JP5102619B2 - 金属加工用の鋳型を製造するための成形材混合物 - Google Patents

金属加工用の鋳型を製造するための成形材混合物 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
この発明は、少なくとも1つの液化性かつ不燃性の成形基礎材と水ラスに基づいた結合剤とを含んだ金属加工用の鋳型を製造するための成形材混合物に関する。本発明はさらに、前記の成形材混合物を使用した金属加工用の鋳型の製造方法ならびにその方法によって得られた鋳型に関する。
金属部材を製造するための鋳型は主に2つの方式で製造される。最初のグループはいわゆるコアまたは型を形成するものである。これから実質的に製造する鋳造物の雌型を成す鋳型が形成される。第2のグループは調整タンクとして機能する中空体、いわゆるフィーダヘッドを形成するものである。これに液化された金属が収容され、その際その金属が雌型を形成する鋳型内に存在する金属よりも長く液相を保持することに配慮される。雌型内の金属が凝固する際に調整タンクからの液化金属が追加流入することができ、それによって金属が凝固する際に生じる容積収縮が補償される。
鋳型は耐火性の材料、例えば珪砂から形成され、その粒子は充分な鋳型の硬度を保証するために鋳型の造形後に適宜な結合剤によって結合される。すなわち耐火性の鋳型を製造するために、適宜な結合剤によって処理された成形基礎材を使用する。耐火性の成形基礎材は流動性の形態を有することが好適であり、それが適宜な中空型内に充填されそこで凝縮される。結合剤によって成形基礎材の粒子間の強固な結合が形成され、それによって鋳型が所要の機械的安定性を保持する。
鋳型は多様な要求性能を達成しなければならない。これは鋳造工程に際して、1つあるいは複数の鋳型(鋳造部品)内に液化金属を収容するためにまず充分な安定性および耐熱性を有する必要がある。硬化工程が開始した後は中空型の壁部に沿って形成されている硬化した金属層によって鋳型の機械的安定性が保持される。鋳型の材料はここで金属から放出された熱の影響でその機械的強度を喪失する、すなわち耐火性の材料の個々の粒子間の結合が解除される形で崩壊することが必要である。このことは、例えば熱作用によって結合剤が分解されることによって達成される。硬化した鋳造部材は冷却後に振動が加えられ、ここで理想的には鋳型の材料が再び金属型の中空部から流出し得る微細な砂材に分解される。
鋳型を製造するために、その硬化が低温あるいは高温方式によって達成される無機あるいは有機性結合剤のいずれを使用することも可能である。ここで低温方式とは鋳型を加熱することなく実質的に室温で実施される方式を示すものである。その硬化は大抵化学反応によって達成され、これは例えば触媒としてのガスを硬化する型に誘導することによって励起される。高温方式においては、例えば結合剤内に含まれた溶剤を放散させるため、あるいは化学反応を励起するために型材混合物を造形後に充分な温度まで加熱し、その結果例えば結合によって結合剤が硬化する。
現在鋳型を製造するために、硬化反応がガス状の触媒によって促進されるか、あるいはガス状の硬化剤との反応によって硬化する有機性の結合剤が多用されている。この工程は“コールドボックス”方式と呼ばれている。
有機性の結合剤を使用した鋳型の製造の一例がいわゆるアシュランドコールドボックス方式である。これは一種の二成分システムに関するものである。第1の成分はポリオール、大抵はフェノール樹脂の溶液からなる。第2の成分はポリイソシアネートの溶液からなる。米国特許第3409579号A明細書においては、造形後に成形基礎材と結合剤からなる混合物にガス状の第三アミンを誘導することによって、ポリウレタン結合剤の両方の成分の反応が実施される。ポリウレタン結合剤の硬化反応は、重付加反応すなわち水等の副生成物の分離を伴わない反応に関するものである。このコールドボックス方式のその他の利点としては、高い生産性、鋳型の寸法精度、ならびに鋳型の硬度、成形基礎材と結合剤からなる混合物の加工時間等に関する良好な技術特性が挙げられる。
高温硬化性の有機工法には、フェノールあるいはフラン樹脂に基づいたホットボックス方式と、フラン樹脂に基づいたウォームボックス方式と、フェノールノボラック樹脂に基づいたクローニング方式が含まれる。ホットボックスおよびウォームボックス方式においては、液体樹脂がより高い温度で初めて活性化する潜在的な硬化剤と共に成形材混合物に加工される。クローニング方式においては、石英、クロムおよびジルコン砂等の型基本材が約100ないし160℃の温度においてその温度において液状であるフェノールノボラック樹脂によって被包される。後の硬化のための作用物質としてはヘキサメチレンテトラミンが添加される。上述した高温硬化工法において造形および硬化が300℃まで加熱可能な工具内で実施される。硬化メカニズムにかかわらず全ての有機システムにおいて、鋳型内に液化金属を充填する際に熱分解され、例えばベンゾール、トルエン、キシレン、フェノール、ホルムアルデヒド、ならびにより高い部分的に識別不可能な分解生成物等の有害物質が放出される。多様な処置によってこの放出を削減することは達成されているが、有機結合剤を使用する場合に完全に放出を防止することは不可能である。例えばResol−CO方式において使用される結合剤のように部分的に有機化合物を含んでいる無機−有機ハイブリッドシステムにおいても、金属の鋳造に際して前述したような有害物質放出が発生する。
この鋳造工程中における分解性生物の放出を防止するために、無機材料に基づいた、あるいは最大でも極僅かな有機化合物成分しか含んでいない結合剤を使用する必要がある。この種の結合剤システムは既に従来から知られている。ガスを付加することによって硬化する結合剤システムが開発されている。この種のシステムは例えば英国特許第782205号明細書に記載されており、それにおいてはCOを付加することによって硬化することができるアルカリ水ガラスが結合剤として使用される。独国特許第19925167号明細書にはアルカリ珪酸塩を結合剤として含んだ発熱性のフィーダヘッド材料が記載されている。さらに、室温において自然硬化する結合剤システムが開発されている。この種の燐酸および金属酸化物に基づいたシステムは、例えば米国特許第5582232号明細書に記載されている。さらに、さらに例えば加熱工具内において高温で硬化する無機結合剤システムも知られている。この種の高温硬化する結合剤システムは例えば米国特許第5474606号明細書によって知られており、それにおいてはアルカリ水ガラスと珪酸アルミニウムからなる結合剤システムが記載されている。
