JP2022009343A - コーテッドサンドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水溶性無機粘結剤のアルカリ成分によるコーティング層の劣化を抑え、高い鋳型強度を維持しつつ、鋳型の崩壊性に優れていると共に、鋳肌が良好であり、鋳物砂の再生が容易なコーテッドサンドの製造方法を提供すること。【解決手段】耐火性骨材からなる鋳物砂の表面に、有機化合物を含む固体状の第一のコーティング層を形成する第一の工程と、かかる第一のコーティング層が形成された鋳物砂に対して、アルカリ性の水溶性無機粘結剤を含む水溶液状の粘結剤組成物を添加し、混練乃至は混合せしめると共に、その水分を蒸発させることにより、固体状の粘結剤組成物からなる第二のコーティング層を、該第一のコーティング層上に形成する第二の工程とを用いて、目的とするコーテッドサンドを製造する。【選択図】なし

Description

本発明は、コーテッドサンド及びそれを用いた鋳型の製造方法、並びに鋳物砂の再生方法に関するものである。
従来より、金属溶湯の鋳造に用いられる鋳型の一つとして、耐火性骨材からなる鋳物砂を所定の粘結剤にて被覆してなるコーテッドサンドを用いて、目的とする形状に造型して得られたものが、用いられている。具体的には、日本鋳造工学会編の「鋳造工学便覧」第78~90頁には、そのようなコーテッドサンドにおける粘結剤として、水ガラスの如き無機系粘結剤の他、フェノール樹脂やフラン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂を用いた有機系粘結剤が明らかにされており、また、それら粘結剤を用いて自硬性鋳型を造型する各種の手法が、従来から提案されている。
例えば、特許文献1(特開2012-76115号公報)においては、耐火性骨材(鋳物砂)の表面に、粘結剤として水ガラス等の所定の水溶性無機化合物を含有する固形のコーティング層が被覆されてなる、流動性が良好な粘結剤コーテッド耐火物(コーテッドサンド)が、明らかにされている。また、同文献には、そのような流動性が良好な粘結剤コーテッド耐火物(コーテッドサンド)を、鋳型造型のための成形型の成形キャビティ内に充填した後、その成形型内に水蒸気を通気せしめることにより、粘結剤コーテッド耐火物(コーテッドサンド)の固化が進行し、目的とする鋳型が得られる手法についても、明らかにされている。
ここで、水ガラス等の無機系粘結剤を用いて構成されるコーテッドサンドは、有機系粘結剤を用いたコーテッドサンドと比較して、有機分の含有量が少ないため、造型時や鋳造時の熱による種々のガスの発生が有利に抑制され、臭気等の問題を発生し難いものであることが、従来より知られている。しかしながら、特許文献1に開示のものを始めとする、従来の無機系粘結剤を用いて構成されるコーテッドサンドにあっては、鋳造後の鋳型から鋳物砂(耐火性骨材)を回収し、その回収砂を焙焼処理によって再生しようとすると、回収砂の表面に残存する無機系粘結剤が燃焼せず、逆に焼結してしまって、鋳物砂(耐火性骨材)の表面に硬く張り付くため、再生が困難であるという問題を内在している。特に、無機系粘結剤として水ガラスを用いたコーテッドサンドは、鋳造時の熱によって、水ガラスがガラス化してしまい、鋳造後に回収した鋳物砂に対して焙焼処理及び研磨処理を実施しても、砂表面のガラス化した水ガラスを除去することが非常に困難であるという問題がある。また、無機系粘結剤を用いた従来のコーテッドサンドには、それを用いて得られる鋳型の崩壊性が十分なものではなく、この点においても、未だ改善の余地が残されているのである。
また、特許文献2(特許第5717242号公報)においては、耐火性骨材の表面に、粘結剤として水溶性無機化合物と熱硬化性樹脂を含有する固形のコーティング層が被覆されていることを特徴とする粘結剤コーテッド耐火物(コーテッドサンド)が、明らかにされている。この従来の粘結剤コーテッド耐火物(コーテッドサンド)においては、水溶性無機化合物と熱硬化性樹脂とを混合して、コーティング層を形成しても良く、また個々のコーティング層をそれぞれ形成して、2層構造のコーテッドサンドにしても良いことが、明らかにされている。
しかしながら、上記特許文献2の如きコーテッドサンドでは、水溶性無機化合物のアルカリ成分によって、熱硬化性樹脂がアルカリ劣化してしまうようになるため、特にアルカリ性の高い水溶性無機化合物を用いた場合において、材質の特性を考慮せずに、水溶性無機化合物と熱硬化性樹脂を混合したものや2層構造にしたものでは、水溶性無機化合物によるアルカリで熱硬化性樹脂が劣化して、コーティング層による結合力が低下することにより、鋳型強度が低下する恐れがあった。
特開2012-76115号公報 特許第5717242号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景として為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、水溶性無機粘結剤のアルカリ成分によるコーティング層の劣化を抑え、高い鋳型強度を維持しつつ、鋳型の崩壊性に優れていると共に、鋳肌が良好であり、鋳物砂の再生が容易なコーテッドサンドを提供することにある。また、本発明は、そのような優れた特性を有するコーテッドサンドを有利に製造することが出来る方法や、かかるコーテッドサンドを用いた鋳型の製造方法、更には、そのような鋳型からの鋳物砂の再生方法を提供することをも、その解決課題とするものである。
そして、本発明は、上記した課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組合せにおいて採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載から把握され得る発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
(1) 耐火性骨材からなる鋳物砂の表面を被覆するように、有機化合物を含む固体状の 第一のコーティング層が形成されていると共に、更に、該第一のコーティング層を 被覆するように、アルカリ性の水溶性無機粘結剤を含む粘結剤組成物からなる固体 状の第二のコーティング層が形成されてなる少なくとも二層の被覆構造を呈する乾 態のコーテッドサンドにして、前記第一のコーティング層で被覆された鋳物砂が、 その50gを、前記水溶性無機粘結剤の3.0%濃度の溶液の50gに混合せしめ て、20℃の温度下で24時間保持したときに、該鋳物砂の第一のコーティング層 における固形分の30質量%以下の溶出量である特性を有するように構成されてい ることを特徴とするコーテッドサンド。
(2) 前記有機化合物が、熱可塑性樹脂及び架橋硬化性樹脂からなる群より選ばれてな る前記態様(1)に記載のコーテッドサンド。
(3) 前記架橋硬化性樹脂が、110秒以下のゲル化時間を有している前記態様(2) に記載のコーテッドサンド。
(4) 前記有機化合物が、架橋硬化性樹脂の硬化物である前記態様(1)乃至前記態様 (3)の何れか1つに記載のコーテッドサンド。
(5) 前記架橋硬化性樹脂の硬化物が、フェノール樹脂又はフェノールウレタン樹脂の 硬化物である前記態様(4)に記載のコーテッドサンド。
(6) 前記コーテッドサンドにおける含水分量が、1.5質量%以下である前記態様(
1)乃至前記態様(5)の何れか1つに記載のコーテッドサンド。
(7) 前記第一のコーティング層の厚さが、0.1~6μmである前記態様(1)乃至 前記態様(6)の何れか1つに記載のコーテッドサンド。
(8) 前記粘結剤組成物に、無機酸化物粒子が含有せしめられている前記態様(1)乃 至前記態様(7)の何れか1つに記載のコーテッドサンド。
(9) 前記無機酸化物粒子が、二酸化珪素粒子、酸化アルミニウム粒子及び酸化チタン 粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種である前記態様(8)に記載のコーテ ッドサンド。
(10) 前記水溶性無機粘結剤が、水ガラス、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酸 化アルミニウムナトリウム及び炭酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1 種である前記態様(1)乃至前記態様(9)の何れか1つに記載のコーテッドサン ド。
(11) 前記態様(1)乃至前記態様(10)の何れか1つに記載のコーテッドサンド を、所定の成形型の成形キャビティ内に充填した後、水蒸気を通気させて、かかる 成形型内で保持し、固化乃至は硬化せしめることにより、目的とする鋳型を得るこ とを特徴とする鋳型の製造方法。
(12) 前記成形型が、80℃~200℃の温度に加熱されている前記態様(11)に 記載の鋳型の製造方法。
(13) 前記態様(1)乃至前記態様(10)の何れか1つに記載のコーテッドサンド に、水を添加して、湿態化させ、その湿態状のコーテッドサンドを、成形型内に充 填した後、かかる成形型内で保持し、固化乃至は硬化せしめることにより、目的と する鋳型を得ることを特徴とする鋳型の製造方法。
(14) 前記成形型が、80℃~300℃の温度に加熱されている前記態様(13)に 記載の鋳型の製造方法。
(15) 前記成形型の保持中に、該成形型内に熱風又は過熱水蒸気が通気せしめられる 前記態様(11)乃至前記態様(14)の何れか1つに記載の鋳型の製造方法。
(16) 前記態様(1)乃至前記態様(10)の何れか1つに記載のコーテッドサンド の固化物乃至は硬化物からなる鋳型を用いて、鋳造を行なった後、該鋳型から鋳物 砂を回収し、乾式再生処理を施して、再生砂を得ることを特徴とする鋳物砂の再生 方法。
このような本発明に従う乾態のコーテッドサンドによれば、以下に列挙せる如き各種の効果が奏され得ることとなるのである。
(A)有機化合物を含有する固体状の第一のコーティング層の上に、アルカリ性の水溶性無機粘結剤を含む固体状の粘結剤組成物による第二のコーティング層が形成され、且つかかる第一のコーティング層が、第二のコーティング層の形成に用いられる水溶性無機粘結剤に対して、規定された溶出量以下となるように、構成されているところから、第二のコーティング層を構成する水溶性無機粘結剤のアルカリ成分によって、第一のコーティング層の有機化合物が変性せしめられて、コーティング層の劣化が惹起されるようなことを、効果的に防止し、以て、そのような二つのコーティング層を有するコーテッドサンドから造型される鋳型において、高い鋳型強度を維持することが出来る。
(B)本発明に従う乾態のコーテッドサンドからなる鋳型を用いて、鋳造を実施すると、金属溶湯によってもたらされる熱によって、鋳物砂表面の固体状の第一のコーティング層に含まれる有機化合物が効果的に熱分解され、以て、鋳物砂から第二のコーティング層が剥がれ易くなって、鋳造後の鋳型の崩壊性が良好なものとなる。また、鋳造後の鋳型より回収される鋳物砂にあっては、上記した有機化合物の熱分解によって、水溶性無機粘結剤の固化物乃至は硬化物が鋳物砂表面から剥離し易い状態にあることから、回収した砂に対して、研磨工程等を有する乾式再生処理を施すことによって、簡単に且つ容易に再生することが可能となるのである。
(C)鋳型を用いた鋳造時に、金属溶湯の熱によって、第一のコーティング層に含まれる有機化合物が熱分解されて、ガスが発生するようになるところから、金属溶湯が鋳型を構成する鋳物砂の粒子(砂粒)間に侵入するのを抑制するガス層が、鋳型表面と鋳造製品との間に有利に形成せしめられることとなり、最終的に得られる鋳造製品の鋳肌が良好なものとなる。
