JPH1122740A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JPH1122740A
JPH1122740A JP19526397A JP19526397A JPH1122740A JP H1122740 A JPH1122740 A JP H1122740A JP 19526397 A JP19526397 A JP 19526397A JP 19526397 A JP19526397 A JP 19526397A JP H1122740 A JPH1122740 A JP H1122740A
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oil
grease
rust
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lubricating oil
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JP19526397A
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Inventor
Hideki Koizumi
秀樹 小泉
Atsushi Yokouchi
敦 横内
Kenichi Iso
賢一 磯
Michiharu Naka
道治 中
Setsu Kawaguchi
摂 河口
Yasuyuki Muto
泰之 武藤
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温起動時において異常音が発生することが
なく、またグリースの漏出や高温耐久性等においても優
れた特性を有する転がり軸受を提供する。 【解決手段】 40℃における動粘度が50mm2 /s
以下であるエステル油、合成炭化水素油、エーテル油の
いずれか一つ又はこれらの混合物を主成分とし且つ防錆
剤を含んだ防錆潤滑油が、潤滑剤が封入される前に軸受
内部に塗布されている。かかる防錆潤滑油は低温流動性
に優れており、低温起動時における保持器の異常音発生
を抑制することができる。しかも、グリースの漏れ率や
グリース寿命も良好なものとすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はグリース等の潤滑剤
が封入された転がり軸受に関し、特に、オルタネータ、
エアーコンディショナ用電磁クラッチ、アイドラープー
リ、電動ファンモータ等の自動車用電装部品やエンジン
補機類に使用される転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】近年における機械技術の革新により、各
種機械部品に使用される転がり軸受の使用条件は益々厳
しいものとなっている。特に、オルタネータ、電磁クラ
ッチ、アイドラープーリ等の自動車用電装部品に使用さ
れる転がり軸受は、発熱体であるエンジンの高出力・高
性能化に伴い、高温、高速に耐えるものが要求されてき
ており、さらにベルトの張力増加に伴い高荷重に耐え得
るものが要求されてきている。
【0003】このような観点から、最近では熱安定性、
耐高速性、耐荷重性に優れたグリースが開発され、使用
されはじめてきている。そして、基油として熱安定性の
優れたジフェニルエーテル油を使用し、増稠剤としては
耐熱性の優れたジウレア化合物を使用する一方で、高荷
重を考慮し、油膜厚さを確保するために40℃における
動粘度が100mm2 /s前後のグリースが今日では主
流となってきている。
【0004】しかし、前記基油の動粘度を上述の如く1
00mm2 /s前後と高く設定したため、転がり軸受に
おいては低温起動時における保持器と転動体との間の流
動性が不足して保持器や外輪に振動音が発生する虞があ
る。しかも、斯かる振動音は取り付け各部位との共振等
により耳障りな異常音となって増幅するため、特に寒冷
地等においては前記異常音の対策が重要となってきてい
る。
【0005】そこで、かかる異常音の発生を抑制する方
策として、基油としてアルキルジフェニルエーテル油と
ポリαオレフィン油を所定割合で配合した混合油を使用
し、増稠剤としてジウレア化合物を使用したグリースが
提案されており(特開平5−140576号公報;以下
「第1の従来技術」という)、また、軸受内部の摩擦面
にポリαオレフィン油等の潤滑油を1.0mg/cm2
以上塗着した転がり軸受も提案されている(特開平5−
