JP6480785B2 - グリース組成物 - Google Patents

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Description

本発明はグリース組成物に関し、特に転がり軸受に封入するグリース組成物に関する。
各種産業機械などには転がり軸受が組み込まれている。転がり軸受には、潤滑性を付与するためにグリース組成物が封入されている。このグリース組成物は、基油および増ちょう剤と、必要に応じて添加剤とを混練して得られ、基油としては鉱油やエステル油、シリコーン油、エーテル油などの合成潤滑油が、また増ちょう剤としてはリチウム石けんなどの金属石けんやウレア化合物が一般的に使用されている。また、添加剤としては、必要に応じて酸化防止剤、さび止め剤、金属不活性剤、粘度指数向上剤などの各種添加剤が使用されている。
近年、転がり軸受には、その用途に応じて、静音性、高温高速耐久性、小さい回転トルク、および耐フレッチング性に優れていることなどが要求されている。従来から、このような転がり軸受に用いるグリース組成物に関して、要求特性を満足させる目的で、グリース組成物を構成する上記の基油、増ちょう剤、添加剤を種々組み合わせて特性を向上させる試みがなされている。
従来、静音性と高温高速耐久性を兼ね備え、比較的低回転トルクであり、耐フレッチング性にも優れた潤滑組成物として、合成炭化水素油とエステル油とからなる基油にウレア系増ちょう剤を配合した潤滑組成物が提案されている(特許文献1参照)。この潤滑組成物の基油は、合成炭化水素油とエステル油とを所定割合で混合した混合油にするとともに、その40℃における動粘度を40〜70mm/sに限定している。
特許第4334915号公報
しかしながら、特許文献1の潤滑組成物では、静音性や耐フレッチング性に優れるものの、基油の動粘度(40℃)が40〜70mm/s(実施例では41〜60mm/s)と比較的高いため、回転トルクが大きくなる。一方、基油の動粘度をより下げることで、回転トルクの低減が図り得るが、その反面、高温耐久性に劣るおそれがある。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、転がり軸受等に封入した際に、静音性、高温高速耐久性、耐フレッチング性に優れるとともに、回転トルクを十分に低減できるグリース組成物の提供を目的とする。
本発明のグリース組成物は、基油と増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなるグリース組成物であって、上記基油は、エステル油を含み、該基油の40℃における動粘度が20〜35mm/sであり、上記増ちょう剤は、脂肪族ジウレア化合物を含み、該増ちょう剤の上記ベースグリース100重量部中に占める含有量が5重量部以上15重量部未満であり、上記添加剤は、クルクミンと、下記式(1)で示されるジチオリン酸亜鉛Aと、下記式(2)で示されるジチオリン酸亜鉛Bとを含み、上記ベースグリース100重量部に対して、上記クルクミンの配合割合が0.5〜2重量部であり、上記ジチオリン酸亜鉛Aの配合割合が1.5〜2.5重量部であり、上記ジチオリン酸亜鉛Bの配合割合が1.5〜2.5重量部であることを特徴とする。
Figure 0006480785
(式(1)におけるRは、炭素数10〜16のアルキル基を表す。また、式(2)におけるRは、炭素数3〜8のアルキル基を表す。)
上記グリース組成物は、上記ジチオリン酸亜鉛Bとして、上記式(2)におけるRが一級アルキル基であるジチオリン酸亜鉛と、上記式(2)におけるRが二級アルキル基であるジチオリン酸亜鉛とを含むことを特徴とする。また、上記式(1)におけるRが炭素数12の一級アルキル基であることを特徴とする。
上記基油は、上記エステル油を該基油全体に対して80重量%以上含むことを特徴とする。また、上記増ちょう剤は、上記脂肪族ジウレア化合物のみからなることを特徴とする。
本発明のグリース組成物は、エステル油を含む基油の動粘度(40℃)が20〜35mm/sであり、脂肪族ジウレア化合物を含む増ちょう剤のベースグリース100重量部中に占める含有量が5重量部以上15重量部未満であるので、転がり軸受等に封入した際に、その回転トルクを低減できる。また、低粘度の基油に対して、天然抗酸化剤であるクルクミンと、異なる2種類のジチオリン酸亜鉛とを所定割合で配合することで、酸化劣化を抑制して寿命を延長できるとともに、耐フレッチング性を向上できる。さらに、これら基油、増ちょう剤、添加剤の組み合わせにより、静音性にも優れる。
本発明のグリース組成物を封入した転がり軸受(深溝玉軸受)の断面図である。
本発明のグリース組成物の基油は、エステル油を含む基油である。該基油には、合成炭化水素油、アルキルジフェニルエーテル油などの合成油を配合することができる。また、2種以上のエステル油を混合してもよい。エステル油は、基油全体に対して50重量%以上含まれることが好ましく、80重量%以上含まれることがより好ましい。エステル油を80重量%以上とすることで、特に高温高速耐久性に優れる。なお、基油をエステル油のみ(100重量%)としてもよい。
本発明に使用できるエステル油は、分子内にエステル基を有し室温で液状を示す化合物であり、例えば、ポリオールエステル油、リン酸エステル油、ポリマーエステル油、芳香族エステル油、炭酸エステル油、ジエステル油などが挙げられる。これらの中でも、芳香族エステル油またはポリオールエステル油が好ましい。
