JP5033610B2 - 農業機械用潤滑油組成物 - Google Patents

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本発明は、農業機械用潤滑油組成物に関する。詳しくは、変速機に湿式クラッチ機構を有するトラクタ等の農業機械に関し、長期に渡り湿式クラッチの滑りを防止し良好な変速特性を維持することができる農業機械用潤滑油組成物に関する。
農業機械は、整地用作業機としてのトラクタ、育成管理用作業機としての田植え機、収穫用作業機としてのバインダー、コンバインなどがある。これらの中で最も幅広く用いられているのがトラクタである。トラクタには油圧ポンプ部、変速装置部、PTOクラッチ部、差動歯車装置部、湿式ブレーキ部など多くの潤滑箇所があり、これらを1つの農業機械用潤滑油で潤滑しているタイプが多い。このため農業機械用潤滑油には摩擦特性、耐摩耗性、酸化安定性、さび止め性、有機材料適合性など多機能の役割が要求される。これらの性能を確保し、さらに高めるために、現在のところ、選定された基油に種々の添加剤を配合して農業機械用潤滑油組成物として供給している(例えば特許文献1、2参照)。
トラクタ等の農業機械の変速装置にはしばしば焼結金属製の摩擦材を使用した湿式クラッチが装着されており、良好な摩擦特性を確保するために農業機械用の専用潤滑油が使用されている。焼結金属製の摩擦材は、自動車の自動変速装置で使用されているペーパー製の摩擦材に比べ耐負荷性能が高いことや熱伝導性に優れている等の理由から、農業機械の湿式クラッチ用材料として幅広く使用されている。しかし、焼結金属製の摩擦材は、このような優れた特徴を有している反面、長時間に渡る使用で劣化し動摩擦係数が低下して湿式クラッチが滑ることがある。特に、変速装置の電子制御化が進んだ現在では、クラッチが滑ると制御が困難となるので、初期の高い動摩擦係数を長期間維持することが重視されるようになってきている。
特開昭59−25890号公報 特開昭60−173097号公報
上記のような焼結金属製の摩擦材における動摩擦係数の低下に関し、その主な原因としては、潤滑油に配合された摩耗防止剤や極圧剤が長期間にわたる使用により焼結金属表面を損傷させることにあると考えられている。これを回避するためには、焼結金属との反応性が弱い摩耗防止剤や極圧剤を使用することも考えられるが、その場合には各ギヤ部の摩耗防止性・極圧性の不足からくるスコーリングなどのギヤ損傷が懸念される。
このように、焼結金属製の摩擦材において、初期の動摩擦係数の長期にわたる維持と、摩耗防止性・極圧性は、同時に向上させづらい面があった。
このような状況に鑑み、本発明は、トラクタ等の変速機の湿式クラッチ部における動摩擦係数が高く、しかも長期間に亘り安定に維持することができ、さらにギヤ部の摩耗防止性・極圧性に優れる、新規の農業機械用潤滑油組成物を提供することを目的とする。
<1> 農業機械用潤滑油組成物であって、
潤滑油基油と、下記式(1)で表される炭素数8〜24の第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛と、塩基性カルシウムスルホネート及び塩基性カルシウムフェネートから選ばれる1種類以上と、を含有し、
前記炭素数8〜24の第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量が、該組成物の全量に対する亜鉛量換算で0.07〜0.15質量%であり、かつ、該炭素数8〜24の第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛由来の全亜鉛量に占める、下記式(1)におけるR、R、R及びRの全てが炭素数8の第1級アルキル基であるジアルキルジチオリン酸亜鉛由来の亜鉛量の割合が20〜60質量%であり、
前記塩基性カルシウムスルホネート及び塩基性カルシウムフェネートから選ばれる1種類以上の含有量が、該組成物の全量に対するカルシウム量換算で0.1〜0.7質量%であることを特徴とする農業機械用潤滑油組成物。
Figure 0005033610
式(1)中、R、R、R及びRはそれぞれ炭素数が8〜24の第1級アルキル基を示し、全て同じ構造であっても互いに異なる構造であってもよい。
本発明によれば、トラクタ等の変速機の湿式クラッチ部における動摩擦係数が高く、しかも長期間に亘り安定に維持することができ、さらにギヤ部の摩耗防止性・極圧性に優れる、新規の農業機械用潤滑油組成物が提供される。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、潤滑油基油に特定のジアルキルジチオリン酸亜鉛と、特定の塩基性カルシウムスルホネート及び塩基性カルシウムフェネートから選ばれる1種類以上を適量配合することにより、初期の高い動摩擦係数と必要な摩耗防止性を確保し、かつ動摩擦係数を長期間維持することができ、さらにギヤ部の摩耗防止性・極圧性に優れることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