無機性の結合剤は有機性の結合剤に比べて、それによって製造された鋳型が比較的低い強度を有すると言う問題点を伴っている。このことは鋳型を工具から取り出した直後に極めて明確に示される。しかしながらこの時点における良好な強度は複雑かつ薄膜性の成形材の製造および取扱いにおいて極めて重要である。低い強度の原因はまず第1に鋳型がなお結合剤の残留水分を含んでいることである。高温で閉鎖された工具内により長く滞留させても、水蒸気は充分に生成されないため限られた効果しか得られない。可能な限り完全な鋳型の乾燥を達成するために、国際公開第98/06522号パンフレットには、型材混合物を造形した後形状が安定しかつ搬送可能な外殻部が形成されるまで温度調節された中子型内に放置することが提案されている。中子型を開放した後、型を取り出してその後マイクロ波の作用によって乾燥する。この追加的な乾燥は手間がかかり製造時間を増大させ、エネルギーコストを増大させるだけでなく製造プロセスの大幅な高コスト化をもたらす。
既知の無機結合剤のさらに別の問題点は、それによって製造された鋳型の低い耐湿安定性である。従って、有機結合剤においては一般的であった長期間の成形体の貯蔵は困難となる。
欧州特許第1122002号明細書には、金属鋳造に適した鋳型の製造が記載されている。結合剤を製造するために、特に苛性ソーダ等のアルカリ水酸化物をアルカリ塩基が存在する際に金属塩を形成することができる粒子状の金属酸化物と混合する。その粒子は、粒子の縁部に金属塩層が形成された後乾燥される。粒子の核内には金属酸化物が変換されていない粒子部分が残留する。金属酸化物としては分散性の二酸化珪素あるいは微粒子性の酸化チタンまたは酸化亜鉛を使用することが好適である。
国際公開第94/14555号パンフレットには、鋳型を製造するために適した成形材混合物が記載されており、これは型材基礎材料に加えてリン酸塩ガラスあるいはホウ酸塩ガラスからなる結合剤を含んでおり、この混合物はさらに微細粒子で耐火性の材料を含んでいる。耐火性の材料としては例えば二酸化珪素を使用することができる。
欧州特許出願公開第1095719号A2明細書には、中子を製造するための型砂材用の結合剤システムが記載されている。この結合剤システムは水性のアルカリ珪酸塩溶液および例えば水酸化ナトリウム等の吸湿性の塩基からなり、これらは1:4ないし1:6の比率で付加される。水ガラスは2.5ないし3.5のモジュールSiO/MOと20ないし40%の固形成分を含んでいる。複雑な中子形状においても充填可能である流動性の成形材混合物を得るとともに吸湿特性を制御するために、結合剤システムはさらに250℃以上の沸点を有する例えばシリコン油等の表面活性剤を含んでいる。この結合剤システムは例えば珪砂等の適宜な耐火性材料と混合され、コアシュータ(core shooter)によって中子型内に封入される。成形材混合物の硬化は含有されている水分の除去によって実施される。鋳型の乾燥および硬化はマイクロ波の作用によって実施することができる。
以前から知られている鋳型を製造するための成形材混合物は、例えば製造された鋳型の強度の観点、長期間の貯蔵に際しての耐湿性の観点における特性を改善する余地がある。鋳造後に鋳造材の表面の高い品質を達成し、表面の後処理を低い労力で実施し得るようにすることが必要とされている。
従って、本発明の目的は、少なくとも1つの耐火性の成形基礎材と水ガラスに基づいた結合剤を含んでおり、造形直後および長期間の貯蔵後のいずれにおいても高い強度を有する鋳型の製造を可能にする金属加工用の鋳型を製造するための成形材混合物を提供することである。
その成形材混合物はさらに、高い表面品質を有していて極僅かの表面の後処理しか必要としない鋳造物を製造することができる鋳型を製造するための成形材混合物を可能にするものとすべきである。
前記の課題は、請求項1に記載の特徴を有する成形材混合物によって解決される。従属請求項の対象は本発明に係る成形材混合物の好適な追加構成である。
意外なことに、アルカリ性水ガラスならびに二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、および酸化亜鉛の一群の中から選択される粒子状の金属酸化物を含んだ結合剤を使用することによって造形および硬化の直後ならびに高湿度中における貯蔵後のいずれにおいても鋳型の強度を大幅に改善し得ることが判明した。前記の粒子状金属酸化物は個別あるいは組み合わせて使用することができる。
本発明に係る金属加工用の鋳型を製造するための成形材混合物は少なくとも:
− 耐火性の成形基礎材と;
− 水ガラスに基づいた結合剤を含んでいる。
鋳型を製造するための耐火性の成形基礎材としては一般的な材料を使用することができる。好適なものとして、例えば珪砂およびジルコン砂が挙げられる。さらに例えばグロッグ繊維等の繊維状の耐火性成形基礎材も適している。さらに、カンラン石、クロム砂、バーミキュライト等の耐火性成形基礎材が適している。
さらに、耐火性成形基礎材として例えば珪酸アルミニウム中空球体(いわゆる微小球)、ガラスビーズ、ガラス粒子材、または“Cerabeads”あるいは“Carboaccucast”の商品名で知られているセラミック成形基礎材等の人工成形材を使用することができる。前記の球状セラミック成形基礎材は、例えばムライト、コランダム、β−クリストバライト等の鉱物を多様な比率で含んでいる。これは主要な成分として酸化アルミニウムおよび二酸化珪素を含んでいる。典型的な化合物は、例えばAlおよびSiOを略同じ比率で含んでいる。加えて、例えばTiO、Fe等の別の成分を10%未満の割合で含むことがきる。微細球の直径は1000μm未満、特に600μm未満とすることが好適である。さらに、例えばムライト(x Al・y SiO、X=2ないし3、y=1ないし2;理想化学式:AlSiO)等の合成製造された耐火性の成形基礎材も適している。これらの人工成形基礎材は自然の原料を元にしたものではなく、例えば珪酸アルミニウム中空球体、ガラスビーズ、または球形のセラミック成形基礎材の製造等の特殊な成形工程に適用することもできる。