芳香族エステル油は、芳香族多塩基酸またはその誘導体と、高級アルコールとの反応で得られる化合物が好ましい。芳香族多塩基酸としては、トリメリット酸、ビフェニルトリカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸などの芳香族トリカルボン酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン酸、またはこれらの酸無水物などの誘導体が挙げられる。高級アルコールとしては、オクチルアルコール、デシルアルコールなどの炭素数4以上の脂肪族1価アルコールが好ましい。芳香族エステル油の例としては、トリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテートなどが挙げられる。
ポリオールエステル油は、ポリオールと一塩基酸との反応で得られる分子内にエステル基を複数個有する化合物が好ましい。ポリオールに反応させる一塩基酸は単独で用いてもよく、また混合物として用いてもよい。なお、オリゴエステルの場合には二塩基酸を用いてもよい。ポリオールとしては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールなどが挙げられる。一塩基酸としては、炭素数4〜18の1価の脂肪酸が挙げられる。例えば、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、エナント酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、牛脂酸、ステアリン酸、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、リンデル酸、ツズ酸、フィゼテリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスクレピン酸、バクセン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、サビニン酸、リシノール酸などが挙げられる。ポリオールエステル油の例としては、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネートなどが挙げられる。
その他、ジエステル油の例としては、ジトリデシルグルタレート、ジ2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ3−エチルヘキシルセバケートなどが挙げられる。
これらエステル油の中でも、ペンタエリスリトールテトラエステルが、増ちょう剤を細かく分散でき、静音性の向上と回転トルクの低減が図れるため、特に好ましい。
エステル油に混合できる合成炭化水素油としては、ポリ−α−オレフィン(PAO)油が挙げられる。PAO油は、通常、α−オレフィンまたは異性化されたα−オレフィンのオリゴマーまたはポリマーの混合物である。α−オレフィンの具体例としては、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセンなどを挙げることができ、通常はこれらの混合物が使用される。
本発明のグリース組成物の基油は、40℃における動粘度(JIS K2283)が20〜35mm/sであり、好ましくは25〜30mm/sである。40℃における動粘度が20mm/s 未満の場合は粘度が低すぎて油膜切れを起こしやすくなり、また油の蒸発も多くなる。一方、40℃における動粘度が35mm/sより高いと、回転トルクの十分な低減が図れない。また、回転トルクの増加により動力損失が大きくなり、発熱も大きくなる。なお、基油として混合油を用いる場合は、該混合油の動粘度を上記範囲内とする。
本発明のグリース組成物の増ちょう剤は、脂肪族ジウレア化合物を主成分として含むものとする。脂肪族ジウレア化合物のみか、これに脂環族ジウレア化合物や芳香族ジウレア化合物を一部含む、ウレア化合物とすることが好ましい。増ちょう剤として、ウレア化合物を用いることで、グリース組成物の軸受転走面などへの介入性や付着性に優れる。
ウレア化合物は、イソシアネートとアミンとを反応させることにより得られる。反応性のある遊離基を残さないため、イソシアネート化合物のイソシアネート基とアミン化合物のアミノ基とは略当量となるように配合することが好ましい。ここで、ジウレア化合物は、ジイソシアネートとモノアミンとの反応で得られる。ジイソシアネート成分としては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜などが挙げられる。モノアミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミンなどの脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミンなどの脂環族モノアミン、アニリン、p−トルイジンなどの芳香族モノアミンが挙げられる。
上記の脂肪族ジウレア化合物は、ジフェニルメタンジイシアネート(MDI)などのジイソシアネートと、オクチルアミンなどの脂肪族モノアミンとを反応させて得られる。ウレア化合物の中でも、このような脂肪族ジウレア化合物を増ちょう剤として用いることで、基油に分散しやすく、静音性の向上と回転トルクの低減が図れる。
