JP2012184833A - 玉軸受用保持器および玉軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】グリース潤滑でトルク低減効果が得られる玉軸受用保持器及び玉軸受を提供する。
【解決手段】保持器5は、二枚の環状体10,10の対向面11,11にボール4を収容する半球状のポケット12,12を形成し、対向面11,1を衝合させて二枚の環状体10,10を結合させたものである。一方の環状体10に外径側凸部13を形成すると共に内径側凹部14を形成し、かつ、他方の環状体10の内径側凸部15を形成すると共に外径側凹部16を形成する。外径側凸部13を外径側凹部16に挿入すると共に内径側凸部15を内径側凹部14に挿入することにより外径側凸部13と内径側凸部15を軸方向で係合させる。外径側凸部13と内径側凸部15との係合面15aを、外径側凸部13および内径側凸部15の基端側よりも先端側が厚肉となるように軸方向に対して傾斜させる。ポケットPCDを、ポケット12に収納されるボールPCDよりも小さく設定した。
【選択図】図1

Description

本発明は、ボールを転動自在に保持する玉軸受用保持器、およびその保持器を外輪および内輪間に組み込んだ玉軸受に関する。
例えば、発動機を有する車両のトランスミッションのギヤ支持軸には、深溝玉軸受やアンギュラ玉軸受などの各種の玉軸受が広く使用されている。
一般に、玉軸受は、図27に示すように、内輪51と、外輪52と、この内輪51と外輪52との間に介装されるボール53と、このボール53を保持する保持器54とを備える。そして、この外輪52あるいは内輪51のいずれか一方がハウジングなどの固定部分に装着され、他方が回転軸などの回転部分に装着される。
保持器には樹脂冠型保持器を使用する場合がある。この樹脂冠型保持器54は、耐摩耗性や潤滑性等に優れた樹脂からなり、図28に示すように、環状の保持器本体55の軸方向一端面56に周方向に沿って所定ピッチで配設される凹部7を形成するとともに、この凹部57の周方向に対向する開口端から突出する一対の爪部58、58を設けて、凹部67と一対の爪部58、58とでボール53が収納されるポケット59を形成したものである。
ところで、電動車両やハイブリッド車両においては、高速のモータ回転が入力されるため、回転軸などの回転部分は高回転となる傾向にある。その結果、潤滑不足、トルク(発熱)、遠心力による保持器の変形などが問題となる。
しかしながら、前記図27に示すような保持器では、ボールを片側(軸方向一端側)のみから保持する形状である。このため、大きな遠心力が負荷された場合、不均等な変形によりボールが脱落するおそれがあった。そこで、従来では、軸方向に向き合う2枚の環状体の対向面にボールを収容する半球状のポケットを周方向の複数箇所に形成し、前記対向面を衝合させて2枚の環状体を結合させた保持器がある。
また、トルク(発熱)対策や軸受の表裏を無くすために、保持器形状を軸方向に対称とするのが好ましい。このため、分割した保持器を合わせて結合する構造が不可欠となる。このため、従来では、2個の環状体を相互に結合するための保持器構造が種々提案されている(特許文献1〜特許文献5)。
特開2006−226430号公報 特開2006−226447号公報 特開2006−226448号公報 特開2008−64221号公報 特開2009−281399号公報
ところが、グリース潤滑では、ボールと軌道面の間にグリースが介在すると、そのせん断抵抗によりトルクが増加する。このため、前記特許文献1〜特許文献5のように、環状体形状を軸方向に対称とした構造のみでは、トルク(発熱)対策が不十分である。
ところで、図12に示す樹脂冠型保持器54では、図29に示すように、ポケット7のPCD(PPCD)と、ポケット59に収納されるボール53のPCD(BPCD)とが同一に設定される。また、ポケット径(D)よりもボール径(D)が小さい。
このため、ポケット59とボール53とは、図30に示す関係となる。すなわち、内径側のポケットエッジ部65及び外径側のポケットエッジ部66とボール53との隙間が生じ、ポケットエッジ部65、66でボールに付着したグリースを掻き取りにくく、ボール4と内輪の転走面との間、及びボールと外輪の転走面との間にグリースが介在されやすくなり、トルクが増加するおそれがある。
そこで、本発明は斯かる実情に鑑み、グリース潤滑であっても、高速回転に有効な玉軸受用保持器及び玉軸受を提供しようとするものである。
