JP6537286B2 - 金属鋳造用不定形耐火組成物及びその製造方法、金属鋳造用不定形耐火組成物の硬化物 - Google Patents

金属鋳造用不定形耐火組成物及びその製造方法、金属鋳造用不定形耐火組成物の硬化物 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム等の鋳造装置において、金属溶湯と直接接する部位に使用し得る金属鋳造用不定形耐火組成物及びその製造方法、金属鋳造用不定形耐火組成物の硬化物に関する。
アルミニウム等の非鉄金属の鋳造装置、例えば樋、溶湯保持炉、取鍋等において、溶湯と接触する内張材として、不定形耐火組成物を施工し乾燥又は焼成させた断熱壁が利用されている。また、内張材には不定形耐火組成物の他に耐火成形体が用いられており、不定形耐火組成物にて耐火成形体の目地部を埋め、断熱壁とする場合もある。
金属溶湯と直接接触する部位に使用される断熱壁は、使用時における金属溶湯との反応や金属溶湯の浸透によって表面に金属が貼り付いてしまい、この表面に貼り付いた金属を剥がそうとすると、断熱壁も一緒に剥がれて、損傷を引き起こすという技術課題が存在していた。
特許文献1には、金属溶湯の浸透や表面反応による金属の貼り付きが抑制された金属鋳造用不定形耐火組成物が記載されている。
特開2011−093726号公報
しかしながら、特許文献1に記載の金属鋳造用不定形耐火組成物は、乾燥又は焼成して得られる硬化物(断熱壁)の強度が弱いという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑み、施工性及び乾燥又は焼成時における金属溶湯の貼り付き耐性を担保できると共に、乾燥又は焼成時における強度を向上できる金属鋳造用不定形耐火組成物及びその硬化物を提供すること、前記金属鋳造用不定形耐火組成物を簡便に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、以下の金属鋳造用不定形耐火組成物及びその硬化物、金属鋳造用不定形耐火組成物の製造方法が提供される。
1.固形分中に、
無機繊維を15〜75質量%と、
コロイダルシリカをシリカ換算で21〜65質量%と、
フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム又はその前駆体、酸化マグネシウム又はその前駆体、酸化バリウム又はその前駆体及び硫酸バリウムから選ばれる1種以上であるイオン結合性物質を4〜40質量%と
を含む金属鋳造用不定形耐火組成物。
2.固形分中において前記無機繊維を20〜70質量%と、前記コロイダルシリカをシリカ換算で25〜55質量%と、前記イオン結合性物質を5〜30質量%とを含む1記載の金属鋳造用不定形耐火組成物。
3.ちょう度が100〜400(1/10mm)である1又は2記載の金属鋳造用不定形耐火組成物。
4.固形分で、
無機繊維15〜75質量%と、
コロイダルシリカをシリカ換算で21〜65質量%と、
フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム又はその前駆体、酸化マグネシウム又はその前駆体、酸化バリウム又はその前駆体及び硫酸バリウムから選ばれる1種以上であるイオン結合性物質4〜40質量%とを混合する金属鋳造用不定形耐火組成物の製造方法。
5.1〜3のいずれか記載の金属鋳造用不定形耐火組成物を硬化させた硬化物。
本発明によれば、施工性及び乾燥又は焼成時における金属溶湯の貼り付き耐性を担保できると共に、乾燥又は焼成時における強度を向上できる不定形耐火組成物及びその硬化物を提供することができる。また、前記不定形耐火組成物を簡便に製造する方法を提供することができる。
本発明の不定形耐火組成物は、固形分中に、無機繊維を15〜75質量%、コロイダルシリカをシリカ換算で21〜65質量%、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム又はその前駆体、酸化マグネシウム又はその前駆体、酸化バリウム又はその前駆体及び硫酸バリウムから選ばれる1種以上の結合性物質を4〜40質量%含む。
無機繊維は、得られる不定形耐火組成物の骨材としての機能を発揮するものであり、この機能を発揮するものであれば特に制限されないが、例えば、ガラス繊維、グラスウール、セラミックウール、ロックウール、アルミナ質繊維、ジルコニア質繊維、アルミノシリケート繊維、生体溶解性無機繊維等から選ばれる1種以上を挙げることができる。
