JP4931299B2 - 潤滑油組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、潤滑油組成物に関し、詳しくは、中温から高温における省燃費性に優れる潤滑油組成物に関し、さらに詳しくは省燃費性に加え、湿式クラッチの摩擦特性に優れる、特に二輪車用4サイクルエンジン用として好適に用いられる潤滑油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の環境問題、特に二酸化炭素の排出量削減の観点から、自動車の省燃費化は重要課題の1つであり、そのために自動車の軽量化、燃焼の改善及びエンジンの低摩擦化、駆動系装置の開発・改良等が検討されている。例えば、エンジンの低摩擦化では、動弁系構造の改良、ピストンリングの本数低減、摺動部材の表面粗さ低減等の材料面からの改良と共に、希薄燃焼エンジンや燃料直接噴射エンジンの開発、省燃費エンジン油の適用が進められている。また、駆動系装置においては、手動変速機、自動変速機等の材料面からの低摩擦化だけでなく、スリップロックアップクラッチ付きの自動変速機や、金属ベルト式あるいはトロイダル式等の無段変速機等、動力伝達性能に優れた新しい技術が開発され、省燃費性能の向上が図られている。さらに最近では、低粘度化や低摩擦化による省燃費性能を有し、かつ湿式クラッチや金属ベルト等の動力伝達性能に優れた適正な摩擦特性を有する変速機油が要望されている。
【0003】
また、エンジンだけでなく変速機や変速機の動力伝達部(湿式クラッチ)を1つのクランクケースに納めた二輪車用4サイクルエンジンに使用される潤滑油においては、エンジン油及び変速機油の双方の要求性能を満たす必要があるが、上記同様、省燃費性能への要望が高まってきている。そして上述のエンジンや駆動装置並びに二輪車用4サイクルエンジンは小型・軽量化、高出力化がさらに進められ、それに伴い、これらに使用される潤滑油への熱負荷がこれまで以上に高くなり、したがって、80℃程度の中温のみならず、高温における省燃費性能も重視される傾向にある。特に二輪車用4サイクルエンジンは四輪車のエンジンと比べエンジンの回転数領域が広い上に常用回転数が高く、走行条件によりエンジン油温度が低温から高温まで大きく変動するため、低温から高温においても安定した省燃費性能を有するエンジン油が要望される。
【0004】
一方、ガソリン車、特に最近ではディーゼル車あるいは二輪車においては、排ガス浄化のために、EGR装置や、三元触媒や酸化触媒、パティキュレートフィルタ(DPF)等の排ガス浄化装置が装着され始めており、これらの排ガス処理装置の性能維持を目的として、ガソリンやディーゼル燃料の低硫黄化が進められている。また、これと併せ、上記と同様な目的からエンジン油においてはさらなる低灰化や低リン化が検討されはじめている。エンジン油の低灰化や低リン化には、金属系清浄剤の使用量を低減や、優れた酸化防止剤兼摩耗防止剤として添加されるジチオリン酸亜鉛の使用量を低減したり、あるいはこれを使用しない試みが為されているが、従来のエンジン油の性能を損ねる可能性があり、低灰化、低リン化は極めて困難な課題となっている。
【0005】
省燃費エンジン油としては、例えば、特開平8−302378号公報には、特定の潤滑油基油に特定の添加剤(アルカリ土類金属サリシレート系清浄剤、モリブデンジチオカーバメート系摩擦低減剤等)を特定量含有するエンジン油組成物が提案されている。また特開2000−087070号公報には、特定の基油に特定の添加剤(金属系清浄剤、摩擦調整剤等)を含有させることでオイル消費量を低減し、エンジン回転数が3000〜13000rpmにかけて優れた省燃費性能を有する二輪車用4サイクルエンジン油組成物が提案されている。しかしながら、これらの省燃費エンジン油をそのまま二輪車用4サイクルエンジンに適用した場合、湿式クラッチの滑りが著しく、クラッチの動力伝達能力に劣るだけでなく、変速フィーリングの悪化、摩擦材の加熱、焼け、摩耗、破損等の発生が懸念され、省燃費性と湿式クラッチの滑り防止を両立することが極めて困難であることは当業者の常識的な見解となっていた。したがって、このような省燃費エンジン油はクラッチ滑り対策がなされた特殊な二輪車への適用にとどまり、広く一般に使用可能な、中温から高温において省燃費に優れ、かつ湿式クラッチの摩擦特性に優れた二輪車用4サイクルエンジン油が切望されていた。
なお、従来から変速機油に有機モリブデン化合物を含有させると、湿式クラッチにおける静摩擦特性が極めて悪化することが知られており、従って有機モリブデンを含有する省燃費型の駆動系装置用潤滑油組成物は実用上存在していない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記特開平8−302378号公報や特開2000−087070号公報の実施例に示されるような有機モリブデン化合物とアルカリ土類金属サリシレートを配合した従来の省燃費エンジン油において、排ガス浄化装置を装着したエンジン用潤滑油組成物の開発を目的に、アルカリ土類金属サリシレートの含有量を低減して低灰化した場合の省燃費性能と湿式クラッチの摩擦特性を検討した。その結果、近年の熱負荷増加により重要となっている中温から高温における摩擦特性が悪化(省燃費性能が悪化)しやすくなること、さらには湿式クラッチの摩擦特性が極めて悪化しやすくなることが判明した。なお、従来の上記省燃費エンジン油においても、高温における省燃費性は満足できるものではないことも同時に判明した。
【0007】
また、本発明者らは、省燃費性能と湿式クラッチ滑り防止性能を両立でき、JASO T 903−98規定の性能分類上MA級(クラッチ滑りが発生しない)と判定される二輪車用4サイクルエンジン油組成物を見出し、既に特許出願している(特願2000−028919号明細書)。しかし、発進時や変速直後の加速応答性の指標となる静摩擦特性においては更に改善の余地があることが判明した。また金属系清浄剤の含有量を低減した低灰型(低硫酸灰分量型)の組成物、さらにはこれと共に、ジチオリン酸亜鉛の含有量を低減した低灰、低リン型の組成物についても更に検討する余地があることが判明した。
【0008】
従って本発明の課題は、有機モリブデン化合物を含有する省燃費型の潤滑油組成物において、金属系清浄剤を低減した場合でも、熱負荷増大に伴う中温から高温に渡り優れた省燃費性能を有する潤滑油組成物を提供することである。
また、本発明の課題は、有機モリブデン化合物を含有する省燃費型の潤滑油組成物において、組成物中の硫酸灰分量及びリン元素量を抑え、上述のような排ガス浄化装置装着車に対して好適に用いられる潤滑油組成物を提供することである。更に、本発明の課題は、有機モリブデン化合物を含有する省燃費型の潤滑油組成物において、中温から高温における省燃費性に優れ、かつ発進時や変速直後の加速応答性の指標となる湿式クラッチにおける静摩擦特性が改善された潤滑油組成物を提供することである。
更にまた、本発明の課題は、有機モリブデン化合物を含有する省燃費型の潤滑油組成物において、低温から高温までの省燃費性能を改善し、JASO T 903−98規定の性能分類上、MA(クラッチ滑りがないと判定される)となる湿式クラッチの摩擦特性が改善された潤滑油組成物を提供することである。
そして更に、本発明の課題は、有機モリブデン化合物を含有しない(省燃費性能を有しない)二輪車用4サイクルエンジン油における湿式クラッチの摩擦特性と同等程度に摩擦特性が改善され、かつ低温から高温に渡り省燃費性能に優れた二輪車用4サイクルエンジンに好適な潤滑油組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、潤滑油基油に、(A)有機モリブテン化合物、(B)コハク酸イミド系無灰分散剤、(C)アルカリ土類金属系清浄剤、(D)ジチオリン酸亜鉛、及び(E)リン酸エステル系摩耗防止剤をそれぞれ特定量でかつ特定割合を含有させることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、鉱油及び/又は合成油からなる基油に、組成物全量基準で、
(A)有機モリブデン化合物をモリブデン元素換算量で0.003〜0.1質量%、
(B)ホウ素含有コハク酸イミド及び/又はホウ素を含有しないコハク酸イミドを窒素元素換算量で0.08〜0.3質量%、かつ前記(A)成分のモリブデン元素換算量に対する前記(B)成分の窒素元素換算量の質量比が1.6以上、
(C)アルカリ土類金属系清浄剤をアルカリ土類金属元素換算量で0.01〜0.16質量%、(D)ジチオリン酸亜鉛を亜鉛元素換算量で0.01〜0.1質量%、
(E)リン酸エステル類、亜リン酸エステル類及びこれらの塩から選ばれる少なくとも1種をリン元素換算量で0〜0.1質量%
それぞれ含有してなり、かつ組成物中の硫酸灰分が組成物全量基準で1質量%以下であることを特徴とする潤滑油組成物にある。
【0011】
本発明の潤滑油組成物において、前記(A)成分がモリブデンジチオカーバメートであることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物において、前記(B)成分が、ホウ素含有コハク酸イミドとホウ素を含有しないモノ及び/又はビスコハク酸イミドからなり、かつホウ素含有コハク酸イミドの含有量が、組成物全量基準で、ホウ素元素換算量で、0.005〜0.2質量%であることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物において、前記(C)成分が、組成物全量基準で、アルカリ土類金属元素換算量で、0.01〜0.07質量%であることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物において、前記(D)成分の含有量が亜鉛元素換算量で0.01〜0.06質量%であることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物において、組成物中の硫酸灰分量が組成物全量基準で0.7質量%以下であることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物において、組成物中のリン元素含有量が組成物全量基準で0.08質量%以下であることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、排ガス浄化装置装着車用エンジン油として用いることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、二輪車用4サイクルエンジン油として用いることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の摩擦特性が改善された潤滑油組成物を説明する。
