JP2008286230A - モータ用転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、フレッチングによる摩耗が生じにくく且つ安価なモータ用転がり軸受を提供することを課題とする。
条件D)前記グリース組成物の混和ちょう度は220以上330以下である。
また、本発明に係る請求項2のモータ用転がり軸受は、請求項1に記載のモータ用転がり軸受において、さらに以下の3つの条件を満たしていることを特徴とする。
条件F)R1 及びR3 は、炭素数6〜20のアルキル基、シクロヘキシル基、又は炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基であり、R2 は炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基である。
さらに、本発明に係る請求項3のモータ用転がり軸受は、請求項1又は請求項2に記載のモータ用転がり軸受において、前記基油の40℃における動粘度が30mm2 /s以上60mm2 /s以下であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項5のモータ用転がり軸受は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ用転がり軸受において、前記グリース組成物の混和ちょう度が295以上325以下であることを特徴とする。
図1の転がり軸受は、図示しないモータの回転軸を回転支持する深溝玉軸受であり、外周面に軌道面1aを有する内輪1と、内輪1の軌道面1aに対向する軌道面2aを内周面に有する外輪2と、両軌道面1a,2a間に転動自在に配された複数の転動体3と、内輪1と外輪2との間に複数の転動体3を保持する保持器4と、シール5,5と、で構成されている。なお、内輪1,外輪2,及び転動体3は鋼製である。また、保持器4とシール5は備えていなくてもよい。
この潤滑剤は、基油と増ちょう剤とを含有するグリース組成物であり、増ちょう剤は前述の化学式(I)で表されるジウレア化合物である。なお、化学式(I)中のR1 ,R2 ,及びR3 は炭化水素基を表す。また、グリース組成物中のジウレア化合物の含有量は8質量%以上14質量%以下である。さらに、グリース組成物の混和ちょう度は220以上330以下である。
〔基油について〕
基油の種類は特に限定されるものではなく、グリース組成物の基油として一般的に用いられる潤滑油であれば問題なく使用することができる。例えば、鉱油や合成油が好適である。鉱油としては、例えばパラフィン系鉱油やナフテン系鉱油があげられ、合成油としては、例えばエステル油,エーテル油,ポリグリコール油,シリコーン油,合成炭化水素油,フルオロシリコーン油,フッ素油があげられる。これらの基油の中では、広い温度範囲で使用可能であるとともに樹脂に対するケミカルアタックが小さいことから、合成炭化水素油が好ましい。そして、これらの基油は、1種を単独で用いてもよいし複数種を併用してもよい。
このような基油の40℃における動粘度は、30mm2 /s以上60mm2 /s以下であることが好ましい。基油の40℃における動粘度が60mm2 /s超過であると、転がり軸受のトルクが過大となるおそれがある。一方、動粘度が30mm2 /s未満であると、潤滑性が低下して耐久性が不十分となるおそれがある。より十分な耐久性を得るためには、基油の40℃における動粘度は40mm2 /s以上60mm2 /s以下であることがより好ましい。さらに、正逆回転方式で使用される際のトルク変動を抑えるためには、40mm2 /s以上55mm2 /s以下であることがさらに好ましい。
グリース組成物に使用する増ちょう剤としては、転がり軸受に優れた音響性能を付与し且つ耐熱性に優れる前述のジウレア化合物が好ましい。前述の化学式(I)中のR1 及びR3 は、前述したように、炭素数6〜20のアルキル基、シクロヘキシル基、又は炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基であることが好ましく、R2 は炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基であることが好ましい。これらの炭化水素基の炭素数が前記下限値よりも小さいと、増ちょう剤が基油に分散しにくく、また、増ちょう剤と基油とが分離しやすくなる。一方、これらの炭化水素基の炭素数が前記上限値よりも大きい増ちょう剤は、工業的に非現実的である。
