JP4761800B2 - エスカレータ用チェーンオイル - Google Patents

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Description

本発明はエスカレータ用チェーンオイルに関し、詳しくはエスカレータ用チェーンに貼り付きやすく、また長時間安定してチェーンの潤滑を可能にできるチェーンオイルに関する。
エスカレータ用チェーンオイルには特に専用油はないため、従来より軸受油、ギヤ油などの潤滑油が使用されている。これらの潤滑油は一般の鉱物油に摩耗防止剤と酸化防止剤などが配合されたものがほとんどである。チェーン用オイルは、チェーン上に滴下給油されることで潤滑される。従って低温条件でも規定量給油されるためには、低温粘度も重要な要素である。従来のオイルは、チェーンへの貼り付き性が劣るため、滴下頻度を多くする必要があり、結果としてオイルタンクへの補給回数が多くなるなどの問題があった。また低温性能も十分ではないため、低温条件下では滴下量にむらがあり、結果として給油量を多めにする方向になる。チェーンに付属するタンクへのオイル補給は、通常、メンテナンス担当者が巡回して行っているために、メンテナンスコスト低減のためにも、補給間隔の延長は重要な課題となっていた。
また、近年の新たな要求としては、エスカレータの高速化及び環境対応が挙げられる。エスカレータの高速化はチェーンオイルの潤滑性への新たな要求となり、また環境対応については、オイルがミスト状になって飛び散ることで、エスカレータ利用者の衣服が汚れるという問題が発生していることから、オイルの飛散が無いオイルが求められている。従来使用されてきた潤滑性の劣るオイルは、チェーン内の摩擦により発熱が起こり、結果としてオイルの粘度が低下し、より飛散がしやすいという問題がある。さらに、低臭気でオイルが黒色化しないチェーンオイルが要求されている。
本発明は、チェーンへの貼り付き性に優れるとともに貼り付き効果を長期間維持できるためオイル補給間隔が長く、さらには潤滑性に優れ、オイルの飛散が少なく、色の変化の少ないエスカレータ用チェーンオイルを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究した結果、潤滑油基油に、特定のポリイソブチレンとフェノール系酸化防止剤を併用して含有させることにより前記課題が解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のエスカレータ用チェーンオイルは、鉱油、油脂および合成油の中から選ばれる少なくとも1種を基油として、組成物全量基準で、(A)重量平均分子量が25万〜60万ポリイソブチレンを0.01〜5質量%と(B)フェノール系酸化防止剤を0.01〜3質量%含有してなることを特徴とする。

以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のエスカレータ用チェーンオイルに用いられる潤滑油基油としては、鉱油、油脂および合成油の中から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
鉱油としては、原油を常圧蒸留および減圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理などの1種もしくは2種以上の精製手段を適宜組み合わせて適用して得られるパラフィン系またはナフテン系などの鉱油を挙げることができる。
また、油脂としては、例えば、牛脂、豚脂、ひまわり油、大豆油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、あるいはこれらの水素添加物等が挙げられる。
また、合成油としては、例えば、ポリα−オレフィン(エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、およびこれらの水素化物等)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、モノエステル(ブチルステアレート、オクチルラウレート)、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセパケート等)、ポリエステル(トリメリット酸エステル等)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポリオキシアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、リン酸エステル(トリクレジルホスフェート等)、含フッ素化合物(パーフルオロポリエーテル、フッ素化ポリオレフィン等)、シリコーン油等が例示できる。
本発明のエスカレータ用チェーンオイルの基油としては、上記した基油を単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせてもよい。
本発明で用いられる基油の動粘度は、特に限定されないが、滴下給油性、潤滑性、飛散性等の点から、通常、40℃における動粘度は、好ましくは5〜1,000mm/s、より好ましくは10〜500mm/s、更に好ましくは30〜300mm/sである。
また、0℃における動粘度も任意であるが、滴下給油性等の点から、通常2,000mm/s以下であることが好ましく、1,600mm/s以下であることがより好ましい。
また、基油の粘度指数は特に制限されないが、80以上が好ましく、より好ましくは100以上、更に好ましくは120以上、最も好ましくは130以上である。粘度指数が高いほど高温での粘度が高いため、高温での油膜強度が強く、チェーンに貼り付きやすい。また粘度指数が高い合成油は、低温粘度が低く、滴下給油性に優れている。
さらに基油の流動点も任意であるが、滴下給油性等の点から、通常、その流動点は、好ましくは−5℃以下、より好ましくは−15℃以下である。
これら基油の中でも、より粘度指数が高い点から合成油を用いることが好ましい。合成油の中でも、着色が少なく、酸化安定性に優れたポリα−オレフィン(エチレンープロピレン共重合体、ポリブテン、1−オクテンオリゴマー、およびこれらの水素化物等)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどの炭化水素系合成油が好ましい。
本発明において用いる高分子化合物は、重量平均分子量が10万から100万までの高分子化合物である。重量平均分子量は20万以上が好ましく、より好ましくは25万以上である。一方、重量平均分子量は80万以下が好ましく、より好ましくは60万以下である。重量平均分子量が10万よりも小さすぎると貼りつき性が弱く、また潤滑性にも劣り、重量平均分子量が100万よりも大きすぎると低温時での粘着性が強すぎて、滴下給油性が悪化する。すなわち、重量平均分子量が10万から100万までの高分子化合物を用いることにより、チェーンへの貼り付き性、潤滑性、滴下給油性の全てを兼ね備えることが可能となる。
また分子量分布も重要な因子であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0以上3.0以下であることが、本発明において最適な高分子化合物である。Mw/Mnは、1.5以上2.9以下がより好ましく、2.0以上2.8以下がさらに好ましい。Mw/Mnが1.0未満では、高分子量成分の割合が少ないため貼りつき性に劣り、また潤滑性が低下し、一方、3.0より大きくなると、粘着性が強すぎて滴下給油性が劣るおそれがある。本発明においては、Mw/Mnを1.0以上3.0以下とすることにより、貼り付き性、潤滑性、滴下給油性のバランスをとることができる。