本発明の玉軸受用保持器は、軸方向に向き合う二枚の環状体の対向面にボールを収容する半球状のポケットを周方向の複数箇所に形成し、前記対向面を衝合させて二枚の環状体を結合させた玉軸受用保持器であって、一方の環状体の隣り合うポケット間の外径側を軸方向に延出させて外径側凸部を形成すると共に内径側を凹ませて内径側凹部を形成し、かつ、他方の環状体の隣り合うポケット間の内径側を軸方向に延出させて内径側凸部を形成すると共に外径側を凹ませて外径側凹部を形成し、前記外径側凸部を外径側凹部に挿入すると共に前記内径側凸部を内径側凹部に挿入することにより前記外径側凸部と内径側凸部を軸方向で係合させ、前記外径側凸部と内径側凸部との係合面を、外径側凸部および内径側凸部の基端側よりも先端側が厚肉となるように軸方向に対して傾斜させ、ポケットのPCDを、ポケットに収納されるボールのPCDよりも小さく設定したものである。
本発明の第1の玉軸受用保持器によれば、外径側凸部と内径側凸部を軸方向で係合させることにより、その外径側凸部と内径側凸部との係合面に沿って摩擦力が発生する。また、外径側凸部と内径側凸部との係合面を、外径側凸部および内径側凸部の基端側よりも先端側が厚肉となるように軸方向に対して傾斜させたことにより、外径側凸部と内径側凸部との係合面の法線方向に発生した反力の軸方向成分が現出する。この外径側凸部と内径側凸部との係合面に沿って発生する摩擦力と、その係合面の法線方向に発生する反力の軸方向成分との相乗作用により、高回転により大きな遠心力が負荷された場合であっても、二枚の環状体が軸方向に分離することを確実に防止することができる。
本発明の第1の玉軸受用保持器によれば、ポケットのPCDを、ポケットに収納されるボールのPCDよりも小さく設定したことによって、ポケットをボールに対して内径側に位置させることができる。これによって、外径側のポケットエッジ部がボールに近接した状態(ボールをポケットの外径側で抱え込む状態)となって、ボールに付着したグリースを掻き取ることができる。
前記ポケットのPCDが、ボールのPCDの0.9〜0.99である場合において、ポケット径がボール径の1.06倍以下であるのが好ましい。1.06倍を超えると、ポケット径が大きくなりすぎてガタが生じるおそれがある。
前記ポケットのPCDが、ボールのPCDの0.9〜0.99である場合において、ポケット径がボール径の1.03倍以上であるのが好ましい。1.03倍未満では、ポケット径が小さくなりすぎてボールとポケットとの間の隙間が小さくなって、異常摩耗や応力が大となるおそれがある。
保持器外径面側に、ボールとの接触乃至近接によってグリースを掻き取る掻き取り構造部を設けるようにするのが好ましい。このように、掻き取り構造部を設けたことによって、ボールに付着するグリースのボールからの掻き取りが可能となる。このため、グリース潤滑下で使用されるのが好ましい。
本発明の第2の玉軸受用保持器は、軸方向に向き合う二枚の環状体の対向面にボールを収容する半球状のポケットを周方向の複数箇所に形成し、前記対向面を衝合させて二枚の環状体を結合させた玉軸受用保持器であって、一方の環状体の隣り合うポケット間の外径側を軸方向に延出させて外径側凸部を形成すると共に内径側を凹ませて内径側凹部を形成し、かつ、他方の環状体の隣り合うポケット間の内径側を軸方向に延出させて内径側凸部を形成すると共に外径側を凹ませて外径側凹部を形成し、前記外径側凸部を外径側凹部に挿入すると共に前記内径側凸部を内径側凹部に挿入することにより前記外径側凸部と内径側凸部を軸方向で係合させ、前記外径側凸部と内径側凸部との係合面を、外径側凸部および内径側凸部の基端側よりも先端側が厚肉となるように軸方向に対して傾斜させ、ポケットのPCDと、ポケットに収納されるボールのPCDとを同一とするとともに、ポケット内面の曲率径とボール径とを同一とし、かつ、ポケット内面を楕円球面形状としたものである。
本発明の第2の玉軸受用保持器によれば、第1の玉軸受用保持器と同様、外径側凸部と内径側凸部との係合面に沿って発生する摩擦力と、その係合面の法線方向に発生する反力の軸方向成分との相乗作用により、高回転により大きな遠心力が負荷された場合であっても、二枚の環状体が軸方向に分離することを確実に防止することができる。
また、ポケットPCDと、ポケットに収納されるボールPCDとを同一とするとともに、ポケット径とボール径とを同一とした場合、ポケットとボールとの間に隙間が生じない。しかしながら、ポケット内面を球面とせずに、楕円球面形状とすることによって、ポケットとボールとの間に隙間を確保できるとともに、ポケットエッジ部によるグリースの掻き取りが可能となる。
環状体の対向面側の内径部及び/又は外径部にグリース溜りを設けたり、環状体の反対向面側の内径部及び/又は外径部にグリース溜りを設けたりできる。このように、グリース溜りを設けることによって、このグリース溜りにグリースが溜まって転動体(ボール)の転走面へのグリースの流動を減らすことができる。これによって、グリースの攪拌抵抗を低減できる。
外径面の周方向溝を設けるようにしてもよい。この場合であっても、周方向溝にグリースが溜まって転動体(ボール)の転走面へのグリースの流動を減らすことができる。
