JP7473533B2 - 鋳型材料組成物及びそれを用いた鋳型の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳型材料組成物及びそれを用いた鋳型の製造方法に係り、特に、鋳造後の崩壊性に優れ、また回収される耐火性骨材の再生も容易な鋳型を与え得る鋳型材料組成物、及び、そのような優れた特性を発揮する鋳型を有利に製造することが出来る方法に関するものである。
従来より、鉄やアルミニウム等の金属溶湯の鋳造に用いられる鋳型の一つとして、耐火性骨材を所定の粘結剤にて被覆してなるコーテッドサンド(鋳型材料組成物)を用いて、目的とする形状に造型して得られたものが、知られている。そして、そのような鋳型材料組成物における被覆層の形成に用いられる粘結剤としては、水ガラスやリン酸ナトリウムの如き水溶性の無機系粘結剤の他、フェノール樹脂やフラン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂を用いた有機系粘結剤が明らかにされており、また、それら粘結剤を用いて、自硬性鋳型を造型する各種の手法が、種々、提案されている。
ところで、水ガラス等の無機系粘結剤を用いて構成される鋳型材料組成物は、有機系粘結剤を用いた鋳型材料組成物と比較して、有機分の含有量が少ないために、造型時や鋳造時の熱による種々のガスの発生が有利に抑制され、臭気等の問題を発生し難いものであることが、知られている。しかしながら、従来の無機系粘結剤を用いて構成される鋳型材料組成物にあっては、鋳造後の鋳型から耐火性骨材(砂)を回収し、その回収砂を焙焼処理によって再生しようとすると、回収砂の表面に残存する無機系粘結剤が燃焼され得ず、逆に焼結してしまって、耐火性骨材(砂)の表面に硬く張り付くようになるところから、その再生が困難であるという問題を内在している。特に、無機系粘結剤として水ガラスを用いた鋳型材料組成物は、鋳造時の熱によって、水ガラスがガラス化してしまい、鋳造後に回収した砂に対して焙焼処理及び研磨処理を実施しても、砂表面のガラス化した水ガラスを除去することが、非常に困難であるという問題がある。また、無機系粘結剤を用いた従来の鋳型材料組成物には、それを用いて得られる鋳型の崩壊性が充分でないという問題も、内在するものであった。
そのような状況の下、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させるための方策や、回収した耐火性骨材(砂)の再生に関する技術として、様々なものが従来より提案されている。例えば、特許文献1(特開2016-64422号公報)においては、水ガラス鋳型を崩壊させる組成物として、酸性溶液からなる鋳型崩壊剤組成物が提案されており、また、そのような鋳型崩壊剤組成物を注湯後の水ガラス鋳型に接触させて、鋳型を崩壊させる手法が、提案されている。しかしながら、同特許文献に開示の鋳型崩壊剤組成物を用いて水ガラス鋳型を崩壊させても、回収される耐火性骨材(砂)の表面には水ガラスが残存している恐れがあり、そのような回収砂に対して焙焼処理を実施すると、回収砂の粒子間において再溶着が生じ、再生が困難となる恐れがある。また、同特許文献に開示の鋳型崩壊剤組成物は酸性溶液であるため、金属製の鋳造装置や得られる鋳造物を腐食する恐れがある。
また、特許文献2(特開2015-51446号公報)においては、鋳物砂の再生処理方法として、鋳物砂の粉砕物を5℃乃至70℃の水中において混合撹拌することにより、鋳物砂より、それに付着したバインダーを分離する混合工程を含む方法が、提案されている。しかしながら、例えばバインダー(粘結剤)として水ガラスが用いられている鋳物砂型に対して、同特許文献に開示の再生処理方法を実施すると、水ガラスに起因するアルカリ成分を多量に含んだ処理水が生じることとなり、その処理水の取扱いや処分(処理)のための更なる労力が必要になるという問題がある。
さらに、特許文献3(特開2017-77570号公報)や特許文献4(特表2010-519042号公報)においては、無機バインダ(水ガラス)を用いた鋳物砂で造型された鋳型から回収される鋳物砂の再生方法として、回収された鋳物砂を高温で焼成することにより、水ガラスをガラス化させて、失活させることが開示されている。しかしながら、水ガラスをガラス化させるためには900℃以上の高温で焼成する必要があり、再生に際してのエネルギー効率の観点からすると、効率の良い方法であるとは言い難いものである。
特開2016-64422号公報 特開2015-51446号公報 特開2017-77570号公報 特表2010-519042号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、崩壊性が良好な鋳型を有利に形成することが出来ると共に、鋳造後に回収される耐火性骨材(砂)を容易に再生することが可能な鋳型材料組成物を提供することにある。また、本発明は、そのような優れた特性を有する鋳型材料組成物を用いて、有用な鋳型を有利に製造することが出来る方法を提供することをも、その解決課題とするものである。
そして、本発明は、上記した課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであり、また、以下に記載の各態様は、任意の組合せにおいても採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されるものではなく、明細書全体の記載から把握され得る発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
(1) (a)耐火性骨材と、(b)水ガラスを必須成分とする粘結剤と、(c)鋳造時の加熱によって生じる分解生成物が前記水ガラスのアルカリ成分と中和反応を起こす、中和剤としての有機ハロゲン化合物とを、少なくとも含み、前記耐火性骨材の表面を被覆するように、前記有機ハロゲン化合物を含む固体状の第一のコーティング層が形成されていると共に、該第一のコーティング層を被覆するように、前記粘結剤を含む粘結剤組成物からなる第二のコーティング層が形成されていることを特徴とする鋳型材料組成物。
(2) 前記鋳造時の加熱によって生じる分解生成物が、前記水ガラスのアルカリ成分を中和することにより、鋳造後の水ガラスのアルカリ成分の割合が15質量%以下となるような量的割合において、前記有機ハロゲン化合物が含有せしめられている前記態様(1)に記載の鋳型材料組成物。
(3) 前記第一のコーティング層が有機化合物を含むものである前記態様(1)又は前記態様(2)に記載の鋳型材料組成物。
(4) 前記耐火性骨材が球状である前記態様(1)乃至前記態様(3)の何れか1つに記載の鋳型材料組成物。
(5) 常温流動性を有さず、湿態状を呈する前記態様(1)乃至前記態様(4)の何れか1つに記載の鋳型材料組成物。
(6) 常温流動性を有し、乾態状を呈する前記態様(1)乃至前記態様(4)の何れか1つに記載の鋳型材料組成物。
(7) 前記態様(5)に記載の湿態状を呈する鋳型材料組成物を用い、これを、成形型内に充填した後、かかる成形型内で保持し、固化乃至は硬化せしめることにより、目的とする鋳型を得ることを特徴とする鋳型の製造方法。
(8) 前記態様(6)に記載の乾態状を呈する鋳型材料組成物を用い、これを、成形型内に充填した後、水蒸気を通気させて、かかる成形型内で保持し、固化乃至は硬化せしめることにより、目的とする鋳型を得ることを特徴とする鋳型の製造方法。
(9) 前記態様(6)に記載の乾態状を呈する鋳型材料組成物を用い、これに水を添加して湿態化させ、その湿態状の鋳型材料組成物を成形型内に充填した後、かかる成形型内で保持し、固化乃至は硬化せしめることにより、目的とする鋳型を得ることを特徴とする鋳型の製造方法。
このように、本発明に従う鋳型材料組成物にあっては、(a)耐火性骨材と、(b)水ガラスを必須成分とする粘結剤と共に、(c)鋳造時の加熱によって生じる分解生成物が、水ガラスのアルカリ成分と中和反応を起こす中和剤をも必須の成分として、構成されている。従って、かかる鋳型材料組成物にて形成された鋳型を用いて鋳造を実施すると、鋳型は金属溶湯によって加熱(一般に300℃を超える温度に加熱)され、かかる加熱によって中和剤より生じる分解生成物が、水ガラスのアルカリ成分と中和反応を起こすことにより、水ガラスは物理的に脆弱なものとなるところから、鋳造後の鋳型の崩壊性が良好なものとなるのである。また、金属溶湯の注湯に伴う加熱によって、水ガラスの一部乃至は全てのアルカリ成分が中和されるため、コーティング層にて覆われた耐火性骨材(コーテッドサンド)からなる鋳型材料組成物においては、高温となったアルカリ成分によるコーテッドサンド表面のコーティング層の溶解が効果的に防止され、その結果、注湯時の加熱によるコーテッドサンド粒子間の再溶着(焼結)が有利に抑制される。
さらに、本発明の鋳型材料組成物からなる鋳型を用いて鋳造を実施し、その後に回収される耐火性骨材(砂)においては、水ガラスのアルカリ成分の全量若しくはその一部が中和されて、失活しているところから、回収された砂を再生するに際して、アルカリ成分を除去するための高温での焼成処理や、酸を用いた中和処理等が不要である。加えて、水ガラスのアルカリ成分が中和されていることにより、回収される耐火性骨材の粒塊は脆いものであるところから、研磨による再生が容易であるという利点をも享受することが出来るのである。
実施例における崩壊性試験において用いられた鋳造試験用砂型の縦断面説明図である。 実施例において廃中子を内包した鋳物の縦断面説明図である。
ところで、本発明に従う鋳型材料組成物は、水ガラスを必須成分とする粘結剤を含む層(コーティング層)の状態により、湿態状を呈する鋳型材料組成物と、乾態状を呈する鋳型材料組成物とに大別される。乾態状を呈する鋳型材料組成物は良好な常温流動性を有しているのに対して、湿態状を呈する鋳型材料組成物は、そのような常温流動性を有していないものである。
ここで、本発明における「常温流動性を有し、乾態状を呈する鋳型材料組成物」とは、含水分量に拘わらず、動的安息角を測定した際に、測定値が得られる鋳型材料組成物を意味するものである。この動的安息角とは、軸方向の一方の端部が透明な板材で閉塞されてなる円筒内に鋳型材料組成物を収容して(例えば、直径7.2cm×高さ10cmの容器に、その体積の半分まで、鋳型材料組成物を入れる)、軸心が水平方向となるように保持し、一定速度(例えば、25rpm)で水平な軸心回りに回転させることにより、円筒内で流動している鋳型材料組成物層の斜面が平坦面状となり、かかる斜面と水平面との間に形成される角度をいう。この動的安息角は80°以下が好ましく、45°以下がより好ましく、30°以下が更に好ましい。特に、耐火性骨材が球状である場合において、45°以下の動的安息角が容易に実現され得るのである。なお、鋳型材料組成物が湿った状態で、円筒内で流動せずに、鋳型材料組成物層の斜面が平坦面として形成されず、その結果、動的安息角を測定することが出来ないものは、湿態状を呈する鋳型材料組成物に分類することとする。
本発明に従う、常温流動性を有し、乾態状を呈する鋳型材料組成物は、その含水分量が、耐火性骨材の表面を覆う被覆層に含まれる粘結剤を構成する水ガラスの固形分量に対して、5~55質量%の割合に相当する量であることが望ましく、10~50質量%であることがより望ましく、特に20~50質量%であることが最も望ましい。この鋳型材料組成物における含水分量が、被覆層中の水ガラスの固形分量に対して5質量%に相当する量よりも少なくなると、水ガラスがガラス化して、鋳型造型の際に再び水を添加しても、溶液状に戻らない恐れがあり、一方55質量%に相当する量よりも多くなると、鋳型材料組成物が乾態状態とはならない恐れがある。尤も、含水分量が水ガラスの固形分量に対して55質量%を超える鋳型材料組成物であっても、水ガラスの種類によっては、乾態状を呈する場合がある。乾態状を呈する鋳型材料組成物又は湿態状を呈する鋳型材料組成物の何れに該当するかの判断は、上記した常温流動性の有無によって判断される。なお、鋳型材料組成物における含水分量の測定方法としては、特に限定されるものではなく、公知の手法が適宜に採用可能である。
一方、本発明に従う、常温流動性を有さず、湿態状を呈する鋳型材料組成物にあっては、その含水分量が、粘結剤としての水ガラスの固形分量に対して、70~400質量%の割合に相当する量であることが望ましく、中でも80~300質量%であることがより望ましく、90~200質量%であることが最も望ましい。この鋳型材料組成物における含水分量が、水ガラスの固形分量に対して70質量%に相当する量よりも少なくなると、水ガラスの粘度が高くなり、混練の際に均一に混ざりにくくなって、均一な鋳型が得られなくなる。一方、400質量%に相当する量よりも多くなると、鋳型材料組成物がスラリー状になる可能性があり、その結果成形型内に充填出来なくなる可能性がある。また、充填出来たとしても、成形型内での乾燥に時間がかかる恐れがある。
