オンと8−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−オンの混合物(以下、OTDMAという。)11.80部に変更した以外は実施例5と同様に合成し、共重合体を得た。
各物性を測定したところ、GPC分析によるMwは8000、Mw/Mnは1.43で、共重合比は1H−NMRの積分比からAdMDO:EAdMA:OTDMA=5:50:45であった。
<実施例7> 下記の式(26)で示される重合体の製造
AdMDO0.99部、EAdMA14.01部、OTDMA11.80部、4,4−ジメチル−2−メチレン−4−ブタノライド(以下、DMMBという。)1.26部を共重合した以外は実施例5と同様に合成し、共重合体を得た。
各物性を測定したところ、GPC分析によるMwは9200、Mw/Mnは1.51で、共重合比は1H−NMRの積分比からAdMDO:EAdMA:OTDMA:DMMB=5:45:40:10であった。
<実施例8> 下記の式(27)で示される重合体の製造
AdMDO1.98部をNrMDO1.44部に変更した以外は実施例5と同様に合成し、共重合体を得た。
各物性を測定したところ、GPC分析によるMwは7600、Mw/Mnは1.49で、共重合比は1H−NMRの積分比からNrMDO:MAdMA:HGBMA=10:45:45であった。
<実施例9> 下記の式(28)で示される重合体の製造
AdMDO1.98部をスピロ[シクロヘキサン−2’−(5’−メチレン−1’,3’−ジオキソラン−4’−オン)](以下CyMDOという。)1.28部に変更した以外は実施例5と同様に合成し、共重合体を得た。
各物性を測定したところ、GPC分析によるMwは8300、Mw/Mnは1.55で、共重合比は1H−NMRの積分比からCyMDO:MAdMA:HGBMA=10:45:45であった。
<比較例9> 下記の式(29)で示される重合体の製造
MAdMA13.22部、HGBMA8.50部を共重合した以外は実施例5と同様に合成し、共重合体を得た。
各物性を測定したところ、GPC分析によるMwは7400、Mw/Mnは1.35で、共重合比は1H−NMRの積分比からMAdMA:HGBMA=50:50であった。
<比較例10> 下記の式(30)で示される重合体の製造
EAdMA14.01部、HGBMA11.80部を共重合した以外は実施例5と同様に合成し、共重合体を得た。
各物性を測定したところ、GPC分析によるMwは9600、Mw/Mnは1.41で、共重合比は1H−NMRの積分比からEAdMA:OTDMA=50:50であった。
<比較例11> 下記の式(31)で示される重合体の製造
EAdMA14.01部、OTDMA11.80部、DMMB1.26部を共重合した以外は実施例5と同様に合成し、共重合体を得た。
各物性を測定したところ、GPC分析によるMwは10500、Mw/Mnは1.45で、共重合比は1H−NMRの積分比からEAdMA:OTDMA:DMMB=50:40:10であった。
実施例5〜8および比較例9〜11で得られた重合体のレジスト溶剤への溶解性、および、得られるレジストパターンの感度、解像度、ドライエッチング耐性(エッチング速度)、ラインエッジラフネスを以下のようにして測定、評価した。その結果を表1に示す。
<レジスト溶剤への溶解性>
各共重合体を、それぞれ、固形分濃度:20質量%になるように、所定量のレジスト溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)に室温で攪拌しながら溶解させ、完全に溶解するまでの時間を測定した。その結果を表1に示す。
表中の記号の意味は、下記の通りである。
◎:共重合体が完全に溶解するまでの時間が1時間未満
○:共重合体が完全に溶解するまでの時間が1時間以上6時間未満
△:共重合体が完全に溶解するまでの時間が6時間以上24時間未満
×:共重合体が完全に溶解するまでの時間が24時間以上、または、不溶
<レジストパターンの形成>
実施例5〜8および比較例9〜11で得られた共重合体100部とトリフェニルスルホニウムトリフレート2部とをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート500部に溶解して均一溶液とした後、フッ素系樹脂フィルターを用いて濾過し、レジスト組成物溶液を調製した。そして、調製した各組成物溶液を3インチシリコンウエハー上にスピンコートし、ホットプレートを用いて120℃、60秒間プリベークを行い、膜厚0.5μmの薄膜を形成した。次いで、193nm光照射装置(ニコン製SP193)を用いて露光した後、ホットプレートを用いて120℃で60秒間ベークを行った。そして、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて室温で現像し、純水で洗浄し、乾燥してレジストパターンを形成した。
