JP2009209990A - モータ用グリース封入軸受 - Google Patents

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隆之 川村
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Abstract

【課題】比較的低温下で高速化を求められる環境下でも、転走面への油の供給性に優れ長時間使用可能なモータ用グリース封入軸受を提供する。
【解決手段】産業機械や情報機器のモータに用いられるモータ用グリース封入軸受1は、内輪2および外輪3と、この内外輪間に介在する複数の転動体4と、この転動体4の周囲にグリース組成物7を封止するためのシール部材6を内輪2および外輪3の軸方向両端開口部8a、8bに設けてなり、グリース組成物7は、ウレア系化合物を増ちょう剤とするウレアグリースに、上記ウレア系化合物を含まない非ウレアグリースを配合してなり、上記ウレア系化合物は、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られ、上記モノアミン成分が脂肪族モノアミンおよび脂環式モノアミンから選ばれた少なくとも1つのモノアミンをモノアミン全体に対して 50 モル%以上含有するモノアミン成分である。
【選択図】図1

Description

本発明はモータ用グリース封入軸受に関し、特に換気扇用モータ、燃料電池用ブロアモータ、クリーナモータ、ファンモータ、ステッピングモータなどの産業機械用、情報機器用のモータ用グリース封入軸受に関する。
近年、ACモータ、DCモータなどの汎用モータでは、モータの小型化が進み、軸受がより高速、高面圧下で運転される傾向にある。従来から使用されている、例えばマルテンプSRL(協同油脂社製)などのリチウム石けんなどの金属石けんグリースを使用したものでは、十分な耐久性が得られない。そのため、より耐久性に優れたウレアグリースが使用される傾向にある。例えば、基油に用いる所定の構造を有する炭酸エステル化合物と、増ちょう剤に用いるウレア化合物とを所定量に規定したウレアグリースが知られている(特許文献1参照)。これは摩擦係数を低くして耐久性の向上を狙ったものである。
また、自動車のエンジン関連の電装補機に用いられるモータの使用温度が 150℃以上であるのに対して、換気扇用モータ、燃料電池用ブロアモータ、クリーナモータ、ファンモータ、サーボモータ、ステッピングモータなどの産業機械用または情報機器用のモータ、自動車のスタータモータ、電動パワーステアリングモータ、ステアリング調整用チルトモータ、ワイパーモータ、パワーウィンドウモータなどの電装機器用モータの使用温度は、150℃未満の比較的低温である場合が多い。
このような比較的低温の使用環境下では、特許文献1などに示す従来のウレアグリースは、基油の流動性に乏しく、より高速化を求められる場合に、転走面への基油の供給が追いつかず、潤滑不良になりやすいという問題がある。
特許3910953号公報
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、比較的低温下で高速化を求められる環境下でも、転走面への油の供給性に優れ長時間使用可能なモータ用グリース封入軸受の提供を目的とする。
本発明のモータ用グリース封入軸受は、モータの回転子を支持するモータ用グリース封入軸受であって、該グリース封入軸受は、内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体の周囲にグリース組成物を封止するためのシール部材を上記内輪および外輪の軸方向両端開口部に設けてなり、上記グリース組成物は、ウレア系化合物を増ちょう剤とするウレアグリースに、上記ウレア系化合物を含まない非ウレアグリースを配合してなり、上記ウレア系化合物は、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られ、上記モノアミン成分が脂肪族モノアミンおよび脂環式モノアミンから選ばれた少なくとも1つのモノアミンをモノアミン全体に対して 50 モル%以上含有するモノアミン成分であることを特徴とする。
上記非ウレアグリースの増ちょう剤は、金属石けんまたはNaテレフタラメートであり、上記非ウレアグリース全体に対する配合割合が 10 重量%〜40 重量%であることを特徴とする。
