JPH11158118A - アセト酢酸誘導体、その製法及び用途 - Google Patents

アセト酢酸誘導体、その製法及び用途

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JPH11158118A
JPH11158118A JP9332814A JP33281497A JPH11158118A JP H11158118 A JPH11158118 A JP H11158118A JP 9332814 A JP9332814 A JP 9332814A JP 33281497 A JP33281497 A JP 33281497A JP H11158118 A JPH11158118 A JP H11158118A
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一樹 武元
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 樹脂成分と光酸発生剤を含有する化学増幅型
レジストに添加した場合に酸増殖作用を示す新規な化合
物を提供し、さらにこの化合物を酸増殖剤として用い、
特に高い感度を示す化学増幅型レジスト組成物を提供す
る 【解決手段】 下式(I)で示されるアセト酢酸誘導体
が提供される。 式中、Rは低級アルキルを表し、XはCO又はSO2
表し、mは1から8の整数を表す。この化合物は、−X
−Cm2m+1 に相当する部分が水素である化合物をペル
フルオロアルキルスルホニル化剤又はペルフルオロアル
キルカルボニル化剤と反応させることにより、製造でき
る。また、樹脂成分及び光酸発生剤に加えて、式(I)
のアセト酢酸誘導体を酸増殖剤として含有するレジスト
組成物も提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アセト酢酸エステ
ル系の新規な化合物、その製法及び、いわゆる化学増幅
型レジスト分野への当該化合物の適用に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体集積回路の高集積化に伴
い、クォーターミクロンのパターン形成が要求されるよ
うになっている。特に、フッ化クリプトン(KrF) やフッ
化アルゴン(ArF) からのエキシマレーザーを利用するリ
ソグラフィーは、64M DRAM及び256M DRAMの製造を
可能とすることから、注目されている。かかるエキシマ
レーザーリソグラフィープロセスに適したレジストとし
て、酸触媒による化学増幅効果を利用した、いわゆる化
学増幅型レジストが使用されている。化学増幅型レジス
トは、放射線照射部で酸発生剤から発生した酸を触媒と
する反応により、照射部のアルカリ現像液に対する溶解
性を変化させるものであり、これによってポジ型又はネ
ガ型のパターンを与える。
【0003】化学増幅型ポジ型レジストは、放射線照射
部で発生した酸が、その後の熱処理(post exposure ba
ke:以下、PEBと略すことがある)によって拡散し、
樹脂等の保護基を脱離させるとともに、酸を再生成する
ことにより、その放射線照射部をアルカリ可溶とするも
のである。また化学増幅型ネガ型レジストは、放射線照
射部で発生した酸がPEBによって拡散し、架橋剤に作
用して、その放射線照射部のマトリックス樹脂を硬化さ
せるものである。
【0004】そして、このような化学増幅型レジストは
一般に感度に優れるものの、さらなる高感度化が望まれ
ており、例えば、K. Ichimura et al., Chemistry Lett
ers,551-552 (1995) や、特開平 8-248561 号公報に
は、常温付近で熱力学的に安定であるが、酸によって分
解し、自ら強酸を発生するいわゆる酸増殖剤を用いて、
酸触媒反応を大幅に加速することが提案されている。上
記Chemistry Letters の文献には、2−メチル−2−
(p−トリルスルホニルオキシメチル)アセト酢酸tert
−ブチルを酸増殖剤とした場合の酸発生(増殖)機構
が、次のように説明されている。
【0005】
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような酸増殖剤を
レジストに適用することは新しい考え方であり、化学増
幅型レジストの一層の高感度化が期待される。本発明者
らは、かかるレジスト系に着目して研究を行ったとこ
ろ、上記の公知文献に記載される化合物を酸増殖剤とし
て用いた場合、例えば、保護基の種類によっては脱保護
基反応が起こらず、高感度が得られないなど、必ずしも
十分満足のいくものでないことが明らかになってきた。
そこで、これらを改良して、より高感度で良好なプロフ
ァイル(パターンの形状)を与える酸増幅剤が求められ
る。
【0007】したがって本発明の目的の一つは、樹脂成
分と光酸発生剤を含有する化学増幅型レジスト組成物に
添加した場合に、酸増殖作用を示し、良好な結果を与え
る新規な化合物を製造し、提供することにある。
【0008】本発明の別の目的は、この化合物を酸増殖
剤として用い、解像度、耐熱性、残膜率、塗布性、プロ
ファイルなどの諸性能を高い水準に維持しつつ、特に高
い感度を示す化学増幅型レジスト組成物を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
行った結果、ペルフルオロアルキルスルホニル基又はペ
ルフルオロアルキルカルボニル基を有する特定構造のア
セト酢酸誘導体を見出し、そしてこの化合物を酸増殖剤
として用いることにより、上記の目的が達成されること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち本発明は、次式(I)で示される
アセト酢酸誘導体を提供するものである。
【0011】
【0012】式中、Rは低級アルキルを表し、XはCO
又はSO2 を表し、そしてmは1〜8の整数を表す。
【0013】上記式(I)で示されるアセト酢酸誘導体
は、次式(II)
【0014】
【0015】(式中、Rは前記の意味を表す)で示され
る2−ヒドロキシメチルアセト酢酸誘導体を、アルキル
部分の炭素数が1〜8であるペルフルオロアルキルスル
ホニル化剤又はペルフルオロアルキルカルボニル化剤と
反応させることにより、製造できる。したがって本発明
は、上記式(II)の2−ヒドロキシメチルアセト酢酸誘
導体から上記式(I)のアセト酢酸誘導体を製造する方
法をも提供する。
【0016】上記式(I)で示されるアセト酢酸誘導体
は、レジスト用の酸増殖剤として有用であり、したがっ
て本発明はまた、式(I)で示されるアセト酢酸誘導体
を有効成分とする酸増殖剤を提供し、さらには、この酸
増殖剤を、樹脂成分及び光酸発生剤とともに配合してな
るレジスト組成物をも提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】式(I)及び(II)において、R
は低級アルキルであり、その炭素数は1〜6程度であれ