本発明における潤滑油基油は、特に限定されるものではなく、通常エンジン油組成物の基油として用いられているものであれば、鉱油、合成油を問わず使用することができる。鉱油系基油としては、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄及び白土処理等の精製処理等を適宜組み合わせて精製したパラフィン系、ナフテン系等の潤滑油基油等が例示できる。
【0013】
また合成系基油としては、ポリ−α−オレフィン(例えば、ポリブテン、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンオリゴマー等)若しくはその水素化物、イソブテンオリゴマー若しくはその水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル類(例えば、ジブチルマレエート、ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等)、α−オレフィンとジエステル類との共重合体、ポリオールエステル(例えば、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトールー2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等が例示できる。
【0014】
本発明における潤滑油基油は、上記鉱油系基油または合成系基油を単独で用いることができるほか、2種類以上の鉱油系基油、または2種類以上の合成系基油の混合物であっても差し支えなく、鉱油系基油と合成油系基油の混合物であっても差し支えない。そして、上記混合物における2種類以上の基油の混合比は、任意に選ぶことができる。また本発明における潤滑油基油の芳香族分は、格別の限定はないが、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以下、2質量%以上であることが特に好ましい。ここで芳香族分は、ASTM D2549に準拠して測定した芳香族留分(aromatics fraction)含有量を意味する。
【0015】
本発明における潤滑油基油は、その粘度に格別の限定はないが、100℃における動粘度の下限値は2mm/sであることが好ましく、更に好ましくは3mm/sである。一方、100℃における動粘度の上限値は10mm/sであることが好ましく、更に好ましくは8mm/sである。潤滑油基油の100℃における動粘度を2mm/s以上とすることによって、十分な油膜形成が可能であり、潤滑性により優れ、また、高温条件下での基油の蒸発損失がより小さい、すなわち油消費量が少ない潤滑油組成物を得ることが可能となる。一方、100℃における動粘度を10mm/s以下とすることによって流体抵抗が小さくなるため、潤滑個所での摩擦抵抗がより小さい、すなわち省燃費性能に優れた潤滑油組成物を得ることが可能となる。
【0016】
また、本発明における潤滑油基油の粘度指数に格別の限定はないが、80以上であることが好ましく100以上であることがさらに好ましく、粘度指数が120以上である潤滑油基油を15質量%以上含有することがさらに好ましく、粘度指数が120以上である潤滑油基油とすることが特に好ましい。粘度指数を80以上とすることで、省燃費性に優れ、高温条件下での基油の蒸発損失がより小さい潤滑油組成物を得ることが可能となる。
また、本発明の潤滑油基油のNOACK蒸発量は20質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは16質量%以下でり、特に好ましくは10質量%以下である。潤滑油基油のNOACK蒸発量を20質量%以下とすることで、高温条件下での潤滑油の蒸発損失がより小さく、排ガス浄化装置やピストンや燃焼室への堆積による悪影響を回避可能な潤滑油組成物を得ることが可能となる。なお、ここでいうNOACK蒸発量とは、CEC L−40−T−87に準拠して、250℃、−20mmH2O、1時間の条件下で潤滑油試料60gを蒸発させたときの蒸発量を意味する。
【0017】
本発明の潤滑油組成物における(A)成分は有機モリブデン化合物であり、(B)成分はホウ素含有コハク酸イミド及び/又はホウ素を含有しないコハク酸イミドであり、(C)成分はアルカリ土類金属系清浄剤であり、(D)成分はジチオリン酸亜鉛であり、そして(E)成分は、リン酸エステル類、亜リン酸エステル類及び/又はそれらの塩(以下、総称して(亜)リン酸エステル系化合物ともいう)である。
【0018】
以下に、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、そして(E)成分について順に詳述する。
(A)成分としては、例えば、ジチオカルバミン酸モリブデンおよびジチオリン酸モリブデン等を挙げることができる。ジチオカルバミン酸モリブデンとしては、具体的には下記の一般式(1)で表される化合物を例示することができる。また、ジチオリン酸モリブデンとしては、具体的には下記の一般式(2)で表される化合物を例示することができる。
【0019】
【化1】
Figure 0004931299
【0020】
一般式(1)において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ個別に、炭素数1〜24の炭化水素基を示し、a及びbは、a=0〜4、b=0〜4であり、かつa+b=4である整数を示す。
【0021】
【化2】
Figure 0004931299
【0022】
一般式(2)において、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ個別に、炭素数1〜24の炭化水素基を示し、c及びdは、c=0〜4、d=0〜4であり、かつc+d=4である整数を示す。
【0023】
一般式(1)のR1、R2、R3及びR4、及び一般式(2)のR5、R6、R7及びR8で表される炭素数1〜24の炭化水素基の好ましい例としては、それぞれ個別に炭素数1〜24の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数5〜13のシクロアルキル基又は直鎖状若しくは分枝状アルキルシクロアルキル基、炭素数3〜24の直鎖状又は分枝状のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基又は直鎖状若しくは分枝状アルキルアリール基、炭素数7〜19のアリールアルキル基等を挙げることができる。上記アルキル基やアルケニル基は、第1級でも、第2級でも、第3級であってもよい。
【0024】
上記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8で表されるアルキル基の例としては、具体的には、それぞれ個別に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基及びテトラコシル基等のアルキル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)を挙げることができる。
【0025】
上記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8で表されるシクロアルキル基、およびアルキルシクロアルキル基の例としては、具体的には、それぞれ個別にシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、エチルシクロペンチル基、プロピルシクロペンチル基、エチルメチルシクロペンチル基、トリメチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、エチルジメチルシクロペンチル基、プロピルメチルシクロペンチル基、プロピルエチルシクロペンチル基、ジプロピルシクロペンチル基、プロピルエチルメチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、プロピルシクロヘキシル基、エチルメチルシクロヘキシル基、トリメチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、エチルジメチルシクロヘキシル基、プロピルメチルシクロヘキシル基、プロピルエチルシクロヘキシル基、ジプロピルシクロヘキシル基、プロピルエチルメチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、エチルシクロヘプチル基、プロピルシクロヘプチル基、エチルメチルシクロヘプチル基、トリメチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基、エチルジメチルシクロヘプチル基、プロピルメチルシクロヘプチル基、プロピルエチルシクロヘプチル基、ジプロピルシクロヘプチル基、プロピルエチルメチルシクロヘプチル基等のアルキルシクロアルキル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良く、またアルキル基のシクロアルキル基への結合位置も任意である)を挙げることができる。
