JP6604944B2 - 鋳型の製造方法及び鋳型 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳型の製造方法及び鋳型に係り、特に、常温下において乾態または湿態の成形材料混合物を用いた鋳造用鋳型の製造方法及びそのような方法によって得られた鋳型に関するものである。
従来から、金属溶湯の鋳造に用いられる鋳型の製造方法の一つとして、粘結材に水ガラスの如き無機系粘結材を用いて、自硬性鋳型を造型する手法が、明らかにされている。しかしながら、この水ガラスからなる無機系粘結材を用いた鋳型は、吸湿によって鋳型強度が低下するため、耐湿強度が悪いという欠点があり、そのため、湿度の高い環境では、使用することが困難であるという問題があった。また、水ガラスの種類によっては、耐湿強度が良いものはあるが、反面、成形性が悪くなるという傾向があり、使用可能な水ガラスの条件が限られることとなるところから、成形性と耐湿強度の良くなる対策が求められているのである。
そこで、特表2008−511447号公報においては、そのような無機系粘結材である熱硬化性の結合組成物を混合してなる微粒子材料を用いた鋳型用材料の製造方法の一つが、提案されている。そして、そこに明らかにされている製造方法によれば、少なくとも1つの耐火性の成形基礎材と、1つの水ガラスに基づいた結合剤を含んだ金属加工用の鋳型を製造するための成形材混合物とが用いられ、そのような成形材混合物には、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、及び酸化亜鉛の一群の中から選択される粒子状金属酸化物を一定比率で加えることが、明らかにされている。そして、そのような粒子状金属酸化物を添加することにより、鋳型の初期強度、即ち高温の工具から取り出した直後の強度、並びに耐湿性が改善されるという利点がもたらされるとされている。
しかしながら、そのような成形材混合物は、少量では、耐湿性の効果をほとんど発揮しないために、水ガラスの固形分以上の多量の金属酸化物を添加する必要があり、そのために、耐湿強度は向上しても、成形性の悪化の問題を充分に解決し得るものではなかったのである。特に、二酸化珪素については、鋳物砂の混練工程や、廃砂の再生工程の際に、遊離ケイ酸が発生し、その粉塵が作業環境の悪化を招き、身体の呼吸器等に悪影響を及ぼす恐れも懸念されるのである。また、短期的な耐湿性の向上効果は得られるものの、例えば鋳型を湿度の高い雰囲気中に長時間保持した場合にあっては、吸湿によって、時間の経過と共に鋳型の強度が低下する問題は、充分に解決されておらず、特に、200℃以下での鋳型の成形を行うような場合においては、それら従来の耐湿性を向上させる添加剤を使用したとしても、吸湿した時の強度は、未だ不充分なものであった。
特表2008−511447号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、水ガラスからなる無機系粘結材を用いた鋳型の耐湿強度を向上させることの出来る、鋳型の改善された製造方法を提供することにあり、また他の課題とするところは、そのような製造方法によって得られる鋳型を提供することにある。
そして、本発明は、上記した課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいて採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載から把握され得る発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
(1)(a)耐火性骨材と、(b)水ガラスを必須成分とする粘結材と、(c)炭酸塩及び/又はホウ酸塩とを少なくとも含む成形材料混合物を用い、これを、120℃〜200℃の温度に加熱された成形型内に充填して、保持することにより、硬化せしめることを特徴とする鋳型の製造方法。
(2)(a)耐火性骨材と、(b)水ガラスを必須成分とする粘結材と、(c)炭酸塩及び/又はホウ酸塩とを少なくとも含む成形材料混合物を用い、これを、加熱された成形型内に充填して、保持することにより、固化乃至は硬化せしめた後、120℃〜200℃の温度で二次焼成することを特徴とする鋳型の製造方法。
(3)前記成形型が、30℃以上120℃未満の温度に加熱されていることを特徴とする前記態様(2)に記載の鋳型の製造方法。
(4)前記成形型の保持中に、該成形型内に熱風または過熱水蒸気が通気せしめられることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(3)の何れか1つに記載の鋳型の製造方法。
(5)前記炭酸塩及び/又はホウ酸塩が、前記水ガラスの100質量部に対して1〜50質量部の割合で用いられていることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(4)の何れか1つに記載の鋳型の製造方法。
(6)前記水ガラスが、ケイ酸ナトリウムを主成分とするものであることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(5)の何れか1つに記載の鋳型の製造方法。
(7)前記ケイ酸ナトリウムのSiO2 /Na2 Oのモル比が、1.5〜4.0であることを特徴とする前記態様(6)に記載の鋳型の製造方法。
(8)前記炭酸塩が、炭酸亜鉛、炭酸鉄、炭酸マンガン、及び炭酸銅のうちの少なくとも何れか一つであることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(7)の何れか1つに記載の鋳型の製造方法。
(9)前記ホウ酸塩が、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸カリウム、四ホウ酸リチウム、四ホウ酸アンモニウム、四ホウ酸カルシウム、四ホウ酸ストロンチウム、四ホウ酸銀、メタホウ酸ナトリウム、メタホウ酸カリウム、メタホウ酸リチウム、メタホウ酸アンモニウム、メタホウ酸カルシウム、メタホウ酸銀、メタホウ酸銅、メタホウ酸鉛、及びメタホウ酸マグネシウムのうちの少なくとも何れか一つであることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(8)の何れか1つに記載の鋳型の製造方法。
(10)前記成形材料混合物が、湿態のものである前記態様(1)乃至前記態様(9)の何れか1つに記載の鋳型の製造方法。
(11)前記成形材料混合物が乾態のものであり、この乾態の成形材料混合物を前記成形型内に充填した後、その充填相内に水蒸気が通気せしめられる前記態様(1)乃至前記態様(9)の何れか1つに記載の鋳型の製造方法。
(12)(a)耐火性骨材と、(b)水ガラスを必須成分とする粘結材と、(c)炭酸塩及び/又はホウ酸塩とを少なくとも含む成形材料混合物を用い、これを、120℃〜200℃の温度に加熱された成形型内に充填して、保持することにより、硬化せしめることによって、製造してなることを特徴とする鋳型。