ばよい。Rで表されるアルキルとして具体的には、メチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブ
チル、 sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシ
ルなどを挙げることができる。式(I)中のCm2m+1
は、炭素数1〜8のペルフルオロアルキルである。−S
2−Cm2m+1に相当するペルフルオロアルキルスルホ
ニルとしては、トリフルオロメチルスルホニル、ペルフ
ルオロエチルスルホニル、ペルフルオロプロピルスルホ
ニル、ペルフルオロブチルスルホニル、ペルフルオロペ
ンチルスルホニル、ペルフルオロヘキシルスルホニル、
ペルフルオロヘプチルスルホニル、ペルフルオロオクチ
ルスルホニルなどが挙げられる。また、−CO−Cm
2m+1 に相当するペルフルオロアルキルカルボニルとし
ては、トリフルオロアセチル、ペルフルオロエタノイ
ル、ペルフルオロプロパノイル、ペルフルオロブタノイ
ル、ペルフルオロペンタノイル、ペルフルオロヘキサノ
イル、ペルフルオロヘプタノイル、ペルフルオロオクタ
ノイル、ペルフルオロノナノイルなどが挙げられる。
【0018】次に、式(II)で示される2−ヒドロキシ
アセト酢酸誘導体及び式(I)で示されるアセト酢酸誘
導体の製造について、順次説明する。式(II)のアセト
酢酸誘導体は、K. Ichimura et al., Chemistry Letter
s, 551-552 (1995) に記載の如く、アセト酢酸tert−ブ
チルをヨウ化アルキルのようなアルキル化剤と反応させ
てその2位をアルキル化し、次いで塩基触媒の存在下で
ホルムアルデヒドと反応させて2位にメチロール基を導
入することにより、製造できる。前者のアルキル化反応
は、水素化ナトリウムのような塩基触媒を用いて、テト
ラヒドロフランやジオキサンのような極性溶媒中で行う
のが有利である。また後者のメチロール化反応は、水酸
化カリウムや水酸化ナトリウムのような塩基触媒を用い
て、メタノール、エタノール、水、あるいはそれらの混
合溶媒中で行うのが有利である。この反応は60〜10
0℃の温度で進行し、1〜10時間程度行われる。反応
終了後は、適当な有機溶媒で抽出し、濃縮、洗浄など通
常の後処理操作を施すことにより、式(II)の2−ヒド
ロキシメチルアセト酢酸誘導体を固体又は液体として得
ることができる。
【0019】こうして得られる式(II)の2−ヒドロキ
シメチルアセト酢酸誘導体は、ペルフルオロアルキルス
ルホニル化剤又はペルフルオロアルキルカルボニル化剤
と反応させることにより、式(I)のアセト酢酸誘導体
に導かれる。 ここでいうペルフルオロアルキルスルホ
ニル化剤又はペルフルオロアルキルカルボニル化剤と
は、ペルフルオロアルキルスルホン酸若しくはペルフル
オロアルカン酸、又はそれらの反応性誘導体を意味し、
これらの反応性誘導体には、酸ハロゲン化物、酸無水物
などが包含される。
【0020】ペルフルオロアルキルスルホニル化剤とな
りうるペルフルオロアルキルスルホン酸の反応性誘導体
としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸無水
物、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、ペルフル
オロエタンスルホニルフルオリド、ペルフルオロプロパ
ンスルホニルフルオリド、ペルフルオロブタンスルホニ
ルフルオリド、ペルフルオロペンタンスルホニルフルオ
リド、ペルフルオロヘキサンスルホニルフルオリド、ペ
ルフルオロヘプタンスルホニルフルオリド、ペルフルオ
ロオクタンスルホニルフルオリドなどが挙げられる。ま
た、ペルフルオロアルキルカルボニル化剤となりうるペ
ルフルオロアルカン酸の反応性誘導体としては、トリフ
ルオロアセチルクロリド、ペルフルオロプロパノイルク
ロリド、ペルフルオロブタノイルクロリド、ペルフルオ
ロペンタノイルクロリド、ペルフルオロヘキサノイルク
ロリド、ペルフルオロヘプタノイルクロリド、ペルフル
オロオクタノイルクロリド、ペルフルオロノナノイルク
ロリドなどが挙げられる。
【0021】式(II)のヒドロキシメチルアセト酢酸誘
導体とペルフルオロアルキルスルホニル化剤又はペルフ
ルオロアルキルカルボニル化剤との反応は通常、塩基の
存在下で行われる。ここで用いる塩基としては、ピリジ
ン、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、ブチルリチウ
ムなどが挙げられる。反応は、トルエン、テトラヒドロ
フラン、ピリジン、塩化メチレン、クロロホルム、クロ
ロベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン又はメチル
イソブチルケトンのような不活性溶媒中、−70℃〜+
120℃、好ましくは−50℃〜+90℃の温度で行わ
れる。塩基は、式(II)の2−ヒドロキシメチルアセト
酢酸誘導体に対して少なくとも当量必要であるが、ピリ
ジンのような弱塩基ならば、溶媒としても作用させるた
めに大過剰に用いても差し支えない。スルホニル化剤又
はカルボニル化剤は、式(II)の2−ヒドロキシメチル
アセト酢酸誘導体に対して、通常は当量から2倍量、好
ましくは当量から1.5倍量用いられる。反応時間は、ス
ルホニル化剤又はカルボニル化剤及び塩基の量や温度に
よっても変わるが、一般には2時間〜3日間程度であ
る。反応終了後は、濃縮、分離、再結晶、カラムクロマ
トグラフィーなど、通常の後処理操作を施すことによ
り、式(I)のアセト酢酸誘導体を得ることができる。
【0022】かくして得られる式(I)のアセト酢酸誘
導体として、具体的には以下のようなものが例示され
る。
【0023】2−メチル−2−(トリフルオロメチルス
ルホニルオキシメチル)アセト酢酸tert−ブチル、2−
メチル−2−(ペルフルオロエチルスルホニルオキシメ
チル)アセト酢酸tert−ブチル、2−メチル−2−(ペ
ルフルオロプロピルスルホニルオキシメチル)アセト酢
酸tert−ブチル、2−メチル−2−(ペルフルオロブチ
ルスルホニルオキシメチル)アセト酢酸tert−ブチル、
2−メチル−2−(ペルフルオロペンチルスルホニルオ
キシメチル)アセト酢酸tert−ブチル、2−メチル−2
−(ペルフルオロヘキシルスルホニルオキシメチル)ア
セト酢酸tert−ブチル、2−メチル−2−(ペルフルオ
ロヘプチルスルホニルオキシメチル)アセト酢酸tert−
ブチル、2−メチル−2−(ペルフルオロオクチルスル
ホニルオキシメチル)アセト酢酸tert−ブチル、2−エ
チル−2−(トリフルオロメチルスルホニルオキシメチ
ル)アセト酢酸tert−ブチル、2−エチル−2−(ペル
フルオロオクチルスルホニルオキシメチル)アセト酢酸
tert−ブチル、2−プロピル−2−(トリフルオロメチ
ルスルホニルオキシメチル)アセト酢酸tert−ブチル、
2−ブチル−2−(トリフルオロメチルスルホニルオキ
シメチル)アセト酢酸tert−ブチル、2−ペンチル−2
−(トリフルオロメチルスルホニルオキシメチル)アセ
