JPH108081A - 無段変速機用潤滑油組成物 - Google Patents

無段変速機用潤滑油組成物

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JPH108081A
JPH108081A JP8164320A JP16432096A JPH108081A JP H108081 A JPH108081 A JP H108081A JP 8164320 A JP8164320 A JP 8164320A JP 16432096 A JP16432096 A JP 16432096A JP H108081 A JPH108081 A JP H108081A
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Noboru Sonoda
昇 薗田
Toshihiko Ichihashi
俊彦 市橋
Masayuki Kato
雅之 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無灰系分散剤を使用し、摩擦特性及び耐
焼付性能に優れ、特に金属ベルトタイプの変速機用とし
て好適な無段変速機用潤滑油組成物を提供する。 【解決手段】 潤滑油基油に、(A)無灰系分散剤、
(B)硫黄系極圧剤、及び(C)リン系極圧剤を配合し
てなる無段変速機用潤滑油組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は無段変速機用潤滑油
組成物に関し、さらに詳しくは、無灰系分散剤を使用
し、摩擦特性及び耐焼付性能に優れ、特に金属ベルトタ
イプの変速機用として好適な無段変速機用潤滑油組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車用の自動変速機としては、
トルクコンバータと数種の歯車列をもつ有段変速機が用
いられてきたが、このような有段変速機においては、ト
ルクコンバータによるスリップロスや変速時のトルクロ
スにより、効率が悪いという問題があった。そのため、
近年、自動車用の変速機として、スチールベルトを用い
た無段変速機が開発され、実用に供されるようになって
きた。
【0003】しかしながら、この無段変速機に用いられ
る潤滑油として、従来の有段変速機用潤滑油(いわゆる
ATF)が転用されてきたため、高負荷時に摩擦係数が
低下し、大きなトルクの伝達が不可能であったり、急加
速時にベルトがスリップしてトルク伝達率が低下するな
どの問題があった。したがって、無段変速機を用いた車
両は、小排気量(低トルク)のものに限定せざるをえな
かった。
【0004】そこで、実機の機構面から、トルク伝達率
の向上が試みられたが、メカニズム上、微小な滑りを伴
って、トルク伝達を行うことから、トルク伝達率の向上
と耐焼付性を向上を両立させることが困難であった。一
方ATFにおいて、スルホネート,フェネート等の金属
系分散剤を用いることがあるが、これらを配合すると自
動変速機として使用される過程において、過塩基性成分
である炭酸カルシウムが湿式クラッチ表面に付着して早
期に湿式クラッチの摩擦特性が悪化し、スムーズな変速
ができなくなる場合がある。そこで、金属系分散剤を使
用せず、無灰系分散剤を使用したATFに変わりつつあ
るのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点か
らなされたもので、無灰系分散剤を使用し、摩擦特性及
び耐焼付性能に優れ、特に金属ベルトタイプの変速機用
として好適な無段変速機用潤滑油組成物を提供すること
を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意研究を
重ねた結果、無灰系分散剤,硫黄系極圧剤及びリン系極
圧剤を必須成分として組み合わせ、潤滑油基油に配合す
ることにより、本発明の目的を効果的に達成しうること
を見出し本発明を完成したものである。すなわち、本発
明は、 (1)潤滑油基油に、(A)無灰系分散剤、(B)硫黄
系極圧剤、及び(C)リン系極圧剤を配合してなる無段
変速機用潤滑油組成物を提供するものである。
【0007】また、好ましい態様は、(2)無灰系分散
剤が、アルケニルコハク酸イミドの中から選ばれた少な
くとも一種である上記(1)記載の無段変速機用潤滑油
組成物、(3)硫黄系極圧剤が、硫化オレフィン及び硫
化アルキルの中から選ばれた少なくとも一種である上記
(1)又は(2)記載の無段変速機用潤滑油組成物、
(4)リン系極圧剤が、トリクレジルホスフェート又は
ジラウリルアシッドホスフェートアミン塩である上記
(1)〜(3)のいずれかに記載の無段変速機用潤滑油
組成物、(5)組成物全量に対し、(A)成分0.1〜
10重量%、(B)成分0.05〜5重量%及び(C)