‐基油‐
本発明の農業機械用潤滑油組成物(以下、単に潤滑油組成物という場合がある。)における潤滑油基油に特に制限はなく、農業機械用潤滑油として使用しうるものであれば鉱油、合成油を問わず使用することができる。
鉱油系潤滑油基油としては、様々な製造法により得られたものが使用できるが、例えば、水素化精製油、触媒異性化油などに溶剤脱蝋または水素化脱蝋などの処理を施した、高度に精製されたパラフィン系鉱油等が好ましく使用される。また、上記以外にも様々な製造法により得られた鉱物系基油が使用でき、例えば、潤滑油原料をフェノール、フルフラールなどの芳香族抽出溶剤を用いた溶剤精製により得られるラフィネート、シリカ−アルミナを担体とするコバルト、モリブデンなどの水素化処理触媒を用いた水素化処理により得られる水素化処理油などが挙げられる。特に、水素化分解工程や異性化工程によって得られる高粘度指数鉱油が好適なものとして挙げることができる。
合成油系基油としては、例えば、メタン等のガスを原料としてフィッシャー・トロプシュ反応により合成される基油、ポリ−α−オレフィンオリゴマー、ポリブテン、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、ポリグリコールエステル、ポリエチレンプロピレン類、ヒンダードエステル類、二塩基酸エステルなどを挙げることができる。なお少量であれば、リン酸エステル、シリコーン油も使用できる。
潤滑油基油は、上記のような2種類以上の鉱油系潤滑油基油の混合物あるいは合成系基油の混合物であっても差し支えなく、鉱油系潤滑油基油と合成系潤滑油基油との混合物であっても差し支えない。そして、上記混合物における2種類以上の基油の混合比は、任意に選ぶことができる。但し、100℃における動粘度が低すぎると、特に夏場において油圧タンクからの蒸発が生じ易くなり、環境保全の観点から好ましくない。また油膜強度が低下してギヤ部を損傷する可能性が高くなるので好ましくない。一方、100℃における動粘度が高すぎると、製品粘度が高くなり過ぎる。そのため冬季始動時に粘性抵抗による動力損失が増大するので好ましくない。これらの観点から、一般的には100℃における動粘度が2.0mm/sから15.0mm/sの範囲が好ましい。ただし、動粘度が上記範囲以外の基油を含んでも粘度の影響が少ない装置であれば当然ながら制限なく使用することができる。また基油の粘度指数にも制限はないが、通常90以上程度が好ましい。
本発明の農業機械用潤滑油組成物は、上記のような潤滑油基油に、(A)下記一般式(1)で表される炭素数8〜24の第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛と、(B)塩基性カルシウムスルホネート及び塩基性カルシウムフェネートから選ばれる1種類以上と、を以下の割合で含有する。
(A)前記炭素数8〜24の第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量が、該組成物の全量に対する亜鉛量換算で0.07〜0.15質量%であり、かつ、該炭素数8〜24の第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛由来の全亜鉛量に占める、下記式(1)におけるR、R、R及びRの全てが炭素数8の第1級アルキル基であるジアルキルジチオリン酸亜鉛由来の亜鉛量の割合が20〜60質量%。
(B)塩基性カルシウムスルホネート及び塩基性カルシウムフェネートから選ばれる1種類以上の含有量が、該組成物の全量に対するカルシウム量換算で0.1〜0.7質量%。
‐炭素数8〜24の第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛‐
本発明の潤滑油組成物の上記(A)成分である炭素数8〜24の第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛(以下、ZnDTPと略す場合がある。)は、下記一般式(1)のものが挙げられる。
Figure 0005033610
式(1)中、R、R、R及びRはそれぞれ炭素数が8〜24の第1級アルキル基を示し、全て同じ構造であっても互いに異なる構造であってもよい。
歯車部の耐摩耗性を確保しつつ、焼結製摩擦材を組み込んだ湿式クラッチ部の動摩擦係数を長期に亘り維持するためには、炭素数8〜24の第1級アルキル基を有するZnDTPを、潤滑油組成物全量に対し亜鉛量換算で0.07〜0.15質量%配合する必要があり、更には0.08〜0.13質量%が好ましい。上記ZnDTP由来の亜鉛量が0.07質量%より少ないと耐摩耗性に劣り、0.15質量%を超えると動摩擦係数の耐久性に劣ってしまう。