ト酢酸tert−ブチル、2−ヘキシル−2−(トリフルオ
ロメチルスルホニルオキシメチル)アセト酢酸tert−ブ
チル、2−メチル−2−(トリフルオロアセトキシメチ
ル)アセト酢酸tert−ブチル、2−エチル−2−(トリ
フルオロアセトキシメチル)アセト酢酸tert−ブチルな
ど。
【0024】式(I)で示されるアセト酢酸誘導体は、
光の作用で酸を発生する光酸発生剤と組み合わせ、その
光酸発生剤から発生した酸の作用により新たに酸を発生
する酸増殖剤として有用であり、具体的には、光カチオ
ン重合や化学増幅型レジストの分野に適用することがで
きる。とりわけ、光酸発生剤から発生する酸の触媒作用
を利用する化学増幅型レジストの酸増殖剤として有効で
ある。
【0025】化学増幅型レジストは、樹脂成分と光酸発
生剤を含有するもので、前述のとおりポジ型とネガ型が
あるが、本発明の酸増殖剤はいずれにも適用可能であ
る。化学増幅型ポジ型レジストには、樹脂成分がアルカ
リ可溶性であり、かかる樹脂成分及び光酸発生剤に加え
て、酸の作用により解裂しうる保護基を有し、それ自体
ではアルカリ可溶性樹脂に対して溶解抑止能を持つが、
酸の作用により上記保護基が解裂した後はアルカリ可溶
性となる溶解抑止剤を含有するもの、樹脂成分が酸の作
用により解裂しうる保護基を有し、それ自体ではアルカ
リに不溶又は難溶であるが、酸の作用により上記保護基
が解裂した後はアルカリ可溶性になるものがある。また
化学増幅型ネガ型レジストは通常、樹脂成分がアルカリ
可溶性であり、かかる樹脂成分及び光酸発生剤に加え
て、架橋剤を含有するものである。このような化学増幅
型レジストに、本発明の酸増殖剤を存在させることによ
り、光酸発生剤から発生した酸が引き金になって、酸増
殖剤から連鎖的に酸が発生し、溶解抑止剤又は樹脂から
の保護基脱離反応、あるいは架橋剤による架橋反応を促
進させることになる。本発明の化合物をレジスト組成物
の酸増殖剤として用いる場合は、それぞれ単独で、又は
2種以上混合して用いることができる。
【0026】本発明のレジスト組成物は、前記式(I)
のアセト酢酸誘導体を酸増殖剤として含有するものであ
り、この酸増殖剤以外の樹脂成分や光酸発生剤、さらに
はその他の成分については、この分野で一般的に採用さ
れている各種のものを用いることができ、また以上の説
明から十分に理解できるところである。
【0027】化学増幅型ポジ型レジスト組成物の一タイ
プとして、酸の作用により解裂しうる保護基を有し、そ
れ自体ではアルカリに不溶又は難溶であるが、酸の作用
により保護基が解裂した後はアルカリ可溶性になる樹脂
を用いたものがある。本発明の酸増殖剤は、このような
タイプのレジスト組成物に対して特に有効である。以下
では、樹脂成分が酸の作用により解裂しうる保護基を有
し、それ自体ではアルカリに不溶又は難溶であるが、酸
の作用により上記保護基が解裂した後はアルカリ可溶性
になる化学増幅型ポジ型レジスト組成物についてさらに
詳細な説明を進める。他のタイプの化学増幅型レジスト
にも共通する材料、例えば光酸発生剤やアルカリ可溶性
樹脂については、以下の説明が同様に適用される。アル
カリ可溶性のベース樹脂は、アルカリ可溶性基として例
えば、フェノール性水酸基及び/又はカルボキシル基を
有するものなどであることができる。
【0028】KrFエキシマレーザー露光用には通常、
芳香環とともにフェノール性水酸基又はカルボキシル基
を有するアルカリ可溶性樹脂のフェノール性水酸基又は
カルボキシル基の一部を、アルカリ現像液に対して溶解
抑止能を持ち、酸に対しては不安定な基で保護した樹脂
が用いられる。具体的には、ポリビニルフェノール樹
脂;ポリイソプロペニルフェノール樹脂;ビニルフェノ
ールと、(メタ)アクリル酸若しくはその誘導体、アク
リロニトリル、スチレン若しくはその誘導体などとの共
重合体;イソプロペニルフェノールと、(メタ)アクリ
ル酸若しくはその誘導体、アクリロニトリル、スチレン
若しくはその誘導体などとの共重合体;スチレン若しく
はその誘導体と、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、アク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸な
どとの共重合体;これらのポリマー鎖中にケイ素を含む
化合物が導入された樹脂などが挙げられる。ビニルフェ
ノール及びイソプロペニルフェノールにおける水酸基と
ビニル基又はイソプロペニル基との位置関係は特に限定
されないが、p−ビニルフェノール又はp−イソプロペ
ニルフェノールが一般的である。これらの樹脂は、透明
性を向上させるために水素添加されていてもよい。また
アルカリに可溶な範囲で、上記樹脂のベンゼン核にアル
キル基やアルコキシ基が導入されていてもよい。
【0029】一方、ArFエキシマレーザー露光用のレ
ジストに用いる樹脂は、レジストの透過率を確保するた
めに芳香環を持たず、またドライエッチング耐性を持た
せるため、芳香環の代わりに脂環式環を有するものがよ
いことが知られている。具体的には、カルボキシル基を
有するか又は保護基脱離後にカルボキシル基を生成する
(メタ)アクリル酸誘導体の重合体;その(メタ)アク
リル酸誘導体を一つのモノマーとする共重合体;脂環式
カルボン酸のビニルエステル又はイソプロペニルエステ
ルを一つのモノマーとする共重合体;これらのポリマー
鎖中にケイ素を含む化合物が導入された樹脂などを挙げ
ることができる。例えば、 D. C. Hoferet al., J. Pho
topolym. Sci. Technol., 9 (3) 387-398 (1996) に記
載されるような、各種の保護基(酸の作用で解裂する
基)を有する樹脂を用いることができる。これらの樹脂
を構成する脂環式環は特に、脂環式炭化水素残基、それ
も架橋炭化水素環であるのが好ましく、例えば、ボルナ
ン環、ノルボルナン環、トリシクロデカン環、テトラシ
クロデカン環、アダマンタン環などが挙げられる。ま
た、本出願人の出願に係る特願平 9-15353号で開示し、
K. Nozaki et al., J.Photopolym. Sci. Technol., 10
(4) 545-550 (1997) にも記載されるような、ブチロ
ラクトン残基を導入した樹脂も用いることができる。さ
らには、S. Iwasaet al., J. Photopolym. Sci. Techno
l., 9 (3) 447-456 (1996) に記載されるような、酸に
よって解裂する基(保護基)に脂環式基を導入した樹脂
も、ArFエキシマレーザー露光用に用いることができ
る。
【0030】以上のようなKrF又はArFエキシマレ
ーザー露光用各種樹脂のなかでも、ポリビニルフェノー
ル系の樹脂、カルボキシル基を有するか又は保護基脱離
後にカルボキシル基を生成するポリアクリレート系又は
ポリメタアクリレート系の樹脂が好ましく用いられる。
【0031】酸の作用により解裂しうる保護基は、これ
らのベース樹脂中の水酸基又はカルボキシル基の少なく
とも一部に導入され、かかる保護基が、水酸基又はカル