(D)第一のコーティング層に含まれる有機化合物として、架橋硬化性樹脂の硬化物を用いるようにすることによって、表面安定性の良好なコーティング層を有利に形成することが出来ると共に、水溶性無機粘結剤のアルカリ成分によって第一のコーティング層が劣化するのをより一層有利に防止し得ることとなるため、より高い鋳型強度を維持することが可能となる。
実施例における崩壊性試験において用いられた鋳造試験用砂型の縦断面説明図である。 実施例における崩壊性試験において得られる、廃中子を内包したアルミニウム合金鋳物の縦断面説明図である。
ところで、本発明に従う乾態のコーテッドサンドは、有機化合物を含む固体状の第一のコーティング層で被覆された鋳物砂が、水溶性無機粘結剤を含む固体状の粘結剤組成物によって形成される第二のコーティング層にて、更に被覆されてなる2層構造において、構成されているものである。要するに、基材となる耐火性の粒状乃至は粉状材料(鋳物砂)に対して、有機化合物を含む固体状の第一のコーティング層と、水溶性無機粘結剤を含む固体状の粘結剤組成物の第二のコーティング層とが積層された、二層構造となっているのである。このように、本発明のコーテッドサンドは、固体状の第一のコーティング層に加えて、鋳物砂粒子の外表面に位置する被覆層となる第二のコーティング層が、アルカリ性の水溶性無機粘結剤を含む固体状の粘結剤組成物にて構成されているところから、全体として常温流動性を有する乾いた状態(外観)、即ち乾態状を呈しているのである。
ここで、本発明における「常温流動性を有する乾態のコーテッドサンド」とは、含水分量の如何に拘わらず、動的安息角を測定した際に、測定値が得られるコーテッドサンドを意味するものである。この動的安息角とは、軸方向の一方の端部が透明な板材で閉塞されてなる円筒内にコーテッドサンドを収容して(例えば、直径7.2cm×高さ10cmの容器に、その体積の半分まで、コーテッドサンドを入れる)、軸心が水平方向となるように保持し、一定速度(例えば、25rpm)で水平な軸心回りに回転させることにより、円筒内で流動しているコーテッドサンド層の斜面が平坦面状となった状態において、かかる斜面と水平面との間に形成される角度をいうものである。この動的安息角は、80°以下が好ましく、45°以下がより好ましく、30°以下が更に好ましい。特に、耐火性骨材が球状である場合において、45°以下の動的安息角が容易に実現され得るのである。なお、コーテッドサンドが湿った状態で、円筒内で流動せずに、コーテッドサンド層の斜面が平坦面として形成されず、その結果、動的安息角を測定することが出来ないものは、湿態のコーテッドサンドに分類することとする。
そして、本発明に従う乾態のコーテッドサンドを構成する鋳物砂は、鋳型の基材として機能する耐火性骨材(粒子)からなるものであって、従来から鋳型用として利用されている各種の耐火性の粒状乃至は粉状材料が何れも用いられ得、具体的には、ケイ砂、再生ケイ砂をはじめ、アルミナサンド、オリビンサンド、ジルコンサンド、クロマイトサンド等の特殊砂や、フェロクロム系スラグ、フェロニッケル系スラグ、転炉スラグ等のスラグ系粒子;アルミナ系粒子、ムライト系粒子等の人工粒子及びこれらの再生粒子;アルミナボール、マグネシアクリンカー等を挙げることが出来る。なお、これらの鋳物砂は、新砂であっても、或いは、鋳型の造型に一回或いは複数回、使用された再生砂又は回収砂であっても、更には、そのような再生砂や回収砂に新砂を加えて混合せしめてなる混合砂であっても、何等差支えない。そして、そのような鋳物砂は、一般に、AFS指数で40~130程度の粒度のものとして、好ましくは、60~110程度の粒度のものとして、用いられることとなる。
また、本発明のコーテッドサンドを構成する鋳物砂は、先ず、その表面が、有機化合物を含有する固体状態の第一のコーティング層にて被覆されている。このように、鋳物砂の表面に、所定の第一のコーティング層が存在していることにより、後述する水溶性無機粘結剤が、直接、鋳物砂に接することはないのである。更に、この固体状態の第一のコーティング層は有機化合物を含有するものであることから、本発明のコーテッドサンドを用いてなる鋳型(以下、単に鋳型という)に金属溶湯を注湯すると、第一のコーティング層に含まれる有機化合物が熱分解して、ガス化し、その発生したガスによって、鋳物砂粒子間の接合部分における水溶性無機粘結剤の固化物乃至は硬化物が有利に破壊されることとなり、これによって、鋳型の崩壊性は優れたものとなる。また、第一のコーティング層に含まれる有機化合物が熱分解してガス化すると、そのガスの内圧によって、鋳物砂粒子外表面に存在する水溶性無機粘結剤の固化物乃至は硬化物が、内側から(鋳物砂粒子側から)破壊等されるため、例えば、鋳造後の鋳型より回収した鋳物砂を再生する際の研磨工程において、固化乃至は硬化した水溶性無機粘結剤を鋳物砂粒子表面から剥離し易くなり、鋳物砂の再生が容易となるのである。加えて、鋳型を用いた鋳造時に、第一のコーティング層に含まれる有機化合物の熱分解によりガスが発生することから、金属溶湯が鋳型を構成する鋳物砂粒子間へ侵入することを抑制するガス層が、鋳型表面と鋳造製品との間に有利に形成せしめられ、以て、最終的に得られる鋳造製品の鋳肌が良好なものとなる。
しかしながら、かかる有機化合物を含む固体状の第一のコーティング層は、その上に形成される第二のコーティング層を構成する粘結剤組成物に含まれるアルカリ性の水溶性無機粘結剤に常に接することになるため、コーテッドサンドの製造時から使用時までの期間で、有機化合物の材質によっては、水溶性無機粘結剤のアルカリ成分によって劣化してしまうようになる。固体状の第一のコーティング層の有機化合物がアルカリ劣化することにより、第一のコーティング層と第二のコーティング層との間の接触部分が脆くなり、その結果、コーテッドサンドを用いて造型された鋳型の強度は、低下することとなる。
このため、本発明にあっては、有機化合物を含む固体状の第一のコーティング層で被覆された鋳物砂が、その50gを、前記水溶性無機粘結剤の3.0%濃度の溶液の50gに混合せしめて、20℃の温度下で24時間保持したときに、かかる鋳物砂の第一のコーティング層における固形分の30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下の溶出量となるような特性を発揮するように、第一のコーティング層が構成されているのであり、これによって、固体状の第一のコーティング層が水溶性無機粘結剤のアルカリ成分によって劣化することが効果的に防止され、高い鋳型強度を維持することが出来ることとなるのである。なお、コーティング層における固形分は、固体状のコーティング層で被覆された鋳物砂の質量から、鋳物砂粒子の質量を差し引くことで、算出されるものである。実際には、固体状のコーティング層で被覆された鋳物砂から測定する場合にあっては、かかるコーティング層で被覆された鋳物砂を900℃で1時間曝熱させて、そのコーティング層を焼失せしめてなる鋳物砂の質量を、曝熱前のコーティング層で被覆された鋳物砂の質量から差し引くことで、算出された値が用いられることとなる。
本発明において、そのような水溶液状にした水溶性無機粘結剤に溶出され難い有機化合物は、鋳物砂粒子の表面に固体状のコーティング層を形成せしめ得るものであって、且つかかる固体状のコーティング層が、濃度3.0%の液状の水溶性無機粘結剤に溶出され難く、規定された溶出量以下となるものであれば、特に限定されるものではないが、一般に、熱可塑性樹脂や架橋硬化性樹脂若しくはその硬化物からなる群より選ばれる少なくとも一種が、好ましく用いられることとなる。その中で、架橋硬化性樹脂とは、例えばヘキサメチレンテトラミン、有機エステル、有機酸、炭酸ガス、過酸化物、金属イオン、アミン等の硬化剤若しくは硬化触媒の存在又は非存在の下、加熱若しくは非加熱(常温)下において架橋硬化性を発現するものである。また、そのような架橋硬化性樹脂としては、硬化速度をより速くさせ、アルカリに対する溶出量をより一層抑制するために、150℃の測定温度で、ゲル化時間が110秒以下、好ましくは30~110秒、より好ましくは50~105秒、さらに好ましくは60~100秒であるものが、有利に用いられることとなる。なお、ゲル化時間の測定は、JACT試験法RS-5「ゲル化時間試験法」に準じて行われる。
また、熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート等の樹脂、パラフィン、ポリエチレン、ポリプロピレンを、挙げることが出来る。それらの中でも、コーテッドサンドの製造のし易さや水溶液状にした水溶性無機粘結剤に対する低溶出量の観点から、特にポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレンが、好ましく用いられる。
さらに、本発明においては、有機化合物として、架橋硬化性樹脂の硬化物を用いることが、推奨される。ここで、架橋硬化性樹脂の硬化物とは、低分子のものを硬化反応させることによって、高分子化合物へ分子量を増加させたものである。溶融粘度の低い低分子の材料を用いて、鋳物砂粒子の表面をコーティングした後に、加熱や硬化剤の添加によって、架橋硬化性樹脂を硬化させて、固体状のコーティング層を形成するものであり、これにより、形成されたコーティング層の溶出量を、規定値以下に効果的に抑えることが出来、特に、架橋硬化性樹脂の高度の硬化物では、実質的にほとんど溶出することはなくなる。また、架橋硬化性樹脂の硬化物によって、表面安定性の良好な高分子量のコーティング層を形成することが出来、被覆性と表面安定性の両立が可能となる。そして、架橋硬化性樹脂が硬化することにより、水溶液状にした水溶性無機粘結剤には溶出しなくなるため、アルカリによる劣化が防止されて、高い鋳型強度を維持することが出来る。更に、架橋硬化性樹脂の硬化物には、未硬化の架橋硬化性樹脂と比較して、1)熱によるコーティング層の軟化が抑えられて、鋳型強度が向上し、また2)予め硬化に必要な熱量が消費されているため、供給される熱が有効に熱分解に使用され、熱分解が速くなるので、鋳型の崩壊性がより向上し、更には3)予め硬化に伴うガスが放出されていることから、鋳造時のガスの発生量が抑えられる、という利点もある。なお、本発明において、架橋硬化性樹脂の硬化物とは、コーティング層における硬化した樹脂の割合(c)が、一般に、80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上であるものであり、特に100質量%であるものが、最も好ましい。
なお、そのような硬化物として用いられる架橋硬化性樹脂としては、具体的には、フェノール系樹脂、フェノールウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、多官能性アクリルアミド系樹脂(特公平7-106421号公報参照)、不飽和アルキッド樹脂、不飽和脂肪酸変性アルキッド樹脂、ジアリルフタレート樹脂や、必要に応じてこれらの樹脂を組み合わせた樹脂混合物等を挙げることが出来る。それらの中でも、本発明の効果をより有利に享受できる観点から、特に、ノボラック型やレゾール型のフェノール系樹脂や、フェノール系樹脂にポリイソシアネート化合物を組み合わせて形成されるフェノールウレタン系樹脂が、好ましく採用される。
また、本発明において、鋳物砂表面に形成されるコーティング層(第一)の構成成分たる有機化合物は、鋳物砂粒子への被覆性の観点より、高分子化合物(重合体、多量体)であることが、望ましい。具体的には、重量平均分子量が300以上、好ましくは300~100,000,000、より好ましくは500~50,000,000、更に好ましくは800~20,000,000である高分子化合物(重合体、多量体)が、有利に用いられることとなる。なお、高分子化合物(重合体、多量体)の範疇に含まれない有機化合物であっても、固体状のコーティング層の表面安定性の観点より、分子量が300以上であるものが好ましく、鋳物砂粒子への被覆性への観点より、100,000,000以下のものが、好ましく用いられる。
