JP5672550B2 - タンディッシュコーティング材及びこれを用いてタンディッシュをコーティングする方法 - Google Patents

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本発明は、マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材を含有するタンディッシュコーティング材及びこれを用いてタンディッシュをコーティングする方法に関するものである。
従来において、例えば、鉄鋼の生産過程における溶融金属処理設備の内張りなどに使用されているマグネシア・カーボンレンガ(通称マグカーボン、MgO−C)は、その設備の修理によって大量に交換され、廃棄物として処理されていた。近年、資源の有効活用、廃棄処理の困難化から、マグネシア・カーボンレンガを不定形耐火物のリサイクル骨材として再使用が望まれている。
特開2005−213608号公報
しかしながら、マグネシア・カーボンレンガの持つカーボンは酸化雰囲気において酸化され気孔となる為、マグネシア・カーボンリサイクル骨材を添加した耐火物構造体の強度を著しく低下させ、耐火物寿命短縮させる傾向にあった。また、マグネシア・カーボンレンガには酸化抑制添加物として金属シリコンや金属アルミニウム等が加えられており(特許文献1参照)、不定形耐火物に添加された際に著しく低融点化や溶融スラグへの耐蝕性を低下させる要因となっていた。従って、これらの問題点から、従来においては不定形耐火物への有効活用が停滞しており、タンディッシュコーティング材への適用も困難とされていた。
タンディッシュは、その用途の特性上の理由から、溶融金属受鋼前から予熱過程を要されている。従来のタンディッシュコーティング材は、この予熱時における施工体膨張に伴う損傷を抑制する為、有機ファイバーを用いて膨張代となる気孔を生成させる特性を具備している。本発明では、この気孔生成特性を利用する事に着目した。すなわち、本発明は、マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材中のカーボンの燃焼から発生する気孔を膨張代として利用する事に着目した。
しかしながら、従来のタンディッシュコーティング材にマグネシア・カーボンレンガリサイクル骨材を添加した場合、材料中の気孔量が多過ぎてしまい、その結果、膨張代は十分であるが、自然冷却時の収縮量が気孔量に比例して大きくなってしまう。このように冷却時の収縮が大きすぎると、タンディッシュコーティング材の施工体に収縮亀裂を発生させてしまい、その結果、施工体を損傷させてしまう。
また、前述の通り、マグネシア・カーボンレンガに含まれる添加物は、タンディッシュコーティング材に対し不純物として働き、著しく耐用性を低下させてしまう。この為、マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材の利用可能量を不純物量によって上限を制限しなければならない。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、耐食性の観点からマグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材の上限添加量を定め、そのカーボン燃焼から発生する気孔では補えない膨張代を、適切な有機ファイバー量で補う(組み合せる)事により、マグネシア・カーボンレンガリサイクル骨材をタンディッシュコーティング材に含有させても、タンディッシュコーティング材の強度を低下させず、タンディッシュの寿命を短縮させず、さらには、耐蝕性をも低下させない良好なタンディッシュコーティング材を提供することを目的とする。すなわち、本発明は、マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材を含有しない従来のタンディッシュコーティング材と同等の耐食性等を維持することができるマグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材を含有するタンディッシュコーティング材及びこれを用いてタンディッシュをコーティングする方法を提供することを目的とする。
本発明は、タンディッシュコーティング材であって、前記タンディッシュコーティング材は、マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材を含有し、前記マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材は、5mm未満の粒度を有し、前記マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材の含有量は、前記タンディッシュコーティング材の全配合量に対して1乃至40パーセントであり、前記マグネシア・カーボンレンガに含まれるカーボン量は、20パーセント未満であり、前記タンディッシュコーティング材には、有機ファイバーが外掛けで0乃至5パーセント含有され、吹付及びこて塗りの施工に適用可能であることを特徴とするタンディッシュコーティング材を提供する。
また、前記マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材の含有量は、前記タンディッシュコーティング材の全配合量に対して25パーセント以下である方が好ましい。
また、前記マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材は、3mm未満の粒度を有する方が好ましく、さらには、前記マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材は、75ミクロン以下の微粉が重量比で20パーセント以下である方が好ましい。
また、前記有機ファイバーは、例えば、紙、おが屑、塩化ビニル、ポロプロピレン、又はそれらの組み合わせにすることができるが、これらに限定されない。
さらに、本発明は、請求項1乃至5のうちのいずれか一つに記載のタンディッシュコーティング材を用いてタンディッシュをコーティングすることを特徴とするコーティング方法を提供する。