切削加工にて成形されているものであっても、射出加工にて成形されているものであってもよい。
本発明の玉軸受は、内輪と、外輪と、この内輪と外輪との間に介装されるボールと、このボールを保持する保持器とを備えた玉軸受において、前記保持器に前記玉軸受用保持器を用いたものである。
本発明の第1及び第2の玉軸受用保持器は、外径側凸部と内径側凸部を軸方向で係合させることにより、その外径側凸部と内径側凸部との係合面に沿って発生する摩擦力と、外径側凸部と内径側凸部との係合面を、外径側凸部および内径側凸部の基端側よりも先端側が厚肉となるように軸方向に対して傾斜させたことにより、外径側凸部と内径側凸部との係合面の法線方向に発生する反力の軸方向成分との相乗作用により、高回転により大きな遠心力が負荷された場合であっても、二枚の環状体が軸方向に分離することを確実に防止することができる。
その結果、部品点数や組立工数を増加させることなく、十分な強度を確保しつつ、二枚
の環状体が分離することを確実に防止し得る玉軸受用保持器を提供することができ、電動
車両やハイブリッド車両において使用される高回転軸受に好適な自動車用途の玉軸受を提
供できる。
特に、第1の玉軸受用保持器では、外径側のポケットエッジ部がボールに近接した状態(ボールをポケットの外径側で抱え込む状態)となって、ボールに付着したグリースを掻き取ることができるので、グリース潤滑でトルク低減効果を得ることができる。
前記ポケットのPCDが、ボールのPCDの0.9〜0.99である場合において、ポケット径がボール径の1.06倍以下であるのが好ましく、また、前記ポケットのPCDが、ボールのPCDの0.9〜0.99である場合において、ポケット径がボール径の1.03倍以上であるのが好ましい。ボール径の1.06以下であれば、ガタを少なくできて、高精度の回転を得ることができる。1.03倍以上であれば、異常摩耗や応力が大となるおそれがなく、長期にわたって安定した回転を得ることができる。
第2の玉軸受用保持器では、ポケットとボールとの間に隙間を確保でき、ボールの転動が安定し、しかも、ポケットエッジ部によるグリースの掻き取りが可能となり、グリース潤滑でトルク低減効果を得ることができる。
グリース溜りを設けることによって、グリースの攪拌抵抗を低減でき、より一層低トルク化を達成できる。
本発明の玉軸受は、部品点数や組立工数を増加させることなく、十分な強度を確保しつつ、二枚の環状体が分離することを安定して防止でき、しかも、グリース潤滑でトルク低減効果を得ることができる玉軸受となる。このため、電動車両やハイブリッド車両において使用される高回転軸受に好適な自動車用途の玉軸受に最適となる。
本発明の実施形態を示す保持器の分解状態を示し、(a)は展開した状態の簡略正面図であり、(b)は簡略断面図である。 環状体を示し、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。 組立前の一対の環状体の斜視図である。 組立前の一対の環状体の展開図である。 前記図4のA−A線断面図である。 前記図4のB−B線断面図である。 組立後の一対の環状体の展開図である。 前記図7のC−C線断面図である。 前記図7のD−D線断面図である。 前記保持器を用いた玉軸受の断面図である。 ボールとポケットとの関係を示す要部平面図である。 ボールPCDとポケットPCDとの関係を示す簡略図である。 ボールとポケットとの関係を示す拡大図である。 ボールとポケットとの関係を示す拡大図である。 前記図14の要部拡大図である。 環状体の対向面側にグリース溜りを設けた保持器を示す展開図である。 環状体の対向面側の内径側にグリース溜りを設けた保持器の要部簡略平面図である。 環状体の対向面側の外径側にグリース溜りを設けた保持器の要部簡略平面図である。 環状体の反対向面側にグリース溜りを設けた保持器を示す展開図である。 環状体の反対向面側に内径側にグリース溜りが設けられた保持器の要部簡略平面図である。 環状体の反対向面側に外径側にグリース溜りが設けられた保持器の要部簡略平面図である。 外径面に周方向溝が設けられた環状体を示し、(a)は展開図であり、(b)は断面図である。 ポケットPCDとボールPCDとが同一の保持器を示す要部平面図である。 ボール径とポケット内面の曲率径とが同一の保持器を示す要部拡大平面図である。 ボール径とポケット内面の曲率径とが同一の保持器を示す要部拡大平面図である。 前記図25の要部拡大図である。 従来の玉軸受の断面図である。 従来の玉軸受に用いられた保持器の斜視図である。 ポケットPCDとボールPCDとが同一の保持器を示す要部平面図である。 前記29の保持器の簡略要部拡大図である。
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