耐火性人工成形基礎材としてガラス材料を用いることが特に好適である。これはガラス球あるいはガラス粒子として使用される。ガラスとしては一般的なガラスが使用され、ここで高い融点を有するガラスが好適である。例えばガラス破砕材から製造されるガラスビーズおよび/またはガラス粒子が適している。またホウ酸ガラスも適している。この種のガラスは例えば次の表に示された組成を有している。
表:ガラスの組成
成分 ガラス破砕材 ホウ酸ガラス
SiO 50−80% 50−80%
Al 0−15% 0−15%
Fe <2% <2%
IIO 0−25% 0−25%
I O 5−25% 1−10%
<15%
その他 <10% <10%
II:例えばMg,Ca,Ba等のアルカリ土類金属
I:例えばNa,K等のアルカリ金属
表中に示されたガラスに加えて、上記の化合物の含有率が示された領域外となるその他のガラスを使用することもできる。また、上記の酸化物に加えてその他の元素あるいはその酸化物を含んだ特殊なガラスを使用することもできる。
ガラス球体の直径は1000μm未満、特に600μm未満とすることが好適である。
アルミニウムによる鋳造実験によって、人工成形基礎材、特にガラスビーズ、ガラス粒子あるいは微小球を使用した場合に、純粋な珪砂を使用した場合に比べてより少ない成形砂が鋳造後に金属表面上に付着する。従って、人工の成形基礎材の使用によってより平滑な鋳造面の製造が可能になり、手間がかかる放射線による後処理が不要になるかあるいは大幅に削減することができる。
成形基礎材全体を人工の成形基礎材から形成することは不可欠ではない。人工の成形基礎材の割合は、耐火性の成形基礎材の総質量に対して少なくとも3重量%、より好適には少なくとも5重量%、さらに好適には少なくとも約10重量%、さらに好適には少なくとも約15重量%、極めて好適には少なくとも約20重量%とする。耐火性の成形基礎材は流動性の状態を有することが好適であり、従って本発明に係る成形材混合物は一般的なコアシュータによって加工することができる。
本発明に係る成形材混合物は別の要素として水ガラスに基づいた結合剤を含んでいる。水ガラスとしては従来から結合剤として成形材混合物内に使用されていた一般的な水ガラス使用することができる。それらの水ガラスは溶解されたナトリウムあるいはカリウム珪酸塩を含んでおり、ガラス質のカリウムおよびナトリウム珪酸塩を水に溶解して製造することができる。水ガラスはモジュールSiO/MOを1.6ないし4.0、特に2.0ないし3.5の領域で有することが好適であり、ここでMはナトリウムおよび/またはカリウムを示すものである。水ガラスは30ないし60重量%の固形成分を含むことが好適である。この固形成分比は水ガラス内に含まれているSiOおよびMOの量に対するものである。
本発明によれば、成形材混合物は一定比率の粒子状金属酸化物を含み、これは二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、および酸化亜鉛の一群の中から選択される。この金属酸化物の粒子大は300μm未満、より好適には200μm未満、特に好適には100μm未満とされる。この粒子大は分粒分析によって決定される。特に好適は、63μmの目幅を有する篩上における篩分け残留物は10重量%未満、好適には8重量%未満となる。
特に好適には、粒子状の金属酸化物として二酸化珪素が使用され、その際合成製造された非晶形二酸化珪素が特に好適である。
粒子状の二酸化珪素として沈殿珪酸および/または発熱性珪酸を使用することが好適である。沈殿珪酸は水性のアルカリ珪酸塩溶液と鉱酸との反応によって得られる。ここで発生した沈殿物がその後分離、乾燥および破砕される。発熱性の珪酸としては、高温中においてガス相からの凝結によって得られる珪酸が理解される。この発熱性珪酸の製造は、例えば四塩化珪素の熱加水分解、またはアーク炉中におけるコークスあるいは無煙炭を用いた珪砂の一酸化珪素ガスへの還元およびそれに続く二酸化珪素への酸化によって実施することができる。このアーク炉方式によって製造された発熱性珪酸は依然として炭素を含んでいる可能性がある。沈殿珪酸および発熱性珪酸はいずれも同様に本発明に係る成形材混合物に好適である。この珪酸は以降“合成非晶形二酸化珪素”として呼称する。
発明者等は、強アルカリ性の水ガラスが合成製造された非晶形の二酸化珪素の表面上に形成されたシラノール基と反応することができ、また水の蒸発に際して二酸化珪素と固形となった水ガラスとの間に強固な結合が形成されると想定した。
本発明に係る成形材混合物は少なくとも前述した成分からなる強固な混合物を形成するものである。その際耐火性の成形基礎材の粒子は結合剤層によって被包されることが好適である。結合剤中に存在する水(結合剤の重要に対して約40ないし70重量%)の蒸発によって、少なくとも耐火性の成形基礎材の粒子間に強固な着合が達成される。
結合剤、すなわち水ガラスならびに粒子状の金属酸化物、特に合成非晶形二酸化珪素は、成形材混合物中に20重量%未満の比率で含まれることが好適である。例えば珪砂等の固体状の成形基礎材が使用される場合、結合剤は10重量%未満、好適には8重量%未満、特に好適には5重量%未満の比率で含まれることが好適である。例えば前述したマイクロ中空球体等の低い密度を有した耐火性の成形基礎材が使用される場合、結合剤の割合が適宜に高められる。
粒子状の金属酸化物、特に合成非晶形二酸化珪素は、結合剤の重量に対して2ないし60重量%、好適には3ないし50重量%、特に好適には4ないし40重量%の比率で含まれる。
