JP2008286230A - モータ用転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】フレッチングによる摩耗が生じにくく且つ安価なモータ用転がり軸受を提供する。
【解決手段】連続回転方式,正逆回転方式,微小揺動方式の3つの回転方式で使用される深溝玉軸受の空隙部内に、化学式(I)で表されるジウレア化合物を増ちょう剤として含有するグリース組成物を封入した。このグリース組成物中のジウレア化合物の含有量は、8質量%以上14質量%以下である。また、グリース組成物の混和ちょう度は220以上330以下である。
【化1】
Figure 2008286230

【選択図】図1

Description

本発明は、モータに組み込まれてモータの回転軸を回転支持するモータ用転がり軸受に関する。
転がり軸受は種々の回転方式で使用される。例えば、一方向のみに360°以上連続して回転する連続回転方式や、360°以上の正回転,0°超過360°未満の正回転,−360°以下の逆回転,及び0°未満−360°超過の逆回転のうち少なくとも2種の回転をランダムに行う正逆回転方式や、0°超過360°未満の正回転と0°未満−360°超過の逆回転とを交互に繰り返す微小揺動方式がある。なお、以降においては、正逆両方向に回転する回転方式の場合、すなわち正逆回転方式及び微小揺動方式の場合には、正回転の回転角は正の数値で表し、逆回転の回転角は負の数値で表す。
モータに組み込まれてモータの回転軸を回転支持するモータ用転がり軸受は、上記3つの回転方式の全ての方式で使用される場合がある。このようなモータ用転がり軸受は、軌道輪の軌道面と転動体との間でフレッチングが生じ摩耗が促進されやすいので、これを抑制するためにセラミック製の転動体が使用される。
特許第3814925号公報
しかしながら、セラミック製の転動体を使用すると、通常の鋼製の転動体を使用した場合と比べて約10倍のコストアップとなるという問題があった。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、フレッチングによる摩耗が生じにくく且つ安価なモータ用転がり軸受を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1のモータ用転がり軸受は、内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内輪及び前記外輪の間に形成され前記転動体が配された空隙部内に封入された潤滑剤と、を備え、モータの回転軸を回転支持するモータ用転がり軸受において、以下の4つの条件を満たしていることを特徴とする。
条件A)一方向のみに360°以上連続して回転する連続回転方式と、360°以上の正回転,0°超過360°未満の正回転,−360°以下の逆回転,及び0°未満−360°超過の逆回転のうち少なくとも2種の回転をランダムに行う正逆回転方式と、0°超過360°未満の正回転及び0°未満−360°超過の逆回転を交互に繰り返す微小揺動方式との3つの回転方式で使用される転がり軸受である。
条件B)前記潤滑剤は基油と増ちょう剤とを含有するグリース組成物であり、前記増ちょう剤は下記の化学式(I)で表されるジウレア化合物である。なお、化学式(I)中のR1 ,R2 ,及びR3 は炭化水素基を表す。
Figure 2008286230
条件C)前記グリース組成物中の前記ジウレア化合物の含有量は8質量%以上14質量%以下である。
条件D)前記グリース組成物の混和ちょう度は220以上330以下である。
また、本発明に係る請求項2のモータ用転がり軸受は、請求項1に記載のモータ用転がり軸受において、さらに以下の3つの条件を満たしていることを特徴とする。
条件E)前記増ちょう剤は、R1 ,R2 ,及びR3 の少なくとも1つが異なる複数種のジウレア化合物の混合物である。
条件F)R1 及びR3 は、炭素数6〜20のアルキル基、シクロヘキシル基、又は炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基であり、R2 は炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基である。
条件G)全てのジウレア化合物が有するR1 ,R3 におけるシクロヘキシル基及び炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基の合計数の割合が30モル%以上90モル%以下である。
さらに、本発明に係る請求項3のモータ用転がり軸受は、請求項1又は請求項2に記載のモータ用転がり軸受において、前記基油の40℃における動粘度が30mm2 /s以上60mm2 /s以下であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項4のモータ用転がり軸受は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ用転がり軸受において、前記基油は合成炭化水素油を主成分とすることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項5のモータ用転がり軸受は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ用転がり軸受において、前記グリース組成物の混和ちょう度が295以上325以下であることを特徴とする。
