JP2007112920A - グリース組成物、並びにパワステポンプ用転がり軸受及び過給機用転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】適用箇所に耐熱性とともに低温から高温まで優れた潤滑性能を付与し得るグリース組成物、並びに低温から高温まで安定に作動するパワステポンプ用転がり軸受及び過給機用転がり軸受を提供する。
【解決手段】40℃における動粘度が20〜100mm2/sで、かつ、流動点が−40℃以下であるエステル油を基油とし、ジウレア化合物をグリース全量の10〜30質量%含有し、更にカルボン酸、カルボン酸塩、エステル系化合物及びアミン系化合物から選択される2種以上を合計でグリース全量の1〜10質量%、かつ、それぞれ単独で0.5〜9.5質量%、及び有機モリブデン化合物をグリース全量の1〜5質量%含有するグリース組成物、並びに前記グリース組成物を封入してなるパワステポンプ用、過給機用の各転がり軸受。
【選択図】図1
【解決手段】40℃における動粘度が20〜100mm2/sで、かつ、流動点が−40℃以下であるエステル油を基油とし、ジウレア化合物をグリース全量の10〜30質量%含有し、更にカルボン酸、カルボン酸塩、エステル系化合物及びアミン系化合物から選択される2種以上を合計でグリース全量の1〜10質量%、かつ、それぞれ単独で0.5〜9.5質量%、及び有機モリブデン化合物をグリース全量の1〜5質量%含有するグリース組成物、並びに前記グリース組成物を封入してなるパワステポンプ用、過給機用の各転がり軸受。
【選択図】図1
Description
本発明は、パワステポンプまたは過給機に組み込まれる転がり軸受、並びに前記転がり軸受に好適なグリース組成物に関する。
自動車等には、操舵操作を軽快にするために、操舵機構に設けたアクチュエータに作動油を給排して操舵助勢力を得るパワーステアリング装置が用いられている。例えば、制御弁とパワーシリンダとで構成されるアクチュエータと、電動モータで駆動される油圧ポンプとの間の油圧通路にアキュームレータを設け、油圧通路の圧力を圧力センサで検知し、この圧力センサの検出信号により電動モータの駆動・停止を制御するようにしたパワーステアリング装置が知られている(特許文献1参照)。
また、エンジン出力の増加を図るために、過給機(ターボチャージャや過給機等)が用いられている。過給機は、エンジンの排気ガスで駆動されるタービンによってコンプレッサを駆動し、このコンプレッサで圧縮された空気によって過給を行なうものである。過給機の主軸の回転を支持するために転がり軸受が使用されており、例えば、高温環境下での高速回転に対応すべく、軸方向に離間して配置された2つの浮動ブッシュを備えるものが知られている(特許文献2参照)。また、最近では、電動モータを用いた過給機が開発されており、例えば、エンジンの運転状況に応じて、電動機の駆動により過給動作を付勢する電動アシストターボチャージャ(特許文献3参照)や、タービンがなく電動機のみでコンプレッサを駆動する電動過給機(特許文献4参照)等が知られている。
上記のパワーステアリング装置に組み込まれる電動モータや、過給機の油圧ポンプに組み込まれるコンプレッサや電動モータでは、主軸の支持に転がり軸受が使用されている。これら電動モータやコンプレッサは高速で回転されるため、組み込まれる転がり軸受には焼付きや摩耗等に対する耐久性能が要求されている。また、自動車は多様な環境で使用されるため、組み込まれる転がり軸受には低温から高温まで広い温度域で安定に作動することや、防錆性能も要求されている。
そして、上記の要求は今後とも高まることは必至であり、本発明は、高温耐久性に優れ、低温から高温まで広い温度域で安定して作動する、長寿命で、信頼性の高いパワステポンプ用転がり軸受及び過給機用転がり軸受を提供することを目的とする。
また、本発明は、適用箇所に、高温耐久性や低温から高温まで広い温度域で良好な潤滑性能を付与でき、特にパワステポンプ用転がり軸受や過給機用転がり軸受に好適なグリース素組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下のグリース組成物、並びにパワステポンプ用転がり軸受、過給機用転がり軸受を提供する。