成分0.01〜8重量%を配合してなる上記(1)〜
(4)のいずれかに記載の無段変速機用潤滑油組成物、
(6)無段変速機が、金属ベルトタイプの変速機である
上記(1)〜(5)のいずれかに記載の無段変速機用潤
滑油組成物、である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。先ず、本発明の潤滑油組成物における基油とし
ては、通常、鉱油や合成油が用いられる。この鉱油や合
成油の種類、その他については、特に制限はないが、1
00℃における動粘度が1〜50mm2 /s、好ましく
は2〜15mm2 /sの範囲にあり、かつ%CA (AS
TM D3238)が20以下、好ましくは10以下の
鉱油やこれと同等以上の性能を有する合成油が用いられ
る。また、基油としては、流動点が−10℃以下、特に
−15℃以下のものが好ましい。
【0009】ここで、鉱油としては、溶剤精製,水添精
製などの通常の精製法により得られるパラフィン系鉱
油,ナフテン系鉱油又は中間基系鉱油などが挙げること
ができ、中でもパラフィン系鉱油が好ましい。具体例と
しては、軽質ニュートラル油,中質ニュートラル油,重
質ニュートラル油,ブライトストックなどを挙げること
ができ、要求性状を満たすように適宜混合することによ
り基油を調製することができる。
【0010】一方合成油としては、例えば、ポリブテ
ン,ポリオレフィン〔α−オレフィン単独重合体や共重
合体(例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体)な
ど〕,各種のエステル(例えば、ポリオールエステル,
二塩基酸エステル,リン酸エステルなど),各種のエー
テル(例えば、ポリフェニルエーテルなど),ポリグリ
コール誘導体(例えば、ポリオキシアルキレングリコー
ル,ポリオキシアルキレングリコールエステル,ポリオ
キシアルキレングリコールエーテルなど),アルキルベ
ンゼン,アルキルナフタレン,シリコーン油などをあげ
ることができる。これらのうち、特にポリオレフィン,
ポリオールエステルが好ましい。これらの基油は、それ
ぞれ単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用する
ことができ、鉱油と合成油を組み合わせて使用してもよ
い。次に、基油に配合される(A)〜(C)成分につい
て説明する。
【0011】(A)成分 無灰系分散剤としては、分子内にアルカリ土類金属等の
金属を含まないで、潤滑油基油に溶解又は均一に分散し
て、主としてスラッジ分散性能を発揮しうるものであれ
ば特に制限はない。このようなものとしては、例えばモ
ノイミド,ビスイミドあるいはそれらのホウ素含有物な
どのイミド化合物を挙げることができる。特に、本発明
においては、アルキルあるいはアルケニルコハク酸イミ
ド類またはそれらのホウ素含有物が好ましく使用でき、
中でもアルケニルコハク酸イミドが更に好ましい。
【0012】本発明においては、上記無灰系分散剤は一
種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよ
い。また、その配合量は、通常組成物全重量に基づき、
0.1〜10重量%の範囲が好ましい。この配合量が
0.1重量%未満ではスラッジ分散性能が不足する場合
があり、また10重量%を超えると耐摩耗性能が悪化す
る場合がある。これらの点から、この無灰系分散剤の更
に好ましい配合量は、組成物全重量に基づき、0.3〜
7重量%の範囲である。
【0013】(B)成分 硫黄系極圧剤としては、分子内に硫黄原子を有し、潤滑
油基油に溶解又は均一に分散して、極圧性や優れた摩擦
特性を発揮しうるものであればよく、特に制限はない。
このようなものとしては、例えば動植物油や合成油の硫
化物である硫化油脂,硫化オレフィン,ジヒドロカルビ
ルポリサルファイド,硫化鉱油,チオカーバメート類,
チオテルペン類,ジアルキルチオジプロピオネート類な
どを挙げることができる。
【0014】ここで、硫化油脂の例としては、硫化ラー
ド,硫化なたね油,硫化ひまし油,硫化大豆油,硫化米
ぬか油、さらには硫化オレイン酸などの二硫化脂肪酸,
硫化オレイン酸メチルなどの硫化エステルなどを挙げる
ことができる。硫化オレフィンとしては、例えば、下記
の一般式(I) R1 −Sx −R2 ・・・(I) (式中、R1 は炭素数2〜15のアルケニル基、R2
炭素数2〜15のアルキル基又はアルケニル基を示し、
xは1〜8の整数を示す。)で表される化合物などを挙
げることができる。この化合物は、炭素数2〜15のオ
レフィン又はその2〜4量体を、硫黄,塩化硫黄等の硫
化剤と反応させることによって得られ、該オレフィンと
しては、プロピレン,イソブテン,ジイソブテンなどが
好ましい。