【0026】
上記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8で表されるアルケニル基の例としては、具体的には、それぞれ個別にプロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ブタジエニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オレイル基等のオクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基等のアルケニル基(これらのアルケニル基は直鎖状でも分枝状でも良く、また二重結合の位置も任意である)を挙げることができる。
【0027】
上記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8で表されるアリール基、及びアルキルアリール基の例としては、それぞれ個別に、フェニル基、ナフチル基等のアリール基;トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、エチルメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、ブチルフェニル基、プロピルメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、エチルジメチルフェニル基、テトラメチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等のアルキルアリール基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良く、またアルキル基のアリール基への結合位置も任意である)を挙げることができる。
【0028】
上記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8で表されるアリールアルキル基の例としては、それぞれ個別にベンジル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、フェネチル基、メチルフェネチル基、ジメチルフェネチル基等のアリールアルキル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良く、またアリール基のアルキル基への結合位置も任意である)を挙げることができる。
【0029】
上記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ個別に、直鎖状又は分枝状の炭素数1〜18のアルキル基である場合、若しくは炭素数6〜18のアリール基又は直鎖状若しくは分枝状アルキルアリール基である場合が特に好ましい。
【0030】
本発明の(A)成分として特に好ましいジチオカルバミン酸モリブデンとしては、具体的には、一般式(1)において、R1、R2、R3及びR4が、それぞれ個別に、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、及びトリデシル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)であり、かつa=4、b=0であるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン;一般式(1)において、R1、R2、R3及びR4が、それぞれ個別に、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、及びトリデシル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)であり、かつa=0、b=4であるジアルキルジチオカルバミン酸硫化モリブデン;一般式(1)において、R1、R2、R3及びR4が、それぞれ個別に、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、及びトリデシル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)であり、かつa=1〜3、b=1〜3、a+b=4であるジアルキルジチオカルバミン酸オキシ硫化モリブデン;並びにジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン、ジアルキルジチオカルバミン酸硫化モリブデン及びジアルキルジチオカルバミン酸オキシ硫化モリブデンの中から選ばれる2種以上の化合物の任意混合比での混合物等が例示できる。またさらにこれらの化合物は、1分子中に異なる炭素数や異なる構造のアルキルを有する化合物であっても良い。
【0031】
一般式(2)で表される特に好ましいジチオリン酸モリブデンとしては、具体的には、R5、R6、R7及びR8が、それぞれ個別に、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、及びトリデシル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)であり、かつc=4、d=0であるジアルキルジチオリン酸モリブデン;一般式(2)において、R5、R6、R7及びR8が、それぞれ個別に、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、及びトリデシル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)であり、かつc=0、d=4であるジアルキルジチオリン酸硫化モリブデン;一般式(2)において、R5、R6、R7及びR8が、それぞれ個別に、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、及びトリデシル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)であり、かつc=1〜3、d=1〜3、c+d=4であるジアルキルジチオリン酸オキシ硫化モリブデン;並びにジアルキルジチオリン酸モリブデン、ジアルキルジチオリン酸硫化モリブデン及びジアルキルジチオリン酸オキシ硫化モリブデンの中から選ばれる2種以上の化合物の任意混合比での混合物等が例示できる。またさらにこれらの化合物は、1分子中に異なる炭素数や異なる構造のアルキルを有する化合物であっても良い。
【0032】
本発明の潤滑油組成物における有機モリブデン化合物としては、上記の他に、例えばコハク酸イミド等の塩基性窒素化合物、三酸化モリブデン等の酸性モリブデン化合物及び硫化水素や五硫化リン等の硫黄化合物との反応生成物である有機モリブデン錯体等も好ましい例として挙げられる。
本発明の潤滑油組成物において、(A)有機モリブデン化合物の含有量の下限値は、組成物全量基準で、モリブデン元素換算量で0.003質量%であり、好ましくは0.01質量%である。一方、その含有量の上限値は、組成物全量基準で、モリブデン元素換算量で0.1質量%であり、好ましくは0.08質量%、特に好ましくは0.06質量%である。有機モリブデン化合物(A)の含有量が、上記下限値未満である場合は、際立った省燃費効果が得られず、一方、有機モリブデン化合物(A)の含有量が、上記上限値を超える場合は、含有量に見合うだけの省燃費効果の向上が得られず、また、湿式クラッチにおける摩擦特性を悪化させるため、それぞれ好ましくない。
本発明の潤滑油組成物においては、ジチオリン酸モリブデン、ジチオカルバミンン酸モリブデンが好ましく用いられるが、他の成分との相乗効果により低温から高温に渡り省燃費性能を向上させ、かつ湿式クラッチにおける摩擦特性を格段に向上できることから、ジチオカルバミン酸モリブデンであることが特に好ましい。
【0033】
(B)成分は、ホウ素含有コハク酸イミド及び/又はホウ素を含有しないコハク酸イミドである。
ホウ素を含有しないコハク酸イミドとしては、下記の一般式(3)で表されるモノコハク酸イミド、一般式(4)で表されるビスコハク酸イミド及びこれらを含酸素有機化合物で変性したもの等が例示できる。
【0034】
【化3】
Figure 0004931299
【0035】
一般式(3)又は(4)において、R10、R11及びR12は、それぞれ個別にポリブテニル基を示し、nは2〜7の整数を示す。
【0036】
上記R10、R11及びR12で表されるポリブテニル基は、その数平均分子量が700以上であることが好ましく、更に好ましくは900以上であり、一方、ポリブテニル基の数平均分子量は3500以下であることが好ましく、更に好ましくは1500以下である。数平均分子量を700以上とすることによって、清浄性、分散性により優れた潤滑油組成物を得ることが可能となる。一方、数平均分子量を3500以下とすることによって、低温流動性により優れた潤滑油組成物を得ることが可能となる。スラッジ抑制効果に優れる点から、nの下限値は2で、好ましくは3であり、一方、nの上限値は7で、好ましくは6である。ここで、ポリブテニル基は、1-ブテンとイソブテンの混合物又は高純度イソブテンを塩化アルミニウム、フッ化ホウ素等の触媒で重合して得られるポリブテン(ポリイソブテン)から得ることができ、ポリブテン混合物中において末端にビニリデン構造を有するものが通常5〜100モル%含有される。また、このポリブテン(ポリイソブテン)としては、製造過程の触媒に起因し、残留する微量のフッ素分や塩素分を更に適当な処理法により除去されたものも使用することができ、従ってこれらのフッ素や塩素等のハロゲン元素の含有量は50質量ppm以下であることが好ましく、より好ましくは10質量ppm以下、更に好ましくは5質量ppm以下、特に好ましくは1質量ppm以下であるものも使用できる。
【0037】
