JP5144278B2 - トリスアゾ化合物、インク組成物、記録方法及び着色体 - Google Patents

トリスアゾ化合物、インク組成物、記録方法及び着色体 Download PDF

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Description

本発明は、新規なトリスアゾ化合物又はその塩、これらを含有するインク組成物およびそれによる着色体に関する。
各種のカラー記録法の中でも代表的方法の一つであるインクジェットプリンタによる記録方法は、インクの小滴を発生させこれを種々の被記録材料(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。この方法は、記録ヘッドと被記録材料とが直接接触しないため音の発生が少なく静かであり、また小型化、高速化が容易という特長の為近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。従来、万年筆、フェルトペン等用のインク及びインクジェット記録用インクとしては、水溶性染料を水性媒体中に溶解した水性インクが使用されており、これらの水性インクにおいてはペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく一般に水溶性有機溶剤が添加されている。そしてこれらのインクにおいては、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求される。また使用される水溶性染料には特に水への溶解度が高いこと、インクに添加される水溶性有機溶剤への溶解度が高いことが要求される。更に、形成される画像には耐水性、耐光性、耐オゾンガス性、耐湿性等の画像堅牢性が求められている。
これらのうちで、耐オゾンガス性とは、空気中に存在する酸化作用を持つオゾンガスなどが記録紙中で染料に作用し、印刷された画像を変退色させるという現象に対する耐性のことである。オゾンガスの他にも、この種の作用を持つ酸化性ガスとしては、NOx、SOx等が挙げられるが、これらの酸化性ガスの中でもオゾンガスがインクジェット記録画像の変退色現象をより促進させる主原因物質とされている。写真画質インクジェット専用紙の表面に設けられるインク受容層には、インクの乾燥を早めまた高画質でのにじみを少なくする為に、多孔性白色無機物等の素材を用いているものが多く、このような記録紙上でオゾンガスによる変退色が顕著に見られる。この酸化性ガスによる変退色現象はインクジェット画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上はインクジェット記録方法における最も重要な課題の1つとなっている。
今後、インクを用いた印刷方法の使用分野を拡大すべく、インクジェット記録用に用いられるインク組成物及びそれによって着色された着色体には、耐光性、耐オゾンガス性、耐湿性、耐水性の更なる向上が強く求められている。
種々の色相のインクが種々の染料から調製されているが、それらのうち黒色インクはモノカラーおよびフルカラー画像の両方に使用される重要なインクである。これら黒色インク用の染料として今日まで多くのものが提案されているが、市場の要求を充分に満足する製品を提供するには至っていない。提案されている色素の多くはアゾ色素であり、そのうちC.I.Food Black2等のジスアゾ色素については、画像の光学濃度が低い、耐水性や耐湿性が不良である、耐光性および耐ガス性が十分でない等の問題がある。共役系を延ばしたポリアゾ色素については、一般に水溶性が低く記録画像が部分的に金属光沢を有するブロンジング現象が発生しやすい、耐光性および耐ガス性が十分でない等の問題がある。また、同様に数多く提案されているアゾ含金色素の場合、耐光性が良好なものもあるが、金属イオンを含むため生物への安全性や環境問題に対し好ましくない、耐オゾンガス性が極めて弱い等の問題がある。
近年最も重要な課題となっている耐オゾンガス性について改良されたインクジェット用黒色インク用化合物(色素)としては、例えば特許文献1および2に記載の化合物が挙げられる。これらの化合物は耐オゾンガス性が市場要求を十分に満たすものではなく、耐光性に関しても十分ではない。また、本発明の黒色インク用色素化合物の特徴であるベンズイミダゾロピリドン骨格を有するアゾ化合物としては、特許文献3〜6等に記載がある。特許文献4及び5にはトリスアゾ化合物も開示されているが、これらのトリスアゾ化合物は、アゾ構造を含む連結基の両端に対して2つのベンズイミダゾロピリドン骨格をさらにアゾ構造で結合させた対称構造のものであり、本発明の非対称型トリスアゾ化合物に類似するものは開示されていない。また、水溶性の化合物は少なく、インクジェットインク用黒色化合物としての使用例はない。
黒色染料に黄〜橙色染料を更に配合した黒色インクとしては例えば特許文献7〜11のもの等が提案されているが、印字品質や耐オゾン性、耐光性という点で市場の要求を充分に満たす製品を提供するには至っていない。
特許文献12には本発明で使用する色素化合物の一つである、下記式(5)で表される化合物が開示されている。
また、耐オゾン性、耐光性等を改善したインク組成物として、黒色染料2種と黄色〜橙色染料を含有する黒色インクが特許文献13で提案されているが、黒色としての色相や色濃度には優れるものの堅牢性(耐オゾン性、耐光性)に関しては近年の市場要求を十分に満たすまでには至っていない。
I−
特開2003−183545号 特開2003−201412号 特表2006−509068号 ドイツ国公開特許2004488号 ドイツ国公開特許2023295号 特開平05−134435号 特公平7−122044号 特許第3178200号 特開平9−255906号 特開2003−286421号 特開2003−286422号 WO2006/001274号国際公開パンフレット 特開2005−68416号
本発明は、水を主要成分とする媒体に対する溶解性が高く、高濃度水溶液及びインクを長期間保存した場合でも安定であり、印字された画像の濃度が非常に高く、写真画質インクジェット専用紙に高濃度溶液を印字した場合でもその画像にブロンジングを起こさず、印字された画像の堅牢性、特に耐光性と耐オゾンガス性が共に優れた黒色の記録画像を与え、また、合成が容易でありかつ安価である黒色インク用色素化合物とそのインク組成物を提供する事を目的とする。
また、更に本発明では、調色用の染料として、(b)350nmから550nmの範囲に最大吸収波長を有する染料及び(c)560nmから660nmの範囲に最大吸収波長を有する染料を加えて、より色味のないニュートラルなグレーないし黒色染料組成物を提供することを目的とすると共に、上記(b)の染料及び(c)の染料の選択により、溶液状態で長期間保存した場合でも安定であり、インクジェットプリントにより得られる記録画像が色味のないニュートラルなグレー〜黒色を呈し、また該記録画像の濃度が高く、メディア毎の色相に変化が無く、更に印字された画像の堅牢性、特に耐光性と耐オゾンガス性が共に優れた黒色の記録画像を与える黒色インク組成物を提供する事を目的とする。
本発明者らは前記したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のトリスアゾ化合物が前記課題を解決するものであることを見出すと共に、該トリスアゾ化合物に、調色用の染料として、(b)350nmから550nmの範囲に最大吸収波長を有する染料及び(c)560nmから660nmの範囲に最大吸収波長を有する染料を加えて三者を含む染料組成物とすることにより、色味のないニュートラルなグレーないし黒色を呈する染料組成物が得られること、更に該(b)及び(c)の染料として特定の染料を選択することにより、該染料組成物の溶液状態での保存安定性もよく、インクジェットプリントされた記録画像の耐光性と耐オゾンガス性が共に優れ、インクジェットプリントに適した水性黒色インク組成物となることを見いだし、本発明に至ったものである。
なお、本明細書において、化学式は何れも遊離酸の形で表すが、その塩、及び互変異性体等がある場合は該互変異性体等も本発明に含むものである。
即ち本発明は、
(1)遊離酸の形で下記式(1)で表されるトリスアゾ化合物又はその塩
Figure 0005144278
式(1)
(式中、基Aは置換フェニル基であり、カルボキシル基、スルホ基、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、スルファモイル基、(C1〜C4)アルキル基、(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基またはカルボキシル基で置換されていても良い)および(C1〜C4)アルキルスルホニル基(ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシル基で置換されていても良い)よりなる群から選択される置換基を有し、
B及びCは置換パラフェニレン基であり、カルボキシル基、スルホ基、(C1〜C4)アルキル基及び(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基またはカルボキシル基で置換されていても良い)よりなる群から選択される置換基を有し、
はカルボキシル基で置換されていても良い(C1〜C4)アルキル基、スルホ基で置換されていても良いフェニル基、またはカルボキシル基を表し、
はシアノ基、カルバモイル基またはカルボキシル基を表し、
およびRはそれぞれ独立して水素原子、メチル基、塩素原子またはスルホ基をそれぞれ表す)、
(2)基Aの置換基がスルホ基またはカルボキシル基であり、基Bおよび基C上の置換基の少なくともひとつがスルホ基またはスルホプロポキシ基である 上記(1)に記載のトリスアゾ化合物又はその塩、
(3)式(1)の基Bおよび基Cが下記式(2)
Figure 0005144278
式(2)
(式中、Rはスルホ基またはスルホプロポキシ基を、Rは水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基またはエトキシ基をそれぞれ表す。)で表される基である上記(1)に記載のトリスアゾ化合物又はその塩、
(4)式(1)の、Rがメチル基、Rがシアノ基またはカルバモイル基、Rが水素原子、Rがスルホ基である上記(3)に記載のトリスアゾ化合物またはその塩、
(5)式(1)における、基Aの置換基がスルホ基またはカルボキシル基、Rがメチル基、Rがシアノ基またはカルバモイル基、Rが水素原子、Rがスルホ基、基Bおよび基Cは上記式(2)で表され、Rがスルホ基またはスルホプロポキシ基、Rが水素原子またはメチル基である上記(3)に記載のトリスアゾ化合物またはその塩、
(6)式(1)における、基Aの置換基がスルホ基でその置換位置がアゾ基に対してパラ位、Rがメチル基、Rがシアノ基またはカルバモイル基、Rが水素原子、Rがスルホ基、基B及び基Cは上記式(2)で表され、基BにおけるRがスルホ基、Rが水素原子であり、基CにおけるRがスルホプロポキシ基、Rがメチル基である上記(3)に記載のトリスアゾ化合物またはその塩、
(7)上記(1)から(6)のいずれか一項に記載のトリスアゾ化合物を少なくとも1種含むことを特徴とするインク組成物、
(8)上記(7)に記載のインク組成物を用いることを特徴とするインクジェットプリント記録方法、
(9)インクジェットプリント記録方法における被記録材が情報伝達用シートである上記(8)に記載のインクジェットプリント記録方法
(10)情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するものである上記(9)に記載のインクジェットプリント記録方法、
(11)上記(10)に記載のインク組成物を含む容器を装填したインクジェットプリンタ、
(12)上記(1)から(6)のいずれか一項に記載のトリスアゾ化合物又は上記(7)に記載のインク組成物によって着色された着色体、
(13)式(1)における、基Bおよび基Cの少なくとも何れか一方がスルホ(C1〜C4)アルコキシ基で置換されたパラフェニレン基(該フェニレン基は更にC1〜C4)アルキル基で置換されていてもよい)である上記(1)に記載のトリスアゾ化合物、
(14)式(1)における、基Bおよび基Cの少なくとも何れか一方が2−スルホ(C1〜C4)アルコキシ−5−(C1〜C4)アルキル−1,4−フェニレン基である上記(13)に記載のトリスアゾ化合物、
(15)式(1)における、基Aが、一つの置換基として、スルホ基、スルホ(C1〜C4)アルコキシ基またはスルホ(C1〜C4)アルキルスルホニル基を有し、更にスルホ基、カルボキシル基、(C1〜C4)アルコキシ基またはニトロ基で置換されていてもよいフェニル基、またはジカルボキシル置換フェニル基である上記(1)〜(6)または(13)〜(14)に記載のトリスアゾ化合物、
(16)式(1)における、Rがカルボキシル基で置換されていても良い(C1〜C4)アルキル基またはフェニル基、Rはシアノ基、カルバモイル基またはカルボキシル基、RおよびRは一方が水素原子、他方がスルホ基である上記(15)に記載のトリスアゾ化合物。
(17)式(1)における、基Aが4−スルホフェニル基、2−カルボキシル−4−スルホフェニル基、2,4−または2,5−ジスルホフェニル基、4−スルホ(C1〜C4)アルコキシフェニル基、2−スルホ−4−(ニトロまたは(C1〜C4)アルコキシ)フェニル基または3,5−ジカルボキシフェニル基である上記(1)または(13)に記載のトリスアゾ化合物。
(18)式(1)における基Bおよび基Cの両者が2−スルホ(C1〜C4)アルコキシ−5−(C1〜C4)アルキル−1,4−フェニレン基、Rがカルボキシル基で置換されていても良い(C1〜C4)アルキル基、Rはシアノ基、RおよびRは一方が水素原子、他方がスルホ基である上記(17)に記載のトリスアゾ化合物、
(19)(a)上記(1)〜(18)に記載のトリスアゾ化合物、(b)350nmから550nmの範囲に最大吸収波長を有する染料及び(c)560nmから660nmの範囲に最大吸収波長を有する染料の三者を含む上記(7)に記載の水性黒色インク組成物、
(20)上記(b)350nmから550nmの範囲に最大吸収波長を有する染料及び上記(c)560nmから660nmの範囲に最大吸収波長を有する染料がそれぞれ下記式(5)及び式(I−2)で表される化合物又はその塩である上記(19)に記載の水性黒色インク組成物、
式(5):
Figure 0005144278
(式中、R31は水素原子;ヒドロキシ基;カルボキシ基;ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシ基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルアミノ基;カルボキシ(C1〜C5)アルキルアミノ基;ビス[カルボキシ(C1〜C5)アルキル]アミノ基;ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルカノイルアミノ基;カルボキシ基、スルホン酸基、アミノ基で置換されていても良いフェニルアミノ基;スルホ基;ハロゲン原子又はウレイド基を、基A''は置換アルキルアミノ基(該アルキル基上の置換基はカルボキシ基またはスルホ基)を、それぞれ示す。)、
式(I−2):
Figure 0005144278
(式中、R21及びR22はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基、N−アルキルアミノスルホニル基、N−フェニルアミノスルホニル基、ヒドロキシ基で置換されても良い(C1〜C4)アルキルスルホニル基、ホスホノ基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシ基及び(C1〜C4)アルコキシ基よりなる群から選択される基で置換されていても良い)、(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基及びカルボキシル基よりなる群から選択される基で置換されていても良い)、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又はフェニルスルホニルアミノ基(フェニル基はハロゲン原子、アルキル基及びニトロ基よりなる群から選択される基で置換されていても良い)を、
23、R24、R25、R26、R27、R28、R29およびR20はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基、N−アルキルアミノスルホニル基、N−フェニルアミノスルホニル基、ヒドロキシ基で置換されても良い(C1〜C4)アルキルスルホニル基、ホスホノ基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換されていても良い)、(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基又はカルボキシル基で置換されていても良い)、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又はフェニルスルホニルアミノ基(フェニル基はハロゲン原子、アルキル基又はニトロ基で置換されていても良い)を、
nは0又は1を、それぞれ表す)、
(21)上記(b)350nmから550nmの範囲に最大吸収波長を有する染料及び上記(c)560nmから660nmの範囲に最大吸収波長を有する染料がそれぞれ、上記(20)に記載の式(5)で表される化合物またはその塩、および式(II−2)で表される化合物又はその塩である上記(19)に記載の水性黒色インク組成物、
Figure 0005144278
式(II−2):
{式中、R121及びR122はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基、スルホ基、スルファモイル基、N−アルキルアミノスルホニル基、N−フェニルアミノスルホニル基、ヒドロキシ基で置換されても良い(C1〜C4)アルキルスルホニル基、ホスホノ基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換されていても良い)、(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基又はカルボキシ基で置換されていても良い)、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又はフェニルスルホニルアミノ基(フェニル基はハロゲン原子、アルキル基又はニトロ基で置換されていても良い)、
mは0又は1、
nは0又は1、
Xはスルホ基を表し、
基B’は下記式(II−3)又は(II−4)
Figure 0005144278
(式中、R123、R124、R125、R126、R127及びR128はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、スルホ基、スルファモイル基、N−アルキルアミノスルホニル基、N−フェニルアミノスルホニル基、ヒドロキシ基で置換されても良い(C1〜C4)アルキルスルホニル基、ホスホノ基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換されていても良い)、(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基又はカルボキシ基よりなる群から選択される基で置換されていても良い)、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又はフェニルスルホニルアミノ基(フェニル基はハロゲン原子、アルキル基又はニトロ基よりなる群から選択される基で置換されていても良い)を表す)、
基C’は置換フェニル基又は置換ナフチル基であり、該フェニル基又はナフチル基はヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基、スルホ基、スルファモイル基、N−アルキルアミノスルホニル基、N−フェニルアミノスルホニル基、ヒドロキシ基で置換されても良い(C1〜C4)アルキルスルホニル基、ホスホノ基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換されていても良い)、(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基およびカルボキシ基よりなる群から選択される基で置換されていても良い)、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基及びフェニルスルホニルアミノ基(フェニル基はハロゲン原子、アルキル基又はニトロ基よりなる群から選択される基で置換されていても良い)よりなる群から選択される基を置換基として有する)、
をそれぞれ表す}、
に関する。
また、本発明は更に次の発明をも含むものである。
(22)式(1)における基Aの置換基がスルホ基またはカルボキシ基であり、基B及び基C上の置換基の少なくともひとつがスルホ基またはスルホプロポキシ基である上記(20)に記載の水性黒色インク組成物、
(23)式(I-2)のR21がスルホ基またはカルボキシル基であり、R21の置換位置がアゾ基に対しオルト位の場合、ニトロ基の置換位置がアゾ基に対しパラ位であり、R22の置換位置がアゾ基に対しパラ位の場合、ニトロ基の置換位置がアゾ基に対しオルト位であり、R22が水素原子である上記(20)または(22)に記載の水性黒色インク組成物、
(24)上記式(5)の化合物が下記式(I-8)
Figure 0005144278
(式中、基A''は式(5)におけるのと同様の意味を表す)
で表されるアゾ化合物またはその塩である上記(20)、(22)〜(23)に記載の水性黒色インク組成物、
(25)式(1)の基Aがスルホ基、カルボキシ基、ニトロ基およびスルホプロポキシスルホニル基からなる群から選択される1種または2種の置換基を1〜2個有する置換フェニル基であり、基Bがスルホ基、メチル基およびスルホプロポキシ基からなる群から選択される1種または2種の置換基を1〜2個有する置換パラフェニレン基であり、基Cがメチル基、スルホプロポキシ基、カルボキシメトキシ基、スルホエトキシ基およびヒドロキシエトキシ基からなる群から選択される1種または2種の置換基を2個有する置換パラフェニレン基であり、Rがメチル基、n−プロピル基、フェニル基、カルボキシメチル基およびt−ブチル基から選択される基であり、Rがシアノ基、カルバモイル基およびカルボキシル基から選択される基であり、RおよびRの一方が水素原子、他方がスルホ基である上記(20)〜(24)に記載の水性黒色インク組成物、
(26)式(I−2)で表される化合物のR21がスルホ基で置換位置がアゾ基に対しオルト位、ニトロ基の置換位置がアゾ基に対しパラ位、R22が水素原子、R23及びR25がスルホ置換(C1〜C4)アルコキシ基、R24及びR26が(C1〜C4)アルキル基、R27が水素原子、R28及びR29がスルホ基、R20がヒドロキシ基で置換位置がアゾ基に対してペリ位、nが1である上記(20)、(22)〜(25)に記載の水性黒色インク組成物、
(27)式(5)の基A’’が、スルホエチルアミノ基、ジ(カルボキシエチル)アミノ基、カルボキシエチルアミノ基、カルボキシペンチルアミノ基、スルホメチルアミノ基、ジ(スルホメチル)アミノ基、ジ(スルホエチル)アミノ基、カルボキシメチルアミノ基、ジ(カルボキシメチル)アミノ基、スルホプロピルアミノ基またはジ(スルホプロピル)アミノ基から選択される基である上記(20)〜(26)に記載の水性黒色インク組成物、
(28)少なくとも、式(1)で表される化合物またはその塩、式(5)で表される化合物またはその塩、及び式(I-2)で表される化合物またはその塩とを含有し、