本発明において用いる高分子化合物としては、前記要件を具備する限り特に制限されるものではないが、例えば、下記の一般式(1)、(2)及び(3)で表される化合物の中から選ばれる1種又は2種以上のモノマーの重合体あるいはその水素化物、一般式(4)及び(5)で表される化合物の中から選ばれる2種以上のモノマーの重合体又はその水素化物や、一般式(1)〜(3)で表される化合物の中から選ばれる1種又は2種以上のモノマーと一般式(4)及び(5)で表される化合物の中から選ばれる1種又は2種以上のモノマーとの共重合体、或いはその水素化物等が例示できる。
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上記(1)式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜18のアルキル基を示す。
で表される炭素数1〜18のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、及びオクタデシル基等(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)等が例示できる。
上記(2)式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜12の炭化水素基を示す。
で表される炭素数1〜12の炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等のアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7のシクロアルキル基;メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、メチルエチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基等の炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基(これらアルキル基のシクロアルキル基への置換位置は任意である);ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基等のアルケニル基(これらアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよく、二重結合の位置も任意である);フェニル基、ナフチル基等のアリール基:トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基等の炭素数7〜12のアルキルアリール基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよく、またアリール基への置換位置も任意である);ベンシル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基等の炭素数7〜12のアリールアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);等が例示できる。
上記(3)式中、X及びXは、それぞれ個別に、水素原子、炭素数1〜18のアルコキシ基(−OR:Rは炭素数1〜18のアルキル基)又は炭素数1〜18のモノアルキルアミノ基(−NHR:Rは炭素数1〜18のアルキル基)を示す。
上記(4)式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数1〜18のアルキレン基を示し、Yは窒素原子を1〜2個、酸素原子を0〜2個含有するアミン残基又は複素環残基を示し、aは0又は1である。
で表される炭素数1〜18のアルキレン基としては、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、及びオクタデシレン基等(これらアルキレン基は直鎖状でも分枝状でもよい)等が例示できる。
また、Yで表される基としては、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、アニリノ基、トルイジノ基、キシリジノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、モルホリノ基、ピロリル基、ピロリノ基、ピリジル基、メチルピリジル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、キノニル基、ピロリドニル基、ピロリドノ基、イミダゾリノ基、及びピラジノ基等が例示できる。
上記(5)式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Yは窒素原子を1〜2個、酸素原子を0〜2個含有するアミン残基又は複素環残基を示す。
で表される基としては、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、アニリノ基、トルイジノ基、キシリジノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、モルホリノ基、ピロリル基、ピロリノ基、ピリジル基、メチルピリジル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、キノニル基、ピロリドニル基、ピロリドノ基、イミダゾリノ基、及びピラジノ基等が例示できる。
一般式(1)〜(3)で表される化合物の中から選ばれる1種又は2種以上のモノマーの好ましいものとしては、具体的には、炭素数1〜18のアルキルアクリレート、炭素数1〜18のアルキルメタクリレート、炭素数2〜20のオレフィン、スチレン、メチルスチレン、無水マレイン酸エステル、無水マレイン酸アミド及びこれらの混合物等が例示できる。
一般式(4)及び(5)で表される化合物の中から選ばれる1種又は2種以上のモノマーの好ましいものとしては、具体的には、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−メチル−5−ビニルピリジン、モルホリノメチルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレート、N−ビニルピロリドン及びこれらの混合物等が例示できる。
なお、一般式(1)〜(3)で表される化合物の中から選ばれる1種又は2種以上のモノマーと一般式(4)及び(5)で表される化合物の中から選ばれる1種又は2種以上のモノマーとの共重合体の共重合モル比は、一般に、前者:後者=80:20〜95:5程度である。またその製法も任意であるが、通常、ベンゾイルパーオキシド等の重合開始剤の存在下で前者と後者とをラジカル溶液重合させることにより容易に共重合体が得られる。
本発明において用いる高分子化合物としては、各種メタクリル酸エステルから選ばれる1種または2種以上のモノマーの共重合体若しくはその水添物、エチレン−α−オレフィン共重合体(α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等)若しくはその水素化物、ポリブテン、ポリイソブチレン若しくはその水添物、スチレン−ジエン水素化共重合体、ポリアルキルスチレン等が好ましく、特に、本発明のチェーンオイルに適した高分子化合物としては、貼り付き性の観点からポリブテン及びポリイソブチレンが最も好ましい。