(1)40℃における動粘度が20〜100mm2/sで、かつ、流動点が−40℃以下であるエステル油を基油とし、ジウレア化合物をグリース全量の10〜30質量%含有し、更にカルボン酸、カルボン酸塩、エステル系化合物及びアミン系化合物から選択される2種以上を合計でグリース全量の1〜10質量%、かつ、それぞれ単独で0.5〜9.5質量%、及び有機モリブデン化合物をグリース全量の1〜5質量%含有することを特徴とするグリース組成物。
(2)前記ジウレア化合物が下記一般式(I)で表されるジウレア化合物であることを特徴とする上記(1)記載の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置。
R1−NHCONH−R3−NHCONH−R2 ・・・(I)
(式中、R1、R2は炭素数6〜18の炭化水素基であり、同一でも異なっていてもよく、R3は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基である。)
(3)パワーステアリング装置の油圧を発生させるためのポンプに組み込まれる転がり軸受であって、内輪と外輪との間に複数の転動体を転動自在に配設してなり、前記内輪及び前記外輪の間に形成され前記転動体が配設された空間内に上記(1)または(2)記載のグリース組成物が封入されていることを特徴とするパワステポンプ用転がり軸受。
(4)エンジンのクランクシャフトから駆動力を得て機械的に作動する機械駆動式の過給機に組み込まれる転がり軸受であって、内輪と外輪との間に複数の転動体を転動自在に配設してなり、前記内輪及び前記外輪の間に形成され前記転動体が配設された空間内に上記(1)または(2)記載のグリース組成物が封入されていることを特徴とする過給機用転がり軸受。
(1)40℃における動粘度が20〜100mm2/sで、かつ、流動点が−40℃以下であるエステル油を基油とし、ジウレア化合物をグリース全量の10〜30質量%含有し、更にカルボン酸、カルボン酸塩、エステル系化合物及びアミン系化合物から選択される2種以上を合計でグリース全量の1〜10質量%、かつ、それぞれ単独で0.5〜9.5質量%、及び有機モリブデン化合物をグリース全量の1〜5質量%含有することを特徴とするグリース組成物。
(2)前記ジウレア化合物が下記一般式(I)で表されるジウレア化合物であることを特徴とする上記(1)記載の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置。
R1−NHCONH−R3−NHCONH−R2 ・・・(I)
(式中、R1、R2は炭素数6〜18の炭化水素基であり、同一でも異なっていてもよく、R3は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基である。)
(3)パワーステアリング装置の油圧を発生させるためのポンプに組み込まれる転がり軸受であって、内輪と外輪との間に複数の転動体を転動自在に配設してなり、前記内輪及び前記外輪の間に形成され前記転動体が配設された空間内に上記(1)または(2)記載のグリース組成物が封入されていることを特徴とするパワステポンプ用転がり軸受。
(4)エンジンのクランクシャフトから駆動力を得て機械的に作動する機械駆動式の過給機に組み込まれる転がり軸受であって、内輪と外輪との間に複数の転動体を転動自在に配設してなり、前記内輪及び前記外輪の間に形成され前記転動体が配設された空間内に上記(1)または(2)記載のグリース組成物が封入されていることを特徴とする過給機用転がり軸受。
本発明のグリース組成物は、特定の動粘度及び流動点のエステル油を基油とし、ジウレア化合物を増ちょう剤とすることにより低温から高温までの広い温度域での良好な潤滑性と優れた耐熱性を示し、更に、特定の防錆添加剤と極圧剤とを併用することにより優れた防錆性能及び耐摩耗性を兼備したものとなる。
また、本発明のパワステポンプ用転がり軸受及び過給機用転がり軸受は、このようなグリース組成物を封入したことにより、高温耐久性や防錆性能に優れ、低温から高温まで広い温度域で安定に作動し、長寿命で信頼性の高いものとなる。
以下、本発明に関して詳細に説明する。
