JP2020105462A - グリース組成物、および転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】転がり軸受に封入して使用した際に、グリースの挙動がチャンネリングとなり回転トルクの低減を図ることができるグリース組成物、および、これを封入した転がり軸受を提供する。【解決手段】グリース組成物7は、基油と増ちょう剤とを含み、基油は、エステル油を主成分として含み、該基油の40℃における動粘度が40mm2/s以下であり、増ちょう剤は、グリース組成物7全体に対して5〜30質量%含まれており、グリース組成物7は、JIS K 2220に準拠して測定される混和ちょう度が240以下であり、かつ、レオメータを用いた動的粘弾性測定法により測定される25℃での降伏応力が1500Pa以上である。【選択図】図1
Description
本発明はグリース組成物に関する。また、このグリース組成物を封入した転がり軸受に関する。
軸受を油で潤滑できない場合、潤滑系統をメンテナンスフリーにする場合などでは軸受内部にグリースを充填し、シールまたはシールドを装着して使用する。グリース潤滑にすることにより、(1)軸受を取り扱いやすくなる、(2)シール構造が簡素化できる、(3)環境汚染を抑制できる、といった利点がある。一方、グリース潤滑では、封入したグリースとシール構造の使用により軸受の回転トルクが大きくなる弊害が生じる。グリースについていえば、基油の動粘度が潤滑油と同程度の場合、潤滑油に比べて粘性が大きいため、軸受のトルクが上昇する。軸受の低トルク化は、省エネの観点から常に求められている課題である。
グリース封入軸受の回転トルクには、グリースの挙動が大きく影響する。軸受回転時のグリースの挙動としては、チャンネリングとチャーニングがある。チャンネリングの場合、回転中にグリースがかき分けられ、転動体表面や軌道面へのグリースの付着量が少なくなり、低トルクになる傾向がある。一方、チャーニングの場合、回転によりかき分けられたグリースが再び軌道面に戻ることで、転動体表面や軌道面へのグリースの付着量が常に多くなり、高トルクになる傾向がある。そのため、グリースの挙動として、チャンネリング状態になるグリースの開発が望まれている。
例えば、特許文献1では、基油及びゲル化剤を含有し、そのゲル化剤が、アミノ酸系ゲル化剤とベンジリデンソルビトール誘導体とを混合してなり、かつ、降伏応力が1.1×104〜1.5×104Paである潤滑組成物が開示されている。この特許文献1では、降伏応力を所定範囲内とすることで潤滑組成物がチャーニング状態になるのを防ぎ、低トルク化を図っている。
また、特許文献2には、焼付き耐久性を向上する目的で、グリースの増ちょう剤構造を表す指標である分散度が0.55以上0.8以下であるグリース組成物が開示されている。
特許文献1では、ゲル化剤として、アミノ酸系ゲル化剤およびベンジリデンソルビトール誘導体を併用しており、金属石けんやウレア化合物などの一般的な増ちょう剤は用いられていない。そのため、一般的な産業機械に使用される転がり軸受への適用を考慮すると、特許文献1の潤滑組成物は、汎用性の面で改善の余地がある。また、特許文献2では、グリースの挙動(特にチャンネリング)に着目されていない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、転がり軸受に封入して使用した際に、グリースの挙動がチャンネリングとなり回転トルクの低減を図ることができるグリース組成物、および、これを封入した転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明のグリース組成物は、基油と増ちょう剤とを含むグリース組成物であって、上記基油は、エステル油を主成分として含み、該基油の40℃における動粘度が40mm2/s以下であり、上記増ちょう剤は、上記グリース組成物全体に対して10〜30質量%含まれており、上記グリース組成物は、JIS K 2220に準拠して測定される混和ちょう度が240以下であり、かつ、レオメータを用いた動的粘弾性測定法により測定される25℃での降伏応力が1500Pa以上であることを特徴とする。
上記増ちょう剤が、脂肪族ジウレア化合物または脂環式ジウレア化合物であることを特徴とする。
上記増ちょう剤は、上記グリース組成物全体に対して10〜20質量%含まれることを特徴とする。
本発明の転がり軸受は、内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する転動体と、この転動体の周囲に封入されたグリース組成物とを備えてなる転がり軸受であって、上記グリース組成物が本発明のグリース組成物であることを特徴とする。
上記転がり軸受は、1000〜5000min−1の範囲の回転速度で回転した場合に1時間以内にチャンネリングに移行することを特徴とする。
上記転がり軸受は、モータに使用される軸受であることを特徴とする。
本発明のグリース組成物は、基油と増ちょう剤とを含むグリース組成物であって、このグリース組成物は、JIS K 2220に準拠して測定される混和ちょう度が240以下であり、かつ、レオメータを用いた動的粘弾性測定法により測定される25℃での降伏応力が1500Pa以上であるので、転がり軸受に封入して使用した際に、グリースがチャンネリングの挙動を示し、軸受内でのグリースの撹拌が減少し、回転トルクの低減が図れる。