この実施形態の玉軸受1は、図10に示すように、外径面に内側転走面2aが形成された内輪2と、その内輪2の外側に配置され、内径面に外側転走面3aが形成された外輪3と、内輪2の内側転走面2aと外輪3の外側転走面3aとの間に転動自在に介在された複数のボール4と、内輪2と外輪3との間に配され、各ボール4を円周方向等間隔に保持する保持器5とで主要部が構成されている。この外輪3あるいは内輪2のいずれか一方がハウジングなどの固定部分に装着され、他方が回転軸などの回転部分に装着される。
この玉軸受1は、電動車両やハイブリッド車両において使用される高回転軸受として好適であり、潤滑不足、トルク(発熱)、遠心力による保持器5の変形を抑制することを目的とした軽量の合成樹脂製の保持器5を備えている。この種の保持器5は、図1〜図9に示すように、軸方向に向き合う二枚の環状体10の対向面11にボール4を収容する半球状のポケット12を周方向の複数箇所に形成し、環状体10のそれぞれの対向面11を衝合させて二枚の環状体10を結合させた対称形状を有する。この実施形態の保持器5は、これら二枚の環状体10を結合させるための手段として、以下の結合構造を具備する。
図1と図3と図4は結合前の二枚の環状体10を示し、図5は図4のA−A線に沿う断面で、図6は図4のB−B線に沿う断面である。一方の環状体10(図4および図5の左側参照)の隣り合うポケット12間の外径側を軸方向に延出させて外径側凸部13を形成すると共に内径側を凹ませて内径側凹部14を形成し、かつ、他方の環状体10(図2および図3の右側参照)の隣り合うポケット12間の内径側を軸方向に延出させて内径側凸部15を形成すると共に外径側を凹ませて外径側凹部16を形成する。
この構造において、外径側凸部13を外径側凹部16に挿入すると共に内径側凸部15を内径側凹部14に挿入することにより、外径側凸部13と内径側凸部15を軸方向で係合させる。また、外径側凸部13と内径側凸部15との係合面13a,15aを、外径側凸部13および内径側凸部15の基端側よりも先端側が厚肉となるように軸方向に対して傾斜させている。
また、一方の環状体10(図4および図6の左側参照)の外径側凸部13および内径側凹部14と周方向に隣接させて外径側凹部16および内径側凸部15を形成し、他方の環状体10(図4および図6の右側参照)の内径側凸部15および外径側凹部16と周方向に隣接させて内径側凹部14および外径側凸部13を形成した構造としている。このような構造を採用したことにより、一つの金型で製作した一種の環状体10を使用して一方の環状体10と他方の環状体10とすることができ、製品コストの低減が図れる。
図7は結合後の二枚の環状体10を示し、図8は図7のC−C線に沿う断面で、図9は図7のD−D線に沿う断面である。同図に示すように、二枚の環状体10のそれぞれの対向面11を衝合させ、外径側凸部13と内径側凸部15を所定の締め代でもって軸方向で係合させることにより、その外径側凸部13と内径側凸部15との係合面13a,15aに沿って摩擦力が発生する。また、外径側凸部13と内径側凸部15との係合面13a,15aを、外径側凸部13および内径側凸部15の基端側よりも先端側が厚肉となるように軸方向に対して傾斜させたことにより、外径側凸部13と内径側凸部15との係合面13a,15aの法線方向に発生した反力の軸方向成分が現出する。
この外径側凸部13と内径側凸部15との係合面13a,15aに沿って発生する摩擦力と、その係合面13a,15aの法線方向に発生する反力の軸方向成分との相乗作用により、高回転により大きな遠心力が負荷された場合であっても、二枚の環状体10が軸方向に分離することを確実に防止することができる。
この実施形態では、外径側凸部13と内径側凸部15とを周方向の三箇所以上に形成する。このように外径側凸部13と内径側凸部15とを三箇所以上に形成することにより、外径側凸部13と内径側凸部15との係合面13a,15aでの結合力を確保することが容易となって二枚の環状体10が軸方向に分離することを未然に防止することができる。
なお、外径側凸部13と内径側凸部15とを周方向の一箇所あるいは二箇所に形成するだけでは、外径側凸部13と内径側凸部15との係合面13a,15aでの結合力を確保することが困難となる。
この実施形態の結合構造では、外径側凸部13と内径側凸部15との係合面13a,15aの傾斜角度θ(図5および図6参照)を5°以上とする必要がある。このように傾斜角度θを設定することにより、高回転により大きな遠心力が負荷された時の係合面13a,15aの変形を抑制することが容易となり、係合面13a,15aに反力の軸方向成分を確実に作用させることができて二枚の環状体10の結合力を確保することが容易となる。
なお、係合面13a,15aの傾斜角度θが5°よりも小さいと、高回転により大きな遠心力が負荷された場合、係合面13a,15aの変形を抑制することが困難となり、係合面13a,15aに反力の軸方向成分を確実に作用させることが難しくなる。