ここにおいて、本発明の鋳型材料組成物を構成する耐火性骨材としては、鋳型の基材として機能する耐火性物質であって、従来から鋳型用として利用されている各種の耐火性粒状乃至は粉状材料が何れも用いられ得、具体的には、ケイ砂、再生ケイ砂を初めとして、アルミナサンド、オリビンサンド、ジルコンサンド、クロマイトサンド等の特殊砂や、フェロクロム系スラグ、フェロニッケル系スラグ、転炉スラグ等のスラグ系粒子;アルミナ系粒子、ムライト系粒子等の人工粒子及びこれらの再生粒子;アルミナボール、マグネシアクリンカー等を挙げることが出来る。なお、これらの耐火性骨材は、新砂であっても、或いは、鋳物砂として鋳型の造型に一回或いは複数回使用された再生砂または回収砂であっても、更には、そのような再生砂や回収砂に新砂を加えて混合せしめてなる混合砂であっても、何ら差支えない。そして、そのような耐火性骨材は、一般に、AFS指数で40~200程度の粒度のものとして、好ましくは、50~150程度の粒度のものとして、用いられることとなる。また、耐火性骨材は、球状のものであることが好ましく、具体的には粒形係数が1.2以下、より好ましくは1.0~1.1であることが望ましい。この粒形係数が1.2以下である耐火性骨材を用いることにより、流動性や充填性が良くなって、骨材同士の接点数が多くなるところから、同じ強度を発現するために必要な粘結剤の量や添加物量を少なくすることが出来る。なお、ここで用いられる骨材の粒形係数は、一般に、粒子の外形形状を示す一つの尺度として採用され、粒形指数とも称されるものであって、その値が1に近付く程、球形(真球)に近付くことを意味しているものである。そして、そのような粒形係数は、公知の各種の手法で測定された砂表面積を用いて算出された値にて表わされるものであって、例えば、砂表面積測定器(ジョージ・フィッシャー社製)を用いて、1gあたりの実際の砂粒の表面積を測定し、それを、理論的表面積で除した値を意味するものである。なお、理論的表面積とは、砂粒が全て球形であると仮定した場合の表面積である。
また、本発明に係る鋳型材料組成物においては、上述の如き耐火性骨材に配合せしめられる粘結剤として、水ガラスを必須成分とするものが用いられることとなる。ここで、水ガラスとは、水溶性のケイ酸化合物であり、そのようなケイ酸化合物としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸アンモニウム等を挙げることが出来るが、それらの中でも、特にケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ)が、本発明では有利に用いられることとなる。また、粘結剤としては、水ガラスを必須成分として用いる限りにおいて、種々の水溶性バインダ、例えば、熱硬化性樹脂、糖類、タンパク質、合成高分子、塩類や無機高分子等を併用することが可能である。なお、他の水溶性バインダを水ガラスと併用する場合、粘結剤全体における水ガラスの割合は、固形分基準において、60質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90%質量以上である。また、水ガラスは、水和物の状態で使用することも可能である。
さらに、上記のケイ酸ナトリウムは、通常、SiO2 /Na2O のモル比により、1号~5号の種類に分類されて、用いられている。具体的には、ケイ酸ナトリウム1号は、SiO2 /Na2O のモル比が2.0~2.3であるものであり、またケイ酸ナトリウム2号は、SiO2 /Na2O のモル比が2.4~2.6であるものであり、更にケイ酸ナトリウム3号は、SiO2 /Na2O のモル比が2.8~3.3であるものである。加えて、ケイ酸ナトリウム4号は、SiO2 /Na2O のモル比が3.3~3.5であるものであり、またケイ酸ナトリウム5号は、SiO2 /Na2O のモル比が3.6~3.8であるものである。これらの中で、ケイ酸ナトリウム1号~3号は、JIS-K-1408にても規定されている。そして、これら各種のケイ酸ナトリウムは、本発明において、単独での使用の他、混合して用いられても良く、また混合することで、SiO2 /Na2O のモル比を調製することも可能である。なお、SiO2 /Na2O のモル比は、上記したケイ酸ナトリウム1号~5号にて規定されている範囲に限定されるものではなく、例えば0.8~4.0の範囲であれば良い。
そして、本発明においては、目的とする鋳型材料組成物を有利に得るべく、粘結剤として用いられる水ガラスを構成するケイ酸ナトリウムは、SiO2 /Na2O のモル比が、一般に1.9以上、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.1以上であることが望ましく、上記したケイ酸ナトリウムの分類において、1号及び2号に相当するケイ酸ナトリウムが、特に有利に用いられることとなる。かかるケイ酸ナトリウム1号及び2号は、それぞれ、水ガラス中のケイ酸ナトリウム濃度が広い範囲においても、安定して、特性の良好な鋳型材料組成物を与えるものである。また、そのようなケイ酸ナトリウムにおけるSiO2 /Na2O のモル比の上限は、水溶液の形態にある水ガラスの特性に応じて適宜に選定されることとなるが、一般に、3.5以下、好ましくは3.2以下、より好ましくは2.7以下とされることとなる。ここで、SiO2 /Na2O のモル比が1.9よりも小さくなると、特に乾態の場合に、水ガラスの粘性が低くなり、水分量をかなり低くしなければ、鋳型材料組成物を乾態とすることが困難となる恐れがあり、その一方、3.5よりも大きくなると、水への溶解度が低下して、接着面積が稼げず、最終的に得られる鋳型の強度が低下する恐れがある。
また、本発明において用いられる水ガラスは、水に溶けた状態のケイ酸化合物の溶液のことを意味し、市場において購入されたままの原液の状態において用いられる他、そのような原液に水を添加して、希釈した状態において用いられることとなる。そして、そのような水ガラスから、水や溶剤等の、揮発する物質を除いた不揮発分(水ガラス成分)を固形分と言い、これが、上記したケイ酸ナトリウム等の可溶性のケイ酸化合物に相当するものである。また、そのような固形分(不揮発分)の割合が高い程、水ガラス中のケイ酸化合物濃度は、高くなるものである。従って、本発明において用いられる水ガラスの固形分とは、それが原液のみにて構成される場合においては、かかる原液中の水分量を除いた量に相当することとなり、一方、原液を水にて希釈して得られる希釈液が用いられる場合にあっては、原液中の水分量と希釈に用いられた水の量とを除いた量が、使用される水ガラスの固形分に相当することとなる。
さらに、そのような水ガラス中の固形分は、水ガラス成分(可溶性ケイ酸化合物)の種類等に応じて適宜の割合とされることとなるが、有利には、20~50質量%の割合において含有せしめられていることが望ましい。この固形分に相当する水ガラス成分を適度に水溶液中に存在せしめることによって、耐火性骨材との混合(混練)時に、かかる耐火性骨材に対して、乾態においてはムラなく、均一に、水ガラス成分の被覆を形成することが出来、また湿態においてはムラなく、均一に、骨材と水ガラスを混合することが出来、それによって、目的とする鋳型を有利に造型することが可能となる。なお、水ガラス中における水ガラス成分の濃度が低くなり過ぎて、固形分の合計量が20質量%未満となると、乾態においては、鋳型材料組成物の乾燥のために、加熱温度を高くしたり、加熱時間を長くしたりする必要があり、そのために、エネルギーロス等の問題が惹起されるようになる。湿態においては、成形型内での加熱による時間が長くなり、鋳型の造型サイクルの長期化の問題が惹起される。また、水ガラス中における固形分の割合が高くなり過ぎると、乾態においては耐火性骨材の表面を、水ガラス成分にて均一に被覆することが困難となり、湿態においては水ガラスの粘度が高くなり過ぎて、ムラなく、均一に骨材と水ガラスを混合することが困難となり、目的とする鋳型の特性の向上にも問題を惹起するところから、かかる固形分は50質量%以下、従って水分量が50質量%以上の割合となるように、水溶液の形態にある水ガラスを調製することが望ましい。
そして、かかる水ガラスは、耐火性骨材の100質量部に対して、不揮発分のみとして考えた場合の固形分換算で0.1~5.0質量部の割合において用いられることが望ましく、中でも、0.3~4.0質量部の割合が特に有利に採用される。ここで、水ガラス中の固形分の測定は、以下のようにして実施される。即ち、アルミ箔製の試料皿(縦:9cm、横:9cm、高さ:1.5cm)内に、試料10gを収容して秤量し、180±1℃に保持した加熱板上に置き、20分間放置した後、かかる試料皿を反転させて、更に20分間、上記加熱板上に放置する。その後、試料皿を加熱板上から取り出して、デシケータ中で放冷した後、秤量を行って、次式により、固形分(質量%)が算出される。
固形分(質量%)=
{[乾燥後の試料皿の質量(g)-試料皿の質量(g)]
/[乾燥前の試料皿の質量(g)-試料皿の質量(g)]}×100
なお、本発明において、水ガラスの使用量が少なくなり過ぎると、乾態状を呈する鋳型材料組成物においては耐火性骨材の表面に被覆層が形成され難くなり、その一方、湿態状を呈する鋳型材料組成物においては骨材を水溶液状の水ガラスで覆うことが出来なくなり、鋳型造型時の鋳型材料組成物の固化乃至は硬化が充分に進行し難くなる恐れがある。また、水ガラスの使用量が多くなり過ぎても、乾態においては耐火性骨材の表面に、余分な量の水ガラスが付着して、均一な被覆層が形成され難くなると共に、鋳型材料組成物が相互に固着して団塊化(複合粒子化)する恐れもあり、湿態においては余分な量の水ガラスが鋳型造形時にムラとなって、鋳型の均一な物性を妨げる恐れもあり、そのために、最終的に得られる鋳型の物性に悪影響をもたらし、加えて、金属を鋳込んだ後の中子の砂落としを難しくする問題も惹起する恐れがある。
そして、本発明に従う鋳型材料組成物においては、上述した耐火性骨材、及び水ガラスを必須成分とする粘結剤と共に、所定の中和剤が必須の成分として使用され、構成されているところに、大きな技術的特徴が存しているのである。
即ち、所定の中和剤(加熱によって生じる分解生成物が、水ガラスのアルカリ成分と中和反応を起こす中和剤)が配合せしめられていることにより、本発明の鋳型材料組成物にて形成された鋳型を用いて鋳造を実施すると、鋳型は金属溶湯によって加熱(一般に300℃を超える温度に加熱)され、かかる鋳造時の加熱によって中和剤より生じる分解生成物が、水ガラスのアルカリ成分の一部乃至はその全てを中和することとなる。水ガラスのアルカリ成分の一部乃至は全量が中和されることにより、水ガラスは物理的に脆弱なものとなるところから、本発明に従う鋳型材料組成物にあっては、それを用いて形成された鋳型において、鋳造に供された後の崩壊性が良好なものとなるのである。また、金属溶湯の注湯に伴う加熱(鋳造時の加熱)によって、水ガラスのアルカリ成分が中和されるため、コーティング層にて覆われた耐火性骨材(コーテッドサンド)からなる鋳型材料組成物においては、高温となったアルカリ成分によるコーテッドサンド表面のコーティング層の溶解が効果的に防止され、以て、注湯時の加熱によるコーテッドサンド粒子間の再溶着(焼結)が有利に抑制されることとなる。更に、本発明の鋳型材料組成物からなる鋳型を用いて鋳造を実施し、その後に回収される耐火性骨材(砂)においては、水ガラスのアルカリ成分の一部若しくはその全量が中和されて、失活した状態にあるところから、回収された砂を再生するに際して、アルカリ成分を除去するための高温での焼成処理や、酸を用いた中和処理等が不要となる。更にまた、水ガラスのアルカリ成分が中和され、コーテッドサンド表面のコーティング層が脆くなることにより、回収される耐火性骨材の粒塊は脆いものとなり、研磨による再生が容易であるという利点をも享受することが出来るのである。なお、水ガラスのアルカリ成分は、水ガラスの固形分中に含まれているものであり、水ガラス中に含有される水分に溶け、そこで生じるアルカリ金属イオンが、中和剤の分解生成物と中和反応を起こすこととなる。また、乾態状の鋳型材料組成物においても、そこに含まれる水ガラス中に水分が残留していることは、先述した「乾態状を呈する鋳型材料組成物」からも明白なところである。
ここで、本発明において用いられる中和剤は、鋳造時の加熱によって生じる分解生成物が、水ガラスのアルカリ成分と中和反応を起こすものである。より詳細には、鋳型材料組成物の調製(製造)時や鋳型造型時の加熱(一般には300℃以下の加熱)によっては分解せず、鋳造時の金属溶湯による加熱(300℃を超える温度での加熱)によって分解し、生じた分解生成物が、水ガラスのアルカリ成分(例えば、ケイ酸ナトリウムの場合はNa2O )を中和する化合物が、本発明において中和剤として使用される。なお、ここで言う分解とは、完全に分解することを意味するものであり、300℃以下の加熱において一部が分解を開始する化合物であっても、完全に分解する温度が300℃を超え、分解生成物が水ガラスのアルカリ成分と中和反応を起こすものであれば、本発明の中和剤として使用することが可能である。そのような特性を有する化合物であれば、特に限定されることなく、本発明において中和剤として使用することが可能であるが、好ましくは有機ハロゲン化合物やリン酸エステルが用いられ、特に好ましくは有機ハロゲン化合物が用いられる。有機ハロゲン化合物は、鋳造時の金属溶湯による加熱(300℃を超える温度での加熱)によって分解してハロゲンを放出し、この放出されたハロゲンが水ガラスのナトリウムと反応することにより、水ガラスのアルカリ成分が中和されることとなる。中和の効果やコスト面からして、本発明においては、中和剤として、有機塩素化合物や有機臭素化合物が最も好ましく用いられる。なお、本発明において、中和剤は、後述する製造方法に従って製造した場合、コーティング層内に均一に分散した状態で存在せしめられることとなるところから、例えば中和剤としての酸を配合する場合に問題となる中和剤の偏在も、本発明においては発生しない。