【0015】また、ジヒドロカルビルポリサルファイド
は、下記の一般式(II) R3 −Sy −R4 ・・・(II) (式中、R3 及びR4 は、それぞれ炭素数1〜20のア
ルキル基又は環状アルキル基,炭素数6〜20のアリー
ル基,炭素数7〜20のアルキルアリール基又は炭素数
7〜20のアリールアルキル基を示し、それらは互いに
同一でも異なっていてもよく、yは2〜8の整数を示
す。)で表される化合物である。ここで、R3 及びR4
がアルキル基の場合、硫化アルキルと言われる。
【0016】上記一般式(II)におけるR3 及びR4
具体例としては、メチル基,エチル基,n−プロピル
基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,s
ec−ブチル基,tert−ブチル基,各種ペンチル
基,各種ヘキシル基,各種ヘプチル基,各種オクチル
基,各種ノニル基,各種デシル基,各種ドデシル基,シ
クロヘキシル基,シクロオクチル基,フェニル基,ナフ
チル基,トリル基,キシリル基,ベンジル基,フェネチ
ル基などを挙げることができる。
【0017】このジヒドロカルビルポリサルファイドと
しては、例えば、ジベンジルポリサルファイド,ジ−t
ert−ノニルポリサルファイド,ジドデシルポリサル
ファイド,ジ−tert−ブチルポリサルファイド,ジ
オクチルポリサルファイド,ジフェニルポリサルファイ
ド,ジシクロヘキシルポリサルファイドなどを好ましく
挙げることができる。
【0018】さらに、チオカーバメート類としては、例
えば、ジンクジチオカーバメートなどを、チオテルペン
類としては、例えば、五硫化リンとピネンの反応物を、
ジアルキルチオジプロピオネート類としては、例えば、
ジラウリルチオジプロピオネート,ジステアリルチオジ
プロピオネートなどを挙げることができる。これらの中
で、極圧性,摩擦特性などの点から、硫化オレフィン、
硫化アルキルが好適で、特に硫化オレフィンが好適であ
る。
【0019】本発明においては、上記硫黄系極圧剤は一
種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよ
い。また、その配合量は、通常組成物全重量に基づき、
0.05〜5重量%の範囲が好ましい。この配合量が
0.05重量%未満では極圧性や耐摩耗性が不足するお
それがあり、また5重量%を超えると酸化安定性が低下
する傾向がみられる。極圧性,摩擦特性,酸化安定性な
どの面から、この硫黄系極圧剤の更に好ましい配合量
は、組成物全重量に基づき、0.1〜3重量%の範囲で
ある。
【0020】(C)成分 リン系極圧剤としては、分子内にリン原子を有し、潤滑
油基油に溶解又は均一に分散して極圧性や優れた摩擦特
性を発揮しうるものであればよく、特に制限はない。こ
のようなものとしては、例えばリン酸エステル,酸性リ
ン酸エステル,亜リン酸エステル,酸性亜リン酸エステ
ル,チオリン酸エステル,チオ酸性リン酸エステル及び
これらのアミン塩、さらには上記の五硫化リンとピネン
の反応物などのリン硫化テルペン類などを挙げることが
できる。ここで、リン酸エステル,酸性リン酸エステ
ル,亜リン酸エステル,及び酸性亜リン酸エステルは、
下記の一般式(III)〜(VII)で表されるものを包含す
る。
【0021】
【化1】
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】上記一般式(III)〜(VII)において、R5
〜R7 は炭素数4〜30のアルキル基,アルケニル基,
アルキルアリール基及びアリールアルキル基を示し、R
5 〜R7 は同一でも異なっていてもよい。リン酸エステ
ルとしては、トリアリールホスフェート,トリアルキル
ホスフェート,トリアルキルアリールホスフェート,ト
リアリールアルキルホスフェート,トリアルケニルホス
フェートなどがあり、具体的には、例えばトリフェニル
ホスフェート,トリクレジルホスフェート,ベンジルジ
フェニルホスフェート,エチルジフェニルホスフェー
ト,トリブチルホスフェート,エチルジブチルホスフェ
ート,クレジルジフェニルホスフェート,ジクレジルフ
ェニルホスフェート,エチルフェニルジフェニルホスフ
ェート,ジエチルフェニルフェニルホスフェート,プロ
ピルフェニルジフェニルホスフェート,ジプロピルフェ
ニルフェニルホスフェート,トリエチルフェニルホスフ
ェート,トリプロピルフェニルホスフェート,ブチルフ
ェニルジフェニルホスフェート,ジブチルフェニルフェ
ニルホスフェート,トリブチルフェニルホスフェート,
トリヘキシルホスフェート,トリ(2−エチルヘキシ
ル)ホスフェート,トリデシルホスフェート,トリラウ
リルホスフェート,トリミリスチルホスフェート,トリ
パルミチルホスフェート,トリステアリルホスフェー
ト,トリオレイルホスフェートなどを挙げることができ
