JP2009173767A - 潤滑剤組成物、転がり軸受及び車輪支持用転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた高温及び高荷重に対する耐性、並びに耐フレッチング性を適用箇所に付与できる潤滑剤組成物、並びに、製造コストを上昇させることなく、耐フレッチング性に優れ、高温及び高荷重下等の苛酷な環境下でも良好に作動する転がり軸受及び車輪支持用転がり軸受装置を提供する。
【解決手段】特定のウレア化合物からなる増ちょう剤と、ベンジリデンソルビトール誘導体から選ばれるゲル化剤と、前記ウレア化合物及び前記ゲル化剤を220℃以下で溶解させることができる基油とを含有する潤滑剤組成物、並びに前記潤滑剤組成物を封入した転がり軸受及び車輪支持用転がり軸受。
【選択図】図1
【解決手段】特定のウレア化合物からなる増ちょう剤と、ベンジリデンソルビトール誘導体から選ばれるゲル化剤と、前記ウレア化合物及び前記ゲル化剤を220℃以下で溶解させることができる基油とを含有する潤滑剤組成物、並びに前記潤滑剤組成物を封入した転がり軸受及び車輪支持用転がり軸受。
【選択図】図1
Description
本発明は、潤滑剤組成物及び転がり軸受に関する。また本発明は、フレッチング摩耗が生じやすい自動車や鉄道車両等の車輪支持用転がり軸受に関する。
自動車や鉄道等の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するために用いられる車輪支持用転がり軸受の一例として、図2に示すものが知られている。
自動車や鉄道車両等の車両用軸受として、例えば図1に示すような、シール付の密封タイプの所謂「ハブユニット軸受」が多用されている。図示されるハブユニット軸受において、内輪素子1と共に内輪相当部材を構成するハブ2の外端部(図中の左端部)外周面には、車輪(図示せず)を固定するための外向フランジ3が形成され、中間部外周面には内輪軌道4aと段部5とが形成されている。また、ハブ2の中間部内端寄り(図中の右寄り)外周面には、その外周面に同じく内輪軌道4bが形成された内輪素子1が、その外端面(図中の左端面)を段部5に突き当てた状態で外嵌支持されている。
また、ハブ2の内端寄り部分には、雄ねじ部6が形成されている。そして、この雄ねじ部6にナット7を螺合し、更に緊締することにより内輪素子1がハブ2の外周面の所定部分に固定される。ハブ2の周囲に配置した外輪8の中間部外周面には、この外輪8を懸架装置(図示せず)に固定するための、外向フランジ状の取付部9が設けられている。また、外輪8の内周面には、それぞれが各内輪軌道4a,4bに対向する外輪軌道10a,10bが形成されている。そして、内輪軌道4a,4bと一対の外輪軌道10a,10bとの間に、それぞれ複数個ずつの転動体11,11を設けて外輪8の内側でのハブ2の回転を自在としている。尚、これら各転動体11,11は、各列毎にそれぞれ保持器12,12により転動自在に保持されている。
また、外輪8の外端部(図中の左端部)内周面と、ハブ2の外周面との間には、ニトリル系ゴム組成物に代表される弾性材料からなるシールリング13が装着されており、このシールリング13により外輪8の内周面と、ハブ2及び内輪素子1の外周面との間に存在し、複数個の転動体11,11を設けた空間15の外端開口部28を塞いでいる。更に、外輪8の内端(図中の右端)開口部はカバー14で塞がれており、この内端開口部から空間15内への塵芥や雨水等の異物の侵入防止及びこの空間15内に充填したグリース(図示せず)の漏洩防止が図られている。
尚、自動車では、図示されるような複列玉軸受のユニット軸受が使用されるが、大型自動車では図1の転動体11として円すいころを用いた複列円すいころ軸受のユニット軸受が、また、鉄道車両では同様の円すいころ軸受のユニット軸受、あるいは転動体11として円筒ころを用いた複列円筒ころ軸受のユニット軸受が使用されることが多い。
このような車輪支持用転がり軸受の内部空間に配するグリース組成物としては、鉱油を基油とし、リチウム複合石けんを増ちょう剤としたグリース組成物が一般的に用いられている(特許文献1参照)。
ところで、車輪支持用転がり軸受では、車両等の運転に伴う振動が伝達されるため、高温及び高荷重下等の苛酷な環境下で使用されることが多い。このため、車輪支持用転がり軸受の転がり面(内輪軌道4a、4bや外輪軌道10a、10bと、転動体11の表面)では、繰り返し衝撃に起因するフレッチング摩耗が生じやすい。しかしながら、上述した鉱油を基油とするグリース組成物では、フレッチング摩耗に対する耐久性が未だ十分とはいえず、今後要求が高まることが予想される、さらなる高温及び高荷重下での使用に対応しきれないおそれがある。このような要望に対して、セラミック製の転動体を採用することにより、揺動運動に伴う微小滑動が生じてもフレッチングが生じ難い転がり軸受が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、この従来例は転動体がセラミックス製であるため部品コストが高いとともに、揺動運動に伴う潤滑不足が依然として生じる恐れがある。