本発明のグリース組成物の基油には、40℃における動粘度が20〜100mm2/sで、かつ、流動点が−40℃以下、好ましくは−70℃〜−40℃であるエステル油を用いる。エステル油は、他の潤滑油と比べて極性が大きく、滑り摩擦時の耐衝撃性に優れるという特性を有する。但し、基油動粘度が20mm2/s(40℃)未満ではグリースが耐熱性に劣るようになり、100mm2/s(40℃)を越えると滑り時の発熱が大きくなる。好ましい基油動粘度は25〜60mm2/s(40℃)である。また、流動点については、自動車は−40℃付近での使用(エンジン始動)にも耐える必要から規定されたものである。
エステル油の種類には制限がないが、ジエステル油、ポリオールエステル油、芳香族エステル油等を好適に使用できる。具体的には、ジエステル油として、ジオクチルアジペート(DOA)、ジイソデシルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)、ジオクチルアゼレート(DOZ)、ジブチルセバケート(DBS)、ジオクチルセバケート(DOS)等を挙げることができる。また、ポリオールエステル油として、炭素数4〜18のアルキル鎖が導入されたペンタエリスリトールエステル油、同ジペンタエリスリトールエステル油、同トリペンタエリスリトールエステル油、ネオペンチル型ジオールエステル油、トリメチロールプロパンエステル油等を挙げることができる。また、芳香族エステル油としては、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート等を挙げることができる。これらエステル油は、それぞれ単独でも、適宜組み合わせて使用してもよい。
増ちょう剤には、耐熱性に優れるジウレア化合物を用いる。特に下記一般式(I)で表されるジウレア化合物が好ましい。
R1−NHCONH−R3−NHCONH−R2 ・・・(I)
尚、式中、R1、R2は炭素数6〜18の炭化水素基であり、同一でも異なっていてもよく、R3は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基である。中でも、R1,R2がシクロヘキシル基、あるいはシクロヘキシル基と脂肪族基との混合であるジウレア化合物が好適である。これに対しR1,R2に芳香族基を導入したジウレア化合物は、加熱により硬化する傾向があり、高温での滑り部の潤滑には適さないことがある。
R1−NHCONH−R3−NHCONH−R2 ・・・(I)
尚、式中、R1、R2は炭素数6〜18の炭化水素基であり、同一でも異なっていてもよく、R3は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基である。中でも、R1,R2がシクロヘキシル基、あるいはシクロヘキシル基と脂肪族基との混合であるジウレア化合物が好適である。これに対しR1,R2に芳香族基を導入したジウレア化合物は、加熱により硬化する傾向があり、高温での滑り部の潤滑には適さないことがある。
増ちょう剤の配合量は、上記基油とともにグリースを形成し得る限り制限はないが、グリース全量の10〜30質量%が適当であり、好ましくは15〜25質量%とする。
グリースには、第1の必須添加剤として、カルボン酸、カルボン酸塩、エステル系化合物及びアミン系化合物から選択される2種以上を合計でグリース全量の1〜10質量%、かつ、それぞれ単独で0.5〜9.5質量%となるように添加される。第1の必須添加剤は防錆剤として機能し、これらを組み合わせて使用することにより特に優れた防錆性能が付与される。従って、第1の必須添加剤の添加量が、単独及び合計で上記の値を満足しないと所期の目的が達せられない。また、第1の必須添加剤は耐剥離性も兼備する。
それぞれ具体例を挙げると、カルボン酸及びカルボン酸塩の具体例として、モノカルボン酸ではステアリン酸等、ジカルボン酸ではアルキルまたはアルケニルコハク酸及びその誘導体、ナフテン酸、アビエチン酸、ラノリン脂肪酸、アルケニルコハク酸のカルシウム、バリウム、亜鉛等の金属塩が挙げられ、特にアルケニルコハク酸及びナフテン酸亜鉛が好ましい。エステル系化合物の具体例として、多価アルコールのカルボン酸部分エステルではソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタエリスリットモノオレエート、コハク酸ハーフエステル等が挙げられ、特にソルビタンモノオレエート及びコハク酸ハーフエステルが好ましい。アミン系化合物として、アミン誘導体ではアルコキシフェニルアミン、二塩基性カルボン酸の部分アミド等が挙げられる。