本発明の転がり軸受は、内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する転動体と、この転動体の周囲に封入された本発明のグリース組成物とを備えてなり、さらに、1000〜5000min−1の範囲の回転速度で回転した場合に1時間以内にチャンネリングに移行するので、回転トルクの低減が図れる。
本発明者らは、チャンネリング状態となるグリース組成物について鋭意検討を重ねた結果、グリース組成物の降伏応力と、該グリース組成物の軸受内における挙動(チャーニング状態またはチャンネリング状態)との関係性を見出した。具体的には、25℃における降伏応力が1500Pa以上であるグリース組成物は、軸受内でチャンネリング状態となることを見出した。本発明はこのような知見に基づくものである。
本発明のグリース組成物は、エステル油を主成分とする基油と増ちょう剤とを含み、必要に応じて各種添加剤を添加したものであり、25℃における降伏応力が1500Pa以上の組成物である。降伏応力を1500Pa以上とすることで、回転中にグリース組成物がかき分けられ、一度軌道面から弾かれた潤滑剤組成物が位置決めされ、軌道面に導入されにくくなる。その結果、転動体表面や軌道面へのグリースの付着量が少なくなるチャンネリング状態となり、回転トルクが減少する。この降伏応力は1600Pa以上であることが好ましく、2000Pa以上であることがより好ましい。降伏応力の上限は、6000Pa以下が好ましく、5000Pa以下がより好ましい。
グリース組成物の降伏応力は、動的粘弾性測定装置(レオメータ)を用いて、JIS K 7244に準拠した動的粘弾性測定法により測定される。具体的には、所定の条件下で動的粘弾性測定を行い、貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″とが重なった値を降伏応力とした。貯蔵弾性率G′は、動的粘弾性の弾性成分を表している。具体的には、グリース組成物に外力が加わった時に生ずるひずみと同位相の弾性応力の比率のことをいい、グリース組成物が受けた外力の内で、弾性的に蓄えることのできるエネルギーに相当するものをいう。一方、損失弾性率G″は、動的粘弾性の粘性成分を表している。具体的には、グリース組成物に外力が加わった時に生ずるひずみと異なる位相の比率のことで、グリース組成物が受けた外力の内で熱として散逸するエネルギーに相当するものをいう。
動的粘弾性測定の条件として、好ましくは、周波数1Hz、温度25℃の条件であることが好ましい。周波数および温度を上記の値とすることにより、グリース組成物の挙動を良好に判別可能となる。
レオメータとしては、パラレルプレート型のセルを有するレオメータを用いることが好ましい。このレオメータは、一定の応力を印加することが可能であるという特徴を有しているため、グリース組成物の降伏応力の測定に適している。
本発明に用いるエステル油は、分子内にエステル基を有し室温で液状を示す化合物であり、例えば、ポリオールエステル油、リン酸エステル油、ポリマーエステル油、芳香族エステル油、炭酸エステル油、ジエステル油などが挙げられる。これらの中でもポリオールエステル油が好ましい。また、エステル油であれば、複数種のエステル油を組み合わせた混合油としてもよい。
芳香族エステル油は、芳香族多塩基酸またはその誘導体と、高級アルコールとの反応で得られる化合物が好ましい。芳香族多塩基酸としては、トリメリット酸、ビフェニルトリカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸などの芳香族トリカルボン酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン酸、またはこれらの酸無水物などの誘導体が挙げられる。高級アルコールとしては、オクチルアルコール、デシルアルコールなどの炭素数4以上の脂肪族1価アルコールが好ましい。芳香族エステル油の例としては、トリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテートなどが挙げられる。
ポリオールエステル油は、ポリオールと一塩基酸との反応で得られる分子内にエステル基を複数個有する化合物が好ましい。ポリオールに反応させる一塩基酸は単独で用いてもよく、また混合物として用いてもよい。なお、オリゴエステルの場合には二塩基酸を用いてもよい。ポリオールとしては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールなどが挙げられる。一塩基酸としては、炭素数4〜18の1価の脂肪酸が挙げられる。例えば、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、エナント酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、牛脂酸、ステアリン酸、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、リンデル酸、ツズ酸、フィゼテリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスクレピン酸、バクセン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、サビニン酸、リシノール酸などが挙げられる。ポリオールエステル油の具体例としては、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネートなどが挙げられる。
