JP2007100758A - 一方向クラッチ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 一方向クラッチの潤滑を行うグリース組成物として、長さが1μm以下の繊維状物と長さが5μm以上の繊維状物とを含有する増ちょう剤を用いたグリース組成物を用いる。
【選択図】 図1
Description
この一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置は、図4に示すように、スリーブ(回転部材)11とプーリ(回転部材)12とが同心に配置され、このスリーブ11の外周面とプーリ12の内周面との間には、転がり軸受20及び一方向クラッチ30が軸方向に並列に配置されている。
転がり軸受20は、スリーブ11の軸方向両端部にそれぞれ嵌合している。各転がり軸受2は、内輪21、外輪22、玉(転動体)23、保持器24、及び、一対のシール部材25を備えた深溝玉軸受である。そして、内輪21と外輪22の間の転がり面は、グリース組成物Gで潤滑されている。
クラッチ用外輪32は、クラッチ用内輪31に対向するプーリ12の内周面に嵌合している。このクラッチ用外輪32の両端部には、図4(a)に示すように、フランジ状の一対の鍔32bが形成されている。
クラッチ用内輪31の凹部31bは、図4(b)に示すように、対向するクラッチ用外輪32の内周面32aとの間隙が円周方向に向かうにつれて徐々に広く(若しくは狭く)なるように形成されている。この間隙は、最も狭い部分ではローラ33の直径よりも小さく、最も広い部分ではローラ33の直径よりも大きい。このため、ローラ33は、最も狭い間隙では挟み込まれて転がらなくなり、最も広い間隙ではすべり接触或いは回転しながらすべり接触する。
特許文献2には、増ちょう剤として、長さ3μm以上の繊維状物を含むウレア化合物を用いたグリース組成物が提案されている。
同様に、特許文献2に記載のグリース組成物で潤滑した場合には、グリース全体が塊で動き易く(チャネリングし易く)、転がり面からグリース組成物が漏洩して、転がり面に焼付きが生じ易いという問題や、回転時に転がり面に繊維状物が入り込み、音響特性及びトルク特性が劣化し易いという問題がある。
そこで、本発明は、上述した従来の問題を解決するためになされたものであり、上述した過酷な環境下で使用された場合であっても、転がり面に焼付きが生じ難く、優れた音響特性及びトルク特性を有する一方向クラッチを提供することを課題としている。
また、本発明の一方向クラッチを構成する回転部材としては、例えば、上述した図4に示すプーリや歯車が挙げられる。
本発明に係る一方向クラッチでは、長さ1μm以下の繊維状物と長さ5μm以上の繊維状物とを含有する増ちょう剤を用いたグリース組成物で潤滑する。このグリース組成物は、長さの異なる二種類の繊維状物が互いに絡み合った繊維構造を有し、長さ1μm以下の繊維状物が長さ5μm以上の繊維状物で補強されており、この繊維構造の網の目の間に基油が含有されている。このため、長さ1μm以下の繊維状物を含む増ちょう剤を用いたグリース組成物(上述した特許文献1参照)や、長さ3μm以上の繊維状物を含む増ちょう剤を用いたグリース組成物(上述した特許文献2参照)で潤滑する場合と比べて、グリース組成物を構成する増ちょう剤の繊維構造の強度が向上する。よって、高荷重及び高温下等の過酷な環境下で使用された場合であっても、転がり面にグリース組成物を安定して保持することができるため、転がり面に焼付きが生じ難く、優れた音響特性及びトルク特性を有する一方向クラッチを提供できる。
このようなウレア化合物としては、特に限定されないが、下記式(1)で示されるものであることが好ましい。
炭素数6〜20のアルキル基の具体例としては、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基からなる直鎖構造又は分岐構造を有するものが挙げられる。
さらに、炭素数6〜15の2価の芳香族炭化水素基の具体例としては、下記式(2)〜(4)に示すものが挙げられる。
また、焼付き性・耐久性の悪化を防止するために、長さ1μm以下の繊維状物は、その下限値を0.1μm以下とし、その太さを0.2μm以下とすることが好ましい。
なお、増ちょう剤の長さや太さは、グリース組成物をヘキサン等の溶剤で希釈し、コロジオン膜を貼った銅製メッシュに付着させたものを、透過型電子顕微鏡(6000〜20000倍程度の倍率)で観察することにより測定できる。
鉱油としては、例えば、パラフィン系鉱油やナフテン系鉱油を単独又は組み合わせたものが挙げられる。
合成潤滑油としては、例えば、ポリーα−オレフィン油等の合成炭化水素油や、ジアルキルジフェニルエーテル油,アルキルトリフェニルエーテル油,アルキルテトラフェニルエーテル油等のエーテル油や、ジエステル油及びネオペンチル型ポリオールエステル油を単独又は組み合わせたコンプレックスエステル油,芳香族エステル油等のエステル油や、フッ素油を単独又は組み合わせたものが挙げられる。
また、基油の40℃における動粘度は、20〜100mm2 /sであることが好ましく、30〜50mm2 /sであることがより好ましい。ここで、基油の40℃における動粘度が20mm2 /s未満であると、形成される潤滑油膜が薄くなり、十分な耐久性が得られなくなる。一方、基油の40℃における動粘度が100mm2 /sを超えると、低温での係合性が問題となる。また、オルタネータ等の自動車用補機で用いられる一方向クラッチは、エンジンの始動時等に−40℃付近で使用される場合もあるため、基油の流動点は−40℃以下とすることが好ましい。
また、グリース組成物の混和ちょう度は、250以上340以下とすることが好ましい。ここで、混和ちょう度が250未満となると、主にクラッチ部の摺動面に必要な潤滑性能が得られなくなるとともに、クラッチ部のクラッチロック/オーバランに使用されるバネの作動性が劣化する。一方、グリース組成物の混和ちょう度が340を超えると、ベルトの振動等でグリース組成物が漏洩し易くなる。
これらの添加剤の配合割合は、本発明の効果を損なわない程度であれば特に限定されないが、グリース組成物全体に対して0.1〜10質量%とするのが一般的である。ここで、添加剤の配合割合が0.1質量%未満であると、添加剤による効果を十分に得ることが困難になり、一方、添加剤の配合割合が10質量%を超えると、添加剤による効果が飽和するとともに、グリース組成物に対する基油の配合率が相対的に少なくなるため、潤滑性が低下するおそれがある。