149343号公報;以下「第2の従来技術」とい
う)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記第
1の従来技術においては、基油としてアルキルジフェニ
ルエーテル油とポリαオレフィン油との混合油を使用し
ているものの、防錆潤滑油の補助なしでは金属音を伴う
ような騒音の高い異常音の発生を抑制することができて
も、音圧レベルがそれほど高くない保持器音のような異
音抑制には未だ不充分であるという問題点があった。
【0007】また、第2の従来技術においても、高温、
高速、高荷重条件下で使用される自動車の電装部品用軸
受としては潤滑油の塗着のみであるため、軸受外部への
漏洩を考慮すると軸受機能を充分に満足させることがで
きない虞があるという問題点があった。
【0008】本発明はこのような問題点に鑑みなされた
ものであって、低温起動時において異常音が発生するこ
とがなく、またグリースの漏出や高温耐久性等において
も優れた特性を有する転がり軸受を提供することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】軸受内部に封入されたグ
リースは、転がり軸受の回転により流動し、摩擦面に供
給されて滑らかに回転するが、寒冷地等の極低温雰囲気
で転がり軸受を駆動させた場合は、グリースの流動性が
不足する傾向にあり、このため摩擦面への潤滑が不十分
となる。特に、転がり軸受の転動体と該転動体を保持す
る保持器との間の潤滑が不十分な状態になると保持器が
不規則に振動して異常音を発生する。しかも該異常音は
グリースの基油の動粘度が高くなればなる程発生しやす
くなる傾向にある。
【0010】このような観点から異常音の発生原因であ
る潤滑油の流動性について、本願出願人は鋭意研究を重
ねた結果、40℃における動粘度が50mm2 /s以下
のエステル油、合成炭化水素油、エーテル油のいずれか
一つ又はこれらの混合物からなる潤滑油は高温、高速運
転等においてグリースの耐久性を損なうことなく極低温
雰囲気においても優れた流動性を示し、その結果、40
℃における基油の動粘度が80mm2 /s以上のグリー
スを転がり軸受に封入した場合であっても上述した異常
音の発生を抑制することができるという知見を得た。ま
た、潤滑油に防錆剤を含ませることにより、金属表面の
錆発生を抑制することができるという知見も得た。
【0011】本発明は斯かる知見に基づいてなされたも
のであって、本発明に係る転がり軸受は、40℃におけ
る動粘度が50mm2 /s以下であるエステル油、合成
炭化水素油、エーテル油のいずれか一つ又はこれらの混
合物を主成分とし且つ防錆剤を含んだ防錆潤滑油が、潤
滑剤の封入される前に軸受内部に塗布されていることを
特徴としている。
【0012】上記特徴によれば、上記動粘度を有する防
錆潤滑油を予め軸受内部に塗布しているので、グリース
の高温耐久性等が確保されると共に、低温起動時におい
てもグリース等の潤滑剤の流動性が確保され、摩擦面、
特に転動体と保持器との間の潤滑が良好なものとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0014】本発明に係る転がり軸受は、40℃におけ
る動粘度が50mm2 /s以下であるエステル油、合成
炭化水素油、エーテル油のいずれか一つ又はこれらの混
合物を主成分とし且つ防錆剤を含んだ防錆潤滑油が、潤
滑剤としてのグリースが封入される前に軸受内部に塗布
されている。
【0015】防錆潤滑油と封入グリースとは、転がり軸
受を繰返して使用することにより混合されるが、低粘
度、低流動点を有する防錆潤滑油は低温流動性に優れ、
したがって斯かる低粘度、低流動点の防錆潤滑油の存在
により異常音の発生を抑制することができる。また、防
錆潤滑油に混入される防錆剤は、金属表面の錆発生を抑
制する効果を奏する。
【0016】上述したエステル油、合成炭化水素油、エ
ーテル油としては、以下のものが使用される。
【0017】すなわち、エステル油としてはジエステル
油やヒンダードエステル油が使用されるが、ジエステル
油としては、具体的には、ジオクチルアジペート(DO
A)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチル
アジペート(DBA)、ジオクチルアゼレート(DO
Z)、ジオクチルセバケート(DOS)等を使用するこ
とができ、またヒンダードエステル油としては、ペンタ
エリスリトールエステル(PET)、トリメチロールプ
