JP2023504273A - ペルフルオロスルホン酸アイオノマーの分散性粒子 - Google Patents
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Abstract
少なくとも0.1g/m2のBET表面積を有するPFSAアイオノマー粒子が記載される。PFSAアイオノマーは、(i)テトラフルオロエテン(TFE)から誘導され、かつ式-[CF2-CF2]-によって表される2価の単位と、(ii)式(I)によって表される2価の単位[式中、aは、0又は1を表し、bは、2~8の整数であり、cは、0~2の整数であり、eは、1~8の整数であり、Xは、OH基又は基OZ(式中、Oは、酸素アニオンであり、Zは、水素カチオン以外の対カチオンを表す)を表す]と、を含む。そのような粒子並びにそのような粒子を含有する分散液及び組成物を製造する方法も記載される。JPEG2023504273000010.jpg43116
Description
テトラフルオロエチレン(TFE)とスルホン酸ペンダント基を有するモノマーとのコポリマーは、電気セル及び燃料セル用の膜を製造するものとして知られている。典型的には、そのような膜は、最初にTFEとペンダントスルホニルフルオリド基を有するモノマー(「スルホニルフルオリドポリマー」又は「前駆体ポリマー」とも呼ばれる)とのコポリマーを生成し、続いて、スルホニル基を加水分解することによって調製される。次いで、得られたスルホネート基を、例えば、酸による処理によって、又はカチオン交換樹脂とのイオン交換によって、スルホン酸基に変換して、「PFSAアイオノマー」とも呼ばれるペルフルオロスルホン酸ポリマーを生成する。得られたPFSAアイオノマーを含有する組成物は、例えば国際公開第WO2004/062019(A1)号(Hamrockら)に記載されているように、膜を製造するために使用することができる。
溶液又は分散液としてではなく、乾燥形態でPFSAアイオノマーを提供する必要がある。乾燥PFSAアイオノマー粒子は、貯蔵時により安定し、それぞれの液体組成物よりも貯蔵中に取り扱いがより容易である。乾燥PFSAアイオノマー粒子を液体に再分散させて、例えば、電池及び電極用の膜、触媒インク、又はバインダー材料を製造するために使用することができる分散液を製造する。米国特許第10,189,927号(Inoら)では、スルホニルフルオリド前駆体ポリマーを水性塩基によって加水分解し、次いで塩酸で処理してペルフルオロスルホン酸ポリマーを提供し、得られた組成物を乾燥させた。膜を製造するために、混合物をオートクレーブ内の高圧及び高温に供することによって、乾燥組成物を、膜を製造するために加工する前に、液体中に再分散させた。しかしながら、乾燥PFSAアイオノマー組成物は、周囲条件で水又は水-溶媒混合物に再分散することが困難であり得るか、又はかなり粘性のある組成物のみが得られる場合があることが見出された。コーティング用途のために、例えば、電池及び電極用の触媒インク又はバインダー材料を製造するために、及び薄い膜を製造するために、低粘度の液体組成物は、典型的には粘性組成物よりも適用するのが容易である。しかしながら、粘性PFSAアイオノマー組成物を希釈することは、PFSAアイオノマー含有量を低減することになり、これは典型的には望ましくない。加工希釈組成物は、より多くの溶媒が除去され、リサイクルされ、又は廃棄される必要があるため、コストの増加につながる。
液体中に分散され、低粘度のPFSAアイオノマー分散液を形成することができる、PFSAアイオノマー粒子を調製することができることが明らかとなった。有利なことに、粒子は、広範囲の剪断速度にわたって実質的に一定の粘度を有する分散液を提供するように分散させることができ、例えば、1/秒の剪断速度で決定された分散液の粘度の、1000/秒の剪断速度で測定された分散液の粘度に対する比は、約0.9~1.20、好ましくは0.9~1.1である。そのような分散液は、広い加工ウィンドウで処理することができ、例えば、電極又は電池用の膜、触媒インク、又はバインダー材料を生成するために有用であり得る。
したがって、一態様では、PFSAアイオノマーを含む粒子であって、組成物は、少なくとも0.1g/m2のBET表面積を有し、PFSAアイオノマーは、(i)テトラフルオロエテン(TFE)から誘導され、かつ式-[CF2-CF2]-によって表される2価の単位と、(ii)式(I)によって表される2価の単位
[式中、aは、0又は1を表し、bは、2~8の整数であり、cは、0~2の整数であり、eは、1~8の整数であり、Xは、OH(ヒドロキシル)基又は基OZ(式中、Oは、酸素アニオンであり、Zは、水素カチオン以外の対カチオンを表す)を表す]
と、を含む、粒子が提供される。
と、を含む、粒子が提供される。
別の態様では、粒子を液体と組み合わせることによって得られる分散液が提供される。
更なる態様では、分散液を製造する方法であって、粒子を液体、好ましくは水を含む液体を、又は1個~5個のC原子を有する脂肪族アルコール、又はそれらの組み合わせと組み合わせることを含む、方法が提供される。
更に、組成物を製造する方法であって、水性PFSAアイオノマー組成物を、凍結乾燥、凍結造粒、噴霧乾燥、又はそれらの組み合わせから選択される乾燥工程を含むプロセスに供し、少なくとも0.1g/m2のBET表面積を有する粒子を含むPFSAアイオノマー組成物を提供することを含む、方法が提供される。
組成物の成分の量が重量パーセントで示される場合、(本明細書では「重量%」又は「%wt」若しくは「wt%」とも称される)重量パーセントは、組成物の総重量に基づいており、すなわち、特に明記しない限り、組成物の全ての成分の量は、100重量%をもたらすであろう。同様に、成分の量がモル%(又は「%mole」若しくは「mole%」)によって特定される場合、全成分の量は、別途明記しない限り、100モル%となる。
説明がDIN、ASTM、ISOなどの規格を参照している場合、及び規格が発行された年が示されていない場合は、2018年に発効となったバージョンを指すものとする。例えば、規格が失効しているという理由で2018年に施行されていたバージョンが既に存在しない場合は、2018年に最も近い日付で施行されたバージョンを指すものとする。
PFSAアイオノマー分散液
一態様では、本開示によって提供されるペルフルオロスルホン酸(PFSA)アイオノマー粒子は、液体中に分散されて、低剪断速度及び高剪断速度の両方で低粘度の液体分散液、例えば、400ミリパスカル*秒(mPa*s)未満、好ましくは150mPa*s未満、及び最も好ましくは100mPa*sの1/秒の剪断速度での粘度を有し、400mPa*s未満、好ましくは150mPa*s未満、及び最も好ましくは100mPa*sの1000/秒の剪断速度での粘度を有する分散液を生成することができる。いくつかの実施形態では、PFSAアイオノマー粒子は、液体中に分散されて、低粘度の分散液を生成することができ、粘度は、1/秒の剪断速度又は1000/秒の剪断速度で測定された場合、実質的に同じである。例えば、粒子は分散されて、1/秒の剪断速度及び1000/秒の剪断速度の両方で400mPa*s未満の粘度を有する、好ましくは1/秒の剪断速度及び1000/秒の剪断速度の両方で150mPa*s未満の粘度を有する、及び最も好ましくは1/秒及び1000/秒の剪断速度の両方で100mPa*s未満の粘度を有する分散液を提供することができる。いくつかの実施形態では、PFSAアイオノマー粒子は分散されて、約0.9~1.20、好ましくは約0.9~1.1の1/秒での粘度の1000/秒での粘度に対する計算された比を有する分散液を提供することができる。これは、広い加工ウィンドウを可能にする広範囲の剪断速度にわたって粘度が一定のままであることを意味する。
一態様では、本開示によって提供されるペルフルオロスルホン酸(PFSA)アイオノマー粒子は、液体中に分散されて、低剪断速度及び高剪断速度の両方で低粘度の液体分散液、例えば、400ミリパスカル*秒(mPa*s)未満、好ましくは150mPa*s未満、及び最も好ましくは100mPa*sの1/秒の剪断速度での粘度を有し、400mPa*s未満、好ましくは150mPa*s未満、及び最も好ましくは100mPa*sの1000/秒の剪断速度での粘度を有する分散液を生成することができる。いくつかの実施形態では、PFSAアイオノマー粒子は、液体中に分散されて、低粘度の分散液を生成することができ、粘度は、1/秒の剪断速度又は1000/秒の剪断速度で測定された場合、実質的に同じである。例えば、粒子は分散されて、1/秒の剪断速度及び1000/秒の剪断速度の両方で400mPa*s未満の粘度を有する、好ましくは1/秒の剪断速度及び1000/秒の剪断速度の両方で150mPa*s未満の粘度を有する、及び最も好ましくは1/秒及び1000/秒の剪断速度の両方で100mPa*s未満の粘度を有する分散液を提供することができる。いくつかの実施形態では、PFSAアイオノマー粒子は分散されて、約0.9~1.20、好ましくは約0.9~1.1の1/秒での粘度の1000/秒での粘度に対する計算された比を有する分散液を提供することができる。これは、広い加工ウィンドウを可能にする広範囲の剪断速度にわたって粘度が一定のままであることを意味する。
好ましくは、液体は、水、少なくとも1つのヒドロキシル官能価を有するプロトン性溶媒、好ましくは1個~5個の炭素原子を有するもの、及びそれらの組み合わせから選択される。プロトン性溶媒としては、C1~C5アルカノール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、tert-ブタノール、n-ブタノール、ペンタノール、及びアミルアルコールが挙げられる。好ましくは、プロトン性溶媒は、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、及びそれらの組み合わせから選択される。液体は、水と1つ以上のプロトン性溶媒との混合物を、好ましくは約100:1重量%~1:100重量%、好ましくは10:1重量%~1:10重量%の水対プロトン性溶媒の比で含み得る。液体はまた、水のみ、又はプロトン性溶媒のみ、又はいくつかのプロトン性溶媒の組み合わせであり得る。
本開示によるPFSA粒子の利点は、環境的に安全で取り扱いが容易である液体、例えば、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%、又は少なくとも80重量%、又は更には95重量%、又は更には100重量%の水を含有する上記のような液体中に、それらを少なくとも5重量%かつ例えば最大35重量%、又は例えば最大50重量%の濃度で分散させることができることである。本開示によるPFSAアイオノマー粒子は、PFSAアイオノマー組成物と液体とを室温及び周囲圧力で24時間以内で混合することにより、例えば、混合物を45rpm~65rpmに設定したローラー上で24時間撹拌することによって、上記の液体と組み合わせて、低粘度の液体分散液を生成することができる。
いくつかの実施形態では、PFSAアイオノマー粒子は、分散液の総重量に基づいて、少なくとも5、10、15、又は更には20重量パーセントの量で液体中に分散させることができる。いくつかの実施形態では、PFSAアイオノマー粒子は、分散液の総重量に基づいて、最大50重量パーセント、例えば最大40重量パーセントの量で液体中に分散させることができる。いくつかの実施形態では、分散液は、例えば、他の固体の高充填量で電極インク又は他の組成物を形成するために使用される場合、分散液の総重量に基づいて、5重量%~10重量%のPFSAアイオノマー粒子を含有する。いくつかの実施形態では、分散液は、分散液の総重量に基づいて、10重量%~50重量%、例えば、15重量%~40重量%、又は更には20重量%~30重量%のPFSAアイオノマー粒子を含有する。例えば、これらのより高い濃度は、膜を製造するために有用であり得る。
本開示によるPFSAアイオノマー粒子は、PFSAアイオノマーを含む水性組成物を、噴霧乾燥、凍結乾燥、凍結造粒、及びそれらの組み合わせから選択される乾燥工程を含む処理に供することによって得ることができる。好ましくは、乾燥は、凍結法、すなわち凍結乾燥又は凍結造粒によって行われる。より好ましくは、乾燥は、凍結造粒を使用することによって行われる。
噴霧乾燥は、当該技術分野において既知であり、高温ガスで急速に乾燥することによって、液体又はスラリーから乾燥粉末を生成する。好ましくは、噴霧乾燥は、220℃を下回る温度で行われる。噴霧乾燥機は、装置、典型的には噴霧器又は噴霧ノズルを使用して、液体又はスラリーを制御された液滴サイズ噴霧に分散させる。噴霧乾燥機は、市販されている。
凍結乾燥は、組成物を凍結し、圧力を低下させ、昇華によって凍結水を除去することを伴う既知の低温脱水プロセスである。凍結乾燥機は、市販されている。
凍結造粒は、別の低温脱水プロセスである。それは、例えば、噴霧を液体窒素に曝露することによって、液体又はスラリーを制御された液滴サイズ噴霧に分散させ、噴霧を凍結するために、装置、典型的には、噴霧器又は噴霧ノズル若しくはそれらの組み合わせを通して組成物をポンプ圧送することを伴う。凍結媒体が除去され(蒸発されて)、乾燥粉末を提供する。凍結造粒装置は、市販されている。
好ましくは、乾燥アイオノマー粒子の水分含量は、15重量%を下回るが、水分残留量は、PFSAアイオノマー粒子内に残存し得る。例えば、いくつかの実施形態では、粒子は、少なくとも1重量%、例えば少なくとも2重量%、少なくとも3、又は更には少なくとも4重量%の水分含有量を有し得る。
乾燥処理に供される水性アイオノマー組成物は、例えば、対応するスルホニルフルオリド前駆体ポリマーを、例えば、塩基(例えば、Li、Na、若しくはK塩基、又はそれらの組み合わせから選択されるアルカリ塩基)を含む水性組成物で加水分解し、それをスルホン酸形態に変換することによって(例えば、それを少なくとも1つのカチオン交換樹脂によるカチオン交換に供することによって)、得ることができる。いくつかの実施形態では、スルホニルフルオリド前駆体ポリマーは、加水分解前にカルボン酸末端基の量を低減させるために、好ましくは106個の炭素原子当たり150個を下回るカルボン酸末端基に低減させるために、フッ素化処理に供されている。いくつかの実施形態では、スルホニルフルオリドポリマーは、テトラフルオロエテン(TFE)を1つ以上のペルフルオロ化スルホニルフルオリドモノマーと重合することによって得られている。いくつかの実施形態では、スルホニルフルオリド前駆体ポリマーは、最大25℃、20℃、15℃、又は10℃のガラス転移温度(Tg)を有する。いくつかの実施形態では、スルホニルフルオリド前駆体ポリマーは、少なくとも1g/10分かつ最大100g/10分、好ましくは最大80g/10分、例えば、5g~55g/10分のメルトフローインデックス(MFI、例えば、265℃/5kg)を有する。