本発明において、生体溶解性無機繊維とは、40℃における生理食塩水溶解率が1%以上である無機繊維を意味する。例えば、SiOとAlとZrOとTiOとの合計が50〜82質量%、CaOとMgOとの合計が18〜50質量%である無機繊維、SiO50〜82質量%、CaOとMgOとの合計が10〜43質量%である無機繊維、SiO0〜82質量%、CaO1〜9質量%、MgO10〜29質量%、Al3質量%未満である無機繊維、SiO70〜82質量%、CaO10〜29質量%、MgO1質量%以下、Al3質量%未満である無機繊維、SiO73.6質量%〜85.9質量%、MgO.0質量%〜21.3質量%、CaO5.1質量%〜12.4質量%、Al0質量%以上2.3質量%未満、Fe0質量%〜0.50質量%である無機繊維、SiO73.6質量%〜85.9質量%、MgO9.0質量%〜15.0質量%、CaO5.1質量%〜12.4質量%。、Al0質量%以上2.3質量%未満、Fe0質量%〜0.50質量%、SrO0.1質量%未満である無機繊維等を挙げることができる。
無機繊維の平均繊維径や平均繊維長は、特に制限されないが、平均繊維径は例えば1〜10μmであり、無機繊維の平均繊維長は、例えば1〜50mmである。
なお、本発明において、平均繊維径は、電子顕微鏡による観察画像にて、繊維200本の直径を測定したときの平均値を意味する。また、平均繊維長は、繊維200本の繊維長をノギスで測定したときの平均値を意味する。
本発明の不定形耐火組成物において、無機繊維は、固形分中、15〜75質量%含まれ、20〜70質量%含まれることが好ましく、25〜60質量%含まれることがより好ましい。
無機繊維の含有割合が15〜75質量%であることにより、乾燥速度が速く施工性に優れた不定形耐火組成物を提供することができ、さらに強度及び耐侵食性を有しつつ、保温性(断熱性)及び軽量性に優れた不定形耐火組成物の硬化物を提供することができる。
無機繊維は軽量で低密度であるといった性質を有することから、従来、不定形耐火組成物の構成材料として用いた場合、機械強度的に脆く、アルミニウム等の金属溶湯の侵食を受け易い不定形耐火組成物の硬化物しか得られないと考えられていた。しかしながら、イオン結合性物質及びコロイダルシリカとともに所定量の無機繊維を不定形耐火組成物の構成材料として用いることにより、強度及び耐侵食性を有しつつ、保温性(断熱性)に優れ、軽量化された不定形耐火組成物の硬化物を作製し得る。
本発明で用いるコロイダルシリカとしては、シリカ粒子又はその水和物が水中にコロイド状に分散された、メディアン径(D50)が0.1μm未満、90%積算径(D90)が0.2μm未満であるものが好ましく、メディアン径(D50)が0.01μm以上0.1μm未満、90%積算径(D90)が0.02μm以上0.2μm未満であるものがより好ましい。
コロイダルシリカは、不定形耐火組成物を乾燥又は焼成して得られる硬化物に十分な保形性及び強度を付与するものであり、硬化後に無機繊維同士を結着させる機能を発揮するとともに、金属溶湯への酸素供給源として、硬化物と金属溶湯が接触する界面で、金属溶湯の酸化膜(金属がアルミニウムの場合、酸化アルミニウム膜)形成機能を発揮する。コロイダルシリカのメディアン径(D50)が0.1μm未満、90%積算径(D90)が0.2μm未満であると、硬化後にシリカの表面積が大きくなって、還元力の高い金属溶湯とシリカの酸化還元反応が素早く進み易くなり、耐火物表面に酸化膜が迅速に形成され易くなる。一方、コロイダルシリカのメディアン径(D50)が0.1μm以上であったり、90%積算径(D90)が0.2μm以上であると、酸化膜が迅速に形成し難くなり、得られる硬化物表面に金属が貼り付き易くなる。
本発明において、メディアン径(D50)とは、粒度分布に対して、細かい方から積算で50%になる粒径を言い、90%積算径(D90)とは、粒度分布に対して、細かい方から積算で90%になる粒径を意味する。コロイダルシリカの粒径は、粒子から散乱した光強度分布から粒度分布(粒径)を算出するレーザ回析・散乱法により求めることができる。
本発明の不定形耐火組成物において、コロイダルシリカは、固形分中にシリカ換算で、21〜65質量%含まれ、25〜55質量%含まれることが好ましく、30〜50質量%含まれることがより好ましい。
コロイダルシリカは、シリカ粒子又はその水和物が水中に分散したコロイド状物であるが、本発明において、上記コロイダルシリカの含有割合は、不定形耐火組成物の固形分全体に占めるシリカ換算した質量割合を意味する。
コロイダルシリカの含有割合が、シリカ換算で21質量%未満であると、硬化後の強度が不十分である。また、65質量%を超えるとちょう度が高くなり、施工時にペースト状の組成物が垂れ、また、乾燥による目地等の施工物の収縮が大きくなる。