ロパンエステル(TMP)等を使用することができる。
【0018】合成炭化水素油としては、ポリαオレフィ
ン(PAO)、エチレンポリαオレフィンオリゴマ等を
使用することができる。
【0019】エーテル油としては、ジフェニルエーテル
(APE)、又は/及びその誘導体等を使用することが
できる。
【0020】防錆潤滑油に混入される防錆剤としては、
バリウムスルホネート、カルシウムスルホネート、亜鉛
スルホネート、ソルビタンモノオレート、ソルビタント
リオレート、亜硝酸ソーダ、その他ベンゾトリアゾール
等の気化性防錆剤を使用することができる。
【0021】さらに、その他の配合剤として、αフェニ
ルナフチルアミンやジオクチルジフェニルアミン等の酸
化防止剤、又は/及び燐酸トリクレジル、ジアルキルジ
チオ燐酸亜鉛等の極圧剤を適宜混入するのも好ましい。
【0022】次に、本実施の形態では防錆潤滑油の動粘
度、流動点、塗布量について最適範囲を設定しており、
該最適範囲の臨界的意義について説明する。
【0023】(1)防錆潤滑油の動粘度 動粘度の低い防錆潤滑油は、優れた低温流動性を示し、
異常音の発生抑制に寄与するが、そのためには該動粘度
は40℃で50mm2 /s以下にする必要がある。すな
わち、40℃における防錆潤滑油の動粘度が50mm2
/s以上の場合は異常音の発生を抑制するためには動粘
度が高すぎるため、異常音の発生に対する抑制効果を期
待できず、したがって本実施の形態では40℃における
防錆潤滑油の動粘度を50mm2 /s以下、好ましく
は、5〜35mm2 /sに限定した。
【0024】(2)防錆潤滑油の流動点 流動点を低く設定することは、低動粘度を有することと
相まって防錆潤滑油の低温流動性を優れたものとする性
質を有するが、そのためには流動点を−45℃以下に設
定する必要がある。すなわち、流動点が−44℃以上の
場合は低温流動性に対する効果が少なく、本実施の形態
では防錆潤滑油の流動点を−45℃以下に限定した。
【0025】(3)防錆潤滑油の軸受内部への塗布量 上述したようにグリース等の潤滑剤が封入される前に低
動粘度、低流動点の防錆潤滑油を軸受内部に塗布するこ
とにより、低温流動性が良好となり、これにより保持器
から発生する異常音を抑制することができる。しかしな
がら、グリース封入量に対する塗布量(以下、単に「塗
布量」という。)が2重量%以下の少量のときは異常音
の発生抑制という所期の作用効果を発揮することができ
ない。一方、前記塗布量が20重量%を超えると封入さ
れたグリースが軟化してグリースが転がり軸受の外部に
漏出する虞がある。そこで、本実施の形態では塗布量を
2〜20重量%、好ましくは、5〜15重量%に限定し
た。
【0026】また、従来の転がり軸受は、転動体のピッ
チ円直径D1と保持器のピッチ円直径D2とを同一値に
設定して転がり軸受に組み込んでいるが、転動体のピッ
チ円直径D1を保持器のピッチ円直径D2に対して所定
値αだけ大きくなるように偏位させて該転動体及び保持
器を転がり軸受に組み込むように構成することによって
も、尚、一層の異常音発生を抑制することができる。
【0027】すなわち、図1はピッチ円直径D1、D2
が同一値とされた従来の転がり軸受の要部拡大図であ
り、図2は転動体のピッチ円直径D1を保持器のピッチ
円直径D2に対して所定値αだけ大きく設定した(D1
=D2+α)転がり軸受の要部拡大図であり、1は転動
体、2が保持器である。
【0028】図1においては、保持器2の内外輪に対す
る矢印A方向(半径方向)の動き量X1は、数式(1)
で表される。
【0029】X1=Y+ΔM …(1) ここで、Yは転動体1の内外輪に対する隙間内の矢印B
方向の動き量であり、ΔMは保持器2の転動体1に対す
る動き量である。
【0030】同様に、図2においては、保持器2の内外
輪に対する矢印A方向(水平方向)の動き量X2は、数
式(2)で表される。
【0031】X2=Y+ΔN …(2) ここで、ΔNは保持器2の転動体1に対する動き量であ
る。
【0032】また、図2の転がり軸受は、図1の転がり
軸受に比べ転動体のピッチ円直径D1を保持器のピッチ
円直径D2に対して所定値αだけ大きく設定しているの
で、ΔMとΔNとの間には数式(3)に示す関係があ
る。
【0033】ΔX1−ΔX2=α/2 …(3) すなわち、図2の転がり軸受は図1の転がり軸受に比べ
保持器2の内外輪に対する動き量がα/2だけ少なくな
る。その結果、保持器と転動体との摩擦に起因する異常
音もα/2だけ小さくなり、これにより異常音が拡大す