る。
【0027】酸性リン酸エステルとしては、具体的に
は、例えば2−エチルヘキシルアシッドホスフェート,
エチルアシッドホスフェート,ブチルアシッドホスフェ
ート,オレイルアシッドホスフェート,テトラコシルア
シッドホスフェート,イソデシルアシッドホスフェー
ト,ラウリルアシッドホスフェート,トリデシルアシッ
ドホスフェート,ステアリルアシッドホスフェート,イ
ソステアリルアシッドホスフェートなどを挙げることが
できる。
【0028】亜リン酸エステルとしては、具体的には、
例えばトリエチルホスファイト,トリブチルホスファイ
ト,トリフェニルホスファイト,トリクレジルホスファ
イト,トリ(ノニルフェニル)ホスファイト,トリ(2
−エチルヘキシル)ホスファイト,トリデシルホスファ
イト,トリラウリルホスファイト,トリイソオクチルホ
スファイト,ジフェニルイソデシルホスファイト,トリ
ステアリルホスファイト,トリオレイルホスファイトな
どを挙げることができる。
【0029】酸性亜リン酸エステルとしては、具体的に
は、例えばジブチルハイドロゲンホスファイト,ジラウ
リルハイドロゲンホスファイト,ジオレイルハイドゲン
ホスファイト,ジステアリルハイドロゲンホスファイ
ト,ジフェニルハイドロゲンホスファイトなどを挙げる
ことができる。また、チオリン酸エステル及びチオ酸性
リン酸エステルとしては、それぞれ上記に例示のリン酸
エステル及び酸性リン酸エステルに対応するものを挙げ
ることができる。
【0030】さらに、これらとアミン塩を形成するアミ
ン類としては、例えば一般式(VIII)、 Rn NH3-n ・・・(VIII) (式中、Rは炭素数3〜30のアルキル基もしくはアル
ケニル基,炭素数6〜30のアリール基もしくはアラル
キル基又は炭素数2〜30のヒドロキシアルキル基を示
し、nは1,2又は3を示す。また、Rが複数ある場
合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。)で表さ
れるモノ置換アミン,ジ置換アミン又はトリ置換アミン
が挙げられる。上記一般式(VIII)におけるRのうちの
炭素数3〜30のアルキル基もしくはアルケニル基は、
直鎖状,分岐状,環状のいずれであってもよい。
【0031】ここで、モノ置換アミンの例としては、ブ
チルアミン,ペンチルアミン,ヘキシルアミン,シクロ
ヘキシルアミン,オクチルアミン,ラウリルアミン,ス
テアリルアミン,オレイルアミン,ベンジルアミンなど
を挙げることができ、ジ置換アミンの例としては、ジブ
チルアミン,ジペンチルアミン,ジヘキシルアミン,ジ
シクロヘキシルアミン,ジオクチルアミン,ジラウリル
アミン,ジステアリルアミン,ジオレイルアミン,ジベ
ンジルアミン,ステアリル・モノエタノールアミン,デ
シル・モノエタノールアミン,ヘキシル・モノプロパノ
ールアミン,ベンジル・モノエタノールアミン,フェニ
ル・モノエタノールアミン,トリル・モノプロパノール
などを挙げることができる。また、トリ置換アミンの例
としては、トリブチルアミン,トリペンチルアミン,ト
リヘキシルアミン,トリシクロヘキシルアミン,トリオ
クチルアミン,トリラウリルアミン,トリステアリルア
ミン,トリオレイルアミン,トリベンジルアミン,ジオ
レイル・モノエタノールアミン,ジラウリル・モノプロ
パノールアミン,ジオクチル・モノエタノールアミン,
ジヘキシル・モノプロパノールアミン,ジブチル・モノ
プロパノールアミン,オレイル・ジエタノールアミン,
ステアリル・ジプロパノールアミン,ラウリル・ジエタ
ノールアミン,オクチル・ジプロパノールアミン,ブチ
ル・ジエタノールアミン,ベンジル・ジエタノールアミ
ン,フェニル・ジエタノールアミン,トリル・ジプロパ
ノールアミン,キシリル・ジエタノールアミン,トリエ
タノールアミン,トリプロパノールアミンなどを挙げる
ことができる。
【0032】これらのリン系極圧剤の中で、極圧性,摩
擦特性などの点から、トリクレジルホスフェート,ジラ
ウリルアシッドホスフェートアミン塩が好適である。本
発明においては、上記リン系極圧剤は一種用いてもよ
く、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その
配合量は、通常組成物全重量に基づき、0.01〜8重
量%の範囲が好ましい。この量が0.01重量%未満で
は極圧性や摩擦特性が不足するおそれがあり、また8重
量%を超えるとスラッジや錆が発生するおそれがある。
極圧性,摩擦特性及びスラッジや錆発生の抑制などの面
から、このリン系極圧剤の更に好ましい配合量は、組成
物全重量に基づき0.05〜5重量%の範囲である。
【0033】本発明の潤滑油組成物には、本発明の目的
が損なわれない範囲で、必要に応じて、その他の添加
剤、例えば酸化防止剤,摩擦係数調整剤,粘度指数向上