式(1)における基Aが、基Bと結合するアゾ基を1位とした場合に4−スルホフェニル基、2−カルボキシ−4−スルホフェニル基、2−スルホ−4−ニトロフェニル基、4−スルホプロピルスルホニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、2,5−ジスルホフェニル基、2,4−ジスルホフェニル基、4−スルホプロポキシ基および2−スルホ−4−メトキシフェニル基から選択される基であり、基Bが、基Cと結合するアゾ基を1位とした場合に2−スルホ−1,4−フェニレン基または2−スルホプロポキシ−5−メチル−1,4−フェニレン基であり、基Cが、基Bとは結合しないアゾ基を1位とした場合に2−スルホプロポキシ−5−メチル−1,4−フェニレン基または2,5−ジ−ヒドロキシエトキシ−1,4−フェニレン基であり、Rがメチル基、n−プロピル基、カルボキシメチル基、フェニル基およびt−ブチル基から選択される基であり、Rがシアノ基、カルバモイル基およびカルボキシ基から選択される基であり、Rが水素原子、Rがスルホ基であり、
式(5)におけるR31がメチル基であり、基A’’がスルホエチルアミノ基、ジ(カルボキシエチル)アミノ基、カルボキシエチルアミノ基、カルボキシペンチルアミノ基、スルホメチルアミノ基、ジ(スルホメチル)アミノ基、ジ(スルホエチル)アミノ基、カルボキシメチルアミノ基、ジ(カルボキシメチル)アミノ基、スルホプロピルアミノ基またはジ(スルホプロピル)アミノ基から選択される基であり、
式(I−2)におけるR21がスルホ基、カルボキシ基およびシアノ基から選択される基であり、その置換位置がアゾ基に対してオルト位の場合はニトロ基がパラ位、パラ位の場合にはニトロ基がオルト位であり、R22が水素原子であり、R23およびR24については、置換ナフタレンと結合するアゾ基を1位とした場合に、R23が2位の−3−スルホプロポキシ基であり、R24が5位のメチル基であり、R25およびR26については、置換ナフタレンと結合するアゾ基を1位とした場合に、R25が3位の3−スルホプロポキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基およびカルボキシメトキシ基から選択される基であり、R26が6位の水素原子、メチル基または2−ヒドロキシエトキシ基であり、R20、R27〜R29については、R27が水素原子であり、R28及びR29がスルホ基であり、R20がスルホ基またはヒドロキシ基であり、nが1である、
上記(20)に記載の水性黒色インク組成物
(29)少なくとも、式(1)で表される化合物またはその塩、式(5)で表される化合物またはその塩、及び式(I-2)で表される化合物またはその塩とを含有し、
式(1)における基Aが、基Bと結合するアゾ基を1位とした場合に4−スルホフェニル基、2−カルボキシ−4−スルホフェニル基、2−スルホ−4−ニトロフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、2,5−ジスルホフェニル基、2,4−ジスルホフェニル基、4−スルホプロポキシ基および2−スルホ−4−メトキシフェニル基から選択される基であり、基Bが、基Cと結合するアゾ基を1位とした場合に2−スルホ−1,4−フェニレン基または2−スルホプロポキシ−5−メチル−1,4−フェニレン基であり、基Cが、基Bとは結合しないアゾ基を1位とした場合に2−スルホプロポキシ−5−メチル−1,4−フェニレン基であり、Rがメチル基、n−プロピル基およびフェニル基から選択される基であり、Rがシアノ基またはカルバモイル基であり、Rが水素原子、Rがスルホ基であり、
式(5)におけるR31がメチル基であり、基A’’がスルホエチルアミノ基またはジ(カルボキシメチル)アミノ基であり、
式(I−2)におけるR21がスルホ基であり、その置換位置がアゾ基に対してオルト位の場合はニトロ基がパラ位、パラ位の場合にはニトロ基がオルト位であり、R22が水素原子であり、R23およびR24については、置換ナフタレンと結合するアゾ基を1位とした場合に、R23が2位の3−スルホプロポキシ基であり、R24が5位のメチル基であり、R25およびR26については、置換ナフタレンと結合するアゾ基を1位とした場合に、R25が3位の3−スルホプロポキシ基であり、R26が6位のメチル基であり、R27〜R29およびR20については、アゾ基を1位とした場合に、R27が水素原子であり、R28が3位または4位のスルホ基であり、R29が6位のスルホ基であり、R20が8位のヒドロキシ基であり、nが1である、
上記(20)に記載の水性黒色インク組成物、
(30)上記(20)、(22)〜(29)のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物を用いるインクジェット記録方法、
(31)インクジェットプリント記録方法における被記録材が情報伝達用シートである上記(30)に記載のインクジェット記録方法、
(32)情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するものである上記(31)に記載のインクジェット記録方法、
(33)上記(20)、(22)〜(29)のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物を含む容器を装填したインクジェットプリンタ、
(34)上記(20)、(22)〜(29)のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物で着色された着色体、
(35)上記式(1)および式(II−2)の化合物、および350nmから550nmの範囲に最大吸収波長を有する染料を含有する上記(21)に記載の水性黒色インク組成物、
(36)上記式(1)における基Aの置換基がスルホ基またはカルボキシ基であり、基B及び基Cの置換基の少なくともひとつがスルホ基またはスルホプロポキシ基である上記(21)または上記(35)に記載の水性黒色インク組成物、
(37)上記式(II−2)の結合aの結合位置が2位又は3位であり、結合aの結合位置が2位の場合、Xの置換位置は3位であり、結合aの結合位置が3位の場合、Xの置換位置は4位である上記(21)、(35)及び(36)のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物、
(38)350nmから550nmの範囲に最大吸収波長を有する染料として、少なくとも遊離酸の形で前記式(5)で表されるアゾ染料またはその塩を含有する上記(21)、(35)〜(37)のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物、
(39)350nmから550nmの範囲に最大吸収波長を有する染料として、遊離酸の形で後記式(II-6)の4,4'−ジニトロスチルベン−2,2'−ジスルホン酸と後記式(II-7)で表される化合物との縮合染料(BB)および(BB)の還元によって得られる染料(CC)を含有する上記(21)、(35)〜(37)のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物、
(40)上記式(5)の化合物が上記式(I-8)で表されるアゾ化合物またはその塩である上記(21)、(35)〜(38)に記載の水性黒色インク組成物、
(41)350nmから550nmの範囲に最大吸収波長を有する染料が、上記式(5)で表されるアゾ化合物またはその塩の少なくとも1種と、後記(BB)または(CC)で表される染料の少なくとも1種との混合物である上記(21)、(35)〜(40)のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物、
(42)350nmから550nmの範囲に最大吸収波長を有する染料が、C.I.ダイレクトイエロー132またはC.I.ダイレクトイエロー86である上記(21)又は(35)に記載の水性黒色インク組成物、
(43)式(1)で表される化合物の基Aがスルホ基、カルボキシ基、ニトロ基およびスルホプロポキシスルホニル基からなる群から選択される1種または2種の置換基を1〜2個有する置換フェニル基であり、基Bがスルホ基、メチル基およびスルホプロポキシ基からなる群から選択される1種または2種の置換基を1〜2個有する置換パラフェニレン基であり、基Cがメチル基、スルホプロポキシ基、カルボキシメトキシ基、スルホエトキシ基およびヒドロキシエトキシ基からなる群から選択される1種または2種の置換基を2個有する置換パラフェニレン基であり、Rがメチル基、n−プロピル基、フェニル基、カルボキシメチル基およびt−ブチル基から選択される基であり、Rがシアノ基、カルバモイル基およびカルボキシル基から選択される基であり、RおよびRの一方が水素原子、他方がスルホ基である上記(21)又は(35)に記載の水性黒色インク組成物、
(44)式(II-2)で表される化合物のR121がアゾ基に対してオルト位に置換したスルホ基またはメトキシ基であり、ニトロ基の置換位置がアゾ基に対してパラ位であり、R122が水素原子またはR121に対してパラ位に置換したスルホ基であるか、またはR121がアゾ基に対してパラ位に置換したスルホ基であり、ニトロ基の置換位置がアゾ基に対してオルト位であり、R122が水素原子であり、mが1であり、nが0または1であり、結合aの置換位置が3位の場合にXが4位のスルホ基であり、結合aの置換位置が2位の場合にXが3位のスルホ基であり、基B’が式(II−3)で示される場合にR123が基C’の結合するアゾ基に対してメタ位のスルホ基、スルホプロポキシ基およびカルボキシメトキシ基から選択される基であり、R124が水素原子であり、R125がR123に対してパラ位に置換した水素原子またはメチル基であり、基B’が式(II−4)で示される場合にR126およびR127が水素原子であり、R128が基C’の結合するアゾ基を1位として6位または7位に置換したスルホ基であり、基C’が4−ヒドロキシエチルスルホフェニル、4−スルホフェニル、2−カルボキシ−4−スルホフェニル、4−メトキシ−3−スルホフェニル、4−スルホナフチル−1−イル、4,8−ジスルホナフチル−2−イル、8−ヒドロキシ−3,6−ジスルホナフチル−1−イル、6−ニトロ−4,8−ジスルホナフチル−2−イルから選択される基である上記(21)又は(35)に記載の水性黒色インク組成物
(45)式(5)で表される化合物の基A’’が、スルホエチルアミノ基、ジ(カルボキシエチル)アミノ基、カルボキシエチルアミノ基、カルボキシペンチルアミノ基、スルホメチルアミノ基、ジ(スルホメチル)アミノ基、ジ(スルホエチル)アミノ基、カルボキシメチルアミノ基、ジ(カルボキシメチル)アミノ基、スルホプロピルアミノ基、ジ(スルホプロピル)アミノ基から選択される基である上記(38)に記載の水性黒色インク組成物
(46)式(II-7)で表される化合物のR41およびR42がそれぞれ独立に水素原子、メチル基およびメトキシ基から選択される基であり、R43〜R45がそれぞれ独立に水素原子、カルボキシ基、スルホ基、メトキシ基およびヒドロキシ基から選択される基である上記(39)に記載の水性黒色インク組成物、
(47)上記(19)、(21)、(35)〜(46)のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物を用いるインクジェット記録方法
(48)インクジェットプリント記録方法における被記録材が情報伝達用シートである上記(47)に記載のインクジェット記録方法
(49)情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するものである上記(48)に記載のインクジェット記録方法
(50)上記(19)、(21)、(35)〜(46)のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器を装填したインクジェットプリンタ
(51)上記(21)、(35)〜(46)のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物で着色された着色体、
(52)(b)350nmから550nmの範囲に最大吸収波長を有する染料がそれぞれ前記式(5)で表される化合物である上記(19)に記載の水性黒色インク組成物、
(53)式(1)における基Aが2,4−ジスルホフェニル基、基Bおよび基Cの両者が2−(3−スルホプロポキシ)−5−メチル−1,4−フェニレン基、Rがメチル基、Rがシアノ基、RおよびRは一方が水素原子、他方がスルホ基である上記(1)に記載のトリスアゾ化合物、
(54)(b)350nmから550nmの範囲に最大吸収波長を有する染料が前記式(5)である上記(19)または(53)に記載の水性黒色インク組成物、
(55)(c)560nmから660nmの範囲に最大吸収波長を有する染料が前記式(I−2)で表される化合物又はその塩である請求項19に記載の水性黒色インク組成物、
に関するものである。
本発明の式(1)のトリスアゾ化合物およびその互変異性体、またはそれらの塩(以下これらを纏めて単にトリスアゾ化合物という)は水溶解性に優れるので、インク組成物製造過程でのメンブランフィルターによるろ過性が良好であり、記録液の保存時の安定性や吐出安定性にも優れている。又、このトリスアゾ化合物を含有する本発明のインク組成物は長期間保存後の結晶析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。又、本発明のトリスアゾ化合物を含有するインク組成物は、インクジェット記録用、筆記用具用として好適に用いられ、普通紙及びインクジェット専用紙に記録した場合の記録画像の印字濃度が非常に高く、高濃度溶液を印字した場合でもその画像にブロンジングを起こさず、さらに各種堅牢性、特に耐光性と耐オゾンガス性が共に優れている。マゼンタ、シアン及びイエロー染料を用いたインク組成物と共に用いることで各種堅牢性に優れ、保存性の優れたフルカラーのインクジェット記録が可能である。このように本発明のインク組成物はインクジェット記録用黒色インクとして極めて有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、「アルキル」、「アルコキシ」、「アシル」等の語は、特に断らない場合は、通常炭素数1〜20程度のものを意味し、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4のものを意味する。
本発明においては互変異性体があるときはそれも含むものであり、例えば式(1)で表されるトリスアゾ化合物は、下記式(3)および(4)で表される互変異性体が考えられ、これらの化合物も本発明に含まれる。
Figure 0005144278
(式中、基A、基B、基CおよびR〜Rは式(1)におけるものと同じ意味を有する。)
Figure 0005144278
(式中、基A、基B、基CおよびR〜Rは式(1)におけるものと同じ意味を有する。)
式(1)における基A、基B、基Cの置換基において、(C1〜C4)アルキル基の例としては例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等が挙げられる。
基B及び基C上の(C1〜C4)アルキル基としては、メチルまたはエチルが好ましく、メチルがより好ましい。
式(1)におけるRにおいて、カルボキシル基で置換されていても良い(C1〜C4)アルキル基の例としては例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル等が挙げられる。好ましいものはメチルまたはエチルであり、より好ましいものはメチルである。
式(1)における基A、基B、基Cの置換基において、ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシル基、スルホ基またはカルボキシル基で置換されていても良い(C1〜C4)アルコキシ基の例としては例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、n−プロポキシエトキシ、イソプロポキシエトキシ、n−ブトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシプロポキシ、n−プロポキシプロポキシ、イソプロポキシブトキシ、n−プロポキシブトキシ、2−ヒドロキシエトキシエトキシ、カルボキシメトキシ、2−カルボキシエトキシ、3−カルボキシプロポキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ等が挙げられる。
式(1)における基Aの置換基において、ヒドロキシ基、スルホ基およびカルボキシル基で置換されていても良い(C1〜C4)アルキルスルホニル基の例としては例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ヒドロキシエチルスルホニル、2−ヒドロキシプロピルスルホニル、2−スルホエチルスルホニル、3−スルホプロピルスルホニル、2−カルボキシエチルスルホニル、3−カルボキシプロピルスルホニル等が挙げられる。
式(1)におけるRにおいて、スルホ基で置換されていても良いフェニル基の例としては例えば、フェニル、3−スルホフェニル、4−スルホフェニル、2,4−ジスルホフェニル、3,5−ジスルホフェニル等が挙げられる。
式(1)における好ましい基Aの置換基としては、シアノ、カルボキシル、スルホ、スルファモイル、(C1〜C4)アルキルスルホニル(例えばメチルスルホニル)、ヒドロキシ(C1〜C4)アルキルスルホニル(例えば2−ヒドロキシエチルスルホニル)、スルホ(C1〜C4)アルキルスルホニル(例えば3−スルホプロピルスルホニル)、ニトロ、(C1〜C4)アルキル(例えばメチル、エチル)、(C1〜C4)アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ)、ヒドロキシ(C1〜C4)アルコキシ(例えば2−ヒドロキシエトキシ)、スルホ(C1〜C4)アルコキシ(例えば2−スルホエトキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ)、カルボキシ(C1〜C4)アルコキシ(例えばカルボキシメトキシ、2−カルボキシエトキシ)である。より好ましくは、シアノ、カルボキシル、スルホ、スルファモイル、(C1〜C4)アルキルスルホニル(例えばメチルスルホニル)、ヒドロキシ(C1〜C4)アルキルスルホニル(例えば2−ヒドロキシエチルスルホニル)、スルホ(C1〜C4)アルキルスルホニル(例えば3−スルホプロピルスルホニル)、ニトロ、または/及び(C1〜C4)アルコキシである。また、場合により、カルボキシル、スルホ、スルホ(C1〜C4)アルキルスルホニル、ニトロ、(C1〜C4)アルコキシまたは/及びスルホ(C1〜C4)アルコキシがより好ましい。さらに好ましくは、カルボキシル、スルホ、(C1〜C4)アルコキシまたは/及びスルホ(C1〜C4)アルコキシである。最も好ましいものはカルボキシルまたは/およびスルホである。これらの置換基は一つでも複数であってもよく、また、複数の場合、同じであっても異なっていてもよい。好ましい置換基数は1または2であり、一つの場合は置換位置はアゾ基に対して、パラ位であり、2つの場合はオルト位及びパラ位、または2つがメタ位の場合である。好ましい基Aとして、例えば、4−スルホフェニル、2−カルボキシル−4−スルホフェニル、2,4−または2,5−ジスルホフェニル、4−スルホ(C1〜C4)アルコキシフェニル、2−スルホ−4−(ニトロまたは(C1〜C4)アルコキシ)フェニルまたは3,5−ジカルボキシフェニルを挙げることが出来る(アゾ基の結合位置を1とする)。
式(1)においてパラフェニレン基である基Bおよび基Cの好ましい置換基としては、カルボキシル、スルホ、(C1〜C4)アルキル(例えばメチル、エチル)、(C1〜C4)アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ)、ヒドロキシ(C1〜C4)アルコキシ(例えば2−ヒドロキシエトキシ)、スルホ(C1〜C4)アルコキシ(例えば2−スルホエトキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ)、カルボキシ(C1〜C4)アルコキシ(例えばカルボキシメトキシ、2−カルボキシエトキシ)が挙げられる。より好ましくは、スルホ、メチル、メトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−スルホエトキシ、3−スルホプロポキシまたはカルボキシメトキシが挙げられる。さらに好ましくは、スルホ、メチル、メトキシまたは3−スルホプロポキシである。基Bおよび基Cはこれらの置換基を1〜3個、好ましくは1〜2個有する。好ましい基Bおよび基Cとしては前記式(2)で表される場合が挙げられる。置換基であるRとRの好ましい組み合わせとしては、RがスルホでRが水素原子、またはRが3−スルホプロポキシでRがメチルである。
なお、基Bおよび基Cは同一でも異なっても良い。
式(1)における好ましいRは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、カルボキシメチル、フェニル、4−スルホフェニル、カルボキシルであり、より好ましくは、メチル、n−プロピル、カルボキシメチル、4−スルホフェニルであり、さらに好ましくは、メチル、n−プロピルである。
式(1)における好ましいRとRの組み合わせは、RがメチルでRがシアノ、またはRがメチルでRがカルバモイル基である。
式(1)におけるより好ましいRおよびRは、水素原子、メチル、スルホであり、好ましいRとRの組み合わせは、片方が水素原子で、他方がスルホの場合である。
前記式(1)で示されるトリスアゾ化合物の塩は、無機又は有機の陽イオンとの塩である。そのうち無機塩の具体例としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩が挙げられる。好ましい無機塩は、リチウム、ナトリウム、カリウムの塩およびアンモニウム塩である。また、上記の有機の陽イオンとしては例えば下記式(I−11)で示される4級アンモニウムイオンがあげられるがこれに限定されるものではない。また遊離酸、その互変異性体、およびそれらの各種の塩が混合物であってもよい。例えばナトリウム塩とアンモニウム塩の混合物、遊離酸とナトリウム塩の混合物、リチウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩の混合物など、いずれの組み合わせを用いても良い。塩の種類によって溶解性などの物性値が異なる場合も有り、必要に応じて適宜塩の種類を選択したり、複数の塩などを含む場合にはその比率を変化させることにより目的に適う物性を有する混合物を得ることもできる。
Figure 0005144278
式(I−11)においてZ、Z、Z、Zは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基およびヒドロキシアルコキシアルキル基よりなる群から選択される基を表す。
式(I−11)におけるZ、Z、Z、Zのアルキル基の具体例としてはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどが挙げられ、ヒドロキシアルキル基の具体例としてはヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ(C1〜C4)アルキル基が挙げられ、ヒドロキシアルコキシアルキル基の例としては、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等のヒドロキシ(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルキル基が挙げられ、これらのうちヒドロキシエトキシ(C1〜C4)アルキル基が好ましい。特に好ましいものとしては水素原子;メチル;ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシ(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等のヒドロキシエトキシ(C1〜C4)アルキル基が挙げられる。
