JP4083321B2 - ディーゼルエンジン油組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジン油組成物に関する。さらに詳しくは、ディーゼルエンジンに装着される排出ガス後処理装置の性能低下を防ぐと共に、高温、高負荷条件において長期に渡り、優れた清浄性能、摩耗防止性能などを発揮する低灰分型ディーゼルエンジン油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンは燃料経済性、耐久性がガソリンエンジンと比較して優れていることから商業車用として広く使用されている。しかし、ディーゼルエンジンは窒素酸化物(NOx)や浮遊粒子状物質(パティキュレート)の排出量が多いというデメリットを抱えている。このような背景から環境庁はディーゼル排気ガスの規制強化に乗り出し、短期目標(1993年)と長期目標(1997年〜)に分け公表した。さらに2000年以降にはポスト長期目標規制を予定している。ポスト長期目標規制ではディーゼルエンジンは排気ガス後処理装置が導入される可能性があり、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)、酸化触媒、脱NOx触媒の研究が進められている。このような後処理装置は燃焼室に混入するエンジン油中の灰分により目詰まりする恐れがある。このため、エンジン油中の灰分の低減が強く要望されているが、現在の技術では、エンジン油の灰分を低減させるとエンジン油の清浄性能、摩耗防止性能、酸化安定性能を維持できない恐れがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の状況に鑑み、優れた清浄性能、摩耗防止性能、酸化安定性能を兼ね備え、かつ低灰分であるディーゼルエンジン油組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、鉱油系潤滑油および/または合成系潤滑油に特定の合成系アルカリ土類金属スルホネートの特定量、特定のアルケニルこはく酸イミドの硼素化合物誘導体の特定量、特定のジアルキルジチオリン酸亜鉛の特定量および有機モリブデン化合物の特定量を含有させることにより、ディーゼルエンジン油組成物の性能として重要な耐摩耗性、清浄性、酸化安定性を兼ね備えながら低灰分のディーゼルエンジン油組成物が得られることを見出だして本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、鉱油系潤滑油または合成系潤滑油からなる基油に、(A)金属型清浄剤として、親油基部分がアルキルベンゼン類であって、該アルキルベンゼン類中の炭素数18以上のアルキル基を持つアルキルベンゼン類の割合が5質量%以下である合成系アルカリ土類金属スルホネートを硫酸灰分量として0.8〜1.3質量%となるように添加し、(B)アルケニルこはく酸イミドの硼素化合物誘導体を硼素量として0.01質量%以上、窒素量として0.06〜0.15質量%となるように添加し、(C)炭素数4〜5のアルキル基を持つジアルキルジチオリン酸亜鉛を0.5〜1.5質量%、および(D)有機モリブデン化合物をモリブデン量として0.01〜0.08質量%含有させてなることを特徴とするディーゼルエンジン油組成物を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のディーゼルエンジン油組成物における必須成分の一つである合成系アルカリ土類金属スルホネートは、一般にアルキルベンゼン類を発煙濃硫酸またSO3 ガスによりスルホン化したのち、金属塩に変換して製造される。原料となるアルキルベンゼン類は鉱油の潤滑油留分、洗剤プラントから副生するアルキルベンゼン、ポリオレフィンでベンゼンをアルキル化したものなどが使用される。この原料となるアルキルベンゼン類は、炭素数18以上のアルキル基を持つアルキルベンゼン類が少ないほど好ましい。本発明で用いられる合成系アルカリ土類金属スルホネートは、親油基部分のアルキルベンゼン類中の炭素数18以上のアルキル基を持つアルキルベンゼン類の割合が5質量%以下である合成系アルカリ土類金属スルホネートである。炭素数18以上のアルキル基を持つアルキルベンゼン類の割合が5質量%を越えるものの場合は、ピストンの清浄性が低下する場合があるからである。この合成系アルカリ土類金属スルホネートのアルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどが好適に用いられる。また、この合成系アルカリ土類金属スルホネートは、一般に分子量350〜600程度の鉱油で希釈されて使用される。また、この合成系アルカリ土類金属スルホネートの含有量は、組成物中の硫酸灰分量が0.8〜1.3質量%になるように添加される。組成物中の硫酸灰分量が0.8質量%未満の場合は、エンジンの清浄性、耐摩耗性が低下する場合があり、一方組成物中の硫酸灰分量が1.3質量%を越える場合は、排ガスの後処理装置の性能が低下する場合がある。