その他、ジエステル油の例としては、ジトリデシルグルタレート、ジ2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ3−エチルヘキシルセバケートなどが挙げられる。
上記基油は、エステル油のみからなるか、または、エステル油と他の基油との混合物である。エステル油と混合する油として、例えば、鉱油、エーテル油、合成炭化水素油(PAO油)、シリコーン油、フッ素油およびこれらの混合油などを使用できる。本発明の基油はエステル油を主成分として含むので、エステル油の含有量は、基油(混合油)全体に対して50質量%以上であり、好ましくは80質量%以上である。特に、鉱油のみからなる基油(エステル油100%)とすることが好ましい。
上記基油の動粘度(混合油の場合は、混合油の動粘度)は、40℃において40mm2/s以下であり、10mm2/s以上であることが好ましい。40℃における動粘度が40mm2/sより高いと、回転トルクの十分な低減が図れない。この動粘度は、20〜40mm2/sであることがより好ましく、30〜40mm2/sであることがさらに好ましい。
本発明のグリース組成物に用いる増ちょう剤としては、特に限定されず、通常グリースの分野で使用される一般的なものを使用できる。例えば、金属石けん、複合金属石けんなどの石けん系増ちょう剤、ベントン、シリカゲル、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物などの非石けん系増ちょう剤を使用できる。金属石けんとしては、ナトリウム石けん、カルシウム石けん、アルミニウム石けん、リチウム石けんなどが、ウレア化合物およびウレア・ウレタン化合物としては、ジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、他のポリウレア化合物、ジウレタン化合物などが挙げられる。これらの中でも、コストや耐熱耐久性に優れるリチウム石けん、ジウレア化合物などの使用が好ましい。
ジウレア化合物は、ジイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られる。ジイソシアネート成分としては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜などが挙げられる。ジウレア化合物としては、脂肪族ジウレア化合物、脂環式ジウレア化合物、芳香族ジウレア化合物が用いられ、これらは使用するモノアミン成分の置換基の種類によって分けられる。脂肪族ジウレア化合物の場合、モノアミン成分として脂肪族モノアミン(オクチルアミンなど)が用いられる。脂環式ジウレア化合物の場合、モノアミン成分として脂環式モノアミン(シクロヘキシルアミンなど)が用いられる。芳香族ジウレア化合物の場合、モノアミン成分として芳香族モノアミン(p−トルイジンなど)が用いられる。増ちょう剤としては、ジウレア化合物の中でも脂肪族ジウレア化合物、脂環式ジウレア化合物が好ましい。
基油に増ちょう剤を配合してベースグリースが得られる。ジウレア化合物を増ちょう剤とするベースグリースは、基油中でジイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応させて作製する。グリース組成物全体に占める増ちょう剤の配合割合は、10〜30質量%であり、好ましくは10〜20質量%であり、より好ましくは15〜20質量%である。
また、グリース組成物には、必要に応じて公知の添加剤を添加できる。添加剤としては、例えば、有機亜鉛化合物、有機モリブデン化合物などの極圧剤、アミン系、フェノール系、イオウ系化合物などの酸化防止剤、イオウ系、リン系化合物などの摩耗防止剤、多価アルコールエステルなどの防錆剤、二硫化モリブデン、グラファイトなどの摩擦低減剤、エステル、アルコールなどの油性剤などが挙げられる。
JIS K 2220に準拠して測定されるグリース組成物の混和ちょう度(以下、「ちょう度」という。)は、240以下であり、100以上であることが好ましい。ちょう度が240をこえる場合は、チャンネリング性が低くなり、回転トルクの低減が図れないおそれがある。一方、ちょう度が100未満の場合は、油分離が小さく潤滑不良となるおそれがある。ちょう度は、130〜220の範囲であることがより好ましい。
本発明のグリース組成物が封入された転がり軸受の一例を図1に基づいて説明する。図1は深溝玉軸受の断面図である。転がり軸受1は、外周面に内輪軌道面2aを有する内輪2と内周面に外輪軌道面3aを有する外輪3とが同心に配置され、内輪軌道面2aと外輪軌道面3aとの間に複数個の転動体4が配置される。この転動体4は、保持器5により保持される。また、内・外輪の軸方向両端開口部8a、8bがシール部材6によりシールされ、少なくとも転動体4の周囲にグリース組成物7が封入される。内輪2、外輪3および転動体4は鉄系金属材料からなり、グリース組成物7が転動体4との軌道面に介在して潤滑される。