(13)(a)耐火性骨材と、(b)水ガラスを必須成分とする粘結材と、(c)炭酸塩及び/又はホウ酸塩とを少なくとも含む成形材料混合物を用い、これを、加熱された成形型内に充填して、保持することにより、固化乃至は硬化せしめた後、120℃〜200℃の温度で二次焼成することによって、製造してなることを特徴とする鋳型。
このように、本発明にあっては、粘結材として水ガラスを用いて、その水溶液を耐火性骨材に適用して、鋳型の造型を行うものであるが、そのような水ガラスと共に、炭酸塩及び/又はホウ酸塩を用いて、それらを、耐火性骨材に混合せしめることにより、成形材料混合物を構成して、鋳型の造型を行う一方、120℃〜200℃の高温度での加熱によって硬化せしめて、目的とする鋳型を得るようにしたことにより、耐湿性に優れた鋳型が有利に提供され得たのであり、また、吸湿時における鋳型強度の低下が効果的に抑制され得る共に、成形材料混合物や鋳型の長期保管が可能となる等の特徴も、有利に発揮され得ることとなったのである。
ところで、本発明において用いられる成形材料混合物は、それが含有する水分量によって、ここでは、0.5質量%未満の場合に乾態のものとして、また水分量が0.5質量%以上の場合には湿態のものとして、分類することとする。そして、乾態の場合には、成形材料混合物は、粘結材が炭酸塩及び/又はホウ酸塩と共に耐火性骨材を被覆してなるコーテッドサンドとして、用いられるものである。なお、この乾態の成形材料混合物は、それ自体に、粘着性がないものの、水蒸気等の通気によって、骨材表面上の水ガラス(被覆層)を溶解させて、湿った成形材料混合物として、加熱乾燥により、固化乃至は硬化させることが出来るものである。また、湿態の成形材料混合物は、水分を含んだ粘着性のある砂形態のものであって、そのような状態の湿った成形材料混合物を造型して、加熱乾燥することにより、固化乃至は硬化させることが出来るのである。
ここで、そのような成形材料混合物を構成する耐火性骨材としては、鋳型の基材(鋳物砂)として機能する耐火性物質であって、従来から鋳型用として用いられている各種の耐火性粒状材料が何れも用いられ得るところであり、具体的には、ケイ砂や再生ケイ砂をはじめ、アルミナサンド、オリビンサンド、ジルコンサンド、クロマイトサンド等の特殊砂や、フェロクロム系スラグ、フェロニッケル系スラグ、転炉スラグ等のスラグ系粒子、アルミナ系粒子、ムライト系粒子等の多孔質粒子及びこれらの再生粒子;アルミナボール、マグネシアクリンカー等を挙げることが出来る。なお、これらの耐火性骨材は、新砂であっても、或いは、鋳物砂として鋳型の造型に一回或いは複数回使用された再生砂又は回収砂であっても、更には、そのような再生砂や回収砂に新砂を加えて混合せしめてなる混合砂であっても、何等差支えない。そして、そのような耐火性骨材は、一般に、AFS指数で40〜80程度の粒度のものとして、好ましくは、鋳型造型時に水蒸気の通気と乾燥をし易くするために、60程度以下の粒度のものとして、用いられることとなる。
また、本発明に従う成形材料混合物において、粘結材として用いられる水ガラスは、可溶性のケイ酸化合物であって、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸アンモニウム、コロイダルシリカ、アルキルシリケート等を挙げることが出来るが、特に、本発明にあっては、得られる成形材料混合物がブロックし難く、成形性が良いところから、ケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ)が、有利に用いられることとなる。なお、そのようなケイ酸ナトリウムは、通常、SiO2/Na2Oのモル比によって、1号〜5号の種類に分類されて、用いられている。具体的には、ケイ酸ナトリウム1号は、SiO2/Na2Oのモル比が2.0〜2.3であるものであり、またケイ酸ナトリウム2号は、SiO2/Na2Oのモル比が2.4〜2.5であるものであり、更にケイ酸ナトリウム3号は、SiO2/Na2Oのモル比が3.0〜3.3であるものである。加えて、ケイ酸ナトリウム4号は、SiO2/Na2Oのモル比が3.3〜3.5であるものであり、またケイ酸ナトリウム5号は、SiO2/Na2Oのモル比が3.6〜3.8であるものである。これらの中で、ケイ酸ナトリウム1号〜3号は、JIS K1408にても規定されているものである。そして、これらのケイ酸ナトリウムは、単独での使用の他、混合して用いられても良く、また水酸化ナトリウムなどの添加材を混合することで、SiO2/Na2Oのモル比を調整することも可能である。
そして、本発明にあっては、特に高い充填密度と高い鋳型強度とを実現する成形材料混合物を得るために、粘結材として用いられるケイ酸ナトリウムは、SiO2/Na2Oのモル比が1.5〜4.0の範囲であることが望ましく、中でも1.8〜3.0の範囲であることがより望ましい。勿論、上記したケイ酸ナトリウムの分類の範囲外のモル比のものを形成せしめて、使用することも可能であることは言うまでもないところである。
ここで、ケイ酸ナトリウムにおける上記したモル比が低くなると、水ガラスに多くのアルカリが存在することとなるため、水に対するバインダーの溶解性が上がり、吸湿劣化し易くなる。そこで、耐湿性を向上させるには、より高いモル比を選択する方が良いことになる。一方、モル比が高くなり過ぎると、鋳型の物性強度が低下するようになるため、耐湿性と物性強度のバランスが必要となるのである。これにより、湿態の成形材料混合物では、ケイ酸ナトリウムにおけるSiO2/Na2Oのモル比が2.5〜3.0であることが更に望ましいと言うことが出来る。また、乾態では、湿態と違い、鋳型の造形時に水蒸気を通気する工程が必要となり、その際に、より低いモル比の水ガラスを用いると、アルカリが多いことから、砂粒表面の粘結剤が水蒸気へ溶解し易くなり、ムラなく、砂全体のバインダーを溶解させることが可能になるため、造型性が向上することとなる。そのため、乾態の成形材料混合物では、SiO2/Na2Oのモル比は湿態より低い2.0〜2.5の範囲であることが、更に望ましいと言える。このような理由から、本発明では、モル比を一義的に規定せずに、乾態と湿態とで異なるモル比の水ガラスが使用されるのが望ましいとしているのである。
なお、本発明において用いられる水ガラス水溶液は、水に溶けた状態の水ガラスのことを意味し、市場において購入されたままの原液の状態において用いられ得る他、そのような原液に水を添加して、希釈した状態においても、用いられ得るものである。そして、そのような水ガラス水溶液から、水や溶剤等の、揮発する物質を除いた固形分を不揮発分と言い、これが、上記したケイ酸ナトリウム等の可溶性のケイ酸化合物に相当することとなる。また、そのような不揮発分(固形分)の割合が高いほど、水ガラス水溶液中での水ガラス濃度は、濃くなると言うことが出来る。従って、本発明において用いられる水ガラス水溶液の不揮発分とは、それが原液のみにて構成される場合においては、かかる原液中の水分量を除いた割合に相当することとなり、一方、原液を水にて希釈して得られる希釈液が用いられる場合にあっては、原液中の水分量と希釈に用いられた水の量とを除いた割合が、使用される水ガラス水溶液の不揮発分に相当することとなる。