本発明のモータ用転がり軸受は、フレッチングによる摩耗が生じにくく且つ安価である。
本発明に係るモータ用転がり軸受の実施の形態を、図1の部分縦断面図を参照しながら詳細に説明する。
図1の転がり軸受は、図示しないモータの回転軸を回転支持する深溝玉軸受であり、外周面に軌道面1aを有する内輪1と、内輪1の軌道面1aに対向する軌道面2aを内周面に有する外輪2と、両軌道面1a,2a間に転動自在に配された複数の転動体3と、内輪1と外輪2との間に複数の転動体3を保持する保持器4と、シール5,5と、で構成されている。なお、内輪1,外輪2,及び転動体3は鋼製である。また、保持器4とシール5は備えていなくてもよい。
また、内輪1と外輪2との間に形成され転動体3が配された空隙部内(軸受内部空間)には、図示しない潤滑剤が封入され、両軌道面1a,2aと転動体3との間の潤滑が行われるようになっている。
この潤滑剤は、基油と増ちょう剤とを含有するグリース組成物であり、増ちょう剤は前述の化学式(I)で表されるジウレア化合物である。なお、化学式(I)中のR1 ,R2 ,及びR3 は炭化水素基を表す。また、グリース組成物中のジウレア化合物の含有量は8質量%以上14質量%以下である。さらに、グリース組成物の混和ちょう度は220以上330以下である。
このようなモータ用転がり軸受は、下記のような3つの回転方式で使用される場合がある。すなわち、一方向のみに360°以上連続して回転する連続回転方式と、360°以上の正回転,0°超過360°未満の正回転,−360°以下の逆回転,及び0°未満−360°超過の逆回転のうち少なくとも2種の回転をランダムに行う正逆回転方式と、0°超過360°未満の正回転と0°未満−360°超過の逆回転とを交互に繰り返す微小揺動方式との3つの回転方式である。正逆回転方式においては、回転停止状態を挟んで正回転(又は逆回転)が複数回連続してもよいし、正回転と逆回転とが交互に繰り返してもよいし、正回転と逆回転とが全くランダムに行われてもよい。なお、正逆回転方式においては、ランダムに行われる複数種の回転のうち少なくとも1種が、360°以上の正回転又は−360°以下の逆回転である場合が多い。
上記3つの回転方式で使用される転がり軸受は、軌道輪の軌道面と転動体との間でフレッチングが生じ摩耗が促進されやすいが、本実施形態の深溝玉軸受は、上記のようなグリース組成物で潤滑されているため、転動体3が鋼製であってもフレッチングによる摩耗が生じにくく、その度合いは転動体3がセラミック製である場合とほぼ同程度である。よって、本実施形態の深溝玉軸受は、上記3つの回転方式で使用されても長寿命である。また、高価なセラミックで転動体を構成する必要がないため、本実施形態の深溝玉軸受は安価である。このような転がり軸受は、特にサーボモータ用として好適である。
なお、グリース組成物中のジウレア化合物の含有量が8質量%未満であると十分な増ちょう性が得られないため、離油が生じたり、軸受内部からのグリース組成物の漏出が生じたりするおそれがある。一方、14質量%超過であると、グリース組成物の流動性が低下し、軸受の音響性能やトルク性能に問題が生じるおそれがある。また、グリース組成物の混和ちょう度が220未満であると、グリース組成物が硬すぎるため軸受のトルク性能が低下するおそれがある。一方、330超過であると、軸受内部からのグリース組成物の漏出が生じやすくなるおそれがある。このような問題がより生じにくくするためには、グリース組成物の混和ちょう度は295以上325以下であることがより好ましい。
さらに、このグリース組成物は、以下の3つの条件をさらに満たしていることが好ましい。すなわち、増ちょう剤はR1 ,R2 ,及びR3 の少なくとも1つが異なる複数種のジウレア化合物の混合物であるという条件と、R1 及びR3 は炭素数6〜20のアルキル基、シクロヘキシル基、又は炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基であり、R2 は炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基であるという条件と、全てのジウレア化合物が有するR1 ,R3 におけるシクロヘキシル基及び炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基の合計数の割合が30モル%以上90モル%以下であるという条件である。
この割合(以降は、「シクロヘキシル系基の割合」と記すこともある)は、グリース組成物に使用した全てのジウレア化合物が有するR1 ,R3 のうち、シクロヘキシル基のモル数と炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基のモル数との合計を、全R1 ,R3 のモル数で除することにより求めることができる。なお、R1 及びR3 は同種の基であってもよいし異種の基であってもよい。
