JP5875952B2 - 農業機械用潤滑油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、農業機械用潤滑油組成物に関する。詳しくは、変速機に湿式クラッチ機構を有するトラクター等の農業機械に関し、湿式クラッチの滑りを防止し良好な変速特性を有し、水がオイルタンクに混入した場合でも錆の発生や油圧不良につながるエマルションの生成を抑えることができる農業機械用潤滑油組成物に関する。
農業機械は、整地用作業機としてのトラクター、育成管理用作業機としての田植え機、収穫用作業機としてのバインダー、コンバインなどがある。これらの中で最も幅広く用いられているのがトラクターである。トラクターには油圧ポンプ部、変速装置部、PTOクラッチ部、差動歯車装置部、湿式ブレーキ部など多くの潤滑箇所があり、これらを1つの農業機械用潤滑油で潤滑しているタイプが多い。このため農業機械用潤滑油には摩擦特性、耐摩耗性、酸化安定性、さび止め性、有機材料適合性など多機能の役割が要求される。これらの性能を確保し、さらに高めるために、現在のところ、選定された基油に種々の添加剤を配合して農業機械用潤滑油組成物として供給している(例えば、特許文献1〜4等参照)。
ところで、このような農業機械用潤滑油は、ブレーキ鳴きの防止など湿式ブレーキ部への適合性を重視して摩擦調整剤を配合するケースが多いため、摩擦係数が低い傾向にある。しかしながら、上述のように、通常、農業機械用潤滑油は1種類の潤滑油で複数の潤滑箇所を潤滑するため、高い制御力や動力伝達が求められるコンバインや一部のトラクターでは、十分な性能が得られない場合がある。高い制御力や高い動力伝達のためには、湿式クラッチ部の摩擦材の摩擦係数が高いことが求められるためである。
そのため、このような湿式ブレーキ部への適合性に加え湿式クラッチ部における高い摩擦係数を付与できるような潤滑油であることが望ましく、特に高い動力伝達を達成するために、クラッチ結合後の滑りを抑制する高い静摩擦係数を付与できるものが望ましい。
さらに農業機械の中には雨季に水田にて使用されるものがあり、そのような機械では油圧タンクへの水分混入が避けられない環境にある。水分がオイルに混入するとオイルと水分とで生成するエマルションが、油圧ポンプのサクションフィルター部におけるスムーズな通油を阻害し、フィルター機能を低下させることがある。そのため、水分が混入してもエマルション形成を起こしにくい、水分離性(抗乳化性)が高いことが望ましい。このため、低塩基価の金属型清浄剤の配合により水分離性の向上が図られる技術があるが(例えば特許文献5等)、低塩基価の金属型清浄剤は高塩基価の金属型清浄剤と比べ静摩擦係数が劣るため、静摩擦係数を低下させる傾向がある。
一方、上記した通り、農業機械用潤滑油組成物においてはブレーキ鳴き防止のために摩擦調整剤が配合され、その摩擦調整剤としてはしばしば酸性リン酸エステルアミン塩が配合されており、この酸性リン酸エステルアミン塩は摩擦調整剤としての効果と共に水分離性向上効果も有する(例えば特許文献6等)。しかし、やはり酸性リン酸エステルアミン塩は摩擦調整剤であるため、上記した通りその配合量が多すぎると、静摩擦係数が低下し過ぎてしまうため、酸性リン酸エステルアミン塩によりクラッチ結合後の滑りを抑制できる程度に高い静摩擦係数を維持しつつ水分離性をも高めることは困難であった。
特開平3−20396号公報 特開2004−59930号公報 特開2009−144097号公報 特開2009−144098号公報 特開2010−121063号公報 特開昭63−254196号公報
本発明は、特に農業機械の変速装置に装着された湿式クラッチの摩擦材に対し、高い静摩擦係数を示し、しかも水がオイルタンクに混入した場合でも油圧不良につながるエマルションの生成を抑えることが可能な変速機に湿式クラッチ機構を有する農業機械用潤滑油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決することを意図して研究を重ねた結果、潤滑油基油に金属型清浄剤、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を配合し、一般式(1)で表わされるアスパラギン酸エステル誘導体を特定量配合することで上記課題を解決できることを見出し、この知見にもとづいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、潤滑油基油と、(A)塩基性カルシウムスルホネート及び塩基性カルシウムフェネートから選ばれる1種類以上、(B)ジアルキルジチオリン酸亜鉛、(C)下記一般式(1)で表わされるアスパラギン酸エステル誘導体を含有し、前記塩基性カルシウムスルホネート及び塩基性カルシウムフェネートから選ばれる1種類以上の含有量が、該組成物の全量に対するカルシウム量換算で0.1〜0.7質量%であり、前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量が、該組成物の全量に対する亜鉛量換算で0.05〜0.2質量%であり、一般式(1)で表わされるアスパラギン酸エステル誘導体の含有量が該組成物の全量に対して0.01〜1.0質量%であることを特徴とする変速機に湿式クラッチ機構を有する農業機械用潤滑油組成物を提供する。
Figure 0005875952
式(1)中、R、R、R及びRはそれぞれ炭素数が1〜30のアルキル基を示し、全て同じアルキル基であってもよいし、互いに異なるアルキル基であってもよい。
本発明の変速機に湿式クラッチ機構を有する農業機械用潤滑油組成物は、トラクター等の変速機の湿式クラッチ部における静摩擦係数が高く、しかも水がオイルタンクに混入した場合でも油圧不良につながるエマルションの生成を抑えることができる。
本発明の変速機に湿式クラッチ機構を有する農業機械用潤滑油組成物(以下、単に農業機械用潤滑油又は潤滑油組成物という場合がある。)における潤滑油基油に特に制限はなく、農業機械用潤滑油として使用しうるものであれば鉱油、合成油を問わず使用することができる。
鉱油系潤滑油基油としては、様々な製造法により得られたものが使用できるが、例えば、水素化精製油、触媒異性化油などに溶剤脱蝋または水素化脱蝋などの処理を施した、高度に精製されたパラフィン系鉱油等が好ましく使用される。また、上記以外にも様々な製造法により得られた鉱物系基油が使用でき、例えば、潤滑油原料をフェノール、フルフラールなどの芳香族抽出溶剤を用いた溶剤精製により得られるラフィネート、シリカ−アルミナを担体とするコバルト、モリブデンなどの水素化処理触媒を用いた水素化処理により得られる水素化処理油などが挙げられる。特に、水素化分解工程や異性化工程によって得られる高粘度指数鉱油が好適なものとして挙げることができる。
合成油系基油としては、例えば、メタン等のガスを原料としてフィッシャー・トロプシュ反応により合成される基油、ポリ−α−オレフィンオリゴマー、ポリブテン、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、ポリグリコールエステル、ポリエチレンプロピレン類、ヒンダードエステル類、二塩基酸エステルなどを挙げることができる。なお少量であれば、リン酸エステル、シリコーン油も使用できる。
潤滑油基油は、上記のような2種類以上の鉱油系潤滑油基油の混合物あるいは合成系基油の混合物であっても差し支えなく、1種類以上の鉱油系潤滑油基油と1種類以上の合成系潤滑油基油との混合物であっても差し支えない。そして、上記混合物における2種類以上の基油の混合比は、任意に選ぶことができる。但し、100℃における動粘度が低すぎると、特に夏場において油圧タンクからの蒸発が生じ易くなり、環境保全の観点から好ましくない。また油膜強度が低下してギヤ部を損傷する可能性が高くなるので好ましくない。一方、100℃における動粘度が高すぎると、製品粘度が高くなり過ぎる。そのため冬季始動時に粘性抵抗による動力損失が増大するので好ましくない。これらの観点から、一般的には100℃における動粘度が2.0mm/sから15.0mm/sの範囲が好ましい。ただし、動粘度が上記範囲以外の基油を含んでも粘度の影響が少ない装置であれば当然ながら制限なく使用することができる。また基油の粘度指数にも制限はないが、通常90以上程度が好ましい。
本発明の農業機械用潤滑油組成物は、上記のような潤滑油基油に、(A)成分として、塩基性カルシウムスルホネート及び塩基性カルシウムフェネートから選ばれる1種類以上を含有する。上記塩基性カルシウムスルホネートと塩基性カルシウムフェネートとしては、好ましくは、下記一般式(2)〜一般式(4)で表されるものを、カルシウムの炭酸塩又はホウ酸塩を炭酸ガス存在下で反応させる事により過塩基化したものが挙げられる。