上記金属石けん、分子内にアミド結合を有するアミド金属石けんまたは複合アミド金属石けんであることを特徴とする。また、上記アミド金属石けんまたは複合アミド金属石けんは、ナトリウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、またはバリウムを金属種とすることを特徴とする。
上記ウレアグリースおよび上記非ウレアグリースの基油は、動粘度が 15 mm2/sec 〜40 mm2/sec であることを特徴とする。特にウレアグリースの基油は、合成炭化水素油、エステル油およびアルキルジフェニルエーテル油から選ばれた少なくとも1つの油であることを特徴とする。
上記モータ用グリース封入軸受が深溝玉軸受であることを特徴とする。
上記モータ用グリース封入軸受は、150℃未満の温度環境下で使用されることを特徴とする。特に、産業機械または情報機器のモータに用いられることを特徴とする。
本発明のモータ用グリース封入軸受は、該軸受に封入されたグリース組成物が、所定のウレア系化合物を増ちょう剤とするウレアグリースに、上記ウレア系化合物を含まない非ウレアグリースを配合してなるので、少量のグリース封入量であっても、比較的低温下での使用において、耐荷重性を保ちつつ高速回転下で軌道面への油の供給能力に優れる。
このため、本発明のモータ用グリース封入軸受は、良好な潤滑状態を保ち、長期間の寿命が要求される、換気扇用モータ、燃料電池用ブロアモータ、クリーナモータ、ファンモータ、サーボモータ、ステッピングモータなどの産業機械用または情報機器用のモータ、自動車のスタータモータ、電動パワーステアリングモータ、ステアリング調整用チルトモータ、ワイパーモータ、パワーウィンドウモータなどの電装機器用モータに好適に使用できる。
モータの回転子を支持するモータ用グリース封入軸受の一例を図1に示す。図1はグリース組成物が封入されている深溝玉軸受の断面図である。深溝玉軸受1は、外周面に内輪転走面2aを有する内輪2と内周面に外輪転走面3aを有する外輪3とが同心に配置され、内輪転走面2aと外輪転走面3aとの間に複数個の転動体4が配置される。この複数個の転動体4を保持する保持器5が設けられている。また、外輪3等に固定されるシール部材6が内輪2および外輪3の軸方向両端開口部8a、8bにそれぞれ設けられている。少なくとも転動体4の周囲にグリース組成物7が封入される。このグリース組成物7は、後述する、所定のウレア系化合物を増ちょう剤とするウレアグリースに、上記ウレア系化合物を含まない非ウレアグリースを配合してなるグリース組成物7である。
モータの一例を図2に示す。図2はモータの構造の断面図である。モータは、ジャケット9の内周壁に配置されたモータ用マグネットからなる固定子10と、回転軸11に固着された巻線12を巻回した回転子13と、回転軸11に固定された整流子14と、ジャケット9に支持されたエンドフレーム17に配置されたブラシホルダ15と、このブラシホルダ15内に収容されたブラシ16と、を備えている。上記回転軸11は、深溝玉軸受1と、該軸受1のための支持構造とにより、ジャケット9に回転自在に支持されている。該軸受1が本発明のモータ用グリース封入軸受である。
本発明におけるモータ用グリース封入軸受は、150℃未満の比較的低温の温度環境下で使用される場合でも、高速回転時の潤滑不良を防ぎ、長期間の使用が可能である。ここで、150℃未満の温度環境下とは、使用中における該軸受の固定輪などの温度が150℃未満である条件下をいう。
このような温度環境下における具体的用途としては、換気扇用モータ、燃料電池用ブロアモータ、クリーナモータ、ファンモータ、サーボモータ、ステッピングモータなどの産業機械用または情報機器用のモータ、自動車のスタータモータ、電動パワーステアリングモータ、ステアリング調整用チルトモータ、ワイパーモータ、パワーウィンドウモータなどの電装機器用モータが挙げられる。これらは、通常 70〜120℃程度の温度環境下で使用される場合が多い。
本発明のモータ用グリース封入軸受は、軸受空隙部の容積の 1 体積%以上 10 体積%未満のグリースを封入することが好ましい。1 体積%未満であると、潤滑に必要なグリース量が不足して枯渇しやすく、10 体積%以上であると、攪拌によるトルクが大きく発熱が大きくなり潤滑寿命が向上しないし、またコスト増、環境上も好ましくない。