高分子化合物の含有量は、チェーンオイルの組成物全量基準で、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。含有量が10質量%も多いときは、滴下給油性が不十分となる可能性がある。一方、高分子化合物の含有量は組成物全量基準で、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上である。含有量が0.01質量%に満たない場合は、粘着性が弱くなり貼り付き効果が不十分となるおそれがあり、また潤滑性が不十分となる可能性がある。
本発明のエスカレータ用チェーンオイルには必須成分としてフェノール系酸化防止剤を含有する。フェノール系酸化防止剤を含有することにより、酸化安定性に優れ、劣化による色変化の少ないチェーンオイルとすることができる。
本発明で用いるフェノール系酸化防止剤としては、潤滑油の酸化防止剤として用いられる任意のフェノール系化合物が使用可能であり、特に限定されるのもではないが、下記一般式(6)又は(7)で表されるアルキルフェノール化合物が好ましい。
Figure 0004761800
[式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R10は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは下記一般式(i)又は(ii)で表される基を示す。]
Figure 0004761800
[式中、R11は炭素数1〜6のアルキレン基を示し、R12は炭素数1〜24のアルキル基又はアルケニル基を示す。]
Figure 0004761800
[式中、R13は炭素数1〜6のアルキレン基を示し、R14は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R15は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
Figure 0004761800
[式中、R16及びR20は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基を示し、R17及びR21は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R18及びR19は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示し、Aは炭素数1〜18のアルキレン基又は下記一般式(iii)で表される基を示す。]
−R22−S−R23− (iii)
(式中、R22及びR23は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。)
一般式(6)中のRとしては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられるが、酸化安定性に優れる点から、tert−ブチル基が好ましい。また、Rとしては、水素原子または上述したような炭素数1〜4のアルキル基が挙げられるが、酸化安定性に優れる点から、メチル基またはtert−ブチル基が好ましい。
一般式(6)中のR10が炭素数1〜4のアルキル基である場合、R10としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられるが、酸化安定性に優れる点から、メチル基またはエチル基であるのが好ましい。
一般式(6)で表されるアルキルフェノール化合物の中で、R10が炭素数1〜4のアルキル基である場合の化合物として特に好ましいものは、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール及びこれらの混合物等である。
一般式(6)中のR10が一般式(i)で表される基である場合において、一般式(i)中のR11で示される炭素数1〜6のアルキレン基は、直鎖状でも分枝状であっても良く、具体的には例えば、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基(ジメチレン基)、エチルメチレン基、プロピレン基(メチルエチレン基)、トリメチレン基、直鎖又は分枝のブチレン基、直鎖又は分枝のペンチレン基、直鎖又は分枝のヘキシレン基等が挙げられる。
一般式(6)で示される化合物が少ない反応工程で製造できる点で、R11は炭素数1〜2のアルキレン基、具体的には例えば、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基(ジメチレン基)等であることがより好ましい。
一方、一般式(i)のR12で示される炭素数1〜24のアルキル基またはアルケニル基としては、直鎖状でも分枝状でも良く、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシ基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基等のアルキル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い);ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、オクタデカジエニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基等のアルケニル基(これらのアルケニル基は直鎖状でも分枝状でも良く、また二重結合の位置も任意である);等が挙げられる。
12としては、基油に対する溶解性に優れる点から、炭素数4〜18のアルキル基、具体的には例えば、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシ基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等のアルキル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)が好ましく、炭素数6〜12の直鎖状または分枝状アルキル基がより好ましく、炭素数6〜12の分枝状アルキル基が特に好ましい。
一般式(6)で表されるフェノール化合物の中で、R10が一般式(i)で表される基である場合の化合物としては、一般式(i)におけるR11が炭素数1〜2のアルキレン基であり、R12が炭素数6〜12の直鎖状または分枝状アルキル基であるものがより好ましく、一般式(i)におけるR11が炭素数1〜2のアルキレン基であり、R12が炭素数6〜12の分枝状アルキル基であるものが特に好ましい。
好ましい化合物をより具体的に例示すると、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ヘキシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソヘキシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ヘプチル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソヘプチル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−オクチル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソオクチル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸2−エチルヘキシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ノニル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソノニル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−デシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソデシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ウンデシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソウンデシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ドデシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソドデシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−ヘキシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソヘキシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−ヘプチル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソヘプチル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−オクチル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソオクチル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸2−エチルヘキシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−ノニル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソノニル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−デシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソデシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−ウンデシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソウンデシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−ドデシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソドデシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ヘキシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソヘキシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ヘプチル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソヘプチル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−オクチル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソオクチル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸2−エチルヘキシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ノニル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソノニル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−デシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソデシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ウンデシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソウンデシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ドデシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソドデシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−ヘキシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソヘキシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−ヘプチル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソヘプチル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−オクチル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソオクチル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸2−エチルヘキシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−ノニル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソノニル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−デシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソデシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−ウンデシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソウンデシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−ドデシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソドデシル、及びこれらの混合物等が挙げられる。
一般式(6)中のR10が一般式(ii)で表される基である場合において、一般式(ii)中のR13は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。このアルキレン基としては、直鎖状でも分枝状であっても良く、例えば、上記R11の説明において例示した各種アルキレン基が挙げられる。一般式(6)の化合物が少ない反応工程で製造できることやその原料が入手しやすいことから、R13は炭素数1〜3のアルキレン基、具体的には、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基(ジメチレン基)、エチルメチレン基、プロピレン基(メチルエチレン基)、トリメチレン基等がより好ましい。また、一般式(ii)中のR14としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられるが、酸化安定性に優れる点から、tert−ブチル基が好ましい。また、R15としては、水素原子または上述したような炭素数1〜4のアルキル基が挙げられるが、酸化安定性に優れる点から、メチル基またはtert−ブチル基が好ましい。