粒子状の金属酸化物、特に合成非晶形二酸化珪素に対する水ガラスの比率は、一定の範囲内で変化させることができる。それによって、最終強度すなわち鋳型の冷却後の強度が非晶形の二酸化珪素を含まない水ガラス結合剤に比べて変化することなく、鋳型の初期強度すなわち高温の工具から取り出した直後の強度ならびに耐湿性が改善されるという利点がもたらされる。このことは特に軽金属鋳造において大きな意味を成す。鋳型を製造した後にそれを問題無く搬送あるいは他の鋳型と組み合わせることを可能にするために、一方で高い初期強度が必要とされる。他方において、鋳造後の結合剤分解において困難が生じることを防止するため、すなわち成形品を鋳造後に鋳型の中空部から問題無く取り出すことを可能にするために、硬化後の最終強度は過度に高くならないことが必要である。
本発明に係る成形材混合物内に含まれた成形基礎材は、本発明の一実施例において少なくとも一定割合の微細中空球体を含むことができる。微細中空球体の直径は通常5ないし500μm、好適には10ないし350μmの領域となり、また外殻部の厚みは通常微細球体の直径の5ないし15%領域となる。この微細球体は極めて小さな比重量を有し、従って微細球体を使用して製造された鋳型は小さな重量を有するものとなる。特に好適なことは微細球体の遮断効果である。従って鋳型が高い遮断効果を有する必要がある際に、鋳型の製造に微細中空球体が使用される。そのような鋳型の例は、冒頭に述べた調整タンクとして機能し液化金属を収容するフィーダヘッドであり、ここでその金属は中空型内に充填された金属が硬化するまで液体状態を保持する必要がある。微細球体を含んだその他の鋳型の適用分野は、例えば完成した鋳造物の極めて薄壁の部分に相当する鋳型部分である。微細中空球体の遮断効果によって、薄壁部分の金属が早急に硬化して鋳型内の通路を封鎖することが確実に防止される。
微細中空球体が使用される場合微細球体の低い密度のため、結合剤は好適には20重量%未満、特に好適には10ないし18重量%の割合で使用される。
微細中空球体は珪酸アルミニウムから形成されることが好適である。この珪酸アルミニウム微細中空球体は好適には20重量%超の酸化アルミニウム含有率を有しているが、40重量%超の含有率を有することもできる。この種の微細中空球体は、例えばドイツ国ノーダーシュテットのオメガミネラルジャーマニー社から、約28ないし33%の酸化アルミニウム含有率を有するOmega−Spheres(登録商標)SG、約35ないし39%の酸化アルミニウム含有率を有するOmega−Spheres(登録商標)WSG、ならびに約43%の酸化アルミニウム含有率を有するE−Spheres(登録商標)の商品名で市販されている。同様な製品は、PQ社(USA)から“Extendospheres(登録商標)”の商品名で市販されている。
本発明の別の実施形態によれば、ガラスから形成されている耐火性の成形基礎材として微細中空球体が使用される。
極めて好適な実施形態によれば、微細中空球体はホウケイ酸ガラスから形成される。このホウケイ酸ガラスはBとして計算して3重量%超のホウ素成分を有する。微細中空球体の比率は成形材混合物に対して20重量%未満に選択することが好適である。ホウケイ酸ガラス微細中空球体を使用する際はより小さな比率を選択することが好適である。これは5重量%未満、好適には3重量%未満、特に好適には0.01ないし2重量%未満の範囲とされる。
前述したように、好適な構成形態において本発明に係る成形材混合物は少なくとも一定割合のガラス粒子および/またはガラスビーズを耐火性成形基本材として含んでいる。
成形材混合物を例えば発熱性フィーダヘッドの製造に適した発熱性成形材混合物として形成することも可能である。このため成形材混合物は酸化性金属と適宜な酸化剤を含んでいる。成形材混合物に対して酸化性金属は15ないし35重量%の割合を有することが好適である。酸化剤は成形材混合物に対して20ないし30重量%の割合を有することが好適である。好適な酸化性金属は例えばアルミニウムまたはマグネシウムである。好適な酸化剤は例えば酸化鉄あるいは硝酸カリウムである。
水を含有する結合剤は有機溶剤に基づいた結合剤に比べて低い流動性を有する。このことは、狭い通路および方向転換部分を有する成形工具への充填が困難になることを意味している。その結果鋳型が不充分な密度を有する部分を伴ってしまい、それによって鋳造に際して鋳造不良が生じる可能性がある。本発明の好適な構成形態によれば、本発明に係る成形材混合物が一定割合の板状潤滑剤、特にグラファイトあるいはMoSを含んでいる。意外なことに、この種の潤滑剤、特にグラファイトの添加によって薄壁状の部分を有する複雑な型を製造することが可能になり、ここで鋳型は一貫して均等に高い密度および強度を有し、その結果鋳造に際して実質的に全く不良が観察されなかった。添加される板状潤滑剤、特にグラファイトの量は成形基礎材に対して0.1重量%いし1重量%となる。
本発明に係る成形材混合物は前述した成分に加えて、その他の添加物を含むことができる。例えば内部離型剤を含むことができ、それによって成形工具からの鋳型の取り出しが容易になる。好適な内部離型剤は例えばステアリン酸カルシウム、脂肪酸エステル、ワックス、天然樹脂、あるいは特殊なアルキド樹脂である。さらに、シランを本発明に係る成形材混合物に付加することができる。
従って好適な構成形態において本発明に係る成形材混合物は40ないし180℃、好適には50ないし175℃の範囲の融点を有する、すなわち室温においては固形である有機添加剤を含んでいる。有機添加剤としては、その分子構造が主に炭素から形成された、例えば有機ポリマー等の化合物を理解することができる。有機添加剤の付加によって成形品の表面の品質をさらに改善することができる。有機添加剤の作用原理は解明されていない。しかしながら、その理論に限定されるものではないが、発明者等は少なくとも有機添加剤の一部が鋳造工程において燃焼され、その際に液化金属と鋳型を形成している成形材の壁部の間に薄いガス緩衝材が生じ、従って液化金属と成形材との間の反応が防止される。さらに発明者等は、有機添加剤の一部が鋳造に際して広がる還元気体の下にいわゆる光沢性炭素の薄い層を形成し、それによっても金属と成形材の間の反応が防止される。さらに別の好適な作用として、有機添加剤の付加によって硬化後における鋳型の強度の向上を達成することができる。