一般式(3)又は(4)で表されるコハク酸イミドの製造法は特に制限はない。例えば、上記ポリブテンを塩素化したもの、好ましくは塩素やフッ素が充分除去されたポリブテンを無水マレイン酸と100〜200℃で反応させて得られるポリブテニルコハク酸を、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、あるいはペンタエチレンヘキサミン等のポリアミンと反応させる方法を利用することができる。なお、ビスコハク酸イミドを製造する場合は、該ポリブテニルコハク酸をポリアミンの2倍量(モル比)反応させれば良く、モノコハク酸イミドを製造する場合は、該ポリブテニルコハク酸とポリアミンを等量(モル比)で反応させれば良い。
【0038】
また、ホウ素を含有しないコハク酸イミドは、例えば、一般式(3)又は(4)で表される化合物に含酸素有機化合物等を作用させて残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した化合物であってもよい。
含酸素有機化合物としては、具体的には、例えば、ぎ酸、酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸等の炭素数1〜30のモノカルボン酸;シュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン酸若しくはこれらの無水物、又はエステル化合物;炭素数2〜6のアルキレンオキサイド;ヒドロキシ(ポリ)オキシアルキレンカーボネート等が挙げられる。このような含酸素有機化合物を作用させることで、例えば、一般式(3)又は(4)の化合物におけるアミノ基又はイミノ基の一部又は全部が下記の一般式(5)で示す構造になると推定される。
【0039】
【化4】
Figure 0004931299
【0040】
ここでR13は水素原子、炭素数1〜24のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、又は−O−(R14O)mHで表されるヒドロキシ(ポリ)オキシアルキレン基を示し、R14は炭素数1〜4のアルキレン基を示し、mは1〜5の整数を示す。
【0041】
ホウ素含有コハク酸イミドは、上記一般式(3)又は(4)の化合物にホウ素化合物を作用させたものである。
ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸エステル類等が挙げられる。ホウ酸としては、具体的には例えばオルトホウ酸、メタホウ酸及びテトラホウ酸等が挙げられる。ホウ酸塩としては、ホウ酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩等が挙げられ、より具体的には、例えばメタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム、過ホウ酸リチウム等のホウ酸リチウム;メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等のホウ酸ナトリウム;メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等のホウ酸カリウム;メタホウ酸カルシウム、二ホウ酸カルシウム、四ホウ酸三カルシウム、四ホウ酸五カルシウム、六ホウ酸カルシウム等のホウ酸カルシウム;メタホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム、六ホウ酸マグネシウム等のホウ酸マグネシウム;及びメタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等のホウ酸アンモニウム等が挙げられる。また、ホウ酸エステルとしては、ホウ酸と好ましくは炭素数1〜6の脂肪族アルコールとのエステル等が挙げられ、より具体的には例えば、ホウ酸モノメチル、ホウ酸ジメチル、ホウ酸トリメチル、ホウ酸モノエチル、ホウ酸ジエチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸モノプロピル、ホウ酸ジプロピル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸モノブチル、ホウ酸ジブチル、ホウ酸トリブチル等が挙げられる。
【0042】
本発明に使用されるホウ素含有コハク酸イミドは、そのホウ素量と窒素量の質量比(B/N比)に特に制限はないが、その下限値は0.2、好ましくは0.3、さらに好ましくは0.5であり、一方その上限値は1.2、好ましくは1、さらに好ましくは0.9である。B/N比が上記下限値未満の場合、本発明の効果が小さく、一方、B/N比が上記上限値を越える場合、酸化安定性に劣るため、それぞれ好ましくない。
【0043】
本発明においては、(B)成分として、上記ホウ素含有コハク酸イミドとホウ素を含有しないモノ又はビスコハク酸イミドをそれぞれ単独でも使用することができるが、湿式クラッチにおける摩擦特性をより改善できることから、上記ホウ素含有コハク酸イミドを単独あるいは上記ホウ素含有コハク酸イミドとホウ素を含有しないモノ及び/又はビスコハク酸イミドを併用することが好ましい。ホウ素含有コハク酸イミドとホウ素を含有しないコハク酸イミドを併用する場合の好ましい混合比(質量比)は、前者:後者が100:0〜20:80であり、更に好ましくは、90:10〜40:60であり、特に好ましくは70:30〜45:55である。
【0044】
本発明における(B)成分の含有量は、組成物全量基準で、窒素元素換算量で、その下限値は0.08質量%、好ましくは0.09質量%であり、一方、その上限値は0.3質量%、好ましくは0.2質量%である。(B)成分の含有量が組成物全量基準で、窒素元素換算量で、上記下限値に満たない場合は、中高温における省燃費性、湿式クラッチにおける摩擦特性が十分改善されず、一方、その含有量が組成物全量基準で、窒素元素換算量で、上記上限値を超える場合は、省燃費性、低温粘度特性の悪化及び抗乳化性が悪化するためそれぞれ好ましくない。また同様な理由から、上記ホウ素含有コハク酸イミドの含有量の下限値は、組成物全量基準でホウ素元素換算量で0.005質量%、好ましくは0.01質量%、更に好ましくは0.02質量%である。一方、その上限値は、組成物全量基準でホウ素元素換算量で0.2質量%、好ましくは0.1質量%、更に好ましくは0.08質量%、特に好ましくは0.05質量%である。ホウ素含有コハク酸イミドの含有量が上記上限値を超える場合は上記理由とともに、排ガス浄化装置への影響が懸念されるため、好ましくない。
【0045】
本発明の潤滑油組成物において、前記(A)成分のモリブデン元素換算量に対する(B)成分の窒素元素換算量の質量比は、その下限値が1.6であり、1.8であることが好ましく、2.1であることが特に好ましい。一方、当該質量比の上限値は100であり、10であることが好ましく、5であることがさらに好ましく、4であることが特に好ましい。当該質量比が上記下限値未満の場合、特に高温における省燃費性能に劣り、湿式クラッチにおける摩擦特性も十分改善できず、一方当該質量比が上記上限値を越える場合、十分な省燃費性能を得ることができないため、それぞれ好ましくない。
【0046】
(C)成分であるアルカリ土類金属系清浄剤について詳述する。この(C)成分には、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート及びアルカリ土類金属サリシレートが含まれる。本発明では、これらからなる群より選ばれる1種又は2種以上のアルカリ土類金属系清浄剤を使用することができる。
【0047】
アルカリ土類金属スルホネートとしては、分子量300〜1500、好ましくは400〜700のアルキル芳香族化合物をスルホン化することによって得られるアルキル芳香族スルホン酸のアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩及び/又はカルシウム塩であり、カルシウム塩が好ましく用いられる。
上記アルキル芳香族スルホン酸としては、具体的にはいわゆる石油スルホン酸や合成スルホン酸等が挙げられる。
上記石油スルホン酸としては、一般に鉱油の潤滑油留分のアルキル芳香族化合物をスルホン化したものやホワイトオイル製造時に副生する、いわゆるマホガニー酸等が用いられる。また合成スルホン酸としては、例えば洗剤の原料となるアルキルベンゼン製造プラントから副生したり、炭素数2〜12のオレフィン(エチレン、プロピレン等)のオリゴマーをベンゼンにアルキル化することにより得られる、直鎖状や分枝状のアルキル基を有するアルキルベンゼンをスルホン化したもの、あるいはジノニルナフタレン等のアルキルナフタレンをスルホン化したもの等が用いられる。またこれらアルキル芳香族化合物をスルホン化する際のスルホン化剤としては特に制限はないが、通常発煙硫酸や無水硫酸が用いられる。本発明においては、これらアルカリ土類金属スルホネートのうち、石油系のものは中高温における省燃費性及び湿式クラッチにおける静摩擦特性を特に改善する効果があり、また、合成系のものは高温における省燃費性、動摩擦特性及び制動時間特性を特に改善する効果があるため、必要に応じて使いわけることができる。
【0048】
アルカリ土類金属フェネートとしては、例えば、アルキルフェノール、アルキルフェノールサルファイド、アルキルフェノールのマンニッヒ反応物のアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩及びカルシウム塩が挙げられる。具体的には、下記一般式(6)〜(8)で表されるものを挙げることができる。
【0049】
【化5】
Figure 0004931299
【0050】
【化6】
Figure 0004931299
【0051】
【化7】
Figure 0004931299
【0052】