本開示によるPFSAアイオノマーは、典型的には、イオンクラスタが密接に会合している状態と、これらのクラスタ間の相互作用が弱まっている状態との間の熱転移を呈する。この転移はα転移として記載され、転移温度はT(α)又はTアルファである。いくつかの実施形態では、PFSAアイオノマー(遊離酸形態)は、70℃~150℃、例えば、限定されないが75℃~135℃のT(α)を有する。いくつかの実施形態では、PFSAアイオノマーは、75℃~125℃又は80℃~120℃の範囲のT(α)を有する。
好ましくは、本開示によるPFSAアイオノマーは、106個の炭素原子当たり最大150個のカルボン酸末端基、好ましくは最大100個、又は最大50個、例えば、106個の炭素原子当たり1個~45個又は10個~90個のカルボン酸末端基を有する。
本開示によるPFSAアイオノマーは、典型的には、最大2000の当量(EW、又は-SO3H当量)を有する。いくつかの実施形態では、コポリマーは、600~1400、好ましくは約650~約1200、及び最も好ましくは約700~約1000の範囲のEWを有する。
アイオノマー粒子は、軟質又は硬質であり得る。粒子は破砕性であり得る。粒子は、例えば、チャンク、塊、フレーク、顆粒の形態であり得る。好ましくは、粒子は球形又は実質的に球形である(すなわち、それらの形状は球体によって最も近似することができる)。粒子は、典型的には、2.0mm以下のサイズ(すなわち、D100は、2.0mm以下である)、又は1.0mm以下のサイズ(すなわち、D100は、1.0mm以下である)を有し得る。好ましくは、粒子の少なくとも90%(D90)は、2.0mm以下、又は好ましくは1.0mm以下の粒子径を有する。一実施形態では、粒子は、約5μm~500μm、又は約25μm~350μmの範囲の平均粒子径(D50)を有する。粒子径は、画像分析によって決定され得る。ふるい分けを用いて、特定の閾値を超えるか、又は下回る粒子を除外することができる。
本開示によるPFSAアイオノマー粒子は、高いBET表面積、すなわち、少なくとも0.1g/m2のBET表面積を有する。いくつかの実施形態では、アイオノマー粒子のBET表面積は、少なくとも0.3g/m2、例えば少なくとも0.5g/m2、又は更には少なくとも1.0g/m2である。いくつかの実施形態では、PFSAアイオノマー粒子は、0.3g/m2~10g/m2、例えば、0.5g/m2~10g/m2、又は更には1g/m2~9g/m2のBET表面積を有する。
本開示によるPFSAアイオノマー粒子は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも85重量%のPFSAアイオノマーを含有する。いくつかの実施形態では、PFSAアイオノマー組成物は、100重量%である組成物の総重量に基づいて、好ましくはPFSAアイオノマーの重量に基づいて、1重量%~15重量%、好ましくは3%~13%、及びより好ましくは3.9重量%~12重量%の水分含有量を有する。
本開示によるPFSAアイオノマーは、テトラフルオロエテン(TFE)と少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つのコモノマーとのコポリマーである。結果として、コポリマーは、TFEから誘導された単位を含有する。そのような単位は、式-[CF2-CF2]-によって表される2価の単位を含む。典型的には、本開示によるPFSAアイオノマーは、ポリマー(100モル%)に基づいて、少なくとも60モル%の式-[CF2-CF2]-によって表される2価の単位を含有する。いくつかの実施形態では、PFSAアイオノマーは、ポリマー(100%)に基づいて、少なくとも65、70、75、80、又は90モル%の、式-[CF2-CF2]-によって表される2価の単位を含む。
式(I)において、aは、0又は1を表し、bは、2~8の整数であり、cは、0~2の整数であり、eは、1~8の整数であり、XはOH(ヒドロキシル)基、すなわち、ペルフルオロスルホン酸基(-SO3H)で終端するペンディングアイオノマー側基を表すか、又はXは、基OZを表す(式中、Oは酸素アニオンを表し、Zは対カチオンを表し、すなわち、ペルフルオロスルホン酸塩基として終端する側基(-SO3Z)を表す)。Zは、好ましくは、アルカリ金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンを表す。四級アンモニウムカチオンは、水素及びアルキル基の任意の組み合わせで置換されていてもよく、いくつかの実施形態では、アルキル基は独立して1個~4個の炭素原子を有する。いくつかの好ましい実施形態では、Zは、アルカリ金属カチオン、好ましくはナトリウム又はリチウムカチオンである。しかしながら、好ましくは、XはOHを表す。
CeF2eは、直鎖若しくは分岐鎖であってもよく、好ましくは直鎖である。CbF2bは、直鎖若しくは分岐鎖であってもよく、好ましくは分岐鎖である。いくつかの実施形態では、bは2~6又は2~4の数である。好ましい実施形態では、aは0である。別の好ましい実施形態では、a及びcは両方とも0であり、eは、3~8、好ましくは3~6、より好ましくは3~4、及び最も好ましくは4である。典型的には、本開示によるPFSAアイオノマーは、ポリマー(100モル%)に基づいて、10モル%~40モル%式(I)によって表される2価の単位を含有する。いくつかの実施形態では、PFSAアイオノマーは、ポリマー(100モル%)の総単位に基づいて、15モル%~25モル%の式(I)によって表される単位を含む。
式(I)で表される2価の単位を有するアイオノマーは、最も便利には、対応するスルホニルフルオリド、例えば、式CF2=CF(CF2)a-(OCbF2b)c-O-(CeF2e)-SO2X’(式中、a、b、c、及びeは上記で定義した通りであり、X’はFである)によって表される化合物を共重合することによって、調製することができる。次いで、スルホニルフルオリドは、加水分解され、スルホン酸塩、すなわちCF2=CF(CF2)a-(OCbF2b)c-O-(CeF2e)-SO2X”によって表される化合物を生成する。X”はOZを表し、各Zは、上記のようなカチオン、好ましくはアルカリ金属カチオン又は四級アンモニウムカチオンである。四級アンモニウムカチオンは、水素及びアルキル基の任意の組み合わせで置換されていてもよく、いくつかの実施形態では、アルキル基は独立して1個~4個の炭素原子を有する。いくつかの好ましい実施形態では、Zは、アルカリ金属カチオン、好ましくはナトリウム又はリチウムカチオンである。
好ましいスルホニルフルオリドモノマーとしては、CF2=CF-O-(CF2)e-SO2F(e=1~8)、CF2-CF-O-CF2CF(CF3)O(CF2)e-SO2F(a=1~8)、CF2=CF[OCF2CF(CF3)]c-SO2F(c=1~5)が挙げられる。特定の例としては、CF2=CFOCF2CF2SO2F、CF2=CFOCF2CF2CF2CF2SO2F、CF2=CFOCF2CF2CF2SO2F、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2F、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2SO2F、CF2=CFOCF2CF(CF3)SO2F、CF2=CF-CF2-O-CF2CF2-SO2Fが挙げられる。より好ましいスルホニルフルオリドモノマーとしては、CF2=CFOCF2CF2SO2F、CF2=CFOCF2CF2CF2CF2SO2F、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2Fが挙げられる。最も好ましいのは、CF2=CFOCF2CF2CF2CF2SO2Fである。
式(II)において、m’は0又は1であり、Rf1は、(エーテル)酸素原子によって1回以上中断され得る1個~12個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐鎖ペルフルオロアルキル基であり、この場合Rf1は、ペルフルオロアルコキシアルキル基である。典型的には、本開示によるPFSAアイオノマーは、ポリマー(100モル%)に基づいて、0モル%~15モル%の式(II)によって表される単位を含有する。いくつかの実施形態では、PFSAアイオノマーは、3モル%~15モル%、好ましくは5モル%~10モル%の式(II)によって表される単位を含む。
式(II)によって表される2価の単位を有するアイオノマーは、CF2=CF-(CF2)m’-O-Rf1(式中、m’及びRf1は、上述したものと同じである)によって表されるモノマーを共重合することによって最も好都合に調製され得る。例えば、m’が0である場合、式(II)によって表される単位は、ペルフルオロアルキル又はペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルコモノマーから誘導される。例えば、CF2=CF-O-C3F7(PPVE-1)をコモノマーとして使用すると、m’が0であり、Rf1がC3F7である式(II)による単位をもたらすであろう。
m’が1である場合、単位は、ペルフルオロアルキル又はペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテルコモノマーから誘導される。例えば、CF2=CF-CF2-O-C3F7(PPAE-1)をコモノマーとして使用すると、m’が1であり、Rf1がC3F7である式(II)による単位をもたらすであろう。
好適なペルフルオロアルキルビニルエーテル及びペルフルオロアルキルアリルエーテルの例としては、Rf1がメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルである式CF2=CFORf1及びCF2=CFCF2ORf1による化合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、Rf1は直鎖である。
好適なペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルの例としては、CF2=CFOCF2OCF3、CF2=CFOCF2OCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2CF2OCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2CF2CF2OCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2(OCF2)3OCF3、CF2=CFOCF2CF2(OCF2)4OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2OCF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2CF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2OCF2CF2CF3、CF2=CFOCF2CF(CF3)-O-C3F7(PPVE-2)、CF2=CF(OCF2CF(CF3))2-O-C3F7(PPVE-3)、及びCF2=CF(OCF2CF(CF3))3-O-C3F7(PPVE-4)が挙げられるがこれらに限定されない。そのようなビニルエーテルは、米国特許第6,255,536号(Wormら)、及び同第6,294,627号(Wormら)に記載されている方法、又は当該技術分野に既知の他の方法に従って調製することができ、これらのエーテルのいくつかは市販されている。また、対応するアリルエーテルも有用である。そのようなアリルエーテルは、例えば、米国特許第4,349,650号(Krespan)に記載されている方法、又は当該技術分野において既知の他の方法に従って調製することができる。これらのエーテルのいくつかも市販されている。
式(II)による単位をもたらす好適なコモノマーの特定の例としては、
(i)CF2=CF-O-CF3(PMVE)、CF2=CF-O-CF2CF3(PEVE)、CF2=CF-O-CF2CF2CF3(PPVE-1)、CF2=CF-O-CF(CF3)CF3を含むペルフルオロアルキルビニルエーテル;
(ii)F2C=CF-CF2-O-CF3(MA1)、F2C=CF-CF2-O-CF2CF3(MA2)、F2C=CF-CF2-O-CF2CF2CF3(MA3)、F2C=CF-CF2-O-CF2CF2CF2CF3(MA4)を含むペルフルオロアルキルアリルエーテル;
(iii)CF2=CF-(O-CF2-CF(CF3))-O-CF2CF2CF3(PPVE-2)、CF2=CF-(O-CF2-CF(CF3))2-O-CF2CF2CF3(PPVE-3)、CF2=CF(OCF2CF(CF3))3-O-C3F7(PPVE-4)、CF2=CF-O-(CF2)3-OCF3(MV31)、CF2=CF-O-(CF2)2-OCF3(MV21)、CF2=CF-O-(CF2)4-OCF3(MV41)、CF2=CF-O-CF2-OCF3(MV11)を含むペルフルアルコキシアルキルビニルエーテル;
(iv)F2C=CF-CF2-O-(CF2)3-O-CF3(MA31)、F2C=CF-CF2-O-CF2)2-O-CF3(MA21)、F2C=CF-CF2-O-CF2-O-CF3(MA11)、F2C=CF-CF2-O-(CF2)4-O-CF3(MA41)を含むペルフルアルコキシアルキルアリルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
(i)CF2=CF-O-CF3(PMVE)、CF2=CF-O-CF2CF3(PEVE)、CF2=CF-O-CF2CF2CF3(PPVE-1)、CF2=CF-O-CF(CF3)CF3を含むペルフルオロアルキルビニルエーテル;
(ii)F2C=CF-CF2-O-CF3(MA1)、F2C=CF-CF2-O-CF2CF3(MA2)、F2C=CF-CF2-O-CF2CF2CF3(MA3)、F2C=CF-CF2-O-CF2CF2CF2CF3(MA4)を含むペルフルオロアルキルアリルエーテル;
