JP5061446B2 - 含フッ素エラストマーラテックス、その製造方法、含フッ素エラストマーおよび含フッ素ゴム成形品 - Google Patents
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Description
これらの特許文献1、特許文献2の乳化剤によって、含フッ素ポリマー(樹脂)を製造する方法は知られているが、ポリマーのガラス転移点が室温以下、特に10℃以下であるようないわゆるエラストマーの製造法については知られていない。
また、一般に含フッ素ポリマーの乳化重合に用いられるパーフルオロオクタン酸塩乳化剤は、環境に影響を及ぼすことが懸念されており、これとは構造の異なる乳化剤を用いることも望まれている。
(式中、Aは水素原子、アルカリ金属またはNH4である)で表される含フッ素乳化剤を含有することを特徴とする含フッ素エラストマーラテックスを提供する。
ここで、前記含フッ素エラストマーが、四フッ化エチレン(40〜60モル%)/プロピレン(60〜40モル%)共重合体、四フッ化エチレン(20〜79モル%)/プロピレン(79〜20モル%)/フッ化ビニリデン(1〜50モル%)共重合体、四フッ化エチレン(20〜80モル%)/ヘキサフルオロプロピレン(80〜20モル%)共重合体、フッ化ビニリデン(50〜95モル%)/ヘキサフルオロプロピレン(5〜50モル%)共重合体、四フッ化エチレン(1〜35モル%)/フッ化ビニリデン(45〜90モル%)/ヘキサフルオロプロピレン(5〜50モル%)共重合体、四フッ化エチレン(40〜70モル%)/CF 2 =CFOCF 3 (60〜30モル%)共重合体、四フッ化エチレン(40〜70モル%)/CF 2 =CFOC 3 F 7 (60〜30モル%)共重合体、四フッ化エチレン(40〜70モル%)/CF 2 =C(OC 2 F 5 ) 2 (60〜30モル%)共重合体、四フッ化エチレン(70〜30モル%)/メチルビニルエーテル(30〜70モル%)共重合体、四フッ化エチレン(70〜30モル%)/エチルビニルエーテル(30〜70モル%)共重合体、四フッ化エチレン(70〜30モル%)/ノルマルブチルビニルエーテル(30〜70モル%)共重合体、四フッ化エチレン(60〜30モル%)/エチルビニルエーテル(1〜69モル%)/ノルマルブチルビニルエーテル(1〜69モル%)共重合体、フッ化ビニリデン(40〜70モル%)/CF 2 =CFOC 3 F 7 (60〜30モル%)共重合体、エチレン(40〜60モル%)/ヘキサフルオロプロピレン(60〜40モル%)共重合体、およびこれらの共重合体においてさらに架橋基含有モノマーが0.001〜10モル%共重合されている共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
本願明細書においては、上記含フッ素エラストマーラテックスの製造に用いるモノマーを括弧内の略号にて示す。
四フッ化エチレン(以下、TFEと記す)、フッ化ビニリデン(以下、VdFと記す)、ヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPと記す)、CF2=C(ORf)nF2−n(式中、Rfは炭素数1〜9のパーフルオロアルキル基または1個以上のエーテル結合を含むパーフルオロ(アルキルオキシアルキル)基であり、nは1または2であり、いずれの炭素鎖も直鎖状でも分岐を含んでも、また環状構造を有してもよい)で表されるパーフルオロ(アルキルまたはアルキルオキシアルキルビニルエーテル)(以下、PAVEと記す)、クロロトリフルオロエチレン(以下、CTFEと記す)、プロピレン(以下、Pと記す)、エチレン(以下、Eと記す)。
TFE/メチルビニルエーテル(以下、MVEと記す)共重合体、TFE/エチルビニルエーテル(以下、EVEと記す)共重合体、TFE/ノルマルブチルビニルエーテル(以下、BVEと記す)共重合体。
また、本発明は、一般式(1):C2F5OCF2CF2OCF2COOA(式中、Aは水素原子、アルカリ金属またはNH4である)で表される含フッ素乳化剤を0.001〜10.0質量%含有させた水性媒体中で含フッ素モノマーを乳化重合して含フッ素エラストマーラテックスを得ることを特徴とする含フッ素エラストマーラテックスの製造方法を提供する。