さらに、本発明に従う乾態のコーテッドサンドにおいては、鋳物砂の表面に設けられた第一のコーティング層に、カップリング剤を含有せしめることが有効である。第一のコーティング層にカップリング剤を含有せしめることにより、かかる第一のコーティング層の濡れ性及び接着性を向上せしめ得て、鋳物砂と第一のコーティング層との間の結合を強化することが出来る利点がある。そして、この第一のコーティング層に含有せしめるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、ジルコンカップリング剤、チタンカップリング剤等として公知のものを、好適なものとして挙げることが出来る。なお、コーティング層中のカップリング剤の含有量は、有機化合物の100質量部に対して、一般に、0.5~10質量部、好ましくは1~5質量部、より好ましくは1~3質量部の割合とされる。
なお、本発明において、上述の如くして、鋳物砂表面に形成される固体状の第一のコーティング層の膜厚は、一般に、0.1~6μm、好ましくは0.2~5μm、より好ましくは0.3~3μm、さらに好ましくは0.5~2μmとされる。この膜厚が0.1μmより薄くなると、コーティング層として形成することが困難となると共に、水溶性無機粘結剤を含む粘結剤組成物よりなる第二のコーティング層の内側において有効にガス化させるのが困難となる恐れがあり、一方、6μmよりも厚くなると、有機化合物が多くなり過ぎて、臭気が発生する恐れがある。なお、そのようなコーティング層の膜厚の測定方法としては、コーティング層が形成された鋳物砂粒子をエポキシ樹脂等に埋め込み、イオンカッター等のカッティング装置を用いて切断した鋳物砂粒子の断面を、光学顕微鏡や電子顕微鏡等の光学機械を用いて観察を行ない、断面粒子をランダムに10点選定して、コーティング層の膜厚を計測する方法等を挙げることが出来る。また、この膜厚は、鋳物砂粒子が球状である場合において、鋳物砂粒子の平均粒子径と、鋳物砂粒子及び有機化合物の添加量から算出することも可能である。
そして、本発明に従う乾態のコーテッドサンドにあっては、上述した第一のコーティング層で被覆された鋳物砂が、更に、アルカリ性の水溶性無機粘結剤を含む固体状の粘結剤組成物にて形成される第二のコーティング層によって被覆されて、構成されているのである。この固体状の粘結剤組成物に含まれるアルカリ性の水溶性無機粘結剤としては、従来よりコーテッドサンドにおいて使用されているものであれば、如何なるものであっても用いることが可能であり、例えば、水ガラス、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酸化アルミニウムナトリウム、炭酸カリウム、バナジン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム等が、単独で、又は、それらの中から選ばれた2種以上を組み合わせて、用いることが可能である。それらの中でも、本発明の効果がアルカリの強い水溶性無機粘結剤において有利に発揮され得ることから、水ガラス、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酸化アルミニウムナトリウム及び炭酸カリウムの使用が好ましく、更に、取扱いの容易性及び最終的に得られる鋳型強度の観点よりすれば、水ガラスや水ガラスを主成分とするものが、より好ましく用いられることとなる。
ここで用いられる水ガラスとは、可溶性のケイ酸化合物の水溶液であって、そのようなケイ酸化合物としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸アンモニウム等を挙げることが出来るが、特に、本発明にあっては、ケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ)が有利に用いられることとなる。また、水ガラスを主成分として用いて、他に熱硬化性樹脂、糖類、タンパク質、合成高分子、塩類や無機高分子等の水溶性粘結剤を配合しても、何等差し支えない。なお、水ガラスと他の水溶性バインダとを併用する場合において、粘結剤の全量における水ガラスの割合は60質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90%質量以上とされる。
このように、本発明において有利に用いられる、水ガラスたるケイ酸ナトリウムは、通常、SiO2 /Na2O のモル比により、1号~5号の種類に分類されて、用いられている。具体的には、ケイ酸ナトリウム1号は、SiO2 /Na2O のモル比が2.0~2.3であるものであり、またケイ酸ナトリウム2号は、SiO2 /Na2O のモル比が2.4~2.6であるものであり、更にケイ酸ナトリウム3号は、SiO2 /Na2O のモル比が2.8~3.3であるものである。加えて、ケイ酸ナトリウム4号は、SiO2 /Na2O のモル比が3.3~3.5であるものであり、またケイ酸ナトリウム5号は、SiO2 /Na2O のモル比が3.6~3.8であるものである。これらの中で、ケイ酸ナトリウム1号~3号は、JIS-K-1408にても規定されている。そして、これらのケイ酸ナトリウムは、単独での使用の他、混合して用いられても良く、また2種以上のものを混合することで、SiO2 /Na2O のモル比を調製することも可能である。
なお、本発明に従う乾態のコーテッドサンドを有利に得るべく、粘結剤として用いられる水ガラスを構成するケイ酸ナトリウムとしては、SiO2 /Na2O のモル比が、一般に、1.9以上、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.1以上であるものが望ましく、上記したケイ酸ナトリウムの分類において、1号及び2号に相当するケイ酸ナトリウムが、特に有利に用いられることとなる。かかるケイ酸ナトリウム1号及び2号は、それぞれ、水ガラス中のケイ酸ナトリウム濃度が広い範囲においても、安定して、特性の良好なコーテッドサンドを与えるものである。また、そのようなケイ酸ナトリウムにおけるSiO2 /Na2O のモル比の上限は、水溶液の形態にある水ガラスの特性に応じて適宜に選定されることとなるが、一般に、3.5以下、好ましくは3.2以下、より好ましくは2.7以下とされることとなる。ここで、SiO2 /Na2O のモル比が1.9よりも小さくなると、水ガラスに多くのアルカリが存在することとなるため、水に対する水ガラスの溶解性が上がり、コーテッドサンドが吸湿劣化し易くなる恐れがある。一方、SiO2 /Na2O のモル比が3.5よりも大きいケイ酸ナトリウムでは、水に対する溶解性が低いため、最終的に得られる鋳型において、鋳物砂粒子間における接着面積が稼げず、鋳型強度が低下するという問題を生じる恐れがある。
また、本発明において用いられる水ガラスは、水に溶けた状態のケイ酸化合物の溶液のことを意味し、本発明のコーテッドサンドを製造するに際しては、市場において購入されたままの原液の状態において用いられる他、そのような原液に水を添加して、希釈した状態において用いられることとなる。そして、そのような水ガラスから、水や溶剤等の揮発する物質を除いた不揮発分(水ガラス成分)を固形分と言い、これが、上記したケイ酸ナトリウム等の可溶性のケイ酸化合物に相当するものである。また、そのような固形分の割合が高い程、水ガラス中のケイ酸化合物濃度は、高くなるものである。従って、本発明において用いられる水ガラスの固形分とは、それが原液のみにて構成される場合においては、かかる原液中の水分量を除いた割合に相当することとなり、一方、原液を水にて希釈して得られる希釈液が用いられる場合にあっては、原液中の水分量と希釈に用いられた水の量とを除いた割合が、使用される水ガラスの固形分に相当することとなる。
ところで、そのような水ガラス中の固形分は、水ガラス成分(可溶性ケイ酸化合物)の種類等に応じて、適宜の割合とされることとなるが、有利には、20~50質量%の割合において含有せしめられていることが望ましい。この固形分に相当する水ガラス成分を適度に水溶液中に存在せしめた水ガラスを用いて、第一のコーティング層にて被覆されてなる鋳物砂と混練乃至は混合することにより、かかる鋳物砂に対して、水ガラス成分がムラなく、均一に分散した状態の混和物を調製することが出来、それによって、目的とする鋳型を、本発明に従って、有利に造型することが可能となる。なお、水ガラス中における水ガラス成分(可溶性ケイ酸化合物)の濃度が低くなり過ぎて、水ガラス成分(固形分)の合計量が20質量%未満となると、コーテッドサンドの製造のために、加熱温度を高くしたり、加熱時間を長くしたりする必要がある。一方、水ガラス中における固形分の割合が高くなり過ぎると、鋳物砂に対して、水ガラス成分がムラなく、均一に分散した状態の混和物を調製することが困難となり、目的とする鋳型の特性において問題を惹起する恐れがあるところから、かかる固形分は50質量%以下、従って水分量が50質量%以上の割合となるように、水溶液の形態にある水ガラスを調製することが望ましい。
また、本発明において用いられる水溶性無機粘結剤の一つであるリン酸ナトリウムとしては、リン酸一ナトリウム水和物(NaH2PO4・xH2 O;xは公知の整数)、リン酸二ナトリウム水和物(Na2HPO4・x'H2O ;x'は公知の整数)、リン酸三ナトリウム水和物(Na3PO4・x"H2O ;x"は公知の整数)等を挙げることが出来る。そして、水100gに対するリン酸三ナトリウム水和物の溶解量が25.8g(20℃)であることに代表されるように、リン酸ナトリウムは水に可溶性であり、また、リン酸二ナトリウム水和物の融点が1340℃であることに代表されるように、リン酸ナトリウムの融点は比較的高い。このため、水溶性無機粘結剤としてリン酸ナトリウムを用いて第二のコーティング層を形成してなるコーテッドサンドは、水で容易に崩壊し、耐熱性が高い鋳型を製造することが可能である。同様に水溶性無機粘結剤である、炭酸ナトリウム、酸化アルミニウムナトリウム、又は炭酸カリウムにあっても、上記リン酸ナトリウムと同様な効果を発揮し、それらを用いて第二のコーティング層を形成してなるコーテッドサンドは、水で容易に崩壊し、耐熱性が高い鋳型を製造することが可能である特徴を発揮することとなるのである。
さらに、上述した水溶性無機粘結剤は、本発明に従うコーテッドサンドにおいて、固体の場合はその質量が、液体の場合は固形分のみとして考えた場合の固形分換算が、鋳物砂(耐火性骨材)の100質量部に対して、0.1~2.5質量部の割合となる量において用いられることが望ましく、中でも、0.2~2.0質量部の割合となる量が、特に有利に採用される。ここで、かかる水溶性無機粘結剤の使用量が少なくなり過ぎると、鋳物砂の表面に設けられた固体状の第一のコーティング層上に、十分な量の水溶性無機粘結剤を含む固体状の粘結剤組成物からなる第二のコーティング層が形成され難くなり、コーテッドサンドの固化乃至は硬化が充分に行われ難くなる問題を生じる恐れがある。また、水溶性無機粘結剤の使用量が多くなり過ぎても、鋳物砂の表面に設けられた固体状の第一のコーティング層上に、過剰な量の水溶性無機粘結剤が存在することとなり、鋳物砂粒子が相互に固着して団塊化(複合粒子化)する恐れがあり、そのために、鋳型物性に悪影響をもたらし、また金属を鋳込んだ後の中子の砂落としを難しくする問題等をも惹起するようになる。