また、この結合構造では、図8および図9に示すように、内径側凸部15を外径側凸部13よりも厚肉にしている(tIN>tOUT)。このように内径側凸部15を外径側凸部13よりも厚肉にすることにより、高回転により大きな遠心力が負荷された際、外径側凸部13よりも厚肉にした内径側凸部15の質量が外径側凸部13よりも大きいことから、その内径側凸部15が外径側凸部13よりも大きく変形する。
ここで、外径側凸部13と内径側凸部15との係合面13a,15aは、外径側凸部13および内径側凸部15の基端側よりも先端側が厚肉となるように軸方向に対して傾斜していることから、内径側凸部15の変形は、外径側凸部13と内径側凸部15との係合面13a,15aでの結合力を高めるように作用する。
この玉軸受1の組み立てにおいては、外輪3と内輪2との間にボール4を周方向等間隔に介在させた状態でその軸方向外側から二枚の環状体10を組み付ける。その場合、外輪3および内輪2により環状体10の外径側凸部13および内径側凸部15を目視しずらく、外径側凸部13と内径側凸部15とを係合させることが困難となる可能性がある。
そこで、外径側凸部13と内径側凸部15との相対位置を識別するための指標17を、軸方向に向き合う二枚の環状体10の反対向面18にそれぞれ設ける。これにより、玉軸受1の組み立て時、外輪3と内輪2との間にボール4を介在させた状態でその軸方向外側から環状体10を組み付けるに際して、軸方向に向き合う二枚の環状体10の反対向面18に設けられた指標17に基づいて、外輪3および内輪2により目視し難い外径側凸部13と内径側凸部15の相対位置を合わせることが容易となり、保持器5の組み付け性の向上が図れる。なお、指標17としては、二枚の環状体10の反対向面18に突起や凹みなどを形成したり、あるいは着色などによるマークを付すことにより実現可能である。この実施形態では、図3、図4および図7に示すように凹みとしている。
この実施形態では、一方の環状体10(図4の左側参照)のポケット12の周方向端部を軸方向に延出させて舌片部19を形成すると共に、他方の環状体10(図4の右側参照)のポケット12の周方向端部に舌片部19を収容する切り欠き部20を形成している。このような構造とすることにより、高回転により大きな遠心力が負荷された場合、一方の環状体10と他方の環状体10が相互に軸方向外側へ離隔してポケット12が開こうとしても、舌片部19によりボール4をポケット12内に収容した状態を維持することが容易となる(図7参照)。
なお、ポケット12の一方の周方向端部に舌片部19を形成すると共に他方の周方向端部に切り欠き部20を形成する。これにより、一つの金型で製作した一種の環状体10を使用して一方の環状体10と他方の環状体10とすることができ、製品コストの低減が図れる。
二枚の環状体10は、この種の一般的に使用される耐摩耗性や潤滑性等に優れた樹脂、例えばポリエチレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド、熱硬化性ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の合成樹脂で形成することができる。さらには、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、あるいはポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂をベースとして、強度向上と寸法安定性のために、ガラス繊維を添加したものも採用することができる。
しかしながら、本発明においては、保持器5の保持器材料として、引張伸び,引張強さ,耐衝撃性,耐摩耗性,潤滑性等に優れたポリアミド樹脂を用いるのが好ましい。ポリアミド樹脂としては、PA66(ポリアミド66)であったり、PA46(ポリアミド46)であったり、PA9T(ポリアミド9T)であったり、PA11(ポリアミド11)であったり、PA6(ポリアミド6)であったりする。このように、本発明では、保持器材料として、引張伸び,引張強さ,耐衝撃性,耐摩耗性,潤滑性等に優れたポリアミド樹脂を用いることができ、高品質な保持器を提供できる。なお、外輪3、内輪2、ボール4は、例えば軸受鋼、浸炭鋼等の金属で形成される。
この玉軸受に充填されるグリースは、基油、増ちょう剤及び添加剤から成る半固体状の潤滑剤である。潤滑グリースを構成する基油としては、例えば、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油などの鉱油、ポリブデン、ポリ-α-オレフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、脂環式化合物等の炭化水素系合成油、または、天然油脂やポリオールエステル油、リン酸エステル、ジエステル油、ポリグリコール油、シリコーン油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、フッ素化油等の非炭化水素系合成油等、一般に潤滑グリースの基油として使用されている油であれば特に限定することなく使用できる。