ここで、前記含フッ素エラストマーが、四フッ化エチレン(40〜60モル%)/プロピレン(60〜40モル%)共重合体、四フッ化エチレン(20〜79モル%)/プロピレン(79〜20モル%)/フッ化ビニリデン(1〜50モル%)共重合体、四フッ化エチレン(20〜80モル%)/ヘキサフルオロプロピレン(80〜20モル%)共重合体、フッ化ビニリデン(50〜95モル%)/ヘキサフルオロプロピレン(5〜50モル%)共重合体、四フッ化エチレン(1〜35モル%)/フッ化ビニリデン(45〜90モル%)/ヘキサフルオロプロピレン(5〜50モル%)共重合体、四フッ化エチレン(40〜70モル%)/CF 2 =CFOCF 3 (60〜30モル%)共重合体、四フッ化エチレン(40〜70モル%)/CF 2 =CFOC 3 F 7 (60〜30モル%)共重合体、四フッ化エチレン(40〜70モル%)/CF 2 =C(OC 2 F 5 ) 2 (60〜30モル%)共重合体、四フッ化エチレン(70〜30モル%)/メチルビニルエーテル(30〜70モル%)共重合体、四フッ化エチレン(70〜30モル%)/エチルビニルエーテル(30〜70モル%)共重合体、四フッ化エチレン(70〜30モル%)/ノルマルブチルビニルエーテル(30〜70モル%)共重合体、四フッ化エチレン(60〜30モル%)/エチルビニルエーテル(1〜69モル%)/ノルマルブチルビニルエーテル(1〜69モル%)共重合体、フッ化ビニリデン(40〜70モル%)/CF 2 =CFOC 3 F 7 (60〜30モル%)共重合体、エチレン(40〜60モル%)/ヘキサフルオロプロピレン(60〜40モル%)共重合体、およびこれらの共重合体においてさらに架橋基含有モノマーが0.001〜10モル%共重合されている共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
また、本発明は、上記含フッ素エラストマーラテックスの製造方法において、連鎖移動剤として、CnFmI2n+2−m(式中、nは1〜16整数であり、mは1以上(2n+1)以下の整数である)の存在下に含フッ素モノマーを乳化重合する含フッ素エラストマーラテックスの製造方法を提供する。
また、本発明は、上記含フッ素エラストマーラテックスを凝集して得られる含フッ素エラストマーを提供する。
また、本発明は、上記含フッ素エラストマーにおいて、JIS K6300に準じて、直径38.1mm、厚さ5.54mmの大ローターを用い、100℃で、予熱時間を1分、ローター回転時間を4分に設定して測定されたムーニー粘度が5〜200である含フッ素エラストマーを提供する。
また、本発明は上記含フッ素エラストマーを架橋してなる含フッ素ゴム成形品を提供する。
乳化重合に供する含フッ素モノマーとしては、TFE、VdF、HFP、PAVE、CTFEから選ばれる少なくとも1種の含フッ素モノマーが挙げられる。この含フッ素モノマーは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
該架橋基含有モノマーの好適な具体例としては、例えば、1−ブロモ−1,1,2,2−テトラフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル(以下、BrVEと記す)、1−ヨード−1,1,2,2−テトラフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル、クロトン酸ビニル、メタクリル酸ビニル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘプタフルオロ−4−ペンテンニトリルなどが挙げられる。架橋基含有モノマーは、1種または2種以上を使用できる。架橋基含有モノマーの共重合割合の好ましい範囲は、0.001〜5モル%であり、0.01〜3モル%が特に好ましい。
上記共重合体における各モノマーの重合単位のモル比は、特に制限なく、要求される特性に応じて適宜選定すればよい。例えば、TFE/P共重合体におけるTFEの重合単位/Pの重合単位のモル比は、40/60〜70/30が好ましく、50/50〜60/40がより好ましい。
また、TFE/PAVE共重合体におけるTFEの重合単位/PAVEの重合単位のモル比は、85/15〜25/75が好ましく、75/25〜40/60がより好ましい。
また、TFE(40〜60モル%)/P(60〜40モル%)共重合体においてさらに架橋基含有モノマーが0.001〜10モル%共重合されている共重合体とは、TFEとPの2成分の共重合割合を40〜60モル%:60〜40モル%にし、さらに、架橋基含有モノマーの共重合割合をモノマー3成分の合計量に対して0.001〜10モル%にした共重合体を意味しており、他の共重合体も同様の意味である。
本発明の含フッ素エラストマーは、ガラス転移点が20℃以下であることが好ましく、10℃以下であることがより好ましく、5℃以下であることが特に好ましい。