増ちょう剤としてジウレア化合物を使用すると、軸受の音響性能と耐熱性とを良好とすることができるが、前述の3つの条件をさらに満たしていれば、軸受の音響性能と耐熱性とをより良好とすることができる。軸受の耐久性とグリース組成物の漏出とを考慮すると、前述のシクロヘキシル系基の割合は50モル%以上90モル%以下とすることがより好ましい。
以下に、本実施形態のグリース組成物について、さらに詳細に説明する。
〔基油について〕
基油の種類は特に限定されるものではなく、グリース組成物の基油として一般的に用いられる潤滑油であれば問題なく使用することができる。例えば、鉱油や合成油が好適である。鉱油としては、例えばパラフィン系鉱油やナフテン系鉱油があげられ、合成油としては、例えばエステル油,エーテル油,ポリグリコール油,シリコーン油,合成炭化水素油,フルオロシリコーン油,フッ素油があげられる。これらの基油の中では、広い温度範囲で使用可能であるとともに樹脂に対するケミカルアタックが小さいことから、合成炭化水素油が好ましい。そして、これらの基油は、1種を単独で用いてもよいし複数種を併用してもよい。
エステル油の種類は特に限定されるものではないが、炭酸エステル油、二塩基酸と分岐アルコールとの反応から得られるジエステル油、芳香族系カルボン酸と分岐アルコールとの反応から得られる芳香族エステル油、一塩基酸と多価アルコールとの反応から得られるポリオールエステル油などがあげられる。また、一塩基酸及び二塩基酸の混合脂肪酸と多価アルコールとのオリゴエステルであるコンプレックスエステル油などもあげられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし複数種を併用してもよい。以下に、上記各エステル油の好ましい具体例を例示する。
炭酸エステル油としては、炭素数が6以上30以下で直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有するものが好ましい。ジエステル油としては、ジオクチルアジペート(DOA),ジイソブチルアジペート(DIBA),ジブチルアジペート(DBA),ジブチルセバケート(DBS),ジオクチルセバケート(DOS),メチルアセチルリシノレート(MAR−N)などが好ましい。芳香族エステル油としては、トルオクチルトリメリテート(TOTM),トリデシルトリメリテート,テトラオクチルピロメリテートなどが好ましい。
ポリオールエステル油としては、以下に示す一塩基酸と多価アルコールとの反応によって得られるエステル油が好ましい。多価アルコールとしては、トリメチロールプロパン(TMP)、ペンタエリスルリトール(PE)、ジペンタエリスルリトール(DPE)、ネオペンチルグリコール(NPG)、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール(MPPD)などがあげられる。また、一塩基酸としては、主に炭素数4以上16以下の一価脂肪酸が用いられる。具体的には、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、エナント酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミステリン酸、パルミチン酸、牛脂脂肪酸、スレアリン酸、カプロレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸などがあげられる。多価アルコールに反応させる一塩基酸は、1種でもよいし2種以上でもよい。
また、エーテル油としては、例えば(ジ)アルキルジフェニルエーテル油、(ジ)アルキルポリフェニルエーテル油、ポリアルキレングリコール油などが好ましい。さらに、合成炭化水素油としてはポリα−オレフィン油(PAO)等が好ましい。
このような基油の40℃における動粘度は、30mm2 /s以上60mm2 /s以下であることが好ましい。基油の40℃における動粘度が60mm2 /s超過であると、転がり軸受のトルクが過大となるおそれがある。一方、動粘度が30mm2 /s未満であると、潤滑性が低下して耐久性が不十分となるおそれがある。より十分な耐久性を得るためには、基油の40℃における動粘度は40mm2 /s以上60mm2 /s以下であることがより好ましい。さらに、正逆回転方式で使用される際のトルク変動を抑えるためには、40mm2 /s以上55mm2 /s以下であることがさらに好ましい。
〔増ちょう剤について〕
グリース組成物に使用する増ちょう剤としては、転がり軸受に優れた音響性能を付与し且つ耐熱性に優れる前述のジウレア化合物が好ましい。前述の化学式(I)中のR1 及びR3 は、前述したように、炭素数6〜20のアルキル基、シクロヘキシル基、又は炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基であることが好ましく、R2 は炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基であることが好ましい。これらの炭化水素基の炭素数が前記下限値よりも小さいと、増ちょう剤が基油に分散しにくく、また、増ちょう剤と基油とが分離しやすくなる。一方、これらの炭化水素基の炭素数が前記上限値よりも大きい増ちょう剤は、工業的に非現実的である。