るのを抑制することができる。ここで、所定値αとして
は+0.1程度に設定するのが好ましい。これは、所定
値αを+0.15以上にすると保持器ポケットのエッジ
部(図中、Cで示す)と転動体1との間で滑り音が発生
する一方で、所定値αを−0.1以下としても保持器2
から間欠的ではあるが異常音が発生するためである。
【0034】そして、グリースを封入する前に上述した
防錆潤滑油を軸受内部に塗布することにより、前記エッ
ジ部Cと転動体1との間の潤滑状態を向上させることが
でき異常音発生の原因となる所謂スティックスリップ現
象による振動発生を抑制することができる。
【0035】このように、上述した防錆潤滑油をグリー
ス封入前に軸受内部に塗布すると共に、転動体のピッチ
円直径D1を保持器のピッチ円直径D2に対して所定値
α(=0.1)だけ大きく偏位させることにより、保持
器から発生する異常音をより一層低減することができ
る。
【0036】
【実施例】次に、本発明の実施例について具体的に説明
する。
【0037】まず、本願出願人は表1に示すような組成
比でもって潤滑油と防錆剤等を調合し、動粘度及び流動
点の異なる防錆潤滑油を作成し(〜)、さらに動粘
度が32mm2 /s/40℃、流動点が−13℃の鉱油
(FBKオイルR0;日本石油(株)製)を準備した。
【0038】
【表1】 表1中、防錆潤滑油において、潤滑油としては、、
、はDOSを使用し、、はPETを使用、は
PAOを使用し、はAPEを使用した。また、防錆剤
としては、いずれもカルシウムスルホネートとバリウム
スルホネートを使用した。また、を除き潤滑油と防錆
剤との比率はいずれも潤滑油:防錆剤=95:5に調合
し、は、の防錆潤滑油に極圧剤として燐酸トリクレ
ジルを添加し、その組成比は潤滑油:防錆剤:極圧剤=
91.2:4.8:4に調合されている。
【0039】次に、試験供試品として非接触ゴムシール
付き密封玉軸受(外径32mm、内径15mm、幅11
mm)を使用し、表1の防錆潤滑油を軸受内部に塗布し
た後、グリースを封入し、シール板を挿着した後、保持
器の異常音発生の有無、グリース漏れ、グリース寿命を
測定した。
【0040】軸受に封入されたグリースの組成、封入量
等は以下の通りである。 〔グリースの組成、封入量等〕 基 油 : エーテル系合成油 動粘度 : 100mm2 /s/40℃ 増稠剤 : ウレア化合物 混和増稠度 : 290 添加剤 : 酸化防止剤、防錆剤 封入量 : 600mg また、防錆潤滑油の軸受内部への塗布は以下のようにし
て行った。すなわち、有機溶剤としての石油ベンジンで
脱脂した転がり軸受の内部に所定の防錆潤滑油を所定量
注入、秤量した後、手回しにて回転を与え、軸受内部に
万遍なく塗布するようにした。
【0041】表2は保持器の異常音発生の有無判定結
果、グリース漏れ及びグリース寿命の測定結果を示す。
【0042】
【表2】 保持器の異常音発生の有無判定は以下のようにして行っ
た。すなわち、恒温槽を0℃に保持すると共に該恒温槽
の内部に配設された軸受回転装置に試験供試品である上
記玉軸受を組み込んで30分間放置し、しかる後プーリ
荷重100kgfでもってモータを駆動させ、該モータ
が起動してから5秒後にモータ回転数が4100rpm
となるように調整し、該モータ回転数でもって4分間回
転を持続させた。そして、保持器の異常音発生の有無確
認は、上記玉軸受の近傍に配設したマイクロホンを介し
てスピーカにより聴覚でもって判定した。
【0043】また、グリースの漏れは、150℃、1
5,000rpm、ラジアル荷重20kgfで20時間
連続運転を行い、玉軸受の軸受重量の減少量からグリー
ス漏れ率(%)を算出し、評価した。
【0044】グリース寿命は、グリース漏れ試験が終了
した後、恒温槽を温度160℃に設定して連続運転を行
い、異常が発生するか否か試験を行った。グリースの寿
命は、軸受トルクの増大によりモータが過電流で停止す
るか、或いは軸受外輪温度が175℃を超えた時点を寿
命とし、連続1000時間の運転でも異常がないときは
試験を中止してグリースの高温耐久性は良好であると判
定した。
【0045】尚、異常音発生の有無確認については同一
条件の試験供試品(玉軸受)5個について行い、グリー
ス漏れ及びグリース寿命については3個の試験供試品
(玉軸受)について試験を行った。
【0046】表2から明らかなように、実施例1〜10
はいずれも動粘度が50mm2 /s/40℃以下であっ
て且つ流動点が−45℃以下であり、塗布量も2〜20