有機添加剤は、いずれも成形材に対して0.01ないし1.5重量%、より好適には0.05ないし1.3重量%、特に好適には0.1ないし1.0重量%の量で付加される。
意外なことに、極めて多様な有機添加剤によって鋳造品の表面の改善が達成されることが判明した。好適な有機添加剤は、例えばノボラック等のフェノールホルムアルデヒド樹脂、例えばビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂またはエポキシノボラック等のエポキシ樹脂、例えばポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール等のポリオール、例えばポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン、例えばエチレンまたはプロピレン等のオレフィン性コポリマー、酢酸ビニル等のその他のコポリマー、例えばポリアミド6、ポリアミド12、またはポリアミド6.6等のポリアミド、例えばバルサム樹脂等の天然樹脂、例えばパルミチン酸セチル等の脂肪酸エステル、例えばエチレンジアミンビステアラミド等の脂肪酸アミド、ならびに例えばステアラートまたは2価あるいは3価金属等の金属カルボン酸である。有機添加剤は、純粋な材料として含有されるか、あるいは異なった有機化合物の混合物として含有されることのいずれも可能である。
別の好適な構成形態によれば、本発明に係る成形材混合物は少なくとも1種のシランを一定割合で含んでいる。好適なシランは、例えばアミノシラン、エポキシシラン、メルカプトシラン、ヒドロキシシラン、ウレイドシランである。好適なシランの例は、γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3.4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン、およびN−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランである。
粒子状の金属酸化物に対して通常約5ないし50%のシランが使用され、好適には約7ないし45%、特に好適には約10ないし40%のシランが使用される。
本発明に係る結合剤によって達成される高い強度にもかかわらず、本発明に係る成形材混合物によって製造された鋳型、特に中子および型は、特にアルミニウム鋳造に際して鋳造後に良好な分解性を示す。しかしながら、本発明に係る成形材混合物を使用して製造された成形体は軽金属鋳造に限定されるものではない。この鋳型がさらに全般的な金属の鋳造にも適している。それらの金属は、例えば真鍮あるいは銅等の非鉄金属、ならびに貴金属である。
本発明はさらに、本発明に係る成形材混合物を使用した金属加工用の鋳型の製造方法に関する。本発明に係る方法は:
− 前述した成形材混合物を製造し;
− 前記の成形材混合物を造形し;
− 成形材混合物を加熱することによって成形材混合物を硬化させ、それによって硬化した鋳型を形成する、
各ステップからなる。
本発明に係る成形材混合物の製造に際して、一般的にまず耐火性の成形基礎材が設定され、その後攪拌しながら結合剤が付加される。ここで、水ガラスならびに粒子状の金属酸化物、特に合成非晶形二酸化珪素が任意の順序で付加される。しかしながら、液状の成分を先に付加することが好適である。付加は強烈な攪拌を伴って実施され、それによって結合剤が均等に耐火性の成形基礎材中に分散されるとともにそれを被包する。
続いて成形材混合物が所要の形状に造形される。その際造形のために一般的な方式が採用される。例えば、成形材混合物はコアシュータを用いて気圧によって成形工具内に封入することができる。続いて成形材混合物が加熱によって硬化され、それによって結合剤内に含まれる水分が気化する。この加熱は例えば成形工具によって実施することができる。鋳型を既に成形工具内で完全に硬化させることも可能である。しかしながら、鋳型をその縁部領域のみ硬化させることも可能であり、それによって鋳型は成形工具から取り出すために充分な強度を有するものとなる。その後さらに水分を除去することによって鋳型が完全に硬化する。このことは例えば窯内で実施することができる。この水分除去は例えば減圧によって水分を蒸発させることによって実施することもできる。
この鋳型の硬化は成形工具内に熱風を送入することによって促進することができる。この実施形態によって結合剤内に含有された水分の迅速な排出が容易になり、それによって産業上の使用に適した時間間隔で鋳型を硬化させることができる。送入される空気の温度は100℃ないし180℃、さらに好適には120℃ないし150℃となる。熱風の送風速度は、鋳型の硬化が産業上採用可能な時間間隔で実施されるように設定することが好適である。その時間間隔は製造される鋳型の大きさに依存するものとなる。5分未満、さらに好適には2分未満の時間間隔での硬化が推奨される。しかしながら極めて大きな鋳型においてはより長い時間間隔が必要となり得る。
成形材混合物からの水分の除去は、成形材混合物の加熱がマイクロ波の照射によって達成される方式で実施することもできる。このマイクロ波の照射は鋳型を成形工具から取り出した後に実施される。そのためには鋳型が既に充分な強度を有する必要がある。前述したように、このことは例えば少なくとも鋳型の外殻部が既に成形工具内で硬化することによって達成することができる。
前述したように、板状の潤滑剤、特にグラファイトおよび/またはMoSを付加することによって本発明に係る成形材混合物の流動性を改善することができる。製造に際して板状の潤滑剤、特にグラファイトは両方の結合剤と分けて成形材混合物に付加することができる。しかしながら、板状の潤滑剤、特にグラファイトを粒子状の金属酸化物、特に合成非晶形二酸化珪素と予め混合し、その後初めて水ガラスおよび耐火性の成形基礎材と混合することも可能である。
成形混合物が有機添加剤を含んでいる場合、この有機性の添加剤の付加は成形材混合物の製造のいずれの時点においても可能である。有機性の添加物の付加は固形としてあるいは溶液の形態で行うことができる。