(iii)CF2=CF-(O-CF2-CF(CF3))-O-CF2CF2CF3(PPVE-2)、CF2=CF-(O-CF2-CF(CF3))2-O-CF2CF2CF3(PPVE-3)、CF2=CF(OCF2CF(CF3))3-O-C3F7(PPVE-4)、CF2=CF-O-(CF2)3-OCF3(MV31)、CF2=CF-O-(CF2)2-OCF3(MV21)、CF2=CF-O-(CF2)4-OCF3(MV41)、CF2=CF-O-CF2-OCF3(MV11)を含むペルフルアルコキシアルキルビニルエーテル;
(iv)F2C=CF-CF2-O-(CF2)3-O-CF3(MA31)、F2C=CF-CF2-O-CF2)2-O-CF3(MA21)、F2C=CF-CF2-O-CF2-O-CF3(MA11)、F2C=CF-CF2-O-(CF2)4-O-CF3(MA41)を含むペルフルアルコキシアルキルアリルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
特定の例には、各群(i)、(ii)、(iii)、及び(iv)内のモノマーのうちの1つ以上の組み合わせも含まれる。特定の例には、(i)と(ii)、(i)と(iii)、(i)と(iv)、(ii)と(iii)、(ii)と(iv)、及び(iii)と(iv)のうちの1つ以上の組み合わせも含まれる。
他の任意選択のコモノマー
必須ということではなくあまり好ましくないが、本開示によるPFSAアイオノマーはまた、式(II)による単位を提供する上記の任意のコモノマーに加えて、又はそれに代えて、他の任意のコモノマーから誘導された単位を含んでもよい。そのような他の任意選択のコモノマーとしては、例えば、フッ素化オレフィン、非フッ素化オレフィン、及び調整剤、並びに架橋剤、典型的にはビスオレフィンが挙げられる。典型的には、本開示によるアイオノマーは、アイオノマーの総重量に基づいて、20重量%未満、好ましくは5重量%未満、及びより好ましくは0重量%の任意のコモノマーから誘導された単位を含有する。
必須ということではなくあまり好ましくないが、本開示によるPFSAアイオノマーはまた、式(II)による単位を提供する上記の任意のコモノマーに加えて、又はそれに代えて、他の任意のコモノマーから誘導された単位を含んでもよい。そのような他の任意選択のコモノマーとしては、例えば、フッ素化オレフィン、非フッ素化オレフィン、及び調整剤、並びに架橋剤、典型的にはビスオレフィンが挙げられる。典型的には、本開示によるアイオノマーは、アイオノマーの総重量に基づいて、20重量%未満、好ましくは5重量%未満、及びより好ましくは0重量%の任意のコモノマーから誘導された単位を含有する。
フッ素化オレフィン
いくつかの、あまり好ましくない実施形態では、本開示によるPFSAアイオノマーは、独立して、式C(R)2=CF-Rf2によって表される少なくとも1つの他のフッ素化オレフィンから誘導された2価の単位を含有する。これらのフッ素化された2価の単位は、式-[CR2-CFRf2]-で表される。式C(R)2=CF-Rf2及び-[CR2-CFRf2]-において、Rf2はフッ素、又は1個~8個の、いくつかの実施形態では1個~3個の炭素原子を有するペルフルオロアルキルであり、各Rは独立して、水素、フッ素又は塩素である。重合の構成成分として有用なフッ素化オレフィンのいくつかの例としては、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフルオロクロロエチレン(trifluorochloroethylene、CTFE)、並びに部分フッ素化オレフィン(例えば、フッ化ビニリデン(vinylidene fluoride、VDF)、テトラフルオロプロピレン(R1234yf)、ペンタフルオロプロピレン、及びトリフルオロエチレン)が挙げられる。しかしながら、好ましくは、本開示によるPFSAアイオノマーは、任意の他のフッ素化オレフィンから誘導されたいかなる単位も含有しない。
いくつかの、あまり好ましくない実施形態では、本開示によるPFSAアイオノマーは、独立して、式C(R)2=CF-Rf2によって表される少なくとも1つの他のフッ素化オレフィンから誘導された2価の単位を含有する。これらのフッ素化された2価の単位は、式-[CR2-CFRf2]-で表される。式C(R)2=CF-Rf2及び-[CR2-CFRf2]-において、Rf2はフッ素、又は1個~8個の、いくつかの実施形態では1個~3個の炭素原子を有するペルフルオロアルキルであり、各Rは独立して、水素、フッ素又は塩素である。重合の構成成分として有用なフッ素化オレフィンのいくつかの例としては、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフルオロクロロエチレン(trifluorochloroethylene、CTFE)、並びに部分フッ素化オレフィン(例えば、フッ化ビニリデン(vinylidene fluoride、VDF)、テトラフルオロプロピレン(R1234yf)、ペンタフルオロプロピレン、及びトリフルオロエチレン)が挙げられる。しかしながら、好ましくは、本開示によるPFSAアイオノマーは、任意の他のフッ素化オレフィンから誘導されたいかなる単位も含有しない。
ビスオレフィン
本開示のPFSAアイオノマーはまた、式X2C=CY-(CW2)m-(O)n-RF-(O)o-(CW2)p-CY=CX2によって表される1つ以上のビスオレフィンから誘導された単位を含み得る。この式において、X、Y、及びWの各々は独立して、フルオロ、水素、アルキル、アルコキシ、ポリオキシアルキル、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルコキシ、又はペルフルオロポリオキシアルキルであり、m及びpは独立して0~15の整数であり、n、oは独立して0又は1である。いくつかの実施形態では、X、Y、及びWは各々独立して、フルオロ、CF3、C2F5、C3F7、C4F9、水素、CH3、C2H5、C3H7、C4H9である。いくつかの実施形態では、X、Y、及びWは各々フルオロである(例えば、CF2=CF-O-RF-O-CF=CF2、及びCF2=CF-CF2-O-RF-O-CF2-CF=CF2の場合)。いくつかの実施形態では、n及びoは1であり、ビスオレフィンは、ジビニルエーテル、ジアリルエーテル、又はビニル-アリルエーテルである。RFは、直鎖又は分枝鎖の、ペルフルオロアルキレン若しくはペルフルオロポリオキシアルキレン、又はフッ素化されていなくてもフッ素化されていてもよいアリーレンを表す。いくつかの実施形態では、RFは、1個~12個、2個~10個、又は3個~8個の炭素原子を有するペルフルオロアルキレンである。アリーレンは、5個~14個、5個~12個、又は6個~10個の炭素原子を有してもよく、非置換であっても、フルオロ以外の1つ以上のハロゲン、ペルフルオロアルキル(例えば、-CF3及び-CF2CF3)、ペルフルオロアルコキシ(例えば、-O-CF3、-OCF2CF3)、ペルフルオロポリオキシアルキル(例えば、-OCF2OCF3、-CF2OCF2OCF3)、フッ素化、ペルフルオロ化又は非フッ素化フェニル又はフェノキシで置換されていてもよく、フェニル又はフェノキシは、1つ以上のペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルコキシ、ペルフルオロポリオキシアルキル基、フルオロ以外の1つ以上のハロゲン又はこれらの組み合わせで置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、RFは、エーテル基がオルト、パラ又はメタ位に結合した、フェニレン又はモノ、ジ、トリ若しくはテトラフルオロフェニレンである。いくつかの実施形態では、RFは、CF2、(CF2)q(式中、qは2、3、4、5、6、7、又は8である)、CF2-O-CF2、CF2-O-CF2-CF2、CF(CF3)CF2、(CF2)2-O-CF(CF3)-CF2、CF(CF3)-CF2-O-CF(CF3)CF2、又は(CF2)2-O-CF(CF3)-CF2-O-CF(CF3)-CF2-O-CF2である。
本開示のPFSAアイオノマーはまた、式X2C=CY-(CW2)m-(O)n-RF-(O)o-(CW2)p-CY=CX2によって表される1つ以上のビスオレフィンから誘導された単位を含み得る。この式において、X、Y、及びWの各々は独立して、フルオロ、水素、アルキル、アルコキシ、ポリオキシアルキル、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルコキシ、又はペルフルオロポリオキシアルキルであり、m及びpは独立して0~15の整数であり、n、oは独立して0又は1である。いくつかの実施形態では、X、Y、及びWは各々独立して、フルオロ、CF3、C2F5、C3F7、C4F9、水素、CH3、C2H5、C3H7、C4H9である。いくつかの実施形態では、X、Y、及びWは各々フルオロである(例えば、CF2=CF-O-RF-O-CF=CF2、及びCF2=CF-CF2-O-RF-O-CF2-CF=CF2の場合)。いくつかの実施形態では、n及びoは1であり、ビスオレフィンは、ジビニルエーテル、ジアリルエーテル、又はビニル-アリルエーテルである。RFは、直鎖又は分枝鎖の、ペルフルオロアルキレン若しくはペルフルオロポリオキシアルキレン、又はフッ素化されていなくてもフッ素化されていてもよいアリーレンを表す。いくつかの実施形態では、RFは、1個~12個、2個~10個、又は3個~8個の炭素原子を有するペルフルオロアルキレンである。アリーレンは、5個~14個、5個~12個、又は6個~10個の炭素原子を有してもよく、非置換であっても、フルオロ以外の1つ以上のハロゲン、ペルフルオロアルキル(例えば、-CF3及び-CF2CF3)、ペルフルオロアルコキシ(例えば、-O-CF3、-OCF2CF3)、ペルフルオロポリオキシアルキル(例えば、-OCF2OCF3、-CF2OCF2OCF3)、フッ素化、ペルフルオロ化又は非フッ素化フェニル又はフェノキシで置換されていてもよく、フェニル又はフェノキシは、1つ以上のペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルコキシ、ペルフルオロポリオキシアルキル基、フルオロ以外の1つ以上のハロゲン又はこれらの組み合わせで置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、RFは、エーテル基がオルト、パラ又はメタ位に結合した、フェニレン又はモノ、ジ、トリ若しくはテトラフルオロフェニレンである。いくつかの実施形態では、RFは、CF2、(CF2)q(式中、qは2、3、4、5、6、7、又は8である)、CF2-O-CF2、CF2-O-CF2-CF2、CF(CF3)CF2、(CF2)2-O-CF(CF3)-CF2、CF(CF3)-CF2-O-CF(CF3)CF2、又は(CF2)2-O-CF(CF3)-CF2-O-CF(CF3)-CF2-O-CF2である。
例えば、2重量%未満、好ましくは1重量%未満の低量で使用される場合、ビスオレフィンは、米国特許出願公開第2010/0311906号(Lavalleeら)に記載されるような、長い分枝鎖を導入することができる。より大量で使用される場合、ビスオレフィンは、アイオノマーを架橋することができる。それらの実施形態のいずれかにおいて上述されたビスオレフィンは、任意の有用な量で重合される成分中に存在し得る。好ましい実施形態では、アイオノマーは、ビスオレフィンから誘導されたいかなる単位も含有しないか、又はそのような単位を約0重量%~約5重量%の量で含有する。
本開示によるPSFAアイオノマーは、好ましくは架橋されていない。
非フッ素化コモノマー
本開示のPFSAアイオノマーはまた、非フッ素化モノマーから誘導された単位を含むことができる。好適な非フッ素化モノマーの例としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、エチルビニルエーテル、安息香酸ビニル、エチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル、ノルボルナジエン、クロトン酸、クロトン酸アルキル、アクリル酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル、及びハイドロキシブチルビニルエーテルが挙げられる。これらの非フッ素化モノマーの任意の組み合わせが有用であり得る。いくつかの実施形態では、重合させる構成成分は、アクリル酸又はメタクリル酸を更に含み、本開示のコポリマーは、アクリル酸又はメタクリル酸から誘導された単位を含む。好ましくは、本開示によるPFSAアイオノマーは、非フッ素化コモノマーから誘導された単位を含有しないか、又は(100重量%であるアイオノマーの総重量に基づいて)0重量%~10重量%の量で非フッ素化コモノマーから誘導された単位を含有する。
本開示のPFSAアイオノマーはまた、非フッ素化モノマーから誘導された単位を含むことができる。好適な非フッ素化モノマーの例としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、エチルビニルエーテル、安息香酸ビニル、エチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル、ノルボルナジエン、クロトン酸、クロトン酸アルキル、アクリル酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル、及びハイドロキシブチルビニルエーテルが挙げられる。これらの非フッ素化モノマーの任意の組み合わせが有用であり得る。いくつかの実施形態では、重合させる構成成分は、アクリル酸又はメタクリル酸を更に含み、本開示のコポリマーは、アクリル酸又はメタクリル酸から誘導された単位を含む。好ましくは、本開示によるPFSAアイオノマーは、非フッ素化コモノマーから誘導された単位を含有しないか、又は(100重量%であるアイオノマーの総重量に基づいて)0重量%~10重量%の量で非フッ素化コモノマーから誘導された単位を含有する。
典型的なPFSAアイオノマー