式(I−11)のZ、Z、Z、Zの具体例を表1に示す。
Figure 0005144278
式(1)で示される本発明のトリスアゾ化合物は、例えば次のような方法で合成することができる。また、各工程における化合物の構造式は遊離酸の形で表すものとする。
下記式(6)
A−NH(6)

(式中、基Aは式(1)におけるのと同じ意味を有する。)で表される化合物を常法によりジアゾ化し、これと下記式(7)
B−NH(7)

(式中、基Bは式(1)における基Bに対応するフェニル基を示す)で表される化合物を常法によりカップリング反応させ下記式(8)
A−N=N−B−NH(8)

(式中、基Aおよび基Bは式(1)におけるのと同じ意味を有する)で表される化合物を得る。得られた式(8)の化合物を常法によりジアゾ化した後、これと下記式(9)
C−NH(9)

(式中、基Cは式(1)における基Cに対応するフェニル基を示す)で表される化合物を常法によりカップリング反応させ下記式(10)
A−N=N−B−N=N−C−NH(10)
(式中、基A、基Bおよび基Cは式(1)におけるのと同じ意味を有する。)で表される化合物を得る。得られた式(10)の化合物を常法によりジアゾ化した後、これと下記式(11)
式(11)
Figure 0005144278
(式中、RからRは式(1)におけるのと同じ意味を有する。)で表される化合物を常法によりカップリング反応させる事により式(1)で表される本発明のトリスアゾ化合物を得ることができる。また、式(11)で表される化合物は、特許文献4に記載の方法に準じて合成することができる。
式(1)に示した本発明の化合物の好適な具体例として、特に限定されるものではないが、下記式で示される化合物が挙げられる。各表においてスルホ基及びカルボキシル基は遊離酸の形で表記するものとする。
Figure 0005144278
Figure 0005144278
上記の表2及び3以外に、上記式(1)で表される化合物の好適な具体例を下記表6及び7に挙げる。しかし本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005144278
Figure 0005144278
式(6)の化合物のジアゾ化はそれ自体公知の方法で実施される。たとえば無機酸媒質中、例えば−5〜30℃、好ましくは5〜15℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。式(6)の化合物のジアゾ化物と式(7)の化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体(水及び水可溶性若しくは混和性の有機溶媒との混合溶媒)中、例えば−5〜30℃、好ましくは0〜25℃の温度において、酸性から中性のpH値、たとえばpH1〜6で行うことが有利である。ジアゾ化反応液が酸性であるため、またカップリング反応の進行により反応系内は更に酸性化してしまうため、上記のpH値への調整を塩基の添加によって行うのが好ましい。塩基としては、たとえば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウム等の酢酸塩、アンモニア又は有機アミンなどが使用できる。式(6)の化合物と式(7)の化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
式(8)の化合物のジアゾ化はそれ自体公知の方法で実施される。たとえば無機酸媒質中、例えば−5〜40℃、好ましくは5〜30℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。式(8)の化合物のジアゾ化物と式(9)の化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜40℃、好ましくは10〜30℃の温度ならびに酸性から中性のpH値、たとえばpH2〜7で行うことが有利である。ジアゾ化反応液が酸性であるため、またカップリング反応の進行により反応系内は更に酸性化してしまうため、反応液の好ましいpH条件へのpH値の調整を塩基の添加によって行うのが好ましい。塩基としては、たとえば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウム等の酢酸塩、アンモニア又は有機アミンなどが使用できる。式(8)の化合物と式(9)の化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
式(10)の化合物のジアゾ化もそれ自体公知の方法で実施され、たとえば無機酸媒質中例えば−5〜40℃、好ましくは10〜30℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。式(10)の化合物のジアゾ化物と式(11)の化合物のカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜50℃、好ましくは10〜30℃の温度ならびに弱酸性からアルカリ性のpH値で行うことが有利である。好ましくは弱酸性から弱アルカリ性のpH値、たとえばpH6〜10で実施され、pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、たとえば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウム等の酢酸塩、あるいはアンモニア又は有機アミンなどが使用できる。式(10)と(11)の化合物は、ほぼ化学量論量で用いる。
本発明の式(1)で示されるトリスアゾ化合物を所望の塩とするには、カップリング反応後、所望の無機塩または有機の陽イオンの塩を反応液に添加することにより塩析するか、或いは鉱酸の添加により遊離酸の形で単離し、これを水、酸性化した水および水性有機媒体などを必要に応じ用いて洗浄することにより無機塩を除去後、水性の媒体中で所望の無機又は有機の塩基により中和することで対応する塩の溶液とすることが出来る。ここで酸性の水とは、例えば硫酸、塩酸などの鉱酸や酢酸などの有機酸を水に溶解し、酸性にしたものをいう。また水性有機媒体とは、水を含有する水と混和可能な有機物質および水と混和可能ないわゆる有機溶剤などをいい、具体例としては後述する水溶性有機溶剤などが挙げられるが、通常溶剤として分類されない有機物質であっても水と混和可能なものであれば必要に応じて使用することが可能である。無機塩の例としては塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等アルカリ金属塩、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム等のアンモニウム塩が挙げられ、有機の陽イオンの塩の例としては、前記した式(I−11)で表される4級アンモニウムのハロゲン塩等が挙げられる。無機の塩基の例としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられ、有機の塩基の例としては、有機アミン、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの前記した式(I−11)で表される4級アンモニウム類等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明のインク組成物について説明する。本発明の前記式(1)で表されるトリスアゾ化合物を含む水性組成物は、セルロースからなる材料を染色することが可能である。また、その他カルボンアミド結合を有する材料にも染色が可能で、皮革、織物、紙の染色に幅広く用いることができる。一方、本発明の化合物の代表的な使用法としては、該化合物を液体の媒体に溶解した染料組成物、特にインク組成物が挙げられる。
前記式(1)で示される本発明のトリスアゾ化合物を含む反応液、例えば後述する実施例1−1の(3)における反応液などは、インク組成物の製造に直接使用する事が出来る。しかし、まずこれを乾燥、例えばスプレー乾燥させて単離するか、または、該反応液に塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムまたは硫酸ナトリウム等の無機塩類を添加することによって塩析するか、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸を添加することによって酸析するか、あるいは前記した塩析と酸析を組み合わせた酸塩析することによって本発明のトリスアゾ化合物を取り出し、次にこれを用いてインク組成物を調製することもできる。
本発明のインク組成物は、本発明の式(1)で示されるトリスアゾ化合物を通常0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%含有し、残部は水または水性有機溶媒などの水を主要な媒体とする組成物である。本発明のインク組成物には、さらに水溶性有機溶剤を例えば0〜30質量%、インク調製剤を例えば0〜10%、好ましくは0〜7%、場合により0〜5質量%含有していても良い。また、所望により、調色用等の目的で他の染料を含んでもよい。なお、インク組成物のpHとしては、保存安定性を向上させる点で、pH5〜11が好ましく、pH7〜10がより好ましい。また、インク組成物の表面張力としては、25〜70mN/mが好ましく、25〜60mN/mがより好ましい。さらに、インク組成物の粘度としては、30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下がより好ましい。本発明のインク組成物のpH、表面張力は後記するようなpH調整剤、界面活性剤で適宜調整することが可能である。
本発明のインク組成物は、前記の式(1)で示されるトリスアゾ化合物を、必要に応じて他の調色用等の染料と共に、水又は水溶性有機溶剤(水と混和可能な有機溶剤)に溶解し、必要に応じインク調製剤を添加したものである。
好ましいインク組成物の一つは、(a)前記の式(1)で示されるトリスアゾ化合物と共に、調色用に、(b)350nmから550nmの範囲に最大吸収波長を有する染料(黄色から赤色または茶色の色相:以下ブラウン系染料とも言う)及び(c)560nmから660nmの範囲に最大吸収波長を有する染料(以下本明細書では便宜上青味系染料とも言う)の両者を含む水性黒色染料組成物が挙げられる。この場合、三者の染料の割合は使用染料により適宜調整して使用すればよいが、通常、三者の合計(質量)に対して、(a)前記の式(1)で示されるトリスアゾ化合物5〜85質量%(以下%は特に断らない限り同じ)、好ましくは5〜60%、(b)のブラウン系染料5〜85%、好ましくは5〜60質量%及び(c)の青味系染料10〜90%、好ましくは10〜80%の範囲内で、各染料が含まれ、合計が100%となるように調整される。より好ましい三者の割合は、三者の合計に対して、(a)前記の式(1)で示されるトリスアゾ化合物15〜70%、(b)のブラウン系染料10〜65%、及び(c)の青味系染料20〜75%程度である。
(b)の染料としては、350nmから550nmの範囲に最大吸収波長を有する染料であれば何れも使用しうる。この染料は、黄色から赤色または茶色の色相を有する。この染料の最大吸収波長の範囲は一般式(1)の化合物の最大吸収波長よりも短波長にあることが好ましい。ここで本発明に用いる一般式(1)の化合物の最大吸収波長の範囲はおおよそ530nmから570nmであるため、上記黄色から赤色または茶色の色相を有する染料のより好ましい最大吸収波長の範囲はおおよそ380nmから500nmである。
上記350nmから550nmの範囲に最大吸収波長(λmax)を有する染料としては、一般的なカラーインデックスナンバーが付与されている染料を用いることも可能であり、具体例としてはC.I.ダイレクトイエロー132(λmax約405nm)、C. I. ダイレクトイエロー86(λmax約370nm)などが挙げられる。
しかし、より好ましいものとしては下記(1)及び(2)において述べる化合物又はその塩を挙げることが出来る。
より好ましい化合物は下記(1)において述べる下記式(5)の化合物である。
なお、本明細書において、化学構造式は何れも遊離酸の形で表すが、何れもその塩であってもよいことを意味する。
(1)下記式(5)
Figure 0005144278
(式中、R31は水素原子;ヒドロキシ基;カルボキシ基;ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシ基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルアミノ基;カルボキシ(C1〜C5)アルキルアミノ基;ビス[カルボキシ(C1〜C5)アルキル]アミノ基;ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルカノイルアミノ基;カルボキシ基、スルホン酸基、アミノ基で置換されていても良いフェニルアミノ基;スルホ基;ハロゲン原子又はウレイド基を、基A''は置換アルキルアミノ基(該アルキル基上の置換基はカルボキシ基またはスルホ基)を、それぞれ示す。)
で表される化合物又はその塩、又は
(2)下記式(II−6)の4,4'−ジニトロスチルベン−2,2'−ジスルホン酸とアミノベンゼン類、好ましくは、下記(II−7)で表されるモノアゾ化合物との縮合染料(BB)および(BB)の還元によって得られる染料(CC)を挙げることがことが出来る。
式(II−6)の化合物
Figure 0005144278
式(II−7)の化合物
Figure 0005144278
((式中、R41からR45はそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;(C1〜C4)アルキル基;(C1〜C4)アルコキシ基を示す)
上記縮合染料(BB)の具体例としてはC.I.ダイレクトオレンジ62(λmax約494nm)などがあげられる。また、染料BBおよびCCに相当する染料の合成は後記の合成例II-13〜II−15に記載した。これらのうち1種類か数種類を併用して使用しても良い。ただし、これらに限定されるものではない。
(b)の染料としてより好ましい染料は上記式(5)の化合物又はその塩である。式(5)の化合物として最も好ましい化合物は下記式(I−8)
Figure 0005144278
(式中、基A''は式(5)におけるのと同様の意味を表す)、
で表される化合物又はその塩である。
(c)560nmから660nmの範囲に最大吸収波長を有する染料(青味系染料)は式(1)の化合物より長波長側に最大吸収波長を有することが好ましい。式(1)の化合物の最大吸収波長の範囲は前記の通り、おおよそ530nmから570nmであるため青味系染料のより好ましい最大吸収波長の範囲はおおよそ570から660nmである。
また、(c)560nmから660nmの範囲に最大吸収波長を有する染料として好ましいものは下記式(I−2)の化合物又はその塩、 又は下記式(II−2)の化合物又はその塩を挙げることが出来る。
式(I−2)の化合物
Figure 0005144278
(式中、R21及びR22はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基、N−アルキルアミノスルホニル基、N−フェニルアミノスルホニル基、ヒドロキシ基で置換されても良い(C1〜C4)アルキルスルホニル基、ホスホノ基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシ基及び(C1〜C4)アルコキシ基よりなる群から選択される基で置換されていても良い)、(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基及びカルボキシル基よりなる群から選択される基で置換されていても良い)、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又はフェニルスルホニルアミノ基(フェニル基はハロゲン原子、アルキル基及びニトロ基よりなる群から選択される基で置換されていても良い)を、
23、R24、R25、R26、R27、R28、R29及びR20はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基、N−アルキルアミノスルホニル基、N−フェニルアミノスルホニル基、(C1〜C4)アルキルスルホニル基(該アルキル基はヒドロキシ基で置換されても良い)、ホスホノ基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、(C1〜C4)アルキル基(該アルキル基はヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換されていても良い)、(C1〜C4)アルコキシ基(該アルコキシ基はヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基又はカルボキシル基で置換されていても良い)、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又はフェニルスルホニルアミノ基(フェニル基はハロゲン原子、アルキル基又はニトロ基で置換されていても良い)を、
nは0又は1を、それぞれ表す)
式(II−2)の化合物
Figure 0005144278
(式中、R121、R122、m、n、X、基B’及び基C’はそれぞれ前記と同じ意味を表す)
次に(b)350nmから550nmの範囲に最大吸収波長を有する染料(ブラウン系染料)として好ましい上記式(5)の化合物について説明する。
Figure 0005144278
上記式(5)で表される化合物において、R31は水素原子;ヒドロキシ基;カルボキシ基;ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルアミノ基;カルボキシ(C1〜C5)アルキルアミノ基;ビス[カルボキシ(C1〜C5)アルキル]アミノ基;ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルカノイルアミノ基;フェニル基がカルボキシ基、スルホ基又はアミノ基で置換されていても良いフェニルアミノ基;スルホ基;ハロゲン原子又はウレイド基を示す。
上記式(5)におけるR31がヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、メトキシエチル、エトキシエチル、n−プロポキシエチル、イソプロポキシエチル、n−ブトキシエチル、sec−ブトキシエチル、tert−ブトキシエチルまたは2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
上記式(5)におけるR31がヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、n−プロポキシエトキシ、イソプロポキシエトキシ、n−ブトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシプロポキシ、n−プロポキシプロポキシ、イソプロポキシブトキシ、n−プロポキシブトキシまたは2−ヒドロキシエトキシエトキシ等が挙げられる。
上記式(5)におけるR31がヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルアミノ基の例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、イソブチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジ(n−プロピル)アミノ、N,N−ジ(イソプロピル)アミノ、ヒドロキシエチルアミノ、2−ヒドロキシプロピルアミノ、3−ヒドロキシプロピルアミノ、ビス(ヒドロキシエチル)アミノ、メトキシエチルアミノ、エトキシエチルアミノ、ビス(メトキシエチル)アミノまたはビス(2−エトキシエチル)アミノ等が挙げられる。
上記式(5)におけるR31がカルボキシ(C1〜C5)アルキルアミノ基の例としてはカルボキシメチルアミノ、カルボキシエチルアミノ、カルボキシプロピルアミノ、カルボキシ−n−ブチルアミノ、カルボキシ−n−ペンチルアミノなどが挙げられる。
ビス[カルボキシ(C1〜C5)アルキル]アミノ基の例としてはビス(カルボキシメチル)アミノ、ビス(カルボキシエチル)アミノ、ビス(カルボキシプロピル)アミノ等が挙げられる。
上記式(5)におけるR31がヒドロキシ基または(C1〜C4)アルコキシ基により置換されていてもよい(C1〜C4)アルカノイルアミノ基の例としてはアセチルアミノ、n−プロピオニルアミノ、イソプロピオニルアミノ、ヒドロキシアセチルアミノ、2−ヒドロキシ−n−プロピオニルアミノ、3−ヒドロキシ−n−プロピオニルアミノ、2−メトキシ−n−プロピオニルアミノ、3−メトキシ−n−プロピオニルアミノ、2−ヒドロキシ−n−ブチリルアミノ、3−ヒドロキシ−n−ブチリルアミノ、2−メトキシ−n−ブチリルアミノ、3−メトキシ−n−ブチリルアミノ等が挙げられる。
上記式(5)におけるR31が、(カルボキシ基、スルホ基またはアミノ基で置換されていても良いフェニル)アミノ基の例としては、フェニルアミノ、スルホフェニルアミノ、カルボキシフェニルアミノ、ビスカルボキシフェニルアミノ、アミノフェニルアミノ、ジアミノフェニルアミノ、ジアミノスルホフェニルアミノ等が挙げられる。
好ましいR31は(C1〜C4)アルキル基であり、メチル基が特に好ましい。
該R31の置換位置は、トリアジン環に結合するアミノ基の結合位置に対して、オルト位、又はメタ位何れでもよく、好ましいのはメタ位である。
上記式(5)における基A''は置換アルキルアミノ基であり、アルキル基上の置換基はカルボキシ基またはスルホ基である。具体的にはスルホ(C1〜C5)アルキルアミノ基(アミノ(C1〜C5)アルキルスルホン酸)、ジ(スルホ(C1〜C5)アルキル)アミノ基(ジイミノ(C1〜C5)アルキルスルホン酸)、カルボキシ(C1〜C5)アルキルアミノ基(アミノ(C1〜C5)アルキルカルボン酸)、ジ(カルボキシ(C1〜C5)アルキル)アミノ基(ジイミノ(C1〜C5)アルキルカルボン酸)などの、カルボキシ基もしくはスルホ基を有した、モノ(C1〜C5)アルキルアミノ基もしくはジ(C1〜C5)アルキルアミノ基が挙げられ、スルホ基を有するものの方がより好ましい。好ましいアルキル基の炭素数は1〜3であり、より好ましくは1〜2である。好ましい具体例としてはスルホエチルアミノ又はジ(カルボキシメチル)アミノが挙げられ、スルホエチルアミノが特に好ましい。
なお、この基A’’は、上記式(I−8)においても同様であり、式(5)において好ましい基は式(I−8)においても好ましい。
式(5)及び(I−8)で示される化合物は遊離酸の形で、あるいはその塩の形態で存在し、いずれであってもよい。好ましい塩などについては上記式(1)における場合と同様でよいが、塩を形成する有機の陽イオンが上記式(I−11)の場合、特に式(I−11)におけるZ、Z、Z、Zはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、ヒドロキシ(C1〜C4)アルキル基またはヒドロキシ(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルキル基である場合が好ましい。無機の陽イオンである場合は、好ましいものを含めて上記式(1)における場合と同様でよい。
上記式(5)で示されるアゾ化合物は、例えば次のような方法で合成することができる。また各工程における化合物の構造式は遊離酸の形で表す。