水溶性の有機性添加剤は水溶液の形態で使用することができる。有機性添加剤が結合剤内に溶解可能でありその中で分解されることなく数ヶ月の貯蔵に耐えることが可能である場合、これを結合剤内に溶解してそれと共に成形材に付加することができる。非水溶性の添加剤は分散剤あるいはペーストの形態で使用することができる。この分散剤あるいはペーストは溶剤として水を含んでいる。有機性添加剤の溶液あるいはペーストは有機性溶剤内で形成することもできる。有機性添加剤を付加するために溶剤が使用される場合、水を使用することが好適である。
有機性添加剤の付加は粉末あるいは短繊維として実施することが好適であり、ここでその粒子大あるいは繊維長は成形材粒子の大きさを超過しないように選択される。特に好適には、有機性添加剤は0.3mmの目幅の篩で篩い分けされる。成形材に付加される要素の数を削減するために、粒子状の金属酸化物および有機性の添加剤は成形砂材に分けずに付加し、すなわち予め混合することが好適である。
成形材がシランを含んでいる場合、そのシランの付加は通常予め結合剤内に添加することによって実施される。しかしながら、シランは分離された要素として成形材内に付加することもできる。しかしながら特に好適には粒子状の金属酸化物をシラン化することも好適であり、すなわち金属酸化物をシランと混合してその表面に薄いシラン層を設ける。そのように前処理された粒子状の金属酸化物を使用する場合、非処理の金属酸化物に比べてより高められた強度ならびに改善された耐湿性を得ることができる。前述したように成形材混合物あるいは粒子状金属酸化物に有機性添加剤を付加する場合、これをシラン化の前に実施することが好適である。
本発明に係る方法は、金属鋳造のための全ての一般的な鋳型、すなわち例えば中子および型の製造に適している。特に本発明に係る成形材混合物に遮断性かつ耐火性の成形基礎材を付加する場合、または発熱性材料を付加する場合に、本発明に係る方法はフィーダヘッドの製造に適している。
本発明に係る成形材混合物から製造された、あるいは本発明に係る方法によって製造された鋳型は、成形品を製造した後の鋳型の除去に問題が生じる程硬化後の鋳型の強度が高くなることを伴わずに、製造直後に高い強度を有する。さらにこの鋳型は高湿度に際しても高い安定性を備えており、すなわちこの鋳型は長期間にわたって問題無く貯蔵することができる。従って本発明のさらに別の対象は、前述した本発明に係る方法によって製造された鋳型である。
本発明に係る鋳型は全般的に金属鋳造に適しており、特に軽金属の鋳造に適している。アルミニウム鋳造に際して特に良好な結果が得られる。
次に、実施例ならびに添付図面を参照しながら本発明についてより詳細に説明する。
例1
成形基礎材として珪砂を有する成形体の強度に対する合成製造された非晶形二酸化珪素の影響
1. 成形材混合物の製造および試験
成形材混合物の試験のためにいわゆるゲオルグ−フィッシャー試験片が形成された。ゲオルグ−フィッシャー試験片は150mm×22.36mm×22.36mmの寸法からなる試験片であると理解される。
成形材混合物の組成は表1に示されている。ゲオルグ−フィッシャー試験片を形成するために以下の工程が実施された:
− 表1に示された成分を実験用フィン混合器(ドイツ国ハーゲン市のフォーゲル&シェマン株式会社製)によって混合した。そのためまず珪砂を設置して攪拌しながら水ガラスを付加した。水ガラスとしてはカリウム成分を含んだナトリウム水ガラスが使用された。従って以下の表においてはSiO:MOを有するモジュールが記載されており、ここでMはナトリウムとカリウムの合計を示すものである。混合物を1分間攪拌した後、必要に応じて非晶形の二酸化珪素(本発明の例)をさらに攪拌しながら付加した。続いて混合物をさらに1分間攪拌した;
− その成形工具が200℃に加熱されたレッパーヴェルク鋳造機械有限会社(ドイツ国フィアゼン市)製のH2.5ホットボックスコアシュータの貯蔵容器内に成形材混合物を移送した;
− 成形材混合物を気圧(5バール)によって成形工具内に充填し、さらに35秒間成形工具内に滞留させた;
− 混合物の硬化を促進するために、最後の20秒間熱風(工具内への進入時点で2バール、120℃)を成形工具内に誘導した;
− 成形工具を開放して試験片を取り出した。
強度を判定するために、3点式折り曲げ具(スイス国シャッフハウゼン市のDISAインダストリ株式会社)を備えたゲオルグ−フィッシャー強度試験装置内に試験片を設置し、試験片が破壊される応力を測定した。
強度は以下のスキームで測定された:
− 取り出し10秒後(高温強度);
− 取り出し1時間後(低温強度);
− 冷却された中子を25℃および75%の相対湿度に設定された耐候試験器内に3時間貯蔵した後。
測定された折り曲げ強度は表2に示されている。
Figure 0005102619
Figure 0005102619
2.結果
a) 添加された非晶形二酸化珪素の量の影響
例1.4ないし1.7においては成形材混合物にアーク炉内で製造された非晶形二酸化珪素が徐々に増量して付加されている。成形材および水ガラスの量はいずれも一定に保持されている。比較例1.1においては例1.4ないし1.7の成形材混合物と同じ組成を有しているが非晶形二酸化珪素は付加されていない成形材混合物が製造された。
表2の結果にから、アーク炉内で製造された非晶形二酸化珪素の付加によって試験片の折り曲げ強度が大幅に向上することが示されている。耐候試験器内で湿度を高めて貯蔵した後の測定に際して試験片の折り曲げ強度が特に大きく上昇している。このことは、本発明に係る成形材混合物によって製造された試験片が長期の貯蔵後にその強度を実質的に維持することを示している。付加された非晶形二酸化珪素の量を徐々に増加することによって折り曲げ強度が上昇する。ここで折り曲げ強度は、耐候試験器内で貯蔵した後測定すると、まず折り曲げ強度の大きな上昇が観察され、これは付加する非晶形二酸化珪素の量を増加するにしたがって平準化される。
b) アルカリ性水ガラスのSiO:MOの比の影響