【0007】
本発明のディーゼルエンジン油組成物においては、上記合成系アルカリ土類金属スルホネート以外の金属型清浄剤(以下「その他の金属型清浄剤」と称する)を併用することができる。その他の金属型清浄剤としては、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレート、アルカリ土類金属ホスホネートなどが挙げられる。これらのその他の金属型清浄剤としては、従来からディーゼルエンジン油組成物に用いられていたものを適宜選択して用いることができる。金属型清浄剤として、上記合成系アルカリ土類金属スルホネートと共にその他の金属型清浄剤を併用する場合は、上記合成系アルカリ土類金属スルホネートの使用割合がアルカリ土類金属量として50質量%以上であることが好ましい。上記合成系アルカリ土類金属スルホネートの使用割合が50質量%未満の場合は、エンジンの清浄性、耐摩耗性が充分に得られない場合がある。また、その他の金属型清浄剤を併用する場合であっても、上記のとおり組成物中の硫酸灰分量が0.8〜1.3質量%になるように添加する。併用するその他の金属型清浄剤は、一種であっても、複数種であっても差し支えない。
【0008】
なお、本発明のディーゼルエンジン油組成物の硫酸灰分量は上記金属型清浄剤に由来するものがほとんどであるが、ジアルカリジチオリン酸亜鉛およびその他の添加剤に由来するものも含まれる。この場合であっても、上記のとおり組成物中の硫酸灰分量が0.8〜1.3質量%になるよう添加にする。
【0009】
本発明の組成物における必須成分の他の一つであるアルケニルこはく酸イミドの硼素化合物誘導体は、硼素量0.01質量%以上で、窒素量0.06〜0.15質量%であるアルケニルこはく酸イミドの硼素化合物誘導体である。硼素量が0.01質量%未満のもの場合は、エンジンの清浄性、耐摩耗性が充分に得られない場合がある。また、窒素量が0.06質量%未満のものの場合も、同様に、エンジンの清浄性、耐摩耗性が充分に得られない場合があり、窒素量が0.15質量%を越えるものの場合は、添加量に見合った効果が得られず、不経済である。このアルケニルこはく酸イミドの硼素化合物誘導体の例としては、例えばポリブテン等の分子量約300〜3500のポリオレフィンを無水マレイン酸と反応させてモノアルケニル無水こはく酸とした後、さらにエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンのようなポリアミンと酸化硼素、ハロゲン化硼素、硼素酸、硼素酸エステルおよび硼素酸のアンモニウム塩からなる群から選択される硼素化合物を反応させて得られる中間体と反応させてイミド化したものでモノイミド、ジイミド、トリイミドなどの種々のアルケニルこはく酸イミド硼素化合物誘導体類が挙げられる。その製造法は特公昭42−8013号公報、特公昭42−8014号公報に記載されている。また、このアルケニルこはく酸イミドの硼素化合物誘導体は、好ましくは0.05〜15質量%、さらに好ましくは0.1〜8.0質量%の割合で含有させる。含有量が0.05質量%未満の場合は、所期の摩耗防止効果を得ることができなく、一方含有量が15質量%を越える場合は、多い含有量に見合った摩耗防止効果が得られないばかりか、エンジン各部において清浄性が低下する恐れがある。
【0010】
本発明のディーゼルエンジン油組成物における必須成分のさらに他の一つであるジアルキルジチオリン酸亜鉛は、次の一般式(I)
Zn〔(RO)2 PS2 〕2 aZnO (I)
(式中、aは0もしくは1/3であり、Rは炭素数4〜5のアルキル基であり、その例として、ブチル基、ペンチル基が挙げられ、Rは同一でも異なってもよい。)で表されるものが好ましい。このジアルキルジチオリン酸亜鉛は中性、塩基性のどちらでもよい。上記一般式(I)においてRで表されるアルキル基は、エンジンの耐摩耗性の点から炭素数4〜5のアルキル基である。また、このジアルキルジチオリン酸亜鉛は、0.5〜1.5質量%、好ましくは0.7〜1.2質量%の割合で含有させる。含有量が0.5質量%未満の場合は、充分な耐摩耗性が得られない場合があり、一方含有量が1.5質量%を越える場合は、排出ガス後処理装置の性能が低下してしまう場合がある。