基油に、上記脂肪族ジウレア化合物を含む増ちょう剤を配合して、後述の各添加剤を配合するためのベースグリースが得られる。このベースグリースは、基油中で上記ジイソシアネートとモノアミンとを反応させる等して作製する。
ベースグリース100重量部中に占める増ちょう剤の含有量は、5重量部以上、15重量部未満であり、好ましくは10〜13重量部である。増ちょう剤の含有量が5重量部未満では、増ちょう効果が少なくなり、グリース化が困難となる。増ちょう剤の含有量が15重量部以上であると、起動トルクが大きくなる。
グリース組成物の混和ちょう度(JIS K 2220)は、200〜350の範囲にあることが好ましい。ちょう度が200未満である場合は、低温での油分離が小さく潤滑不良となり、フレッチングが起こりやすくなる。一方、ちょう度が350をこえる場合は、グリースが軟質で軸受外などに流出しやすくなり好ましくない。
本発明のグリース組成物は、以上の基油および増ちょう剤からなるベースグリースに、添加剤として、(1)クルクミンと、(2)所定のジチオリン酸亜鉛Aとジチオリン酸亜鉛Bを、必須成分として配合している。なお、上記(1)(2)の他に、本発明の目的を達成し得る範囲で、必要に応じて公知のグリース用添加剤を配合してもよい。
(1)クルクミン
クルクミンは、ウコンなどに含まれるポリフェノール化合物であり、下記式(3)に示す構造を有する。このようなポリフェノール化合物は、芳香族炭化水素環の水素原子を水酸基(ヒドロキシ基)で置換した、1分子内に複数の水酸基を有する芳香族ヒドロキシ化合物であり、上記のように植物由来のものである。クルクミンは、基油であるエステル油に分散しやすく、静音性に悪影響を与えにくく、耐熱性にも優れる。
Figure 0006480785
クルクミンの配合割合は、ベースグリース100重量部に対して0.5〜2重量部であり、好ましくは1〜2重量部である。配合割合が0.5重量部未満であると、高温耐久性に劣る。配合割合が2重量部をこえると、静音性や耐フレッチング性に悪影響を与えるおそれがある。
(2)所定のジチオリン酸亜鉛Aとジチオリン酸亜鉛B
本発明のグリース組成物では、ジチオリン酸亜鉛(ジンクジチオフォスフェート「ZnDTP」)として、下記式(1)で示されるジチオリン酸亜鉛Aと、下記式(2)で示されるジチオリン酸亜鉛Bの、異なる2種類を配合している。なお、ZnDTPには、分子構造内に含まれる基に対応したタイプとして、直鎖状の一級アルキル基、分岐状の二級アルキル基、アリール基の3種類のタイプがあるが、上記の「異なる2種類」とはこの種別のみならず、同種の基を有しつつ、炭素数が異なる化合物の組み合わせを含む概念である。
Figure 0006480785
(式(1)におけるRは、炭素数10〜16のアルキル基を表す。また、式(2)におけるRは、炭素数3〜8のアルキル基を表す。)
ジチオリン酸亜鉛Aは、式(1)のRが炭素数10〜16アルキル基であるジアルキルジチオリン酸亜鉛である。好ましくはRが炭素数10〜14の一級アルキル基であり、特に好ましくはRが炭素数12の一級アルキル基である。好ましい市販品としては、ADEKA社製アデカキクルーブZ112などが挙げられる。
ジチオリン酸亜鉛Bは、式(2)のRが炭素数3〜8のアルキル基であるジアルキルジチオリン酸亜鉛である。また、上記炭素数範囲内において、Rが一級アルキル基であるものと、Rが二級アルキル基であるものとを含む、一級および二級アルキル基含有ジチオリン酸亜鉛であることが好ましい。
ジチオリン酸亜鉛Aおよびジチオリン酸亜鉛Bの配合割合は、ベースグリース100重量部に対して、それぞれ1.5〜2.5重量部である。両者をそれぞれ該配合割合で含むことにより、耐フレッチング性に優れる。
本発明のグリース組成物の使用態様として、該グリース組成物が封入されている軸受について図1により説明する。図1はグリース封入軸受(深溝玉軸受)の断面図である。グリース封入軸受1は、外周面に内輪転走面2aを有する内輪2と内周面に外輪転走面3aを有する外輪3とが同心に配置され、内輪転走面2aと外輪転走面3aとの間に複数個の転動体4が配置される。この複数個の転動体4を保持する保持器5が設けられている。また、外輪3などに固定されるシール部材6が内輪2および外輪3の軸方向両端開口部8a、8bにそれぞれ設けられている。少なくとも転動体4の周囲に上述した本発明のグリース組成物7が封入される。
本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、これらの例によって何ら限定されるものではない。
実施例1〜6、比較例1〜11
表1および表2に示す配合割合で基油および増ちょう剤の原料を使用してグリース組成物を作製した。各表に示すエステル油1の動粘度(40℃)は30mm/s、エステル油2の動粘度(40℃)は40mm/s、合成炭化水素油(PAO油)の動粘度(40℃)は30mm/sである。また、ZnDTP1はADEKA社製アデカキクルーブZ112、ZnDTP2はRhein Chemi社製Additin RC3038である。