また、そのような水ガラス水溶液中における不揮発分は、水ガラスの種類等に応じて適宜の割合とされることとなるが、有利には、20〜45質量%の割合において含有せしめられていることが望ましい。この不揮発分に相当する水ガラス成分を適度に水溶液中に存在せしめることによって、耐火性骨材との混和(混練)時に、かかる耐火性骨材に対して、ムラなく、均一に、水ガラス成分を被覆させることが出来、それによって、抗折強度が高く、表面を引っ掻いた際の硬度が高い鋳型を、有利に造型することが可能となるのである。なお、水ガラス水溶液中における水ガラス成分の量が薄くなり過ぎて、不揮発分の合計量が20質量%未満となると、乾態の場合、成形材料混合物の乾燥のために、加熱温度を高くしたり、加熱時間を長くしたりする必要があり、そのために、エネルギーロス等の問題が惹起されるようになる。また、湿態の場合、造型時間が長くなる問題が惹起されるようになる。更に、水ガラス水溶液中における不揮発分の割合が高くなり過ぎると、乾態の場合に、耐火性骨材の表面を、水ガラス成分にて均一に被覆することが困難となり、ダマの発生量が多くなって、鋳型特性の向上にも問題を惹起するようになる。一方、湿態の場合には、砂同士の結合に寄与する水分量が少なくなり、強度が低下するようになる。従って、乾態、湿態の何れの場合においても、かかる不揮発分は45質量%以下の割合となるように、水ガラス水溶液を調製することが、望ましいのである。
さらに、かかる水ガラス水溶液は、耐火性骨材の100質量部に対して、不揮発分のみとして考えた場合の固形分換算で、0.1〜2.5質量部の割合において用いられることが望ましく、中でも、0.2〜2.0質量部の割合が特に有利に採用されて、耐火性骨材の表面に、水ガラスの被覆層が形成されることとなる。ここで、固形分の測定には、先ず、試料皿としてのアルミ箔製皿(縦:90mm、横:90mm、高さ:15mm)内に、試料10gを秤量して収容し、これを180±1℃に保持した加熱板上に置いて、20分間放置した後、かかる試料皿を、反転させて、更に20分間、上記加熱板上に放置する。そして、その試料皿を加熱板上から取り出して、デシケーター中で放冷した後、秤量を行なって、次式により、固形分を求めるようにするのである。
固形分(%)=[乾燥後の質量(g)/乾燥前の質量(g)]×100
なお、この水ガラス水溶液の使用量が少なくなり過ぎると、耐火性骨材の表面に、水ガラスの有効な被覆層が形成され難くなって、成形材料混合物の固化乃至は硬化が充分に行なわれ難くなるからであり、また水ガラス水溶液の使用量が多くなり過ぎても、耐火性骨材の表面に余分に水ガラス水溶液が付着して、均一な被覆層が形成され難くなると共に、金属を鋳込んだ後の中子の砂落としも、難しくなるからである。
ところで、本発明において用いられる、上記の水ガラスを必須の成分とする粘結材には、炭酸塩とホウ酸塩のうちの少なくとも何れか一方が組み合わされて、成形材料混合物中に含有せしめられることとなる。ここで、それらのうち、炭酸塩としては、炭酸亜鉛、炭酸鉄、炭酸マンガン、炭酸銅等が挙げられるが、炭酸亜鉛が、より望ましく用いられる。また、ホウ酸塩としては、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸カリウム、四ホウ酸リチウム、四ホウ酸アンモニウム、四ホウ酸カルシウム、四ホウ酸ストロンチウム、四ホウ酸銀、メタホウ酸ナトリウム、メタホウ酸カリウム、メタホウ酸リチウム、メタホウ酸アンモニウム、メタホウ酸カルシウム、メタホウ酸銀 メタホウ酸銅、メタホウ酸鉛、メタホウ酸マグネシウム等が挙げられるが、特に、四ホウ酸ナトリウムやメタホウ酸カリウムが、より望ましく用いられる。そして、これらの炭酸塩とホウ酸塩は、単独で用いられても良く、また複数の種類を配合して用いられても何等差し支えない。これら炭酸塩やホウ酸塩を配合してなる成形材料混合物を用いると共に、120℃〜200℃の温度に加熱された成形型内に充填して、保持することにより、又は加熱された成形型内に充填して、保持することにより、固化乃至は硬化せしめた後、120℃〜200℃の温度で二次焼成することにより、初めて、得られる鋳型の耐湿強度を有利に向上せしめることが出来ることとなるのである。
また、かかる炭酸塩及び/又はホウ酸塩の使用量としては、その総量において、水ガラス水溶液の不揮発分のみとして考えた場合の固形分換算で、水ガラスの100質量部に対して、一般に、1〜50質量部程度であることが好ましく、中でも、1〜20質量部がより好ましく、特に、2〜10質量部が更に好ましい。それら炭酸塩及び/又はホウ酸塩の添加の効果を有効に発揮するためには、1質量部以上の使用量であることが望ましいのであり、また、その添加量が多くなると、粘結材による結合の邪魔になって、物性強度が低下する等の問題を惹起する恐れがあるところから、50質量部以下とされることが望ましいのである。
そして、本発明にあっては、それら炭酸塩及び/又はホウ酸塩が、水ガラスを必須成分として含有する粘結材と組み合わされて、所定の耐火性骨材に混合せしめられることによって、成形材料混合物が形成されることとなるのであるが、そのような成形材料混合物の形成には、それら三成分の均一な混合を可能にする公知の各種の手法が、適宜に採用可能である。例えば、粘結材に炭酸塩及び/又はホウ酸塩を予め配合した後、耐火性骨材と混練又は混合せしめる方法や、粘結材とは別個に、炭酸塩及び/又はホウ酸塩を耐火性骨材に対して添加しておき、これに粘結材を配合して、全体を均一に混練乃至は混合せしめる方法等が、採用されることとなる。特に、本発明において用いられる炭酸塩及び/又はホウ酸塩は固形粉末の形態であるところから、耐火性骨材に予め混合する後者の手法が、有利に採用されることとなる。
なお、上述の如くして調製される成形材料混合物には、必要に応じて、公知の各種の添加剤を含有せしめることが可能である。具体的には、そのような必要に応じて添加せしめられる添加剤としては、固形酸化物、塩、炭水化物、界面活性剤を挙げることが出来る。それらの中で、固形酸化物や塩を含有せしめることによって、成形材料混合物の耐湿性が有利に向上せしめられ得ることとなる。そこにおいて、固形酸化物としては、例えば、ケイ素、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、鉛、ホウ素の酸化物の使用が有効である。特に、その中でも、酸化亜鉛、酸化アルミニウムなどの金属酸化物の使用が望ましい。また、ケイ素の酸化物では、沈殿ケイ酸、発熱性ケイ酸が好ましく用いられる。更に、塩としては、ケイフッ化塩、ケイ酸塩、リン酸塩等があり、その中でも、リン酸塩の使用が望ましい。また、炭水化物としては、オリゴ糖、ポリサッカリド、セルロース、澱粉、デキストリンの使用が望ましい。更にまた、界面活性剤としては、サルフェート基、スルホネート基、又はホスフェート基を有するアニオン性界面活性剤の使用が望ましい。そして、これら固形酸化物や塩等は、水ガラス水溶液の不揮発分のみとして考えた場合の固形分換算で、水ガラスの100質量部に対して、総量において、0.5〜5質量部であることが好ましく、中でも1〜3質量部がより好ましい。