本発明において、中和剤として用いられる有機ハロゲン化合物としては、塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化エタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリフェニル、塩素化ジフェニル、塩化ビニル、パークロロシクロペンタデカノン、テトラクロロビスフェノールA、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリス-β-クロロプロピルホスフェート等の有機塩素化合物;臭素化パラフィン、臭素化ポリフェニル、テトラブロモエタン、テトラブロモベンゼン、デカブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ヘキサブロモベンゼン、ポリジブロモフェニレンオキサイド、テトラブロモビスフェノールA、トリス(2,3-ジブロモプロピル-1)イソシアヌレート、トリブロモフェノールアリルエーテル、臭素化ポリスチレン、トリブロモネオペンチルアルコール、ジブロムジクロルプロパン、ジブロムテトラフルオロエタン、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等の有機臭素化合物;ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン等の有機フッ素化合物を、例示することが出来る。また、本発明において、中和剤として用いられるリン酸エステルとしては、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、キシレニルジフェニルホスフェート(XDP)、レゾシノール-ビス-(ジフェニルホスフェート)、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスフェート、トリアリルホスフェート(レオホス)、アルキルホスフェート等を、例示することが出来る。
本発明の鋳型材料組成物において、上述の如き中和剤の使用量(配合量)が少な過ぎると、鋳造時の加熱によって中和される、水ガラスにおけるアルカリ成分の量も、必然的に少なくなり、本発明の効果を有利に享受することが出来ない恐れがある。このため、本発明において、所定の中和剤は、鋳造時の加熱によって生じる分解生成物が、水ガラスのアルカリ成分を中和することにより、鋳造後の水ガラスのアルカリ成分の割合が15質量%以下となるような量的割合において、鋳型材料組成物中に含有せしめられることが好ましい。特に水ガラスとしてケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ)を用いる場合、上記した量的割合において中和剤を使用して、鋳造後に回収される耐火性骨材(砂)の、水ガラスにおける固形分(SiO2 +Na2O )中のアルカリ成分(Na2O )の割合を15質量%以下とすると、水ガラスは固形化し、その固形化した水ガラスからアルカリ成分(Na2O )は溶出されなくなるところから、本発明の効果をより有利に享受することが可能ならしめられる。なお、水ガラス(ケイ酸ナトリウム)が固形化することについては、従来より公知のNa2O -SiO2 状態図に鑑みれば、当業者であれば技術的に理解可能である。Na2O -SiO2 状態図については、東曹産業株式会社のホームページ(URL:http://www.toso-sangyo.com/products/keisansoda2_2.html)や、複数の論文(例えば、Kracek F.C.,“The System Sodium Oxide-Silica”,J.Phys.Chem.,34,p.1583-1598(1930))において、確認することが出来る。また、本発明において、中和剤は、鋳造時の加熱によって、水ガラスにおけるアルカリ成分の割合が0質量%となるような量的割合より過剰に添加しないことが望ましい。
ところで、本発明の鋳型材料組成物においては、その鋳型材料組成物中に、上述した所定の中和剤の他にも、必要に応じて、公知の各種添加剤を適宜に含有せしめることも可能である。そのような添加剤としては、界面活性剤、滑剤、無機酸化物粒子、炭酸塩及び/又はホウ酸塩、耐湿性向上剤等を挙げることが出来る。
本発明の鋳型材料組成物に界面活性剤を添加することにより、水の浸透性、換言すれば鋳型材料組成物の水への濡れ性を、向上せしめることが出来る。特に乾態状を呈するの鋳型材料組成物に対して、鋳型造型時に水分が供給されると、その供給された水分と水ガラスとの間を界面活性剤が仲介することにより、少量の水分であっても、鋳型材料組成物全体が効果的に湿態化することとなるのであり、以て、1)鋳型材料組成物への水分の供給時間(例えば、水蒸気によって水分を供給する場合には、水蒸気の通気時間)を必要最低限に抑えることが可能ならしめられ、また2)成形型(成形キャビティ)への水分の供給量が少量に抑えられる結果、造型された鋳型にあっては、成形型からの離型性が優れていることに加えて、優れた強度も発揮する等の効果を、有利に享受することが可能となるのである。
なお、本発明において、鋳型材料組成物に含有せしめられる界面活性剤の量は、水ガラスの固形分量の100質量部に対して、0.1~20.0質量部であることが望ましく、中でも0.5~15.0質量部が好ましく、特に0.75~12.5質量部であることが好ましい。この含有せしめられる界面活性剤の量が少な過ぎると、上記した効果を有利に享受することが出来ない恐れがあり、その一方、界面活性剤の量が多過ぎても、その使用量に応じた効果の向上が認められず、更には、費用対効果の観点より得策ではない。
そのような界面活性剤としては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の何れをも、用いることが出来る。具体的には、陽イオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。また、陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N-アシル-N-メチルグリシン塩、N-アシル-N-メチル-β-アラニン塩、N-アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、N-アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。更に、両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。加えて、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、エマルゲン911)、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(例えば、ニューポールPE-62)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。
また、種々の界面活性剤のうち、特に、非極性部位としてシロキサン構造を有するものが、シリコーン系界面活性剤と呼称され、更にパーフルオロアルキル基を有するものが、フッ素系界面活性剤と呼称されているが、その中で、シリコーン系界面活性剤としては、ポリエステル変性シリコーン、アクリル末端ポリエステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アクリル末端ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、アミノプロピル変性シリコーン等が挙げられる。また、フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルスルフォン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー等が挙げられる。
本発明においては、上述の如き各種の界面活性剤を、単独で、又は2種類以上を混合して、用いることが可能である。尤も、界面活性剤によっては、水ガラスと反応し、時間の経過と共に、界面活性能が低下乃至は消失する恐れがあるものがあるため、水ガラスと反応しない陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤が、本発明の鋳型材料組成物においては、特に有利に使用されることとなる。
また、本発明にあっては、滑剤を添加剤として加えて、鋳型材料組成物の耐火性骨材表面に存在せしめることが、好ましい。かかる滑剤の存在によって、鋳型材料組成物の流動性が、有利に向上せしめられ得るのである。
ここで、本発明に従う鋳型材料組成物に含有せしめられる滑剤の量としては、水ガラスの固形分量の100質量部に対して、0.1~10質量部であることが望ましく、中でも0.3~8質量部が好ましく、特に0.5~5質量部であることが好ましい。この含有せしめられる滑剤の量が少な過ぎると、上記した効果を有利に享受することが出来ない恐れがあり、その一方、滑剤の量が多過ぎても、鋳型強度が低下することや、更には、費用対効果の観点より得策ではない。
かかる本発明で用いられる滑剤としては、例えば、パラフィンワックス、合成ポリエチレンワックス、モンタン酸ワックス等のワックス類;ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド等の脂肪酸アマイド類;メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド等のアルキレン脂肪酸アマイド類;ステアリン酸、ステアリルアルコール;ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;ステアリン酸モノグリセリド、ステアリルステアレート、硬化油等を使用することが可能である。これらの中でも、特に、ステアリン酸カルシウム等が有利に用いられる。
また、本発明の鋳型材料組成物には、無機酸化物粒子を含有せしめることも可能である。鋳型材料組成物に無機酸化物粒子を含有せしめることにより、鋳型材料組成物の流動性や充填性、更には最終的に得られる鋳型の耐湿性等の向上を図ることが出来る。本発明において用いられる無機酸化物粒子の大きさは、共に鋳型材料組成物を構成する耐火性骨材よりも小さなものであることが好ましく、具体的には、平均粒子径が0.01μm以上300μm以下、より好適には0.3μm以上200μm以下、特に好適には0.5μm以上100μm以下である無機酸化物粒子が用いられる。なお、この平均粒子径は、レーザ回折式の粒度分布測定装置等によって測定される粒度分布より、求めることが可能である。また、鋳型材料組成物における無機酸化物粒子の含有量は、そこに含まれる水ガラスを必須成分とする粘結剤の固形分の100質量部に対して、一般に5~200質量部、好ましくは10~100質量部の割合とされる。
なお、本発明にて用いられる無機酸化物粒子は、球状粒子でも、非球状粒子でも良いが、球状粒子を使用することの方が、上記した無機酸化物粒子の配合効果をより有利に享受することが出来、加えて、より良好な鋳肌を有する鋳造製品を得ることが可能ならしめられる点において、好ましい。そして、そのような球状粒子は、一般に認識される程度の球状を呈するものであればよく、必ずしも真球状を呈することが必要とされるものではないが、通常、真球度が0.5以上であるものが、また好ましくは0.7以上であるものが、更に好ましくは0.9以上であるものが、有利に用いられることとなる。ここで、真球度とは、走査型電子顕微鏡を用いた観察において、単粒子のものを無作為に10個選択し、その投影形状から得られたアスペクト比(短径/長径の比)の平均値を意味するものである。なお、球状ではない無機酸化物粒子を用いた場合、そのような無機酸化物粒子の表面には突起や窪みが存在していることから、例えば、無機酸化物粒子が、供給された水分によって溶液状となった水ガラスを必須成分とする粘結剤と共に、耐火性骨材間を流動しようとすると、無機酸化物粒子表面の突起等が耐火性骨材や他の無機酸化物粒子とぶつかる等して、滑り止め作用が生じてしまい、耐火性骨材間への粘結剤及び無機酸化物粒子の流動が妨げられ、その結果、最終的に得られる鋳型の充填性や、その強度を低下させる恐れがある。
また、かかる無機酸化物粒子を構成する材質については、特に限定されるものではないが、無機金属酸化物であることが好ましい。この無機金属酸化物からなる粒子としては、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等からなる粒子が有利に用いられるのであるが、それらの中でも、特に、二酸化珪素粒子は、強アルカリ性の水ガラスを含有する粘結剤が二酸化珪素の表面上に形成されたシラノール基と反応することが出来、また水の蒸発に際して、二酸化珪素と固形となった粘結剤との間に強固な結合が形成されて、鋳型強度を向上させ得る点において、好ましいと言うことが出来る。なお、二酸化珪素には、結晶質と非晶質とがあるが、非晶質の方が望ましく、そして非晶質二酸化珪素としては、沈殿シリカ、電気アーク中又は火炎加水分解で生成した焼成シリカ、ZrSiO4 の熱分解により生成したシリカ、酸素を含むガスで金属珪素を酸化することにより生成した二酸化珪素、溶融及びその後の急冷により結晶石英から生成される球状粒子である石英ガラス粉末等を、例示することが出来る。これらは、単独で用いられ得ることは勿論のこと、2種以上のものを混合して用いることも可能である。なお、本発明において、二酸化珪素は、無機金属酸化物として取り扱うものとする。また、無機酸化物粒子の代わりに、又は併用して、シリコーン樹脂粒子を添加しても良い。
また、本発明の鋳型材料組成物においては、炭酸塩及びホウ酸塩のうちの少なくとも一つを用いることが好ましい。炭酸塩は、造型・鋳造による熱により二酸化炭素を放出し、水ガラスの粘結膜中に亀裂を発生させ、水ガラスの粘結膜を壊すことで、鋳型を崩壊し易くすると共に、生じた二酸化炭素は水ガラス中の水分により弱酸の炭酸水となり、水ガラスのアルカリ成分の中和を促進させることが出来る。一方、ホウ酸塩は、造型・鋳造による熱により、水ガラス中の水酸基(-OH)とホウ酸塩から生じた四ホウ酸イオン又はメタホウ酸イオンとが反応し、水ガラス中の水酸基(-OH)を塞ぐことで、再溶解しにくくなり、以て、水ガラスの粘結膜の軟化を防ぐことが出来る。これらのことから、当該鋳型材料組成物を用いて造型された鋳型の崩壊性は、更に向上させられ得ると共に、鋳型の耐湿性を向上させ、吸湿による強度劣化を抑制することが出来ることとなる。