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、優れた高温及び高荷重に対する耐性、並びに耐フレッチング性を適用箇所に付与できる潤滑剤組成物を提供することを目的とする。また、製造コストを上昇させることなく、耐フレッチング性に優れ、高温及び高荷重下等の苛酷な環境下でも良好に作動する転がり軸受及び車輪支持用転がり軸受装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の潤滑剤組成物、転がり軸受及び車輪支持用転がり軸受を提供する。
(1)一般式(1)または一般式(2)で表されるウレア化合物からなる増ちょう剤と、ベンジリデンソルビトール誘導体から選ばれるゲル化剤と、前記ウレア化合物及び前記ゲル化剤を220℃以下で溶解させることができる基油とを含有することを特徴とする潤滑剤組成物。
(1)一般式(1)または一般式(2)で表されるウレア化合物からなる増ちょう剤と、ベンジリデンソルビトール誘導体から選ばれるゲル化剤と、前記ウレア化合物及び前記ゲル化剤を220℃以下で溶解させることができる基油とを含有することを特徴とする潤滑剤組成物。
(2)内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内輪及び前記外輪の間に形成される内部空間に配された潤滑剤と、を備える転がり軸受において、前記潤滑剤を前記(1)に記載の潤滑剤組成物としたことを特徴とする転がり軸受。
(3)外周面に軌道面を有する内方部材と、前記内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に形成される内部空間に配された潤滑剤と、を備える車輪支持用転がり軸受装置において、前記潤滑剤を前記(1)に記載の潤滑剤組成物としたことを特徴とする車輪支持用転がり軸受。
(3)外周面に軌道面を有する内方部材と、前記内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に形成される内部空間に配された潤滑剤と、を備える車輪支持用転がり軸受装置において、前記潤滑剤を前記(1)に記載の潤滑剤組成物としたことを特徴とする車輪支持用転がり軸受。
本発明の潤滑剤組成物は、せん断力が加わらない状態ではゲル状(降伏値の大きい状態)であるが、せん断力が加わると油状(降伏値を持たない状態)になる。そのため、転がり軸受内での挙動は次のようになると考えられる。
(1)せん断力によって増ちょう剤の網目構造が切断され、増ちょう剤粒子が配向され著しい硬さ変化が起こり、油状で潤滑される。
(2)一部の潤滑剤組成物は転送面から排出されシールへ付着するが、せん断がなくなると再び網目構造が復元し、漏れない硬さを有したゲル状態となる。
(3)保持器とシール間の間隙や転送面付近のグリースとの接触で生じる極弱いせん断力で転送面へ再供給され潤滑される。
このように転がり軸受内部で効率よく循環され、潤滑油に近い良好な潤滑性を実現させると共に、耐フレッチング性が良好となる。
(1)せん断力によって増ちょう剤の網目構造が切断され、増ちょう剤粒子が配向され著しい硬さ変化が起こり、油状で潤滑される。
(2)一部の潤滑剤組成物は転送面から排出されシールへ付着するが、せん断がなくなると再び網目構造が復元し、漏れない硬さを有したゲル状態となる。
(3)保持器とシール間の間隙や転送面付近のグリースとの接触で生じる極弱いせん断力で転送面へ再供給され潤滑される。
このように転がり軸受内部で効率よく循環され、潤滑油に近い良好な潤滑性を実現させると共に、耐フレッチング性が良好となる。
本発明の潤滑剤組成物は、優れた高温及び高荷重に対する耐性、並びに耐フレッチング性を適用箇所に付与できる。また、本発明の転がり軸受及び車輪支持用転がり軸受装置は、製造コストを上昇させることなく、耐フレッチング性に優れ、高温及び高荷重下等の苛酷な環境下でも良好に作動する。
以下、本発明に関して詳細に説明する。
〔潤滑剤組成物〕
(基油)
基油としては、以下に示すウレア化合物及びベンジリデンソルビトール誘導体の混合物を220℃以下で溶解できる潤滑油であれば制限は無いが、中でもエステル油、エーテル油、グリコール油等が好適である。具体的には、エステル油としては、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルへキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルグルタレート、メチル・アセチルシノレート等のジエステル油、あるいはトリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート等の芳香族エステル油、さらにはトリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンベラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールベラルゴネート等のポリオールエステル油、さらにはまた、多価アルコールと二塩基酸・一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステルであるコンプレックスエステル油等が挙げられる。