グリースには、第2の必須添加剤として有機モリブデン化合物が添加される。有機モリブデン化合物としては、モリブデンジチオフォスフェート(MoDTP)、モリブデンジチオカルバメート(MoDTC)、モリブデンのアミン錯体等が好適であり、その添加量はグリース全量の1〜5質量%とすることが好ましい。これら有機モリブデン化合物は極圧剤として機能し、第1の必須添加剤が有する耐剥離性能と相俟って、滑り時の摩擦摩耗をより低減する。従って、添加量が1質量%未満ではこのような効果が十分に発現しない。また、5質量%を越えて添加しても効果の増分が見られず、相対的に他の成分が少なくなり、他の成分による効果が得られなくなる。
また、グリースには、必要に応じて、各種の添加剤を添加してもよい。中でも酸化防止剤を添加することが好ましく、高温使用時の基油の酸化劣化が抑えられて長寿命となる。酸化防止剤としては、ジフェニルアミン誘導体、フェノチアジン誘導体、ナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤が好適であり、その添加量はグリース全量の1〜10質量%が好ましい。添加量が1質量%未満ではこのような効果が十分に発現せず、10質量%を越えて添加しても効果の増分が見られず、相対的に他の成分が少なくなり、他の成分による効果が得られなくなる。
グリースは上記の各成分を含有するが、その製造方法には制限がなく、従来のウレア系グリースと同様にして調製することができるが、一般的には基油中でジウレア化合物の原料(アミン類とジイソシアネート)を反応させて得られる。尚、そのときの加熱温度や攪拌・混合時間等の製造条件は、使用する基油やジウレア化合物の原料、添加剤等により適宜設定される。また、添加剤を添加した後は、十分に攪拌して添加剤を均一に分散させる必要があるが、その際に加熱することも有効である。
尚、グリースの混和ちょう度は250〜340が好ましい。混和ちょう度が250未満では、グリースが硬すぎて主に潤滑部位にグリースが行きわたらなくなるおそれがあり、340を越えると、グリースが軟らかすぎて振動等により流出しやすくなる。
本発明はまた、上記のグリース組成物を封入してなるパワステポンプ用転がり軸受及び過給機用転がり軸受を提供する。
パワステポンプ用転がり軸受及び過給機用転がり軸受の種類やその構成には制限が無く、従来からパワステポンプや課給機に組み込まれている転がり軸受が対象となる。例えば、図1は転がり軸受として玉軸受の一例を模式的に示す断面図であるが、図示される玉軸受1は、内輪10と外輪11との間に、保持器12を介して複数の玉13が円周方向に略等間隔に転動自在に配設されており、内輪10及び外輪11の間に形成され玉13が配設された空間内に上記のグリース組成物Gを充填し、シール14で密封したものである。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
(実施例1〜8、比較例1〜6)
表1及び表2に示す配合にて試験グリースを調製した。調製に際し、先ず、第1の容器に半量の基油と増ちょう剤のアミン成分とを入れ、加熱しながら攪拌し、第2の容器に基油の半量と4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートとを入れ、加熱しながら攪拌し、第1の容器に第2の容器の内容物を加えて両容器の内容物同士を反応させた。次いで、反応生成物に添加剤を添加し、3段ロールミルで仕上げて試験グリースとした。
表1及び表2に示す配合にて試験グリースを調製した。調製に際し、先ず、第1の容器に半量の基油と増ちょう剤のアミン成分とを入れ、加熱しながら攪拌し、第2の容器に基油の半量と4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートとを入れ、加熱しながら攪拌し、第1の容器に第2の容器の内容物を加えて両容器の内容物同士を反応させた。次いで、反応生成物に添加剤を添加し、3段ロールミルで仕上げて試験グリースとした。