ジウレア化合物を基油中で合成する場合の合成方法は、特に限定されるものではないが、R2 の芳香環含有炭化水素基を有するジイソシアネート1モルと、R1 ,R3 の炭化水素基を有するモノアミン2モルとを、反応させる方法が最も好ましい。
また、R1 ,R3 が炭素数6〜20のアルキル基である場合のモノアミンとしては、例えば、ヘキシルアミン,ヘプチルアミン,オクチルアミン,ノニルアミン,エチルヘキシルアミン,デシルアミン,ウンデシルアミン,ドデシルアミン,テトラデシルアミン,ペンタデシルアミン,オクタデシルアミン,ノナデシルアミン,エイコデシルアミン,オレイルアミン等を好適に使用できる。
本発明におけるグリース組成物には、グリース組成物に一般的に使用される各種添加剤を所望により添加してもよい。例えば、酸化防止剤,防錆剤,金属不活性化剤,油性剤,極圧剤があげられる。これらの添加剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
さらに、油性剤としては、例えば、オレイン酸,ステアリン酸等の脂肪酸や、オレイルアルコール等の脂肪族アルコールや、ポリオキシエチレンステアリン酸エステル,ポリグリセリルオレイン酸エステル等の脂肪酸エステルを使用することができる。また、リン酸、トリクレジルホスフェート、ラウリル酸エステル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸等のリン酸エステル等を使用することができる。
〔実施例1〕
反応容器に、所定量のポリα−オレフィン油(PAO)と、シクロヘキシルアミン及びステアリルアミンとを装入し、70〜80℃に加温しつつ混合した。また、別容器に、前記と同量のPAOとジフェニルメタンジイソシアネートとを装入し、70〜80℃に加温しつつ混合した。このPAOとジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物を、前述の反応容器に装入し攪拌すると、アミンとイソシアネートとの反応が進行してジウレア化合物が生成する。
なお、基油であるPAOの40℃における動粘度は、50mm2 /sである。また、グリース組成物中の増ちょう剤(ジウレア化合物)の含有量は13質量%である。さらに、ジウレア化合物のシクロヘキシル系基の割合は70モル%である。
実施例1とほぼ同様にして、増ちょう剤(ジウレア化合物)の含有量が9質量%であるグリース組成物を得た。
〔比較例1〕
反応容器に、所定量のエステル油とシクロヘキシルアミンとを装入し、70〜80℃に加温しつつ混合した。また、別容器に、前記と同量のエステル油とジフェニルメタンジイソシアネートとを装入し、70〜80℃に加温しつつ混合した。このエステル油とジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物を、前述の反応容器に装入し攪拌すると、アミンとイソシアネートとの反応が進行してジウレア化合物が生成する。
なお、基油であるエステル油の40℃における動粘度は、33mm2 /sである。また、グリース組成物中の増ちょう剤(ジウレア化合物)の含有量は19質量%である。さらに、ジウレア化合物のシクロヘキシル系基の割合は100モル%である。
ステアリン酸と水酸化リチウムとをエステル油中で反応させてリチウム石けんを生成させた後、室温まで冷却した。そして、酸化防止剤を添加してロールミルで処理することにより、グリース組成物を得た。なお、基油であるエステル油の40℃における動粘度は、26mm2 /sである。また、グリース組成物中の増ちょう剤(リチウム石けん)の含有量は12質量%である。
〔高温耐久性試験について〕
非接触ゴムシール付き深溝玉軸受(内径25mm,外径62mm,幅17mm)の空隙部内にグリース組成物3.4gを封入し、アキシアル荷重98N、ラジアル荷重98N、回転速度10000min-1、外輪温度140℃という条件で内輪を回転させた。回転方式は連続回転方式とした。そして、外輪の温度が150℃になった時点で焼付きが生じたと判定し、この焼付き寿命により高温耐久性を評価した。結果を表1に示す。なお、表1に記載の焼付き寿命は、比較例1のグリース組成物を封入した軸受の焼付き寿命を1とした場合の相対値で示してある。
表1から分かるように、実施例1のグリース組成物を封入した軸受は、比較例1,2のグリース組成物を封入した軸受と比べて焼付きが生じにくく長寿命であった。