各表に示した基油の半量に、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI:日本ポリウレタン工業社製ミリオネートMT)を各表に示す割合で溶解し、残りの半量の基油にMDIの2倍当量となるモノアミンを溶解した。それぞれの配合割合および種類は各表のとおりである。MDIを溶解した溶液を撹拌しながらモノアミンを溶解した溶液を加えた後、100℃〜120℃で30分間撹拌を続けて反応させて、ジウレア化合物を基油中に生成させた。これに、添加剤として、各表の酸化防止剤(クルクミン)と摩耗防止剤(ZnDTP1、2)を各表に示す配合割合で加えて、さらに100℃〜120℃で10分間撹拌した。その後冷却し、三本ロールで均質化し、グリース組成物を得た。得られたグリース組成物の混和ちょう度(JIS K2220)と、用いた基油の粘度測定結果(JIS K2283)を各表に示した。また、以下に示す音響測定、高温高速耐久性試験、回転トルク試験およびフレッチング試験を行い、これらの結果を各表に併記した。
(1)音響測定
グリース組成物を封入した転がり玉軸受(軸受寸法:内径8mm、外径22mm、幅7mm)を用意して、この軸受に2.0Nのアキシャル荷重をかけ、1800min−1で3分間運転し、振動値(H−BAND)を測定した。振動値0.8以下が合格である。
(2)高温高速耐久性試験
転がり軸受(軸受寸法:内径20mm、外径47mm、幅14mm)グリース組成物を1.8g封入し、軸受外輪外径部温度160℃、ラジアル荷重67N、アキシャル荷重67Nの下で10000min−1の回転数で回転させ、焼き付きに至るまでの時間を測定した。600時間以上が合格である。
(3)回転トルク試験
転がり軸受(軸受寸法:内径20mm、外径47mm、幅14mm)にグリース組成物を1.8g封入し、回転数8000min−1、室温(25℃)雰囲気、アキシャル荷重39.2Nで回転させた。回転開始してから60分後、軸受で発生する回転トルクの平均値を算出した。回転トルクが3×10−2Nm未満が合格である。
(4)フレッチング試験
フレッチングのような微小すべりに対する摩耗特性を確認するために、フレッチング試験を行った。鋼材平板(20mm角で厚さ5mm)型試験片にグリース組成物を塗布し、SUJ2製の鋼球1個を98Nの荷重で押し当て、最大接触面圧2.5GPa、振幅0.47mm、振動数30Hzで8時間の微小往復摺動をさせた。この試験後の鋼材平板の摩耗深さ(μm)および鋼球の摩耗体積(10−5mm)を測定した。鋼材平板の摩耗深さが3μm未満であり、摩耗体積が50mm×10−5以下が合格である。
Figure 0006480785
Figure 0006480785
表1に示すように、本発明に係る各実施例は、静音性、高温高速耐久性、耐フレッチング性、低トルク性を併せ持つことが分かる。
本発明のグリース組成物は、静音性、高温高速耐久性、耐フレッチング性に優れるとともに、回転トルクを十分に低減できるので、種々の転がり軸受に封入するグリース組成物として利用できる。
1 グリース封入軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 シール部材
7 グリース組成物
8a、8b 開口部

Claims (5)

  1. 基油と増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなるグリース組成物であって、
    前記基油は、エステル油を含み、該基油の40℃における動粘度が20〜35mm/sであり、
    前記増ちょう剤は、脂肪族ジウレア化合物を含み、該増ちょう剤の前記ベースグリース100重量部中に占める含有量が5重量部以上、15重量部未満であり、
    前記添加剤は、クルクミンと、下記式(1)で示されるジチオリン酸亜鉛Aと、下記式(2)で示されるジチオリン酸亜鉛Bとを含み、
    前記ベースグリース100重量部に対して、前記クルクミンの配合割合が0.5〜2重量部であり、前記ジチオリン酸亜鉛Aの配合割合が1.5〜2.5重量部であり、前記ジチオリン酸亜鉛Bの配合割合が1.5〜2.5重量部であることを特徴とするグリース組成物。
    Figure 0006480785
    (式(1)におけるRは、炭素数10〜16のアルキル基を表す。また、式(2)におけるRは、炭素数3〜8のアルキル基を表す。)
  2. 前記グリース組成物は、前記ジチオリン酸亜鉛Bとして、前記式(2)におけるRが一級アルキル基であるジチオリン酸亜鉛と、前記式(2)におけるRが二級アルキル基であるジチオリン酸亜鉛とを含むことを特徴とする請求項1記載のグリース組成物。
  3. 前記式(1)におけるRが炭素数12の一級アルキル基であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のグリース組成物。
  4. 前記基油は、前記エステル油を該基油全体に対して80重量%以上含むことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載のグリース組成物。
  5. 前記増ちょう剤は、前記脂肪族ジウレア化合物のみからなることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載のグリース組成物。
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