そして、そのような水溶性無機粘結剤を含む粘結剤組成物にて形成された固体状の第二のコーティング層は、適宜の厚さにおいて、第一のコーティング層上に存在せしめられることとなるが、その厚さとしては、一般に、0.1~6μm、好ましくは0.2~5μm、より好ましくは0.3~3μm、更に好ましくは0.5~2μm程度において、有利には、該第一のコーティング層よりも厚い厚さとされることとなる。
なお、水溶性無機粘結剤における固形分の測定は、以下のようにして実施される。即ち、アルミ箔製皿(縦:9cm、横:9cm、高さ:1.5cm)内に、試料10gを秤量して収容し、180±1℃に保持した加熱板上に置き、20分間放置した後、かかる試料皿を、反転させて、更に20分間、上記加熱板上に放置する。次いで、その加熱による乾燥の施された試料皿を、加熱板上から取り出して、デシケータ中で放冷した後、秤量を行って、次式により、固形分(質量%)が算出される。
固形分(質量%)={[乾燥後の試料皿の質量(g)-試料皿の質量(g)]
/[乾燥前の試料皿の質量(g)-試料皿の質量(g)]}×100
また、上述した水溶性無機粘結剤を含む固体状の粘結剤組成物からなる第二のコーティング層中には、カップリング剤を含有せしめることが可能である。かかる粘結剤組成物にカップリング剤を含有せしめることにより、濡れ性と接着性とが向上し、鋳物砂表面に形成された第一のコーティング層と第二のコーティング層との結合を強化することが出来る。なお、かかる効果は、カップリング剤を第一のコーティング層又は第二のコーティング層の何れか一方に含有せしめることにより、享受することが可能であるが、第一のコーティング層及び第二のコーティング層の両者がそれぞれカップリング剤を含有していることにより、それら両者間の結合力がより向上し、最終的に得られる鋳型においても、強度がより一層向上することとなるため、更に好ましいと言うことが出来る。粘結剤組成物に含有せしめるカップリング剤としては、第一のコーティング層に含有可能なカップリング剤として先に列記したものを、例示することが出来る。また、粘結剤組成物におけるカップリング剤の含有量は、そこに含まれる水溶性無機粘結剤の固形分の100質量部に対して、一般に、0.5~10質量部、好ましくは1~5質量部、より好ましくは1~3質量部の割合とされる。
さらに、水溶性無機粘結剤を含有する固体状の粘結剤組成物には、有利には、無機酸化物粒子が含有せしめられる。粘結剤組成物が無機酸化物粒子を含有していることにより、コーテッドサンドの流動性や充填性、更には最終的に得られる鋳型の耐湿性向上に効果がある。本発明において用いられる無機酸化物粒子の大きさは、共にコーテッドサンドを構成する鋳物砂粒子よりも小さなものであることが好ましく、具体的には、平均粒子径が0.01μm以上300μm以下、より好適には0.3μm以上200μm以下、特に好適には0.5μm以上100μm以下である無機酸化物粒子が用いられる。なお、この平均粒子径は、レーザ回折式の粒度分布測定装置等によって測定される粒度分布より、求めることが可能である。また、粘結剤組成物における無機酸化物粒子の含有量は、そこに含まれる水溶性無機粘結剤の固形分の100質量部に対して、一般に、5~200質量部、好ましくは10~100質量部の割合とされる。
なお、上記で用いられる無機酸化物粒子は、球状粒子でも、非球状粒子でも良いが、球状粒子である方が、本発明の効果がより有利に発揮され、特に、より良好な鋳肌を有する鋳造製品を得ることが可能ならしめられる点において、好ましい。そして、そのような球状粒子は、一般に認識される程度の球状を呈するものであればよく、必ずしも真球状を呈することが必要とされるものではないが、通常、真球度が0.5以上であるものが、また好ましくは0.7以上であるものが、更に好ましくは0.9以上であるものが、有利に用いられることとなる。ここで、真球度とは、走査型電子顕微鏡を用いた観察において、単粒子のものを無作為に10個選択し、その投影形状から得られたアスペクト比(短径/長径の比)の平均値を意味するものである。なお、球状ではない無機酸化物粒子を用いた場合、そのような無機酸化物粒子の表面には突起や窪みが存在していることから、例えば、無機酸化物粒子が、供給された水分によって溶液状となった水溶性無機粘結剤と共に、鋳物砂粒子間を流動しようとすると、無機酸化物粒子表面の突起等が鋳物砂粒子や他の無機酸化物粒子とぶつかる等して、滑り止め作用が生じてしまい、鋳物砂粒子間への水溶性無機粘結剤及び無機酸化物粒子の流動が妨げられ、その結果、最終的に得られる鋳型の充填性や、その強度を低下させる恐れがある。
また、かかる無機酸化物粒子を構成する材質については、特に限定されるものではないが、無機金属酸化物であることが好ましい。この無機金属酸化物からなる粒子としては、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等からなる粒子が有利に用いられるのであるが、それらの中でも、特に、二酸化珪素粒子は、強アルカリ性の水ガラス等の水溶性無機粘結剤が二酸化珪素の表面上に形成されたシラノール基と反応することが出来、また水の蒸発に際して、二酸化珪素と固形となった水溶性無機粘結剤との間に強固な結合が形成されて、鋳型強度を向上させ得る点において、好ましいと言うことが出来る。なお、二酸化珪素には、結晶質と非晶質とがあるが、非晶質の方が望ましく、そして非晶質二酸化珪素としては、沈殿シリカ、電気アーク中又は火炎加水分解で生成した焼成シリカ、ZrSiO4 の熱分解により生成したシリカ、酸素を含むガスで金属珪素を酸化することにより生成した二酸化珪素、溶融及びその後の急冷により結晶石英から生成される球状粒子である石英ガラス粉末等を、例示することが出来る。これらは、単独で用いられ得ることは勿論のこと、2種以上のものを混合して用いることも可能である。なお、本発明において、二酸化珪素は、無機金属酸化物として取り扱うものとする。また、無機酸化物粒子の代わりに、又は併用して、シリコーン樹脂粒子を添加しても良い。
さらに、本発明において、第二のコーティング層を構成する固体状の粘結剤組成物には、公知の耐湿性向上剤を含有せしめることも有効である。粘結剤組成物に耐湿性向上剤を含有せしめることにより、最終的に得られる鋳型の耐湿性の向上を図ることが出来る。加えて、かかる粘結剤組成物には、界面活性剤を含有せしめることも可能である。水溶性無機粘結剤を含む粘結剤組成物中に界面活性剤が含有せしめられていることにより、本発明に従う乾態のコーテッドサンドは、1)界面活性剤の存在により、その調製(製造)の際に添加される水分量を必要最低限に抑えることが可能ならしめられ、また、2)水の表面張力が抑制され、コーテッドサンドの流動性が向上し、更に、3)造型された鋳型が、成形型からの離型性に優れていることに加えて、優れた強度をも発揮する、等の効果を、有利に享受することが出来る。そのような界面活性剤としては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の何れをも、用いることが出来る。また、第二のコーティング層を構成する固体状の粘結剤組成物には、多価アルコールを含有せしめることも可能である。水溶性無機粘結剤を含む粘結剤組成物中に多価アルコールが含有せしめられていることにより、鋳型造型の際に、湿態状態にしたコーテッドサンドの膨潤性を、加熱によって固化又は硬化されるまで、安定して維持することが可能となる。
更にまた、本発明に従う乾態のコーテッドサンドにおいては、鋳物砂粒子の周囲を覆う固体状の第二のコーティング層を構成する粘結剤組成物中に、必要に応じて、滑剤や離型剤等の他の公知の各種添加剤を適宜に含有せしめることも可能である。特に、滑剤は、固体状の第二のコーティング層の外周面に、層として形成しても良い。なお、そのような添加剤を粘結剤組成物に含有せしめるには、固体状の粘結剤組成物を調製する際に、水溶性無機粘結剤等と共に組成物内に添加し、その調製された、添加剤を含む粘結剤組成物を、鋳物砂と混練又は混合せしめる方法や、粘結剤組成物とは別個に、所定の添加剤を、鋳物砂に対して添加して、全体を均一に混練乃至は混合せしめる方法等が、採用される。
ところで、本発明に従う乾態のコーテッドサンドは、1)先ず、鋳物砂の表面に、有機化合物を含む固体状の第一のコーティング層を形成せしめた後、2)かかるコーティング層が形成された鋳物砂に対して、水溶性無機粘結剤を含む水溶液状の粘結剤組成物を添加し、混練乃至は混合せしめると共に、その水分を蒸発させることにより、固体状の粘結剤組成物からなる第二のコーティング層(被覆層)が、第一のコーティング層上に形成されたコーテッドサンドを得る手法に従って、有利に製造することが可能である。
このような製造方法に従って、本発明に係る乾態のコーテッドサンドを製造するに際しては、先ず、鋳物砂の表面に、有機化合物を含む固体状の第一のコーティング層を形成するために、公知の各種手法の中から、有機化合物の特性等に応じたものが適宜に選択されて、採用される。例えば、鋳物砂の表面に、有機化合物を含有する固体状の被覆層である第一のコーティング層を形成する手法としては、ドライホットコート法やコールドコート法等の公知の手法を例示することが出来るが、固体状のコーティング層を形成できるのであれば、その方法は、特に限定されるものではない。
なお、ドライホットコート法とは、固体状の有機化合物を、120~180℃に加熱した鋳物砂に添加して混合せしめ、鋳物砂の熱によって固体状の有機化合物を溶融させることにより、その溶融した有機化合物で鋳物砂の表面を被覆させ、しかる後に、その混合状態を保持したまま、冷却することによって、鋳物砂表面に固体状のコーティング層を形成する方法である。また、コールドコート法とは、有機化合物をそのままで、あるいはメタノールなどの溶剤に溶解して液状とし、その液状物を鋳物砂に添加して混合せしめ、溶剤を揮発させること等によって、鋳物砂表面に固体状のコーティング層を形成する方法である。
また、有機化合物として架橋硬化性樹脂を用いる場合にあっては、例えば、上記したコート法に従って固体状のコーティング層を形成した後、更なる加熱により、及び/又は硬化剤若しくは硬化触媒を添加することにより、架橋硬化性樹脂を硬化させ、コーティング層に含まれる架橋性硬化樹脂の分子量を増大させる手法が、採用されることとなる。そして、加熱によって架橋硬化性樹脂を硬化させる場合には、例えば、120℃~300℃の恒温槽に入れて、5~60分程保持することによって反応硬化させたり、150℃~300℃に予熱した鋳物砂を、120℃~300℃に加熱した混練機において5~60分間ほど混練して、反応硬化させたりする方法等がある。なお、第一のコーティング層に含まれる架橋硬化性樹脂を硬化させる場合にあっては、鋳物砂粒子(砂粒)が相互に結合して、一体塊状化したり、複合粒子を作る恐れがあるところから、第一のコーティング層で被覆された鋳物砂の表面状態を良好なものとするために、回転数の速い混練機(スピードマラー)で混練しつつ、反応硬化させることが好ましい。また、長時間混練すると、剥離が起こり、微粉が発生する可能性があるところから、高温で且つ短時間で反応させる方法を採用するのが好ましい。なお、架橋硬化性樹脂がフェノールウレタン系樹脂である場合には、フェノール樹脂と公知のポリイソシアネート化合物とを混合することにより、硬化させる手法が採用される。また、硬化剤を用いて、架橋硬化性樹脂を硬化させる場合にあっても、混練機で混練させながら、反応硬化させる手法を採用することが、望ましい。