また、本発明の潤滑油組成物では、炭素数8〜24の第1級アルキル基を有するZnDTPの内、アルキル基として炭素数8の第1級アルキル基のみを有するZnDTP(すなわち式(1)のR、R、R及びRが全て炭素数8の第1級アルキル基であるZnDTP)が、亜鉛量換算で20〜60質量%の範囲で配合されている必要があり、更には30〜50質量%含まれることが好ましい。炭素数8〜24の第1級アルキル基を有するZnDTPに占める炭素数8の第1級アルキル基を有するZnDTPの割合が亜鉛量換算で60質量%を超えると、十分な動摩擦係数の耐久性が得られない。また、炭素数8の第1級アルキル基を有するZnDTPの割合が亜鉛量換算で20%未満では、十分な耐摩耗性が得られない。
必須成分となるZnDTPが有する第1級アルキル基の炭素数は8〜24であり、好ましくは8〜16、さらに好ましくは8〜12である。炭素数が8より小さい第1級アルキル基や、第2級のアルキル基を有するZnDTPは動摩擦係数の耐久性に劣る。ただし、本発明の効果を妨げない範囲であれば、本発明の潤滑油組成物は、炭素数8〜24の第1級アルキル基を有するZnDTPのほかに、炭素数8未満のアルキル基を有するZnDTPやアルキル基が第2級のZnDTPを少量配合しても構わない。
‐塩基性カルシウムスルホネート及び塩基性カルシウムフェネート‐
本発明の潤滑油組成物の上記(B)成分である塩基性カルシウムスルホネートと塩基性カルシウムフェネートとしては、好ましくは、下記一般式(2)〜一般式(4)で表されるものを、カルシウムの炭酸塩又はホウ酸塩を炭酸ガス存在下で反応させる事により過塩基化したのものが挙げられる。
Figure 0005033610
一般式(2)及び一般式(3)は、塩基性カルシウムスルホネートであり、一般式(4)は、塩基性カルシウムフェネートである。上記式中、R〜Rは、水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基を示し、好ましくは6〜18のアルキル基であり、それらが複数存在する場合は、それぞれ同一であっても、異なってもよい。nは、1〜4の整数であり、Sxのxは、1又は2であり、好ましくは1である。
これらは、単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。また、カルシウムスルホネートとカルシウムフェネートを併用しても良い。
本発明の潤滑油組成物は、(B)成分として、上記のような塩基性カルシウムスルホネート及び塩基性カルシウムフェネートから選ばれる少なくとも1種類以上を、該組成物全量に対し、カルシウム換算で0.1〜0.7質量%、特に好ましくは0.25〜0.6質量%となる割合で含有する。カルシウム換算での(B)成分の配合量が0.1質量%未満であると、湿式クラッチ部の動摩擦係数が低くなってしまう。一方、カルシウム換算での(B)成分の配合量が0.7質量%を超えると、酸化安定性の悪化や、湿式ブレーキ制動時に異常振動を起こすなどの懸念が生じ、また、配合量に見合う効果が得られないためコストアップとなる。
上記の塩基性カルシウムスルホネートと塩基性カルシウムフェネートとしては、JIS K2501の過塩素酸法によって測定される塩基価が好ましくは50mgKOH以上、より好ましくは50〜500mgKOHであるものを用いることができる。
なお、カルシウム以外のアルカリ金属やアルカリ土類金属、例えばマグネシウム、バリウム、ナトリウムなどのスルホネートやフェネートも少量であれば、上記カルシウムスルホネートやカルシウムフェネートと混合使用しても差し支えないが、水混入時の安定性が良好でないため、本発明においてはカルシウム系以外のスルホネートを使用することは望ましくない。また、アルカリ金属やアルカリ土類金属のサリシレートも少量であれば混合使用できるが、これは水混入時の安定性が十分でないことから使用することは望ましくない。
‐その他の添加剤(任意成分)‐
更に本発明の潤滑油組成物では、上記の(A)、(B)成分の他に、必要に応じて、公知の添加剤、例えば、油性剤、ZnDTP以外の摩耗防止剤、極圧剤、さび止め剤、摩擦調整剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、消泡剤、着色剤、トラクター作動油用パッケージ添加剤、あるいはこれらのうち少なくとも1種を含有する各種潤滑油用パッケージ添加剤などを添加することができる。