本発明において、鋳型材料組成物に含有せしめられる上述の如き炭酸塩及び/又はホウ酸塩の量は、水ガラスの固形分量の100質量部に対して、0.5~50質量部であることが望ましく、中でも1~20質量部が好ましく、特に2~15質量部であることが好ましい。この含有せしめられる炭酸塩及び/又はホウ酸塩の量が少な過ぎると、上記した効果を有利に享受することが出来ない恐れがあり、その一方、炭酸塩及び/又はホウ酸塩の量が多過ぎても、その使用量に応じた効果の向上が認められず、更には費用対効果の観点より、得策ではない。なお、炭酸塩とホウ酸塩は併用して使用しても良い。
ここで、そのような炭酸塩としては、炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、炭酸鉄、炭酸マンガン、炭酸銅、炭酸アルミニウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。また、そのようなホウ酸塩としては、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸カリウム、四ホウ酸リチウム、四ホウ酸アンモニウム、四ホウ酸カルシウム、四ホウ酸ストロンチウム、四ホウ酸銀、メタホウ酸ナトリウム、メタホウ酸カリウム、メタホウ酸リチウム、メタホウ酸アンモニウム、メタホウ酸カルシウム、メタホウ酸銀 メタホウ酸銅、メタホウ酸鉛、メタホウ酸マグネシウム等が挙げられる。それらの中でも、塩基性炭酸亜鉛、四ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸カリウムが、有利に用いられる。
本発明においては、更にその他の添加剤として、耐湿性向上剤を含有せしめても良い。水ガラスに耐湿性向上剤を含有せしめることにより、最終的に得られる鋳型の耐湿性の向上を図ることが出来る。本発明において用いられる耐湿性向上剤としては、コーテッドサンド等の鋳型材料組成物において従来より用いられているものであれば、本発明の効果を阻害しないものである限り、如何なるものであっても、使用可能である。具体的には、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム、硫酸チタン、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸銅等の硫酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、リン酸リチウム、リン酸水素リチウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸チタン、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等のリン酸塩、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛等の水酸化物、珪素、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、銅、鉄、ホウ素、ジルコニウム等の酸化物等を、例示することが出来る。それらの中でも、特に硫酸リチウム、水酸化リチウムは、より有利に耐湿性を向上させることが可能である。上記したものを始めとする耐湿性向上剤は、単独で用いられ得ることは勿論のこと、2種以上のものを併用することも可能である。
なお、そのような耐湿性向上剤の使用量としては、その総量において、水ガラスの固形分100質量部に対して、一般に、0.5~50質量部程度であることが好ましく、中でも、1~20質量部がより好ましく、特に、2~15質量部が更に好ましい。耐湿性向上剤の添加効果を有利に享受するために、0.5質量部以上の使用量であることが望ましいのであり、一方、その添加量が多過ぎると、水ガラスによる骨材の結合を阻害し、最終的に得られる鋳型の強度が低下する等の問題を惹起する恐れがあるところから、50質量部以下とされることが望ましいのである。
加えて、その他の添加剤として、耐火性骨材と水ガラスとの結合を強化するカップリング剤を含有せしめることも有効であり、例えば、シランカップリング剤、ジルコンカップリング剤、チタンカップリング剤等を用いることが出来る。更に、離型剤として、パラフィン、ワックス、軽油、マシン油、スピンドル油、絶縁油、廃油、植物油、脂肪酸エステル、有機酸、黒鉛微粒子、雲母、蛭石、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤等も使用可能である。そして、これらその他の添加剤は、それぞれ、水ガラスの固形分に対して、一般に、5質量%以下、好ましくは3質量%以下の割合となるような量において、含有せしめられる。
ところで、本発明に従う鋳型材料組成物を製造するに際しては、例えば、以下に詳述する方法に従い、1)水ガラスを必須成分とする粘結剤と所定の中和剤とを含むコーティング層が、耐火性骨材(砂)の表面に形成されたコーテッドサンド(CS)から構成される鋳型材料組成物(以下、「1層構造のCS(鋳型材料組成物)」という。)や、2)耐火性骨材(砂)の表面に、所定の中和剤を含む固体状の第一のコーティング層が形成され、かかる第一のコーティング層上に、水ガラスを必須成分とする粘結剤を含む第二のコーティング層が形成されたコーテッドサンド(CS)から構成される鋳型材料組成物(以下、「2層構造のCS(鋳型材料組成物)」という。)を、製造することが出来る。
(1)「1層構造のCS(鋳型材料組成物)」の製造
a)「1層構造のCS(鋳型材料組成物)」のうち、常温流動性を有さず、湿態状を呈するものを製造するに際しては、一般に、耐火性骨材に対して、粘結剤としての水ガラスと所定の中和剤とを、必要に応じて用いられる添加剤と共に、常温で混練乃至は混合せしめて、均一に混和せしめることによって、耐火性骨材の表面に水分量の高い水ガラス組成物の被膜層(水ガラスを必須成分とする粘結剤と所定の中和剤とを含むコーティング層)を形成せしめる手法が、採用されることとなる。
b)その一方、常温流動性を有し、乾態状を呈する、1層構造のCS(鋳型材料組成物)を製造するに際しては、一般に、耐火性骨材に対して、粘結剤としての水ガラスと所定の中和剤とを、必要に応じて用いられる添加剤と共に、混練乃至は混合せしめて、均一に混和し、かかる耐火性骨材の表面を、中和剤等を含む水ガラス組成物にて被覆するようにすると共に、そのような水ガラス組成物の水分を蒸散せしめることによって、耐火性骨材の表面に、水ガラス組成物の被覆層(水ガラスを必須成分とする粘結剤と所定の中和剤とを含むコーティング層)を形成せしめる手法が、採用されることとなる。そのような手法において、被覆層の水分の蒸散は、水ガラスの固化乃至は硬化が進む前に迅速に行なわれる必要があるところから、耐火性骨材に対して、水溶液の形態にある水ガラスを投入(混合)してから、一般には5分以内に、より好ましくは3分以内に、含有水分を飛ばして、乾態の粉末状鋳型材料組成物とすることが望ましい。かかる蒸散の時間が長くなると、混和(混練)サイクルが長くなり、鋳型材料組成物の生産性が低下する他、水ガラスが空気中のCO2 に触れる時間が長くなって、失活する等の問題を生じる恐れが高くなるからである。
c)また、上述した、乾態状を呈する1層構造のCS(鋳型材料組成物)の製造工程において、水ガラス中の水分を迅速に蒸散せしめるための有効な手段の一つとして、耐火性骨材を予め加熱しておき、それに、水溶液の形態にある水ガラスや所定の中和剤等を混練乃至は混合して、混和せしめるようにする手法が、好適に採用される。この予め加熱された耐火性骨材に、水ガラスを混練乃至は混合せしめるようにすることによって、水ガラス中の水分は、そのような耐火性骨材の熱にて、極めて迅速に蒸散せしめられ得ることとなるのであり、以て、得られる鋳型材料組成物の水分量を効果的に低下せしめ得て、常温流動性を有する乾態の粉体が、有利に得られることとなるのである。ここで、耐火性骨材の予熱温度としては、水ガラスの含有水分量やその配合量等に応じて、適宜に選定されることとなるが、一般には100~160℃程度の温度が、好ましくは100~140℃程度の温度が、採用される。この予熱温度が低過ぎると、水分の蒸散を効果的に行うことが出来ず、乾燥に時間がかかるようになるところから、100℃以上の温度を採用することが望ましいのであり、また予熱温度が高過ぎると、得られる鋳型材料組成物の冷却時に、水ガラス成分の固化乃至硬化が進み、加えて複合粒子化が進行するようになるところから、鋳型材料組成物としての機能、特に、最終的に得られる鋳型の強度等の物性に問題を生じるようになる。
d)なお、上述した鋳型材料組成物の製造方法において、水ガラスと共にコーティング層内に含有せしめられる中和剤や、必要に応じて用いられる他の添加剤、例えば界面活性剤や滑剤等は、予め、水ガラスに混合した状態で耐火性骨材に添加し、混練しても良く、また、混練時に水ガラスとは別個に添加して、混練しても良く、更には混練時に、水ガラスの投入との間に時間差を設けて投入し、混練しても良い。そのため、本発明の乾態の鋳型材料組成物における被覆層は、例えば、水ガラスと中和剤等とが混ざり合った状態において、或いは、耐火性骨材の表面から外方に向かって、水ガラスの固形分(不揮発分)の濃度が漸次減少又は増加する一方で、中和剤等の濃度は漸次増加又は減少するような状態において、構成されてなる形態となる。更に、粘結剤としての水ガラスは、その粘度を調節するために、水で希釈しても良い。また、混練乃至は混合時に、水ガラスと水とを個別に添加しても、何等差支えない。
(2)「2層構造のCS(鋳型材料組成物)」の製造-
a-1)「2層構造のCS(鋳型材料組成物)」を製造するに際しては、先ず、耐火性骨材の表面に、所定の中和剤を含む固体状の第一のコーティング層を形成する。かかる第一のコーティング層は、所定の中和剤のみから構成されるものであっても良く、また中和剤の分散及び水ガラスとの隔離の観点より、第一のコーティング層を、所定の中和剤と有機化合物とを含むものにて構成することも可能である。耐火性骨材の直上に位置する第一のコーティング層に有機化合物が含有せしめられていることにより、そのような構成に係る鋳型材料組成物を用いてなる鋳型に金属溶湯を注湯すると、第一のコーティング層に含まれる有機化合物が熱分解してガス化し、その発生したガスによって、耐火性骨材粒子間の接合部分における水ガラスの固化物乃至は硬化物が有利に破壊されることとなり、鋳型の崩壊性は優れたものとなる。また、第一のコーティング層に含まれる有機化合物が熱分解してガス化すると、そのガスの内圧によって、耐火性骨材粒子上に存在する水ガラスの固化物乃至は硬化物が、内側から(耐火性骨材側から)破壊等されるため、例えば、鋳造後の鋳型より回収した耐火性骨材(砂)を再生する際の研磨工程において、固化乃至は硬化した水ガラスを鋳物砂粒子表面から剥離し易くなり、砂の再生が容易となる。さらに、鋳型を用いた鋳造時に、第一のコーティング層に含まれる有機化合物の熱分解によりガスが発生することから、金属溶湯が鋳型を構成する耐火性骨材粒子間へ浸入することを抑制するガス層が、鋳型表面と鋳造製品との間に有利に形成せしめられ、以て、最終的に得られる鋳造製品の鋳肌が良好なものとなるという利点がある。なお、例えばリン酸エステル等の、水ガラスと反応して硬化を促進する中和剤を用いる場合、そのような中和剤と有機化合物とを含む第一のコーティング層を形成することが好ましく、かかる中和剤と水ガラスとを異なる層に存在せしめた2層構造のCS(鋳型材料組成物)にあっては、中和剤と水ガラスとが反応することにより必要以上に硬化が進行することを、防止することが出来る。
a-2)本発明において、耐火性骨材表面に形成される固体状の第一のコーティング層の膜厚は、0.1~6μm、好ましくは0.2~5μm、より好ましくは0.3~3μm、さらに好ましくは0.5~2μmとされる。膜厚が0.1μmより薄いと、コーティング層として形成することが困難であると共に、水ガラスを含む粘結剤組成物よりなる第二のコーティング層の内側においてガス化させるのが困難となる恐れがあり、一方、6μmより厚いと、有機化合物により臭気が発生する恐れがある。なお、第一のコーティング層の膜厚の測定方法としては、第一のコーティング層が形成された耐火性骨材粒子をエポキシ樹脂等に埋め込み、イオンカッター等のカッティング装置を用いて切断した鋳物砂粒子の断面を、光学顕微鏡や電子顕微鏡等の光学機械を用いて観察を行ない、断面粒子をランダムに10点選定し、コーティング層の膜厚を計測する方法等を挙げることが出来る。また、膜厚に関しては、耐火性骨材粒子が球状である場合は、耐火性骨材粒子の平均粒子径と、耐火性骨材粒子及び有機化合物の添加量から算出しても良い。
a-3)また、本発明で用いられる有機化合物は、耐火性骨材粒子の表面に固体状のコーティング層を形成せしめることが可能なものは勿論のこと、所定の中和剤と共に固体状のコーティング層を形成可能なものであれば、特に限定されるものではないが、架橋硬化性樹脂及びその硬化物、熱可塑性樹脂、炭水化物からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これら有機化合物の中でも、コーテッドサンド(CS)の強度を維持する観点より、架橋硬化性樹脂及びその硬化物が有利に用いられる。
a-4)架橋硬化性樹脂とは、例えばヘキサメチレンテトラミン、有機エステル、有機酸、炭酸ガス、過酸化物、金属イオン、アミン等の硬化剤若しくは硬化触媒の存在又は非存在の下、加熱若しくは非加熱(常温)下で架橋硬化性を発現し、耐火性骨材粒子を相互に結着して鋳型を形成するものである。そのような架橋硬化性樹脂としては、具体的には、フェノール系樹脂、フェノールウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、多官能性アクリルアミド系樹脂(特公平7-106421号公報参照)、不飽和アルキッド樹脂、不飽和脂肪酸変性アルキッド樹脂、ジアリルフタレート樹脂や、必要に応じてこれらの樹脂を組み合わせた樹脂等を挙げることが出来る。これらの中でも、本発明の効果をより有利に享受できる観点から、特にノボラック型やレゾール型のフェノール系樹脂や、ポリイソシアネート化合物と混合して用いるフェノールウレタン系樹脂が好ましい。