上記一般式(6)、(7)、及び(8)において、R21、R22、R23、R24、R25及びR26はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数4〜30、好ましくは6〜18の直鎖又は分枝のアルキル基を示し、M1、M2及びM3は、それぞれアルカリ土類金属、好ましくはカルシウム又はマグネシウムを示し、xは1または2を示す。
【0053】
上記R21、R22、R23、R24、R25及びR26で表されるアルキル基としては、具体的には、それぞれ個別に、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、及びトリアコンチル基等が挙げられる。これらは直鎖でも分枝でもよい。これらはまた1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基でもよい。本発明においては、これらアルカリ土類金属フェネートは、低温から高温における省燃費性及び湿式クラッチにおける摩擦特性を改善できることから好ましく使用することができる。
【0054】
アルカリ土類金属サリシレートとしては、例えば、アリキルサリチル酸のアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩及びカルシウム塩が挙げられる。具体的には下記一般式(9)で表される化合物を挙げることができる。
【0055】
【化8】
Figure 0004931299
【0056】
一般式(9)において、R27は炭素数4〜30、好ましくは6〜18の直鎖又は分枝のアルキル基を示し、M4はアルカリ土類金属、好ましくはカルシウム又はマグネシウムを示す。
上記R27で表されるアルキル基としては、具体的には、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基等が挙げられ、これらは直鎖でも分枝でもよい。これらはまた1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基でもよい。本発明においては、低温から高温における省燃費性及び湿式クラッチの摩擦特性を極めて改善できることから好ましく使用することができる。
【0057】
アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート及びアルカリ土類金属サリシレートには、上記のアルキル芳香族スルホン酸、アルキルフェノール、アルキルフェノールサルファイド、アルキルフェノールのマンニッヒ反応物、アルキルサリチル酸等を直接、マグネシウム及び/又はカルシウムのアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物等のアルカリ土類金属塩基と反応させたり、又は一度ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩としてからアルカリ土類金属塩と置換させること等により得られる中性(正塩)アルカリ土類金属スルホネート、中性(正塩)アルカリ土類金属フェネート及び中性(正塩)アルカリ土類金属サリシレート;あるいは中性アルカリ土類金属スルホネート、中性アルカリ土類金属フェネート及び中性アルカリ土類金属サリシレートと過剰のアルカリ土類金属塩やアルカリ土類金属塩基を水の存在下で加熱することにより得られる塩基性アルカリ土類金属スルホネート、塩基性アルカリ土類金属フェネート及び塩基性アルカリ土類金属サリシレート;更には中性アルカリ土類金属スルホネート、中性アルカリ土類金属フェネート及び中性アルカリ土類金属サリシレートの存在下で、アルカリ土類金属の水酸化物と炭酸ガス又はホウ酸とを反応させることにより得られる過塩基性(超塩基性)アルカリ土類金属スルホネート、過塩基性(超塩基性)アルカリ土類金属フェネート及び過塩基性(超塩基性)アルカリ土類金属サリシレートも含まれる。
【0058】
本発明においては、上記の中性アルカリ土類金属塩、塩基性アルカリ土類金属塩、過塩基性(超塩基性)アルカリ土類金属塩及びこれらの混合物等を用いることができる。
アルカリ土類金属系清浄剤は、通常、軽質潤滑油基油等で希釈された状態で市販されており、また入手可能であるが、一般的にその金属含有量が1.0〜20質量%、好ましくは2.0〜16質量%のものを用いる。
本発明で用いるアルカリ土類金属系清浄剤の全塩基価は任意であるが、通常全塩基価が500mgKOH/g以下、好ましくは150〜450mgKOH/gである。全塩基価は、JIS K2501(1992)の「石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」の7.に準拠して測定される過塩素酸法による全塩基価を意味する。
【0059】
本発明におけるアルカリ土類金属系清浄剤(C)の含有量は、組成物全量基準で、アルカリ土類金属元素換算量で、その下限値は0.01質量%であり、好ましくは0.02質量%、さらに好ましくは0.04質量%である。一方その上限値は、0.16質量%であり、これにより低灰化が可能となるが、0.13質量%であることが好ましく、0.12質量%であることが更に好ましく、0.07質量%であることが特に好ましい。(C)成分の上記で規定する含有量が上記下限値未満の場合、中高温における省燃費性能及び湿式クラッチの摩擦特性が悪化し、一方、その含有量が0.16質量%を超える場合、湿式クラッチの摩擦特性は改善されるものの、低灰油とすることができず、排ガス浄化装置や燃焼室内への堆積が懸念されるため、それぞれ好ましくない。
【0060】
(D)成分のジチオリン酸亜鉛としては、具体的には下記の一般式(10)で表される化合物が例示できる。
【0061】
【化9】
Figure 0004931299
【0062】
一般式(10)において、R31、R32、R33及びR34は、それぞれ個別に、炭素数1〜24の炭化水素基を示す。
【0063】
上記R31、R32、R33及びR34で表される炭素数1〜24の炭化水素基は、前述した一般式(1)のR1、R2、R3及びR4で表される炭素数1〜24の炭化水素基の例と同義であり、またその好ましい例も同じである。
一般式(10)で表される特に好ましい化合物としては、具体的には、ジメチルジチオリン酸亜鉛、ジエチルジチオリン酸亜鉛、ジプロピルジチオリン酸亜鉛、ジブチルジチオリン酸亜鉛、ジペンチルジチオリン酸亜鉛、ジヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジヘプチルジチオリン酸亜鉛、ジオクチルジチオリン酸亜鉛、ジノニルジチオリン酸亜鉛、ジデシルジチオリン酸亜鉛、ジウンデシルジチオリン酸亜鉛、ジドデシルジチオリン酸亜鉛、ジトリデシルジチオリン酸亜鉛、ジテトラデシルジチオリン酸亜鉛、ジペンタデシルジチオリン酸亜鉛、ジヘキサデシルジチオリン酸亜鉛、ジヘプタデシルジチオリン酸亜鉛、ジオクタデシルジチオリン酸亜鉛等のジアルキルジチオリン酸亜鉛(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い);ジフェニルジチオリン酸亜鉛;ジトリルジチオリン酸亜鉛、ジキシリルジチオリン酸亜鉛、ジエチルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジプロピルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジブチルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジペンチルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジヘキシルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジヘプチルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジオクチルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジノニルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジデシルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジウンデシルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジドデシルフェニルジチオリン酸亜鉛等のジアルキルフェニルジチオリン酸亜鉛(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良く、またアルキル基のフェニル基への結合位置も任意である)及びこれらの中から選ればれる2種以上の化合物の任意混合比での混合物等が例示できる。またさらにこれらのジアルキルジチオリン酸亜鉛やジアルキルフェニルジチオリン酸亜鉛は、1分子中に異なる炭素数や異なる構造のアルキルを有する化合物であっても良い。
本発明において、(D)成分は、第1級アルキル基を有するジチオリン酸亜鉛(プライマリーZDTP)と第2級アルキル基を含有するジチオリン酸亜鉛(セカンダリーZDTP)との混合物であることが好ましく、その混合比(質量比)は、前者:後者が好ましくは5:95〜50:50、さらに好ましくは10:90〜40:60であることが望ましい。当該混合比を上記好ましい範囲内とすることで、本発明の効果が得られるだけでなく、摩耗防止性能に優れた組成物を得ることができる。
【0064】