油性剤としては、オレイン酸、ステアリン酸、高級アルコール、アミン、エステル、硫化油脂、酸性リン酸エステル、酸性亜リン酸エステルなどが挙げられる。無灰型分散剤としてはポリアルケニルコハク酸イミド、ホウ素系イミドなどが挙げられる。摩耗防止剤としては、硫黄化合物、リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性リン酸エステルやそのアミン塩などが挙げられる。極圧剤としては、炭化水素硫化物、硫化油脂、リン酸エステル、亜リン酸エステル、塩素化パラフィン、塩素化ジフェニルなどが挙げられる。さび止め剤としては、カルボン酸やそのアミン塩、エステル、スルホン酸塩、ホウ素化合物などが挙げられる。摩擦調整剤としては、有機モリブテン化合物、多価アルコール部分エステル系、アミン系、アミド系、エーテル系、硫化エステル、リン酸エステル、酸性リン酸エステルやそのアミン塩、ジオール類などが挙げられる。
酸化防止剤としては、アミン系、フェノール系、硫黄系の酸化防止剤などが挙げられる。金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、アルケニルコハク酸エステルなどが挙げられる。粘度指数向上剤としては、ポリアルキルメタクリレート系、ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系、スチレン−イソプレン共重合体系、スチレン−ブタジエン水添共重合体系、又はポリイソブチレン系などが挙げられる。流動点降下剤としては、ポリアルキルメタクリレート系、塩素化パラフィン−ナフタレン縮合物、アルキル化ポリスチレンなどが挙げられる。消泡剤としては、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン化合物、フルオロシリコン化合物、エステル系などが挙げられる。
本発明の潤滑油組成物の調製方法は、基油、上記必須成分(A)及び(B)、並びに必要に応じて各種添加剤を適宜混合すればよい。これらの各成分の混合順序は特に制限されるものではなく、基油に必須成分を順次混合してもよく、必須成分を予め混合してもよい。さらに、各種添加剤(任意成分)についても、予め基油に添加してもよいし、必須成分に添加してもよい。
また、本発明の潤滑油組成物は、特に動粘度に制限ないが、低高温時の安定性や始動性を考慮すると100℃における動粘度が5〜15mm/s、流動点が−20℃以下が好ましい。
以上のような本発明に係わる潤滑油組成物は、焼結摩擦材の動摩擦係数が高く、かつ動摩擦係数の耐久性に優れているため、長期間使用しても動摩擦係数の低下が少なく良好で、しかも摩耗防止性及び極圧性にも優れているためトラクタなどの農業機械の潤滑油として有用である。また、本発明に係わる潤滑油組成物は、農業機械以外の用途、例えば、焼結製摩擦材が組み込まれた湿式クラッチが装着されている一般産業機械や建設機械等にも使用できる。また、焼結製摩擦材以外の湿式クラッチ、例えば、自動車用変速機で広く使用されているペーパー摩擦材を使用した農業機械や各種車両の変速機油としても使用できる。
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
実施例および比較例では、基油と各成分を配合して、潤滑油組成物を調整し、それぞれの性能を評価した。各実施例及び各比較例において組成物の調製に用いた基油、添加剤成分は次の通りである。
〔1〕基油
・基油A:100℃の動粘度が5.7mm/sで、粘度指数が108の高度精製鉱油系潤滑油基油
・基油B:100℃の動粘度が4.3mm/sで、粘度指数が124の高度精製鉱油系潤滑油基油
基油A及び基油Bの配合比は基油Aが10〜20vol%の範囲である。
〔2〕ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP):式(1)の構造のもの
・ZnDTP(a):アルキル基(R、R、R、R)が第1級かつ炭素数8で、Zn濃度が8.9質量%であるジアルキルジチオリン酸亜鉛
・ZnDTP(b):アルキル基(R、R、R、R)が第1級かつ炭素数10で、Zn濃度が7.5質量%であるジアルキルジチオリン酸亜鉛
・ZnDTP(c):アルキル基(R、R、R、R)が第1級かつ炭素数12で、Zn濃度が6.5質量%であるジアルキルジチオリン酸亜鉛
・ZnDTP(d):アルキル基が第1級かつ炭素数が4と5で、Zn濃度が9.2質量%であるジアルキルジチオリン酸亜鉛
・ZnDTP(e):アルキル基が第2級かつ炭素数が3と6で、Zn濃度が8.7質量%であるジアルキルジチオリン酸亜鉛
〔3〕金属型清浄剤
・塩基性Caスルホネート(a):式(3)の構造のもの
過塩素酸法塩基価が300mgKOH/gで、Ca濃度が12質量%の石油系ポリアルキルナフタレンスルホン酸カルシウム塩
・塩基性Caフェネート(b):式(4)の構造のもの
過塩素酸法塩基価が255mgKOH/gで、Ca濃度が8.7質量%のカルシウムフェネート