次いで、有機化合物を含む固体状の第一のコーティング層が表面に設けられてなる鋳物砂を、更に、水溶性無機粘結剤を含む固体状の粘結剤組成物にて被覆せしめて、第二のコーティング層を形成するに際しては、一般に、鋳物砂に対して、粘結剤組成物としての水溶液状の水溶性無機粘結剤を、必要に応じて用いられる添加剤と共に、混練乃至は混合せしめて、かかる鋳物砂の表面が水溶性無機粘結剤にて均一に覆われた状態を呈する混和物を調製し、次いで、その調製された混和物に含まれる水分を蒸発(蒸散)せしめて、第一のコーティング層の上に、固体状態の第二のコーティング層を形成することによって、目的とする常温流動性を有する乾態のコーテッドサンドを得る手法が採用される。なお、かかる手法においては、混和物中の水分の蒸散は、水溶性無機粘結剤の固化乃至は硬化が進む前に迅速に行われる必要があり、そのために、本発明にあっては、第一のコーティング層が形成されている鋳物砂に対して、水溶液の形態にある水溶性無機粘結剤を投入(混合)してから、5分以内に、より好ましくは3分以内に、含有水分を飛ばして、乾態のコーテッドサンドとすることが望ましい。かかる蒸散の時間が長くなると、混練(混合)サイクルが長くなり、生産性が低下する他、水溶性無機粘結剤が空気中のCO2 に触れる時間が長くなって、失活する等の問題を生じる恐れが高くなるからである。
そして、このようにして得られる乾態のコーテッドサンドにおける含水分量は、コーテッドサンドに対して1.5質量%以下、好ましくは0.1~1.2質量%、より好ましくは0.2~1.0質量%になるように調整される。また、水溶性無機粘結剤として水ガラスを用いた場合には、水ガラスの固形分量に対して5~55質量%、好ましくは10~50質量%、より好ましくは20~50質量%となるように、調製される。なお、コーテッドサンドの含水分量は、カールフィッシャー法や、乾燥器等で加熱した時の質量変化によって、測定可能である。
また、そのような乾態のコーテッドサンドの製造工程において、上記した混和物中の水分を迅速に蒸散せしめるための有効な手段の一つとして、第一のコーティング層の形成された鋳物砂を予め加熱しておき、それに、水溶液の形態にある水溶性無機粘結剤(粘結剤組成物)を混練乃至は混合して、混和物を調製する手法が、採用される。この予め加熱された鋳物砂に、水溶液の形態にある水溶性無機粘結剤を混練乃至は混合せしめるようにすることによって、水溶液の形態にある水溶性無機粘結剤に由来する水分は、そのような鋳物砂の熱によって極めて迅速に蒸散せしめられ得ることとなるのであり、以て、得られるコーテッドサンドの含水分量を効果的に低下せしめ得て、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンドが、有利に得られることとなるのである。なお、この鋳物砂の予熱温度としては、使用される水溶性無機粘結剤の種類や配合量、更には水溶性無機粘結剤の水溶液中の水分量等に応じて、適宜に選定されるところであるが、例えば水ガラスの場合には、一般に100~160℃程度、好ましくは110~140℃程度の温度に、鋳物砂を加熱して行なうことが望ましい。この予熱温度が低くなり過ぎると、水分の蒸散を効果的に行なうことが出来ず、混和物の乾燥に時間がかかるようになるところから、100℃以上の温度を採用することが望ましいのであり、また予熱温度が高くなり過ぎると、得られるコーテッドサンドの冷却時に、水溶性無機粘結剤成分の固化(硬化)が進行し、加えて、複合粒子化も進行するようになるところから、コーテッドサンドとしての機能、特に強度の如き物性に問題を生じる恐れがある。また、本発明に従う乾態のコーテッドサンドを製造するに際して、粘結剤組成物としての水溶液状の水溶性無機粘結剤は、使用される水溶性無機粘結剤が固体状のものである場合には、予め水に溶かした状態において用いられる。一方、液体状の水溶性無機粘結剤にあっても、その粘度を調整するために、水に希釈したものを用いることが可能である。更に、鋳物砂等との混練乃至は混合時に、固体状又は液体状の水溶性無機粘結剤と水とを、鋳物砂に対して個別に添加することも可能である。
かくして得られた、本発明に従う乾態のコーテッドサンドを用いて、目的とする鋳型を造型するに際しては、従来より公知の各種手法を採用することが出来る。例えば、以下の二つの方法を採用することが出来る。即ち、第1の方法としては、乾態のコーテッドサンドを、鋳型造型現場で水と混練することにより湿態化させ、その湿態状とされたコーテッドサンドを、目的とする鋳型を与える成形型の成形キャビティ内に充填する一方、かかる成形型を80~300℃の温度に加熱して、充填されたコーテッドサンドが乾燥するまで、成形型内で保持される。また、第2の方法としては、目的とする鋳型を与える成形型の成形キャビティ内に乾態のコーテッドサンドを充填した後に、成形キャビティ内に水蒸気を吹き込み、コーテッドサンドからなる充填相内に水蒸気が通気せしめられるものであり、この水蒸気の通気によって、乾態のコーテッドサンドに対して水分が供給されて湿態状(湿らせた状態)となり、そのような湿態状のコーテッドサンドが乾燥するまで、80~200℃に加熱された成形型内で保持されるものである。
かかる造型に際して、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンドが充填せしめられる、金型や木型等の成形型は、予め加熱により保温されていることが望ましく、それによって、水との混練や水蒸気によって湿態化されたコーテッドサンドの乾燥が、有利に進行せしめられ得るのである。なお、その予熱による保温温度としては、一般に、第1の方法では、80~300℃、好ましくは90~250℃、より好ましくは100~200℃程度の温度が望ましく、第2の方法では、80~200℃、好ましくは90~150℃、より好ましくは100~140℃程度の温度が、望ましい。この保温温度が高過ぎると、成形型の表面にまで蒸気が通り難くなるのであり、一方、温度が低過ぎると、造型された鋳型の乾燥に時間を要するようになる。
ところで、上記第1の方法は、乾態のコーテッドサンドと水とを混練(混合)する場合に、乾態のコーテッドサンドを、鋳型の製造場所たる造型現場まで運搬した後、その造型現場にて、水を添加して湿態化させた後、その得られた湿態状のコーテッドサンドを成形型に充填して、目的とする鋳型の造型を行うものであるが、そこにおいて、乾態のコーテッドサンドに水を加えて湿態化する工程は、単に、乾態のコーテッドサンドと所定量の水とを適当なミキサに投入して、混合せしめることにより、コーテッドサンドを湿らせれば足りるものであるところから、極めて単純な作業にて実施され得て、作業環境の悪い造型現場においても、極めて簡単に且つ容易に行い得るのである。また、水を添加する前に、コーテッドサンドを予め40℃~100℃で予熱して用いても良い。なお、水の添加時には、他の添加剤、硬化促進剤、鋳型強度の再調整のための水溶性無機粘結剤から選ばれる一種以上のものを、一緒に添加しても良い。また、他の添加剤等が液体の場合には、液体中に水は溶液中に水が含有されたものを用いても良い。
また、上記第2の方法において、成形型の成形キャビティ内に充填されたコーテッドサンド(充填相)に水蒸気を吹き込むにあたり、その水蒸気の温度は、一般に、80~150℃程度、より望ましくは95~120℃程度とされる。高温の水蒸気を採用すると、その生産のために多量のエネルギーが必要となるところから、特に100℃付近の水蒸気温度が有利に採用されることとなる。また、そのような通気せしめられる水蒸気の圧力としては、ゲージ圧で、0.01~0.3MPa程度、より好ましくは0.02~0.1MPa程度の値が有利に採用される。更に、その通気時間としては、一般に、2秒程度から60秒程度までの通気時間が、採用されることとなる。この水蒸気の通気時間が短くなり過ぎると、乾態のコーテッドサンドの表面を充分に湿らせることが困難となるからであり、また通気時間が長くなり過ぎると、コーテッドサンド表面の被覆層を構成する水溶性無機粘結剤が溶解、流出する等の問題を生じる恐れがあるからである。
ここで、上記した第1の方法及び第2の方法においては、湿ったコーテッドサンドからなる充填相を積極的に乾燥させるべく、成形型内に熱風又は過熱水蒸気を吹き込み、かかる充填相に通気せしめるようにする手法が、好適に採用される。このような熱風又は過熱水蒸気(熱風等)の通気によって、コーテッドサンドの充填相の内部にまで迅速に乾燥させて、かかる充填相の固化乃至は硬化をより一層有利に促進せしめ、以て、硬化速度を有利に高めると共に、得られる鋳型の抗折強度等の特性をも有利に高め得ることとなる他、鋳型の造型時間の短縮にも、有利に寄与し得るのである。また、上記第1の方法では、例えば熱風等の通気の前に、上記第2の方法では、例えば水蒸気の通気と熱風等の通気との間に、充填相の固化乃至は硬化をより有利に促進させるため、硬化剤をガス状又は霧状にして通気しても良く、この硬化剤で水溶性無機粘結剤を中和することにより、その固化乃至は硬化をより促進させることが可能である。なお、硬化剤の通気は、上記第1の方法においては熱風等の通気と同時に、上記第2の方法においては水蒸気の通気と同時に、又は熱風等の通気と同時に行なっても、何等差支えない。また、充填相を積極的に乾燥させる他の方法として、成形型内を減圧しても良い。かかる減圧によって、成形型のキャビティ内に充填されたコーテッドサンドを乾燥固化させるものである。減圧方法としては、例えば、公知の吸引手段によって成形型内を減圧すること等が挙げられる。また、成形型内を減圧する際に、水の蒸発を促進させるべく、成形型内に熱風又は過熱水蒸気を吹き込んでも良い。
なお、上記の造型時に用いられる硬化剤としては、二酸化炭素(炭酸水)、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、シュウ酸、カルボン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸や、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、γ-ブチロラクトン、γ-プロピオンラクトン、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、グリセリンジアセテート、トリアセチン、プロピレンカーボネート等のエステルや、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール等の一価のアルコール等を、例示することが出来る。これら硬化剤は、単独で用いられ得ることは勿論のこと、2種以上のものを混合して、使用することも可能である。
そして、本発明に従う乾態のコーテッドサンドを用いて、上記した製造方法に従って得られる鋳型、並びに、その他の製造方法に従って得られる鋳型の何れにあっても、以下に述べる優れた効果を有利に享受することが可能である。即ち、有機化合物を含有する固体状の第一のコーティング層が、第二のコーティング層を構成する水溶性無機粘結剤のアルカリ成分によって劣化することが効果的に防止され、鋳型の高い強度を維持することが可能となる。さらに、かかる鋳型を用いて鋳造を実施すると、金属溶湯によってもたらされる熱によって、鋳物砂表面の固体状の第一のコーティング層に含まれる有機化合物が効果的に熱分解し、かかる熱分解によってガスが発生するところから、鋳造後の鋳型の崩壊性が良好なものとなるのである。
また、本発明に従う乾態のコーテッドサンドからなる鋳型を用いて、鋳造を実施し、かかる鋳造後の鋳型より回収される鋳物砂(回収砂)にあっては、鋳物砂表面に存在する有機化合物の熱分解により発生したガスによって、水溶性無機粘結剤の固化物乃至は硬化物が鋳物砂表面から剥離し易い状態にあることから、そのような回収砂に対して乾式再生処理を施すことにより、容易に再生することが可能である。