Figure 0005875952
一般式(2)及び一般式(3)は、塩基性カルシウムスルホネートであり、一般式(4)は、塩基性カルシウムフェネートである。上記式中、R〜Rは、水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基を示し、好ましくは6〜18のアルキル基であり、それらが複数存在する場合は、それぞれ同一であっても、異なってもよい。nは、1〜4の整数であり、Sxのxは、1又は2であり、好ましくは1である。
これらは、単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。また、カルシウムスルホネートとカルシウムフェネートを併用しても良い。
本発明の潤滑油組成物は、(A)成分として、上記のような塩基性カルシウムスルホネート及び塩基性カルシウムフェネートから選ばれる少なくとも1種類以上を、該組成物全量に対し、カルシウム換算で0.1〜0.7質量%、特に好ましくは0.2〜0.5質量%となる割合で含有する。カルシウム換算での(A)成分の配合量が0.1質量%未満であると、湿式クラッチ部の静摩擦係数が低くなってしまう。一方、カルシウム換算での(A)成分の配合量が0.7質量%を超えると、酸化安定性の悪化や、湿式ブレーキ制動時に異常振動を起こしブレーキ鳴きを生じる等の懸念が生じ、また、配合量に見合う効果が得られないためコストアップとなる。
上記の塩基性カルシウムスルホネートと塩基性カルシウムフェネートとしては、JIS K2501の過塩素酸法によって測定される塩基価が好ましくは50mgKOH/g以上、より好ましくは50〜500mgKOH/gであるものを用いることができる。
なお、カルシウム以外のアルカリ金属やアルカリ土類金属、例えばマグネシウム、バリウム、ナトリウムなどのスルホネートやフェネートも少量であれば、上記カルシウムスルホネートやカルシウムフェネートと混合使用しても差し支えないが、水混入時の安定性が良好でないため、本発明においてはカルシウム系以外のスルホネートを使用することは望ましくない。また、アルカリ金属やアルカリ土類金属のサリシレートも少量であれば混合使用できるが、これは水混入時の安定性が十分でないことから使用することは望ましくない。
本発明の農業機械用潤滑油組成物は、上記のような潤滑油基油に、(B)成分として、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有する。上記ジアルキルジチオリン酸亜鉛としては、下記一般式(5)のものが挙げられる。
Figure 0005875952
上記一般式(5)において、R、R10、R11、及びR12は、それぞれ独立して炭素数が3〜24のアルキル基を表し、同一であっても異なっていてもよい。R、R10、R11、及びR12は、炭素数が3〜12であることが好ましく、6〜10であることがより好ましい。また、R、R10、R11、及びR12は第一級アルキル基、第二級アルキル基、あるいはその混合物であってもよいが、摩擦係数安定性の観点からは第一級アルキル基であることが好ましい。
この(B)成分の添加量は、潤滑油組成物の全量に対する亜鉛量換算で0.05〜0.2質量%、好ましくは0.07〜0.18質量%、より好ましくは0.08〜0.15質量%である。(B)成分の添加量が0.1質量%未満では湿式クラッチ部の静摩擦係数が低くなってしまう。一方、亜鉛換算での(B)成分の配合量が0.2質量%を超えて添加しても添加量に見合った静摩擦係数の向上効果は得られず、コストが増加してしまう。
本発明の潤滑油組成物は、(C)成分として、アスパラギン酸エステル誘導体を含有する。上記アスパラギン酸エステル誘導体は、下記一般式(1)のものが挙げられる。
Figure 0005875952