一般式(6)で表されるアルキルフェノール化合物の中で、R10が一般式(ii)で表される基である場合の化合物として、好ましいものを具体的に例示すると、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、及びこれらの混合物等が挙げられる。
一方、上記の一般式(7)において、R16及びR20は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を示すが、酸化安定性に優れる点から、ともにtert−ブチル基であるのが好ましい。また、R17及びR21は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は上述したような炭素数1〜4のアルキル基が挙げられるが、酸化安定性に優れる点から、それぞれ個別に、メチル基またはtert−ブチル基であるのが好ましい。
また、一般式(7)中のR18及びR19を示す炭素数1〜6のアルキレン基としては、直鎖状でも分枝状であっても良く、具体的には、それぞれ個別に、R13の説明において例示した各種アルキレン基が挙げられる。一般式(7)で表される化合物が少ない反応工程で製造できる点およびその原料の入手が容易である点で、R18及びR19はそれぞれ個別に、炭素数1〜2のアルキレン基、具体的には例えば、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基(ジメチレン基)等がより好ましい。
また、一般式(7)において、Aで示される炭素数1〜18のアルキレン基としては、具体的には例えば、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基(ジメチレン基)、エチルメチレン基、プロピレン基(メチルエチレン基)、トリメチレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基等(これらのアルキレン基は直鎖状でも分枝状でも良い)が挙げられるが、原料入手の容易さ等から、炭素数1〜6のアルキレン基、具体的には例えば、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基(ジメチレン基)、エチルメチレン基、プロピレン基(メチルエチレン基)、トリメチレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等(これらのアルキレン基は直鎖状でも分枝状でも良い)がより好ましく、エチレン基(ジメチレン基)、トリメチレン基、直鎖ブチレン基(テトラメチレン基、直鎖ペンチレン基(ペンタメチレン基)、直鎖ヘキシレン基(ヘキサメチレン基)等の炭素数2〜6の直鎖アルキレン基が特に好ましい。一般式(7)で表されるアルキルフェノール化合物の中で、Aが炭素数1〜18のアルキレン基である場合の化合物として特に好ましいものは、下記の式(8)で示される化合物である。
Figure 0004761800
また、一般式(7)中のAが一般式(iii)で表される基である場合において、一般式(iii)中のR22及びR23で示される炭素数1〜6のアルキレン基は、直鎖状でも分枝状であっても良く、具体的には、それぞれ個別に、先にR11について上述したような各種アルキレン基が挙げられる。一般式(7)の化合物を製造する際の原料が入手しやすいことから、R22及びR23は、それぞれ個別に、炭素数1〜3のアルキレン基、具体的には例えば、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基(ジメチレン基)、エチルメチレン基、プロピレン基(メチルエチレン基)、トリメチレン基等であるのがより好ましい。一般式(7)で表されるアルキルフェノールの中で、Aが一般式(iii)で表される基である場合の化合物として特に好ましいものは、下記の式(9)で示される化合物である。
Figure 0004761800
また、当然のことではあるが、本発明においてフェノール系酸化防止剤としては、一般式(6)および(7)で表されるアルキルフェノール化合物の中から選ばれる1種の化合物を単独で用いても良く、さらには、上記の中から選ばれる2種以上の化合物の任意混合割合での混合物等を用いても良い。
フェノール系酸化防止剤の含有量は、チェーンオイルの組成物全量基準で、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。含有量が3質量%を超えても、含有量に見合うだけの色相安定性のさらなる向上は見られず、また基油に対する溶解性が低下する傾向にある。一方、フェノール系酸化防止剤の含有量は、組成物全量基準で、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上である。含有量が0.01質量%に満たない場合は、色相安定性の向上効果が不十分となる傾向にある。
本発明においては、アミン系酸化防止剤、ジチオリン酸亜鉛などの含硫黄系酸化防止剤等の他の酸化防止剤を、劣化時に着色しない最低限の添加量でフェノール系酸化防止剤と併用することもできる。
アミン系酸化防止剤としては、潤滑油の酸化防止剤として用いられる任意の芳香族アミン系化合物が使用可能であり、特に限定されるものではないが、例えば、下記一般式(10)で表されるフェニル−α−ナフチルアミン類又は下記一般式(11)で表されるp,p’−ジアルキルジフェニルアミンの中から選ばれる1種又は2種以上の芳香族アミンが好ましいものとして挙げられる。
Figure 0004761800
[式(10)中、R24は水素原子又は炭素数1〜16のアルキル基を示す。]
Figure 0004761800
[式(11)中、R25及びR26は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜16のアルキル基を示す。]
本発明のエスカレータ用チェーンオイルには、チェーンの摩耗防止のため、摩耗防止剤を添加することが望ましい。
摩耗防止剤としては特に限定されるものではなく、例えば、ジハイドロカルビルポリサルファイド、硫化エステル、硫化鉱油、ジチオリン酸亜鉛化合物、ジチオカルバミン酸亜鉛化合物、ジチオリン酸モリブデン化合物、ジチオカルバミン酸モリブデン化合物、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩、塩素化リン酸エステル、亜リン酸エステル、亜リン酸エステルのアミン塩、チオリン酸エステル、リン含有カルボン酸化合物等の摩耗防止剤が使用可能である。
ジハイドロカルビルポリサルファイドは、一般にポリサルファイド又は硫化オレフィンと呼ばれる硫黄系化合物であり、好ましくは下記一般式(12)で表される化合物である。
27−Sx−R28 (12)
[式中、R27及びR28は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数3〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基あるいは炭素数7〜20のアリールアルキル基を示し、xは2〜6、好ましくは2〜5の整数を示す。]