a-5)また、架橋硬化性樹脂の硬化物とは、低分子量の架橋硬化性樹脂を硬化反応させることによって、高分子化合物へ分子量を増加させたものである。溶融粘度の低い低分子量の材料を用いて鋳物砂粒子の表面をコーティングした後に、加熱や硬化剤の添加によって硬化させておくことで、アルカリ劣化が防止され、表面安定性の良好な高分子量のコーティング層を形成することが出来、被覆性と表面安定性の両立が可能である。また、架橋硬化性樹脂の硬化物には、未硬化の架橋硬化性樹脂と比較すると、1)熱によるコーティング層の軟化が抑えられて鋳型強度が向上し、また、2)予め硬化に必要な熱量が消費されているため、熱が有効に熱分解に使用され、熱分解が速くなるので、鋳型の崩壊性がより向上し、更には、3)予め硬化に伴うガスが放出されていることから、鋳造時のガスの発生量が抑えられる、という利点もある。
a-6)さらに、熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、メタクリル・スチレン共重合体、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルからなる樹脂等を、挙げることが出来る。それらの中でも、溶剤溶解性(成膜性)の観点から、特にポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、酢酸セルロース、ポリカーボネートが好ましい。
a-7)更にまた、炭水化物としては、具体的には、グルコース、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、澱粉、グリコーゲン、セルロースからなるもの等を、挙げることが出来る。それらの中でも、成膜性の観点から、特にトレハロース、澱粉、グリコーゲンが好ましい。加えて、その他の有機化合物としては、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、ジアクリルアミドジメチルエーテル、メチレンビスアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジアクリルアミド等が挙げられる。
a-8)なお、本発明において、耐火性骨材粒子表面の第一のコーティング層に含まれる有機化合物は、耐火性骨材粒子への被覆性の観点より、高分子化合物(重合体、多量体)であることが好ましい。具体的には、重量平均分子量が300以上、好ましくは300~100000000、より好ましくは500~50000000、さらに好ましくは800~20000000である高分子化合物(重合体、多量体)が有利に用いられる。高分子化合物(重合体、多量体)の範疇に含まれない有機化合物であっても、固体状のコーティング層の表面安定性の観点より、分子量が300以上であるものが好ましく、耐火性骨材粒子への被覆性への観点より、100000000以下のものが好ましい。
a-9)また、本発明においては、水難溶性乃至は水不溶性の有機化合物が有利に用いられ、特に水不溶性の有機化合物が、固体状の第一のコーティング層に含まれる有機化合物として好適である。何故ならば、易水溶性の有機化合物を用いると、第一のコーティング層の表面に被覆される、水ガラスを含有する液状の粘結剤組成物からなる第二のコーティング層に含まれる水分中に、有機化合物が溶け出してしまい、第一のコーティング層が固体状として維持されなくなる恐れがあるからである。具体的に、本発明においては、25℃の水100gに対する溶解度が、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である有機化合物が、固体状のコーティング層に含まれる有機化合物として用いられる。なお、溶解度とは、有機化合物の10gを25℃の水100gを投入し、1時間撹拌し、更に1時間静置させた時の、溶媒(水)に溶けている有機化合物の量を意味するものである。また、水不溶性の有機化合物とは、水に溶解しない有機化合物である。
b)本発明において、耐火性骨材の表面に、第一のコーティング層として、所定の中和剤のみからなる固体状の層を形成する場合、その手法としては、従来より公知の各種手法の中から、中和剤の形態や特性等に応じたものが適宜に選択されて、採用される。例えば中和剤が、鋳造時において加熱される温度より低い温度(以下、本段落において当該温度という。)において、分解することなく溶融する特性を有するものである場合には、耐火性骨材と中和剤を、当該温度に加熱した状態で混合し、耐火性骨材の表面に溶融した中和剤の層を形成し、その後、冷却することにより、耐火性骨材の表面に、中和剤から構成される、固体状の第一のコーティング層を形成することが可能である。
c-1)一方、耐火性骨材の表面に、第一のコーティング層として、所定の中和剤及び有機化合物を含む固体状の層を形成する場合にあっても、従来より公知の各種手法の中から、中和剤及び有機化合物の形態や特性等に応じたものが適宜に選択されて、採用される。具体的には、ドライホットコート法やコールドコート法等を例示することが出来るが、固体状のコーティング層を形成可能な方法であれば、その方法は特に限定されるものではない。
c-2)なお、ドライホットコート法とは、固体状の有機化合物及び所定の中和剤を、130~180℃に加熱した耐火性骨材に添加して混合し、耐火性骨材の熱によって固体状の有機化合物を溶融させ、その溶融した有機化合物で耐火性骨材の表面を被覆させて、しかる後にこの混合を保持したまま冷却することによって、耐火性骨材の表面に、有機化合物及び所定の中和剤を含む固体状のコーティング層を形成する方法である。また、コールドコート法とは、有機化合物をそのままで、あるいはメタノールなどの溶剤に溶解して液状とし、その液状物に所定の中和剤を含有せしめたものを、耐火性骨材に添加して混合し、溶剤を揮発させること等によって、耐火性骨材の表面に、有機化合物及び所定の中和剤を含む固体状のコーティング層を形成する方法である。
c-3)また、有機化合物として架橋硬化性樹脂を用いる場合は、例えば、上記したコート法に従って固体状の第一のコーティング層を形成した後、更なる加熱により、及び/又は硬化剤若しくは硬化触媒を添加することにより、架橋硬化性樹脂を硬化させ、第一のコーティング層に含まれる架橋性硬化樹脂の分子量を増大させても良い。加熱によって架橋硬化性樹脂を硬化させる場合には、例えば、120℃~300℃の恒温槽に入れて5~60分ほど反応硬化させたり、鋳物砂を150℃~300℃に加熱し、120℃~300℃に加熱した混練機で5~60分間ほど混練して反応硬化させたりする方法等がある。なお、コーティング層に含まれる架橋硬化性樹脂が硬化した鋳型材料組成物は、耐火性骨材粒子(砂粒)間に強固なネックが存在し、一体塊状化したり、複合粒子を作る可能性があるので、第一のコーティング層で被覆された耐火性骨材の表面状態を良好なものとするために、練り込みがあり回転数の速い速練機(スピードマラー)で反応硬化させることが好ましい。また、長時間混練すると剥離が起こり、微粉が発生する可能性があるので、高温でかつ短時間で反応させる方が好ましい。一方、硬化剤又は硬化触媒を用いて架橋硬化性樹脂を硬化させる場合には、かかる硬化剤又は硬化触媒として、例えばヘキサメチレンテトラミン、有機エステル、有機酸、炭酸ガス、過酸化物、金属イオン、アミン等が用いられる。また、架橋性硬化樹脂がフェノールウレタン系樹脂である場合には、フェノール樹脂とポリイソシアネート樹脂とを混合することにより、硬化させることも可能である。硬化剤を用いて架橋硬化性樹脂を硬化させる場合にあっても、混練機で混練させながら反応硬化させることが望ましい。
d)上述した手法に従い、所定の中和剤のみからなる固体状の第一のコーティング層が形成された表面に形成された耐火性骨材、若しくは、所定の中和剤と有機化合物を含む固体状の第一のコーティング層が形成された表面に形成された耐火性骨材の何れかを用いて、常温流動性を有さず、湿態状を呈する「2層構造のCS(鋳型材料組成物)」を製造する際には、例えば、以下の手順に従って製造される。即ち、第一のコーティング層が設けられた耐火性骨材に対して、粘結剤としての水ガラスを、必要に応じて添加剤と共に、混練乃至は混合せしめて均一に混和することにより、所定の中和剤を含む固体状の第一のコーティング層が設けられた耐火性骨材と、水ガラスを含む液状の粘結剤組成物との混和物からなる鋳型材料組成物、換言すれば、耐火性骨材表面の第一のコーティング層を被覆するように、水ガラスを含む粘結剤組成物からなる第二のコーティング層が形成されてなる鋳型材料組成物が、得られるのである。なお、混和の際の種々の条件は、水溶液状の水溶性無機粘結剤の種類や水分量等に応じて適宜に決定され、また、混和の際の温度としては、一般に、常温~40℃程度とされる。本発明に従う、湿態状を呈する鋳型材料組成物を製造するに際しては、得られる鋳型材料組成物が適度な湿態状を呈するように、その含水分量が調整されることとなる。具体的には、水ガラスの固形分量の55質量%より多くなるように、好ましくは70~900質量%、より好ましくは95~500質量%となるように調整される。このように含水分量が調整された、本発明に従う湿態状を呈する鋳型材料組成物にあっては、鋳型造型時に成形型に充填する際のブローエアーによって、湿態状を呈する鋳型材料組成物が乾燥し、ブロックするのを防ぎ、鋳型材料組成物の湿潤性を保つことが可能ならしめられることに加えて、そのような鋳型材料組成物を用いて造型された鋳型においても、優れた特性が付与されたものとなるのである。なお、鋳型材料組成物の含水分量は、カールフィッシャー法や、乾燥器等で加熱した時の重量変化によって、測定可能である。
e)その一方、固体状の第一のコーティング層が形成された耐火性骨材を用いて、常温流動性を有し、乾態状を呈する「2層構造のCS(鋳型材料組成物)」を製造するに際しては、上記『(1)「1層構造のCS(鋳型材料組成物)」の製造』欄における『b)』欄にて詳述した手法と同様の手法に従って、製造することが可能である。具体的には、第一のコーティング層が形成されてなる耐火性骨材に対して、粘結剤としての水ガラスを、必要に応じて用いられる添加剤と共に、混練乃至は混合せしめて、均一に混和し、かかる耐火性骨材における第一のコーティング層の表面を、水ガラス組成物にて被覆するようにすると共に、そのような水ガラス組成物の水分を蒸散せしめることによって、耐火性骨材表面の最外層として、水ガラス組成物の被覆層(水ガラスを必須成分とする粘結剤を含む第二のコーティング層)を形成せしめる手法が、採用されることとなる。かかる手法において、第二のコーティング層の水分の蒸散は、水ガラスの固化乃至は硬化が進む前に迅速に行なわれる必要があるところから、耐火性骨材に対して、水溶液の形態にある水ガラスを投入(混合)してから、一般には5分以内に、より好ましくは3分以内に、含有水分を飛ばして、乾態の粉末状鋳型材料組成物とすることが望ましい。かかる蒸散の時間が長くなると、混和(混練)サイクルが長くなり、鋳型材料組成物の生産性が低下する他、水ガラスが空気中のCO2 に触れる時間が長くなって、失活する等の問題を生じる恐れが高くなるからである。
f)なお、上述した『(2)「2層構造のCS(鋳型材料組成物)」の製造』において、必要に応じて使用される界面活性剤等の各種添加剤は、各添加剤の使用目的に応じて、第一のコーティング層又は第二のコーティング層に含有せしめられ得るのであり、添加剤の種類によっては、第一のコーティング層及び第二のコーティング層の両方に含有せしめることも可能である。
ところで、本発明に従う湿態状を呈する鋳型材料組成物を用いて、鋳型を造型する方法としては、例えば、先ず、かかる鋳型材料組成物を、目的とする鋳型を与える成形型の成形キャビティ内に充填し、成形型を80~300℃、好ましくは100~200℃の温度に加熱、保持して、充填された鋳型材料組成物が乾燥するまで、成形型内で保持する方法がある。このような成形型内での加熱保持により、充填された湿態状を呈する鋳型材料組成物の固化乃至は硬化が進行して、目的とする鋳型を得ることが出来るのである。
すなわち、上記温度に加熱された成形型のキャビティ内に、湿態状を呈する鋳型材料組成物を充填し、保持することにより、鋳型材料組成物を構成する耐火性骨材粒子が、周囲に存在する粘結剤組成物に含まれる水ガラスを介して相互に結合して連結し、一体的な鋳型形状を呈する耐火性骨材の集合体(結合物)が、形成されるのである。このとき、水ガラスの硬化を促進させるための添加剤として、キャビティ内に、所定の硬化剤を液体の状態にて又は気体の状態にて導入するようにしてもよい。なお、水ガラスは、通常、何の添加剤も加えられていなければ、水の蒸発乾固により固化し、また硬化剤が加えられている場合には、硬化することとなる。本発明において、コーテッドサンドの集合体(結合体)からなる鋳型は、そのようなコーテッドサンドが、単に固化したもの(固化物)及び硬化剤によって硬化されたもの(硬化物)、の何れをも含むものである。
また、湿態状を呈する鋳型材料組成物を成形型のキャビティ内で加熱するに際しては、有利には、予め所定の温度に加熱(予熱)され、その温度に保持された状態の成形型を準備した後、かかる成形型のキャビティ内に鋳型材料組成物を充填して、鋳型材料組成物を加熱するようにすることが好ましい。このように、成形型を予め加熱しておくことにより、鋳型材料組成物の乾燥を早め、造型時間の短縮化を図ることが可能である。この予熱による保持温度としては、80~300℃、好ましくは100~200℃、より好ましくは120~180℃が採用される。乾燥を早め、造型時間を短縮することと、添加剤による耐湿強度の向上を図る観点より、かかる保持温度は、80℃以上であることが好ましく、また耐火性骨材粒子間の結合が充分に形成される前に水分が蒸発し、鋳型強度が発現しなくなるという問題の発生を防止する観点より、300℃以下であることが好ましい。このような温度範囲内の温度にて成形型を加熱することにより、最終的に得られる鋳型の耐湿強度を向上せしめ得ると共に、鋳型材料組成物の乾燥が、有利に進行せしめられ得るのである。