増ちょう剤としては、アルミニウム石けん、リチウム石けん、ナトリウム石けん、複合リチウム石けん、複合カルシウム石けん、複合アルミニウム石けんなどの金属石けん系増ちょう剤、ジウレア化合物、ポリウレア化合物等のウレア系化合物が挙げられる。これらの増ちょう剤は、単独または2種類以上組み合せて用いてもよい。
潤滑グリース用の公知の添加剤としては、例えば極圧剤、アミン系、フェノール系等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾールなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレン等の粘度指数向上剤、二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合せて添加できる。
保持器5においては、ポケット12のPCDを、ポケット12に収納されるボール4のPCDよりも小さく設定したものである。すなわち、図11と図12に示すように、ポケットPCDをPPCDとし、ボールPCDをBPCDとした場合に、PPCD<BPCDとなる。この場合、ポケット12のPCDが、ボールPCDの0.9〜0.99である場合(PPCD=0.9BPCD〜0.99BPCDである場合)において、ポケット径Dをボール径Dの1.06倍以下とし、ポケット径Dをボール径Dの1.03倍以上とする。
ここで、図12に示すように、ポケットPCDとは、保持器ポケットのR中心(Rp)と軸受の中心までの長さ(半径)の2倍の長さ(直径)のことである。また、ボールPCDとは、ボールのR中心(RB)と軸受の中心までの長さ(半径)の2倍の長さ(直径)のことである。ボール4とポケット12との関係を前記のように構成することによって、図12に示すように、ポケット12をボール4に対して内径側に位置させることができる。これによって、外径側のポケットエッジ部41がボール4に近接した状態(ボール4をポケットの外径側で抱え込む状態)となって、ボール4に付着したグリースを掻き取ることができる。なお、内径側のポケットエッジ部42がボール4と離間した状態となって、ボール4に付着したグリースを掻き取りにくくなっている。なお、図12の矢印はボール4の回転方向を示している。
ところで、図13に示すように、ポケット内面の曲率径をボール径よりも大きく設定すると、図14と図15に示すように、外径側のポケットエッジ部41とボール4との間に隙間Sができる。このため、グリースを掻き取りにくいものとなる。すなわち、ポケット内面の曲率半径をR1とし、ボール4の半径をRとしたときに、R<R1となる。つまし、ポケット内面の曲率直径をD1とし、ボール4の直径をDとしたときに、D<D1となる。
そこで、本発明では、ポケット12のPCDを、ポケット12に収納されるボール4のPCDよりも小さく設定して、外径側のポケットエッジ部41がボール4に近接した状態(ボール4をポケットの外径側で抱え込む状態)となって、ボール4に付着したグリースを掻き取ることができるようにしている。
このように、ボール4に付着したグリースを掻き取るようにするのが好ましいので、図2に示すように、ボール4との接触乃至近接によってグリースを掻き取る掻き取り構造部50を設けるのが好ましい。この場合の掻き取り構造部50は、外径側の舌片部19の外径縁部を環状体11の外径面11aよりも僅かに外径側へ突出させる。これによって、舌片部19の外径側の内周エッジにて、ボール4に付着したグリースを掻き取る掻き取り構造部を構成できる。
本発明では、外径側凸部13と内径側凸部15を軸方向で係合させることにより、その外径側凸部13と内径側凸部15との係合面13a,15aに沿って発生する摩擦力と、外径側凸部13と内径側凸部15との係合面13a,15aを、外径側凸部13および内径側凸部15の基端側よりも先端側が厚肉となるように軸方向に対して傾斜させたことにより、外径側凸部13と内径側凸部15との係合面13a,15aの法線方向に発生する反力の軸方向成分との相乗作用により、高回転により大きな遠心力が負荷された場合であっても、二枚の環状体10,10が軸方向に分離することを確実に防止することができる。
その結果、部品点数や組立工数を増加させることなく、十分な強度を確保しつつ、二枚
の環状体10,10が分離することを確実に防止し得る玉軸受用保持器を提供することができ、電動車両やハイブリッド車両において使用される高回転軸受に好適な自動車用途の玉軸受を提供できる。