C2F5OCF2CF2OCF2COOA
(式中、Aは水素原子、アルカリ金属またはNH4である)で表される含フッ素乳化剤の1種または2種以上を含有することを特徴とする。
Aにおける前記アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等を例示することができる。Aとしては、特にNH4、ナトリウムがより好ましく、NH4が最も好ましい。
前記含フッ素乳化剤としては、次のものが例示できる。
Aがリチウムの場合は、C2F5OCF2CF2OCF2COOLiと示すことができる。
Aがカリウムの場合は、C2F5OCF2CF2OCF2COOKと示すことができる。
本発明における含フッ素乳化剤は、C2F5OCF2CF2OCF2COOA(式中、Aは水素原子、アルカリ金属またはNH4である)であり、とりわけC2F5OCF2CF2OCF2COONH4が特に好ましい。
水性媒体としては、イオン交換水、純水、超純水等の水などが挙げられる。水性媒体は、水溶性の有機溶剤を含んでもよい。有機溶剤としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エチレングリコール類、プロピレングリコール類などが挙げられる。有機溶剤の含有割合は、水の100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、3〜20質量部がより好ましい。なお、含フッ素乳化剤の含有割合の基準となる水の量には、重合開始剤などの他の添加剤の含有量は含まない。
重合開始剤は、乳化重合の最初から添加してもよいし、乳化重合の途中から添加してもよい。
重合開始剤の添加量は、重合に用いるモノマーに対し、0.0001〜3質量%が好ましく、0.001〜1質量%が特に好ましい。
また、レドックス系開始剤を用いる場合の、レドックス反応する金属イオンとしては複数のイオン価をもつ各種の金属を用いることができる。具体例としては、鉄、銅、マンガン、クロムなどの遷移金属が好ましく、特に鉄が好ましい。
レドックス系開始剤を用いる場合のレドックス反応試薬としては、還元性化合物を用いることが好ましい。還元性化合物としては、各種硫酸性硫黄含有化合物を用いることができ、特にロンガリット(化学式:CH2(OH)SO2Na・2H2O)が好ましい。還元性化合物は、重合中に適宜連続的に添加することが好ましく、添加の際に重合媒体のpHを乱さないために重合媒体と同じpHに調整しておくことが好ましい。
連鎖移動剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン等のクロロフルオロハイドロカーボン、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等のハイドロカーボン、CnFmI2n+2−m(式中、nは1〜16整数であり、mは1以上2n以下の整数である)、Rf3IBr(ここで、Rf3は炭素数1〜16の飽和ポリフルオロアルキレン基である。)等が挙げられる。
CnFmI2n+2−mとしては、Rf2I2(ここで、Rf2は炭素数1〜16の飽和ポリフルオロアルキレン基である。)が好ましく、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,6−ジヨードパーフルオロブタン、1,2,4−トリヨードパーフルオロブタンがより好ましい。また、Rf3IBrとしては、1−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブタンが好ましい。連鎖移動剤は、1種または2種以上を用いることができる。
本発明の含フッ素エラストマーラテックス製造のための乳化重合条件は、目的とする含フッ素エラストマーの種類や含フッ素モノマーの共重合比率、重合開始剤の分解温度などによって選択される。重合圧力は0MPaG以上20MPaG以下が好ましく、特に0.3MPaG以上10MPaG以下が好ましく、とりわけ0.3MPaG以上5MPaG以下が好ましい。
重合温度は0℃以上100℃以下が好ましく、特に10℃以上80℃以下が好ましい。