本開示によるPFSAアイオノマーの好ましい実施形態は、少なくとも60モル%、好ましくは65モル%~90モル%のTFEから誘導された単位、すなわち、式-[CF2-CF2]-によって表される単位、及び10モル%~40モル%、好ましくは15モル%~25モル%の式(I)によって表される単位を含有する。本開示によるPFSAアイオノマーは、0モル%~15モル%、好ましくは5モル%~10モル%の式(II)によって表される単位と、0モル%~30モル%の上記の他の任意のコモノマーを含む他のコモノマーから誘導された単位とを含有し得る。
本開示によるPFSAアイオノマーの好ましい実施形態は、少なくとも60モル%、好ましくは65モル%~90モル%のTFEから誘導された単位、すなわち、式-[CF2-CF2]-によって表される単位、及び10モル%~40モル%、好ましくは15モル%~25モル%の式(I)によって表される単位を含有する。本開示によるPFSAアイオノマーは、0モル%~15モル%、好ましくは5モル%~10モル%の式(II)によって表される単位と、0モル%~30モル%の上記の他の任意のコモノマーを含む他のコモノマーから誘導された単位とを含有し得る。
本開示によるPFSAアイオノマーは、5重量%~50重量%、例えば、10重量%~40重量%の式(I)による単位を含有し得る。本開示によるPFSAアイオノマーは、30重量%~95重量%、例えば、45重量%~90重量%の式-[CF2-CF2]-によって表される単位と、式(II)で表される単位とを含有し得る。好ましくは、本開示によるPFSAアイオノマーは、30重量%~95重量%、例えば、45重量%~90重量%の、式-[CF2-CF2]-によって表される単位と、式(II)によって表される単位とを含有することができ、式-[CF2-CF2]-によって表される単位の、式(II)による単位に対するモル比は、90:1~4:1である。ポリマーの総重量が、100重量%である。
好ましくは、PFSAアイオノマーはペルフルオロ化されており、これは、ペルフルオロ化モノマーのみを使用することによって得られ、部分的又は非フッ素化ポリマーを含まないことを意味する。部分的フッ素化モノマーは、C-F結合及びC-H結合を含有し、ペルフルオロ化モノマーはC-F結合を含有するが、C-H結合は含有せず、非フッ素化モノマーはC-F結合を含有しないが、C-H結合を含有する。
好ましい実施形態では、PFSAアイオノマーは、上記の通りであり、式(I)中、aは1又は0であり、cは0であり、CeF2eは直鎖であり、eは2、3、又は4であり、より好ましくは、式(I)中、aは1又は0であり、cは0であり、CeF2eは直鎖であり、eは4である。
別の好ましい実施形態では、PFSAアイオノマーは、上記のものであり、PFSAアイオノマーは、式(II)による単位を含み、式(II)中、m’は0であり、Rfは、CF3、C2F5、C3F7、好ましくはCF2CF2CF3から選択される。
別の好ましい実施形態では、PFSAアイオノマーは、上記のものであり、PFSAアイオノマーは、式(II)による単位を含み、式(II)中、m’は1であり、Rfは、CF3、C2F5、C3F7、好ましくはCF2CF2CF3から選択される。
別の好ましい実施形態では、PFSAアイオノマーは、上記のものであり、PFSAアイオノマーは、式(II)による単位を含み、式(II)中、m’は1であり、Rfは、(CF2)nOCF3から選択され、nは、1、2、3、又は4であり、好ましくはnは3である。
別の好ましい実施形態では、PFSAアイオノマーは、上記のものであり、PFSAアイオノマーは、式(II)による単位を含み、(I)中、m’は0であり、Rfは、(CF2)nOCF3から選択され、nは、1、2、3、又は4であり、好ましくはnは3である。
別の好ましい実施形態では、PFSAアイオノマーは、上記のものであり、PFSAアイオノマーの式(I)中、aは0であり、cは0であり、CeF2eは直鎖であり、eは4であり、PFSAアイオノマーは式(II)による単位を含み、式(II)中、m’は0であり、RfはCF3、C2F5、C3F7、好ましくは、CF2CF2CF3から選択される。
別の好ましい実施形態では、PFSAアイオノマーは、上記の通りであり、式(I)中、aは0であり、cは0であり、CeF2eは直鎖であり、eは4であり、式(II)中、m’は1であり、RfはCF3、C2F5、C3F7、好ましくは、CF2CF2CF3から選択される。
別の好ましい実施形態では、PFSAアイオノマーは、上記の通りであり、式(I)中、aは0であり、cは0であり、CeF2eは直鎖であり、eは4であり、式(II)中、m’は0であり、Rfは(CF2)nOCF3から選択され、nは1、2、3、又は4であり、好ましくは、nは3である。
更に別の好ましい実施形態では、PFSAアイオノマーは、上記の通りであり、式(I)中、aは0であり、cは0であり、CeF2eは直鎖であり、eは4であり、式(II)中、m’は1であり、Rfは(CF2)nOCF3から選択され、nは1、2、3、又は4であり、好ましくは、nは3である。
PFSAアイオノマーの調製
本開示のPFSAアイオノマーは、コモノマー、すなわちTFEと、式(I)の2価の単位を与えるコモノマーと、任意に式(II)の単位を与えるコモノマーとを共重合することによって、及び任意のコモノマー、例えば、上記の任意のコモノマーを任意に共重合することによって調製することができる。
本開示のPFSAアイオノマーは、コモノマー、すなわちTFEと、式(I)の2価の単位を与えるコモノマーと、任意に式(II)の単位を与えるコモノマーとを共重合することによって、及び任意のコモノマー、例えば、上記の任意のコモノマーを任意に共重合することによって調製することができる。
モノマーは、所望の量で所望のコモノマー単位を有する最終ポリマーを得るための比率及び量で反応に充填される。モノマー供給を選択するときに、異なる組み込み速度を考慮する必要がある。モノマーは、例えば、バッチ重合として連続的又は断続的に充填され得る。それらは、作り出されるポリマーアーキテクチャー、すなわち、コアシェルポリマー、ランダムポリマー、又は不均一ポリマー、例えば、二峰性若しくは多峰性ポリマーに応じて同じ量及び速度で、又は様々な量及び供給速度で連続的に充填され得る。
重合は、フリーラジカル重合によって実行することができる。HFへの曝露を含む腐食性物質を取り扱うために適切である反応装置が使用される。反応装置は、不活性ガス下での取り扱い、又は不活性ガスでのパージを可能にし得る。典型的には、ステンレス鋼容器が使用されるが、必要に応じて、容器が他の材料で製造され得るか、又は不活性保護ライニング、例えばPTFEライニングを含有し得る。試料又は材料は、ステンレス鋼容器に、若しくはHDPE容器に、又は他の適切な容器に保管され得る。容器及び他の装置、例えば撹拌装置は、生成されるポリマーに応じて寸法及び設計が変化し得る。成分の濃度は、例えば、圧力、pH、又は他の適切な指標を使用することによって、オンラインで決定することができ、又は試料は断続的に採取することができ、成分の実際の量はオフラインで、例えば、ガスクロマトグラフィ、質量分析、pH電極、F電極、又は他の適切な分析デバイス及び方法によって測定され得る。フリーラジカル重合は、ラジカル水性乳化重合を含み、これは好ましい懸濁重合及び溶媒重合である。水性乳化重合は、典型的には、当該技術分野において「ポリマーラテックス」とも称される、水相中に分散された約50nm~500nmのポリマー粒子を生成する。懸濁重合は、典型的には、最大数ミリメートルの粒子サイズを生成するであろう。溶媒重合のための溶媒としては、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテルなどが挙げられ、より好ましくは、オゾン層を損傷しないハイドロフルオロカーボン又はハイドロフルオロエーテルが挙げられる。好適なハイドロフルオロカーボンは、4個~10個の炭素原子を有し得る。ハイドロフルオロカーボンは、好ましくは、0.05~20のモル基準での水素原子の数/フッ素原子の数(以下、H/Fと称される)の比を有する。ハイドロフルオロカーボンは、直鎖若しくは分枝鎖であり得る。好適なハイドロフルオロエーテルの例としては、CF3CH2OCF2CF2H、CHF2CF2CH2OCF2CF2H、CF3CF2CH2OCF2CF2H、及びCF3CH2OCF2CF2Hが挙げられる。
重合を開始するための重合開始剤は、例えば、ジアシルペルオキシド(例えば、ジコハク酸ペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ペルフルオロ-ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド又はビス(ペンタフルオロプロピオニル)ペルオキシドなど)、アゾ化合物(2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)塩酸塩、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、ジメチル2,2’-アゾビスイソブチレート又はアゾビスイソブチロニトリルなど)、ペルオキシエステル(t-ブチルペルオキシイソブチレート又はt-ブチルペルオキシピバレートなど)、ペルオキシジカルボネート(ジイソプロピルペルオキシジカルボネート又はビス(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカルボネートなど)、ヒドロペルオキシド(ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド又はt-ブチルヒドロペルオキシドなど)、又はジアルキルペルオキシド(ジ-t-ブチルペルオキシド又はペルフルオロ-ジ-t-ブチルペルオキシドなど)であり得る。また、水溶性開始剤(例えば、無機開始剤、例えば、過マンガン酸カリウム又はペルオキシ硫酸塩)は、重合プロセスを開始するのに有用であり得る。過硫酸アンモニウム若しくは過硫酸カリウムなどのペルオキシ硫酸塩は、単独で、又は還元剤、例えば亜硫酸水素塩若しくはスルフィン酸塩(例えば、いずれもGrootaertへの米国特許第5,285,002号及び同第5,378,782号に開示されているフッ素化スルフィン酸塩)若しくはヒドロキシメタンスルフィン酸のナトリウム塩(商品名「RONGALIT」で販売、BASF Chemical Company,New Jersey,USA)の存在下のいずれかで、適用することができる。開始剤及び還元剤についての濃度範囲は、重合媒体に基づいて、0.001重量%~5重量%で変動し得る。
上記の開始剤、及び重合に使用することができる任意の乳化剤の大部分は、それらが最も高い効率性を示す最適なpH範囲を有する。これらの理由のため、緩衝剤が有用であり得る。緩衝剤としては、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、若しくは炭酸塩(例えば、(NH4)2CO3若しくはNaHCO3)緩衝剤、又はアンモニア若しくはアルカリ金属水酸化物などの任意の他の酸若しくは塩基が挙げられる。いくつかの実施形態では、共重合は、pH9より低いpHで実施される。開始剤及び緩衝剤の濃度範囲は、水性重合媒体を基準として、0.01重量%~5重量%で変動し得る。いくつかの実施形態では、pHが酸性すぎる場合、pHを調整する量で、アンモニアを反応混合物に添加する。
H2、低級アルカン(例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン若しくはシクロヘキサン)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール若しくは2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパノールなど)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル若しくはメチルエチルエーテル)、エステル(例えば、酢酸メチル若しくは酢酸エチル)、及びCH2Cl2のような典型的な連鎖移動剤は、本開示によるポリマーの調製で有用であり得る。主に連鎖移動による停止は、約2.5以下の多分散度をもたらす。本開示による方法のいくつかの実施形態では、重合は、いずれの連鎖移動剤を伴わずに実施される。連鎖移動剤の非存在下では、ときとして、より低い多分散度を達成することができる。少しの変換についての再結合は、典型的には約1.5の多分散度をもたらす。分子量制御剤の量は、使用される場合、モノマーの100部当たり、0.0001部~50部、又は0.001部~10部であり得る。
有用な重合温度は20℃~150℃の範囲であり得る。典型的には、重合は、30℃~120℃、40℃~100℃、又は50℃~90℃の温度範囲で実施される。重合圧力は、通常、0.4MPa~2.5MPa、0.6MPa~1.8MPa、0.8MPa~1.5MPaの範囲であり、いくつかの実施形態では、1.0MPa~2.0MPaの範囲である。
ペルフルオロ化又は部分フッ素化乳化剤を重合に使用することができる。一般に、これらのフッ素化乳化剤は、ポリマーに対して、約0.02重量%~約3重量%の範囲で存在し得る。フッ素化乳化剤によって生成したポリマー粒子は、典型的には、動的光散乱技法によって決定する場合、約10ナノメートル(nm)~約500nmの範囲、いくつかの実施形態では約50nm~約300nmの範囲の平均直径を有する。好適な乳化剤の例としては、式
[Rf-O-L-COO-]iXi+
[式中、Lは直鎖の、部分若しくは完全フッ素化アルキレン基又は脂肪族炭化水素基を表し、Rfは直鎖の、部分若しくは完全フッ素化脂肪族基、又は1個以上の酸素原子が介在する直鎖の、部分若しくは完全フッ素化脂肪族基を表し、Xi+は価数iを有するカチオンを表し、iは1、2又は3である]を有するペルフルオロ化及び部分フッ素化乳化剤が挙げられる。(例えば、米国特許第7,671,112号(Hintzerら)を参照されたい)。好適な乳化剤の追加の例としては、式CF3-(OCF2)x-O-CF2-X’[式中、xは1~6の値を有し、X’はカルボン酸基又はその塩を表す]並びに式CF3-O-(CF2)3-(OCF(CF3)-CF2)y-O-L-Y’[式中、yは0、1、2又は3の値を有し、Lは-CF(CF3)-、-CF2-及び-CF2CF2-から選択される2価結合基を表し、Y’はカルボン酸基又はその塩を表す]を有するペルフルオロ化ポリエーテル乳化剤も挙げられる。(例えば、米国特許出願公開第2007/0015865号(Hintzerら)を参照されたい)。他の好適な乳化剤としては、米国特許出願公開第2006/0199898号(Funakiら)、米国特許出願公開第2007/0117915号(Funakiら)、米国特許第6,429,258号(Morganら)、米国特許第4,621,116号(Morgan)、米国特許出願公開第2007/0142541号(Hintzerら)、米国特許出願公開第2006/0223924号、同第2007/0060699号、及び同第2007/0142513号(各々Tsudaら)、並びに同第2006/0281946号(Moritaら)及び米国特許第2,559,752号(Berry)を参照されたい)。しかしながら好都合には、いくつかの実施形態では重合は、これらの乳化剤のいずれかの非存在下で、又はフッ素化乳化剤を含まないで実施され得る。