重量%であり、大概良好な結果を得ることができた。特
に、塗布量が5〜15重量%に設定された実施例2〜実
施例5、及び実施例7〜実施例10は、異常音発生が皆
無であり、グリースの漏れ率も10%を超えることがな
く、またグリースの寿命も1000時間以上を確保する
ことができ、極めて良好な実験結果を得た。
【0047】これに対して、比較例51は塗布量が1重
量%と低いため、グリース漏れ率は良好であるが異常音
発生の抑制には効果がないことが判る。また、比較例5
2は異常音発生については良好な結果を得ることができ
るものの、塗布量が25重量%と多いためグリース漏れ
率が30重量%を超えており、したがってグリース漏れ
率の悪化を招来し、しかもグリース寿命についても65
0時間程度と本実施例1〜10に比べ耐久性に劣る。比
較例53は流動点が−25℃と流動点の低い防錆潤滑油
を使用しており、比較例54は動粘度が100mm2
/s/40℃と動粘度の高い防錆潤滑油を使用してい
るため、いずれも保持器からの異常音発生を抑制するこ
とができないことが判った。また、比較例55は市販の
鉱油を使用したものであり、本発明の防清潤滑油を使用
していないため塗布量は10重量%であるものの異常音
の発生を抑制することができなかった。
【0048】さらに、本願出願人は、上記玉軸受と同一
サイズ(外径32mm、内径15mm、幅11mm)の
玉軸受について、転動体のピッチ円直径D1を保持器の
ピッチ円直径D2に対して所定値αだけ大きく設定した
玉軸受を製造し、異常音発生の有無確認を行った。
【0049】すなわち、0℃に保持した恒温槽の内部に
配設された軸受回転装置に試験供試品である上記玉軸受
を組み込んで60分間以上放置した後、プーリ荷重50
kgfでもって回転数5000rpmで5分間連続運転
し、音圧を測定した。
【0050】表3はその測定結果を示している。
【0051】
【表3】 この表3から明らかなように、所定値αが+0.1mm
に設定されている場合は公転周波数の最大値を100と
した場合の音圧比Vが49〜60%と良好であり、異常
音発生も聴覚で感知することはできなかった。これに対
して、比較例61〜66はいずれも間欠的に異常音の発
生が知覚されたり、連続的な滑り音の発生等が知覚され
た。また、比較例67、68は所定値αが+0.1mm
に設定されているものの、比較例67は防錆潤滑油を塗
布しておらず、また、比較例68は鉱油を塗布したもの
であり、いずれも滑り音の発生が確認された。
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る転がり
軸受は、40℃における動粘度が50mm2 /s以下で
あるエステル油、合成炭化水素油、エーテル油のいずれ
か一つ又はこれらの混合物を主成分とし且つ防錆剤を含
んだ防錆潤滑油が、潤滑剤の封入される前に軸受内部に
塗布されているので、該防錆潤滑油の優れた低温流動性
により、グリースの漏出やグリースの高温耐久性を良好
なものに維持しつつ、低温起動時における異常音の発生
を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】転動体と保持器のピッチ円直径が同一の場合の
転がり軸受の要部拡大図である。
【図2】転動体のピッチ円直径が保持器のピッチ円直径
より所定値だけ大きく設定された場合の転がり軸受の要
部拡大図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中 道治 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 河口 摂 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 武藤 泰之 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 40℃における動粘度が50mm2 /s
    以下であるエステル油、合成炭化水素油、エーテル油の
    いずれか一つ又はこれらの混合物を主成分とし且つ防錆
    剤を含んだ防錆潤滑油が、潤滑剤の封入される前に軸受
    内部に塗布されていることを特徴とする転がり軸受。
JP19526397A 1997-07-07 1997-07-07 転がり軸受 Pending JPH1122740A (ja)

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