また、本発明の含フッ素エラストマーラテックスは、パーフルオロオクタン酸アンモニウム、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロオクタン酸リチウム、パーフルオロオクタン酸ナトリウム、パーフルオロオクタン酸カリウム、CpF2p+1O(CF2CF2O)qCF2COOA(式中、Aは水素原子、アルカリ金属またはNH4であり、pは3〜10の整数であり、qは0または1〜3の整数である)、Rf4−(OCH2CF2CF2)r−O−CHsFs−2CF2−Rf5−COOA(式中、Rf4は直鎖または分岐の炭素数1〜20の含フッ素アルキル基、または含フッ素アルキルオキシアルキル基であり、rは0または2〜3の整数であり、sは0、1または2であり、Rf5は炭素数1〜25の含フッ素アルキレン基であり、Aは水素原子、アルカリ金属またはNH4である)などの含フッ素乳化剤や、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどの炭化水素系乳化剤などの一般式(1)で表される含フッ素乳化剤以外の乳化剤を含有した水性媒体中で含フッ素モノマーを乳化重合して製造した含フッ素エラストマーラテックスに、一般式(1)で表される含フッ素乳化剤を添加して乳化剤を置換して製造することも好ましい。この製造方法において、一般式(1)で表される含フッ素乳化剤以外の乳化剤の水性媒体中の含有量は、含フッ素ポリマーに対して0.03〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましい。
本発明の含フッ素エラストマーラテックスにおいて、水性媒体に分散された含フッ素エラストマーの粒子径は、0.01〜10μmが好ましく、0.01〜5μmがより好ましく、0.05〜3μmが最も好ましい。この範囲にあると、含フッ素エラストマーの分散安定性に優れる。
含フッ素エラストマーラテックスにおいては、含フッ素エラストマーの含有割合は10〜60質量%が好ましく、15〜60質量%がより好ましく、15〜50質量%がさらに好ましい。
すなわち、本発明の含フッ素ポリマーラッテクスは、水性媒体、水性媒体中に分散された含フッ素エラストマーの10〜60質量%、該含フッ素ポリマーの質量を基準にして、一般式(1)で表される含フッ素乳化剤の0.03〜10質量%、を含有することが好ましい。また、水性媒体、水性媒体中に分散された含フッ素エラストマーの15〜60質量%、該含フッ素ポリマーを基準にして、一般式(1)で表される含フッ素乳化剤の0.05〜5質量%を含有することがより好ましい。さらに、水性媒体、水性媒体中に分散された含フッ素エラストマーの15〜50質量%、該含フッ素ポリマーを基準にして、一般式(1)で表される含フッ素乳化剤の0.05〜5質量%を含有することが最も好ましい。
凝集剤としては、含フッ素ポリマーラテックスの凝集に通常使用されているものであれば、いずれも使用でき、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムなどの水溶性塩、硝酸、塩酸、硫酸などの酸類、アルコール、アセトンなどの水溶性有機液体類などが挙げられる。凝集剤の添加量は、含フッ素エラストマーラテックス100質量部に対して、0.001〜20質量部が好ましく、0.01〜10質量部が特に好ましい。また、含フッ素エラストマーラテックスを凍結させて凝集させることもできる。
本発明の含フッ素エラストマーにおいて、該含フッ素エラストマー中の式(1)で表される含フッ素乳化剤の含有量は、1000質量ppm以下が好ましく、500質量ppm以下がより好ましく、300質量ppm以下が最も好ましい。この範囲にあると、架橋成形工程において、該含フッ素乳化剤の気化拡散がほとんどなく、環境・衛生性に優れる。また、気化した含フッ素乳化剤を回収する必要がなく好ましい。
本発明の含フッ素エラストマーは、JIS K6300に準じ、直径38.1mm、厚さ5.54mmの大ローターを用い、100℃で、予熱時間を1分、ローター回転時間を4分に設定して測定されたムーニー粘度が5〜200が好ましく、10〜200がより好ましい。ムーニー粘度は、含フッ素エラストマーの分子量の指標であり、ムーニー粘度が大きいと含フッ素エラストマーの分子量が大きいことを示す。この範囲にあると混練作業性に優れ、かつ架橋後のゴム物性に優れる。
本発明の含フッ素エラストマーは、架橋助剤を含有することが好ましい。架橋助剤を含有すると、生成したラジカルが架橋助剤と有効に反応し架橋効率が高くなる。架橋助剤としては、過酸化物ラジカル及び含フッ素エラストマーの分子鎖上に生成するラジカルに対して反応活性を有する化合物が挙げられる。
さらに、本発明の含フッ素エラストマーを架橋させる際には、着色させるための顔料、充填剤、補強剤などを配合してもよい。充填剤または補強剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、二酸化珪素、クレー、タルク、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、四フッ化エチレン/エチレン共重合体、四フッ化エチレン/フッ化ビニリデン共重合体などのフッ素樹脂などを例示できる。