本発明の潤滑油組成物における(D)ジチオリン酸亜鉛の含有量の上限値は、組成物全量基準で、亜鉛元素換算量で0.1質量%であり、好ましくは0.08質量%、さらに好ましくは0.06質量%である。一方、ジチオリン酸亜鉛の含有量の下限値は、組成物全量基準で、亜鉛元素換算量で0.01質量%であり、好ましくは0.02質量%である。上記ジチオリン酸亜鉛の含有量が組成物全量基準で、亜鉛元素換算量で上記上限値を超える場合は、リンや亜鉛による排ガス浄化装置への影響が懸念され、また高温における省燃費性能及び湿式クラッチの摩擦特性に劣りやすくなり、一方、その含有量の下限値が0.01質量%未満である場合は、摩耗防止性能に劣る可能性があり、また、組成物における硫黄源が減少し、摺動面における二硫化モリブデンの生成量が減るため、省燃費性能に劣る可能性がある。本発明においては、(D)成分の含有量を亜鉛元素換算量で0.01〜0.06質量%とすることで、低温から高温に渡る省燃費性能に優れ、特に湿式クラッチの摩擦特性を格段に改善することができる。
【0065】
(E)成分である(亜)リン酸エステル系化合物について詳述する。
本発明の(D)成分である(亜)リン酸エステル系化合物としては、例えば、リン酸モノエステル類、リン酸ジエステル類、リン酸トリエステル類、亜リン酸モノエステル類、亜リン酸ジエステル類、亜リン酸トリエステル類、チオリン酸エステル類、ジチオリン酸エステル類、トリチオリン酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類、ジチオ亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸エステル類及びこれらの塩を挙げることができる。ここに挙げた化合物は、通常炭素数2〜30、好ましくは炭素数3〜20の炭化水素基を含有する。
【0066】
炭素数2〜30の炭化水素基としては、具体的には、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアリールアルキル基(これらは置換基を有していてもよい)を挙げることができる。
アルキル基としては、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2―エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基及びオクタデシル基を挙げることができる(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)
【0067】
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロヘプチル基等の炭素数5〜7のシクロアルキル基を挙げることができる。
アルキル置換シクロアルキル基としては、例えば、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、メチルエチルシクロヘプチル基及びジエチルシクロヘプチル基等の炭素数6〜11のアルキル置換シクロアルキル基(アルキル基のシクロアルキル基への置換位置も任意である)を挙げることができる。
【0068】
アルケニル基としては、例えば、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基及びオクタデセニル基等のアルケニル基(これらのアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよく、また二重結合の位置も任意である)を挙げることができる。
【0069】
アリール基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基等のアリール基を挙げることができる。また、アルキル置換アリール基としては、例えば、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基及びドデシルフェニル基等の炭素数7〜18の各アルキル置換アリール基(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよく、またアリール基への置換位置も任意である)を挙げることができる。
アリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基及びフェニルヘキシル基等の炭素数7〜12のアリールアルキル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)を挙げることができる。
【0070】
(E)成分として好ましい化合物としては、具体的には、以下のものを挙げることができる。
モノプロピルホスフェート、モノブチルホスフェート、モノペンチルホスフェート、モノヘキシルホスフェート、モノペプチルホスフェート及びモノオクチルホスフェート等のリン酸モノアルキルエステル(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);モノフェニルホスフェート、モノクレジルホスフェート等のリン酸モノ(アルキル)アリールエステル;
ジプロピルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジペンチルホスフェート、ジヘキシルホスフェート、ジペプチルホスフェート、ジオクチルホスフェート等のリン酸ジアルキルエステル(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);ジフェニルホスフェート、ジクレジルホスフェート等のリン酸ジ(アルキル)アリールエステル;
トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリペプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸トリアルキルエステル(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート等のリン酸トリ(アルキル)アリールエステル;
【0071】
モノプロピルホスファイト、モノブチルホスファイト、モノペンチルホスファイト、モノヘキシルホスファイト、モノペプチルホスファイト、モノオクチルホスファイト等の亜リン酸モノアルキルエステル(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);モノフェニルホスファイト、モノクレジルホスファイト等の亜リン酸モノ(アルキル)アリールエステル;
ジプロピルホスファイト、ジブチルホスファイト、ジペンチルホスファイト、ジヘキシルホスファイト、ジペプチルホスファイト、ジオクチルホスファイト等の亜リン酸ジアルキルエステル(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);ジフェニルホスファイト、ジクレジルホスファイト等の亜リン酸ジ(アルキル)アリールエステル;
トリプロピルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリペンチルホスファイト、トリヘキシルホスファイト、トリペプチルホスファイト、トリオクチルホスファイト等の亜リン酸トリアルキルエステル(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト等の亜リン酸トリ(アルキル)アリールエステル;及びこれらの混合物。
【0072】
上述した(亜)リン酸エステル類の塩としては、具体的には、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、リン酸トリエステル、亜リン酸モノエステル、亜リン酸ジエステル、あるいは亜リン酸トリエステルに、アンモニアや炭素数1〜20の炭化水素基又は水酸基含有炭化水素基のみを分子中に含有するアミン化合物等の含窒素化合物を作用させて、残存する酸性水素の一部又は全部を中和した塩や亜鉛、鉄等の2価の金属塩等が例示できる。
【0073】
この含窒素化合物としては、具体的には、以下のものを挙げることができる。アンモニア;モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、モノペンチルアミン、モノヘキシルアミン、モノヘプチルアミン、モノオクチルアミン、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、ジプロピルアミン、メチルブチルアミン、エチルブチルアミン、プロピルブチルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン及びジオクチルアミン等のアルキルアミン(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノブタノールアミン、モノペンタノールアミン、モノヘキサノールアミン、モノヘプタノールアミン、モノオクタノールアミン、モノノナノールアミン、ジメタノールアミン、メタノールエタノールアミン、ジエタノールアミン、メタノールプロパノールアミン、エタノールプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、メタノールブタノールアミン、エタノールブタノールアミン、プロパノールブタノールアミン、ジブタノールアミン、ジペンタノールアミン、ジヘキサノールアミン、ジヘプタノールアミン及びジオクタノールアミン等のアルカノールアミン(アルカノール基は直鎖状でも分枝状でもよい);及びこれらの混合物。
【0074】
これらの(E)成分は、1種類あるいは2種類以上を任意に配合することができる。本発明においては、(E)成分は、リン酸モノエステル類、リン酸ジエステル類、亜リン酸モノエステル類、亜リン酸ジエステル類、チオリン酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類及びこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、更に好ましくは、(亜)リン酸モノエステル類、(亜)リン酸ジエステル類及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一種である。また、これらを構成する炭化水素基の炭素数は、好ましくは、4〜20、更に好ましくは、6〜18である。