本発明のモータ用グリース封入軸受としては、図1に示す深溝玉軸受のほか、アンギュラ玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受、自動調心ころ軸受、針状ころ軸受、スラスト円筒ころ軸受、スラスト円すいころ軸受、スラスト針状ころ軸受、スラスト自動調心ころ軸受等も使用できる。これらの中で高速回転での回転精度、耐荷重性と低コストを両方備える、深溝玉軸受を用いることが好ましい。
本発明においてウレアグリースおよび非ウレアグリースに使用できる基油は、40℃における動粘度(以下、単に動粘度と記す)が 15〜40 mm2/sec の潤滑油を用いることができる。特に、動粘度が 18〜30 mm2/sec の潤滑油が好ましい。動粘度が 15 mm2/sec 未満の場合、粘度が低すぎて十分な耐荷重性が得られない。また、動粘度が 40 mm2/sec をこえる場合、高速回転に伴って軌道面への油の供給が不足し、早期に軸受寿命に至るようになる。
上記ウレアグリースの基油の種類としては、合成炭化水素油、エステル油、アルキルジフェニルエーテル油、またはこれらの混合油が好ましい。
また、合成炭化水素油、エステル油、アルキルジフェニルエーテル油、それぞれの動粘度が 15〜40 mm2/sec であることが好ましい。この範囲であると混合油とした場合であっても、動粘度の範囲を 15〜40 mm2/sec とすることができる。混合油とする場合、合成炭化水素油を必須成分とすることが好ましく、また、合成炭化水素油はエステル油またはアルキルジフェニルエーテル油よりも重量割合で同量以上であることが好ましい。
合成炭化水素系油としては、例えばノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1-デセンオリゴマー、1-デセンとエチレンとのコオリゴマー等のポリ-α-オレフィン等が挙げられる。
エステル油としては、例えばジブチルセバケート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルタレート、メチル・アセチルシノレート等のジエステル油、トリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート等の芳香族エステル油、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンベラルゴネート、ペンタエリスリトール-2-エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールベラルゴネート等のポリオールエステル油、炭酸エステル油等が挙げられる。
アルキルジフェニルエーテル油としては、モノアルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリアルキルジフェニルエーテル等が挙げられる。
本発明に使用できるウレア系増ちょう剤は、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られる。
ポリイソシアネート成分としては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜等が挙げられる。これらの中でも芳香族ジイソシアネートが好ましい。
また、ジアミンと該ジアミンに対してモル比で過剰のジイソシアネートとの反応で得られるポリイソシアネートを使用することができる。ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
モノアミン成分は、脂肪族モノアミンおよび脂環式モノアミンから選ばれた少なくとも1つのモノアミンをモノアミン全体に対して 50 モル%以上、好ましくは 80 モル%以上含有するモノアミン成分である。50 モル%以上含むことにより増ちょう剤のせん断安定性が強く、高速下でも容易に破壊されず、増ちょう剤の毛細管現象により、グリース中の基油を転走部に供給できる。
脂肪族モノアミンおよび脂環式モノアミン以外のモノアミンとしては芳香族モノアミンが挙げられる。
脂肪族モノアミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミンが挙げられ、これらの中でもオクチルアミンが好ましい。
脂環式モノアミンとしては、シクロヘキシルアミンなどが挙げられる。
芳香族モノアミンとしては、アニリン、p-トルイジンが挙げられ、これらの中でp-トルイジンが好ましい。