そして、試験グリースを用いて下記に示す(1)低温トルク試験、(2)軸受耐久試験、(3)高速往復動試験、(4)軸受剥離試験及び(5)軸受防錆試験を行った。結果を表1及び表2に併記する。
(1)低温トルク試験
JIS K 22205.14に準拠して行い、−30℃における起動トルクを測定した。
(2)軸受耐久試験
試験軸受として日本精工(株)製呼び番号「6204VV」を用い、1gの試験グリースを封入し、図2に示すようなASTM D1741の軸受寿命試験機に類似の試験機に装着した。そして、予圧荷重20kgf、雰囲気温度160℃、6000min−1で500時間をめどに連続回転させ、500時間回転後も異常なく回転している場合を合格とした。
(3)高速往復動試験
SUJ2(HRC60〜64)製の平板に約0.05mmの膜厚で試験グリースを塗布し、140℃で2時間加熱した後室温に戻し、荷重6kgfにて直径10mmのSUJ2製のボールを試験グリースの塗膜に押し付け、周波数10Hz、振幅2mmで往復運動を30分間行なった。終了後、ボール表面の摩耗痕の径を測定した。
(4)耐剥離試験
ゴムシール付き単列深溝玉軸受(内径17mm、外径47mm、幅14mm)に、試験グリースを2.5g封入して試験軸受を作製した。そして、この試験軸受を自動車のエンジンのオルタネータに組み込み、室温雰囲気下、プーリ荷重1560N、エンジン回転数1000〜6000min−1(軸受回転数2400〜13300min−1)にて繰り返し連続回転させ、規定の振動値50Gを上回った時点で試験を中止し、それまでの時間を計測した。尚、500経過時に前記振動値を越えない場合は、その時点で試験を中止した。また、試験後に、軸受鋼材の剥離の有無を肉眼で確認した。
(5)軸受防錆試験
ゴムシール付き単列深溝玉軸受(内径17mm、外径47mm、幅14mm)に、軸受空間容積の50%を占めるように試験グリースを封入して試験軸受を作製した。封入後、回転速度1800min−1で30秒間慣らし運転(回転)し、その後に軸受内部に0.5質量%の塩水を0.5ml注入し、再び回転速度1800min−1で30秒間慣らし運転した。次いで、80℃、100%RHに維持された恒湿恒温槽に試験軸受を入れて48時間放置した後、試験軸受を分解して軌道面に発生している錆の状況を肉眼で観察した。彪化基準は以下のとおりであり、#7〜#5を防錆性良好とし、#4〜#1を防錆性不良とした。
#7:錆の発生なし
#6:シミ状の微小な錆有り
#5:直径0.3mm以下の点状の錆有り
#4:直径0.3mm超で1.0mm以下の錆有り
#3:直径1.0mm超で5.0mm以下の錆有り
#2:直径5.0mm超で10.0mm以下の錆有り
#1:軌道面のほぼ全面に錆が発生
(1)低温トルク試験
JIS K 22205.14に準拠して行い、−30℃における起動トルクを測定した。
(2)軸受耐久試験
試験軸受として日本精工(株)製呼び番号「6204VV」を用い、1gの試験グリースを封入し、図2に示すようなASTM D1741の軸受寿命試験機に類似の試験機に装着した。そして、予圧荷重20kgf、雰囲気温度160℃、6000min−1で500時間をめどに連続回転させ、500時間回転後も異常なく回転している場合を合格とした。
(3)高速往復動試験
SUJ2(HRC60〜64)製の平板に約0.05mmの膜厚で試験グリースを塗布し、140℃で2時間加熱した後室温に戻し、荷重6kgfにて直径10mmのSUJ2製のボールを試験グリースの塗膜に押し付け、周波数10Hz、振幅2mmで往復運動を30分間行なった。終了後、ボール表面の摩耗痕の径を測定した。
(4)耐剥離試験
ゴムシール付き単列深溝玉軸受(内径17mm、外径47mm、幅14mm)に、試験グリースを2.5g封入して試験軸受を作製した。そして、この試験軸受を自動車のエンジンのオルタネータに組み込み、室温雰囲気下、プーリ荷重1560N、エンジン回転数1000〜6000min−1(軸受回転数2400〜13300min−1)にて繰り返し連続回転させ、規定の振動値50Gを上回った時点で試験を中止し、それまでの時間を計測した。尚、500経過時に前記振動値を越えない場合は、その時点で試験を中止した。また、試験後に、軸受鋼材の剥離の有無を肉眼で確認した。
(5)軸受防錆試験