また、その他の添加剤として、耐火性骨材と水ガラス(バインダー)との結合を強化するカップリング剤を含有せしめることも有効であり、例えば、シランカップリング剤、ジルコンカップリング剤、チタンカップリング剤等を用いることが出来る。また、成形材料混合物の流動性の向上に寄与する滑剤の含有も有効であり、例えば、パラフィンワックス、合成ポリエチレンワックス、モンタンワックス等のワックス類;ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド等の脂肪酸アマイド類;メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド等のアルキレン脂肪酸アマイド類;ステアリン酸、ステアリルアルコール、ステアリン酸金属塩、ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリルステアレート、硬化油等を使用することが可能である。更に、離型剤として、パラフィン、ワックス、軽油、マシン油、スピンドル油、絶縁油、廃油、植物油、脂肪酸エステル、有機酸、黒鉛微粒子、雲母、蛭石、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤等も使用可能である。そして、これらその他の添加剤は、水ガラス水溶液の不揮発分のみとして考えた場合の固形分換算で、水ガラスの100質量部に対して、0.001〜5質量部であることが好ましく、中でも0.01〜3質量部がより好ましい。
そして、これらの添加剤は、粘結材(水ガラス)と反応せず、粘結材とは混ざり易いものにおいては、かかる粘結材に予め配合して、耐火性骨材に配合せしめるようにすることが可能である。また、粘結材と反応したり、粘結材と混ざり難いものにあっては、粘結材とは別個に、耐火性骨材に対して添加、配合する手法が、有利に採用されることとなる。
ところで、かくの如き本発明に従う成形材料混合物を製造するに際しては、乾態の成形材料混合物としても良く、また湿態の成形材料混合物とすることも可能である。
その中で、乾態の成形材料混合物の場合、加熱した耐火性骨材に対して、粘結材と炭酸塩及び/又はホウ酸塩を組み合わせて、必要に応じて添加剤と共に、混練乃至は混合せしめて均一に混和し、かかる耐火性骨材の表面を粘結材にて被覆するようにすると共に、そのような粘結材のバインダー成分である水ガラス水溶液の水分を蒸散せしめることによって、常温流動性を有する乾態の成形材料混合物を得る手法が、採用されることとなるが、その際における水ガラス水溶液の水分の蒸散は、炭酸塩及び/又はホウ酸塩の存在下、水ガラスの固化乃至は硬化が進む前に迅速に行なわれる必要があり、そのために、本発明にあっては、耐火性骨材に対して水ガラス水溶液を投入(混合)してから、5分以内に、より好ましくは3分以内に、含有水分を飛ばして、乾態の成形材料混合物とすることが、望ましい。
また、そのような本発明に従う成形材料混合物の製造工程において、かかる水ガラス水溶液中の水分を迅速に蒸散せしめるための有効な手段の一つとして、耐火性骨材を予め加熱しておき、それに、粘結材を混練乃至は混合して、混和せしめるようにする手法が、採用される。この予め加熱された耐火性骨材に、水ガラス水溶液を混練乃至は混合せしめるようにすることによって、水ガラス水溶液中の水分は、そのような耐火性骨材の熱にて、極めて迅速に蒸散せしめられ得ることとなるのであり、以て、得られる成形材料混合物の水分率を効果的に低下せしめ得て、常温流動性を有する乾態の粉体が、有利に得られることとなるのである。そして、この耐火性骨材の予熱温度としては、水ガラス水溶液の含有水分量やその配合量等に応じて、適宜に選定されることとなるが、一般に、100〜150℃程度、より好ましくは100〜120℃程度の温度に、耐火性骨材を加熱しておくことが望ましい。なお、この予熱温度が低くなり過ぎると、水分の蒸散を効果的に行なうことが出来ず、乾燥に時間がかかるようになるところから、100℃以上の温度とすることが望ましいのであり、また予熱温度が高くなり過ぎると、得られる成形材料混合物の冷却時に水ガラスの硬化が進み、加えて複合粒子化が進行するようになるところから、成形材料混合物としての機能、特に強度の如き物性に問題を生じるようになるからである。
そして、このようにして得られる、本発明に従う成形材料混合物は、乾態の場合に、その水分率が0.5質量%未満、好ましくは0.3質量%以下に調整されてなるものとして製造され、これによって、鋳型造型のための成形型の成形キャビティ内への充填性が、より一層優れたものとなるのであり、また、そのような成形材料混合物を用いて造型された鋳型においても、優れた特性が付与されたものとなるのである。
一方、湿態の成形材料混合物の場合には、常温の耐火性骨材に対して、粘結材と炭酸塩及び/又はホウ酸塩とを組み合わせて、必要に応じて添加剤と共に、混練乃至は混合せしめて均一に混和し、かかる耐火性骨材の表面を粘結材にて被覆することによって、湿態の成形材料混合物を得る手法が、採用されることとなる。そして、このようにして、本発明に従う成形材料混合物は、その水分率が0.5質量%以上、好ましくは0.5〜5.0質量%、より好ましくは1.0〜3.0質量%に調整されてなるものとして製造され、これによって、鋳型造型時に成形型に充填する際のブローエアーで湿態砂が乾燥し、ブロックするのを防ぎ、湿態の成形材料混合物の湿潤さを保つことが出来ることに加え、そのような成形材料混合物を用いて造型された鋳型においても、優れた特性が付与されたものとなるのである。なお、湿態の成形材料混合物は、鋳型の製造時に湿態の状態であれば良いため、例えば乾態の成形材料混合物を、使用前に水を加えて湿態の成形材料混合物にして使用しても良い。鋳型の製造時以外は乾態の状態である方が、輸送性や長期保管性に優れるため望ましい。この時に加える水の量は、乾態の成形材料混合物100質量部に対して水1〜5質量部が好ましい。
かくして得られた本発明に従う成形材料混合物を用いて、目的とする鋳型を造型する第1の方法によれば、先ず、上記の湿態の成形材料混合物を用い、それを、目的とする鋳型を与える成形型の成形キャビティ内に充填する一方、かかる成形型を120〜200℃の温度に加熱して、充填された成形材料混合物が、成形型内で乾燥されるまで、保持されることとなる。このような成形型内での加熱保持により、充填された成形材料混合物の固化乃至は硬化が行なわれることとなるのである。
このように、加熱された成形型のキャビティ内に、湿態の成形材料混合物を充填せしめて、保持されることにより、かかる充填相を構成する成形材料混合物が湿態であることから、それは相互に結合されて連結せしめられ、一体的な鋳型形状の成形材料混合物集合体(結合物)が、形成されるのである。なお、粘結材の主要素である水ガラスは、通常、水の蒸発乾固により固化し、また硬化剤として、酸化物や塩が加えられている場合には、硬化することとなるのであるが、本発明では、硬化剤として炭酸塩及び/又はホウ酸塩が添加されることとなるところから、充填相は硬化されたものとなるが、単に、固化されたものであっても、何等差支えない。