本発明においてウレア系増ちょう剤は、ウレアグリース全体に対して、3〜20 重量%の割合で配合することが好ましい。特に、5〜15 重量%の配合量とすることが好ましい。ウレアグリースとして、配合量が 3 重量%未満では基油保持能力が十分ではなく、特に回転初期に一時に大量の油分が分離してグリースの漏洩が起こり、軸受耐久寿命が短くなる。また、配合量が 20 重量%をこえると、相対的に基油の量が少なくなり、油供給性が不十分で、早期に潤滑不足に陥って同様に軸受耐久寿命が短くなる。
上記非ウレアグリースの基油の種類としては、ウレアグリースの基油として用いられる合成炭化水素油、エステル油、アルキルジフェニルエーテル油、またはこれらの混合油に加えて、鉱油、フッ素油、シリコーン油等を単独または混合して使用できる。
鉱油としては、原油から得られる潤滑油を減圧蒸留、油剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、水素化精製等の精製を行なったものを用いることができる。
フッ素油としては、脂肪族炭化水素ポリエーテルの水素原子をフッ素原子で置換した化合物であれば使用でき、例えばパーフルオロポリエーテル油が挙げられる。パーフルオロポリエーテル油を例示すれば、フォンブリンY(モンテジソン社商品名)およびクライトックス(デュポン社商品名)などの側鎖を有するパーフルオロポリエーテルや、フォンブリンZ(モンテジソン社商品名)、フォンブリンM(モンテジソン社商品名)およびデムナム(ダイキン社商品名)などの直鎖状のパーフルオロポリエーテルが挙げられる。
シリコーン油としては、ジメチルシリコーン油やメチルフェニルシリコーン油等のいわゆるストレートシリコーン油、およびアルキル変性シリコーン油やアラルキル変性シリコーン油等のいわゆる変性シリコーン油のいずれも使用できる。
本発明に用いる非ウレア系増ちょう剤としては、油分離性に優れた金属石けん、Naテレフタラメート、ポリテトラフルオロエチレン樹脂が挙げられる。
上記金属石けんは、金属水酸化物などの金属源と、脂肪族モノカルボン酸(例えば、ステアリン酸)、少なくとも1個のヒドロキシル基を含む脂肪族モノカルボン酸(例えば、12-ヒドロキシステアリン酸)などの脂肪酸とから合成される。また、上記金属源と、上記脂肪族モノカルボン酸と、脂肪族ジカルボン酸などの二塩基酸とから合成される複合金属石けんも用いることができる。
金属種の違いにより、例えば、リチウム石けん、複合リチウム石けん、バリウム石けん、複合バリウム石けん、アルミニウム石けん、複合アルミニウム石けん、カルシウム石けん、複合カルシウム石けん、ナトリウム石けん、複合ナトリウム石けん、亜鉛石けん、複合亜鉛石けん等を挙げることができる。
また、分子内にアミド結合を有する金属石けん(アミド金属石けん)および分子内にアミド結合を有する複合金属石けん(複合アミド金属石けん)としては、アミドナトリウム石けん、複合アミドナトリウム石けん、アミドバリウム石けん、複合アミドバリウム石けん、アミドアルミニウム石けん、複合アミドアルミニウム石けん、アミドカルシウム石けん、複合アミドカルシウム石けん、アミド亜鉛石けん、複合アミド亜鉛石けんを挙げることができる。
これらの中で油供給性とせん断安定性に優れた複合リチウム石けん、複合バリウム石けん、Naテレフタラメート、または複合アミドバリウム石けんが特に好ましい。
非ウレアグリースにおける非ウレア系増ちょう剤は、非ウレアグリース全量に対して 10〜40 重量%含有することが好ましい。10 重量%未満であるとグリースが軟質でせん断により軸受から容易に漏れやすく、40 重量%をこえるとグリース中の油分が少なく、油供給性が悪くなるおそれがある。
本発明において非ウレアグリースは、グリース全量に対して 10〜80 重量%の割合で配合することが好ましい。特に、20〜50 重量%の配合量とすることが好ましい。非ウレアグリースとして、配合量が 10 重量%未満では転走部への油供給性が悪い。また、配合量が 80 重量%をこえると、高速下で増ちょう剤の繊維が破壊されやすく、増ちょう剤の毛細管現象により基油を転走部へ供給できない。