さらに、鋳型材料組成物の成形型内での保持中に、水の蒸発を促進させるために、成形型内に熱風又は過熱水蒸気を吹き込み、成形型内の充填相(鋳型材料組成物)に通気せしめるようにする手法が、好適に採用される。このような熱風又は過熱水蒸気の通気によって、鋳型材料組成物からなる充填相の内部にまで迅速に乾燥させて、かかる充填相の固化乃至は硬化をより一層有利に促進せしめ、以て、固化(硬化)速度を有利に高めると共に、得られる鋳型の抗折強度等の特性をも有利に高め得ることとなる他、鋳型の造型時間の短縮にも、有利に寄与し得るのである。また、鋳型材料組成物の成形型内での保持中に、鋳型材料組成物の固化乃至は硬化をより有利に促進させるため、二酸化炭素、アルゴン、窒素、ヘリウムのうち少なくとも1種からなるキャリアガスを成形型内に吹き込み、その充填相に通気せしめるようにする手法が、好適に採用される。その際、二酸化炭素は硬化剤として、また、アルゴン、窒素及びヘリウムは固化促進剤として、それぞれ作用する。そのようなキャリアガスを水溶性無機粘結剤に作用させることにより、鋳型材料組成物の固化乃至は硬化をより促進させることが可能である。なお、熱風又は過熱水蒸気の通気と、キャリアガスの通気とは、その何れか一方のみを実施してもよいが、それら両者を実施することも可能であり、その場合において、熱風又は過熱水蒸気の通気とキャリアガスの通気を同時に実施したり、熱風又は過熱水蒸気の通気の後にキャリアガスを通気したり、或はキャリアガスの通気の後に熱風又は過熱水蒸気を通気したりする等の手法が採用される。要するに、成形型のキャビティ内に、湿態状を呈する鋳型材料組成物を充填せしめた後、成形型内での保持中であれば、如何なるタイミングで、熱風等及び/又はキャリアガスの通気を実施しても、何等差し支えないのである。
また、本発明に従う湿態状を呈する鋳型材料組成物を用いた鋳型の造型については、上述の如き、成形型内において加熱する方法以外にも、成形型内に、前記せる硬化剤を導入することによって、鋳型材料組成物を固化乃至は硬化せしめる方法や、鋳型材料組成物が充填された成形型内を減圧することによって鋳型材料組成物を固化乃至は硬化せしめる方法も、採用することが可能である。
ここで、成形型内への硬化剤の導入は、水ガラスと併用される他の粘結剤(例えば水溶性無機粘結剤)と硬化剤との反応によって、硬化を進行させることにある。硬化剤の導入方法としては、成形型へ充填する前の鋳型材料組成物に対して硬化剤を添加し、かかる硬化剤が添加された鋳型材料組成物を成形型内に充填する手法、並びに、成形型内に充填された鋳型材料組成物に対して、硬化剤をキャリアガスとして通気することによって導入する手法、の何れをも採用可能である。また、成形型内で保持している間に、硬化剤による硬化が進行するが、その際に、水の蒸発を促進させるために、成形型内に熱風又は過熱水蒸気を吹き込むことも、有効である。更には、鋳型材料組成物の固化乃至は硬化をより有利に促進させるために、二酸化炭素、アルゴン、窒素、ヘリウムのうち少なくとも1種からなるキャリアガスを成形型内に吹き込むことも出来る。なお、硬化剤の添加を行なう場合、成形型の加熱は必ずしも必要とされるものではないが、固化乃至は硬化をより有利に促進させるために、成形型を加熱することが好ましい。
そこにおいて用いられる硬化剤としては、二酸化炭素(炭酸水)、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、シュウ酸、カルボン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸や、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、γ-ブチロラクトン、β-プロピオンラクトン、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、グリセリンジアセテート、トリアセチン、プロピレンカーボネート等のエステルや、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール等の一価のアルコール等を、例示することが出来る。これら硬化剤は、単独で用いられ得ることは勿論のこと、2種以上のものを混合して、使用することも可能である。
また、成形型内を減圧する方法は、かかる減圧によって、成形型のキャビティ内に充填されたコーテッドサンドを乾燥固化させることにある。この減圧方法としては、例えば、公知の吸引手段によって成形型内を減圧する方法等を挙げることが出来る。なお、成形型の減圧を行なう場合、成形型の加熱は必ずしも必要とされるものではないが、固化乃至は硬化をより有利に促進させるために、成形型を加熱することが好ましい。
一方、乾態状を呈する鋳型材料組成物を用いて、目的とする鋳型を造型するに際しては、例えば、以下の二つの方法を採用することが出来る。即ち、第1の方法は、乾態状を呈する鋳型材料組成物を、鋳型造型現場で水と混練することにより湿態化させ、その湿態状とされた鋳型材料組成物を、目的とする鋳型を与える成形型の成形キャビティ内に充填すると共に、かかる成形型を80~300℃の温度に加熱して、充填された鋳型材料組成物が乾燥するまで、成形型内で保持されるようにした水添加方式である。また、第2の方法は、目的とする鋳型を与える成形型の成形キャビティ内に乾態状を呈する鋳型材料組成物を充填した後に、成形キャビティ内に水蒸気を吹き込み、鋳型材料組成物からなる充填相内に水蒸気を通気せしめるようにした方法であって、この水蒸気の通気によって、乾態状を呈する鋳型材料組成物に対して水分が供給されて、湿態状(湿らせた状態)とされた後、そのような湿態状の鋳型材料組成物が乾燥するまで、80~200℃に加熱された成形型内で保持されるようにする水蒸気通気方式である。
かくの如き造型に際して、常温流動性を有し、乾態状を呈する鋳型材料組成物が充填せしめられる、金型や木型等の成形型は、予め加熱されていることが望ましく、それによって、水との混練や水蒸気によって湿態化された鋳型材料組成物の乾燥が、有利に進行せしめられ得るのである。なお、その予熱温度としては、一般に、第1の方法では、80~300℃、好ましくは90~250℃、より好ましくは100~200℃程度の温度が望ましく、第2の方法では、80~200℃、好ましくは90~150℃、より好ましくは100~140℃程度の温度が、望ましい。この保温温度が高過ぎると、成形型の表面にまで蒸気が通り難くなるのであり、一方、温度が低過ぎると、造型された鋳型の乾燥に時間を要するようになる。
ところで、上記第1の方法は、乾態状を呈する鋳型材料組成物と水とを混練(混合)する場合に、乾態状を呈する鋳型材料組成物を、鋳型の製造場所たる造型現場まで運搬した後、その造型現場にて、水を添加して湿態化させた後、その得られた湿態状を呈する鋳型材料組成物を成形型に充填して、先の湿態状を呈する鋳型材料組成物の造型の場合と同様にして、目的とする鋳型の造型を行なうものであるが、そこにおいて、乾態状を呈する鋳型材料組成物に水を加えて、湿態化する工程は、単に、乾態状を呈する鋳型材料組成物と所定量の水とを適当なミキサに投入して、混合せしめることにより、鋳型材料組成物を湿らせれば足りるものであるところから、極めて単純な作業にて実施され得て、作業環境の悪い造型現場においても、極めて簡単に且つ容易に行ない得るのである。また、水を添加する前に、鋳型材料組成物を予め40℃~100℃に予熱して用いてもよい。なお、水の添加時には、他の添加剤、硬化促進剤、鋳型強度の再調整のための水溶性無機粘結剤から選ばれる1種以上のものを、一緒に添加してもよい。また、他の添加剤等が液体の場合には、その液体中に水が含有されたものを用いてもよい。
また、上記第2の方法において、成形型の成形キャビティ内に充填された鋳型材料組成物(充填相)に水蒸気を吹き込むにあたり、その水蒸気の温度は、一般に80~150℃程度、より望ましくは95~120℃程度とされる。高温の水蒸気を採用すると、その生産のために多量のエネルギーが必要となるところから、特に100℃付近の水蒸気温度が有利に採用されることとなる。また、そのような通気せしめられる水蒸気の圧力としては、ゲージ圧で、0.01~0.3MPa程度、より好ましくは0.02~0.1MPa程度の値が有利に採用される。更に、その通気時間としては、一般に、2秒程度から60秒程度までの通気時間が、採用されることとなる。この水蒸気の通気時間が短くなり過ぎると、乾態状を呈する鋳型材料組成物の表面を充分に湿らせることが困難となるからであり、また通気時間が長くなり過ぎると、鋳型材料組成物表面の被覆層(耐火性骨材表面のコーティング層)を構成する水ガラスが溶解、流出する等の問題を生じる恐れがあるからである。
ここで、上記した第1の方法及び第2の方法においては、湿った鋳型材料組成物からなる充填相を積極的に乾燥させるべく、成形型内に熱風又は過熱水蒸気を吹き込み、かかる充填相に通気せしめるようにする手法が、好適に採用される。このような熱風又は過熱水蒸気(熱風等)の通気によって、鋳型材料組成物の充填相の内部にまで迅速に乾燥させて、かかる充填相の固化乃至は硬化をより一層有利に促進せしめ、以て、硬化速度を有利に高めると共に、得られる鋳型の抗折強度等の特性をも有利に高め得ることとなる他、鋳型の造型時間の短縮にも、有利に寄与し得るのである。また、上記第1の方法では、例えば熱風等の通気の前に、上記第2の方法では、例えば水蒸気の通気と熱風等の通気との間に、充填相の固化乃至は硬化をより有利に促進させるため、前記した硬化剤をガス状又は霧状にして通気してもよく、この硬化剤で水ガラス(及び他の水溶性無機粘結剤)を中和することにより、その固化乃至は硬化をより促進させることが可能である。なお、硬化剤の通気は、上記第1の方法においては熱風等の通気と同時に、上記第2の方法においては水蒸気の通気と同時に、又は熱風等の通気と同時に行なっても、何等差支えない。また、充填相を積極的に乾燥させる他の方法として、成形型内を減圧してもよい。かかる減圧によって、成形型のキャビティ内に充填された鋳型材料組成物を乾燥固化させるようにするのである。減圧方法としては、例えば、公知の吸引手段によって成形型内を減圧する等の手法が挙げられる。また、成形型内を減圧する際に、水の蒸発を促進させるべく、成形型内に熱風又は過熱水蒸気を吹き込んでも、何等差支えない。
そして、本発明に従う、湿態状又は乾態状を呈する鋳型材料組成物を用いて、上記した製造法に従って得られる鋳型、並びにその他の製造法に従って得られる鋳型の何れにあっても、以下に述べる優れた効果を有利に享受することが可能となる。即ち、かかる鋳型が鋳造に使用されると、金属溶湯によって鋳型が加熱(一般に300℃を超える温度に加熱)され、かかる加熱によって中和剤より生じる分解生成物が、水ガラスのアルカリ成分との間で中和反応を起こすことにより、水ガラスは物理的に脆弱なものとなり、鋳造後の鋳型の崩壊性が良好なものとなる。また、鋳造後に回収される耐火性骨材(砂)においては、水ガラスのアルカリ成分の全量若しくはその一部が中和されて、失活しているところから、回収された砂を再生するに際して、アルカリ成分を除去するための高温での焼成処理や、酸を用いた中和処理等が不要となるのである。
以下に、本発明に係る幾つかの実施例を用いて、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等限定的に解釈されるものでないことが理解されるべきである。なお、以下の実施例や比較例において、「%」及び「部」は、特に断りのない限りにおいて、何れも、質量基準にて示されている。また、実施例及び比較例に係る各鋳型材料組成物(コーテッドサンド:CS)を用いて得られた鋳型の崩壊性試験、回収された耐火性骨材(回収砂)の評価、アルカリ減少率の算出、pHの測定、並びに研磨剥離試験は、各々、以下のようにして行なった。
-鋳型の崩壊性試験-
先ず、図1に示されるように、予め常温自硬性砂で作製された、上部に溶湯注入口2と下部に中子の幅木固定部4(この部分は鋳物からの廃中子の排出口となる)を有する半割れ中空主型6(キャビティ直径:6cm、高さ:6cm)内に、各々のCSを用いて作製した幅木部8を有する円形無空中子10(直径:5cm、高さ:5cm)を、幅木固定部4で接着固定した後、更に半割れ中空主型6を相互に接着固定して、鋳造試験用砂型12を作製する。次に、この鋳造試験用砂型12の溶湯注入口2からアルミニウム合金溶湯(温度:710±5℃)を注湯し、凝固せしめた後、主型6を壊して、図2に示す円形の廃中子排出口14(直径:1.6cm)を有する鋳物16を取り出す。そして、所定の温度となったところで、かかる得られた鋳物16に対して、圧力:0.2MPaにて、エアーハンマーにより1回に3秒間の衝撃(打撃)を与え、排出口14から排出する。中子が100%排砂されるまでの打撃回数をカウントし、以下に示す基準に従って評価する。
○:1~5回の打撃により、排砂率が100%となった。
△:6~10回の打撃により、排砂率が100%となった。
×:10回の打撃によっても、排砂率が100%に至らなかった。
-回収された耐火性骨材(回収砂)の評価-
上記崩壊性試験において回収された耐火性骨材(回収砂)の100gを、500℃の恒温槽で1時間、加熱した。かかる加熱後の回収砂(曝熱砂)の状態を目視で観察し、以下に示す基準に従って評価する。
○:曝熱砂に塊状が認められない。
△:曝熱砂に僅かな塊状が認められる。
×:曝熱砂は塊状となっており、再溶着が明確に認められる。
-アルカリ減少率の算出-
上記曝熱砂を水に投入し、水中へ溶出するアルカリ量(曝熱砂において残留するアルカリ量)を測定した。鋳型材料組成物におけるアルカリ量を100%とし、測定されたアルカリ残留量を差し引いたアルカリ減少率(%)を算出した。