なお下記式(I−31)〜(I−33)における置換基R31は、上記式(5)におけるのと同じ意味を表す。
例えば最初に、下記式(I−31)で表される化合物に塩化シアヌールを反応させ、下記式(I−32)で表される化合物を得る。
Figure 0005144278
Figure 0005144278
得られた上記式(I−32)の化合物に更に上記式(I−31)の化合物を縮合し、下記式(I−33)で表される化合物を得る。
Figure 0005144278
次いでアルカリ条件下、基A’’に相当する置換アルキルアミンと上記式(I−33)を縮合することにより、シアヌル環上の塩素原子が、該置換アルキルアミノ基に変換された前記式(5)の化合物を得ることができる。
上記式(I−31)の化合物と塩化シアヌールとの反応(1次縮合)はそれ自体公知の条件で実施される。例えば水性または有機媒体中、例えば0〜40℃、好ましくは0〜30℃の温度ならびにpH1〜7、好ましくはpH3〜7において実施される。式(I−31)の化合物と塩化シアヌルの反応には、両者をほぼ化学量論量で用いる。
上記式(I−31)の化合物と式(I−32)の化合物との反応(2次縮合)もそれ自体公知の条件で実施される。水性または有機媒体中、例えば10〜60℃、好ましくは20〜45℃の温度ならびにpH3〜10、好ましくはpH6〜8において実施される。式(I−31)と(I−32)の化合物の反応には両者をほぼ化学量論量で用いる。
上記式(I−33)の化合物とカルボキシ基又はスルホ基を有するアルキルアミンとの反応もそれ自体公知の条件で実施される。水性または有機媒体中、例えば30〜100℃、好ましくは50〜95℃の温度ならびにpH5〜13、好ましくはpH6〜11において実施される。
上記式(5)の基A’’の好ましい例としては下記表I−7に示す構造の置換アルキルアミノ基が挙げられる。しかしこれらに限定されるものではない。
表I−7
Figure 0005144278
次に(b)350nmから550nmの範囲に最大吸収波長を有する染料(黄色から赤色または茶色の色相を有する:以下ブラウン系染料とも言う)における(2)の前記式(II−6)の4,4'−ジニトロスチルベン−2,2'−ジスルホン酸と前記(II−7)で表されるモノアゾ化合物との縮合染料(BB)および(BB)の還元によって得られる染料(CC)について説明する。
式(II−6)で表される4,4'−ジニトロスチルベン−2,2'−ジスルホン酸若しくはその塩とアミノベンゼン類との縮合化合物(BB)及び/またはその還元体(CC)を得るためのアミノベンゼン類としては、例えば前記式(II−7)で表されるアゾ化合物が挙げられる。
式(II−7)におけるR41からR45において、(C1〜C4)アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等が挙げられる。また、(C1〜C4)アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等が挙げられる。
上記式(II−7)における好ましいR41からR45の例は、それぞれ独立に水素、ヒドロキシ、スルホ、カルボキシ、メチル、エチル、メトキシまたはエトキシであり、より好ましくは水素、ヒドロキシ、スルホ、カルボキシ、メチルまたはメトキシである。これらはR41からR45において、それぞれ独立に、同じであっても異なってもよい。
本発明において上記式(II−6)と式(II−7)との縮合染料(BB)及びその還元によって得られる染料(CC)は、遊離酸あるいは塩のいずれの場合においても使用が可能である。これらの塩は式(II−6)と式(II−7)の縮合後またはその後の還元の後に、造塩あるいは塩交換などの方法によりアルカリ金属塩、有機アミン塩又はアンモニウム塩などに自在に変換することができる。アルカリ金属塩としては、例えばナトリウム、カリウムまたはリチウム塩等が挙げられる。有機アミン塩としては、メチルアミン、エチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミンまたはトリイソプロパノールアミンなどの各種アミンとの塩およびこれらの混合塩などが挙げられる。
本発明に用いるアミノベンゼン類の例としては一般式(II−7)で示される化合物が挙げられ、一般式(II−7)に示した化合物の好適な例として、特に限定されるものではないが、具体的に下記表II−7及び表II−8に示す化合物が挙げられる。なお表II−7中の式においてスルホ基及びカルボキシ基は遊離酸の形で示す。
Figure 0005144278
表II−8
Figure 0005144278
4,4'−ジニトロスチルベン−2,2'−ジスルホン酸と一般式(II−7)の化合物の縮合染料(BB)及びその還元によって得られる染料(CC)は、例えば以下に記載の方法によって合成することができる。
4,4'−ジニトロスチルベン−2,2'−ジスルホン酸と一般式(II−7)の化合物の縮合物(BB)は、4,4'−ジニトロスチルベン−2,2'−ジスルホン酸1モルに対し、一般式(II−7)の化合物を通常1〜2.5モル、好ましくは1.3〜1.8モルを、通常苛性アルカリ、好ましくは水酸化ナトリウムを用いて、通常85〜100℃、通常3〜15時間反応させることによって得られる。得られる縮合物は単一物ではないことが知られているが、下記式(II−34)で表される化合物が主成分であると考えられる。
式(II−34)
Figure 0005144278
(式中R41〜R45は前記式(II−7)におけると同じ意味を表す)
縮合物(BB)の還元反応に用いる、還元剤としては、硫化ナトリウムまたは/及びグルコースが好ましく用いられ、縮合物を合成するのに使用した4,4'−ジニトロスチルベン−2,2'−ジスルホン酸1モルに対し、通常0.1〜0.4モル用い、通常80〜95℃で通常0.5〜2時間反応させることによって得られる。(BB)の還元によって得られる化合物(CC)は単一物ではないことが知られているが、下記式(II−35)で表される化合物が主成分であると考えられる。
式(II−35)
Figure 0005144278
(式中R41〜R45は前記式(II−7)におけると同じ意味を表す)
本発明において使用する4,4'−ジニトロスチルベン−2,2'−ジスルホン酸と一般式(II−7)の縮合染料(BB)及び/またはその還元によって得られる染料(CC)は、通常上記反応によって得られる反応生成物を混合物のまま使用するが、主成分を精製して使用しても良い。本発明のインク組成物においては、上記化合物(BB)を用いることもできるが、通常該縮合化合物(BB)の還元体(CC)がより好ましい。
次に(c)560nmから660nmの範囲に最大吸収波長を有する染料(青味系染料)について説明する。
最初に前記式(I−2)の化合物について記載する。
まず、前記式(I−2)のR20〜R29における各基について逐次以下に説明する。
N−アルキルアミノスルホニル基の例としては例えば、N−メチルアミノスルホニル、N−エチルアミノスルホニル、N−(n−プロピル)アミノスルホニル、N−(n−ブチル)アミノスルホニル、N,N−ジメチルアミノスルホニルまたはN,N−ジ(n−プロピル)アミノスルホニル等のN−(C1〜C4)アルキルアミノスルホニル基が挙げられる。
ヒドロキシ基で置換されても良い(C1〜C4)アルキルスルホニル基の例としては例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ヒドロキシエチルスルホニル、2−ヒドロキシプロピルスルホニル、3−ヒドロキシプロピルスルホニル等が挙げられる。
アシル基の例としては例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ベンゾイルまたはナフトイル等が挙げられる。
ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換されても良い(C1〜C4)アルキル基の例としては例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、2−エトキシエチル、n−プロポキシエチル、イソプロポキシエチル、n−ブトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシプロピル、n−プロポキシプロピル、イソプロポキシブチルまたはn−プロポキシブチル等が挙げられる。
ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基又はカルボキシル基で置換されても良い(C1〜C4)アルコキシ基の例としては例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、n−プロポキシエトキシ、イソプロポキシエトキシ、n−ブトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシプロポキシ、n−プロポキシプロポキシ、イソプロポキシブトキシ、n−プロポキシブトキシ、2−ヒドロキシエトキシエトキシ、カルボキシメトキシ、2−カルボキシエトキシ、3−カルボキシプロポキシ、3−スルホプロポキシまたは4−スルホブトキシ等が挙げられる。
アシルアミノ基の例としては例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチリルアミノ、イソブチリルアミノ、ベンゾイルアミノまたはナフトイルアミノ等が挙げられる。
アルキルスルホニルアミノ基の例としては例えば、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノまたはプロピルスルホニルアミノ等が挙げられる。
ハロゲン原子、アルキル基又はニトロ基で置換されても良いフェニルスルホニルアミノ基の例としては例えば、ベンゼンスルホニルアミノ、トルエンスルホニルアミノ、クロロベンゼンスルホニルアミノまたはニトロベンゼンスルホニルアミノ等が挙げられる。フェニル基上の置換基であるハロゲン原子、アルキル基又はニトロ基は、フェニル環上のオルト、メタまたはパラ位のいずれの位置に置換していても良い。
以上は式(I−2)のR20〜R29における各基について説明したが、他の式における同じ基について、上記の説明を適用することが出来る。
前記式(I−2)における好ましいR21及びR22は、それぞれ独立に水素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ、カルボキシル、スルホ、スルファモイル、N−メチルアミノスルホニル、N−フェニルアミノスルホニル、メチルスルホニル、ヒドロキシエチルスルホニル、ホスホノ、ニトロ、アセチル、ベンゾイル、ウレイド、メチル、メトキシ、エチル、エトキシ、プロピル、プロポキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−メトキシエトキシ、2−エトキシエトキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ、カルボキシメトキシ、2−カルボキシエトキシ、アセチルアミノまたはベンゾイルアミノ等であり、より好ましくは、水素原子、塩素原子、シアノ、スルファモイル、アセチル、メチルスルホニル、ヒドロキシエチルスルホニル、ニトロ、カルボキシルまたはスルホであり、さらに好ましくは、水素原子、カルボキシル基またはスルホである。さらに好ましいR21は、カルボキシル又はスルホ基であり、スルホが特に好ましい。R22は水素原子が特に好ましい。前記式(I−2)の左端のフェニル基上のニトロ基と他の置換基との置換位置は、R21の置換位置がアゾ基に対しオルト位の場合、ニトロの置換位置がアゾ基に対しパラ位であり、R21の置換位置がアゾ基に対しパラ位の場合、ニトロの置換位置がアゾ基に対しオルト位であることが好ましい。
前記式(I−2)における好ましいR23〜R26は、水素原子、塩素原子、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシル、スルホ、スルファモイル、N−メチルアミノスルホニル、N−フェニルアミノスルホニル、メチルスルホニル、ヒドロキシエチルスルホニル、ニトロ、アセチル、ベンゾイル、ウレイド、メチル、メトキシ、エチル、エトキシ、プロピル、プロポキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−メトキシエトキシ、2−エトキシエトキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ、カルボキシメトキシ、2−カルボキシエトキシ、アセチルアミノまたはベンゾイルアミノ等であり、より好ましくは、水素原子、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、3−スルホプロポキシ、カルボキシルまたはスルホであり、さらに好ましくは、水素原子、メチル、2−ヒドロキシエトキシ、3−スルホプロポキシ、カルボキシルまたはスルホである。
前記式(I−2)における好ましいR20、R27〜R29は、それぞれ独立に水素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシル、スルホ、スルファモイル、N−メチルアミノスルホニル、N−フェニルアミノスルホニル、メチルスルホニル、ヒドロキシエチルスルホニル、ホスホ、ニトロ、アセチル、ベンゾイル、ウレイド、メチル、メトキシ、エチル、エトキシ、プロピル、プロポキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−メトキシエトキシ、2−エトキシエトキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ、カルボキシメトキシ、2−カルボキシエトキシ、アセチルアミノまたはベンゾイルアミノ等であり、より好ましくは、水素原子、ヒドロキシ、カルボキシル、スルホ、スルファモイル、ヒドロキシエチルスルホニル、ニトロ、メチル、メトキシ、エチルまたはエトキシであり、更に好ましくは水素原子、ヒドロキシ、カルボキシル、スルホまたはスルファモイルである。
20、R27〜R29の好ましい組み合わせは、R27が水素原子、R28及びR29がスルホ、R20がヒドロキシであり、R20の置換位置はアゾ基に対してペリ位であることが好ましい。
前記式(I−2)における各置換基の組合せとして好ましいものは、R21がスルホ、カルボキシまたはシアノであり、R21の置換位置がアゾ基に対しオルト位の場合、ニトロの置換位置がアゾ基に対しパラ位であるか、またはR21がスルホまたはシアノであり、R21の置換位置がアゾ基に対しパラ位の場合、ニトロの置換位置がアゾ基に対しオルト位であり、R22が水素原子であり、R23及びR25がスルホまたはヒドロキシ置換(C1〜C4)アルコキシであり、R24及びR26が水素原子、(C1〜C4)アルキルまたはヒドロキシ置換(C1〜C4)アルコキシであり、R27が水素原子であり、R28及びR29がスルホであり、R20がヒドロキシまたはスルホであり、R20の置換位置がアゾ基に対してペリ位であり、nが1である化合物である。
また、前記式(I-2)のR21がスルホ基またはカルボキシル基であり、R21の置換位置がアゾ基に対しオルト位の場合、ニトロ基の置換位置がアゾ基に対しパラ位であり、R22の置換位置がアゾ基に対しパラ位の場合、ニトロ基の置換位置がアゾ基に対しオルト位である式(I-2)の化合物も好ましく、R22が水素原子であるときより好ましい。
より好ましくはR21がスルホで置換位置がアゾ基に対しオルト位、ニトロの置換位置がアゾ基に対しパラ位、R22が水素原子、R23及びR25がスルホ置換(C1〜C4)アルコキシ、R24及びR26が(C1〜C4)アルキル、R27が水素原子、R28及びR29がスルホ、R20がヒドロキシで置換位置がアゾ基に対してペリ位、nが1である化合物である。特に好ましくは、R21がスルホで置換位置がアゾ基に対しオルト位、ニトロの置換位置がアゾ基に対しパラ位、R22が水素原子、R23及びR25が3−スルホプロポキシ、R24及びR26がメチル、R27が水素原子、R28及びR29がスルホ、R20がヒドロキシで置換位置がアゾ基に対してペリ位、nが1である化合物がそれぞれ挙げられる。
遊離酸の形で前記式(I−2)で示されるアゾ化合物は各種の塩を形成することも可能であり、遊離酸および各種の塩のいずれであってもよい。式(I−2)の塩は、無機又は有機の陽イオンの塩である。そのうち無機塩の具体例としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩が挙げられ、好ましい無機塩は、リチウム、ナトリウム、カリウムの塩およびアンモニウム塩であり、又、有機の陽イオンとしては例えば前記式(I−11)で示される4級アンモニウムがあげられ、好ましいものについても前記の場合と同様であるがこれらに限定されるものではない。
上記式(I−2)で示されるアゾ化合物は、例えば次のような方法で合成することができる。また、各工程における化合物の構造式は遊離酸の形で表すものとする。なお下記式(I−18)〜式(I−28)中に記載のn、R20〜R29については、それぞれ前記式(I−2)と同じ意味を表す。
下記式(I−18)の化合物とp−トルエンスルホニルクロライドとをアルカリ存在下で反応させることにより下記式(I−19)で表される化合物を得る。
式(I−18)
Figure 0005144278
式(I−19)
Figure 0005144278
得られた上記式(I−19)で表される化合物を常法によりジアゾ化した後、4−アミノ−5−ナフトール−1,7−ジスルホン酸と酸性下カップリング反応し、下記式(I−20)で表される化合物を得る。
式(I−20)
Figure 0005144278
次いで、下記式(I−21)で表される化合物を常法によりジアゾ化した後、上記式(I−20)で表される化合物とカップリング反応させて下記式(I−22)で表される化合物を得る。
式(I−21)
Figure 0005144278
式(I−22)
Figure 0005144278
得られた上記式(I−22)で表される化合物をアルカリ条件下、加水分解し、下記式(I−23)で表される化合物を得る。
式(I−23)
Figure 0005144278
一方、下記式(I−24)で表される化合物を常法によりジアゾ化した後、下記式(I−25)で表される化合物とカップリング反応させて下記式(I−26)の化合物を得る。
式(I−24)
Figure 0005144278
式(I−25)
Figure 0005144278
式(I−26)
Figure 0005144278
得られた上記式(I−26)で表される化合物を常法によりジアゾ化した後、下記式(I−27)で表される化合物とカップリング反応させて下記式(I−28)で表される化合物を得る。
式(I−27)
Figure 0005144278
式(I−28)
Figure 0005144278
得られた上記式(I−28)で表される化合物を常法によりジアゾ化した後、上記式(I−23)で表される化合物とカップリング反応させる事により、上記式(I−2)で表される本発明のインク組成物に含有されるアゾ化合物又はその塩を得ることができる。
式(I−18)の化合物とp−トルエンスルホニルクロリドとのエステル化反応はそれ自体公知の方法で実施され、水又は水性有機媒体中、例えば20〜100℃、好ましくは30〜80℃の温度、及び中性からアルカリ性のpH値で行うのが良い。より好ましくは中性から弱アルカリ性、たとえばpH7〜10で実施される。このpH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、たとえば水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩または酢酸ナトリウム等の酢酸塩などが使用できる。式(I−18)の化合物とp−トルエンスルホニルクロリドは、ほぼ化学量論量で用いる。
式(I−19)の化合物のジアゾ化はそれ自体公知の方法で実施され、たとえば無機酸媒質中、例えば−5〜30℃、好ましくは5〜15℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。ジアゾ化された式(I−19)の化合物と4−アミノ−5−ナフトール−1,7−ジスルホン酸とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。すなわち、水又は水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは5〜25℃の温度ならびに酸性から中性のpH値で行うのが良い。この 反応系内のpHは酸性化するが、好ましくは酸性から弱酸性、たとえばpH1〜4で実施される。このpH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては上記と同じものが使用できる。式(I−19)の化合物と4−アミノ−5−ナフトール−1,7−ジスルホン酸とは、ほぼ化学量論量で用いる。
式(I−21)の化合物のジアゾ化もそれ自体公知の方法で実施され、たとえば無機酸媒質中例えば−5〜30℃、好ましくは0〜15℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。ジアゾ化された式(I−21)の化合物と式(I−20)の化合物のカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは10〜25℃の温度ならびに弱酸性からアルカリ性のpH値で行うのが良い。好ましくは弱酸性から弱アルカリ性、たとえばpH5〜10で実施され、pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては上記と同じものが使用できる。式(I−20)と(I−21)の化合物は、ほぼ化学量論量で用いる。
式(I−22)の化合物の加水分解による式(I−23)の化合物の製造もそれ自体公知の方法で実施される。加水分解は水性アルカリ性媒質中で加熱する方法が好適に用いられ、たとえば式(I−22)の化合物を含有する溶液に水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを加えpHを9.5以上としたのち、例えば20〜150℃の温度、好ましくは30〜100℃の温度に加熱することによって実施される。このとき反応溶液のpH値は9.5〜11.5に維持することが好ましい。このpH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基は前記したものを用いることができる。
式(I−24)の化合物のジアゾ化もそれ自体公知の方法で実施され、たとえば無機酸媒質中例えば−5〜30℃、好ましくは0〜15℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。ジアゾ化された式(I−24)の化合物と式(I−25)の化合物のカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは5〜25℃の温度ならびに酸性から中性のpH値で行うのが良い。たとえばpH1〜7で実施され、pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては上記と同じものが使用できる。式(I−24)と(I−25)の化合物は、ほぼ化学量論量で用いる。
式(I−26)の化合物のジアゾ化もそれ自体公知の方法で実施され、たとえば無機酸媒質中例えば−5〜30℃、好ましくは5〜25℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。ジアゾ化された式(I−26)の化合物と式(I−27)の化合物のカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは10〜30℃の温度ならびに弱酸性からアルカリ性のpH値で行うのが良い。好ましくは弱酸性から弱アルカリ性、たとえばpH6〜10で実施され、pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては上記と同じものが使用できる。式(I−27)と(I−26)の化合物は、ほぼ化学量論量で用いる。
式(I−28)の化合物のジアゾ化もそれ自体公知の方法で実施され、たとえば無機酸媒質中例えば−5〜30℃、好ましくは5〜25℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。ジアゾ化された式(I−28)の化合物と式(I−23)の化合物のカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは10〜30℃の温度ならびに弱酸性からアルカリ性のpH値で行うのが良い。好ましくは弱酸性から弱アルカリ性、たとえばpH6〜10で実施され、pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては上記と同じものが使用できる。式(I−23)と(I−28)の化合物は、ほぼ化学量論量で用いる。
式(I−2)で表される化合物の好適な具体例として、特に限定されるものではないが、下記表5および6に記載の各式で示される化合物が挙げられる。各表においてスルホ基及びカルボキシル基などの酸性官能基は遊離酸の形で表記するものとする。
表I−5
Figure 0005144278
表1−6
Figure 0005144278
次に(c)560nmから660nmの範囲に最大吸収波長を有する染料(青味系黒色染料)の前記式(II−2)の化合物について説明する。
上記式(II−2)で示されるアゾ化合物は、例えば次のような方法で合成することができる。また、各工程における化合物の構造式は遊離酸の形で表すものとする。また、式中における、m、n、R121〜R128、X、B’、C’等の記号は何れも前記式(II−2)〜式(II−4)におけると同じ意味を表す。
下記式(II−18)
Figure 0005144278
で表されるアミノナフトールスルホン酸とp−トルエンスルホニルクロライドとをアルカリ存在下でエステル化反応させる。得られる下記式(II−19)
Figure 0005144278
で表される化合物を常法によりジアゾ化し、得られたジアゾ化物を4−アミノ−5−ナフトール−1,7−ジスルホン酸と酸性下カップリング反応させる。生成した下記式(II−20)
Figure 0005144278
で表される化合物に、下記式(II−21)
Figure 0005144278
で表される化合物のジアゾ化物をカップリング反応させる。得られる下記式(II−22)
Figure 0005144278
で表される化合物をアルカリ条件下、加水分解し、式(II−23)
Figure 0005144278
で表される化合物を得る。次いで式(II−24)
Figure 0005144278
で表される化合物とp−トルエンスルホニルクロライドとのアルカリ存在下でのエステル化反応により下記式(II−25)
Figure 0005144278
で表される化合物を得る。該化合物を常法によりジアゾ化した後、前記式(II−23)の化合物とカップリングさせることで、下記式(II−26)
Figure 0005144278
の化合物を得る。
得られた式(II−26)の化合物をアルカリ条件下、加水分解し、下記式(II−27)
式(II−27)
Figure 0005144278
で表される化合物を得る。次いで下記式(II−28)
N−C’ (II−28)
で表される化合物を常法によりジアゾ化した。得られたジアゾ化物に下記式(II−29)
N−B’ (II−29)
で表される化合物をカップリング反応させて下記式(II−30)
H2N−B’−N=N−C’ (II−30)
で表される化合物を得る。
上記式(II−30)で表されるモノアゾ化合物を常法によりジアゾ化した後、得られたジアゾ化物に上記式(II−27)の化合物をカップリング反応させる事により前記式(II−2)で表されるアゾ化合物又はその塩を得ることができる。
式(II−2)の化合物の好適な具体例として、特に限定されるものではないが、下記表II−3〜II−5に記載の化合物を挙げることが出来る。各表においてスルホ基及びカルボキシ基は遊離酸の形で表記するものとする。
Figure 0005144278
Figure 0005144278
Figure 0005144278
前記式(II−18)の化合物とp−トルエンスルホニルクロリドとのエステル化反応はそれ自体公知の方法で行うことが出来る。
例えば水又は水性有機媒体中、例えば20〜100℃、好ましくは30〜80℃の温度において、中性からアルカリ性のpH値、たとえばpH7〜10、で該エステル化反応を行うことが有利である。このpH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、たとえば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウム等の酢酸塩などが使用できる。式(II−18)の化合物とp−トルエンスルホニルクロリドは、ほぼ化学量論量で用いる。
前記式(II−19)の化合物のジアゾ化はそれ自体公知の方法で、たとえば無機酸媒質中、例えば−5〜30℃、好ましくは5〜15℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して行うことが出来る。式(II−19)の化合物のジアゾ化物と4−アミノ−5−ナフトール−1,7−ジスルホン酸とのカップリングもそれ自体公知の条件で行うことが出来る。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは5〜25℃の温度ならびに酸性から中性のpH値で該カップリング反応を行うのが有利である。カップリング浴は酸性化するので、好ましくは該pHを酸性から弱酸性のpH値、たとえばpH1〜4に調整するのが好ましい。このpH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、たとえば水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウム等の酢酸塩、アンモニアまたは有機アミンなどが使用できる。式(II−19)の化合物と4−アミノ−5−ナフトール−1,7−ジスルホン酸とは、ほぼ化学量論量で用いる。
式(II−21)の化合物のジアゾ化もそれ自体公知の方法で実施される。たとえば無機酸媒質中例えば−5〜30℃、好ましくは0〜15℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。式(II−21)の化合物のジアゾ化物と式(II−20)の化合物のカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは10〜25℃の温度において、弱酸性からアルカリ性のpH、たとえばpH5〜10で行うことが有利である。pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、前記のものが使用できる。式(II−20)と(II−21)の化合物は、ほぼ化学量論量で用いる。
式(II−22)の化合物の加水分解による式(II−23)の化合物の製造もそれ自体公知の方法で実施される。有利には水性アルカリ性媒質中で加熱する方法であり、たとえば式(II−22)の化合物を含有する溶液に水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを加えpHを9.5以上としたのち、例えば20〜150℃の温度、好ましくは30〜100℃の温度に加熱することによって実施される。このとき反応溶液のpH値は9.5〜11.5に維持することが好ましい。このpH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基は前記したものを用いることができる。
式(II−24)の化合物とp−トルエンスルホニルクロリドとのエステル化反応はそれ自体公知の方法で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば20〜100℃、好ましくは30〜80℃の温度ならびに中性からアルカリ性のpH値、たとえばpH7〜10で行うことが有利である。このpH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基は前記したものを用いることができる。式(II−24)の化合物とp−トルエンスルホニルクロリドは、ほぼ化学量論量で用いる。
式(II−25)の化合物のジアゾ化もそれ自体公知の方法で実施される。たとえば無機酸媒質中例えば−5〜30℃、好ましくは0〜15℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。式(II−25)の化合物のジアゾ化物と式(II−23)の化合物のカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは10〜25℃の温度ならびに弱酸性からアルカリ性のpH値、たとえばpH5〜10で行うことが有利である。pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基は前記したものを用いることができる。式(II−23)と(II−25)の化合物は、ほぼ化学量論量で用いる。
式(II−26)の化合物の加水分解による式(II−27)の化合物の製造もそれ自体公知の方法で実施される。有利には水性アルカリ性媒質中で加熱する方法であり、たとえば式(II−26)の化合物を含有する溶液に水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを加えpHを9.5以上としたのち、例えば20〜150℃の温度、好ましくは30〜100℃の温度に加熱することによって実施される。このとき反応溶液のpH値は9.5〜11.5に維持することが好ましい。このpH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基は前記したものを用いることができる。
式(II−28)の化合物のジアゾ化もそれ自体公知の方法で実施され、たとえば無機酸媒質中例えば−5〜30℃、好ましくは0〜15℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。式(II−28)の化合物のジアゾ化物と式(II−29)の化合物のカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは5〜25℃の温度ならびに酸性から中性のpH値で行うことが有利である。たとえばpH1〜7で実施され、pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基は前記したものを用いることができる。式(II−28)と(II−29)の化合物は、ほぼ化学量論量で用いる。
式(II−30)の化合物のジアゾ化もそれ自体公知の方法で、前記と同様な方法で行うことが出来る。式(II−30)の化合物のジアゾ化物と式(II−27)の化合物のカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは10〜30℃の温度ならびに弱酸性からアルカリ性のpH値で行うことが有利である。好ましくは弱酸性から弱アルカリ性のpH値、たとえばpH6〜10で実施される。pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基は前記したものを用いることができる。式(II−30)と(II−27)の化合物は、ほぼ化学量論量で用いる。
印刷濃度が高く、無彩色な黒色を得るための好適な染料の組み合わせの一つは式(1)で表される化合物、式(I−2)で表される化合物及び式(5)の化合物の組み合わせである。これらの化合物を含む水性黒色染料組成物は無彩色の優れた黒色を示し、特に、インクジェット記録に適した水性黒色インク組成物として好適である。
式(1)の化合物、式(I−2)の化合物及び式(5)の化合物の使用割合は、3種の化合物の総量に対し式(1)の化合物が5−60質量%、式(I−2)の化合物が10−80質量%、式(5)の化合物が5−60質量%(以下%は特に断らない限り質量%を表す)であり、好ましくは式(1)の化合物が10−50%、式(2)の化合物が20−70%、式(5)の化合物が10−50%であり、より好ましくは式(1)の化合物が15−45%、式(2)の化合物が25−65%、式(5)の化合物が15−45%である。三者の混合割合は上記の各染料の含量範囲内で、三者の合計が100%となるように調整するものとする。
印刷濃度が高く、無彩色な黒色を得るための好適な染料の組み合わせの他の一つは一般式(1)と一般式(II−2)で表される化合物に、350nmから550nmの範囲に最大吸収波長を有する染料として一般式(5)で示される染料及び/または式(II−6)の4,4'−ジニトロスチルベン−2,2'−ジスルホン酸と、式(II−7)で表される化合物との縮合染料(BB)及び/またはその還元によって得られる染料(CC)を配合して使用するのが好ましい。
式(1)化合物と式(II-2)化合物の使用割合は、両者の総量に対し式(1)化合物が10−90%、式(II-2)化合物が90−10%であり、好ましくは式(1)化合物が20−80%、式(II-2)化合物が80−20%であり、より好ましくは式(1)化合物が30−70%、式(II-2)化合物が70−30%である。
このインク組成物をインクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合、本発明のアゾ化合物としては、金属陽イオンの塩化物、硫酸塩等の無機物の含有量が少ないものを用いるのが好ましく、その含有量の目安は例えば1質量%以下(対色素原体)程度である。無機物の少ない本発明のアゾ化合物を製造するには、例えば逆浸透膜による通常の方法又は本発明のアゾ化合物の乾燥品あるいはウェットケーキをメタノール等のアルコール及び水の混合溶媒中で撹拌し、析出物を濾過分離して、乾燥するなどの方法で脱塩処理すればよい。
前記インク組成物の調製において用いうる水溶性有機溶剤の具体例としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノールまたは第三ブタノール等の(C1〜C4)アルカノール、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン(N−メチルピロリジン−2−オン)等のラクタム、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン又は1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類、アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコールまたはジチオジグリコール等の(C2〜C6)アルキレン単位を有するモノ−、オリゴ−又はポリ−アルキレングリコール又はチオグリコール、グリセリンまたはヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール)、エチレングリコールモノメチルエーテル又はエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル又はジエチレングリコールモノエチルエーテル又はトリエチレングリコールモノメチルエーテル又はトリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1〜C4)アルキルエーテル、γ−ブチロラクトン又はジメチルスルホキシド等があげられる。これらの水溶性有機溶剤は、単独もしくは混合して用いられる。これらのうち好ましいものは2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、モノ、ジ又はトリエチレングリコール、ジプロピレングリコールであり、より好ましくは2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチレングリコール、イソプロピルアルコールおよびブチルカルビトールである。
前記インク組成物の調製において用いられるインク調製剤は、例えば防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤、酸化防止剤および/または界面活性剤などがあげられる。以下にこれらの薬剤について説明する。
防黴剤の具体例としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク組成物中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
防腐剤の例としては、例えば有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系または無機塩系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物の具体例としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオキシド系化合物の具体例としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられ、無機塩系化合物の具体例としては、例えば無水酢酸ソーダが挙げられ、イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライドまたは2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤の具体例として、ソルビン酸ソーダまたは安息香酸ナトリウム等があげられる。
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHを例えば5〜11の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その具体例としては、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンなどのアルカノールアミンまたは酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩;水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム(アンモニア水);あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;ケイ酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム等の無機塩基などが挙げられる。
キレート試薬の具体例としては、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウムまたはウラシル二酢酸ナトリウムなどがあげられる。
防錆剤の具体例としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグルコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトールまたはジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトなどがあげられる。
水溶性紫外線吸収剤の例としては、例えばスルホン化したベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ−ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物またはトリアジン系化合物が挙げられる。
水溶性高分子化合物の具体例としては、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミンまたはポリイミン等があげられる。
染料溶解剤の具体例としては、例えばε−カプロラクタム、エチレンカーボネートまたは尿素などが挙げられる。
酸化防止剤の例としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤の例としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、または複素環類等が挙げられる。
界面活性剤の例としては、例えばアニオン系、カチオン系、ノニオン系などの公知の界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤の例としてはアルキルスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸およびその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸またはジオクチルスルホ琥珀酸塩などが挙げられる。カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体またはポリ4−ビニルピリジン誘導体などがある。
両性界面活性剤の具体例としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。
ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどのアセチレングリコール系(例えば、日信化学社製、商品名サーフィノール104、105、82、465、オルフィンSTGなど)、などが挙げられる。これらのインク調製剤は、単独もしくは混合して用いられる。
本発明のインク組成物は前記各成分を任意の順序で混合、撹拌することによって得られる。得られたインク組成物は、所望により、狭雑物を除く為にメンブランフィルター等で濾過を行ってもよい。また、インク組成物としての黒の色味を調整するため、本発明の式(1)で示されるアゾ化合物以外に、種々の色相を有する他の色素を混合してもよい。その場合は、他の色相を有する黒色や、イエロー色、マゼンタ色、シアン色、その他の色の色素を混合して用いることができる。
本発明のインク組成物は、各種分野において使用することができるが、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録インク等に好適であり、インクジェット用インクとして用いることが、特に好ましく、後述する本発明のインクジェット記録方法において好適に使用される。
次に、本発明のインクジェット記録方法について説明する。本発明のインクジェット記録方法は、前記本発明のインク組成物を用いて記録を行うことを特徴とする。本発明のインクジェット記録方法においては、前記インク組成物を含有してなるインクジェット用インクを用いて受像材料に記録を行うが、その際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の方法、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等を採用することができる。なお、前記インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