また、ポケットPCDを、ポケット12に収納されるボールPCDよりも小さく設定したことによって、ポケット12をボール4に対して内径側に位置させることができる。これによって、外径側のポケットエッジ部41がボール4に近接した状態(ボール4をポケット12の外径側で抱え込む状態)となって、ボール4に付着したグリースを掻き取ることができ、グリース潤滑でトルク低減効果を得ることができる。特に、図2に示すような掻き取り構造部50を設けることによって、グリースの安定した掻き取りが可能となる。なお、外径側のポケットエッジ部42がボール4と離間した状態となって、掻き取りにくくなっているので、グリース漏れがし難い状態となる。
前記ポケットPCDが、ボールPCDの0.9〜0.99である場合において、ポケット径がボール径の1.06倍以下であるのが好ましく、また、前記ポケットPCDが、ボールPCDの0.9〜0.99である場合において、ポケット径Dがボール径Dの1.03倍以上であるのが好ましい。ボール径Dの1.06以下であれば、ガタを少なくできて、高精度の回転を得ることができる。1.03倍以上であれば、異常摩耗や応力が大となるおそれがなく、長期にわたって安定した回転を得ることができる。
このように、本発明では、グリース潤滑でトルク低減効果を得ることができ、高速回転に有効な保持器を備えた玉軸受を提供することができる。
ところで、保持器5には、図16に示すように、ポケットエッジ部41(図12参照)にて掻き取れたグリースを溜めるグリース溜り45を設けるのが好ましい。グリース溜り45は凹部からなり、図では対向面側に、周方向に隣合うポケット12間に設けたものである。この場合、図17に示すように内径側に設けても、図18に示すように外径側に設けてもよい。
また、図19に示すように、反対向面側に、グリース溜り45を設けるようにしてもよい。この場合も、図20に示すように内径側に設けても、図21に示すように外径側に設けてもよい。
このように、グリース溜り45を設けけることによって、このグリース溜り45にグリースが溜まって転動体(ボール)4の転走面2a、3aへのグリースの流動を減らすことができる。これによって、グリースの攪拌抵抗を低減でき、より一層低トルク化を達成できる。
図22では、環状体10の外径面10aに周方向溝46を設けたものである。この場合の周方向溝46は断面三角形状をなし、ポケット12に対応する位置に配設されている。このような周方向溝46を設けたことによって、周方向溝46にグリースが溜まって転動体(ボール)4の転走面2a、3aへのグリースの流動を減らすことができる。これによって、グリースの攪拌抵抗を低減でき、より一層低トルク化を達成できる。
ところで、このグリース溜り45や周方向溝46の大きさとしては、保持器自体の大きさ、使用する材質等に応じて、種々変更することができる。この場合、大きすぎれば、強度的に劣ることになり、小さすぎれば、グリース溜り量が少なく、転走面2a、3aへのグリース流動を減らすことができない。このため、強度的に劣らず、しかもグリース流動を減らすことができる範囲で種々変更することができる。
ところで、図23に示す保持器においては、ポケットPCDと、ポケットに収納されるボールPCDとを同一とするとともに、図24と図25に示すように、ポケット内面の曲率径とボール径とを同一としている。すなわち、ポケットPCDをPPCDとし、ボールPCDをBPCDとした場合に、PPCD=BPCDとなる。また、ポケット内面の曲率半径をR1とし、ボールの半径をRとし、R=Rとなる(ポケット内面の曲率直径D1とし、ボールの直径Dとし、D1=Dとなる)。
しかしながら、このように、PPCD=BPCDとするとともに、D1=Dとすれば、図26に示すように、ボール外径とポケット内面との間に隙間が形成されない。このように隙間が形成されなければ、ボール4の転動性に劣ることになる。そこで、この場合、ポケット内面を楕円球面形状とする。
このように、ポケット内面を球面とせずに、楕円球面形状とすることによって、ポケット12とボール4との間に隙間を確保でき、ボールの転動が安定する。しかも、ポケットエッジ部によるグリースの掻き取りが可能となり、グリース潤滑でトルク低減効果を得ることができる。
保持器5として、炭素鋼、ばね鋼、ステンレス鋼等の金属製であってもよい。金属製の保持器5では切削加工等によって成形される。前記実施形態のように、樹脂製の保持器5では射出成形等にて成形される。このように、本発明の保持器5として、種々の材質で構成でき、用いる材質に応じて、種々の成形方法を採用できる。
本発明の玉軸受は、部品点数や組立工数を増加させることなく、十分な強度を確保しつつ、二枚の環状体が分離することを安定して防止でき、しかも、グリース潤滑でトルク低減効果を得ることができる玉軸受となる。このため、電動車両やハイブリッド車両において使用される高回転軸受に好適な自動車用途の玉軸受に最適となる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、ボール4を保持するためのポケット12の数として、その数は任意に増減できる。また、グリース溜り45を設ける場合、保持器内径側又は保持器外径側のいずれの側に設けたとしても、周方向に隣合うポケット12間に設けることになるが、全ポケット12間に設けても、任意のポケット12間に設けてもよい。