[Rf-O-L-COO-]iXi+
[式中、Lは直鎖の、部分若しくは完全フッ素化アルキレン基又は脂肪族炭化水素基を表し、Rfは直鎖の、部分若しくは完全フッ素化脂肪族基、又は1個以上の酸素原子が介在する直鎖の、部分若しくは完全フッ素化脂肪族基を表し、Xi+は価数iを有するカチオンを表し、iは1、2又は3である]を有するペルフルオロ化及び部分フッ素化乳化剤が挙げられる。(例えば、米国特許第7,671,112号(Hintzerら)を参照されたい)。好適な乳化剤の追加の例としては、式CF3-(OCF2)x-O-CF2-X’[式中、xは1~6の値を有し、X’はカルボン酸基又はその塩を表す]並びに式CF3-O-(CF2)3-(OCF(CF3)-CF2)y-O-L-Y’[式中、yは0、1、2又は3の値を有し、Lは-CF(CF3)-、-CF2-及び-CF2CF2-から選択される2価結合基を表し、Y’はカルボン酸基又はその塩を表す]を有するペルフルオロ化ポリエーテル乳化剤も挙げられる。(例えば、米国特許出願公開第2007/0015865号(Hintzerら)を参照されたい)。他の好適な乳化剤としては、米国特許出願公開第2006/0199898号(Funakiら)、米国特許出願公開第2007/0117915号(Funakiら)、米国特許第6,429,258号(Morganら)、米国特許第4,621,116号(Morgan)、米国特許出願公開第2007/0142541号(Hintzerら)、米国特許出願公開第2006/0223924号、同第2007/0060699号、及び同第2007/0142513号(各々Tsudaら)、並びに同第2006/0281946号(Moritaら)及び米国特許第2,559,752号(Berry)を参照されたい)。しかしながら好都合には、いくつかの実施形態では重合は、これらの乳化剤のいずれかの非存在下で、又はフッ素化乳化剤を含まないで実施され得る。
モノマーは、一度に全て充填され得るか、又はそれらは連続的若しくは断続的に充填され得る。ペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテル及びペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテルは、典型的には、液体であり、反応器に噴霧されてもよく、又は液体として、若しくは気化されて、若しくは霧化されて、直接添加されてもよい。式CF2=CF(CF2)a-(OCbF2b)c-O-(CeF2e)-SO2X”によって表される化合物、及び式(II)による単位をもたらす他のコモノマーを、均一な混合物又はエマルジョンとして重合に供給することが有用であり得る。そのようなプレエマルジョンを調製するために、上記の乳化剤のうちの1つ以上を使用することが有用であり得る。また、例えば、WO2005/044878号(Thalerら)に記載されているような「インサイチュ」-乳化剤を得るために、CF2=CF(CF2)a-(OCbF2b)c-O-(CeF2e)-SO2Fの一部を水性塩基によって加水分解することも有用であり得る。
フッ素化乳化剤を使用する場合、所望により、Obermeierらへの米国特許第5,442,097号、Felixらへの同第6,613,941号、Hintzerらへの同第6,794,550号、Burkardらへの同第6,706,193号、及びHintzerらへの同第7,018,541号に記載されているように、乳化剤は、フルオロポリマーラテックスから除去又は再利用され得る。あるいは、乳化剤はまた、熱処理(例えば、蒸発又はキャリアガス流若しくは蒸気での処理)によって除去され、続いて熱分解され又は回収及び再循環され得る。
好ましくは、スルホニルフルオリド前駆体ポリマーは、最大25℃、20℃、15℃、又は10℃のガラス転移温度(Tg)を有する。ポリマーのTgは、モノマー組成によって影響され得る。典型的には、ペルフルオロアルコキシ基の側鎖は、ポリマーのTgを低下させる。好ましくは、スルホニルフルオリド前駆体ポリマーは、少なくとも0.1g/10分及び最大100g/10分、好ましくは最大80g/10分のメルトフローインデックス(MFI、例えば、265℃/5kg)を有し、例えば、5g/10分~55g/10分のMFIを有する。コポリマーのMFIは、重合中に用いる開始剤及び/又は連鎖移動剤の量を調整することにより調整される場合があり、これらはいずれも、コポリマーの分子量及び分子量分布に影響を与える。MFIは、開始剤を重合に添加する速度によっても制御することができる。モノマー組成の変化もMFIに影響を与え得る。
SO2F-コモノマーは、他のコモノマーよりも反応性が低くなり得る。したがって、これらのモノマーを過剰で重合系に供給し(例えば、ポリマー中の予想される最終量よりも30%超の量で)、ポリマーへの所望の組み込みを得ることが有用であり得る。過剰なSO2F-モノマーを除去して回収するために、反応混合物を凝固させることができ、未反応のモノマーを、例えば、蒸発によって凝固物から回収することができる。反応混合物は、凝固前に希釈されても、又は希釈されなくてもよく、又は未反応のモノマーの回収を可能にする溶媒若しくは他の液体が凝固前に添加されてもよい。凝固及びモノマーの回収は、同じ反応容器で行うことができるか、又は反応混合物を異なる反応容器に移すことができる。反応混合物を一度で全て移し、次いで蒸発処理を施すことができるか、又は部分的に連続的若しくは断続的に移すことができる。蒸発は、熱処理、例えば、外部加熱ジャケットを用いた反応器内で、又はキャリア媒体、例えば蒸気を使用して、又はその両方を使用することによって実行され得る。キャリア媒体はまた、例えば、蒸気がキャリア媒体として使用される場合、又は加熱されたキャリアガスが使用される場合、反応器を加熱するために使用され得る。キャリア媒体を使用する場合、反応器は、キャリア媒体がそれを通って出入りすることができる1つ以上のノズルを含み得る。反応器は、1つ以上の撹拌機、例えば、インペラスターラー若しくはヘリカルリボンスターラーを含有し得るか、又は反応器は、流動床反応器であり得る。未反応モノマーは、凝縮及び/又はキャリア媒体からの他の分離によって回収することができる。得られたコポリマーラテックスを凝固させるには、フルオロポリマーラテックスの凝固のために一般に使用される任意の凝固剤を使用することができ、例えば、水溶性塩(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム若しくは硝酸アルミニウム)、酸(例えば、硝酸、塩酸若しくは硫酸)、又は水溶性有機液体(例えば、アルコール若しくはアセトン)であってもよい。添加する凝固剤の量は、ラテックス100質量部当たり、0.001質量部~20質量部の範囲、例えば、0.01質量部~10質量部の範囲であってもよい。例えば、200kgの脱イオン水が添加される29%の固形分を有するポリマー分散液341kgを、撹拌機、高速撹拌機「TURRAX」、及び反応器を加熱するための蒸気ノズルを備えた800lの内容量を有するステンレス鋼反応器に充填することができる。反応器の撹拌機を100rpmで回転させ、高速撹拌機を600rpmで回転させながら、65重量%の硝酸(28,2kg)を反応器に連続的に供給して、室温でポリマーを沈殿させ、撹拌を1時間継続することができる。これは、結果として生じる水相において、1%未満の固形分でほぼ完全な凝固につながり得る。代替的又は追加的に、ラテックスを凝固のために凍結させてもよく、又は米国特許第5,463,021号(Beyerら)に記載されているように、例えばホモジナイザーによって機械的に凝固させてもよい。代替的又は追加的に、ポリカチオンを添加することによって、ラテックスを凝固させてもよい。金属汚染物質の導入を避けるために、凝固剤として塩を使用することを回避することが有用であり得る。全体としての凝固を回避し、かつ凝固剤に由来するあらゆる汚染物質を回避するために、重合及び任意のイオン交換精製の後にラテックスを噴霧乾燥させることが、固体の前駆体ポリマーを提供するには有用であり得る。
凝固した前駆体ポリマーは、濾過によって回収し、水で洗浄してよい。洗浄水は、例えば、イオン交換水、純水又は超純水であってもよい。洗浄水の量は、前駆体ポリマー質量の1倍~5倍であってもよく、これにより、ポリマーに結合している乳化剤の量を、1回の洗浄で十分に低減することができる。前駆体ポリマーは、当該技術分野において既知の乾燥装置で、例えば、流動床乾燥機又はタンブル乾燥機又は単にオーブンによって、例えば、0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%未満の水分含有量に乾燥させることができる。重合開始剤(例えば、KMnO4)の性質に応じて、カチオン交換プロセスは、コモノマー回収プロセスの前に有用であり得る。有用なカチオン交換樹脂としては、例えばポリスルホネート若しくはポリスルホン酸、ポリカルボキシレート、又はポリカルボン酸などの、複数のペンダントアニオン性基又は酸性基を有するポリマー(典型的には架橋されている)が挙げられる。有用なスルホン酸カチオン交換樹脂の例としては、スルホン化スチレン-ジビニルベンゼンコポリマー、スルホン化架橋スチレンポリマー、フェノール-ホルムアルデヒド-スルホン酸樹脂、及びベンゼン-ホルムアルデヒド-スルホン酸樹脂が挙げられる。好ましくは、カチオン交換樹脂は、カルボン酸カチオン交換樹脂などの有機酸カチオン交換樹脂である。カチオン交換樹脂は、様々な供給元から市販されている。カチオン交換樹脂は、一般に、その酸形態又はそのナトリウム形態のいずれかで商業的に供給されている。カチオン交換樹脂が酸形態(すなわち、プロトン化形態)でない場合は、一般的には所望されない、分散体への他のカチオンの導入を回避するために、酸形態へと少なくとも部分的に又は完全に変換することができる。この酸形態への変換は、当該技術分野において周知の手段、例えば、任意の適切な強酸による処理によって実現することができる。イオン交換プロセスは、固定床カラム、例えば、20:1~7:1の長さ対直径比を有するカラムを使用して、1床体積/時の流量で、連続モードで行うことができる。プロセスは、pHメーター、金属分析装置(例えば、加水分解がLi-塩で実行される場合、リチウム含有量が測定され得る)又は他の技術(例えば、導電性など)によって、オンライン又はオフラインで監視することができる。イオン交換樹脂は、多峰性樹脂又は単峰性樹脂であることができ、広い又は狭い粒子径分布を有することができる。市販のカチオン交換樹脂としては、商品名LEWATIT MONO PLUS S 100、AMBERLITE IR-120(Plus)、又はPUROLITE 150C TLHで入手可能なものが挙げられるが、これらに限定されない。
フルオロポリマー分散体の精製を、アニオン交換プロセス及びカチオン交換プロセスの両方を使用して実施する場合、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂は個別に使用してもよく、又は例えばアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との両方を有する混合樹脂床の場合のように、組み合わせて使用してもよい。
水性乳化重合によって得られるフルオロポリマーは、典型的には、多数のカルボン酸末端基(例えば、重合開始剤の副反応によって生成される106個の炭素原子当たり200個超のカルボン酸末端基)を有する。好ましくは、コポリマーは、106個の炭素原子当たり150個未満のカルボン酸末端基、好ましくは、100個未満、又は更には50個未満、例えば、106個の炭素原子当たり1個~45個、又は10個~90個のカルボン酸末端基を有する。カルボン酸末端基の数を低減することは、フッ素化処理によって達成することができる。フルオロポリマーのフッ素化は、不安定な末端基を-CF3末端基に変換する。フッ素化は、任意の好都合な方法で実施することができる。フッ素化は、20℃~250℃、いくつかの実施形態では、150℃~250℃又は70℃~120℃の範囲の温度、及び10KPa~1000KPaの圧力において、75~90:25~10の比の窒素/フッ素ガス混合物によって、都合良く実施することができる。反応時間は、約4時間~約16時間の範囲であってよい。フッ素化は、例えば、一連のフッ素化及びパージ工程によって、かつ同じ温度で、又は異なる温度間隔で、連続的若しくは断続的に実施することができる。パージは、窒素ガスを使用することによって好都合に実施される。これら条件下では、ほとんどの不安定な炭素系末端基は除去されるが、-SO2F基は残存する。反応の完了後、反応器容器を窒素でパージしてフッ素ガスを除去する。フッ素化は、例えば、適切に装備されたオートクレーブ、タンブル反応器、又は流動床反応器、若しくはそれらの組み合わせで実行することができる。