一般式(1)中、R、R、R及びRはそれぞれ炭素数が1〜30のアルキル基を示し、全て同じアルキル基であってもよいし、互いに異なるアルキル基であってもよい。R、R、R及びRはそれぞれ炭素数が1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数が1〜12のアルキル基であることがより好ましい。さらに、Rは炭素数が1〜6のアルキル基であることが好ましく、炭素数が1〜4のアルキル基であることがより好ましく、炭素数が1〜2のアルキル基であることが特に好ましい。Rは炭素数が3〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素数が6〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素数が8〜12のアルキル基であることが特に好ましい。R及びRは炭素数が1〜8のアルキル基であることが好ましく、炭素数が2〜6のアルキル基であることがより好ましく、炭素数が3〜5のアルキル基であることが特に好ましい。
、R、R及びRのアルキル基は、第一級アルキル基、第二級アルキル基、又は第三級アルキル基のいずれでもよいが、第一級アルキル基又は第二級アルキル基が好ましい。特に、R、R及びRのアルキル基は、第一級アルキル基が好ましく、Rのアルキル基は、第二級アルキル基が好ましい。
のアルキル基の炭素数は、Rのアルキル基の炭素数よりも大きいことが好ましく、両者の炭素数の差は4〜12が好ましく、6〜10がより好ましい。Rのアルキル基の炭素数は、R又はRのアルキル基の炭素数よりも大きいことが好ましく、両者の炭素数の差は2〜10が好ましく、4〜8がより好ましい。
なお、R及びRのアルキル基の炭素数は同一であってもよいし、異なってもよいが、同一であることが好ましく、異なっている場合も、両者の炭素数の差は1〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。
(C)成分のアスパラギン酸エステル誘導体は、(A)成分及び(B)成分と共に、水分離性及び湿式クラッチ部の静摩擦係数の向上剤として機能するものである。
この(C)成分の添加量は、本発明の潤滑油組成物の全量に対して0.01〜1.0質量%であり、好ましくは0.05〜0.8質量%であり、より好ましくは0.1〜0.3質量%である。(C)成分の添加量が0.01質量%未満では水分離性及び湿式クラッチ部の静摩擦係数の向上効果が得られない。一方、(C)成分の添加量が1.0質量%を超えると酸化安定性が悪化するため好ましくない。
更に本発明の潤滑油組成物では、上記の(A)、(B)、(C)成分の他に、必要に応じて、公知の添加剤、例えば、摩擦調整剤、油性剤、ZnDTP以外の摩耗防止剤、極圧剤、さび止め剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、消泡剤、着色剤、トラクター作動油用パッケージ添加剤、あるいはこれらのうち少なくとも1種を含有する各種潤滑油用パッケージ添加剤などを添加することができる。
なお、摩擦調整剤はブレーキ鳴き防止のために配合すること好ましく、適度な静摩擦係数とするためには、0.1質量%〜2.0質量%の配合量とすることが好ましい。
摩擦調整剤としては、有機モリブテン化合物、多価アルコール部分エステル系、アミン系、アミド系、エーテル系、硫化エステル、リン酸エステル、酸性リン酸エステルやそのアミン塩、ジオール類などが挙げられる。
油性剤としては、オレイン酸、ステアリン酸、高級アルコール、アミン、エステル、硫化油脂、酸性リン酸エステル、酸性亜リン酸エステルなどが挙げられる。
無灰型分散剤としてはポリアルケニルコハク酸イミド、ホウ素系イミドなどが挙げられる。
摩耗防止剤としては、硫黄化合物、リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性リン酸エステルやそのアミン塩などが挙げられる。極圧剤としては、炭化水素硫化物、硫化油脂、リン酸エステル、亜リン酸エステル、塩素化パラフィン、塩素化ジフェニルなどが挙げられる。
さび止め剤としては、カルボン酸やそのアミン塩、エステル、スルホン酸塩、ホウ素化合物などが挙げられる。
酸化防止剤としては、アミン系、フェノール系、硫黄系の酸化防止剤などが挙げられる。
金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、アルケニルコハク酸エステルなどが挙げられる。粘度指数向上剤としては、ポリアルキルメタクリレート系、ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系、スチレン−イソプレン共重合体系、スチレン−ブタジエン水添共重合体系、又はポリイソブチレン系などが挙げられる。