エーテル油としては、モノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテル等のフェニルエーテル油等が挙げられ、グリコール油としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル等が挙げられる。その他の合成潤滑基油としてはトリクレジルフォスフェート等が使用できる。尚、溶解温度が220℃を超える基油では、増ちょう剤及びゲル化剤との親和性が悪く、ゲル状にはならない。
(基油)
基油としては、以下に示すウレア化合物及びベンジリデンソルビトール誘導体の混合物を220℃以下で溶解できる潤滑油であれば制限は無いが、中でもエステル油、エーテル油、グリコール油等が好適である。具体的には、エステル油としては、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルへキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルグルタレート、メチル・アセチルシノレート等のジエステル油、あるいはトリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート等の芳香族エステル油、さらにはトリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンベラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールベラルゴネート等のポリオールエステル油、さらにはまた、多価アルコールと二塩基酸・一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステルであるコンプレックスエステル油等が挙げられる。エーテル油としては、モノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテル等のフェニルエーテル油等が挙げられ、グリコール油としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル等が挙げられる。その他の合成潤滑基油としてはトリクレジルフォスフェート等が使用できる。尚、溶解温度が220℃を超える基油では、増ちょう剤及びゲル化剤との親和性が悪く、ゲル状にはならない。
また、基油の動粘度は、潤滑性やトルクを考慮して10〜400mm2/s(40℃)が好ましく、20〜250mm2/s(40℃)がより好ましく、40〜150mm2/s(40℃)が更に好ましい。
(増ちょう剤)
増ちょう剤には、下記に示す一般式(1)または一般式(2)で表わされるウレア化合物を用いる。
増ちょう剤には、下記に示す一般式(1)または一般式(2)で表わされるウレア化合物を用いる。
一般式(1)で表わされるウレア化合物は、分子中にCmH2m+1を有するモノアミンと、分子中にCnH2n+1を有するモノアミンと、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とを基油中で反応させることにより得られる。また、一般式(2)で表わされるウレア化合物は、分子中にCmH2m+1を有するモノアミンと、分子中にCnH2n+1を有するモノアミンと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを基油中で反応させることにより得られる。また、何れの式で表されるウレア化合物でも、導入されるモノアミンの直鎖炭化水素数は大きいほど基油へ親油性が高く好ましい。
(ゲル化剤)
本発明では、上記増ちょう剤とともに、ベンジリデンソルビトール誘導体から選ばれるゲル化を用いる。ベンジリデンソルビトール誘導体としては、ジベンジリデンソルビトール、ジトリリデンソルビトール、非対称のジアルキルベンジリデンソルビトールを好適に使用できる。ベンジリデンソルビトール誘導体は、それぞれ単独でも、複数種を組み合わせて使用してもよい。
本発明では、上記増ちょう剤とともに、ベンジリデンソルビトール誘導体から選ばれるゲル化を用いる。ベンジリデンソルビトール誘導体としては、ジベンジリデンソルビトール、ジトリリデンソルビトール、非対称のジアルキルベンジリデンソルビトールを好適に使用できる。ベンジリデンソルビトール誘導体は、それぞれ単独でも、複数種を組み合わせて使用してもよい。