ところで、コロイダルシリカの含有割合がシリカ換算で21質量%以上であると製造効率が低下(具体的には、多量のコロイダルシリカを混合することによりコロイダルシリカとイオン結合性物質などの粉体が凝集しやすくなることによる分散不足)する可能性がある。そこで、本発明では、例えば、コロイダルシリカを混合する前に無機繊維とイオン結合性物質などの粉体を事前混合することにより、コロイダルシリカとイオン結合性物質などの粉体の凝集を起きにくくし、分散不足を解消することができる。
本発明の不定形耐火組成物は、イオン結合性物質として、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム又はその前駆体、酸化マグネシウム又はその前駆体、酸化バリウム又はその前駆体及び硫酸バリウムから選ばれる1種以上を含んでいる。イオン結合性物質としては、フッ化カルシウムが最もイオン結合性が強いため、好適である。
酸化カルシウムの前駆体としては、炭酸カルシウムが挙げられる。また、酸化マグネシウムの前駆体としては、炭酸マグネシウムが挙げられる。また、酸化バリウムの前駆体としては、炭酸バリウムが挙げられる。これらの前駆体は加熱により容易に分解するため、焼成後の硬化物中において、それぞれ、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリウムとして存在することになる。
イオン結合性物質は、接触する溶湯金属の酸化物、例えば、酸化アルミニウムと同等以上の強いイオン結合性を有しており、不定形耐火組成物の硬化物と金属溶湯が接触する界面で、金属溶湯の酸化膜を形成させる目的で使用される。イオン結合性物質は、イオン結合性が強いほど酸化膜形成効果が大きいため、混合物中の含有量が少量であっても充分な酸化膜形成効果を発現することができる。
イオン結合性物質は、粒径が小さいものが好ましく、具体的には、平均粒径0.15mm以下のものが好ましく、平均粒径0.10mm以下のものがより好ましく、平均粒径0.050mm以下のものがさらに好ましい。また、上記平均粒径は、0.001mm以上であることが好ましい。
粒径の小さなイオン結合性物質を使用した場合には、イオン結合性物質の比表面積を全体として大きくすることができるため、適度な剥離性を有する酸化膜を不定形耐火組成物の硬化物表面に迅速に形成することができる。
なお、本発明において、イオン結合性物質の平均粒径は、粒度分布計を用いてレーザ回折・散乱法により測定した値を意味する。
また、イオン結合性物質は純度90%以上のものを使用することが好ましく、純度99%以上のものを使用することがさらに好ましい。
本発明の組成物において、イオン結合性物質は、固形分中、4〜40質量%含まれ、5〜30質量%含まれることが好ましく、5〜25質量%含まれることがより好ましい。
イオン結合性物質の含有割合が、4質量%未満であると、不定形耐火組成物の硬化物と金属溶湯が接触する界面に金属溶湯の酸化膜を迅速に形成させ難くなる。また、40質量%を超えると、イオン結合性の強い材料は、一般に加熱による体積膨張が大きいため、耐熱衝撃性が低下して、熱衝撃により硬化物が割れ易くなる。本発明の組成物は、イオン結合性物質とコロイダルシリカとを特定の割合で含むことによって、得られる硬化物と金属溶湯が接触する界面に金属溶湯の酸化膜を迅速に形成することができる。
本発明の不定形耐火組成物は、好ましくは、無機繊維、コロイダルシリカ、イオン結合性物質を合わせて固形分の80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上又は95質量%以上含むようにしてもよい。
本発明の不定形耐火組成物は、任意成分として、充填材や骨材、被覆層形成剤、増粘剤、分散剤、防腐剤を含むことができる。
充填材や骨材としては、シリカ、アルミナ、シャモット、チタニア、ジルコニア、窒化珪素、炭化珪素、コージェライト、ワラストナイト等が挙げられる。
被覆層形成剤としては、リン酸塩、モリブデン化合物、亜鉛化合物等の無機化合物、ポリアミジン化合物、エチレンイミン化合物等の有機化合物が挙げられる。上記リン酸塩としては、トリポリリン酸アルミニウム、トリポリリン酸二水素アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム等が挙げられ、上記モリブデン化合物としては、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸アルミニウム等が挙げられ、上記亜鉛化合物としては酸化亜鉛が挙げられ、上記ポリアミジン化合物としては、アクリルアミド、アクリロニトリル、N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩、N−ビニルアクリルアミド、ビニルアミン塩酸塩、N−ビニルホルムアミド共重合体等が挙げられ、上記エチレンイミン化合物としては、アミノエチレン、ジメチレンイミン等が挙げられる。