また、湿態の状態の成形材料混合物は、120〜200℃に予め加熱により保温された成形型内で一定時間保持されることで、水の蒸発乾固により乾燥せしめられて、固化又は硬化させられるのである。この予熱による保温温度としては、120〜200℃、好ましくは130〜180℃、より好ましくは140〜160℃、さらに好ましくは145〜160℃が採用される。乾燥を早め、造型時間を短縮する理由と、添加剤による耐湿強度向上の理由から、120℃以上である必要があり、砂粒間の結合が十分に形成される前に水分が蒸発し、鋳型強度が発現しなくなる問題を防ぐ理由から、200℃以下である必要がある。この成形型の温度範囲により、耐湿強度を向上せしめると共に、成形材料混合物の乾燥が、有利に進行せしめられ得るのである。
ここで、水ガラスに炭酸塩及び/又はホウ酸塩を組み合わせて耐火性骨材に均一に配合せしめてなる成形材料混合物を、120℃〜200℃に加熱された成形型内で保持することで、耐湿性の向上の効果を持たせる理由を、以下に考察する。先ず、湿態の成形材料混合物を用いて、120℃未満の温度で乾燥固化した場合、水ガラスは水分を含有しており、再溶解しやすい状態となっている。これに対し、120℃以上で加熱することで、水ガラス中の水分を蒸散させるので、ある程度は再溶解しにくい状態となる。しかし、それだけでは不十分で、成形材料混合物にはアルカリが大量に含まれているため、高温多湿の状況下ではどうしても再溶解をしてしまう。そこで、添加剤として、炭酸塩を添加した場合、120℃付近で、かかる炭酸塩が熱分解して、CO2 が発生するようになるため、炭酸塩の近傍に存在するアルカリが中和されるようになって、再溶解を防ぎ、耐湿強度を向上させることが出来ると考えられる。また、添加剤として、ホウ酸塩が添加されている場合には、120℃以上に加熱されて、水分が蒸散すると同時に、水ガラスのOH結合間に、四ホウ酸イオン又はメタホウ酸イオンがキレートを形成するようになる。これによって、水ガラスのOHがふさがれることで、再溶解を防ぎ、耐湿強度を向上させることが出来るると考えられるのである。
ところで、このような第1の方法においては、湿態でなく乾態の成形材料混合物を用いて、造型することも可能である。この乾態のものを使用する場合においては、かかる成形材料混合物を、目的とする鋳型を与える成形型の成形キャビティ内に充填した後に、水蒸気を吹き込み、成形材料混合物の充填相内を通過せしめる工程が加わることとなるのであり、この水蒸気の通気によって、成形材料混合物が湿らされて、120〜200℃に加熱された成形型内で乾燥するまで保持されるのである。なお、この乾態の場合の水蒸気の通気による鋳型の製造方法の詳細については、後述する第2の方法において説明することとする。
なお、上記した第1の方法においては、水蒸気を吹き込む際に水蒸気の温度よりも成形型の温度の方が高過ぎると、水蒸気が成形型の表面付近で即座に蒸散し、結露しないために、成形型の表面付近の水ガラスが溶解せず、表面の強度が低下するとの理由で、成形が困難になる場合がある。そのため、120〜200℃に加熱された成形型内で保持する場合には、水蒸気は120℃以上の温度で吹き込まれることとなる。水蒸気の温度をあまり高温で使用したくない場合には、湿態の成形材料混合物を用いることが望ましい。
また、本発明に従う成形材料混合物を用いて鋳型を造型する第2の方法においては、先ず、乾態の成形材料混合物を用い、それを、目的とする鋳型を与える成形型の成形キャビティ内に充填し、次いで水蒸気を吹き込み、成形材料混合物の充填相内を通過せしめる一方、30℃以上120℃未満の温度に加熱された成形型内で乾燥するまで、保持せしめられるようにされる。この成形型内で加熱保持することにより、充填された成形材料混合物の固化乃至は硬化が行なわれることとなるのである。その後、120℃〜200℃に加熱された恒温槽内で、一般に0.2〜2時間程度、好ましくは0.5〜1時間の間、二次焼成される。なお、そのような成形型による成形から二次焼成に至るまでの時間は、特に限定されないが、鋳型の物性を安定させるためには、24時間以内に行うことが望ましく、2時間以内に行うことが、より望ましい。
ここで、水ガラスに炭酸塩及び/又はホウ酸塩を組み合わせて耐火性骨材に均一に配合してなる成形材料混合物を、加熱された成形型内で保持して成形した後、120℃〜200℃の温度で二次焼成を行うことで、耐湿性の向上の効果を実現し得る理由について、以下に考察する。先ず、乾態の成形材料混合物を用いて、30℃以上120℃未満の温度で乾燥固化した場合、水ガラスは水分を含有しており、再溶解し易い状態となっている。この成形した鋳型を、120℃〜200℃、好ましくは130℃〜180℃、さらに好ましくは140℃〜160℃の恒温槽内で二次焼成を行うことにより、水ガラス中の水分を蒸散させて、水ガラスの水分を抜くと、水ガラスは再溶解し難くなる。これに加えて、添加剤として、炭酸塩やホウ酸塩を添加した効果により、耐湿強度を向上させることが出来ると考えられるのである。なお、この炭酸塩やホウ酸塩を添加した効果については、先の第1の鋳型の製造方法における場合と同様なので、説明は省略することとする。
そして、上記の如く加熱された成形型のキャビティ内に、乾態の成形材料混合物を充填せしめた後、そこに形成される充填相内に、成形型に設けられた通気口を通じて、水蒸気を加圧下に通気させて、かかる充填相を構成する成形材料混合物を湿らせて、相互に結合させることによって、連結せしめ、一体的な鋳型形状の成形材料混合物集合体(結合物)が、形成されるのである。
なお、そのような成形型の通気口を通じて吹き込まれて、成形材料混合物の充填相内を通気せしめられる水蒸気の温度としては、一般に、80〜150℃程度、より望ましくは95〜120℃程度とされる。高温の水蒸気温度を採用すると、その生産のために、多量のエネルギーが必要となるところから、特に、100℃以下の水蒸気温度が有利に採用されることとなる。また、本発明に従って通気せしめられる水蒸気の圧力としては、ゲージ圧で、0.01〜0.3MPa程度、より好ましくは0.01〜0.1MPa程度の値が有利に採用されるのである。成形材料混合物の通気性が良い場合において、水蒸気を通気させるための圧力が、前記したゲージ圧程度であれば、成形型内に形成される鋳型に、満遍なく、水蒸気を通気させることが出来るのであり、しかも水蒸気の通気時間及び鋳型の乾燥時間が短時間で済み、造型速度を短縮することが出来る特徴がある。また、そのようなゲージ圧であれば、成形材料混合物の通気性が悪い場合においても、造型が可能となる利点がある。ここで、ゲージ圧が高過ぎると、通気口付近でしみつきが発生し、低過ぎると、全体に通気せず、成形材料混合物を充分に湿らせることが出来ない恐れがある。