ここで、回収砂に対する乾式再生処理とは、回収砂の再生方法として従来より公知の乾式再生処理方法であれば、如何なる方法であっても採用することが出来る。一般に、少なくとも研磨処理を含み、必要に応じて、焼成処理や分級処理等をも含んで構成される回収砂の処理方法が、乾式再生処理と称されている。
また、乾式再生処理における研磨処理では、回収砂の粒子表面に残存する付着物が削り取られることとなる。具体的には、回収砂を回転するロータ内に投入して、研磨処理することにより、回収砂は鋳物砂の一粒一粒に解砕され、更には、鋳物砂粒子の表面の付着物(水溶性無機粘結剤の固化物乃至は硬化物)が削り落とされることとなる。なお、研磨方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ロータリーリクレーマー、サンドフレッシャー、サンドシャイナー等を用いた研磨を挙げることが出来る。また、研磨処理における、研磨時間等の各種研磨条件は、回収砂表面における付着物の付着状況に応じて、適宜に決定される。
また、焼成処理は、回収砂に付着しているコーティング層の有機化合物、ゴミや不純物等を燃焼させて除去することを目的として実施されるものである。かかる焼成処理には、例えばロータリーキルンやトンネルキルン等の焙焼炉が用いられ、回収砂を焙焼炉内に随時、投入しながら、炉内にて回収砂が焼成される。なお、焙焼炉内の焼成温度は、200~700℃、好ましくは300~700℃、より好ましくは350~650℃、更に好ましくは400~600℃とされる。焼成温度が200℃より低いと、回収砂に付着しているゴミ等が十分に燃焼しない恐れがある。その一方、焼成温度が700℃を超えると、回収砂表面に残存している水溶性無機粘結剤が焼結し、砂粒子の表面から剥がれ難くなる恐れがある。このような焼成処理は、上述した研磨処理よりも前に行なっても良く、後に行なっても良く、研磨処理の前後において行なっても良い。
さらに、分級処理は、一般に、上記した研磨処理の後に、或いは、研磨処理後に焼成処理が実施された場合には、かかる焼成処理の後に、実施されるものであり、上記した処理の工程から取り出された鋳物砂処理物を、空気流により流動させて、集塵装置によって、そのような鋳物砂処理物に含まれる微粉体を取り除く集塵工程と、ふるいにより鋳物砂処理物に含まれる異物を取り除くふるい工程とを有している。具体的には、集塵工程では、空気流により鋳物砂処理物を流動させて、かかる鋳物砂処理物に含まれている、それまでの工程では取り除けなかった削りかす、塵及び微粉等の微細な介在物を、駆動状態の集塵装置で除去するものであり、これによって、鋳物砂処理物から微小な残留物が効果的に取り除かれることとなる。また、ふるい工程では、ふるいを用いて、鋳物砂処理物の粒子径を分級することで、そのような鋳物砂処理物に含まれる、これまでの工程では取り除けなかった異物が取り除かれる。これにより、適切な粒子径の砂が選択的に取り出され得るのである。
なお、本発明において採用される分級処理は、上述の如き集塵工程及びふるい工程を有するものに限定されるものではなく、例えば、集塵工程及びふるい工程の何れか一方のみを有するものであっても何等差し支えなく、また、ふるい工程を実施した後に集塵工程を実施するものであっても何等差し支えない。更に、分級工程は、鋳物砂を所定の大きさで分級することが出来る手法であれば、他の如何なる公知の手法をも採用可能である。
そして、上述の如くして、本発明に従う回収鋳物砂の再生方法によって再生された鋳物砂は、再び、コーテッドサンドの製造工程や鋳型の造型工程に提供され、特性の優れた鋳型を与える鋳物砂として、有利に用いられることとなるのである。
以下に、幾つかの実施例を用いて、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等限定的に解釈されるものでないことが理解されるべきである。なお、以下の実施例や比較例において、「%」及び「部」は、特に断りのない限りにおいて、何れも、質量基準にて示されている。また、コーティング層の硬化率の測定、コーティング層で被覆された鋳物砂の溶出量の測定、含水分量の測定、実施例や比較例で得られたコーテッドサンド(CS)からなる鋳型の鋳型強度、鋳肌、崩壊性及び研磨剥離性の評価は、それぞれ、以下のようにして行なった。
-第一のコーティング層の硬化率の測定-
有機化合物を含む固体状の第一のコーティング層で被覆された鋳物砂10gを精秤し、メタノール50gに浸漬する。スターラーで10分間撹拌の後、ろ紙で濾過を行い、メタノール分と砂分とに分ける。砂分を常温で風乾してメタノール分を飛ばした後、110℃の熱風乾燥機で30分間乾燥して、そのメタノール浸漬後の鋳物砂の質量を精秤する。硬化率は、次式に基づいて算出する。
硬化率(質量%)=[{固体状の第一のコーティング層の質量 - (浸漬前の固体状
の第一のコーティング層で被覆された鋳物砂の質量 - 浸漬後の
固体状の第一のコーティング層で被覆された鋳物砂の質量)} /
固体状の第一のコーティング層の質量]×100
なお、固体状の第一のコーティング層の質量は、コーテッドサンドのレジン添加量から硬化時の減量分(TG等で算出)を差し引いて算出しても良く、有機化合物を含む固体状の第一のコーティング層で被覆された鋳物砂(A)を900℃で1時間焼成して、焼成前の鋳物砂(A)質量から焼成後の鋳物砂質量を差し引いて算出しても良い。
-第一のコーティング層で被覆された鋳物砂の溶出量の測定-
先ず、有機化合物を含む固体状の第一のコーティング層で被覆された鋳物砂50gを、精秤する。これを、鋳物砂A(浸漬前)とする。
この鋳物砂Aを、コーテッドサンドに用いられる水溶性無機粘結剤の濃度3.0%溶液(水ガラス水溶液又は炭酸カリウム水溶液を水で希釈して調整)に添加して、1分間撹拌した後、室温20℃の雰囲気中で24時間静置させることによって、浸漬処理を行った。次いで、取り出された鋳物砂に対して、純水で表面洗浄を行って、アルカリ分を除去した後、100℃で1時間、熱風乾燥機で乾燥を行い、更にその後、質量を精秤した。これを鋳物砂B(浸漬後)とする。
次に、上記で得られた鋳物砂A(浸漬前)と鋳物砂B(浸漬後)とについて、900℃×1時間の条件下、各々焼成を行い、その焼成後の鋳物砂A(浸漬前)と焼成後の鋳物砂B(浸漬後)の質量をそれぞれ精秤する。
溶出量は、下記式によって算出する。
溶出量(質量%)=[{(鋳物砂Aの質量 - 焼成後の鋳物砂Aの質量)-(鋳物砂 Bの質量 - 焼成後の鋳物砂Bの質量)}/(鋳物砂Aの質量 - 焼成後の鋳物砂Aの質量)]×100
-含水分量の測定-
コーテッドサンド(CS)の20gを精秤する。110℃の熱風乾燥機内で30分間加熱し、コーテッドサンド中の水分を除去し、乾燥後のコーテッドサンド(CS)の質量を測定する。コーテッドサンド中の含水分量は、以下の式で算出する。
含水分量(%/CS)={(乾燥前のCSの質量 - 乾燥後のCSの質量)/乾燥前 のCSの質量}×100
-鋳型強度の測定-
各CSを用いて得られた強度試験片について、その破壊荷重を、測定器(高千穂精機株式会社製:デジタル鋳物砂強度試験機)を用いて測定し、その破壊荷重に基づいて、下記の式により、抗折強度を算出して、鋳型強度とする。なお、ここでは、求められた抗折強度(kgf/cm2 )に、重力加速度9.8を掛けて、N/cm2 表記のSI単位に換算して表示することとする。
抗折強度=1.5×LW/ab2
[但し、L:支点間距離(cm)、w:破壊荷重(kgf)、a:試験片の幅(cm)、 b:試験片の厚み(cm)]
-崩壊性試験-
先ず、図1に示される様に、予め常温自硬性砂で作製された、上部に注湯注入口2と下部に中子の幅木固定部4を有する半割れ中空主型6(キャビティ直径:6cm、高さ:6cm)の内に、各々のCSを用いて作製した幅木部8を有する円形無空中子10(直径:5cm、高さ:5cm)を、幅木固定部4で接着固定した後、更に半割れ中空主型6を相互に接着固定して、鋳造試験用砂型12を作製する。尚、鋳造時の湯漏れを防ぐために、接着した主型を万力等でクランプするか、針金を巻いてしっかりと固定する。次に、この鋳造試験用砂型12の注湯注入口2から鉄溶湯FC150(温度1350±50℃)を注湯し、凝固せしめた後、主型6を壊して、図2に示す円筒の鋳物16を取り出す、そして室温になった鋳物16に対して、エアハンマを用いて打撃を加えることにより、円形無空中子10を排出する。かかる排出に際しては、チッピング圧は0.3MPaとし、鋳物16に対して3秒毎にエアハンマで打撃を加える。そして、鋳物16からの、円形無空中子16を構成するCS(以下、中子CSという)の排出のし易さを、以下に示す基準に従い、5段階で評価する。本発明においては、A~Cを合格とする。
A:打撃回数10回以内で、全ての中子CSが排出。
B:打撃回数30回以内で、全ての中子CSが排出。
C:打撃回数60回以内で、全ての中子CSが排出。
D:打撃回数60回で、50%以上~100%未満の量の中子CSが排出。
E:打撃回数60回で、0~50%未満の量の中子CSが排出。
-鋳肌の評価-
前述の崩壊性試験にて得られた鋳物を半分に切断し、鋳肌(鋳物の肌)の状況を目視及び手触りにて確認し、以下に示す基準に従って4段階で評価する。本発明においては◎及び○を合格とする。
◎:焼き付きが認められず、且つ、表面も滑らかである。
○:焼き付きは認められないものの、表面にザラツキが認められる。
△:鋳肌の一部に焼き付きが認められ、表面にザラツキも認められる。
×:鋳肌の全面に焼き付きが認められ、表面にザラツキも認められる。
-研磨剥離性試験-
前述の崩壊性試験にて取り出された、円形無空中子を構成していた砂(回収砂)の100gを、ボールミルに入れて、1時間、研磨した。その後、200メッシュで1分間の篩分けを行い、鋳物砂と剥離した微粉とに分離し、得られた微粉量を測定し、回収砂における剥離のし易さを、以下に示す基準に従って5段階で評価する。本発明においては、A~Cを合格とする。
A:鋳物砂の質量に対して、微粉量が3質量%以上である。
B:鋳物砂の質量に対して、微粉量が2質量%以上、3質量%未満である。
C:鋳物砂の質量に対して、微粉量が1質量%以上、2質量%未満である。
D:鋳物砂の質量に対して、微粉量が0.5質量%以上、1質量%未満である。
E:鋳物砂の質量に対して、微粉量が0.5質量%未満である。
また、各CSを製造する際に用いたレゾール型フェノール樹脂等については、各々、以下の手順に従って製造したもの又は市販品を準備した。
(1)レゾール型フェノール樹脂Aの調製
フェノール940g、47%ホルムアルデヒド水溶液766g、及び20%苛性ソーダ水溶液23.5gを加え、70℃に昇温・保持して、20分経過後に、ヘキサメチレンテトラミン34gを添加し、更に40分経過後に、ヘキサメチレンテトラミン79gを添加して、70℃で反応させ、粘度(30℃)が1000cPになった時点で、メチレンビスステアリン酸アマイド47g、サリチル酸28.2g、20%アラビアゴム水溶液94gを添加して、粒状物を生成させて懸濁液とし、更に70℃で3時間反応させた後、50℃以下まで冷却して、濾過により水を切って、含水樹脂の粒状物(含水率:15%)を得た。次いで、エアー式流動装置で常温の空気を送り、その後徐々に空気の温度を70℃まで昇温し、そのまま1時間乾燥して、重量平均分子量(Mw)が3200、ゲル化時間が90秒のレゾール型フェノール樹脂Aを得た。
(2)レゾール型フェノール樹脂Bの準備
レゾール型フェノール樹脂Bとして、市販品である、旭有機材株式会社製の液状のHP3000A(重量平均分子量(Mw)600、不揮発分70%)を準備した。
(3)ノボラック型フェノール樹脂の調製
フェノール940部及び47%ホルマリン水溶液447部を用い、これにシュウ酸2.8部を加えて、100℃で5時間反応させ、次いで50トールの減圧下で180℃まで加熱した後、脱水及び脱フェノールを行って、重量平均分子量(Mw)が2690のノボラック型フェノール樹脂を得た。