-pHの測定-
上記曝熱砂の50gを蒸留水に入れて30分間、撹拌した後、濾紙にて濾過し、濾過液のpHを測定した。
-研磨剥離試験-
前述の崩壊性試験にて取り出した、円形無空中子を構成していた耐火性骨材(回収砂)の100gを、ボールミルに入れて1時間、研磨した。その後、200メッシュで1分間の篩分けを行い、耐火性骨材と剥離した微粉とに分離し、得られた微粉量を測定し、回収砂における剥離のし易さを、以下に示す基準に従って3段階で評価する。
○:耐火性骨材の質量に対して、微粉量が0.3質量%以上である。
△:耐火性骨材の質量に対して、微粉量が0.1質量%以上、0.3質
量%未満である。
×:耐火性骨材の質量に対して、微粉量が0.1質量%未満である。
また、各コーテッドサンド(CS)を製造する際に用いた原料は、以下の通りである。
・耐火性骨材:アルミナ系球状骨材
(製品名:エスパール#60、山川産業株式会社製)
・耐火性骨材:フラタリー硅砂(フラタリー6号)
・水ガラス:1号ケイ酸ナトリウム
(製品名、富士化学株式会社製、SiO2 /Na2O のモル
比:2.1、固形分:45質量%)
・水ガラス:2号ケイ酸ナトリウム
(製品名、富士化学株式会社製、SiO2 /Na2O のモル
比:2.5、固形分:41質量%)
・水ガラス:3号ケイ酸ナトリウム
(製品名、富士化学株式会社製、SiO2 /Na2O のモル
比:3.0、固形分:35質量%)
・中和剤:塩素化パラフィン
(製品名:エンパラ70、味の素ファインテクノ株式会社製)
・中和剤:塩素化パラフィン
(製品名:トヨパラックス40S、東ソー株式会社製)
・中和剤:塩化ビニル
(製品名:リューロンペースト、東ソー株式会社製)
・中和剤:テトラブロモビスフェノールA
(製品名:フレームカット120G、東ソー株式会社製)
・中和剤:臭素化脂肪族・芳香族化合物
(製品名:ピロガードSR130、第一工業製薬株式会社製)
・中和剤:臭素化脂肪族・芳香族化合物
(製品名:SR720N、第一工業製薬株式会社製)
・中和剤:ポリテトラフルオロエチレン
(製品名:Fluon L169J、AGC株式会社製)
・中和剤:リン酸エステル
[トリフェニルホスフェート(TPP)、大八化学工業株式会
社製]
-湿態CSの製造例1-
水ガラス(2号ケイ酸ナトリウム)を用いて、固形成分(濃度)が41%である水ガラス水溶液を準備した。耐火性骨材(エスパール#60)を、常温のまま、品川式万能撹拌機(5DM-r型、株式会社ダルトン製)に投入し、上記水ガラス水溶液を、耐火性骨材の100部に対して1.0部の割合において添加すると共に、中和剤としての塩素化パラフィン(エンパラ70)を、耐火性骨材の100部に対して0.10部の割合において添加し、3分間の混練を行ない、均一になるまで撹拌、混合せしめた後に取り出すことにより、耐火性骨材の表面に、水ガラス及び中和剤(塩素化パラフィン)を含むコーティング層が設けられてなる、湿態状を呈する鋳型材料組成物(湿態CS:CS1a)を得た。
-湿態CSの製造例2~4-
湿態CSの製造例1において、中和剤(エンパラ70)の使用量を、それぞれ、0.20部、0.30部、0.05部としたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS2a~CS4a)をそれぞれ得た。
-湿態CSの製造例5-
湿態CSの製造例1において、水ガラス水溶液の使用量を2.0部とし、また中和剤(エンパラ70)の使用量を0.20部としたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS5a)を得た。
-湿態CSの製造例6-
湿態CSの製造例1において、水ガラス水溶液として、水ガラス(1号ケイ酸ナトリウム)を用いて得られた、固形成分(濃度)が45%である水ガラス水溶液を使用し、また、中和剤(エンパラ70)の使用量を0.14部としたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS6a)を得た。
-湿態CSの製造例7-
湿態CSの製造例1において、水ガラス水溶液として、水ガラス(3号ケイ酸ナトリウム)を用いて得られた、固形成分(濃度)が35%である水ガラス水溶液を使用し、また、中和剤(塩素化パラフィン:エンパラ70)の使用量を0.07部としたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従い、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS7a)を得た。
-湿態CSの製造例8-
湿態CSの製造例1において、耐火性骨材としてフラタリー6号を使用し、また、水ガラス水溶液の使用量を3.0部とし、更に中和剤(エンパラ70)の使用量を0.30部としたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS8a)を得た。
-湿態CSの製造例9-
湿態CSの製造例1において、中和剤として、塩素化パラフィン(トヨパラックス40S)の0.18部を用いたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS9a)を得た。
-湿態CSの製造例10-
湿態CSの製造例1において、中和剤として、塩化ビニル(リューロンペースト)の0.13部を用いたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS10a)を得た。
-湿態CSの製造例11-
湿態CSの製造例1において、中和剤として、テトラブロモビスフェノールA(フレームカット120G)の0.27部を用いたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS11a)を得た。
-湿態CSの製造例12-
湿態CSの製造例1において、中和剤として、臭素化脂肪族・芳香族化合物(ピロガードSR130)の0.25部を用いたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS12a)を得た。
-湿態CSの製造例13-
湿態CSの製造例1において、中和剤として、臭素化脂肪族・芳香族化合物(ピロガードSR130)の0.46部を用いたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS13a)を得た。
-湿態CSの製造例14-
湿態CSの製造例1において、中和剤として、臭素化脂肪族・芳香族化合物(SR720N)の0.24部を用いたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS14a)を得た。
-湿態CSの製造例15-
湿態CSの製造例1において、中和剤として、ポリテトラフルオロエチレン(Fluon L169J)の0.05部を用いたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS15a)を得た。
-湿態CSの製造例16-
耐火性骨材(エスパール#60)を約130℃の温度に加熱した後、ワールミキサー(遠州鉄工株式会社製)に投入し、更に、耐火性骨材の100部に対して、中和剤(塩素化パラフィン:エンパラ70)を0.10部の割合において添加して、3分間の混練を行い、砂粒塊が崩壊するまで撹拌、混合せしめた後に取り出すことにより、耐火性骨材の表面に、中和剤(エンパラ70)にて構成される固体状の第一のコーティング層(下層)を形成した。
次いで、水ガラス(2号ケイ酸ナトリウム)を用いて、固形成分(濃度)が41%である水ガラス水溶液を準備した。そして、先に準備した、表面の固体状の第一のコーティング層が設けられた耐火性骨材を、常温のまま、品川式万能撹拌機(5DM-r型、株式会社ダルトン製)に投入し、上記水ガラス水溶液を、耐火性骨材の100部に対して1.0部の割合において添加して、3分間の混練を行ない、均一になるまで撹拌、混合せしめた後に取り出すことにより、固体状の第一のコーティング層(下層)の上に、水ガラスからなる第二のコーティング層(上層)が設けられてなる、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS16a)を得た。
-湿態CSの製造例17-
耐火性骨材(エスパール#60)を約60℃の温度に加熱した後、ワールミキサー(遠州鉄工株式会社製)に投入し、更に、耐火性骨材の100部に対して、中和剤(エンパラ70)を0.10部の割合において添加し、また、芳香族ポリエステルポリオール(川崎化成株式会社製、商品名:MAXIMOL RDK-133)の0.20部、及びポリイソシアネート(MDI、三井化学SKCポリウレタン株式会社製、商品名:コスモネートM-200)の0.15部も添加して、芳香族ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとが反応し、フェノールウレタン樹脂として硬化するまで混合せしめた後、取り出すことにより、耐火性骨材の表面に、中和剤(エンパラ70)及びフェノールウレタン樹脂にて構成される固体状の第一のコーティング層(下層)を形成した。
次いで、水ガラス(2号ケイ酸ナトリウム)を用いて、固形成分(濃度)が41%である水ガラス水溶液を準備した。そして、先に準備した、表面に固体状の第一のコーティング層が設けられた耐火性骨材を、常温のまま、品川式万能撹拌機(5DM-r型、株式会社ダルトン製)に投入し、上記水ガラス水溶液を、耐火性骨材の100部に対して1.0部の割合において添加して、3分間の混練を行ない、均一になるまで撹拌、混合せしめた後に取り出すことにより、固体状の第一のコーティング層(下層)の上に、水ガラスからなる第二のコーティング層(上層)が設けられてなる、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS17a)を得た。
-湿態CSの製造例18-
湿態CSの製造例16において、中和剤として、塩素化パラフィン(エンパラ70)の0.10部に代えて、臭素化脂肪族・芳香族化合物(ピロガードSR130)の0.25部を用いたこと以外は、上記製造例16と同様の手順に従って、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS18a)を得た。
-湿態CSの製造例19-
湿態CSの製造例17において、中和剤として、塩素化パラフィン(エンパラ70)の0.10部に代えて、臭素化脂肪族・芳香族化合物(ピロガードSR130)の0.25部を用いたこと以外は、上記製造例17と同様の手順に従って、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS19a)を得た。
-湿態CSの製造例20-
湿態CSの製造例17において、中和剤として、塩素化パラフィン(エンパラ70)の0.10部に代えて、リン酸エステル(TPP)の0.22部を用いたこと以外は、上記製造例17と同様の手順に従い、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS19a)を得た。
-湿態CSの製造例21-
湿態CSの製造例1において、中和剤(エンパラ70)を用いなかったこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従い、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS21a)を得た。
-湿態CSの製造例22-
湿態CSの製造例6において、中和剤(エンパラ70)を用いなかったこと以外は、上記製造例6と同様の手順に従い、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS22a)を得た。
-湿態CSの製造例23-
湿態CSの製造例7において、中和剤(エンパラ70)を用いなかったこと以外は、上記製造例7と同様の手順に従い、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS23a)を得た。
-湿態CSの製造例24-
湿態CSの製造例8において、中和剤(エンパラ70)を用いなかったこと以外は、上記製造例8と同様の手順に従い、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS24a)を得た。
-湿態CSの製造例25-
湿態CSの製造例1において、中和剤として、塩素化パラフィン(エンパラ70)の0.10部に代えて、35%塩酸の0.21部を用いたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、湿態状を呈する鋳型材料組成物(CS25a)を得た。
-鋳型の造型例I(実施例1~20、比較例1~5)-
上記した各手順に従って製造されたCS1a~CS25a(温度:20℃)を、150℃に加熱された成形金型内に充填した後、成形金型内で保持し、かかる成形型内に充填されたCSを各々、固化(硬化)させることにより、円形無空中子の試験体(直径:5cm、高さ:5cm)として用いられる鋳型を作製した。なお、実施例1~20、比較例1~5の各々に係る鋳型(試験体)を作製する際に使用したCSは、下記表1乃至表4に示す通りである。
Figure 0007473533000001
Figure 0007473533000002
Figure 0007473533000003
Figure 0007473533000004
かかる表1乃至表3の結果から明らかなように、本発明に従う湿態状を呈する鋳型材料組成物(湿態CS:CS1a~CS20a)にあっては、所定の中和剤を含んでいることにより、それらを用いて得られる鋳型の崩壊性に優れ、また、鋳造後に回収される耐火性骨材(回収砂)に残留するアルカリ量も充分に低いものであることが認められる。更に、研磨剥離試験における評価も良好であり、回収砂の研磨処理が容易なものであることも、確認されるのである。