流動点降下剤としては、ポリアルキルメタクリレート系、塩素化パラフィン−ナフタレン縮合物、アルキル化ポリスチレンなどが挙げられる。消泡剤としては、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン化合物、フルオロシリコン化合物、エステル系などが挙げられる。
本発明の潤滑油組成物の調製方法は、基油、上記必須成分(A)、(B)及び(C)、並びに必要に応じて各種添加剤を適宜混合すればよい。これらの各成分の混合順序は特に制限されるものではなく、基油に必須成分を順次混合してもよく、必須成分を予め混合してもよい。さらに、各種添加剤(任意成分)についても、予め基油に添加してもよいし、必須成分に添加してもよい。
本発明の潤滑油組成物は、社団法人 自動車技術会の自動車規格JASO M348「自動変速機油摩擦特性試験方法」で定めたSAE No.2試験装置を用いて測定した、焼結摩擦材の静摩擦係数が0.110〜0.150であることが好ましく、0.120〜0.145であることが特に好ましい。
また、本発明の潤滑油組成物は、特に動粘度に制限ないが、低高温時の安定性や始動性を考慮すると100℃における動粘度が5〜15mm/sであり、流動点が−20℃以下であることが好ましく、−40℃以下であることがより好ましい。
以上のような本発明に係わる潤滑油組成物は、焼結摩擦材の静摩擦係数が高く、かつ水分離性に優れるため、トラクターなどの農業機械の潤滑油として有用である。また、本発明に係わる潤滑油組成物は、農業機械以外の用途、例えば、焼結製摩擦材が組み込まれた湿式クラッチが装着されている一般産業機械や建設機械等にも使用できる。また、焼結製摩擦材以外の湿式クラッチ、例えば、自動車用変速機で広く使用されているペーパー摩擦材を使用した農業機械や各種車両の変速機油としても使用できる。
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
なお、動粘度はJIS K2283に従って測定し、粘度指数はJIS K2283に従って算出し、流動点はJIS K2269に従って測定した。
実施例および比較例では、基油と各成分を配合して、潤滑油組成物を調整し、それぞれの性能を評価した。各実施例及び各比較例において組成物の調製に用いた基油、添加剤成分は次の通りである。
〔1〕基油
・基油A:100℃の動粘度が5.7mm/sで、粘度指数が108の高度精製鉱油系潤滑油基油
・基油B:100℃の動粘度が4.3mm/sで、粘度指数が124の高度精製鉱油系潤滑油基油
基油A及び基油Bの配合比は基油Aが10〜20vol%の範囲である。
〔2〕金属型清浄剤
・CaスルホネートA(塩基価330)
一般式(2)の塩基性カルシウムスルホネートと一般式(3)の塩基性カルシウムスルホネートの混合物(天然系)で、JIS K2501の過塩素酸法によって測定される塩基価が330mgKOH/gで、Ca濃度が12質量%のカルシウムスルホネート。
〔3〕ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)
・ZnDTP:一般式(5)におけるR、R10、R11、及びR12が第一級かつ炭素数8のアルキル基であり、Zn濃度が8.9質量%であるジアルキルジチオリン酸亜鉛
〔3〕アスパラギン酸エステル誘導体
・一般式(1)で示される構造で、Rが炭素数2の第一級アルキル基、Rが炭素数10の第二級アルキル基、R及びRが炭素数4の第一級アルキル基であるアスパラギン酸エステル誘導体
〔4〕粘度指数向上剤
・重量平均分子量が14万のポリアルキルメタクリレート系粘度指数向上剤
〔5〕摩擦調整剤
・酸性リン酸エステルのアミン塩(2−エチルヘキシルアシッドホスフェイトのオレイルアミン塩)
〔6〕トラクター作動油用パッケージ添加剤
・CaスルホネートをCa量で4.0質量%、ZnDTPをZn量で1.8質量%、及び摩擦調整剤を含有するパッケージ添加剤
<評価方法>
(1)静摩擦係数試験
社団法人 自動車技術会の自動車規格JASO M348「自動変速機油摩擦特性試験方法」で定めたSAE No.2試験装置を用いて、焼結摩擦材の静摩擦係数を測定した。ここで静摩擦係数とは、押し荷重を加えた状態でフリクションディスクを0.7rpmで一定回転させた時に発生する摩擦トルクTから下記式(6)で算出される静摩擦係数値(μs)である。
Figure 0005875952
μs:静摩擦係数