得られたレジストパターンの感度、解像度、ドライエッチング耐性(エッチング速度)およびラインエッジラフネスを以下のようにして測定・評価した。その結果を表1に示す。
<感度>
ライン・アンド・スペースパターン(ライン/スペース=1/1)を1/1の線幅に形成する露光量(mJ/cm2)を感度として測定した。
<解像度>
上記露光量で露光したときに解像されるレジストパターンの最小寸法(μm)を解像度とした。
<エッチング速度>
シリコンウエハー上に形成したレジスト膜を東京エレクトロン社製エッチングマシーンにてドライエッチング処理した。ドライエッチング処理は、ガスはC4F8/Ar/O2混合ガスで、2000W,50mTorrで50秒間実施した。ドライエッチング処理前後のレジスト膜の膜厚を、大日本スクリーン製造製ラムダエースVM−8000J型光干渉式膜厚測定装置を用いて測定し、単位時間あたりの膜厚減少量をレジストのエッチング速度とした。なお、エッチング速度はノボラック樹脂のエッチング速度を1として規格化した。
<ラインエッジラフネス>
形成されたライン・アンド・スペースパターン(ライン/スペース=1/1)のラインの最大線幅からラインの最小線幅を引いた値を、ラインの最大線幅の半値幅で割った値をラインエッジラフネスとした。
本発明の重合体(実施例5〜8)は、比較例9〜11の重合体と比較して、レジスト溶剤に対する溶解性に優れていた。また、本発明の重合体(実施例5〜8)を用いた化学増幅型レジスト組成物は、十分な感度、解像度およびエッチング耐性を備えた上に、比較例9〜11の重合体を用いた化学増幅型レジスト組成物と比較して、ラインエッジラフネスが減少した。
<実施例10> 下記式(32)で示される重合体P−1の合成
窒素導入口、攪拌機、コンデンサーおよび温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下でプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAという。)15.8部とγ−ブチロラクトン(以下、γBLという。)4.0部を入れ、攪拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。2−exo−メタクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−5−オン(以下、OTNMAという。)10.0部、2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン(以下、MAdMAという。)10.5部、5−メタクリロイルオキシ−2−メチル−2−(1−アダマンチル)−1,3−ジオキソラン−4−オン(以下、M−1単量体という。)3.2部、PGMEA35.6部、アゾビスイソブチロニトリル0.82部を混合した単量体溶液を一定速度で7時間かけてフラスコ中に滴下し、その後、80℃で2時間保持した。次いで、得られた反応溶液をメタノール800部に攪拌しながら滴下し、白色の析出物の沈殿(重合体P−1)を得た。この沈殿を濾別し、減圧下60℃で約10時間乾燥した。乾燥後の沈殿をテトラヒドロフラン45部に溶解させ、メタノール800部に攪拌しながら滴下して得られた沈殿を濾別し、減圧下60℃で約40時間乾燥した。
得られた重合体の各物性を測定した結果を表2に示す。
<実施例11> 重合体P−2〜P−7の合成
実施例10(重合体P−1の合成)と同様の方法で、表2に示した組成の重合体P−2〜P−7を合成した。
得られた重合体P−2〜P−7の各物性を測定した結果を表2に示す。
<比較例12> 重合体P−8、P−9の合成
実施例10(重合体P−1の合成)と同様の方法で、表2に示した組成の重合体P−8、P−9を合成した。
得られた重合体P−8、P−9の各物性を測定した結果を表2に示す。
なお、実施例11および比較例12において用いた原料単量体の名称および構造式は以下の通りである。
OTNMA:2−exo−メタクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−5−オン
OTNA:2−exo−アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−5−オン
OTDMA:8−または9−メタクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オン
OTDA:8−または9−アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オン
MAdMA:2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン
MAdA:2−アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン
EAdMA:2−メタクリロイルオキシ−2−エチルアダマンタン
EAdA:2−アクリロイルオキシ−2−エチルアダマンタン
HAdMA:1−メタクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン
HAdA:1−アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン
DMMB:4,4−ジメチル−2−メチレン−4−ブタノライド
M−1:5−メタクリロイルオキシ−2−メチル−2−(1−アダマンチル)−1,3−ジオキソラン−4−オン
M−2:スピロ[アダマンタン−2,2’−(4’−メタクリロイルオキシプロピレングリコール−1’,3’−ジオキソラン)
M−3:スピロ[アダマンタン−2,2’−(4’−アクリロイルオキシメチル−1’,3’−ジオキソラン)
M−4:スピロ[ノルボルナン−2,2’−(4’−アクリロイルオキシメチル−1’,3’−ジオキソラン−5−オン)
M−5:2−メチル−2−エチル−4−メタクリロイル−1,3−ジオキソラン−5−オン
M−6:4−アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン
重合体P−1〜P−9のレジスト溶剤への溶解性、および、得られるレジストパターンの感度、ドライエッチング耐性(エッチング速度)、ラインエッジラフネスを以下のようにして測定、評価した。その結果を表2に示す。
<レジスト溶剤への溶解性>
各共重合体を、それぞれ、固形分濃度:20質量%になるように、所定量のレジスト溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートまたは乳酸エチル)に室温で攪拌しながら溶解させ、完全に溶解するまでの時間を測定した。その結果を表2に示す。
表中の記号の意味は、下記の通りである。
◎:共重合体が完全に溶解するまでの時間が1時間未満
○:共重合体が完全に溶解するまでの時間が1時間以上6時間未満
△:共重合体が完全に溶解するまでの時間が6時間以上24時間未満
×:共重合体が完全に溶解するまでの時間が24時間以上、または、不溶
<レジストパターンの形成>
P−1〜9の共重合体100部とトリフェニルスルホニウムトリフレート2部とをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート630部とγ−ブチロラクトン70部との混合溶液に溶解して均一溶液とした後、フッ素系樹脂フィルターを用いて濾過し、レジスト組成物溶液を調製した。そして、調製した各組成物溶液を3インチシリコンウエハー上にスピンコートし、ホットプレートを用いて120℃、60秒間プリベークを行い、膜厚0.4μmの薄膜を形成した。次いで、193nm光照射装置(ニコン製SP193)を用いて露光した後、ホットプレートを用いて120℃で60秒間ベークを行った。そして、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて室温で60秒間現像し、純水で洗浄し、乾燥してレジストパターンを形成した。
得られたレジストパターンの感度、ドライエッチング耐性(エッチング速度)およびラインエッジラフネスを以下のようにして測定・評価した。その結果を表2に示す。
<感度>
ライン・アンド・スペースパターン(ライン/スペース=1/1)を1/1の線幅に形成する露光量(mJ/cm2)を感度として測定した。
<エッチング速度>
シリコンウエハー上に形成したレジスト膜を昭和真空製SPE−220T型ドライエッチング装置にてドライエッチング処理した。ガスはCF4/O2混合ガスとし、処理時間は2分間とした。ドライエッチング処理前後のレジスト膜の膜厚を、大日本スクリーン製造製ラムダエースVM−8000J型光干渉式膜厚測定装置を用いて測定し、単位時間あたりの膜厚減少量をレジストのエッチング速度とした。なお、エッチング速度はノボラック樹脂のエッチング速度を1として規格化した。
<ラインエッジラフネス>
形成されたライン・アンド・スペースパターン(ライン/スペース=1/1)のラインの最大線幅からラインの最小線幅を引いた値を、ラインの最大線幅の半値幅で割った値をラインエッジラフネスとした。
本発明の実施例10および11の重合体P−1〜P−7は、比較例12の重合体P−8およびP−9と比較して、レジスト溶剤に対する溶解性に優れていた。また、重合体P−1〜P−7を用いた本発明の化学増幅型レジスト組成物は、十分な感度およびエッチング耐性を備えた上に、重合体P−8およびP−9を用いた化学増幅型レジスト組成物と比較して、ラインエッジラフネスが減少した。