これに対して、上記表4より明らかな如く、湿態状を呈する鋳型材料組成物であって、所定の中和剤を含まない湿態CS(CS21a~CS25a)については、1)CS21a~CS24aにあっては、それらを用いて得られる鋳型の崩壊性が悪く、また、回収砂に残留しているアルカリ量も多いことが認められ、2)またCS25aにあっては、そもそも鋳型の造型が出来ないものであることが、確認されるのである。
-乾態CSの製造例1-
水ガラス(2号ケイ酸ナトリウム)を用いて、固形成分(濃度)が41%である水ガラス水溶液を準備した。耐火性骨材(エスパール#60)を約130℃の温度に加熱した後、ワールミキサー(遠州鉄工株式会社製)に投入し、上記水ガラス水溶液を、耐火性骨材の100部に対して1.0部の割合において添加すると共に、中和剤としての塩素化パラフィン(エンパラ70)を、耐火性骨材の100部に対して0.10部の割合において添加し、3分間の混練を行ない、均一になるまで撹拌、混合せしめた後に取り出すことにより、耐火性骨材の表面に、水ガラス及び中和剤(塩素化パラフィン)を含むコーティング層が設けられてなる、乾態状を呈する鋳型材料組成物(乾態CS:CS1b)を得た。
-乾態CSの製造例2-
乾態CSの製造例1において、水ガラス水溶液の使用量を2.0部とし、また中和剤(エンパラ70)の使用量を0.20部としたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、乾態状を呈する鋳型材料組成物(CS2b)を得た。
-乾態CSの製造例3-
乾態CSの製造例1において、水ガラス水溶液として、水ガラス(1号ケイ酸ナトリウム)を用いて得られた、固形成分(濃度)が45%である水ガラス水溶液を使用し、また、中和剤(エンパラ70)の使用量を0.14部としたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、乾態状を呈する鋳型材料組成物(CS3b)を得た。
-乾態CSの製造例4-
乾態CSの製造例1において、水ガラス水溶液として、水ガラス(3号ケイ酸ナトリウム)を用いて得られた、固形成分(濃度)が35%である水ガラス水溶液を使用し、また、中和剤(塩素化パラフィン:エンパラ70)の使用量を0.07部としたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従い、乾態状を呈する鋳型材料組成物(CS4b)を得た。
-乾態CSの製造例5-
乾態CSの製造例1において、中和剤として、塩化ビニル(リューロンペースト)の0.13部を用いたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、乾態状を呈する鋳型材料組成物(CS5b)を得た。
-乾態CSの製造例6-
乾態CSの製造例1において、中和剤として、臭素化脂肪族・芳香族化合物(ピロガードSR130)の0.25部を用いたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、乾態状を呈する鋳型材料組成物(CS6b)を得た。
-乾態CSの製造例7-
乾態CSの製造例1において、中和剤として、臭素化脂肪族・芳香族化合物(SR720N)の0.24部を用いたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、乾態状を呈する鋳型材料組成物(CS7b)を得た。
-乾態CSの製造例8-
乾態CSの製造例1において、中和剤として、ポリテトラフルオロエチレン(Fluon L169J)の0.05部を用いたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、乾態状を呈する鋳型材料組成物(CS8b)を得た。
-乾態CSの製造例9-
耐火性骨材(エスパール#60)を約60℃の温度に加熱した後、ワールミキサー(遠州鉄工株式会社製)に投入し、更に、耐火性骨材の100部に対して、中和剤(エンパラ70)を0.10部の割合において添加し、また、芳香族ポリエステルポリオール(川崎化成株式会社製、商品名:MAXIMOL RDK-133)の0.20部、及びポリイソシアネート(MDI、三井化学SKCポリウレタン株式会社製、商品名:コスモネートM-200)の0.15部も添加して、芳香族ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとが反応し、フェノールウレタン樹脂として硬化するまで混合せしめた後、取り出すことにより、耐火性骨材の表面に、中和剤(エンパラ70)及びフェノールウレタン樹脂にて構成される固体状の第一のコーティング層(下層)を形成した。
次いで、水ガラス(2号ケイ酸ナトリウム)を用いて、固形成分(濃度)が41%である水ガラス水溶液を準備した。そして、先に準備した、表面に固体状の第一のコーティング層が設けられた耐火性骨材を約50℃の温度に加熱した後、ワールミキサー(遠州鉄工株式会社製)に投入し、上記水ガラス水溶液を、耐火性骨材の100部に対して1.0部の割合において添加して、ワールミキサー内に120度の熱風を通気しながら5分間の混練を行ない、均一になるまで撹拌、混合せしめた後に取り出すことにより、固体状の第一のコーティング層(下層)の上に、水ガラスからなる第二のコーティング層(上層)が設けられてなる、乾態状を呈する鋳型材料組成物(CS9b)を得た。
-乾態CSの製造例10-
乾態CSの製造例9において、中和剤として、塩素化パラフィン(エンパラ70)の0.10部に代えて、臭素化脂肪族・芳香族化合物(ピロガードSR130)の0.25部を用いたこと以外は、上記製造例9と同様の手順に従って、乾態状を呈する鋳型材料組成物(CS10b)を得た。
-乾態CSの製造例11-
乾態CSの製造例9において、中和剤として、塩素化パラフィン(エンパラ70)の0.10部に代えて、リン酸エステル(TPP)の0.22部を用いたこと以外は、上記製造例17と同様の手順に従って、乾態状を呈する鋳型材料組成物(CS11b)を得た。
-乾態CSの製造例12-
乾態CSの製造例1において、中和剤(エンパラ70)を用いなかったこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従い、乾態状を呈する鋳型材料組成物(CS12b)を得た。
-乾態CSの製造例13-
乾態CSの製造例3において、中和剤(エンパラ70)を用いなかったこと以外は、上記製造例3と同様の手順に従い、乾態状を呈する鋳型材料組成物(CS13b)を得た。
-乾態CSの製造例14-
乾態CSの製造例4において、中和剤(エンパラ70)を用いなかったこと以外は、上記製造例4と同様の手順に従い、乾態状を呈する鋳型材料組成物(CS14b)を得た。
-乾態CSの製造例15-
乾態CSの製造例1において、中和剤として、塩素化パラフィン(エンパラ70)の0.10部に代えて、35%塩酸の0.21部を用いたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、乾態状を呈する鋳型材料組成物(CS15b)を得た。
-鋳型の造型例II(実施例21~31、比較例6~9)-
上記した各手順に従って製造されたCS1b~CS15b(温度:20℃)を常温のまま、品川式万能撹拌機(5DM-r型、株式会社ダルトン製)に投入し、更に、水を、CSの100部に対して1.0部の割合にて、撹拌機内に添加し、撹拌することにより、湿態化させたCS(鋳型材料)を準備した。撹拌機内より取り出した湿態状のCSを、150℃に加熱された成形金型内に充填した後、成形金型内で保持し、かかる成形型内に充填されたCSを各々、固化(硬化)させることにより、円形無空中子の試験体(直径:5cm、高さ:5cm)として用いられる鋳型を作製した。なお、実施例21~31、比較例6~9の各々に係る鋳型(試験体)を作製する際に使用したCSは、下記表5乃至表7に示す通りである。
Figure 0007473533000005
Figure 0007473533000006
Figure 0007473533000007
かかる表5及び表6の結果から明らかなように、本発明に従う乾態状を呈する鋳型材料組成物(乾態CS:CS1b~CS11b)に水を添加して湿態化させたものであっても、本発明に従う湿態状を呈する鋳型材料組成物(湿態CS:CS1a~CS20a)と同様に、所定の中和剤を含んでいるところから、それらを用いて得られる鋳型の崩壊性に優れており、また、鋳造後に回収される耐火性骨材(回収砂)に残留するアルカリ量も充分に低いものであることが認められる。更に、研磨剥離試験における評価も良好であり、回収砂の研磨処理が容易なものであることも、確認されるのである。
これに対して、上記表7より明らかな如く、乾態状を呈する鋳型材料組成物であって、所定の中和剤を含まない乾態CS(CS12b~CS15b)については、1)CS12b~CS14bにあっては、それらを用いて得られる鋳型の崩壊性が悪く、また、回収砂に残留しているアルカリ量も多いことが認められ、2)またCS15bにあっては、そもそも鋳型の造型が出来ないものであることが、確認されるのである。
-鋳型の造型例III (実施例32~36、比較例10~11)-
上記した各手順に従って製造されたCS1b、CS6b、CS9b~CS12b、CS15b(温度:20℃)を、110℃に加熱された成形金型内に、圧力:0.3MPaのゲージ圧にて吹き込んで、充填した後、更に0.05MPaのゲージ圧力の下で、温度:99℃の水蒸気を4秒間吹き込み、成形金型内に充填したコーテッドサンド(CS)相に通気せしめた。次いで、そのような水蒸気の通気が終了した後、0.03MPaのゲージ圧力の下で、温度150℃の熱風を2分間吹き込み、成形金型内に充填されたCSを固化(硬化)させることにより、円形無空中子の試験体(直径:5cm、高さ:5cm)として用いられる鋳型を作製した。なお、実施例32~36、比較例10~11の各々に係る鋳型(試験体)を作製する際に使用したCSは、下記表8及び表9に示す通りである。
Figure 0007473533000008
Figure 0007473533000009
かかる表8及び表9の結果から明らかなように、本発明に従う乾態状を呈する鋳型材料組成物(乾態CS:CS1b、CS6b、CS9b~CS11b)に成形型内で水蒸気を通気したものであっても、本発明に従う湿態状を呈する鋳型材料組成物(湿態CS:CS1a~CS20a)と同様に、所定の中和剤を含んでいるところから、それらを用いて得られる鋳型の崩壊性に優れており、また、鋳造後に回収される耐火性骨材(回収砂)に残留するアルカリ量も充分に低いものであることが認められる。更に、研磨剥離試験における評価も良好であり、回収砂の研磨処理が容易なものであることも、確認されるのである。
これに対して、上記表9より明らかな如く、乾態状を呈する鋳型材料組成物であって、所定の中和剤を含まない乾態CS(CS12b、CS15b)については、1)CS12bにあっては、それらを用いて得られる鋳型の崩壊性が悪く、また、回収砂に残留しているアルカリ量も多いことが認められ、2)またCS15bにあっては、そもそも鋳型の造型が出来ないものであることが、確認されるのである。
2 溶湯注入口 4 幅木固定部
6 主型 8 幅木部
10 中子 12 砂型
14 廃中子排出口 16 鋳物

Claims (9)

  1. (a)耐火性骨材と、
    (b)水ガラスを必須成分とする粘結剤と、
    (c)鋳造時の加熱によって生じる分解生成物が前記水ガラスのアルカリ成分と中和反応を起こす、中和剤としての有機ハロゲン化合物とを、少なくとも含み、
    前記耐火性骨材の表面を被覆するように、前記有機ハロゲン化合物を含む固体状の第一のコーティング層が形成されていると共に、該第一のコーティング層を被覆するように、前記粘結剤を含む粘結剤組成物からなる第二のコーティング層が形成されていることを特徴とする鋳型材料組成物。
  2. 前記鋳造時の加熱によって生じる分解生成物が、前記水ガラスのアルカリ成分を中和することにより、鋳造後の水ガラスのアルカリ成分の割合が15質量%以下となるような量的割合において、前記有機ハロゲン化合物が含有せしめられている請求項1に記載の鋳型材料組成物。
  3. 前記第一のコーティング層が有機化合物を含むものである請求項1又は請求項2に記載の鋳型材料組成物。
  4. 前記耐火性骨材が球状である請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の鋳型材料組成物。
  5. 常温流動性を有さず、湿態状を呈する請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の鋳型材料組成物。
  6. 常温流動性を有し、乾態状を呈する請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の鋳型材料組成物。
  7. 請求項5に記載の湿態状を呈する鋳型材料組成物を用い、これを、成形型内に充填した後、かかる成形型内で保持し、固化乃至は硬化せしめることにより、目的とする鋳型を得ることを特徴とする鋳型の製造方法。
  8. 請求項6に記載の乾態状を呈する鋳型材料組成物を用い、これを、成形型内に充填した後、水蒸気を通気させて、かかる成形型内で保持し、固化乃至は硬化せしめることにより、目的とする鋳型を得ることを特徴とする鋳型の製造方法。
  9. 請求項6に記載の乾態状を呈する鋳型材料組成物を用い、これに水を添加して湿態化させ、その湿態状の鋳型材料組成物を成形型内に充填した後、かかる成形型内で保持し、固化乃至は硬化せしめることにより、目的とする鋳型を得ることを特徴とする鋳型の製造方法。
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