【0011】
本発明のディーゼルエンジン油組成物における必須成分のなおさらに他の一つである有機モリブデン化合物は、モリブデン量として0.01〜0.08質量%、好ましくは0.02〜0.06質量%の割合で含有させる。含有量が0.01質量%未満の場合は、所期の摩耗防止効果を得ることができなく、一方含有量が0.08質量%を越える場合は、多い含有量に見合った摩耗防止効果が得られないばかりか、エンジン各部において清浄性が低下する恐れがある。この有機モリブデン化合物の例としては、モリブデンジチオカーバメート、モリブデン酸アミン、ジアルキルジチオリン酸モリブデンなどが挙げられるが、アルキルジチオリン酸モリブデンは分子中にリンが含まれており、ディーゼルエンジンの後処理装置に影響を与える恐れがあるため、モリブデンジチオカーバメート、モリブデン酸アミンが好ましく用いられる。上記モリブデンジチオカーバメートは次の一般式(II)
【0012】
【化1】
【0013】
(式中、R1 〜R4 は炭素数6〜18の炭化水素基であり、飽和炭化水素でも不飽和炭化水素でもよい。具体例としては、ヘキシル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、ノニル基、2−エチルヘキシル基、イソトリデシル基、ラウリル基等のアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基が挙げられ、上記4つのRは各々同一でも異なっていてもよい。X1 、X2 は酸素原子または硫黄原子であり、各々同一でも異なっていてもよく、Y1 、Y2 は酸素原子または硫黄原子であり、各々同一でも異なっていてもよい。)で表されるものが適当である。また、上記モリブデン酸アミンは次の一般式(III)
【0014】
【化2】
【0015】
(式中、R5 、R6 は炭素数6〜18の炭化水素基であり、その例としてヘキシル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基などのアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキルが挙げられ、上記2つのRは各々同一でも異なっていてもよい。)で表されるものが適当である。
【0016】
本発明のディーゼルエンジン油組成物において必須成分として用いられる上記アルカリ土類金属スルホネート、アルケニルこはく酸イミド硼素化合物誘導体、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、および有機モリブデン化合物は、それぞれ1種用いても、2種以上混合して用いてもよい。
【0017】
本発明のディーゼルエンジン油組成物の基油としては、鉱油系潤滑油、合成系潤滑油またはこれらの混合物が用いられる。これらの基油の粘度は、通常0.1〜250mm2 /sであればよく、好ましくは10〜150mm2 /sであり、特に好ましくは20〜120mm2 /sである。また、粘度指数は、通常50〜200であればよく、好ましくは80〜150である。鉱油系潤滑油としては、例えば鉱油系潤滑油留分を溶剤精製、水素化精製など適宜組み合わせて精製したものなどが挙げられる。また、合成系潤滑油としては、例えば炭素数3〜12のα−オレフィンの重合体であるα−オレフィンオリゴマー、ジオクチルセバケートを始めとするセバケート、アゼレート、アジペートなどの炭素数4〜12のジアルキルジエステル類、1−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールと炭素数3〜12の一塩基酸から得られるエステルを始めとするポリオールエステル類、炭素数9〜40のアルキル基を有するアルキルベンゼン類などが挙げられる。上記鉱油系潤滑油あるいは合成系潤滑油は、それぞれ1種を単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
【0018】