成形は、架橋と同時に行ってもよいし、架橋の前後に行ってもよい。成形は、特に制限されるものではなく、例えば、加圧成形、圧縮成形、押出し成形、射出成形など種々の成形が挙げられる。
架橋反応は、150〜300℃で行なうことが好ましい。この範囲で架橋させるとゴム物性に優れる含フッ素ゴム成形品が得られる。架橋反応は、通常、比較的低温での一次架橋反応と、比較的高温での二次架橋反応の組合せて行なわれる。一次架橋反応温度は、通常150〜190℃が好ましい。二次架橋反応温度は、通常170〜300℃が好ましい。
[ポリマー中のパーフルオロ乳化剤残存量]
乾燥後の含フッ素エラストマーの10gをソクスレー抽出器を用いて、100℃で8時間エタノールを溶媒としてエタノール可溶分を抽出させる。得られた抽出液中のパーフルオロ乳化剤の濃度を液体クロマトグラフィ−マススペクトル法で定量し、洗浄後のポリマーへのパーフルオロ乳化剤の残存量を測定する。
JIS K6300に準じて、直径38.1mm、厚さ5.54mmの大ローターを用い、100℃で、予熱時間を1分、ローター回転時間を4分に設定して測定した。
[架橋ゴムの物性測定]
架橋含フッ素ゴムの引張強さ及び破断伸びはJIS K6251に準じ、厚さ2mmの架橋ゴムシートを3号ダンベルで打ち抜いて得た試料を用いて測定した。また、硬度はJIS K6253に準じて測定した。
撹拌翼を備えた内容積3200ccのステンレス鋼製耐圧容器に1500gのイオン交換水、40gのリン酸水素二ナトリウム12水和物、0.5gの水酸化ナトリウム、198gの第三級ブタノール、8gのC2F5OCF2CF2OCF2COONH4(以下、EEAという)、2.5gの過硫酸アンモニウムを加えた。さらに予め200gのイオン交換水に0.4gのEDTA(エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム塩・2水和物、以下同じ)および0.3gの硫酸第一鉄7水和物を溶解させた水溶液を投入した。これにTFEとPをTFE/Pのモル比が85/15かつ25℃における反応器内圧が2.5MPaGになるように圧入した。撹拌機を300rpmで回転させ、2.5質量%のロンガリット水溶液を添加し、重合反応を開始させた。
300℃で熱処理後の該TFE/P共重合体の100質量部、MTカーボンの30質量部、トリアリルイソシアヌレートの5質量部、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(化薬アクゾ社製パーカドックス14)の1質量部、ステアリン酸ナトリウムの1質量部を2本ロールで混練し、含フッ素エラストマー組成物を得た。該組成物を170℃で20分間プレス機を用いて1次架橋させ、続いて200℃、4時間オーブン内で2次架橋させることで厚さ2mmの架橋含フッ素ゴムシートを得た。架橋含フッ素ゴムの物性を表1に示す。
撹拌翼を備えた内容積2100ccのステンレス鋼製耐圧容器に1500gのイオン交換水、17gのEEA、300gのパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(以下、PPVEという)を仕込んだ。アンカー翼を用いて300rpmの速度で撹拌しながら、内温を60℃に昇温させた。内温が60℃になってからTFEを反応器内圧が1.0MPaGになるように圧入した。2.5質量%の過硫酸アンモニウム水溶液を5mL添加し、重合反応を開始させた。重合の進行に伴い、反応器内圧が0.01MPaG分降下した時点でTFEを圧入し、反応器内圧を1.01MPaGに昇圧させた。これを繰り返し、反応器内圧を0.99〜1.01MPaGになるようにTFEガスを逐次添加させ、重合反応を続けた。
得られたTFE/PPVE/BrVE共重合体の共重合体の組成は、TFEに基づく重合単位/PPVEに基づく重合単位/BrVEに基づく重合単位=54/44/2(モル比)であった。
EEAの残存量は80質量ppmであった。また、該共重合体のガラス転移温度は、0.5℃であった。ムーニー粘度は95であった。