ボキシル基中の水素原子の少なくとも一部に置換したも
のとなる。また、酸の作用により解裂しうる保護基を有
するモノマーを、ビニルフェノール、イソプロペニルフ
ェノール、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無
水マレイン酸のようなフェノール性水酸基及び/又はカ
ルボキシル基を有するモノマー又はそれらの誘導体と共
重合させたものも、本発明のレジスト組成物における樹
脂となりうる。保護基としては、例えば、以下の構造の
ものが挙げられる。
【0032】
【0033】式中、 R11、R12、R13、R17、R20
びR25は互いに独立に、直鎖状アルキル、分枝状アルキ
ル、環状アルキル、アルケニル又はアラルキルを表し;
14、R15、R16、R18、R19及びR21は互いに独立
に、水素、直鎖状アルキル、分枝状アルキル、環状アル
キル、アルケニル又はアラルキルを表し;R22は、水
素、直鎖状アルキル、分枝状アルキル、環状アルキル、
アルケニル若しくはアラルキルを表し、R23は、直鎖状
アルキル、分枝状アルキル、環状アルキル、アルケニル
若しくはアラルキルを表すか、又はR22とR23が結合し
て、炭素数3〜6の非分枝アルキレンを形成し;R24
脂環式基を表し;p及びqは互いに独立に、0〜3の整
数を表すが、p+qは2以上である。
【0034】ここで直鎖状アルキルとしては、例えば炭
素数1〜5のものが挙げられ、分枝状アルキルとして
は、例えば炭素数3〜8のものが挙げられ、環状アルキ
ルとしては、例えば炭素数5〜16のものが挙げられ、
これはシクロアルキルの他、シクロアルキルアルキルで
あってもよく、アルケニルとしては、例えば炭素数2〜
7のものが挙げられ、アラルキルとしては、例えば、ベ
ンジル、モノ又はジメチルベンジル、フェネチルなど、
炭素数7〜16のものが挙げられる。これらの基は置換
基を有していてもよく、例えば、直鎖状アルキル、分枝
状アルキル又はアルケニルに置換してもよい基として
は、ハロゲン、アルコキシ、アルカノイル、脂環式オキ
シ、脂環式カルボニルオキシなどが挙げられ、環状アル
キルを構成するシクロアルカン環に置換してもよい基と
しては、ハロゲンやアルコキシなどが挙げられ、アラル
キルを構成するベンゼン環などの芳香環に置換してもよ
い基としては、ハロゲンやニトロなどが挙げられる。も
ちろん、ここでいうシクロアルカン環や芳香環には、上
記炭素数の範囲内でアルキルなどの炭化水素基が結合し
ていてもよい。またアルコキシは、炭素数1〜5程度で
あることができる。上記式(f)に相当する脂環式基
は、単環の他、各種の架橋多環をとることができ、具体
例としては、シクロヘキシル、1−アダマンチル、2−
メチル−2−アダマンチルなどが挙げられる。さらに、
上記式(g)で示されるラクトン残基として典型的に
は、メバロニックラクトンから導かれる4−メチルテト
ラヒドロ−2−ピロン−4−イルが挙げられる。
【0035】これらのうち、好ましい保護基としては、
酸素を一つの環原子とする飽和複素環の2−残基、1−
アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルコキ
シカルボニルアルキル、脂環式基、ラクトン残基などが
挙げられる。 なかでも、テトラヒドロ−2−フリル、
テトラヒドロ−2−ピラニル、1−エトキシエチル、te
rt−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニルメ
チル、2−メチル−2−アダマンチル、4−メチルテト
ラヒドロ−2−ピロン−4−イル(メバロニックラクト
ンから導かれる)などが好ましい。
【0036】上記の保護基を樹脂中のフェノール性水酸
基やカルボキシル基のようなアルカリ可溶性基に導入す
るにあたっては、通常の保護基導入反応が利用できる。
例えば、ベース樹脂がポリビニルフェノール系樹脂であ
り、アルコキシアルキルを保護基とする場合は、そのポ
リビニルフェノール系樹脂に、塩基性条件下でアルコキ
シアルケンを反応させることにより、ポリビニルフェノ
ール系樹脂の水酸基の一部又は全部をアルコキシアルキ
ルエーテル化することができる。また、ポリアクリレー
ト系又はポリメタクリレート系の樹脂は、一般に酸の作
用により解裂しうる保護基を有するモノマーと他のモノ
マーとの共重合により、製造される。酸の作用により解
裂しうる保護基を有する構造単位の割合(保護基導入
率)は、一般に10〜60モル%程度の範囲にあるのが
好ましい。
【0037】アルカリ可溶性基の少なくとも一部が保護
された樹脂、例えば、フェノール性水酸基の少なくとも
一部が保護されたポリビニルフェノール系樹脂や、保護
基を有するポリアクリレート系又はポリメタクリレート
系樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によ
り求めたポリスチレン換算の重量平均分子量が 3,000〜
35,000の範囲にあるものが好ましい。より好ましい重量
平均分子量は 5,000以上であり、また 32,000 以下、さ
らに 25,000 以下、とりわけ 20,000 以下である。
【0038】レジスト組成物のもう一つの成分である光
酸発生剤は、その物質自体に、あるいはその物質を含む
レジスト組成物に、放射線を作用させることにより、そ
の物質が分解して酸を発生する化合物である。光酸発生
剤から発生する酸が酸増殖剤に作用してさらに酸を発生
させ、これらの酸が樹脂に作用して、その樹脂中に存在
する酸の作用で解裂する基を解裂させることになる。
光酸発生剤には、例えば、オニウム塩化合物、有機ハロ
ゲン化合物、スルホン化合物、スルホネート化合物など
が包含される。具体的には、次のような化合物を挙げる
ことができる。
【0039】ジフェニルヨードニウム トリフルオロメ
タンスルホネート、4−メトキシフェニルフェニルヨー
ドニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−メト
キシフェニルフェニルヨードニウム トリフルオロメタ
ンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨ
ードニウム テトラフルオロボレート、ビス(4−tert
−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホス
フェート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニ
ウム ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−tert
−ブチルフェニル)ヨードニウム トリフルオロメタン
スルホネート、
【0040】トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオ
ロホスフェート、トリフェニルスルホニウム ヘキサフ
ルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウム ト