防錆剤としては、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属等の有機スルフォン酸塩や、アルキル及びアルケニルこはく酸エステル等のアルキルエステルや、アルケニルこはく酸誘導体及びソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル等が挙げられる。
このようなグリース組成物の製造方法の具体例としては、基油と、増ちょう剤と、添加剤等とを混合させた後、加熱攪拌して完全に溶解させ、さらに急冷する方法が挙げられる。この製造方法では、基油や増ちょう剤や添加剤等の種類、配合率、混合時期、加熱温度、及び冷却温度等の条件を変えることで、繊維状物の長さや含有率を調節することができる。
本実施形態では、表1に示す基油、増ちょう剤、及び防錆剤(添加剤)を、表1に示す各方法a〜dで調製して、各種グリース組成物を作製した。
なお、表1に示す基油「TE」とは、トリメリット酸エステルを指し、同様に、「PE」はピロメリット酸エステルを、「PET」はペンタエリスリトールエステル(40℃における動粘度:30mm2 /s)を、「ADE」はジアルキルジフェニルエーテル(40℃における動粘度:100mm2 /s)を、「PAO」はポリ−α−オレフィン(40℃における動粘度:47mm2 /s)をそれぞれ指す。
このようにして得られたグリース組成物のうち一部を、ヘキサンで希釈した後コロジオン膜を張った銅製メッシュに付着させて、透過型電子顕微鏡(1000倍)で観察することにより、増ちょう剤を構成する繊維状物の長さを測定した。この結果は、繊維状物の長さ別(0.1μm以下、0.2μm以上0.5μm以下、0.6μm以上1.4μm以下、1.5μm以上4.4μm以下、4.5μm以上9.4μm以下、9.5μm以上14.4μm以下、14.5μm以上20.4μm以下)に存在の有無を確認し、表1に併せて示した。
次に、このようにして得られたNo.1〜No.9のグリース組成物を、上述した図4に示す一方向クラッチ30の潤滑に用いるグリース組成物Gとして、クラッチ用内輪31とクラッチ用外輪32との間に形成される内部空間内に、この内部空間全体の35体積%となるように充填した。
耐焼付き試験は、1000時間を上限として、以下に示す条件でクラッチ用内輪31を回転させることで行い、クラッチ用外輪32が170℃に達するまでの回転時間を焼付き寿命とした。また、この耐焼付き試験では、各実施例毎に4回づつ行い、その平均値を算出した。そして、この結果を、表1に併せて示した。
〔耐焼付き試験条件〕
軸受温度:160℃
ラジアル荷重:98N
アキシャル荷重:98N
回転速度:10000min-1
また、漏洩試験は、上述と同様の条件でクラッチ用内輪31を24時間連続して回転させることで行い、回転前後の一方向クラッチ30の質量差により、グリース組成物の漏洩率を算出した。そして、グリース組成物の漏洩率が10%以下であったものを「合格 (○)」とし、漏洩率が10%を超えていたものを「不合格 (×)」として、表1に併せて示した。
以上の結果より、長さが1μm以下の繊維状物と長さが5μm以上の繊維状物とを含有するNo.1〜No.6のグリース組成物で一方向クラッチ30を潤滑することにより、グリース組成物の漏洩を抑制できるとともに、一方向クラッチ30に優れた耐焼付き性を付与できることが確認できた。
11a 外周面
11A 大径部
11B 突部
12 プーリ
12a 内周面
20 転がり軸受
21 内輪
22 外輪
24 保持器
25 シール
30 一方向クラッチ
31 クラッチ用内輪
31a 外周面
31b 凹部
32 クラッチ用外輪
32a 内周面
32b 鍔
33 ローラ
34 クラッチ用保持器
G グリース組成物
Claims (3)
- 同心に配置された一対の回転部材の一方を他方に対して所定方向に相対回転させる回転力のみを伝達する一方向クラッチにおいて、
長さ1μm以下の繊維状物と長さ5μm以上の繊維状物とを含有する増ちょう剤を用いたグリース組成物で潤滑することを特徴とする一方向クラッチ。 - 前記増ちょう剤は、ウレア化合物であることを特徴とする請求項1に記載の一方向クラッチ。
- 前記ウレア化合物は、下記式(1)で示されるものであることを特徴とする請求項2に記載の一方向クラッチ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005289229A JP2007100758A (ja) | 2005-09-30 | 2005-09-30 | 一方向クラッチ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005289229A JP2007100758A (ja) | 2005-09-30 | 2005-09-30 | 一方向クラッチ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2007100758A true JP2007100758A (ja) | 2007-04-19 |
Family
ID=38027916
Family Applications (1)
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JP2005289229A Pending JP2007100758A (ja) | 2005-09-30 | 2005-09-30 | 一方向クラッチ |
Country Status (1)
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JP2008286230A (ja) * | 2007-05-15 | 2008-11-27 | Nsk Ltd | モータ用転がり軸受 |
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2005
- 2005-09-30 JP JP2005289229A patent/JP2007100758A/ja active Pending
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