本発明の着色体は前記の本発明の化合物又はこれを含有するインク組成物で着色されたものであり、より好ましくは本発明のインク組成物を用いてインクジェットプリンタによって着色されたものである。着色されうるものとしては、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられる。このうち情報伝達用シートとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層には、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工することにより、また多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックスなどのインク中の色素を吸収し得る多孔性白色無機物をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工することにより設けられる。このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙(フィルム)、光沢紙(フィルム)等と呼ばれ、例えばプロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパーまたはマットフォトペーパー(いずれも商品名、キヤノン株式会社製)、写真用紙(光沢)、PMマット紙またはクリスピア(いずれも商品名、セイコーエプソン株式会社製)、アドバンスフォトペーパー、プレミアムプラスフォト用紙、プレミアム光沢フィルムまたはフォト用紙(いずれも商品名、日本ヒューレット・パッカード(株)製)、フォトライクQP(商品名、コニカ株式会社製)等として市販品が入手可能である。なお、普通紙も利用できることはもちろんである。
これらのうち、特に多孔性白色無機物を表面に塗工した情報伝達用シートに記録した画像がオゾンガスによって変退色が大きくなることが知られているが、本発明のインク組成物は耐オゾンガス性が優れているため、このような被記録材への記録の際に特に効果を発揮する。
本発明のインクジェット記録方法で、情報伝達用シート等の被記録材に記録するには、例えば上記のインク組成物を含有する容器をインクジェットプリンタの所定位置にセットし、通常の方法で、被記録材に記録すればよい。本発明のインクジェット記録方法では、黒色の本発明のインク組成物、公知のマゼンタインク組成物、シアンインク組成物、イエローインク組成物、必要に応じて、グリーンインク組成物、ブルー(又はバイオレット)インク組成物及びレッド(又はオレンジ)インク組成物と併用されうる。各色のインク組成物は、それぞれの容器に注入され、その容器を、本発明のインクジェット記録用水性黒色インク組成物を含有する容器と同様に、インクジェットプリンタの所定位置に装填されて使用される。
本発明のアゾ化合物は水溶解性に優れ、このアゾ化合物を含有する本発明のインク組成物は長期間保存後の結晶析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。又、本発明のトリスアゾ化合物を含有する記録用黒色インク組成物は、インクジェット記録用、筆記具用として用いられ、普通紙及びインクジェット専用紙に記録した場合、その記録画像は印字濃度の高い黒色を呈し、さらにその耐オゾンガス性、耐光性およびブロンジング性が優れている。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。又、下記の各式において、スルホン基は遊離酸の形で表記するものとする。
実施例1−1
(1)下記式(12)の化合物(C.I.Acid Yellow 9)5.4部を水40部に懸濁し水酸化ナトリウムの添加によりpH値を4.0〜5.0とし溶解した。この溶液に35%塩酸6.0部の添加後、15〜25℃で40%亜硝酸ナトリウム水溶液2.9部を添加し、ジアゾ化した。
式(12)
Figure 0005144278
別に、特開2004−083492に記載の方法で得られる下記式(13)の化合物3.6部を水30部に、水酸化ナトリウムの添加によりpH4.5〜5.5として溶解した。この溶液に、上記(1)で得られたジアゾ懸濁液を、15〜25℃で約30分かけ滴下した。滴下中は炭酸ナトリウムの添加により溶液のpH値を3.5〜4.5に保持した。その後2時間攪拌し、塩化ナトリウムの添加により塩析し、析出物を濾過分離して、下記式(14)のジスアゾ化合物を含むウェットケーキを得た。
式(13)
Figure 0005144278
式(14)
Figure 0005144278
(2)2−(シアノメチル)ベンズイミダゾールとアセト酢酸エチルをエタノール中、ナトリウムメトキシドの存在下に加熱反応させ、希塩酸の添加により酸析して下記式(15)の化合物を得た。得られた該化合物8.9部を6%発煙硫酸64部中に15〜25℃でゆっくり添加した。添加後、同温度で2時間撹拌した後、190部の氷水中に約10分で滴下した。析出した結晶を濾過分離し、乾燥して、式(16)の化合物10.7部を得た。
式(15)
Figure 0005144278
式(16)
Figure 0005144278
(3)上記(1)で得られた式(14)のジスアゾ化合物を含むウェットケーキを水80部に水酸化ナトリウムの添加によりpH値を6.0〜7.0として溶解し、ここに40%亜硝酸ナトリウム水溶液2.3部を添加後、この溶液を35%塩酸5.2部と水70部の混合液中に20〜30℃で滴下しジアゾ化した。このジアゾ懸濁液を、(2)で得られた式(16)の化合物3.0部を水50部に水酸化ナトリウムの添加によりpH値を8.0〜9.0として溶解した溶液に、20〜30℃で滴下した。滴下中は炭酸ナトリウムの添加によりpH値を7.0〜8.0に保持した。滴下後、同温度で2時間撹拌し、塩化ナトリウムの添加により塩析し、析出物を濾過分離した。得られたウェットケーキを水60部に溶解後、メタノール100部の添加により晶析し、析出物を濾過分離した。得られたウェットケーキを更に水50部に溶解後、メタノール120部の添加により晶析し、析出物を濾過分離し、乾燥して本発明の式(17)のトリスアゾ化合物(表2におけるNo.1の化合物)8.2部をナトリウム塩として得た。この化合物のpH7〜8の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は554nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
式(17)
Figure 0005144278
実施例1−2
(1)実施例1−1の(2)における、式(15)の化合物の6%発煙硫酸中への添加後の撹拌行程を、30〜35℃で6時間の撹拌とする以外は実施例1−1と同様にして、式(18)の化合物10.3部を得た。
式(18)
Figure 0005144278
(2)実施例1−1の(3)において、式(16)の化合物3.0部を上記式(18)の化合物3.2部に代える以外は実施例1−1と同様にして、本発明の式(19)のトリスアゾ化合物(表2におけるNo.2の化合物)8.0部をナトリウム塩として得た。この化合物のpH7〜8の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は545nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
式(19)
Figure 0005144278
実施例1−3
(1)水100部に5−スルホアントラニル酸21.7部を水酸化ナトリウムの添加によりpH5.0〜6.0として溶解した。該溶液に35%塩酸31.3部を添加後、0〜5℃とし、40%亜硝酸ナトリウム水溶液19.0部を添加しジアゾ化した。このジアゾ溶液に式(13)の化合物24.0部を、水240部に水酸化ナトリウムの添加によりpH値を4.5〜5.5として溶解させた液を約20分かけて滴下した。滴下後、そこに10〜20℃で炭酸ナトリウムを添加し、pH値を2.0〜3.0とし、同温度、pHを保持したまま3時間撹拌した。撹拌後塩化ナトリウムの添加により塩析し、この析出物を濾過分離、乾燥させ、下記式(20)の化合物42.1部を得た。
式(20)
Figure 0005144278
(2)実施例1−1の(1)において、式(12)の化合物5.4部を使用する代わりに上記式(20)の化合物7.1部を使用する以外は実施例1−1と同様にして、本発明の式(21)のトリスアゾ化合物(表2におけるNo.6の化合物)8.9部をナトリウム塩として得た。この化合物のpH7〜8の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は553nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
式(21)
Figure 0005144278
実施例1−4
実施例1−3の(2)において、実施例1−1の(3)の行程で使用する式(16)の化合物の代わりに式(18)の化合物を使用すること以外は実施例1−3と同様にして、本発明の式(22)のトリスアゾ化合物(表3におけるNo.7の化合物)8.7部をナトリウム塩として得た。この化合物のpH7〜8の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は557nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
式(22)
Figure 0005144278
実施例1−5
実施例1−1の(2)において、アセト酢酸エチルの代わりに3−ケト−n−ヘキサン酸エチルエステルを使用する以外は実施例1−1と同様にして、本発明の式(23)のトリスアゾ化合物(表2におけるNo.3の化合物)8.2部をナトリウム塩として得た。この化合物のpH7〜8の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は555nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
式(23)
Figure 0005144278
実施例1−6
実施例1−1の(2)において、アセト酢酸エチルの代わりにベンゾイル酢酸エチルを使用する以外は実施例1−1と同様にして、本発明の式(24)のトリスアゾ化合物(表2におけるNo.4の化合物)8.4部をナトリウム塩として得た。この化合物のpH7〜8の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は548nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
式(24)
Figure 0005144278
実施例1−7〜1−10
(A)インクの調製
下記表4に記載する各成分をそこに記載する割合において混合することにより黒色の本発明のインク組成物を得、0.45μmのメンブランフィルターで濾過する事により夾雑物を除いた。
なお、水はイオン交換水を使用した。また、表4の水+水酸化ナトリウムの割合は、インク調製時において、インクのpHを水酸化ナトリウムでpH7〜9に調整し、その後イオン交換水を加え、実施例化合物の濃度を5%に調整して、総量100部とした時の割合である。
表4
上記各実施例1−1〜1−4で得られた化合物 5.0部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(商品名サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化ナトリウム 75.9部
計 100.0部
表4において、上記実施例1−1、1−2、1−3、1−4で得られた式(17)、式(19)、式(21)および式(22)の各化合物を用いた試験を、それぞれ実施例1−7、1−8、1−9、1−10とする。これらの水性インク組成物は、貯蔵中、沈殿分離が生ぜず、また長期間保存後においても物性の変化は生じなかった。
比較例1
比較対象は水溶性インクジェット用色素として、特許文献1の表1−1の1の色素(下記式(25))を用いて実施例1−7〜1−10と同様の組成でインク組成物を調製した。
式(25)
Figure 0005144278
比較例2
比較例1と同様に、比較対象には水溶性インクジェット用色素として、特許文献3の実施例1で説明される色素AN−250(下記式(26))を用いて実施例1−7〜1−10と同様の組成でインク組成物を調製した。
式(26)
Figure 0005144278
(B)インクジェットプリント
上記で得られたインク組成物を使用し、インクジェットプリンタ(商品名 PIXUS iP7100 Canon株式会社製 )により、専用光沢紙1(Canon株式会社製、商品名:プロフェッショナルフォトペーパー PR−101)、専用光沢紙2(EPSON株式会社製 商品名:写真用紙<光沢> KA420PSK)の2種の紙にインクジェット記録を行った。
印刷の際は、反射濃度が数段階の階調で得られるように画像パターンを作り、黒色の印字物を得た。
耐光性試験、耐オゾンガス性試験の評価は測色機(商品名:SpectroEye、 GRETAG−MACBETH社製)を用い、試験前の印刷物の反射濃度D値が1.0に最も近い階調部分を用いて行った。
(C)記録画像の評価
本発明の水性インク組成物による記録画像において、耐光性試験後および耐オゾンガス性試験後の濃度変化について評価を行った。尚、試験は専用光沢紙1および2について行った。その結果を表5に示した。具体的な試験方法は下記に示した。
1)耐光性試験
キセノンウェザオメーター(商品名:Ci4000、ATLAS社製)を用い、0.36W/平方メートル照度、湿度60%RH、温度24℃の条件で50時間照射した。試験終了後、上記の測色機を用いて測色し、色素残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で求め以下の基準で評価を行った。
○ 残存率:90%以上
△ 残存率:90%未満で80%以上
× 残存率:80%未満
結果を表5に示す。
2)耐オゾンガス性試験
オゾンウェザオメーター(商品名、スガ試験機株式会社製)を用いてオゾン濃度を12ppm、湿度60%RH、温度24℃で印刷サンプルを4時間放置した。試験終了後、上記の測色機を用いて測色し、色素残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で求め以下の基準で評価を行った。
○ 残存率:70%以上
△ 残存率:60%以上70%未満
× 残存率:60%未満
結果を表5に示す。なお、表5には後記実施例2−10の結果も記載する。
表5
耐光性 耐オゾンガス性
実施例1−7 (式(17))
専用光沢紙1 ○ ○
専用光沢紙2 ○ ○
実施例1−8 (式(19))
専用光沢紙1 ○ ○
専用光沢紙2 ○ ○
実施例1−9 (式(21))
専用光沢紙1 ○ ○
専用光沢紙2 ○ ○
実施例1−10(式(22))
専用光沢紙1 ○ ○
専用光沢紙2 ○ ○
実施例2−10(式(36))
専用光沢紙1 ○ ○
専用光沢紙2 ○ ○
比較例1 (式(25))
専用光沢紙1 × ×
専用光沢紙2 △ ○
比較例2 (式(26))
専用光沢紙1 × ×
専用光沢紙2 △ ○
表5の結果より明らかなように、本発明のアゾ化合物を含有するインク組成物により記録された画像は、従来の黒色染料(比較例)の画像と比較して耐オゾンガス性では同等かそれ以上の堅牢性を示し、いずれの専用光沢紙においても良好な結果が得られた。すなわち比較例1及び2は専用光沢紙1を用いた場合に色素残存率が60%未満であるのに対して本発明の実施例1−7〜1−10及び2−10はいずれの専用光沢紙を用いた場合にも70%以上の色素残存率を示した。また耐光性においてはより明確に差が現れ、本発明のアゾ化合物を含有するインク組成物である実施例1−7〜1−10及び2−10はいずれの専用光沢紙を用いた場合においても色素残存率が90%以上(○)を示したが、比較例1および2は専用光沢紙2を用いた場合にはいずれも90%未満で80%以上(△)、さらに専用光沢紙1を用いた場合にはいずれも80%未満(×)の色素残存率であった。これらの結果から、本発明の実施例1−7〜1−10及び2−10は比較例に比して著しく良好な結果であり、本発明のトリスアゾ化合物により記録された画像の堅牢度は極めて優れていることがわかる。
また本発明のアゾ化合物は溶解度が高く安定なので、高濃度のインクが設計できる。
実施例2−1
式(16)の化合物3.0部を95%硫酸20部に溶解し、60℃に加熱後1.5時間撹拌した。室温に冷却後、60部の氷水中に反応液を滴下し、塩化ナトリウムの添加後、結晶を濾過分離した。塩化ナトリウムを溶解させた希塩酸水で結晶をロート上で洗浄後、乾燥して前記式(18)の化合物2.5部を得た。
実施例2−2
(1)実施例1−3の(1)において、5−スルホアントラニル酸21.7部の代わりに5−アミノイソフタル酸18.1部を使用すること以外は実施例1−3の(1)と同様にして、下記式(27)の化合物を得た。
式(27)
Figure 0005144278
(2)実施例1−1の(1)において、式(12)の化合物5.4部を使用する代わりに上記式(27)の化合物6.6部を使用する以外は実施例1−1と同様にして、下記式(28)のトリスアゾ化合物(表6におけるNo.13の化合物)8.5部をナトリウム塩として得た。この化合物のpH7〜8の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は554.5nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
式(28)
Figure 0005144278
実施例2−3
(1)実施例1−3の(1)において、5−スルホアントラニル酸21.7部の代わりに2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム24.0部を使用すること以外は実施例1−3の(1)と同様にして、下記式(29)の化合物を得た。
式(29)
Figure 0005144278
(2)実施例1−1の(1)において、式(12)の化合物5.4部を使用する代わりに上記式(29)の化合物7.1部を使用する以外は実施例1−1と同様にして、本発明の式(30)のトリスアゾ化合物(表6におけるNo.14の化合物)8.9部をナトリウム塩として得た。この化合物のpH7〜8の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は559.5nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
式(30)
Figure 0005144278
実施例2−4
(1)実施例1−3の(1)において、5−スルホアントラニル酸21.7部の代わりに4−アミノベンゼンスルホン酸17.3部を使用すること以外は実施例1−3の(1)と同様にして、下記式(31)の化合物を得た。
式(31)
Figure 0005144278
(2)実施例1−1の(1)において、式(12)の化合物5.4部を使用する代わりに上記式(31)の化合物6.4部を使用する以外は実施例1−1と同様にして、本発明の式(32)のトリスアゾ化合物(表6におけるNo.15の化合物)8.2部をナトリウム塩として得た。この化合物のpH7〜8の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は558.5nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
式(32)
Figure 0005144278
実施例2−5
(1)実施例1−3の(1)において、5−スルホアントラニル酸21.7部の代わりに2−アミノベンゼン−1,4−ジスルホン酸モノナトリウム27.5部を使用すること以外は実施例1−3の(1)と同様にして、下記式(33)の化合物を得た。
式(33)
Figure 0005144278
(2)実施例1−1の(1)において、式(12)の化合物5.4部を使用する代わりに上記式(33)の化合物7.6部を使用する以外は実施例1−1と同様にして、本発明の式(34)のトリスアゾ化合物(表6におけるNo.16の化合物)9.0部をナトリウム塩として得た。この化合物のpH7〜8の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は552.5nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
式(34)
Figure 0005144278
実施例2−6
(1)実施例1−3の(1)において、5−スルホアントラニル酸21.7部の代わりに2−アミノベンゼン−1,5−ジスルホン酸25.3部を使用すること以外は実施例1−3の(1)と同様にして、下記式(35)の化合物を得た。
式(35)
Figure 0005144278
(2)実施例1−1の(1)において、式(12)の化合物5.4部を使用する代わりに上記式(35)の化合物7.6部を使用する以外は実施例1−1と同様にして、本発明の式(36)のトリスアゾ化合物(表6におけるNo.17の化合物)9.0部をナトリウム塩として得た。この化合物のpH7〜8の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は557.5nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
式(36)
Figure 0005144278
実施例2−7
(1)4−ヒドロキシアセトアニリド25.0部、炭酸カリウム25.5部及び2−プロパノール120部の混合液を80℃に加熱し、ここにプロパンスルトン22.6部を2−プロパノール60部に溶解した溶液を滴下した。滴下後、80℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、35%塩酸60部を水40部で希釈した溶液を滴下した。80℃に加熱し、溶媒の一部を留去しながら2.5時間撹拌し、その後100℃で1時間撹拌した。室温まで冷却後、析出物を濾過分離、乾燥させ、下記式(37)の化合物34部を得た。
式(37)
Figure 0005144278
(2)実施例1−3の(1)において、5−スルホアントラニル酸21.7部の代わりに上記反応で得た式(37)の化合物23.1部を使用すること以外は実施例1−3の(1)と同様にして、下記式(38)の化合物を得た。
式(38)
Figure 0005144278
(3)実施例1−1の(1)において、式(12)の化合物5.4部を使用する代わりに上記式(38)の化合物7.3部を使用する以外は実施例1−1と同様にして、本発明の式(39)のトリスアゾ化合物(表7におけるNo.18の化合物)9.2部をナトリウム塩として得た。この化合物のpH7〜8の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は564.0nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
式(39)
Figure 0005144278
実施例2−8
(1)実施例1−3の(1)において、5−スルホアントラニル酸21.7部の代わりに2−アミノ−5−メトキシベンゼンスルホン酸20.3部を使用すること以外は実施例1−3の(1)と同様にして、下記式(40)の化合物を得た。
式(40)
Figure 0005144278
(2)実施例1−1の(1)において、式(12)の化合物5.4部を使用する代わりに上記式(40)の化合物6.9部を使用する以外は実施例1−1と同様にして、本発明の式(41)のトリスアゾ化合物(表7におけるNo.19の化合物)8.9部をナトリウム塩として得た。この化合物のpH7〜8の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は562.5nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
式(41)
Figure 0005144278
実施例2−9
(1)2−アセチルアミノ−p−クレゾール20.1部、炭酸カリウム18.8部及び2−プロパノール90部の混合液を80℃に加熱し、ここにブタンスルトン18.3部を滴下した。滴下後、80℃で2時間撹拌した。室温まで冷却後、水20部添加し、次に35%塩酸42部を水20部で希釈した溶液を滴下した。80℃に加熱し、溶媒の一部を留去しながら2.5時間撹拌し、その後100℃で2時間撹拌した。室温まで冷却後、塩化ナトリウムの添加により塩析し、析出物を濾過分離、乾燥させ、下記式(42)の化合物22.0部を得た。