〔4〕粘度指数向上剤
・重量平均分子量が14万のポリアルキルメタクリレート系
〔5〕摩擦調整剤
・エーテル系摩擦調整剤
‐評価方法‐
(1)動摩擦係数及び動摩擦係数の耐久試験
社団法人 自動車技術会の自動車規格JASO M348「自動変速機油摩擦特性試験方法」で定めたSAE No.2試験装置を用いて、表1に示す条件で試験を行い焼結摩擦材の動摩擦係数とその耐久性を調べた。ここで動摩擦係数とは、フリクションディスクを3200rpmで一定回転させたのち、動摩擦試験用電動機の駆動電源を切り、同時に押し荷重を加えて、慣性円盤をフリクションディスクとスチールプレートで発生する摩擦トルクで制動させるとき、制動開始後、回転数が1200rpmに達したときの摩擦トルクTから下記式(6)で算出される動摩擦係数値(μd)である。
Figure 0005033610
μd:動摩擦係数
T :摩擦トルク(Nm)
n :フリクションディスク枚数(=3)
re:平均摩擦有効半径(=58.6mm)
P :押し付け荷重(=0.817MPa)
A :摩擦面積(=6297mm
下記表1の条件で5000サイクルの試験を行い、途中500サイクル時点のμd値と、下記式(7)から算出したμd変化率を求めた。500サイクル時点のμd値が低いと湿式クラッチが滑りやすく、μd変化率が大きいと動摩擦係数の耐久性に劣る。
Figure 0005033610
Figure 0005033610
(2)摩耗防止性試験
ASTM D2783−03「Standard test method for measurement of extreme-pressure properties of lubricating fluids(Four-ball method)」に定める最大非焼き付き荷重(LNL;Last Nonseizure Load)を求めた。最大非焼き付き荷重(LNL)が大きいほど摩耗防止性に優れている。
上記各試験における合格判定基準は、以下の通りである。
μd値 :0.08以上
μd変化率 :20%以内
LNL :100以上
<実施例>
基油に、表2と表3上段に掲げる各成分を各割合(質量%)で配合し、潤滑油組成物を調製した。表中、バランスとは、基油量は各添加剤の配合量を除いた量、という意味であり、2種類の基油A、Bを配合して全体量を100%にし、その配合割合を適宜調整することにより100℃動粘度を8.3〜8.8mm/s、−40℃の低温粘度(石油学会試験法JPI 5S−26−99)を10000〜20000mPa・s内に調製した。それらの組成物の各種性能を評価し、その結果を表2と表3の中段に示す。
Figure 0005033610
Figure 0005033610
<比較例>
基油に、表4と表5上段の各成分を各割合(質量%)で配合し、潤滑油組成物を調製した。それらの組成物の各種性能を評価し、その結果を表4と表5の中段に示す。
Figure 0005033610
Figure 0005033610
表2〜表5に示される結果から、実施例では500サイクル時点の動摩擦係数、動摩擦係数の耐久性、及び摩耗防止性の全てにおいて合格基準に達していたが、比較例では全て合格基準を満たすものは無かった。

Claims (1)

  1. 農業機械用潤滑油組成物であって、
    潤滑油基油と、下記式(1)で表される炭素数8〜24の第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛と、塩基性カルシウムスルホネート及び塩基性カルシウムフェネートから選ばれる1種類以上と、を含有し、
    前記炭素数8〜24の第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量が、該組成物の全量に対する亜鉛量換算で0.07〜0.15質量%であり、かつ、該炭素数8〜24の第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛由来の全亜鉛量に占める、下記式(1)におけるR、R、R及びRの全てが炭素数8の第1級アルキル基であるジアルキルジチオリン酸亜鉛由来の亜鉛量の割合が20〜60質量%であり、
    前記塩基性カルシウムスルホネート及び塩基性カルシウムフェネートから選ばれる1種類以上の含有量が、該組成物の全量に対するカルシウム量換算で0.1〜0.7質量%であることを特徴とする農業機械用潤滑油組成物。
    Figure 0005033610

    (式(1)中、R、R、R及びRはそれぞれ炭素数が8〜24の第1級アルキル基を示し、全て同じ構造であっても互いに異なる構造であってもよい。)
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