このようなジウレア化合物は、別途合成したものを基油に分散させてもよいし、基油中で合成することによって基油に分散させてもよい。ただし、後者の方法の方が、基油中に増ちょう剤を良好に分散させやすいので、工業的に製造する場合には有利である。
ジウレア化合物を基油中で合成する場合の合成方法は、特に限定されるものではないが、R2 の芳香環含有炭化水素基を有するジイソシアネート1モルと、R1 ,R3 の炭化水素基を有するモノアミン2モルとを、反応させる方法が最も好ましい。
前記ジイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート,トリレンジイソシアネート,キシリレンジイソシアネート,ビフェニレンジイソシアネート,ジメチルジフェニレンジイソシアネート,又はこれらのアルキル基置換体等を好適に使用できる。
また、R1 ,R3 が炭素数6〜20のアルキル基である場合のモノアミンとしては、例えば、ヘキシルアミン,ヘプチルアミン,オクチルアミン,ノニルアミン,エチルヘキシルアミン,デシルアミン,ウンデシルアミン,ドデシルアミン,テトラデシルアミン,ペンタデシルアミン,オクタデシルアミン,ノナデシルアミン,エイコデシルアミン,オレイルアミン等を好適に使用できる。
さらに、R1 ,R3 が炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基である場合のモノアミンとしては、例えば、メチルシクロヘキシルアミン,エチルシクロヘキシルアミン,ジメチルシクロヘキシルアミン,ジエチルシクロヘキシルアミン,ブチルシクロヘキシルアミン,プロピルシクロヘキシルアミン,アミルシクロヘキシルアミン等を好適に使用できる。
〔添加剤について〕
本発明におけるグリース組成物には、グリース組成物に一般的に使用される各種添加剤を所望により添加してもよい。例えば、酸化防止剤,防錆剤,金属不活性化剤,油性剤,極圧剤があげられる。これらの添加剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤としては、例えば、フェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、ジピリジルアミン、フェノチアジン、N−メチルフェノチアジン、N−エチルフェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン等のアミン系化合物があげられる。また、2,6−ジ−tert−ジブチルフェノール等のフェノール系化合物等を使用することもできる。
また、防錆剤としては、例えば有機スルホン酸アンモニウム塩,スルホン酸金属塩(金属はアルカリ金属,アルカリ土類金属(カルシウム,マグネシウム,バリウム等),亜鉛等),カルボン酸塩,フェネート,ホスホネート等があげられる。また、アルキルコハク酸エステル,アルケニルコハク酸エステル等のようなアルキルコハク酸誘導体,アルケニルコハク酸誘導体も、防錆剤として好ましく使用できる。さらに、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル、オレオイルザルコシン等のヒドロキシ脂肪酸類、1−メルカプトステアリン酸等のメルカプト脂肪酸類及びその金属塩、ステアリン酸等の高級脂肪酸類、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、高級脂肪酸と高級アルコールとのエステル、チアジアゾール類(2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプトチアジアゾール等)、イミダゾール系化合物(2−デシルジチオベンゾイミダゾール、ベンズイミダゾール等)、ジスルフィド系化合物(2,5−ビス(ドデシルジチオ)ベンズイミダゾール等)、リン酸エステル類(トリスノニルフェニルフォスファイト等)、チオカルボン酸エステル系化合物(ジラウリルチオプロピオネート等)も使用可能である。さらに、亜硝酸塩も使用することができる。
さらに、金属不活性化剤としては、例えばベンゾトリアゾールやトリルトリアゾール等のトリアゾール系化合物があげられる。
さらに、油性剤としては、例えば、オレイン酸,ステアリン酸等の脂肪酸や、オレイルアルコール等の脂肪族アルコールや、ポリオキシエチレンステアリン酸エステル,ポリグリセリルオレイン酸エステル等の脂肪酸エステルを使用することができる。また、リン酸、トリクレジルホスフェート、ラウリル酸エステル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸等のリン酸エステル等を使用することができる。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、モータ用転がり軸受の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、本発明は、他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。まず、グリース組成物の製造例を示す。