非接触ゴムシール付き深溝玉軸受(内径12mm,外径32mm,幅10mm)の空隙部内にグリース組成物0.55gを封入し、アキシアル荷重39N、回転速度3000min-1、雰囲気温度80℃という条件で、内輪を30分間回転させた。回転方式は連続回転方式とした。そして、深溝玉軸受からのグリース組成物の漏出の状況を目視により確認した。
非接触ゴムシール付き深溝玉軸受(内径12mm,外径32mm,幅10mm)の空隙部内にグリース組成物0.55gを封入し、アキシアル荷重39N、回転速度1800min-1、雰囲気温度30℃という条件で内輪を回転させた。回転方式は連続回転方式とした。そして、回転10分後の動摩擦トルクを測定した。結果を図2のグラフに示す。なお、図2のグラフの動摩擦トルクは、比較例1のグリース組成物を封入した軸受の動摩擦トルクを1とした場合の相対値で示してある。
図2のグラフから分かるように、実施例1のグリース組成物を封入した軸受は、比較例1のグリース組成物を封入した軸受と比べて動摩擦トルクが低かった。
非接触ゴムシール付き深溝玉軸受(内径8mm,外径22mm,幅7mm)の空隙部内にグリース組成物160mgを封入し、図3に示す揺動フレッチング試験機に装着した。そして、アキシアル荷重39N、揺動角1°、揺動周波数30Hz、雰囲気温度30℃という条件で内輪を回転させた。すなわち、回転方式は、回転角1°の正回転と回転角−1°の逆回転とを交互に繰り返す微小揺動方式である。そして、前記条件で500万シーク揺動させた後に、軸受振動値を測定した。結果を図4のグラフに示す。
1a 軌道面
2 外輪
2a 軌道面
3 転動体
Claims (5)
- 内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内輪及び前記外輪の間に形成され前記転動体が配された空隙部内に封入された潤滑剤と、を備え、モータの回転軸を回転支持するモータ用転がり軸受において、以下の4つの条件を満たしていることを特徴とするモータ用転がり軸受。
条件A)一方向のみに360°以上連続して回転する連続回転方式と、360°以上の正回転,0°超過360°未満の正回転,−360°以下の逆回転,及び0°未満−360°超過の逆回転のうち少なくとも2種の回転をランダムに行う正逆回転方式と、0°超過360°未満の正回転及び0°未満−360°超過の逆回転を交互に繰り返す微小揺動方式との3つの回転方式で使用される転がり軸受である。
条件B)前記潤滑剤は基油と増ちょう剤とを含有するグリース組成物であり、前記増ちょう剤は下記の化学式(I)で表されるジウレア化合物である。なお、化学式(I)中のR1 ,R2 ,及びR3 は炭化水素基を表す。
条件D)前記グリース組成物の混和ちょう度は220以上330以下である。 - さらに以下の3つの条件を満たしていることを特徴とする請求項1に記載のモータ用転がり軸受。
条件E)前記増ちょう剤は、R1 ,R2 ,及びR3 の少なくとも1つが異なる複数種のジウレア化合物の混合物である。
条件F)R1 及びR3 は、炭素数6〜20のアルキル基、シクロヘキシル基、又は炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基であり、R2 は炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基である。
条件G)全てのジウレア化合物が有するR1 ,R3 におけるシクロヘキシル基及び炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基の合計数の割合が30モル%以上90モル%以下である。 - 前記基油の40℃における動粘度が30mm2 /s以上60mm2 /s以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモータ用転がり軸受。
- 前記基油は合成炭化水素油を主成分とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ用転がり軸受。
- 前記グリース組成物の混和ちょう度が295以上325以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ用転がり軸受。
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