本発明によれば、マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材を含有するタンディッシュコーティング材のマグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材が、5mm未満の粒度を有し、マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材の含有量が、タンディッシュコーティング材の全配合量に対して1乃至40パーセントに設定され、マグネシア・カーボンレンガに含まれるカーボン量が20パーセント未満に設定され、さらに、タンディッシュコーティング材には、有機ファイバーが外掛けで0乃至5パーセント含有されているため、マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材を含有しない従来のタンディッシュコーティング材と同等又はそれ以上の耐食性等を維持することができるマグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材を含有するタンディッシュコーティング材を提供することができる。
図1は、本発明にかかるマグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材を含有するタンディッシュコーティング材の実験例の配合表を示す表である。 図2は、マグネシア・カーボンリサイクル骨材の含有量がタンディッシュコーティング材の全配合量に対して20パーセントであるタンディッシュコーティング材と、マグネシア・カーボンリサイクル骨材を含まない従来のタンディッシュコーティング材との、吹付作業性、耐用性及び解体性の比較を示す表である。 図3は、マグネシア・カーボンリサイクル骨材の含有量がタンディッシュコーティング材の全配合量に対して20パーセントであるタンディッシュコーティング材と、マグネシア・カーボンリサイクル骨材の含有量がタンディッシュコーティング材の全配合量に対して40パーセントであるタンディッシュコーティング材の、模擬タンディッシュにおける施工(昇熱後の状況)を示す表である。
以下、本発明にかかるマグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材を含有するタンディッシュコーティング材を実施するための最良の形態について図面を参照しながら述べる。本発明にかかるタンディッシュコーティング材は、マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材を含有している。このマグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材は、5mm未満の粒度(好ましくは3mm未満の粒度)を有している。5mm以上の粗粒は吹付機等の仕様設備を損傷させる可能性があるからである。
マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材の含有量は、タンディッシュコーティング材の全配合量に対して1乃至40パーセント(好ましくは、25パーセント以下)に設定されている。そして、マグネシア・カーボンレンガに含まれるカーボン量は、20パーセント未満となっている。
また、マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材は、75ミクロン以下の微粉が重量比で20パーセント以下となっている。これは、微粉のみでは気孔や不純物の集中を招き、期待される効果が得られ難いからである。
タンディッシュコーティング材には、紙、おが屑、塩化ビニル、ポロプロピレン、又はそれらの組み合わせなどから構成された有機ファイバーが外掛けで0乃至5パーセント含有されている。有機ファイバーは、膨張代を補う為に使用されるものである。
使用されるリサイクル骨材は乾いていることが前提となる。目視上、湿潤が確認されているものは混合、分散が適正に行われず、また、バインダー等の化学反応を招くため、用いることは出来ない。目視上乾いている場合でも、その付着水分量は低いほど好ましく有効な混合効率が期待できる。有機ファイバーは圧縮梱包されているものがあり、多くの凝集体を形成しているものがある。この場合は予め有機ファイバーの凝集体をほぐす必要がある。
混合に用いる機器は一般に周知されている混合ミキサーは全て用いることができるが、可能な限り混合効率の高いもので混合することが好ましい。重力落下方式(容器が回転するもの)の場合は単純な円筒形容器よりもダブルコーンやV型形状で有ることが好ましい。他方、強制攪拌方式の場合、リボンタイプよりもアイリッヒミキサー(商品名)の様な強制混合能力が高いものが好ましい。一般的にマグネシア・カーボンリサイクル骨材はマグネシアクリンカーよりも比重が軽く、比重差による偏析が生じやすく均一な分散状態を得られにくい。更に有機ファイバー等更に低比重なものも同時に混合を要する為、混合能力の高い混合機を用いる事が好ましい。
施工方法は従来周知の施工方法が適用できる。一般的な乾式吹付、湿式吹付に限らず、こて塗り施工の材料にも本技術は適用できる。
図1には、実験例の配合表を示している。この実験では、乾式吹付による施工方法を採用している。そして、配合表に示されているように、タンディッシュコーティング材は、焼結マグネシア(2−0mm)、焼結マグネシア(微粉)、珪酸ソーダ、増粘剤、分散剤、硬化剤、及びマグネシア・カーボンリサイクル骨材で主に配合(混合)されて構成されている。この実験においては、本発明の特徴であるマグネシア・カーボンリサイクル骨材は、粒度が3mm未満であり、75ミクロン以下の微粉が重量比で20パーセント以下と設定されている。