該TFE/PPVE/BrVE共重合体の100質量部、MTカーボンの20質量部、トリアリルイソシアヌレートの5質量部、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(化薬アクゾ社製パーカドックス14)の1質量部、酸化マグネシウムの3質量部を2本ロールで混練し、含フッ素エラストマー組成物を得た。該組成物を170℃で20分間プレス機を用いて1次架橋させ、続いて200℃、4時間オーブン内で2次架橋させることで厚さ2mmの架橋含フッ素ゴムシートを得た。架橋含フッ素ゴムの物性を表1に示す。
撹拌翼を備えた内容積2100ccのステンレス鋼製耐圧容器に708gのイオン交換水、7.08gのEEA、リン酸水素ナトリウム12水和物の0.6g、1,4−ジヨードパーフルオロブタンの1.62g、50gのパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(以下、PMVEという)を仕込んだ。アンカー翼を用いて600rpmの速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。内温が80℃になってからTFEを反応器内圧が0.6MPaGになるように自圧で圧入した。0.5質量%の過硫酸アンモニウム水溶液を10mL添加し、重合反応を開始させた。重合の進行に伴い、反応器内圧が0.01MPaG分降下した時点でTFEを圧入し、反応器内圧を0.61MPaGに昇圧させた。これを繰り返し、反応器内圧を0.59〜0.61MPaGになるようにTFEガスを逐次添加させ、重合反応を続けた。
得られたTFE/PMVE共重合体の組成は、TFEに基づく重合単位/PMVEに基づく重合単位=68/32(モル比)であった。
該ヨウ素含有TFE/PMVE共重合体の100質量部とMTカーボンの20質量部、トリアリルイソシアヌレートの5質量部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂製パーヘキサ25B)の1質量部、o−フェニルフェノールの0.5質量部を2本ロールで混練し、含フッ素エラストマー組成物を得た。該組成物を170℃で20分間プレス機を用いて1次架橋させ、続いて250℃、4時間オーブン内で2次架橋させることで厚さ2mmの架橋含フッ素ゴムシートを得た。架橋含フッ素ゴムの物性を表1に示す。
撹拌翼を備えた内容積2100ccのステンレス鋼製耐圧容器にイオン交換水の840g、EEAの1.68gを仕込み、反応器内を窒素置換後、アンカー翼を用いて600rpmの速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。内温が80℃になってからあらかじめ調整しておいたVdF/HFP=65/35(モル比)の混合ガスを反応器内圧が0.75MPaGになるように仕込んだ。2.0質量%の過硫酸アンモニウム水溶液を10mL添加し、重合反応を開始させた。重合の進行に伴い、反応器内圧が0.01MPaG分降下した時点であらかじめ調整しておいたVdF/HFP=78/22(モル比)の混合ガスを自圧で圧入し、反応器内圧を0.76MPaGに昇圧させた。これを繰り返し、反応器内圧を0.74〜0.76MPaGになるようにVdF/HFP=78/22(モル比)混合ガスを逐次添加させ、重合反応を続けた。
該ラテックスの1500gを3質量%カリミョウバン水溶液に添加して、塩析によりラテックスを凝集させ、VdF/HFP共重合体を得た。該共重合体を濾過および超純水により洗浄した。洗浄回数は3回で、1回当たりの洗浄に用いた超純水は1200gであった。120℃で12時間乾燥させ、白色のVdF/HFP共重合体の49gを得た。
該VdF/HFP共重合体中のEEAの残存量は300質量ppmであった。また、該共重合体のガラス転移温度は、−20.5℃であった。ムーニー粘度は30であった。
該VdF/HFP共重合体の100質量部、MTカーボンの20質量部、トリアリルイソシアヌレートの4質量部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂製パーヘキサ25B)の1.5質量部を2本ロールで混練し、含フッ素エラストマー組成物を得た。該組成物を160℃で10分間プレス機を用いて1次架橋させ、続いて180℃、4時間オーブン内で2次架橋させることで厚さ2mmの架橋含フッ素ゴムシートを得た。物性を表1に示す。