T :摩擦トルク(Nm)
n :フリクションディスク枚数(=3)
re:平均摩擦有効半径(=58.6mm)
P :押し付け荷重(=0.817MPa)
A :摩擦面積(=6297mm
(2)水分離性試験
SAE Paper972788記載のフィルタビリティー評価で示される水混合法を実施した。具体的には、試験油に水分を混入、攪拌して168時間静置、遠心分離(1000×g、1時間)を行った後に、エマルション量を測定した。エマルション量が少ないほど(抗乳化性)に優れている。さらに、168時間静置後のサンプルを攪拌し、フィルター濾過を行った。濾過時間が短いほどフィルター閉塞を生じにくく優れている。
<実施例1〜3、比較例1〜4>
基油に、表1及び表2に掲げる各成分を各割合(質量%)で配合し、潤滑油組成物を調製した。表中、バランスとは、基油量は各添加剤の配合量を除いた量、という意味であり、2種類の基油A、Bを配合して全体量を100%にし、その配合割合を適宜調整することにより100℃動粘度を8.3〜8.8mm/s、−40℃の低温粘度(石油学会試験法JPI
5S−26−99)を10000〜20000mPa・s内に、流動点を−45〜−50℃内に調製した。それらの組成物の各種性能を評価し、その結果を表1及び表2の中段に示す。
Figure 0005875952
Figure 0005875952
表1〜表2に示される結果から、実施例では静摩擦係数、エマルジョン量、濾過時間の全てにおいて優れる。
実施例1と比較例1を対比すると、実施例1はアスパラギン酸エステル誘導体を含み、比較例1はアスパラギン酸エステル誘導体を含まない点のみで異なっている。実施例1は、十分な静摩擦係数が得られており、静摩擦係数向上効果が認められるが、比較例1では、十分な静摩擦係数が得られていないことがわかる。なお、実施例1と比較例1では、エマルション量・ろ過性に差がないが、これはいずれも酸性リン酸エステルを含有することで十分にその性能が確保できているためと推測される。
実施例2と比較例2を対比すると、同様に、実施例2はアスパラギン酸エステル誘導体を含み、比較例2はアスパラギン酸エステル誘導体を含まない点のみで異なっている。実施例2と比較例2の両方共に、十分な静摩擦係数が得られているが、比較例2では、十分なろ過性が得られていない。これは、「トラクター作動油用パッケージ」に含まれる摩擦調整剤が実施例1や比較例1に含まれる酸性リン酸エステルとは異なるため、エマルション量・ろ過性に差が生じているものと推測される。
実施例3は、実施例1に比べて、アスパラギン酸エステル誘導体の含有量を僅かに少なくし、酸性リン酸エステルアミン塩の含有量を多くした例であるが、静摩擦係数が僅かに小さくなっているが、十分な静摩擦係数が得られており、また、エマルション量・ろ過時間が僅かに小さくなっており、ろ過性が向上している。
比較例3では、塩基性カルシウムスルホネートを含有しないため、ろ過性は良好であるものの、実施例と比較して静摩擦係数が著しく低下していることがわかる。比較例4では、ZnDTPを含有しないため、実施例と比較して静摩擦係数が著しく低下していることがわかる。

Claims (1)

  1. 潤滑油基油と、(A)塩基性カルシウムスルホネート及び塩基性カルシウムフェネートから選ばれる1種類以上、(B)ジアルキルジチオリン酸亜鉛、(C)下記一般式(1)で表わされるアスパラギン酸エステル誘導体を含有し、前記塩基性カルシウムスルホネート及び塩基性カルシウムフェネートから選ばれる1種類以上の含有量が、該組成物の全量に対するカルシウム量換算で0.1〜0.7質量%であり、前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量が、該組成物の全量に対する亜鉛量換算で0.05〜0.2質量%であり、一般式(1)で表わされるアスパラギン酸エステル誘導体の含有量が該組成物の全量に対して0.01〜1.0質量%であることを特徴とする変速機に湿式クラッチ機構を有する農業機械用潤滑油組成物。
    Figure 0005875952
    (式(1)中、R、R、R及びRはそれぞれ炭素数が1〜30のアルキル基を示し、全て同じアルキル基であってもよいし、互いに異なるアルキル基であってもよい。)
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