そして、実験例1では、このマグネシア・カーボンリサイクル骨材を含まない従来のタンディッシュコーティング材の配合を示している。一方、実験例2では、マグネシア・カーボンリサイクル骨材の含有量がタンディッシュコーティング材の全配合量に対して10パーセントであるタンディッシュコーティング材の配合を示している。同様に、実験例3では、マグネシア・カーボンリサイクル骨材の含有量がタンディッシュコーティング材の全配合量に対して20パーセントであるタンディッシュコーティング材の配合を示し、実験例4では、マグネシア・カーボンリサイクル骨材の含有量がタンディッシュコーティング材の全配合量に対して30パーセントであるタンディッシュコーティング材の配合を示し、実験例5では、マグネシア・カーボンリサイクル骨材の含有量がタンディッシュコーティング材の全配合量に対して40パーセントであるタンディッシュコーティング材の配合を示し、実験例6では、マグネシア・カーボンリサイクル骨材の含有量がタンディッシュコーティング材の全配合量に対して50パーセントであるタンディッシュコーティング材の配合を示している。なお、有機ファイバーが外掛けで0乃至5パーセント含有されており、添加水量は、22%である。
図1に示す配合表からわかるように、マグネシア・カーボンリサイクル骨材を含まない従来のタンディッシュコーティング材の配合を示す実験例1に対し、特に、実験例2は、溶損指数及び収縮指数が共に同等であることがわかる。これは、本発明に係るマグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材を含有するタンディッシュコーティング材が、マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材を含有しない従来のタンディッシュコーティング材と同等の膨張代、耐食性等を維持することができたことを意味している。また、実験例3、4及び5においても、従来のタンディッシュコーティング材と大きな差がない膨張代、耐食性を得ることができた。一方、実験例6では、従来のタンディッシュコーティング材と比べて溶損指数及び収縮指数共に大きな差が生じた。
また、図2の表には、マグネシア・カーボンリサイクル骨材の含有量がタンディッシュコーティング材の全配合量に対して20パーセントであるタンディッシュコーティング材と、マグネシア・カーボンリサイクル骨材を含まない従来のタンディッシュコーティング材との、吹付作業性、耐用性及び解体性の比較を示している。図2の表からわかるように、吹付作業性は、従来のタンディッシュコーティング材に比べて粉塵の発生が少なかった。また、耐用性については、スラグライン等で局所溶損は見られなかった。さらに、解体性については、ライニング材への焼き付きは見られず良好であった。
また、図3の表には、マグネシア・カーボンリサイクル骨材の含有量がタンディッシュコーティング材の全配合量に対して20パーセントであるタンディッシュコーティング材と、マグネシア・カーボンリサイクル骨材の含有量がタンディッシュコーティング材の全配合量に対して40パーセントであるタンディッシュコーティング材の、模擬タンディッシュにおける施工(昇熱後の状況)を示している。施工方法は、模擬タンディッシュに常温にてリサイクル骨材20%、40%置換品の吹付施工を実施した。その後、小手を用い施工厚40mmに均一化し表面を均した。そして、養生を2日間行い、その途中の状態変化を確認、その後、1200度で5時間昇熱保持した施工体の状態観察を行った。図3の表に示されるように、双方のタンディッシュコーティング材共に、養生段階で角部に小さなヘアークラックが生じるが、施工体に浮き、はがれ等の異常はなく良好であった。また、昇熱後施工体に関しては、双方のタンディッシュコーティング材共に、ヘアークラックは生じず、施工体に浮き、はがれ等の異常もなく良好であった。

Claims (6)

  1. タンディッシュコーティング材であって、
    前記タンディッシュコーティング材は、マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材を含有し、
    前記マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材は、5mm未満の粒度を有し、前記マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材の含有量は、前記タンディッシュコーティング材の全配合量に対して1乃至40パーセントであり、
    前記マグネシア・カーボンレンガに含まれるカーボン量は、20パーセント未満であり、
    前記タンディッシュコーティング材には、有機ファイバーが外掛けで0乃至5パーセント含有され、
    吹付及びこて塗りの施工に適用可能であることを特徴とするタンディッシュコーティング材。
  2. 請求項1記載のタンディッシュコーティング材において、
    前記マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材の含有量は、前記タンディッシュコーティング材の全配合量に対して25パーセント以下であることを特徴とするタンディッシュコーティング材。
  3. 請求項1又は2記載のタンディッシュコーティング材において、
    前記マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材は、3mm未満の粒度を有することを特徴とするタンディッシュコーティング材。
  4. 請求項1乃至3のうちのいずれか一つに記載のタンディッシュコーティング材において、
    前記マグネシア・カーボンレンガのリサイクル骨材は、75ミクロン以下の微粉が重量比で20パーセント以下であることを特徴とするタンディッシュコーティング材。
  5. 請求項1乃至4のうちのいずれか一つに記載のタンディッシュコーティング材において、
    前記有機ファイバーは、紙、おが屑、塩化ビニル、ポロプロピレン、又はそれらの組み合わせであることを特徴とするタンディッシュコーティング材。
  6. 請求項1乃至5のうちのいずれか一つに記載のタンディッシュコーティング材を用いてタンディッシュをコーティングすることを特徴とするコーティング方法。
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