硫化エステルとしては、具体的には例えば、牛脂、豚脂、魚脂、菜種油、大豆油などの動植物油脂;不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸又は上記の動植物油脂から抽出された脂肪酸類などを含む)と各種アルコールとを反応させて得られる不飽和脂肪酸エステル;及びこれらの混合物などを任意の方法で硫化することにより得られるものが挙げられる。
硫化鉱油とは、鉱油に単体硫黄を溶解させたものをいう。単体硫黄としては、塊状、粉末状、溶融液体状等の形態のものがある。
ジチオリン酸亜鉛化合物、ジチオカルバミン酸亜鉛化合物、ジチオリン酸モリブデン化合物、及びジチオカルバミン酸モリブデン化合物は、それぞれ下記一般式(13)〜(16)で表される。
Figure 0004761800
Figure 0004761800
Figure 0004761800
Figure 0004761800
[式中、R29〜R44は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1以上の炭化水素基を表し、XおよびXはそれぞれ酸素原子又は硫黄原子を表し、また各Xおよび各Xはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
リン酸エステルとしては、具体的には例えば、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリヘプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリウンデシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、トリトリデシルホスフェート、トリテトラデシルホスフェート、トリペンタデシルホスフェート、トリヘキサデシルホスフェート、トリヘプタデシルホスフェート、トリオクタデシルホスフェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、及びキシレニルジフェニルホスフェートなどが挙げられる。
酸性リン酸エステルの具体例としては、モノブチルアシッドホスフェート、モノペンチルアシッドホスフェート、モノヘキシルアシッドホスフェート、モノヘプチルアシッドホスフェート、モノオクチルアシッドホスフェート、モノノニルアシッドホスフェート、モノデシルアシッドホスフェート、モノウンデシルアシッドホスフェート、モノドデシルアシッドホスフェート、モノトリデシルアシッドホスフェート、モノテトラデシルアシッドホスフェート、モノペンタデシルアシッドホスフェート、モノヘキサデシルアシッドホスフェート、モノヘプタデシルアシッドホスフェート、モノオクタデシルアシッドホスフェート、モノオレイルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジペンチルアシッドホスフェート、ジヘキシルアシッドホスフェート、ジヘプチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジノニルアシッドホスフェート、ジデシルアシッドホスフェート、ジウンデシルアシッドホスフェート、ジドデシルアシッドホスフェート、ジトリデシルアシッドホスフェート、ジテトラデシルアシッドホスフェート、ジペンタデシルアシッドホスフェート、ジヘキサデシルアシッドホスフェート、ジヘプタデシルアシッドホスフェート、ジオクタデシルアシッドホスフェート、及びジオレイルアシッドホスフェートなどが挙げられる。
酸性リン酸エステルのアミン塩としては、前記酸性リン酸エステルのメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、及びトリオクチルアミンなどのアミンとの塩が挙げられる。
塩素化リン酸エステルとしては、トリス・ジクロロプロピルホスフェート、トリス・クロロエチルホスフェート、トリス・クロロフェニルホスフェート、及びポリオキシアルキレン・ビス[ジ(クロロアルキル)]ホスフェートなどが挙げられる。
亜リン酸エステルとしては、ジブチルホスファイト、ジペンチルホスファイト、ジヘキシルホスファイト、ジヘプチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジノニルホスファイト、ジデシルホスファイト、ジウンデシルホスファイト、ジドデシルホスファイト、ジオレイルホスファイト、ジフェニルホスファイト、ジクレジルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリペンチルホスファイト、トリヘキシルホスファイト、トリヘプチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリウンデシルホスファイト、トリドデシルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリフェニルホスファイト、及びトリクレジルホスファイトなどが挙げられる。
チオリン酸エステルとしては、トリブチルホスフォロチオネート、トリペンチルホスフォロチオネート、トリヘキシルホスフォロチオネート、トリヘプチルホスフォロチオネート、トリオクチルホスフォロチオネート、トリノニルホスフォロチオネート、トリデシルホスフォロチオネート、トリウンデシルホスフォロチオネート、トリドデシルホスフォロチオネート、トリトリデシルホスフォロチオネート、トリテトラデシルホスフォロチオネート、トリペンタデシルホスフォロチオネート、トリヘキサデシルホスフォロチオネート、トリヘプタデシルホスフォロチオネート、トリオクタデシルホスフォロチオネート、トリオレイルホスフォロチオネート、トリフェニルホスフォロチオネート、トリクレジルホスフォロチオネート、トリキシレニルホスフォロチオネート、クレジルジフェニルホスフォロチオネート、キシレニルジフェニルホスフォロチオネート、トリス(n−プロピルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(n−ブチルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(イソブチルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(s−ブチルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフォロチオネート等が挙げられる。
リン含有カルボン酸化合物としては、同一分子中にカルボキシル基とリン原子の双方を含んでいればよく、その構造は特に制限されない。しかしながら、耐摩耗性及びスラッジ抑制性、あるいは更に摩擦特性の点から、ホスフォリル化カルボン酸が好ましい。
ホスフォリル化カルボン酸としては、例えば下記一般式(17)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004761800
[式(17)中、R45及びR46は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示し、R47は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R48は水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示し、X、X、X及びXは同一でも異なっていてもよく、それぞれ酸素原子又は硫黄原子を示す。]