(4)フェノールウレタン樹脂の準備
ベンジリックエーテル型フェノール樹脂(旭有機材株式会社製、商品名:CBP‐160EH、Mw:1220)と、ポリイソシアネート化合物として、ポリメリックMDI(旭有機材株式会社製;CB‐MT3)を準備し、鋳物砂の表面にコーティング層を形成せしめる際に、それら2種の樹脂を1:1(質量比)の割合で混合して、混合物として、準備した。
(5)ポリ酢酸ビニルの準備
ポリ酢酸ビニルとして、ゴーセニールM35-X6(日本合成化学工業株式会社製、メタノール35%溶液)のポリ酢酸ビニル溶液(重量平均分子量(Mw)220,000、濃度65%)を準備した。
-乾態CSの製造例1-
鋳物砂として、再生砂(旭有機材株式会社製の再生砂A5)を準備すると共に、有機化合物として、レゾール型フェノール樹脂Aを準備した。そして、かかる再生砂を約130℃の温度に加熱した後、ワールミキサー(遠州鉄工製)に投入し、更に、上記準備したレゾール型フェノール樹脂Aを、再生砂の100部に対して0.5部の割合において添加して、3分間の混練を行ない、かかるレゾール型フェノール樹脂Aを溶融させる一方、砂粒塊が崩壊するまで撹拌、混合せしめた後に取り出すことにより、鋳物砂粒子の表面に、レゾール型フェノール樹脂Aからなる固体状の第一のコーティング層を形成した。この形成された固体状の第一のコーティング層の膜厚は、鋳物砂粒子を球状とした平均粒子径と、鋳物砂及び有機化合物(レゾール型フェノール樹脂A)の添加量より、0.4μmと算出された。そして、このようにして形成された第一のコーティング層の硬化率とこのコーティング層で被覆された鋳物砂の溶出量をそれぞれ測定し、それらの結果を、下記表1に示す。
次いで、水溶性無機粘結剤たる水ガラスとして、市販品:2号ケイ酸ナトリウム(商品名:富士化学株式会社製、SiO2 /Na2O のモル比:2.4)を準備し、これを用いて、固形成分(濃度)が41%の水ガラス水溶液を調製した。そして、先に準備した、表面に固体状の第一のコーティング層が設けられた鋳物砂を、約130℃の温度に加熱した後、ワールミキサー(遠州鉄工製)に投入し、更に、上記調製された水ガラス水溶液を、再生砂の100部に対して3.5部(固形成分:1.4部)の割合にて添加して、3分間の混練を行ない、均一になるまで撹拌、混合せしめた後に取り出すことにより、鋳物砂の表面に形成された第一のコーティング層の上に、更に、水ガラス水溶液により形成された固体状態の第二のコーティング層にて構成される、乾態のコーテッドサンド(CS1)を得た。この得られたCS1の含水分量は、0.2質量%であった。
-乾態CSの製造例2~4-
乾態CSの製造例1において、第一のコーティング層形成時のレゾール型フェノール樹脂の使用量を、それぞれ1.0部、2.0部、5.5部としたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、乾態のコーテッドサンド(CS2~CS4)を得た。この得られたCS2~CS4の含水分量は、それぞれ0.2質量%、0.2質量%、0.5質量%であった。また、それらCS2~CS4における第一のコーティング層の硬化率とそのようなコーティング層が形成された鋳物砂の溶出量についても、同様に測定し、それらの結果を、下記表1に示す。
-乾態CSの製造例5-
乾態CSの製造例1において、レゾール型フェノール樹脂Aを、ポリ酢酸ビニル樹脂溶液に代え、またポリ酢酸ビニル樹脂溶液を、再生砂の100部に対して1.5部の割合において添加したこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、乾態のコーテッドサンド(CS5)を得た。この得られたCS5の含水分量は、0.3質量%であった。また、かかるCS5における第一のコーティング層の硬化率とそのようなコーティング層が形成された鋳物砂の溶出量についても、同様に測定し、それらの結果を、下記表1に示す。
-乾態CSの製造例6-
乾態CSの製造例2において、第一のコーティング層で被覆された鋳物砂を得た後、かかるコーティング層が形成された鋳物砂を180℃の恒温槽に30分間入れて、レゾール型フェノール樹脂Aの硬化を促進させる工程を加えることにより、第一のコーティング層のレゾール型フェノール樹脂Aを硬化率100%まで硬化させたこと以外は、上記製造例2と同様の手順に従って、乾態のコーテッドサンド(CS6)を得た。この得られたCS6の含水分量は、0.3質量%であった。また、かかるCS6における第一のコーティング層の硬化率とそのようなコーティング層が形成された鋳物砂の溶出量についても、同様に測定し、それらの結果を、下記表1に示す。
-乾態CSの製造例7-
乾態CSの製造例1において、レゾール型フェノール樹脂Aを、レゾール型フェノール樹脂Bに代え、レゾール型フェノール樹脂Bを、再生砂の100部に対して1.4部の割合において添加し、第一のコーティング層で被覆された鋳物砂を得た後、かかるコーティング層が形成された鋳物砂に、トルエンスルホン酸を35%/樹脂の割合で加えて、常温中で混合することによって、レゾール型フェノール樹脂Bを硬化率100%まで硬化させたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、乾態のコーテッドサンド(CS7)を得た。この得られたCS7の含水分量は、0.2質量%であった。また、かかるCS7における第一のコーティング層の硬化率とそのようなコーティング層が形成された鋳物砂の溶出量についても、同様に測定し、それらの結果を、下記表1に示す。
-乾態CSの製造例8-
乾態CSの製造例1において、レゾール型フェノール樹脂Aを、ノボラック型フェノール樹脂に代え、またノボラック型フェノール樹脂を、再生砂の100部に対して1.0部の割合において添加して、混練時にヘキサメチレンテトラミン0.15部を加え、コーティング層で被覆された鋳物砂を得た後、かかるコーティング層が形成された鋳物砂を180℃の恒温槽に30分間入れて、ノボラック型フェノール樹脂の硬化を促進させる工程を加えることにより、第一のコーティング層のノボラック型フェノール樹脂を硬化率100%まで硬化させたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、乾態のコーテッドサンド(CS8)を得た。得られたCS8の含水分量は、0.3質量%であった。また、かかるCS8における第一のコーティング層の硬化率とそのようなコーティング層が形成された鋳物砂の溶出量についても、同様に測定し、それらの結果を、下記表1に示す。
-乾態CSの製造例9-
乾態CSの製造例1において、第一のコーティング層を形成する有機化合物を、レゾール型フェノール樹脂Aから、フェノールウレタン樹脂に代えるべく、以下の手順に従って、第一のコーティング層を形成したこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、乾態のコーテッドサンド(CS9)を得た。即ち、再生砂を130℃の温度でワールミキサー(遠州鉄工製)に投入し、更に、フェノールウレタン樹脂を形成するためのベンジリックエーテル型フェノール樹脂とポリイソシアネート化合物とを、質量比1:1で、それらの合計量が1.3部となる量において添加して、ミキサー中で混練を行ない、ベンジリックエーテル型フェノール樹脂とポリイソシアネート化合物とが反応して、フェノールウレタン樹脂(固形分:1.0部)となって、100%硬化するまで撹拌、混合せしめた後に、取り出した。この得られたCS9の含水分量は、0.2質量%であった。また、かかるCS9における第一のコーティング層の硬化率とそのようなコーティング層が形成された鋳物砂の溶出量についても、同様に測定し、それらの結果を、下記表1に示す。
-乾態CSの製造例10-
乾態CSの製造例6において、無機酸化物粒子として、二酸化珪素粒子:エルケムマイクロシリカ(商品名、エルケム・ジャパン株式会社製、平均粒子径:0.15μm)の1部を、水ガラス水溶液に添加したこと以外は、上記製造例6と同様の手順に従って、乾態のコーテッドサンド(CS10)を得た。この得られたCS10の含水分量は、0.3質量%であった。また、かかるCS10における第一のコーティング層の硬化率とそのようなコーティング層が形成された鋳物砂の溶出量についても、同様に測定し、それらの結果を、下記表2に示す。
-乾態CSの製造例11-
乾態CSの製造例6において、無機酸化物粒子として、二酸化珪素粒子:HS312(商品名、新日鉄住金マテリアルズ株式会社製、平均粒子径:9.5μm)の1部を、水ガラス水溶液に添加したこと以外は、上記製造例6と同様の手順に従って、乾態のコーテッドサンド(CS11)を得た。この得られたCS11の含水分量は、0.3質量%であった。また、かかるCS11における第一のコーティング層の硬化率とそのようなコーティング層が形成された鋳物砂の溶出量についても、同様に測定し、それらの結果を、下記表2に示す。
-乾態CSの製造例12-
乾態CSの製造例6において、無機酸化物粒子として、酸化アルミニウム粒子:AZ-75(商品名、新日鉄住金マテリアルズ株式会社製、平均粒子径:2.5μm)の1部を、水ガラス水溶液に添加したこと以外は、上記製造例6と同様の手順に従って、乾態のコーテッドサンド(CS12)を得た。この得られたCS12の含水分量は、0.3質量%であった。また、かかるCS12における第一のコーティング層の硬化率とそのようなコーティング層が形成された鋳物砂の溶出量についても、同様に測定し、それらの結果を、下記表2に示す。
-乾態CSの製造例13-
乾態CSの製造例2において、第一のコーティング層で被覆された鋳物砂を得た後、かかるコーティング層が形成された鋳物砂を180℃の恒温槽に5分間入れて、レゾール型フェノール樹脂Aの硬化を促進させる工程を加えることにより、第一のコーティング層のレゾール型フェノール樹脂Aを硬化率85%まで硬化させたこと以外は、上記製造例2と同様の手順に従って、乾態のコーテッドサンド(CS13)を得た。この得られたCS13の含水分量は、0.2質量%であった。また、かかるCS13における第一のコーティング層の硬化率とそのようなコーティング層が形成された鋳物砂の溶出量についても、同様に測定し、それらの結果を、下記表2に示す。
-乾態CSの製造例14-
乾態CSの製造例6において、水ガラス水溶液に代えて、炭酸カリウムの固形成分(濃度)が50%の炭酸カリウム水溶液を用いて、その使用量を3部にしたこと以外は、上記製造例6と同様の手順に従って、乾態のコーテッドサンド(CS14)を得た。この得られたCS14の含水分量は、0.3質量%であった。また、かかるCS14における第一のコーティング層の硬化率とそのようなコーティング層が形成された鋳物砂の溶出量についても、同様に測定し、それらの結果を、下記表2に示す。
-乾態CSの製造例15-
乾態CSの製造例1において、固体状のコーティング層を形成する工程を実施しなかったこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、この乾態のコーテッドサンド(CS15)を得た。得られたCS15の含水分量は、0.2質量%であった。また、かかるCS15における第一のコーティング層の硬化率とそのようなコーティング層が形成された鋳物砂の溶出量についても、同様に測定し、それらの結果を、下記表2に示す。
-乾態CSの製造例16-