式(42)
Figure 0005144278
(2)実施例1−1の(1)において、式(13)の化合物3.6部を使用する代わりに上記式(42)の化合物3.8部を使用する以外は実施例1−1と同様にして、本発明の式(43)のトリスアゾ化合物(表7におけるNo.20の化合物)8.2部をナトリウム塩として得た。この化合物のpH7〜8の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は555.5nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
式(43)
Figure 0005144278
実施例2−10
上記の実施例2−6で得られた化合物(36)を、上記各実施例1−1〜1−4で得られた化合物の代わりに用いる以外は前記実施例1−7〜1−10の(A)インクの調製におけるのと同様の操作を行い、インクを調製した。このインクを用いた試験を実施例2−10とする。実施例2−10の試験結果は前記の表5に記載した。この水性インク組成物は、貯蔵中、沈殿分離が生ぜず、また長期間保存後においても物性の変化は生じなかった。
合成例1
(1)2−アミノ−5−ナフトール−1,7−ジスルホン酸6.4部とp−トルエンスルホニルクロライド4.1部とをpH8.0〜8.5、70℃で1時間反応させた後、酸性にて塩析し、析出物をろ過分離して下記式(66)の化合物を得た。該化合物8.8部を水90部中に、炭酸ナトリウムでpH6.0〜8.0に調整しながら溶解した。そこに35%塩酸6.8部を添加した後、該溶液を0〜5℃に冷し、そこに40%亜硝酸ナトリウム水溶液3.6部を添加し、ジアゾ化した。
式(66)
Figure 0005144278
このジアゾ懸濁液に、水60部に懸濁した4−アミノ−5−ナフトール−1,7−ジスルホン酸 5.8部を添加した。該懸濁液を、10〜20℃で、pH値を炭酸ナトリウムで2.4〜2.8に保持しながら、4時間攪拌した。次いで、得られた反応液のpH値を炭酸ナトリウムにて7.0〜8.5として析出した固体を溶解し、式(67)のモノアゾ化合物を含む溶液を得た。
式(67)
Figure 0005144278
(2)水50部に4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウム5.2部を溶解し、ここに0〜5℃で35%塩酸6.4部、40%亜硝酸ナトリウム水溶液4.0部を添加しジアゾ化した。得られた懸濁液を、上記(1)にて得られた式(67)の化合物を含む溶液に10〜20℃、pH値を炭酸ナトリウムにて8.0〜9.0に保持しながら滴下した。滴下終了後、15〜30℃で2時間、pH8.0〜9.0で攪拌し、式(68)の化合物を含む溶液を得た。
式(68)
Figure 0005144278
上記で得られた溶液を、70℃に加熱後、水酸化ナトリウムにてpH値を10.5〜11.0に保持しながら1.5時間攪拌した。室温まで冷却後、35%塩酸によりpH7.0〜8.0とし、塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、析出物を濾過分離して式(69)の化合物を含むウェットケーキを得た。
式(69)
Figure 0005144278
(3)特許文献13に記載の方法で得られる下記式(70)の化合物15.3部(反応液から35%塩酸にてpH値を0.5以下として酸析し析出物を濾過分離し乾燥させたもの)を水130部に加え、これを水酸化ナトリウムにてpH6.0〜7.0として溶解し、ここに0〜5℃で35%塩酸7.7部、40%亜硝酸ナトリウム水溶液4.0部を添加しジアゾ化した。
式(70)
Figure 0005144278
次いで、前記式(13)の化合物4.9部を水30部に、水酸化ナトリウムの添加によりpH4.5〜5.5として溶解し、この溶液を、15〜25℃で約30分かけ、上記のジアゾ化反応液に滴下した。滴下終了後、pH値を炭酸ナトリウムの添加により3.5〜4.5とし、その後2時間攪拌し、更に炭酸ナトリウムを添加しpH値を7.0〜8.0としてカップリング反応を完結させ、塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、析出物を濾過分離して下記式(72)の化合物を含むウェットケーキを得た。
式(72)
Figure 0005144278
(4)上記(3)で得られた式(72)の化合物を含むウェットケーキを水80部に水酸化ナトリウムの添加によりpH値を6.0〜7.0として溶解し、ここに35%塩酸8.3部、40%亜硝酸ナトリウム水溶液3.0部を添加しジアゾ化し、ジアゾ懸濁液を得た。一方、上記(2)で得られた式(69)の化合物を含むウェットケーキを水120部に加え、水酸化ナトリウムの添加によりpH値を8.0〜9.0に調整し、該ケーキを溶解した。得られた溶液に、20〜30℃で、上記で得た式(72)の化合物のジアゾ懸濁液を滴下した。滴下中は炭酸ナトリウムの添加によりpH値を8.0〜9.0に保持した。滴下後、同温度で2時間撹拌し、カップリング反応を完結させ、式(73)の化合物を含む反応液を得た。
式(73)
Figure 0005144278
得られた反応液を70℃に加熱し、水酸化ナトリウムにてpH10.8〜11.0に保持しながら2時間反応させた。反応後、35%塩酸にてpH6.0〜7.5に調整し、塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出物を濾過分離した。得られたウェットケーキを水200部に溶解後、メタノール250部の添加により晶析し、析出物を濾過分離した。得られたウェットケーキを水170部に溶解後、メタノール250部を添加して晶析し、析出物を濾過分離し、乾燥して式(74)の化合物15.4部をナトリウム塩として得た。この化合物のpH7〜8の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は625nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
式(74)
Figure 0005144278
合成例2
(1)合成例1(3)において、特許文献13の記載の方法で得られる式(71)の化合物を式(70)の化合物の代わりに使用する以外は合成例1と同様にして本発明の下記式(75)の化合物13.2部をナトリウム塩として得た。この化合物のpH7〜8の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は615nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
式(71)
Figure 0005144278
式(75)
Figure 0005144278
合成例3
(1) 合成例1の(2)において、4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウムの代わりに2−ニトロアニリン−4−スルホン酸ナトリウムを使用する以外は合成例1と同様にして、本発明の式(76)のアゾ化合物14.3部をナトリウム塩として得た。この化合物のpH7〜8の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は636nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
式(76)
Figure 0005144278
合成例4
水600部中に式(77)で表される化合物14.3部を加え、液体苛性ソーダでpH6.0〜7.0に調整し、そこに10〜20℃で塩化シアヌル6.1部を添加した。添加後、炭酸ナトリウムでpH6.0〜7.5を保ち、2時間攪拌し、式(78)の化合物を含む溶液を得た。
式(77)
Figure 0005144278
式(78)
Figure 0005144278
この溶液を30〜40℃に昇温し、式(77)の化合物17.1部を添加した。添加後、炭酸ナトリウムでpH=7.0〜8.5を保ち、3時間攪拌し、式(79)の化合物を含む溶液を得た。
式(79)
Figure 0005144278
この溶液を80〜95℃に昇温し、タウリン5.0部を添加した。添加後、炭酸ナトリウムでpH9.0〜10.0を保ち、6時間攪拌し、塩化ナトリウムにより塩析し、析出物をろ過分離した。得られたケーキ全量を水300部に溶解し、2−プロパノール600部により晶析させることより脱塩し、次いで乾燥し、式(80)の化合物30.1部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長は415nmであった。
式(80)
Figure 0005144278
合成例5
合成例4のタウリン5.0部をイミノジ酢酸12.5部とする以外は合成例4と同様の方法で式(81)の化合物31.0部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長は425nmであった。
式(81)
Figure 0005144278
合成例6(特許文献13の合成例1に記載の橙色染料化合物の合成)
水675部中に式(82)の化合物を115部、式(83)の化合物98部、48%水酸化ナトリウム水溶液61部、エチレングリコール11部を加え98℃で10時間撹拌し、縮合反応を完結させた。
式(82)
Figure 0005144278
式(83)
Figure 0005144278
得られた反応液に、水280部を追加し、液温を85〜88℃に調整しグルコース12部を加えて2時間撹拌し、還元反応を完結させた。次いで、塩酸を用いてpHを9.0〜9.5に調整し、塩化ナトリウムを用いて塩析を行い、析出物をろ過分離した。得られたケーキ全量を水2000部に溶解し、メタノール2000部の添加により晶析させ、結晶を濾過、分離することにより脱塩した。次いで得られた結晶を乾燥して、橙色の染料化合物192部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長(λmax)は413nmであり、また水への溶解度は100g/l以上であった。
(A)インクの調製
以下、染料成分は全て脱塩処理されたものを用いた。
実施例3−1
下記表I−8の成分を混合することにより本発明の水性黒色インク組成物を調製した。次いで、0.45μmのメンブランフィルターで濾過する事により、狭雑物を除いた水性黒色インク組成物を得た。
表I−8
実施例1−1で得られた式(17)の化合物(Na、Li混合塩)1.5部
合成例1で得られた式(74)の化合物(Na塩) 2.25部
合成例4で得られた式(80)の化合物(Na塩) 1.25部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(商品名サーフィノール104 日信化学社製)
水+水酸化ナトリウム水溶液 75.9部
計 100.0部
実施例3−2
下記表I−9の成分を混合することにより本発明の水性黒色インク組成物を調製した。次いで、0.45μmのメンブランフィルターで濾過する事により、狭雑物を除いた水性黒色インク組成物を得た。
表I−9
実施例2−6で得られた式(36)化合物(Na塩) 1.3部
合成例1で得られた式(74)の化合物(Na塩) 2.35部
合成例4で得られた式(80)の化合物(Na塩) 1.35部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(商品名サーフィノール104 日信化学社製)
水+水酸化ナトリウム水溶液 75.9部
計 100.0部
(B)インクジェットプリント
上記で得られたそれぞれの本発明の水性黒色インク組成物を使用し、インクジェットプリンタ(商品名PIXUS iP4100、Canon株式会社製)により、専用光沢紙A(商品名:プロフェッショナルフォトペーパー PR101、Canon株式会社製)及び専用光沢紙B(商品名:スーパーフォトペーパー SP−101、Canon株式会社製)の2種の紙にインクジェット記録を行った。印刷の際は、反射濃度が数段階の階調が得られるように画像パターンを作り、ハーフトーンの黒色印字物を得た。以下に記載する試験方法のうち、測色機を用いて評価する項目である色相評価の測定では、印刷物のa*値、b*値を測色する際に、この印刷物の反射濃度D値が最も高い部分を用いた。同様に測色機を用いる耐光性試験および耐オゾンガス性試験における測定の際には、試験前の印刷物の反射濃度D値が1.0に最も近い階調部分を用いて測定を行った。色相評価については、印刷物全体を目視にて評価した。
(C)記録画像の評価
本発明の水性インク組成物による記録画像につき、色相、印刷濃度、耐光性試験後の色相変化、耐オゾンガス性試験後の色相変化について評価を行った。その結果を後記表I−11に示した。試験方法は下記に示した。
(1) 色相評価
記録画像の色相評価(数値データ)は目視による評価と、測色機による評価を併用した。測色機による評価では、Gretag Macbeth SpectroEye(商品名、GRETAG社製)を用いてa*値とb*値を測色し、C*値を算出した。C*値の算出式はC*={(a*+(b*1/2である。判定基準を以下に示す。
○ 目視では色味のない良好な黒色であり、測色するとC*<6.0である。
△ 目視では色味のない良好な黒色であるが、測色すると6.0≦C*≦10である。
× 目視で色味がついている、若しくは目視では色味のない黒色であるが、測色すると10<C*である。
(2) 印刷濃度評価
Gretag Macbeth SpectroEye(商品名、GRETAG社製)を用いて色相濃度D値を測定した。判定基準を以下に示す。
○ 2.2≦D
△ 2.0≦D<2.2
× D<2.0
(3)耐光性試験
キセノンウェザオメーターCi4000(商品名、ATLAS社製)を用い、印刷サンプルに0.36W/平方メートルの照度で100時間照射した。試験終了後上記と同様に測色し、試験前後の色差(ΔE)及び濃度の残存率を求めた。判定は以下の基準によって行った。
○ ΔE:15未満で、かつ残存率:75%以上
△ ΔEと残存率のどちらか一方だけが○の条件を満たさない
× ΔE:15以上で、かつ残存率:75%未満
(4)耐オゾン性試験
オゾンウェザーメーター(スガ試験機社製)を用いてオゾンガス濃度を12ppm、湿度60%RH、温度24℃で印刷サンプルを4時間放置した。試験終了後上記と同様に測色し、試験前後の色差(ΔE)及び濃度の残存率を求めた。判定は以下の基準によって行った。
○ ΔE:15未満で、かつ残存率:75%以上
△ ΔEと残存率のどちらか一方だけが○の条件を満たさない
× ΔE:15以上で、かつ残存率:75%未満
比較例I−1
比較対象として特許文献13の実施例2に記載のインク組成物を下記表I−10の組成で調整した。前記(B)インクジェットプリント、及び(C)記録画像の評価と同様に行った記録画像の評価結果を表I−11に示した。
表I−10
下記式(84)の化合物 1.2部
下記式(85)の化合物 2.4部
合成例20で得られた化合物 1.4部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(サーフィノール104 日信化学社製)
水+水酸化リチウム水溶液 75.9部
計 100.0部
式(84)
Figure 0005144278
式(85)
Figure 0005144278
表I−11
色相 濃度 耐光性 耐オゾンガス性
実施例I−1
専用光沢紙A ○ ○ ○ ○
専用光沢紙B ○ ○ ○ ○
実施例I−2
専用光沢紙A ○ ○ ○ ○
専用光沢紙B ○ ○ ○ ○
比較例I−1
専用光沢紙A ○ ○ × ×
専用光沢紙B ○ ○ × ×
表I−11より明らかなように、比較例I−1のインク組成物を使用した記録画像は専用光沢紙AおよびBのいずれを使用した場合においても耐光性において試験前後の色差が15以上でありかつ色素残存率が75%未満(×の判定)であり、また耐オゾンガス性においても同様に色差が15以上でありかつ色素残存率が75%未満(×の判定)であった。
これと比較して本発明のインク組成物を使用した記録画像は、非常に良好な色相、印刷濃度を有し、また耐光性において試験前後の色差が15未満でありかつ色素残存率が75%以上(○の判定)であり、また耐オゾンガス性においても同様に色差が15未満でありかつ色素残存率が75%以上(○の判定)と、耐光性、耐オゾンガス性が著しく優れている事がわかる。したがって、本発明のインク組成物は、黒色インク組成物として極めて有用である。
合成例7
(1)2−アミノ−5−ナフトール−1,7−ジスルホン酸6.4部とp−トルエンスルホニルクロライド4.1部とをpH8.0〜8.5、70℃で1時間反応させた後、酸性にて塩析し、析出物を、ろ過分離して式(II−49)の化合物を得た。該化合物8.8部を水90部中に加え、炭酸ナトリウムでpH6.0〜8.0に調整しながら溶解した。該溶液に、35%塩酸6.8部の添加後、液温を0〜5℃に冷やし、40%亜硝酸ナトリウム水溶液3.6部を添加し、ジアゾ化した。
式(II−49)
Figure 0005144278
このジアゾ懸濁液に、4−アミノ−5−ヒドロキシナフタレン−1,7−ジスルホン酸5.8部を水60部に懸濁した液を添加した後、液温10〜20℃で、溶液のpH値を炭酸ナトリウムにて2.4〜2.8に保持しながら4時間攪拌した。次いで、pH値を炭酸ナトリウムにて7.0〜8.5として溶解し、式(II−50)のモノアゾ化合物を含む溶液を得た。
式(II−50)
Figure 0005144278
(2)水50部に4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウム5.2部を溶解し、ここに0〜5℃で35%塩酸6.4部、40%亜硝酸ナトリウム水溶液4.0部を添加しジアゾ化した。このジアゾ懸濁液を、上記反応にて得られた式(II−50)のモノアゾ化合物を含む溶液に10〜20℃、溶液のpH値を炭酸ナトリウムにて8.0〜9.0に保持しながら滴下した。滴下終了後、15〜30℃で2時間、pH8.0〜9.0で攪拌し、式(II−51)のジスアゾ化合物を含む溶液を得た。
式(II−51)
Figure 0005144278
上記で得られた溶液を、70℃に加熱後、水酸化ナトリウムにてpH値を10.5〜11.0に保持しながら1.5時間攪拌した。室温まで冷却後、35%塩酸によりpH7.0〜8.0とし、塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、析出物を濾過分離して式(II−52)の化合物を含むウェットケーキを得た。
式(II−52)
Figure 0005144278
(3)式(II−49)の化合物7.5部を水80部中に加え、炭酸ナトリウムでpH6.0〜8.0に調整しながら溶解した。そこに35%塩酸5.8部を添加した後、液温を0〜5℃に冷やし、40%亜硝酸ナトリウム水溶液2.9部を添加し、ジアゾ化した。このジアゾ懸濁液を、水150部に式(II−52)の化合物を含むウェットケーキを溶解させた溶液に、該液温を15〜30℃、該溶液のpH値を炭酸ナトリウムにて8.0〜9.0に保持しながら滴下した。滴下終了後、得られた液のpH8.0〜9.0、該液温15〜30℃で2時間で攪拌し、式(II−53)のトリスアゾ化合物を含む溶液を得た。
式(II−53)
Figure 0005144278
上記で得られた溶液を、70℃に加熱後、水酸化ナトリウムにてpH値を10.5〜11.0に保持しながら1.5時間攪拌した。室温まで冷却後、35%塩酸によりpH7.0〜8.0とし、塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、析出物を濾過分離して式(II−54)の化合物を含むウェットケーキを得た。
式(II−54)
Figure 0005144278
(4)水55部に下記式(II−55)の化合物5.3部を水酸化ナトリウムにてpH6.0〜7.0として溶解し、ここに0〜5℃で35%塩酸4.9部、40%亜硝酸ナトリウム水溶液2.7部を添加しジアゾ化した。このジアゾ懸濁液を、上記反応にて得られた式(II−54)の化合物を含むウェットケーキを水260部で溶解させた溶液に、該溶液温度15〜30℃、該溶液のpH値8.0〜9.0を保持しながら滴下した。該pH値の保持は炭酸ナトリウムで行った。滴下終了後、pH8.0〜9.0を保ったまま、15〜30℃で2時間で攪拌し、塩化リチウムの添加により塩析し、析出物を濾過分離した。得られたウェットケーキを水110部に溶解し、2−プロパノール250部の添加により晶析、ろ過分取した。更に得られたウェットケーキを水100部に溶解後、2−プロパノール250部の添加により晶析し、析出物を濾過分離、乾燥して式(II−56)のアゾ化合物(表II−3におけるNo.2−1の化合物)17.0部をリチウムとナトリウムの混合塩として得た。この化合物のpH9の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は572nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
式(II−55)
Figure 0005144278
式(II−56)
Figure 0005144278
合成例8
合成例7の(2)における4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウム5.2部を2−ニトロアニリン−4−スルホン酸ナトリウム5.2部とする以外は合成例7と同様にして、式(II−57)のアゾ化合物(表II−3におけるNo.2−2の化合物)17.0部をリチウムとナトリウムの混合塩として得た。この化合物のpH9での水溶液中での最大吸収波長(λmax)は571nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
式(II−57)
Figure 0005144278
合成例9
水55部に、特開2005−068416に記載の方法で得られる下記式(II−58)の化合物10.8部を加え、水酸化ナトリウムにてpH6.0〜7.0として溶解し、ここに0〜5℃で35%塩酸4.9部、40%亜硝酸ナトリウム水溶液2.7部を添加しジアゾ化し、ジアゾ懸濁液を得た。別に上記合成例8の(3)の反応で得られた式(II−54)の化合物を含むウェットケーキを水260部に溶解した。該溶液に、先に得たジアゾ懸濁液を、溶液の温度15〜30℃、溶液のpH値8.0〜9.0を保持しながら、滴下した。pHの保持は炭酸ナトリウムで行った。滴下終了後、液温15〜30℃、pH8.0〜9.0で2時間攪拌した。さらに該液を70℃に加熱後、水酸化ナトリウムにてpH値を10.5〜11.0に保持しながら1.5時間攪拌した。
室温まで冷却後、35%塩酸によりpH7.0〜8.0とし、塩化リチウムの添加により塩析し、析出物を濾過分離した。
得られたウェットケーキを水450部に溶解し、2−プロパノール800部の添加により晶析し、析出物を濾過分離した。更に得られたウェットケーキを水450部に溶解後、2−プロパノール800部の添加により晶析し、析出物を濾過分離、乾燥して式(II−59)のアゾ化合物(表II−5におけるNo.2−13の化合物)10.0部をリチウムとナトリウムの混合塩として得た。この化合物のpH9の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は623nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
式(II−58)
Figure 0005144278
式(II−59)
Figure 0005144278
合成例10