ゴムシール付き単列深溝玉軸受(内径17mm、外径47mm、幅14mm)に、軸受空間容積の50%を占めるように試験グリースを封入して試験軸受を作製した。封入後、回転速度1800min−1で30秒間慣らし運転(回転)し、その後に軸受内部に0.5質量%の塩水を0.5ml注入し、再び回転速度1800min−1で30秒間慣らし運転した。次いで、80℃、100%RHに維持された恒湿恒温槽に試験軸受を入れて48時間放置した後、試験軸受を分解して軌道面に発生している錆の状況を肉眼で観察した。彪化基準は以下のとおりであり、#7〜#5を防錆性良好とし、#4〜#1を防錆性不良とした。
#7:錆の発生なし
#6:シミ状の微小な錆有り
#5:直径0.3mm以下の点状の錆有り
#4:直径0.3mm超で1.0mm以下の錆有り
#3:直径1.0mm超で5.0mm以下の錆有り
#2:直径5.0mm超で10.0mm以下の錆有り
#1:軌道面のほぼ全面に錆が発生
表中、シクロヘキシルアミン、フェノチアジン及びジオクチルジフェニルアミンは何れも東京応化(株)製の試験グレード品であり、ナフテン酸亜鉛は昭和化学(株)製の試薬であり、ナフテン酸カルシウムは昭和化学(株)製の試薬であり、バリウムスルホネートはKING社製「ナッスルBSN」であり、MoDTPは旭電化(株)製「サクラルーブ300」であり、MoDTCは旭電化(株)製「サクラルーブ165」である。
表1及び表2に示されるように、本発明に従う各実施例の試験グリースは、低温トルクも小さく、焼付きや剥離に対する耐久性に優れ、更に防錆性能も高く、摩耗も少なくなっており、パワステポンプ用転がり軸受や過給機用転がり軸受に好適であることがわかる。
これに対し、バリウムスルホネートや亜鉛スルホネートを配合した比較例1、比較例2の試験グリースでは、共に剥離耐久性及び防錆性に劣っている。また、基油にエーテル油を用いた比較例3の試験グリースでは低温トルクが著しく大きくなっている。また、基油にポリα−オレフィン油(PAO)を用いた比較例4の試験グリースでは、耐久性に劣っている。また、防錆剤を含まない比較例5の試験グリースでは防錆性能が大きく劣り、強圧剤を含まない比較例6の試験グリースでは摩耗が大きくなっている。
1 玉軸受
10 内輪
11 外輪
13 玉
14 シール
G グリース組成物
10 内輪
11 外輪
13 玉
14 シール
G グリース組成物
Claims (4)
- 40℃における動粘度が20〜100mm2/sで、かつ、流動点が−40℃以下であるエステル油を基油とし、ジウレア化合物をグリース全量の10〜30質量%含有し、更にカルボン酸、カルボン酸塩、エステル系化合物及びアミン系化合物から選択される2種以上を合計でグリース全量の1〜10質量%、かつ、それぞれ単独で0.5〜9.5質量%、及び有機モリブデン化合物をグリース全量の1〜5質量%含有することを特徴とするグリース組成物。
- 前記ジウレア化合物が下記一般式(I)で表されるジウレア化合物であることを特徴とする請求項1記載の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置。
R1−NHCONH−R3−NHCONH−R2 ・・・(I)
(式中、R1、R2は炭素数6〜18の炭化水素基であり、同一でも異なっていてもよく、R3は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基である。) - パワーステアリング装置の油圧を発生させるためのポンプに組み込まれる転がり軸受であって、内輪と外輪との間に複数の転動体を転動自在に配設してなり、前記内輪及び前記外輪の間に形成され前記転動体が配設された空間内に請求項1または2記載のグリース組成物が封入されていることを特徴とするパワステポンプ用転がり軸受。
- エンジンのクランクシャフトから駆動力を得て機械的に作動する機械駆動式の過給機に組み込まれる転がり軸受であって、内輪と外輪との間に複数の転動体を転動自在に配設してなり、前記内輪及び前記外輪の間に形成され前記転動体が配設された空間内に請求項1または2記載のグリース組成物が封入されていることを特徴とする過給機転がり軸受。
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