また、かくの如く水蒸気を通気させる方法としては、成形型に設けた通気口から水蒸気を吹き込み、成形型の成形キャビティ内に充填された成形材料混合物(相)内を通気せしめる手法が採用され、更にその通気時間としては、かかる充填された成形材料混合物の表面に水蒸気を供給して、その表面の粘結材である水ガラスを充分に湿らせ、成形材料混合物を相互に結合(接合)し得るような時間が、成形型の大きさや通気口の数等によって、適宜に選定されることとなるが、一般に、2秒程度から60秒程度までの通気時間が、採用されることとなる。この水蒸気の通気時間が短くなり過ぎると、成形材料混合物表面を充分に湿らせることが困難となるからであり、また通気時間が長くなり過ぎると、成形材料混合物表面の粘結材が溶解、流出することで、成形型へのシミツキを発生させる恐れ等が生じることに加え、造型時間も長くなるからである。
なお、この成形型内に充填された成形材料混合物内における水蒸気の通気性の向上は、かかる成形型の排気口から型内の雰囲気を吸引しつつ、水蒸気の通気を行なうことによって、更に高めることが可能である。また、このような水蒸気の通気に際して、成形型内に充填された成形材料混合物相を予め減圧状態としておくことも、有効である。加えて、通気口や排気口の位置を適切に設定し、水蒸気の充填相内の流路の長さを最適化することが、複雑形状中子等の製造に重要である。場合によっては、複数の通気口、排気口を使用し、水蒸気通気のシミュレーション等を行うことも、有効である。
その際、乾態の成形材料混合物が充填せしめられる、金型や木型等の成形型は、予め加熱により保温されていることが望ましく、加熱された成形型内で一定時間保持されることによって、水蒸気によって湿らされた成形材料混合物を乾燥させ、成形材料混合物の固化乃至は硬化が、有利に進行せしめられ得るのである。なお、そのような成形型の加熱による保温温度としては、一般に、30〜120℃程度、好ましくは50〜110℃程度、より好ましくは60〜100℃程度の温度が、採用されることとなる。この保温温度が高くなると、成形型の表面にまで蒸気が通り難くなり、強度が低下するようになるのであり、また温度が低くなり過ぎると、造型された鋳型の乾燥に時間を要するようになり、樹脂が型表面に付着して、シミツキが惹起され易くなる。
加えて、かかる成形型内に充填せしめられる乾態の成形材料混合物も、有利には、予熱されていることが望ましい。一般に、30℃以上の温度に加温された成形材料混合物を、成形型に充填せしめるようにすることによって、得られる鋳型の抗折強度がより有利に高められ得ることとなるのである。このような成形材料混合物の加温温度としては、好ましくは30〜100℃程度とされ、特に、40〜80℃程度の温度に加温された成形材料混合物が、有利に用いられることとなる。
また、このような第2の方法においては、乾態でなく湿態の成形材料混合物を用いることも可能である。湿態の場合において、かかる成形材料混合物を、目的とする鋳型を与える成形型の成形キャビティ内に充填した後の、水蒸気を吹き込む工程が必要でなくなり、湿った成形材料混合物が乾燥するまで、30℃以上120℃未満の温度に加熱された成形型内で保持されることとなる。その後、120℃〜200℃に加熱された恒温槽内で二次焼成されることによって、目的とする鋳型が得られるのである。
さらに、このような本発明に従う鋳型の製造方法における第1の方法や第2の方法においては、湿った成形材料混合物を加熱された成形型内で保持する際に(乾態の場合は水蒸気を通気した後)、湿った成形材料混合物の充填相を積極的に乾燥させるべく、乾燥空気、加熱乾燥空気、過熱水蒸気、又は窒素ガスを吹き込み、かかる充填相に通気せしめるようにする手法も、好適に採用されるところである。このような乾燥空気、加熱乾燥空気、過熱水蒸気又は窒素ガスの通気によって、成形材料混合物の充填相の内部にまで迅速に乾燥させて、かかる充填相の固化乃至は硬化をより一層有利に促進せしめ、以て、硬化速度を有利に高めると共に、得られる鋳型の抗折強度等の特性をも有利に高め得ることとなる他、鋳型の造型時間の短縮にも、有利に寄与し得るのである。なお、乾燥を促進するために通気するのは、加熱乾燥空気等の熱風か、過熱水蒸気であることが、望ましい。
また、上述の如き、加熱された成形型内で保持する際に、二酸化炭素(炭酸ガス)、エステルなどの反応性ガスや、窒素、アルゴンなどの不活性ガスの如き所定のガスを通気しても良く、これらのガスの通気により、粘結材を中和することで、その固化または硬化をより促進させることが可能である。なお、これらのガスの通気は、水蒸気や乾燥空気等の通気と同時に行なっても、何等差支えない。
以下に、幾つかの実施例を用いて、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明は、そのような実施例の記載によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。なお、以下の実施例や比較例において、部及び百分率は、特に断りのない限りにおいて、何れも、質量基準にて示されている。また、実施例や比較例の成形材料混合物を用いて得られる鋳型の抗折強度の測定は、それぞれ、以下のようにして行った。
−抗折強度の測定−
各CSを用いて得られた試験片について、その破壊荷重を、測定器(高千穂精機株式会社製:デジタル鋳物砂強度試験機)を用いて測定して、この測定された破壊荷重を用いて、抗折強度を、下記の式により算出した。なお、抗折強度は、成形後(1時間後)の冷間で測定を行った。
抗折強度=1.5×LW/ab2
[但し、L:支点間距離(cm)、W:破壊荷重(kgf)、a:試験片の幅(cm)、b:試験片の厚み(cm)]
−吸湿時(24h)の抗折強度の測定−
得られた試験片を、30℃、湿度80%の恒温恒湿槽の中に入れて、24時間保持した後、恒温恒湿槽から取り出して、10分以内に、前述した試験法に従って、抗折強度を測定した。
−湿態の成形材料混合物の製造例1(CS1)−
耐火性骨材として、市販の鋳造用人工砂であるルナモス#50(商品名:花王株式会社製)を準備すると共に、粘結材のバインダー成分として、市販のケイ酸ナトリウム3号(商品名:富士化学株式会社製、SiO2/Na2Oモル比:3.0)を水で希釈して、不揮発分(水ガラス水溶液から水分量を除いた割合)を25.6%とした水ガラス水溶液を準備した。
次いで、20℃のルナモス#50を、品川式万能攪拌機(5DM−r型)(株式会社ダルトン製)に投入した後、上記の水ガラス水溶液を、ルナモス#50の100部に対して、不揮発分のみとして考えた場合の固形分換算で、0.5部の割合で添加せしめ、更に炭酸亜鉛を、水ガラス水溶液の固形分を100部とした場合の5部の割合で添加して、30秒間の混練を行ない、砂粒塊が崩壊するまで攪拌混合せしめた後に、取り出すことにより、常温で自由流動性のある湿態の成形材料混合物(CS1)を得た。
−湿態の成形材料混合物の製造例2(CS2)−
製造例1における炭酸亜鉛を、水ガラス水溶液の固形分を100部とした場合の3部の割合で添加すること以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、CS2を得た。
−湿態の成形材料混合物の製造例3(CS3)−