乾態CSの製造例15において、無機酸化物粒子として、二酸化珪素粒子:エルケムマイクロシリカ(商品名、エルケム・ジャパン株式会社製、平均粒子径:0.15μm)の1部を、水ガラス水溶液に添加したこと以外は、上記製造例15と同様の手順に従って、乾態のコーテッドサンド(CS16)を得た。この得られたCS16の含水分量は、0.3質量%であった。また、かかるCS16における第一のコーティング層の硬化率とそのようなコーティング層が形成された鋳物砂の溶出量についても、同様に測定し、それらの結果を、下記表2に示す。
-乾態CSの製造例17-
乾態CSの製造例1において、レゾール型フェノール樹脂Aを、ノボラック型フェノール樹脂に代え、このノボラック型フェノール樹脂を、再生砂の100部に対して1.0部の割合において添加したこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、乾態のコーテッドサンド(CS17)を得た。この得られたCS17の含水分量は、0.3質量%であった。また、かかるCS17における第一のコーティング層の硬化率とそのようなコーティング層が形成された鋳物砂の溶出量についても、同様に測定し、それらの結果を、下記表2に示す。
-乾態CSの製造例18-
乾態CSの製造例1において、水ガラス水溶液に代えて、炭酸カリウムの固形成分(濃度)が50%の炭酸カリウム水溶液を用いて、その使用量を3部とし、固体状の第一のコーティング層を形成する工程を実施しなかったこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、乾態のコーテッドサンド(CS18)を得た。この得られたCS18の含水分量は、0.4質量%であった。また、かかるCS18における第一のコーティング層の硬化率とそのようなコーティング層が形成された鋳物砂の溶出量についても、同様に測定し、それらの結果を、下記表2に示す。
-鋳型の造型例I(実施例1~14、比較例1~4)-
上記した各手順に従って製造されたCS1~CS18(温度:20℃)を、それぞれ、常温のまま、品川式万能撹拌機(5DM-r型、株式会社ダルトン製)に投入し、更に、水を、CSの100部に対して2.0部の割合にて、撹拌機内に添加し、撹拌することにより、それぞれ湿態化させたCS(コーテッドサンド)を準備した。次いで、撹拌機内より取り出した湿態状のCSを、150℃に加熱された成形金型内に、0.3MPaのブロー圧で吹き込んで充填した後、成形金型内で1分30秒間保持し、その後0.03MPaのゲージ圧力の下で、300℃の熱風を1分30秒間吹き込むことにより、かかる成形型内に充填されたCSを、各々、固化(硬化)させて、鋳型強度測定用の試験片(2.54×2.54×20cm)及び円形無空中子の試験体(φ5×5cm)として用いられる鋳型を、それぞれ作製した。そして、それら得られた各CSに対応する鋳型を用いて、それぞれ、鋳型強度、鋳肌、崩壊性、研磨剥離性を測定し、それらの結果を、下記表1及び表2に併せ示した。なお、実施例1~14、比較例1~4の各々に係る鋳型(試験体)を作製する際に使用したCSは、下記表1及び表2に示す通りである。
Figure 2022009343000001
Figure 2022009343000002
かかる表1及び表2の結果より明らかな如く、実施例1~14において用いられたCS1~14は、何れも、第一のコーティング層が第二のコーティング層の水溶性無機粘結剤の水溶液に対して規定値以下の溶出量となるように構成されているところから、それらCSから得られる鋳型が、優れた鋳型強度を有し、また鋳肌の良好な鋳物を与えるものであると共に、崩壊性や研磨剥離性において優れていることが認められる。
これに対して、第一のコーティング層の存在しない、又は存在しても、水溶性無機粘結剤水溶液による溶出が顕著な第一のコーティング層を設けたCS15~18を用いた比較例1~4においては、鋳型強度、鋳肌、崩壊性、研磨剥離性の何れにおいても劣る結果となっていることが認められる。
-鋳型の造型例II(実施例15~28、比較例5~8)-
上記した各手順に従って製造されたCS1~CS18(温度:20℃)を、それぞれ、100℃に加熱された成形金型内に、0.3MPaのブロー圧で吹き込んで、充填せしめた後、更に、0.04MPaのゲージ圧力の下で温度100℃の水蒸気と、0.2MPaのゲージ圧の下で窒素ガスとを、20秒間同時に吹き込み、成形金型内に充填したコーテッドサンド(CS)相に通気せしめた。次いで、そのような水蒸気の通気が終了した後、0.03MPaのゲージ圧力の下で、温度300℃の熱風を2分40秒間吹き込み、成形金型内に充填されたCSを固化(硬化)させることにより、鋳型強度の試験片(2.54×2.54×20cm)及び円形無空中子の試験体(φ5×5cm)として用いられる鋳型を、それぞれ作製した。そして、それら得られた各CSに対応する鋳型を用いて、それぞれ、鋳型強度、鋳肌、崩壊性、研磨剥離性を測定し、それらの結果を、下記表3及び表4に併せ示した。なお、実施例15~28、比較例5~8の各々に係る鋳型(試験体)を作製する際に使用したCSは、下記表3及び表4に示す通りである。
Figure 2022009343000003
Figure 2022009343000004
かかる表3及び表4の結果より明らかな如く、先の鋳型の造型例Iとは異なり、水蒸気通気による鋳型造型方法を採用した場合にあっても、かかる鋳型の造型例Iと同様な結果が得られた。即ち、実施例1~14に対応する実施例15~28においては、優れた結果が得られたのに対して、先の比較例1~4に対応する比較例5~8においては、本発明の目的が充分に達成され得ないことが認められるのである。
本発明は、コーテッドサンドの製造方法に係り、優れた特性を有するコーテッドサンドを有利に製造することの出来る方法に関するものである。
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景として為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、水溶性無機粘結剤のアルカリ成分によるコーティング層の劣化を抑え、高い鋳型強度を維持しつつ、鋳型の崩壊性に優れていると共に、鋳肌が良好であり、鋳物砂の再生が容易なコーテッドサンドを有利に製造することが出来る方法を提供することにある。
(1) 耐火性骨材からなる鋳物砂の表面を被覆するように、有機化合物を含む固体状の 第一のコーティング層を形成する第一の工程と、かかる第一のコーティング層が形 成された鋳物砂に対して、アルカリ性の水溶性無機粘結剤を含む水溶液状の粘結剤 組成物を添加し、混練乃至は混合せしめると共に、その水分を蒸発させることによ り、固体状の粘結剤組成物からなる第二のコーティング層を、該第一のコーティン グ層上に形成する第二の工程とを含み、
前記第一の工程において、前記第一のコーティング層で被膜された鋳物砂が、そ の50gを、前記水溶性無機粘結剤の3.0%濃度の溶液の50gに混合せしめて 、20℃の温度下で24時間保持したときに、該鋳物砂の第一のコーティング層に おける固形分の30質量%以下の溶出量である特性を有するように構成すると共に 、前記第二の工程における水分の蒸発によって、常温流動性を有する乾態のコーテ ッドサンドを形成したことを特徴とするコーテッドサンドの製造方法。
(2) 前記鋳物砂が予め加熱される一方、その加熱された鋳物砂に対して、前記有機化 合物を添加混合せしめ、かかる鋳物砂の熱によって該有機化合物を溶融させること により、その溶融した有機化合物にて該鋳物砂の表面を被覆せしめた後、冷却する ことによって、前記第一のコーティング層を形成したことを特徴とする前記態様(
1)に記載のコーテッドサンドの製造方法。
(3) 前記有機化合物を溶剤に溶解せしめて得られる液状物を用い、この液状物を前記 鋳物砂に混合した後、かかる溶剤を揮発させることにより、前記第一のコーティン グ層を形成したことを特徴とする前記態様(1)に記載のコーテッドサンドの製造 方法。
(4) 前記有機化合物が、熱可塑性樹脂及び架橋硬化性樹脂からなる群より選ばれてな ることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(3)の何れか1つに記載のコー テッドサンドの製造方法。
(5) 前記有機化合物が架橋硬化性樹脂であって、該架橋硬化性樹脂が、それを用いて 第一のコーティング層を形成してなる鋳物砂を加熱することによって、硬化せしめ られることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(4)の何れか1つに記載の コーテッドサンドの製造方法。
(6) 前記架橋硬化性樹脂を用いて形成される前記第一のコーティング層に、更に、硬 化剤若しくは硬化触媒が含有せしめられることを特徴とする前記態様(5)に記載 のコーテッドサンドの製造方法。
(7) 前記有機化合物が架橋硬化性樹脂であって、該架橋硬化性樹脂が、それを用いて 第一のコーティング層を形成してなる鋳物砂に硬化剤若しくは硬化触媒を添加する ことにより、硬化せしめられることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(5 )の何れか1つに記載のコーテッドサンドの製造方法。
(8) 前記鋳物砂の表面に形成される第一のコーティング層に、更に、カップリング剤 が含有せしめられることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(7)の何れか 1つに記載のコーテッドサンドの製造方法。
(9) 前記第二のコーティング層を形成するための水溶液状の粘結剤組成物に、無機酸 化物粒子が添加されて、該第二のコーティング層に含有せしめられることを特徴と する前記態様(1)乃至前記態様(8)の何れか1つに記載のコーテッドサンドの 製造方法。
(10) 前記水溶性無機粘結剤が、水ガラス、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酸 化アルミニウムナトリウム及び炭酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1 種であることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(9)の何れか1つに記載 のコーテッドサンドの製造方法。
(11) 前記第二のコーティング層の形成に先立って、前記第一のコーティング層の形 成された鋳物砂が、予め加熱せしめられることを特徴とする前記態様(1)乃至前 記態様(10)の何れか1つに記載のコーテッドサンドの製造方法。
実施例における崩壊性試験において用いられた鋳造試験用砂型の縦断面説明図である。 実施例における崩壊性試験において得られる、廃中子を内包した鋳物の縦断面説明図である。

Claims (1)

  1. 耐火性骨材からなる鋳物砂の表面に、有機化合物を含む固体状の第一のコーティング層を形成する第一の工程と、かかる第一のコーティング層が形成された鋳物砂に対して、アルカリ性の水溶性無機粘結剤を含む水溶液状の粘結剤組成物を添加し、混練乃至は混合せしめると共に、その水分を蒸発させることにより、固体状の粘結剤組成物からなる第二のコーティング層を、該第一のコーティング層上に形成する第二の工程とを含み、
    前記第一の工程において、前記第一のコーティング層で被膜された鋳物砂が、その50gを、前記水溶性無機粘結剤の3.0%濃度の溶液の50gに混合せしめて、20℃の温度下で24時間保持したときに、該鋳物砂の第一のコーティング層における固形分の30質量%以下の溶出量である特性を有するように構成したことを特徴とするコーテッドサンドの製造方法。
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