合成例7の(4)における(II−55)の化合物5.3部の代わりに下記式(II−60)の化合物6.5部とする以外は合成例7と同様にして、式(II−61)のアゾ化合物(表II−3におけるNo.2−5の化合物)11.0部をリチウムとナトリウムの混合塩として得た。この化合物のpH9の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は612nmであり、溶解度は100g/L以上であった。
なお、(II−60)の化合物は例えば以下のような方法で得ることができる。すなわち、5−アミノイソフタル酸18.1部を水100部に水酸化ナトリウムにてpH6.0〜7.0として溶解し、ここに0〜5℃で35%塩酸36.5部、40%亜硝酸ナトリウム水溶液18.1部を添加しジアゾ化した。このジアゾ懸濁液を、特開2005−068416に記載の化合物(II−62)24.5部を水150部で溶解させた溶液に、5〜10℃、溶液のpH値を炭酸ナトリウムにて5.0〜6.0に保持しながら滴下した。滴下終了後、10〜20℃で2時間、pH8.0〜9.0で攪拌したのち、塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、析出物を濾過分離することにより、式(II−60)の化合物を含むウェットケーキを得ることができる。
式(II−60)
Figure 0005144278
式(II−61)
Figure 0005144278
式(II−62)
Figure 0005144278
合成例11
前記式(83)の化合物の代わりに、下記式(II−70)の化合物132部を用いる以外は合成例6と同様の方法で橙色の化合物230部を得た。
この化合物の水中での最大吸収波長(λmax)は437nm、また水への溶解度は100g/l以上であった。
式(II−70)
Figure 0005144278
合成例12(C.I.ダイレクトオレンジ62の合成)
水675部中に前記式(82)の化合物を115部、下記式(II−71)の化合物172部、48%水酸化ナトリウム水溶液61部、エチレングリコール11部を加え、98℃で7時間撹拌し、縮合反応を完結させた。
式(II−71)
Figure 0005144278
得られた反応液を、塩酸を用いてpHを9.0〜9.5に調整し、塩化ナトリウムを用いて塩析を行い、析出物を濾過分離した。得られたケーキ全量を水2000部に溶解し、メタノール2000部の添加により晶析させ、結晶を濾過、分離することにより脱塩した。次いで得られた結晶を乾燥して橙色の染料化合物(C.I.ダイレクトオレンジ62)214部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長(λmax)は494nmであり、また水への溶解度は100g/l程度であった。
(A)インクの調製
以下、染料成分は全て脱塩処理されたものを用いた。
実施例4−1
下記表II−9の成分を混合することにより本発明の水性黒色インク組成物を調製した。次いで、0.45μmのメンブランフィルターで濾過する事により、狭雑物を除いた水性黒色インク組成物を得た。
表II−9
実施例1−1で得られた式(17)の化合物(Na塩) 1.75部
合成例9で得られた式(II−59)の化合物(Na塩) 1.75部
合成例4で得られた式(80)の化合物(Na塩) 1.5部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(商品名サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化ナトリウム水溶液 75.9部
計 100.0部
実施例4−2
下記表II−10の成分を混合することにより本発明の水性黒色インク組成物を調製した。次いで、0.45μmのメンブランフィルターで濾過する事により、狭雑物を除いた水性黒色インク組成物を得た。
表II−10
実施例1−1で得られた式(17)の化合物(Na塩) 1.75部
合成例9で得られた式(II−59)の化合物(Na塩) 1.75部
合成例4で得られた式(80)の化合物(Na塩) 1.0部
合成例6で得られた化合物(Na塩) 0.5部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(商品名サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化ナトリウム水溶液 75.9部
計 100.0部
実施例4−3
下記表II−11の成分を混合することにより本発明の水性黒色インク組成物を調製した。次いで、0.45μmのメンブランフィルターで濾過する事により、狭雑物を除いた水性黒色インク組成物を得た。
表II−11
実施例1−2で得られた式(19)の化合物(Na塩) 1.9部
合成例9で得られた式(II−59)の化合物(Na塩) 1.65部
合成例4で得られた式(80)の化合物(Na塩) 1.45部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(商品名サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化ナトリウム水溶液 75.9部
計 100.0部
(B)インクジェットプリント
上記で得られたそれぞれの本発明の水性黒色インク組成物を使用し、インクジェットプリンタ(商品名:PIXUS iP4100、 Canon株式会社製)により、専用光沢紙A(商品名:プロフェッショナルフォトペーパー PR−101、 Canon株式会社製)及び専用光沢紙B(商品名:スーパーフォトペーパー SP−101、 Canon株式会社製)の2種の紙にインクジェット記録を行った。印刷の際は、反射濃度が数段階の階調が得られるように画像パターンを作り、ハーフトーンの黒色印字物を得た。以下に記載する試験方法のうち、測色機を用いて評価する項目である色相評価の測定では、印刷物のa*値、b*値を測色する際に、この印刷物の反射濃度D値が最も高い部分を用いた。同様に測色機を用いる耐光性試験、耐オゾンガス性試験の測定の際には、試験前の印刷物の反射濃度D値が1.0に最も近い階調部分を用いて測定を行った。色相評価については、印刷物全体を目視にて評価した。
(C)記録画像の評価
本発明の水性インク組成物による記録画像につき、色相、印刷濃度、耐光性試験後の色相変化、耐オゾンガス性試験後の色相変化について評価を行った。その結果を表24に示した。試験方法は下記に示した。
(1) 色相評価
記録画像の色相評価(数値データ)は目視による評価と、測色機による評価を併用した。測色機による評価では、Gretag Macbeth SpectroEye(GRETAG社製)を用いてa*値とb*値を測色し、C*値を算出した。C*値の算出式はC*={(a*+(b*1/2である。判定基準を以下に示す。
○ 目視では色味のない良好な黒色であり、測色するとC*<6.0である。
△ 目視では色味のない良好な黒色であるが、測色すると6.0≦C*≦10である。
× 目視で色味がついている、若しくは目視では色味のない黒色であるが、測色すると10<C*である。
(2) 印刷濃度評価
Gretag Macbeth SpectroEye(商品名、GRETAG社製)を用いて色相濃度D値を測定した。判定基準を以下に示す。
○ 2.2≦D
△ 2.0≦D<2.2
× D<2.0
(3)耐光性試験
キセノンウェザオメーターCi4000(商品名、ATLAS社製)を用い、印刷サンプルに0.36W/平方メートルの照度で100時間照射した。試験終了後上記と同様に測色し、試験前後の色差(ΔE)及び濃度の残存率を求めた。判定は以下の基準によって行った。
○ ΔE:15未満で、かつ残存率:75%以上
△ ΔEと残存率のどちらか一方だけが○の条件を満たさない
× ΔE:15以上で、かつ残存率:75%未満
(4)耐オゾン性試験
オゾンウェザーメーター(商品名:スガ試験機社製)を用いてオゾンガス濃度を12ppm、湿度60%RH、温度24℃で印刷サンプルを4時間放置した。試験終了後上記と同様に測色し、試験前後の色差(ΔE)及び濃度の残存率を求めた。判定は以下の基準によって行った。
○ ΔE:15未満で、かつ残存率:75%以上
△ ΔEと残存率のどちらか一方だけが○の条件を満たさない
× ΔE:15以上で、かつ残存率:75%未満
比較例II−1
比較対象として特開2005−68416の実施例2に記載のインク組成物(表II−12)を調整した。前記(B)インクジェットプリント、及び(C)記録画像の評価と同様に行った記録画像の評価結果を表13に示した。
表II−12
下記式(72)の化合物 1.2部
下記式(73)の化合物 2.4部
合成例6で得られた化合物 1.4部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(商品名:サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化リチウム水溶液 75.9部
計 100.0部
式(II−72)
Figure 0005144278
式(II−73)
Figure 0005144278
表II−13
色相 印刷濃度 耐光性 耐オゾンガス性
実施例II−1
専用光沢紙A ○ ○ ○ ○
専用光沢紙B ○ ○ ○ ○
実施例II−2
専用光沢紙A ○ ○ ○ ○
専用光沢紙B ○ ○ ○ ○
実施例II−3
専用光沢紙A ○ ○ ○ ○
専用光沢紙B ○ ○ ○ ○
比較例II−1
専用光沢紙A ○ ○ × ×
専用光沢紙B ○ ○ × ×
表II−13より明らかなように、比較例II−1のインク組成物を使用した記録画像は専用光沢紙AおよびBのいずれを使用した場合においても耐光性において試験前後の色差が15以上でありかつ色素残存率が75%未満(×の判定)であり、また耐オゾンガス性においても同様に色差が15以上でありかつ色素残存率が75%未満(×の判定)であった。
これと比較して本発明のインク組成物を使用した実施例II−1〜II−3の記録画像は、非常に良好な色相、印刷濃度を有し、また耐光性において試験前後の色差が15未満でありかつ色素残存率が75%以上(○の判定)であり、また耐オゾンガス性においても同様に色差が15未満でありかつ色素残存率が75%以上(○の判定)と、耐光性、耐オゾンガス性が著しく優れている事がわかる。したがって、本発明のインク組成物は、黒色インク組成物として極めて有用である。
本発明のトリスアゾ化合物を含有するインク組成物はインクジェット記録用、筆記用具用黒色インク液として好適に用いられる。

Claims (23)

  1. 遊離酸の形で下記式(1)
    Figure 0005144278
    (式中、基Aは置換フェニル基であり、カルボキシル基、スルホ基、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、スルファモイル基、(C1〜C4)アルキル基、(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基またはカルボキシル基で置換されていても良い)および(C1〜C4)アルキルスルホニル基(ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシル基で置換されていても良い)よりなる群から選択される置換基を有し、
    B及びCは置換パラフェニレン基であり、カルボキシル基、スルホ基、(C1〜C4)アルキル基及び(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基又はカルボキシル基で置換されていても良い)よりなる群から選択される置換基を有し、
    はカルボキシル基で置換されていても良い(C1〜C4)アルキル基、スルホ基で置換されていても良いフェニル基、またはカルボキシル基を表し、
    はシアノ基、カルバモイル基またはカルボキシル基を表し、
    およびRはそれぞれ独立して水素原子、メチル基、塩素原子またはスルホ基をそれぞれ表す)
    で表されるトリスアゾ化合物又はその塩。
  2. 基Aの置換基がスルホ基またはカルボキシル基であり、基Bおよび基C上の置換基の少なくともひとつがスルホ基またはスルホプロポキシ基である請求項1に記載のトリスアゾ化合物又はその塩。
  3. 式(1)の基Bおよび基Cが下記式(2)
    Figure 0005144278
    (式中、Rはスルホ基またはスルホプロポキシ基を、Rは水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基またはエトキシ基をそれぞれ表す。)
    で表される基である請求項1に記載のトリスアゾ化合物又はその塩
  4. 式(1)のRがメチル基、Rがシアノ基またはカルバモイル基、Rが水素原子、Rがスルホ基である請求項3に記載のトリスアゾ化合物又はその塩
  5. 式(1)における、基Aの置換基がスルホ基またはカルボキシル基、Rがメチル基、Rがシアノ基またはカルバモイル基、Rが水素原子、Rがスルホ基、基Bおよび基Cは上記式(2)で表され、Rがスルホ基またはスルホプロポキシ基、Rが水素原子またはメチル基である請求項3に記載のトリスアゾ化合物又はその塩。
  6. 式(1)における、基Aの置換基がスルホ基でその置換位置がアゾ基に対してパラ位、Rがメチル基、Rがシアノ基またはカルバモイル基、Rが水素原子、Rがスルホ基、基Bおよび基Cは上記式(2)で表され、基BにおけるRがスルホ基、Rが水素原子であり、基CにおけるRがスルホプロポキシ基、Rがメチル基である請求項3に記載のトリスアゾ化合物又はその塩。
  7. 請求項1に記載のトリスアゾ化合物又はその塩を少なくとも1種含むことを特徴とするインク組成物。
  8. 請求項7に記載のインク組成物を用いることを特徴とするインクジェットプリント記録方法。
  9. インクジェットプリント記録方法における被記録材が情報伝達用シートである請求項8に記載のインクジェットプリント記録方法。
  10. 情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するものである請求項9に記載のインクジェットプリント記録方法。
  11. 請求項に記載のインク組成物を含む容器を装填したインクジェットプリンタ。
  12. 請求項1から6のいずれか一項に記載のトリスアゾ化合物又はその塩、又は請求項7に記載のインク組成物によって着色された着色体。
  13. 式(1)における、基Bおよび基Cの少なくとも何れか一方がスルホ(C1〜C4)アルコキシ基で置換されたパラフェニレン基(該フェニレン基は更にC1〜C4)アルキル基で置換されていてもよい)である請求項1に記載のトリスアゾ化合物又はその塩
  14. 式(1)における、基Bおよび基Cの少なくとも何れか一方が2−スルホ(C1〜C4)アルコキシ−5−(C1〜C4)アルキル−1,4−フェニレン基である請求項13に記載のトリスアゾ化合物又はその塩
  15. 式(1)における、基Aが、一つの置換基として、スルホ基、スルホ(C1〜C4)アルコキシ基またはスルホ(C1〜C4)アルキルスルホニル基を有し、更にスルホ基、カルボキシル基、(C1〜C4)アルコキシ基またはニトロ基で置換されていてもよいフェニル基、またはジカルボキシル置換フェニル基である請求項1または13に記載のトリスアゾ化合物又はその塩
  16. 式(1)における、Rがカルボキシル基で置換されていても良い(C1〜C4)アルキル基またはフェニル基、Rはシアノ基、カルバモイル基またはカルボキシル基、RおよびRは一方が水素原子、他方がスルホ基である請求項15に記載のトリスアゾ化合物又はその塩
  17. 式(1)における、基Aが4−スルホフェニル基、2−カルボキシル−4−スルホフェニル基、2,4−または2,5−ジスルホフェニル基、4−スルホ(C1〜C4)アルコキシフェニル基、2−スルホ−4−(ニトロまたは(C1〜C4)アルコキシ)フェニル基または3,5−ジカルボキシフェニル基である請求項1または13に記載のトリスアゾ化合物又はその塩
  18. 式(1)における基Bおよび基Cの両者が3−スルホ(C1〜C4)アルコキシ−6−(C1〜C4)アルキル−1,4−フェニレン基、Rがカルボキシル基で置換されていても良い(C1〜C4)アルキル基、Rはシアノ基、RおよびRは一方が水素原子、他方がスルホ基である請求項17に記載のトリスアゾ化合物又はその塩
  19. 式(1)における基Aが2,4−ジスルホフェニル基、基Bおよび基Cの両者が2−(3−スルホプロポキシ)−5−メチル−1,4−フェニレン基、Rがメチル基、Rがシアノ基、RおよびRは一方が水素原子、他方がスルホ基である請求項1に記載のトリスアゾ化合物又はその塩
  20. (a)請求項1に記載のトリスアゾ化合物又はその塩、(b)350nmから550nmの範囲に最大吸収波長を有する染料及び(c)560nmから660nmの範囲に最大吸収波長を有する染料の三者を含む請求項7に記載のインク組成物。
  21. (b)350nmから550nmの範囲に最大吸収波長を有する染料が下記式(5)
    Figure 0005144278
    (式中、R31は水素原子;ヒドロキシ基;カルボキシ基;ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシ基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルアミノ基;カルボキシ(C1〜C5)アルキルアミノ基;ビス[カルボキシ(C1〜C5)アルキル]アミノ基;ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルカノイルアミノ基;カルボキシ基、スルホン酸基またはアミノ基で置換されていても良いフェニルアミノ基;スルホ基;ハロゲン原子;又はウレイド基を、基A''は置換アルキルアミノ基(該アルキル基上の置換基はカルボキシ基またはスルホ基)を、それぞれ示す)
    で表される化合物又はその塩である請求項20に記載のインク組成物。
  22. (c)560nmから660nmの範囲に最大吸収波長を有する染料が下記(I−2)で表される化合物又はその塩である請求項20に記載のインク組成物、
    式(I−2):
    Figure 0005144278
    (式中、R21及びR22はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基、N−アルキルアミノスルホニル基、N−フェニルアミノスルホニル基、ヒドロキシ基で置換されても良い(C1〜C4)アルキルスルホニル基、ホスホノ基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシ基及び(C1〜C4)アルコキシ基よりなる群から選択される基で置換されていても良い)、(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基及びカルボキシル基よりなる群から選択される基で置換されていても良い)、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又はフェニルスルホニルアミノ基(フェニル基はハロゲン原子、アルキル基及びニトロ基よりなる群から選択される基で置換されていても良い)を、
    23、R24、R25、R26、R27、R28、R29およびR20はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基、N−アルキルアミノスルホニル基、N−フェニルアミノスルホニル基、ヒドロキシ基で置換されても良い(C1〜C4)アルキルスルホニル基、ホスホノ基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換されていても良い)、(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基又はカルボキシル基で置換されていても良い)、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又はフェニルスルホニルアミノ基(フェニル基はハロゲン原子、アルキル基又はニトロ基で置換されていても良い)を、
    nは0又は1を、それぞれ表す)。
  23. (b)350nmから550nmの範囲に最大吸収波長を有する染料及び(c)560nmから660nmの範囲に最大吸収波長を有する染料がそれぞれ、請求項21に記載の式(5)で表される化合物又はその塩及び下記式(II−2)で表される化合物又はその塩である請求項20に記載のインク組成物、
    式(II−2):
    Figure 0005144278
    {式中、R121及びR122はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基、スルホ基、スルファモイル基、N−アルキルアミノスルホニル基、N−フェニルアミノスルホニル基、ヒドロキシ基で置換されても良い(C1〜C4)アルキルスルホニル基、ホスホノ基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換されていても良い)、(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基又はカルボキシ基で置換されていても良い)、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又はフェニルスルホニルアミノ基(フェニル基はハロゲン原子、アルキル基又はニトロ基で置換されていても良い)、
    mは0又は1、
    nは0又は1、
    Xはスルホ基を表し、
    基B’は下記式(II−3)又は(II−4)
    Figure 0005144278
    (式中、R123、R124、R125、R126、R127及びR128はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、スルホ基、スルファモイル基、N−アルキルアミノスルホニル基、N−フェニルアミノスルホニル基、ヒドロキシ基で置換されても良い(C1〜C4)アルキルスルホニル基、ホスホノ基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換されていても良い)、(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基又はカルボキシ基よりなる群から選択される基で置換されていても良い)、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又はフェニルスルホニルアミノ基(フェニル基はハロゲン原子、アルキル基又はニトロ基よりなる群から選択される基で置換されていても良い)を表す)、
    基C’は置換フェニル基又は置換ナフチル基であり、該フェニル基又はナフチル基はヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基、スルホ基、スルファモイル基、N−アルキルアミノスルホニル基、N−フェニルアミノスルホニル基、ヒドロキシ基で置換されても良い(C1〜C4)アルキルスルホニル基、ホスホノ基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換されていても良い)、(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基およびカルボキシ基よりなる群から選択される基で置換されていても良い)、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基及びフェニルスルホニルアミノ基(フェニル基はハロゲン原子、アルキル基又はニトロ基よりなる群から選択される基で置換されていても良い)よりなる群から選択される基を置換基として有する)、
    をそれぞれ表す}。
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