2 内輪
4 ボール
5 保持器
10 環状体
11 対向面
12 ポケット
13 外径側凸部
14 内径側凹部
15 内径側凸部
15a 係合面
16 外径側凹部
45 グリース溜り
50 掻き取り構造

Claims (11)

  1. 軸方向に向き合う二枚の環状体の対向面にボールを収容する半球状のポケットを周方向の複数箇所に形成し、前記対向面を衝合させて二枚の環状体を結合させた玉軸受用保持器であって、
    一方の環状体の隣り合うポケット間の外径側を軸方向に延出させて外径側凸部を形成すると共に内径側を凹ませて内径側凹部を形成し、かつ、他方の環状体の隣り合うポケット間の内径側を軸方向に延出させて内径側凸部を形成すると共に外径側を凹ませて外径側凹部を形成し、前記外径側凸部を外径側凹部に挿入すると共に前記内径側凸部を内径側凹部に挿入することにより前記外径側凸部と内径側凸部を軸方向で係合させ、前記外径側凸部と内径側凸部との係合面を、外径側凸部および内径側凸部の基端側よりも先端側が厚肉となるように軸方向に対して傾斜させ、ポケットのPCDを、ポケットに収納されるボールのPCDよりも小さく設定したことを特徴とする玉軸受用保持器。
  2. 前記ポケットのPCDが、ボールのPCDの0.9〜0.99である場合において、ポケット径がボール径の1.06倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の玉軸受用保持器。
  3. 前記ポケットのPCDが、ボールのPCDの0.9〜0.99である場合において、ポケット径がボール径の1.03倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の玉軸受用保持器。
  4. 保持器外径面側に、ボールとの接触乃至近接によってグリースを掻き取る掻き取り構造部を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の玉軸受用保持器。
  5. 軸方向に向き合う二枚の環状体の対向面にボールを収容する半球状のポケットを周方向の複数箇所に形成し、前記対向面を衝合させて二枚の環状体を結合させた玉軸受用保持器であって、
    一方の環状体の隣り合うポケット間の外径側を軸方向に延出させて外径側凸部を形成すると共に内径側を凹ませて内径側凹部を形成し、かつ、他方の環状体の隣り合うポケット間の内径側を軸方向に延出させて内径側凸部を形成すると共に外径側を凹ませて外径側凹部を形成し、前記外径側凸部を外径側凹部に挿入すると共に前記内径側凸部を内径側凹部に挿入することにより前記外径側凸部と内径側凸部を軸方向で係合させ、前記外径側凸部と内径側凸部との係合面を、外径側凸部および内径側凸部の基端側よりも先端側が厚肉となるように軸方向に対して傾斜させ、ポケットのPCDと、ポケットに収納されるボールのPCDとを同一とするとともに、ポケット内面の曲率径とボール径とを同一とし、かつ、ポケット内面を楕円球面形状としたことを特徴とする玉軸受用保持器。
  6. 環状体の対向面側の内径部及び/又は外径部にグリース溜りを設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の玉軸受用保持器。
  7. 環状体の反対向面側の内径部及び/又は外径部にグリース溜りを設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の玉軸受用保持器。
  8. 外径面の周方向溝を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の玉軸受用保持器。
  9. 切削加工にて成形されていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の玉軸受用保持器。
  10. 射出加工にて成形されていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の玉軸受用保持器。
  11. 内輪と、外輪と、この内輪と外輪との間に介装されるボールと、このボールを保持する保持器とを備えた玉軸受において、前記保持器に前記請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の玉軸受用保持器を用いたことを特徴とする玉軸受。
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