JP5170969B2 - 潤滑油組成物 - Google Patents
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PMは、燃料やエンジン油中の硫黄分に起因する硫酸塩、スス及び燃料と潤滑油の未燃焼分である可溶性有機成分(SOF)を含んでいる。酸化触媒は、全PMの約30%占めると言われているSOF成分を酸化させて低減させる働きを担い、DPFはPMをフィルタートラップして低減させることにより排出ガスを浄化する。
また、燃料やエンジン油中の硫黄分が酸化触媒を被毒し、触媒活性を低下させてしまうため、エンジン油中の硫黄分を極力低減させることが望ましい。
しかしながら、これらの添加剤は、エンジン内を清浄に保つ清浄性や、エンジン油寿命を維持する酸化安定性といったエンジン油にとって必須の性能を付与するものである。
また、エンジン油が酸化して劣化すると、スラッジなどの劣化生成物が油中に存在することになり、エンジン内部を著しく汚損してしまう為、エンジン内を清浄に保つ為には優れた酸化安定性を有するエンジン油が必要となる。
このようなエンジン油の清浄性低下を、硫酸灰分を増加させることなく補う手法として、基油の高品質化、無灰分散剤の増量、無灰酸化防止剤の増量といったものが提案されているが、いずれも製品のコスト上昇を招くことになる。
本発明は、合成油や鉱油の潤滑油基油に、重量平均分子量50万〜1000万のポリブテンやポリイソブテンを単独で又は併用して0.001〜1重量%を、好ましくは0.002〜0.5重量%を含有させて潤滑油組成物としたものである。
また、これらポリブテン若しくはポリイソブテンを用いることにより、潤滑油組成物を低灰分とすることが可能となり、JIS K2272に規定される硫酸灰分量が1.5重量%以下、好ましくは1.3重量%、より好ましくは1重量%とすることができる。
この潤滑油組成物は、ピストン周辺の清浄性を効果的に改善する硫黄分が50ppm以下のガソリン及び軽油燃料に対応した、低灰分エンジン油を提供することができる。また、この潤滑油組成物は、上記内燃機関用のディーゼルエンジン油、ガソリンエンジン油、ガスエンジン油用の他、各種の潤滑油として広く用いることができる。
鉱油には、例えば、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を、さらに減圧蒸留することによって得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ロウ、水素化精製等の処理を1種以上行って製造される潤滑油基油がある。
他の合成油としては、具体的には、ポリ−α−オレフィン(例えば、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン、ポリイソブテン、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、或いはこれらの水素化物など)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、モノエステル(例えば、ブチルステアレート、オクチルラウレートなど)、ジエステル(例えば、ジトリデシルグルタレート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジオクチルセバケート、ジオクチルアゼレートなど)、ポリエステル(例えば、トリメリット酸エステルなど)、ポリオールエステル(例えば、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネートなど)、ポリフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、などが例示できる。
上述した、基油として用いられるポリブテン及び/又はポリイソブテンは、平均分子量が約200〜3000程度のもので、本発明における上記及び下記するポリブテン及び/又はポリイソブテンと分子量において大いに異なるものである。
すなわち、例えば、ナフサ分解によりエチレン、プロピレン、ブタジエン等を製造する際に副生するB−B留分(ブタン−ブテン留分)を原料とし、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、フッ化ホウ素、四塩化チタンなどのフリーデル・クラフツ触媒、またはそれらの錯体化合物などを触媒とし、反応系中の微量水分、有機ハロゲン化物や塩酸を助触媒とし、または特に助触媒を用いないで、反応温度約−30℃〜30℃で重合させる方法が代表的な製造法である。溶剤は、上記B−B留分を使用した場合には、ブタンおよび未反応オレフィンが溶剤として作用するために、特に使用しないのが一般的である。
さらに本発明においては、上記のポリブテンが含有する二重結合を既知の方法、たとえばニッケルまたはニッケルモリブテン酸塩触媒などを用いて水素添加した、水添ポリブテンも使用することができる。
すなわち、例えば、前記のB−B留分に、若しくは第3級ブチルアルコールの脱水、ジアセトンアルコールの脱水などの方法で合成したイソブテンに、又はこれらをモレキュラーシーブなどにより高度に精製したイソブテンに、エチレン、プロパン、ヘキサンなどを希釈剤として加え、または希釈剤を用いないで、通常約−10℃〜−150℃の低温で三フッ化ホウ素を通入するか、塩化アルミニウムをそのままメチルクロライドまたはエチルクロライド溶液として加えることにより重合させるのが代表的な製造法である。
また、流動点降下剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化パラフィンとナフタレンとの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、ポリメタクリレート、ポリアルキルスチレン等が挙げられ、これらは、通常、0.1〜10重量%の割合で使用される。
有機酸としては、例えば、スルホン酸、フェノール及び硫化したそれらの誘導体及び芳香族カルボン酸を含むカルボン酸が挙げられる。
モノカルボン酸としては、例えば、イソオクタン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸及びベヘン酸などが挙げられる。他の好適な酸は、α−炭素原子での三級置換基を有するもの及びカルボキシル基を隔てる二つ又はそれより多い炭素原子を有するジカルボン酸である。さらに、炭素数が35より多い、例えば炭素数36〜100のジカルボン酸も好適である。