剤,消泡剤などを適宜添加することができる。ここで、
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系,アミン
系,あるいはアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)
などを好ましく使用することができる。ヒンダードフェ
ノール系酸化防止剤としては、例えば4,4’−メチレ
ンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);4,
4’−ビス(2,6−ジ−ブチルフェノール);4,
4’−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル);2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−
ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メ
チル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−ブチリ
デンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール);
4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブ
チルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチ
ル−6−ノニルフェノール);2,2’−イソブチリデ
ンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2’−メ
チレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノー
ル);2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノー
ル;2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール;
2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール;2,6
−ジ−t−アミル−p−クレゾール;2,6−ジ−t−
ブチル−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノ
ール);4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブ
チルフェノール);4,4’−チオビス(3−メチル−
6−t−ブチルフェノール);2,2’−チオビス(4
−メチル−6−t−ブチルフェノール);ビス(3−メ
チル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)スル
フィド;ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シベンジル)スルフイド;n−オクタデシル−3−(4
−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロ
ピオネート;2,2’−チオ〔ジエチル−ビス−3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕などを挙げることができる。これらの
中で、特にビスフェノール及びエステル基フェノール系
のものが好適である。
【0034】また、アミン系酸化防止剤としては、例え
ばモノオクチルジフェニルアミン;モノノニルジフェニ
ルアミンなどのモノアルキルジフェニルアミン系、4,
4’−ジブチルジフェニルアミン;4,4’−ジペンチ
ルジフェニルアミン;4,4’−ジヘキシルジフェニル
アミン;4,4’−ジヘプチルジフェニルアミン;4,
4’−ジオクチルジフェニルアミン;4,4’−ジノニ
ルジフェニルアミンなどのジアルキルジフェニルアミン
系、テトラブチルジフェニルアミン;テトラヘキシルジ
フェニルアミン;テトラオクチルジフェニルアミン;テ
トラノニルジフェニルアミンなどのポリアルキルジフェ
ニルアミン系、及びナフチルアミン系のもの、具体的に
はα−ナフチルアミン;フェニル−α−ナフチルアミ
ン;さらにはブチルフェニル−α−ナフチルアミン;ペ
ンチルフェニル−α−ナフチルアミン;ヘキシルフェニ
ル−α−ナフチルアミン;ヘプチルフェニル−α−ナフ
チルアミン;オクチルフェニル−α−ナフチルアミン;
ノニルフェニル−α−ナフチルアミンなどのアルキル置
換フェニル−α−ナフチルアミンなどを挙げることがで
きる。これらの中でジアルキルジフェニルアミン系及び
ナフチルアミン系のものが好適である。