例1.4,1.8および1.9においてはいずれも等しい量の成形基礎材、水ガラス、および非晶形二酸化珪素(アーク炉内で製造された)が処理されたが、アルカリ性水ガラスのSiO:MO比が変更されている。比較例1.1,1,2および1.3においてはいずれも等しい量の成形基礎材および水ガラスが処理されたが、アルカリ性水ガラスのSiO:MO比が変更されている。表2に記載されている折り曲げ強度が示しているように、アーク炉内で製造された非晶形二酸化珪素はアルカリ性水ガラスのSiO:MO比にかかわらず効果を示している。
c) 合成非晶形二酸化珪素の種類の影響
例1.4,1.10および1.11においてはいずれも等しい量の成形基礎材、水ガラス、および非晶形二酸化珪素が処理されたが、合成非晶形二酸化珪素の種類が変更されている。表2に記載されている折り曲げ強度は、熱加水分解によって製造された、沈殿性および発熱性の珪酸は、アーク炉内で製造された非晶形二酸化珪素と同様な効果を有することを示している。
例2
成形基礎材として珪砂を有し結合剤総量が一定に保持される成形体の強度に対するアルカリ性水ガラス:非晶形二酸化珪素の比率の影響
1. 成形材混合物の製造および試験
成形材混合物の製造およびその試験は例1と同様に実施された。試験片を製造するために成形材混合物の組成は表3に示されている。折り曲げ強度の試験において示された数値は表3に記述されている。
Figure 0005102619
Figure 0005102619
2.結果
水ガラスと非晶形二酸化珪素の総量を保持しながら水ガラス:非晶形二酸化珪素の比率を変更することによって、低温強度を上昇させることなく高温強度および高湿度に対する耐久性を改善することができる。
例3
成形体の強度に対するシランの影響
1. 成形材混合物の製造および試験
成形材混合物の製造およびその試験は例1と同様に実施された。試験片を製造するために成形材混合物の組成は表5に示されている。折り曲げ強度の試験において示された数値は表6に記述されている。
Figure 0005102619
Figure 0005102619
2.結果
例3.3ないし3.5は、シランの付加によって強度に対して好適な影響がもたらされることを示しており、特に高い湿度に対しての耐久性に関して好適な影響が示されている。
例4
人工の成形基礎材を有する成形体の強度に対する非晶形二酸化珪素の影響
1. 成形材混合物の製造および試験
成形材混合物の製造およびその試験は例1と同様に実施された。試験片を製造するために成形材混合物の組成は表7に示されている。折り曲げ強度の試験において示された数値は表8に記述されている。
Figure 0005102619
Figure 0005102619
2.結果
非晶形二酸化珪素の好適な効果は成形基礎材としての珪砂のみに限定されるものではなく、例えば微細球体、セラミック球体およびガラスビーズ等のその他の成形基礎材についても強度が上昇する効果が示されている。
例5
発熱性材料を有する成形体の強度に対する非晶形二酸化珪素の影響
発熱性材料として以下の組成が使用される:
アルミニウム(0.063ないし0.5mmの粒子) : 25%
硝酸カリウム : 22%
微細中空球体 : 44%
(オメガミネラルジャーマニー社製のOmega−SpheresWSG)
耐火性添加物(グロッグ) : 9%
1. 成形材−結合剤混合物の製造および試験
成形材−結合剤混合物の製造およびその試験は例1と同様に実施された。試験片を製造するために成形材混合物の組成は表9に示されている。折り曲げ強度の試験において示された数値は表10に記述されている。
Figure 0005102619
Figure 0005102619
2.結果
発熱性材料からなる成形基礎材においても非晶形二酸化珪素は強度を上昇させるよう作用する。
例6
成形材混合物の流動性の改善
1. 成形材混合物の製造および試験
表11に示された成分を実験用フィン混合器(ドイツ国ハーゲン市のフォーゲル&シェマン株式会社製)によって混合した。そのためまず珪砂を設置して攪拌しながら水ガラスを付加した。混合物を1分間攪拌した後、必要に応じて非晶形の二酸化珪素(本発明の例)をさらに攪拌しながら付加した。続いて混合物をさらに1分間攪拌した。続いて、例6.2ないし6.4においてはグラファイトを付加して混合物をさらに1分間攪拌した。
成形材混合物の流動性は図1に示された成形工具1のフィルファクターによって判定される。成形工具1は2つの半部分からなり、それらを互いに結合して中空部2を形成することができる。中空部2は、直径100mmおよび高さ30mmの円形の断面を有する3つの洞室2a,2bおよび2cからなる。洞室2a,2bおよび2cはいずれも15mmの半径からなる円形の開口部3a,3bと結合されている。この円形の開口部は中間壁4a,4bの間に設置され、8mmの厚みを有している。開口部3a,3bはそれぞれ中央軸6に対して37.5mm離間して相互の離間距離が最大となるように配置されている。洞室2a内にはさらに中央軸6に沿って流入口5が延在しており、これを介して成形材混合物を充填することができる。この流入口5は直径15mmの円形断面を有している。洞室2c内にはさらに排気口7が設けられており、これは直径9mmの円形断面からなるとともにスロットノズルを有している。成形工具1は充填のためにコアシュータ内に挿入される。
個々には、以下の工程が実施される:
− 表11に示された要素を混合する;
− レッパーヴェルク鋳造機械有限会社(ドイツ国フィアゼン市)製のH1コールドボックスコアシュータの貯蔵容器内に成形材混合物を移送する;
− 予加熱されていない成形工具内に気圧(5バール)を使用して混合物を充填する;
− COの導入によって混合物を硬化する;
− 硬化した成形体を工具から取り出しその重量を記録する。
判定された成形体の重量は表12中に記載されている。
Figure 0005102619
Figure 0005102619
2.結果
グラファイトの添加によって成形材混合物の流動性が改善し、すなわち工具がより良好に充填される。
例7
鋳造実験
1. 成形材混合物の製造および試験