一般式(17)中、R45及びR46はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表す。炭素数1〜30の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、アルキルビシクロアルキル基、アルキルトリシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ビシクロアルキルアルキル基、トリシクロアルキルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等が挙げられる。また、R45とR46が結合して下記一般式(18)で表される2価の基を形成してもよい。なお、当該2価の基の2個の結合手はそれぞれX、Xと結合するものである。
Figure 0004761800
[式(18)中、R49及びR50は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R49及びR50の双方がメチル基であることが好ましい。]
45、R46としては、これらの中でもアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、トリシクロアルキルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、R45とR46とが結合した上記一般式(18)で表されるような2価の基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましい。
45、R46としてのアルキル基は直鎖状又は分枝状のいずれであってもよい。また、当該アルキル基の炭素数は1〜18であることが好ましい。このようなアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、第三ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、3−ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、2−エチルブチル基、1−メチルフェニル基、1,3−ジメチルブチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1−メチルヘキシル基、イソヘプチル基、1−メチルヘプチル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基及び1−メチルウンデシル基などが挙げられる。これらの中でも炭素数3〜18のアルキル基が好ましく、炭素数3〜8のアルキル基がより好ましい。
45、R46としてのシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基又はシクロドデシル基などが挙げられる。これらの中でも、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が好ましく、とりわけシクロヘキシル基が好ましい。
45、R46としてのシクロアルキルアルキル基としては、シクロアルキルメチル基が好ましく、炭素数6又は7のシクロアルキルメチル基がより好ましく、シクロペンチルメチル基及びシクロヘキシルメチル基が特に好ましい。
45、R46としてのビシクロアルキルアルキル基としては、ビシクロアルキルメチル基が好ましく、炭素原子数9〜11のビシクロアルキルメチル基がより好ましく、デカリニルメチル基が特に好ましい。
45、R46としてのトリシクロアルキルアルキル基としては、トリシクロアルキルメチル基が好ましく、炭素原子数9〜15のトリシクロアルキルメチル基がより好ましく、下記式(19)又は(20)で表される基が特に好ましい。
Figure 0004761800
Figure 0004761800
45、R46としてのアリール基及びアルキルアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ビニルフェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、第三ブチルフェニル基、ジ−第三ブチルフェニル基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数6〜15のアリール基及びアルキルアリール基が好ましい。
47は炭素数1〜20のアルキレン基を示す。かかるアルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは2〜6、さらに好ましくは3〜4である。また、このようなアルキレン基としては、下記一般式(21)で表されるものが好ましい。
Figure 0004761800
一般式(21)中、R51、R52、R53及びR54は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を示し、R51、R52、R53及びR54の炭素数の合計は6以下である。また、好ましくは、R51、R52、R53及びR54は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基を示し、R51、R52、R53及びR54の炭素数の合計は5以下である。さらに好ましくは、R51、R52、R53及びR54は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1又は2の炭化水素基を示し、R51、R52、R53及びR54の炭素数の合計は4以下である。特に好ましくは、R51、R52、R53及びR54は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜2の炭化水素基を示し、R51、R52、R53及びR54の炭素数の合計は3以下である。最も好ましくは、R53又はR54のいずれかがメチル基であり残りの3基が水素原子である。
また、一般式(17)中のR48は、水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示す。かかる炭化水素基としては、R45及びR46の説明において例示された炭化水素基が挙げられる。耐摩耗性の点からは、R48が水素原子であることが好ましい。
また、一般式(17)中のX、X、X及びXは同一でも異なっていてもよく、それぞれ酸素原子又は硫黄原子を示す。耐摩耗性の点からは、X、X、X及びXのうち1つ以上が硫黄原子であることが好ましく、2つ以上が硫黄原子であることがより好ましく、2つが硫黄原子であり且つ残りの2つが酸素原子であることがさらに好ましい。この場合、X、X、X及びXのうちいずれが硫黄原子であるかは任意であるが、X、及びX、が酸素原子であり且つX及びXが硫黄原子であることが好ましい。
以上、一般式(17)中の各基について説明したが、より耐摩耗性及び摩擦特性に優れることから、下記一般式(22)で表されるβ−ジチオホスフォリル化プロピオン酸が好ましく使用される。
Figure 0004761800
[式(22)中、R45及びR46は、それぞれ式(17)中のR45及びR46と同一の定義内容を示し、R51、R52、R53及びR54は、それぞれ式(21)中のR51、R52、R53及びR54と同一の定義内容を示す。]
本発明において用いられる摩耗防止剤としては、劣化時に着色しにくいことから、リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性リン酸エステルアミン塩、チオリン酸エステルが好ましく、リン酸エステル、チオリン酸エステルが最も好ましい。