また、本発明においてウレアグリースと非ウレアグリースとの混合グリースには、必要に応じて公知のグリース用添加剤を含有させることができる。この添加剤として、例えば、有機亜鉛化合物、アミン系、フェノール系化合物等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾールなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレン等の粘度指数向上剤、二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、金属スルホネート、多価アルコールエステルなどの防錆剤、有機モリブデンなどの摩擦低減剤、エステル、アルコールなどの油性剤、りん系化合物などの摩耗防止剤等が挙げられる。これらを単独または 2 種類以上組み合せて添加できる。これらの添加剤の含有量は、個別にはグリース全量の 0.05 重量%以上、合計量でグリース全量の 0.15〜10 重量%の範囲となることが好ましい。特に、合計量で
10 重量%をこえる場合は、含有量の増加に見合う効果が期待できないばかりか、相対的に他の成分の含有量が少なくなり、またグリース中でこれら添加剤が凝集し、トルク上昇等の好ましくない現象を招くこともある。
以下に試験例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
<ウレアグリースの調製>
ウレアグリースU1〜ウレアグリースU5
表1に示した基油の半量に、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、ミリオネートMT、以下、MDIと記す)を表1に示す割合で溶解し、残りの半量の基油にMDIの2倍当量となるモノアミンを溶解した。それぞれの配合割合および種類は表1のとおりである。
MDIを溶解した溶液を撹拌しながらモノアミンを溶解した溶液を加えた後、100℃〜120℃で 30 分間撹拌を続けて反応させて、ジウレア化合物を基油中に生成させウレアグリース試料を得た。
<非ウレアグリースの調製>
非ウレアグリースNU1〜非ウレアグリースNU6
表1に示した基油に、増ちょう剤を溶解させ非ウレアグリース試料を得た。それぞれの配合割合および種類は表1のとおりである。
なお、Naテレフタラメートについてはメチルテレフタレートモノ-N-オクタデシルアミドを、基油を溶媒として水酸化ナトリウムと反応させ、ナトリウム-N-オクタデシルテレフタラメートを生成させた。
Figure 2009209990
実施例1〜実施例9
上記ウレアグリースと非ウレアグリースとを表2に示す割合で混合しグリース試料を得た。このグリース試料を以下に示す遠心油分離試験および常温高速グリース試験に供し、遠心離油度およびグリース寿命時間を測定した。これらの測定結果を表2に併記する。
なお、実施例9の非ウレアグリース(グリースNU7)としては、NOKクリューバー社製ISOFLEX NBU 15を用いた。
<遠心油分離試験>
遠心分離機を用い、50 g のグリース試料を遠心分離管に入れ、40℃で 23000 G の加速度を 7 時間かけたときの遠心離油度を次式により求めた。
(遠心離油度、%)=(1−試験前の増ちょう剤濃度/試験後の増ちょう剤濃度)×100
<常温高速グリース試験−深溝玉軸受>
深溝玉軸受(6204)に、グリース試料を転走面狙いで 0.14 g (軸受全空間容積の約 3 体積%)封入し、非接触シールして試験軸受を作製した。試験軸受に、アキシアル荷重 670 N とラジアル荷重 67 N とを負荷し、常温環境下で 15000 rpm の回転速度で内輪回転させ、焼き付きに至るまでの時間をグリース寿命時間として測定した。この耐久試験における軸受のピッチ円径(mm)と回転数(rpm )との積であるdmN値は 52 万である。なお、各実施例および比較例の試験中における固定輪である軸受外輪温度は、いずれも 70℃程度であった。
比較例1〜比較例12
表2に示したウレアグリースまたは非ウレアグリース(比較例10は併用)をグリース試料とした。このグリース試料について実施例1と同様の項目を測定した。これらの測定結果を表2に併記する。
Figure 2009209990
表2に示すように、本発明に使用されるグリースでは、(1)ウレアグリースと非ウレアグリースとを配合したグリースであり、ウレアグリースの増ちょう剤がポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られ、モノアミン成分が脂肪族モノアミンおよび脂環式モノアミンから選ばれた少なくとも1つのモノアミンをモノアミン全体に対して 50 モル%以上含有するモノアミン成分であること、(2)非ウレア系増ちょう剤として、特に石けん系増ちょう剤を使用すること、(3)基油は動粘度が 15〜40 mm2/sec であることが好ましいことがわかる。