図1では転がり軸受として玉軸受について例示したが、本発明の転がり軸受は、上記以外の円筒ころ軸受、円すいころ軸受、自動調心ころ軸受、針状ころ軸受、スラスト円筒ころ軸受、スラスト円すいころ軸受、スラスト針状ころ軸受、スラスト自動調心ころ軸受などとしても使用できる。
本発明の転がり軸受は、後述の実施例で示すように、所定の回転速度で回転した場合、1時間以内にチャンネリング状態に移行する。所定の回転速度は1000〜5000min−1の範囲であることが好ましく、1000〜3000min−1の範囲であることがより好ましい。
本発明の転がり軸受は、産業での利用分野が極めて広く、各種の機器に使用できる。例えば、喚起扇用モータ、燃料電池用ブロアモータ、クリーナモータ、ファンモータ、サーボモータ、ステッピングモータなどの産業機械用モータ、自動車のスタータモータ、電動パワーステアリングモータ、ステアリング調整用チルトモータ、ワイパーモータ、パワーウィンドウモータなどの電装機器用モータ、電気自動車駆動用モータといった、モータ用の軸受として好適に利用できる。特に、室温環境下(例えば25℃を含む環境下)で使用されるモータが好ましい。
本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
実施例1〜4および比較例1〜5について、表1に示す配合組成(質量%)で基油および増ちょう剤を混合してグリース組成物を得た。得られた各グリース組成物を用いて、ちょう度測定、および降伏応力測定を行った。また、各グリース組成物を深溝玉軸受(NTN社製6204)に1.8g封入して、試験用軸受を得た。
<ちょう度測定>
JIS K 2220に準拠した方法で、各グリース組成物のちょう度を測定した。結果を表1に示す。
JIS K 2220に準拠した方法で、各グリース組成物のちょう度を測定した。結果を表1に示す。
<降伏応力測定>
上部プレートと下部プレートを有するパラレルプレート型のレオメータを用い、各グリース組成物に対して下記の条件に従って動的粘弾性測定を行った。具体的には、上部プレートと下部プレートの間にグリース組成物を挟み、そのグリース組成物に振動による周期的なせん断応力を印加し、その応答から貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″を測定した。得られた貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″が重なった値を降伏応力とした。結果を表1に示す。なお、降伏応力が1500Pa以上を合格とした。
上部プレートと下部プレートを有するパラレルプレート型のレオメータを用い、各グリース組成物に対して下記の条件に従って動的粘弾性測定を行った。具体的には、上部プレートと下部プレートの間にグリース組成物を挟み、そのグリース組成物に振動による周期的なせん断応力を印加し、その応答から貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″を測定した。得られた貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″が重なった値を降伏応力とした。結果を表1に示す。なお、降伏応力が1500Pa以上を合格とした。
せん断応力条件 :0.1Paから5000Paまで増加
測定周波数 :1Hz
測定温度 :25℃
各プレート :直径25mm
測定周波数 :1Hz
測定温度 :25℃
各プレート :直径25mm
<軸受トルク試験>
各グリースが封入された試験用軸受に対して、下記の条件にて軸受トルク試験を行った。試験では1時間以内に軸受トルクが10mNm以下となった場合に、チャンネリング状態へ移行したものと判断した。表1に記載のチャンネリング移行時間は、試験開始から軸受トルクが10mNm以下となるまでに要した時間(min)を示している。チャンネリング移行時間が短いほど、グリース組成物が短時間でチャンネリング状態に移行したことを示す。表1のトルク変動について、「○」は試験時間中にトルクが安定したことを示し、「×」は試験時間中にトルクが安定せず、±10mNmの変動があったことを示す。
各グリースが封入された試験用軸受に対して、下記の条件にて軸受トルク試験を行った。試験では1時間以内に軸受トルクが10mNm以下となった場合に、チャンネリング状態へ移行したものと判断した。表1に記載のチャンネリング移行時間は、試験開始から軸受トルクが10mNm以下となるまでに要した時間(min)を示している。チャンネリング移行時間が短いほど、グリース組成物が短時間でチャンネリング状態に移行したことを示す。表1のトルク変動について、「○」は試験時間中にトルクが安定したことを示し、「×」は試験時間中にトルクが安定せず、±10mNmの変動があったことを示す。
回転数 :1800min−1
アキシアル荷重:19.6N
温度 :室温
試験時間 :2時間
アキシアル荷重:19.6N
温度 :室温
試験時間 :2時間