また、本発明のディーゼルエンジン油組成物においては、上記した各必須成分およびその他の金属型清浄剤に加えて、必要に応じて各種公知の添加剤を適量配合することができる。この添加剤として、例えば、アルケニルこはく酸イミド、アルケニルこはく酸エステル、ベンジルアミン、アルキルポリアミンなどの各種無灰型分散剤;リン系、硫黄系、アミン系、エステル系などの各種摩耗防止剤;ポリメタクリレート系、エチレンプロピレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体の水素化物あるいはポリイソブチレンなどの各種粘度指数向上剤;2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどのアルキルフェノール類、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのビスフェノール類、オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピオネートなどのフェノール系化合物、ナフチルアミン類やジアルキルジフェニルアミン類などの芳香族アミン化合物などの各種酸化防止剤;硫化オレフィン、硫化油脂、ポリサルファイド、メチルトリクロロステアレート、塩素化ナフタレン、ヨウ素化ベンジル、フルオロアルキルポリシロキサン、ナフテン酸鉛、リン酸エステル類などの各種極圧剤;ステアリン酸を始めとするカルボン酸、ジカルボン酸、金属石鹸、カルボン酸アミン塩、重質スルホン酸の金属塩、多価アルコールのカルボン酸部分エステルなどの各種錆止め剤;ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾールなどの各種腐食防止剤;シリコーン油などの各種消泡剤などが挙げられる。これらの各添加剤は、それぞれ1種を単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
【0019】
本発明のディーゼルエンジン油組成物の調製は、上記基油に、上記各必須成分および必要に応じて任意成分の各種添加剤を公知の混合手段により適宜混合すればよく、その混合順序は特に限定されるものではない。例えば、基油に必須成分を順次混合してもよく、必須成分を予め混合した後基油に混合してもよい。また、任意成分の各種添加剤についても、予め基油に添加してもよく、必須成分に添加してもよい。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例、比較例によりさらに具体的に説明すが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0021】
実施例1〜7、比較例1〜5
下記の基油、必須の添加剤成分ないし任意の添加剤成分を表1(実施例)または表2(比較例)に示す割合(質量%)で配合してディーゼルエンジン油組成物を調製した。得られたディーゼルエンジン油組成物の耐摩耗性、清浄性、酸化安定性を下記試験により評価し、その結果を表1(実施例)または表2(比較例)に示した。なお、表1および表2中、基油の割合の「バランス」とは、当該組成物に配合されている全成分の合計量が100質量%になるように基油の量を設定した意味である。
【0022】
〔基油、添加剤成分〕
(1)基油:
40℃の粘度が35mm2 /sで、粘度指数125の鉱油系潤滑油。
(2)カルシウムスルホネート1:
塩基価300mgKOH/gの合成系カルシウムスルホネートであって、親油基部分のアルキルベンゼン類中の炭素数18以上のアルキル基を持つアルキルベンゼン類の割合が1質量%であるカルシウムスルホネート。塩基価は、JIS−K−2501−6により測定した値である(以下の塩基価も同じ)。
(3)カルシウムスルホネート2:
塩基価290mgKOH/gの合成系カルシウムスルホネートであって、親油基部分のアルキルベンゼン類中の炭素数18以上のアルキル基を持つアルキルベンゼン類の割合が8質量%であるカルシウムスルホネート。
(4)カルシウムスルホネート3:
塩基価300mgKOH/gの天然の石油系カルシウムスルホネート。
(5)アルケニルこはく酸イミドの硼素化合物誘導体:
ビスタイプのポリアルケニルこはく酸イミド硼素誘導体であって、分子量約2000程度のポリブテニル基を有するものであり、その硼素量は0.5質量%、窒素量は1.6質量%である。
(6)アルケニルこはく酸イミド:
ビスタイプのポリアルケニルこはく酸イミドであって、分子量約2000程度のポリブテニル基を有するものであり、その窒素量は1.7質量%である。
(7)ジアルキルジチオリン酸亜鉛1:
プライマリータイプで、アルキル基の炭素数が4〜5のジアルキルジチオリン酸亜鉛。
(8)ジアルキルジチオリン酸亜鉛2:
プライマリ−タイプで、アルキル基の炭素数が8のジアルキルジチオリン酸亜鉛。
(9)モリブデンジチオカーバメート:
炭素数8と13のアルキル基を持つモリブデンジチオカーバメート。
(10)カルシウムフェネート:
塩基価250mgKOH/gのカルシウムフェネート。
(11)カルシウムサリシレート:
塩基価170mgKOH/gのカルシウムサリシレート。
(12)その他の添加剤:
ヒンダードフェノール系酸化防止剤、粘度指数向上剤および流動点降下剤。表1および表2に示す割合は、これら3種の添加剤の合計量の割合である。
【0023】
〔評価試験〕
(1)耐摩耗性の評価試験(シェル四球試験):
シェル四球極圧試験機により耐荷重能を評価した。試験は試料容器に固定した3個の試験鋼球に規定の荷重をかけ、一定時間後に焼き付きの有無を評価し、焼き付きが発生するまで測定を繰り返した。油温はなりゆきとし、回転数は1800rpmとした。試験荷重は50、56、63、71、80、89、100、112、126、141、158kgfとした。油の耐荷重能は最大非焼き付き荷重により評価した。最大非焼き付き荷重が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
(2)清浄性評価試験(キャタピラー1K試験):
API CF−4規格試験の一つであるキャタピラー1Kエンジンにより油の高温清浄性を評価した。試験条件はASTM RR DO21273Kに準拠した。試験はいずれの供試油についても1回だけ実施した。高温清浄性はTGFとWDKにより評価した。CF−4合格基準はTGFで24%以下、WDKで332以下である。
(3)酸化安定性評価試験(インディアナ酸化安定度試験):
JIS−K−2514に規定される潤滑油酸化安定度試験に準じて行うことにより得た。但し、試験温度は165.5℃、試験時間は96Hrとした。試験終了時の残存塩基価(塩酸法)、全酸価増加によりオイルの酸化安定性を評価した。
【0024】
比較例6〜7
2種類の市販ディーゼルエンジン油について、上記実施例1〜7、比較例1〜5と同様に、耐摩耗性、清浄性、酸化安定性の評価を行い、その結果を表2に示した。市販油1はAPI- CE級の油であり、市販油2はAPI- CF−4級の油である。
【0025】
【表1】
【0026】
*1:組成物中のカルシウム量の60質量%がカルシウムスルホネート1
由来のカルシウムとなる。
*2:組成物中のカルシウム量の60質量%がカルシウムスルホネート1
由来のカルシウムとなる。
【0027】
【表2】
【0028】
上記表1および表2から明らかなように、実施例1〜7の本発明に係るディーゼルエンジン油組成物はいずれも耐摩耗性、清浄性、酸化安定性が共に優れている。これに対して、比較例1〜5はいずれも耐摩耗性、清浄性、酸化安定性のどれかが劣る結果となっている。また、比較例6〜7の市販油は硫酸灰分量が1.7%を越えているにもかかわらず実施例よりも諸性能が劣る結果であった。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた清浄性、摩耗防止性、酸化安定性を兼ね備え、かつ低灰分であるディーゼルエンジン油組成物が提供される。本発明のディーゼルエンジン油組成物は、例えばディーゼルエンジンの排気ガス後処理装置におけるディーゼルエンジン油中の灰分による目詰まりを抑制し、実用上極めて有効である。
Claims (3)
- 鉱油系潤滑油または合成系潤滑油からなる基油に、(A)金属型清浄剤として、親油基部分がアルキルベンゼン類であって、該アルキルベンゼン類中の炭素数18以上のアルキル基を持つアルキルベンゼン類の割合が5質量%以下である合成系アルカリ土類金属スルホネートを硫酸灰分量として0.8〜1.3質量%となるように添加し、(B)アルケニルこはく酸イミドの硼素化合物誘導体を硼素量として0.01質量%以上、窒素量として0.06〜0.15質量%となるように添加し、(C)炭素数4〜5のアルキル基を持つジアルキルジチオリン酸亜鉛を0.5〜1.5質量%、および(D)有機モリブデン化合物をモリブデン量として0.01〜0.08質量%含有させてなることを特徴とするディーゼルエンジン油組成物。
- 金属型清浄剤として、親油基部分がアルキルベンゼン類であって、該アルキルベンゼン類中の炭素数18以上のアルキル基を持つアルキルベンゼン類の割合が5質量%以下である合成系アルカリ土類金属スルホネートおよびその他の金属型清浄剤が使用され、前記アルカリ土類金属スルホネートの使用割合がアルカリ土類金属量として50質量%以上である請求項1記載のディーゼルエンジン油組成物。
- 合成系アルカリ土類金属スルホネート以外のその他の金属型清浄剤がアルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレートおよびアルカリ土類金属ホスホネートから選ばれた少なくとも一種である請求項2記載のディーゼルエンジン油組成物。
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