リフルオロメタンスルホネート、4−メトキシフェニル
ジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネー
ト、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム ト
リフルオロメタンスルホネート、p−トリルジフェニル
スルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、2,
4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム
トリフルオロメタンスルホネート、4−tert−ブチルフ
ェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンス
ルホネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスル
ホニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−フェニル
チオフェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロ
アンチモネート、1−(2−ナフトイルメチル)チオラ
ニウム ヘキサフルオロアンチモネート、1−(2−
ナフトイルメチル)チオラニウム トリフルオロメタン
スルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチル
スルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−ヒ
ドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウム トリフ
ルオロメタンスルホネート、(2−オキソ−1−シクロ
ヘキシル)(シクロヘキシル)メチルスルホニウムトリフ
ルオロメタンスルホネート、(2−オキソ−1−シクロ
ヘキシル)(2−ノルボルニル)メチルスルホニウム
トリフルオロメタンスルホネート、
【0041】2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメ
チル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス
(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−
フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,
5−トリアジン、2−(4−クロロフェニル)−4,6
−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジ
ン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(ト
リクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4
−メトキシ−1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロ
ロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(ベンゾ
[d][1,3]ジオキソラン−5−イル)−4,6−
ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリク
ロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,
4,5−トリメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリ
クロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,
4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロ
メチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジ
メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチ
ル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−メトキシス
チリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,
5−トリアジン、2−(4−ブトキシスチリル)−4,
6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジ
ン、2−(4−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビ
ス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
【0042】ジフェニル ジスルホン、ジ−p−トリル
ジスルホン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタ
ン、ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタ
ン、ビス(p−トリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス
(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタ
ン、ビス(2,4−キシリルスルホニル)ジアゾメタ
ン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、
(ベンゾイル)(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、
【0043】α−ベンゾイルベンジル p−トルエンス
ルホネート(通称ベンゾイントシレート)、β−ベンゾ
イル−β−ヒドロキシフェネチル p−トルエンスルホ
ネート(通称α−メチロールベンゾイントシレート)、
1,2,3−ベンゼントリイル トリスメタンスルホネ
ート、2,6−ジニトロベンジル p−トルエンスルホ
ネート、2−ニトロベンジル p−トルエンスルホネー
ト、4−ニトロベンジル p−トルエンスルホネート、
【0044】N−(フェニルスルホニルオキシ)スクシ
ンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキ
シ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニ
ルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチル
スルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロ
メチルスルホニルオキシ)−5−ノルボルネン−2,3