【0035】摩擦係数調整剤としては、例えばオレイン
酸,ステアリン酸,パルミチン酸などの高級脂肪酸類、
ラウリルアルコール,オレイルアルコール,セチルアル
コールなどの高級アルコール類、オレイン酸エチル,ソ
ルビタンモノステアレート,オレイン酸モノグリセリド
などのエステル類、セチルアミン,オクタデシルアミン
などのアミン類の化合物を挙げることができる。
【0036】粘度指数向上剤としては、例えばポリメタ
クリレート、エチレン−プロピレン共重合体などのオレ
フィン系共重合体、スチレン−ブタジエン水素化共重合
体などのスチレン系共重合体などを挙げることができ
る。消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサン,
フェニルメチルシロキサン,環状オルガノシロキサンな
どのシリコーン系化合物、ソルビタンモノラウレート,
アルケニルコハク酸誘導体などのエステル系化合物を挙
げることができる。これらのその他の各添加剤は、その
種類にもよるが、通常は組成物中に0.01〜10重量
%程度配合される。ただし、粘度指数向上剤について
は、3〜20重量%である。
【0037】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。 実施例1〜3及び比較例1〜4 基油としてパラフィン系鉱油を用い、第1表に示す種類
と配合割合(重量%)で潤滑油組成物を調製した。得ら
れた各組成物について、以下に示すように、ファレック
ス試験機により、初期摩擦係数及び焼付荷重を測定し
た。結果を第1表に示す。
【0038】ファレックス試験機による試験 〔実験条件〕 材質:ピン AISI−3135,ブロック AISI
−C−1137 モーター回転数:500rpm 油温:25℃でスタート 馴らし荷重:150Lbs 馴らし時間:1分 荷重のかけ方:50Lbs/分のステップ法 以上の実験条件において、以下の通り初期摩擦係数及び
焼付荷重を評価した。 初期摩擦係数(μ):馴らし後200Lbsにした時の
摩擦係数 焼付荷重:ステップ法で荷重を上げて焼き付いた時の荷
重(Lbs)
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】*1 基油:動粘度(100℃)5.0m
2 /s,%CA 1以下 流動点−17.5℃ *2 コハク酸イミド:ポリブテニルコハク酸イミド *3 ビスイミド:ポリブテニルコハク酸ビスイミド *4 リン酸エステルアミン:ジラウリルアシッドホス
フェートアミン塩 *5 シリコン:ジメチルポリシロキサン *6 ポリメタクリレート(重量平均分子量4万) 比較例より、次のことが分かる。比較例1おいて、
(A)成分がないと、μが上がらない。比較例2にお
いて、(B)成分がないと、焼付荷重が不足している。
比較例3において、(C)成分がないと、焼付荷重が
不足している。比較例4において、市販油では焼付荷
重が不足し、μも低い。
【0042】
【発明の効果】本発明の無段変速機用潤滑油組成物は、
無灰系分散剤を使用し、摩擦特性及び耐焼付性能に優
れ、特に金属ベルトタイプの変速機用として好適に用い
られる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 135:22 137:04) C10N 30:06 30:08 40:04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潤滑油基油に、(A)無灰系分散剤、
    (B)硫黄系極圧剤、及び(C)リン系極圧剤を配合し
    てなる無段変速機用潤滑油組成物。
  2. 【請求項2】 無灰系分散剤が、アルケニルコハク酸イ
    ミドの中から選ばれた少なくとも一種である請求項1記
    載の無段変速機用潤滑油組成物。
  3. 【請求項3】 硫黄系極圧剤が、硫化オレフィン及び硫
    化アルキルの中から選ばれた少なくとも一種である請求
    項1又は2記載の無段変速機用潤滑油組成物。
  4. 【請求項4】 リン系極圧剤が、トリクレジルホスフェ
    ート又はジラウリルアシッドホスフェートアミン塩であ
    る請求項1〜3のいずれかに記載の無段変速機用潤滑油
    組成物。
  5. 【請求項5】 組成物全重量に対し、(A)成分0.1
    〜10重量%、(B)成分0.05〜5重量%及び
    (C)成分0.01〜8重量%を配合してなる請求項1
    〜4のいずれかに記載の無段変速機用潤滑油組成物。
  6. 【請求項6】 無段変速機が、金属ベルトタイプの変速
    機である請求項1〜5のいずれかに記載の無段変速機用
    潤滑油組成物。
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