撹拌用アンカー翼を備えた内容積3200mLのステンレス鋼製耐圧反応器を脱気した後、1600gのイオン交換水、40gのリン酸水素二ナトリウム12水和物、0.5gの水酸化ナトリウム、97gのtert−ブタノール、9gのEEA、2.5gの過硫酸アンモニウムを加えた。さらに予め200gのイオン交換水に0.4gのエチレンジアミン四酢酸2ナトリウム塩・2水和物(以下、EDTAという。)及び0.3gの硫酸第一鉄7水和物を溶解させた水溶液を投入した。ついで、40℃で、TFE/P=85/15(モル比)のモノマー混合ガスを、反応器内圧が2.50MPaGになるように圧入した。アンカー翼を300rpmで回転させ、水酸化ナトリウムでpHを10.0に調整したヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム2水和物(以下、ロンガリットともいう。)の2.5質量%水溶液(以下、ロンガリット2.5質量%水溶液という。)を添加し、重合反応を開始させた。以降、高圧ポンプを用いて、ロンガリット2.5質量%水溶液を連続的に添加した。
該TFE/P/VCR共重合体の100質量部、MTカーボンの30質量部、トリアリルイソシアヌレートの5質量部、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(化薬アクゾ社製パーカドックス14)の1質量部、酸化マグネシウムの1質量部を2本ロールで混練し、含フッ素エラストマー組成物を得た。該組成物を170℃で20分間プレス機を用いて1次架橋させ、続いて200℃、4時間オーブン内で2次架橋させることで厚さ2mmの架橋含フッ素ゴムシートを得た。架橋含フッ素ゴムの物性を表1に示す。
実施例1において、乳化剤としてパーフルオロオクタン酸アンモニウム(以下、APFOという)を用いた以外は同様の方法でTFE/P共重合体ラテックスを得た。該ラテックスを実施例1と同様の方法で凝集・洗浄・乾燥させ、786gのTFE/P共重合体を得た。共重合体のフッ素含有量は57.9質量%であり、これを元に計算したTFE/P共重合体の組成は、TFEに基づく重合単位/Pに基づく重合単位=55.8/44.2(モル比)であった。
APFO残存量は2300質量ppmであった。また、該共重合体のガラス転移温度は、−0.3℃であった。ムーニー粘度は178であった。実施例1と同様の方法で得た架橋含フッ素ゴムシートの物性を表1に示す。
実施例2において、EEAの代わりに乳化剤としてAPFOを用いた以外は同様の操作によって369gのTFE/PPVE/BrVE共重合体を得た。重合時間は約5.5時間であった。19F−NMRによる分析の結果、共重合体の組成は、TFEに基づく重合単位/PPVEに基づく重合単位/BrVEに基づく重合単位=59/39/2(モル比)であった。APFO残存量は1300ppmであった。また、該共重合体のガラス転移温度は、0.1℃であった。ムーニー粘度は90であった。実施例2と同様の方法で得た架橋含フッ素ゴムシートの物性を表1に示す。
実施例3において、EEAの代わりに乳化剤としてAPFOを用いた以外は同様の操作によって220gのヨウ素含有TFE/PMVE共重合体を得た。19F−NMRによる分析の結果、共重合体の組成は、TFEに基づく重合単位/PPVEに基づく重合単位=67/33(モル比)であった。APFO残存量は1200ppmであった。また、該共重合体のガラス転移温度は、−4.8℃であった。ムーニー粘度は23であった。実施例3と同様の方法で得た含フッ素架橋ゴムシートの物性を表1に示す。
実施例4において、EEAの代わりに乳化剤としてAPFOを用いた以外は同様の操作によって48gのVdF/HFP共重合体を得た。19F−NMRによる分析の結果、共重合体の組成は、VdFに基づく重合単位/HFPに基づく重合単位=77/23(モル比)であった。APFO残存量は3000ppmであった。また、該共重合体のガラス転移温度は、−20.0℃であった。ムーニー粘度は32であった。実施例4と同様の方法で得た架橋含フッ素ゴムシートの物性を表1に示す。
Claims (8)
- 一般式(1):C2F5OCF2CF2OCF2COOA(式中、Aは水素原子、アルカリ金属またはNH4である)で表される含フッ素乳化剤を含有することを特徴とする含フッ素エラストマーラテックス。
ここで、前記含フッ素エラストマーが、四フッ化エチレン(40〜60モル%)/プロピレン(60〜40モル%)共重合体、四フッ化エチレン(20〜79モル%)/プロピレン(79〜20モル%)/フッ化ビニリデン(1〜50モル%)共重合体、四フッ化エチレン(20〜80モル%)/ヘキサフルオロプロピレン(80〜20モル%)共重合体、フッ化ビニリデン(50〜95モル%)/ヘキサフルオロプロピレン(5〜50モル%)共重合体、四フッ化エチレン(1〜35モル%)/フッ化ビニリデン(45〜90モル%)/ヘキサフルオロプロピレン(5〜50モル%)共重合体、四フッ化エチレン(40〜70モル%)/CF 2 =CFOCF 3 (60〜30モル%)共重合体、四フッ化エチレン(40〜70モル%)/CF 2 =CFOC 3 F 7 (60〜30モル%)共重合体、四フッ化エチレン(40〜70モル%)/CF 2 =C(OC 2 F 5 ) 2 (60〜30モル%)共重合体、四フッ化エチレン(70〜30モル%)/メチルビニルエーテル(30〜70モル%)共重合体、四フッ化エチレン(70〜30モル%)/エチルビニルエーテル(30〜70モル%)共重合体、四フッ化エチレン(70〜30モル%)/ノルマルブチルビニルエーテル(30〜70モル%)共重合体、四フッ化エチレン(60〜30モル%)/エチルビニルエーテル(1〜69モル%)/ノルマルブチルビニルエーテル(1〜69モル%)共重合体、フッ化ビニリデン(40〜70モル%)/CF 2 =CFOC 3 F 7 (60〜30モル%)共重合体、エチレン(40〜60モル%)/ヘキサフルオロプロピレン(60〜40モル%)共重合体、およびこれらの共重合体においてさらに架橋基含有モノマーが0.001〜10モル%共重合されている共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である。 - 含フッ素乳化剤がC2F5OCF2CF2OCF2COOA(式中、AはNH4である)である請求項1に記載の含フッ素エラストマーラテックス。
- 一般式(1):C2F5OCF2CF2OCF2COOA(式中、Aは水素原子、アルカリ金属またはNH4である)で表される含フッ素乳化剤を0.001〜10.0質量%含有させた水性媒体中で含フッ素モノマーを乳化重合して含フッ素エラストマーラテックスを得ることを特徴とする含フッ素エラストマーラテックスの製造方法。
ここで、前記含フッ素エラストマーが、四フッ化エチレン(40〜60モル%)/プロピレン(60〜40モル%)共重合体、四フッ化エチレン(20〜79モル%)/プロピレン(79〜20モル%)/フッ化ビニリデン(1〜50モル%)共重合体、四フッ化エチレン(20〜80モル%)/ヘキサフルオロプロピレン(80〜20モル%)共重合体、フッ化ビニリデン(50〜95モル%)/ヘキサフルオロプロピレン(5〜50モル%)共重合体、四フッ化エチレン(1〜35モル%)/フッ化ビニリデン(45〜90モル%)/ヘキサフルオロプロピレン(5〜50モル%)共重合体、四フッ化エチレン(40〜70モル%)/CF 2 =CFOCF 3 (60〜30モル%)共重合体、四フッ化エチレン(40〜70モル%)/CF 2 =CFOC 3 F 7 (60〜30モル%)共重合体、四フッ化エチレン(40〜70モル%)/CF 2 =C(OC 2 F 5 ) 2 (60〜30モル%)共重合体、四フッ化エチレン(70〜30モル%)/メチルビニルエーテル(30〜70モル%)共重合体、四フッ化エチレン(70〜30モル%)/エチルビニルエーテル(30〜70モル%)共重合体、四フッ化エチレン(70〜30モル%)/ノルマルブチルビニルエーテル(30〜70モル%)共重合体、四フッ化エチレン(60〜30モル%)/エチルビニルエーテル(1〜69モル%)/ノルマルブチルビニルエーテル(1〜69モル%)共重合体、フッ化ビニリデン(40〜70モル%)/CF 2 =CFOC 3 F 7 (60〜30モル%)共重合体、エチレン(40〜60モル%)/ヘキサフルオロプロピレン(60〜40モル%)共重合体、およびこれらの共重合体においてさらに架橋基含有モノマーが0.001〜10モル%共重合されている共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である。 - 含フッ素乳化剤がC2F5OCF2CF2OCF2COOA(式中、AはNH4である)である請求項3に記載の含フッ素エラストマーラテックスの製造方法。
- 連鎖移動剤として、CnFmI2n+2−m(式中、nは1〜16整数であり、mは1以上(2n+1)以下の整数である)の存在下に含フッ素モノマーを乳化重合する請求項3または4に記載の含フッ素エラストマーラテックスの製造方法。
- 請求項1または2に記載の含フッ素エラストマーラテックスを凝集して得られる含フッ素エラストマー。
- JIS K6300に準じて、直径38.1mm、厚さ5.54mmの大ローターを用い、100℃で、予熱時間を1分、ローター回転時間を4分に設定して測定されたムーニー粘度が5〜200である請求項6に記載の含フッ素エラストマー。
- 請求項6または7に記載の含フッ素エラストマーを架橋してなる含フッ素ゴム成形品。
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