鋳造実験を実施するために、いずれも例1ないし6において製造された4個のゲオルグ−フィッシャー試験片8がそれぞれ90°ずらして図2に示された試験型内の下部材9内に接着された。続いて漏斗形状の試験型の上部材10が下部材9上に接着された。試験型の下部材9および上部材10は一般的なポリウレタンコールドボックス方式によって製造された。その後試験型内に液化アルミニウム(740℃)が充填された。金属を冷却した後外側の試験型を除去し、試験鋳造品を4つの試験体の部分においてその表面品質(砂付着、平滑性)に関して観察した。その評価は評点1(極めて良)から10(極めて不良)で行われた。その結果は表13に示されている。
Figure 0005102619
2.結果
表13の結果によって、例えば珪酸アルミニウム中空球体、セラミック球体、またはガラスビーズの使用によって成形品の表面品質が部分的に大幅に改善されることが示されている。
例8
鋳造結果に対する有機添加剤の効果
1. 成形材混合物の製造および試験
実験される成形材混合物の組成は表14内に示されている。
鋳造実験および評価は例7と同様に実施された。鋳造実験の結果も表14中に示されている。
Figure 0005102619
2.結果
表14の結果は有機添加剤の付加によって成形品表面の品質が改善されることを示している。
流動性を検査するために使用される成形工具の断面図である。 本発明に係る成形材混合物を検査するために使用された鋳型の断面図である。

Claims (21)

  1. 少なくとも:
    − 1つの耐火性の成形基礎材と;
    水ガラスの重さが水ガラス水溶液組成物における30ないし60重量%の固形成分に基づき換算される水ガラスと、粒子状の合成非晶形二酸化珪素とを含む結合剤と;
    を含んだ金属加工用の鋳型を製造するための成形材混合物であり、
    前記結合剤は100ないし300℃の温度範囲で加熱され;および前記結合剤は5重量%未満の量で成形材混合物に存在し、または、微細中空球体が成形基礎材に存在する場合、前記結合剤は20重量%未満の量で存在する
    ことを特徴とする成形材混合物。
  2. 合成非晶形二酸化珪素は沈殿珪酸と発熱性珪酸からなる一群の中から選択することを特徴とする請求項1記載の成形材混合物。
  3. 水ガラスはSiO/MOモジュールを1.6ないし4.0の範囲で有し、その際Mはナトリウムイオンおよび/またはカリウムイオンを示すことを特徴とする請求項1または2記載の成形材混合物。
  4. 水ガラスはSiOおよびMOの固形成分を30ないし60重量%の範囲で有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の成形材混合物。
  5. 結合剤は20重量%未満の比率で成形材混合物内に含有されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の成形材混合物。
  6. 粒子状の合成非晶形二酸化珪素は結合剤に対して2ないし60重量%の比率で含有されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の成形材混合物。
  7. 成形基礎材は少なくとも一定割合で微細中空球体を含有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の成形材混合物。
  8. 微細中空球体は珪酸アルミニウム微細中空球体および/またはガラス微細中空球体であることを特徴とする請求項7記載の成形材混合物。
  9. 成形基礎材が少なくとも一定比率のガラス粒子、ガラスビーズおよび/または球形のセラミック成形体を含有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の成形材混合物。
  10. 成形基礎材が少なくとも一定比率でムライト、クロム鉱石砂および/またはカンラン石を含有することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の成形材混合物。
  11. 成形材混合物に酸化性金属および酸化剤を付加することを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の成形材混合物。
  12. 成形材混合物が一定比率で板状の潤滑剤を含有することを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の成形材混合物。
  13. 前記板状の潤滑剤はグラファイトおよび硫化モリブデンから選択されることを特徴とする請求項12記載の成形材混合物。
  14. 成形材混合物が少なくとも1種類の室温中で固体の有機添加剤を一定比率で含有することを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の成形材混合物。
  15. 成形材混合物が少なくとも1種類のシランを含有することを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の成形材混合物。
  16. − 請求項1ないし15のいずれかに記載の成形材混合物を製造し;
    − 成形材混合物を造形し;
    − 成形材混合物を加熱することによってこの成形材混合物を硬化させ、それによって硬化された鋳型を形成する、
    各ステップからなる、金属加工用の鋳型の製造方法。
  17. 成形材混合物を100ないし300℃の温度範囲に加熱することを特徴とする請求項16記載の方法。
  18. 硬化のために成形材混合物内に熱風を送入することを特徴とする請求項16または17記載の方法。
  19. 成形材混合物の加熱はマイクロ波の作用によって達成されることを特徴とする請求項16または17記載の方法。
  20. 鋳型がフィーダヘッドであることを特徴とする請求項16ないし19のいずれかに記載の方法。
  21. 請求項16ないし20のいずれかに記載の方法によって形成される鋳型。
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