【0075】
本発明の潤滑油組成物における(E)成分は、含有しなくても本発明の効果を得ることができ、さらなる低リン化が可能となるが、二輪車用4サイクルエンジンの実車試験において、エンジン回転数が低回転(例えば1,000rpm)及び高回転(例えば10,000rpmを超える)である場合に(E)成分による更なる省燃費効果が発揮されることが確認されており、このような場合には(E)成分を含有することが好ましい。(E)成分の好ましい下限値としては、組成物全量基準でリン元素換算量として0.005質量%であり、更に好ましくは、0.01質量%である。一方、(E)成分の含有量の上限値は、組成物全量基準でリン元素換算量として0.1質量%であり、好ましくは0.08質量%であり、更に好ましくは、0.04質量%である。(E)成分の含有量が上記上限値を超える場合、含有量に見合うだけの効果が得られないばかりか、低リン化することができないため好ましくない。
【0076】
本発明の潤滑油組成物は、省燃費性能(低フリクション性能)及び湿式クラッチの摩擦特性に優れたものであるが、その性能をさらに高める目的で、公知の潤滑油添加剤を本発明の組成物に添加することができる。このような添加剤としては、例えば、本発明の(A)成分以外の摩擦調整剤、本発明の(B)成分以外の無灰分散剤、本発明の(C)成分以外の金属系清浄剤、(D)成分あるいは(E)成分以外の極圧添加剤及び摩耗防止剤、酸化防止剤、錆止め剤、腐食防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、ゴム膨潤剤、消泡剤及び着色剤等を挙げることができる。これらは、単独でまたは数種類を組み合わせて使用することができる。
【0077】
本発明の(A)成分以外の摩擦調整剤としては、例えば、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、脂肪族アミン、脂肪族アミン塩、脂肪族アミド等が使用できる。これらの摩擦調整剤は有機モリブデン化合物に比べ、省燃費性能は若干劣るが、本発明の有機モリブデン化合物の代わりに使用しても、あるいは併用使用しても省燃費性能及び湿式クラッチにおける摩擦特性に優れた組成物を得ることができる。
【0078】
本発明の(B)成分以外の無灰分散剤としては、例えば、ベンジルアミン、アルキルポリアミン、ポリブテンアミン又はこれらのホウ素化合物や硫黄化合物による変性品、アルケニルコハク酸エステル等が使用できる。
【0079】
本発明の(C)成分以外の金属系清浄剤としては、アルカリ金属系のスルホネート、フェネート、サリシレート、アルカリ金属系又はアルカリ土類金属系ナフテネート等が本発明の組成物に、単独あるいは二種類以上組み合わせて使用できる。ここでアルカリ金属としてはナトリウムやカリウム等が例示される。
【0080】
本発明の(D)成分あるいは(E)成分以外の極圧添加剤及び摩耗防止剤としては、例えば、硫黄系化合物が使用できる。硫黄系化合物としては、例えば、ジスルフィド類、硫化オレフィン類及び硫化油脂類を挙げることができる。
【0081】
酸化防止剤としては、フェノール系化合物やアミン系化合物等、潤滑油に一般的に使用されているものであれば、いずれも使用可能であり、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等のアルキルフェノール類、メチレン−4,4−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)等のビスフェノール類、フェニル−α−ナフチルアミン等のナフチルアミン類、ジアルキルジフェニルアミン類、フェノチアジン類等が使用できる。
【0082】
錆止め剤としては、例えば、アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル、石油スルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート等が使用できる。
【0083】
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、チアジアゾール系、イミダゾール系の化合物等が使用できる。
【0084】
粘度指数向上剤としては、非分散型粘度指数向上剤や分散型粘度指数向上剤が使用可能であり、具体的には、非分散型又は分散型のポリメタクリレートやオレフィンコポリマー、あるいはポリイソブテン、ポリスチレン、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ジエン共重合体及びその水素化物等が使用できる。これらの重量平均分子量は、一般に5,000〜1,000,000であるが、省燃費性能をより高めるために、重量平均分子量が100,000〜1,000,000、好ましくは200,000〜900,000、特に好ましくは400,000〜800,000である上記粘度指数向上剤を使用することが望ましい。なお、本発明の潤滑油組成物を二輪車用4サイクルエンジンに使用する場合、剪断安定性を高める必要があることから、スチレン−ジエン共重合体又はその水素化物を用いることが特に好ましい。
【0085】
流動点降下剤としては、例えば、使用する潤滑油基油に適合するポリメタクリレート系のポリマー、アルキル化芳香族化合物、フマレート−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が使用できる。
【0086】
消泡剤としては、例えば、ジメチルシリコーンやフルオロシリコーン等のシリコーン化合物類が使用できる。
【0087】
これらの添加剤の添加量は任意であるが、通常組成物全量基準で、消泡剤の含有量は0.0005〜0.01質量%、粘度指数向上剤の含有量は0.05〜20質量%、腐食防止剤の含有量は0.005〜0.2質量%、その他の添加剤の含有量は、それぞれ0.05〜10質量%程度である。
【0088】
本発明の潤滑油組成物は、中温から高温における省燃費性及び湿式クラッチの摩擦特性に優れるだけでなく、摩耗防止性能、高温酸化安定性、清浄性等にも優れた性能を持ち合わせており、又、JASO二輪車用4サイクルエンジン油規格(JASO T 903−98)に適合するのに十分な性能を有するものである。この規定の一つには、組成物の硫酸灰分量が組成物全量基準で1.2質量%以下であることが必要とされるが、本発明の組成物は、硫酸灰分量が1.0質量%以下であり、さらに0.8質量%以下、特に0.7質量%以下という低灰型の潤滑油とすることができる。そして、中高温における省燃費性能に優れ、かつ湿式クラッチにおける摩擦特性が極めて改善された組成物を提供することができる。ここで硫酸灰分とは、JIS K2272に準拠して測定した硫酸灰分、即ち、試料を燃やして生じた炭化残留物に硫酸を加えて恒量した灰分を意味する。
また本発明の潤滑油組成物は、そのリン元素含有量が組成物全量基準で0.12質量%以下であるが、他の構成成分を調整することで、0.1質量%以下、更には0.08質量%以下、特に0.07質量%以下とすることができ、さらに(E)成分を含有しない場合、0.05質量%以下までリン元素含有量を低減することができ、省燃費性能及び湿式クラッチにおける摩擦特性に優れた組成物とすることも可能である。二輪車用4サイクルエンジンに使用する場合は、(E)成分の項で説明した通り、実車においてさらなる省燃費性能を発揮することができることから(E)成分を含有した方が好ましい。
本発明のこのような低灰型、低リン型の潤滑油組成物は、排ガス浄化装置に与える影響を極めて少なくすることができ、三元触媒、酸化触媒、EGR装置、DPF等の排ガス浄化装置を装着した車に対して有利に用いることができる。
【0089】
本発明の潤滑油組成物は、100℃における動粘度が5.6mm/s以上であることが好ましく、更に好ましくは9.3mm/s以上である。一方、100℃における動粘度は21.9mm/s以下であることが好ましく、更に好ましくは16.3mm/s以下、特に好ましくは12.5mm/s以下である。潤滑油組成物の動粘度を上記のような範囲にとすることで高い省燃費性能を付与することが可能となる。
【0090】
本発明の潤滑油組成物は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ガスエンジン等の内燃機関用、特に排ガス後処理装置を装着した内燃機関用、湿式クラッチを有する駆動系装置用、二輪車用4サイクルエンジン用として好適であるが、その他、省燃費性が要求される潤滑油や摩擦調整機能を必要とされる潤滑油、例えば、緩衝器用等にも使用することもできる。
【0091】
【実施例】
以下に、本発明の内容を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0092】
[実施例1〜14]及び[比較例1、2]
表2に示す組成に従い、本発明の潤滑油組成物(実施例1〜14)及び比較用の潤滑油組成物(比較例1、2)を調製した。実施例1〜14の組成物は、硫酸灰分量を低減し、ホウ素含有コハク酸イミドとホウ素を含まないコハク酸イミドを任意に組合わせた組成物である。また、 比較例1の組成物は、従来の省燃費性能に優れたアルカリ土類金属サリシレート系省燃費エンジン油であり、比較例2の組成物は比較例1の組成物のアルカリ土類金属サリシレートの含有量を低減することにより硫酸灰分量を0.6質量%以下に低減した組成物である。これらの組成物について、以下に示すSRV摩擦試験及び湿式クラッチ摩擦特性試験を行い、80℃から120℃における省燃費性能及び湿式クラッチにおける摩擦特性の評価を行った。その評価結果を表2に併記した。
【0093】
[SRV摩擦試験]
SRV摩擦試験機はエンジン油組成物の省燃費性能評価等に一般的に使用され、摩擦係数が低いものほど省燃費性能に優れていることがわかっている。本発明においては、荷重400N、振動数50Hz、振幅1.5mm、油温80〜120℃(10℃毎)という条件にて試験を実施し、その時の摩擦係数を測定した。