ベンジリデンソルビトール誘導体は、数%量添加するだけで基油をNLGI No.2〜No.3程度の硬さに増ちょうできる能力を備えている、また、せん断力を加えると容易に流動し、放置すると元の硬さに復元する特性も有する。しかしながら、ベンジリデンソルビトール誘導体は、単独ではせん断による結晶粒子の分散と放置による結晶粒子の凝集の繰り返し可逆性が短時間では構造復元せず、軟化していく傾向にある。しかし、ウレア化合物が共存することにより、ウレア化合物をベンジリデンソルビトール誘導体が架橋して再凝集し易くなる。一方、ウレア化合物はせん断による流動、放置による凝集が緩やかである。そのため、せん断による流動、放置による凝集を起こしやすいベンジリデンソルビトール誘導体と、ウレア化合物とが混在し、架橋し合うことにより、安定した流動−復元の可逆性が得られる。
また、本発明の潤滑剤組成物に用いる基油はウレア化合物及びゲル化剤と親和性が高く、220℃以下で増ちょう剤を基油に完全溶解することができ、Li石けんグリースのように均一に基油中に増ちょう剤結晶粒子を生成させることができることから、核生成状態を冷却方法で制御できる。その際、結晶径の小さい増ちょう剤粒子を作ることができ、軸受音響性にも優れる。
上記のウレア化合物及びゲル化剤の含有量は、合計でグリース全量の10〜30質量%の割合が好ましい。10質量%未満では初期から軟らかく漏洩しやすく、30質量%を超える場合は流動性が悪くなって潤滑性が損なわれる。また、ゲル化剤とウレア化合物との混合比率(質量比)は、「ゲル化剤/ウレア化合物」で0.1〜1であることが好ましい。混合比率が0.1未満では、ゲル化剤に特有の結晶粒子凝集が起こりにくく、せん断がなくなった際の増ちょう剤網目構造の復元が遅くなり漏洩しやすくなる。また、混合比率が1を超える場合は、繰り返し流動−復元可逆性が損なわれ漏洩しやすくなる。
更に、本発明の潤滑剤組成物においては、その各種性能をさらに向上させるため、所望により種々の添加剤を混合してもよい。添加剤としては、アミン系、フェノール系、硫黄系、ジチオリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛等の酸化防止剤、スルフォン酸金属塩、エステル系、アミン系、ナフテン酸金属塩、コハク酸誘導体等の防錆剤、リン系、ジチオリン酸亜鉛、有機モリブデン等の極圧剤、脂肪酸、動植物油等の油性向上剤、ベンゾトリアゾール等の金属不活性化剤等、潤滑用に使用される添加剤を単独で、または2種以上混合して用いることができる。尚、これら添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない程度であれば特に限定されるものではない。
(製造方法)
本発明の潤滑剤組成物を製造する方法には、先ず、基油にウレア化合物の原料であるイソシアネートとアミンとを配合し、加熱攪拌してウレア化合物を合成する。その後、ゲル化剤を配合し、十分に攪拌して混合した後、ウレア化合物及びゲル化剤が基油に溶解する温度まで昇温してウレア化合物とゲル化剤とを基油に完全に溶解させる。次いで、予め水冷したアルミニウム製バットに上記潤滑剤を流し込み、バットを冷水で冷却することでゲル状物を得る。そして、ゲル状物を3本ロールミルにかけることで潤滑剤組成物を得る。添加剤を添加する場合は、上記潤滑剤組成物に所定量添加し、混練すればよく、混練に際して適温に加熱してもよい。
本発明の潤滑剤組成物を製造する方法には、先ず、基油にウレア化合物の原料であるイソシアネートとアミンとを配合し、加熱攪拌してウレア化合物を合成する。その後、ゲル化剤を配合し、十分に攪拌して混合した後、ウレア化合物及びゲル化剤が基油に溶解する温度まで昇温してウレア化合物とゲル化剤とを基油に完全に溶解させる。次いで、予め水冷したアルミニウム製バットに上記潤滑剤を流し込み、バットを冷水で冷却することでゲル状物を得る。そして、ゲル状物を3本ロールミルにかけることで潤滑剤組成物を得る。添加剤を添加する場合は、上記潤滑剤組成物に所定量添加し、混練すればよく、混練に際して適温に加熱してもよい。
〔転がり軸受、車輪支持用転がり軸受〕
本発明はまた、上記の潤滑剤組成物を封入した転がり軸受及び車輪支持用転がり軸受を提供する。何れも、その種類や構造には制限がなく、車輪支持用転がり軸受としては例えば図1に示したハブユニット軸受を例示でき、軸受空間に上記の潤滑剤組成物を充填して構成される。
本発明はまた、上記の潤滑剤組成物を封入した転がり軸受及び車輪支持用転がり軸受を提供する。何れも、その種類や構造には制限がなく、車輪支持用転がり軸受としては例えば図1に示したハブユニット軸受を例示でき、軸受空間に上記の潤滑剤組成物を充填して構成される。
本発明の転がり軸受及び車輪支持用転がり軸受は、潤滑剤組成物により、耐フレッチング性に優れ、高温及び高荷重下等の苛酷な環境下でも良好に作動する。また、セラミック製の転動体を用いる必要もなく、安価でもある。
以下に、実施例及び比較例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
〔実施例1〜4、比較例1〜3〕