〔実施例1〕
反応容器に、所定量のポリα−オレフィン油(PAO)と、シクロヘキシルアミン及びステアリルアミンとを装入し、70〜80℃に加温しつつ混合した。また、別容器に、前記と同量のPAOとジフェニルメタンジイソシアネートとを装入し、70〜80℃に加温しつつ混合した。このPAOとジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物を、前述の反応容器に装入し攪拌すると、アミンとイソシアネートとの反応が進行してジウレア化合物が生成する。
反応熱により温度が上昇するが、そのまま約30分間攪拌を続け、反応を十分に進行させた。得られた反応物を170〜180℃に昇温して30分間保持した後に、室温まで冷却した。そして、酸化防止剤を添加してロールミルで処理することにより、グリース組成物を得た。
なお、基油であるPAOの40℃における動粘度は、50mm2 /sである。また、グリース組成物中の増ちょう剤(ジウレア化合物)の含有量は13質量%である。さらに、ジウレア化合物のシクロヘキシル系基の割合は70モル%である。
〔実施例2〕
実施例1とほぼ同様にして、増ちょう剤(ジウレア化合物)の含有量が9質量%であるグリース組成物を得た。
〔比較例1〕
反応容器に、所定量のエステル油とシクロヘキシルアミンとを装入し、70〜80℃に加温しつつ混合した。また、別容器に、前記と同量のエステル油とジフェニルメタンジイソシアネートとを装入し、70〜80℃に加温しつつ混合した。このエステル油とジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物を、前述の反応容器に装入し攪拌すると、アミンとイソシアネートとの反応が進行してジウレア化合物が生成する。
反応熱により温度が上昇するが、そのまま約30分間攪拌を続け、反応を十分に進行させた。得られた反応物を170〜180℃に昇温して30分間保持した後に、室温まで冷却した。そして、酸化防止剤を添加してロールミルで処理することにより、グリース組成物を得た。
なお、基油であるエステル油の40℃における動粘度は、33mm2 /sである。また、グリース組成物中の増ちょう剤(ジウレア化合物)の含有量は19質量%である。さらに、ジウレア化合物のシクロヘキシル系基の割合は100モル%である。
〔比較例2〕
ステアリン酸と水酸化リチウムとをエステル油中で反応させてリチウム石けんを生成させた後、室温まで冷却した。そして、酸化防止剤を添加してロールミルで処理することにより、グリース組成物を得た。なお、基油であるエステル油の40℃における動粘度は、26mm2 /sである。また、グリース組成物中の増ちょう剤(リチウム石けん)の含有量は12質量%である。
Figure 2008286230
これらの実施例1,2及び比較例1,2のグリース組成物について、種々の試験を行った。
〔高温耐久性試験について〕
非接触ゴムシール付き深溝玉軸受(内径25mm,外径62mm,幅17mm)の空隙部内にグリース組成物3.4gを封入し、アキシアル荷重98N、ラジアル荷重98N、回転速度10000min-1、外輪温度140℃という条件で内輪を回転させた。回転方式は連続回転方式とした。そして、外輪の温度が150℃になった時点で焼付きが生じたと判定し、この焼付き寿命により高温耐久性を評価した。結果を表1に示す。なお、表1に記載の焼付き寿命は、比較例1のグリース組成物を封入した軸受の焼付き寿命を1とした場合の相対値で示してある。
表1から分かるように、実施例1のグリース組成物を封入した軸受は、比較例1,2のグリース組成物を封入した軸受と比べて焼付きが生じにくく長寿命であった。
〔グリース漏れ試験について〕
非接触ゴムシール付き深溝玉軸受(内径12mm,外径32mm,幅10mm)の空隙部内にグリース組成物0.55gを封入し、アキシアル荷重39N、回転速度3000min-1、雰囲気温度80℃という条件で、内輪を30分間回転させた。回転方式は連続回転方式とした。そして、深溝玉軸受からのグリース組成物の漏出の状況を目視により確認した。
1種の軸受につき10個試験ずつを行ったところ、実施例1のグリース組成物を封入した軸受は、10個全てについてグリース組成物の漏出が全く生じなかった。これに対して、比較例1,2のグリース組成物を封入した軸受は、10個中8個はグリース組成物の漏出が全く生じなかったが、残り2個についてはグリース組成物の漏出が若干あった。このように、実施例1のグリース組成物を封入した軸受の方が、グリース組成物の漏出が生じにくかった。なお、表1においては、グリース漏れ試験の結果を、グリース組成物の漏出が全くなかった実施例1については◎印で、グリース組成物の漏出が若干あった比較例1,2については○印で示してある。