【0094】
[クラッチ摩擦特性試験]
JASO二輪車用4サイクルエンジン油規格(JASO T 903−98)には二輪用4サイクルエンジン油として適した物理化学性状の他に、クラッチ摩擦特性についての性能分類が規定されている。すなわち、JASO T 904−98に準拠した試験条件に従って動摩擦係数、静摩擦係数及び制動時間を測定し、下記算出方法によって動摩擦特性指数、静摩擦特性指数及び制動時間指数を求める。
次にこれらの指数を下記表1に従ってMA又はMBに性能分類する。MAに分類される組成物は動摩擦係数、静摩擦係数及び制動時間のすべてにおいて優れた性能を有することを示している。一方、MBに分類される組成物は上記のいずれかの指数が基準より低いことを示し、湿式クラッチ滑り防止性能が劣る可能性がある。
【0095】
【表1】
Figure 0004931299
【0096】
算出方法(例:動摩擦特性指数)
動摩擦特性指数=1+(μd(s)−μd(B))/(μd(A)−μd(B))
μd(s):供試油の動摩擦係数
μd(A):JAFRE-A(高摩擦特性標準油)の動摩擦係数
μd(B):JAFRE-B(摩擦調整剤入り低摩擦特性標準油)の動摩擦係数
なお、静摩擦特性指数、制動時間指数も同様の算出方法にて求める。
【0097】
【表2】
Figure 0004931299
【0098】
表2に示す結果から、比較例1の組成物は、カルシウムサリシレートをカルシウム含有量で0.18質量%含有する、省燃費性能に優れた従来のエンジン油であるが、80℃における省燃費性能は優れているものの、100℃以上における省燃費性能に劣っていることがわかり、また、湿式クラッチにおける摩擦特性として、特に静摩擦特性指数が極めて低く、特に発進時や変速時にクラッチ滑りが発生する恐れが極めて高い。また、比較例1の組成物のカルシウムサリシレートを低減し、組成物の硫酸灰分量を0.6質量%にした比較例2の組成物は、中温〜高温(80〜120℃)における省燃費性能が比較例1の組成物よりも悪化し、また、湿式クラッチにおける摩擦特性においては、静摩擦特性指数も低く、発進時や変速時の特性が劣り、さらに動摩擦特性指数及び制動時間指数が悪化し、動力伝達性能まで劣ってしまうことがわかる。
【0099】
表2に示す結果から、B/N比が0.2〜0.9であるホウ素含有コハク酸イミドとモノタイプのホウ素を含有しないコハク酸イミドを含有し、硫酸灰分量を比較例2と同様、又は同程度、あるいは更に減じた組成物(実施例1〜9)は、いずれも中温〜高温における省燃費性能が改善され、湿式クラッチにおける摩擦特性も比較例2と比べ改善されていることがわかる。特にカルシウムサリシレートを含有する組成物(実施例1)は、従来の省燃費エンジン油(比較例1)や硫酸灰分量が同等である組成物(比較例2)に比べ中温〜高温に渡る省燃費性能が極めて向上していることがわかる。カルシウムスルホネート及び/又はカルシウムフェネートを含有する組成物(実施例2〜9)は、特に高温において省燃費性能が改善され、湿式クラッチにおいては、特に静摩擦特性指数が極めて改善されていることがわかる。これらの中では、鉱油系アルキル芳香族のスルホン化物から誘導される石油系カルシウムスルホネートやB/N比が0.5〜0.9と高いホウ素含有コハク酸イミドを含有する組成物(実施例4、8、9)は特に静摩擦特性指数の改善に効果的であることがわかり、エチレンオリゴマーでアルキル化したカルシウムスルホネートを含有する組成物(実施例6)は高温における省燃費性、動摩擦特性指数及び制動時間指数を高めるのに効果的であることがわかる。B/N比が0.2〜0.5と低いホウ素含有コハク酸イミドとモノコハク酸イミドを併用した場合には、上記石油系カルシウムスルホネートを使用することが好ましく、これを組成物全量基準で、アルカリ土類金属元素換算量で0.07質量%までさらに低減し、組成物の硫酸灰分量を0.5質量%以下まで低減した組成物(実施例5)は中温〜高温における省燃費性能に優れるだけでなく、二輪車用JASO4サイクルエンジン油規格における性能分類上MA級に該当し、湿式クラッチの滑り防止性にも優れていることがわかる。
【0100】
B/N比が0.5〜0.9であるホウ素含有コハク酸イミドとビスタイプのホウ素を含有しないコハク酸イミドを含有する組成物(実施例10〜14)は、同様に中温〜高温に渡る省燃費性能、湿式クラッチの摩擦特性に優れた組成物であるが、特にエチレンオリゴマーでアルキル化したカルシウムスルホネートを含有する組成物(実施例11〜13)においては、二輪車用JASO4サイクルエンジン油規格における性能分類上MA級に該当し、湿式クラッチの滑り防止性にも優れていることがわかる。また(D)成分を亜鉛元素濃度換算量で0.06質量%以下まで低減し、組成物におけるリン元素換算量を0.1質量%以下にした場合(実施例12)、特に高温における省燃費性能が改善される。さらに驚くべきことに、MoDTPの代わりにMoDTCを含有させ、組成物全量基準におけるリン元素量が0.07質量%以下まで低減した場合(実施例13)、有機モリブデン化合物を含有しない標準油(前記JATRE−A:湿式クラッチにおける各摩擦特性指数が2.0)と同等程度まで改善され、クラッチ滑り防止性能が極めて改善された組成物であることがわかる。
【0101】
さらに、実施例13の組成物のカルシウムスルホネートをカルシウムサリシレートに置き換えた場合、中温度〜高温に渡る省燃費性能が極めて安定して優れ、かつ二輪車用JASO4サイクルエンジン油規格における性能分類上MA級に該当し、湿式クラッチの滑り防止性にも優れている組成物であることがわかる。
なお、表2には示していないが、実施例12、13及び14の組成物は50〜70℃においてもSRV摩擦係数がそれぞれ0.038〜0.042、0.040〜0.042及び0.37〜0.38と極めて低く、このような温度領域においても比較例1及び2の組成物(同0.038〜0.041及び0.040〜0.042)と同等以上の省燃費性能を有していることを確認している。
なお、実施例1〜14の潤滑油組成物は、摩耗防止性能、高温酸化安定性能及び清浄性においても優れた製品として提供できるものである。
【0102】
【発明の効果】
本発明の潤滑油組成物は、中温から高温まで、あるいは低温〜高温まで優れた省燃費性を有すると共に湿式クラッチの摩擦特性に優れている。特に硫酸灰分量及びリン元素含有量を低減した場合でも上記優れた性能を維持することができる。従って、本発明の潤滑油組成物は、近年の熱負荷の高まりに伴って上記省燃費性が要求される内燃機関用潤滑油、湿式クラッチを有する変速機用潤滑油、二輪車用4サイクルエンジン用潤滑油、そして排ガス浄化装置装着車用エンジン用潤滑油として好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 鉱油及び/又は合成油からなる基油に、組成物全量基準で、
    (A)有機モリブデン化合物をモリブデン元素換算量で0.003〜0.1質量%、
    (B)ホウ素含有コハク酸イミド及び/又はホウ素を含有しないコハク酸イミドを窒素元素換算量で0.08〜0.3質量%、かつ前記(A)成分のモリブデン元素換算量に対する前記(B)成分の窒素元素換算量の質量比が1.6以上、
    (C)アルカリ土類金属系清浄剤をアルカリ土類金属元素換算量で0.01〜0.16質量%、
    (D)ジチオリン酸亜鉛を亜鉛元素換算量で0.01〜0.1質量%、
    (E)リン酸エステル類、亜リン酸エステル類及びこれらの塩から選ばれる少なくとも1種をリン元素換算量で0〜0.1質量%
    それぞれ含有してなり、かつ組成物中の硫酸灰分が組成物全量基準で1質量%以下であることを特徴とする潤滑油組成物。
  2. 前記(A)成分がジチオカルバミン酸モリブデンであることを特徴とする請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. 前記(B)成分が、ホウ素含有コハク酸イミドとホウ素を含有しないモノ及び/又はビスコハク酸イミドからなり、かつホウ素含有コハク酸イミドの含有量が、組成物全量基準で、ホウ素元素換算量で、0.005〜0.2質量%であることを特徴と請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
  4. 前記(C)成分が、組成物全量基準で、アルカリ土類金属元素換算量で、0.01〜0.07質量%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載の潤滑油組成物。
  5. 前記(D)成分の含有量が、組成物全量基準で、亜鉛元素換算量で0.01〜0.06質量%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載の潤滑油組成物。
  6. 組成物中の硫酸灰分量が、組成物全量基準で0.7質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの項に記載の潤滑油組成物。
  7. 組成物中のリン元素含有量が、組成物全量基準で0.08質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの項に記載の潤滑油組成物。
  8. 排ガス浄化装置装着車用エンジン油であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかの項に記載の潤滑油組成物。
  9. 二輪車用4サイクルエンジン油であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかの項に記載の潤滑油組成物。
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