−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスル
ホニルオキシ)ナフタルイミド、N−(10−カンファ
ースルホニルオキシ)ナフタルイミドなど。
【0045】また、一般に化学増幅型のポジ型レジスト
組成物においては、塩基性化合物、特に塩基性含窒素有
機化合物、例えばアミン類を、クェンチャーとして添加
することにより、露光後の引き置きに伴う酸の失活によ
る性能劣化を改良できることが知られており、本発明に
おいても、このような塩基性化合物を配合するのが好ま
しい。クェンチャーに用いられる塩基性化合物の具体的
な例としては、以下の各式で示されるようなものが挙げ
られる。
【0046】
【0047】式中、R31、R32、R33、R34及びR35
互いに独立に、水素、水酸基で置換されてもよいアルキ
ル、シクロアルキル、アリール又はアルコキシを表し、
Aはアルキレン、カルボニル又はイミノを表す。ここ
で、R31〜R35で表されるアルキル及びアルコキシは炭
素数1〜6程度であることができ、シクロアルキルは炭
素数5〜10程度であることができ、そしてアリールは
炭素数6〜10程度であることができる。また、Aで表
されるアルキレンは炭素数1〜6程度であることがで
き、直鎖でも分岐していてもよい。
【0048】本発明のレジスト組成物は、以上説明した
アルカリ可溶性の又はアルカリ可溶性となりうる樹脂、
光酸発生剤及び酸増殖剤を含有し、任意にさらにクェン
チャーとしての塩基性化合物を含有することができる
が、その他必要に応じて、電子供与体、溶解阻止剤、増
感剤、染料、接着性向上剤、架橋剤など、この分野で通
常使用されている各種の添加物を含有することもでき
る。
【0049】本発明のレジスト組成物において、樹脂成
分は、レジスト組成物の全固形分重量を基準に50重量
%以上存在するのが好ましく、光酸発生剤は、上記樹脂
成分100重量部あたり、0.1〜30重量部の範囲で含
有させるのが好ましい。また酸増殖剤は、同じく樹脂成
分100重量部あたり、1〜15重量部の範囲で含有さ
せるのが好ましい。クェンチャーとしての塩基性化合物
を配合する場合は、同じくレジスト組成物の樹脂成分1
00重量部あたり、0.001〜10重量部の範囲で含有
させるのが好ましい。
【0050】このレジスト組成物は通常、全固形分濃度
が10〜50重量%となるよう、上記各成分を溶剤に混
合してレジスト溶液が調製され、シリコンウェハーなど
の基体上に塗布される。ここで用いる溶剤は、各成分を
溶解するものであればよく、この分野で通常用いられて
いるものであることができる。 例えば、エチルセロソ
ルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、プロピ
レングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロ
ピレングリコールモノエチルエーテルアセテートのよう
なグリコールエーテルエステル類、エチルセロソルブ、
メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル及び
ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなグリコ
ールモノ又はジエーテル類、乳酸エチル、酢酸ブチル及
びピルビン酸エチルのようなエステル類、2−ヘプタノ
ン、シクロヘキサノン及びメチルイソブチルケトンのよ
うなケトン類、キシレンのような芳香族炭化水素類など
が挙げられる。これらの溶剤は、それぞれ単独で、又は
2種以上組み合わせて用いることができる。
【0051】基体上に塗布されたレジスト膜からは、そ
の後通常、プリベーク、パターニングのための放射線照
射、放射線照射により発生した酸を拡散させ、またその
酸の作用により酸増殖剤から酸を発生させて脱保護基反
応を促進するための加熱処理(PEB)、アルカリ現像
液による現像の各工程を経て、ポジ型レジストパターン
が形成される。
【0052】
【実施例】次に本発明の実施例を示すが、本発明はこれ
らによって限定されるものではない。例中、含有量ない
し使用量を表す%及び部は、特にことわらないかぎり重
量基準である。
【0053】合成例1〔2−メチル−2−(トリフルオ
ロメチルスルホニルオキシメチル)アセト酢酸tert−ブ
チルの合成〕:2−メチル−2−(ヒドロキシメチル)
アセト酢酸tert−ブチル17.1gとトリエチルアミン1
0.3gをトルエン100gに溶解し、氷冷した。そこ
へ、トリフルオロメタンスルホン酸無水物25gを10
〜15℃で15分かけて滴下し、さらに10〜17℃で
2時間攪拌した。反応液を水で希釈し、トルエンで抽出
した。有機層を5%重炭酸ナトリウム水溶液で、次にイ
オン交換水で洗浄した後、濃縮した。この粗抽出物をシ
リカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル展
開液)で精製して、油状の2−メチル−2−(トリフル
オロメチルスルホニルオキシメチル)アセト酢酸tert−
ブチルを6g得た。収率21.2%。この例の反応式は次
のとおりである。
【0054】
【0055】1H−NMR δppm(CDCl3):1.47
(3H, s, Me), 1.49 (9H, s, t-Bu),2.23 (3H, s, Me),
4.68 (1H, d, J = 9.9 Hz, CH),4.85 (1H, d, J = 9.9
Hz, CH).19 F−NMR δppm(CDCl3):-74.49 (CF3).
【0056】合成例2〔2−メチル−2−(ペルフルオ
ロブチルスルホニルオキシメチル)アセト酢酸tert−ブ
チルの合成〕:2−メチル−2−(ヒドロキシメチル)
アセト酢酸tert−ブチル16.0gを塩化メチレン100
gに溶解し、−50℃に冷却した。そこへ、ブチルリチ
ウムの1.56Mヘキサン溶液65mlを−40℃以下の温
度で滴下し、引き続き30分間攪拌した。 さらに、ペ
ルフルオロ−1−ブタンスルホニルフルオリド25gを
−40℃以下の温度で滴下し、−50〜+15℃で一晩
攪拌した。反応液を水で希釈し、エーテルで抽出した。
有機層をイオン交換水で洗浄した後、濃縮した。この粗
抽出物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢
酸エチル展開液)で精製して、油状の2−メチル−2−
(ペルフルオロブチルスルホニルオキシメチル)アセト
酢酸tert−ブチルを14g得た。収率36.5%。この例
の反応式は次のとおりである。
【0057】
【0058】1H−NMR δppm(CDCl3):1.43
(3H, s, Me), 1.48 (9H, s, t-Bu),2.23 (3H, s, Me),
4.72 (1H, d, J = 9.9 Hz, CH),4.91 (1H, d, J = 9.9
Hz, CH).19 F−NMR δppm(CDCl3):-126.07 (γ-C
F2), -121.58 (β-CF2),-110.71 (α-CF2), -80.87 (CF
3).