SO2F-コポリマーを加水分解して、SO2F-基を-SO2OX”基、「スルホネート基」に変換する。X”はOZを表し、各Zはカチオン、好ましくはアルカリ金属カチオン又は四級アンモニウムカチオンである。四級アンモニウムカチオンは、水素及びアルキル基の任意の組み合わせで置換されていてもよく、いくつかの実施形態では、アルキル基は独立して1個~4個の炭素原子を有する。いくつかの好ましい実施形態では、Zは、アルカリ金属カチオン、好ましくはナトリウム又はリチウムカチオンである。加水分解は、SO2F-ポリマーに、水性塩基による処理を施すことによって行うことができる。反応は、圧力下、例えばオートクレーブ、流動床反応器、又は撹拌容器内で行うことができる。典型的には、加水分解は、高温、例えば、150℃~300℃の温度で実施される。反応時間は、0.5時間~10時間であり得る。好ましくは、アルカリ塩基(例えば、限定されないが、水酸化リチウム又は炭酸リチウム)、アルカリ土類塩基又はアンモニア(NR4OH)、又はそれらの組み合わせが塩基として使用される。水量は、5重量%~40重量%の固形分を与えるように選択され得る。反応が完了した後、溶解性の低いフッ化物塩(Al(OH)3、Ca(OH)2)を形成する更なる塩、又は凝集剤が添加されて水相中のフッ素レベルを低減することができる。フッ化物塩が除去された後(例えば、濾過、遠心分離、又は沈降によって)、ポリマーの-SO2OX”基は、酸処理又はカチオン交換樹脂によるイオン交換によって、ペルフルオロスルホン酸形態(-SO3H形態)に変換される。上記のカチオン交換樹脂を使用することができる。イオン交換プロセスは、上記のように、例えば、固定床カラムを使用して連続モードで、例えば、20:1~7:1の長さ対直径比を有するカラムで1床体積/時の流量比で実施することができる。プロセスは、例えば、pHメーター、金属分析装置(例えば、Li-塩で加水分解が実行される場合、リチウム含有量が測定され得る)又は上記のものを含む他の技術(例えば、導電性など)によって、オンライン又はオフラインで監視することができる。
分散性PFSAアイオノマー粒子を作成するために、水性PFSAアイオノマー組成物に乾燥を施す。好ましくは、乾燥は、水性PFSAアイオノマー組成物の水分含有量を、組成物の重量に基づいて、25重量%未満、好ましくは15重量%未満、より好ましくは12重量%未満の水分含有量に低下させるための温度及び有効時間にわたって実施される。乾燥は、好ましくは、水分含有量が上記及び下記の含有量を下回って低減しないように、例えば、(組成物の重量に基づいて)2重量%を下回らない、好ましくは3.1重量%を下回らない、より好ましくは3.9重量%を下回らないように実施される。
好ましくは、乾燥プロセスは、組成物の温度が220℃、又は200℃、又は更には100℃を超えないように実施される。より好ましくは、乾燥は、凍結プロセス、すなわち分散液を凍結することを含むプロセスによって実施される。
いくつかの実施形態では、水性PFSA組成物は、噴霧乾燥を含むプロセスによって得られる。典型的には、噴霧乾燥プロセスは、約10μm~300μmの粒子径を有する粒子をもたらす。これらの粒子径は、D50値であり得るか、又は最大粒子径であり得る。ふるいを使用すると、上記サイズを超える直径を有する粒子が組成物から除去されることを確実にすることができる。粒子は、典型的には、球形であるか又は実質的に球形であり、これは粒子が完全に球形の形状ではないが、それらの幾何学的形状は球形で最も近似することができることを意味する。
他の実施形態では、本開示によるPFSA組成物は、凍結乾燥を含むプロセスによって乾燥される。凍結乾燥は、典型的には5μm~1000μmの最大寸法のフレーク状材料をもたらす。フレークは、より小さな粒子に破砕され得る。いくつかの実施形態では、発泡体が、水性組成物から生成され、発泡体は、凍結乾燥される。発泡体は、例えば、水性組成物を超音波照射に供することによって、ガス、例えば、CO2を分散液に注入することによって、又は機械的力によって、例えば、水性組成物を1つ以上の高速撹拌機に供することによって作成することができる。上記工程の組み合わせも使用され得る。
他の実施形態では、PFSAアイオノマー粒子は、凍結造粒、好ましくは液体窒素での凍結造粒を含むプロセスによって得られる。典型的には、凍結造粒は、10μm~500μmの粒子径を有する球状粒子をもたらす。これらの粒子径は、D50値であり得るか、又は最大粒子径であり得る。ふるいを使用すると、上記サイズを超える直径を有する粒子が組成物から除去されることを確実にすることができる。凍結造粒によって得られた粒子は、典型的には多孔質である。それらは、典型的には、球形であるか又は実質的に球形であり、これは粒子が完全に球形ではないが、それらの幾何学的形状は球形で最も近似することができることを意味する。
固体PFSAアイオノマー粒子は、典型的には、100ppm未満、好ましくは50ppm未満、又は更には20ppm未満のNa、K、及びLiイオンの総含有量を有し、これらのイオンの全てのうちの1つ以上は、実際には存在しない場合がある。分散性PFSAアイオノマー粒子は、典型的には、100ppm以下、好ましくは20ppm未満の重金属含有量(Fe、Ni、Cu及びCrイオンの総含有量)を有し、より好ましくはFe含有量は5ppmを下回る。
PFSAアイオノマー粒子は、典型的には、液体中に、好ましくは水及び上記並びに以下に記載されるような少なくとも1つのヒドロキシル官能基、及び1個~5個の炭素原子を含有する有機プロトン性溶媒中から選択される液体中に、少なくとも10、15、20、又は25重量パーセントの濃度で直接分散され得る。いくつかの実施形態では、アイオノマー粒子は、30重量パーセント以下、好ましくは40重量パーセント以下、又は更には50重量パーセント以下の濃度で直接分散され得る。PFSAアイオノマー粒子は、液体中に分散されて1/秒の剪断速度で、及び1000/秒の剪断速度で300mPas未満、好ましくは100mPas未満の粘度、又は更には上記及び以下に記載されるより低い粘度を有する液体組成物を提供する。
PFSAアイオノマー粒子は、水又は水混和性溶媒中に容易に分散されて、低剪断速度及び高剪断速度で、好ましくは非常に高い濃度のPFSAアイオノマーで、例えば、最大で少なくとも20重量%のPFSAアイオノマーの濃度で、又は少なくとも最大30重量%のPFSAアイオノマーで、又は更には最大40重量%のPFSAアイオノマー、又はそれ以上の濃度で、低粘度を有する液体組成物を製造することができる。PFSAアイオノマー粒子の更なる利点は、それらが広範囲の剪断速度にわたって実質的に一定のままである低粘度を有する分散液を製造するために使用され得ることである。例えば、低剪断速度、例えば、1/秒で測定されたそのようなPFSA分散液の粘度と、高剪断速度で、例えば、1000/秒で測定されたそのようなPFSA分散液の粘度との比は、1に等しいか又は1に近く、例えば、0.9~1.20(端点を含む)である。これにより、本開示で提供されるPFSAアイオノマー及びアイオノマー組成物から得られた分散液の広い加工ウィンドウが可能になる。
そのような分散液を製造するための有用な方法は、成分を組み合わせ、成分を周囲温度及び圧力で混合して、アイオノマー粒子の液体分散液を製造することを含む。混合は、組成物を撹拌することによって行うことができる。軽度の撹拌条件は、例えば、室温及び周囲圧力で24時間にわたって45rpm~65rpmに設定されたローラー上に混合物を配置するのに十分であり得る。液体組成物は、周囲条件で調製することができるが、それらは、例えば、他の溶媒を添加するか、又は高温若しくは高圧で動作することによって、他の方法で調製することもできるが、多くの場合、これは不利で不要である。
本開示のPFSAアイオノマー分散液は、例えば、膜の製造、例えば、燃料セルで使用するためのポリマー電解質膜又は電気化学セル、例えば、クロールアルカリ膜セルにおける電解質膜の製造において使用され得る。PFSAアイオノマー分散液は、薄膜、すなわち50マイクロメートル未満、好ましくは30マイクロメートル未満、例えば、20マイクロメートル~40マイクロメートル、又は10マイクロメートル~28マイクロメートルの厚さを有する膜を製造するために特に好適である。膜は、典型的には、伸長シートであり、12cmを超える長さを有し得る。典型的には、膜は、液体組成物又は分散液からキャストされ、次いで乾燥され、アニールされ、又はその両方が行われる。膜は、支持体上にキャストされ得る。典型的には、支持体マトリックスは非導電性である。典型的には、支持体マトリックスはフルオロポリマーで構成され、これはより典型的にはペルフルオロ化されている。典型的なマトリックスとしては、二軸延伸PTFEウェブなどの多孔質ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)が挙げられる。別の実施形態では、充填剤(例えば、繊維)をPFSAアイオノマー組成物に添加して膜を補強してもよい。形成後、膜は、典型的には120℃以上、より典型的には130℃以上、最も典型的には150℃以上の温度でアニールされ得る。
膜を製造するために、上記のように液体中に分散性PFSAアイオノマー組成物を分散させて、低粘度の液体組成物を生成することによって液体PFSAアイオノマー分散液が得られる。しかしながら、分散性PFSAアイオノマー粒子を他の液体と組み合わせて、分散液又は溶液を提供することもできる。膜がキャストされる前に添加剤を添加してもよい。添加剤は、分散性PFSAアイオノマー粒子を液体、好ましくは低粘度の液体PFSAアイオノマー分散液を生成するために上述した液体と組み合わせて、又は異なる液体と組み合わせることによって得られた組成物に添加することができる。添加剤は、固体材料として添加されてもよく、又は液体中に溶解若しくは分散されてもよい。添加剤はまた、本開示による分散性PFSAアイオノマー粒子と直接組み合わされてもよく、固体として、例えば、粉末として添加されてもよく、又はそれらは水若しくは上記の少なくとも1つの官能性ヒドロキシル基を有するプロトン性有機溶媒であり得るか、又は異なる液体であり得る液体中の溶液若しくは分散液として添加されてもよい。
いくつかの実施形態では、添加材はセリウム、マンガン、若しくはルテニウムのうちの少なくとも1つの塩、又は1つ以上の酸化セリウム、若しくは酸化ジルコニウム化合物を含み、膜形成の前にPFSAアイオノマーに添加される。セリウム、マンガン、又はルテニウムの塩は、塩化物イオン、臭化物イオン、水酸化物イオン、硝酸イオン、スルホン酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、及び炭酸イオンを含めた、任意の好適なアニオンを含み得る。2種以上のアニオンが存在してもよい。他の金属カチオン又はアンモニウムカチオンを含む塩を含めて、他の塩が存在してもよい。遷移金属塩と酸形態のアイオノマーとの間でカチオン交換が起こったら、遊離したプロトンと元の塩のアニオンとの組み合わせによって形成される酸を除去することが望ましい場合がある。したがって、揮発性又は可溶性の酸を生成するアニオン、例えば塩化物イオン又は硝酸イオンを使用することが有用であり得る。マンガンカチオンは、Mn2+、Mn3+、及びMn4+を含めた任意の好適な酸化状態であってもよいが、最も典型的にはMn2+である。ルテニウムカチオンは、Ru3+及びRu4+を含めた任意の好適な酸化状態であってもよいが、最も典型的にはRu3+である。セリウムカチオンは、Ce3+及びCe4+を含めた任意の好適な酸化状態であってもよい。理論によって束縛されることを意図するものではないが、セリウム、マンガン、又はルテニウムカチオンは、ポリマー電解質のアニオン基から誘導されたH+イオンと交換されて、それらのアニオン基と会合するため、ポリマー電解質中に留まると考えられる。更に、多価のセリウム、マンガン、又はルテニウムカチオンは、ポリマー電解質のアニオン基同士の間で架橋を形成して、ポリマーの安定性を更に高め得ると考えられる。いくつかの実施形態では、塩は、固体形態で存在してもよい。カチオンは、溶媒和カチオン、ポリマー電解質膜の結合アニオン基と会合したカチオン、及び塩沈殿物に結合したカチオンを含めた、2つ以上の形態の組み合わせで存在してもよい。塩の添加量は、典型的には、ポリマー電解質中に存在する酸官能基のモル量を基準として、0.001電荷当量~0.5電荷当量、より典型的には0.005電荷当量~0.2電荷当量、より典型的には0.01電荷当量~0.1電荷当量であり、より典型的には0.02電荷当量~0.05電荷当量である。アニオン性コポリマーと、セリウム、マンガン、又はルテニウムカチオンとの組み合わせに関する更なる詳細は、米国特許第7,575,534号及び同第8,628,871号(各々、Freyら)において見出すことができる。酸化セリウム化合物は、(IV)酸化状態、(III)酸化状態、又はこれら両方のセリウムを含有していてもよく、結晶質であっても非晶質であってもよい。酸化セリウムは、例えば、CeO2であってもCe2O3であってもよい。酸化セリウムは、金属セリウムを実質的に含まなくてもよく、あるいは金属セリウムを含有してもよい。酸化セリウムは、例えば、金属セリウム粒子上の薄い酸化反応生成物であってもよい。酸化セリウム化合物は、他の金属元素を含有しても含有しなくてもよい。酸化セリウムを含む混合金属酸化物化合物の例としては、ジルコニア-セリアなどの固溶体、及びセリウム酸バリウムなどの多成分酸化物化合物が挙げられる。理論によって束縛されることを意図するものではないが、酸化セリウムは、キレート化及び結合したアニオン基同士の間での架橋の形成によって、ポリマーを強化し得ると考えられる。酸化セリウム化合物の添加量は、典型的には、PFSAアイオノマーの総重量に基づいて、0.01重量%~5重量%、より典型的には0.1重量%~2重量%であり、及びより典型的には0.2重量%~0.3重量%である。酸化セリウム化合物は、典型的には、ポリマー電解質膜の総体積に対して1体積%未満、より典型的には0.8体積%未満の量で存在し、より典型的には0.5体積%未満の量で存在する。酸化セリウムは、任意の好適なサイズの、いくつかの実施形態では、1nm~5000nm、200nm~5000nm、又は500nm~1000nmの粒子であってもよい。酸化セリウム化合物を含むポリマー電解質膜に関する更なる詳細は、米国特許第8,367,267号(Freyら)において見出すことができる。
本開示のPFSAアイオノマー粒子及び分散液はまた、触媒インク組成物を製造するために使用され得る。触媒インクを製造するために、分散性PFSAアイオノマー粒子を使用して、本開示による低粘度の液体組成物を製造し、それを触媒粒子(例えば、金属粒子又は炭素担持金属粒子)と組み合わせることができる。しかしながら、分散性PFSAアイオノマー粒子を他の液体と組み合わせて、触媒粒子が添加され得る分散液又は溶液を提供することもできる。触媒粒子はまた、分散性PFSAアイオノマー粒子に直接添加され、それらと組み合わせてもよい。触媒粒子は、固体材料として添加されるか、又は上記のように、液体、好ましくは水、又は少なくとも1つのヒドロキシル官能基を有するプロトン性溶媒中に溶解若しくは分散され得る。様々な触媒が有用であり得る。典型的には、炭素担持触媒粒子が使用される。典型的な炭素担持触媒粒子は、50重量%~90重量%の炭素と、10重量%~50重量%の触媒金属とであり、触媒金属は、典型的には、カソードについては白金、並びにアノードについては2:1の重量比における白金及びルテニウムを含む。しかしながら、他の金属、例えば、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、バナジウム、及びこれらの合金が有用である場合もある。次いで、インクは、基材、例えば膜又は電極に適用され得る。一実施形態では、触媒粒子又はその少なくとも一部は、液体を添加して液体組成物を形成する前に、分散性PFSAアイオノマー組成物に添加される。触媒インクの調製及び膜アセンブリにおけるそれらの使用に関する詳細は、例えば、米国特許出願公開第2004/0107869号(Velamakanniら)において見出すことができる。