表1に示すように、降伏応力が1500Pa以上であった実施例1〜4では、試験開始後15分以内で軸受トルクが10mNm以下となり、グリース組成物がチャンネリング状態に移行した。一方、降伏応力が1500Pa未満の比較例1〜5では、2時間の軸受トルク試験中に軸受トルクが10mNm以下とならず、グリースがチャンネリング状態に移行しなかった。実施例3〜4および比較例1、4は、配合組成としてエステル油と脂肪族ジウレア化合物の配合量が異なるのみであるが、降伏応力の数値の違いによって、移行の有無が異なる結果となった。
以上より、本発明に係る実施例1〜4のグリース組成物は、チャンネリング傾向を示す組成物であり、比較例1〜5のグリース組成物は、チャーニング傾向を示す組成物である。そのため、グリース組成物の降伏応力と、予め設定された閾値(1500Pa)とを比較することで、転がり軸受に封入して使用する際に、そのグリース組成物がチャンネリング傾向を有するか、チャーニング傾向を有するかを事前に評価することができる。具体的には、動的粘弾性測定によって測定されるグリース組成物の降伏応力を閾値(1500Pa)と比較して、該降伏応力が1500Pa以上の場合は、グリース組成物がチャンネリング傾向を示すと判断でき、該降伏応力が1500Pa未満の場合は、グリース組成物がチャーニング傾向を示すと判断できる。このように本発明は、グリース組成物の挙動の予測にも応用できる。
本発明のグリース組成物は、グリースの挙動がチャンネリングとなりトルクの低減を図ることができるので、産業での利用分野が極めて広く、各種の機器に使用できる。特に、該グリース組成物が封入された転がり軸受は、回転子を支持するモータ用転がり軸受に好適に用いることができる。
1 転がり軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 シール部材
7 グリース組成物
8 開口部
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 シール部材
7 グリース組成物
8 開口部
Claims (6)
- 基油と増ちょう剤とを含むグリース組成物であって、
前記基油は、エステル油を主成分として含み、該基油の40℃における動粘度が40mm2/s以下であり、
前記増ちょう剤は、前記グリース組成物全体に対して10〜30質量%含まれており、
前記グリース組成物は、JIS K 2220に準拠して測定される混和ちょう度が240以下であり、かつ、レオメータを用いた動的粘弾性測定法により測定される25℃での降伏応力が1500Pa以上であることを特徴とするグリース組成物。 - 前記増ちょう剤が、脂肪族ジウレア化合物または脂環式ジウレア化合物であることを特徴とする請求項1記載のグリース組成物。
- 前記増ちょう剤は、前記グリース組成物全体に対して10〜20質量%含まれることを特徴とする請求項1または請求項2記載のグリース組成物。
- 内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する転動体と、この転動体の周囲に封入されたグリース組成物とを備えてなる転がり軸受であって、
前記グリース組成物が、請求項1から請求項3までのいずれか1項記載のグリース組成物であることを特徴とする転がり軸受。 - 前記転がり軸受は、1000〜5000min−1の範囲の回転速度で回転した場合に1時間以内にチャンネリングに移行することを特徴とする請求項4記載の転がり軸受。
- 前記転がり軸受は、モータに使用される軸受であることを特徴とする請求項4または請求項5記載の転がり軸受。
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---|---|---|---|
JP2018247993A JP2020105462A (ja) | 2018-12-28 | 2018-12-28 | グリース組成物、および転がり軸受 |
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JP (1) | JP2020105462A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022071194A1 (ja) * | 2020-09-30 | 2022-04-07 | Ntn株式会社 | 転がり軸受および電動機 |
WO2022210531A1 (ja) * | 2021-03-30 | 2022-10-06 | Ntn株式会社 | 密封型転がり軸受 |
WO2023181407A1 (ja) * | 2022-03-25 | 2023-09-28 | 株式会社ジェイテクト | グリース |
-
2018
- 2018-12-28 JP JP2018247993A patent/JP2020105462A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022071194A1 (ja) * | 2020-09-30 | 2022-04-07 | Ntn株式会社 | 転がり軸受および電動機 |
WO2022210531A1 (ja) * | 2021-03-30 | 2022-10-06 | Ntn株式会社 | 密封型転がり軸受 |
WO2023181407A1 (ja) * | 2022-03-25 | 2023-09-28 | 株式会社ジェイテクト | グリース |
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