製造例1における炭酸亜鉛を、水ガラス水溶液の固形分を100部とした場合の10部の割合で添加すること以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、CS3を得た。
−湿態の成形材料混合物の製造例4(CS4)−
製造例1における炭酸亜鉛を、炭酸鉄(II)に代えて、この炭酸鉄(II)を、水ガラス水溶液の固形分を100部とした場合の5部の割合で添加すること以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、CS4を得た。
−湿態の成形材料混合物の製造例5(CS5)−
製造例1における炭酸亜鉛を、四ホウ酸ナトリウム十水和物に代えて、この四ホウ酸ナトリウム十水和物を、水ガラス水溶液の固形分を100部とした場合の5部の割合で添加すること以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、CS5を得た。
−湿態の成形材料混合物の製造例6(CS6)−
製造例1における炭酸亜鉛を、メタホウ酸カリウムに代えて、このメタホウ酸カリウムを、水ガラス水溶液の固形分を100部とした場合の5部の割合で添加すること以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、CS6を得た。
−湿態の成形材料混合物の製造例7(CS7)−
製造例1において添加剤として用いた炭酸亜鉛を添加しないこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、CS7を得た。
−乾態の成形材料混合物の製造例8(CS8)−
耐火性骨材として、市販の鋳造用人工砂であるルナモス#50(商品名:花王株式会社製)を準備すると共に、粘結材のバインダー成分として、市販のケイ酸ナトリウム3号(商品名:富士化学株式会社製、SiO2/Na2Oモル比:3.0)に水酸化ナトリウムを添加することで、モル比を2.3とし、そして水で希釈して、不揮発分(水ガラス水溶液から水分量を除いた割合)を25.6%とした水ガラス水溶液を準備した。
次いで、約140℃の温度に加熱した上記のルナモス#50を、混練機(遠州鉄工株式会社製スピードマラー)に投入した後、上記の水ガラス水溶液を、ルナモス#50の100部に対して、不揮発分のみとして考えた場合の固形分換算で、0.5部の割合で添加せしめ、更に炭酸亜鉛を、水ガラス水溶液の固形分を100部とした場合の5部の割合で添加して、1分間の混練を行ない、水分を蒸発せしめる一方、砂粒塊が崩壊するまで攪拌混合せしめた後に、取り出すことにより、常温で自由流動性のある乾態の成形材料混合物(CS8)を得た。
−乾態の成形材料混合物の製造例9(CS9)−
製造例7における炭酸亜鉛を、炭酸鉄(II)に代えて、この炭酸鉄(II)を、水ガラス水溶液の固形分を100部とした場合の5部の割合で添加すること以外は、上記製造例8と同様の手順に従って、CS9を得た。
−乾態の成形材料混合物の製造例10(CS10)−
製造例8における炭酸亜鉛を、四ホウ酸ナトリウム十水和物に代えて、この四ホウ酸ナトリウム十水和物を、水ガラス水溶液の固形分を100部とした場合の5部の割合で添加すること以外は、上記製造例8と同様の手順に従って、CS10を得た。
−乾態の成形材料混合物の製造例11(CS11)−
製造例8において添加剤として用いた炭酸亜鉛を添加しないこと以外は、上記製造例8同様の手順に従って、CS11を得た。
なお、上記で得られた湿態の成形材料混合物CS1〜CS7の水分率は、それぞれ1.2%〜1.5%であり、また乾態の成形材料混合物CS8〜CS11の水分率は、それぞれ0.01%〜0.15%であった。
<実験1:成形型温調、2次焼成なし、湿態>
−鋳型の造型1(実施例1)−
上記の成形材料混合物の製造例1にて得られた、20℃の温度のCS1を、120℃に加熱した成形型内に、0.3MPaのゲージ圧力にて吹き込んで充填した後、成形型内で1分30秒間保持し、その後0.03MPaのゲージ圧力の下で、温度:300℃の熱風を1分間吹き込み、成形型内に成形材料混合物を充填してからトータルで3分間保持することで、CS1を硬化させることにより、試験片[10mm×10mm×80mm]として用いられる鋳型(実施例1)を作製した。
−鋳型の造型2(実施例2〜3)−
実施例1において、20℃の温度のCS1を、150℃又は200℃に加熱した成形型内に充填したこと以外は、実施例1と同じ方法により、それぞれ鋳型(実施例2〜3)を作製した。
−鋳型の造型3(実施例4〜8)−
実施例1において、CS1をCS2〜CS6に代えて、それぞれ150℃に加熱した成形型内に充填したこと以外は、実施例1と同様な方法に従って、それぞれ、鋳型(実施例4〜8)を作製した。
−鋳型の造型4(比較例1)−
実施例1において、CS1をCS7に代えて、150℃に加熱した成形型内に充填したこと以外は、実施例1と同じ方法に従って、鋳型(比較例1)を作製した。
−鋳型の造型5(比較例2〜4)−
実施例1において、成形材料混合物として、CS1、CS5又はCS7を用い、それぞれ100℃に加熱した成形型内に充填したこと以外は、実施例1と同じ方法に従って、鋳型(比較例2〜4)を作製した。
上記で得られた実施例1〜8、比較例1〜4の各種の試験片を用いて、前述した試験法に従って、抗折強度、吸湿24時間後の抗折強度を、それぞれ測定し、その結果を、下記表1〜表2に示す。なお、本実施例においては、吸湿24時間後の抗折強度が15kgf/cm2 以上であれば、合格とする。
Figure 0006604944
Figure 0006604944
かかる表1及び表2における実施例1〜3、比較例2の結果の比較より、成形直後の抗折強度においては、成形型温度は100℃の時の方が高く、成形型温度が高くなるに連れて、抗折強度は低下していることが認められる。一方、吸湿24時間の抗折強度においては、成形型温度150℃をピークとした値となっている。特に、比較例2では、吸湿した時の抗折強度が大きく低下しているのである。実施例7〜8のホウ酸塩でも、実施例1〜6の炭酸塩と同様に、耐湿強度向上の効果が得られている。このことから、炭酸塩やホウ酸塩を用いて、成形型温度が120℃〜200℃で保持した鋳型の耐湿強度が向上していることが分かる。なお、実施例2、3、5では、成形後の抗折強度よりも、吸湿24時間後の抗折強度の方が高くなっている。これは、成形後から24時間の間は、硬化が進行するので、成形後の抗折強度よりも、成形から時間が経った時の抗折強度の方が、若干上昇するためであり、成形後から抗折強度が上昇した状態で吸湿による劣化が抑えられて、吸湿24時間後の抗折強度の方が高くなったためである。
<実験2:2次焼成あり、乾態>
−鋳型の造型6(実施例9〜11)−