〔トルク試験について〕
非接触ゴムシール付き深溝玉軸受(内径12mm,外径32mm,幅10mm)の空隙部内にグリース組成物0.55gを封入し、アキシアル荷重39N、回転速度1800min-1、雰囲気温度30℃という条件で内輪を回転させた。回転方式は連続回転方式とした。そして、回転10分後の動摩擦トルクを測定した。結果を図2のグラフに示す。なお、図2のグラフの動摩擦トルクは、比較例1のグリース組成物を封入した軸受の動摩擦トルクを1とした場合の相対値で示してある。
図2のグラフから分かるように、実施例1のグリース組成物を封入した軸受は、比較例1のグリース組成物を封入した軸受と比べて動摩擦トルクが低かった。
〔フレッチング試験について〕
非接触ゴムシール付き深溝玉軸受(内径8mm,外径22mm,幅7mm)の空隙部内にグリース組成物160mgを封入し、図3に示す揺動フレッチング試験機に装着した。そして、アキシアル荷重39N、揺動角1°、揺動周波数30Hz、雰囲気温度30℃という条件で内輪を回転させた。すなわち、回転方式は、回転角1°の正回転と回転角−1°の逆回転とを交互に繰り返す微小揺動方式である。そして、前記条件で500万シーク揺動させた後に、軸受振動値を測定した。結果を図4のグラフに示す。
図4のグラフから分かるように、実施例1,2のグリース組成物を封入した軸受は、比較例1,2のグリース組成物を封入した軸受と比べて軸受振動値が低かった。特に、実施例2のグリース組成物を封入した軸受は、軸受振動値が低かった。このことから、実施例1,2のグリース組成物を封入した軸受は、フレッチングが生じにくいことが分かる。
本発明に係るモータ用転がり軸受の一実施形態である深溝玉軸受の構成を示す部分縦断面図である。 トルク試験の結果を示すグラフである。 揺動フレッチング試験機の図である。 フレッチング試験の結果を示すグラフである。
符号の説明
1 内輪
1a 軌道面
2 外輪
2a 軌道面
3 転動体

Claims (5)

  1. 内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内輪及び前記外輪の間に形成され前記転動体が配された空隙部内に封入された潤滑剤と、を備え、モータの回転軸を回転支持するモータ用転がり軸受において、以下の4つの条件を満たしていることを特徴とするモータ用転がり軸受。
    条件A)一方向のみに360°以上連続して回転する連続回転方式と、360°以上の正回転,0°超過360°未満の正回転,−360°以下の逆回転,及び0°未満−360°超過の逆回転のうち少なくとも2種の回転をランダムに行う正逆回転方式と、0°超過360°未満の正回転及び0°未満−360°超過の逆回転を交互に繰り返す微小揺動方式との3つの回転方式で使用される転がり軸受である。
    条件B)前記潤滑剤は基油と増ちょう剤とを含有するグリース組成物であり、前記増ちょう剤は下記の化学式(I)で表されるジウレア化合物である。なお、化学式(I)中のR1 ,R2 ,及びR3 は炭化水素基を表す。
    Figure 2008286230
    条件C)前記グリース組成物中の前記ジウレア化合物の含有量は8質量%以上14質量%以下である。
    条件D)前記グリース組成物の混和ちょう度は220以上330以下である。
  2. さらに以下の3つの条件を満たしていることを特徴とする請求項1に記載のモータ用転がり軸受。
    条件E)前記増ちょう剤は、R1 ,R2 ,及びR3 の少なくとも1つが異なる複数種のジウレア化合物の混合物である。
    条件F)R1 及びR3 は、炭素数6〜20のアルキル基、シクロヘキシル基、又は炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基であり、R2 は炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基である。
    条件G)全てのジウレア化合物が有するR1 ,R3 におけるシクロヘキシル基及び炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基の合計数の割合が30モル%以上90モル%以下である。
  3. 前記基油の40℃における動粘度が30mm2 /s以上60mm2 /s以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモータ用転がり軸受。
  4. 前記基油は合成炭化水素油を主成分とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ用転がり軸受。
  5. 前記グリース組成物の混和ちょう度が295以上325以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ用転がり軸受。
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