本開示によるPFSAアイオノマー粒子及び分散液はまた、電極又は電池(例えば、リチウムイオン電池)用のバインダーを製造するために使用され得る。電極を製造するために、粉末上活性成分を溶媒で分散させ、固体として、例えば、粉末として、本開示による分散性PFSAアイオノマー分散液に、又は分散性PFSAアイオノマー組成物を液体と組み合わせることによって得られた組成物に添加され得る。好ましくは、液体は、水、又は上記のような少なくとも1つの官能性ヒドロキシル基を有するプロトン性有機溶媒である。次いで、バインダー組成物は、基材、例えば金属箔又は集電体上にコーティングされ得る。得られた複合体電極は、金属基材に接着されたポリマーバインダー中に粉末化した活性成分を含有する。負極の製造のために有用な活物質としては、典型元素の合金及び黒鉛などの導電性粉末が挙げられる。負極の製造のために有用な活物質の例としては、酸化物(酸化スズ)、炭素化合物(例えば、人工黒鉛、天然黒鉛、土状黒鉛、膨張黒鉛、及び鱗状黒鉛)、炭化ケイ素化合物、酸化ケイ素化合物、硫化チタン、及び炭化ホウ素化合物が挙げられる。正極の製造のために有用な活物質としては、リチウム化合物、例えばLi4/3Ti5/3O4、LiV3O8、LiV2O5、LiCo0.2Ni0.8O2、LiNiO2、LiFePO4、LiMnPO4、LiCoPO4、LiMn2O4、及びLiCoO2などが挙げられる。また、電極は、導電性希釈剤及び接着促進剤を含むこともできる。
本開示がより十分に理解され得るように、以下の実施例を記載する。これらの実施例は単に例示を目的とするものであり、いかなる方法でも本開示を限定すると解釈してはならないことを理解すべきである。
水分含有量法:
固体アイオノマー組成物の水分含有量を、熱重量分析によって、Mettler-Thermowaage HR73、HR83(ハロゲン)を用いて決定した。3gの生成物を熱天秤に秤量した。熱天秤は120℃で30分作動させた。得られた固形分(%)は、最終重量/初期重量の比に100を掛けることによって決定した。水分含有量(%)は、100%-固形分(%)によって計算した。
固体アイオノマー組成物の水分含有量を、熱重量分析によって、Mettler-Thermowaage HR73、HR83(ハロゲン)を用いて決定した。3gの生成物を熱天秤に秤量した。熱天秤は120℃で30分作動させた。得られた固形分(%)は、最終重量/初期重量の比に100を掛けることによって決定した。水分含有量(%)は、100%-固形分(%)によって計算した。
粘度法:
1/秒及び1000/秒の剪断速度での粘度を、回転粘度測定(回転粘度計MCR 102/シリンダーシステムCC 27;Anton Paar Germany GmbH,Ostfildern-Scharnhausen,Germany)により、20℃で決定した。固体試料を必要に応じて液体が添加される前に粉砕した。液体をアイオノマーに添加して、所望のアイオノマー含有量を有するアイオノマー分散液を得た。特に明記しない限り、6gのアイオノマー試料を使用した。得られた混合物をローラーボックス上に置き、室温で24時間圧延した。
1/秒及び1000/秒の剪断速度での粘度を、回転粘度測定(回転粘度計MCR 102/シリンダーシステムCC 27;Anton Paar Germany GmbH,Ostfildern-Scharnhausen,Germany)により、20℃で決定した。固体試料を必要に応じて液体が添加される前に粉砕した。液体をアイオノマーに添加して、所望のアイオノマー含有量を有するアイオノマー分散液を得た。特に明記しない限り、6gのアイオノマー試料を使用した。得られた混合物をローラーボックス上に置き、室温で24時間圧延した。
固形分法:
固形分は、通常、成分の重量によって計算された。それは、分散液の試料を加熱した天秤に置き、溶媒の蒸発の前後で質量を記録することによって、重量測定により決定することができる。固形分は、試料の初期質量と継続的な加熱によって質量が更に減少しなかった時点の試料の質量の比である。熱重量分析には、熱天秤(Mettler-Thermowaage HR73、HR83(ハロゲン))を使用した。典型的には、3gの生成物を熱天秤に秤量し、熱天秤を120℃で作動させた。
固形分は、通常、成分の重量によって計算された。それは、分散液の試料を加熱した天秤に置き、溶媒の蒸発の前後で質量を記録することによって、重量測定により決定することができる。固形分は、試料の初期質量と継続的な加熱によって質量が更に減少しなかった時点の試料の質量の比である。熱重量分析には、熱天秤(Mettler-Thermowaage HR73、HR83(ハロゲン))を使用した。典型的には、3gの生成物を熱天秤に秤量し、熱天秤を120℃で作動させた。
当量(EW)法:
アイオノマーのEWを、以下の式によって計算した:
式中、M2は、スルホニルフルオリドモノマーであり、M3は、任意のビニルエーテル又はアリルエーテルモノマーであり、M3は0であり任意のモノマーは存在しない。19F-NMRスペクトルを使用して、ポリマーの組成を決定することができる。5mm広帯域プローブを有する、Bruker,Billerica,MA,USAから、商品名AVANCE II 300で入手可能なNMR分光計を使用することができる。約13重量パーセントのポリマー分散液の試料は、60℃で測定されるべきである。SO3H-EWは、遊離酸形態(SO3H-形態)のEWである。
アイオノマーのEWを、以下の式によって計算した:
カルボキシル末端基の量の決定:
フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)測定を使用して、コポリマー中の106個のC原子当たりのカルボキシル末端基の数を決定した。測定は、FT-IRによって、透過法で実施した。測定したサンプルは、100μmのフィルム厚さを有した。対象のCOOHピークの波数は、1775cm-1及び1808cm-1である。ポリマーのカルボキシル末端基の量を定量するために、2つのIRスペクトルを取得した。1つはカルボキシル含有試料から取得し、1つは基準試料(カルボキシル基を有しない)から取得した。参照材料は、1775及び1808cm-1でのピークがもはや観測されなかった時間帯にわたって、フッ素化処理に供されたTFE/MV4S-コポリマーであった。
フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)測定を使用して、コポリマー中の106個のC原子当たりのカルボキシル末端基の数を決定した。測定は、FT-IRによって、透過法で実施した。測定したサンプルは、100μmのフィルム厚さを有した。対象のCOOHピークの波数は、1775cm-1及び1808cm-1である。ポリマーのカルボキシル末端基の量を定量するために、2つのIRスペクトルを取得した。1つはカルボキシル含有試料から取得し、1つは基準試料(カルボキシル基を有しない)から取得した。参照材料は、1775及び1808cm-1でのピークがもはや観測されなかった時間帯にわたって、フッ素化処理に供されたTFE/MV4S-コポリマーであった。
106個の炭素原子当たりの末端基の数は、F1及びF2に関して、等式1及び2で計算することができる:
(ピーク高さ×F1)/フィルム厚さ[mm](1)
(ピーク高さ×F2)/フィルム厚さ[mm](2)
ピーク高さは、1775及び1808cm-1での試料のピーク高さと参照試料のピーク高さとの差であり、
F1:参照により本明細書に組み込まれた米国特許第4,675,380号(Buckmasterら)からのυ=1775cm-1に関連して計算された係数(=320);
F2:参照により本明細書に組み込まれた米国特許第4,675,380号(Buckmasterら)からのυ=1808cm-1に関連して計算された係数(=335)。
(ピーク高さ×F1)/フィルム厚さ[mm](1)
(ピーク高さ×F2)/フィルム厚さ[mm](2)
ピーク高さは、1775及び1808cm-1での試料のピーク高さと参照試料のピーク高さとの差であり、
F1:参照により本明細書に組み込まれた米国特許第4,675,380号(Buckmasterら)からのυ=1775cm-1に関連して計算された係数(=320);
F2:参照により本明細書に組み込まれた米国特許第4,675,380号(Buckmasterら)からのυ=1808cm-1に関連して計算された係数(=335)。
等式1及び2による結果の合計から、106個の炭素原子当たりのカルボキシル末端基の数が得られる。
固体組成物の粒子径法:
固体組成物の粒子サイズを、ThermoFischer ScientificからのPhenom G2 Pure SEMで取得された走査型電子顕微鏡を使用する光学的方法によって決定した。粒子の寸法を、Phenom SEMからのイメージングソフトウェアを使用して手動で測定した。D10、D50、D90(すなわち、粒子のそれぞれ10%、50%及び90%がこのそれぞれの値よりも小さい球状粒子の直径、又はフレーク状粒子の最大寸法)を決定した。好ましくは、試料サイズは100個の粒子を含む。
固体組成物の粒子サイズを、ThermoFischer ScientificからのPhenom G2 Pure SEMで取得された走査型電子顕微鏡を使用する光学的方法によって決定した。粒子の寸法を、Phenom SEMからのイメージングソフトウェアを使用して手動で測定した。D10、D50、D90(すなわち、粒子のそれぞれ10%、50%及び90%がこのそれぞれの値よりも小さい球状粒子の直径、又はフレーク状粒子の最大寸法)を決定した。好ましくは、試料サイズは100個の粒子を含む。
メルトフローインデックス法:
5.0kgの支持重量及び265℃の温度において、DIN EN ISO1133-1に記載される手順と同様の手順に従って、GOETTFERT MPD、MI-Robo、MI4メルトインデクサ(Buchen,Germany)を用いて、g/10分で報告するメルトフローインデックス(MFI)を測定され得る。直径2.1mm及び長さ8.0mmの標準化された押出成形ダイによって、MFIを得ることができる。
5.0kgの支持重量及び265℃の温度において、DIN EN ISO1133-1に記載される手順と同様の手順に従って、GOETTFERT MPD、MI-Robo、MI4メルトインデクサ(Buchen,Germany)を用いて、g/10分で報告するメルトフローインデックス(MFI)を測定され得る。直径2.1mm及び長さ8.0mmの標準化された押出成形ダイによって、MFIを得ることができる。
T(α)測定方法:
TA Instruments AR2000 EXレオメータを使用して、ポリマー試料のT(α)を測定することができる。-100℃から約125℃まで2℃/分の温度傾斜で、試料を加熱した。測定は、1ヘルツの周波数で行った。
TA Instruments AR2000 EXレオメータを使用して、ポリマー試料のT(α)を測定することができる。-100℃から約125℃まで2℃/分の温度傾斜で、試料を加熱した。測定は、1ヘルツの周波数で行った。
ガラス転移温度法:
TA Instruments Q2000 DSCを使用して、ポリマー試料のガラス転移温度(Tg)を測定することができる。-50℃から約200℃まで10℃/分の温度傾斜で、試料を加熱した。転移温度は、第2の加熱に関して分析した。
TA Instruments Q2000 DSCを使用して、ポリマー試料のガラス転移温度(Tg)を測定することができる。-50℃から約200℃まで10℃/分の温度傾斜で、試料を加熱した。転移温度は、第2の加熱に関して分析した。
金属含有量法:
アイオノマーの金属イオン含有量は、DIN EN ISO 11885に従って、Thermo Scientific ICP-OES-ICAP 7400;CCD-検出器における誘導結合プラズマ発光分析(ICP-OES、ICP-AES、ICP原子分光法としても知られる)によって測定することができる。定量的決定のために、試料は、(例えば、石英ガラス容器内で、550℃の温度の電気オーブン内で30分間)焼却することができ、残渣を酸溶液(例えば、HCl水溶液(35%のHCl)、超純グレード)に取り込み、ICP-OESで分析される。
アイオノマーの金属イオン含有量は、DIN EN ISO 11885に従って、Thermo Scientific ICP-OES-ICAP 7400;CCD-検出器における誘導結合プラズマ発光分析(ICP-OES、ICP-AES、ICP原子分光法としても知られる)によって測定することができる。定量的決定のために、試料は、(例えば、石英ガラス容器内で、550℃の温度の電気オーブン内で30分間)焼却することができ、残渣を酸溶液(例えば、HCl水溶液(35%のHCl)、超純グレード)に取り込み、ICP-OESで分析される。
BET表面積法:
窒素吸着によるBET法に従う比表面積の決定を、DIN 9277:2010に従って、Beckman CoulterからのSurface Area Analyzer SA 3100を使用して実施した(3M Company,St.Paul,MN,USAから入手可能なポリテトラフルオロエテン(PTFE)TF2071Zを参照物質として使用する動的定量分析。TF2071 Zは、9.9m2/g+/-0.4m2/gの表面積を有する)。
窒素吸着によるBET法に従う比表面積の決定を、DIN 9277:2010に従って、Beckman CoulterからのSurface Area Analyzer SA 3100を使用して実施した(3M Company,St.Paul,MN,USAから入手可能なポリテトラフルオロエテン(PTFE)TF2071Zを参照物質として使用する動的定量分析。TF2071 Zは、9.9m2/g+/-0.4m2/gの表面積を有する)。