本発明の不定形耐火組成物において、無機繊維として生体溶解性無機繊維を用いる場合、被覆層形成剤を配合することにより、生体溶解性無機繊維の表面に速やかに被覆層が形成されて、水等の液体媒体と接触による劣化を抑制することができる。
増粘剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、アクリル酸ナトリウム重合物等を挙げることができ、分散剤としては、カルボン酸類、多価アルコール、アミン類等を挙げることができ、防腐剤としては、窒素原子又は硫黄原子を有する無機化合物又は有機化合物を挙げることができる。
本発明の不定形耐火組成物において、不定形状は特に限定されない。不定形状は、例えば、所定の固形分(例えばシリカ粒子)を分散させてなる液体(例えばコロイダルシリカ)とその他固形分とを互いに混合してなるペースト状や、固形分に液体媒体を混合してなるペースト状として構成することができる。
ペースト状物を形成する液体媒体としては、特に制限されないが、水及び極性有機溶媒が挙げられ、極性有機溶媒としては、エタノール、プロパノール等の1価のアルコール類、エチレングリコール等の2価のアルコール類が挙げられる。これ等の液体媒体のうち、作業環境や環境負荷を考慮すると、水が好ましい。また、水としては特に制限されず、蒸留水、イオン交換水、水道水、地下水、工業用水等が挙げられる。
本発明の不定形耐火組成物のちょう度は好ましくは100〜400(1/10mm)であり、より好ましくは100〜350(1/10mm)である。
ちょう度が100(1/10mm)未満であると不定形耐火組成物の柔軟性が低下するので施工性が悪くなる。また、ちょう度が400(1/10mm)を超えると施工時にペースト状の組成物が垂れ、また、乾燥による目地等の施工物の収縮が大きくなる。
なお、不定形耐火組成物のちょう度は、不定形耐火組成物に含まれる固形分を除く溶媒量(例えばコロイダルシリカに含まれる水分量やその他液体媒体量)や無機繊維量によって調整・制御され得る。具体的には、前記溶媒量を増加又は無機繊維量を低下させるとちょう度は高くなる一方で、前記溶媒量を低下又は無機繊維量を増加させるとちょう度は低くなる。本発明では、不定形耐火組成物のちょう度を上記範囲(100〜400(1/10mm))にすべく、不定形耐火組成物の固形分を100質量部としたときの溶媒量が31〜97質量部、かつ、無機繊維量が75〜15質量%であるように構成することができる。また好ましくは、不定形耐火組成物のちょう度を100〜350(1/10mm)にすべく、不定形耐火組成物の固形分を100質量部としたときの溶媒量が31〜90質量部、かつ、無機繊維量が75〜25質量%であるように構成することができる。
本発明の不定形耐火組成物は、例えば、樋、溶湯保持炉、取鍋等の溶湯と接触する部材の内張材及び目地材として使用され、乾燥又は焼成することにより、任意形状を有する硬化物とすることができる。この硬化物は、イオン結合性の高いイオン結合性物質とシリカとを所定量含む材料からなるものであることから、還元力の高い金属溶湯と金属溶湯への酸素供給源であるシリカの酸化還元反応が素早く進み、硬化物表面に金属酸化膜を迅速に形成することができる。その結果、金属溶湯の浸透が生じる前に硬化物表面に金属酸化物が形成されるため、硬化物に対する金属の貼り付きを抑制し得るとともに、硬化物に対する金属溶湯の浸透が抑制され、更に金属酸化物自体、剥がれ易いものであるために、硬化物へ生じる損傷を抑制することができる。
次に、本発明の不定形耐火組成物を製造する方法について説明する。
本発明の不定形耐火組成物を製造する方法としては、上記無機繊維、コロイダルシリカ、イオン結合性物質等の構成材料を、上記の量で混合することにより製造することができる。
本発明の不定形耐火組成物の好ましい製造方法としては、無機繊維とイオン結合性物質、所望により充填材や骨材、被覆層形成剤を混合し、その後、コロイダルシリカを加え、さらに所望により増粘剤、防腐剤等他の配合成分を添加する方法が好ましい。
また、液体媒体を使用する場合は、液体媒体と被覆層形成剤の混合液に、無機繊維を添加し、その後、コロイダルシリカ、イオン結合性物質を加え、さらに所望により増粘剤、防腐剤等他の配合成分を添加する方法が好ましい。
上記構成材料の混合方法としては、ニーダーや加圧ニーダー等の混練装置で混練する方法を挙げることができる。
本発明の不定形耐火組成物を乾燥又は焼成することにより硬化物が得られる。この硬化物は、熱に曝されていてもよい。
なお、本発明の不定形耐火組成物及びその硬化物は、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム等の鋳造装置において金属溶湯と直接接する部位に使用し得るものであり、前記金属に特に限定はないが、例えばアルミニウム鋳造用や亜鉛鋳造用である。