【0059】合成例3〔2−メチル−2−(ペルフルオ
ロオクチルスルホニルオキシメチル)アセト酢酸tert−
ブチルの合成〕:2−メチル−2−(ヒドロキシメチ
ル)アセト酢酸tert−ブチル12.0gをテトラヒドロフ
ラン50gに溶解し、−20℃に冷却した。そこへ、ブ
チルリチウムの1.57Mヘキサン溶液40mlを−20℃
以下の温度で滴下し、引き続き5分間攪拌した。さら
に、ペルフルオロ−1−オクタンスルホニルフルオリド
31gを−20℃以下の温度で滴下し、室温で3日間攪
拌した。反応液を水で希釈し、エーテルで抽出した。有
機層を5%重炭酸ナトリウム水溶液、次にイオン交換水
で洗浄した後、濃縮した。この粗抽出物をシリカゲルク
ロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル展開液)で精
製して、油状の2−メチル−2−(ペルフルオロオクチ
ルスルホニルオキシメチル)アセト酢酸tert−ブチルを
6.5g得た。収率16.0%。この例の反応式は次のとお
りである。
【0060】
【0061】1H−NMR δppm(CDCl3):1.46
(3H, s, Me), 1.49 (9H, s, t-Bu),2.23 (3H, s, Me),
4.73 (1H, d, J = 9.9 Hz, CH),4.91 (1H, d, J = 9.9
Hz, CH).19 F−NMR δppm(CDCl3):-126.29 (η-C
F2), -122.89 (ε-, ζ-CF2),-122.0 (γ-, δ-CF2), -
120.54 (β-CF2),-110.49 (α-CF2), -80.95 (CF3).
【0062】合成例4〔2−エチル−2−(トリフルオ
ロメチルスルホニルオキシメチル)アセト酢酸tert−ブ
チルの合成〕:2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)
アセト酢酸tert−ブチル23.0gをピリジン100gに
溶解し、−20℃に冷却した。そこへ、トリフルオロメ
タンスルホン酸無水物25gを−20℃以下の温度で滴
下し、−20〜+10℃で2.5時間攪拌した。反応液を
水で希釈し、エーテルで抽出した。有機層をイオン交換
水で洗浄した後、濃縮した。この粗抽出物をシリカゲル
クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル展開液)で
精製して、油状の2−エチル−2−(トリフルオロメチ
ルスルホニルオキシメチル)アセト酢酸tert−ブチルを
10.4g得た。収率28.1%。この例の反応式は次のと
おりである。
【0063】
【0064】1H−NMR δppm(CDCl3):0.87
(3H, t, J = 7.9 Hz, Me),1.49 (9H, s, t-Bu),2.10 (2
H, q, J = 7.9 Hz, CH2), 2.21 (3H, s, Me),4.79 (1H,
d, J = 10.2 Hz, CH),4.86 (1H, d, J = 10.2 Hz, C
H).19 F−NMR δppm(CDCl3):-74.50 (CF3).
【0065】合成例5〔2−メチル−2−(トリフルオ
ロアセトキシメチル)アセト酢酸tert−ブチルの合
成〕:2−メチル−2−(ヒドロキシメチル)アセト酢
酸tert−ブチル27.2gをトルエン100gに溶解し、
トリエチルアミン16.3gを滴下した。そこへ、トリフ
ルオロ酢酸無水物29.7gを35℃以下の温度で滴下
し、室温(25℃)でさらに6.5時間攪拌した。反応液
を水で希釈し、トルエンで抽出した。有機層を5%重炭
酸ナトリウム水溶液で、次にイオン交換水で洗浄した
後、濃縮した。この粗抽出物をシリカゲルクロマトグラ
フィー(ヘキサン/酢酸エチル展開液)で精製して、油
状の2−メチル−2−(トリフルオロアセトキシメチ
ル)アセト酢酸tert−ブチルを15.1g得た。収率3
5.7%。この例の反応式は次のとおりである。
【0066】
【0067】1H−NMR δppm(CDCl3):1.45
(3H, s, Me), 1.46 (9H, s, t-Bu),2.22 (3H, s, Me),
4.57 (1H, d, J = 11.2 Hz, CH),4.70 (1H, d, J = 11.