試料の容器ユニット(12mlの容積を有する試料容器、スライドインチューブ、及び蓋からなる)を最初に、分析天秤で室温にて秤量した。次いで、2g~3gの乾燥アイオノマー試料を試料容器に導入し、スライドインチューブを挿入して、蓋を閉じた。アイオノマー試料を含有する試料容器ユニットを、分析装置内で80℃で180分間加熱し、次いで再度秤量して、脱気アイオノマーの正確な質量を得た。比表面積分析を、複数の点測定を使用して、Surface Area Analyzer SA 3100において-196℃での窒素吸着(99.99%純度の窒素)によって実行した。各試料を二通りの測定に供した。
実施例1(凍結造粒);EX1:
水性PFSAアイオノマー分散液(固形分11.1重量%)を凍結造粒に供した。
水性PFSAアイオノマー分散液(固形分11.1重量%)を凍結造粒に供した。
分散液は、一般に、TFE及びF2C=CF-O-CF2CF2CF2CF2SO2Fを水性エマルジョン重合において重合し、続いてスルホニルポリマーを加水分解して遊離スルホン酸ポリマーを提供することによって得た。モノマーは、950の当量(EW)を作成する量で使用した。PFSAアイオノマーは、106個の炭素原子当たり100個未満の不安定な末端基を有した(後フッ素化)。SO2F前駆体ポリマーは、0.2g/10分の265℃/5kg荷重でのMFI(MFI265/5)を有した。
凍結造粒を、PowderPro AB,SwedenからのPOWDERPRO凍結造粒機LS-2を使用して実施した。1Lビーカーに液体窒素を充填し、磁気撹拌器により400rpmで撹拌した。アイオノマー懸濁液を、2リットル/時の流量及び0.2barの窒素で、2物質ノズル内で微細噴霧に霧化し、撹拌液体窒素中に噴霧して液滴を瞬時に凍結させた。その後の凍結乾燥工程において、凍結顆粒を、Martin Christ Gefriertrocknungsanlagen GmbH,GermanyからのALPHA 2-4 LSCplus凍結乾燥機内で氷の昇華によって、1.5barの真空下で乾燥させた。1.5mbarの真空を維持しながら、24時間以内に温度を18℃に上昇させた。乾燥後工程において、圧力を1.5mbarから0.5mbarまで更に低下させながら、温度を6時間以内に18℃から22℃まで上昇させた。合計30時間の乾燥後、真空を解除した。得られた材料の特性を、表1に示す。得られた粉末をn-プロパノール/水(60重量%/40重量%)中に、20重量%のアイオノマー含有量を得る濃度で懸濁させて、得られた分散液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
実施例2(凍結造粒);EX2:
水性PFSAアイオノマー分散液(固形分8.5重量%)を、実施例1に記載されるものと同じ処理に供した。TFEを異なるコモノマー:CF2=CF-O-CF2CF(CF3)-O-CF2CF2SO2Fと共重合したことを除いて実施例1に記載されるように得た。モノマーは、1070のEWを与える量で使用した。得られた粉末をn-プロパノール/水(60重量%/40重量%)中に、20重量%のアイオノマー含有量を与える濃度で懸濁させて、得られた分散液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
水性PFSAアイオノマー分散液(固形分8.5重量%)を、実施例1に記載されるものと同じ処理に供した。TFEを異なるコモノマー:CF2=CF-O-CF2CF(CF3)-O-CF2CF2SO2Fと共重合したことを除いて実施例1に記載されるように得た。モノマーは、1070のEWを与える量で使用した。得られた粉末をn-プロパノール/水(60重量%/40重量%)中に、20重量%のアイオノマー含有量を与える濃度で懸濁させて、得られた分散液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
実施例3(噴霧乾燥);EX3:
モノマーが、800の当量(EW)を提供する量で使用されたことを除いて、実施例1に記載されるように水性PFSAアイオノマー分散液を得た。PFSAアイオノマーは、106個の炭素原子当たり100個未満の不安定な末端基を有した。スルホニルフルオリド前駆体は18g/10分のMFI(265/5)を有した。PFSA分散液(固形分13重量%)を噴霧乾燥に供した。噴霧乾燥は、ProCepT n.v.,Zelzate,Belgium製のガラスからの並流噴霧乾燥装置を使用して実施した。アイオノマー分散液を、5g/分の速度で噴霧乾燥機に投入した。内径0.8mmの二流体ノズル及び4.2l/分のノズルガス(空気)速度を使用した。供給された分散液を熱風によって加熱した。空気を0.4m3/分の速度で投入し、吸気入口温度を160℃の温度に設定した。出口温度は80℃であった。得られた粉末を、n-プロパノール/水(60重量%/40重量%)中に20重量%のアイオノマー含有量を与える濃度で分散させて、得られた分散液の粘度を異なる剪断速度で測定した。結果を表1に示す。
モノマーが、800の当量(EW)を提供する量で使用されたことを除いて、実施例1に記載されるように水性PFSAアイオノマー分散液を得た。PFSAアイオノマーは、106個の炭素原子当たり100個未満の不安定な末端基を有した。スルホニルフルオリド前駆体は18g/10分のMFI(265/5)を有した。PFSA分散液(固形分13重量%)を噴霧乾燥に供した。噴霧乾燥は、ProCepT n.v.,Zelzate,Belgium製のガラスからの並流噴霧乾燥装置を使用して実施した。アイオノマー分散液を、5g/分の速度で噴霧乾燥機に投入した。内径0.8mmの二流体ノズル及び4.2l/分のノズルガス(空気)速度を使用した。供給された分散液を熱風によって加熱した。空気を0.4m3/分の速度で投入し、吸気入口温度を160℃の温度に設定した。出口温度は80℃であった。得られた粉末を、n-プロパノール/水(60重量%/40重量%)中に20重量%のアイオノマー含有量を与える濃度で分散させて、得られた分散液の粘度を異なる剪断速度で測定した。結果を表1に示す。
実施例4(凍結乾燥);EX4:
実施例3のアイオノマー分散液を凍結乾燥に供した。凍結乾燥は、Martin Christ Gefriertrocknungsanlagen GmbH,GermanyからのALPHA 2-4 LSCplus凍結乾燥機を使用して実施した。試料パンを、アイオノマー分散液で約10mmの液体レベルに充填し、凍結乾燥機に入れて、-65℃の設定棚温度で19時間アイオノマー分散液を凍結した。凍結アイオノマー分散液を、真空下で氷の昇華によって乾燥させた。1.5mbarの真空を、-65℃に設定した棚温度で10分以内に1barから0.2mbarまで圧力低下させて適用した。0.2mbarの真空を維持しながら、2時間以内に温度を40℃に上昇させた。温度を0.2mbarで、40℃に25時間保持した。27時間の乾燥後、真空を解除した。得られた粉末をn-プロパノール/水(60重量%/40重量%)中に、20重量%のアイオノマー含有量を与える濃度で分散させて、得られた分散液の粘度を異なる剪断速度で測定した。結果を表1に示す。
実施例3のアイオノマー分散液を凍結乾燥に供した。凍結乾燥は、Martin Christ Gefriertrocknungsanlagen GmbH,GermanyからのALPHA 2-4 LSCplus凍結乾燥機を使用して実施した。試料パンを、アイオノマー分散液で約10mmの液体レベルに充填し、凍結乾燥機に入れて、-65℃の設定棚温度で19時間アイオノマー分散液を凍結した。凍結アイオノマー分散液を、真空下で氷の昇華によって乾燥させた。1.5mbarの真空を、-65℃に設定した棚温度で10分以内に1barから0.2mbarまで圧力低下させて適用した。0.2mbarの真空を維持しながら、2時間以内に温度を40℃に上昇させた。温度を0.2mbarで、40℃に25時間保持した。27時間の乾燥後、真空を解除した。得られた粉末をn-プロパノール/水(60重量%/40重量%)中に、20重量%のアイオノマー含有量を与える濃度で分散させて、得られた分散液の粘度を異なる剪断速度で測定した。結果を表1に示す。
比較例1(オーブン乾燥)
本質的に、TFE及びF2C=CF-O-CF2CF2CF2CF2SO2Fを水性エマルジョン重合において重合し、続いて、スルホニルポリマーを加水分解して、遊離スルホン酸ポリマー(800のEW、118℃のTアルファ、106個の炭素原子当たり100個未満の不安定な末端期(後フッ素化))を提供することによってペルフルオロスルホン酸(PFSA)アイオノマー組成物を得た。溶液を開放HDPEボトルに保ち、表2に示すように異なる温度及び時間で、異なる水分レベルまで乾燥させた。得られた破砕性PFSA固体(平均で約5mmの粒子径のチャンク;BET表面積は0.001m2/g未満であった)を、n-プロパノール/水(60重量%/40重量%)中に、20重量%のアイオノマー含有量を与える濃度で再分散させて得られた分散液の粘度を測定した。結果をまた表2に示す。
本質的に、TFE及びF2C=CF-O-CF2CF2CF2CF2SO2Fを水性エマルジョン重合において重合し、続いて、スルホニルポリマーを加水分解して、遊離スルホン酸ポリマー(800のEW、118℃のTアルファ、106個の炭素原子当たり100個未満の不安定な末端期(後フッ素化))を提供することによってペルフルオロスルホン酸(PFSA)アイオノマー組成物を得た。溶液を開放HDPEボトルに保ち、表2に示すように異なる温度及び時間で、異なる水分レベルまで乾燥させた。得られた破砕性PFSA固体(平均で約5mmの粒子径のチャンク;BET表面積は0.001m2/g未満であった)を、n-プロパノール/水(60重量%/40重量%)中に、20重量%のアイオノマー含有量を与える濃度で再分散させて得られた分散液の粘度を測定した。結果をまた表2に示す。
実施例は、本開示によるPFSAアイオノマーが容易に再懸濁され、広範囲の異なる剪断速度(1/秒~1000/秒)にわたって低粘度の懸濁液を提供することできることを実証している。粘度は、異なる剪断速度にわたって大幅に変化しない(1/秒での粘度の1000/秒での粘度の計算比は、約0.9~約1.20である)。
比較例1で実証されたように、容易に分散性のPFSA-アイオノマー組成物が、非常に特異的かつ注意深く制御された乾燥レジュームによって調製され得るが、粘度はより高くなり1/秒対1000/秒での粘度比は1.24以上であるように見える。
以下の特許請求の範囲に列挙される全ての方法は、本開示の例示的なセクションで説明される方法を指す。
Claims (19)
- ペルフルオロスルホン酸(PFSA)アイオノマーを含む粒子であって、前記粒子は、BET表面積法に従って測定される少なくとも0.1g/m2のBET表面積を有し、前記ペルフルオロスルホン酸(PFSA)アイオノマーは、(i)テトラフルオロエテン(TFE)から誘導され、かつ式-[CF2-CF2]-によって表される2価の単位と、(ii)式(I)によって表される2価の単位
と、を含む、粒子。 - 前記粒子が、水分含有量法に従って測定される2%~15%の水分含有量を有する、請求項1又は2に記載の粒子。
- 前記粒子が、粒子径法に従って測定された際、5μm~500μmの範囲の平均粒子径(D50)を有し、前記粒子の少なくとも90%(D90)が、2mm以下の粒子径を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の粒子。
- 前記ペルフルオロスルホン酸(PFSA)アイオノマーが、当量法に従って測定された際、300~2000の当量を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の粒子。
- 前記粒子のBET表面積が、少なくとも1g/m2である、請求項1~5のいずれか一項に記載の粒子。
- 前記ペルフルオロスルホン酸(PFSA)アイオノマーが、600~1400の当量を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の粒子。
- 凍結乾燥、凍結造粒、噴霧乾燥、又はそれらの組み合わせを含むプロセスによって得られる、請求項1~7のいずれか一項に記載の粒子。
- 水、1個~5個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、又はそれらの組み合わせを含む液体中に分散された、請求項1~8のいずれか一項に記載の粒子の分散液を含む組成物であって、前記分散液が、前記分散液の総重量に基づいて、少なくとも5重量%かつ50重量%以下の前記粒子を含み、20℃で粘度法に従って測定された際、1/秒の剪断速度及び1000/秒の剪断速度の両方で、400mPa*s未満の粘度を有する、組成物。
- 前記分散液が、1/秒の剪断速度及び1000/秒の剪断速度の両方で、150mPa*s未満の粘度を有する、請求項9に記載の組成物。
- 前記分散液が、前記分散液の総重量に基づいて、5重量%~10重量%の前記粒子を含む、請求項9又は10に記載の組成物。
- 前記分散液が、前記分散液の総重量に基づいて、20重量%~30重量%の前記粒子を含む、請求項9又は10に記載の組成物。
- 前記1/秒の剪断速度における粘度の、前記1000/秒の剪断速度における粘度に対する比が、0.9~1.2である、請求項9~12のいずれか一項に記載の組成物。
- 請求項9~11のいずれか一項に記載の組成物と、少なくとも1つの触媒とを含む、触媒インク。
- 請求項9~11のいずれか一項に記載の組成物と、負極又は正極を製造するための活物質とを含む、電極用のバインダー。
- 請求項1~8のいずれか一項に記載の粒子を製造する方法であって、ペルフルオロスルホン酸(PFSA)アイオノマーの水性組成物を、凍結乾燥、凍結造粒、噴霧乾燥、又はそれらの組み合わせから選択される乾燥工程に供することを含む、方法。
- 前記乾燥工程が、凍結乾燥を含む、請求項14に記載の方法。
- 前記乾燥工程が、凍結造粒を含む、請求項14に記載の方法。
- 膜を製造する方法であって、請求項1~8のいずれか一項に記載のアイオノマー粒子を、水、1個~5個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、又はそれらの組み合わせを含む液体と組み合わせて、分散液を形成することと、前記分散液を膜としてキャストすることと、を含む、方法。
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