表1に示すように、基油、増ちょう剤及びゲル化剤を含有する供試潤滑剤組成物を調製した。そして、供試潤滑剤組成物について、下記(1)〜(3)の評価を行った。結果は表1に示す。
表1に示すように、基油、増ちょう剤及びゲル化剤を含有する供試潤滑剤組成物を調製した。そして、供試潤滑剤組成物について、下記(1)〜(3)の評価を行った。結果は表1に示す。
(1)耐フレッチング試験
試験方法:ASTM D 4170に規定された試験方法により耐フレッチング試験を行ない、質量変化を求めた。この試験は、試験前後の試験片の質量差を測定し、この質量差を三段階に分けて評価を行なった。
評価基準:車両用としては下記基準でAランク及びBランクが好ましいとされており、Aランク及びBランクを合格とした。
・Aランク;質量減が3mg以下
・Bランク;質量減が3mgを超え5mg未満
・Cランク;質量減が5mg以上
試験方法:ASTM D 4170に規定された試験方法により耐フレッチング試験を行ない、質量変化を求めた。この試験は、試験前後の試験片の質量差を測定し、この質量差を三段階に分けて評価を行なった。
評価基準:車両用としては下記基準でAランク及びBランクが好ましいとされており、Aランク及びBランクを合格とした。
・Aランク;質量減が3mg以下
・Bランク;質量減が3mgを超え5mg未満
・Cランク;質量減が5mg以上
(2)軸受漏洩試験
試験方法:下記条件にて20時間連続回転させ、グリース漏洩率を測定した。
・供試軸受;単列深溝玉軸受(内径φ25mm、外径62mm、幅17mm)
・シール形式;非接触シール
・回転数;10000r/min
・アキシアル荷重;98N
・ラジアル荷重;98N
評価基準;漏洩率が潤滑剤組成物封入量の6質量%以下を合格とした。
試験方法:下記条件にて20時間連続回転させ、グリース漏洩率を測定した。
・供試軸受;単列深溝玉軸受(内径φ25mm、外径62mm、幅17mm)
・シール形式;非接触シール
・回転数;10000r/min
・アキシアル荷重;98N
・ラジアル荷重;98N
評価基準;漏洩率が潤滑剤組成物封入量の6質量%以下を合格とした。
(3)流動−復元可逆性試験
試験方法:自転−公転式撹拌機(せん断条件:自転:1370r/min、公転:1370r/min、3min)で供試潤滑剤を撹拌し、不混和ちょう度を測定し、40℃で3時間放置し、不混和ちょう度測定を1サイクルとして4回繰り返す。
評価基準:1回目のせん断後及び放置後不混和ちょう度と比較し、各々が±15以内であれば流動−復元可逆性が有とする。また、図2に実施例1及び比較例1の供試潤滑剤組成物の流動−復元可逆性をグラフ化して示す。
試験方法:自転−公転式撹拌機(せん断条件:自転:1370r/min、公転:1370r/min、3min)で供試潤滑剤を撹拌し、不混和ちょう度を測定し、40℃で3時間放置し、不混和ちょう度測定を1サイクルとして4回繰り返す。
評価基準:1回目のせん断後及び放置後不混和ちょう度と比較し、各々が±15以内であれば流動−復元可逆性が有とする。また、図2に実施例1及び比較例1の供試潤滑剤組成物の流動−復元可逆性をグラフ化して示す。
表1に示すように、本発明に従う実施例の供試潤滑剤組成物は、耐フレッチング性に優れ、漏洩も少なく、更には、せん断の有無によるちょう度変化が少なく、流動−復元可逆性にも優れる。
1 内輪素子
2 ハブ
4a,4b 内輪軌道
5 段部
6 雄ねじ部
7 ナット
8 外輪
10a,10b 外輪軌道
11 転動体
12 保持器
13 シールリング
2 ハブ
4a,4b 内輪軌道
5 段部
6 雄ねじ部
7 ナット
8 外輪
10a,10b 外輪軌道
11 転動体
12 保持器
13 シールリング
Claims (3)
- 内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内輪及び前記外輪の間に形成される内部空間に配された潤滑剤と、を備える転がり軸受において、
前記潤滑剤を請求項1に記載の潤滑剤組成物としたことを特徴とする転がり軸受。 - 外周面に軌道面を有する内方部材と、前記内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材の間に形成される内部空間に配された潤滑剤と、を備える車輪支持用転がり軸受装置において、
前記潤滑剤を請求項1に記載の潤滑剤組成物としたことを特徴とする車輪支持用転がり軸受。
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JP (1) | JP2009173767A (ja) |
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2008
- 2008-01-24 JP JP2008013702A patent/JP2009173767A/ja active Pending
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