本発明のチェーンオイルにおける摩耗防止剤の含有量は特に制限されないが、組成物全量基準で、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上である。含有量が0.005質量%に満たない場合は、耐摩耗性の向上効果が不十分となる傾向にある。一方、上限としては好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。含有量が5質量%を超える場合、潤滑油組成物の色相安定性が低下する傾向にある。
また、本発明のチェーンオイルにおいては、その性能を更に向上させる目的で、必要に応じて、さび止め剤、金属不活性化剤、流動点降下剤、消泡剤等に代表される各種添加剤を単独で、または数種類組み合わせて更に含有させても良い。
さび止め剤としては、具体的には、脂肪酸金属塩、ラノリン脂肪酸金属塩、酸化ワックス金属塩等の金属石けん類;ソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール部分エステル類;ラノリン脂肪酸エステル等のエステル類;カルシウム スルホネート、バリウムスルフォネート等のスルフォネート類;酸化ワックス;アミン類;リン酸;リン酸塩等が例示できる。本発明においては、これらのさび止め剤の中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を、任意の量で含有させることができるが、通常、その含有量は、組成物全量基準で0.01〜1質量%であるのが望ましい。
金属不活性化剤としては、具体的には、ベンゾトリアゾール系、チアジアゾール系、イミダゾール系化合物等が例示できる。本発明においては、これらの金属不活性化剤の中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を、任意の量で含有させることができるが、通常、その含有量は、組成物全量基準で0.001〜1質量%であるのが望ましい。
流動点降下剤としては、具体的には、各種アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルから選ばれる1種または2種以上のモノマーの共重合体若しくはその水添物等が例示できる。本発明においては、これらの流動点降下剤の中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を、任意の量で含有させることができるが、通常、その含有量は、組成物全量基準で0.01〜5質量%であるのが望ましい。
消泡剤としては、具体的には、ジメチルシリコーン、フルオロシリコーン等のシリコーン類が例示できる。本発明においては、これらの消泡剤の中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を、任意の量で含有させることができるが、通常、その含有量は、組成物全量基準で0.001〜0.05質量%であるのが望ましい。
本発明のエスカレータ用チェーンオイルの動粘度は、特に限定されないが、滴下給油性、潤滑性、飛散性等の点から、通常、40℃における動粘度は、好ましくは5〜1,000mm/s、より好ましくは10〜500mm/s、更に好ましくは30〜300mm/sである。また、0℃における動粘度も任意であるが、滴下給油性等の点から、通常2,000mm/s以下であることが好ましく、1,600mm/s以下であることがより好ましい。
また、チェーンオイルの粘度指数は特に制限されないが、80以上が好ましく、より好ましくは100以上、更に好ましくは120以上、最も好ましくは130以上である。粘度指数が高いほど高温での粘度が高いため、高温での油膜強度が強く、チェーンに貼り付きやすい。
さらにチェーンオイルの流動点も任意であるが、滴下給油性等の点から、好ましくは−5℃以下、より好ましくは−15℃以下である。
本発明のエスカレータ用チェーンオイルは、チェーンへの貼り付き性に優れるとともに貼り付き効果を長期間維持できるためオイル補給間隔が長く、さらには潤滑性に優れ、オイルの飛散が少なく、色の変化が少ないため、エスカレータ用チェーンの専用油として好適である。
以下に、実施例及び比較例を挙げ本発明をより更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜4)
表1に示す組成により、本発明に係わるチェーンオイルを調製した。これらの組成物に関しては、以下に示す性能評価試験を行ない、その結果も表1に示した。
(比較例1〜4)
比較のために表2に示す組成のチェーンオイルを調製し、同様の性能評価試験を行ない、その結果も表2に示した。
なお、実施例及び比較例で用いた成分は以下のとおりである。
(1)基油
基油1:PAO(ポリアルファオレフィン)系合成基油
(動粘度95mm/s(@40℃)、動粘度13.3mm/s(@
100℃)、粘度指数139、流動点−45℃)
基油2:パラフィン系水素化分解基油
(動粘度105mm/s(@40℃)、動粘度12.0mm/s(@
100℃)、粘度指数100、流動点−15℃)
(2)高分子化合物
A1:Mw:28万、Mn:12万のポリイソブチレン、Mw/Mn=2.3
A2:Mw:38万、Mn:13.5万のポリイソブチレン、Mw/Mn=2.8
A3:Mw8万、Mn:6万のポリメタクリレート、Mw/Mn=1.3
A4:Mw110万、Mn:30万のポリイソブチレン、Mw/Mn=3.7
(3)フェノール系酸化防止剤
B1:ジ−tertブチル−p−クレゾール
(4)アミン系酸化防止剤
C1:ジオクチルジフェニルアミン
(5)摩耗防止剤
D1:トリクレジルホスフェート
D2:トリフェニルフォスフォロチオネート
実施例及び比較例の各チェーンオイルについて、以下の評価試験を行った。
[糸引き性試験]
図1に示す装置を用いて、以下の要領で試験を行った。
(1)試験方法の概要
先端部分の内径が規定されたガラス製ピペットに試料を一定量採取し,一定時間放置後、滴下して油糸の長さを測定する。
(2)装置及び器具
ピペット:図1に示すガラス製で先端部が内径1.5mmのもの。
ピペット用スポイト:5mlのもの。
ものさし:1cm目盛りで測定可能なもの。
(3)試験条件
a)試料の入ったビーカーからピペット用スポイトを用いて、ピペットに4〜5ml吸引し、スポイトを装着したまま、図1の支持台に取り付ける。時計皿またはシャーレの底からピペット先端までも距離を、5cmに合わせる。
b)ピペット用スポイトをピペットから外して滴下を開始し、油滴がピペットの先端部から受けの容器まで糸を引くことを確認する。ピペット先端からの距離を5cm間隔で伸ばし、糸引きが無くなる距離を記録する。
(4)判定
上記試験を3回繰り返し、糸引き距離が20cm以上を合格、20cm未満を不合格とする。
[高速四球試験]
ASTMD2266に規定する「四球式耐摩耗試験方法」に準じ、回転数1200rpm、荷重294N、油温75℃,試験時間1時間後の摩耗痕径を測定する。
[熱安定度試験]
JISK2540に規定する「潤滑油熱安定度方法」に準じ、容量50mlのビーカーに試料油50mlを採取し、鉄および銅のコイル状触媒を加え、140℃の空気恒温槽で一定期間(10日)熱安定性試験を行う。試験後はフィルターでろ過して試料油の色変化及び使用油中のスラッジ量を測定する。
Figure 0004761800
Figure 0004761800
糸引き性試験に用いる装置の概略図である。

Claims (1)

  1. 鉱油、油脂および合成油の中から選ばれる少なくとも1種を基油として、組成物全量基準で、(A)重量平均分子量が25万〜60万ポリイソブチレンを0.01〜5質量%と(B)フェノール系酸化防止剤を0.01〜3質量%含有してなるエスカレータ用チェーンオイル。
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