次に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、コロイダルシリカの粒径及びフッ化カルシウムの平均粒径は、ナノ粒子径分布測定装置 SALD−7100(測定範囲;0.01〜300μm)(島津製作所製)を使用し、レーザ回折・散乱法により測定したものである。また、曲げ強度(MPa)はJIS R 2553に準じて測定したものであり、ちょう度はJIS K2220に準じて測定したものである。ただし、円錐が試料に進入しにくいことを考慮し、150gの錘を載せて測定したものである。
実施例1
表1に示すように、アルミノシリケート繊維(ニチアス(株)製、ファインフレックスバルクファイバー)40質量%、メディアン径(D50)が0.02μmで90%積算径(D90)が0.04μmのコロイダルシリカをシリカ換算で30質量%、フッ化カルシウム(平均粒径45μm)19質量%、アルミナ粉末10質量%、増粘剤1質量%からなる固形分100質量部に対し、水を15質量部加えて混練し、ペースト(不定形耐火組成物)を作製した。混練直後のちょう度は、250(1/10mm)であった。
得られたペーストを成形型へ充填し、100℃で24時間乾燥した後に脱型し、乾燥体(硬化物)を得た。乾燥体を加熱炉中で、空気雰囲気下、700℃で3時間焼成して焼成体(硬化物)を得た。この焼成体の嵩密度は0.9g/cmであり、曲げ強度は2.0MPaであった。
実施例2〜8、比較例1〜5
表1,2に示す原料を用いて、実施例1と同様にしてペースト(不定形耐火組成物)及びその乾燥体、焼成体を製造し、評価した。結果を表1,2に示す。
尚、実施例5〜8、比較例4,5の焼成体については、アルミ溶湯性を以下の方法で測定した。結果を表2に示す。
<アルミ溶湯浸漬試験(アルミ溶湯性)>
試験体をアルミニウム溶湯に浸漬させ、その後試験体を引き上げた後、アルミニウムが試験体に貼り付くか否かを評価した。
先ず、るつぼ状の電気炉内に、アルミニウムを投入した後、700℃で溶解させた。溶解したアルミニウムに、角柱状の試験体を浸漬させる。この時、試験体上面部はアルミニウム溶湯面から出すようにする。浸漬中、電気炉は700℃に保持し、浸漬開始24時間後に試験体を引き上げ、引き上げた試験体を室温で冷却し、目視確認することにより、次のとおり評価した。
アルミ溶湯浸漬試験において、試験体にアルミニウムの貼り付きが観察されない場合、「「○」(無し)」と評価し、試験体にアルミニウムの貼り付きが観察される場合、「「×」(全面貼り付き)」と評価した。
Figure 0006537286
Figure 0006537286
本発明の産業上の利用可能性の分野は、特に限定されない。本発明の不定形耐火組成物及びその硬化物は、例えば、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム等の非鉄金属の鋳造装置において、例えば樋、溶湯保持炉、取鍋等の溶湯と接触する部材を構築するための内張材および目地材として利用され得る。

Claims (5)

  1. 固形分中に、
    無機繊維を2050質量%と、
    コロイダルシリカをシリカ換算で21〜65質量%と、
    フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム又はその前駆体、酸化マグネシウム又はその前駆体、酸化バリウム又はその前駆体及び硫酸バリウムから選ばれる1種以上であるイオン結合性物質を4〜40質量%と
    を含む金属鋳造用不定形耐火組成物。
  2. 固形分中において前記無機繊維を20〜50質量%と、前記コロイダルシリカをシリカ換算で25〜55質量%と、前記イオン結合性物質を5〜30質量%とを含む請求項1記載の金属鋳造用不定形耐火組成物。
  3. ちょう度が100〜400(1/10mm)である請求項1又は2記載の金属鋳造用不定形耐火組成物。
  4. 固形分で、
    無機繊維2050質量%と、
    コロイダルシリカをシリカ換算で21〜65質量%と、
    フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム又はその前駆体、酸化マグネシウム又はその前駆体、酸化バリウム又はその前駆体及び硫酸バリウムから選ばれる1種以上であるイオン結合性物質4〜40質量%とを混合する金属鋳造用不定形耐火組成物の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか記載の金属鋳造用不定形耐火組成物を硬化させた硬化物。
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