本発明のモータ用グリース封入軸受は、該軸受に封入されたグリース組成物が、所定のウレア系化合物を増ちょう剤とするウレアグリースに、上記ウレア系化合物を含まない非ウレアグリースを配合してなるので、少量のグリース封入量であっても、比較的低温下での使用において、耐荷重性を保ちつつ高速回転下で軌道面への油の供給能力に優れる。このため、換気扇用モータ、燃料電池用ブロアモータ、クリーナモータ、ファンモータ、サーボモータ、ステッピングモータなどの産業機械用または情報機器用のモータ、自動車のスタータモータ、電動パワーステアリングモータ、ステアリング調整用チルトモータ、ワイパーモータ、パワーウィンドウモータなどの電装機器用モータのモータ用グリース封入軸受として好適に利用できる。
深溝玉軸受の断面図である。 モータの構造の断面図である。
符号の説明
1 深溝玉軸受(モータ用グリース封入軸受)
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 シール部材
7 グリース組成物
8a 両端開口部
8b 両端開口部
9 ジャケット
10 固定子
11 回転軸
12 巻き線
13 回転子
14 整流子
15 ブラシホルダ
16 ブラシ
17 エンドフレーム

Claims (9)

  1. モータの回転子を支持するモータ用グリース封入軸受であって、該グリース封入軸受は、内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体の周囲にグリース組成物を封止するためのシール部材を前記内輪および外輪の軸方向両端開口部に設けてなり、
    前記グリース組成物は、ウレア系化合物を増ちょう剤とするウレアグリースに、前記ウレア系化合物を含まない非ウレアグリースを配合してなり、
    前記ウレア系化合物は、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られ、前記モノアミン成分が脂肪族モノアミンおよび脂環式モノアミンから選ばれた少なくとも1つのモノアミンをモノアミン全体に対して 50 モル%以上含有するモノアミン成分であることを特徴とするモータ用グリース封入軸受。
  2. 前記非ウレアグリースの増ちょう剤は、金属石けんまたはNaテレフタラメートであり、前記非ウレアグリース全体に対する配合割合が 10〜40 重量%であることを特徴とする請求項1記載のモータ用グリース封入軸受。
  3. 前記金属石けんは、分子内にアミド結合を有するアミド金属石けんまたは複合アミド金属石けんであることを特徴とする請求項2記載のモータ用グリース封入軸受。
  4. 前記アミド金属石けんまたは複合アミド金属石けんは、ナトリウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、またはバリウムを金属種とすることを特徴とする請求項3記載のモータ用グリース封入軸受。
  5. 前記ウレアグリースおよび前記非ウレアグリースの基油は、動粘度が 15〜40 mm2/sec であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載のモータ用グリース封入軸受。
  6. 前記ウレアグリースの基油は、合成炭化水素油、エステル油およびアルキルジフェニルエーテル油から選ばれた少なくとも1つの油であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項記載のモータ用グリース封入軸受。
  7. 前記モータ用グリース封入軸受は、深溝玉軸受であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項記載のモータ用グリース封入軸受。
  8. 前記モータ用グリース封入軸受は、150℃未満の温度環境下で使用されることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項記載のモータ用グリース封入軸受。
  9. 前記モータ用グリース封入軸受は、産業機械または情報機器のモータに用いられることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項記載のモータ用グリース封入軸受。
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