2 Hz, CH).19 F−NMR δppm(CDCl3):-75.22 (CF3).
【0068】参考例1(樹脂用モノマーの合成):2−
メチル−2−アダマンタノールと、それに対して2重量
倍のトリエチルアミンを仕込み、それらの合計とほぼ等
重量のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。そ
こへ、2−メチル−2−アダマンタノールに対して1.5
モル倍のメタクリル酸クロリドを滴下し、その後室温で
約10時間攪拌した。沈殿物を濾別した後、有機層を5
%重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、続いて水洗を2回
行った。有機層を濃縮し、次に減圧蒸留して、メタクリ
ル酸2−メチル−2−アダマンチルを得た。
【0069】参考例2(樹脂用のもう一つのモノマーの
合成):α−ブロモ−γ−ブチロラクトンとメタクリル
酸を1:2のモル比で仕込み、α−ブロモ−γ−ブチロ
ラクトンに対して3重量倍のメチルイソブチルケトンを
加えて溶液とした。そこへ、α−ブロモ−γ−ブチロラ
クトンに対して3モル倍のトリエチルアミンを滴下し、
その後室温で約10時間攪拌した。沈殿物を濾別した
後、有機層を濃縮して、α−メタクリロイロキシ−γ−
ブチロラクトンを得た。
【0070】参考例3(樹脂の合成):メタクリル酸2
−メチル−2−アダマンチルとα−メタクリロイロキシ
−γ−ブチロラクトンを50:50のモル比(40.0
g:29.0g)で仕込み、全モノマーに対して2重量倍
のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。そこ
へ、開始剤としてアゾビスイソブチルニトリルを全モノ
マー基準で2モル%添加し、85℃で8時間加熱した。
その後、反応液を大量のヘプタンに注いで沈殿させる操
作を2回行い、精製した。 その結果、次式で示され、
各単位の組成モル比が50:50で、GPCによるポリ
スチレン換算重量平均分子量が約 9,000の共重合体を得
た。
【0071】
【0072】適用例及び比較例次の化合物を酸増殖剤に
用いてレジスト組成物を調製し、評価した例を示す。
【0073】A: 2−メチル−2−(トリフルオロメ
チルスルホニルオキシメチル)アセト酢酸tert−ブチ
ル、 B: 2−メチル−2−(ペルフルオロブチルスルホニ
ルオキシメチル)アセト酢酸tert−ブチル、 C: 2−メチル−2−(ペルフルオロオクチルスルホ
ニルオキシメチル)アセト酢酸tert−ブチル、 D: 2−エチル−2−(トリフルオロメチルスルホニ
ルオキシメチル)アセト酢酸tert−ブチル、 X: 2−メチル−2−(p−トリルスルホニルオキ
シメチル)アセト酢酸tert−ブチル(比較用)。
【0074】各例毎に、参考例3で得られた樹脂を14
部、光酸発生剤としてトリフェニルスルホニウム トリ
フルオロメタンスルホネートを0.28部、表1に示す酸
増殖剤を0.7部、クエンチャーとして2,6−ジイソプ
ロピルアニリンを0.02部、及び溶剤としてプロピレン
グリコールモノメチルエーテルアアセテートを70部用
いて混合し、溶解した。この溶液を孔径0.2μm のフッ
素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト液を調製し
た。これを、有機反射防止膜を設けたシリコンウェハー
上に、プリベーク後の膜厚が0.72μm となるように塗
布した。有機反射防止膜は、Brewer社製の“DUV-18L”
(商品名)をシリコンウェハー上に塗布し、ホットプレ
ート上にて、215℃、60秒の条件でベークし、57
0Åの厚さとなるように形成させた。レジスト液塗布後
のプリベークは、ホットプレート上にて、110℃、6
0秒の条件で行った。
【0075】こうしてレジスト膜を形成したウエハー
に、(株)ニコン製のKrFエキシマステッパー(“NS
R-1755EX8A”、NA=0.45 )を用いて、ラインアンドスペ
ースパターンを露光した。次にホットプレート上にて、
110℃、60秒の条件でポストエキスポジャーベーク
(PEB)を行い、さらに2.38%テトラメチルアンモ
ニウムヒドロキシド水溶液でパドル現像を行った。現像
後のパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、以下の方法
で感度及び解像度を調べ、その結果を表1に示した。
【0076】感度: 0.4μm のラインアンドスペース
パターンが1:1となる露光量(実効感度)で表示し
た。
【0077】解像度: 実効感度の露光量で分離するラ
インアンドスペースパターンの最小寸法で表示した。
【0078】
【表1】
【0079】表1に示すとおり、本発明によりペルフル
オロアルキルスルホニル基を持つアセト酢酸誘導体を酸
増殖剤として用いたレジスト組成物は、特に感度の改良
効果に優れている。なお、適用例及び比較例のものは、
いずれも良好なプロファイルを示した。適用例で用いた
レジスト組成物は、ArFエキシマレーザーによる露光
でも、優れた性能のレジストパターンを与える。
【0080】
【発明の効果】本発明に係る式(I)のアセト酢酸誘導
体は、化学増幅型レジストなどの酸増殖剤として有用で
ある。そして、式(I)のアセト酢酸誘導体を酸増殖剤
として用いた化学増幅型レジスト組成物は、レジスト諸
性能を良好に保ちながら、特に感度を大きく改良する。
したがって、この組成物は、エキシマレーザー露光によ
る微細なパターン形成に適しており、それによって高い
性能のレジストパターンが得られる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(I) (式中、Rは低級アルキルを表し、XはCO又はSO2
    を表し、そしてmは1〜8の整数を表す)で示されるア
    セト酢酸誘導体。
  2. 【請求項2】XがSO2 である請求項1記載のアセト酢
    酸誘導体。
  3. 【請求項3】式(II) (式中、Rは低級アルキルを表す)で示される2−ヒド
    ロキシメチルアセト酢酸誘導体を、アルキル部分の炭素
    数が1〜8であるペルフルオロアルキルスルホニル化剤
    又はペルフルオロアルキルカルボニル化剤と反応させる
    ことを特徴とする、請求項1記載のアセト酢酸誘導体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1又は2記載のアセト酢酸誘導体を
    有効成分とする酸増殖剤。
  5. 【請求項5】樹脂成分、光酸発生剤、及び請求項4記載
    の酸増殖剤を含有することを特徴とするレジスト組成
    物。
  6. 【請求項6】樹脂成分が、それ自体ではアルカリに不溶
    又は難溶であるが、酸の作用により解裂しうる保護基を
    有し、解裂後はアルカリ可溶性となるものであり、ポジ
    型に作用する請求項5記載の組成物。
  7. 【請求項7】該樹脂成分が、ポリビニルフェノール系の
    樹脂又は、カルボキシル基を有するか若しくは保護基脱
    離後にカルボキシル基を生成するポリ(メタ)アクリレ
    ート系の樹脂であって、そのフェノール性水酸基又はカ
    ルボキシル基の少なくとも一部が酸の作用により解裂し
    うる基で保護されている請求項6記載の組成物。
  8. 【請求項8】さらに、塩基性含窒素有機化合物をクェン
    チャーとして含有する請求項5〜7のいずれかに記載の
    組成物。
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