上記の成形材料混合物の製造例8にて得られた、20℃の温度のCS8を、100℃に加熱した成形型内に、0.3MPaのゲージ圧力にて吹き込んで充填した後、更に0.04MPaのゲージ圧力の下の温度100℃の水蒸気と、0.2MPaのゲージ圧力の下の窒素ガスとを、20秒間同時に吹き込み、成形型内に充填した成形材料混合物相に、通気せしめた。次いで、そのような水蒸気の通気が終了した後、0.03MPaのゲージ圧力の下で温度:300℃の熱風を2分40秒間吹き込み、成形型内に成形材料混合物を充填してからトータルで3分間保持することで、CS8を硬化させることにより、試験片[10mm×10mm×80mm]として用いられる鋳型を取り出した。
そして、この作製された試験片を、成形後2時間以内に、120℃、150℃又は200℃に保温された恒温槽で30分間の二次焼成を行うことによって、それぞれ、鋳型(実施例9〜11)を作製した。
−鋳型の造型7(実施例12〜13)−
実施例9において、CS8をCS9〜10に代えて、二次焼成の温度を150℃にしたこと以外は、実施例9と同じ方法に従って、鋳型(実施例12〜13)を作製した。
−鋳型の造型8(比較例5)−
実施例9において、二次焼成の温度を100℃にしたこと以外は、実施例9と同じ方法に従って、鋳型(比較例5)を作製した。
−鋳型の造型9(比較例6)−
実施例9において、二次焼成を行わなかったこと以外は、実施例9と同じ方法に従って、鋳型(比較例6)を作製した。
−鋳型の造型10(比較例7)−
実施例9において、CS8をCS11に代えて、二次焼成の温度を150℃にしたこと以外は、実施例9と同じ方法に従って、鋳型(比較例7)を作製した。
−鋳型の造型11(比較例8)−
実施例9において、CS8をCS11に代えて、二次焼成を行わなかったこと以外は、実施例9と同じ方法に従って、鋳型(比較例8)を作製した。
上記で得られた実施例9〜13及び比較例5〜8の各試験片を用いて、前述した試験法に従って、抗折強度、吸湿24時間後の抗折強度を、それぞれ測定し、その結果を、下記表3に示す。
Figure 0006604944
かかる表3の実施例9〜11、比較例5の結果より、成形直後の抗折強度においては、二次焼成温度は100℃の時の方が高く、二次焼成温度が高くなるに連れて、抗折強度は低下していることが認められる。一方、吸湿24時間の抗折強度においては、二次焼成温度150℃をピークとした値となっている。特に、比較例5では、吸湿した時の抗折強度が大きく低下している。実施例13のホウ酸塩でも、実施例9〜12の炭酸塩と同様に、耐湿強度向上の効果が得られている。このことから、炭酸塩やホウ酸塩を用いて、二次焼成温度を120℃〜200℃として得られた鋳型の耐湿強度が向上していることが分かる。
<実験3:2次焼成あり、湿態>
−鋳型の造型12(実施例14〜15)−
上記の成形材料混合物の製造例1,5にて得られた、20℃の温度のCS1、CS5を、それぞれ100℃に加熱した成形型内に、0.3MPaのゲージ圧力にて吹き込んで、充填した後、成形型内で1分30秒間保持し、その後0.03MPaのゲージ圧力の下の温度300℃の熱風を1分30秒間吹き込み、成形型内に成形材料混合物を充填してからトータルで3分間保持することで、CS1、CS5を硬化させることにより、それぞれ、試験片[10mm×10mm×80mm]として用いられる鋳型を取り出した。
そして、その作製された試験片を、各々150℃に保温された恒温槽で30分間の二次焼成を行うことにより、鋳型(実施例14〜15)を作製した。
−鋳型の造型13(比較例9)−
実施例14において、CS1をCS7に代えたこと以外は、実施例14と同じ方法に従って、鋳型(比較例9)を作製した。
上記で得られた実施例14〜15及び比較例9の試験片を用いて、前述した試験法に従って、抗折強度、吸湿24時間後の抗折強度を、それぞれ測定し、その結果を、下記表4に示す。
Figure 0006604944
かかる表4の結果より、表3の乾態の成形材料混合物と同様に、湿態の成形材料混合物の場合でも、耐湿強度の向上の効果が得られることが認められる。

Claims (10)

  1. (a)耐火性骨材と、(b)水ガラスを必須成分とする粘結材と、(c)炭酸亜鉛、炭酸鉄、炭酸マンガン、及び炭酸銅のうちの少なくとも何れか一つである炭酸塩及び/又はホウ酸塩とを少なくとも含み、且つかかる炭酸塩及び/又はホウ酸塩の含有量が、前記水ガラスの固形分の100質量部に対して1〜50質量部の割合となる成形材料混合物を用い、これを、120℃〜200℃の温度に加熱された成形型内に充填して、保持することにより、硬化せしめることを特徴とする鋳型の製造方法。
  2. (a)耐火性骨材と、(b)水ガラスを必須成分とする粘結材と、(c)炭酸塩及び/又はホウ酸塩とを少なくとも含む成形材料混合物を用い、これを、30℃以上120℃未満の温度に加熱された成形型内に充填して、保持することにより、固化乃至は硬化せしめた後、120℃〜200℃の温度で二次焼成することを特徴とする鋳型の製造方法。
  3. 前記炭酸塩が、炭酸亜鉛、炭酸鉄、炭酸マンガン、及び炭酸銅のうちの少なくとも何れか一つであることを特徴とする請求項2に記載の鋳型の製造方法。
  4. 前記炭酸塩及び/又はホウ酸塩が、前記水ガラスの固形分の100質量部に対して1〜50質量部の割合で用いられていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の鋳型の製造方法。
  5. 前記成形型の保持中に、該成形型内に熱風または過熱水蒸気が通気せしめられることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の鋳型の製造方法。
  6. 前記水ガラスが、ケイ酸ナトリウムを主成分とするものであることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の鋳型の製造方法。
  7. 前記ケイ酸ナトリウムのSiO2/Na2Oのモル比が、1.5〜4.0であることを特徴とする請求項6に記載の鋳型の製造方法。
  8. 前記ホウ酸塩が、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸カリウム、四ホウ酸リチウム、四ホウ酸アンモニウム、四ホウ酸カルシウム、四ホウ酸ストロンチウム、四ホウ酸銀、メタホウ酸ナトリウム、メタホウ酸カリウム、メタホウ酸リチウム、メタホウ酸アンモニウム、メタホウ酸カルシウム、メタホウ酸銀、メタホウ酸銅、メタホウ酸鉛、及びメタホウ酸マグネシウムのうちの少なくとも何れか一つであることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の鋳型の製造方法。
  9. 前記成形材料混合物が、湿態のものである請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の鋳型の製造方法。
  10. 前記成形材料混合物が乾態のものであり、この乾態の成形材料混合物を前記成形型内に充填した後、その充填相内に水蒸気が通気せしめられる請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の鋳型の製造方法。
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