サリチル酸はフェノキシドのカルボキシル化、例えば、Kolbe-Schmitt法により製造され、その場合、通常、希釈剤中で、非カルボキシル化フェノールとの混合物において一般的に得られる。
この金属清浄剤組成物は、無灰分散剤、即ち金属非含有金属清浄剤を、一般的に、有機酸の有機塩の形態で含んでいてもよい。好ましくは、その金属清浄剤は金属含有であり、1属及び2属の金属で、好ましくはカルシウム及びマグネシウム、より好ましくはカルシウムである。
リン系化合物としては、例えば、アルキルジチオリン酸亜鉛、リン酸、亜リン酸、リン酸モノエステル類、リン酸ジエステル類、リン酸トリエステル類、亜リン酸モノエステル類、亜リン酸ジエステル類、亜リン酸トリエステル類、(亜)リン酸エステル類の塩、及びチオリン酸、あるいはチオ亜リン酸又はこれらのエステル類等、並びにこれらの混合物が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤には、例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が好ましい例として挙げることができる。これらは二種以上を混合して使用することができる。
また、上記フェノール系酸化防止剤とアミン系酸化防止剤は適宜に組み合せて配合することができる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、及びイミダゾール系化合物等が挙げられる。
この場合、各種の添加剤の使用に伴って増加する金属分について、JIS K2272に規定されている硫酸灰分量によって、潤滑剤組成物の全体量に対して、1.5重量%以下になるようにする。また、好ましくは1.3重量%以下、より好ましくは1重量%以下になるようにする。
そして、この硫酸灰分量が1.5重量%以下、好ましくは1.3重量%以下、より好ましくは1重量%以下であっても、上記高分子量ポリブテンやポリイソブテンの使用によって清浄性の高い潤滑剤組成物を得ることができる。
1.基油A:水素化精製鉱油(100℃の動粘度;5.3mm2/s、硫黄分;0.01重量%以下、粘度指数;103)
2.基油B:フィッシャートロプッシュ法によるワックスの水素化異性化油(100℃の動粘度;5.1mm2/s、油中イオウ分0.01重量%以下、粘度指数;145)
3.基油C:溶剤精製鉱油(100℃の動粘度;4.6mm2/s、硫黄分;0.5重量%、粘度指数;100)
4.添加剤A:重量平均分子量300万のポリイソブテンを鉱油に2.5%溶解させたもの
5.添加剤B:重量平均分子量500万のポリイソブテンを鉱油に2%溶解させたもの
6.添加剤C:重量平均分子量30万のポリイソブテンを鉱油に10%溶解させたもの
7.その他の添加剤:カルシウムサリシレート金属清浄剤、2級アルキル置換基を有するZnDTP(亜鉛ジチオフォスフェート)、ポリブテニルコハク酸イミド、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ポリメタクリレート系流動点降下剤、粘度指数向上剤を含有する添加剤。
(性状試験)
1.40℃の動粘度(JIS K2283による)
2.100℃の動粘度(JIS K2283による)
3.粘度指数(JIS K2283による)
4.硫酸灰分(重量%)(JIS K2272による)
本試験は、規定温度に加熱したアルミニウムパネルに試験油をスプラッシャーで規定時間はねかけ、試験前後のパネルの重量増加から試験油の堆積物生成の抑止性能、すなわち、清浄性を評価するものである。
試験は、米国 Federal Test Method Standard 791−3462に準拠して実施した。
すなわち、試験装置に試験油を250ml供し、油温を90℃、アルミニウムパネル温度を300℃に設定し、スプラッシャーの回転時間15秒/停止時間45秒で試験を3時間行った。
試験結果は、アルミパネルの増加量をmg数で示し、高温清浄性を示す指標は次のとおりである。
30.0mg以下:合格(可)
25.0mg以下:合格(良)
20.0mg以下:合格(優)
性状試験及びパネルコーキング試験の結果を表1、表2に示す。
(考察)
実施例1の基油A,B,Cを混合し、添加剤A(重量平均分子量300万のポリイソブテンを0.005重量%)を含むものは、パネルコーキング試験において6.6mg(優)と低く、比較例1の添加剤Aを含まない不合格のものに比べて、約1/20と優良な結果となっている。
実施例2の基油A,Bを混合し、添加剤A(同ポリイソブテン量として0.00375重量%)を含むものは、パネルコーキング試験において14.8mg(優)と低く、比較例1の添加剤Aを含まない不合格のものに比べて、約1/4と優れた結果となっている。また、実施例3の基油Aに添加剤Aを実施例2の倍量(同ポリイソブテン量として0.0075重量%)加えたものも11.5mg(優)と低い値で、比較例2に対して約1/5と優れた値を示している。
実施例4の基油Aに添加剤B(重量平均分子量500万のポリイソブテンを0.002重量%)を含むものは同じく16.9mg(優)と低い値を示し、比較例3、4の添加剤C(重量平均分子量30万のポリイソブテンを0.01重量%、同0.1重量%)を含んでいる不合格なものに対して、約1/7、約1/6と優良な結果を示している。
また、比較例5は市販のディーゼルエンジン油で、パネルコーキング試験において28.0mg(可)で一応合格しているが、硫酸灰分の量が1.88重量%と実施例のものに比べて約2倍となっており、清浄性を高めるために金属清浄剤を多く含んでいることが判る。
このように、実施例のものはいずれも、特にエンジン油の清浄性において優良な結果がえられるものであることが判った。
Claims (2)
- 合成油及び/又は鉱油を基油とする内燃機関用の潤滑油組成物であって、潤滑油組成物全量に対してJIS K2272に規定される硫酸灰分量が1.5重量%以下であり、重量平均分子量が300万〜500万のポリブテン及び/又はポリイソブテンを0.001〜1重量%含有している内燃機関用潤滑油組成物。
- 上記内燃機関がディーゼルエンジンである請求項1に記載の内燃機関用潤滑油組成物。
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